JP7409608B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真感光体は、その画像形成プロセスにおいて、帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電の各工程を繰り返し受ける。また、近年、電子写真装置における画像性能の向上が求められている。その中で、画像性能をより高めていくためには、塗布により形成された感光層が、全域にわたって均一な膜厚であることが、従来よりも高いレベルで求められる。
膜厚の均一性を高めるためには、浸漬塗布中、支持体近傍において、塗布液の粘度を一定に保つ必要がある。積層構成をとっている電子写真感光体を連続して、生産していく工程において、異なる塗布液の層を続けて形成し、複数の塗布液層を積層する場合、塗布液に浸漬する前に支持体上の塗布膜の加熱乾燥による前処理を施すため、支持体の温度が高くなっている。次工程の塗布液に浸漬する際には、支持体と塗布液の温度差が大きいことで、浸漬中の支持体近傍における粘度変化が大きくなってしまい、塗膜の膜厚の均一性を損ねてしまう。支持体の塗布液への浸漬直前の温度は塗布液温度に近いことが膜厚の均一性の観点で好ましい。しかしながら、支持体と塗布液の温度差を小さくし過ぎると、浸漬途中に支持体の下端より内部の空気が吹き出し(以降、泡ふきと呼ぶ)、塗膜に欠陥を生じることがある。
電子写真感光体の製造方法として一般的な浸漬塗布方法において、感光層全域にわたって膜厚を均一にする種々の検討がなされてきた。
特許文献1は、支持体を塗布液に浸漬塗布する前に、支持体の平均温度と塗布液温度の差、および支持体上部の温度と下部の温度の差を制御することにより、均一な塗膜を得る製造方法を開示している。
特開平10-177258号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1に係る方法では、電荷発生層上に形成される電荷輸送層の膜厚のより一層の均一化を達成し得なかった。
本開示の一態様は、電荷発生層上に浸漬塗布法によって形成されてなる電荷輸送層の膜厚がより均一な電子写真感光体を製造する方法の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、円筒状の導電性支持体の上に、電荷発生層、電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体の製造方法であって、
(i)該導電性支持体を、電荷発生層用塗布液に浸漬する工程、
(ii)該導電性支持体を該電荷発生層用塗布液から引き上げる工程、
(iii)該電荷発生層用塗布液が塗布された該導電性支持体を加熱乾燥して該電荷発生層を設ける工程、
(iv)該電荷発生層を形成した該支持体の上空及び該支持体の下部から該支持体に送風する送風機構により該電荷発生層を冷却する工程、
(v)該導電性支持体の筒内の空間の気体を該空間にとどめたまま、
該電荷発生層が形成された該導電性支持体を、該電荷輸送層用塗布液に浸漬塗布し、該電荷発生層上に該電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成する工程、
(vi)該電荷輸送層用塗布液の塗膜を乾燥させて該電荷輸送層を形成する工程、
この順に有し、
該電荷輸送層用塗布液は、沸点34℃以上85℃以下の溶剤を含有し、
該工程(v)は、
下記条件1と2を満たす電子写真感光体の製造方法が提供される:
条件1:該電荷輸送層用塗布液に浸漬する前の、該導電性支持体上の該電荷発生層を長手方向に5等分した領域T1~T5における表面温度の最大値と最小値の差が1.0℃以内である。
(ただし前記最大値と前記最小値は、前記T1~T5のそれぞれの周方向における4点を計測した値全てから選ばれる)
条件2:該電荷輸送層塗布液に浸漬する前の、該導電性支持体上に形成された該電荷発生層の表面温度の平均値が、該電荷輸送層用塗布液の温度よりも高く、かつ、該平均値と該電荷輸送層用塗布液の温度との差が1.5℃以上5.0℃以下である。
(ただし前記表面温度の平均値は、前記T1~T5のそれぞれの周方向における4点を計測した値全ての平均である。)。
本開示によれば、浸漬塗布により形成されてなる電荷輸送層の膜厚がより均一な電子写真感光体を得ることができる。
本開示に係る電子写真感光体の製造過程で使用する装置の模式図である。 本開示に係る電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の模式図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本開示を詳細に説明する。
本発明者らの検討によれば、電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布法によって形成する場合、電荷輸送層用塗布液が塗布される電荷発生層の長手方向における表面温度の均一性が、得られる電荷輸送層の膜厚の均一性に大きな影響を与えることを見出した。
