JP7400360B2 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、半導体素子の製造方法に関する。
従来、シリコン(Si)や炭化珪素(SiC)などからなる単結晶半導体素子では、オン抵抗の低減などを目的として、既存の素子よりも厚さを低減したものが開発されている。薄型半導体素子を作製(製造)する際、一般的には、まず半導体基板のおもて面側に素子構造を形成し、次いで半導体基板の裏面側を研削して、所定の厚さまでに薄化した後に、裏面の素子構造を形成する。
ここで、薄化後の半導体基板が200μm~300μm程度の厚さまでであれば、片面にのみ接着剤が塗布された仮固定用の樹脂テープ(例えば、裏面研削テープやBG(Backgrind)テープと通称されるもの)が、適用可能である。一方、薄化後の半導体基板の厚さが100μm以下になると、テープ支持では均一な厚さに加工することが困難になるため、通常はガラスのような硬い材質のものを支持体とし、典型的には紫外線硬化型の接着剤を使って、半導体基板との貼り付けを行った後に薄化を行っている(例えば、下記特許文献1参照)。
図12は、従来の半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法を示すフローチャートである。まず、半導体基板のおもて面側に素子構造を形成し、半導体基板のおもて面に紫外線硬化型接着剤を塗布する(ステップS11)。次に、半導体基板の裏面を静電チャックに吸着させる(ステップS12)。次に、押圧プレート直下に支持ガラスを保持させる(ステップS13)。次に、気泡が入らないように、真空中(例えば、真空チャンバー内)で押圧プレートを押しつけ、支持ガラスと半導体基板とを貼り合わせる(ステップS14)。次に、大気開放後、押圧プレートを元の位置に戻し、静電チャックの吸着を解除する(ステップS15)。次に、支持ガラス全面に紫外線を照射して固定を行う(ステップS16)。これにより、半導体基板のおもて面に支持ガラスが張り合わされる。
また、保持基板の上面に接着剤を塗布し、保持基板に塗布された接着剤の上に、板状物の凸面側を上にして板状物を載置し、板状物の中央付近に押圧部材を位置づけて板状物の凸面に上方から押し当て、保持基板側に押圧して所定時間保持することで、湾曲した板状物を平坦に固定する方法が公知である(例えば、下記特許文献2参照)。
また、半導体材料の単結晶からなる第1基板と第1基板の反りを抑制するための第2基板とを接合する際に、第2基板上に均一な厚さに紫外線硬化樹脂膜を形成し、半乾燥の状態で第1基板を貼り合わせ、第2基板側から紫外線を照射することにより、硬化を進行させて両基板を接合させる方法が公知である(例えば、下記特許文献3参照)。
特開2004-064040号公報 特開2011-025338号公報 特開2017-112335号公報
ここで、大電力を取り扱う半導体素子(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ))では、大電流や急激な温度変化に耐えるため、半導体基板のおもて面側に形成される電極層や層間絶縁膜層の膜厚を、数μm~数十μmと厚くする必要がある。その結果、半導体基板のおもて面側には大きな圧縮応力が発生し、半導体基板のおもて面側の素子構造をすべて形成し終わった段階で、半導体基板の反りが200nm(裏面側に凸)に達する場合もある。特に、炭化珪素は熱履歴が大きいため、炭化珪素半導体基板の反りが大きくなる。
図12のフローチャートでは、半導体基板と支持ガラスとの貼り合わせを行うまで、半導体基板は静電チャックに吸着され、ほぼ平坦な形状に矯正されている。しかしながら、上記のような極端に大きな反りが存在していると、静電チャックの吸着を解除してから紫外線照射を開始するまでの僅かな時間で、半導体基板が元の形に戻ろうとする結果、中央付近が膨らんでしまい、貼り付け後の半導体基板において、面内厚みばらつき(TTV:Total Thickness Variation)が悪化するという課題がある。例えば、直径6インチの半導体基板で、反りの大きさが概ね300μm以上を超えると、支持ガラスを貼り付けてから紫外線の照射が始まるまでの間に、半導体基板が元の形に戻ろうとする結果、半導体基板の中央付近が膨らんでしまい、貼り合わせ後の半導体基板のTTVが悪化する。
図13は、従来の半導体素子の製造方法において、中央付近が膨らんだ単結晶炭化珪素基板を示す断面図である。図13では、反りにより中央付近Tが膨らんだ単結晶炭化珪素基板101に、紫外線硬化型接着剤103で支持ガラス106を接着した状態を示している。
