JP7406262B2 - 窒化物圧電体およびそれを用いたmemsデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウムと共に所定の元素を添加した窒化アルミニウムの圧電体およびそれを用いたMEMSデバイスに関するものである。
圧電現象を利用するデバイスは、幅広い分野において用いられており、小型化および省電力化が強く求められている携帯電話機などの携帯用機器において、その使用が拡大している。その一例として、薄膜バルク音響波共振子(Film Bulk Acoustic Resonator;FBAR)を用いたFBARフィルタがある。
FBARフィルタは、圧電応答性を示す薄膜の厚み縦振動モードを用いた共振子によるフィルタであり、ギガヘルツ帯域における共振が可能であるという特性を有する。このような特性を有するFBARフィルタは、低損失であり、かつ広帯域で動作可能であることから、携帯用機器のさらなる高周波対応化、小型化および省電力化に寄与することが期待されている。
このようなFBARに用いられる圧電体薄膜の圧電体材料としては、例えばスカンジウムを添加した窒化アルミニウム(特許文献1参照)や、安価なマグネシウムとニオブを添加した窒化アルミニウム(非特許文献1参照)等が挙げられる。特にスカンジウムを添加した窒化アルミニウムは、高い圧電定数を有し、次世代の高周波フィルタへの利用に期待されている。また、スカンジウムを添加した窒化アルミニウムは、圧力センサや加速度センサ、ジャイロセンサなどの物理センサ、アクチュエータ等の様々なMEMSデバイスへの利用に期待されている。
特開2009-10926号公報
M. Uehara, H. Shigemoto, Y. Fujio, t. Nagase, Y. Aida, K. Umeda and M. Akiyama, Appl. Phys. Lett. 111, 112901(2017)
しかしながら、スカンジウム(Sc)は高価な希土類元素であり、スカンジウムを添加した窒化アルミニウム(AlN)で構成された圧電体は他の物質で構成された圧電体と比較して、製造コストが高額になってしまうという問題点があった。
また、本発明者は、窒化アルミニウムにSc等の元素をドープさせると圧電定数等が向上し、ドープする元素の濃度が高くなればその圧電定数等も高くなる傾向があるのを発見した。しかし、窒化アルミニウムにドープできる単独元素の濃度の上限値は低く、そのままでは高い圧電定数等を有する圧電体を作製できないという問題点があった。
さらに、MEMSデバイスに用いられる圧電体は、そのMEMSデバイスの目的に応じた性能指数で評価する必要がある。特に、圧電体をアクチュエータやセンサとして利用する際には、電圧を印加した時に生ずる歪の大きさを示すd33や圧力を加えた時に生ずる電圧を示すg33の圧電定数を評価する必要がある。さらには、電気的エネルギーと機械的エネルギーの変換効率を表すkも重要な性能指数となる。しかし、これらの性能指数に関し、非特許文献1に記載の窒化アルミニウムを含めて、スカンジウムを添加した窒化アルミニウムの値と同程度またはそれを超えるものがないという問題点があった。
また、圧電定数d33の算出に当たっては、歪まないように拘束された圧電体に電界を印加した時に発生する応力e33と、圧電体に応力を作用させた際に生じる歪の比例定数C33が必要となる。また、圧電出力定数g33や電気機械結合定数kの算出では上記の物性値に加え、圧電体の誘電率ε33も必要である。一般に、圧電体薄膜はウルツ鉱型結晶構造がc軸方向に配向しているため、c軸成分の圧電性能指数が重要となる。
そこで、本発明は上述した事情に鑑み、何の元素も添加されていない窒化アルミニウムよりも高い性能指数(d33、e33、C33、g33およびkの少なくとも何れか1つ)の値を有する窒化物圧電体およびそれを用いたMEMSデバイスを提供することを目的とする。
ここで、「高い性能指数」とは、性能指数の数値が大きいことを意味するのではなく、優れた性能指数であることを意味する。
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究を続けた結果、窒化アルミニウム(AlN)にマグネシウム(Mg)と共に所定の元素(置換元素M)を添加する(ドープさせる)と高い性能指数の値を有する窒化アルミニウムを製造できることを見出し、以下のような画期的な圧電体を発明した。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、化学式Al1-X-YMgNで表され、X+Yが1より小さく、かつXは0より大きく1より小さく、Yは0より大きく1より小さい範囲にあることを特徴とする圧電体にある。ここで、Mは、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Os,Ir,Pt,Auの何れか1つを示す。
