JP7411438B2 - 紐結び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークに対して蝶結びを自動で施すことが可能な紐結び装置に関する。本明細書における蝶結びとは、特段の断りがない限り横結び(本結び)のことを言うものとする。
従来、商品を包装するためだけではなく、装飾により商品の価値を高めるため、あるいは、顧客の満足度を高めるために、包装した商品に蝶結びで紐結びを行うことが行われている。しかしながら、多量の商品に対して人手で蝶結びを行う場合、紐の締結作業を繰り返し行うことにより作業者の手が擦れて荒れてしまうという問題や、蝶結びに時間がかかるため多量の商品に蝶結びを行うことができないという問題が存在するため、蝶結びを自動で行うことができる紐結びロボットや紐掛け結び装置が開発されている(たとえば特許文献1,2参照)。
実用新案登録番号第2517681号公報 特開平05-085506号公報
しかしながら、特許文献1では、複雑な動作が必要な蝶結びを行うために特殊なクランプが多数(6個)必要となるという問題があった。また、特許文献2でも、蝶結びを行うために専用のフィンガー部を作製する必要があり、市販の装置を用いて蝶結びを行うことができないという問題があった。
一方、近年、産業ロボットの進化により、多彩な動作が可能なロボットアームが広く市販されている。しかしながら、ロボットアームを用いた蝶結びの紐結び装置は存在せず、どのようにロボットアームを用いることで蝶結びを行うことができるかの知見もなかった。そのような状況において、ロボットアームを用いてワークに蝶結びを行うため鋭意研究を行ったところ、人手で行う一般的な蝶結びをロボットアームにさせた場合では、ロボットハンドの大きさが蝶結びの輪の大きさに影響を与えてしまい、ロボットハンドを小さく複雑にする必要があることがわかった。しかしながら、ロボットハンドを小さく複雑にした場合、強度不足の問題や紐の受渡動作が不安定となるという問題が生じてしまう。
本発明は、このような問題を解決するものであり、人手で行う一般的な蝶結びの方法ではなく、ロボットアームの構造および動作に適した蝶結び方法により、ワークに対して蝶結びを適切に施すことが可能な紐結び装置を提供することを目的とする。
発明者は、鋭意研究の結果、ロボットアームにより蝶結びを行う場合において、ワークに紐掛けを行った後に、第1の輪、第2の輪および結び目を有する蝶結びを行う場合に、(1)蝶結び完成時に結び目となる暫定輪の内側から、第2の輪となる紐部を引き出すことで蝶結びが行えること、(2)暫定輪の内側から第2の輪となる紐部を引き出す際に、紐体をリールにより巻き戻すことで結び目や第2の輪の大きさを調整することができることを見出し、本願発明を完成させた。
本発明に係る紐結び装置は、ワークに対して、紐掛けを行った後に、第1の輪、第2の輪および結び目を有する蝶結びを自動で施す紐結び装置であって、第1ロボットアームと、第2ロボットアームと、紐体が巻回されており、回転することで巻回された紐体の引き出し、および、巻き取りが可能なリールと、前記リールから引き出された紐体の端部を把持可能なクランプと、前記第1ロボットアーム、前記第2ロボットアーム、前記リールおよび前記クランプの動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記リールから引き出した紐体を前記第1ロボットアームに把持させ、前記第1ロボットアームのハンド部で把持した紐体を前記第2ロボットアームのハンド部の周りを周回させることで、前記第1の輪および暫定輪を形成する動作、および前記クランプで前記紐体の端部を把持し、前記第1ロボットアームで前記第1の輪を把持した状態で、前記第2ロボットアームのハンド部により、前記第2の輪となる紐体の紐部を前記暫定輪の内側を通して引き出し、前記第2の輪を形成することで、前記ワークに対して蝶結びを施す動作を制御する
上記紐結び装置において、前記制御部は、前記第1ロボットアームおよび前記第2ロボットアームにより、前記第2ロボットアームのハンド部に紐体を巻き付けることで前記暫定輪を形成し、前記ハンド部に紐体が巻き付いた状態で前記ハンド部に前記第2の輪となる紐部を掴み引き上げさせことで、前記第2の輪となる紐部を前記暫定輪の内側を通過して引き出させるように構成することができる。
