JP7401300B2 - 低カリウム木質バイオマス灰の製造方法、木質バイオマス灰のカリウム低減方法、セメントの製造方法、及び木質バイオマス灰のセメント資源化方法 - Google Patents

低カリウム木質バイオマス灰の製造方法、木質バイオマス灰のカリウム低減方法、セメントの製造方法、及び木質バイオマス灰のセメント資源化方法 Download PDF

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Description

本発明は、低カリウム木質バイオマス灰の製造方法、木質バイオマス灰のカリウム低減方法、セメントの製造方法、及び木質バイオマス灰のセメント資源化方法に関する。
再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)が開始されて以降、安定した売電事業収益が見込めることから、木質バイオマス発電設備の認定件数は増加傾向にある。これに伴い、木質バイオマスの燃焼灰である木質バイオマス灰は、今後発生量の増加が見込まれており、その有効利用方法の確立が望まれている。
木質バイオマス灰を大量に有効利用する方法の一つとして、セメント資源化が挙げられる。しかし、木質バイオマス灰は、植物に含まれるカリウムが濃縮されており、これをそのままセメント原料として用いると、セメント中のアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム、特にカリウム)量が増加して品質が低下してしまうことがある。このため、木質バイオマス灰からカリウムの含有量を低減する技術の開発が望まれている。
従来、アルカリ金属成分を多く含む廃棄物のアルカリ金属量を低減する技術は広く知られている。そのような技術としては、塩素原子を含む成分とアルカリ金属とを反応させ、揮発又は水洗で除去する方法が挙げられる。
例えば、ナトリウムを含有する廃ガラスに関しては、第2族元素を含有する塩化物との混合物を所定の温度で加熱し、その後、水洗する方法が開示されている(特許文献1参照)。また、アルカリ金属量を低減する技術としては、例えば、塩素含有樹脂とカルシウム含有物との混合物を処理する方法(特許文献2参照)、所定の温度で酸性ガスと接触させることによって生じる塩を水洗する方法(特許文献3参照)等が開示されている。
さらに、塩素含有廃棄物の処理を目的に、廃ガラス等のアルカリ金属成分を添加するという着想の技術も種々知られている。例えば、加熱温度を調整する方法、カルシウム化合物を添加する方法、原料の粒径等を調整する方法などが開示されている(特許文献4~6参照)。
特開2018-118229号公報 特開2018-118888号公報 特許第4373621号公報 特許第4087657号公報 特許第4814445号公報 特許第4549559号公報
しかしながら、これらの先行技術は、木質バイオマス灰のカリウムの低減に関するものではない。木質バイオマス発電設備で発生する木質バイオマス灰の多くは、難溶性カリウムを含有している。この難溶性カリウムは、アルミノシリケート(結晶)構造内にカリウムが取り込まれていると考えられ、非晶質のガラス構造内にあるナトリウムを除去する場合に比べて、容易には除去することができない。
また、特許文献1、2、及び6に記載されているように、塩素含有廃棄物である樹脂類とアルカリ金属成分含有廃棄物である無機物とを混合処理すると、処理物が有機-無機の混合物となることが予想される。このような混合物は、セメント原料として使用するに際して、キルンに投入する前に燃焼しないような工夫が必要となる場合がある。そのため、木質バイオマス灰のカリウム含有量を低減し、さらにカリウム含有量が低減された木質バイオマス灰をセメント原料としての利用するためには、これらの特性に適した処理技術が必要となる。
そこで、本発明は、木質バイオマス灰からカリウムが低減された木質バイオマス灰を得る新規な低カリウム木質バイオマス灰の製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らが、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触させて塩化カリウムを生成させ、当該塩化カリウムを水洗除去することが木質バイオマス灰からカリウムを低減する上で最も実用性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一側面は、木質バイオマス灰からカリウム量が低減された木質バイオマス灰を得る低カリウム木質バイオマス灰の製造方法に関する。当該製造方法は、木質バイオマス灰を500~850℃に加熱し、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触させる第1の工程と、接触後の木質バイオマス灰を水によって洗浄し、可溶分を除去する第2の工程とを備える。木質バイオマス灰は、ケイ素及びアルミニウムから構成されるアルミノシリケート構造を有し得る。当該製造方法によれば、最終生成物に有機物を残存させることなく、木質バイオマス灰のアルミノシリケート(結晶)構造内に取り込まれているような難溶性カリウム量を低減して、低カリウム木質バイオマス灰を得ることができる。低カリウム木質バイオマス灰は、カリウム量が低減されていることから、セメント原料として安定的に利用することができる。
