JP7410975B2 - 量子チップ、量子プロセッサ及び量子コンピュータ - Google Patents

量子チップ、量子プロセッサ及び量子コンピュータ Download PDF

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Description

本願は、2020年9月1日に中国特許庁に出願した出願番号が202010906492.6号、発明名称が「量子チップ、量子プロセッサ及び量子コンピュータ」の中国特許出願に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を本願に参照により援用する。
本発明の実施例は、量子技術の分野に関し、特に量子チップ、量子プロセッサ及び量子コンピュータ量子ノイズプロセス解析技術に関する。
量子チップは、量子コンピュータの重要な処理コンポーネントである。
現在、量子チップの構造設計は、まだ検討段階にあり、量子チップの構造設計に関する関連技術が少なく、量子ビットの配置が十分に合理的ではなく、量子チップにより提供される量子ビット及びチップ処理の精度に影響を与えてしまう。
本発明の実施例は、量子ビット及び関連するデバイスの配置を最適化することで、より多くのビット数と精度を同時に実現することができるため、量子チップの計算能力を向上させることができる、量子チップ、量子プロセッサ及び量子コンピュータを提供する。
本発明の実施例の1つの態様では、下部シートと、上部シートと、を含む量子チップであって、前記上部シートには、量子ビットアレイが設けられ、前記量子ビットアレイは、M行×N列のアレイ構造となるように分布している複数の量子ビットを含み、M及びNは、1よりも大きい整数であり、前記下部シートには、読み取りキャビティが設けられ、前記読み取りキャビティは、前記量子ビットの状態情報を取得し、前記下部シートと前記上部シートとは、電気的に接続されている、量子チップを提供する。
本発明の実施例の1つの態様では、上記の量子チップを含む、量子プロセッサを提供する。
本発明の実施例の1つの態様では、上記の量子チップを含む、量子コンピュータを提供する。
本発明の実施例に係る態様は、少なくとも以下の有利な効果を有する。
量子ビットの配置では、M行×N列の表面符号構造を用いることで、量子ビット間の接続性を向上させ、量子体積を増加させ、アルゴリズムの実行の難しさを低減させることができると共に、より強力なエラー訂正機能及びデコード時の境界エラー分布の分析機能、並びにより柔軟な拡張性及びより大きな規模の量子チップへの適応性を有する。一方、チップ構造では、上部シートに量子ビットを配列し、下部シートに読み取りキャビティ、フィルタ、ビット制御線、読み取り線及びエアブリッジなどの他の素子を配置することで、量子ビットと他の素子とのレイアウト分離を実現するため、ビットサンプル層から損失のあるデバイス又は加工プロセスを除外し、チップ配線スペース及び複雑なプロセスでの量子ビットのコヒーレンスを向上させることができる。従って、量子ビット及び関連するデバイスの配置を最適化することで、より多くのビット数と精度を同時に実現し、量子チップの計算能力を向上させることができる。
本発明の実施例に係る態様をより明確に説明するために、以下は実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介する。なお、以下に説明される図面は単なる本発明の実施例であり、当業者は創造的な作業を行うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
本発明の1つの実施例に係る表面符号の2次元構造の概略図である。 関連技術に係る中規模の量子チップの量子ビット配列構造の概略図である。 本発明の1つの実施例に係る量子チップの構造の概略図である。 本発明の1つの実施例に係る量子ビットアレイのアレイ構造の概略図である。 本発明の1つの実施例に係る量子ビットの読み取り回路の概略図である。 本発明の1つの実施例に係る単一量子ビットの駆動回路の概略図である。
本発明の目的、解決手段、利点をより明確にするために、以下は、図面を参照しながら本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
クラウド技術(cloud technology)とは、ワイドエリアネットワーク又はローカルエリアネットワーク内でハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのリソースを統合して、データの計算、保存、処理、共有を実現するホスティング技術を意味する。
クラウド技術は、クラウドコンピューティングのビジネスモデルの応用に基づくネットワーク技術、情報技術、統合技術、管理プラットフォーム技術、応用技術などの総称であり、必要に応じて柔軟、便利に利用できるリソースプールを構成してもよい。クラウドコンピューティング技術は重要なサポートになる。ビデオウェブサイト、画像ウェブサイト及び他のポータルウェブサイトなどのテクニカルネットワークシステムのバックグラウンドサービスには、大量のコンピューティング及びストレージリソースが必要である。インターネット業界の急速な発展と応用に伴い、将来的には、各アイテムに独自の識別マークが付けられ、論理処理のためにバックエンドシステムに伝送する必要がある。異なるレベルのデータは個別に処理され、様々な業界のデータを強力にサポートするためのシステムは、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