上記紐結び装置において、前記第2ロボットアームのハンド部は手首が回転可能であり、前記制御部は、前記第2ロボットアームの手首を回転させることで、前記ハンド部に巻き付いている前記暫定輪を緩めることができ、前記第2の輪となる紐部が前記暫定輪の内側を通過することを容易とすることができるように構成することができる。
上記紐結び装置において、前記第2の輪となる紐部が前記暫定輪の内側を通して引き出されることで、前記引き出された紐部が前記第2の輪を形成し、前記暫定輪が前記結び目を形成するように構成することができる。
上記紐結び装置において、前記制御部は、前記第2ロボットアームに前記リール側の紐部を用いて前記暫定輪を形成させ、前記第2の輪となる紐部を前記暫定輪の内側を通して引き出す際または後に、前記リールに紐体を巻き取るように回転させることで、蝶結び完成時における前記第1の輪および前記第2の輪の大きさを調整するように構成することができる。
上記紐結び装置において、前記第2ロボットアームのハンド部は、側面に隙間を有し、水平方向に駆動することで、紐を前記側面の隙間に差し込み、把持することが可能であるように構成することができる。
本発明によれば、ロボットアームを用いてワークに対して蝶結びを適切に施すことができる。
本実施形態に係る紐結び装置の平面図である。 本実施形態に係る紐結び装置の斜視図である。 本実施形態に係る紐結び装置の構成図である。 本実施形態に係る第1スライド部の拡大斜視図である。 本実施形態に係る第2スライド部の拡大斜視図である。 本実施形態に係る台座部およびクランプ部の拡大斜視図である。 本実施形態に係る第1ロボットアームの拡大斜視図である。 本実施形態に係る第2ロボットアームの拡大斜視図である。 本実施形態に係る蝶結び動作を説明するための図である(その1)。 本実施形態に係る蝶結び動作を説明するための図である(その2)。 本実施形態に係る蝶結び動作を説明するための図である(その3)。 本実施形態に係る蝶結び動作を説明するための図である(その4)。 本実施形態に係る蝶結び動作を説明するための図である(その5)。 本実施形態に係る蝶結び動作を説明するための図である(その6)。 本実施形態に係る蝶結び動作を説明するための図である(その7)。 本実施形態に係る蝶結び動作を説明するための図である(その8)。 本実施形態に係る蝶結び動作により蝶結びが施されたワークを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る紐結び装置1の平面図であり、図2は、本実施形態に係る紐結び装置2の斜視図である。また、図3は、本実施形態に係る紐結び装置1の構成を示す構成図である。本実施形態に係る紐結び装置1は、紐結びの対象となるワーク(対象物)Wに蝶結びを自動で施す装置であり、ワークWに対して十字掛けを行った後に、図17に示すように、第1の輪CF1、第2の輪CF2、および結び目BFからなる蝶結びを施す。なお、以下においては、ワークWとして直方体の箱を例示して説明するが、ワークWは直方体に限定されるものではなく、立方体はもちろんのこと、円柱体などにも適用することができる。また、本実施形態では、十字掛けを行った後に蝶結びを行う構成を例示するが、この構成に限定されず、たとえば一文字掛けなどの紐かけを行った後に蝶結びを行う構成を例示する。
図1~3に示すように、本実施形態に係る紐結び装置1は、制御部10と、第1スライド部20と、第2スライド部30と、台座部40と、クランプ部50と、第1ロボットアーム60と、第2ロボットアーム70と、操作部80とを有する。
制御部10は、記憶部および処理部を有し、記憶部に、本実施形態に係る紐結び処理を実行するためのプログラムを記憶している。制御部10は、自動で、または、操作部80からの指示に基づいて、記憶部に記憶したプログラムを処理部で実行することで、本実施形態に係る紐結び処理において、第1スライド部20、第2スライド部30、台座部40、クランプ部50、第1ロボットアーム60、および第2ロボットアーム70の動作を制御する。
