JP7394664B2 - 被加工物の加工方法及びチップ搬送用治具 - Google Patents

被加工物の加工方法及びチップ搬送用治具 Download PDF

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Description

本発明は、被加工物の加工方法及びチップ搬送用治具に関する。
切削ブレードを用いて、樹脂パッケージ基板やセラミックス基板等の板状の被加工物を複数のデバイスチップに分割する方法が知られている。従来では、分割したチップを搬送しやすくするために、被加工物を環状フレームの開口にダイシングテープで固定した状態で分割及び搬送を実施し、ダイシングテープからチップ毎にピックアップしてチップトレイ(JEDECトレイ等)に収容していた。しかしながら、ダイシングテープは、使い捨てであるために製造コストを増大させてしまう。そこで、切削ブレードが通る逃げ溝があるチャックテーブルで被加工物を保持して分割し、チップ毎に搬送及び洗浄をしてチップトレイに収容する専用装置を用いることによって、ダイシングテープを用いることなく分割する方法が考案された(特許文献1参照)。
特開2000-150427号公報 特許第4165927号公報
しかしながら、特許文献1の装置は、新たに専用の装置を導入する必要があるため、初期費用が非常に高くなるという問題がある。このため、ダイシングテープを用いる事なく、従来の切削装置において、切削後のチップをチップトレイに移し替える移載装置を使用できる構成が求められている。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の切削装置において使い捨てのテープを用いずに切削後のチップをチップトレイに移し替えることができる被加工物の加工方法及びチップ搬送用治具を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の被加工物の加工方法は、板状の被加工物をストリートに沿って分割して形成した複数のチップを、チップトレイに収容する被加工物の加工方法であって、環状フレームと、該環状フレームの開口を覆う樹脂シートと、該チップを仮止めするタック力を有し該樹脂シートの上面に積層された樹脂層と、を備えるチップ搬送用治具を準備する治具準備ステップと、被加工物を支持する保持面と該ストリートに対応した逃げ溝とを有するチャックテーブルで被加工物を直接吸引保持し、被加工物を該ストリートに沿って複数のチップに分割する分割ステップと、該チャックテーブルから搬出した複数の該チップを、該チップ搬送用治具の該樹脂層に載置して仮止めする仮止めステップと、該チップ搬送用治具の該環状フレームを保持するフレーム保持部と、該チップトレイを支持するチップトレイ支持部と、該チップを搬送するチップ搬送部と、を備えるチップ移載装置を用いて、該チップ搬送用治具から該チップトレイに該チップを搬送し収容するチップ収容ステップと、を備え、該チップ搬送用治具を該仮止めステップと該チップ収容ステップとの間で繰り返し使用することを特徴とする。
また、本発明のチップ搬送用治具は、被加工物の加工方法で用いるチップ搬送用治具であって、該環状フレームと、該環状フレームの開口を覆う樹脂シートと、該樹脂シートの上面に積層され該チップをタック力で仮止めする樹脂層と、を備える。
本願発明は、従来の切削装置において使い捨てのテープを用いずに切削後のチップをチップトレイに移し替えることができる。
図1は、実施形態に係る被加工物の加工方法に用いる切削装置の構成例を示す斜視図である。 図2は、実施形態に係る被加工物の一例の外観を示す斜視図である。 図3は、図2に示された被加工物を別の方向から視た外観を示す斜視図である。 図4は、実施形態に係る被加工物の加工方法の流れを示すフローチャートである。 図5は、図4に示す治具準備ステップで準備するチップ搬送用治具の斜視図である。 図6は、図5の断面図である。 図7は、図4に示す分割ステップの一例を一部断面で示す側面図である。 図8は、図4に示す仮止めステップの一例を一部断面で示す側面図である。 図9は、図4の仮止めステップの図8の後の一状態を一部断面で示す側面図である。 図10は、図4の仮止めステップの図9の後の一状態を一部断面で示す側面図である。 図11は、図4のチップ収容ステップで用いるチップトレイの斜視図である。 図12は、図4のチップ収容ステップの一例を一部断面で示す側面図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る被加工物100の加工方法及びチップ搬送用治具200について、図面に基づいて説明する。まず、実施形態に係る被加工物100の加工方法に用いる切削装置1の構成、及び加工対象の被加工物100の構成について説明する。