すなわち、本開示の一態様に係る電子写真感光体の製造方法は、円筒状の導電性支持体の上に、電荷発生層、電荷輸送層を順に有する電子写真感光体の製造方法であって、
(i)該導電性支持体を、電荷発生層用塗布液に浸漬する工程、
(ii)該導電性支持体を該電荷発生層用塗布液から引き上げる工程、
(iii)該電荷発生層用塗布液が塗布された該導電性支持体を加熱乾燥して該電荷発生層を設ける工程、
(iv)該電荷発生層を冷却する工程、
(v)該導電性支持体の筒内部の空間の気体を該空間にとどめたままで、
該電荷発生層が形成された該導電性支持体を、該電荷輸送層用塗布液に浸漬塗布し、該電荷発生層上に該電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成する工程、
(vi)該電荷輸送層用塗布液の塗膜を乾燥させて該電荷輸送層を形成する工程、
を有し、
該電荷輸送層用塗布液は、沸点34℃以上85℃以下の溶剤を含有し
該工程(v)は、下記条件1及び条件2を満たす:
条件1:該電荷輸送層用塗布液に浸漬する前の、該導電性支持体上の該電荷発生層を長手方向に5等分した領域T1~T5における表面温度の最大値と最小値の差が1.0℃以内である。
(ただし前記最大値と前記最小値は、前記T1~T5のそれぞれの周方向における4点を計測した値全てから選ばれる)
条件2:該電荷輸送層塗布液に浸漬する前の、該導電性支持体上に形成された該電荷発生層の表面温度の平均値が、該電荷輸送層用塗布液の温度よりも高く、かつ、該平均値と該電荷輸送層用塗布液の温度との差が1.5℃以上5.0℃以下である。
(ただし前記表面温度の平均値は、前記T1~T5のそれぞれの周方向における4点を計測した値全ての平均である。)。
条件1及び条件2について以下に説明する。
条件1及び条件2は、導電性支持体(以降、単に「支持体」ともいう)上に形成された電荷発生層を、該電荷輸送層用塗布液に浸漬する工程(v)における条件である。
より高い膜厚の均一性を実現するためには、浸漬塗布中の該支持体近傍の塗布液の粘度変化を最小限に抑える必要がある。しかしながら、前工程の加熱乾燥する工程を経ることで、次工程の塗布液浸漬前の段階において、電荷発生層の該支持体の長手方向、及び周方向において、温度のばらつきが発生している。それにより、浸漬塗布中の該支持体近傍の塗布液粘度変化が生じ、結果、電荷輸送層の膜厚の均一性が損なわれてしまう。そこで、該支持体上の電荷発生層の表面温度をより一定にすることが重要となる。
より高い膜厚の均一性を実現するためには、該支持体上の電荷発生層を長手方向に5等分し、それぞれ、T1、T2、T3、T4、T5、とし、さらに、それぞれの領域の周方向4点における表面温度を計測し、領域T1において4か所、領域T2において4か所、領域T3において4か所、領域T4において4か所、領域T5において4か所、すなわち計20か所において計測した電荷発生層の表面温度から最大値と最小値を求め、温度の最大値と最小値との差が1.0℃以内であることが必要である。表面温度の平均値は、上述の計20か所において計測した表面温度の平均値である。
支持体上に形成された電荷発生層の表面温度の平均値と該電荷輸送層の原料を有する液(以下電荷輸送層用塗布液と記す)との温度の差が1.5℃より小さい場合は、浸漬途中に支持体の下端より筒内部の空間に存在する空気が吹き出し(泡ふき)が起きてしまい、膜厚の均一性が著しく損なわれてしまう。また、温度の差が5.0℃より大きい場合は、連続生産していく中で、該電荷輸送層用塗布液の温度変化が大きくなり、その結果粘度も変化し、膜厚の変化を生んでしまうため好ましくない。従って、支持体上に形成された電荷発生層上の表面温度の平均値と該電荷輸送層用塗布液の温度は、表面温度の平均値のほうが電荷輸送層用塗布液の温度よりも高く、両者の差が1.5℃以上5.0℃以下を満たすことが必要である。
支持体上に形成された電荷発生層上の表面温度の平均値は、電荷輸送層用塗布液に浸漬塗布する際の塗布液粘度の変化防止の点から、20℃以上28℃以下が好ましく、20℃以上25℃以下がより好ましい。
電荷輸送層用塗布液の温度は、溶剤揮発防止の点で、17℃以上30℃以下が好ましく、17℃以上22℃以下がより好ましい。
該電荷輸送層用塗布液は、沸点34℃以上85℃以下の溶剤を含有させることが、膜厚の均一性向上に必要である。浸漬塗布する際に塗布液の液面より引き上げられ、塗布された支持体が外気に暴露された瞬間から溶剤の揮発が進み、塗布液の固形分上昇とともに高粘度化することで、塗布膜の流動性が無くなり膜が形成される。このとき、低沸点溶剤を含有させることで、より短時間に塗布膜の流動性を失わせることによって周囲の気流影響を受けにくくなり、膜厚の均一性を高めることができる。低沸点の溶剤は、沸点34℃以上85℃以下のものを示し、以下の表に、一例として挙げる。
