JP7395147B2 - 光散乱型液晶組成物及びそれを含有する調光素子、並びにそれらを備えたスマートウィンドウ - Google Patents

光散乱型液晶組成物及びそれを含有する調光素子、並びにそれらを備えたスマートウィンドウ Download PDF

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本発明は、光散乱型液晶組成物及びそれを含有する調光素子、並びにそれらを備えたスマートウィンドウに関する。
近年、ディスプレイ用途の多様化又は高性能化とともに、透明ディスプレイ、及びコントラスト比の高い液晶ディスプレイだけでなく、光の透過-光の散乱度合いを任意に調節できる調光可能な光シャッター機能を備えた調光素子などの実現が期待されている。当該調光素子を実現するための調光材料の開発が重要な課題となっている。
調光材料の一例として、光透過‐光散乱型の調光素子用材料を用いた光散乱型液晶表示素子が挙げられる。当該光散乱型液晶表示素子は、ポリマーネットワーク型液晶を用いたており、当該素子中において非重合性の液晶材料とポリマーネットワークを形成する高分子とが互いに相分離した複合層が形成された液晶素子方式である。また、光散乱型液晶表示素子は、透明状態と白濁状態との間のコントラスト比を利用する表示方式のため、偏光板等の光学フィルムを必要としない。そのため、偏光板を用いたTN、STN、IPS又はVAモードの液晶表示素子に比べ、明るい表示が実現できるメリットがある。さらには、素子の構成も単純であることから、調光ガラス等の光シャッター用途、時計等セグメント表示用途に応用されている。そして現在、高精細表示を実現するため、アクティブ駆動表示素子と組み合わせて、プロジェクター用途、反射型ディスプレイ用途等への応用も検討されている。
透過型ディスプレイ、フレキシブルディスプレイといった、従来に無い設計の次世代ディスプレイの実用化へ向けて開発が進められている。これら次世代ディスプレイへの応用に期待される液晶素子として、例えば、特許文献1又は特許文献2に記載のリバースモードタイプの光散乱型液晶素子が挙げられる。光散乱型液晶表示素子は、一般的には、ノーマルモードタイプの光散乱型液晶素子(電圧無印加時では液晶相とポリマーネットワークとの界面の屈折率の違い又はダイレクタがランダム配向となるために光散乱状態となり、電圧印加によりダイレクタ光散乱状態から透過状態に変化する液晶素子)と、リバースモードタイプの光散乱型液晶素子(電圧無印加時に透明状態となり、電圧の印加時に散乱状態となる表示素子)との2つに分類され、リバースモードタイプの方が透明状態における透明度に優れるという特長を有する。
特開平5-119302号公報 特許第5017963号
上記特許文献1及び2に記載のリバースモードタイプの光散乱型液晶素子では、負の誘電率異方性を有する液晶材料を用いて、電圧無印加時に液晶材料が基板に対して垂直に配向する構成になるよう設計されている。しかし、上記特許文献1及び2に代表される従来の光散乱型液晶素子では、次世代ディスプレイに要求される、電圧印加時におけるより高い水準の光散乱性が得られないという問題が生じる。また、従来の光散乱型液晶素子では、ポリマーネットワーク中のメソゲン基と液晶分子との相互作用によって強いアンカリング力が発生するため、液晶分子が駆動しにくく、高い散乱性を確保するために必要な印加電圧が大きくなることから、適度な印加電圧で高い光散乱性を得難いものであった。
そこで、本発明は、リバースモードタイプの調光素子において適度な印加電圧で高い光散乱性を示す光散乱型液晶組成物及びそれを用いた調光素子、並びそれらを備えたスマートウィンドウを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の重合性化合物を組み合わせた光散乱型液晶組成物を用いることが重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第一成分として、一般式(i)で表される化合物、一般式(ii)で表される化合物、及び一般式(iii)で表される化合物を含有する重合性化合物と、第二成分として、負の誘電率異方性を有する液晶化合物とを含有する光散乱型液晶組成物である。
Figure 0007395147000001
(上記一般式(i)中、Pi1及びPi2はそれぞれ独立して、重合性基を表し、
i1及びSi2はそれぞれ独立して、スペーサー基又は単結合を表し、
i1及びXi2はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-OCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し(ただし、Pi1-Si1-Xi1-及びPi2-Si2-Xi2-で表される基中には-O-O-を含まない。)、
i1は、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、-RZ1-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-CHCH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し(ただし、-RZ1-は、炭素原子数2~6のアルキレン基を表す。)、
i1のうち少なくとも一つは、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、及び-RZ1-OCO-からなる群から選択される基であり、-RZ1-は、炭素原子数2~6のアルキレン基であり、
i1が複数存在する場合、Zi1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよいが、上記一般式(i)中に存在するZi1のうち少なくとも一つは、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、及び-RZ1-OCO-からなる群から選択される基であり、
i1及びAi2はそれぞれ独立して、芳香環、脂環、複素環及び縮合環から選択される二価の環式基を表し、
i1が複数存在する場合、当該複数存在するAi1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
i1はそれぞれ独立して、1~9の整数を表す。)、
Figure 0007395147000002
(上記式(ii)中、Pii1は重合性基を表わし、
ii1は下記一般式(Me-a)で表されるメソゲン基であり、
Figure 0007395147000003
(上記一般式(Me-a)中、AMe1、AMe2、AMe3はそれぞれ独立して、少なくとも環構造を1以上有する2価の基であり、前記2価の基は1,2-シクロプロピレン基、1,3-シクロブチレン基、2,5-シクロペンチレン基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-1,5-ジイル基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-1,6-ジイル基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-2,5-ジイル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]-1,3-ジイル基、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基-、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ナフチレン-1,4-ジイル基、ナフチレン-1,5-ジイル基、ナフチレン-1,6-ジイル基、ナフチレン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、ベンゾチアゾリレン基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジセレノフェン-2,6-ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2-b]チオフェン-2,7-ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2-b]セレノフェン-2,7-ジイル基、又はフルオレン-2,7-ジイル基から選ばれる基を表すが、これらの基は無置換又は1種以上の置換基Lによって置換されてもよいが、AMe1及び/又はAMe2が複数現れる場合はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
Me1及びZMe2はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、ZMe1及び/又はZMe2が複数現れる場合はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
Me1及びjMe2はそれぞれ独立して、0~4の整数を表すが、jMe1+jMe2は1~4の整数を表し、
置換基Lは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-若しくは隣接していない2個以上の-CH-がそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=N-、-CR1a=N-N=CR1b-、若しくは-C≡C-によって置換されてもよい炭素原子数1~20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよい(なお、R1a及びR1bは、水素原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されてもよい。)。)を表し、
ii1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、又は、炭素原子数1~20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、当該アルキル基中の2級炭素原子を含む、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されてもよい。)
Figure 0007395147000004
(一般式(iii)中、Piii1は重合性基を表し、Riii1は炭素原子数1~22の直鎖アルキル基を表す。)
本発明は、更に、光散乱型液晶組成物中の重合性化合物を重合させることによりポリマーネットワークを形成させてなる調光素子に関する。
本発明は、更に、上記調光素子を備えたスマートウィンドウに関する。