図4は、本実施形態に係る第1スライド部20の拡大斜視図である。図4に示すように、第1スライド部20は、リボンを引き出し可能なリール21と、リール21をX軸方向に駆動するX軸駆動部22と、リール21をZ軸方向に駆動するZ軸駆動部23とを有する。このように、第1スライド部20は、X軸方向およびZ軸方向に自在にリール21を移動させることができるため、たとえば、リール21が駆動するXZ平面上にワークWを配置し(クランプ部50でワークWを保持し)、リボンの端部を第2スライド部30に把持させた状態(後述する図9に示す状態)から、リール21を駆動させてワークWの周囲を周回させることで、ワークWにリボンを巻き付けることができる。また、本実施形態においては、リール21を回転させるモーター26を有し、制御部10は、モーター26の回転を制御することで、リボンが巻回されたリール21のリボンの引き出し、および、巻き戻し動作を制御することができる。
また、第1スライド部20は、図4に示すように、リボンを把持可能な把持部24およびリボンを切断するための切断部25を有している。把持部24によりリボンの端部を把持した状態で、第2スライド部30の位置までX軸負方向に駆動することで、把持部24で把持したリボンを第2スライド部30の把持部31に受け渡すことができる。また、蝶結びが完了した後は、リボンを把持部24で把持した状態のまま切断部25で切断することで、リボンの端部を把持部24が把持する状態に戻すことができる。また、第1スライド部20は、ガイドベース27を有している。ガイドベース27は、ワークWにリボンを紐掛けする際に、ワークWを下方向(Z軸負方向)に引き込む力を受けるとともに、ワークWがY軸方向にずれないようにガイドする機能を有する。また、ガイドベース27は、リール21とは独立にY軸方向に駆動可能となっており、旋回部53によりワークWの向きが90°回転した場合でも(ワークWのY軸方向における長さが変わる場合でも)、ワークWのY軸方向へのずれを抑制することができる。
図5(A)は、本実施形態に係る第2スライド部30の拡大斜視図である。図5(A)に示すように、第2スライド部30は、リボンを把持する把持部31と、把持部31をY軸方向に駆動させるY軸駆動部32と、把持部31をZ軸方向に駆動させるZ軸駆動部33とを有する。把持部31は、図5(B)に示すように、2つの爪部311,312を有し、当該爪部311,312の距離を調整することで、爪部311,312でリボンを把持し、また、把持しているリボンを開放することが可能となっている。また、本実施形態において、把持部31は、Y軸駆動部32によりY軸方向に移動することができ、Z軸駆動部33によりZ軸方向に移動することができる。これにより、リール21に巻くリボンのY軸方向における位置を調整することや、把持部31からリボンを受け取ることが可能となる。
台座部40は、クランプ部50の支持台52とともに、紐掛け前においてワークWを載置するための台座となる。ここで、図6(A)は、本実施形態に係る台座部40およびクランプ部50を示す拡大斜視図であり、図6(B)は、本実施形態に係るクランプ55の拡大斜視図である。台座部40は、図6(A)に示すように、台座41とシリンダ42とを有し、シリンダ42を伸縮させることで台座41が昇降可能となっている。具体的には、台座部40は、少なくとも台座41をクランプ部50の支持台52と同じ高さ位置まで上昇させることができるとともに、支持台52と台座41との高さ方向における距離が第1スライド部20のリール21の高さよりも大きくなる位置まで、台座41を下降させることができる(図6(A)のZ1方向に駆動することができる)。これにより、台座部40は、紐掛け処理が開始される前は、台座41を支持台52と同じ高さ位置まで上昇させることで、台座41と支持台52とでワークWを支持することができ、紐掛け処理が開始すると、支持台52から台座41までの高さ方向における距離がリール21の高さ以上となる位置まで台座41を下降させることで、リール21に台座41と支持台52との間を通過させることができ、ワークWの下側にリボンを通すことが可能となる。