貼り合わせ後の半導体基板のTTVが、概ね15μmを超えると、半導体基板の裏面研削を行う際、半導体基板の中央付近にのみ砥石の押し寸け圧が集中し、半導体基板が破損する場合がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、大きな反りが存在している半導体基板に対して、支持ガラスを貼り付けた後のTTVを減少させることができる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体素子の製造方法は、次の特徴を有する。単結晶半導体基板を用いた半導体素子の製造方法である。まず、前記単結晶半導体基板の、素子構造が形成されたおもて面に紫外線硬化型接着剤を塗布する第1工程を行う。次に、前記おもて面に支持ガラスを貼り合わせる第2工程を行う。次に、前記おもて面の中央部および前記中央部の周辺の領域のみに紫外線を照射しつつ、前記おもて面の全面に圧力を加え、前記紫外線硬化型接着剤の一部のみを硬化させる第3工程を行う。次に、前記おもて面に加えた圧力を解放し、前記おもて面の全面に紫外線を照射する第4工程を行う。前記中央部は、前記圧力を加える器具の幾何学的中心から20%以内の領域である。
また、この発明にかかる半導体素子の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程では、前記器具に内蔵された紫外線源から紫外線を照射することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体素子の製造方法は、上述した発明において、前記紫外線源は、前記器具の中央部を含む少なくとも1つ以上の場所に、点状または線状に設けられていることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体素子の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程で照射される紫外線の照射量は、前記第4工程で照射される紫外線の照射量より小さいことを特徴とする。
上述した発明によれば、圧力を加えたままの状態で、単結晶炭化珪素基板と支持ガラスの仮固定を行っている。これにより、押圧プレートによる圧力が解放された状態で、単結晶炭化珪素基板に復元力が働いたとしても、単結晶炭化珪素基板の中央部が膨らむことを防ぐことができる。このため、単結晶炭化珪素基板に大きな反りが存在している場合でも単結晶炭化珪素基板と支持ガラスとを貼り付けた後のTTVを大幅に改善させることができる。
本発明にかかる半導体素子の製造方法によれば、大きな反りが存在している半導体基板に対して、支持ガラスを貼り付けた後のTTVを減少させるという効果を奏する。
実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法を示すフローチャートである。 実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法の途中の状態を示す断面図である(その1)。 実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法の途中の状態を示す断面図である(その2)。 実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法の途中の状態を示す断面図である(その3)。 実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法の途中の状態を示す断面図である(その4)。 実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法の途中の状態を示す断面図である(その5)。 実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法の途中の状態を示す断面図である(その6)。 実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、小型紫外線源の配置を示す平面図である(その1)。 実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、小型紫外線源の配置を示す平面図である(その2)。 実施の形態にかかる珪素半導体素子の製造方法において、小型紫外線源の配置を示す平面図である(その3)。 実施例にかかる珪素半導体素子の製造方法および従来例の半導体素子の製造方法において、貼り付け後のTTVを示す表である。 従来の半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法を示すフローチャートである。 従来の半導体素子の製造方法において、中央付近が膨らんだ単結晶炭化珪素基板を示す断面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体素子の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。発明者は、上記課題を解決するべく検討を重ねた結果、半導体基板に支持ガラスを貼り合わせた後、押圧プレートを用いて面内全域に所定の圧力を加えている間に、中央を含む少なくとも1つ以上の場所に、局所的に紫外線を照射し、半導体基板と支持ガラスとの仮固定を行うことで、貼り合わせ後のTTVの悪化を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体素子の製造方法では、まず、一般的な方法で、単結晶炭化珪素基板1のおもて面1a側のデバイス構造を全て作り込む。次に、単結晶炭化珪素基板1の薄化のために単結晶炭化珪素基板1に支持ガラス6を貼り付ける。図1は、実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法を示すフローチャートである。また、図2~図7は、実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、支持ガラスを貼り付ける方法の途中の状態を示す断面図である。
