JP7409117B2 - 軟磁性コンパウンド、その製造方法およびボンド磁心 - Google Patents

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本発明は、鉄基軟磁性粒子が結合樹脂で結着されてなるボンド磁心の成形に用いられる軟磁性コンパウンド等に関する。
電磁機器は、起磁源(永久磁石、電磁コイル等)共に磁気回路を構成する軟磁性体(ヨーク等)を有する。例えば、電動機(発電機を含む)のロータコアやステータコアは、軟磁性体からなる。
交番磁界中で作動する軟磁性体は、磁気特性に加えて、渦電流損の低減を図るために高い電気特性(絶縁性)も求められる。このような軟磁性体として、絶縁被覆された電磁鋼板(ケイ素鋼板)の積層体が使用されることが多かった。また、複雑な形状の軟磁性体には、絶縁被覆された軟磁性粒子(鉄基粒子)をそのまま圧縮成形した圧粉磁心も用いられていた。
最近では、形状自由度や成形性が圧粉磁心より優れるボンド磁心も提案されており、関連する記載が下記の特許文献にある。
特開平7-235410号公報
特許文献1は、シラン系カップリング剤で表面処理された表面絶縁化球状鉄粉と直鎖型ポリフェニレンサルファイド(PPS)の樹脂粉末とを混練したペレット(組成物)を用いて、射出成形した樹脂結合型軟質磁性体(ボンド磁心)を提案している。
特許文献1では、樹脂(54体積%)を鉄粉(46体積%)よりも多くして、射出時の成形性(溶融混合物の流動性)を確保している。このようなボンド磁心では、(飽和)磁束密度が不十分となる。また特許文献1では、防錆性を高めるために絶縁化処理された球状鉄粉を用いているが、ボンド磁心の強度については評価されていない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、特性や成形性を向上させたボンド磁心が得られる軟磁性コンパウンド等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、金属リン酸塩と芳香族化合物からなる被覆層を有する鉄基軟磁性粒子と芳香環を有する熱可塑性樹脂とからなる軟磁性コンパウンドを用いることで、ボンド磁心の成形性や特性(強度、比抵抗等)を向上させ得ることを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《軟磁性コンパウンド》
本発明は、鉄基軟磁性粒子と、該鉄基軟磁性粒子の表面に形成された被覆層と、該被覆層上に付着している結合樹脂とを有する軟磁性コンパウンドであって、該被覆層は、金属リン酸塩と芳香族化合物を含み、該結合樹脂は、芳香環を有する熱可塑性樹脂を含む軟磁性コンパウンドである。
本発明の軟磁性コンパウンド(単に「コンパウンド」という。)は、加熱して軟化・溶融されたとき、高い流動性を発現する。このため、鉄基軟磁性粒子の割合を増加させたときでも、ボンド磁心の成形性を確保できる。また、このコンパウンドを用いて成形されたボンド磁心は、高い強度を発現する。
詳細な機序は定かではないが、成形時の高流動性は被覆層中の金属リン酸塩の寄与が大きいと考えられる。また、ボンド磁心の高強度には、被覆層中の芳香族化合物と芳香環を有する結合樹脂との間に作用する結合力(πスタック)の寄与が大きいと考えられる。
《ボンド磁心》
本発明は、上述したコンパウンドを用いて成形されたボンド磁心(樹脂結合型軟磁性体)としても把握される。例えば、本発明は、被覆層を表面に有する鉄基軟磁性粒子が結合樹脂で結着されてなるボンド磁心であって、該被覆層は、金属リン酸塩と芳香族化合物を含み、該結合樹脂は、芳香環を有する熱可塑性樹脂を含むボンド磁心でもよい。
《製造方法》
(1)本発明は、上述したコンパウンドの製造方法としても把握される。例えば、本発明は、鉄基軟磁性粒子の表面に被覆層を形成する被覆工程と、該被覆工程後の鉄基軟磁性粒子に結合樹脂を付着させる付着工程とを備え、該被覆層は、金属リン酸塩と芳香族化合物を含み、該結合樹脂は、芳香環を有する熱可塑性樹脂を含む軟磁性コンパウンドの製造方法でもよい。