本発明によれば、リバースモードタイプの調光素子において適度な印加電圧で高い光散乱性に示す光散乱型液晶組成物及びそれを用いた調光素子、並びにスマートウィンドウを提供することである。
図1は、本発明の調光素子の構成の一例であって、電圧無印加の状態を模式的に示す図である。 図2は、図1の調光素子において電圧印加した状態を模式的に示す図である。 図3は、図2の調光素子を透明基板に対して垂直な方向から透視した図であり、液晶分子の配向状態のみを模式的に表した図である(図中の矢印は、基板面に平行な二次元軸を示す。)。
本発明に係る光散乱型液晶組成物は、第一成分である重合性化合物と、第二成分である負の誘電率異方性を有する液晶化合物とを必須に含有するものである。そして、当該重合性化合物は、一般式(i)で表わされる化合物、一般式(ii)で表わされる化合物、及び一般式(iii)で表わされる化合物の3種を必須に含有する。ポリマーネットワークを形成する重合化合物として、これら特定の化学構造を示す3種の重合性化合物の組み合わせることにより、光散乱型液晶組成物全体として、適度な印加電圧で高い光散乱性を示す効果を発揮することができる。
また、上記第一成分である重合性化合物は、3種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物として、本発明に係る光散乱型液晶組成物に含有されてもよい。同様に、上記第二成分である負の誘電率異方性を有する液晶化合物は、1種又は2種以上の負の誘電率異方性を有する液晶化合物を含有する液晶組成物として、本発明に係る光散乱型液晶組成物に含有されてもよい。以下、光散乱型液晶組成物の構成要素である、第一成分及び第二成分について説明する。
(第一成分:重合性化合物)
本発明に係る光散乱型液晶組成物は、下記一般式(i)で表される化合物の群から選択された重合性化合物を含有する。当該一般式(i)で表わされる化合物は、直鎖構造を有する重合性液晶化合物であることが好ましい。一般式(i)で表わされる化合物が、分子構造中に直鎖構造を有する化合物であると、余計な分子間同士の相互作用を低減できるため、液晶分子を駆動する抑制効果を低減して、より高い散乱性が発揮できると考えられる。
本発明における一般式(i)で表わされる化合物は、以下の通りである。
Figure 0007395147000005
上記一般式(i)中、Pi1及びPi2はそれぞれ独立して、重合性基を表す。
上記一般式(i)中、Si1及びSi2はそれぞれ独立して、スペーサー基又は単結合を表す。
上記一般式(i)中、Xi1及びXi2はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-OCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表す(ただし、Pi1-Si1-Xi1-及びPi2-Si2-Xi2-で表される基中には-O-O-を含まない。)。
上記一般式(i)中、Zi1は、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、-RZ1-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-CHCH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表す(ただし、-RZ1-は、炭素原子数2~6のアルキレン基を表す。)。
上記一般式(i)中、Zi1が複数存在する場合、Zi1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよいが、上記一般式(i)中に存在するZi1のうち少なくとも一つは、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、及び-RZ1-OCO-からなる群から選択される基であり、-RZ1-は、炭素原子数2~6のアルキレン基である。
上記一般式(i)中、Ai1及びAi2はそれぞれ独立して、芳香環、脂環、複素環及び縮合環から選択される二価の環式基を表す。
上記一般式(i)中、Ai1及びZi1が複数存在する場合、当該複数存在するAi1及びZi1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(i)中、ni1はそれぞれ独立して、1~9の整数を表す。
上記式(i)中、*は、炭素原子又は他の原子との結合を示す。
上記記一般式(i)中、Pi1及びPi2で表される重合性基は、それぞれ独立して、下記式(P-a)~式(P-j)のいずれかが好ましい。
Figure 0007395147000006
(上記式(P-a)~式(P-j)中、Ra1~Ra7は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子数1~3のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基を表わし、na1、na2、na4、及びna5はそれぞれ独立して、1~3の整数を表わし、na3は1を表す。上記式(P-a)~式(P-j)中、*は、炭素原子又は他の原子との結合を示す。)
重合性及び保存安定性を高める観点から、上記式(P-a)~(P-j)で表わされる重合性基のうち、式(P-a)、式(P-c)及び式(P-e)が好ましい。
i1及びPi2で表される重合性基としては、それぞれ独立して、下記式(P-1)~式(P-20)のいずれかがより好ましい。また、下記式(P-1)~式(P-20)中、*は、炭素原子又は他の原子との結合を示す。
Figure 0007395147000007
上記式(P-1)~(P-20)で表わされる重合性基のうち、重合性及び保存安定性を高める観点から、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)、式(P-12)、又は式(P-13)が好ましく、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)がより好ましく、特に式(P-1)、及び式(P-2)が好ましい。
上記一般式(i)中、Si1及びSi2は、それぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表す。当該スペーサー基としては特に制限されることはなく、二価の直鎖状の有機基が好ましい。特に液晶性を発現しやすく、また駆動電圧を低減させる観点から、Si1及びSi2は、それぞれ独立して、炭素原子数1~18のアルキレン基であることが好ましい。ここで、該アルキレン基は直鎖状であっても分岐状であってもよいが、直鎖状アルキレン基であることが好ましい。また、当該アルキレン基中の1以上水素原子は、1以上のハロゲン原子、CN基、前述の式(P-a)~(P-j)で表わされる重合性基、又は前記重合性基を有する炭素原子数1~8のアルキル基により置換されていてもよい。上記スペーサー基の好ましい形態であるアルキレン基中に存在する1つのCH基又は隣接していない2つ以上のCH基は、それぞれ独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-CH(OH)-、-CH(COOH)-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていてもよい。
本発明におけるスペーサー基は、液晶性を発現する観点から、炭素原子数2~10の直鎖アルキレン基、フッ素原子で置換された炭素数2~8のアルキレン基、アルキレン基の一部が-O-で置き換えられた炭素原子数4~14のアルキレン基が好ましい。
上記一般式(i)中、Xi1、Xi2で表される基は、上記した通りである。Xi1、Xi2で表される基は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CO-、-COO-、及び-OCO-からなる群から選択される基が好ましい。
ただし、上記一般式(i)中、Pi1-Si1-Xi1-結合及びPi2-Si2-Xi2-結合には-O-O-結合を含まない。
上記一般式(i)中、Zi1で表される基は、上記した通りである。上記一般式(i)中にZi1が複数存在する場合それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。そして、上記一般式(i)中に、Zi1が1つ存在する場合及びZi1が複数存在する場合において、上記一般式(i)中に存在するZi1のうち少なくとも一つが、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、及び-RZ1-OCO-からなる群から選択される基である。換言すると、一般式(i)で表わされる化合物が、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、又は-RZ1-OCO-を少なくとも1種含む化学構造である。これにより、電圧無印加時の透明を良好な状態に保持しつつ、駆動電圧を低減させることができる。
上記一般式(i)中に、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、及び-RZ1-OCO-からなる群から選択されるカルボニル含有基が一つ以上あればよい。なかでも、一般式(i)で表される化合物中に、上記カルボニル含有基が一つのみ有することが好ましい。特に、一般式(i)中のni1が2~4の場合において、2~4つ存在するZのうちの一つのZが、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、及び-RZ1-OCO-からなる群から選択される基であり、他のZi1が単結合である条件を満たすことが、液晶化合物を良好に配向させて電圧無印加時に優れた透明性を発現しつつ、駆動電圧を一層低減できる点から好ましい。かかる透明性と駆動電圧とのバランスの点から、-RZ1-は、-CHCH-であることがさらに好ましい。
上記一般式(i)中、Ai1及びAi2は、それぞれ独立して、2価の芳香環、脂環、複素環及び縮合環から選択される基を表す。具体的には、Ai1及びAi2は、それぞれ独立して、下記の基(a)~基(c)から選択される基が好ましい。なお、Ai1が複数存在する場合それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
(a) トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1つのメチレン基又は隣接していない2つ以上のメチレン基は-O-又は-S-に置き換えられてもよい。)
(b) フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は窒素原子に置き換えられてもよい。)