まず、スピンコーティングなどの方法を用いて、単結晶炭化珪素基板1のおもて面1aに紫外線硬化型接着剤3を塗布する(ステップS1、第1工程)。図2は、スピンコーター8上に半導体基板を搭載し、単結晶炭化珪素基板1に紫外線硬化型接着剤3を塗布した直後の状態を示す。スピンコーティングとは、スピンコーター8上で基板を高速に回転させる事により遠心力で薄膜を構成する方法である。また、紫外線硬化型接着剤3は、紫外線照射により短時間で硬化する接着剤である。紫外線硬化型接着剤3は、アクリル系やエポキシ系のいずれも使用可能であり、色や硬度の条件は特に問わない。
次に、単結晶炭化珪素基板1の裏面を静電チャック4に吸着させる(ステップS2)。図3は、静電チャック4に吸着させた直後の状態を示す。静電チャック4とは、電圧を印加し電極と対象物間に発生したクーロン力によって、単結晶炭化珪素基板1等の基板を吸着する器具であり、裏面のみで基板を把持することができ、真空プロセスでの使用が可能である。
次に、図4に示すように、押圧プレート5直下に支持ガラス6を保持させる(ステップS3)。図4は、押圧プレート5直下に支持ガラス6を保持させている状態を示す。具体的には、単結晶炭化珪素基板1の直上に、圧力調整機構を備えた押圧プレート5を配置し、さらに、押圧プレート5の直下に、支持ガラス6を水平に保持する。支持ガラス6は、押圧プレート5の側面に設けられた爪(不図示)により、固定されている。この段階では、単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6とは、互いに数mm離れた状態である。単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6とはそれぞれの面が平行に配置される。例えば、単結晶炭化珪素基板1および支持ガラス6の幾何学的中心点から、各々の垂線を延ばした時、両者のずれは±0.5mm以内に収まっていることが望ましい。また、押圧プレート5は、平坦な底面を有し、単結晶炭化珪素基板1と相似形を有し、単結晶炭化珪素基板1のおもて面に一様な圧力を加えることができる器具である。支持ガラス6は、紫外線を透過可能なガラス板であり、単結晶炭化珪素基板1と略同形状である。さらに、研削時の被研削体の反りを防止するために十分な剛性を有する厚さであることが好ましい。また、紫外線を透過可能であり、十分な剛性があれば、支持ガラス6は、他の材料、例えばアクリル板であることも可能である。
次に、支持ガラス6と紫外線硬化型接着剤3との間に、気泡の混入を避けるため、単結晶炭化珪素基板1および支持ガラス6の周囲を低~中真空(概ね10~1000Pa程度)とした上で、図5に示すように、押圧プレート5を図5の矢印の方向に押しつけ、単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6とを貼り合わせる(ステップS4、第2工程)。なお、本明細書では、貼り合わせは、互いの面が単に接触している状態を示し、貼り付けが互いの面を接着剤で固定した状態を示している。
図5は、押圧プレート5を押しつけた直後の状態を示す。押圧プレート5を押しつける圧力は、小さすぎると支持ガラス6が傾くなどしてTTVが悪化し、また大きすぎると単結晶炭化珪素基板1の端部から紫外線硬化型接着剤3がはみ出す場合があるため、概ね、2.5kPa以上10.0kPa以下の範囲に、設定することが望ましい(ただし、必ずしもこの範囲に設定されるものではない)。
次に、圧力を加えたままの状態で、押圧プレート5に内蔵された小型紫外線源5aから、局所的に紫外線を照射し、小型紫外線源から照射された紫外線5bにより、紫外線硬化型接着剤3の一部(図6の硬化した紫外線硬化型接着剤3a)を硬化させて単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6との仮固定を行う(ステップS5、第3工程)。小型紫外線源5aによる紫外線の照射は、単結晶炭化珪素基板1側からでは、炭化珪素が紫外線を吸収するため、支持ガラス6面側から行う。図6は、単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6との仮固定を行った直後の状態を示す。
小型紫外線源5aで仮固定を行う際は、単結晶炭化珪素基板1の反りの戻りを最も強力に食い止められる押圧プレート5の中央部に、硬化した紫外線硬化型接着剤3aを少なくとも1つ設ける必要がある。このため、小型紫外線源5aによる照射は少なくとも中央部を含む領域に行う。ここで、押圧プレート5の中央部とは、略円形の押圧プレート5の幾何学的中心から20%以内、より好ましくは10%以内の領域である。例えば、押圧プレート5の半径をRとすると、中央部は、中心が押圧プレート5の幾何学的中心であり、半径が0.2R、より好ましくは0.1Rの円内の領域である。