(2)本発明は、上述したボンド磁心の製造方法としても把握される。例えば、本発明は、上述したコンパウンドを用いて成形するボンド磁心の製造方法でもよい。
《その他》
(1)本明細書では、特に断らない限り、コンパウンドまたはボンド磁心の全体に対する鉄基軟磁性粒子または結合樹脂の割合は、体積割合(体積%)で示す。全体に対する鉄基軟磁性粒子の割合を、(磁粉)充填率という。なお、鉄基軟磁性粒子、金属リン酸塩等の成分組成は、特に断らない限り、質量割合(質量%)または原子割合(原子%)で示す。
(2)特に断らない限り本明細書でいう「x~y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a~b」のような範囲を新設し得る。
芳香族化合物(トリアジン系化合物)を例示した化学構造式である。 芳香族化合物(フェニル系化合物)を例示した化学構造式である。 コンパウンドの磁粉充填率とMVRの関係を示す散布図である。 ボンド磁心の磁粉充填率と曲げ強度の関係を示す散布図である。 ボンド磁心の比抵抗と曲げ強度の関係を示す散布図である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、方法的な構成要素であっても物に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《鉄基軟磁性粒子》
鉄基軟磁性粒子(「軟磁性粒子」または「鉄基粒子」ともいう。)は、Feを主成分とする鉄基材(純鉄、鉄合金、鉄化合物等)からなる粒子である。軟磁性粒子は、その全体を100質量%として、例えば、Feを85質量%以上、90質量%以上、94質量%以上さらには98質量%以上含むとよい。軟磁性粒子は、Fe以外に、例えば、Si、Al、B、Ni等の合金元素を含んでもよい。合金元素は、例えば、合計で1~10質量%さらには2~6質量%含まれるとよい。純鉄(不純物を含み得る)からなる軟磁性粒子を用いると、ボンド磁心の磁束密度を高め得る。Si等を含む鉄合金からなる軟磁性粒子を用いると、ボンド磁心の鉄損(主に渦電流損失)を低減させ得る。
軟磁性粒子の粒径(粒度)は問わないが、例えば、500μm以下(32メッシュ以上)さらには5~250μm(60~500メッシュ)であるとよい。本明細書でいう粒径は 篩い分けにより定める。メッシュ(mesh)のサイズと目開きの関係は、ASTM規格(または旧JIS規格)に依る。
《被覆層》
被覆層は、金属リン酸塩と芳香族化合物を含む。金属リン酸塩と芳香族化合物は、それぞれ層状に存在してもよいし、混在していてもよい。被覆層は、それら以外の物質(化合物等)をさらに含んでもよい。
(1)金属リン酸塩
金属リン酸塩は、金属元素(M)、PおよびOを少なくとも含む。鉄基軟磁性粒子をリン酸処理する場合、金属リン酸塩は、Mの少なくとも一つがFeである鉄リン酸塩を含む。
鉄リン酸塩は、FePOでもよいし、第1元素群(B、P、OおよびFe)と第2元素(Sr、Y、Ca、Mg等の一種以上)とからなるガラス状絶縁物(層、膜)等でもよい。
このようなガラス状絶縁物の詳細は、例えば、特許第4060101号公報、特許第5062946号公報、特開2005-93350号公報等に記載されている。
(2)芳香族化合物
芳香族化合物は、芳香環を有する有機化合物である。芳香環は、例えば、炭素の六員環であるベンゼン環、炭素と窒素の六員環であるトリアジン環である。芳香族化合物は、チオール基、アミノ基、メトキシシラン基またはエトキシシラン基の少なくとも一つである反応基を有するとよい。これらの反応基を介して、芳香族化合物は金属リン酸塩と強固に結合(主に共有結合:σ結合)し得る。
このような芳香族化合物(化学構造式)を図1Aと図1Bに例示した。図1Aに示した芳香族化合物はトリアジン環を有するトリアジン系化合物であり、図1Bに示した芳香族化合物はベンゼン環を有するフェニル系化合物である。
(3)構造