かかる第1の態様では、添加(ドープ)した元素(マグネシウムと置換元素M)と同濃度のスカンジウムを添加した窒化アルミニウムよりも高い性能指数(d33、e33、C33、g33およびkの少なくとも何れか1つ)の値を有する圧電体を提供することができる。
本発明の第2の態様は、X+Yが0.65以下で、かつXは0より大きく0.65より小さく、Yは0より大きく0.65より小さい範囲にあることを特徴とする第1の態様に記載の圧電体にある。
かかる第2の態様では、添加した元素(マグネシウムと置換元素M)と同濃度のスカンジウムを添加した窒化アルミニウムよりも高い性能指数(d33、e33、C33、g33およびkの少なくとも何れか1つ)の値を有する圧電体を提供することができる。
本発明の第3の態様は、X+Yが0.375以下で、かつXは0より大きく0.1875以下、Yは0より大きく0.1875以下の範囲にあることを特徴とする第1の態様に記載の圧電体にある。
かかる第3の態様では、添加した元素(マグネシウムと置換元素M)と同濃度のスカンジウムを添加した窒化アルミニウムよりも高い性能指数(d33、e33、C33、g33およびkの少なくとも何れか1つ)の値を有する圧電体を提供することができる。
本発明の第4の態様は、X+Yが0.125以下で、かつXは0より大きく0.0625以下で、Yは0より大きく0.0625以下の範囲にあることを特徴とする第1の態様に記載の圧電体にある。
かかる第4の態様では、添加した元素(マグネシウムと置換元素M)と同濃度のスカンジウムを添加した窒化アルミニウムよりも高い性能指数(d33、e33、C33、g33およびkの少なくとも何れか1つ)の値を有する圧電体を提供することができる。
本発明の第5の態様は、Mが、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Os,Ir,Pt,Auの何れか1つであることを特徴とする第1~第4の態様の何れか1つに記載の圧電体にある。
かかる第5の態様では、添加した元素(マグネシウムと置換元素M)と同濃度のスカンジウムを添加した窒化アルミニウムよりも、より高い性能指数(d33、e33、C33、g33およびkの少なくとも何れか1つ)の値を有する圧電体を提供することができる。
本発明の第6の態様は、Mが、CrまたはMnであることを特徴とする第1~第4の態様の何れか1つに記載の圧電体にある。
かかる第6の態様では、添加した元素(マグネシウムと置換元素M)の濃度(モル%)と同じ濃度X(モル%)のスカンジウムを添加したAl1-xScNと比較して、混合エンタルピーがより低く、さらに製造しやすい圧電体を提供することができる。また、元素(マグネシウムと置換元素M)を添加した窒化アルミニウムの方が、同濃度のスカンジウムを添加した窒化アルミニウムよりも混合エンタルピーが小さいので、スカンジウムよりも元素(マグネシウムと置換元素M)の固溶濃度を高めることができる。その結果、既存の圧電体よりもさらに高い性能指数の値を有する圧電体を提供することができる。
本発明の第7の態様は、第1~第6の態様の何れか1つに記載の圧電体を用いたMEMSデバイスにある。
ここで、「MEMSデバイス」とは、微小電気機械システムであれば特に限定されず、例えば、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどの物理センサやアクチュエータ、マイクロフォン、指紋認証センサ、振動発電機等が挙げられる。
かかる第7の態様では、これらの高い圧電定数d33の値を有する圧電体は、低損失であり、かつ広帯域で動作可能である。したがって、これらの圧電体を用いることにより、携帯用機器のさらなる高周波対応化、小型化および省電力化に寄与することができるMEMSデバイスを提供することができる。
図1はAl0.875Mg0.0625Cr0.0625N、Al0.875Sc0.125NおよびAl0.875Cr0.125Nの混合エンタルピーの値を示すグラフである。 図2は実施形態1に係るシミュレーションに用いたドープAlNの計算モデルの一例を示す図である。 図3はノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと格子定数比c/aとの関係を示すグラフである。 図4はノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと圧電応力定数e33との関係を示すグラフである。 図5はノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと弾性定数C33との関係を示すグラフである。 図6はノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと混合エンタルピーとの関係を示すグラフである。 図7はノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと電気機械結合係数kとの関係を示すグラフである。 