JP7394179B2 - アルミ電線、及びアルミ電線の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、アルミニウム系導体を絶縁樹脂被覆で被覆して構成したアルミ電線、及びアルミ電線の製造方法に関する。
例えば、自動車には多数の絶縁電線が配索されており、自動車の軽量化の要求に対して、軽量化された絶縁電線が求められている。
一般的な絶縁電線は、導電性を有する芯線(素線)を束ねた導体と、導体を被覆する絶縁樹脂被覆とで構成されている。これまでは、導電性の優れた銅製あるいは銅合金製の芯線で構成する導体(以下において銅導体という)が用いられることが一般的であった。
これに対し、上述のような軽量化の要求に対し、特許文献1では、アルミ製又はアルミ合金製の芯線(以下においてアルミ系芯線という)を束ねた導体(以下においてアルミ導体という)を用いたアルミ電線が提案されており、このようなアルミ電線は、同径の銅導体を用いた絶縁電線に比べて軽量であると記載されている。
しかしながら、アルミ導体は銅導体に比べて導電性が低く(約60%)、銅導体で構成された絶縁電線と同程度の導電性を確保するためには、アルミ導体の断面積を銅導体の断面積以上に設定する必要があった。
このように、銅導体と同程度の導電性を確保したアルミ導体を有するアルミ電線は、アルミ導体の断面積が銅導体より大きくなる、すなわち断面径が大きくなるため、アルミ電線の電線外径も大きくなる。具体的には、アルミ導体の太さを銅導体の太さの約1.5~1.7倍とすることで、電流容量を同じ程度とし、同程度の導電性を備える電線とすることができる。
電線外径が大きくなると、絶縁電線が接続される圧着端子における圧着部などの端子と電線との接続部分も大きくなり、当該端子を装着して構成するコネクタのコネクタハウジングにおけるキャビティ(端子挿入孔)に端子を挿入できなくなるおそれがあった。
特開2014-74229号公報
この発明は、上述した問題を鑑み、銅製の導体を有する絶縁電線と同程度の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線を提供することを目的とする。
この発明は、アルミニウムが99質量%以上の複数本のアルミニウム系芯線で構成した導体が絶縁樹脂被覆で被覆されたアルミ電線であって、19本あるいは37本の前記アルミニウム系芯線が非圧縮状態且つ同ピッチで同心撚りされて前記導体が構成され、前記導体が19本の前記アルミニウム系芯線で構成される場合は、前記アルミニウム系芯線の外径が0.56mm以上1.06mm以下であり、前記導体が37本の前記アルミニウム系芯線で構成される場合は、前記アルミニウム系芯線の外径が0.40mm以上0.76mm以下であり、前記導体を構成する前記アルミニウム系芯線が断面正六角形状に配置され、前記導体が形成する断面略正六角形の外接円の直径を導体外径とし、複数点における電線外径と前記導体外径との差を1/2倍した値の平均値を絶縁被覆の厚みとし、絶縁被覆の厚みが、前記導体外径の10%以上15%以下であるとともに、前記電線外径の7%以上14%未満であり、前記導体の断面積が5mm 以上17mm 未満であることを特徴とする。
この発明により、銅製の導体を有する絶縁電線と同程度の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線を構成することができる。
詳述すると、アルミニウムが99質量%以上の複数本のアルミ系芯線で構成する導体を絶縁樹脂被覆で被覆したアルミ電線において、前記アルミ系芯線を非圧縮状態で且つ同ピッチで同心撚りして前記導体を構成することで、アルミ系芯線の柔軟性が高いことにより導体の柔軟性に優れ、絶縁樹脂の被覆時にもアルミ系芯線がばらけることなく、断面において秩序よく整列された状態の導体を構成することができる。
一方で、導体外径に対して厚さの薄い絶縁樹脂被覆で導体を被覆するため電線外径は大きくならないものの、例えば、集合撚りやロープ撚り(複合撚り)などの撚り方で芯線を撚った撚線導体の場合のようにばらけた芯線が絶縁樹脂被覆に食い込んだり、絶縁樹脂被覆が偏肉したりして、絶縁樹脂被覆が局所的に薄くなり、絶縁性や強度などの絶縁樹脂被覆に要求される性能(要求性能)が確保できないおそれがある。
これに対し、上述したように、アルミ系芯線を同ピッチで同心撚りして構成した導体は、その断面においてアルミ系芯線同士が秩序よく整列されているため、厚みが薄い絶縁樹脂被覆であっても確実に所要の厚みを確保することができる。
また、同心撚りされた19本あるいは37本の前記アルミ系芯線で前記導体を構成することで、所望の断面積に応じた撚り方で構成した導体を備えたアルミ電線を構成することができる。
さらに、長手方向と直交する断面における導体と絶縁樹脂被覆の厚みの厚い箇所(以下、絶縁体最大厚さとする。)に対する厚みの薄い箇所(以下、絶縁体最小厚さとする。)の割合である偏肉度が70%以上であるため、導体は断面において中央付近に配置されることとなる。これにより、絶縁体最小厚さと絶縁体最大厚さと差が小さくできる。
すなわち、絶縁体最小厚さが所定の厚さとなるように被覆する絶縁樹脂被覆は、絶縁体最大厚さの箇所における厚さを薄くすることができる。したがって、アルミ電線の外径を小さくできる。
前記絶縁樹脂被覆の厚さが10%未満である場合、絶縁性や強度などの絶縁樹脂被覆要求性能を満足できないおそれがある。逆に、絶縁樹脂被覆の厚さが導体外径に対して20%より大きい場合、導電性が同程度の銅電線に比べて電線外径が大きくなるおそれがある。これに対し、前記絶縁樹脂被覆は前記導体外径の10%以上20%以下の厚さであるため、所望の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線を構成することができる。
さらにまた、複数本のアルミ系芯線で構成する導体は、同程度の導電性を有する銅系芯線で構成する導体よりも導体外径が大きくなり、柔軟性の低下が懸念されるが、アルミ系芯線がアルミニウム99質量%以上の柔軟な、つまり硬度の低いアルミニウム系材料で構成されているため、アルミ系芯線自体が適度な柔軟性を備えており、適当な柔軟性を有するアルミ電線を構成することができる。
また、当該アルミ電線を、例えば、圧着端子の圧着部で圧着接続した場合、圧着部が損傷することなく、適切に圧着して接続することができる。
詳述すると、アルミニウムが99質量%未満のアルミ系芯線を撚って導体を構成する場合、アルミ系芯線の硬度が増大するためアルミ系芯線で構成する導体を所定の圧着率で圧着すると、圧着端子の圧着部が損傷するおそれがあるが、硬度の低いアルミニウムが99質量%以上で含まれるアルミ系芯線で構成する導体を用いることにより、圧着する圧着部が損傷することなく、導体を適切に圧着して接続することができる。
また、導体を構成するアルミ系芯線を断面においてより秩序よく整列することができるとともに、導体の断面形状を長手方向にわたって安定させることができるため、絶縁樹脂被覆の厚みを平均的に略同一とすることができるとともに、厚みが薄い絶縁樹脂被覆であっても確実に所要の厚みを確保することができる。
またこの発明の態様として、前記導体を構成する19本あるいは37本の前記アルミ系芯線の芯線径を同径としてもよい。
この発明により、一種類のアルミ系芯線で導体を形成することができるため、導体の外径の誤差を減少させることができる。さらには、複数種のアルミ系芯線を製造する必要がないため、製造工程を簡略化できるとともに製造コストを削減することができる。
さらにまた導体を構成するアルミ系芯線を断面正六角形状に配置した場合、外層に配置されるアルミ系芯線を内層に配置したアルミ系芯線の間に嵌め込むことができるため、同径とした芯線をより安定して配置することができる。すなわち、芯線をより秩序よく整列することができる。
この発明の態様として、前記導体の断面積を2.5mm以上17mm未満としてもよい。
この発明によると、前記導体の断面積が2.5mm以上17mm未満であるため、所望の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線を構成することができる。
詳しくは、アルミ系芯線は同径の銅系芯線に比べて導電率が低いため、複数本のアルミ系芯線で構成する導体の断面積が2.5mm未満である場合、対応する銅系電線と同程度の導電性を確保したアルミ径芯線を構成することが困難となる。逆に、複数本のアルミ系芯線で構成する導体の断面積が17mm以上である場合、銅系電線と同程度の導電性は確保できるものの、導体の剛性が強くなることで柔軟性が損なわれ、電線の曲げ性能が低下するおそれがある。
しかしながら、前記導体の断面積が2.5mm以上17mm未満で構成されることにより、銅電線と略同じ外径および電流容量を有するアルミ線とすることができ、さらには所望の曲げ性能を維持することができる。すなわち、前記導体を被覆する絶縁被覆の厚みを、前記導体の保護が可能な範囲で薄くできるため、同程度の電流容量の銅電線と同じ外径にできるとともに、所望の曲げ性能を備えることができる。
この発明の態様として、前記絶縁樹脂被覆を、電線外径の7%以上14%未満の厚さとすることができる。
この発明により、絶縁樹脂被覆の最低肉厚を確保できるアルミ電線を構成することができる。
