JP2015128449A - 炎症性筋障害を診断および評価するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炎症性筋障害を診断および評価するための組成物および方法の提供。
【解決手段】本発明は、炎症性筋障害のアッセイ方法、およびこれらのアッセイを行う場合に用い得るマイクロアレイプレートを対象とする。詳細には、本発明は、IFI27、IFI44L、EPSTI1、CMPK2/LOC129607、IFI44、HERC5、ISG15、MX1、SAMD9L、OAS1、OAS2、OAS3、OASL、IFIT1、IFIT2、IFIT3、IFIT5、BIRC4BP、PLSCR1、TNFAIP6、TNFSF10、CHMP5、IFIH1、EIF2AK2およびGBP1の遺伝子のそれぞれにより生成される血液RNA転写産物の定量的測定に基づく。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、炎症性筋障害のアッセイ方法、およびこれらのアッセイを行う場合に用い得るマイクロアレイプレートを対象とする。詳細には、本発明は、IFI27、IFI44L、EPSTI1、CMPK2/LOC129607、IFI44、HERC5、ISG15、MX1、SAMD9L、OAS1、OAS2、OAS3、OASL、IFIT1、IFIT2、IFIT3、IFIT5、BIRC4BP、PLSCR1、TNFAIP6、TNFSF10、CHMP5、IFIH1、EIF2AK2およびGBP1の遺伝子のそれぞれにより生成される血液RNA転写産物の定量的測定に基づく。
【選択図】なし
Description
関連出願への相互参照
この出願は、2007年7月12日に出願された、米国仮出願第60/929,775号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権およびその利益を主張する。
この出願は、2007年7月12日に出願された、米国仮出願第60/929,775号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権およびその利益を主張する。
発明の分野
本発明は、炎症性筋障害の診断および進行の評価に用いることができる組成物および方法の分野にある。
本発明は、炎症性筋障害の診断および進行の評価に用いることができる組成物および方法の分野にある。
炎症性筋障害は、筋肉または付随する組織の炎症を伴い、脱力、筋萎縮症およびときには疼痛を主な特徴とする疾患群である。炎症性筋障害の3つの主要なサブタイプは、皮膚筋炎(DM)、多発性筋炎(PM)および封入体筋炎(IBM)である。PMおよびDMは、DMが皮疹を伴うのに対し、PMは伴わない以外は、臨床的に類似している。DMは、内皮抗原の抗体攻撃により引き起こされる疾患として特徴付けられているが(非特許文献1)、よく特徴付けられた病原性の抗体または内皮抗原は同定されていない(非特許文献2)。
IBMは、しばしばPMとして誤って診断されるが、PMまたはDMとは異なって、免疫抑制薬を用いる治療には典型的に応答しない。IBMの診断は、通常、封入体、すなわちアミロイドタンパク質を含有する空胞を有する筋細胞を明らかにする生検結果に基づく。IBMに対する効果的な治療は現在、存在しないが、プレドニゾンまたは静注用免疫グロブリン(IVIG)の投与は、ときに患者に利益となり得る。
他の炎症性筋障害および正常な健常対照と比較した成体DMにおける筋肉の遺伝子発現プロファイリングにより、インターフェロンα/β(IFN−α/β)誘導遺伝子の上方制御が優位な遺伝子転写サインが明らかになっている(非特許文献3)。天然のIFNα/β生成細胞である形質細胞様樹状細胞(PDC)は、DMの筋肉内に存在する。インターフェロンα/β誘発タンパク質であるMxAは、筋束周辺の筋繊維および毛細血管で発現される。これらの知見は、DMにおける組織損傷は、自然免疫系の自己破壊的過剰活性化に由来することを示唆する(非特許文献3)。DM、PMおよびIBMにおける遺伝子発現パターンをさらに特徴付けることにより、炎症性筋障害を互いに、そして進行性の筋肉脱力を特徴とするその他の疾患と区別するためのよりよい方法を導くことができる。
Dalakasら、Lancet(2003年)362巻(9388号):971〜82頁
Greenbergら、Curr.Opin.Neurol.(2004年)17巻(3号):359〜64頁
Greenbergら、Ann.Neurol.(2005年)57巻(5号):664〜78頁
本発明は、なかでも、IFI27、IFI44L、EPSTI1、CMPK2/LOC129607、IFI44、HERC5、ISG15、MX1、SAMD9L、OAS1、OAS2、OAS3、OASL、IFIT1、IFIT2、IFIT3、IFIT5、BIRC4BP、PLSCR1、TNFAIP6、TNFSF10、CHMP5、IFIH1、EIF2AK2およびGBP1の遺伝子のそれぞれにより生成される血液RNA転写産物の定量的測定に基づく。これらのいずれかの転写産物の高いレベルは、皮膚筋炎または多発性筋炎の診断のために高い正の予測価を有し、関連する炎症性筋障害である封入体筋炎(IBM)の診断を除外する。これらの遺伝子のいずれかについての転写産物の高いレベルは、筋ジストロフィーまたは重症筋無力症のような他の筋肉状態ではみられず、これは診断上の区別のために重要であり得る。同定された遺伝子転写産物のうち、IFI27は、最も強い予測価および正確さを有する。この遺伝子は、DMの筋肉において過活動であると以前に報告されている(Greenbergら、Ann.Neurol.57巻(5号):664〜78頁(2005年))。3つの他の遺伝子(RSAD2、IFI44LおよびEPSTI1)も、単独遺伝子に基づく試験のための優れた選択肢である。
その第1の態様において、本発明は、被験体が多発性筋炎、皮膚筋炎または封入体筋炎に特徴的な遺伝子発現パターンを示すかどうかを、末梢血単核細胞またはあまり好ましくないが筋肉組織(例えば生検から)の試験生物学的試料を得て、この試料を以下の遺伝子(その生成産物に基づいて命名される):インターフェロンアルファ誘導タンパク質27;インターフェロン誘発タンパク質44様;ラジカルS−アデノシルドメイン/CIG5;インターフェロン誘発タンパク質44;CMPK2(仮定上のタンパク質LOC129607);2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素1;上皮間質相互作用1;XIAP関連因子1;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド1,インターフェロン誘発テトラトリコペプチド2,インターフェロン誘発テトラトリコペプチド3,インターフェロン誘発テトラトリコペプチド5;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素様;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素3;リン脂質スクランブラーゼ1;hectドメインおよびRLD5;インターフェロン誘導プロテインキナーゼEIF2AK2;TNFスーパーファミリー、メンバー10(TNFSF10);グアニル酸結合タンパク質1;TNF,アルファ誘発タンパク質6;不稔アルファモチーフドメイン9様;クロマチン修飾タンパク質5;ISG15ユビキチン様修飾因子;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素2;インターフェロン誘発ヘリカーゼCドメイン1;ならびにミクソウイルス耐性1のうちの1つまたは複数の発現についてアッセイすることにより決定する方法を対象とする。遺伝子の名称、それぞれについての略称、ならびにUniGeneおよびGenBankデータベースにおける配列についてのアクセッション番号は、表4に示す。
本発明の目的のために、遺伝子の発現のレベルを決定するためのアッセイは、核酸(例えばmRNAのPCR増幅を用いる)または遺伝子産物(例えばELISAまたはラジオイムノアッセイを用いる)のいずれかに対するものであってよい。試験試料を用いて得られた結果を、当該技術において周知の基準を用いて選択された1つまたは複数の対照試料からの結果と比較する。対照試料は、例えば、炎症性筋障害もしくはその他の筋肉疾患を有さないことが分かっている個体に由来する血液、血清または血漿の試料であってよいか、あるいはそれらは全体として、そして必要に応じて被験体の年齢、性別などに関して試験試料と適合させた集団から採取してよい。対照からの結果と試験試料とからの結果を比較することにより、被験体が炎症性筋障害を有するかについてと、もし存在するならば、炎症性筋障害の特定のタイプについての結論を導き出すことができる。違いを示す遺伝子が多いほど、そして違いの大きさが大きいほど、被験体が疾患について陽性である危険性がより大きい。好ましくは、アッセイは、少なくとも3つの遺伝子、より好ましくは少なくとも5、10または15個の遺伝子に対して行われる。炎症性筋障害の患者においては通常、対照と比較して被験体に由来する試料中で少なくとも2倍の増大が観察されるはずであり、それよりも大きい増大(4、6、10もしくは20または50倍)は、DMまたはPMにさらに特徴付けられる。表2に列挙する最も好ましい遺伝子は、対照と比較して疾患を有する個体における発現レベルに最大の違いを示すものである。
上記の方法は、他の様式で用いてもよい。例えば、アッセイは、多発性筋炎、皮膚筋炎または封入体筋炎を有すると既に診断された患者に対して、疾患の進行または治療管理の効果を追跡する目的で行うことができる。さらに、上記の方法は、DM(発現レベルの増大が最も著しい);PM(遺伝子発現レベルの増大がさらにより穏やか)およびIBM(遺伝子発現の上昇は依然としてあるが、DMまたはPMのいずれかでみられる増大よりもずっと小さい程度である)を区別する補助として用いることができる。