図8はノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと圧電定数d33との関係を示すグラフである。 図9はノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと圧電出力定数g33との関係を示すグラフである。 図10は濃度X(Sc),X+Y(Mg+Cr)と圧電体の混合エンタルピーとの関係を示すグラフである。 図11は濃度X(Sc),X+Y(Mg+Cr)と圧電体の格子定数比c/aとの関係を示すグラフである。 図12は濃度X+Y(Mg+Cr)と圧電体の圧電応力定数e33との関係を示すグラフである。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る圧電体の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
まず、発明者が、アルミニウム(Al)と窒素(N)のみからなる窒化アルミニウム(ノンドープAlN)に対して行ったシミュレーションについて説明する。シミュレーションには、第1原理計算(first-principles calculation)と呼ばれる計算方法を採用しているVASP(Vienna Ab initio Simulation Package)というソフトウェアを用いた。ここで、第1原理計算とは、フィッティングパラメータ等を使用しない電子状態計算方法の総称であり、単位格子あるいは分子等を構成する各原子の原子番号と座標だけで、電子状態を計算することができる手法である。
本実施形態のシミュレーションでは、2個のアルミニウム原子と2個の窒素原子とからなる単位格子を、a軸、b軸、及びc軸方向にそれぞれ2倍した16個のアルミニウム原子と16個の窒素原子とからなるスーパーセルのウルツ鉱型結晶構造のノンドープAlNをシミュレーションに用いた。そして、このウルツ鉱型結晶構造のAlNに対して、原子座標、セル体積およびセル形状の全てを同時に動かして第1原理計算を行い、安定構造のノンドープAlNの電子状態を計算した。
表1は、第1原理計算で求めた安定構造のAlNの電子状態から算出したa軸方向の格子定数、c軸方向の格子定数およびa軸方向の格子定数とc軸方向の格子定数との比(c/a)の値(計算値)である。また、実際にスパッタ法を用いてノンドープAlN膜を成膜して、このAlN膜に対してX線回折法を用いて測定した実験値についても表1に示す。
この表に示すように、各計算値は、実験値とほぼ同じ数値となり、これらの相対誤差は1%以内に収まっている。この結果より、本実施形態におけるシミュレーションは、十分に信頼できることが分かった。
次に、窒化アルミニウム(AlN)に、マグネシウム(Mg)と共に置換元素M(Mは、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Os,Ir,Pt,Auの何れか1つを示す。)をドープさせることによって、置換元素MだけをドープしたAlNと比較して、より多くの元素(Mgと置換元素M)をドープさせることができることを示す。
その一例として、図1に、Mgと共に、置換元素MとしてCrをドープさせた窒化アルミニウム(Al0.875Mg0.0625Cr0.0625N)の混合エンタルピーと、同濃度のScのみをドープさせた窒化アルミニウム(Al0.875Sc0.125N)および同濃度のCrのみをドープさせた窒化アルミニウム(Al0.875Cr0.125N)の混合エンタルピーをそれぞれ示す。なお、各窒化アルミニウムの混合エンタルピー(ΔHmixing)は、VASPによって算出された各数値を下記の数1に代入することにより求めることができる。
この図から分かるように、Mgと共にCrをドープさせたAlNの混合エンタルピー(Mixing Enthalpy)は、同濃度のScのみをドープさせたAlNやCrのみをドープさせたAlNの混合エンタルピーよりも低いことが分かる。すなわち、CrをAlNに固溶させるよりも、同濃度の元素(Mg+Cr)をAlNに固溶させる方が熱力学的に有利であることが分かる。このことから、スカンジウムよりも元素(MgとCr)を多く(高い濃度で)AlNにドープできることが分かった。
なお、本実施形態では、Mgと共にCrをドープさせた窒化アルミニウム(Al0.875Mg0.0625Cr0.0625N)の混合エンタルピーを例に挙げて説明したが、Mgと共にCr以外の置換元素M(Reを除く)をドープさせた窒化アルミニウムの混合エンタルピーも同様に低くなる。したがって、スカンジウムよりも元素(Mg+置換元素M(Reを除く))を多く(高い濃度で)AlNにドープさせることができる。
次に、窒化アルミニウム(AlN)に、マグネシウム(Mg)と共に置換元素MをドープさせたドープAlNに対して行ったシミュレーションについて説明する。図2は、本実施形態に係るシミュレーションに用いた、マグネシウムと置換元素MとをドープさせたドープAlNの結晶構造の一例を示す図である。