またこの発明の態様として、前記絶縁樹脂被覆を、温度23℃における引張強さが14MPa以上、加熱変形率が25%以下、耐寒性が-15℃以下、かつ、温度30℃における体積抵抗率が1×1012Ωcm以上としてもよい。
この発明により、電線外径が大きくならないとともに、絶縁樹脂被覆としての機械的強度が低下することなく、絶縁樹脂被覆の要求性能を満足するアルミ電線を構成することができる。
なお、上述の「引張強さ」、「加熱変形率」、「耐寒性」、および「体積抵抗率」については、日本工業規格 JIS K 6723-2006 「軟質ポリ塩化ビニルコンパウンド (Plasticized polyvinyl chloride compounds)」に基づいて定義されたものである。また、「引張強さ」および「体積抵抗率」の基準となる温度は、±0.5℃の誤差を許容するものとする(以下同様)。
またこの発明の態様として、前記導体の断面積を5mm以上とし、前記絶縁樹脂被覆を前記導体外径の15%以下の厚さとしてもよい。
この発明により、厚みが薄い絶縁樹脂被覆であっても確実に所要の厚みを確保することができ、銅製の導体を有する絶縁電線と同程度の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線を構成することができる。
この発明により、銅製の導体を有する絶縁電線と同程度の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線を提供することができる。
絶縁電線の概略斜視図。 アルミ電線についての説明図。 アルミ電線についての説明図。 銅電線についての説明図。 ボビンの斜視図。 19本の軟芯線で構成された撚線導体を撚り合わせる撚線機の概略図。 第2層撚り合せユニットの拡大斜視図。 撚線導体に絶縁樹脂被覆を被覆する絶縁樹脂被覆機の説明図。 軟芯線を撚り合わせた撚線導体の製造方法を説明するフロー図。 硬芯線を撚り合わせた撚線導体の製造方法を説明するフロー図。 37本の軟芯線で構成された撚線導体の説明図。 37本の軟芯線で構成された撚線導体の製造方法を説明するフロー図。
図1は、アルミ電線1の概略斜視図を示し、図2はアルミ電線1,1Aの説明図を示している。詳しくは、図2(a)はアルミ電線1の断面図を示し、図2(b)はアルミ電線1Aの断面図を示し、なお、図1においては、絶縁樹脂被覆30の内部のアルミ導体10について破線で図示している。
図3はアルミ電線1における絶縁樹脂被覆30の厚みに関する説明図を示し、図4は銅電線100の断面図を示している。
図1及び図2(a)に示すアルミ電線1は、アルミニウムが99質量%以上含まれるアルミ系芯線20を37本、非圧縮状態で同心撚りして構成したアルミ導体10を絶縁樹脂被覆30で被覆して構成している。
いわゆる5sq(導体断面積が約5mmの電線、「sq」は「mm」を意味する。以下同じ。)の銅電線100(図4参照)と同程度の導電性を有するアルミ電線1は、いわゆる8sqと呼ばれるサイズの電線である。詳しくは、直径が0.52mmのアルミ系芯線20を37本同心撚りして導体外径Φa3.64mmのアルミ導体10を構成し、アルミ導体10を肉厚0.4mmの絶縁樹脂被覆30で被覆して、仕上外径4.4mmのアルミ電線1を構成している。
ここで導体外径Φとは、『JASO-D-618』で記載されている測定方法により測定され、アルミ電線1を構成するアルミ導体10が形成する断面略正六角形の外接円Fcの直径をさす(図3参照)。
また、肉厚とはアルミ導体10を被覆する絶縁樹脂被覆30の肉厚の平均値をさし、具体的には、任意の複数点における電線外径(仕上外径R)と導体外径Φとの差を1/2倍した値の平均値をさす。
また図3に示すように、アルミ電線1においてアルミ導体10を被覆する絶縁樹脂被覆30の肉厚部分のうち、肉厚が最も薄い箇所の肉厚lcを絶縁体最小厚さとする。これに対して、絶縁体最小厚さが測定された肉厚lcとアルミ導体10の中心を結んだ直線上のうち、絶縁体最小厚さを示す側と反対側の被覆の厚さ、すなわち上述の直線上において肉厚が厚い箇所の肉厚lbを絶縁体最大厚さとする。
また、絶縁体最大厚さ(肉厚lb)に対する絶縁体最小厚さ(肉厚lc)の割合を(lc/lb)とり(図3参照)、長手方向において撚り合せピッチの整数倍とならない位置で、かつ最も離れた2点間の長さが撚り合せピッチより長くなるように、3箇所以上(以下の例では4箇所)採取したデータの最小値を偏肉度とした。なお、本実施形態におけるアルミ電線1の偏肉度は78%である。
具体的には、偏肉度は、所定の長さのアルミ電線1を5本作成し、長手方向に対して上記条件を満たすように選択した断面において、アルミ導体10が形成する六角形の対向する頂点を結んだ線を、アルミ電線1の外周まで伸ばした直線(計測線L)を引き、この計測線Lのアルミ導体10とアルミ電線1との間の絶縁樹脂被覆30の肉厚の長さ(肉厚lb,肉厚lc)を測定して、肉厚lbに対する肉厚lcの割合(lc/lb)を百分率として算出する。
ここで、アルミ導体10は六角形状であるため、計測線Lを3本引くことができるが、この3本の計測線(L1~L3)から算出したそれぞれの偏肉度のうち最も小さな値を、アルミ電線1の偏肉度とする。
なお、下記に記載するアルミ電線1Aの場合にも同様に偏肉度を算出する。
図3(a)に示すようにアルミ電線1は、37本のアルミ系芯線20でアルミ導体10を構成する場合、中心の1本(中芯11)、その周りに6本(第2層12)、12本(第3層13)、及び18本(第4層14)のアルミ系芯線20を中心から順に配置し、第2層12と第3層13と第4層14の撚り合せピッチPaが同じで同心撚りしたアルミ導体10を構成している。
また、アルミ系芯線20は、99.7質量%以上のアルミニウムで構成され、導電率が61.2%IACS以上、引張り強度が70~120MPaかつ引張り伸びが16%以上である、いわゆる純アルミニウム系材料(JISH4000の1070系に対応する組成のアルミニウム系材料)で構成しているが、Siが0.10質量%以下、Feが0.2~0.23質量%、Cuが0.16~0.23質量%、Mnが0.005質量%以下、Mgが0.12~0.15質量%、Ti+Vが0.05質量%以下、かつ残りが99質量%以上のアルミニウムで構成され導電率が58%IACS以上、引張り強度が90MPa以上、かつ引張り伸びが8%以上であるアルミニウム合金材料でアルミ系芯線20を構成してもよい。すなわち、導電率が60%程度である純度99%以上のアルミニウム合金材料であれば、詳細の構成については限定されず、本願発明のアルミ系芯線20の材料として、十分な柔軟性と所望の導電性を有するアルミ導体10を製造することができる。
絶縁樹脂被覆30は、温度23℃における引張強さが19.6MPa以上、加熱変形率が25%以下、耐寒性が-20℃以下、かつ温度30℃における体積抵抗率が3×1012Ωcm以上であるポリ塩化ビニル(以下、PVC)製の絶縁樹脂被覆である。
このように構成したアルミ電線1において、直径が0.52mmのアルミ系芯線20を37本同心撚りして構成した導体外径3.64mmのアルミ導体10の総断面積は7.85mmとなる。
また、肉厚0.4mmの絶縁樹脂被覆30は、導体外径3.64mmのアルミ導体10に対して10%以上15%以下となる11%の厚みであり、仕上外径4.4mmのアルミ電線1に対して7%以上14%未満となる9%の厚みで構成している。
これに対し、図2(b)に示すように、19本のアルミ系芯線20Aを同心撚りして構成したアルミ導体10Aを有するアルミ電線1Aは、上述のアルミ電線1と同程度にいわゆる8sqと呼ばれるサイズの電線であり、直径が0.73mmのアルミ系芯線20Aを19本同心撚りして導体外径Φbが3.65mmのアルミ導体10Aを構成し、アルミ導体10Aを肉厚0.4mmの絶縁樹脂被覆30で被覆して、仕上外径4.4mmに構成している。
なお、アルミ電線1Aにおける偏肉度は、80%である。
また、19本のアルミ系芯線20Aでアルミ導体10Aを構成する場合、中心の1本(中芯11A)、その周りに6本(第2層12A)、及び12本(第3層13A)のアルミ系芯線20Aを中心から順に配置し、第2層12と第3層13との撚り合せピッチが同じで同心撚りしてアルミ導体10Aを構成している。
このように構成したアルミ電線1Aにおいて、直径が0.73mmのアルミ系芯線20を19本同心撚りして構成した導体外径Φbが3.65mmのアルミ導体10の総断面積は7.95mmとなる。
また、肉厚0.4mmの絶縁樹脂被覆30は、導体外径3.65mmのアルミ導体10Aに対して10%以上15%以下となる11%の厚みであり、仕上外径4.4mmのアルミ電線1Aに対して7%以上14%未満となる9%の厚みで構成している。
これらのアルミ系芯線20で構成するアルミ導体10,10Aを有するアルミ電線1,1Aと同程度の導電性を有する銅電線100は、例えば、図4に示すように、いわゆる5sqと呼ばれるサイズの電線であり、直径が0.32mmの銅芯線120を65本で集合撚りして導体外径3.0mmの銅導体110を構成し、銅導体110を肉厚0.7mmの絶縁樹脂被覆30で被覆して、仕上外径4.4mmに構成している(表3参照)。
