JP7391065B2 - 電池システムおよび制御方法 - Google Patents

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Description

本開示は、電池システムおよび制御方法に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される、非水電解液を有する非水系二次電池が、移動体に用いられている。移動体は、たとえば、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、船舶などである。非水系二次電池の抵抗増加を引き起こす要因の一つとして、ハイレート(たとえば、5~40C程度)での充電または放電が継続的に行われることにより、電極表面の電解液中のリチウム量の局所的な減少によって抵抗増加が生起される現象である、所謂ハイレート劣化が知られている。
たとえば、特許文献1(特開2017-103080号公報)に、充放電電流値の履歴に基づいて電解液中のリチウム塩濃度の偏りを推定し、該偏りに応じて充電電流または放電電流を制限する技術が開示されている。この技術により抵抗増加が抑制され得る。
特開2017-103080号公報
一般的に、二次電池は通常使用された場合には通常劣化が発生する。また、特許文献1に記載の技術においては、二次電池において、ハイレートでの充電または放電が継続的に行われることにより、電解液中の塩濃度の偏りによって抵抗増加が生起される現象が開示されている。しかしながら、たとえば、ローレートでの充放電であっても、SOC(State Of Charge)変化が大きくなる使用により生じ得る電解液自体の分布の偏りについて鑑みられていなかった。したがって、電解液自体の分布の偏りが生じたまま二次電池の充電および放電を繰り返すと、電極反応が不均一になる。その結果、二次電池において局所的に反応が集中することによって、上記の通常劣化以外の特異劣化が二次電池に生じるという問題が生じ得る。
本開示の目的は、二次電池の充電および放電を繰り返したとしても、該二次電池の特異劣化を抑制する技術を提供することである。
本開示の電池システムは、電解液を含む二次電池と、制御装置とを備える。制御装置は、二次電池の充電により電解液が移動することにより生じる該電解液の不均一状態の度合いを示す第1値を算出し、不均一状態が解消された度合いを示す第2値を算出し、第1値と第2値との差分値を算出し、差分値に基づいて、二次電池への充電電流を制限する。
本開示の電池システムは、電解液を含む二次電池と、制御装置とを備える。制御装置は、二次電池の充電により電解液が移動することにより生じる該電解液の不均一状態の度合いを示す第1値を算出し、不均一状態が解消された度合いを示す第2値を算出し、第1値と第2値との差分値を算出し、差分値に基づいて、二次電池からの放電電流を制限する。
本開示の方法は、電解液を含む二次電池の充電により電解液が移動することにより生じる該電解液の不均一状態の度合いを示す第1値を算出することと、不均一状態が解消された度合いを示す第2値を算出することと、第1値と第2値との差分値を算出することと、差分値に基づいて、二次電池への充電電流を制限することとを備える。
本開示の方法は、電解液を含む二次電池の充電により電解液が移動することにより生じる該電解液の不均一状態の度合いを示す第1値を算出することと、不均一状態が解消された度合いを示す第2値を算出することと、第1値と第2値との差分値を算出することと、差分値に基づいて、二次電池からの放電電流を制限することとを備える。
本開示の電池システムでは、二次電池の充電および放電を繰り返したとしても、該二次電池の特異劣化を抑制する。
電池システムの構成例を示す図である。 電池セルを示す図である。 制御装置の機能ブロック図である。 制限部の機能ブロック図である。 第1マップの一例を示す図である。 第2マップの一例を示す図である。 第3マップの一例を示す図である。 第4マップの一例を示す図である。 第5マップの一例を示す図である。 第6マップの一例を示す図である。 第7マップの一例を示す図である。 第8マップの一例を示す図である。 第9マップの一例を示す図である。 第10マップの一例を示す図である。 セル温度の取得タイミングなどを示す図である。 制御装置により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2値の算出処理のフローチャートである。 第3値の算出処理のフローチャートである。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
<電池システムの構成例>
本実施の形態の電池システムは、移動体に搭載される。移動体は、たとえば、高容量電池を動力とする船舶または車両などである。本実施の形態では、車両に搭載される電池システムを説明する。より具体的には、車両は、電動車両である。電動車両は、たとえば、ハイブリッド自動車または電気自動車によって構成される。
図1は、本実施の形態の電池システム10が搭載される車両1000の構成例を示す図である。車両1000は、電池システム10と、車両制御システム20とを備える。電池システム10と、車両制御システム20とは、コネクタ15により電気的に接続される。
まず、電池システム10を説明する。電池システム10は、電池モジュール100と、電池制御装置400と、電圧センサ150と、電流センサ160と、温度センサ170とを備える。電池モジュール100は、たとえば、電気的に直列に接続された複数の電池セル101を有する組電池によって構成される。各電池セル101は、たとえば、リチウムイオン二次電池である。なお、複数の電池セル101の一部は、互いに並列に接続されてもよい。
電圧センサ150は、電池モジュール100の電圧値を検出する。具体的には、電圧センサ150は、複数の電池セル101の少なくとも1つの電圧値を検出する。本実施の形態では、電圧センサ150は、複数の電池セル101の全ての電圧値を検出する。電圧センサ150により検出された電圧値は、電池制御装置400に入力される。
電流センサ160は、電池モジュール100の電流値を検出する。具体的には、電流センサ160は、複数の電池セル101の少なくとも1つの電流値を検出する。本実施の形態では、電流センサ160は、直列経路に設置することで全ての電池セルの電流値を検出する。電流センサ160により検出された電流値は、電池制御装置400に入力される。
温度センサ170は、電池モジュール100の所定箇所の温度を検出する。具体的には、温度センサ170は、複数の電池セル101の少なくとも1つの温度を検出する。本実施の形態では、温度センサ170は、全ての電池セルの外部の温度(たとえば、電池セルのケースの温度)を検出する。あるいは、温度センサ170は、一部の代表電池の外部の温度を検出し、その他の電池温度は所定の方法で推定される。また、温度の単位は、たとえば、degCである。なお、該温度は、「セル温度」とも称される。温度センサ170により検出された温度は、電池制御装置400に入力される。
また、電池モジュール100の電圧値、電池モジュール100の電流値、および二次電池の温度のうち少なくとも1つはセンサを用いずに、所定の方法で推定する構成が採用されてもよい。
電池制御装置400は、電池モジュール100への充電許容電流値を算出する。充電許容電流値は、電池モジュール100に対する充電電流において許容される電流値である。換言すると、充電許容電流値は、充電電流値の上限値である。充電許容電流値を越えて電池モジュール100が充電されると、電池モジュール100の後述の特異劣化が生じる場合がある。
