JP7404053B2 - Snめっき材およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、Snめっき材およびその製造方法に関し、特に、ワイヤーハーネスなどの電線に接続される端子などの材料として使用されるSnめっき材およびその製造方法に関する。
従来、車両用のワイヤーハーネスなどの電線として銅または銅合金からなる電線が使用され、その電線に接続される端子などの材料として、銅または銅合金にSnめっきを施したSnめっき材が使用されている。
近年、車両の軽量化による燃費効率の向上のため、車両用のワイヤーハーネスなどの電線として、銅または銅合金より比重の小さいアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる電線が使用されている。
しかし、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる電線にSnめっき材からなる端子を加締めなどの圧着加工により接続すると、電位差の大きい異種金属の接触によるガルバニック腐食(卑な金属が溶解する異種金属接触腐食)が生じる可能性がある。
そのため、接続部分に防食剤や樹脂を塗布して異種金属接触腐食を防止しているが、生産性が低下し、製造コストが高くなる。
また、異種金属接触腐食を防止する端子として、電線の一端に露出した第一の金属(アルミニウム系材料)からなる芯線を加締め接続する芯線バレル部を有する電線接続部を備え、第一の金属よりもイオン化傾向が小さい第二の金属(銅系材料)により形成された端子であって、芯線バレル部が芯線を加締める前に、イオン化傾向が第一の金属と第二の金属の間である第三の金属(亜鉛)で電線接触部がめっき処理され、芯線バレル部における接続面のめっき層が加締め時に破壊される端子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、銅又は銅合金からなる基材の上にニッケル含有率が5~50質量%の亜鉛ニッケル合金層を0.1~5.0μmの厚さで形成し、この亜鉛ニッケル合金層の上に錫めっきを施して錫層を形成した後、40℃以上160℃以下で30分以上保持して亜鉛ニッケル合金層の合金を錫層に拡散させることにより、錫めっき付き銅端子材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2013-134891号公報(段落番号0008、0022) 特開2017-110290号公報(段落番号0010-0016)
しかし、特許文献1の端子では、電線接触部が第三の金属(亜鉛)でめっき処理され、加締め時にめっき層が破壊されるように非常に薄いめっき層を形成する必要があるので、長期間にわたって異種金属接触腐食を防止することが困難である。また、端子の材料として一般的に使用されているSnめっき材の表面に異種金属接触腐食防止層としてZnめっき層を形成しても、Znめっき層の密着性が悪く、Snめっき材を端子の材料として使用した場合に、端子形状に加工する際にZnめっき層が剥離し易くなることがわかった。
また、特許文献2の方法により製造された錫めっき付き銅端子材は、表面に光沢がなく(表面の反射濃度が低く)、銅端子を製造する際のプレスなどの工程において、外観センサが表面欠陥を誤検出するおそれがある。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、Snめっき材をアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる電線に加締めなどの圧着加工により接続する端子の材料として使用した場合に、耐食性が良好であり且つ表面の反射濃度が高いSnめっき材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、銅または銅合金からなる基材の表面にNiめっき皮膜を形成し、このNiめっき皮膜の表面にZnめっき皮膜を形成し、このZnめっき皮膜の表面にSnめっき皮膜を形成した後、Snの融点以上の温度で加熱することにより、Snめっき材をアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる電線に加締めなどの圧着加工により接続する端子の材料として使用した場合に、耐食性が良好であり且つ表面の反射濃度が高いSnめっき材を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によるSnめっき材の製造方法は、銅または銅合金からなる基材の表面にNiめっき皮膜を形成し、このNiめっき皮膜の表面にZnめっき皮膜を形成し、このZnめっき皮膜の表面にSnめっき皮膜を形成した後、Snの融点以上の温度で加熱することを特徴とする。
このSnめっき材の製造方法において、Niめっき皮膜の平均厚さが0.1~1.0μm、Znめっき皮膜の平均厚さが0.1~6.0μm、Snめっき皮膜の平均厚さが0.1~6.0μmであるのが好ましい。また、上記の加熱により、基材の表面にNi層を介してSn相と複数のZn相とからなる最表層を形成し、この最表層のZn相の一部を最表層の表面に露出させるのが好ましく、複数のZn相をSn相内で互いに離間して形成するのがさらに好ましい。この場合、最表層の表面に露出したZn相が占める面積の割合が1~90面積%であるのが好ましく、最表層が5~90質量%のZnを含むのが好ましい。また、最表層の表面に露出したZn相の長径が0.1~5.0μm、短径が0.1~5.0μmであり、アスペクト比が1.0~5.0であるのが好ましい。
また、本発明によるSnめっき材は、銅または銅合金からなる基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層のZn相の一部が最表層の表面に露出していることを特徴とする。
このSnめっき材において、複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成されているのが好ましい。また、最表層の表面に露出したZn相が占める面積の割合が1~90面積%であるのが好ましく、最表層が5~90質量%のZnを含むのが好ましい。また、最表層の表面に露出したZn相の長径が0.1~5.0μm、短径が0.1~5.0μmであり、アスペクト比が1.0~5.0であるのが好ましい。また、Ni層の平均厚さが0.1~1.0μmであるのが好ましく、最表層の平均厚さが0.2~7.0μmであるのが好ましい。また、最表層の表面の反射濃度が0.3以上であるのが好ましい。
本発明によれば、Snめっき材をアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる電線に加締めなどの圧着加工により接続する端子の材料として使用した場合に、耐食性が良好であり且つ表面の反射濃度が高いSnめっき材を製造することができる。