このように、アルミ系芯線20に比べて導電性が高い銅芯線120で構成する銅導体110の総断面積は5.22mmであり、上述のアルミ電線1,1Aにおけるアルミ導体10,10Aの総断面積7.95mmより小さくなるが、銅導体110とアルミ導体10,10Aとは同程度の導電性を備えている。
換言すると、アルミ電線1,1Aは、アルミ導体10,10Aが銅導体110と比べて断面積が大きいものの、銅電線100と略同一の仕上外径とすることができるとともに、同程度の導電性すなわち許容電流を有する構成である。
また、アルミ電線1,1Aを構成するアルミ系芯線20、20Aは銅導体110を構成する銅芯線120よりも比重が著しく軽い(約1/3である)ため、アルミ系芯線20,20Aで構成されるアルミ導体10,10Aの総断面積が大きくともアルミ電線1,1Aの質量を軽くすることができる。
さらにまた、一般に被覆電線において、絶縁樹脂被覆の厚みは、絶縁体最小厚さが所定の厚みを確保できるように設計する。アルミ電線1,1Aは偏肉度が70%以上であるため、絶縁体最小厚さ(肉厚lc)と絶縁体最大厚さ(肉厚lb)との差を小さくできる。これにより、絶縁体最大厚さ(肉厚lb)の位置における絶縁樹脂被覆30の厚みを薄くできるため、所望の外径を有するアルミ電線1,1Aとしても、確実にアルミ導体10,10Aを絶縁樹脂被覆30で保護できるとともに、アルミ電線1,1Aの断面外径を小さくできる。
また、絶縁樹脂被覆30は、温度23℃における引張強さが16.2MPa以上、加熱変形率が40%以下、耐寒性が-17℃以下、かつ温度30℃における体積抵抗率が1×1011Ωcm以上であるPVC製の絶縁樹脂被覆である。
このように、導体外径3.0mmの銅導体110より外径が大きいアルミ導体10,10Aを性状より高性能の絶縁樹脂被覆30でアルミ導体10,10Aを被覆している、より詳しくは、絶縁樹脂被覆30の肉厚0.7mmより薄い肉厚0.4mmの絶縁樹脂被覆30でアルミ導体10を被覆することで、電線外径は銅電線100と同程度のサイズのアルミ電線1,1Aを構成することができる。
以下、上述のアルミ電線1,1Aの製造装置及び製造方法について説明する。
まずは、アルミ電線1Aの製造装置及び製造装置について図5乃至図9に基づいて説明する。
ここで、図5は、アルミ系芯線20Aを巻き回した状態のボビン3aの斜視図を示し、図6は、撚線機4aの概略図を示し、図7は第2層撚り合せユニット5の拡大斜視図を示し、図8はアルミ導体10Aに絶縁樹脂被覆30を被覆する絶縁体樹脂被覆機300の説明図を示し、図9は、第1実施形態におけるアルミ導体10Aの製造方法を説明するフロー図を示している。
図6は、ボビン3aを取り付ける第2ボビン取付部522及び第3ボビン取付部612の個数が違うことを容易に理解できるように簡略化した撚線機4aの概略図である。
図8について詳述すると、図8(a)は絶縁体樹脂被覆機300の概略分解斜視図を示し、図8(b)は絶縁体樹脂被覆機300の中心を通るように進行方向Xに沿って直交する断面を示す概略斜視図を示し、図8(c)は図8(b)のα部の拡大図を示し、図8(d)は図8(b)におけるニップル320の先端部分を進行方向Xから視た正面断面図を示す。
なお図8(a)及び図8(b)は、内部構造が分かるように一部を破線で表している。部分的に断面図を示している。
上述のように構成したアルミ導体10Aは、事前に硬芯線の軟化処理を行った軟芯線であるアルミ系芯線20Aを巻き回したボビン3a、アルミ系芯線20Aを撚り合わせる撚線機4a、及びアルミ導体10Aを巻き取るボビン3bを用いて製造する。以下において、これらボビン3a,3b及び撚線機4aの構成について説明する。
まず、ボビン3aは、図5に示すように、アルミ系芯線20Aを巻き回す軸芯(図示省略)と、軸芯の両端に備えた円環状のフランジ31,31とを一体に構成している。
軸芯は、軸方向に貫通する貫通孔32を有した円筒状に形成されている。
フランジ31,31は、内周が軸芯の端部における外周に固定されている。
ボビン3bは、ボビン3aと同様の構成であるため、説明を省略する。
次に、撚線機4aは、図6に示すように、第2層12を撚り合わせる第2層撚り合せユニット5と、第3層13を撚り合わせる第3層撚り合せユニット6と、アルミ導体10Aを巻き取る導体巻き取り部7とをこの順に配置して構成している。
なお、第2層撚り合せユニット5、第3層撚り合せユニット6、及び導体巻き取り部7を配置する方向、つまり、図6及び図7における左側から右側に向かう方向を、アルミ系芯線20Aが進行する進行方向Xとする。
第2層撚り合せユニット5は、図7に示すように、中芯11を構成するアルミ系芯線20Aを巻き回したボビン3aを取り付ける第1ボビン取付部51と、第2層12を構成するアルミ系芯線20Aを巻き回したボビン3aを取り付ける第2層撚り合せ部材52と、中芯11に第2層12を集合させる第2層集合チャック53とを、進行方向Xに向けてこの順に配置して構成している。
第1ボビン取付部51は、ボビン3aの貫通孔32に挿通してボビン3aを回転自在に取り付ける回転軸と、回転軸の回転速度を制御する回転制御部とを備えている(図示省略)。
第1ボビン取付部51の回転制御部は、後述する導体巻き取り部7の回転制御部によって回転するボビン3bの自転速度に応じて、ボビン3aを取り付けた回転軸の自転速度を制御でき、巻き解くアルミ系芯線20Aに所望の張力を作用させることができる。
第2層撚り合せ部材52は、進行方向Xに伸びる円筒状の軸芯52aと、軸芯52aの第1ボビン取付部51側に備えた円盤状の第1フランジ52bと、第1ボビン取付部51の反対側に備えた円盤状の第2フランジ52cとを一体に構成し、図示省略する回転機構を備えている。
軸芯52aは、内部に進行方向Xに沿って貫通する貫通孔521を有している。この軸芯52aは、第1フランジ52b及び第2フランジ52cを、所定の間隔を隔てた状態に支持している。
第1フランジ52bは、中心に軸芯52aの外径と同等の直径の穴を有する円盤状に形成されている。この第1フランジ52bは、内周が軸芯52aの端部における外周に固定されており、第1ボビン取付部51と同様の構成である第2ボビン取付部522を6個備えている。
6個の第2ボビン取付部522は、同心円上に等間隔を隔てて配置されており、進行方向Xからみて略正六角形となるように、第1フランジ52bの第2フランジ52c側の面に配置されている。
第2フランジ52cは、第1フランジ52bと同様に、中心に軸芯52aの外径と同等の直径の穴を有する円盤状に形成されている。この第2フランジ52cは、軸芯52aの端部における外周に固定されており、第2ボビン取付部522に取り付けたボビン3aから巻き解いたアルミ系芯線20Aを挿通する挿通孔523を6個形成している。
6個の挿通孔523は、アルミ系芯線20Aの直径よりも一回り大きな円形にそれぞれ形成されており、同心円上に等間隔を隔てて、つまり、進行方向Xからみて略正六角形となるように、第2ボビン取付部522と対向する位置に配置されている。
なお、上述のように、第2ボビン取付部522の数は、第2層撚り合せ部材52に取り付けるボビン3aの数と一致するとともに、挿通孔523の数は、第2層12を構成するアルミ系芯線20Aの数と一致する。つまり、第2ボビン取付部522、挿通孔523、第2層を構成するアルミ系芯線20A、及びアルミ系芯線20Aを巻き回しているボビン3aの数は一致している。
第2層撚り合せ部材52に備えた回転機構は、進行方向Xに伸びる円筒状の軸芯52aの中心軸まわり(例えば、図7中の矢印方向)に第2層撚り合せ部材52を回転させる機構であって、軸芯52aに設けられている。
なお、回転機構は、第2層撚り合せ部材52を回転させることができれば、軸芯52aに設けることだけに限らず、第1フランジ52bや第2フランジ52cに設けてもよい。
第2層集合チャック53は、第2層12の外径、つまり、中芯11と第2層12の直径と同等の内径を有する円筒状に形成されており、挿通孔523を通過した6本のアルミ系芯線20Aを、貫通孔521を通過した中芯11のまわりに集合させるものである。
第3層撚り合せユニット6は、第3層撚り合せ部材61及び第3層集合チャック62で構成している。なお、第3層撚り合せ部材61及び第3層集合チャック62は、第2層撚り合せユニット5の第2層撚り合せ部材52及び第2層集合チャック53と同様の構成であるため、図示省略するとともに、以下において簡単に説明する。
第3層撚り合せ部材61は、軸芯61aと、第1フランジ61bと、第2フランジ61cとを一体に構成し、図示省略する回転機構を備えている。
軸芯61aは、内部に進行方向Xに沿って貫通する貫通孔を有する円筒状に形成されている(図示省略)。
第1フランジ61bは、第3ボビン取付部612を12個備えており、第2フランジ61cは、挿通孔613を12個形成している。
これら第3ボビン取付部612及び挿通孔613は、進行方向Xからみて略正六角形となるように、互いに対向する位置に配置されており、各頂点に設けられた第3ボビン取付部612及び挿通孔613との間に、第3ボビン取付部612及び挿通孔613が1つずつ等間隔で設けられている。
第3層撚り合せ部材61に備えた回転機構は、上述した第2層撚り合せ部材52に備えた回転機構と同様の構成であって、軸芯61aに設けられている。
なお、回転機構は、第2層撚り合せ部材52に備えた回転機構と同様に、軸芯61aに設けることだけに限定しない。