また、クランプ部50は、図6(A)に示すように、押さえ部51、支持台52、旋回部53、第1駆動部54、クランプ55、および第2駆動部56を有する。支持台52は、上述したように、ワークWを支持するための台である。ワークWは、紐結び処理の始めに支持台52と台座部40の台座41との上に置かれるが、ワークWの下面全体が支持台52と台座41の上に載っていると、ワークWの下側にリボンを巻き付けることができない。そのため、本実施形態では、ワークW下側へのリボンの巻き付けを邪魔しないように、台座41が下降してリボンの巻き付けから回避するとともに、支持台52が山型に形成されており、支持台52で支持していないワークWの下面に対してリボンの巻き付けが行われる。
また、支持台52はワークWの一部を支持するだけであるため、支持台52だけではワークWをしっかりと保持できない場合がある。そのため、本実施形態では、押さえ部51をZ軸方向に駆動する第2駆動部56を備え、第2駆動部56により押さえ部51を下降させて、支持台52と押さえ部51とでワークWを安定して保持することが可能となっている。さらに、本実施形態では、第1駆動部54によりクランプ55が進退可能となっている。クランプ55は、図6(B)に示すように、先端回動部551を有しており、先端回動部551が軸552を中心に回転することで、先端回動部551によりリボンを掴むことが可能となっている(後述する図11参照)。また、ワークWの高さに応じて押さえ部51の高さ位置を調整し、また、ワークWの平面面積に応じて押さえ部51と支持台52とでワークWを挟む位置を調整することで、本実施形態に係る紐結び装置1では、種々のサイズのワークWに対応することができる。
さらに、クランプ部50は、旋回部53を有し、押さえ部51、支持台52、第1駆動部54、クランプ55、および第2駆動部56を同時に旋回させることができる。特に、押さえ部51と支持台52とでワークWを保持した状態で旋回することで、たとえば図9および図10に示すように、ワークWの向きを変えることが可能となっている。
図7(A)は、本実施形態に係る第1ロボットアーム60の拡大斜視図であり、図7(B)は第1ロボットアーム60の第1ハンド部62の拡大斜視図である。図7(A)に示すように、第1ロボットアーム60は、第1アーム部61と、第1ハンド部62とを有する。第1アーム部61の制御軸は、特に限定されないが、たとえば5軸または6軸とすることができる。また、図7(B)に示すように、第1ハンド部62は、第1爪部621と、第2爪部622とを有する。第1爪部621は第2爪部622との距離が調整可能となっており、第1爪部621を第2爪部622側に向けて駆動することで、または、第1爪部621を第2爪部622から離れるように駆動することで、第1ハンド部62でリボンを保持および開放することができる。
また、図8(A)は、本実施形態に係る第2ロボットアーム70の拡大斜視図であり、図8(B)は第2ロボットアーム70の第2ハンド部72の拡大斜視図である。図8(A)に示すように、第2ロボットアーム70は、第2アーム部71と、第2ハンド部72とを有する。第2アーム部71の制御軸も、特に限定されないが、たとえば5軸または6軸とすることができる。ままた、図8(B)に示すように、第2ハンド部72は、第1爪部721と、第2爪部722とを有する。第2ハンド部72において、第1爪部721と第2爪部722との間(第2ハンド部72の側面)には隙間Gがあるが、第1爪部721は第2爪部722側に向けて駆動可能とっており、第1爪部721と第2爪部722との間の隙間Gにリボンを差し込んだ状態で、第1爪部721を第2爪部722側に向けて駆動させることで、第2ハンド部72でもリボンを保持および開放することが可能となっている。また、第2ハンド部72は、図8(B)に示すように、第2ハンド部72を手首部分で回転させるための回転部723を有する。
操作部80は、ユーザによる指示を入力するための装置であり、紐結び装置1による紐結び処理を開始または停止するためのボタンなどが配置されている。操作部80により入力されたユーザの指示は、制御部10へと送信され、制御部10により、各装置の動作が制御される。
次に、図9~図16に基づいて、本実施形態に係る紐結び装置1の蝶結び動作について説明する。なお、本実施形態に係る蝶結び動作は、図6(A)に示すように、台座部40の台座41がクランプ部50の支持台52と同じ高さ位置まで上昇しており、台座41と支持台52との上にワークWが配置された状態から開始される。なお、以下に説明する紐結び装置1の動作は、制御部10により制御される。
<十字結びの実施>