Figure 0007409608000001
塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
図1は本開示における電子写真感光体の製造方法で用いる装置の一例である。
電子写真感光体の製造工程において、電荷輸送層塗布液を塗布する前工程で、電荷発生層を円筒状導電性支持体の上に形成する工程を経る。具体的には、電荷発生層の原料を有する液(以下電荷発生層用塗布液と記す)に浸漬する工程、該電荷発生層を塗布する工程、該電荷発生層を加熱乾燥する工程、該電荷発生層を冷却する工程を経ることとなる。図1は該電荷発生層を冷却する工程に用いる装置の一例である。図1中の21は該電荷発生層が塗布された円筒状の導電性支持体を示しており、図1中の22は該支持体を置く台(パレット)を示している。
また、図1中の20、および23は送風機構を示しており、送風機構20は該支持体の上空より、また、送風機構23は該支持体の下部より、各支持体に向け、送風する機構を示している。送風機構20、または送風機構23の送風機構による風の温度、強度、及び時間を調整することにより、該支持体を所定の温度に制御することが出来る。ただし、生産効率の点で、電荷発生層を加熱乾燥する工程から、電荷輸送層用塗布液に浸漬する工程までの時間が8分以内であるのが好ましく、より生産効率を上げる点で、5分以内であるのがより好ましく、さらに生産効率向上の点で3分以内であるのがより好ましい。
[電子写真感光体]
本開示の一態様に係る電子写真感光体は、円筒状の導電性支持体の上に電荷発生層と、電荷輸送層を順に有する。
このような電子写真感光体の製造方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、各層について説明する。
<支持体>
支持体は、円筒状である。支持体の表面には、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。また、樹脂やガラスで構成された支持体を用いる場合には、導電性材料を混合したり、表面を導電性材料で被覆することによって、本開示に係る導電性支持体とすることができる。
<導電層>
支持体の上には、オプションとしての導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などを更に含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
支持体又は導電層の上には、更にオプションとしての下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電荷輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電荷輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。また、下引き層は、添加剤を更に含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
感光層は、支持体側に、電荷発生物質を含有する電荷発生層を有し、該電荷発生層の該支持体に面する側とは反対側に位置する、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する積層型感光層である。
(1-1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1-2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10~20:10が好ましく、5:10~12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液の塗膜を電荷発生層の該支持体側の面とは反対側の面上に形成し、該塗膜を加熱し、乾燥させることで形成することができる。ここで、該塗膜の乾燥温度としては、少なくとも、電荷輸送層用塗布液が含む沸点34℃以上、85℃以下の溶媒の沸点より高い温度であることが好ましい。具体的には例えば、100℃以上、170℃以下とすることが好ましい。生産性の観点から、より好ましくは110℃以上、135℃以下が好ましい。
<保護層>
本開示において、感光層の該支持体と面する側とは反対側の表面上に、オプションとしての保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本開示の一態様に係るプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在である。
また、本開示の一態様に係る電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