図1は、実施形態に係る被加工物100の加工方法に用いる切削装置1の構成例を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る被加工物100の一例の外観を示す斜視図である。図3は、図2に示された被加工物100を別の方向から視た外観を示す斜視図である。以下の説明において、X軸方向は、水平面における一方向である。Y軸方向は、水平面において、X軸方向に直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向である。実施形態の切削装置1は、加工送り方向がX軸方向であり、割り出し送り方向がY軸方向であり、切り込み送り方向がZ軸方向である。
切削装置1は、チャックテーブル10に保持された被加工物100を切削する装置である。被加工物100は、図2に示すように、基板である金属基板110と、金属基板110に搭載されたデバイスチップ120と、デバイスチップ120を被覆したモールド樹脂130とを備える。
金属基板110は、金属により構成され、かつ平面形状が矩形の平板状に形成される。金属基板110は、図2に示すように、デバイス領域111と、デバイス領域111を囲繞する非デバイス領域112と、が設けられている。実施形態において、デバイス領域111は、3つ設けられているが、デバイス領域111の数は、3つに限定されない。デバイス領域111は、図2に示すように、複数の領域113に区画するストリート114を有している。領域113は、金属基板110の他方の面である裏面116(図3等に示す)側にデバイスチップ120を搭載している。
デバイスチップ120は、例えば、IC(Integrated Circuit)、あるいはLSI(Large Scale Integration)等の集積回路である。ストリート114には、領域113に搭載されたデバイスチップ120と図示しないワイヤにより接続された電極部117が延在し、ストリート114を横断するように設けられている。電極部117は、領域113の全周に設けられ、領域113と、領域113の周囲の金属基板110の母材と連結している。電極部117は、実施形態では、切削加工により長手方向の中央が切断される。
モールド樹脂130は、熱可塑性樹脂により構成される。モールド樹脂130は、金属基板110の裏面116側に積層されて、領域113の裏面116に搭載したデバイスチップ120及びワイヤを封止(被覆)している。モールド樹脂130は、実施形態において、図3に示すように、金属基板110の裏面116側で、全てのデバイス領域111を封止(被覆)している。また、モールド樹脂130は、実施形態において、図2に示すように、金属基板110の表面115側で、デバイスチップ120を搭載した領域113と電極部117とを露出させた状態でストリート114内を封止している。
このように、被加工物100は、実施形態において、金属基板110に搭載されたデバイスチップ120がモールド樹脂130で被覆され、かつ切削加工により切削されるストリート114に電極部117が配置された所謂QFN(Quad Flat Non-leaded Package)基板である。被加工物100は、実施形態ではQFN基板であるが、本発明ではこれに限定されることなく、例えば、CSP(Chip Scale Packaging)基板やBGA(Ball grid array)でもよい。
図1、図2及び図3に示された被加工物100は、各デバイス領域111の各ストリート114に沿って電極部117の長手方向の中央が切削加工される。被加工物100は、各電極部117が二分割されて、個々のチップ140に分割される。チップ140は、金属基板110の領域113と、領域113に端が連なる複数の電極部117と、領域113の裏面116側に搭載され電極部117とワイヤに接続されたデバイスチップ120と、領域113の裏面116側に積層されてデバイスチップ120を被覆したモールド樹脂130とを備える。
切削装置1は、図1に示すように、チャックテーブル10と、切削ユニット30と、撮像ユニット40と、移動ユニット50と、被加工物用カセット60及びチップ搬送用治具用カセット70が載置される載置台5と、搬送ユニット80と、を備える。切削装置1は、切削ユニット30を2つ備えた、すなわち2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの切削装置である。切削装置1は、さらに、切削後の被加工物100を洗浄する洗浄ユニット等を備えていてもよい。切削装置1の各構成要素は、不図示のコンピュータである制御ユニットによって制御される。