被覆層は、金属リン酸塩と芳香族化合物が混在した複合層でもよいし、鉄基軟磁性粒子の表面に形成された金属リン酸塩層(第1層)と金属リン酸塩層(第1層)上に形成された芳香族化合物層(第2層)との積層でもよい。複合層からなる被覆層は、効率的な形成が可能となる。積層からなる被覆層は、成形時の流動性、ボンド磁心の強度や絶縁性(比抵抗)を高次元で両立させ得る。
《結合樹脂》
結合樹脂は、芳香環を有する熱可塑性樹脂を含む。芳香環は、例えば、ベンゼン環である。このような熱可塑性樹脂として、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、熱可塑性ポリイミド(TPI)等がある。
《充填率》
コンパウンド全体(またはボンド磁心全体)に対する軟磁性粒子の存在割合(「磁粉充填率」または単に「充填率」という。)は、例えば、50~80体積%さらには65~75体積%であるとよい。充填率が過小であると、ボンド磁心の磁束密度が低下し得る。充填率が過大になると、ボンド磁心の成形性の低下や比抵抗の低下(鉄損の増加)等が生じ得る。
ここで被覆層の体積割合は、軟磁性粒子や結合樹脂と比較して僅かである。このため、充填率は、実質的に結合樹脂の存在割合として換言できる。その割合は、例えば、コンパウンド全体(またはボンド磁心全体)に対して20~50体積%さらには25~35体積%となる。
被覆層の割合を敢えていうなら、鉄基軟磁性粒子全体(磁粉全体)に対して、例えば、0.05~10質量%、0.1~5質量%さらには0.2~2.5質量%とするとよい。
《製造方法》
(1)コンパウンド
コンパウンドは、例えば、軟磁性粒子の表面に被覆層を形成する被覆工程と、被覆層を有する軟磁性粒子に結合樹脂を付着させる付着工程とにより得られる。
被覆工程は、例えば、軟磁性粒子の集合である原料粉末(単に「磁粉」ともいう。)を処理液中へ浸漬させるディップ法、磁粉へ処理液を噴霧する噴霧法等によりなされる。被覆工程は、例えば、金属リン酸塩層を形成する第1処理工程(化成処理工程)と、第1処理工程後に芳香族化合物層を形成する第2処理工程(塗布工程)によりなされる。第1処理工程では、例えば、リン酸塩を含む水溶液等(第1処理液)が用いられる。第2処理工程では、例えば、芳香族化合物をアルコール等の溶媒に溶解または分散させた溶液等(第2処理液)が用いられる。
付着工程は、例えば、被覆工程後の磁粉と結合樹脂とを加熱しつつ混合(混練を含む)してなされる。混練装置には、例えば、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー等を用いることができる。
ちなみに、第1処理工程により、軟磁性粒子の表面には、高密着力(さらには高抵抗)な金属リン酸塩層が形成され、その表面は水酸基が略均一的に生えた状態となっていると考えられる。第2処理工程で形成された芳香族化合物層中の反応基は、その水酸基と強固に結合(σ結合)し得る。また、その芳香族化合物層中の芳香環は、結合樹脂中の芳香環と強固に結合(π結合)し得る。その結果、被覆層がカップリング剤のように機能して、軟磁性粒子と結合樹脂は強固に結着されると考えられる。
(2)ボンド磁心
ボンド磁心は、例えば、コンパウンドを用いて、射出成形、圧縮成形、押出成形、トランスファー成形等することにより得られる。いずれの場合でも、コンパウンドを加熱して結合樹脂を溶融(軟化を含む)させた流動混合物が、キャビティ内で充填、冷却、固化(凝固)することで、ボンド磁心となる。ボンド磁心の形態は問わない。またボンド磁心は、成形後、さらに加工されて所望形状とされてもよい。
《用途》
ボンド磁心は、例えば、電磁機器のコアまたはヨークとして用いられる。軟磁性粒子が結合樹脂中に略均等に分散しているボンド磁心は高比抵抗であり、交番磁界中で作動する電磁機器(電動機等)のコアやヨークとして好適である。ボンド磁心は成形性に優れるため、例えば、複雑な形状のコアやヨークにも好適である。一例として、形状が複雑なスロットを有するロータコアにボンド磁心が用いられるとよい。
種々のコンパウンドおよびボンド磁心を製作して、それらの特性を評価した。このような具体例に基づいて本発明を以下に詳しく説明する。