クラウド技術は、クラウドコンピューティング、クラウドストレージ、データベース、ビッグデータなどの基本技術を含む。クラウド技術に基づくクラウドアプリケーションは、医療クラウド、クラウドIoT、クラウドセキュリティ、クラウド通話、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、クラウドゲーム、クラウド教育、クラウド会議、クラウドソーシャル、人工知能クラウドサービスなどを含む。クラウド技術の発展及びクラウド技術の様々な分野での応用に伴い、益々多くのクラウドアプリケーションが現れる。
一般的には、クラウド技術に基づいて構築されたシステムは、サーバと端末を含む。サーバは、独立した物理サーバであってもよいし、複数の物理サーバで構成されるサーバクラスター又は分散式システムであってもよいし、クラウドサービス、クラウドデータベース、クラウドコンピューティング、クラウド関数、クラウドストレージ、ネットワークサービス、クラウド通信、中間クラウド、ドメインネームサービス、セキュリティサービス、CDN(Content Delivery Network:コンテンツ配信ネットワーク)、並びにビッグデータ及び人工知能プラットフォームなどの基本クラウドコンピューティングサービスを提供するクラウドサーバであってもよい。端末は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートスピーカ、スマートウォッチなどであってもよいが、これらに限定されない。端末とサーバとは、有線通信又は無線通信を介して直接又は間接的に接続されてもよいが、本発明はこれに限定されない。
量子コンピュータ(quantum computer)は、量子力学の原理を利用して計算を行う機器である。量子コンピュータは、量子力学の重ね合わせ原理及び量子もつれに基づいて、強力な並列処理機能を備えており、古典的なコンピュータで計算しにくい幾つかの問題を解決できる。超伝導量子ビットのゼロ抵抗特性及び集積回路に近い製造プロセスにより、超伝導量子ビットを使用して構築された量子コンピューティングシステムは、実用的な量子コンピューティングを実現するための最も有望なシステムの1つになっている。
量子プロセッサとは、量子レベルのコンピュータプロセッサ、即ち量子コンピュータのプロセッサを意味する。量子プロセッサは、1つ又は複数の量子チップを含んでもよい。
量子チップ(又は超伝導量子チップ)は、量子コンピュータの中央処理装置であり、量子コンピュータのコアコンポーネントである。量子チップは、基板に量子回路を集積し、量子情報処理の機能を担っている。従来のコンピュータの発展の歴史を参照し、量子コンピュータ研究のボトルネック技術を克服した後、商業化と産業のアップグレードを実現するために、集積化を行う必要がある。超伝導システム、半導体量子ドットシステム、マイクロナノフォトニクスシステム、さらには原子及びイオンシステムでは、全てチップ化を行うと考えられる。開発の観点から、超伝導量子チップシステムは、他の物理システムよりも技術的に進んでいる。以下のように従来の半導体産業の発展が既に成熟しているため、従来の半導体量子ドットシステムも検討しようとする目標である。半導体量子チップは、デコヒーレンス時間と制御精度がフォールトトレラントな量子コンピューティングの閾値を超えると、従来の半導体工業の既存の成果を統合し、開発コストを節約することが期待される。
量子コンピュータの利点を考慮して、クラウド技術に基づいて構築された将来のシステムは、量子コンピュータを使用して処理と計算を実行し、より良いサービスを提供することができる。
本発明の実施例を説明する前に、まず、本発明に係る用語を解釈、説明する。
1.中規模の量子チップ
中規模の量子チップに含まれる量子ビットの数は50~100である。量子コンピューティングの応用の1つは、量子システムをシミュレートすることである。十数個の量子ビットのみを有する量子システムは、大量のスーパーコンピュータリソースを消費する可能性がある。システムに50個の量子ビットが含まれると仮定すると、該システムの状態を記述するために250=1015の複素振幅が必要である。複素振幅を128ビットの精度で記憶する場合、各振幅を記憶するには256ビット又は32バイトが必要である。合計32×1015バイトの情報は、約32000TBであり、既存のコンピュータの能力を遥かに超えている。同一の精度レベルの90ビットには32×1027バイトが必要である。
2.フリップチップ技術(Flip Chip Technology)
「フリップチップパッケージング法」とも称され、チップパッケージング技術の1つである。基板にチップを直接配置し、ワイヤボンディング(wire bonding)技術を使用してチップと基板上のパッド(pad、チップの入力/出力部分を意味する)とを接続する従来のチップパッケージング技術とは異なり、フリップチップパッケージング技術は、チップ接続点においてバンプ(bump)を成長し、表面が下に向かうようにチップを裏返して、パッケージング筐体又は配線基板(substrate)に直接接続することを意味する。該技術は、チップ加工の分野で広く使用されている。フリップチッププロセスにより加工されたチップは、フリップチップ(Flip Chip)と称される。
3.表面符号(surface code)