図2に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。尚、図においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本開示の一態様に係るプロセスカートリッジを電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
本開示に係る電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機などに用いることができる。
[膜厚測定方法]
電子写真感光体の膜厚測定としては、単位面積当たりの質量から比重換算する方法や段差計を用いる方法、渦電流式や超音波方式等の接触式、光干渉方式や光吸収方式等の非接触式等、種々の手段が挙げられる。中でも、感光体面内の複数点の膜厚を簡便に測定する手段としては、非接触・非破壊で計測可能な光干渉方式が有効である。
光干渉方式による膜厚測定方法の原理は以下の通りである。基板上に形成された屈折率n、膜厚dの塗膜に光を照射すると、塗膜表面からの反射光と塗膜を透過した塗膜裏面からの反射光の合成波が反射光として得られるが、この反射光を分光すると、表面、裏面からの反射光間の光路差2ndによる光干渉現象によって波長に依存した干渉スペクトルが得られる。例えば、入射波長が光路差の整数倍のとき、反射光同士の位相が合うため反射強度が高くなる。他方で入射波長が1/2光路差からずれると、反射光同士の位相が打ち消し合うため、反射強度が低くなる。したがって、ある膜厚dの塗膜から返ってくる反射光を分光すると、連続的に強弱を繰り返した干渉スペクトルが得られる。この干渉スペクトルと塗膜の屈折率から膜厚を演算する方法が光干渉法である。
実際の測定においては、塗膜内の多重反射や散乱を繰り返した反射光を扱うため、精度よく干渉スペクトルを得るためには、塗膜や基板の特性に応じて最適な測定条件を定めなければならない。
特に、測定対象が感光体の場合、干渉縞の抑制を目的として、物理的・化学的処理により粗面化した基体、あるいは基体自体のムラや欠陥の被覆を目的とした導電層のような粗さのある基板上の塗膜を測定対象とすることになるため、干渉スペクトルが正確に得られないことがある。
粗さのある基板上からの反射光を含む干渉スペクトルは、照射スポット径内に粗さ形状に応じた光路差によって異なる位相同士の打ち消し合いが生じ、干渉スペクトルの波長依存性が失われてしまう。このような粗面基板上の塗膜を測定する場合は、粗さ形状に応じ、照射スポット径内の光路差の変化が小さくなるような径を選択するとよい。たとえば、本開示における感光体製造例で示したような導電性基体上の膜厚を測定する場合は50μm以下の照射スポット径を選択するとよい。
さらに、波長が短いほど、基板の粗さによる散乱影響を受けやすいほか、屈折率の波長分散によって干渉スペクトルの山谷の間隔が狭くなるため、位相の打消し合いの影響を強く受ける。これを避けるために、波長域は長波長域を選択すると良く、例えば、本開示における感光体製造例に例示される数10μm程度の電荷輸送層膜厚を測定対象とする場合は、700nmから近赤外領域程度に得られる干渉スペクトルを対象とするとよい。
照射光源は、LEDや、SLD、キセノン、水銀・キセノン等のランプなどが挙げられ、適切な波長フィルターを挟むことにより所望の波長域の光を得たものを用いることができる。また、スポット径は、市販の光学レンズやアパーチャーを用い、所望の径に絞ることができる。
反射光の検出は、分光器と光電変換素子からなる受光手段であり、例えば紫外~可視域の検出にはCCD、近赤外領域にはInGaAsを用いたフォトダイオードが適用されることが多い。必要に応じて、照射波長領域あるいは解析に必要な波長域を取り込むことができればよく、それ以外の波長域を含んでも良い。
得られた干渉スペクトルは、種々の解析手法、ピークバレイ法や、カーブフィッティング法、FFT法などによる演算処理を通して膜厚が得られる。
以上述べたような測定機構・条件は、市販の分光干渉式の膜厚計測機器で再現することができ、例えば、以下の機器が利用可能である。
・フィルメトリクス株式会社製 膜厚測定システムF20
・株式会社キーエンス製、分光干渉変位タイプ多層膜厚測定器SI-T80
・大塚電子株式会社製、MCPD-6800
・大塚電子株式会社製、OPTM-F2
・浜松ホトニクス株式会社製、C13027-11
以下、実施例及び比較例を用いて本開示に係る電子写真感光体等について更に詳細に説明する。本開示は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<電子写真感光体の製造>
(導電層用塗布液の調製例)