第1の工程において、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触させる時間は、15分以上であってよい。また、第1の工程において、塩化水素を含むガス中の塩化水素の平均体積濃度は、20~90%であってよい。さらに、第1の工程において、塩化水素は、塩素含有プラスチックを250~450℃に加熱することによって発生する塩化水素であってよい。
第2の工程において、接触後の木質バイオマス灰に対する水の質量比(水の質量/接触後の木質バイオマス灰の質量)は、1~20であってよい。第2の工程において、水は、塩化水素を含む塩酸水であってよい。
本発明の他の一側面は、木質バイオマス灰に含まれるカリウム量を低減する木質バイオマス灰のカリウム低減方法に関する。当該カリウム低減方法は、木質バイオマス灰を500~850℃に加熱し、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触させる第1の工程と、接触後の木質バイオマス灰を水によって洗浄し、可溶分を除去する第2の工程とを備える。当該カリウム低減方法によれば、最終生成物に有機物を残存させることなく、木質バイオマス灰のアルミノシリケート(結晶)構造内に取り込まれているような難溶性カリウム量を低減することができる。
本発明の他の一側面は、セメントの製造方法に関する。当該製造方法は、上述の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰をセメント原料として使用する工程を備える。
本発明の他の一側面は、木質バイオマス灰のセメント資源化方法に関する。当該セメント資源化方法は、上述の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰をセメント原料として使用するものである。
本発明によれば、木質バイオマス灰からカリウムが低減された木質バイオマス灰を得る新規な低カリウム木質バイオマス灰の製造方法が提供される。また、本発明によれば、木質バイオマス灰に含まれるカリウム量を低減することが可能な木質バイオマス灰のカリウム低減方法が提供される。さらに、本発明によれば、上述の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰を用いたセメントの製造方法及び木質バイオマス灰のセメント資源化方法が提供される。
図1は、実施例で用いた反応装置の概略を示す図である。図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[低カリウム木質バイオマス灰の製造方法]
一実施形態の低カリウム木質バイオマス灰の製造方法は、木質バイオマス灰からカリウム量が低減された木質バイオマス灰を得るものである。本実施形態の製造方法は、少なくとも第1の工程及び第2の工程を備える。
<第1の工程>
本工程は、木質バイオマス灰を500~850℃に加熱し、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触させる工程である。
木質バイオマス灰とは、林地残材、製材工場の残材、建設廃材、パームヤシ殻等の木質資源を燃焼させた際に発生する灰であり、燃焼装置の底部に蓄積する主灰と、集塵装置で回収される飛灰とを含む概念である。これら木質バイオマス灰に含まれる主な元素は、アルミノシリケート構造を構成するケイ素及びアルミニウム、植物の栄養成分であるリン及びカリウムである。木質バイオマス灰において、カリウムの大部分は、アルミノシリケート(結晶)構造内に取り込まれていると考えられ、難水溶性の状態で存在する。
第1の工程は、塩化水素を含むガスを使用することから、通常、ガスフローが可能であり、かつ塩化水素を含むガスが漏洩しない反応系で実施される。このような反応系を提供することが可能な反応装置としては、処理対象である木質バイオマス灰の量によって適宜選択することができ、例えば、マントルヒーターを含む装置、管状炉を含む装置、ロータリーキルン、移動グレート型反応装置、多段炉反応装置等が挙げられる。