(c) シクロヘキセニレン基、ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ピペリジン基、ナフタレン基、デカヒドロナフタレン基及びテトラヒドロナフタレン基
(上記の基(a)、基(b)及び基(c)の基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~8のハロゲン化アルコキシ基、又は炭素原子数1~8のアルコキシ基に置換されていてもよい。)
これらのなかでも液晶性を発現し易い点から、Ai1及びAi2としては、基(a)又は基(b)が好ましく、特に基(b)を必須の構造として有することが好ましい。
上記一般式(i)中、ni1は1~9の整数を表すが、ni1は1~5が好ましく、ni1は2~5がより好ましく、ni1は2~4が特に好ましい。
上記記一般式(i)で表される化合物はさらに具体的には、下記式(i-1)~般式(i-24)で表される化合物を例示することができる。
Figure 0007395147000008
Figure 0007395147000009
Figure 0007395147000010
Figure 0007395147000011
Figure 0007395147000012
Figure 0007395147000013
上記一般式(i-1)~一般式(i-24)で表される化合物のうち、一般式(i-1)~(i-20)で表される化合物が液晶性を発現するために好ましく、一般式(i-1)~(i-12)で表される化合物が液晶性の発現と低電圧化のためにより好ましく、一般式(i-1)~(i-4)で表される化合物が液晶性と低電圧化とコントラスト、ヘイズの特性を発現するために特に好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物の総量(100質量%)における一般式(i)で表される重合性化合物の含有量は、ポリマーネットワークを形成する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることがさらに好ましく、2.0質量%以上であることが特に好ましく、得られる液晶素子の駆動電圧を下げる観点から、上限値が20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。なお、以上詳述した一般式(i)で表される重合性化合物は、第一の成分として、一種のみ用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物は、下記一般式(ii)で表される化合物の群から選択された重合性化合物を含有する。一般式(ii)で表わされる化合物が、分子構造中に直鎖構造を有する化合物であると、余計な分子間同士の相互作用を低減できるため、液晶分子を駆動する抑制効果を低減して、より高い散乱性が発揮できると考えられる。
本発明における一般式(ii)で表わされる化合物は、以下の通りである。
Figure 0007395147000014
上記一般式(ii)中、Pii1は重合性基を表わす。
上記一般式(ii)中、Rii1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、又は、炭素原子数1~20のアルキル基を表す。この場合、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、当該アルキル基中の2級炭素原子を含む、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されてもよい。
上記一般式(ii)中、Mii1は下記一般式(Me-a)で表されるメソゲン基を表わす。
Figure 0007395147000015
上記一般式(Me-a)中、AMe1、AMe2及びAMe3は、それぞれ独立して、少なくとも環構造を1以上有する2価の基であり、前記2価の基は1,2-シクロプロピレン基、1,3-シクロブチレン基、2,5-シクロペンチレン基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-1,5-ジイル基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-1,6-ジイル基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-2,5-ジイル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]-1,3-ジイル基、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基-、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ナフチレン-1,4-ジイル基、ナフチレン-1,5-ジイル基、ナフチレン-1,6-ジイル基、ナフチレン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、ベンゾチアゾリレン基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジセレノフェン-2,6-ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2-b]チオフェン-2,7-ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2-b]セレノフェン-2,7-ジイル基、又はフルオレン-2,7-ジイル基から選ばれる基を表す。この場合、これらの基は無置換又は1種以上の置換基Lによって置換されてもよいが、AMe1及び/又はAMe2が複数現れる場合はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(Me-a)中、置換基Lは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-若しくは隣接していない2個以上の-CH-がそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=N-、-CR1a=N-N=CR1b-、若しくは-C≡C-によって置換されてもよい炭素原子数1~20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。なお、この場合、R1a及びR1bは、水素原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されてもよい。
上記一般式(Me-a)中、ZMe1及びZMe2は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表す。この場合、ZMe1及び/又はZMe2が複数現れる場合はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(Me-a)中、jMe1及びjMe2はそれぞれ独立して、0~4の整数を表すが、jMe1+jMe2は1~4の整数を表す。
上記一般式中(Me-a)中、*は、炭素原子又は他の原子との結合を示す。
上記一般式(ii)中、Pii1で表される重合性基としては、上記式(P-a)~式(P-j)のいずれかが好ましい。上記式(P-1)~(P-20)で表わされる重合性基のうち、重合性及び保存安定性を高める観点から、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)、式(P-12)、又は式(P-13)が好ましく、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)、式(P-12)がより好ましい。
上記一般式(ii)中、Rii1は上記の通りである。Rii1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は、炭素原子数1~17のアルキル基が好ましい。この場合、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよいが、直鎖状アルキル基が好ましい。上記炭素原子数1~17のアルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。さらには、前記アルキル基中の2級炭素原子を含む、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されてもよい。
上記一般式(ii)中、Mii1は上述の通りである。以下、上記一般式(Me-a)で表されるメソゲン基の好ましい形態について説明する。
上記一般式(Me-a)中、AMe1、AMe2及びAMe3はそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ナフチレン-1,4-ジイル基、ナフチレン-1,5-ジイル基、ナフチレン-1,6-ジイル基、ナフチレン-2,6-ジイル基及びフェナントレン-2,7-ジイル基から選ばれる基を表すことが好ましい。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されてもよいが、AMe1及び/又はAMe2が複数現れる場合はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記置換基Lは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、イソシアノ基、ヒドロキシル基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-がそれぞれ独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、又は-C≡C-によって置換されてもよい炭素原子数1~20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基を表すことが好ましい。また、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよい。
上記一般式(Me-a)中、ZMe1及びZMe2はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、-CFO-、-OCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すことが好ましい。この場合、ZMe1及び/又はZMe2が一般式(ii)中に複数存在する場合はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(Me-a)中、jMe1及びjMe2はそれぞれ独立して、1~3の整数を表すことが好ましい。