別の態様において、本発明は、上記で列挙した遺伝子の配列を認識する一連の別々の固定化されたオリゴヌクレオチドを有するマイクロアレイプレートまたはスライドを対象とする。用語「別々の」とは、オリゴヌクレオチドが異なる相補配列とハイブリッド形成することを可能にする異なる配列をオリゴヌクレオチドが有することを示す。この性質のプレートまたはスライドを製造するための多くの方法が当該技術において知られ、これらの方法のいずれも、本発明に適合可能である。プレートまたはスライドは、上記の遺伝子の少なくとも1つとストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する固定化オリゴヌクレオチドを含まなければならず、好ましくは、スライドは、異なる遺伝子と結合するいくつかの別々のオリゴヌクレオチドを含む。用語「ストリンジェントな条件」とは、固定化オリゴヌクレオチドの完全相補配列とのハイブリッド形成のみが実質的に生じることを許容する条件のことを示す。一般的に、これらのハイブリッド形成は、0.1〜0.5 NaClを含有する略中性pHの緩衝液中で、45〜70℃の温度にて行われる。低いストリンジェンシーの条件下でインキュベーションを行い、次いで高いストリンジェンシーの洗浄条件を用いて完全には一致しないハイブリッド形成した配列の解離を引き起こすことも可能である。マイクロアレイプレートまたはスライドに関連してこの型のインキュベーションを行うための手順は、当該技術において周知である。
特定の遺伝子とハイブリッド形成する固定化オリゴヌクレオチドのそれぞれの群は、マイクロアレイプレートまたはスライドの分かれた場所を占め、合計で500個以下の別々のオリゴヌクレオチドが存在するべきである。好ましい実施形態において、異なる遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する少なくとも10個の別々のオリゴヌクレオチドが、プレート上に固定化され、15または20個のこのように固定化されたオリゴヌクレオチドが好ましい。経済的な理由から、存在する固定化配列の合計数は、500個以下も好ましく、より好ましくは100個以下、より好ましくは50個以下である。
上記のマイクロアレイプレートは、本明細書で議論される試料分析方法のいずれを行うためにも用いてよい。分析を行うある様式は、細胞を溶解し、次いで、遊離されるmRNAを、検出可能な標識、例えば色素もしくはその他のマーカーと結合しかつPCRプライマー中に存在するヌクレオチドの存在下で増幅することを含むだろう。よって、マイクロアレイプレートまたはスライド上に固定化されたオリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成に直ちに用いることができる標識cDNAの集団が得られる。mRNAの異なる2つの集団を、それぞれの集団について異なる色素の存在下でPCRを行うことにより比較することも可能である。ハイブリッド形成が終了した後に、プレートは、自動化リーダーを用いて、元の溶解物中のハイブリッド形成した配列の量を反映する、それぞれの固定化配列に結合した標識の量を決定することにより分析される。この基本的な手順の多くの変形が当該技術において記載され、本発明に適合可能である。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
被験体が多発性筋炎または皮膚筋炎に特徴的な遺伝子発現パターンを示すかどうかを決定する方法であって、該方法は、
a)該被験体から末梢血単核細胞を含有する試験生物学的試料を得る工程、
b)インターフェロンアルファ誘導タンパク質27;インターフェロン誘発タンパク質44様;ラジカルS−アデノシルドメイン/CIG5;インターフェロン誘発タンパク質44;仮定上のタンパク質LOC129607;2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素1;上皮間質相互作用1;XIAP関連因子1;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド5;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素様;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素3;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド1;リン脂質スクランブラーゼ1;hectドメインおよびRLD5;インターフェロン誘導プロテインキナーゼ;TNFスーパーファミリー、メンバー10;グアニル酸結合タンパク質1;TNF,アルファ誘発タンパク質6;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド3;不稔アルファモチーフドメイン9様;クロマチン修飾タンパク質5;ISG15ユビキチン様修飾因子;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素2;インターフェロン誘発ヘリカーゼCドメイン1;およびミクソウイルス耐性1からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現について該試料をアッセイする工程、
c)段落b)のアッセイにおいて決定された結果から、該遺伝子の1つまたは複数が1つまたは複数の対照試料よりも該試験試料において高く発現されることが示された場合に、該被験体が多発性筋炎または皮膚筋炎に特徴的な遺伝子発現プロファイルを有すると結論付ける工程
を含む、方法。
(項目2)
前記試験生物学的試料が血液、血漿または血清の試料である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記アッセイがマイクロアレイプレートを用いて行われる、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記遺伝子の少なくとも5個の発現が、1つまたは複数の前記対照試料と比較して前記試験試料において上昇する、項目1に記載のアッセイ。
(項目5)
前記遺伝子の少なくとも10個の発現が、1つまたは複数の前記対照試料と比較して前記試験試料において上昇する、項目1に記載のアッセイ。
(項目6)
前記遺伝子の少なくとも15個の発現が、1つまたは複数の前記対照試料と比較して前記試験試料において上昇する、項目1に記載のアッセイ。
(項目7)
段落b)における前記遺伝子の全ての発現が、1つまたは複数の前記対照試料と比較して前記試験試料において上昇する、項目1に記載のアッセイ。
(項目8)
多発性筋炎または皮膚筋炎の患者が、疾患の進行または疾患の寛解に特徴的な遺伝子発現パターンを有するかどうかを決定する方法であって、該方法は、
a)該患者から末梢血単核細胞を含有する試験生物学的試料を得る工程、
b)インターフェロンアルファ誘導タンパク質27;インターフェロン誘発タンパク質44様;ラジカルS−アデノシルドメイン/CIG5;インターフェロン誘発タンパク質44;仮定上のタンパク質LOC129607;2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素1;上皮間質相互作用1;XIAP関連因子1;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド5;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素様;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素3;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド1;リン脂質スクランブラーゼ1;hectドメインおよびRLD5;インターフェロン誘導プロテインキナーゼ;TNFスーパーファミリー、メンバー10;グアニル酸結合タンパク質1;TNF,アルファ誘発タンパク質6;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド3;不稔アルファモチーフドメイン9様;クロマチン修飾タンパク質5;ISG15ユビキチン様修飾因子;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素2;インターフェロン誘発ヘリカーゼCドメイン1;およびミクソウイルス耐性1からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現について該試料をアッセイする工程、
c)段落b)のアッセイにおいて決定された結果から、該遺伝子の1つまたは複数がより早い時期に同じ患者から得られた1つまたは複数の試料よりも該試験試料において高く発現されることが示された場合に、該被験体が疾患の進行に特徴的な遺伝子発現プロファイルを有すると結論付けるか、または
d)段落b)のアッセイにおいて決定された結果から、該遺伝子の1つまたは複数がより早い時期に同じ患者から得られた1つまたは複数の試料よりも該試験試料において低く発現されることが示された場合に、該被験体が疾患の寛解に特徴的な遺伝子発現プロファイルを有すると結論付ける工程
を含む、方法。
(項目9)
前記生物学的試料が血液、血漿または血清の試料である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記アッセイがマイクロアレイプレートを用いて行われる、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記疾患が進行していると結論付けるためには、前記遺伝子の少なくとも5個の発現が前記試験試料中で上昇しなければならず、該疾患が進行していると結論付けるためには、該遺伝子の少なくとも5個の発現が該試験試料中で減少しなければならない、項目8に記載のアッセイ。
(項目12)
前記疾患が進行していると結論付けるためには、前記遺伝子の少なくとも10個の発現が前記試験試料中で上昇しなければならず、該疾患が進行していると結論付けるためには、該遺伝子の少なくとも10個の発現が該試験試料中で減少しなければならない、項目8に記載のアッセイ。
(項目13)
前記疾患が進行していると結論付けるためには、前記遺伝子の少なくとも15個の発現が前記試験試料中で上昇しなければならず、該疾患が進行していると結論付けるためには、該遺伝子の少なくとも15個の発現が該試験試料中で減少しなければならない、項目8に記載のアッセイ。
(項目14)