実施例1のSnめっき材の断面を模式的に示す図である。 実施例3のSnめっき材の断面の5,000倍の走査イオン顕微鏡像(SIM像)である。
本発明によるSnめっき材の製造方法の実施の形態では、銅または銅合金からなる基材の表面に(好ましくは平均厚さ0.1~1.0μm、さらに好ましくは0.2~0.5μmの)Niめっき皮膜を形成し、このNiめっき皮膜の表面に(好ましくは平均厚さ0.1~6.0μm、さらに好ましくは0.5~3.0μmの)Znめっき皮膜を形成し、このZnめっき皮膜の表面に(好ましくは平均厚さ0.1~6.0μm、さらに好ましくは0.5~3.0μmの)Snめっき皮膜を形成した後、Snの融点(232℃)以上の温度で加熱(リフロー処理)することにより、基材の表面にNi層を介してSn相(85質量%以上Snを含み、残部がZn(またはZnとNi)である相)と複数のZn相(85質量%以上のZnを含み、残部がSn(またはSnとNi)である相)とからなる最表層を形成し、この最表層の複数のZn相をSn相内で互いに離間(または当接)して形成し且つZn相の一部を最表層の表面に露出させる。この最表層の表面に露出したZn相が占める面積の割合は好ましくは1~90面積%(さらに好ましくは1.5~86面積%)であり、最表層は好ましくは5~90質量%(さらに好ましくは10~90質量%)のZnを含む。また、最表層の表面に露出したZn相の長径は、好ましくは0.1~5.0μm(さらに好ましくは0.1~3.0μm)、短径は、好ましくは0.1~5.0μm(さらに好ましくは0.1~3.0μm)であり、アスペクト比は、好ましくは1.0~5.0(さらに好ましくは1.0~3.5)である。なお、このアスペクト比が高過ぎると、Snめっき材を電線に加締めなどの圧着加工により接続する端子の材料として使用した場合に、端子の接続部の表面にSn相が存在し難く、接触信頼性が不十分になるおそれがある。
また、本発明によるSnめっき材の実施の形態は、銅または銅合金からなる基材の表面に(好ましくは平均厚さ0.1~1.0μm、さらに好ましくは0.2~0.5μmの)Ni層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる(好ましくは平均厚さ0.2~7.0μm、さらに好ましくは0.5~6.0μmの)最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間(または当接)して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出している。この最表層の表面に露出したZn相が占める面積の割合は好ましくは1~90面積%(さらに好ましくは1.5~86面積%)であり、最表層は好ましくは5~90質量%(さらに好ましくは10~90質量%)のZnを含む。また、最表層の表面に露出したZn相の長径は、好ましくは0.1~5.0μm(さらに好ましくは0.1~3.0μm)、短径は、好ましくは0.1~5.0μm(さらに好ましくは0.1~3.0μm)であり、アスペクト比は、好ましくは1.0~5.0(さらに好ましくは1.0~3.5)である。また、最表層の表面の反射濃度が0.3以上であるの好ましく、0.4以上であるのがさらに好ましく、0.7以上であるのが最も好ましい。
以下、本発明によるSnめっき材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、50mm×50mm×0.20mmの大きさのCu-Ni-Sn-P系合金からなる平板状の導体基材(1.0質量%のNiと0.9質量%のSnと0.05質量%のPを含み、残部がCuである銅合金の基材)(DOWAメタルテック株式会社製のNB-109)を用意した。
次に、前処理として、基材(被めっき材)をアルカリ電解脱脂液により10秒間電解脱脂を行った後に水洗し、その後、100g/Lの硫酸に浸漬して酸洗した後に水洗した。
次に、前処理後の基材(被めっき材)の一方の面以外の部分にマスキングテープを貼り付けた後、342g/Lのスルファミン酸ニッケルと45g/Lのホウ酸を含むNiめっき液中において、前処理後の基材(被めっき材)を陰極とし、Ni板を陽極として、電流密度4A/dm、液温55℃で26秒間電気めっきを行うことにより、基材上に平均厚さ0.3μmのNiめっき層を形成した。
次に、200g/Lの硫酸亜鉛と30g/Lの硫酸アンモニウムを含む水溶液からなるZnめっき浴(硫酸浴)中において、Niめっき後の基材を陰極とし、Zn板を陽極として、電流密度10A/dm、液温50℃で12秒間電気めっきを行うことにより、Niめっき層の表面に平均厚さ0.3μmのZnめっき層を形成した。
次に、16g/Lのメタンスルホン酸錫と96g/Lのメタンスルホン酸と40mL/Lの添加剤(石原ケミカル株式会社製のUTB PF-190S)を含むSnめっき液中において、Znめっき後の基材を陰極とし、Sn板を陽極として、電流密2A/dm、液温50℃で42秒間電気めっきを行うことにより、Znめっき層の表面に平均厚さ0.3μmのSnめっき層を形成した後、マスキングテープを剥がしてSnめっき材を得た。
次に、得られたSnめっき材を洗浄して乾燥した後、熱処理(リフロー処理)を行った。このリフロー処理では、2つの近赤外線ヒーター(株式会社ハイベック製のHYP-8N、定格電圧100V、定格電力560W、平行照射タイプ)を25mm離間して対向するように配置し、これらの近赤外線ヒーターの中央部にSnめっき材を配置して、設定電流値を10.8Aとして、大気雰囲気においてSnめっき材を(最高到達温度650℃で)14秒間加熱してSnめっき層の表面を溶融させた直後に25℃の水槽内に浸漬して冷却した。なお、最高到達温度は、遠赤外線ヒータの中央部にK熱電対の先端を当接させて測定した。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材を集束イオンビーム(FIB)加工観察装置(日本電子株式会社製のJIB-4000)により切断して、Snめっき材の圧延方向に垂直な断面を露出させ、その断面をFIB加工観察装置に付属する走査イオン顕微鏡(SIM)により観察した。その結果、この断面の走査イオン顕微鏡像(SIM像)により、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、このSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ0.6μmであることが確認された。