上記一般式(ii)で表される重合性化合物は、具体的には、下記の式(ii-1)から式(ii-39)で表される重合性化合物が好ましい。
Figure 0007395147000016
Figure 0007395147000017
Figure 0007395147000018
Figure 0007395147000019
Figure 0007395147000020
上記式(ii-1)~式(ii-39)において、nは、それぞれ独立して、1~10の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、シアノ基を示し、これらの基が炭素原子数1~6のアルキル基、あるいは炭素数1~6のアルコキシ基の場合、全部が未置換であるか、あるいは1又は2以上のハロゲン原子により置換されていてもよい。
一般式(ii)で表される重合性化合物の含有量は、本発明に係る光散乱型液晶組成物に用いる重合性化合物の合計量100質量%に対し、電圧印加時の光散乱性を向上させる観点から1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、低電圧化、及び、ネットワークの強度を維持する観点から、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物100質量%における、一般式(i)で表わされる化合物と一般式(ii)で表わされる化合物との合計量は、ポリマーネットワークを形成する観点から、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが特に好ましく、一方、液晶素子の駆動電圧又は光散乱性の観点から、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物は、下記一般式(iii)で表される化合物の群から選択された非液晶性重合性化合物を含有する。以下の一般式(iii)で表される化合物は、1つの重合性基を有する重合性化合物である。一般式(iii)で表わされる化合物は、分子構造中に直鎖構造を有する化合物であるので、余計な分子間同士の相互作用を低減できるため、液晶分子を駆動する抑制効果を低減して、より高い散乱性が発揮できると考えられる。また、一般式(iii)で表わされる化合物は分子構造中に直鎖構造を有する化合物であるので、電圧無印加時の透明性を良好に維持しつつ、駆動電圧を低減効果が顕著なものとなる。
本発明における一般式(iii)は、以下の通りである。
Figure 0007395147000021
一般式(iii)中、Piii1は重合性基を表す。
一般式(iii)中、Riii1は炭素原子数1~22の直鎖アルキル基を表す。
上記一般式(iii)中、Piii1で表される重合性基としては、上記式(P-a)~式(P-j)のいずれかが好ましい。上記式(P-1)~(P-20)で表わされる重合性基のうち、重合性及び保存安定性を高める観点から、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)、式(P-12)、又は式(P-13)が好ましく、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)、式(P-12)がより好ましく、式(P-1)、式(P-2)が特に好ましい。
一般式(iii)中、Riii1は、上記の通りである。一般式(iii)中、Riii1は、炭素原子数3~16のアルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数6~14のアルキル基を表すことが特に結晶性を抑制できる点から好ましい。
一般式(iii)で表される化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等の直鎖状アルキル鎖を有するモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
一般式(iii)で表される重合性化合物の含有量は、本発明に係る光散乱型液晶組成物に用いる重合性化合物の合計量100質量%に対し、低電圧化の観点から、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましく、ポリマーネットワークの強度を維持する観点から、20質量%以下であること、15質量%以下であること、12質量%以下であること、10質量%以下であることが特に好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物100質量%における、一般式(i)で表わされる化合物と一般式(ii)で表わされる化合物と一般式(iii)で表わされる化合物との合計量は、ポリマーネットワークを形成する観点から、4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましく、9質量%以上であることが特に好ましく、一方、液晶素子の駆動電圧又は光散乱性の観点から、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
本明細書における「直鎖構造」とは、直鎖アルキル基、あるいは、直鎖スペーサー基のことであり、当該アルキル基、あるいは、スペーサー基の構造中に分岐構造を有さない構造をいう。
本発明に係る光散乱型液晶組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記一般式(i)~一般式(iii)で表される化合物とは異なる他の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」と略記する)を必要により含有してもよい。当該その他の重合性化合物としては、下記一般式(1)~(8)で表される化合物が挙げられる(ただし、上記一般式(i)~上記一般式(iii)で表される重合性化合物を下記一般式(1)~(8)で表される化合物から除く。)。
Figure 0007395147000022
上記一般式(1)中、Y11及びY12はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、X10は直鎖又は分岐の炭素原子数4~80のアルキレンを表し、該アルキレンの任意の炭素原子は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-C≡C-、-OCO-、-COO-、又はOHで置換されてよい。
上記一般式(2)~(8)中、P11~P74は、それぞれ独立して、上記式(P-a)~式(P-j)から選択される重合性基を表すが、これらの重合性基のうち、重合性および保存安定性を高める観点から、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)、式(P-12)、又は式(P-13)が好ましく、式(P-1)、式(P-7)、式(P-12)がより好ましい。
上記一般式(2)~(8)中、X11~X72はそれぞれ独立して-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、X11~X72が複数存在する場合それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良く(ただし、各P-(S-X)-結合には-O-O-を含まない。)、特に単結合、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-から選択される基が好ましい。
上記一般式(2)~(8)中、M11、M21、M31、M51及びM71は、それぞれ独立して、上記一般式(Me-a)で表されるメソゲン基を表わし、また、M41は、AMe1、AMe2及びAMe3として例示した環構造からさらに任意の水素原子を1つ取り除いた3価の有機基であり、M61は前記AMe1、AMe2及びAMe3として例示した環構造からさらに任意の水素原子を2つ取り除いた4価の有機基である。
上記一般式(2)~(8)中、R11及びR31はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、又は、炭素原子数1から20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であっても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されても良い。
上記一般式(2)~(8)中、S11~S72は、それぞれ独立して、スペーサー基、単結合又は結合手を表し、前記S11~S72(但し、S31、S51、S71及びS72以外)で表されるスペーサー基は、炭素原子数1~18のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子、CN基、炭素原子数1~8のアルキル基、または重合性官能基を有する炭素原子数1~8のアルキル基により置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-CH(OH)-、-CH(COOH)-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。S31、S51、S71及びS72は、それぞれ独立して、炭素原子数1~18のアルキレン基から水素原子を一つ1つ取り除いた3価の有機基である。これらのスペーサー基のうち、配向性の観点から、炭素原子数2~8の直鎖アルキレン基、フッ素原子で置換された炭素数2~6のアルキレン基、アルキレン基の一部が-O-で置き換えられた炭素原子数5~14のアルキレン基が好ましい。また、S11~S72が複数存在する場合それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(2)~(8)中、m1~m7、n2~n7、l4~l6、及びk6は、それぞれ独立して、0から5の整数を表し、m1~m7、n2~n7、l4~l6及びk6はそれぞれ独立して0または1が好ましい。
上記一般式(1)中、X10は直鎖又は分岐のアルキレンは、炭素原子数6~80の範囲のものであるが、炭素原子数は7~70の範囲であることが好ましく、中でも8~60の範囲であることが好ましく、特に9~50の範囲であることが駆動電圧低下の点から好ましい。また、上記一般式(1)中、X10は、炭素原子数6~80のアルキレン中にアルキリデン基を有するものが駆動電圧の低下の点から好ましい。ここでアルキリデン基としては、エチリデン基、2,2-プロピリデン基であることが好ましい。また、一般式(1)に表わされる化合物は、保存安定性を向上させる観点から光散乱型液晶組成物に添加することが好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物には、上記一般式(i)~一般式(iii)で表される化合物と共に、基材との密着性を改善する基、例えば、ヒドロキシル基、チオール基、アミド基、アミノ基、リン酸基などの極性基を有する重合性化合物等のその他の重合性化合物を併用してもよい。