また、電池制御装置400は、電池モジュール100からの放電許容電流値を算出する。放電許容電流値は、電池モジュール100からの放電電流において許容される電流値である。放電許容電流値を越えて電池モジュール100から放電されると、電池モジュール100の特異な劣化が生じる場合がある。なお、充電許容電流値および放電許容電流値は、本開示の「差分値」に対応する。
次に、車両制御システム20を説明する。車両制御システム20は、車両制御装置280と、充電装置200と、充電装置250と、負荷300と、リレー210と、リレー260と、リレー310とを備える。なお、リレー210およびリレー310は兼用されてもよい。
車両制御システム20の充電装置200は、電池モジュール100を充電する。充電装置200は、様々な手法で電池モジュール100を充電できる。充電装置200は、第1の手法として、燃料タンク(図示せず)に収容されている燃料(たとえば、水素)を消費することにより電力を生成して、該電力により電池モジュール100を充電できる。また、充電装置200は、第2の手法として、いわゆる回生電力を生成して、該回生電力により二次電池を充電できる。回生電力は、たとえば、車両1000のドライバによるブレーキペダル操作に応じて生成される電力である。また、電池システム10の充電装置250は、第3の手法として、外部電源245からの電力を受けて、該電力により電池モジュール100を充電できる。
車両制御システム20の負荷300は、たとえば、インバータである。負荷300は、たとえば、推進器であってもよい。負荷300であるインバータは、図示しないモータジェネレータを駆動することにより回転駆動力を発生させる。この回転駆動力は、車両1000の駆動輪に伝達されて、車両1000は走行する。また、外部電源245のコネクタは、ユーザにより車両1000の充電口に差し込み可能である。
リレー210は、充電装置200に対応付けられている。リレー310は、負荷300に対応付けられている。リレー260は、充電装置250に対応付けられている。車両制御装置280は、リレー210のオンオフ、リレー260のオンオフ、リレー310のオンオフ、充電装置200、充電装置250、および負荷300などを制御可能である。
車両制御装置280は、車両1000のイグニッションスイッチがオフからオンに切換わったときに、リレー210およびリレー310をオフからオンに切り換える。車両制御装置280は、車両1000のイグニッションスイッチがオンからオフに切換わったときに、リレー210およびリレー310をオンからオフに切り換える。そして、車両制御装置280は、運転手の運転操作に応じて、車両1000を走行させる。車両1000の走行中に、充電装置200は、第1の手法または第2の手法により電池モジュール100を充電させたり、負荷300に放電させたりする。
また、車両制御装置280は、たとえば、外部電源245のコネクタが、車両1000の充電口に差し込まれたことを検知した場合に、車両制御装置280は、リレー260をオフからオンに切換える。そして、車両制御装置280の制御により、充電装置250は、外部電源245からの電力を電池モジュール100に供給する。電池モジュール100は、該電力により充電される。また、車両制御装置280は、たとえば、外部電源245のコネクタが、車両1000の充電口から外されたことを検知した場合に、車両制御装置280は、リレー260をオンからオフに切換える。
本実施の形態では、電池制御装置400または車両制御装置280は、電池システム10の使用可能状態に制御可能である。使用可能状態は、電池システム10(電池モジュール100)の使用が可能な状態である。本実施の形態の使用とは、電池モジュール100の充電および放電を示す。また、電池システム10が休止している状態は、「休止状態」とも称される。休止状態は、使用可能状態とは異なる状態である。
車両1000のイグニッションスイッチがオフからオンに切換わったとき、または、リレー210およびリレー310がオフからオンに切換わったときに使用可能状態に制御される。リレー210およびリレー310がオンであるときには、充電装置200は、電池モジュール100を充電可能であるとともに、負荷300は電池モジュール100からの電力を受けることができる。
また、リレー260(外部電源による充電のためのリレー)がオフからオンに切換わったときに使用可能状態に制御される。リレー260がオンであるときには、充電装置200は、外部電源245からの電力により電池モジュール100を充電可能である。
また、車両制御装置280は、車両1000のイグニッションスイッチがオンからオフに切換わったとき、または、リレー210およびリレー310がオンからオフに切換わったときに使用可能状態を終了させる。使用可能状態が終了すると、電池モジュール100は、休止状態となる。休止状態においては、車両制御装置280は、電池モジュール100を充電せずかつ電池モジュール100から負荷300に対して放電しない。
また、車両制御装置280は、電池制御装置400から受信した充電許容電流値に基づいて充電装置200を制御することにより、充電装置200による充電電流を制限できる。これにより、充電装置200は、該充電許容電流値を越えない充電電流で、電池モジュール100を充電する。
また、車両制御装置280は、電池制御装置400から受信した放電許容電流値に基づいて負荷300を制御することにより、電池モジュール100から負荷300への放電電流を制限できる。これにより、充電装置200は、該充電許容電流値を越えない放電電流で、電池モジュール100から負荷300に対して放電させる。
車両制御装置280および電池制御装置400の各々は、各種のプログラムを実行する演算主体である。車両制御装置280および電池制御装置400の各々は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、およびGPU(Graphics Processing Unit)などで構成される。
車両制御装置280および電池制御装置400の各々は、図示しないメモリを備える。メモリは、車両制御装置280および電池制御装置400が任意の制御プログラムを実行するにあたって、プログラムコードおよびワークメモリなどを一時的に格納する記憶領域を提供する。メモリは、たとえば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリデバイス(RAM)で構成される。
車両制御装置280および電池制御装置400の各々は、図示しないROM(Read Only Memory)等の記憶装置を備える。ROM等の記憶装置は、演算処理などに必要な各種のプログラムおよびデータを格納する記憶領域を提供する。ROM等の記憶装置は、通常の書き換え不可能なメモリの他に、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリデバイスで構成される。
また、車両制御装置280および電池制御装置400の各々の制御プログラムは、情報提供事業者によって、たとえばインターネットなどによりダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供されてもよい。また、制御プログラムは、記憶媒体に格納されて提供されてもよい。記憶媒体は、非一時的にプログラムを記憶する。記憶媒体は、たとえば、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、CD(Compact Disc)-ROMなどである。