また、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察することにより、Snめっき材の表面のZn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出した。このSnめっき材の表面のZn相の面積率は、試験片の表面に卓上電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製のTM4000Plus)により加速電圧15kVで電子線を照射して反射電子検出器から得られた(倍率500倍の)反射電子組成(COMPO)像を、画像解析アプリケーション(画像編集・加工ソフトGIMP2.10.6)を使用して、(全ピクセルのうち最も高い輝度を255、最も低い輝度を0とすると、輝度が127以下のピクセルが黒、輝度が127を超えるピクセルが白になるように)階調を二値化し、(85質量%以上のSnを含む)Sn相の部分(白い部分)と(85質量%以上のZnを含む)Zn相の部分(黒い部分)に分離して、画像全体のピクセル数Xに対するZn相の部分のピクセル数Yの比Y/Xとして算出した。その結果、Snめっき材の表面のZn相が占める面積の割合(面積率)は、36.2面積%であった。
また、リフロー処理後のSnめっき材の表面を卓上電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製のTM4000Plus)により、加速電圧15kV、倍率100倍で観察し、この観察領域において最表層中のZnの量を上記の卓上電子顕微鏡に付属するエネルギー分散型X線分析装置(Oxford社製のAZtec One)により求めたところ、51.0質量%であった。
また、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察することにより、Snめっき材の表面のZn相の長径(Zn相が内接する長方形の面積が最小となる長方形の長辺の長さ)と、短径(その長方形の短辺の長さ)を測定し、短径に対する長径の比(長径/短径(アスペクト比))を算出した。このSnめっき材の表面のZn相の長径および短辺は、試験片の表面に卓上電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製のTM4000Plus)により加速電圧15kVで電子線を照射して反射電子検出器から得られた(倍率2000倍の)反射電子組成(COMPO)像を、画像解析アプリケーション(画像編集・加工ソフトGIMP2.10.6)を使用して、(全ピクセルのうち最も高い輝度を255、最も低い輝度を0とすると、輝度が127以下のピクセルが黒、輝度が127を超えるピクセルが白になるように)階調を二値化し、(85質量%以上のSnを含む)Sn相の部分(白い部分)と(85質量%以上のZnを含む)Zn相の部分(黒い部分)に分離して、20個のZn相について、それぞれの長径と短径を測定して、それぞれの平均値をZn相の長径および短径とし、アスペクト比(長径/短径)を算出した。その結果、Zn相の長径は2.0μm、短径は1.3μmであり、アスペクト比は1.6であった。
なお、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部を卓上電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製のTM4000Plus)により、加速電圧15kV、倍率5000倍で観察し、この卓上電子顕微鏡に付属するエネルギー分散型X線分析装置(Oxford社製のAZtec One)を使用して、Sn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、90.9質量%のSnと7.4質量%のZnと1.7質量%のNiからなる相であり、Zn相は、95.9質量%のZnと2.4質量%のSnと1.7質量%のNiからなる相であった。
また、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した50mm×10mm×0.20mmの大きさの試験片の最表層(Sn相およびZn相)を外側にして、このSnめっき材により直径0.8mm、長さ30mmの純アルミニウム単線(A1070)を加締めた後、5質量%のNaCl水溶液中に浸漬し、ガルバニック腐食(卑な金属が溶解する異種金属接触腐食)によるガスの発生時間によって耐食性を評価した。その結果、ガスが発生するまでの時間は24時間と長く、耐食性が良好であった。
また、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度(絶対濃度)をマクベス濃度計(Macbeth社製のRD-918)により測定したところ、1.6であった。
[実施例2]
電気めっき時間を20秒間として平均厚さ0.5μmのZnめっき層を形成し、電気めっき時間を70秒間として平均厚さ0.5μmのSnめっき層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ1.1μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、20.8面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、37.4質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は2.0μm、短径は1.4μmであり、アスペクト比は1.5であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、95.0質量%のSnと3.1質量%のZnと1.9質量%のNiからなる相であり、Zn相は、94.8質量%のZnと3.1質量%のSnと2.1質量%のNiからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は72時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.3であった。
[実施例3]
電気めっき時間を35秒間として平均厚さ0.4μmのNiめっき層を形成し、電気めっき時間を20秒間として平均厚さ0.5μmのZnめっき層を形成し、電気めっき時間を140秒間として平均厚さ1.0μmのSnめっき層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。なお、このSnめっき材の断面のSIM像を図2に示す。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.4μmであり、最表層の厚さ1.5μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、18.7面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、33.5質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は2.9μm、短径は1.9μmであり、アスペクト比は1.6であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、92.2質量%のSnと6.6質量%のZnと1.2質量%のNiからなる相であり、Zn相は、95.5質量%のZnと3.1質量%のSnと1.4質量%のNiからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は144時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.0であった。