上記一般式(1)~(8)で表わされる化合物の含有量は、本発明の光散乱型液晶組成物100質量%に対し、0質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、0.2質量%以上であることが特に好ましく、一方、架橋密度が高まりすぎることで駆動電圧が高くなり過ぎない観点から、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物に用いられる重合性化合物の含有量の総量は、本発明の光散乱型液晶組成物100質量%に対し、4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、8質量%以上であることが特に好ましく、一方、架橋密度が高まりすぎることで駆動電圧が高くなり過ぎない観点から、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
なお、本発明においては、前記した通り、以上詳述したその他の重合性化合物の中でも特に、上記一般式(1)で表される重合性化合物を用いることが駆動電圧の低減効果の点から好ましい。
(第二成分:負の誘電率異方性を有する液晶化合物)
本発明に係る光散乱型液晶組成物には、第二成分として負の誘電率異方性を有する液晶化合物を含有する。より具体的には、本発明に係る光散乱型液晶組成物には、下記一般式(N-1)で表される負の誘電率異方性を有する液晶化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
また、本明細書において、第二成分として含んでもよい液晶化合物を、非重合性液晶化合物と称し、上記第一成分の重合性化合物と区別する。そして、本発明に係る光散乱型液晶組成物の第二成分は、負の誘電率異方性を有する液晶化合物と、必要により中性(Δεが-2~+2)の誘電率異方性を有する液晶化合物とを含有する液晶組成物であることが好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物は、少なくとも一般式(N-1)で表される化合物を含有するものであればよく、他の成分は限定されない。例えば、一般式(N-1)で表される液晶化合物と共に、以下に示す液晶化合物群を任意に組み合わせて構成することができる。なお、以下特に断らない限り、単に組成物という時は液晶組成物を指す。
本発明に係る光散乱型液晶組成物は、1種類又は2種類以上の一般式(N-1)で表される液晶化合物と共に、一般式(N-2)又は一般式(N-3)で表される液晶化合物を、1種類又は2種類以上含有してもよい。これら液晶化合物は誘電的に負の化合物(誘電率異方性の符号が負で、その絶対値が2より大きい)に該当する。
Figure 0007395147000023
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(d) 1,4-シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
N31は-CH-又は酸素原子を表し、
N11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0~3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11~AN32、ZN11~ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。ただし、一般式(i)及び(ii)で表される化合物を除く。)
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物は、誘電率異方性が負でその絶対値が2よりも大きな化合物であることが好ましい。
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
本明細書における「アルケニル基」としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
Figure 0007395147000024
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
Figure 0007395147000025
トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して-CHO-、-CFO-、-CHCH-、-CFCF-又は単結合を表すことが好ましく、-CHO-、-CHCH-又は単結合が更に好ましく、-CHO-又は単結合が特に好ましい。XN21はフッ素原子が好ましい。TN31は酸素原子が好ましい。
N11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
本発明の液晶素子又は調光素子の透明性を高める観点から、組成物は一般式(N-2)又は一般式(N-3)で表される化合物は含有しないことが好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物に含まれる非重合性液晶化合物の総量に対しての式(N-1)で表される液晶化合物の好ましい含有量の下限値は30質量%であり、上限値は95質量%である。より好ましい含有量の下限値は45%であり、上限値は80質量%である。
本発明に係る光散乱型液晶組成物に含まれる非重合性液晶化合物の総量に対しての式(N-2)で表される液晶化合物の好ましい含有量は、0質量%である。ただし、透明性などの本願発明の目的を阻害しない限り、該含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であってもよい。該含有量の上限値は、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であってよい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物に含まれる非重合性液晶化合物の組成物の総量に対しての式(N-3)で表される液晶化合物の好ましい含有は、0質量%である。ただし、透明性などの本願発明の目的を阻害しない限り、該含有量の下限値は、1%であり、10質量%であり、20質量%であってもよい。該含有量の上限値は、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であってよい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明に係る光散乱型液晶組成物のTNIを高く保ち、温度安定性のよい組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
一般式(N-1)で表される化合物として、下記の一般式(N-1a)~(N-1g)で表される化合物群を挙げることができる。
Figure 0007395147000026
(上記一般式(N-1a)~(N-1g)中、RN11及びRN12は一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は1又は2を表し、nNc11は0又は1を表し、nNd11は1又は2を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf11は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、ANg11はトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4-シクロヘキセニレン基を表し、ZNe 11は単結合又はエチレンを表すが少なくとも1つはエチレンを表す。)
より具体的には、一般式(N-1)で表される化合物は一般式(N-1-1)~(N-1-5)、(N-1-10)~(N-1-18)、(N-1-20)~(N-1-21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物には、非重合性液晶化合物として、一般式(L)で表される液晶化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
一般式(L)で表される液晶化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(誘電率異方性Δεの値が-2~2)に該当する。
Figure 0007395147000027
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
L1は0、1、2又は3を表し、
L1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)の基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
L1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
L1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよく、nL1が2又は3であってZL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
本発明に係る光散乱型液晶組成物において、一般式(L)で表される液晶化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明に係る光散乱型液晶組成物に含まれる非重合性液晶化合物の総量に対しての、式(L)で表される化合物の、好ましい含有量の下限値は1質量%であり、上限値は85質量%である。より好ましい含有量の下限値は3質量%であり、上限値は65質量%である。
光散乱型組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明に係る光散乱型組成物のTNIを高く保ち、温度安定性のよい組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
L1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
L1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
L1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