まず、クランプ部50の第2駆動部56により、押さえ部51がZ軸方向に下降し、ワークWを上から押さえ付ける。これにより、クランプ部50は、支持台52と押さえ部51とでワークWを安定して保持することができる。次いで、クランプ部50の第1駆動部54により、図9に示すように、クランプ55が進出する(図9に示す例では、クランプ55が第1スライド部20に向けて突出する。)。また、台座部40のシリンダ42が収縮し台座41が下降し、図9に示すように、台座41と支持台52との間にリール21が通過可能なスペースが確保される。
次に、第1スライド部20がX軸負方向(図9に示すX1方向)に駆動し、第1スライド部20の把持部24で把持したリボンの端部R1を、第2スライド部30の把持部31に受け渡し、把持部31によりリボンが把持される。その後、第1スライド部20がX軸正方向に駆動することで、図9に示すにように、リボンがワークWの上部に延在した状態となる。
図9に示す状態から、リール21がリボンを引き出しながらX軸負方向(図9のX1方向)に駆動し、ワークWの下側(ワークWと台座41との間)を通過する。これにより、ワークWの下側にリボンが巻かれる。さらに、リール21は、図9に示すワークWの左側の位置においてZ軸正方向(図9のZ2方向)に駆動し、ワークWの上側まで上昇した後、X軸正方向に駆動する。このように、リール21がXZ平面上においてワークWの周囲を周回することで、リボンをワークWに巻き付けることができる。なお、この際、第2スライド部30のY軸駆動部32は、把持部31をリボン幅分だけY軸負方向に駆動させることで、ワークWの下側を周回したリボンが、把持部31で把持するリボンよりもリボン幅分だけY軸正方向側(図9の奥側)となるようにする。
そして、図10に示すように、クランプ部50が旋回部53により旋回し、ワークWを反時計回りに約90°回転させる。なお、リボンをワークWに巻き付ける際に、第2スライド部30のY軸駆動部32は把持部31をリボン幅分だけY軸負方向に駆動させたことで、ワークWの下側を周回したリボンが、把持部31で把持するリボンよりもY軸正方向側となっている。そのため、ワークWを反時計回りに約90°回転させることで、図10に示すように、ワークWに巻かれているリボンを交差することができる。また、図10に示すように、リボンを交差させた際に、クランプ部50のクランプ55は、ワークWとリボンとの間に挿入された状態となる。その後、リール21がZ軸負方向(図10のZ2方向)に駆動し、次いで、X軸負方向に駆動してワークWの下側(ワークWと台座41との間)を通過し、図10に示すワークW左側の位置においてワークWの上側まで上昇した後に、ワークWの上側をX軸正方向に駆動することで、図10に示すように、ワークWにリボンを十字掛けすることができる。また、リボンの十字掛けが完了したタイミングで、制御部10は、クランプ55の先端回動部551を回転して直立させる。
<蝶結びの実施>
さらに、本実施形態では、クランプ部50をさらに反時計回りに約45°回転させて、ワークWを斜めに配置し、図11に示す状態とする。そして、クランプ55の先端回動部551を回転して倒すとともに、把持部31において把持するリボンの端部RT1を開放することで、クランプ55がリボンの端部RT1を挟み保持する。そして、クランプ55がリボンの端部RT1を挟んだ状態で、クランプ55を後退させることでリボンの端部RT1が十字結びの交差部CR1よりもクランプ部50側へと引き出される。
次に、クランプ部50が時計回りに約180°回転し、図12に示す位置まで駆動する。次いで、第1ロボットアーム60と第2ロボットアーム70とが動作し、図12に示すように、第1ロボットアーム60の第1ハンド部62が、リール21側のリボンの端部RT2を把持する。また、第2ロボットアーム70の第2ハンド部72は、リボンの端部RT2を下側から上側に向けて支持する。
その後、第1ロボットアーム60は、図13に示すように、第2ハンド部72の周りをリボンが周回するように、リボンの端部RT2を第2ハンド部72の下側まで引き出す。これにより、第2ハンド部72の周りを周回するように暫定輪TCが形成される。次いで、図14に示すように、第2ハンド部72の爪部721,722が下方向(図14のZ3方向)を向くように、第2ロボットアーム70の第2アーム部71が駆動する。この動作により、第1ロボットアーム60の第1ハンド部62が把持するリボンの端部RT2は、蝶結びにおける第1の輪CF1として形成される。また、第1の輪CF1と、第2ハンド部72の周囲に巻き付けられている暫定輪TCとが交差して、蝶結びにおいて結び目BFとなる交差部CR2が形成される。