本工程では、まず、木質バイオマス灰を500~850℃に加熱する。加熱時における反応系のガス雰囲気は、塩化水素とともに少量の可燃性有機物を含むガスが導入された場合でも高い安全性を保つことができることから、酸素の体積濃度が12%以下のガス雰囲気であってよく、窒素が大部分を占める(例えば、酸素の体積濃度が1%以下の)ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気)であってもよい。なお、加熱時における反応系のガス雰囲気は、塩化水素を含むガス雰囲気であってもよく、塩化水素を含まないガス雰囲気であってもよい。500~850℃の範囲に加熱する際の昇温速度は、特に制限されず、処理対象である木質バイオマス灰の量、反応装置等によって任意に設定することができる。
続いて、500~850℃の加熱下で、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触させる。塩化水素を含むガスは、塩化水素と酸素の体積濃度が12%以下のガスとから構成されるガスであり得る。塩化水素を含むガスは、塩化水素と窒素とから構成されるガスであってもよい。上述の木質バイオマス灰の加熱が、塩化水素を含まないガス雰囲気で実施された場合、塩化水素の導入を開始することによって、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触を開始することができる。
木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触させることによって、以下の式(1)で表される反応が進行し、木質バイオマス灰内に含まれるカリウム(KO)が水溶性の塩化カリウム(KCl)に変換される。
O+2HCl→2KCl+HO (1)
接触温度が500℃未満である場合、アルミノシリケート構造からカリウム(イオン)が脱離して塩化カリウムを生成する反応が充分に進行せず、後述の第2の工程によってもカリウムを充分に除去することができない傾向にある。接触温度が800℃を超える場合、設備コスト及び運転コストが上昇する傾向にある。接触温度は、好ましくは550~750℃、より好ましくは600~700℃である。
木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとの接触時間は、好ましくは15分以上である。反応時間が15分未満である場合、アルミノシリケート構造からカリウム(イオン)が脱離して塩化カリウムを生成する反応が充分に進行しない傾向にある。接触時間の上限は特に制限されないが、接触時間が長過ぎるとカリウム除去率が向上し得ない状態になるため、接触時間は可能な限り短くすることが好ましい。接触時間は、より好ましくは15~70分、さらに好ましくは20~50分である。
なお、接触時間の始点は、加熱時における反応系のガス雰囲気が塩化水素を含まないガス雰囲気である場合、塩化水素が導入された時点(又は塩化水素が発生した時点)であり得る。塩化水素が導入された時点は、例えば、反応装置内に塩化水素濃度計を設置し、濃度の変化から判断することができる。また、塩素含有プラスチックを加熱させて発生する塩化水素を使用する場合の塩化水素が導入された時点は、例えば、事前に加熱時間と塩化水素発生量との関係を把握しておき、これを基に判断することも可能である。接触時間の始点は、加熱時における反応系のガス雰囲気が塩化水素を含むガス雰囲気である場合、接触温度が500℃に到達した時点であり得る。
木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとの接触において、塩化水素を含むガス中の塩化水素の平均体積濃度は、好ましくは20~90%である。塩化水素の平均体積濃度をこのような範囲に調整することによって、より安定したカリウム除去効果を得ることができる傾向にある。塩化水素の平均体積濃度は、例えば、窒素の流量によって調整することができる。塩化水素の平均体積濃度は、より好ましくは30~80%、さらに好ましくは40~75%である。
塩化水素を含むガスおける塩化水素は、一般工業用ガスを使用することができるが、廃棄物の有効利用の観点から、塩素含有プラスチックを250~450℃に加熱することによって発生する塩化水素を使用することができる。塩素含有プラスチックとしては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。これらは、単体又は混合物を使用することができ、これを含む廃棄物を使用することができる。廃棄物は、廃壁紙、廃カーペット、建設混合廃棄物等を例示することができる。
塩素含有プラスチックを250~450℃に加熱することによって塩化水素を発生させる場合、通常、木質バイオマス灰を加熱する場合と同様に、ガスフローが可能であり、かつ塩化水素を含むガスが漏洩しない反応系で実施される。そのため、塩化水素を発生させるための反応系と木質バイオマス灰を加熱するための反応系とを連結し、塩化水素を発生させるための反応系から木質バイオマス灰を加熱するための反応系にガスフローさせることによって、第1の工程を効率よく進行させることができる。このような反応装置としては、例えば、実施例で使用される図1に示す反応装置、塩化水素を発生させるためのロータリーキルンと木質バイオマス灰を加熱するためのロータリーキルンとを連結した装置等が挙げられる。