前記疾患が進行していると結論付けるためには、段落b)における前記遺伝子の全ての発現が前記試験試料中で上昇しなければならず、該疾患が進行していると結論付けるためには、段落b)における該遺伝子の全ての発現が該試験試料中で減少しなければならない、項目8に記載のアッセイ。
(項目15)
一連の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含むマイクロプレートであって、
a)該オリゴヌクレオチドの少なくとも5個が、インターフェロンアルファ誘導タンパク質27;インターフェロン誘発タンパク質44様;ラジカルS−アデノシルドメイン/CIG5;インターフェロン誘発タンパク質44;仮定上のタンパク質LOC129607;2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素1;上皮間質相互作用1;XIAP関連因子1;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド5;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素様;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素3;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド1;リン脂質スクランブラーゼ1;hectドメインおよびRLD5;インターフェロン誘導プロテインキナーゼ;TNFスーパーファミリー、メンバー10;グアニル酸結合タンパク質1;TNF,アルファ誘発タンパク質6;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド3;不稔アルファモチーフドメイン9様;クロマチン修飾タンパク質5;ISG15ユビキチン様修飾因子;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素2;インターフェロン誘発ヘリカーゼCドメイン1;およびミクソウイルス耐性1からなる群から選択される遺伝子配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成し、
b)該遺伝子配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する該オリゴヌクレオチドが、その他の配列とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成するいかなるオリゴヌクレオチドも含有しない該マイクロアレイプレート上の場所に固定化され、
c)該マイクロアレイプレートが、合計で500個以下の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む
マイクロアレイプレート。
(項目16)
段落b)の遺伝子から選択される遺伝子配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する少なくとも10個の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む、項目15に記載のマイクロアレイプレート。
(項目17)
段落b)の遺伝子から選択される遺伝子配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する少なくとも15個の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む、項目15に記載のマイクロアレイプレート。
(項目18)
段落b)の遺伝子の全てとストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む、項目15に記載のマイクロアレイプレート。
(項目19)
合計で100個以下の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む、項目18に記載のマイクロアレイプレート。
(項目20)
段落b)の遺伝子以外の遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成するあらゆる別々の固定化オリゴヌクレオチドも含まない、項目18に記載のマイクロアレイプレート。
(項目21)
被験体の遺伝子発現プロファイルを決定する方法であって、
a)該被験体から末梢血単核細胞を含有する試験生物学的試料を得る工程、
b)項目15〜20のいずれか1項のマイクロアレイプレートを用いて該試験生物学的試料中の遺伝子発現をアッセイする工程
を含む、方法。
(項目22)
被験体における多発性筋炎または皮膚筋炎を診断する方法であって、
a)該被験体から血液または筋肉の試験生物学的試料を得る工程、
b)該試験生物学的試料をアッセイして、IFI44L遺伝子および/またはEPSTI1の発現レベルを決定する工程、
c)段落b)で決定される遺伝子発現レベルが、1つまたは複数の対照生物学的試料中よりも高い場合に、該被験体が多発性筋炎または皮膚筋炎を有すると結論付ける工程を含む、方法。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
被験体が多発性筋炎または皮膚筋炎に特徴的な遺伝子発現パターンを示すかどうかを決定する方法であって、該方法は、
a)該被験体から末梢血単核細胞を含有する試験生物学的試料を得る工程、
b)インターフェロンアルファ誘導タンパク質27;インターフェロン誘発タンパク質44様;ラジカルS−アデノシルドメイン/CIG5;インターフェロン誘発タンパク質44;仮定上のタンパク質LOC129607;2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素1;上皮間質相互作用1;XIAP関連因子1;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド5;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素様;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素3;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド1;リン脂質スクランブラーゼ1;hectドメインおよびRLD5;インターフェロン誘導プロテインキナーゼ;TNFスーパーファミリー、メンバー10;グアニル酸結合タンパク質1;TNF,アルファ誘発タンパク質6;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド3;不稔アルファモチーフドメイン9様;クロマチン修飾タンパク質5;ISG15ユビキチン様修飾因子;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素2;インターフェロン誘発ヘリカーゼCドメイン1;およびミクソウイルス耐性1からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現について該試料をアッセイする工程、
c)段落b)のアッセイにおいて決定された結果から、該遺伝子の1つまたは複数が1つまたは複数の対照試料よりも該試験試料において高く発現されることが示された場合に、該被験体が多発性筋炎または皮膚筋炎に特徴的な遺伝子発現プロファイルを有すると結論付ける工程
を含む、方法。
(項目2)
前記試験生物学的試料が血液、血漿または血清の試料である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記アッセイがマイクロアレイプレートを用いて行われる、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記遺伝子の少なくとも5個の発現が、1つまたは複数の前記対照試料と比較して前記試験試料において上昇する、項目1に記載のアッセイ。
(項目5)
前記遺伝子の少なくとも10個の発現が、1つまたは複数の前記対照試料と比較して前記試験試料において上昇する、項目1に記載のアッセイ。
(項目6)
前記遺伝子の少なくとも15個の発現が、1つまたは複数の前記対照試料と比較して前記試験試料において上昇する、項目1に記載のアッセイ。
(項目7)
段落b)における前記遺伝子の全ての発現が、1つまたは複数の前記対照試料と比較して前記試験試料において上昇する、項目1に記載のアッセイ。
(項目8)
多発性筋炎または皮膚筋炎の患者が、疾患の進行または疾患の寛解に特徴的な遺伝子発現パターンを有するかどうかを決定する方法であって、該方法は、
a)該患者から末梢血単核細胞を含有する試験生物学的試料を得る工程、
b)インターフェロンアルファ誘導タンパク質27;インターフェロン誘発タンパク質44様;ラジカルS−アデノシルドメイン/CIG5;インターフェロン誘発タンパク質44;仮定上のタンパク質LOC129607;2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素1;上皮間質相互作用1;XIAP関連因子1;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド5;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素様;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素3;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド1;リン脂質スクランブラーゼ1;hectドメインおよびRLD5;インターフェロン誘導プロテインキナーゼ;TNFスーパーファミリー、メンバー10;グアニル酸結合タンパク質1;TNF,アルファ誘発タンパク質6;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド3;不稔アルファモチーフドメイン9様;クロマチン修飾タンパク質5;ISG15ユビキチン様修飾因子;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素2;インターフェロン誘発ヘリカーゼCドメイン1;およびミクソウイルス耐性1からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現について該試料をアッセイする工程、