[実施例4]
電気めっき時間を17秒間として平均厚さ0.2μmのNiめっき層を形成し、電気めっき時間を20秒間として平均厚さ0.5μmのZnめっき層を形成し、電気めっき時間を420秒間として平均厚さ3.0μmのSnめっき層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.2μmであり、最表層の厚さ3.2μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、5.0面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、13.9質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は0.7μm、短径は0.3μmであり、アスペクト比は2.2であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、91.9質量%のSnと6.9質量%のZnと1.2質量%のNiからなる相であり、Zn相は、95.5質量%のZnと3.6質量%のSnと0.9質量%のNiからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は72時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、0.7であった。
[実施例5]
電気めっき時間を20秒間として平均厚さ0.5μmのZnめっき層を形成し、電気めっき時間を700秒間として平均厚さ5.0μmのSnめっき層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ5.3μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、1.5面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、11.7質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は0.7μm、短径は0.l2μmであり、アスペクト比は3.2であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、96.6質量%のSnと3.4質量%のZnからなる相であり、Zn相は、95.6質量%のZnと4.4質量%からなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は72時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、0.6であった。
[実施例6]
電気めっき時間を40秒間として平均厚さ1.0μmのZnめっき層を形成し、電気めっき時間を140秒間として平均厚さ1.0μmのSnめっき層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ2.1μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、9.1面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、18.0質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は1.5μm、短径は0.9μmであり、アスペクト比は2.1であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、92.3質量%のSnと6.9質量%のZnと0.8質量%のNiからなる相であり、Zn相は、95.7質量%のZnと2.3質量%のSnと2.0質量%のNiからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は120時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.3であった。
[実施例7]
電気めっき時間を87秒間として平均厚さ1.0μmのNiめっき層を形成し、電気めっき時間を40秒間として平均厚さ1.0μmのZnめっき層を形成し、電気めっき時間を140秒間として平均厚さ1.0μmのSnめっき層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは1.0μmであり、最表層の厚さ2.0μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、8.8面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、17.6質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は2.0μm、短径は1.2μmであり、アスペクト比は1.8であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、91.6質量%のSnと7.1質量%のZnと1.3質量%のNiからなる相であり、Zn相は、95.6質量%のZnと2.8質量%のSnと1.6質量%のNiからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は120時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.3であった。
[実施例8]
電気めっき時間を80秒間として平均厚さ2.0μmのZnめっき層を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.4μmであり、最表層の厚さ3.2μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、4.0面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、10.8質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は1.1μm、短径は0.7μmであり、アスペクト比は1.8であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、94.0質量%のSnと5.3質量%のZnと0.7質量%のNiからなる相であり、Zn相は、97.1質量%のZnと2.1質量%のSnと0.8質量%のNiからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は120時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.5であった。