次に、電池セル101を説明する。電池セル101の正極は、イオン(たとえば、リチウムイオン)を吸蔵および放出できる材料で形成される。正極の材料としては、たとえば、コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムを用いることができる。電池セル101の負極は、イオン(たとえば、リチウムイオン)を吸蔵および放出できる材料で形成される。負極の材料としては、たとえば、カーボンまたはシリコン化合物などを用いることができる。電池セル101を充電するとき、正極は、イオンを電解液中に放出し、負極は、電解液中のイオンを吸蔵する。また、電池セル101を放電するとき、正極は、電解液中のイオンを吸蔵し、負極は、イオンを電解液中に放出する。
図2は、電池セル101を簡略化して示す図である。図2に示すように、電池セル101は、ケース205と、電解液230と、正極活物質216と、負極活物質220と、セパレータ207とを含む。また、電池セル101には、正極、負極、セパレータ207が捲回、又は積層されてなる電極体225が形成されている。電極体225には、電解液230、正極活物質216、および負極活物質220などが含まれている。
図2(A)は、充電前の電池セル101の状態が示されている。電池セル101が充電されると、負極活物質220は膨張し、電池セル101が放電すると、負極活物質220は収縮する。これは、充放電過程においてリチウム(Li)の吸蔵・放出に伴い負極活物質220の体積が膨張・収縮するからである。特に負極活物質220が結晶構造変化を伴う場合は、その構造変化過程での体積変化が顕著である。また、ケース205と電極体225との間には、空隙212が形成されている。
図2(B)は、電池セル101が充電されたことにより膨張した負極活物質220Aを示す図である。負極活物質220が膨張することにより、矢印230Aに示すように電解液230は第1場所から第2場所に移動する(押し出される)。
ここで、第1場所は、たとえば、電極体225内の正極または負極電極の内部の空隙や正負極間の空隙の場所である。前述の正極または負極電極の内部の空隙や正負極間の空隙の場所は、たとえば、電池セル101の充電前および放電前に電解液230が存在していた場所である。また、第2場所は、たとえば、空隙212である。
また、電池セル101が放電すると、負極活物質220は収縮することから、電極体225内に電解液を保持できる保持空間ができる。第2場所に移動した電解液230は、時間経過とともに保持空間に戻る(電極体225に浸透していく)ことで、元の状態に戻る。しかしながら、電解液230が保持空間に戻りきっていない状態で再度の充放電が行われると、電解液230が不均一な状態から、更に電解液230が部分的に押し出されることになる。その結果、電極体225内の電解液の偏在が進行する。
図2(C)は、図2(B)の状態から、さらに、電池セル101の充放電が繰返された場合の電池セル101を示す図である。図2(C)に示すように、たとえば、電池セル101は、電極体225の中央部255において、電解液230が少ない状態になる。このように、電池セル101の充放電が繰返されることにより、電極体225における(電池セル101における)電解液230の分布の不均一状態が生じる。
また、発明者は、電池セル101に対して、充放電サイクル(充電処理および放電処理の繰り返し)を車両としては比較的、低レート(たとえば、1~2C程度)の電流において連続で実施した。その結果、電池セル101の抵抗が増大し、充放電サイクル中の電池セル101の電圧降下が大きくなっていることが判明した。さらに、充放電サイクルが休止することにより、電圧挙動が元の状態に戻る(電圧低下が解消される)ことが判明した。このように、電池セル101の電圧低下は、一過性の劣化である。また、電池セル101の電圧低下は、上述の電解液230の不均一状態により生じる。一方で、上述の電解液230の不均一状態は、時間の経過とともに解消される。たとえば、電池モジュール100の上述の休止状態が継続すると、図2(C)の状態から図2(A)の状態に戻る。また、電池モジュール100の電圧低下が生じたまま(電解液230の不均一状態が生じたまま)、電池セル101の充放電が継続されると、電池セル101の不具合が生じ得る。電池セル101の不具合は、たとえば、リチウムの析出による特性劣化である。なお、正極活物質が、充放電により膨張および収縮することで、上述の電解液230の不均一状態が生じる場合においても、同様の構成が採用されてもよい。
本実施の形態は、電池セル101の一過性の電圧低下を引き起こしうる電解液の不均一状態に着目されている。電池制御装置400は、第1値と第2値とを算出する。第1値は、電解液230の不均一状態の度合を示す値である。電解液230の不均一状態は、電池セル101の充電により電極体内の電解液230が静置状態の場所から押し出されることにより生じる。第1値は、電池セル101が充放電されているとき(つまり使用可能状態であるとき)に増加する。第2値は、電解液230の不均一状態が解消された度合いを示す値である。不均一状態は、たとえば、休止状態または低SOC状態であるときに解消される。
[制御装置の機能ブロック図]
図3は、電池制御装置400の機能ブロック図である。電池制御装置400は、取得部402と、処理部404と、制限部406と、記憶部408と、タイマ410とを有する。取得部402は、電圧センサ150からの電圧値と、電流センサ160からの電流値と、温度センサ170からの温度とを取得する。取得部402が取得した電圧値、電流値、および温度は、処理部404に出力される。
処理部404は、所定の第1パラメータを用いて所定の演算式により、電池モジュール100のSOC(State Of Charge)を算出する。第1パラメータは、電圧値、電流値、および温度のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。また、第1パラメータは、電圧値、電流値、および温度以外のパラメータであってもよい。処理部404は、所定の第2パラメータを用いて所定の演算式により、電池モジュール100の劣化度合いを示す値を算出する。電池モジュール100の劣化度合いを示す値は、たとえば、SOH(State of Health)である。第2パラメータは、電圧値、電流値、および温度のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。また、第2パラメータは、電圧値、電流値、および温度以外のパラメータであってもよい。
処理部404は、電圧値、電流値、および温度などに基づいて、第1値および第2値を算出する。第1値および第2値の算出手法については後述する。また、処理部404は、複数の電池セル101の少なくとも1つの第1値および第2値を算出する。本実施の形態では、処理部404は、処理部404にて選定された代表セルの第1値および第2値を算出する。
そして、処理部404は、第1値と第2値との差分値を算出する。たとえば、処理部404は、第1値から第2値を差し引くことにより、差分値を算出する。上述のように、第1値は、不均一状態の度合いを示す値であり、第2値は、不均一状態が解消された度合いを示す値である。したがって、差分値は、不均一状態の解消が反映された第1値(最新の不均一状態の度合いが示された第1値)である。また、電解液230の分布が均一である場合には(不均一状態ではない場合には)、差分値は0である。したがって、第1値<第2値である場合には、処理部404は、差分値を0として算出する。