Figure 0007395147000028
トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
L1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。一般式(L)で表される化合物は一般式(L-1)~(L-9)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(L-1)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000029
(式中、RL11及びRL12はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L11及びRL12は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
一般式(L-2)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000030
(式中、RL21及びRL22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L21は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL22は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L-3)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000031
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L-4)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000032
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L41は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L-5)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000033
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L51は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L-6)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000034
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
L61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、XL61及びXL62のうち一方がフッ素原子であり、他方が水素原子であることが好ましい。
一般式(L-7)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000035
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、AL71及びAL72はそれぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は単結合又は-COO-が好ましく、単結合が好ましく、XL71及びXL72は水素原子が好ましい。
一般式(L-8)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000036
(式中、RL81及びRL82はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL81は一般式(L)におけるAL1と同じ意味又は単結合を表すが、AL81上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、XL81~XL86はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL81及びRL82はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、AL81は1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、一般式(L-8)中の同一の環構造上にフッ素原子は0個又は1個が好ましく、分子内にフッ素原子は0個又は1個であることが好ましい。
一般式(L-9)で表される化合物は下記の化合物である。
Figure 0007395147000037
(式中、RL91及びRL92はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L91及びRL92はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
本発明に係る光散乱型液晶組成物に含まれる非重合性液晶化合物の総量に対しての、一般式(N)及び一般式(L)で表される化合物の合計の、好ましい含有量の下限値は80質量%であり、上限値は100質量%である。より好ましい含有量の下限値は90質量%であり、上限値は100質量%である。
本発明に係る光散乱型液晶組成物に含まれる非重合性液晶化合物の総量に対しての、一般式(N-1-1)から(N-1-18)、一般式(L-1)から(L-9)で表される化合物の合計の、好ましい含有量の下限値は80質量%であり、上限値は100質量%である。より好ましい含有量の下限値は95質量%であり、上限値は100質量%である。
本発明に係る光散乱型液晶組成物は、分子内に過酸(-CO-OO-)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはカルボニル基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して15質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましく、95質量%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、質量5%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
粘度の改善及びTNIの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、前記2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないという意味である。
本発明に係る光散乱型液晶組成物に含有される液晶化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は2~5であることが好ましく、前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は4~5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
本発明に係る調光素子は、一対の透明電極基板と、当該透明電極基板の間に配された、上記一般式(i)~一般式(iii)で表わされる化合物由来のポリマーネットワーク及び前記負の誘電率異方性を有する液晶化合物を含む複合層と、を有する
本発明に係る調光素子は、上記要素を備えるものであれば、具体的な実施形態は特に限定されるものではないが、たとえば、少なくとも一方に(透明)電極を有する2枚の透明基板と、必要により設けられるホメオトロピック配向膜とから構成される中空素子中に、複合層(又は相分離液晶層とも称する)が狭持された構成としてよい。
本発明に係る調光素子における複合層は、光散乱型液晶組成物中に含有している重合性化合物又はその組成物を重合させると同時に、重合したポリマーと液晶組成物とを相分離させて、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶組成物が連続層をなす構造、液晶組成物のドロップレットがポリマー中に分散している構造、又は両者が混在する構造を含む。そのため、本発明に係る光散乱型液晶組成物は、光散乱型調光素子用に用いられることが好ましい。
本発明に係る調光素子は、無電源状態において複合層のホメオトロピック配向が維持されるものである。このため、いわゆるリバースモードで駆動可能な素子として利用できる。すなわち、該液晶素子は、電圧無印加時には透明状態であり、電圧印加時には散乱状態とすることができる。
本発明に係る調光素子は、ホメオトロピック配向膜のみならず、配向性重合体からなる緻密なポリマーネットワークによっても液晶分子の配向が制御されている。よって、本発明に係る調光素子は、外的な応力による配向乱れを起こしにくく、高い応力耐性を有する。本発明に係る調光素子は、曲げ応力加わる環境下でも表示不良を起こしにくいため、屈曲可能なものとすることができる。従って、本発明に係る調光素子は、素子表面が局面であってもよい。
本発明に係る調光素子に用いられるホメオトロピック配向膜は、光散乱型液晶組成物若しくはその硬化物、液晶組成物又は複合層と直接当接してホメオトロピック配向を誘起する作用を有するものであればよい。このような配向膜としては、公知のものを用いてよい。通常、ホメオトロピック配向膜は、液晶相を挟持するように一対で配置される。中空素子中においては、通常、ホメオトロピック配向膜は対向する一対の基板のそれぞれの表面上に配置される。
上記配向膜としては、例えば、ポリイミド配向膜、光配向膜等が挙げられる。配向膜の形成方法としては、例えば、ポリイミド配向膜の場合であれば、ポリイミド樹脂組成物を透明基材上に塗布し、180℃以上の温度で熱硬化させ、更に綿布又はレーヨン布でラビング処理する方法が挙げられる。また、ラビング処理を施していないポリイミド膜等の高分子膜も用いることもできる。特に垂直配向性を発現するためには、垂直配向性のポリイミド配向膜をラビングしないで使用することが好ましい。あるいは、垂直配向性の光配向膜を使用することが好ましい。また、垂直配向のポリイミド配向膜を使用しなくても垂直配向が可能となる自発垂直配向(PIレス)モノマーを使用することもできる。自発垂直配向モノマーに用いるモノマーとしては公知のモノマーを用いることできる。
上記電極は、本発明の液晶素子中において、相分離液晶層中の液晶分子を配向制御可能な電界を生じるように設けられる。電界強度は、電極への電圧印加の程度により制御される。