塩化水素を発生させるための反応系のガス雰囲気は、塩化水素とともに少量の可燃性有機物を含むガスが発生した場合であっても高い安全性を保つことができることから、酸素の体積濃度が12%以下のガス雰囲気であってよく、窒素が大部分を占める(例えば、酸素の体積濃度が1%以下の)ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気)であってもよい。
塩素含有プラスチックを250~450℃に加熱することによって、塩化水素を安定的に発生させることができる。加熱温度が250℃未満である場合、塩化水素の発生が充分とならない傾向にある。また、加熱温度が450℃を超える場合、タールの発生が多く、ハンドリングが悪化する傾向にあり、運転のコストが上昇する傾向にある。加熱温度が450℃以下であると、塩素含有プラスチックを炭化物として回収し易い傾向にある。回収された炭化物は、資源として利用することができる。加熱温度は、好ましくは300~400℃である。
<第2の工程>
本工程は、接触後の木質バイオマス灰を水によって洗浄し、可溶分を除去する工程である。
本工程は、接触後の木質バイオマス灰と水とを一定量でスラリーとし、木質バイオマス灰中の塩化カリウム等のアルカリ金属塩を充分に溶出させる時間で撹拌する工程である。本工程は、通常、接触後の木質バイオマス灰を100℃以下の温度(例えば、25℃の室温)に冷却してから実施される。
接触後の木質バイオマス灰と水との撹拌は、通常使用される撹拌装置を用いて行うことができる。接触後の木質バイオマス灰と水との撹拌は、必要に応じて、加温しながら行ってもよい。
接触後の木質バイオマス灰と水との撹拌において、接触後の木質バイオマス灰に対する水の質量比(水の質量/接触後の木質バイオマス灰の質量)は、好ましくは1~20である。質量比が1未満である場合、水のイオン強度が高くなり過ぎて、塩化カリウムの溶出量が低下する傾向にあり、スラリーの粘性が高くなり過ぎて輸送性が低下する傾向にある。また、質量比が20を超える場合、大量の水を要することから、運転コストが高くなる傾向にある。質量比は、より好ましくは3~15、さらに好ましくは5~12である。
木質バイオマス灰を洗浄するための水は、塩化水素を含む塩酸水であってもよい。塩酸水を用いることによって、木質バイオマス灰中の塩化カリウム等のアルカリ金属塩をより一層充分に溶出させることが可能となる。塩酸水の濃度は、特に制限されないが、0.01~2mol/Lであってよい。塩酸水は、市販の塩酸水を希釈したものを用いてもよいが、上述の塩素含有プラスチックを250~450℃に加熱することによって発生する塩化水素の余剰分を水に溶解させたものを用いてもよい。
本実施形態の製造方法は、不溶の木質バイオマス灰と可溶分とを分離し、低カリウム木質バイオマス灰を得る工程をさらに備えていてもよい。不溶の木質バイオマス灰と可溶分との分離は、ろ過によって行うことができる。また、ろ過によって得られる残渣固形分を乾燥処理してもよい。乾燥処理を行う場合は、その条件を、例えば、20~300℃で0.1~100時間とすることができる。
本実施形態の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰は、カリウム量が充分に低減されていることから、セメント原料として使用することができる。
[木質バイオマス灰のカリウム低減方法]
一実施形態の木質バイオマス灰のカリウム低減方法は、木質バイオマス灰を500~850℃に加熱し、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを接触させる第1の工程と、接触後の木質バイオマス灰を水によって洗浄し、可溶分を除去する第2の工程とを備える。当該カリウム低減方法によれば、最終生成物に有機物を残存させることなく、木質バイオマス灰のアルミノシリケート(結晶)構造内に取り込まれているような難溶性カリウム量を低減することができる。なお、木質バイオマス灰のカリウム低減方法で使用される木質バイオマス灰、反応装置等は、低カリウム木質バイオマス灰の製造方法で使用される木質バイオマス灰、反応装置等と同様である。したがって、ここでは、重複する説明を省略する。
[セメントの製造方法]
一実施形態のセメントの製造方法は、上述の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰をセメント原料として使用する工程を備える。低カリウム木質バイオマス灰をセメント原料として使用する工程としては、例えば、低カリウム木質バイオマス灰と石灰石等のセメント原料とを混合する工程、低カリウム木質バイオマス灰を石灰石等のセメント原料とともにキルンへ送入する工程等が挙げられる。