処理部404は、算出した差分値を制限部406に出力する。制限部406は、該差分値に基づいた充電制限信号を車両制御装置280に対して出力する。充電制限信号には、充電許容電流値が含まれている。車両制御装置280は、該充電制限信号に含まれている充電許容電流値で、充電装置200および充電装置250による充電電流を制限する。
また、制限部406は、該差分値に基づいた放電制限信号を車両制御装置280に対して出力する。放電制限信号には、放電許容電流値が含まれている。車両制御装置280は、該放電制限信号に含まれている放電許容電流値で、電池モジュール100から負荷300への放電電流を制限する。また、記憶部408には、後述の第1~第10マップが格納されている。
図4は、制限部406の機能ブロック図である。制限部406は、上限値取得部4061と、許可値算出部4062と、乗算部4063と、最小値選択部4064と、乗算部4065とを有する。なお、上限値取得部4061と、許可値算出部4062は、どちらか一方だけの構成であってもよく、どちらか一方の場合は、乗算部4063と、最小値選択部4064は不要となる。
上限値取得部4061は、上限充電電流値および上限放電電流値を取得する。上限充電電流値および上限放電電流値(電池状態に因らずシステム構成で決定される充放電可能な電流値)は、予め定められている値であり、記憶部408に記憶されている。
乗算部4063は、後述する第1制限率を決定する。第1制限率は、1以下の値である。乗算部4063は、上限充電電流値に対して第1制限率を乗算する。また、乗算部4063は、上限放電電流値に対して第1制限率を乗算する。第1制限率が乗算された上限放電電流値は、最小値選択部4064に出力される。上限充電電流値と、上限放電電流値とに乗算される第1制限率は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、許可値算出部4062は、電池モジュール100の現状の電池状態(たとえば、SOC、電池温度、およびSOHなど)に基づいて、電池モジュール100に対する充電電流の許可値、および電池モジュール100からの放電電流の許可値を算出する。充電電流の許可値および放電電流の許可値は、最小値選択部4064に出力される。電池モジュール100の現在の電池状態は、たとえば、電池モジュール100の電流値、電圧値、温度、およびそれらの履歴のうち少なくとも1つなどにより規定される。
最小値選択部4064は、充電電流の許可値と、第1制限率が乗算された上限充電電流値とを比較し、これらの値のうち小さい方の値である充電上限値を乗算部4065に出力する。また、最小値選択部4064は、放電電流の許可値と、第1制限率が乗算された上限放電電流値とを比較し、これらの値のうち小さい方の値である放電上限値を乗算部4065に出力する。
乗算部4065は、後述する第2制限率を決定する。第2制限率は、1以下の値である。乗算部4065は、最小値選択部4064からの充電許容電流値に対して第2制限率を乗算する。また、乗算部4065は、最小値選択部4064からの放電許容電流値に対して第2制限率を乗算する。充電許容電流値と、放電許容電流値とに乗算される第2制限率は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
乗算部4065は、第2制限率が乗算された充電許容電流値を含む充電制限信号を車両制御装置280に出力する。車両制御装置280の制御により、充電装置200および250は充電許容電流値を超えない電流値で電池モジュール100を充電する。また、乗算部4065は、第2制限率が乗算された放電許容電流値を含む充電制限信号を車両制御装置280に出力する。上限値として負荷300に対して出力する。負荷300は、放電許容電流値を超えない電流値で電池モジュール100から放電される。
[第1値、第2値、および第3値について]
次に、電池制御装置400による第1~第3値の算出手法について説明する。上述のように、第1値は、電解液230の不均一状態の度合を示す値である。第2値は、電解液230の不均一状態が解消された度合いを示す値である。第3値は、電池モジュール100の使用可能状態中における、電解液230の不均一状態の進行度合いを示す値である。第3値は、「第1乗算値」に対応する。なお、電池制御装置400は、全ての電池セル101の各々についての第1~第3値を算出するようにしてもよく、1つの電池セル101についての第1~第3値を算出するようにしてもよい。本実施の形態では、1つの電池セル101についての第1~第3値を算出する構成される。まず、第2値の算出手法を説明する。第2値は、使用可能状態が開始したときに算出される(図15参照)。第2値は、以下の指数A、指数B、および指数Cに基づいて算出される。
また、後述するように、電池システム10は、第1~第10マップを保持し、これらのマップを用いて、後述の指数A~G、第1制限率、および第2制限率を算出する。しかしながら、電池システム10は、これらのマップのうちの少なくとも1つのマップを保持せずに、該マップに対応する演算手法(演算式)により、指数A~G、第1制限率、および第2制限率のうちの少なくとも1つを算出するようにしてもよい。第1~第10マップおよび演算手法(演算式)は、「算出情報」とも称される。また、第1~第10マップにより定められている引数以外の引数が用いられる場合には、該引数について内挿補間が実行される。
まず、指数Aを説明する。発明者は、電池モジュール100の温度が高いほど、電池モジュール100の休止状態の期間(電池モジュール100が使用されていない期間)で不均一状態がより解消されることを実験などにより発見した。また、発明者は、電池モジュール100のSOCが低いほど、電池モジュール100の休止状態の期間で不均一状態がより解消されることを実験などにより発見した。
指数Aは、第1マップを用いて算出される。図5は、第1マップの一例を示す図である。処理部404は、SOCと、電池モジュール100の第1温度平均値TAとを使用して、第1マップを参照して指数Aを算出する。
第1温度平均値TAは、直近の使用可能状態の終了時のセル温度TA1と、今回の使用可能状態の開始時のセル温度TA2との平均値である。セル温度TA1は、後述の図15のタイミングX3に示すように休止状態の開始時のセル温度である。また、セル温度TA2は、後述の図15のタイミングX4に示すように休止状態の終了時のセル温度である。
なお、第1温度平均値TAとは別の温度値が用いられてもよい。たとえば、用いられる温度値は、休止状態のセル温度を示す値であれば他の値であってもよい。たとえば、温度センサ170が、休止状態中のセル温度を特定期間ごとに検出し(または推定し)、該検出されたすべてのセル温度の平均値が用いられてもよい。また、該検出されたすべてのセル温度のうちの最低温度値が用いられてもよい。
また、SOCとしては、使用可能状態が開始したときのSOCが用いられる。なお、SOCは、他のタイミングでのSOCが用いられてもよい。他のタイミングとは、たとえば、休止状態が終了されるタイミングとしてもよい。また、電池制御装置400が、休止状態中のSOCを推定し、該推定されたSOCが用いられてもよい。