チャックテーブル10は、被加工物100を保持面11(図7参照)で吸引保持する。チャックテーブル10は、粘着テープ等越しに被加工物100を吸引保持するものではなく、被加工物100を直接保持面11に吸引保持するとともに、被加工物100から個々に分割されたチップ140も吸引保持するものである。
チャックテーブル10は、逃げ溝12(図7参照)と、吸引穴13(図7参照)と、を備える。逃げ溝12は、切削ユニット30の切削ブレード31が被加工物100を切削する際にチャックテーブル10の保持面11を傷付けないための切削ブレード31用の溝である。逃げ溝12は、チャックテーブル10の保持面11に格子状に交差して複数形成される。逃げ溝12は、保持面11で支持する被加工物100のストリート114に対応する。吸引穴13は、逃げ溝12で区画された領域に形成される貫通穴である。
チャックテーブル10は、テーブルベース20(図7参照)に固定される。チャックテーブル10は、テーブルベース20の負圧伝達室21(図7参照)を介して、吸引源22(図7参照)と接続される。チャックテーブル10は、吸引源22によって吸引されることで、保持面11に載置された被加工物100を吸引保持する。
テーブルベース20は、実施形態において、切削ユニット30の下方の加工領域と、切削ユニット30の下方から離間して被加工物100が搬入出される領域とに亘って、移動ユニット50のX軸移動ユニット51によってX軸方向に移動自在である。テーブルベース20は、実施形態において、X軸移動ユニット51によってX軸方向に移動自在に設けられた回転移動ユニット54にZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に支持される。
テーブルベース20には、チャックテーブル10が固定される。テーブルベース20は、上面から下方に凹形状に形成される負圧伝達室21を有する。負圧伝達室21は、少なくともチャックテーブル10の吸引穴13が形成される領域に対応する領域を含んで形成される直方形状の室である。負圧伝達室21は、吸引源22に連通する。負圧伝達室21と吸引源22とを接続する通路には、切替弁23(図7参照)が設けられていてもよい。切替弁23は、通電されている状態のみ負圧伝達室21と吸引源22とを連通させる。
切削ユニット30は、チャックテーブル10に保持された被加工物100を切削して複数のチップ140に分割する切削ブレード31を着脱自在に装着した切削手段である。各々の切削ユニット30は、移動ユニット50のY軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53を介して、装置本体2から立設した第1支持フレーム3に設けられる。各々の切削ユニット30は、チャックテーブル10に保持された被加工物100に対して、Y軸移動ユニット52によりY軸方向に移動自在、かつ、Z軸移動ユニット53によりZ軸方向に移動自在である。切削ユニット30は、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53により、チャックテーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード31を位置付け可能である。切削ユニット30は、切削ブレード31と、スピンドルハウジング32と、スピンドル33と、スピンドル33に装着され切削ブレード31が固定されるマウントフランジ34(図7参照)と、切削液供給ノズル35(図7参照)と、を備える。
切削ブレード31は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。切削ブレード31は、実施形態において、いわゆるハブブレードであり、スピンドル33に固定されたマウントフランジ34に装着される円環状の円形基台と、円形基台の外周縁に配設される所定厚みの円環状の切り刃とを備える。円形基台は、導電性の金属で構成される。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなる。
各々のスピンドルハウジング32は、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53を介して、装置本体2から立設した第1支持フレーム3に支持される。各々のスピンドルハウジング32は、移動ユニット50のY軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53によってZ軸方向に移動自在に設けられる。各々のスピンドルハウジング32は、チャックテーブル10に保持された被加工物100に対して、Y軸移動ユニット52によりY軸方向に移動自在、かつ、Z軸移動ユニット53によりZ軸方向に移動自在である。