リン(P)がドープされている酸化スズ(SnO)で被覆されている酸化チタン(TiO2)粒子(平均一次粒径230nm)207部、フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ-325、大日本インキ化学工業(株)製)144部、および、1-メトキシ-2-プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して15質量%になるように、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製)を分散液に添加し、また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)を分散液に添加した。
次に、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料と表面粗し付与材の合計質量が分散液の質量に対して67質量%になるように、メタノールと1-メトキシ-2-プロパノールの混合溶剤(質量比1:1)を分散液に添加し、攪拌することによって、導電層用塗布液を調製した。
(下引き層層用塗布液の調製例)
N-メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF-30、ナガセケムテックス(株)製)4.5部及び共重合ナイロン(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)1.5部を、メタノール65部とn-ブタノール30部の混合溶媒に溶解して下引き層用塗布液を調整した。
(電荷発生層用塗布液の調製例)
特開2014-160238に記載の方法を参照し、CuKα特性X線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン10部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX-1、積水化学製)5部及びシクロヘキサノン250部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散した後にエチルアセテート250部を加えて電荷発生層用塗布液1を調製した。
(電荷輸送層用塗布液の調製例)
式(CTM-1)で示される化合物0.9部、式(CTM-3)で示される化合物8.1部をオルトキシレン30部及び安息香酸メチル20部の混合溶液に溶解させた。
式(PE-II-1)、式(PE-III-1)、及び式(PE-III-2)で示されるポリエステル樹脂10部、添加剤として櫛形シリコーン(商品名:アロンGS101、東亞合成化学工業(株)製)0.2部、及びジメトキシメタン50部を上記分散液に加え、電荷輸送層用塗布液2を調製した。
Figure 0007409608000002
ポリエステル樹脂は、式(PE-II-I)で示される構造を100モル%有し、式(PE-III-1)で示される構造を50モル%、式(PE-III-2)で示される構造を50モル%有するポリエステル樹脂である。また、ポリエステル樹脂の重量平均分子量は120,000である。
Figure 0007409608000003
(電子写真感光体1の製造例)
押し出し工程及び引き抜き工程を含む製造方法により製造された、長さ257mm、直径24mmの円筒状のアルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。
円筒状の該支持体上部を例えば密閉に把持し、以下に示す各塗布液に浸漬し、塗布し、塗布した支持体を引き上げ、各加熱乾燥条件にて各層を形成させた。
密閉に把持する、とは、筒の上の端から筒内の気体(空気等)が浸漬時に抜け出ていくことを抑える手段の一つである。本開示においては、筒の上の端から筒内部の空間から気体が抜け出ないように完全に密閉することが好ましい。しかしながら、本開示においては、気体が該空間から多少抜け出ても気体が該空間にとどまっていれば該空間は、完全に密閉された状態とする必要はない。気体を該空間内にとどめることで、例えば、塗布液が必要以上に筒の内壁に付着することを防ぐことができる。
常温常湿(23℃/50%RH)環境下で、導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間170℃で乾燥及び熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
次に、下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が1.0μmの下引き層を形成した。
次に、電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
乾燥工程を経た、電荷発生層を形成した支持体を図1に示す装置を通し、送風機構により風を吹き付け冷却した。