表面符号は、二次元の多様性で定義されたトポロジカル量子エラー訂正符号である。そのスタビライザー生成元(stabilizer generating element)は通常4個の量子ビットでサポートされ(境界で2個の量子ビットでサポートされ)、論理演算子は、ストリップクロスアレイの非自明チェーンである。表面符号の具体的な2次元構造は、図1に示すように、白い円1は、量子計算のためのデータ量子ビットを表し、黒い円2は、補助量子ビットを表す。白と斜線で塗りつぶされた正方形(又は三角形)は、物理量子ビットの量子状態でランダムに生成されたパウリ(Pauli)Z及びXの進化エラーをそれぞれ検出するための2つの異なるタイプのスタビライザー生成元を表す。本発明では、図1に示す表面符号化トポロジに対応する設計アーキテクチャを採用する。
ムーア氏の法則で説明されているように、コンポーネントのサイズを継続的に縮小し、電子チップの集積度(収容可能なトランジスタの数)を増やすことで、コンピューティングパフォーマンスを継続的に向上させることができる。より高度なチップ加工技術の導入により、従来のチップの製造精度は数十ナノメートルから7ナノメートル以下に徐々に低下し、原子サイズに近づいている。この規模では、量子トンネリングやエンタングルメントなどの量子効果が現れ始めており、デバイスの動作を古典的な理論を使用して完全に予測及び設計することはできない。一方、デバイスのサイズが小さく、集積度が高いほど、放熱の必要性が高くなる。放熱が不十分であると、デバイスの動作の安定性と精度が低下する。そのため、ムーア氏の後の時代には、古典的なコンピュータの計算能力の向上も困難になり、多くの科学者が量子計算の開発を期待している。
1982年には早くも、リチャードファインマン(Richard Feynman)は、量子シミュレーションを説明する際に、量子シミュレーションが多体問題を考慮する場合、非常に大きな自由度(粒子数に伴って指数関数的成長)が必要であると指摘した。このレベルでは、古典的なコンピュータはもはや効果的なシミュレーションを行うことができない。量子力学の重ね合わせの原理と量子もつれの特性により、量子コンピュータは、強力な並列処理能力を備えている。中規模の量子ビットは、従来の計算能力の限界を超えるための十分に大きなヒルベルト空間を提供できるため、古典的なコンピュータでは解決できない大規模コンピューティング問題を解決でき、量子化学シミュレーション、量子人工知能と暗号分析、天気予報、薬物設計、金融分析、石油探査などの分野で大きなポテンシャル性を有する。超伝導量子ビットの製造工程は、従来の集積回路と同様であるため、拡張性に大きな利点があり、ゼロ抵抗特性により、より長い時間のコヒーレンスを実現することができる。近年の急速な発展により、超伝導量子コンピューティングソリューションは、学界や産業界の注目を集め、実用的な量子コンピューティングを最初に実現するための最も有望な技術ソリューションの1つになっている。
2000年に物理学者のディヴィンチェンツォ(DiVincenzo)によって提唱された基準によると、量子ビット数の増加は、単なる問題の一部である。量子ビットの数が多いほど、それらの間の相互作用はより複雑になる。ビット数が増えると、その精度も十分に高くなるようにする必要がある。チップ設計の観点から、読み取り効率を確保すると共に、ビット間のクロストーク、及び環境との結合を最小限に抑えることが非常に重要である。量子チップは、量子ビット、読み取りキャビティ、フィルタ、読み取り線、ビット制御線、空気ブリッジ(「エアブリッジ」と略称される)などの要素を含んでもよい。小規模な超伝導量子チップは、例えば2列に直線的に配列された単一層の平面構造を採用してもよく、各量子ビットは隣接するビットとの直接的な容量性相互作用しかなく、拡張性が優れているが、アルゴリズムの実行の困難性が高い。もう1つは、ラップアラウンドタイプであり、共振キャビティを使用して任意の2ビット間の結合を実現するが、このレイアウトは分散しており、大きなチップ面積を消費し、ビット制御線と読み取り線とが交差する必要がある場合が多いため、多くの不安定性とクロストークをもたらしてしまう。中規模の量子チップでは、どの配列方法を採用しても、限られた平面空間で多数の部品のレイアウトを実現し、且つ高い量子体積を確保することは略不可能である。「量子体積」は、IBM(International Business Machines Corporation)社により導入された、量子ビット、接続パフォーマンス、コンパイラー、ソフトウェアスタックパフォーマンスなどの要素を含むより包括的なパフォーマンス測定インデックスである。ビットのアドレス指定可能性及び拡張性により、3Dパッケージングとフリップチッププロセスの発展を促進した。
現在、中規模の量子チップの具体的な設計、処理、測定、制御方法は、まだ検討と検証の段階にある。図2は関連技術に係る中規模の量子チップの量子ビット配列構造の概略図である。ここで、図2の(a)は、Google社が提供する中規模の量子チップ(Sycamoreプロセッサと称される)の量子ビットの配列構造の概略図であり、図2の(b)は、IBMが提供する中規模の量子チップ(Rochesterプロセッサと称される)の量子ビットの配列構造の概略図である。Google社が提供する量子ビットの配列構造には、53個の量子ビットが含まれ、量子ビット間に調整可能な結合器(adjustable coupler)を追加することで、ビット間の結合を調整することができる。IBM社が提供する量子ビットの配列構造には、同様に53個の量子ビット(図では円で表されている)が含まれているが、量子ビット間に結合器がなく、ビット間の結合は固定値しかできない。