スピンドル33は、スピンドルハウジング32内に軸心回りに回転自在に設けられる。スピンドル33は、不図示のスピンドルモータ等が駆動することにより回転する。スピンドル33は、先端部にマウントフランジ34を介して切削ブレード31が装着される。切削ユニット30のスピンドル33及び切削ブレード31の軸心は、実施形態において、Y軸方向と平行な方向に設定される。
切削液供給ノズル35は、スピンドルハウジング32と一体的に移動するように、スピンドルハウジング32に対して固定されている。切削液供給ノズル35は、不図示の給水源と接続する。給水源は、例えば、切削液を貯留するタンクと、タンクの切削液を切削液供給ノズル35に供給するポンプと、を含む。切削液供給ノズル35は、切削ユニット30による切削加工中に、給水源から供給される切削液を、被加工物100及び切削ブレード31に供給する。
撮像ユニット40は、一方の切削ユニット30と一体的に移動するように、一方の切削ユニット30に固定されている。撮像ユニット40は、チャックテーブル10に保持された被加工物100の表面115の所定領域を撮像する撮像素子を含む。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子等である。撮像ユニット40は、例えば、チャックテーブル10に保持された被加工物100と切削ブレード31との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の撮像画像を撮像し、取得した撮像画像を制御ユニット等に出力する。
移動ユニット50は、チャックテーブル10と切削ユニット30とを、相対的に移動させるユニットである。移動ユニット50は、X軸移動ユニット51と、Y軸移動ユニット52と、Z軸移動ユニット53と、回転移動ユニット54と、を含む。
X軸移動ユニット51は、チャックテーブル10と、切削ユニット30とを、加工送り方向であるX軸方向に相対的に移動させるユニットである。X軸移動ユニット51は、実施形態において、チャックテーブル10が固定されるテーブルベース20及び回転移動ユニット54をX軸方向に移動させる。
Y軸移動ユニット52は、チャックテーブル10と、切削ユニット30とを、割り出し送り方向であるY軸方向に相対的に移動させるユニットである。Y軸移動ユニット52は、実施形態において、切削ユニット30をY軸方向に移動させる。
Z軸移動ユニット53は、チャックテーブル10と、切削ユニット30とを、切り込み送り方向であるZ軸方向に相対的に移動させるユニットである。Z軸移動ユニット53は、各々の切削ユニット30に対応して2つ設けられる。各々のZ軸移動ユニット53は、実施形態において、各々の切削ユニット30をZ軸方向に移動させる。
回転移動ユニット54は、チャックテーブル10と、切削ユニット30とを、Z軸方向と平行な軸心回りに相対的に回転させるユニットである。回転移動ユニット54は、実施形態において、テーブルベース20を介してチャックテーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転させる。回転移動ユニット54は、テーブルベース20とともにX軸方向に加工送りされる。
被加工物用カセット60は、板状の被加工物100を複数枚収容して、半導体製造工程で用いられる各種の加工装置間で搬送するためのものである。被加工物用カセット60は、実施形態において、チップ搬送用治具用カセット70の上面に載置される。被加工物用カセット60に被加工物100を出し入れする方向は、実施形態において、Y軸方向である。
チップ搬送用治具用カセット70は、板状のチップ搬送用治具200を複数枚収容するものである。チップ搬送用治具用カセット70は、実施形態において、装置本体2の載置台5に載置される。載置台5は、Z軸方向に昇降自在である。載置台5は、載置されたチップ搬送用治具用カセット70と、チップ搬送用治具用カセット70に載置された被加工物用カセット60とを、Z軸方向に移動させる。チップ搬送用治具用カセット70にチップ搬送用治具200を出し入れする方向は、実施形態において、Y軸方向である。チップ搬送用治具用カセット70のチップ搬送用治具200を出し入れする側には、一対のガイドレール71が設けられる。ガイドレール71は、断面L字形状である。ガイドレール71は、チップ搬送用治具200の環状フレーム201を裏面204側から支持する。また、ガイドレール71は、被加工物100を裏面116側から支持する。一対のガイドレール71は、互いに接近又は離間するようにそれぞれX軸方向に移動可能である。