このとき、電荷輸送層塗布前の支持体上に形成された電荷発生層の表面温度の平均値23.1℃、(表2)になるよう設定した。また、支持体を長手方向に5等分した領域T1、T2、T3、T4、T5の最大値と最小値の差が1.0℃以内の0.9℃(表2)になるように設定した。電荷発生層の表面温度の平均値は、支持体を長手方向に5等分した領域T1、T2、T3、T4、T5毎に、周方向4点計測し、全ての平均より求めた。また、電荷輸送層用塗布液の温度を21.5℃(表2)になるよう設定した。次に電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間125℃で乾燥させることによって、電荷輸送層を形成した。電荷輸送層の膜厚は以下の表4に示す。
(電子写真感光体2~13の製造例)
電荷輸送層用塗布液に浸漬する前の、支持体上の電荷発生層の、領域T1~T5における表面温度、平均温度及び電荷輸送層用塗布液の温度を表2に示すように変更した以外は、電子写真感光体1の製造例と同様にして実施例に係る電子写真感光体2~13を製造した。
Figure 0007409608000004
(電子写真感光体14~17の製造例)
電荷輸送層用塗布液に浸漬する前の、支持体上の電荷発生層の、領域T1~T5における表面温度、平均温度及び電荷輸送層用塗布液の温度を表3に示すように変更した以外は、電子写真感光体1の製造例と同様にして比較例に係る電子写真感光体14~17を製造した。
(電子写真感光体18の製造例)
乾燥工程を経た、電荷発生層を形成した支持体を図1に示す装置を通さず、20分自然放冷した以外は電子写真感光体の製造例1と同様の操作で製造した。
Figure 0007409608000005
[評価]
<電子写真感光体の膜厚評価>
上記電子写真感光体1~18の各々について、電荷輸送層の膜厚を、レーザー干渉膜厚計(商品名:SI-T80U、キーエンス社製)を用いて評価した。静止させた電子写真感光体に対し、長手方向にプローブを走査しながら、また、感光体を周方向に回転させ、感光体表面を測定した。支持体を長手方向5等分したT1、T2、T3、T4、T5の領域、周方向90度毎に4点の膜厚を計測した結果を表4~6に示す。
Figure 0007409608000006
Figure 0007409608000007
Figure 0007409608000008
本開示の温度条件範囲内である製造実施例1~13で作成した電子写真感光体は、実施例1~13に示すように、領域T1~T5における膜厚差が1.0μm以下であり、膜厚の均一性が高い結果が得られた。一方、本開示の温度条件の範囲外である製造比較例14~17で作成した電子写真感光体は、比較例1~5に示すように、領域T1~T5における膜厚差が非常に大きい結果となった。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
20 送風機構
21 導電性支持体
22 導電性支持体置台(パレット)
23 送風機構

Claims (1)

  1. 円筒状の導電性支持体の上に、電荷発生層、電荷輸送層を順に有する電子写真感光体の製造方法であって、
    (i)該導電性支持体を、電荷発生層用塗布液に浸漬する工程、
    (ii)該導電性支持体を該電荷発生層用塗布液から引き上げる工程、
    (iii)該電荷発生層用塗布液が塗布された該支持体を加熱乾燥して該電荷発生層を設ける工程、
    (iv)該電荷発生層を形成した該支持体の上空及び該支持体の下部から該支持体に送風する送風機構により該電荷発生層を冷却する工程、
    (v)該導電性支持体の筒内部の空間の気体を該空間にとどめたままで、該電荷発生層が形成された該導電性支持体を、該電荷輸送層用塗布液に浸漬塗布し、該電荷発生層上に該電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成する工程、
    (vi)該電荷輸送層用塗布液の塗膜を乾燥させて該電荷輸送層を形成する工程、
    この順に有し、
    該電荷輸送層用塗布液は、沸点34℃以上85℃以下の溶剤を含有し、
    該工程(v)は、下記条件1及び条件2を満たすことを特徴とする電子写真感光体の製造方法:
    条件1:該電荷輸送層用塗布液に浸漬する前の、該導電性支持体上の該電荷発生層を長手方向に5等分した領域T1~T5における表面温度の最大値と最小値の差が1.0℃以内である。
    (ただし前記最大値と前記最小値は、前記T1~T5のそれぞれの周方向における4点を計測した値全てから選ばれる)
    条件2:該電荷輸送層塗布液に浸漬する前の、該導電性支持体上に形成された該電荷発生層の表面温度の平均値が、該電荷輸送層用塗布液の温度よりも高く、かつ、該平均値と該電荷輸送層用塗布液の温度との差が1.5℃以上5.0℃以下である。
    (ただし前記表面温度の平均値は、前記T1~T5のそれぞれの周方向における4点を計測した値全ての平均である。)。
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