次に、第2ロボットアーム70の第2ハンド部72は、Z軸負方向(図14のZ3方向)に駆動しながら、第2ハンド部72の回転部723を回転させて、第2ハンド部72に巻き付けているリボンを緩める。そして、第2ロボットアーム70は、第2ハンド部72の第1爪部721と第2爪部722との間の隙間Gにリボンの端部R1を差し込むように動作する。第2ハンド部72の第1爪部721と第2爪部722との間の隙間Gにリボンの端部R1が差し込まれると、第2ロボットアーム70は、第1爪部721を第2爪部722に向けて駆動させて、リボンの端部RT1を把持する。
この状態で、第2ロボットアーム70は、図15に示すように、第2ハンド部72をZ軸正方向に駆動し、第2ハンド部72を周り巻き付いている暫定輪TCの内側からリボンの端部RT1を引き出す。また、第1の輪CF1を把持する第1ハンド部62と、リボンの端部RT1を把持する第2ハンド部72とが互いに離れるように駆動することで、図16に示すように、リボンの端部TR1が蝶結びの第2の輪CF2を形成し、暫定輪TCが蝶結びの結び目BFを形成する。そして、最後に、第1スライド部20の切断部25により、リボンの端部TR2が切断される。
特に、本実施形態では、暫定輪TCの内側からリボンの端部RT1を引き出す際や、暫定輪TCの内側からリボンの端部RT1を引き出した後に、モーター26を制御してリール21がリボンの端部RT2を巻き取るように動作させることで(図16のX2方向にリボンの端部RT2を引くように動作させることで)、リボンのテンションを高くし、第1の輪CF1および第2の輪CF2の大きさを調整することができる。すなわち、リール21の動作を制御しないままリボンを蝶結びした場合、第1の輪CF1および第2の輪CF2の大きさは、第1ロボットアーム60の第1ハンド部62および第2ロボットアーム70の第2ハンド部72の大きさに依存し大きくなってしまうという問題があった。これに対して、本実施形態では、モーター26を制御してリール21がリボンの端部RT2を巻き取るように動作させることで、第1の輪CF1および第2の輪CF2の大きさを自在に調整することが可能となった。
このように、本実施形態に係る紐結び装置1は、第1の輪CF1、第2の輪CF2および結び目CFを有する蝶結びをワークWに自動で施す場合に、図13に示すように、第1ロボットアーム60に第1の輪CFを形成させるとともに、第1ロボットアーム60および第2ロボットアーム70により、第2ロボットアーム70の第2ハンド部72の周りにリボンを巻き付けることで暫定輪TCを形成させ、図14に示すように、第2ロボットアーム70の第2ハンド部72を暫定輪TCの内側に通した状態で、第2の輪CF2となる紐部RT1を暫定輪TCの内側を通して引き出すことで、紐部RT1から第2の輪CF2を形成し、暫定輪TCから結び目BFを形成し、ワークWに蝶結びを適切に施すことができる。
また、本実施形態では、第2ロボットアーム70のハンド部72は手首を回転可能となっており、手首を回転させてハンド部72に巻き付いているリボンを緩めることで、第2の輪CF2となるリボンの端部R2を暫定輪TCの内側を通過させることを容易とすることができる。さらに、本実施形態では、第2ロボットアーム70の第2ハンド部72は、側面に隙間Gを有する構成を有するため、図15に示すように水平方向に駆動することで、リボンを側面の隙間Gに差し込み把持することが可能であり、そのため、暫定輪TCの内側からリボンの端部TR1を引き出す作業を正確に行うことが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
たとえば、上述した実施形態では、台座部40の台座41とクランプ部50の支持台52との上にワークWが配置された状態から蝶結び動作を開始する構成を例示したが、台座41と支持台52との上にワークを人手により配置する構成とすることもできるが、別途、ワークWを搬送する搬送装置と組み合わせることで、自動でワークWを配置する構成とすることが好ましい。