第3層集合チャック62は、第3層13の外径、つまり、導体外径Φbと同等の内径を有する円筒状に形成されており、挿通孔613を通過した12本のアルミ系芯線20Aを、貫通孔を通過した第2層12のまわりに集合させるものである。
導体巻き取り部7は、第1ボビン取付部51と同様に、ボビン3bの貫通孔32に挿通して、ボビン3bを回転自在に取り付ける回転軸と、回転軸を回転させる回転制御部とを備えている(図示省略)。つまり、導体巻き取り部7は、回転機構が回転軸を回転させることで、回転軸に取り付けたボビン3bにアルミ導体10Aを巻き取ることができる。
なお、以下の説明において、第1ボビン取付部51、第2ボビン取付部522、第3ボビン取付部612、及び導体巻き取り部7の回転を便宜上自転と称し、第2層撚り合せ部材52及び第3層撚り合せ部材61の回転を公転と称する。
以上のように構成した撚線機4aは、第2層撚り合せ部材52及び第2層集合チャック53によって、中芯11の外側に第2層12を撚り合わせて第2層12を構成するとともに、第3層撚り合せ部材61及び第3層集合チャック62によって、第2層12の外側に第3層13を撚り合わせてアルミ導体10Aを構成する。
なお、第2層撚り合せユニット5及び第3層撚り合せユニット6と、導体巻き取り部7との回転速度及び回転開始のタイミングなどを制御することで、所定の撚り合せピッチPaでアルミ系芯線20Aを撚り合わせたり、所定の張力をアルミ系芯線20Aに作用させたりすることができる。
このように構成されたアルミ導体10Aを絶縁樹脂被覆30となる絶縁樹脂(PVC)で被覆することにより、アルミ電線1Aを製造することができる。
以下、アルミ導体10Aに絶縁樹脂被覆30を被覆する絶縁体樹脂被覆機300について、図8に基づいて説明する。なお図8は、絶縁体樹脂被覆機300の中心位置における、進行方向Xに沿った断面図を示す。
絶縁体樹脂被覆機300は、図8に示すように、進行方向Xに沿って配置されており、絶縁体樹脂被覆機300の本体部分である有底円筒状の本体部310と、本体部310の中央部分基端側に装着されたニップル320と、本体部310の進行方向側端部に装着されたダイス330とで構成されている。
本体部310は、絶縁体樹脂被覆機300の外側を形成する円筒状の外装体311と、外装体311の中央部分に設けられた貫通孔311aに装着されたクロスヘッド312とで構成され、外装体311には、絶縁樹脂被覆30の材料である液体状のPVC樹脂30Aを溜める樹脂溜部313と、樹脂溜部313と挿通するとともに液体状のPVC樹脂30Aを内部に送るための挿通路314が形成されている。
クロスヘッド312は、外装体311の中央部分に形成された貫通孔311aの進行方向Xの基端側に嵌合させた円筒状の筒体であり、底面の中央部分にはアルミ導体10Aよりも大きな貫通孔である導体貫通孔315が形成されている。
ニップル320は、進行方向Xに沿って形成された円柱体であって、先端部分が進行方向Xに向かうにつれて先細りした円錐台形状で構成されている。なお、ニップル320の中央部分には導体貫通孔315よりもわずかに小径で、且つアルミ導体10Aの外径よりも大きな貫通孔であるニップル側貫通孔321が進行方向Xに沿って形成されている。
ダイス330は、ニップル320の円柱部分の径よりも大きな径を有する円を底面とする円筒体であり、進行方向Xの基端側には円錐形状の凹部が形成されているとともに、ダイス330の中央部分には、アルミ導体10Aの外径よりも二回り大きな断面積で構成される貫通孔(樹脂成型孔331)が形成されている。
このような構成を有する絶縁体樹脂被覆機300は、図8に示すように、進行方向Xに沿って、クロスヘッド312とニップル320とダイス330とが並んで配置されており、ニップル320とダイス330との間には液体状のPVC樹脂30Aが通るための通路301が形成されるとともに、ニップル320の先端部分には液体状のPVC樹脂30Aを溜めることができる絶縁体樹脂溜め部302が形成されている。
上述のように構成したボビン3a,3b及び撚線機4aを用いてアルミ導体10Aを製造し、その後に絶縁体樹脂被覆機300でアルミ導体10Aに絶縁樹脂被覆30を被覆してアルミ電線1Aを製造する方法について、以下において説明する。以下の例は、アルミ導体10Aのサイズが8sqのアルミ電線1Aを製造する場合の例である。
アルミ導体10Aは、図9に示すように、軟化処理を施したアルミ系芯線20Aを構成する軟化処理工程(ステップS1)を行った後、19本のアルミ系芯線20Aを撚り合わせる撚り合せ工程(ステップS2)を行って製造し、アルミ導体10Aに絶縁樹脂被覆30で被覆する被覆工程(ステップS3)を経てアルミ電線1Aを製造する。
軟化処理工程(ステップS1)は、軟化処理されていない軟化未処理芯線をボビン3aに巻き回した状態で、約350度の高温下に約5時間放置して軟化させ、軟化処理されたアルミ系芯線20Aを構成する。
なお、軟化処理工程における温度及び時間は、上述の設定のみならず、所望の軟らかさのアルミ系芯線20Aを構成できれば、適宜設定することができる。さらに、所望の軟らかさであるアルミ系芯線や、予め軟化されたアルミ系芯線を用いる場合は、軟化処理工程を省くことができる。
撚り合せ工程(ステップS2)は、中芯11の外側に、第2層12を構成する6本のアルミ系芯線20A、及び第3層13を構成する12本のアルミ系芯線20Aを配置して、アルミ系芯線20Aを順次撚り合わせてアルミ導体10Aを製造する。
詳述すると、撚り合せ工程(ステップS2)は、まず、軟化処理を施したアルミ系芯線20Aを巻き回したボビン3aを第1ボビン取付部51、第2ボビン取付部522、及び第3ボビン取付部612にそれぞれ取り付ける。
各ボビン取付部に取り付けたボビン3aから巻き解いたアルミ系芯線20Aの先端を、所定の箇所を通過させて束ねた状態で、導体巻き取り部7に取り付けたボビン3bに固定する。
アルミ系芯線20Aのボビン3bへの固定が完了すると、第2層撚り合せ部材52及び第3層撚り合せ部材61を同方向に公転させながら、第1ボビン取付部51、第2ボビン取付部522、及び第3ボビン取付部612、及び導体巻き取り部7を自転させる。
このとき、導体巻き取り部7の自転速度に応じて、第1ボビン取付部51、第2ボビン取付部522、及び第3ボビン取付部612の自転速度を制御して、撚り合わせるアルミ系芯線20Aのそれぞれに10.6Nの張力を作用させる。
なお、アルミ系芯線20Aに作用させる張力は、10.6Nだけに限らず、5.3N以上23.85N以下(単位断面積当たりの張力が、12.5N/mm以上56.3N/mm以下)の範囲で適宜設定することができる。
さらに、導体巻き取り部7の自転速度に応じて、第2層撚り合せ部材52及び第3層撚り合せ部材61の公転速度を制御して、導体外径Φbの約12.1倍である44.2mmの撚り合せピッチPaでアルミ系芯線20Aを撚り合わせる。なお、本実施形態においては、第2層撚り合せ部材52及び第3層撚り合せ部材61の公転速度を同じ速度とすることで、第2層12及び第3層13の撚り合せピッチを44.2mmとしている。
以上のような撚り合せ工程(ステップS2)は、アルミ導体10Aが所望の長さとなるまで行う。
次に、撚り合わせ工程(ステップS2)で製造したアルミ導体10Aを上述の絶縁体樹脂被覆機300の中央部分に設けた導体貫通孔315に挿通し、進行方向Xの基端側からアルミ導体10Aを進行方向Xに沿って押出す。これにより、アルミ導体10Aは液化PCV30Aが溜められた絶縁体樹脂溜め部302を挿通することとなり、アルミ導体10Aの外周面に絶縁樹脂被覆30が被覆される。そして最後に絶縁樹脂被覆30が被覆されたアルミ導体10Aを樹脂成型孔331に挿通させることで、絶縁体樹脂被膜が所望の厚みとなるように成形され、アルミ電線1Aを製造することができる(ステップS3)。
ここで、ニップル側貫通孔321の内径は、アルミ系芯線20Aを撚り合わせて製造されるアルミ導体10Aの導体外径Φaよりもわずかに大きくしているが、目的とするアルミ電線1Aのサイズに応じて適宜変更することができる。
例えば、上述の実施例において、すなわちアルミ電線1Aのサイズが8sqである場合には、アルミ導体10Aの導体外径Φbとニップル側貫通孔321とのクリアランスKを0.35mmと設定している(図8(b)及び(c)(d)参照)。すなわち、アルミ導体10Aの導体外径Φbに対するクリアランスKの比率が、9.6%となるように設定している。このように、クリアランスKを小さくすることで、アルミ導体10Aを絶縁体樹脂被覆機300に通過させた場合に、アルミ導体10Aがアルミ電線1Aの中心近傍に配置することができる。
なお、アルミ電線1Aのサイズが5sqである場合には、ニップル側貫通孔321とアルミ導体10Aとの間に設けられたクリアランスKは、0.4mmであり、アルミ導体10Aの導体外径Φbに対するクリアランスKの比率が14.3%となるように設定しており、アルミ電線1Aのサイズが2.5sqである場合には、アルミ導体10Aの導体外径Φbに対するクリアランスKの比率が14.3%となるように設定している。