搬送ユニット80は、被加工物100及びチップ搬送用治具200を搬送する。搬送ユニット80は、装置本体2から立設した第2支持フレーム4に設けられる。搬送ユニット80は、被加工物用カセット60からチャックテーブル10へ被加工物100を搬送する。搬送ユニット80は、チップ搬送用治具用カセット70とガイドレール71との間でチップ搬送用治具200を搬送する。搬送ユニット80は、チャックテーブル10上で分割されたチップ140を、ガイドレール71上のチップ搬送用治具200に搬送する。搬送ユニット80は、把持部81と、吸引部82と、を含む。
把持部81は、被加工物100の外縁部を把持する。具体的には、把持部81は、搬送ユニット80が被加工物100を被加工物用カセット60から取り出してガイドレール71へ搬送する間、被加工物100の外縁部を把持する。把持部81は、チップ搬送用治具200の環状フレーム201を把持する。具体的には、把持部81は、搬送ユニット80がチップ搬送用治具200をチップ搬送用治具用カセット70から取り出してガイドレール71へ搬送する間、チップ搬送用治具200の環状フレーム201を把持する。また、把持部81は、搬送ユニット80がチップ140を仮止めしたチップ搬送用治具200をガイドレール71からチップ搬送用治具用カセット70へ搬送する間、チップ搬送用治具200の環状フレーム201を把持する。
吸引部82は、被加工物100を表面115側から吸引する。具体的には、吸引部82は、搬送ユニット80が被加工物100をガイドレール71からチャックテーブル10へ搬送する間、被加工物100を表面115側から吸引する。また、吸引部82は、チャックテーブル10上で被加工物100から分割されたチップ140を吸引する。具体的には、吸引部82は、搬送ユニット80がチップ140をチャックテーブル10からガイドレール71上のチップ搬送用治具200へ搬送する間、チップ140を表面115側から吸引する。この際、吸引部82は、1枚の被加工物100から分割されたチップ140を全てまとめて吸引する。
次に、実施形態に係る被加工物100の加工方法を説明する。図4は、実施形態に係る被加工物100の加工方法の流れを示すフローチャートである。被加工物100の加工方法は、治具準備ステップ501と、分割ステップ502と、仮止めステップ503と、チップ収容ステップ504と、を含む。
(治具準備ステップ501)
図5は、図4に示す治具準備ステップ501で準備するチップ搬送用治具200の斜視図である。図6は、図5の断面図である。治具準備ステップ501は、チップ搬送用治具200を準備するステップである。
チップ搬送用治具200は、分割されたチップ140をチップトレイ300(図11参照)に移載するためのチップ移載装置400(図12参照)に搬送するためのものである。図5及び図6に示すように、チップ搬送用治具200は、環状フレーム201と、樹脂シート202と、樹脂層203と、を備える。
環状フレーム201は、少なくとも被加工物100のチップ140が形成される部分より大きな開口を有する。環状フレーム201は、例えば、金属や樹脂等の材質で形成される。
樹脂シート202は、環状フレーム201の開口を覆う。樹脂シート202は、外周が環状フレーム201の裏面204側に貼着される。
樹脂層203は、環状フレーム201の開口の内側であって、樹脂シート202の上面205に積層される。樹脂層203は、チップ140を仮止めするタック力を有する。
(分割ステップ502)
図7は、図4に示す分割ステップ502の一例を一部断面で示す側面図である。分割ステップ502は、被加工物100を複数のチップ140に分割するステップである。
分割ステップ502では、まず、図7に示すように、切削装置1のチャックテーブル10の保持面11に、被加工物100のモールド樹脂130を含む裏面116側を載置する。この際、被加工物100のストリート114とチャックテーブル10の逃げ溝12とを位置合わせする。被加工物100がチャックテーブル10の吸引穴13が塞ぐことにより、テーブルベース20の負圧伝達室21が密封される。
分割ステップ502では、次に、吸引源22を駆動させる、又は駆動中の吸引源22と負圧伝達室21とを切替弁23を切り替えることにより連通させる。チャックテーブル10は、吸引源22による吸引によって生じるテーブルベース20の負圧伝達室21の負圧が、チャックテーブル10の吸引穴13に伝達されることによって、被加工物100を直接吸引保持する。
分割ステップ502では、次に、スピンドル33を介して切削ブレード31を軸心回りに回転させる。被加工物100の表面115及び切削ブレード31に切削液を供給しつつ、Z軸移動ユニット53によってスピンドル33を下降させ、回転する切削ブレード31を、チャックテーブル10上の被加工物100の表面115側から切り込ませて切削させ。その後、X軸移動ユニット51によってスピンドル33を移動させ、ストリート114に沿って被加工物100を切断する。全てのストリート114を切断すると、被加工物100は複数のチップ140に分割され、分割ステップ502を終了する。