c)段落b)のアッセイにおいて決定された結果から、該遺伝子の1つまたは複数がより早い時期に同じ患者から得られた1つまたは複数の試料よりも該試験試料において高く発現されることが示された場合に、該被験体が疾患の進行に特徴的な遺伝子発現プロファイルを有すると結論付けるか、または
d)段落b)のアッセイにおいて決定された結果から、該遺伝子の1つまたは複数がより早い時期に同じ患者から得られた1つまたは複数の試料よりも該試験試料において低く発現されることが示された場合に、該被験体が疾患の寛解に特徴的な遺伝子発現プロファイルを有すると結論付ける工程
を含む、方法。
(項目9)
前記生物学的試料が血液、血漿または血清の試料である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記アッセイがマイクロアレイプレートを用いて行われる、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記疾患が進行していると結論付けるためには、前記遺伝子の少なくとも5個の発現が前記試験試料中で上昇しなければならず、該疾患が進行していると結論付けるためには、該遺伝子の少なくとも5個の発現が該試験試料中で減少しなければならない、項目8に記載のアッセイ。
(項目12)
前記疾患が進行していると結論付けるためには、前記遺伝子の少なくとも10個の発現が前記試験試料中で上昇しなければならず、該疾患が進行していると結論付けるためには、該遺伝子の少なくとも10個の発現が該試験試料中で減少しなければならない、項目8に記載のアッセイ。
(項目13)
前記疾患が進行していると結論付けるためには、前記遺伝子の少なくとも15個の発現が前記試験試料中で上昇しなければならず、該疾患が進行していると結論付けるためには、該遺伝子の少なくとも15個の発現が該試験試料中で減少しなければならない、項目8に記載のアッセイ。
(項目14)
前記疾患が進行していると結論付けるためには、段落b)における前記遺伝子の全ての発現が前記試験試料中で上昇しなければならず、該疾患が進行していると結論付けるためには、段落b)における該遺伝子の全ての発現が該試験試料中で減少しなければならない、項目8に記載のアッセイ。
(項目15)
一連の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含むマイクロプレートであって、
a)該オリゴヌクレオチドの少なくとも5個が、インターフェロンアルファ誘導タンパク質27;インターフェロン誘発タンパク質44様;ラジカルS−アデノシルドメイン/CIG5;インターフェロン誘発タンパク質44;仮定上のタンパク質LOC129607;2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素1;上皮間質相互作用1;XIAP関連因子1;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド5;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素様;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素3;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド1;リン脂質スクランブラーゼ1;hectドメインおよびRLD5;インターフェロン誘導プロテインキナーゼ;TNFスーパーファミリー、メンバー10;グアニル酸結合タンパク質1;TNF,アルファ誘発タンパク質6;インターフェロン誘発テトラトリコペプチド3;不稔アルファモチーフドメイン9様;クロマチン修飾タンパク質5;ISG15ユビキチン様修飾因子;2’−5’−オリゴアデニル酸合成酵素2;インターフェロン誘発ヘリカーゼCドメイン1;およびミクソウイルス耐性1からなる群から選択される遺伝子配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成し、
b)該遺伝子配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する該オリゴヌクレオチドが、その他の配列とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成するいかなるオリゴヌクレオチドも含有しない該マイクロアレイプレート上の場所に固定化され、
c)該マイクロアレイプレートが、合計で500個以下の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む
マイクロアレイプレート。
(項目16)
段落b)の遺伝子から選択される遺伝子配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する少なくとも10個の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む、項目15に記載のマイクロアレイプレート。
(項目17)
段落b)の遺伝子から選択される遺伝子配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する少なくとも15個の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む、項目15に記載のマイクロアレイプレート。
(項目18)
段落b)の遺伝子の全てとストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成する別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む、項目15に記載のマイクロアレイプレート。
(項目19)
合計で100個以下の別々の固定化オリゴヌクレオチドを含む、項目18に記載のマイクロアレイプレート。
(項目20)
段落b)の遺伝子以外の遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリッド形成するあらゆる別々の固定化オリゴヌクレオチドも含まない、項目18に記載のマイクロアレイプレート。
(項目21)
被験体の遺伝子発現プロファイルを決定する方法であって、
a)該被験体から末梢血単核細胞を含有する試験生物学的試料を得る工程、
b)項目15〜20のいずれか1項のマイクロアレイプレートを用いて該試験生物学的試料中の遺伝子発現をアッセイする工程
を含む、方法。
(項目22)
被験体における多発性筋炎または皮膚筋炎を診断する方法であって、
a)該被験体から血液または筋肉の試験生物学的試料を得る工程、
b)該試験生物学的試料をアッセイして、IFI44L遺伝子および/またはEPSTI1の発現レベルを決定する工程、
c)段落b)で決定される遺伝子発現レベルが、1つまたは複数の対照生物学的試料中よりも高い場合に、該被験体が多発性筋炎または皮膚筋炎を有すると結論付ける工程を含む、方法。
I.ハイブリッド形成に用いるための試料の調製
本明細書に記載される手順および当該技術において標準的な手順を用いて末梢血単核細胞(PBMC)を含有する試料を得て、溶解し、抽出して、RNAを得てよい。アッセイは、マイクロアレイプレート製造業者により記載され、全般的にGreenbergら、Neurology59巻(8号):1170〜82頁(2002年)に以前に記載されたような標準的な手順を用いて行ってよい。あるいは、mRNAは、生検の間に得られた筋肉細胞から得て、分析できる。
本明細書に記載される手順および当該技術において標準的な手順を用いて末梢血単核細胞(PBMC)を含有する試料を得て、溶解し、抽出して、RNAを得てよい。アッセイは、マイクロアレイプレート製造業者により記載され、全般的にGreenbergら、Neurology59巻(8号):1170〜82頁(2002年)に以前に記載されたような標準的な手順を用いて行ってよい。あるいは、mRNAは、生検の間に得られた筋肉細胞から得て、分析できる。
II.マイクロアレイの材料およびアッセイ
多発性筋炎または皮膚筋炎の患者において変化したと本明細書において同定される全ての遺伝子は、実施例の部に記載されるAffymetrixのプレート上に存在した。原則的に、同じプレートを、PBMCまたは筋肉細胞からのmRNAの評価のために用いることができた。しかし、用いられるプレートは、数千の異なる遺伝子についての固定化オリゴヌクレオチドを含むので、この系は不便であり不必要に高価である。本明細書で議論される分析により適するプレートは、表2に列挙される遺伝子に焦点を当てることにより作製できる。よって、Affymetrixプレートに似ているが、ほんの少数(例えば5〜50または5〜100個)の別々のハイブリッド形成部位を有するプレートを、同じアッセイ条件下で用いてよい。このことは分析を単純化し、結果の一貫性をよりよく確認するための重複を含めることを可能にする。
多発性筋炎または皮膚筋炎の患者において変化したと本明細書において同定される全ての遺伝子は、実施例の部に記載されるAffymetrixのプレート上に存在した。原則的に、同じプレートを、PBMCまたは筋肉細胞からのmRNAの評価のために用いることができた。しかし、用いられるプレートは、数千の異なる遺伝子についての固定化オリゴヌクレオチドを含むので、この系は不便であり不必要に高価である。本明細書で議論される分析により適するプレートは、表2に列挙される遺伝子に焦点を当てることにより作製できる。よって、Affymetrixプレートに似ているが、ほんの少数(例えば5〜50または5〜100個)の別々のハイブリッド形成部位を有するプレートを、同じアッセイ条件下で用いてよい。このことは分析を単純化し、結果の一貫性をよりよく確認するための重複を含めることを可能にする。