このように、アルミ導体10,10Aとニップル側貫通孔321とのクリアランスKをアルミ導体10,10Aの導体外径Φa、Φbに対して5%以上15%以下とすることにより、アルミ導体10,10Aがアルミ電線1,1Aの中央部分に配置されるようにアルミ電線1,1Aを製造できる。
詳述すると、クリアランスKが導体外径Φa、Φbに対して5%未満である場合には、アルミ導体10,10Aがニップル側貫通孔321と干渉してアルミ導体10,10Aが損傷や、絶縁樹脂被覆30が部分的に被覆されないおそれがある。逆に、クリアランスKが導体外径Φa、Φbに対して15%より大きい場合である場合には、絶縁体樹脂被覆機300の中央部分に設けた導体貫通孔315に挿通させた際にアルミ導体10,10Aを中心に配置させることが困難となるため、アルミ導体10,10Aが偏って配置されるおそれがある。
これに対して、クリアランスKを導体外径Φa、Φbに対して5%以上15%以下である場合、アルミ導体10,10Aがニップル側貫通孔321と干渉することなく、アルミ電線1,1Aの中央部分に配置させることができる。
同様に、樹脂成型孔331の内径も絶縁樹脂被覆30の厚みに応じて適宜変更することができ、絶縁樹脂被覆30の厚みを適宜所望の厚みとなるように変更できる。これにより、所望の肉厚の絶縁樹脂被覆30を備えたアルミ電線1Aを製造することができる。なお、絶縁樹脂被覆30の肉厚は、導体外径Φbの10%以上20%以下の厚さであることが好ましい。
また、8sqのアルミ電線1Aの製造に当たり、撚り合せ工程(ステップS2)において、アルミ系芯線20Aに5.3N以上23.85N以下(単位断面積当たりの張力が、12.5N/mm以上56.3N/mm以下)である10.6Nの張力を作用させたことで、所定の撚り合せピッチPaで撚り合わせたアルミ導体10Aを弛みなく製造することができる。
詳述すると、5.3Nよりも小さな張力をアルミ系芯線20Aに作用させたり、アルミ系芯線20Aに張力を作用させずに撚り合わせた場合、撚り合わせるアルミ系芯線20Aに弛みが生じたり、撚り合わせて構成したアルミ導体10Aに弛みが生じたりするおそれがある。
一方、23.85Nよりも大きな張力をアルミ系芯線20Aに作用させて撚り合わせた場合、撚り合わせるアルミ系芯線20Aが伸びたり、破断したりするおそれがある。
これに対して、5.3N以上23.85N以下、好ましくは、7.95以上13.25N以下(単位断面積当たりの張力が、12.5N/mm以上56.3N/mm以下、好ましくは18.8N/mm以上31.3N/mm以下)である10.6Nの張力をアルミ系芯線20Aに作用させることで、撚り合わせるアルミ系芯線20Aや撚り合わせたアルミ導体10Aに弛みが生じることを防止できるとともに、アルミ系芯線20Aが伸びたり、破断したりすることを防止できる。
なお、アルミ系芯線20Aなどアルミ系芯線20に作用させた張力により受ける負荷はアルミ系芯線の断面積に比例する。すなわち、単位断面積当たりの張力が、12.5N/mm以上56.3N/mm以下となるようにアルミ系芯線20Aに張力を作用させることが好ましい。
これにより、導体外径Φbの8.6倍以上22.0倍以下である約12.1倍の撚り合せピッチPaでアルミ系芯線20Aを弛みなく撚り合わせることができるため、アルミ系芯線20Aの撚り乱れや、アルミ系芯線20Aの外部への飛び出しなどの不具合が生じることを防止した所望のアルミ導体10Aを製造することができる。
詳述すると、撚り合せピッチPaが、導体外径Φaの8.6倍よりも小さい場合、アルミ導体10Aの中心軸に対して撚り合わせるアルミ系芯線20Aの角度が大きくなって、アルミ系芯線20Aに撚り乱れが生じるおそれがある。
一方、撚り合せピッチPaが、導体外径Φaの22.0倍よりも大きい場合、アルミ導体10Aの1ピッチ当たりの撚り合せ長さが長くなって、アルミ導体10Aの撚り合せ荷重が分散する、アルミ系芯線20Aとアルミ導体10Aの中心軸とが平行状態に近づくことによって、アルミ導体10Aを構成するアルミ系芯線20Aがアルミ導体10Aから外部に飛び出すおそれがある。
これに対して、撚り合せピッチPaを、導体外径Φaの8.6倍以上22.0倍以下である約12.1倍としたことで、アルミ導体10Aの中心軸に対して所望の角度にアルミ系芯線20Aを撚り合わせることができるとともに、アルミ導体10Aに作用するアルミ系芯線20Aの撚り合せ荷重を所望の撚り合せ荷重にできるため、アルミ系芯線20Aに撚り乱れが生じたり、アルミ導体10Aを構成するアルミ系芯線20Aがアルミ導体10Aから外部に飛び出したりすることを抑制できる。
これにより、所望のアルミ導体10Aを構成することができる。従って、例えば、アルミ導体10Aの外周を絶縁被覆で被覆する場合、アルミ系芯線20Aの外部への飛び出しによって絶縁被覆が部分的に薄肉化することを防止し、所望の絶縁性能を有することが可能となる。
なお、アルミ導体10Aは、撚り合せピッチPaが、導体外径Φaの12.1倍以上20.7倍以下であるため、アルミ系芯線20Aの撚り乱れやアルミ系芯線20Aの飛び出しなどの不具合が生じることを確実に防止した所望のアルミ導体10Aを構成することができる。
また、上述の例においては、アルミ系芯線20Aに、事前に軟化処理を行った例としているが、必ずしも事前に軟化処理しなければならないわけでなく、軟化処理を行っていないアルミ系芯線を用いることもできる(図10参照)。
軟化処理を行っていないアルミ系芯線を用いた場合のアルミ電線の製造方法は、図10に示すように、事前に軟化処理を行ったアルミ系芯線20AでのステップS2に対応する、撚り合わせ工程(ステップT1)を行った後に、事前に軟化処理を行ったアルミ系芯線20AでのステップS1に対応する軟化処理工程(ステップT2)を行い、軟化処理された(ステップT2)アルミ導体に絶縁樹脂被覆30を被覆する被覆工程(ステップS3)を行う。
この場合、アルミ系芯線に、26.5N~37.1N(単位断面積当たりの張力が、62.5N/mm以上87.5N/mm以下)の張力を作用させる必要がある。
またこの場合、アルミ系芯線は、撚り合せピッチを導体外径の約12.1倍となるように構成することだけに限らず、撚り合せピッチが導体外径Φbの6.4倍以上16.9倍以下としてもよく、より好ましくは、9.6倍以上15.4倍以下であればよい。
このように、軟化処理を施していないアルミ系芯線で構成し、撚り合せピッチを、導体外径Φbの6.4倍以上16.9倍以下である約12.1倍としたことで、アルミ系芯線の撚り乱れや、アルミ系芯線の外部への飛び出しなどの不具合が生じることを抑制した所望のアルミ導体を構成することができる。
また、軟化処理を行っていないアルミ系芯線により形成されたアルミ導体に絶縁樹脂被覆30を被覆する前に、アルミ導体を巻きまわしたボビンを、350度の高温下に5時間放置して軟化させる軟化処理工程(ステップT2)を行う必要がある。なお、軟化処理工程は、本例のように軟化処理を行っていないアルミ系芯線を撚り合わせた後に限らず、軟化処理を行ったアルミ系芯線を撚り合わせた後にも行うことができる。
上述の例では、サイズが8sqのアルミ電線1Aなどの製造について説明しているが、例えば、サイズが2.5sq以上16sq以下のアルミ電線1Aに対しても、製造時にアルミ系芯線に作用させる張力を、単位断面積当たり12.5N/mm以上87.5N/mm以下の範囲で適宜調整することにより、各サイズに対応したアルミ電線1Aを製造することができる。
次に、4層からなるアルミ電線1の製造装置及び製造装置について図11及び図12に基づいて説明する。
上述のように、アルミ導体10は、JISH4000の1070に対応する組成の純アルミニウム系材料に軟化処理を施したアルミ系芯線20を、図1及び図2(a)に示すように、同心状に37本配置した、中芯11を第1層とした4層構造に構成されており、中芯11と第2層12と第3層13とで構成する内層部111と、内層部111の外側の最外層となる第4層14とで構成している。
これにより、導体外径Φaは3.64mmとなり、撚り合わせたアルミ系芯線20の総断面積は約8.0mm(8sq)となる。
また、アルミ導体10は、中芯11(第1層に対応)、第2層12、第3層13、及び第3層13の外側に配置した18本のアルミ系芯線20で構成する第4層14で構成しており、中芯11から第3層13で内層部111を構成するとともに、第4層14で最外層を構成している。
さらに、このアルミ導体10は、撚り合せピッチが、導体外径Φaの約8.7倍である31.7mmとなるように構成している。
なお、アルミ導体10は、撚り合せピッチを導体外径Φaの約8.7倍となるように構成することだけに限らず、撚り合せピッチが導体外径Φaの6.2倍以上15.7倍以下、より好ましくは、8.7倍以上14.8倍以下であればよい。
アルミ導体10を撚り合わせる撚線機4bは、図11に示すように、第2層撚り合せユニット5と、第3層撚り合せユニット6と、第4層14を撚り合わせる第4層撚り合せユニット8と、導体巻き取り部7とを、進行方向Xに向けてこの順に配置して構成している。
第4層撚り合せユニット8は、第4層撚り合せ部材81及び第4層集合チャック82で構成している。なお、第4層撚り合せ部材81及び第4層集合チャック82は、第2層撚り合せユニット5の第2層撚り合せ部材52及び第2層集合チャック53と同様の構成であるため、図示省略するとともに、以下において簡単に説明する。