Google社のSycamoreプロセッサ(ビット間に結合器が存在する)は、回転(又は対角)の表面符号化の配列方式、及びフィルタとビットの読み取りキャビティとが容量結合されている方式を使用して、チップの配列が分散しており、占有面積が大きい。特に、ビット間に結合器が存在せず、ビット間隔が十分に大きくないと、この配列及び結合方式は適用できなくなる可能性がある。また、IBM社のRochesterプロセッサ(ビット間に結合器が存在しない)は、6つの長方形グリッドを使用し、レイアウトが分散しており、ビットの接続性が低く、アルゴリズムの実装の難しさが高い。さらに、Rochesterプロセッサは、平面構造を採用しているため、避けられないクロス配線によりシステムの不安定性及びクロストークが増加する。また、2つのプロセッサのレイアウトが異なり、チップのパフォーマンスも異なる。これは、異なる連続性がチップのパフォーマンスレベルへ影響を及ぼし、量子体積が異なることを示している。
益々増加している計算能力への要求及び従来の中規模の量子チップ設計の配線問題という上記の2点を鑑み、本発明の実施例は、量子チップ及び量子コンピュータを提供する。本発明の態様では、量子ビット及び関連するデバイスの配置を最適化することで、より多くのビット数と精度を同時に実現することができるため、量子チップの計算能力を向上させることができる。以下は、幾つかの実施例を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図3は本発明の1つの実施例に係る量子チップ30の構造の概略図である。図3に示すように、量子チップ30は、下部シート10及び上部シート20を含む。
図3において、下層の面積が比較的に大きい領域は下部シート10であり、上層の領域は上部シート20である。好ましくは、上部シート20のサイズは、下部シート10のサイズよりも小さい。図3において、説明の便宜上、上部シート20は、僅かに持ち上げられ、下部シート10からずらされている。
上部シート20には、量子ビットアレイ21が設けられる。量子ビットアレイ21は、M行×N列のアレイ構造となるように分布している複数の量子ビットを含み(図3では、十字形で示される)、即ち、量子ビットアレイ21のアレイ構造は、行列型の表面符号構造を採用し、M及びNは、1よりも大きい整数である。
図4は量子ビットアレイ21のアレイ構造の概略図である。図4に示すように、量子ビット(図では十字形で示されている)の配列は、行列型の表面符号のトポロジ構造を採用し、M行×N列に配列されている。好ましくは、M行のうちの各行は、N個の量子ビットを含み、N列のうちの各列は、M個の量子ビットを含み、即ち、量子ビットアレイにおける量子ビットの数はM×Nである。
また、量子ビットは、データ量子ビット(data qubit)221及び測定(操作)量子ビット(measurement qubit)222を含む。ここで、データ量子ビット221は、量子コンピューティング時のデータを記憶するために使用される。測定量子ビット222は、補助量子ビットとも称され、データ量子ビット221の量子状態を安定化、操作するために使用される。好ましくは、図4に示すように、該M行の各行について、データ量子ビット221と測定量子ビット222とは、1つずつ交互に配列され、該N列の各列について、データ量子ビット221と測定量子ビット222とは、1つずつ交互に配列されている。
このようなM行×N列の表面符号構造の量子ビット配列方式を採用することで、境界での各測定量子ビット222は3つのデータ量子ビット221に接続することができ、各測定量子ビット222は、それに接続された3つのデータ量子ビット221の量子状態について1回の測定をそれぞれ行うことができる(2つのデータ量子ビット221のみに接続される左上隅及び右上隅の測定量子ビット222を除く)。境界での各データ量子ビット221は、3つの測定量子ビット222に接続することができる(2つの測定量子ビット222のみに接続される左下隅及び右下隅のデータ量子ビット221を除く)。図2の(a)に示す回転された表面符号構造に対応する配列方式と同様に、境界でのデータ(測定)量子ビットは、2つの測定(データ)量子ビットにのみ接続する。従って、このようなM行×N列の表面符号構造の量子ビット配列方法を採用することで、冗長のビット数が増加し、より多くの追加的な奇偶検査演算子を提供し、境界でのエラーより多くの情報を取得できるため、チップのエラー訂正能力及びデコード時の境界誤差分布の解析能力がより強力になる。さらに、同様な表面符号スケールでM行×N列の表面符号構造の面積も2倍になり、エンタングルメントをより便利に生成し、エンタングルメントにスペースを提供するためのより広い面積を有し、基本的な量子ゲートを実行することができる。従って、このようなM行×N列の表面符号構造は、ビットの規模がより大きな量子チップの設計に適する。
また、図3に示すように、下部シート10には、読み取りキャビティ11が設けられる。ここで、読み取りキャビティ11は、量子ビットの状態情報を取得する。量子ビットの状態情報を取得するために、幾つかの外部測定デバイスに接続する必要があり、測定デバイスは、精度、高効率と再現性、ビットコヒーレンス、非破壊性、多重化などの特性を備える必要がある。通常、共振キャビティを中間媒体として使用し、量子ビットと直接結合し、その伝送特性を測定することで量子ビットの状態情報を取得し、この場合、この共振キャビティを読み取りキャビティと称する。また、上記の読み取りキャビティ11と外部測定装置とを接続する回路を読み取り線と称し、読み取りキャビティ11により取得された量子ビットの状態情報を外部測定装置に伝送するために、下部シート10に該読み取り線を設けてもよい。