また、第1マップは、電池モジュール100の休止状態の期間において電池モジュール100の温度が高いほど不均一状態がより解消されること、および電池モジュール100の休止状態の期間において電池モジュール100のSOCが低いほど不均一状態がより解消されることが反映された情報である。つまり、図5の第1マップにおいて、電池モジュール100の温度平均値Tが高いほど、また、電池モジュール100のSOCが低いほど、指数Aは大きくなるように規定されている。
たとえば、SOCが20%であり、かつ第1温度平均値TAが25degCである場合には、第1マップから、処理部404は、指数Aを0.75と特定する。
次に、指数Bを説明する。発明者は、電池モジュール100の休止期間の電池モジュール100の状態に応じて、不均一状態の解消度合いが飽和することを発見した。つまり、発明者は、不均一状態の解消度合いの上限値が存在することを発見した。
指数Bは、第2マップおよび第3マップを用いて算出される。図6は、第2マップの一例を示す図であり、図7は、第3マップの一例を示す図である。処理部404は、SOCと、電池モジュール100の第1温度平均値TAとを使用して、第2マップおよび第3マップを参照して指数Bを算出する。
また、第1マップでの発見も鑑みると、第1温度平均値TAが高いほど、不均一状態の解消度合いの上限値が高くなることを実験などにより発見した。また、発明者は、電池モジュール100の休止状態が開始されたときのSOCが低いほど、不均一状態の解消度合いの上限値が高くなることを実験などにより発見した。さらに、発見者は、電池モジュール100の劣化度合いが高いほど(電池モジュール100のSOHが低いほど)、不均一状態の解消度合いの上限値が低くなることを実験などにより発見した。これは、負極表面に形成されるSEI(Solid Electrolyte Interphase)の堆積または電極構造の変化(たとえば活物質の膨化)などにより電池が劣化するほど、電解液が電極体内に浸透するための空間が小さくなり、不均一状態が解消し難くなるためである。
図6および図7は、「電池モジュール100の休止が開始されたときの電池モジュール100の温度平均値Tが高いほど、不均一状態の解消度合いの上限値が高くなること」、および「電池モジュール100の休止が開始されたときの電池モジュール100のSOCが低いほど、不均一状態の解消度合いの上限値が高くなること」が反映されたマップである。つまり、図6の第2マップにおいて、電池モジュール100の温度平均値Tが高いほど、また、電池モジュール100のSOCが低いほど、指数Bは大きくなるように規定されている。図7の第3マップにおいて、電池モジュール100の温度平均値Tが高いほど、また、電池モジュール100のSOCが低いほど、指数Cは大きくなるように規定されている。
さらに、図6は、電池モジュール100のSOHが最大値(電池モジュール100が劣化していない状態)である場合のマップの一例である。図7は、電池モジュール100のSOHが最小値(電池モジュール100が劣化しきった状態)である場合のマップの一例である。つまり、同一の温度平均値Tおよび同一のSOCにおいて、指数Bの方が指数Cよりも大きくなるように設定されている。電池制御装置400は、SOHに基づいて、図6の第2マップおよび図7の第3マップの内挿補間により指数Bを算出する。
なお、SOHとしては、使用可能状態が開始したときのSOHが用いられる。なお、SOHは、他のタイミングでのSOHが用いられてもよい。他のタイミングとは、たとえば、休止状態が終了されるタイミングとしてもよい。また、電池制御装置400が、休止状態中のSOHを推定し、該推定されたSOHが用いられてもよい。
次に、指数Cを説明する。発明者は、電解液230の不均一状態が進行しているほど、(つまり、前回算出された(直近に算出された)第1値が高いほど)該不均一状態が解消される度合いも高くなることを発見した。
指数Cは、第4マップを用いて算出される。図8は、第4マップの一例を示す図である。処理部404は、前回算出された第1値を使用して、第4マップを参照して指数Cを算出する。図8は、「前回算出された第1値が高いほど指数Cが大きくなること」が反映された情報である。つまり、図8の第4マップにおいて、前回算出された第1値が高いほど指数Cが大きくなるように規定されている。たとえば、前回算出された第1値が、10である場合には、第4マップから、処理部404は、指数Cを1.5と特定する。
処理部404は、指数Aと、電池モジュール100の休止時間tに関する値との第2乗算値を算出する。休止時間tに関する値は、たとえば、(休止状態の時間)の平方根による値(√t)である。また、休止時間tに関する値は、休止時間tそのものとしてもよい。指数Aは、使用可能状態の開始時のSOCおよび第1温度平均値TAとに基づく値である。なお、休止時間tは、タイマ410により計測される。
また、処理部404は、指数Bと、指数Cとを乗算することにより基準値を算出する。該基準値は、第2乗算値の上限値である。上述のように、指数Bは、電池モジュール100の休止時のSOCおよび電池モジュール100の休止時の温度とに基づく値である。また、指数Cは、前回算出された第1値に基づく値である。また、処理部404は、以下の式(1)により、第2値を算出する。
第2値=Min(第2乗算値、基準値) (1)
ここで、Min(X、Y)は、処理部404は、XとYとのうち小さい方の値を返す関数である。
次に、第3値の算出手法を説明する。第3値は、使用可能状態が終了したときに算出される(図15参照)。第3値は、以下の指数D、指数E、指数F、および指数Gに基づいて算出される。
まず、指数Dを説明する。発明者は、電池セル101はSOCの変化に応じて活物質が体積変化していることを発見した。発明者は、特に、活物質が結晶構造変化を伴う場合はその構造変化過程での体積変化が顕著であるため、電池セル101の充放電中にそのSOC領域を跨いで、活物質の結晶構造変化が起こった場合に不均一状態が進行し易いことを発見した。
そこで、電池セル101の使用可能状態が開始したときから終了したときまでの期間のうちの第1所定期間が定められている。本実施の形態の第1所定期間は、使用可能状態において、SOCの最大値である最大SOCが検出されたときと、SOCの最小値である最小SOCが検出されたときとの期間である。また、使用可能状態において、車両1000のドライブ中(車両1000の走行中)は一般的にSOCが減少する。したがって、使用可能状態において、最小SOCが検出されるタイミングは、最大SOCが検出されるタイミングよりも後のタイミングとなる。なお、変形例について、第1所定期間は、電池セル101の使用可能状態が開始したときから終了したときまでの期間としてもよい。また、第1所定期間は、他の期間としてもよい。また、たとえば、電池モジュール100が外部充電される場合は、使用可能状態の開始時点が最小SOC、終了時点が最大SOCになる場合がある。また、第1所定期間は、他の期間としてもよい。たとえば、HEV(Hybrid-Electric Vehicle)モード、または、EV(Electric Vehicle)モードとHEVモードとが混在するような場合がある。この場合には、第1所定期間は、使用可能状態の開始・終了時点に関わらず使用可能状態期間中に最大SOCが検出されたときから最小SOCが検出されるときまでの期間としてもよい。このような場合には、モードの切り替わりで所定期間を区切って計算することとしてもよい。
指数Dは、第1所定期間が開始したときの電池セル101のSOC(たとえば、最大SOC)に基づいた値(後述の指数D1)と、該第1所定期間が終了したときの電池セル101のSOC(たとえば、最小SOC)に基づいた値(後述の指数D2)との差分値である。