(仮止めステップ503)
図8は、図4に示す仮止めステップ503の一例を一部断面で示す側面図である。図9は、図4の仮止めステップ503の図8の後の一状態を一部断面で示す側面図である。図10は、図4の仮止めステップ503の図9の後の一状態を一部断面で示す側面図である。仮止めステップ503は、チャックテーブル10から搬出した複数のチップ140を、チップ搬送用治具200の樹脂層203に載置して仮止めするステップである。
仮止めステップ503では、まず、図8に示すように、搬送ユニット80の吸引部82を、被加工物100が搬入出される領域に移動したチャックテーブル10の直上へ移動させる。次に、搬送ユニット80を下方に移動させて、吸引部82でチップ140を吸引保持する。この際、吸引部82は、1枚の被加工物100から分割されたチップ140を全てまとめて吸引保持する。次に、吸引源22を停止させる、又は駆動中の吸引源22と負圧伝達室21とを切替弁23を切り替えることにより遮断させる。これにより、チャックテーブル10によるチップ140の吸引が解除される。
仮止めステップ503では、次に、図9に示すように、搬送ユニット80がチップ搬送用治具用カセット70からガイドレール71へチップ搬送用治具200を搬送し載置する。次に、吸引部82がチップ140を吸引保持した状態で、搬送ユニット80をガイドレール71上へ移動させ、チップ140をチップ搬送用治具200の樹脂層203の上に載置する。次に、搬送ユニット80の吸引部82による吸引を停止させる。これにより、図10に示すように、樹脂層203は、チップ140をタック力により仮止めされ、仮止めステップ503を終了する。なお、被加工物用カセット60及びチップ搬送用治具用カセット70には、それぞれ複数の被加工物100及びチップ搬送用治具200が用意されている。したがって、分割ステップ502及び仮止めステップ503は、チップ搬送用治具用カセット70に収容される全てのチップ搬送用治具200に分割されたチップ140が仮止めされるまで繰り返し実行される。
(チップ収容ステップ504)
図11は、図4のチップ収容ステップ504で用いるチップトレイ300の斜視図である。図12は、図4のチップ収容ステップ504の一例を一部断面で示す側面図である。チップ収容ステップ504は、チップ移載装置400を用いてチップ搬送用治具200からチップトレイ300にチップ140を搬送し収容するステップである。
図11に示すように、チップトレイ300は、JEDEC規格の導電性半導体集積回路装置用トレイを想定する。チップトレイ300は、矩形状の本体部301の上面から下方に凹状に形成されたチップ収容領域302を複数含む。1つのチップ収容領域302は、複数の仕切り壁303によって格子状に仕切られる矩形状である。1つのチップ収容領域302は、1つのチップ140を収容する。チップトレイ300は、例えば、紫外線を遮蔽するため黒色等に着色されたプラスチック等で形成される。
図12に示すように、チップ移載装置400は、チップ搬送用治具200からチップトレイ300にチップ140を搬送し収容する。チップ移載装置400は、フレーム保持部410と、チップトレイ支持部420と、チップ搬送部430と、を備える。
フレーム保持部410は、保持板411と、クランプ部材412と、を含む。チップ収容ステップ504では、まず、フレーム保持部410でチップ搬送用治具200を保持する。具体的には、樹脂シート202を介してチップ140を保持板411に保持し、環状フレーム201の外周部をクランプ部材412で固定する。この際、クランプ部材412に固定される環状フレーム201よりも、保持板411の保持面を高い位置にすることで、樹脂シート202に放射状の引張力が作用する。これにより、フレーム保持部410がチップ搬送用治具200を確実に保持することができる。
チップ収容ステップ504では、次に、チップトレイ支持部420でチップトレイ300を支持する。チップトレイ支持部420は、例えば、チップトレイ300の下部が嵌合する凹部を上面に有していてもよい。
チップ収容ステップ504では、次に、チップ搬送部430のピックアップ部431で、フレーム保持部410に保持されたチップ搬送用治具200から、1つのチップ140を把持又は吸引保持する。チップ140は、樹脂層203のタック力に抗して、樹脂層203から離間する。次に、チップ搬送部430は、ピックアップしたチップ140を、チップトレイ支持部420に保持されたチップトレイ300に搬送し、チップ収容領域302に収容する。次に、チップ搬送部430のピックアップ部431によるチップ140の把持又は吸引保持を解除する。全てのチップ140を搬送及び収容すると、チップ収容ステップ504を終了する。