好ましくは、図3に示すように、下部シート10には、ビット制御線12がさらに設けられる。ビット制御線12は、ビット制御信号を伝送し、該ビット制御信号は、量子ビットを制御するために使用される。ビット制御線12は、マイクロ波制御線及び直流バイアス線を含んでもよい。ここで、マイクロ波制御線は、XY線とも称され、マイクロ波制御信号を伝送する。該マイクロ波制御信号は、量子ビットの反転を駆動するために使用される。直流バイアス線は、Z線とも称され、直流バイアス信号を伝送する。該直流バイアス信号は、量子ビットの周波数を調整するために使用される。また、上記のビット制御信号の信号源は信号発生器であってもよく、信号発生器の出力端はビット制御線に接続されてもよい。これによって、信号発生器により生成されたビット制御信号をビット制御線に伝送することができ、ビット制御線を使用して該ビット制御信号を量子ビットにさらに送信することができる。1つの例では、マイクロ波制御信号と直流バイアス信号とは、同一の信号源を共有し、例えば同一の信号発生器を共有してもよい。もう1つの例では、マイクロ波制御信号と直流バイアス信号とは、異なる信号源を使用し、例えば異なる信号発生器を使用してもよい。
好ましくは、図3に示すように、下部シート10には、フィルタ13がさら設けられ、フィルタ13は、読み取りキャビティ11と結合され、フィルタ13は、量子ビットのコヒーレンス時間を延長し、量子ビットの環境へのエネルギー緩和を低減させる。図3に示すように、読み取りキャビティ11の出力端にフィルタ13を結合することで、ビット読み取りに影響を与えることなく、ビット周波数での漏れを低減することができる。
下部シート10と上部シート20とは、積層するように配置されてもよい。例えば、上部シート20は、下部シート10の上方に位置する。下部シート10と上部シート20とは電気的に接続されている。
1つの例示的な実施例では、電気接続を実現するために、下部シート10と上部シート20との間にフリップチップアーキテクチャが採用され、即ち、下部シート10の回路及び素子が配置された面と、上部シート20の量子ビットが配置された面とは、対向するように設けられる。例えば、上部シート20は、下部シート10の上方に位置し、読み取りキャビティ11は、下部シート10の上部シート20に対向する面に設けられ、量子ビットは、上部シート20の下部シート10に対向する面に設けられている。
もう1つの例示的な実施例では、電気接続を実現するために、下部シート10と上部シート20との間に非フリップチップアーキテクチャが採用され、即ち、下部シート10の回路及び素子が配置された面と、上部シート20の量子ビットが配置された面とは、同一の方向に向かっている。例えば、上部シート20は、下部シート10の上方に位置し、読み取りキャビティ11は、下部シート10の上部シート20に対向する面に設けられ(即ち、読み取りキャビティ11は、下部シート10の上側に向かっている面に設けられ)、量子ビットは、上部シート20の下部シート10に対向する面以外の面に設けられている(即ち、量子ビットは、上部シート20の上側に向かっている面に設けられている)。
好ましくは、図3に示すように、下部シート10と上部シート20とは、金属溶接点40を介して電気的に接続されている。好ましくは、金属溶接点40は、インジウムピラーの溶接点であってもよいし、他の導電性材料からなる溶接点であってもよい。好ましくは、下部シート10には、少なくとも1つの第1の金属溶接点が形成され、上部シート20には、少なくとも1つの第2の金属溶接点が形成され、第1の金属溶接点の位置と第2の金属溶接点の位置とは対向している。上記の第1の金属溶接点と第2の金属溶接点との接続により、下部シート10と上部シート20との間の電気的接続を実現する。なお、下部シート10と上部シート20との間でフリップチップ構造を使用して電気的接続を実現する場合、上部シート20の下部シート10に対向する面(即ち量子ビットが設けられた面)に少なくとも1つの止まり穴(blind hole)を形成してもよい。該止まり穴に金属材料を堆積して上記の第1の金属溶接点を形成し、該第1の金属溶接点及び下部シート10における第2の金属溶接点により電気的接続を実現する。下部シート10と上部シート20との間で非フリップチップ構造を使用して電気的接続を実現する場合、上部シート20に少なくとも1つの貫通穴を形成してもよい。該貫通穴に金属材料を堆積して上記の第1の金属溶接点を形成し、該第1の金属溶接点及び下部シート10における第2の金属溶接点により電気的接続を実現する。また、下部シート10の上部シート20に対向する面(即ち、読み取りキャビティ11などの素子が設けられた面)には、少なくとも1つの止まり穴が形成され、該止まり穴に金属材料を堆積して上記の第2の金属溶接点を形成する。
また、データ及び信号の入力及び出力を実現するために、量子チップ30の読み取り及び制御の回路は、下部シートのパッド(pad、図示せず)に接続されている。