この図に示すように、このドープAlNの結晶構造は、16個のAl原子と16個のN原子とからなる単位格子のうち、1個のAl原子をMg原子に置き換え、かつ1個のAl原子を置換元素M原子に置き換えたウルツ鉱型結晶構造となっている。ここで、Al原子数と、Mg原子数および置換元素M原子数との総数を1としたときの、Mg原子の個数をXとし、置換元素M原子の個数をYとする。すると、このシミュレーションに用いたドープAlNのMg原子の濃度Xおよび置換元素Mの濃度Yはいずれも0.0625となる。なお、これらのドープAlNは、上述した非特許文献1に記載された製造方法で実際に作製することができる。
本実施形態では、置換元素Mとして、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)を用いた。
これらのドープAlNやScのみをドープさせたAlNについても、ノンドープAlNの場合と同様に、第1原理計算により安定構造の電子状態を計算することができる。そして、この電子状態からa軸方向の格子定数、c軸方向の格子定数および格子定数比c/aの値を算出することができる。
そして、安定構造のノンドープAlN、ScのみをドープさせたAlNおよびドープAlNの結晶格子のそれぞれに微小な歪みを強制的に加える。すると、その際の全エネルギーの微小変化から、ノンドープAlN、ScのみをドープさせたAlNおよびドープAlNの圧電応力定数e33、弾性定数C33および誘電率ε33をそれぞれ計算することができる。すなわち、第1原理計算を用いて、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよびドープAlNの圧電応力定数e33、弾性定数C33および誘電率ε33をそれぞれ計算することができる。
表2に、得られたノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNの格子定数c、格子定数a、格子定数比c/a、圧電応力定数e33、弾性定数C33および誘電率ε33を示す。ここで、圧電応力定数e33は、大きい数値であればあるほど高い性能指数であることを示す。一方、弾性定数C33は、小さい数値であればあるほど高い性能指数であることを示す。
また、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと格子定数比c/aとの関係を示すグラフを図3に、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと圧電応力定数e33との関係を示すグラフを図4に、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと弾性定数C33との関係を示すグラフを図5にそれぞれ示す。
一方、c軸方向の圧電応力定数e33、弾性定数C33および誘電率ε33と、電気機械結合係数kとの間には、下記の数2の関係式が成り立つ。また、圧電定数d33と、圧電応力定数e33および弾性定数C33との間には、下記の数3の関係式がそれぞれ成立する。そこで、これらの関係式に、上記で算出されたノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよびドープAlNの圧電定数e33、弾性定数C33および誘電率ε33等をそれぞれ代入することによって、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよびドープAlNの電気機械結合係数k、圧電定数d33および圧電出力定数g33をそれぞれ算出することができる。なお、弾性定数C11、C12、C13や圧電応力定数e31は、圧電応力定数e33、弾性定数C33と同様にして算出することができる。
次に、得られたノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNの混合エンタルピー、電気機械結合係数k、圧電定数d33および圧電出力定数g33を表3に示す。ここで、電気機械結合係数k、圧電定数d33および圧電出力定数g33は、大きい数値であればあるほど、高い性能指数であることを示す。
また、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと混合エンタルピーとの関係を示すグラフを図6に、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと電気機械結合係数kとの関係を示すグラフを図7に、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと圧電定数d33との関係を示すグラフを図8に、ノンドープAlN、ScのみをドープしたAlNおよび各ドープAlNと圧電出力定数g33との関係を示すグラフを図9にそれぞれ示す。