この仮固定により、押圧プレート5による圧力が解放された状態で、単結晶炭化珪素基板1に復元力が働いたとしても、単結晶炭化珪素基板1の中央部が膨らむことを防ぐことができる。このため、単結晶炭化珪素基板1に大きな反りが存在している場合に、単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6とを貼り付けたとしても、中央部が膨らんでしまうことがなく、貼り付け後のTTVを大幅に改善することができる。
また、小型紫外線源5aは、押圧プレート5を押しつけ、支持ガラス6と紫外線硬化型接着剤3とが接触した後に、小型紫外線源5aの電源をオンにして照射するのが好ましい。また、紫外線硬化型接着剤3が硬化するのに時間を要し、小型紫外線源5aが離れていると、紫外線によるエネルギーも小さいため、電源をオンにして、照射状態のまま押圧プレート5を押しつけ、支持ガラス6と紫外線硬化型接着剤3とを接触させることも可能である。また、この段階での紫外線の照射量は小さすぎると紫外線硬化型接着剤3が硬化せず、逆に大きすぎると紫外線源の巨大化や点灯時間の長期化に繋がるため、概ね1J/cm2以上2J/cm2以下の範囲に設定することが望ましい(ただし、必ずしもこの範囲に設定されるものではない)。
また、仮固定に用いる小型紫外線源5aは、後述するステップS7の本固定に用いられる高出力紫外線源ほど高出力である必要はなく、たとえば、既存の押圧プレート5に紫外線LED(Light Emitting Diode)を組み込むなどの小規模の改造を施すだけで実現可能であり、追加費用を抑制することができる。例えば、押圧プレート5に穴を空け、穴に小型紫外線源5aを埋め込むことで実現できる。ここで、押圧プレートにあけた穴が小さく、単結晶炭化珪素基板1や支持ガラス6の平坦性に影響を及ぼさないのであれば、その穴は埋め戻す必要はない。また、押圧プレート5を石英等の紫外線を透過する材料から形成した場合、押圧プレート5の上部から紫外線を照射することができる。
ここで、図8~図10は、実施の形態にかかる半導体素子の製造方法において、小型紫外線源の配置を示す平面図である。図8は、押圧プレート5の中央部のみに小型紫外線源5aを配置した場合を下(支持ガラス6との接着面側)から見た平面図である。また、図9は、押圧プレート5の中央部を含む17点に小型紫外線源5aを配置した場合を下から見た平面図である。また、図10は、押圧プレート5の中央部から放射状に伸びるスリット状の小型紫外線源5aを配置した場合を下から見た平面図である。
仮固定の効果をより確実なものとするためには、例えば、図9のように点状に小型紫外線源5aを複数設けることが好ましい。また、図10のようにスリット状に小型紫外線源5aを複数設けることも好ましい。小型紫外線源5aは、多く設けるほど仮固定の位置が増えるため、小型紫外線源5aの数は多い方が好ましい。
いずれの場合でも押圧プレート5の中央部が含まれていればよく、また、必ずしも図示した例に限定されるものではない。また、小型紫外線源5aを複数設ける場合、仮固定の照射は同時に行ってもよいが、反りの戻りを最も強力に食い止められる押圧プレート5の中央部から照射を行うようにしてもよい。
次に、大気開放後、押圧プレート5を元の位置に戻し、静電チャック4の吸着を解除する(ステップS6)。押圧プレート5で圧力を加え続けると紫外線硬化型接着剤3が単結晶炭化珪素基板1の側面から外にはみ出してくるために、押圧プレート5を元の位置に戻し、圧力を解放させている。
次に、押圧プレート5を離し、一体化した単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6を、上記小型紫外線源5aとは別に設けられた、高出力紫外線源7の直下へと移動させ、面内全域に紫外線照射を行って、高出力紫外線源7から照射された紫外線7aで紫外線硬化型接着剤3の全体を硬化させ、単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6との本固定を行う(ステップS7、第4工程)。図7は、単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6との本固定を行った直後の状態を示す。
この段階での紫外線の照射量は、紫外線硬化型接着剤3を完全に硬化させる必要があるため、概ね2J/cm2以上4J/cm2以下の範囲に設定することが望ましい(ただし、必ずしもこの範囲に設定されるものではない)。
これにより、本フローチャートによる一連の処理は終了する。本フローチャートを実行することにより、単結晶炭化珪素基板1に支持ガラス6が貼り付けられる。この後、単結晶炭化珪素基板1をバックグラインドで薄化した後、単結晶炭化珪素基板1に裏面構造を形成し、単結晶炭化珪素基板1を個別化することにより、炭化珪素半導体素子を製造することができる。
(実施例および比較例)