本発明に関連して、Affymetrixにより記載されるのと同じ手順およびハードウェアを用いることができるが、他の代替も利用可能である。多くの概説が、マイクロアレイの作製およびアッセイの実行のための方法を詳細に記載している(例えばBowtell、Nature Genetics Suppl.21巻:25〜32頁(1999年);Constantineら、Life Sci.News1巻:11〜13頁(1998年);Ramsay、Nature Biotechnol.16巻:40〜44頁(1998年)を参照されたい)。さらに、マイクロアレイプレート、スライドおよび関連する装置の製造(米国特許第6,902,702号;米国特許第6,594,432号;米国特許第5,622,826号)、およびアッセイの実行(米国特許第6,902,900号;米国特許第6,759,197号)についての技術を記載した特許が発行されている。プレートまたはスライドを作製するための2つの主な技術は、ポリリソグラフィ法(米国特許第5,445,934号;米国特許第5,744,305号を参照されたい)またはロボットスポッティング法(米国特許第5,807,522号)を含む。その他の手順は、インクジェットプリンティングまたはキャピラリースポッティングを含み得る(例えばWO98/29736またはWO00/01859を参照されたい)。
マイクロアレイプレートまたはスライド用の基材は、プラスチック、白金のような金属およびガラスを含め、オリゴヌクレオチドに結合して固定化できる任意の材料が可能である。好ましい基材は、ポリリジンのようなオリゴヌクレオチドの結合を促進する材料で被覆されたガラスである(Chenaら、Science270巻:467〜470頁(1995年)を参照されたい)。オリゴヌクレオチドを共有結合させるための多くのスキームが記載され、本発明に関連して用いるために適する(例えば米国特許第6,594,432号を参照されたい)。固定化オリゴヌクレオチドは、最小で20塩基長であるべきであり、ハイブリッド形成の標的である遺伝子のセグメントに完全に対応する配列を有するべきである。
III.さらなる方法論に関するコメント
上記の方法を用いてPBMCおよび筋肉細胞内の遺伝子発現レベルを決定することができるが、この分析を行う任意のその他の手順も、本発明に関連して用いることができる。例えば、PCR増幅を伴うかまたは伴わないDNAブロッティング技術は、遺伝子のレベルを定量するために用いてよい。ウェスタンブロットまたはイムノアッセイを用いて、遺伝子産物を定量してよく、酵素ベースのアッセイを用いてよい場合もある。発現のレベルは、免疫蛍光技術またはプロモーターに基づくレポーターアッセイにより評価することもできる。手順に必須の要素は、定量をどのように行うかではなく、むしろ、調査される特定の遺伝子と、これらの遺伝子がPM、DMまたはIBMの存在または状態に特徴的なレベルで発現されているかどうかを決定することである。
上記の方法を用いてPBMCおよび筋肉細胞内の遺伝子発現レベルを決定することができるが、この分析を行う任意のその他の手順も、本発明に関連して用いることができる。例えば、PCR増幅を伴うかまたは伴わないDNAブロッティング技術は、遺伝子のレベルを定量するために用いてよい。ウェスタンブロットまたはイムノアッセイを用いて、遺伝子産物を定量してよく、酵素ベースのアッセイを用いてよい場合もある。発現のレベルは、免疫蛍光技術またはプロモーターに基づくレポーターアッセイにより評価することもできる。手順に必須の要素は、定量をどのように行うかではなく、むしろ、調査される特定の遺伝子と、これらの遺伝子がPM、DMまたはIBMの存在または状態に特徴的なレベルで発現されているかどうかを決定することである。
V.有用性に関するコメント
本明細書に記載されるアッセイは、PBMCまたは筋肉細胞が、多発性筋炎、皮膚筋炎または封入体筋炎の存在または進行を示す遺伝子発現プロファイルを有するかどうかを評価するように設計されている。このことは、これらの疾患を研究する科学者、および診断を行うかまたは治療計画もしくは薬物が有益な効果を有するかどうかを決定しようとする臨床医にとって、明らかに大きな価値がある。
本明細書に記載されるアッセイは、PBMCまたは筋肉細胞が、多発性筋炎、皮膚筋炎または封入体筋炎の存在または進行を示す遺伝子発現プロファイルを有するかどうかを評価するように設計されている。このことは、これらの疾患を研究する科学者、および診断を行うかまたは治療計画もしくは薬物が有益な効果を有するかどうかを決定しようとする臨床医にとって、明らかに大きな価値がある。
Affymetrix全ゲノムマイクロアレイを用いて、皮膚筋炎、多発性筋炎、封入体筋炎、重症筋無力症、筋ジストロフィーの56名の被験体および健常な有志からの65個の血液試料および15個の筋肉試料中のおよそ38,500の遺伝子の発現を測定した。さらに、疾患の活動性が異なる様々な時期の同じ個体からの9対の血液試料を比較した。生命情報科学の技術を用いて、診断カテゴリーのうちで、そして疾患の活動性に関連して著しく異なる遺伝子発現を示す遺伝子を同定した。マイクロアレイデータは、定量的リアルタイムPCRを用いて確認した。
活動性皮膚筋炎および多発性筋炎のほとんどの患者は、封入体筋炎の患者とは異なり、血液中で1型インターフェロンα/β誘導遺伝子が著しく高く上方制御されていることが見出された。さらに、これらの遺伝子の上方制御は、皮膚筋炎および多発性筋炎における疾患の活動性と相関し、疾患が治療により管理されているときは下方制御が生じる。
材料および方法
研究の対象
65回のマイクロアレイ実験を、36名が炎症性筋障害を有する(12名がDM、11名がPMおよび13名がIBM)合計で56名の元々登録されていた被験体からの血液試料に対して行った。さらなる対照群のために、我々は、非炎症性自己免疫性筋障害である重症筋無力症の患者5名、遺伝子的に決定された筋障害の患者3名(2型筋緊張性ジストロフィー2名およびミトコンドリア筋症1名)、ならびに12名の健常被験体有志について研究した。DMの患者6名およびPMの患者2名は、一方は疾患が活動性のとき、他方は疾患が改善中の2回の異なる時点で行ったマイクロアレイ実験のための第2の血液試料を提供した。不応性DMの1名の患者は、ともに疾患が活動性のときの異なる時点での2つの試料を提供した。全ての患者は、DMまたはPMが確定的またはほぼ確定的(Hoogendijkら、Neuromuscul.Disord.14巻(5号):337〜45頁(2004年))、およびIBMが確定的またはほぼ確定的(Griggsら、Ann.Neurol.38巻(5号):705〜13頁(1995年))との調査基準を満たしていた。全身性エリテマトーデスの患者は除外した。DM(平均年齢47歳)およびPM(平均年齢54歳)の患者の臨床的特徴を表1に概説する。DMの2名およびPMの4名の6名の患者は、間質性肺疾患であった。これらのうち、DMの2名およびPMの1名の患者は、抗ヒスチジルトランスファーRNA(抗Jo−1)抗体をさらに有した。5名の男性および7名の女性であるIBMの患者は、平均年齢69歳であり、免疫調節薬の投与を受けている者はいなかった。採用時に健常な有志は、過去6カ月間にいずれの重篤な病気もなく、過去6カ月間にいずれの新しい投薬も開始せず、過去2カ月間に重篤な風邪、流感またはその他の感染がなかった。有志は、5名の男性および7名の女性からなり、平均年齢46歳(30〜62歳の範囲)であった。内部調査委員会が研究を承認した。書面のインフォームドコンセントを、全ての参加する患者および健常有志から得た。
研究の対象
65回のマイクロアレイ実験を、36名が炎症性筋障害を有する(12名がDM、11名がPMおよび13名がIBM)合計で56名の元々登録されていた被験体からの血液試料に対して行った。さらなる対照群のために、我々は、非炎症性自己免疫性筋障害である重症筋無力症の患者5名、遺伝子的に決定された筋障害の患者3名(2型筋緊張性ジストロフィー2名およびミトコンドリア筋症1名)、ならびに12名の健常被験体有志について研究した。DMの患者6名およびPMの患者2名は、一方は疾患が活動性のとき、他方は疾患が改善中の2回の異なる時点で行ったマイクロアレイ実験のための第2の血液試料を提供した。不応性DMの1名の患者は、ともに疾患が活動性のときの異なる時点での2つの試料を提供した。全ての患者は、DMまたはPMが確定的またはほぼ確定的(Hoogendijkら、Neuromuscul.Disord.14巻(5号):337〜45頁(2004年))、およびIBMが確定的またはほぼ確定的(Griggsら、Ann.Neurol.38巻(5号):705〜13頁(1995年))との調査基準を満たしていた。全身性エリテマトーデスの患者は除外した。DM(平均年齢47歳)およびPM(平均年齢54歳)の患者の臨床的特徴を表1に概説する。DMの2名およびPMの4名の6名の患者は、間質性肺疾患であった。これらのうち、DMの2名およびPMの1名の患者は、抗ヒスチジルトランスファーRNA(抗Jo−1)抗体をさらに有した。5名の男性および7名の女性であるIBMの患者は、平均年齢69歳であり、免疫調節薬の投与を受けている者はいなかった。採用時に健常な有志は、過去6カ月間にいずれの重篤な病気もなく、過去6カ月間にいずれの新しい投薬も開始せず、過去2カ月間に重篤な風邪、流感またはその他の感染がなかった。有志は、5名の男性および7名の女性からなり、平均年齢46歳(30〜62歳の範囲)であった。内部調査委員会が研究を承認した。書面のインフォームドコンセントを、全ての参加する患者および健常有志から得た。
疾患の活動性の評価
我々は、DMおよびPMの患者を、活動性疾患の者(DMA;PMA)と改善中の疾患の者(DMI;PMI)とに分類した。以下の4つのうち3つを有する患者を、活動性と分類した:(1)症状の増加、(2)徒手筋試験における客観的脱力の増大、(3)高い血清クレアチンキナーゼ(CK)レベル、そしてもし1回を超える測定が可能であればそのレベルの増大、ならびに(4)治療している医師が患者の免疫治療を増大させる。筋炎における活動性疾患を定義するために、同様の特徴が以前に用いられた(Nagyら、Immunol.Lett.74巻(3号):207〜10頁(2000年))。DMおよびPMの患者を、遺伝子発現データの分析の前に、先を見越して活動性または改善中に分類した。MRC等級分けを用いる徒手筋試験を用いて強さを評価した。30の異なる筋肉群についての複合スコアを算出し、最大スコアは150であった。我々は、国際筋炎評価・臨床研究グループ(International Myositis Assessment and Clinical Studies group)により提案されるように、疾患活動性のさらなる指標として、筋炎治療意図活動性指数(Myositis Intention to Treat Activity Index)(MITAX)を用いた(Isenbergら、Rheumatology (Oxford)43巻(1号):49〜54頁(2004年))。MITAXは、筋肉、皮膚粘膜、胃腸、呼吸器および筋骨格の系統をみる多系統の評価ツールである。疾患活動性のこの指標について、良好な評価者間信頼性が報告されている。対の試料を有する9名の患者において、活発と改善中との間に8.5のMITAXスコアの平均的な低減がみられた。活動性のスコアは12〜13の範囲であり、改善中のスコアは2〜6の範囲であった。