第4層撚り合せ部材81は、軸芯81aと、第1フランジ81bと、第2フランジ81cとを一体に構成し、図示省略する回転機構を備えている。
軸芯81aは、内部に進行方向Xに沿って貫通する貫通孔を有する円筒状に形成されている。
第1フランジ81bは、第4ボビン取付部812を18個備えており、第2フランジ81cは、挿通孔813を18個形成している。
これら第4ボビン取付部812及び挿通孔813は、進行方向Xからみて略正六角形となるように、互いに対向する位置に配置され、各頂点の間に2個ずつ第4ボビン取付部812及び挿通孔813が等間隔で設けられている。
第4層撚り合せ部材81に備えた回転機構は、上述した第2層撚り合せ部材52に備えた回転機構と同様の構成であって、軸芯81aに設けられている。
なお、回転機構は、第2層撚り合せ部材52に備えた回転機構と同様に、軸芯81aに設けることだけに限定しない。
第4層集合チャック82は、第4層14の外径、つまり、アルミ導体10の直径と同等の内径を有する円筒状に形成されており、挿通孔813を通過した18本のアルミ系芯線20を、貫通孔を通過した内層部111のまわりに集合させるものである。
上述のように構成した撚線機4cを用いたアルミ導体10の製造方法について、以下において説明する。
アルミ導体10は、図12に示すように、軟化処理工程(ステップU1)を行った後、撚り合せ工程(ステップU2)を行って製造する。
アルミ導体10の製造方法における軟化処理工程(ステップU1)は、上述したアルミ導体10Aの製造方法における軟化処理工程(ステップS1)と同様であるため説明を省略する。
撚り合せ工程(ステップU2)は、まず、軟化処理を施したアルミ系芯線20を巻き回したボビン3aを、第1ボビン取付部51、第2ボビン取付部522、第3ボビン取付部612、及び第4ボビン取付部812にそれぞれ取り付ける。
各ボビン取付部に取り付けたボビン3aから巻き解いたアルミ系芯線20の先端を、所定の箇所を通過させて束ねた状態で、導体巻き取り部7に取り付けたボビン3bに固定する。
アルミ系芯線20のボビン3bへの固定が完了すると、第2層撚り合せ部材52、第3層撚り合せ部材61、及び第4層撚り合せ部材81を同方向に公転させながら、第1ボビン取付部51、第2ボビン取付部522、第3ボビン取付部612、第4ボビン取付部812、及び導体巻き取り部7を自転させる。
このとき、導体巻き取り部7の自転速度に応じて、第1ボビン取付部51、第2ボビン取付部522、第3ボビン取付部612、及び第4ボビン取付部812の自転速度を制御して、撚り合わせるアルミ系芯線20のそれぞれに10.6Nの張力を作用させる。
なお、アルミ系芯線20に作用させる張力は、10.6Nだけに限らず、5.3N以上23.85N以下、好ましくは、7.95以上13.25N以下(単位断面積当たりの張力が、12.5N/mm以上56.3N/mm以下、好ましくは18.8N/mm以上31.3N/mm以下)の範囲で適宜設定することができる。
さらに、導体巻き取り部7の自転速度に応じて、第2層撚り合せ部材52、第3層撚り合せ部材61及び第4層撚り合せ部材81の公転速度を制御して、導体外径Φaの約8.7倍である31.7mmの撚り合せピッチでアルミ系芯線20を撚り合わせる。
なお本実施形態では、第2層撚り合せ部材52、第3層撚り合せ部材61及び第4層撚り合せ部材81の公転速度を同一とすることにより、第2層乃至第4層の撚り合せピッチを同じ撚り合せピッチとすることができる。
以上のような撚り合せ工程(ステップU2)は、アルミ導体10が所望の長さとなるまで行う。
最後に、撚り合せ工程(ステップU2)で製造されたアルミ導体10の外周に絶縁樹脂被覆30を被覆する被覆工程(ステップS3)を行い、アルミ電線1を製造する。なお、被覆工程(ステップS3)は上述したアルミ導体10Aの製造方法における被覆工程(ステップS3)と同様であるため説明を省略する。
上述のように、中芯11の1本のアルミニウム系材料製のアルミ系芯線20と、中芯11から順に6本、12本、及び18本のアルミ系芯線20を同心状に配置して撚り合わせて構成するとともに、軟化処理を施したアルミ系芯線20で構成し、撚り合せピッチを、導体外径Φaの6.2倍以上15.7倍以下である約8.7倍としたことで、アルミ系芯線20の撚り乱れや、アルミ系芯線20の外部への飛び出しなどの不具合が生じることを抑制した所望のアルミ導体10を構成することができる。
なお、アルミ導体10は、撚り合せピッチが、導体外径Φaの8.7倍以上14.8倍以下であるため、アルミ系芯線20の撚り乱れや、アルミ系芯線20の飛び出しなどの不具合が生じることを確実に防止した所望のアルミ導体10を構成することができる。
また、上記実施形態においては、内層部111に対して第4層14を連続して撚り合わせているが、例えば、内層部111を一度撚り合わせた後に、内層部111に対して第4層14を撚り合わせてもよい。
なおこの場合において、内層部111に作用させる張力をとする単位断面積あたりの張力が250.0N/mm以上1875.0N/mm以下とする。
また、撚り合せ工程において、アルミ系芯線20に5.3以上23.85N以下、好ましくは、7.95以上13.25N以下(単位断面積当たりの張力が、12.5N/mm以上56.3N/mm2、以下、好ましくは18.8以上31.3N以下)である10.6Nの張力を作用させたことで、アルミ系芯線20を所定の撚り合せピッチで弛みなく撚り合わせることができるため、アルミ系芯線20の撚り乱れや、アルミ系芯線20の外部への飛び出しなどの不具合が生じることを防止した所望のアルミ導体10を製造することができる。
これにより、上記効果に加えて内層部111に作用させる張力を単位断面積あたりの張力が250.0N/mm以上1875.0N/mm以下とすることにより、19本のアルミ系芯線20で構成する内層部111の外側に、18本のアルミ系芯線20で第4層14を撚り合せる場合であっても、第4層14を構成するアルミ系芯線20を弛みなく所定の撚り合せピッチで撚り合せることができるため、アルミ系芯線20の撚り乱れや、アルミ系芯線20の外部への飛び出しなどの不具合が生じることを防止した所望のアルミ導体10を構成することができる。
詳述すると、250N/mmよりも小さな張力を内層部111に作用させたり、内層部111に張力を作用させずに撚り合せたりした場合、内層部111に弛みが生じるおそれがある。
一方、1875.0N/mmよりも大きな張力を内層部111に作用させて撚り合せた場合、内層部111を構成するアルミ系芯線20が伸びたり、破断したりするおそれがある。
上述の例では、サイズが8sqのアルミ電線1の製造について説明しているが、例えば、サイズが2.5以上16sq以下のアルミ電線1に対しても、製造時に単位断面積当たりに作用させる張力を、単位断面積当たり12.5N/mm以上56.3N/mm以下の範囲で適宜調整することにより、各サイズに対応したアルミ電線1Aを製造することができる。
なお、上述のようにアルミ系芯線20,20Aを撚線機4b、4aを用いて撚り合わせ、アルミ導体10,10Aを製造した場合、従来から用いられているロープ撚りのように撚り工程を二度行う必要がなく、設備の簡略化や製造工程を簡略化でき、品質の向上を図ることや製造コストを削減することができる。
上記方法において張力を適宜変更し、上述のサイズも含め製造したアルミ電線1の構成についての表1に示す。
Figure 0007394179000001
また、同様に、アルミ電線1Aについても、上述のサイズを含めて以下の表2に示すようなサイズで構成することができる。
Figure 0007394179000002
なお、表1におけるアルミ電線1及び表2におけるアルミ電線1Aの偏肉度は、既に説明した通り、絶縁樹脂被覆30の厚みの厚い箇所と薄い箇所の厚みの割合である。具体的には、所定の長さのアルミ電線1,1Aを20本作成し、長手方向に対して無作為に選択した断面において、アルミ導体10,10Aの導体外径を伸ばした線上において、絶縁樹脂被覆30の厚みの厚い箇所と薄い箇所の厚みを測定し、その割合を算出して求めている。
Figure 0007394179000003
Figure 0007394179000004
はじめに、アルミ電線1,1A(表1、表2参照)と従来から用いられている集合撚りのアルミ線(表4参照)とを比較する。
例えば5sqのアルミ電線1と集合撚りのアルミ電線は、導体外径が共に2.80mmと等しいが、アルミ電線1,1Aの偏肉度が76%、75%であるのに対して、集合撚りのアルミ電線の偏肉度は45%である。
このように5sqの集合撚りのアルミ電線では、アルミ電線1と比べて偏肉度が小さくなるため、アルミ導体を充分に保護するには絶縁樹脂被覆30の厚みを厚くする必要がある(肉厚0.80mm)。したがって、5sqの集合撚りのアルミ電線の仕上外径は4.40mmとなり、アルミ電線1の仕上外径(3.60mm)よりも大きくなる。
これに対して、アルミ電線1は偏肉度を大きくすることができるため、絶縁樹脂被覆30の厚みを薄くすることができる。これにより、仕上外径が従来の集合撚りのアルミ電線と比べて小さいアルミ電線を製造することができる。