また、上述した方法と同様の方法を用いて、表3に記載のものとは異なるドープAlNの圧電定数d33、圧電応力定数e33および弾性定数C33を算出した。その結果を表4に示す。
これらから、Mgと共に、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、Auの何れか1つをドープしたAlNは、何の原子もドープされていないAlNよりも高い性能指数(d33、e33、C33、g33およびkの少なくとも何れか1つ)の値を有することが分かった。
加えて、これらの高い性能指数を有する圧電体は、低損失であり、かつ広帯域で動作可能である。したがって、これらの圧電体を用いることにより、携帯用機器のさらなる高周波対応化、小型化および省電力化に寄与することができるMEMSデバイスを提供することができる。
なお、本実施形態では、化学式Al1-X-YMgNで表された圧電体のうち、X=0.0625、Y=0.0625のものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、X+Yが1より小さく、かつXは0より大きく1より小さく、Yは0より大きく1より小さい範囲あればよい。
そして、これらの変数X、Yは、X+Yが0.65以下で、かつXは0より大きく0.65より小さく、Yは0より大きく0.65より小さい範囲にあることが好ましい。この範囲であれば圧電体を確実に製造することができる。例えば、図10に示すように、置換元素MとしてCrをドープさせた圧電体の場合(MgとCrは同濃度(モル%)で添加されている)には、濃度X+Yが大きくなるにつれて混合エンタルピーが小さくなる。一方、Scをドープさせた圧電体の場合には、濃度Xが大きくなるにつれて混合エンタルピーは大きくなる。したがって、同濃度のScをドープさせた圧電体よりも、Mgと共にCrをドープさせた圧電体の方が製造しやすいことが分かる。
次に、図11に、濃度X+Y(MgとCrは同濃度(モル%)で添加されている)と圧電体の格子定数比c/aとの関係を示す。この図から分かるように、Mgと共にCrをドープさせた圧電体は、Scをドープさせた圧電体と同様に、X+Y(Scの場合はX)が大きくなるにつれて格子定数比c/aが低下することが分かる。
さらに、図12に、濃度X+Y(MgとCrは同濃度(モル%)で添加されている)と圧電体の圧電応力定数e33との関係を示す。この図から分かるように、Mgと共にCrをドープさせた圧電体は、X+Yが大きくなるにつれて圧電応力定数e33が高くなることが分かる。
また、これらの変数X、Yは、X+Yが0.375以下で、かつXは0より大きく0.1875以下、Yは0より大きく0.1875以下の範囲にあることがより好ましい。
さらに、これらの変数X、Yは、X+Yが0.125以下で、かつXは0より大きく0.0625以下、Yは0より大きく0.0625以下の範囲にあることが特に好ましい。

Claims (8)

  1. 化学式Al1-X-YMgNで表され、X+Yが1より小さく、かつXは0より大きく1より小さく、Yは0より大きく1より小さい範囲にあることを特徴とする窒化物材料。
    (Mは、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Re,Os,Ir,Pt,Auの何れか1つを示す。)
  2. X+Yが0.65以下で、かつXは0より大きく0.65より小さく、Yは0より大きく0.65より小さい範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の窒化物材料。
  3. X+Yが0.375以下で、かつXは0より大きく0.1875以下、Yは0より大きく0.1875以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の窒化物材料。
  4. X+Yが0.125以下で、かつXは0より大きく0.0625以下、Yは0より大きく0.0625以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の窒化物材料。
  5. Mが、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,W,Os,Ir,Pt,Auの何れか1つであることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の窒化物材料。
  6. Mが、CrまたはMnであることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の窒化物材料。
  7. 請求項1~6の何れか1項に記載の窒化物材料からなる圧電体。
  8. 請求項7に記載の圧電体を用いたMEMSデバイス。
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