チップ搬送用治具200は、仮止めステップ503とチップ収容ステップ504との間で繰り返し使用される。すなわち、チップ収容ステップ504を終了した後のチップ搬送用治具200は、再びチップ搬送用治具用カセット70に戻され、新たに分割されたチップ140の搬送に使用される。
以上説明したように、実施形態に係る被加工物100の加工方法は、チップ搬送用治具200を準備する治具準備ステップ501と、被加工物100を複数のチップ140に分割する分割ステップ502と、チャックテーブル10から搬出した複数のチップ140を、チップ搬送用治具200の樹脂層203に載置して仮止めする仮止めステップ503と、チップ移載装置400を用いてチップ搬送用治具200からチップトレイ300にチップ140を搬送し収容するチップ収容ステップ504と、を備える。
また、実施形態に係るチップ搬送用治具200は、環状フレーム201と、環状フレーム201の開口を覆う樹脂シート202と、樹脂シート202の上面に積層されチップ140をタック力で仮止めする樹脂層203と、を備える。
チップ搬送用治具200の環状フレーム201には、環状フレームにダイシングテープで固定された状態で被加工物100を分割する際に使用する環状フレームと同様の構成及び形状のものを使用できる。また、チップ移載装置400は、環状フレームにダイシングテープで固定された状態で分割されたチップ140を1つずつピックアップする従来の構成と同様である。したがって、チップ移載装置400は、従来と同様の構成で、環状フレーム201に樹脂層203で仮止めした状態のチップ140を1つずつピックアップすることが可能である。また、チップ搬送用治具用カセット70は、従来の環状フレームを収容する収容カセットと同様の構成及び形状のものを使用できる。
また、分割ステップ502で使用する切削装置1は、従来のチャックテーブル10に逃げ溝12のあり、被加工物100を直接吸引保持する構成のものに、分割後のチップ140を搬出する機構を追加したものである。すなわち、被加工物100の加工方法は、チップ搬送用治具200を準備し、従来の切削装置1に、チャックテーブル10からチップ搬送用治具200に分割後のチップ140を搬送する機構(搬送ユニット80)を追加することで実現できる。したがって、被加工物100の加工方法は、ダイシングテープを必要としない加工方法を安価に導入できるという効果を奏する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1 切削装置
10 チャックテーブル
11 保持面
12 逃げ溝
13 吸引穴
30 切削ユニット
60 被加工物用カセット
70 チップ搬送用治具用カセット
80 搬送ユニット
100 被加工物
114 ストリート
140 チップ
200 チップ搬送用治具
201 環状フレーム
202 樹脂シート
203 樹脂層
300 チップトレイ
400 チップ移載装置
410 フレーム保持部
420 チップトレイ支持部
430 チップ搬送部

Claims (2)

  1. 板状の被加工物をストリートに沿って分割して形成した複数のチップを、チップトレイに収容する被加工物の加工方法であって、
    環状フレームと、該環状フレームの開口を覆う樹脂シートと、該チップを仮止めするタック力を有し該樹脂シートの上面に積層された樹脂層と、を備えるチップ搬送用治具を準備する治具準備ステップと、
    被加工物を支持する保持面と該ストリートに対応した逃げ溝とを有するチャックテーブルで被加工物を直接吸引保持し、被加工物を該ストリートに沿って複数のチップに分割する分割ステップと、
    該チャックテーブルから搬出した複数の該チップを、該チップ搬送用治具の該樹脂層に載置して仮止めする仮止めステップと、
    該チップ搬送用治具の該環状フレームを保持するフレーム保持部と、該チップトレイを支持するチップトレイ支持部と、該チップを搬送するチップ搬送部と、を備えるチップ移載装置を用いて、該チップ搬送用治具から該チップトレイに該チップを搬送し収容するチップ収容ステップと、
    を備え、
    該チップ搬送用治具を該仮止めステップと該チップ収容ステップとの間で繰り返し使用する被加工物の加工方法。
  2. 請求項1に記載の被加工物の加工方法で用いるチップ搬送用治具であって、
    該環状フレームと、該環状フレームの開口を覆う樹脂シートと、該樹脂シートの上面に積層され該チップをタック力で仮止めする樹脂層と、を備えるチップ搬送用治具。
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