上記電極の形状は特に限定されず、導電部がストライプ状もしくはメッシュ状、又はランダムな網目状であってよい。電極は、いわゆる櫛型構造であることが好ましい。また、スマートウィンドウ等に用いる場合は、一般的にベタ電極と呼ばれる一様な電極であるものが好ましく、目的によりパターンが形成されていてもよい。
上記透明基板の材料としては、ガラス、プラスチック等を用いることができる。本発明の液晶素子をフレキシブルディスプレイに適用する観点からは、透明基板は可撓性であることが好ましい。
本発明に係る調光素子は、生産性の観点から、中空素子に光散乱型液晶組成物を狭持させた重合性液晶素子から作製することが好ましい。重合性液晶素子中において、光散乱型液晶組成物中の液晶性化合物又はメソゲン基を有する重合性化合物は、ホメオトロピック配向膜の配向規制力によってホメオトロピック配向状態にある。この配向状態下に、光散乱型液晶組成物中の重合性化合物を上述の方法により紫外線硬化し、光散乱型液晶組成物から相分離液晶層を形成することで、調光素子が得られる。
紫外線を照射する方法について、ランプとしてはメタルハライド、高圧水銀、UV-LED等、通常紫外線重合で用いられる装置であればよい。紫外線強度としては365nmのセンサーで、1~100mW/cmであることが好ましく、1~20mW/cmであることがより好ましく、2~10mW/cmであることが更により好ましい。紫外線照射エネルギーとしては、1~50J/cmであることが好ましく、2~20J/cmであることがより好ましい。紫外線を照射する温度は15~30℃であることが好ましい。
中空素子に光散乱型液晶組成物を狭持させる方法は、常法でよく、真空注入法又はODF法などを用いることができる。ODF法の重合性液晶素子製造工程においては、中空素子のバックプレーン又はフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の光散乱型液晶組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって重合性液晶素子を製造することができる。本発明に用いられる重合性液晶成物は、相安定性が高く揮発しにくいため、ODF工程に好適に使用することができる。また、フィルム基板を用いてロールトゥーロール生産する場合は単純な滴下法で光散乱型液晶組成物を基材上に滴下し、対向基板と張り合わせ作製してもよい。また、シール構造を有せず、後工程でラミネート処理をすることによりフィルム全体をシールする手法をとってもよい。
以下、図面を用いて本発明の液晶素子の好ましい実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の調光素子は、電圧印加により液晶分子の配向を制御できるよう構成されればよいが、垂直電界型液晶素子として構成されることが好ましい。垂直電界型液晶素子は、ホメオトロピック配向膜に対して垂直に電界が生じるように電極が配置された液晶素子である。垂直電界型液晶素子においては、通常、相分離液晶層を狭持する2つの透明基板の両方に電極が設けられる。
図1は、電圧無印加時の垂直電界型液晶素子の構成を模式的に示す図である。以下、図1を参照して、本発明における垂直電界型の液晶素子を説明する。
本発明に係るポリマーネットワーク垂直電界型の液晶素子の構成は、図1に記載するように、それぞれ透明導電性材料からなる透明電極(層)2(以下、電極2と称する)を具備した第一の基板11と、第二の基板12と、第一の基板11と第二の基板12との間に挟持された複合層と、を有し、該複合層中の液晶分子4の電圧無印加時の配向がホメオトロピック配向膜3に対して略垂直である液晶素子である。相分離液晶層は、液晶組成物に含まれる液晶分子4と配向性重合体5によって構成される。なお、図1では便宜上、配向性重合体5は固定された多数の重合性化合物によって表現しているが、実際は各重合性化合物同士が複雑に繋がったポリマーネットワークを形成している。さらに、複合層と直接接するよう一対のホメオトロピック配向膜3が透明電極(層)2表面に形成されている。
すなわち、本発明に係るポリマーネットワーク垂直電界型液晶素子は、第一の基板11と、電極2と、ホメオトロピック配向膜3と、液晶分子4と配向性重合体5が相分離してなる複合層と、ホメオトロピック配向膜3と、電極2と、第二の基板12と、が順次積層された構成である。
図2は、電圧印加時の垂直電界型素子の構成を模式的に示す図である。電極への電圧印加により、垂直電界型液晶素子は、図1の状態から図2の状態に遷移する。このとき、液晶分子4が垂直電界の発生により、ホメオトロピック配向膜3に対して略平行方向に配向する(基板11,12に対して垂直方向から透視した一例として図3参照)。図2に示す垂直電界型液晶素子は、相分離液晶層における液晶分子4と配向性重合体5との配向方向が異なるため、それぞれの成分の界面にて光散乱が起こり、あるいは、液晶分子4の配向方向がそろっていないことに起因する2以上の液晶分子4間又は液晶分子4の集合体間の屈折率のミスマッチにより光散乱が起こり、垂直電界型液晶素子として光が非透過の状態となる。
このように、本発明の垂直電界型液晶素子は電圧印加の有無により光の透過状態を変化させられるため、調光機能が求められる装置に組み込んで用いる液晶調光素子、又は映像表示用ディスプレイに用いられる液晶表示素子として利用することができる。特に、本発明の垂直電界型液晶素子はリバースモードで駆動可能なため、省電力性、停電時、又は無電源下での透過性が求められる用途に特に好適である。
上記したポリマーネットワーク垂直電界型液晶調光素子は、たとえば、建材、調光ガラス、車載向けのスマートウィンドウ又はOLEDディスプレイにおける調光ユニット等に用いることが好ましく、とりわけ光散乱性が高くかつ駆動電圧を低減できる点からスマートウィンドウとして有用である。
具体的には、本発明に係るスマートウィンドウは、上記垂直電界型液晶素子などの調光素子を備え、前記透明電極基板間の電圧を制御することにより、前記複合層を透過する光の散乱状態をコントロールできる。
上記垂直電界型液晶表示素子は、従来の高分子分散型液晶表示素子と同様な用途に用いることができるほか、特に透過型ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ等にも好ましく用いることができる。
(その他の電界型)
本発明の調光素子には、上記垂直電界型の他、横電界型又はその他の電界型を採用してもよい。FFS駆動モードに採用されるフリンジ電界を採用してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は「質量%」を意味する。
各実施例及び比較例中の評価特性のそれぞれの詳細は以下の通りである。
ヘイズ : 全光線透過率に占める拡散光線透過率の割合 ※この数値が小さいほど、透明性が高い。
各実施例及び比較例中で用いた重合性化合物(i-A)~(iii-C)、(1-A)~(3-A)及び(a-1)の構造は次式の通りである。また、光開始剤としては、Irg.651を使用した
Figure 0007395147000038
Figure 0007395147000039
各実施例及び比較例中で用いた負の誘電率異方性を示す液晶組成物「LC-1」及び「LC-2」の物性値について以下の表1-1に示す。
Figure 0007395147000040
また、液晶組成物「LC-1」及び「LC-2」の組成については以下の通りである。
Figure 0007395147000041
Figure 0007395147000042
各実施例及び比較例中で用いた光散乱型液晶組成物「M-1」~「M-22」の組成比はそれぞれ以下の表2の通りである(質量%)。
Figure 0007395147000043
Figure 0007395147000044
(実施例1)
上記液晶組成物(LC-1)を90質量%と、重合性組成物(M-1)を10質量%とを攪拌しながら120℃で溶解させて混合し、本発明に係る光散乱型液晶組成物1を調製した。得られた光散乱型液晶組成物は、常温でネマチック相を示した。
ITO透明電極が方形に形成された厚み10μmのガラスセル(構成は、ガラス基材/透明電極層/配向膜/空気層/配向膜//透明電極層/ガラス基材)を用意した。このセルに、調製した光散乱型液晶組成物1を真空注入法により70℃で注入した。その後、室温で紫外線を照射することにより、重合性化合物を重合させて、ポリマーネットワークと液晶組成物とが相分離した複合層を有する調光素子を得た。この際の紫外線の条件は、光源が365nmのLED、強度が15mW/cm、時間が200秒であった。さらに得られた素子を110℃で60分間加熱処理して、本発明の調光素子を得た。得られた素子に電極配線を取り付け、当該素子の基板に対して法線方向に測定光を入射させたときの調光素子のヘイズ(Hz)を、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製NDH-7000)を用いて電圧-透過特性を評価した。
ヘイズの値は、全光線透過率(TT)と平行光線透過率(PT)とから、次の式で求められた。
Hz=[{TT-PT}/TT]×100 (%)
電圧無印加時(以下、OFF時)のヘイズは5.8%であり、AC50V印加時のヘイズは93.9%であった。
(実施例2~実施例12、比較例1~比較例12)
各実施例2~実施例12、及び、各比較例1~比較例12において、上記表2に記載の液晶組成物、重合性組成物及び開始剤を上記表2に記載の割合で用いた以外は、実施例1と同一の条件で光散乱型液晶組成物2~22を調製した。得られた光散乱型液晶組成物2~22は、いずれも常温でネマチック相を示した。
そして得られた光散乱型液晶組成物2~22を用いて、実施例1と同一の方法及び重合条件により、本発明の調光素子をそれぞれ作製し、電圧無印加時(以下、OFF時)及びAC50V印加時のヘイズ値をそれぞれ測定した。実施例1~12及び比較例1~12の光散乱型液晶組成物の組成比、実験結果のヘイズ値(電圧無印加時及びAC50V印加時)、並びにセル構成を以下の表3に示す。
Figure 0007395147000045
以上の結果から、実施例1~12はいずれも比較例に比べて、高い光散乱性を示すことが確認された。また、比較例9~12では、駆動電圧が高いことから、電圧を印加しても液晶分子が水平方向に配向しきれていないと考えられる、そのため、実施例1~12は、比較例9~12に対して、低い駆動電圧であっても、高い光散乱性を示すことが確認された。したがって、本実施例の調光素子は、特に実用的な透明性を備えることから、高い透明性が求められるシースルーTV、ウィンドウディスプレイ、スマートウィンドウ、その他の光学制御駆動パネルなどの用途に好適であると考えられる。
11…第一の透明基板
12…第二の透明基板