[実施例9]
電気めっき時間を17秒間として平均厚さ0.2μmのNiめっき層を形成し、電気めっき時間を200秒間として平均厚さ5.0μmのZnめっき層を形成した以外は、実施例2と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに当接して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.2μmであり、最表層の厚さ5.5μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、20.8面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、49.5質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は1.8μm、短径は1.0μmであり、アスペクト比は2.2であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、96.8質量%のSnと3.2質量%のZnからなる相であり、Zn相は、96.6質量%のZnと3.4質量%のSnからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は48時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.5であった。
[実施例10]
電気めっき時間を35秒間として平均厚さ0.4μmのNiめっき層を形成し、電気めっき時間を80秒間として平均厚さ2.0μmのZnめっき層を形成し、電気めっき時間を140秒間として平均厚さ1.0μmのSnめっき層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を得た後、加熱時間を18秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに離間して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ3.0μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、60.1面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、66.8質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は0.8μm、短径は0.5μmであり、アスペクト比は1.7であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、93.4質量%のSnと6.0質量%のZnと0.6質量%のNiからなる相であり、Zn相は、98.3質量%のZnと1.2質量%のSnと0.5質量%のNiからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は120時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.5であった。
[実施例11]
電気めっき時間を17秒間として平均厚さ0.2μmのNiめっき層を形成し、電気めっき時間を200秒間として平均厚さ5.0μmのZnめっき層を形成し、電気めっき時間を70秒間として平均厚さ0.5μmのSnめっき層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を得た後、実施例10と同様の方法により、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面を分析したところ、Snめっき材の基材の表面にNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる最表層が形成され、この最表層の複数のZn相がSn相内で互いに当接して形成され且つZn相の一部が最表層の表面に露出していることが確認された。また、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ5.6μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、85.3面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、89.1質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面のZn相の長径および短径の平均値を算出し、アスペクト比(長径/短径)を算出したところ、Zn相の長径は2.3μm、短径は1.4μmであり、アスペクト比は2.0であった。
なお、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面に露出しているSn相とZn相のそれぞれの中央部の組成を点分析により求めたところ、Sn相は、94.5質量%のSnと5.5質量%のZnからなる相であり、Zn相は、97.0質量%のZnと3.0質量%のSnからなる相であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は72時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.4であった。
[比較例1]
Niめっき層とZnめっき層を形成しなかった以外は、実施例3と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は24時間より短く、耐食性が良好でなかった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.7であった。
[比較例2]
Znめっき層を形成しなかった以外は、実施例3と同様の方法により、Snめっき材を得た後、リフロー処理を行った。
このようにしてリフロー処理を行ったSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層の厚さを測定したところ、0.3μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は24時間より短く、耐食性が良好でなかった。