また、上述した実施形態では、ロボットアームを用いることで、ロボットアームの配置を適宜変更することも可能である。特に、ロボットアームは制御軸を多数有するため、空間の制限を受けにくく、クランプだけで構成した場合と比べて配置変更が容易である。また、ロボットアームの配置を変更することで、横結び(本結び)だけではなく、縦も結びを行うことも可能となる。
1…紐結び装置
10…制御部
20…第1スライド部
21…リール
22…X軸駆動部
23…Z軸駆動部
24…把持部
25…切断部
26…モーター
27…ガイドベース
30…第2スライド部
31…把持部
311…第1爪部
312…第2爪部
32…Y軸駆動部
33…Z軸駆動部
40…台座部
41…台座
42…シリンダ
50…クランプ部
51…押さえ部
52…支持台
53…旋回部
54…第1駆動部
55…クランプ
551…先端回動部
552…軸
56…第2駆動部
60…第1ロボットアーム
61…第1アーム部
62…第1ハンド部
621…第1爪部
622…第2爪部
70…第2ロボットアーム
71…第2アーム部
72…第2ハンド部
721…第1爪部
722…第2爪部
80…操作部
W…ワーク

Claims (6)

  1. ワークに対して、紐掛けを行った後に、第1の輪、第2の輪および結び目を有する蝶結びを自動で施す紐結び装置であって、
    第1ロボットアームと、
    第2ロボットアームと、
    紐体が巻回されており、回転することで巻回された紐体の引き出し、および、巻き取りが可能なリールと、
    前記リールから引き出された紐体の端部を把持可能なクランプと、
    前記第1ロボットアーム、前記第2ロボットアーム、前記リールおよび前記クランプの動作を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、
    前記リールから引き出した紐体を前記第1ロボットアームに把持させ、前記第1ロボットアームのハンド部で把持した紐体を前記第2ロボットアームのハンド部の周りを周回させることで、前記第1の輪および暫定輪を形成する動作、および
    前記クランプで前記紐体の端部を把持し、前記第1ロボットアームで前記第1の輪を把持した状態で、前記第2ロボットアームのハンド部により、前記第2の輪となる紐体の紐部を前記暫定輪の内側を通して引き出し、前記第2の輪を形成することで、前記ワークに対して蝶結びを施す動作を制御する、紐結び装置。
  2. 前記制御部は、前記第1ロボットアームおよび前記第2ロボットアームにより、前記第2ロボットアームのハンド部に紐体を巻き付けることで前記暫定輪を形成し、前記ハンド部に紐体が巻き付いた状態で前記ハンド部に前記第2の輪となる紐部を掴み引き上げさせことで、前記第2の輪となる紐部を前記暫定輪の内側を通過して引き出させる、請求項1に記載の紐結び装置。
  3. 前記第2ロボットアームのハンド部は手首が回転可能であり、
    前記制御部は、前記第2ロボットアームの手首を回転させることで、前記ハンド部に巻き付いている前記暫定輪を緩めることができ、前記第2の輪となる紐部が前記暫定輪の内側を通過することを容易とすることができる、請求項2に記載の紐結び装置。
  4. 前記第2の輪となる紐部が前記暫定輪の内側を通して引き出されることで、前記引き出された紐部が前記第2の輪を形成し、前記暫定輪が前記結び目を形成する、請求項1ないし3のいずれかに記載の紐結び装置。
  5. 記制御部は、前記第2ロボットアームに前記リール側の紐部を用いて前記暫定輪を形成させ、前記第2の輪となる紐部を前記暫定輪の内側を通して引き出す際または後に、前記リールに紐体を巻き取るように回転させることで、蝶結び完成時における前記第1の輪および前記第2の輪の大きさを調整する、請求項1ないし4のいずれかに記載の紐結び装置。
  6. 前記第2ロボットアームのハンド部は、側面に隙間を有し、水平方向に駆動することで、紐を前記側面の隙間に差し込み、把持することが可能である、請求項1ないし5のいずれかに記載の紐結び装置。
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