量子チップ30には、読み取りキャビティ、フィルタ、ビット制御線、空気ブリッジ、量子ビット、インジウムピラーの溶接点などの複数のデバイスがある。加工プロセスが複雑であり、Al(アルミニウム)メッキ、SiO(二酸化ケイ素)メッキ、接着剤付のIn(インジウム)メッキ、HF(フッ化水素酸)を通過させること、ギ酸を通過させることなどの多くのステップを含む。各ステップは、量子ビットのジョセフソン接合の接合抵抗に一定の影響を及ぼすが、フリップチップでは、上部シート20にのみ量子ビットを配置し、上部シート20の下部シートと電気的に接続するための金属溶接点40(例えばインジウムピラーの溶接点)を保留する。残りの全てのデバイスを下部シート10に配置し、ビットサンプル層(量子ビットが加工されるサンプル層、即ち上部シート20)から関連するプロセス(例えばSiOメッキ、HF通過、ギ酸通過など)を除外することで、ビット性能への影響を回避することができる。従って、このようにビットサンプル層から損失のあるデバイス又は加工プロセスを除外し、チップ配線スペース及び複雑なプロセスでの量子ビットのコヒーレンスを向上させることができる。
好ましくは、下部シート10の上部シート20に対応する領域は、ビット制御信号間の分離性を増加させるように、被覆エアブリッジを使用する。平面チップ構造で一般的に使用される従来の分離式の超伝導真空ブリッジ(アプローチブリッジ部分は通常傾斜する面であり、角度はエアブリッジの高さとスパンに依存する)と比較して、本発明の実施例では、フリップチップにおける下部シート10の上部シート20に対応する領域において、ビット制御信号間の分離性を増加させるように、被覆エアブリッジを使用し、残りの部分において、分離式のエアブリッジ又は被覆エアブリッジを使用する。本発明の実施例で使用する超伝導真空ブリッジのエアブリッジの高さは制御可能であり、且つアプローチブリッジ部分は緩やかな弧形状であり、エアブリッジ全体がアーチ型であり、分離性を確保すると共に、安定性を向上させることができる。
また、本発明の実施例に係る上記の量子チップは、中規模の量子チップであってもよく、例えば、該量子チップに含まれる量子ビットの数は、50~100である。1つの例では、上部シート20における量子ビットアレイ21は、図4に示す8行×7列の構造を有し、合計56個の量子ビットを含む。
以上のことから、量子ビットの配置では、M行×N列の表面符号構造を用いることで、量子ビット間の接続性を向上させ、量子体積を増加させ、アルゴリズムの実行の難しさを低減させることができると共に、より強力なエラー訂正機能及びデコード時の境界エラー分布の分析機能、並びにより柔軟な拡張性及びより大きな規模の量子チップへの適応性を有する。一方、チップ構造では、上部シートに量子ビットを配列し、下部シートに読み取りキャビティ、フィルタ、ビット制御線、読み取り線及びエアブリッジなどの他の素子を配置することで、量子ビットと他の素子とのレイアウト分離を実現するため、ビットサンプル層から損失のあるデバイス又は加工プロセスを除外し、チップ配線スペース及び複雑なプロセスでの量子ビットのコヒーレンスを向上させることができる。従って、量子ビット及び関連するデバイスの配置を最適化することで、より多くのビット数と精度を同時に実現し、量子チップの計算能力を向上させることができる。
以下は、量子ビットの読み取りプロセスを説明する。例示的な実施例では、フィルタと読み取りキャビティとは誘導結合され、フィルタは、反射型読み取り方式を用いて量子ビットの状態情報を取得する。フィルタの読み取り方式は、通常、透過型読み取り方式、及び反射型読み取り方式を含む。ここで、透過型読み取り方式とは、信号入力端子と信号出力端子とがポートを共有しないことを意味し、反射型読み取り方式は、信号入力端子と信号出力端子とが同一のポートを共有することを意味する。
図5は本発明の1つの実施例に係る量子ビットの読み取り回路の概略図である。図5では、伝送線モデルで示している。ここで、破線枠51は、量子ビットの結合容量(破線枠51内)及び2つのジョセフソン接合から構成されるSQUID(Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉デバイス)を含む量子ビットの等価回路図を表す。破線枠52は、読み取りキャビティの等価回路図を表す。破線枠53は、フィルタの等価回路図を表す。図5から分かるように、読み取りキャビティとフィルタとは誘導結合されている。
定義から分かるように、読み取りキャビティの品質係数Qは次のように表してもよい。
ここで、Plossは、読み取りキャビティで消費したエネルギーを表し、Eは、読み取りキャビティに記憶されたエネルギーを表し、ωは、読み取りキャビティの周波数を表す。
通常の場合、読み取りキャビティの内部損失は非常に小さいため、回路全体の唯一の散逸チャネルは、フィルタと外部測定回路との結合であると想定できる。このプロセスは、フィルタの品質係数Qfにより説明する。
ここで、Plossは、フィルタで消費したエネルギーを表し、Eは、フィルタに記憶されたエネルギーを表し、ωは、フィルタの周波数を表す。
仮定によると、回線全体の後の単位時間あたりに消費したエネルギーは同一であり、次のようになる。
ここで、ω及びI(i=r,f)はそれぞれ、等価統合モデルにおける読み取りキャビティとフィルタの周波数と電流を表す。Q及びQと同様に、量子ビットの品質係数Qは次のように表してもよい。
ここで、Plossは、量子ビットで消費したエネルギーを表し、Eは、量子ビットに記憶されたエネルギーを表し、ωは、量子ビットの周波数を表し、Tは、量子ビットのコヒーレンス時間を表す。
及びQから