また、実施例1と同様の方法により、リフロー処理後のSnめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、1.6であった。
[比較例3]
実施例6と同様の方法によりSnめっき材を得た後、リフロー処理を行わなかった。
このSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ2.0μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、0面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、0.2質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は24時間より短く、耐食性が良好でなかった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、0.2と低かった。
[比較例4]
実施例6と同様の方法によりSnめっき材を得た後、リフロー処理に代えて、160℃で60分間加熱する熱処理を行った。
この熱処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ2.1μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、0面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、2.7質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は72時間と長く、耐食性が良好であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、0.2と低かった。
[比較例5]
Znめっき層の形成に代えて、32g/Lの塩化亜鉛と66g/Lの塩化ニッケルと240g/Lの塩化アンモニウムと100mL/Lの添加剤(株式会社大和化成研究所製のダインジンアロイAD2)と42g/Lのアンモニア(25%)を含む水溶液からなるZn-Ni合金めっき浴中において、Niめっき後の基材を陰極とし、Ni板を陽極として、電流密度4A/dm、液温45℃で150秒間電気めっきを行うことにより、Niめっき層の表面に平均厚さ1.0μmのZn-Ni合金めっき層を形成した以外は、実施例6と同様の方法によりSnめっき材を得た後、リフロー処理に代えて、160℃で60分間加熱する熱処理を行った。
この熱処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、断面のSIM像からNi層と最表層の厚さを測定したところ、Ni層の厚さは0.3μmであり、最表層の厚さ2.0μmであることが確認された。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面を観察して、Zn相が占める面積の割合(面積率(面積%))を算出したところ、0面積%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の最表層中のZnの量を求めたところ、2.6質量%であった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材から切り出した試験片の耐食性を評価したところ、ガスが発生するまでの時間は24時間より短く、耐食性が良好でなかった。
また、実施例1と同様の方法により、Snめっき材の表面の反射濃度を測定したところ、0.2と低かった。
これらの実施例および比較例で得られたSnめっき材の製造条件および特性を表1~表3に示す。
Figure 0007404053000001
Figure 0007404053000002
Figure 0007404053000003
10 基材
12 Ni層
14 最表層
14a Sn相
14b Zn相

Claims (10)

  1. 銅または銅合金からなる基材の表面に平均厚さ0.1~1.0μmのNiめっき皮膜を形成し、このNiめっき皮膜の表面に平均厚さ0.1~6.0μmのZnめっき皮膜を形成し、このZnめっき皮膜の表面に平均厚さ0.1~6.0μmのSnめっき皮膜を形成した後、Snの融点以上の温度で加熱することを特徴とする、Snめっき材の製造方法。
  2. 前記加熱により、前記基材の表面にNi層を介してSn相と複数のZn相とからなる最表層を形成し、この最表層のZn相の一部を最表層の表面に露出させることを特徴とする、請求項に記載のSnめっき材の製造方法。
  3. 前記加熱により、前記複数のZn相をSn相内で互いに離間して形成することを特徴とする、請求項に記載のSnめっき材の製造方法。
  4. 前記最表層の表面に露出したZn相が占める面積の割合が1~90面積%であることを特徴とする、請求項またはに記載のSnめっき材の製造方法。
  5. 前記最表層が5~90質量%のZnを含むことを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載のSnめっき材の製造方法。
  6. 前記最表層の表面に露出したZn相の長径が0.1~5.0μm、短径が0.1~5.0μmであり、アスペクト比が1.0~5.0であることを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載のSnめっき材の製造方法。
  7. 前記Niめっき皮膜、Znめっき皮膜およびSnめっき皮膜の形成が電気めっきにより行われることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のSnめっき材の製造方法。
  8. 銅または銅合金からなる基材の表面に平均厚さ0.1~1.0μmのNi層が形成され、このNi層の表面にSn相と複数のZn相とからなる平均厚さ0.2~7.0μmの最表層が形成され、複数のZn相がSn相内で互いに離間し、最表層のZn相の一部が最表層の表面に露出し、最表層の表面に露出したZn相が占める面積の割合が1~90面積%であり、最表層が10.8~90質量%のZnを含むことを特徴とする、Snめっき材。
  9. 前記最表層の表面の反射濃度をマクベス濃度計(Macbeth社製のRD-918)により測定すると0.3以上であることを特徴とする、請求項に記載のSnめっき材。
  10. 前記最表層の表面に露出したZn相の長径が0.1~5.0μm、短径が0.1~5.0μmであり、アスペクト比が1.0~5.0であることを特徴とする、請求項8または9に記載のSnめっき材。
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