我々は、DMおよびPMの患者を、活動性疾患の者(DMA;PMA)と改善中の疾患の者(DMI;PMI)とに分類した。以下の4つのうち3つを有する患者を、活動性と分類した:(1)症状の増加、(2)徒手筋試験における客観的脱力の増大、(3)高い血清クレアチンキナーゼ(CK)レベル、そしてもし1回を超える測定が可能であればそのレベルの増大、ならびに(4)治療している医師が患者の免疫治療を増大させる。筋炎における活動性疾患を定義するために、同様の特徴が以前に用いられた(Nagyら、Immunol.Lett.74巻(3号):207〜10頁(2000年))。DMおよびPMの患者を、遺伝子発現データの分析の前に、先を見越して活動性または改善中に分類した。MRC等級分けを用いる徒手筋試験を用いて強さを評価した。30の異なる筋肉群についての複合スコアを算出し、最大スコアは150であった。我々は、国際筋炎評価・臨床研究グループ(International Myositis Assessment and Clinical Studies group)により提案されるように、疾患活動性のさらなる指標として、筋炎治療意図活動性指数(Myositis Intention to Treat Activity Index)(MITAX)を用いた(Isenbergら、Rheumatology (Oxford)43巻(1号):49〜54頁(2004年))。MITAXは、筋肉、皮膚粘膜、胃腸、呼吸器および筋骨格の系統をみる多系統の評価ツールである。疾患活動性のこの指標について、良好な評価者間信頼性が報告されている。対の試料を有する9名の患者において、活発と改善中との間に8.5のMITAXスコアの平均的な低減がみられた。活動性のスコアは12〜13の範囲であり、改善中のスコアは2〜6の範囲であった。
PBMCの回収、筋肉組織の回収およびRNA抽出
我々は、患者および有志からの血液10mlを、EDTA含有試験管(57個の試料)、またはいくつかの場合においてPAX−Gene−RNA試験管に直接(8個の試料)回収した。EDTA含有試験管について、遠心分離の後に、血漿(上層)を赤血球細胞から1mmのところまで低く吸引し、500μlのバフィコートを、1.2mlのRNAlater溶液(Ambion、Austin、Texas)を予め充填した低温槽貯蔵試験管に、注意深く吸引して入れた。併せたバフィコートとRNAlaterを−20℃にて凍結した。RNAを「Ribo Pure」(Ambion、Austin、Texas)を用いてバフィコートおよびPAX−Gene RNA試験管から抽出した。RNA濃度は、分光光度計を用いて測定し、RNAの質を、1μgのRNAを1%アガロースゲル上を移動させることにより評価した。70〜120mgの重量の筋肉生検試料のRNAを、以前に記載されたようにして抽出した(Greenbergら、Neurology59巻(8号):1170〜82頁(2002年))。筋肉生検組織は、15名の患者(5名のDM、5名のPMおよび5名のIBM)から、活動性疾患のときに得て、これらの全ての患者は、活動性または改善中の時点で血液マイクロアレイ研究も受け、神経筋疾患を有さない5名の患者は診断生検を受けた。筋肉RNA抽出は、RiboPureを用いて、PBMC RNA抽出と同様にして行った。15の炎症性筋障害筋肉マイクロアレイ研究のうち、9つ(3名のDM、2名のPMおよび4名のIBM)は、発表に用いたデータの一部分を用いて以前に行って、この研究において再分析し、6つはこれらの研究について特に新しく行った。
我々は、患者および有志からの血液10mlを、EDTA含有試験管(57個の試料)、またはいくつかの場合においてPAX−Gene−RNA試験管に直接(8個の試料)回収した。EDTA含有試験管について、遠心分離の後に、血漿(上層)を赤血球細胞から1mmのところまで低く吸引し、500μlのバフィコートを、1.2mlのRNAlater溶液(Ambion、Austin、Texas)を予め充填した低温槽貯蔵試験管に、注意深く吸引して入れた。併せたバフィコートとRNAlaterを−20℃にて凍結した。RNAを「Ribo Pure」(Ambion、Austin、Texas)を用いてバフィコートおよびPAX−Gene RNA試験管から抽出した。RNA濃度は、分光光度計を用いて測定し、RNAの質を、1μgのRNAを1%アガロースゲル上を移動させることにより評価した。70〜120mgの重量の筋肉生検試料のRNAを、以前に記載されたようにして抽出した(Greenbergら、Neurology59巻(8号):1170〜82頁(2002年))。筋肉生検組織は、15名の患者(5名のDM、5名のPMおよび5名のIBM)から、活動性疾患のときに得て、これらの全ての患者は、活動性または改善中の時点で血液マイクロアレイ研究も受け、神経筋疾患を有さない5名の患者は診断生検を受けた。筋肉RNA抽出は、RiboPureを用いて、PBMC RNA抽出と同様にして行った。15の炎症性筋障害筋肉マイクロアレイ研究のうち、9つ(3名のDM、2名のPMおよび4名のIBM)は、発表に用いたデータの一部分を用いて以前に行って、この研究において再分析し、6つはこれらの研究について特に新しく行った。
標的の調製、ハイブリッド形成およびシグナルの検出
マイクロアレイ研究を、以前に記載されたようにして、Affymetrix HG−U133Aマイクロアレイを用いて筋肉について行った(Greenbergら、Neurology59巻(8号):1170〜82頁(2002年))。PBMC試料は、Affymetrix HG−U133Aプラス2.0マイクロアレイおよびGeneChipオペレーティングシステム(GCOSv1.3)バージョン1.3を用いて処理した。
マイクロアレイ研究を、以前に記載されたようにして、Affymetrix HG−U133Aマイクロアレイを用いて筋肉について行った(Greenbergら、Neurology59巻(8号):1170〜82頁(2002年))。PBMC試料は、Affymetrix HG−U133Aプラス2.0マイクロアレイおよびGeneChipオペレーティングシステム(GCOSv1.3)バージョン1.3を用いて処理した。
データ処理
Affymetrix HG−U133プラス2.0 GeneChipは、63個の対照プローブセットを含む54,675個のプローブセットを有する。プローブセットのアノテーションは、NetAffx Analysis Center、バージョン3/9/2007から得た。発現レベルは、Bioconductor GCRMAパッケージ(http://www.bioconductor.org/download/oldrelease/bioc1.6/popular/gcrma.htmlで利用可能)に備えられたGC−Content Robust Multichip Analysis(GCRMA)を用いて算出した。このアルゴリズムは、実験における全てのアレイからのGC含量に基づく偏りと光学的ノイズ挙動とを計上することにより、改善された発現測定を行う(Wuら、J.Comput.Biol.12巻(6号):882〜93頁(2005年))。品質管理は、走査され再構築された画像を目視検査して、全体のアーチファクトを同定すること、および対照プローブセットを含む品質評価パラメータを注意深く評価することにより行った。全ての血液および筋肉のマイクロアレイデータは、この研究においてGCRMAを用いて一緒に分析した。
Affymetrix HG−U133プラス2.0 GeneChipは、63個の対照プローブセットを含む54,675個のプローブセットを有する。プローブセットのアノテーションは、NetAffx Analysis Center、バージョン3/9/2007から得た。発現レベルは、Bioconductor GCRMAパッケージ(http://www.bioconductor.org/download/oldrelease/bioc1.6/popular/gcrma.htmlで利用可能)に備えられたGC−Content Robust Multichip Analysis(GCRMA)を用いて算出した。このアルゴリズムは、実験における全てのアレイからのGC含量に基づく偏りと光学的ノイズ挙動とを計上することにより、改善された発現測定を行う(Wuら、J.Comput.Biol.12巻(6号):882〜93頁(2005年))。品質管理は、走査され再構築された画像を目視検査して、全体のアーチファクトを同定すること、および対照プローブセットを含む品質評価パラメータを注意深く評価することにより行った。全ての血液および筋肉のマイクロアレイデータは、この研究においてGCRMAを用いて一緒に分析した。
データ分析および可視化
倍率変化の平均および90%信頼区間(CI)を、対照群と比較してそれぞれの疾患群について算出し、それに加えてWelchのt検定を用いて2群の比較のp値も算出した(表2)。我々は、p値<0.0001を必要とし、CIの下限>4.0として、著しく上方制御されている遺伝子を選択するために厳しい基準を用いた。遺伝子は、文献(10−12)および分子データベースの検索により、IFN−α/β誘発と同定された。
倍率変化の平均および90%信頼区間(CI)を、対照群と比較してそれぞれの疾患群について算出し、それに加えてWelchのt検定を用いて2群の比較のp値も算出した(表2)。我々は、p値<0.0001を必要とし、CIの下限>4.0として、著しく上方制御されている遺伝子を選択するために厳しい基準を用いた。遺伝子は、文献(10−12)および分子データベースの検索により、IFN−α/β誘発と同定された。