指数D1および指数D2は、第5マップを用いて算出される。図9は、第5マップの一例を示す図である。図9においては、SOCが大きいほど、指数D1および指数D2が大きくなるように規定されている。処理部404は、第1所定期間が開始されたときの第1SOC(たとえば、最大SOC)を取得する。そして、処理部404は、第5マップを参照して、該第1SOCに対応する指数D1を取得する。また、処理部404は、第1所定期間が終了したときの第2SOC(たとえば、最小SOC)を取得する。そして、処理部404は、第5マップを参照して、該第2SOCに対応する指数D2を取得する。また、電池モジュール100が、外部充電、HEV走行、および回生などにより充電される場合がある。この場合には、処理部404は、指数D1の引数として第1所定期間内での最大SOCを使用し、指数D2の引数として第1所定期間内での最小SOCを使用するようにしてもよい。さらに、処理部404は、たとえば、以下の式(2)により、指数Dを算出する。
指数D=ABS(D1-D2) (2)
ここで、ABS(X)は、Xの絶対値を返す関数である。たとえば、第1SOCが80%であり第2SOCが、20%である場合には、図9の例では、指数D1が10であり、指数D2が5となる。したがって、式(2)により、指数Dは5となる。
次に、指数Eを説明する。発明者は、電池セル101の負極表面に形成されるSEIの堆積または電極構造の変化(たとえば、活物質の膨化)などにより電池が劣化するほど、電解液230の不均一状態が進行し易いことを発見した。指数Eは、第6マップを用いて算出される。図10は、第6マップの一例を示す図である。第6マップは、電池セル101の劣化度合いが高いほど(電池セル101のSOHが低いほど)、指数Eが高くなるように規定されている。たとえば、SOHの値が80である場合には、処理部404は、指数Eとして、1.8を取得する。なお、用いられるSOHについては、たとえば、最新のSOHであることが好ましい。たとえば、使用可能状態が終了したときのSOHなどが用いられる。
次に、指数Fを説明する。発明者は、電池セル101の使用可能状態が開始したときから終了したときまでの期間のうちの第2所定期間におけるSOCの変化速度が大きいと、電解液自体の分布の偏りに加え、電解液の塩濃度(たとえば、リチウム塩濃度)の分布の偏りも生じていることを発見した。さらに、発明者は、電解液自体の分布の偏りに加え、塩濃度の分布の偏りが生じていると、電池の充放電反応がさらに不均一に進行することで、一時的な特性低下が大きくなることを発見した。また、発明者は、電池セル101の温度が低いほど、電解液230の不均一状態が進行することを発見した。第2所定期間は、第1所定期間と同一の期間としてもよく、異なる期間としてもよい。本実施の形態では、第2所定期間は、第1所定期間と同一とする。第2所定期間は、使用可能状態において、最大SOCが検出されたときと、最小SOCが検出されたときとの期間である。
指数Fは、第7マップを用いて算出される。図11は、第7マップの一例を示す図である。図11においては、SOC変化速度が大きいほど、指数Fは大きくなるように規定されている。また、図11においては、電池セル101の第2温度平均値TBが大きいほど、指数Fは小さくなるように規定されている。
また、電池セル101の使用可能状態が開始したときから終了したときまでの期間のうちの第3所定期間が定められている。第3所定期間は、第1所定期間および第2所定期間のいずれか一方と同一の期間としてもよく、第1所定期間および第2所定期間のいずれとも異なる期間としてもよい。本実施の形態では、第3所定期間は、第1所定期間と同一の期間であるとする。
第2温度平均値TBは、第3所定期間(本実施の形態では、第1所定期間と同一の期間)が開始したときのセル温度TB1と、該第3所定期間が終了したときのセル温度TB2との平均値である。なお、第2温度平均値TBとは別の温度値が用いられてもよい。たとえば、用いられる温度値は、使用可能状態中のセル温度を示す値であれば他の値であってもよい。たとえば、温度センサ170が、使用可能状態中のセル温度を特定期間ごとに検出し(または推定し)、該検出されたすべてのセル温度の平均値が用いられてもよい。また、該検出されたすべてのセル温度のうちの最低温度値が用いられてもよい。
また、SOC変化速度は、以下の式(3)により算出される。
SOC変化速度=|ΔSOC|/t (3)
また、電池セル101の使用可能状態が開始したときから終了したときまでの期間のうちの第4所定期間が定められている。第4所定期間は、第1~第3所定期間のいずれか一方と同一の期間としてもよく、第1~第3所定期間のいずれとも異なる期間としてもよい。本実施の形態では、第4所定期間は、第1所定期間と同一の期間であるとする。
式(3)において、ΔSOCは、たとえば、第4所定期間(本実施の形態では、第1所定期間と同一の期間)が開始するときの第1SOC(つまり、最大SOC)と、第4所定期間が終了するときの第2SOC(つまり、最小SOC)との差分値である。また、tは、第4所定期間の時間である。たとえば、変化速度が、0.05であり、電池セル101の温度が25degCである場合には、処理部404は、指数Fとして、0.5を特定する。
次に、指数Gを説明する。発明者は、前回(直近)に算出された第1値が大きいほど、電解液230の不均一状態が進行し易いことを発見した。
指数Gは、第8マップを用いて算出される。図12は、第8マップの一例を示す図である。図12においては、前回算出された第1値が大きいほど、指数Gは大きくなるように規定されている。たとえば、前回(直近)に算出された第1値が、100である場合には、処理部404は、指数Gとして、1.05を特定する。
また、電池制御装置400は、指数D×指数E×指数F×指数Gを算出することにより第3値を算出する。第3値は、本開示の「第1乗算値」に対応する。そして、電池制御装置400は、第1値に第3値を加算することにより、第1値を更新する(第1値を算出する)。
図13は、上述の第1制限率が規定された第9マップである。図13の例では、不均一状態の度合いを示す第1値が高いほど、第1制限率は高くなるように規定されている。制限部406は、たとえば第1値が500である場合には、第1制限率として、0.7を取得する。
図14は、上述の第2制限率が規定された第10マップである。図12の例では、不均一状態の度合いを示す第1値が高いほど、第2制限率は高くなるように規定されている。制限部406は、たとえば第2値が500である場合には、第2制限率として、0.7を取得する。なお、図13および図14の例では、第9マップと第10マップとは同一であるが、第9マップと第10マップとは異なるようにしてもよい。
図15は、上述のセル温度TA1、TA2、TB1、TB2の取得タイミング、第1温度平均値TAの算出タイミング、および第2温度平均値TBの算出タイミングを示す図である。図15に示すように、電池制御装置400は、直近の使用可能状態において、第1所定期間が開始されたタイミングX1でのセル温度TB1を取得する。また、電池制御装置400は、直近の使用可能状態において、第1所定期間が終了したタイミングX2のセル温度TB2を取得する。そして、電池制御装置400は、直近の使用可能状態が終了したタイミングX3(つまり、該直近の使用可能状態の次の休止状態が開始したタイミング)に、第2温度平均値TB(=(TB1+TB2)/2)を算出する。