《コンパウンドの製造》
(1)原料粉末(磁粉)
鉄基軟磁性粒子の原料粉末(磁粉)として、純鉄からなるガスアトマイズ粉を用意した。磁粉は、篩い分けにより粒度調整した。その粒度は、上限値~下限値→粒度の順で記載すると、106~212μm(65~150メッシュ)→159μmとした。粒度は、電磁式ふるい振とう器(レッチェ製)により分級(篩い分け)したときに用いたメッシュサイズの上限値と下限値の中央値である。軟磁性粉末に30μm未満の軟磁性粒子が含まれていないことは、SEMより確認している。
(2)被覆工程
磁粉の各粒子表面に、鉄リン酸塩層(第1層)と芳香族化合物層(第2層)を順に形成した。
鉄リン酸塩層は、特許第4060101号の記載に沿って形成した(第1処理工程)。具体的にいうと、先ず、イオン交換水(200ml)に、ホウ酸(HBO:3g)、リン酸(HPO:21g)および酸化ストロンチウム(SrO:8g)を撹拌溶解させた水溶液(第1処理液)を調製した。
次に、100mlのビーカに入れた磁粉(100g)の上から、その水溶液を滴下した(接触工程)。5分間放置した後、ビーカから取り出した磁粉を電気炉に入れて、大気中で300℃×30分間加熱して乾燥させた(乾燥工程)。こうして、鉄粒子(軟磁性粒子)の表面に鉄リン酸塩層が形成された第1処理磁粉を得た。
さらに、第1処理磁粉を、トリアジンの有機溶液(第2処理液)に浸漬して、鉄リン酸塩層上にトリアジン層(芳香族化合物層)を形成した(第2処理工程)。具体的にいうと、先ず、有機溶液は、溶媒(テトラヒドロフラン(THF):20g)に、エトキシトリアジンチオール:1g)を撹拌し溶解させて調製した。
次に、第1処理磁粉を、第2処理液に浸漬した後、攪拌しながら約80℃で有機溶媒を揮発させた。その後、約150℃で10分間加熱した後、常温まで冷却した。こうして、鉄粒子(軟磁性粒子)の表面に、鉄リン酸塩層およびトリアジン層が順に積層された第2処理磁粉を得た。
(3)付着工程
第2処理磁粉と結合樹脂(PPS:ポリプラスチックス株式会社製W202A)の粉末とを混練した(混練工程)。混練は、ラボプラストミルを用いて、大気中で、混練温度:300℃、混練時間:20分間として行った。こうして異形状(10×20mm)のコンパウンドを得た。本実施例では、そのコンパウンドまたはそのコンパウンドを用いて成形したボンド磁心を「試料1」という。
なお、第2処理磁粉と結合樹脂の混合割合(磁粉充填率)は種々変更した。磁粉充填率は、混合物全体に対する磁粉(被覆工程前)の体積割合(体積%)である。体積割合は、磁粉と結合樹脂の仕込み量(配合量)と各密度から換算して求めた。なお、特に断らない場合、試料(コンパウンドまたはボンド磁心)の磁粉充填率は65体積%とした(後述の図3参照)。
(4)比較試料
比較試料として、次のような試料C0、試料C1および試料C2も用意した。なお、特に断らない工程は、上述した試料1と同様に処理した。
被覆処理をしていない磁粉と結合樹脂を加熱混練したコンパウンドも用意した。そのコンパウンドまたはそのコンパウンドを用いて成形したボンド磁心を「試料C0」という。
上述した第1処理工程のみ行った磁粉と結合樹脂を加熱混練したコンパウンドも用意した。そのコンパウンドまたはそのコンパウンドを用いて成形したボンド磁心を「試料C1」という。
上述した第2処理工程のみ行った磁粉と結合樹脂を加熱混練したコンパウンドも用意した。そのコンパウンドまたはそのコンパウンドを用いて成形したボンド磁心を「試料C2」という。
《ボンド磁心》
各コンパウンドを用いてボンド磁心を圧縮成形した(成形工程)。圧縮成形は、油圧真空加熱プレス(株式会社井元製作所製11FD)を用いて行った。金型のキャビティは、断面が正方形の直方体状(100×100×5)とした。成形は、温度(コンパウンドの加熱温度):300℃、圧力:30MPa、窒素雰囲気として行った。
《測定》
(1)コンパウンド