群の倍率変化およびCIを、8個のDMA、11個のDMI、7個のPMA、6個のPMI、13個のIBM、5個のMG、3個の遺伝的に決定された筋障害および12個の健常血液検体を比較して算出した。さらに、対の試料の9名の患者(7名のDM、2名のPM)(18個の試料)を、遺伝子サインにおける治療に関連する変化について対で分析した。血液および筋肉の発現データを、Affymetrixプローブセットの識別に従ってマッピングされるHG−U133AおよびHG−U133Aプラス2.0マイクロアレイチップの両方に共通する13,398個の遺伝子について比較した。
定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)
我々は、定量的リアルタイムPCRを、Primerソフトウェア(Whitehead Institute、Cambridge、MA)を用いて設計され、商業的に購入された(Operon Biotechnologies,Inc.Huntsville、AL)プライマーを用いて、18個の試料(4個のDMA、5個のDMI、4個のIBMおよび5個の健常有志)に対して、2つのIFN誘導遺伝子:IFIT1およびMX1について行った。用いたプライマーは、次のとおりであった:MxA:フォワード5’−CGGCTAACGGATAAGCAGAG−3’(配列番号1)およびリバース5’−ACCTACAGCTGGCTCCTGAA−3’(配列番号2);IFIT1:フォワード5’−AAAAGCCCAC−ATTTGAGGTG−3’(配列番号3)、およびリバース5’−GAAATTCCTGAAACCGACCA−3’(配列番号4)。
我々は、定量的リアルタイムPCRを、Primerソフトウェア(Whitehead Institute、Cambridge、MA)を用いて設計され、商業的に購入された(Operon Biotechnologies,Inc.Huntsville、AL)プライマーを用いて、18個の試料(4個のDMA、5個のDMI、4個のIBMおよび5個の健常有志)に対して、2つのIFN誘導遺伝子:IFIT1およびMX1について行った。用いたプライマーは、次のとおりであった:MxA:フォワード5’−CGGCTAACGGATAAGCAGAG−3’(配列番号1)およびリバース5’−ACCTACAGCTGGCTCCTGAA−3’(配列番号2);IFIT1:フォワード5’−AAAAGCCCAC−ATTTGAGGTG−3’(配列番号3)、およびリバース5’−GAAATTCCTGAAACCGACCA−3’(配列番号4)。
RNA(1μg)を、cDNAに、オリゴ(dT)20および(Amersham Biosciences、Piscataway、New Jersey)からのReady−to−Go逆転写キットを用いて逆転写した。SYBR GreenIに基づくリアルタイムPCRを、Opticon Monitor(MJ Research,Inc、Waltham、MA)において、cDNA鋳型(RT反応の1/100)を用い、25mlの最終容量の反応中でPromega(Madison、WI)taqポリメラーゼおよび緩衝液、2mM MgCl2、400mMデオキシ−NTP(Roche)、0.5×SYBR GreenI、0.8mMの各PCRプライマー(Operon)を用いて行った。試料を、Low Profile96ウェルマイクロプレートのウェルに装填した。95℃にて5分間の最初の変性ステップの後に、サイクル条件は、40サイクルの変性(95℃にて30秒)、アニーリング(30秒)および伸長(72℃にて1分)であった。蛍光シグナルを、各伸長ステップの後の79℃で5秒間のインキュベーションの直後に測定して、プライマー二量体の検出の可能性を除去した。PCRサイクルの最後に、融解曲線を作成して、PCR産物の特異性を確認した。各運転について、ヒトGAPDHプラスミドの系列希釈を、増幅cDNAの量の定量的測定についての標準として用いた。全てのPCR反応は、3重で行った。比較CT法を用いて、増幅転写産物を定量した。増幅転写産物の平均倍率比を、DMI/DMA、DMA/正常、DMI/正常およびIBM/正常の比較で算出した。
免疫組織化学
筋肉がマイクロアレイ研究に付された15名の患者(DM、PMおよびIBMの5名ずつ)の凍結筋肉切片を、ミクソウイルス耐性Aに対する抗体(抗MxA抗体;Department of Virology、University of Freiburg、GermanyのOtto Haller博士の好意)を用いて、以前に記載されたようにして染色し(Greenbergら、Ann.Neurol.57巻(5号):664〜78頁(2005年))、転写研究との相関関係について調べた。
筋肉がマイクロアレイ研究に付された15名の患者(DM、PMおよびIBMの5名ずつ)の凍結筋肉切片を、ミクソウイルス耐性Aに対する抗体(抗MxA抗体;Department of Virology、University of Freiburg、GermanyのOtto Haller博士の好意)を用いて、以前に記載されたようにして染色し(Greenbergら、Ann.Neurol.57巻(5号):664〜78頁(2005年))、転写研究との相関関係について調べた。
結果
血液インターフェロンα/β誘導遺伝子転写産物は、活動性DMの患者からのPBMC中の全ての遺伝子のうちで最も上方制御され、活動性のPMの患者からのPBMC中ではより低い程度で上方制御される
活動性のDM(DMA)およびPM(PMA)についての転写産物発現レベルを健常対照と比較すると、インターフェロンα/βにより誘導される遺伝子が、測定したおよそ38,500個の転写産物のうちで、最も大きい倍率変化および最も高い統計学的有意性を有していた(p値<0.0001)(表2)。25個の最も高く上方制御された遺伝子のうち、少なくとも21個(84%)は、インターフェロンα/β誘導性であることが知られている。これらの遺伝子のうち、IBM、MGまたは遺伝子的に決定された筋障害の患者において著しく上方制御されたものはなかった。上方制御の大きさは、全般的にDMにおいてPMにおけるよりも高かった。定量的RT−PCRは、インターフェロン誘導遺伝子Mx1およびIFIT1が、DMA血液中で高く上方制御されたことを示し、このことは、マイクロアレイデータからの我々の知見を支持した(表3)。0.99の3重の測定間の高い相関関係で、3重の試料の平均変動係数は0.15であった。マイクロアレイデータとのRT−PCRデータの相関関係は優れていた(Mx1:R2=0.9889;IFIT1:R2=0.9978)。全体として、8名のDMA患者のうちの8名および7名のPMA患者のうち5名が、研究した全てのその他の50個の血液検体のものを超えるインターフェロンα/β誘導遺伝子の過剰発現のレベルを有した。
血液インターフェロンα/β誘導遺伝子転写産物は、活動性DMの患者からのPBMC中の全ての遺伝子のうちで最も上方制御され、活動性のPMの患者からのPBMC中ではより低い程度で上方制御される
活動性のDM(DMA)およびPM(PMA)についての転写産物発現レベルを健常対照と比較すると、インターフェロンα/βにより誘導される遺伝子が、測定したおよそ38,500個の転写産物のうちで、最も大きい倍率変化および最も高い統計学的有意性を有していた(p値<0.0001)(表2)。25個の最も高く上方制御された遺伝子のうち、少なくとも21個(84%)は、インターフェロンα/β誘導性であることが知られている。これらの遺伝子のうち、IBM、MGまたは遺伝子的に決定された筋障害の患者において著しく上方制御されたものはなかった。上方制御の大きさは、全般的にDMにおいてPMにおけるよりも高かった。定量的RT−PCRは、インターフェロン誘導遺伝子Mx1およびIFIT1が、DMA血液中で高く上方制御されたことを示し、このことは、マイクロアレイデータからの我々の知見を支持した(表3)。0.99の3重の測定間の高い相関関係で、3重の試料の平均変動係数は0.15であった。マイクロアレイデータとのRT−PCRデータの相関関係は優れていた(Mx1:R2=0.9889;IFIT1:R2=0.9978)。全体として、8名のDMA患者のうちの8名および7名のPMA患者のうち5名が、研究した全てのその他の50個の血液検体のものを超えるインターフェロンα/β誘導遺伝子の過剰発現のレベルを有した。
インターフェロンα/β誘導遺伝子は、DMおよびPMにおける臨床的改善とともに下方制御される
我々は、8個のDMA試料の転写産物プロファイルを11個のDMIのものと、そして別個に、7個のPMA試料を6個のPMIと比較した。疾患の改善とともに最も高く下方制御された遺伝子は、主にインターフェロンα/β誘導性である(表2、右の列)。定量的RT−PCRは、同様に、DM患者における改善を確認した(表3)。2つの異なる時点にて活動性および改善中の疾患を有するDM(N=6)またはPM(N=2)の同じ患者からの対の試料において、1型インターフェロン誘導遺伝子は、再び、全ての遺伝子のうちで最も下方制御された。不応性DMである1名の患者について、対の検体において、多くの1型インターフェロン誘導遺伝子について全体的な変化はほとんど観察されなかった。
我々は、8個のDMA試料の転写産物プロファイルを11個のDMIのものと、そして別個に、7個のPMA試料を6個のPMIと比較した。疾患の改善とともに最も高く下方制御された遺伝子は、主にインターフェロンα/β誘導性である(表2、右の列)。定量的RT−PCRは、同様に、DM患者における改善を確認した(表3)。2つの異なる時点にて活動性および改善中の疾患を有するDM(N=6)またはPM(N=2)の同じ患者からの対の試料において、1型インターフェロン誘導遺伝子は、再び、全ての遺伝子のうちで最も下方制御された。不応性DMである1名の患者について、対の検体において、多くの1型インターフェロン誘導遺伝子について全体的な変化はほとんど観察されなかった。
インターフェロンα/β誘導遺伝子の上方制御は、DMにおいて血液中よりも筋肉においてより大きいが、PMまたはIBMではそうではない