また、電池制御装置400は、タイミングX3において、セル温度TA1を取得し、該セル温度TA1を記憶する。そして、電池制御装置400は、1回目の休止状態が終了したタイミングX4(つまり、今回の使用可能状態が開始したタイミング)に、セル温度TA1(タイミングX3で記憶したセル温度TA1)を読み出すとともに、セル温度TA2を取得する。さらに、タイミングX4において、電池制御装置400は、第1温度平均値TA(=(TA1+TA2)/2)を算出する。
[制御装置の処理]
図16は、電池制御装置400により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。電池システム10の使用開始状態が開始されたときに、図16に示すフローチャートは実行される。
まず、ステップS2において、電池制御装置400は、後述のステップS16で記憶部408に記憶された第1値を読み出す。次に、S4において、電池制御装置400は、上述の第2値を算出する。第2値の算出方法については、図17で説明する。
次に、ステップS6において、電池制御装置400は、ステップS2で読み出した第1値から、ステップS4で算出した第2値を差し引くことにより、第1値を更新する(差分値を算出する)。上述のように、ステップS6において更新された第1値(差分値)は、不均一状態の解消が反映された第1値(最新の第1値)である。
次に、ステップS7において、電池制御装置400は、ステップS6で更新した第1値(差分値)を記憶部408に記憶させる。
次に、ステップS8において、電池制御装置400は、ステップS6で更新した第1値(差分値)に基づいて、充電電流と放電電流とを制限する。具体的には、電池制御装置400は、第9マップおよび第10マップを参照して、第1制限率および第2制限率を取得して、充電電流と放電電流とを制限する。また、使用可能状態が終了するまで、制限された充電電流で電池モジュール100は充電され、制限された放電電流で電池モジュール100から放電される。
たとえば、イグニッションスイッチがオンになることにより使用可能状態が開始した場合には、イグニッションスイッチがオフになるまで、制限された充電電流で電池モジュール100は充電され、制限された放電電流で電池モジュール100から放電される。また、外部電源245のコネクタが、車両の充電口に差し込まれたことにより使用可能状態が開始した場合には、外部電源245の充電が終了するまで制限された充電電流で電池モジュール100は充電される。
次に、ステップS10において、電池制御装置400は、電池システム10の使用可能状態が終了したか否かを判断する。ステップS10において、電池制御装置400は、電池システム10の使用可能状態が終了するまで待機する(ステップS10でNO)。また、使用可能状態が終了するまでの期間(たとえば、車両1000が走行している期間)において、ステップS11において、電池制御装置400は、取得したパラメータを記憶部408に記憶させる。取得したパラメータとは、たとえば、最大SOC、最小SOC、セル温度TB1、セル温度TB2(図15参照)などである。また、電池システム10の使用可能状態が終了した場合には(ステップS10でYES)、処理は、ステップS12に進む。
ステップS12において、電池制御装置400は、第3値を算出する。第3値の算出方法については、図18で説明する。次に、ステップS14において、電池制御装置400は、ステップS7で記憶された第1値と、ステップS12で算出された第3値とを加算することにより、第1値を更新する。ここで、第3値は、使用可能状態中に電解液の不均一状態が進行した度合いを示す値である。ステップS14の処理は、第1値を算出する処理に対応する。次に、ステップS16において、電池制御装置400は、ステップS14で更新した第1値を記憶部408に記憶させる。
図17は、ステップS4の第2値の算出処理のフローチャートである。図17の処理は、図15に記載の「今回の使用可能状態」で実行される処理である。ステップS22において、電池システム10の使用可能状態の開始時のセル温度TA1と、使用可能状態の開始時のセル温度TA2とを取得する(図15のタイミングX4参照)。さらに、ステップS22においては、電池制御装置400は、セル温度TA1とセル温度TA2との第1温度平均値TAを算出する。
次に、ステップS24において、電池制御装置400は、使用可能状態の開始時(たとえば、タイミングX4)のSOCを取得する。次に、ステップS26において、電池制御装置400は、第1温度平均値TAと、SOCと、第1マップ(図5参照)とに基づいて指数Aを算出する。
次に、ステップS28において、電池制御装置400は、第1温度平均値TAと、SOCと、第2マップ(図6参照)と、第3マップ(図7参照)に基づいて指数Bを算出する。次に、ステップS30において、ステップS2で読み出された第1値(前回、算出された第1値)と、第4マップ(図8参照)とに基づいて指数Cを算出する。次に、ステップS32において、上記式(1)により、第2値を算出する。
図18は、ステップS12の第3値算出処理のフローチャートである。ステップS40において、電池制御装置400は、上述のセル温度TB1およびセル温度TB2を取得する。該セル温度TB1は、タイミングX1で取得されて、ステップS11で記憶される温度である。また、該セル温度TB2は、タイミングX2で取得されて、ステップS11で記憶される温度である。さらに、ステップS22においては、電池制御装置400は、セル温度TB1とセル温度TB2との第2温度平均値TBを算出する。
次に、ステップS42において、電池制御装置400は、使用可能状態(図16の処理が開始されたときから、ステップS10でYESと判断されるまでの状態)中の最大SOCを取得する。最大SOCは、第1所定期間が開始されたタイミングX1で取得されて、ステップS11で記憶されるSOCである。なお、変形例として、電池モジュール100が、外部充電、HEV走行、および回生などにより充電される場合がある。この場合には、処理部404は、図15のX1のタイミングに限らず第1所定期間内での最大SOCを取得し記憶するようにしてもよい。
次に、ステップS44において、電池制御装置400は、使用可能状態(図16の処理が開始されたときから、ステップS10でYESと判断されるまでの状態)中の最小SOCを取得する。最小SOCは、第1所定期間が終了されたタイミングX2で取得されて、ステップS11で記憶されるSOCである。なお、変形例として、電池モジュール100が、外部充電、HEV走行、および回生などにより充電される場合がある。この場合には、処理部404は、図15のX2のタイミングに限らず第1所定期間内での最小SOCを取得し記憶するようにしてもよい。
次に、ステップS46において、電池制御装置400は、上記式(3)により、SOCの変化速度を算出する。次に、ステップS48において、電池制御装置400は、使用可能状態中のSOHを取得する。
次に、ステップS50において、最大SOCと、最小SOCと、第5マップ(図9参照)とに基づいて、指数Dを算出する(上記式(2)も参照)。次に、ステップS52において、電池制御装置400は、SOHと、第6マップ(図10参照)とに基づいて指数Eを算出する。次に、ステップS54において、電池制御装置400は、SOCの変化速度と、第2温度平均値TBと、第7マップ(図11参照)とに基づいて指数Fを算出する。次に、ステップS56において、ステップS7で記憶された第1値(前回、算出された第1値)と、第8マップ(図12参照)とに基づいて、指数Gを算出する。