を取得できる。ここで、

及び

はそれぞれ、異なる周波数ω及びωでの下部フィルタの等価インピーダンスであり、κは、読み取りキャビティ内の光子減衰率を表し、Δは読み取りキャビティとビットとの周波数の差を表し、即ちΔ=ω-ω

は、読み取りキャビティとビットとの結合強度を表す。Q=30、ω/2π=6.4625GHz、ω/2π=6.5GHz、ω/2π=5.5GHzの場合、
となる。なお、フィルタがない場合と比較して、κは2桁で増幅することができる。κは量子ビットのコヒーレンス時間を反映する。κは2桁で増幅することは、回線による量子ビットの読み取り速度を確保しながら、量子ビットのコヒーレンス時間を約100倍に延長でき、より多くのゲート操作が可能になり、ゲートの忠実度の向上及び実用的な量子計算の基礎を築くことを意味する。
これによって、フィルタと読み取りキャビティとが誘導結合されることで、レイアウトをコンパクトにすることができる。一方、フィルタは反射型読み取り方式を採用し、反射型読み取り方式の信号入力端及び信号出力端が同一のポートを共有するため、読み取り線の数を半分にすることができる。従って、量子チップの回路配置を最適化し、ビットの読み取り効率及びコヒーレンス時間を確保することができる。
以下は、量子ビットの調整プロセスを説明する。図6は本発明の1つの実施例に係る単一量子ビットの駆動回路の概略図である。
図6の(a)に示すように、量子ビット61の調整は、通常、ビット制御線(XY線及びZ線を含む)により実現される。マイクロ波制御線(XY線とも称される)は、マイクロ波制御信号を伝送し、該マイクロ波制御信号は、量子ビットが異なるエネルギー準位間を遷移するように駆動するために使用される。直流バイアス線は、直流バイアスを伝送し、該直流バイアス信号は、量子ビットの周波数を調整するために使用される。通常、XY線は、結合コンデンサCを介して入力インピーダンスがZの電圧源を量子ビットに結合する(図6の(b)に示すように、破線枠62は、量子ビット61の等価回路図を表す)。計算を簡略化するために、ビットの代わりにLC発振回路を使用し、L及びCは、それぞれ回路のインダクタンス及びインピーダンスを表す。この場合、システムのハミルトニアンは、

に記述される。ここで、ωは、量子ビットの周波数であり、

は、LC発振回路の特性インピーダンスであり、

は、この時の量子ビットのグランドへの総静電容量であり、σ及びσは、パウリz及びパウリy演算子である、3次元ユークリッド空間におけるスピンσのz軸及びy軸の投影成分を記述する。

は、縮小プランク定数である。ハミルトニアンから分かるように、回路に駆動電圧信号を印加することで、量子ビットを励起することができる。図6の(c)に示すように、量子ビットに二重接合がある場合(図では、1つの×で1つの接合を表す)、構成されたSQUIDは、臨界電流が外部磁場により変化するジョセフソン接合63と同等に見なしてもよく、そのエネルギーEは外部磁場による変化は、

である。ここで、Φは、SQUIDを通過する磁束であり、

は、Φが0に等しい場合のジョセフソン接合63のエネルギーであり、Φ=h/2eは、磁束量子(magnetic flux quantum)であり、hはプランク定数であり、

、eは電荷定数であり、e=1.602×10-19C。それに応じて、ωの外部磁場の変化との関係は、

となる。ここで、Eは、コンデンサの静電エネルギーであり、ビット内の接合の非対称性が小さいと想定される。
本発明の実施例では、マイクロ波制御線(XY線)と直流バイアス線(Z線)とは、同一の制御線を共有する(「多重化する」とも称される)、即ち、マイクロ波制御信号と直流バイアス信号とは、同一のビット制御線を共有する。マイクロ波制御信号と直流バイアス信号とを異なる時間に伝送できるため、信号の精度と信頼性を確保することを前提に、同一の制御線を多重化して該2つの信号を送信することができる。好ましくは、ビット制御線は、量子ビットとの相互インダクタンスを用いて、量子ビットが異なるエネルギー準位間を遷移するように駆動するために使用される。XY線とZ線とを共有することで、電流を使用して量子ビットを遷移させる。同様に、システムのラグランジアン量は、

で表されてもよく、システムのハミルトニアンは、

である。ここで、Cは静電容量であり、Lはインダクタンスであり、

は、Φの微分であり、Iは電流であり、Φ及びqは、それぞれLC発振回路におけるインダクタLでの磁束、及びコンデンサCでの電荷を表し、両者は何れも共役変数である。Mは、ビット制御線と量子ビットとの間の相互インダクタンスである。