15名の患者(DM、PMおよびIBMの5名ずつ)について、我々は、U133A(筋肉プロファイリングのために用いられる)およびU133プラス2.0(血液プロファイリングのために用いられる)マイクロアレイの両方で共有される13,398個の遺伝子を用いて、血液遺伝子発現プロファイルを筋肉遺伝子発現と比較した。DM筋肉において、血液中で高く上方制御されていることを我々が見出したのと同じインターフェロンα/β誘導遺伝子の発現が著しく上方制御される。これとは対照的に、PMおよびIBMの筋肉において、インターフェロンα/β誘導遺伝子転写は、穏やかに増加しただけであった。これは、それら自体がMxAのようなインターフェロンα/β誘導遺伝子を発現する浸潤性免疫系細胞に起因するかもしれない。DMにおいて特に興味深いことに、血液と比較して筋肉において特定のインターフェロン誘導遺伝子が著しく過剰発現する。例えば、ISG15のDM筋肉発現は、正常の筋肉のおよそ570倍で、DM血液よりも約100倍高い。
15名の患者(DM、PMおよびIBMの5名ずつ)について、我々は、U133A(筋肉プロファイリングのために用いられる)およびU133プラス2.0(血液プロファイリングのために用いられる)マイクロアレイの両方で共有される13,398個の遺伝子を用いて、血液遺伝子発現プロファイルを筋肉遺伝子発現と比較した。DM筋肉において、血液中で高く上方制御されていることを我々が見出したのと同じインターフェロンα/β誘導遺伝子の発現が著しく上方制御される。これとは対照的に、PMおよびIBMの筋肉において、インターフェロンα/β誘導遺伝子転写は、穏やかに増加しただけであった。これは、それら自体がMxAのようなインターフェロンα/β誘導遺伝子を発現する浸潤性免疫系細胞に起因するかもしれない。DMにおいて特に興味深いことに、血液と比較して筋肉において特定のインターフェロン誘導遺伝子が著しく過剰発現する。例えば、ISG15のDM筋肉発現は、正常の筋肉のおよそ570倍で、DM血液よりも約100倍高い。
インターフェロンα/β誘導MxAタンパク質の上方制御は、組織病変と相関関係がある
以前に報告されたように、1つのインターフェロンα/β誘導遺伝子タンパク質MxAの過剰発現が、DMの筋肉に存在する(Greenbergら、Ann.Neurol.57巻(5号):664〜78頁(2005年))。今回の研究において、MxA転写産物レベルは、DMA血液(6.2倍)およびPMA血液(6.0倍)において同様に上昇したが、PM筋肉(2.5倍)と比較してDM筋肉(281倍)において、マイクロアレイ研究により、著しくより高かった。DM筋肉中のMxA転写産物の著しい富化は、DMおよびPMからの筋肉切片の比較における免疫組織化学によるMxAタンパク質の著しい富化を同様に伴う。5名のDM患者のうち4名において、MxA染色が、多くの筋繊維、特に筋束周辺の筋繊維に強く存在したが、PMの5名全ての患者およびIBMの5名において、MxA染色は、浸潤性免疫系細胞に限定されていた。MxA染色は、正常筋肉生検に存在しない。
以前に報告されたように、1つのインターフェロンα/β誘導遺伝子タンパク質MxAの過剰発現が、DMの筋肉に存在する(Greenbergら、Ann.Neurol.57巻(5号):664〜78頁(2005年))。今回の研究において、MxA転写産物レベルは、DMA血液(6.2倍)およびPMA血液(6.0倍)において同様に上昇したが、PM筋肉(2.5倍)と比較してDM筋肉(281倍)において、マイクロアレイ研究により、著しくより高かった。DM筋肉中のMxA転写産物の著しい富化は、DMおよびPMからの筋肉切片の比較における免疫組織化学によるMxAタンパク質の著しい富化を同様に伴う。5名のDM患者のうち4名において、MxA染色が、多くの筋繊維、特に筋束周辺の筋繊維に強く存在したが、PMの5名全ての患者およびIBMの5名において、MxA染色は、浸潤性免疫系細胞に限定されていた。MxA染色は、正常筋肉生検に存在しない。
考察
我々の発見は、IBMの患者ではそうではないが、DMおよびPMの患者のほとんどにおいて、インターフェロンα/β誘導遺伝子の著しい過剰発現を特徴とする独特の血液遺伝子発現プロファイルがあることを示唆する。免疫抑制治療の間の臨床的な改善は、一般的に、これらの遺伝子の過剰発現の正常レベルに向けての低減を伴う。筋肉における遺伝子発現に関連するこれらの発見は、病原の仮説および診断用の使用の可能性がある血液バイオマーカーのための意味を有する。
我々の発見は、IBMの患者ではそうではないが、DMおよびPMの患者のほとんどにおいて、インターフェロンα/β誘導遺伝子の著しい過剰発現を特徴とする独特の血液遺伝子発現プロファイルがあることを示唆する。免疫抑制治療の間の臨床的な改善は、一般的に、これらの遺伝子の過剰発現の正常レベルに向けての低減を伴う。筋肉における遺伝子発現に関連するこれらの発見は、病原の仮説および診断用の使用の可能性がある血液バイオマーカーのための意味を有する。
皮膚筋炎について、血液中のインターフェロンα/β遺伝子サインは、筋肉でのマイクロアレイ研究での発見と高く相関関係があり、この疾患がインターフェロンα/βの全身および筋肉内での過剰産生により駆動され得るとの仮説を支持する。同様の血液遺伝子転写サインが、全身性エリテマトーデス(SLE)で報告されている(Baechlerら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA100巻(5号):2610〜5頁(2003年);Bennettら、J.Exp.Med.197巻(6号):711〜23頁(2003年);Hanら、Genes Immun.4巻(3号):177〜86頁(2003年))。これらの遺伝子の少なくとも1つ(MxA)についてのタンパク質レベルでの過剰発現が、DMの筋肉毛細血管および筋束周辺の筋繊維ならびにDMの皮膚に存在する(Wenzelら、Br.J.Dermatol.153巻(2号):462〜3頁および463〜4頁(2005年);Wenzelら、Clin.Exp.Dermatol.31巻(4号):576〜82頁(2006年))。さらに、天然のIFN−α生成細胞である形質細胞様樹状細胞(pDC)は、DMの筋肉(Greenbergら、Ann.Neurol.57巻(5号):664〜78頁(2005年))および皮膚(Wenzelら、Clin.Exp.Dermatol.31巻(4号):576〜82頁(2006年))において豊富である。血液中のMxA転写産物レベルの上方制御は、若年性DMにおいて観察され、疾患活動性と関連しているかもしれない(O’Connorら、Clin.Immunol.120巻(3号):319〜25頁(2006年))。
血液プロファイルは、DMおよびPMの両方においてインターフェロンα/β誘導遺伝子の同様の過剰発現レベルを示したが、筋肉では、これらの遺伝子のいくつかは、DMにおいてのみより高いオーダーで発現される。このことの1つの説明は、自然免疫系の全身での活性化が両方の疾患において存在するが、DM筋肉はPM筋肉よりも1型インターフェロンにより大量に曝露されているということであり得る。この仮説は、IBMおよびPMでみられるよりも(Greenbergら、Muscle Nerve35巻(1号):17〜23頁(2007年))ずっと多数の、DM筋肉に浸潤するインターフェロンα/β分泌形質細胞様樹状細胞の以前の発見により支持される(Greenbergら、Ann.Neurol.57巻(5号):664〜78頁(2005年))。さらに、PMではインターフェロンα/β誘導タンパク質MxAの発現は、浸潤する炎症性細胞に限定されるが、DMではMxAタンパク質は筋繊維内に存在する。
このように特定のインターフェロンα/β誘導遺伝子の筋肉における富化は、DMにおける組織損傷の性質に対する重要な手がかりであるようである。よって、DM筋肉におけるISG15転写産物の著しい富化は、DM血液および筋肉において上方制御される種々のインターフェロンα/β誘導タンパク質のうち、ユビキチン様修飾因子であるこの特定の分子が、DMにおける組織損傷の直接的な機構に大きく関連するかもしれないことを示唆する。
PM血液と比較してIBM血液では高く上方制御されたインターフェロンα/β遺伝子が明らかに欠如していることは、これらの2つの疾患において筋肉で以前に観察された免疫異常の他の点では同様の性質と対照的である。これらの発見は、PMにおけるIBMとは異なる自然免疫系の活性化の大きさを示唆する。この仮説のさらなる研究は、多数の患者で取り組むのが最もよいであろう。さらに、多くの患者について、IBMの診断は遅れ、グルココルチコイド耐性PMの先の診断の後にのみ認識される(Amatoら、Ann.Neurol.40巻(4号):581〜6頁(1996年))。IBMおよびPMにおけるインターフェロンα/β誘導遺伝子血液バイオマーカーのさらなる特徴付けは、IBMの将来の早期診断およびこのような患者へのグルココルチコイド治療の回避の可能性を示唆する。
我々の発見は、DMおよびPMの患者の補足的な管理に対する疾患活動性の血液バイオマーカーの有用性も示唆する。この研究において、我々は、活動性の治療応答性筋炎の複数の血液バイオマーカーを同定した。現在のところ、DMまたはPMにおける疾患活動性を評価するためのより特異的な試験が必要とされている。血清クレアチンキナーゼ(CK)のレベルは、PMにおける疾患活動性を一般的に反映するが、活動性DMの患者においては正常であるかもしれない。MITAXが、疾患の活動性の臨床的指標として提案されている。我々は、我々のDM患者についてMITAXスコアを算出し、これは疾患活動性の我々独自の評価とよく相関した。しかし、MITAXは疾患活動性評価についての良好なツールであることが示されているが、筋肉の関与についての評価者間のクラス内の相関関係が低く、より客観的な指標が必要とされることが強調された(Isenbergら、Rheumatology (Oxford)43巻(1号):49〜54頁(2004年))。特定のインターフェロンα/β誘導遺伝子の発現を疾患活動性と関連付ける、客観的で安価なPCRに基づく血液試験は、DMおよびPMの臨床的な管理を補足できるだろう。結局、このような試験は、臨床試験における治療応答性についての代用マーカーを提供できるかもしれない。
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