また、サイズが5sqのアルミ電線1(表1参照)と3sqの銅線(表3参照)とを比較する。5sqのアルミ電線1と3sqの導線はともに仕上外径が3.60mmと等しく構成されており、また5sqのアルミ電線1の電気抵抗値が6.76mΩ/mであるのに対して、3sqの銅線の電気抵抗値が5.59mΩ/mである。
加えて、サイズが16sqのアルミ電線1(表1参照)と10sqの銅線(表3参照)とを比較した場合、16sqのアルミ電線1と10sqの銅線の仕上外径はおよそ6.5mmであるとともに、電気抵抗値はそれぞれ1.91mΩ/mと1.84mΩ/mである。
このように、アルミ電線1は銅線と同じ仕上外径となるように製造することができるとともに、アルミ電線1の電気抵抗値と対応する銅線の電気抵抗値との差が20%程度以下の差とできるため、上述のアルミ電線1を銅線の代わりに実用的に用いることができる。
また、サイズが8sqのアルミ電線1,1Aは単位当たりの質量はおよそ30g/mであるのに対して、対応する5sqの銅線の質量は58.2g/mであることから、アルミ電線とすることにより質量の軽量化を図ることができる。
上述のように、表1及び表2で示すアルミ電線1,1Aは、アルミニウムが99質量%以上の37本あるいは19本のアルミ系芯線20,20Aで構成するアルミ導体10,10Aを絶縁樹脂被覆30で被覆しており、アルミ系芯線20,20Aを非圧縮状態で且つ同ピッチで同心撚りされてアルミ導体10,10Aが構成され、絶縁樹脂被覆30の偏肉度が70%以上であるため、銅製の銅導体110を有する銅電線100と同程度の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線1,1Aを構成することができる。
詳述すると、37本あるいは19本のアルミ系芯線20,20Aで構成するアルミ導体10,10Aを絶縁樹脂被覆30で被覆したアルミ電線1,1Aにおいて、アルミ系芯線20,20Aを非圧縮状態で且つ同ピッチで同心撚りしてアルミ導体10,10Aを構成することで、アルミ導体10,10Aの柔軟性に優れ、軽量化されたアルミ系芯線20,20Aがばらけることなく、断面において秩序よく整列された状態のアルミ導体10,10Aを構成することができる。
詳しくは、アルミ導体10,10Aの導体外径に対して厚さの薄い絶縁樹脂被覆30でアルミ導体10,10Aを被覆するため電線外径は大きくならないものの、例えば、集合撚りやロープ撚りなどの撚り方で芯線を撚った撚線導体の場合のように、ばらけた芯線が絶縁樹脂被覆に食い込んだり、絶縁樹脂被覆が偏肉したりして、絶縁樹脂被覆が局所的に薄くなり、絶縁性や強度などの絶縁樹脂被覆30の要求性能が確保できないおそれがある。
これに対し、上述したように、アルミ系芯線20,20Aを非圧縮状態で且つ同ピッチで同心撚りして構成したアルミ導体10,10Aは断面において秩序よく整列されているため、厚みが薄い絶縁樹脂被覆30であっても確実に所要の厚みを確保することができる。
また、同心撚りされた19本あるいは37本のアルミ系芯線20,20Aでアルミ導体10,10Aを構成することで、所望の断面積に応じた撚り方で構成した導体を備えたアルミ電線1,1Aを構成することができる。また、アルミ導体10,10Aを構成する19本あるいは37本の前記アルミ系芯線を同心撚りしているため、アルミ系芯線同士の導電性も確保することができる。
なお、アルミ系芯線20,20Aを非圧縮状態とすることにより、アルミ導体10,10Aの曲げ性能を確保できる。具体的には、アルミ系芯線20,20Aを圧縮した場合、アルミ導体10,10Aの剛性が高くなり所望の曲げ性能が得られないこととなるが、アルミ系芯線20,20Aを非圧縮状態とすることにより曲げ性能を確保できる。
さらに、アルミ系芯線20,20Aでアルミ導体10,10Aを構成することにより、アルミ電線1,1Aの質量を軽くすることができる。
詳述すると、アルミ電線1,1Aを構成するアルミ系芯線20は銅導体110を構成する銅芯線120よりも比重が軽いため、アルミ系芯線20,20Aの総断面積が大きくともアルミ電線1,1Aの質量を軽くすることができる(表1及び、表2、表3参照)。
さらにまた、アルミ電線1,1Aは偏肉度が70%以上あるため、すなわちアルミ電線1,1Aは絶縁樹脂被覆30の厚みにバラツキがないため、所望の外径を有するアルミ電線1,1Aとしても、確実にアルミ導体10,10Aを絶縁樹脂被覆30で保護できるとともに、アルミ電線1,1Aの断面形状を真円に近くすることができる。
また、アルミ導体10,10Aを構成するアルミ系芯線20,20Aが断面正六角形状に配置されることにより、より断面においてアルミ導体10,10Aを構成するアルミ系芯線20,20Aを秩序よく整列することができるとともに、アルミ導体10,10Aの断面形状を長手方向にわたって安定化させることができるため、絶縁樹脂被覆30の厚みを平均的に略同一とすることができるとともに、厚みが薄い絶縁樹脂被覆30であっても確実に所要の厚みを確保することができる。
またこの発明の態様として、アルミ導体10,10Aを構成する19本あるいは37本のアルミ系芯線20,20Aの芯線径を同径とすることにより、一のアルミ系芯線20,20Aでアルミ導体10,10Aを形成することができるため、アルミ導体10,10Aの内径の誤差を減少させることができる。さらには、複数種のアルミ系芯線20,20Aを製造する必要がないため、製造工程を簡略化できるとともに製造コストを削減することができる。
さらにまた、アルミ系芯線を構成するアルミ系芯線20,20Aを断面正六角形状に配置しているため、外層に配置されるアルミ系芯線20,20Aを内層に配置したアルミ系芯線20,20Aの間に嵌め込むことができるため、より安定して配置することができる。すなわち、アルミ導体10,10Aをより秩序よく整列することができる。さらには、同ピッチで且つ同心撚りとすることで、アルミ系芯線20,20Aがばらけることを防止できる。
この発明の態様として、アルミ導体10,10Aの断面積を2.5mm以上17mm未満とすることにより、所望の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線1,1Aを構成することができる。
詳しくは、アルミ系芯線20,20Aは同径の銅系芯線に比べて導電性が低いため、37本あるいは19本のアルミ系芯線20,20Aで構成するアルミ導体10,10Aの断面積が2.5mm未満である場合、銅系芯線で構成した銅系電線と同程度の外径としたとき、同程度の導電性を確保することが困難となる。
逆に、37本あるいは19本のアルミ系芯線20,20Aで構成するアルミ導体10,10Aの断面積が17mm以上である場合、銅系電線と同程度の導電性は確保できるものの、アルミ導体10,10Aの剛性が強くなることで柔軟性が損なわれ、例えば、柔軟性試験などで評価する電線の曲げ性能が低下するおそれがある。
また、絶縁樹脂被覆30が、導体外径Φa、Φbの10%以上20%以下の厚さとすることにより、電線外径が大きくならないアルミ電線1,1Aを構成することができる。
例えば、絶縁樹脂被覆30の厚さが10%未満である場合、絶縁性や強度などの絶縁樹脂被覆30に求められる要求性能を満足できないおそれがある。
逆に、絶縁樹脂被覆30の厚さが導体外径に対して20%より大きい場合、導電性が同程度の銅電線に比べて電線外径が大きくなるおそれ。これに対し、絶縁樹脂被覆30は導体外径の10%以上20%以下の厚さであるため、所望の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線1,1Aを構成することができる。
さらにまた、37本あるいは19本のアルミ系芯線20,20Aで構成するアルミ導体10,10Aは、同程度の導電性を有する銅芯線120で構成する銅導体110をよりもアルミ導体10,10Aの導体外径が大きくなるが、アルミ系芯線20,20Aがアルミニウム99質量%以上の柔軟なアルミニウム系材料で構成されているため、アルミ系芯線自体が適度な柔軟性を備えており、適当な柔軟性を有するアルミ電線1,1Aを構成することができる。
また、アルミ電線1,1Aを、例えば、圧着端子の圧着部で圧着接続した場合、圧着部が損傷することなく、例えば、40~80%(より好ましくは40~70%)程度の圧着率で適切に圧着して接続することができる。
詳述すると、アルミニウムが99質量%未満のアルミ系芯線を撚ってアルミ導体10,10Aを構成する場合、アルミ系芯線の硬度が増大するためアルミ系芯線で構成するアルミ導体を所定の圧着率で圧着すると、圧着端子の圧着部が損傷するおそれがあるが、硬度の低いアルミニウムが99質量%以上のアルミ系芯線20,20Aで構成するアルミ導体10,10Aを用いることにより、圧着端子の圧着部は損傷することなく、アルミ導体10,10Aを適切に圧着して接続することができる。
また、絶縁樹脂被覆30を、電線外径の7%以上14%未満の厚さとすることにより、絶縁樹脂被覆30の最低肉厚を確保できるアルミ電線1,1Aを構成することができる。
また、絶縁樹脂被覆30が、温度23℃における引張強さが19MPa以上、加熱変形率が25%以下、耐寒性が-20℃以下、かつ、温度30℃における体積抵抗率が3×1012Ωcm以上であるため、所望の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないとともに、絶縁樹脂被覆30としての機械的強度が低下することなく、絶縁樹脂被覆30の要求性能を満足するアルミ電線1,1Aを構成することができる。