磁粉充填率を変化させたコンパウンド(試料1と試料C0)について、溶融時の流動性(溶融粘度)を指標するメルトボリュームレイト(MVR: Melt Volume-Flow Rate)を測定した。測定には、メルトインデクサー(日本ダイニスコ株式会社製D500)を用いて、JIS K7210-1 規格に準じて行った。こうして得られた結果を図2Aにまとめて示した。
(2)ボンド磁心
磁粉充填率を変化させたコンパウンドを用いて得られたボンド磁心(試料1と試料C0)について、曲げ強度を測定した。曲げ強度は、JIS K7171規格に準じて、3点曲げ強度試験より算出した。こうして得られた結果を図2Bにまとめて示した。
被覆層の有無または構造が異なるコンパウンドを用いて得られたボンド磁心(試料1および試料C0~C2)について、曲げ強度と(体積)比抵抗を測定した。曲げ強度は、上述した方法により測定した。比抵抗は、各試験片(ボンド磁心)について、デジタルマルチメータ(株式会社エーディーシー製R6581)を用いて4端子法(JIS K7194)で測定された電気抵抗値と、その実寸法から求めた体積とに基づいて算出した。こうして得られた結果を図3にまとめて示した。
《評価》
(1)流動性
図2Aから明らかなように、鉄リン酸塩と芳香族化合物からなる被覆層を設けることにより、磁粉充填率を大きくしても、コンパウンドの流動性が確保されることがわかった。
(2)強度
図2Bから明らかなように、その被覆層を設けることにより、磁粉充填率を大きくしても、高強度なボンド磁心が得られることもわかった。
(3)比抵抗と強度
図3から明らかなように、その被覆層は、ボンド磁心の比抵抗と強度を高次元で両立させ得ることもわかった。
以上から明らかなように、本発明のコンパウンドを用いると、ボンド磁心の成形性または特性の向上を図れることが明らかとなった。

Claims (9)

  1. 鉄基軟磁性粒子と、該鉄基軟磁性粒子の表面に形成された被覆層と、該被覆層上に付着している結合樹脂とを有する軟磁性コンパウンドであって、
    該被覆層は、金属リン酸塩からなり該鉄基軟磁性粒子の表面に形成された第1層と、芳香族化合物からなり該第1層上に形成された第2層とを有し、
    該結合樹脂は、芳香環を有する熱可塑性樹脂を含み、
    該芳香族化合物は、トリアジン環を有するトリアジン系化合物であり、
    該熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)である軟磁性コンパウンド。
  2. 前記芳香族化合物は、チオール基、アミノ基、メトキシシラン基またはエトキシシラン基の少なくとも一つである反応基を有する請求項1記載の軟磁性コンパウンド。
  3. 前記トリアジン系化合物は、エトキシトリアジンチオールである請求項1または2に記載の軟磁性コンパウンド。
  4. 前記金属リン酸塩は、鉄リン酸塩である請求項1~のいずれかに記載の軟磁性コンパウンド。
  5. 前記鉄リン酸塩は、さらに、BおよびSrを含む請求項に記載の軟磁性コンパウンド。
  6. 前記鉄基軟磁性粒子は、純鉄である請求項1~5のいずれかに記載の軟磁性コンパウンド。
  7. 前記鉄基軟磁性粒子は、前記軟磁性コンパウンド全体に対して50~80体積%含まれる請求項1~のいずれかに記載の軟磁性コンパウンド。
  8. 被覆層を表面に有する鉄基軟磁性粒子が結合樹脂で結着されてなるボンド磁心であって、
    該被覆層は、金属リン酸塩と芳香族化合物を含み、
    該結合樹脂は、芳香環を有する熱可塑性樹脂を含み、
    請求項1~7のいずれかに記載の軟磁性コンパウンドを用いて得られるボンド磁心。
  9. 鉄基軟磁性粒子の表面に被覆層を形成する被覆工程と、
    該被覆工程後の鉄基軟磁性粒子に結合樹脂を付着させる付着工程とを備え、
    該被覆工程は、金属リン酸塩層を形成する第1処理工程と、該第1処理工程後に芳香族化合物層を形成する第2処理工程を有し
    請求項1~7のいずれかに記載の軟磁性コンパウンドの製造方法。
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