次に、比較例としての従来の小型紫外線源5aによる仮固定がない条件と、実施例として上記方法により図9の配置による小型紫外線源5aで仮固定を行った条件とで、単結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6との貼り付けを行った。図11は、実施例にかかる珪素半導体素子の製造方法および従来例の半導体素子の製造方法において、貼り付け後のTTVを示す表である。ここでのTTVは、単結晶炭化珪素基板1を、上面が平らな台上に単結晶炭化珪素基板1の裏面が台の上面と接するように設置して、台の上面から単結晶炭化珪素基板のおもて面との距離を複数の位置、例えば17点で測定した測定値の最大値と最小値との差である。
ここで、貼り付け前の単結晶炭化珪素基板1(おもて面側デバイス構造形成済み)の面内平均厚さは388.4μmであり、反りの大きさは269.4μmであった。反りの大きさは、単結晶炭化珪素基板1の裏面の最も高い部分と最も低い部分との高さの差である(例えば、図13の差S)。上記小型紫外線源の有無による影響のみを見るため、単結晶炭化珪素基板1に支持ガラス6を貼り付けし、TTVを測定した後、支持ガラス6および紫外線硬化型接着剤3を除去し、単結晶炭化珪素基板1の再利用を行っている。
図11は、比較例と実施例における、貼り付け後のTTVの値を一覧にしたものである。 比較例の値は、12.1μmと裏面研削で半導体基板の破損を招く恐れのある水準(15μm)にまでは達していないものの非常に大きな値となっている。これに対し、実施例の値は、5.7μmと比較例の半分以下に留まっており、局所的に紫外線を照射して結晶炭化珪素基板1と支持ガラス6との仮固定を行うことで、貼り付け後のTTVが減少していることがわかる。
以上、説明したように、実施の形態にかかる半導体素子の製造方法によれば、圧力を加えたままの状態で、単結晶炭化珪素基板と支持ガラスの仮固定を行っている。これにより、押圧プレートによる圧力が解放された状態で、単結晶炭化珪素基板に復元力が働いたとしても、単結晶炭化珪素基板の中央部が膨らむことを防ぐことができる。このため、単結晶炭化珪素基板に大きな反りが存在している場合でも単結晶炭化珪素基板と支持ガラスとを貼り付けた後のTTVを大幅に改善させることができる。
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した各実施の形態では、ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いた場合を例に説明しているが、炭化珪素以外の例えば窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体にも適用可能である。
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、インバータなどの電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置や自動車のイグナイタなどに使用されるパワー半導体装置に用いられる半導体素子の製造方法に有用である。
1、101 単結晶炭化珪素基板
1a 単結晶炭化珪素基板のおもて面
3、103 紫外線硬化型接着剤
3a 硬化した紫外線硬化型接着剤
4 静電チャック
5 押圧プレート
5a 押圧プレートに内蔵された小型紫外線源
5b 小型紫外線源から照射された紫外線
6、106 支持ガラス
7 高出力紫外線源
7a 高出力紫外線源から照射された紫外線
8 スピンコーター

Claims (4)

  1. 単結晶半導体基板を用いた半導体素子の製造方法において、
    前記単結晶半導体基板の、素子構造が形成されたおもて面に紫外線硬化型接着剤を塗布する第1工程と、
    前記おもて面に支持ガラスを貼り合わせる第2工程と、
    前記おもて面の中央部および前記中央部の周辺の領域のみに紫外線を照射しつつ、前記おもて面の全面に圧力を加え、前記紫外線硬化型接着剤の一部のみを硬化させる第3工程と、
    前記おもて面に加えた圧力を解放し、前記おもて面の全面に紫外線を照射する第4工程と、
    を含み、
    前記中央部は、前記圧力を加える器具の幾何学的中心から20%以内の領域であることを特徴とする半導体素子の製造方法。
  2. 前記第3工程では、前記器具に内蔵された紫外線源から紫外線を照射することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
  3. 前記紫外線源は、前記器具の中央部を含む少なくとも1つ以上の場所に、点状または線状に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の半導体素子の製造方法。
  4. 前記第3工程で照射される紫外線の照射量は、前記第4工程で照射される紫外線の照射量より小さいことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の半導体素子の製造方法。
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