また、アルミ導体10,10Aの断面積を5mm以上とし、絶縁樹脂被覆30をアルミ導体10,10Aの導体外径の15%以下の厚さとすることにより、同心撚りしたアルミ系芯線20,20Aで構成するアルミ導体10,10Aによって銅製の銅導体110を有する銅電線100と同程度の導電性を備え、厚みが薄い絶縁樹脂被覆30であっても確実に所要の厚みを確保することができ、銅製の銅導体110を有する銅電線100と同程度の導電性を有するとともに、電線外径が大きくならないアルミ電線1,1Aを構成することができる。
また同心撚りされた37本のアルミ系芯線20でアルミ導体10を構成する、あるいは19本のアルミ系芯線20Aでアルミ導体10Aを構成することにより、所望の断面積に応じた撚り方で構成したアルミ導体10,10Aを備えたアルミ電線1,1Aを構成することができる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の導体はアルミ導体10,10Aに対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
1,1A…アルミ電線
10,10A…アルミ導体
20,20A…アルミ系芯線
30…絶縁樹脂被覆

Claims (12)

  1. アルミニウムが99質量%以上の複数本のアルミニウム系芯線で構成した導体が絶縁樹脂被覆で被覆されたアルミ電線であって、
    19本あるいは37本の前記アルミニウム系芯線が非圧縮状態且つ同ピッチで同心撚りされて前記導体が構成され、
    前記導体が19本の前記アルミニウム系芯線で構成される場合は、前記アルミニウム系芯線の外径が0.56mm以上1.06mm以下であり、
    前記導体が37本の前記アルミニウム系芯線で構成される場合は、前記アルミニウム系芯線の外径が0.40mm以上0.76mm以下であり、
    前記導体を構成する前記アルミニウム系芯線が断面正六角形状に配置され、
    前記導体が形成する断面略正六角形の外接円の直径を導体外径とし、
    複数点における電線外径と前記導体外径との差を1/2倍した値の平均値を絶縁被覆の厚みとし、
    絶縁被覆の厚みが、前記導体外径の10%以上15%以下であるとともに、前記電線外径の7%以上14%未満であり、
    前記導体の断面積が5mm 以上17mm 未満である
    アルミ電線。
  2. 前記導体を構成する19本あるいは37本の前記アルミニウム系芯線の芯線径が同径である
    請求項1に記載のアルミ電線。
  3. 前記絶縁樹脂被覆が、塩化ビニル樹脂である
    請求項1又は請求項2に記載のアルミ電線。
  4. 中心に配置され、アルミニウムが99質量%以上の1本のアルミニウム系芯線と、前記中心から同心状に配置された6本、12本及び18本の前記アルミニウム系芯線とを撚り合わせて構成した導体を絶縁樹脂被覆で被覆するアルミ電線の製造方法であって、
    前記アルミニウム系芯線の外径が0.40mm以上0.76mm以下であり、
    前記アルミニウム系芯線は断面正六角形状に配置されて前記導体を構成、前記導体が形成する断面略正六角形の外接円の直径を導体外径とし、撚り合せピッチを、前記導体外径の6.2倍以上15.7倍以下に設定するとともに、単位断面積あたりの張力が12.5N/mm以上56.3N/mm以下となる張力を前記アルミニウム系芯線に作用させて、前記アルミニウム系芯線を撚り合わせて前記導体を構成する撚り合せ工程と、
    構成された前記導体を前記絶縁樹脂被覆で被覆する被覆工程とをこの順で行い、
    複数点における電線外径と前記導体外径との差を1/2倍した値の平均値である絶縁被覆の厚みを、前記導体外径の10%以上15%以下であるとともに、前記電線外径の7%以上14%未満とし、
    前記導体の断面積が5mm 以上17mm 未満とする
    アルミ電線の製造方法。
  5. 前記撚り合せ工程の前に、
    前記アルミニウム系芯線に軟化処理を施す軟化処理工程を行う
    請求項4に記載のアルミ電線の製造方法。
  6. 中心に配置され、アルミニウムが99質量%以上の1本のアルミニウム系芯線と、前記中心から同心状に配置された所定本数の前記アルミニウム系芯線とを撚り合わせて構成した導体を絶縁樹脂被覆で被覆するアルミ電線の製造方法であって、
    前記アルミニウム系芯線の外径が0.56mm以上1.06mm以下であり、
    前記中心から同心状に断面正六角形状に配置された6本及び12本の前記アルミニウム系芯線を撚り合わせて、前記導体を構成する撚り合せ工程と、
    構成された前記導体を前記絶縁樹脂被覆で被覆する被覆工程とをこの順で行い、
    該撚り合せ工程において、
    前記導体が形成する断面略正六角形の外接円の直径を導体外径とし、
    撚り合せピッチを、前記導体外径の6.4倍以上22.0倍以下に設定し、
    前記アルミニウム系芯線に、単位断面積あたりの張力が12.5N/mm以上87.5N/mm以下となる張力を作用させ、
    複数点における電線外径と前記導体外径との差を1/2倍した値の平均値である絶縁被覆の厚みを、前記導体外径の10%以上15%以下であるとともに、前記電線外径の7%以上14%未満とし、
    前記導体の断面積が5mm 以上17mm 未満とする
    アルミ電線の製造方法。
  7. 前記撚り合せ工程において、
    前記撚り合せピッチを、前記導体外径の6.4倍以上16.9倍以下に設定し、
    前記アルミニウム系芯線に、単位断面積あたりの張力が62.5N/mm以上87.5N/mm以下となる張力を作用させ、
    前記撚り合せ工程の後且つ前記被覆工程の前に、導体軟化処理を施す軟化処理工程を行う
    請求項6に記載のアルミ電線の製造方法。
  8. 前記撚り合せ工程の前に、前記アルミニウム系芯線に軟化処理を施す軟化処理工程を行い、
    前記撚り合せ工程において、
    前記撚り合せピッチを、前記導体外径の8.6倍以上22.0倍以下に設定し、
    前記アルミニウム系芯線に、単位断面積あたりの張力が12.5N/mm以上56.3N/mm以下となる張力を作用させる
    請求項6に記載のアルミ電線の製造方法。
  9. 中心に配置され、アルミニウムが99質量%以上の1本のアルミニウム系芯線と、前記中心から同心状に配置された所定本数の前記アルミニウム系芯線とを撚り合わせて構成した導体を絶縁樹脂被覆で被覆するアルミ電線の製造方法であって、
    前記アルミニウム系芯線の外径が0.40mm以上0.76mm以下であり、
    前記中心から同心状に断面正六角形状に配置された6本及び12本の前記アルミニウム系芯線を撚り合わせて、内層部を構成する内層撚り合せ工程と、
    前記内層部の外側に同心状に配置された18本の前記アルミニウム系芯線によって最外層を撚り合わせ、前記導体を構成する外層撚り合せ工程とをこの順で行う撚り合せ工程と、
    構成された前記導体を前記絶縁樹脂被覆で被覆する被覆工程とをこの順で行い、
    前記導体が形成する断面略正六角形の外接円の直径を導体外径とし、
    前記内層撚り合せ工程において、
    撚り合せピッチを、前記導体外径の6.4倍以上22.0倍以下に設定し、
    前記アルミニウム系芯線に、単位断面積あたりの張力が12.5N/mm 以上87.5N/mm 以下となる張力を作用させ、
    前記外層撚り合せ工程において、
    前記最外層を撚り合わせる外層撚り合せピッチを、前記内層部の撚り合わせピッチと同ピッチとなるように設定し、
    前記アルミニウム系芯線に、単位断面積あたりの張力が12.5N/mm以上56.3N/mm以下となる張力を作用させるとともに、前記内層部に、単位断面積あたりの張力が250.0N/mm以上1875.0N/mm以下となる張力を作用させ、
    複数点における電線外径と前記導体外径との差を1/2倍した値の平均値である絶縁被覆の厚みを、前記導体外径の10%以上15%以下であるとともに、前記電線外径の7%以上14%未満とし、
    前記導体の断面積が5mm 以上17mm 未満とする
    アルミ電線の製造方法。
  10. 前記撚り合せ工程の後且つ前記被覆工程の前に、導体軟化処理を施す軟化処理工程を行う
    請求項4、5、8、9のいずれかに記載のアルミ電線の製造方法。
  11. 前記導体は、19本の前記アルミニウム系芯線が撚り合わされて構成されるとともに、撚り合わせピッチが前記導体外径の6.4倍以上22.0倍以下で構成された
    請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のアルミ電線。
  12. 前記導体は、37本の前記アルミニウム系芯線が撚り合わされて構成されるとともに、撚り合わせピッチが前記導体外径の6.2倍以上15.7倍以下で構成された
    請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のアルミ電線。
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