[木質バイオマス灰のセメント資源化方法]
一実施形態の木質バイオマス灰のセメント資源化方法は、上述の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰をセメント原料として使用するものである。上述の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰は、カリウム量が充分に低減されていることから、セメント原料として使用することができ、セメント資源化が可能となる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<反応装置の準備>
低カリウム木質バイオマス灰の製造は、以下の反応装置を用いて行った。図1は、実施例で用いた反応装置の概略を示す図である。図1に示される反応装置100は、塩化水素発生部10と、加熱部20と、排ガストラップ部30とを備える。塩化水素発生部10は、ガス導入管42及び連結管44を有する容器12と、容器12を加熱するためのマントルヒーター14とから主に構成される。塩素含有プラスチックを用いて塩化水素を発生させる場合、容器12内に塩素含有プラスチック16が導入される。加熱部20は、加熱対象である木質バイオマス灰26が充填されたセラミックス管22と、セラミックス管22を加熱するための管状炉24とから主に構成される。セラミックス管22は、塩化水素発生部10と連結する連結管44及び管状炉24内のガスを排出するためのガス排出管46を有している。塩化水素発生部10で発生した塩化水素は、連結管44からセラミックス管22内に導入される。排ガストラップ部30は、ガス排出管46から放出される塩化水素を主にトラップするためのものである。
<低カリウム木質バイオマス灰の製造>
(実施例1)
木質バイオマス灰40gを、セラミックス管(外径φ50mm、内径φ42mm)内に充填し、木質バイオマス灰が充填されたセラミックス管を加熱部における管状炉内に配置した。次に、塩化水素発生部の容器内に、試薬としての塩化ビニル樹脂40gを導入した。続いて、第1のガス導入管から窒素を導入し、窒素雰囲気下で管状炉を650℃の温度に調整した。管状炉が650℃に到達した後、マントルヒーターを350℃の温度に調整し、塩化水素を発生させた。木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとの接触時間の始点を、塩化水素が導入された時点とし、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとを35分間接触させた。なお、塩化水素が導入された時点は、事前に加熱時間と塩化水素発生量との関係を把握しておき、これを基に判断した。木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとの接触において、塩化水素を含むガス中の塩化水素の体積濃度は、窒素の流量によって調整した。窒素の流量は、表1に示すとおりであり、塩化水素を含むガス中の塩化水素の平均体積濃度は、表1に示すとおりであった。その後、環状炉を室温(25℃)まで冷却し、接触後の木質バイオマス灰を回収した。回収した接触後の木質バイオマス灰に対して、接触後の木質バイオマス灰に対する水の質量比(水の質量/接触後の木質バイオマス灰の質量)が10となるように水を加え、30分間撹拌し可溶分を除去した。その後、ろ過によって、残渣固形分を回収し、実施例1の低カリウム木質バイオマス灰を得た。接触前の木質バイオマス灰のカリウム量及び低カリウム木質バイオマス灰のカリウム量をそれぞれ測定し、下記式に基づき、カリウム除去率を算出した。結果を表1に示す。
カリウム除去率(%)=[(木質バイオマス灰のKO絶対量(g)-低カリウム木質バイオマス灰のKO絶対量(g))/木質バイオマス灰のKO絶対量(g)]×100
(実施例2、3及び比較例1~4)
表1の実施例1の接触処理条件を、表1の実施例2、3及び比較例1~4の接触処理条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2、3及び比較例1~4の低カリウム木質バイオマス灰を得た。実施例1と同様にして、実施例2、3及び比較例1~4のカリウム除去率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0007401300000001
表1に示すとおり、木質バイオマス灰を500~850℃の範囲で加熱する実施例1~3の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰は、そのような範囲な範囲外で加熱する比較例1~4の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰に比べて、木質バイオマス灰のカリウム量が充分に低減されることが確認された。