及び

により、ここで、a及び

は、LC発振回路におけるマイクロ波光子に対応するボソンの昇降演算子であり、ハミルトニアンを昇降演算子で書き直し、システムを2つのエネルギー準位に切り捨てると、次の式を得る。
ここで、σは、パウリx演算子であり、3次元ユークリッド空間におけるスピンσのx軸の射影成分を記述する。上記の式の2項目から分かるように、回路に電流駆動を印加することで、量子ビットを遷移させることができる。
本発明の実施例では、量子ビットのXY制御線とZ制御線とを共有することで、制御線の数を半分に低減させ、チップの配線スペースを増加させることができる。
本発明の1つの例示的な実施例は、上記の実施例の量子チップを含む量子プロセッサをさらに提供する。
本発明の1つの例示的な実施例は、上記の実施例の量子チップを含む量子コンピュータをさらに提供する。
なお、本明細書で言及される「複数」は、2つ以上を指す。また、本明細書で説明されるステップの番号付けは、単にステップ間の実行の可能な順序を例示的に示し、他の実施例では、上記のステップは、2つの異なる番号の順序で実行されなくてもよく、例えば2つの異なる番号のステップが同時に実行されてもよいし、2つの異なる番号のステップが図示する順序とは逆の順序で実行されてもよく、本発明の実施例はこれらに限定されない。
以上は、単なる本発明の例示的な実施例であり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の主旨及び原則の範囲内で行われる如何なる変更、均等的な置換、改善などは、本発明の保護範囲内のものである。

Claims (13)

  1. 下部シートと、上部シートと、を含む量子チップであって、
    前記上部シートには、量子ビットアレイが設けられ、前記量子ビットアレイは、M行×N列のアレイ構造となるように分布している複数の量子ビットを含み、M及びNは、1よりも大きい整数であり、
    前記下部シートには、読み取りキャビティが設けられ、前記読み取りキャビティは、前記量子ビットの状態情報を取得し、
    前記下部シートと前記上部シートとは、電気的に接続されており、
    前記下部シートには、ビット制御線が設けられ、
    前記ビット制御線は、マイクロ波制御信号及び直流バイアス信号を伝送し、
    前記マイクロ波制御信号は、前記量子ビットが異なるエネルギー準位間を遷移するように駆動するために使用され、
    前記直流バイアス信号は、前記量子ビットの周波数を調整するために使用され、
    前記マイクロ波制御信号と前記直流バイアス信号とは、電流を使用して量子ビットの遷移を駆動するように同一の前記ビット制御線を共有する、量子チップ。
  2. 前記複数の量子ビットは、複数のデータ量子ビット及び複数の測定量子ビットを含み、
    前記M行の各行について、前記データ量子ビットと前記測定量子ビットとは、1つずつ交互に配列され、
    前記N列の各列について、前記データ量子ビットと前記測定量子ビットとは、1つずつ交互に配列されている、請求項1に記載の量子チップ。
  3. 前記M行のうちの各行は、N個の量子ビットを含み、
    前記N列のうちの各列は、M個の量子ビットを含む、請求項1又は2に記載の量子チップ。
  4. 前記上部シートは、前記下部シートの上方に位置し、
    前記読み取りキャビティは、前記下部シートの前記上部シートに対向する面に設けられ、
    前記量子ビットは、前記上部シートの前記下部シートに対向する面に設けられている、請求項1乃至3の何れかに記載の量子チップ。
  5. 前記下部シートと前記上部シートとは、金属溶接点を介して電気的に接続されている、請求項1乃至4の何れかに記載の量子チップ。
  6. 前記下部シートには、フィルタが設けられ、
    前記フィルタは、前記読み取りキャビティと結合され、
    前記フィルタは、前記量子ビットのコヒーレンス時間を延長し、前記量子ビットの環境へのエネルギー緩和を低減させる、請求項1乃至5の何れかに記載の量子チップ。
  7. 前記フィルタと前記読み取りキャビティとは、誘導結合されている、請求項6に記載の量子チップ。
  8. 前記フィルタは、反射型読み取り方式を用いて前記量子ビットの状態情報を取得する、請求項6又は7に記載の量子チップ。
  9. 前記ビット制御線は、前記量子ビットとの相互インダクタンスを用いて、前記量子ビットが異なるエネルギー準位間を遷移するように駆動するために使用される、請求項1に記載の量子チップ。
  10. 前記下部シートの前記上部シートに対応する領域は、ビット制御信号間の分離性を増加させるように、被覆エアブリッジを用いる、請求項1乃至9の何れかに記載の量子チップ。
  11. 前記量子チップは、中規模の量子チップである、請求項1乃至10の何れかに記載の量子チップ。
  12. 請求項1乃至11の何れかに記載の量子チップを含む、量子プロセッサ。
  13. 請求項1乃至11の何れかに記載の量子チップを含む、量子コンピュータ。
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