2…電極
3…ホメオトロピック配向膜
4…液晶分子
5…配向性重合体

Claims (7)

  1. 第一成分として、一般式(i)で表される化合物と、
    Figure 0007395147000046
    (上記一般式(i)中、Pi1及びPi2はそれぞれ独立して、重合性基を表し、
    i1及びSi2はそれぞれ独立して、スペーサー基又は単結合を表し、
    i1及びXi2はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-OCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し(ただし、Pi1-Si1-Xi1-及びPi2-Si2-Xi2-で表される基中には-O-O-を含まない。)、
    i1は、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、-RZ1-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-CHCH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表し(ただし、-RZ1-は、炭素原子数2~6のアルキレン基を表す。)、
    i1が複数存在する場合、Zi1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよいが、上記一般式(i)中に存在するZi1のうち少なくとも一つは、-COO-RZ1-、-OCO-RZ1-、-RZ1-COO-、及び-RZ1-OCO-からなる群から選択される基であり、-RZ1-は、炭素原子数2~6のアルキレン基であり、
    i1及びAi2はそれぞれ独立して、芳香環、脂環、複素環及び縮合環から選択される二価の環式基を表し、
    i1が複数存在する場合、当該複数存在するAi1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
    i1はそれぞれ独立して、2~4の整数を表す。)、
    一般式(ii)で表される化合物と、
    Figure 0007395147000047
    (上記式(ii)中、Pii1は重合性基を表わし、
    ii1は下記一般式(Me-a)で表されるメソゲン基であり、
    Figure 0007395147000048
    (上記一般式(Me-a)中、AMe1、AMe2、AMe3はそれぞれ独立して、少なくとも環構造を1以上有する2価の基であり、前記2価の基は1,2-シクロプロピレン基、1,3-シクロブチレン基、2,5-シクロペンチレン基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-1,5-ジイル基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-1,6-ジイル基、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-2,5-ジイル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]-1,3-ジイル基、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基-、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ナフチレン-1,4-ジイル基、ナフチレン-1,5-ジイル基、ナフチレン-1,6-ジイル基、ナフチレン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、ベンゾチアゾリレン基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-2,6-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジセレノフェン-2,6-ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2-b]チオフェン-2,7-ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2-b]セレノフェン-2,7-ジイル基、又はフルオレン-2,7-ジイル基から選ばれる基を表すが、これらの基は無置換又は1種以上の置換基Lによって置換されてもよいが、AMe1及び/又はAMe2が複数現れる場合はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
    Me1及びZMe2はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、ZMe1及び/又はZMe2が複数現れる場合はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
    Me1及びjMe2はそれぞれ独立して、0~1の整数を表すが、jMe1+jMe2は1を表し、
    置換基Lは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH-若しくは隣接していない2個以上の-CH-がそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=N-、-CR1a=N-N=CR1b-、若しくは-C≡C-によって置換されてもよい炭素原子数1~20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよい(なお、R1a及びR1bは、水素原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、当該アルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されてもよい。)。)を表し、
    ii1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、又は、炭素原子数1~20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されてもよく、当該アルキル基中の2級炭素原子を含む、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されてもよい。)
    一般式(iii)で表される化合物と、
    Figure 0007395147000049
    (一般式(iii)中、Piii1は重合性基を表し、
    iii1は炭素原子数6~22の直鎖アルキル基を表す。)
    第二成分として、負の誘電率異方性を有する液晶化合物と、
    を含有する、光散乱型液晶組成物。
  2. 前記負の誘電率異方性を有する液晶化合物は、以下の一般式(N-1)、一般式(N-2)又は一般式(N-3)で表わされる、請求項1に記載の光散乱型液晶組成物。
    Figure 0007395147000050
    (上記一般式(N-1)~(N-3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
    N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
    (a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
    (b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
    (c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
    (d) 1,4-シクロヘキセニレン基
    からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
    N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
    N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
    N31は-CH-又は酸素原子を表し、
    N11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0~3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11~AN32、ZN11~ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。ただし、一般式(i)及び(ii)で表される化合物を除く。)
  3. 前記一般式(i)~(iii)中、Pi1、Pii1及びPiii1はそれぞれ独立して、下記式(P-1)~式(P-10)から選択される重合性基を表す、請求項1又は2に記載の光散乱型液晶組成物。
    Figure 0007395147000051
    (上記式(P-1)~式(P-10)中、Ra1~Ra7はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子数1~3のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基を表わし、na1、na2、na4、及びna5はそれぞれ独立して、1~3の整数を表わし、na3は1を表す。)
  4. 前記一般式(i)で表わされる化合物と、前記一般式(ii)で表わされる化合物と、前記一般式(iii)で表わされる化合物との合計量が、総量に対して、5~25質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光散乱型液晶組成物。
  5. 前記負の誘電率異方性を有する液晶化合物を75~95質量%含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の光散乱型液晶組成物。
  6. 一対の透明電極基板と、
    前記透明電極基板の間に配された、請求項1~5のいずれかに記載の光散乱型液晶組成物中に含有される前記一般式(i)~前記一般式(iii)で表わされる化合物由来のポリマーネットワーク及び負の誘電率異方性を有する液晶化合物を含む複合層と、を有する、調光素子。
  7. 請求項6に記載の調光素子を備え、前記透明電極基板間の電圧を制御することにより、前記複合層を透過する光の散乱状態をコントロール可能なスマートウィンドウ。
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