(実施例4)
表1の実施例2の接触処理条件で得られた接触後の木質バイオマス灰を、塩化水素を含む塩酸水(管状炉を通過した塩素水素ガスの余剰分を水に溶解させた排ガストラップ水を用いて濃度0.056mol/Lに調整した塩酸水)を用いて可溶分を除去した。その後、ろ過によって、残渣固形分を回収し、実施例4の低カリウム木質バイオマス灰を得た。塩酸水による洗浄効果を確認するため、可溶分を含む洗浄水(塩酸水)中のカリウム濃度を測定した。結果を表2に示す。なお、表2には、対比のために、実施例1の可溶分を含む洗浄水(塩化水素を含まない水)中のカリウム濃度を併せて示す。
Figure 0007401300000002
表1に示すとおり、実施例2の条件の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰は、実施例1の条件の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰に比べて、カリウム除去率が低かった。このことから、実施例2の洗浄水中のカリウム濃度は、実施例1の洗浄水中のカリウム濃度よりも低くなっているといえる。一方、実施例4の条件の製造方法は、実施例2の条件の製造方法の洗浄水を水から塩酸水に変更したものであるが、表2に示すとおり、洗浄水中のカリウム濃度は、実施例1の条件の製造方法よりも大きくなっていた。このような実験事実から、塩酸水で洗浄することによって、カリウム量をより一層低減できることが確認された。
10…塩化水素発生部、12…容器、14…マントルヒーター、16…塩素含有プラスチック、20…加熱部、22…セラミックス管、24…管状炉、26…木質バイオマス灰、30…排ガストラップ部、42…ガス導入管、44…連結管、46…ガス排出管、100…反応装置。

Claims (10)

  1. 木質バイオマス灰からカリウム量が低減された木質バイオマス灰を得る低カリウム木質バイオマス灰の製造方法であって、
    木質バイオマス灰を500~850℃に加熱し、塩化水素を含むガスの導入を開始して、前記木質バイオマス灰と前記塩化水素を含むガスとを接触させる第1の工程と、
    接触後の木質バイオマス灰を水によって洗浄し、可溶分を除去する第2の工程と、
    を備える、低カリウム木質バイオマス灰の製造方法。
  2. 前記木質バイオマス灰が、アルミノシリケート構造を有する、請求項1に記載の低カリウム木質バイオマス灰の製造方法。
  3. 前記第1の工程において、木質バイオマス灰と塩化水素を含むガスとの接触時間が15分以上である、請求項1又は2に記載の低カリウム木質バイオマス灰の製造方法。
  4. 前記第1の工程において、前記塩化水素を含むガス中の塩化水素の平均体積濃度が20~90%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の低カリウム木質バイオマス灰の製造方法。
  5. 前記第1の工程において、前記塩化水素が、塩素含有プラスチックを250~450℃に加熱することによって発生する塩化水素である、請求項1~4のいずれか一項に記載の低カリウム木質バイオマス灰の製造方法。
  6. 前記第2の工程において、前記接触後の木質バイオマス灰に対する前記水の質量比が1~20である、請求項1~5のいずれか一項に記載の低カリウム木質バイオマス灰の製造方法。
  7. 前記第2の工程において、前記水が塩化水素を含む塩酸水である、請求項1~6のいずれか一項に記載の低カリウム木質バイオマス灰の製造方法。
  8. 木質バイオマス灰に含まれるカリウム量を低減する木質バイオマス灰のカリウム低減方法であって、
    木質バイオマス灰を500~850℃に加熱し、塩化水素を含むガスの導入を開始して、前記木質バイオマス灰と前記塩化水素を含むガスとを接触させる第1の工程と、
    接触後の木質バイオマス灰を水によって洗浄し、可溶分を除去する第2の工程と、
    を備える、木質バイオマス灰のカリウム低減方法。
  9. 請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰をセメント原料として使用する工程を備える、セメントの製造方法。
  10. 請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法で製造される低カリウム木質バイオマス灰をセメント原料として使用する、木質バイオマス灰のセメント資源化方法。
JP2019236582A 2019-12-26 2019-12-26 低カリウム木質バイオマス灰の製造方法、木質バイオマス灰のカリウム低減方法、セメントの製造方法、及び木質バイオマス灰のセメント資源化方法 Active JP7401300B2 (ja)

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