次に、ステップS58において、電池制御装置400は、指数D×指数E×指数F×指数Gを算出することにより、第3値を算出する。
上述のように、指数Dおよび指数Eについては、活物質の膨張および収縮による電解液の押し出し(移動)に関する指数である。したがって、指数Dおよび指数Eは、指数Fおよび指数Gと比較して、電解液230の押し出し(移動)による不均一状態により密接に関わる指数である。そこで、電池制御装置400は、指数Fおよび指数Gを使用せずに、指数D×指数Eを算出することにより、第3値を算出するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、第2値および第3値は、指数の乗算により、算出される構成を説明した。しかしながら、第2値および第3値の算出式の少なくとも一部は、指数の加算が採用されてもよい。
従来の電池システムにおいて、ハイレートでの充放電が継続的に行われることにより、電解液中のリチウム塩濃度の偏りによって抵抗増加が生起されるハイレート劣化が知られている。特開2017-103080号公報に記載の電池システム(以下、「比較例の電池システム」とも称される。)においては、二次電池において、ハイレートでの充電または放電が継続的に行われることにより、電解液中の塩濃度の偏りによって抵抗増加が生起される現象について開示されている。しかしながら、たとえば、ローレートでの充放電であっても、SOC変化が大きくなる使用により生じ得る電解液自体の分布の偏りについて鑑みられていなかった。したがって、電解液自体の分布の偏りが生じたまま二次電池の充電および放電を繰り返すと、電極反応が不均一になる。その結果、二次電池において局所的に反応が集中することによって、通常劣化以外の特異劣化が二次電池に生じるという問題が生じ得る。
ここで、通常劣化とは、電解液自体の分布の偏りやリチウム塩濃度の濃度分布が生じていない状態での使用下においての劣化であり、たとえば、負極表面に形成されるSEIの堆積や電極構造の変化が、電池内部で均一に起こる劣化で、二次電池の抵抗が増大する、又は容量が減少するという劣化である。また、特異劣化とは、たとえば、前記の通常劣化と同じ反応が電池の一部にだけ発生したり、反応が局所的に集中したりして、部分的にリチウム金属が析出するという劣化である。
そこで、発明者は、二次電池の充電により電解液230が第1場所(たとえば、図2に示す静置状態の場所)から第2場所に押し出されることにより生じる該電解液230の不均一状態の度合いに着目した。電池制御装置400は、該不均一状態の度合いを示す第1値を算出する(図16のステップS14およびステップS2参照)。また、電池制御装置400は、不均一状態が解消された度合いを示す第2値を算出する(ステップS4)。そして、電池制御装置400は、第1値と第2値との差分値を算出する(ステップS6)。さらに、電池制御装置400は、差分値に基づいて、充電電流および放電電流を制限する。したがって、電解液自体の分布の不均一状態の度合い、および該不均一状態が解消された度合いが反映された差分値により、充電電流および放電電流が制限される。したがって、本実施の形態の電池システム10によれば、二次電池の特異劣化を抑制できる。
また、電池制御装置400は、電池モジュール100の使用可能状態が開始したときに、第2値を算出し、かつ差分値を算出する(図16のステップS4およびステップS6参照)。したがって、電池制御装置400は、使用可能状態の前の休止状態のパラメータが反映された第2値および差分値を算出することができる。また、電池制御装置400は、電池モジュール100の使用可能状態が終了したときに、第1値を算出する(図16のステップS14参照)。したがって、電池制御装置400は、該使用可能状態が反映された第1値を算出することができる。
また、電池制御装置400は、電池モジュール100のSOCに基づいた値を用いて、第1値を算出する(指数Dと指数F参照)。したがって、電池制御装置400は、電池モジュール100のSOCが反映された第1値を算出できる。
また、電池モジュール100のSOCに基づいた値は、指数Dを含む。指数Dは、電池モジュール100の使用可能状態が開始されたときから該使用可能状態が終了したときまでの期間のうちの第1所定期間が開始したときの電池モジュール100のSOCに基づいた値(指数D1)と、該第1所定期間が終了したときの電池モジュール100のSOCに基づいた値(指数D2)との差分値である(図9参照)。したがって、電池制御装置400は、該差分値が反映された第1値を算出できる。変形例として、電池モジュール100が、外部充電、HEV走行、および回生などにより充電される場合がある。この場合には、処理部404は、第1所定期間内での電池モジュール100の最大SOCに基づいた値(指数D1と、第1所定期間内での電池モジュール100の最小SOCに基づいた値(指数D2)との差分値を、指数Dとして算出してもよい。
また、電池モジュール100のSOCに基づいた値は、指数Fを含む。指数Fは、二次電池のSOCの変化速度である(図11参照)。したがって、電池制御装置400は、該SOCの変化速度が反映された第1値を算出できる。
また、電池制御装置400は、電池モジュール100のSOHを用いて、第1値を算出する(図10の指数E参照)。したがって、電池制御装置400は、該SOHが反映された第1値を算出できる。
また、電池制御装置400は、指数D×指数E×指数F×指数Gを算出することにより算出される第3値(第1乗算値)に基づいて、第1値を算出する。具体的には、図16のステップS12およびステップS14に示すように、電池制御装置400は、ステップS7で記憶した第1値と第3値とを加算することにより、第1値を更新する(最新の第1値を算出する)。指数Gは、前回(直近)に算出された値である(図12参照)。したがって、指数D、指数E、指数F、および指数Gの概念(発明者の上述の発見事項)が反映された第1値を算出することができる。
上述のように、指数Dの概念は、「負極活物質は電池セル101の充電量(SOC)の変化により体積変化しており、特に活物質が結晶構造変化を伴う場合はその構造変化過程での体積変化が顕著である。そのため、充放電によるΔSOCが大きく、特に活物質の結晶構造変化を伴うSOC帯で使用することで不均一状態が進行し易い」という概念である。
指数Eの概念は、「電池モジュール100の充放電に伴う活物質の膨張・収縮による電解液の押し出しにより発生する電解液の不均一状態は、負極表面に形成されるSEIの堆積や電極構造の変化(たとえば、活物質の膨化)などにより電池が劣化するほど進行し易い」という概念である。指数Fの概念は、「使用可能状態におけるSOCの変化速度が大きいと、電解液の分布、および塩濃度の不均一状態が進行し易い」という概念である。指数Gの概念は、「前回(直近)に算出された第1値が大きいほど、電解液230の不均一状態が進行し易い」という概念である。
また、電池制御装置400は、電池モジュール100の休止状態のSOCおよび電池モジュール100の休止状態の温度とに基づく値と、電池モジュール100の休止時間tの平方根による値との第2乗算値に基づいて第2値を算出する(図5参照)。したがって、電池モジュール100の休止状態のSOC、電池モジュール100の休止状態の温度、および電池モジュール100の休止時間を反映させた第2値を算出することができる。
また、電池制御装置400は、基準値を算出する。そして、電池制御装置400は、第2乗算値と基準値とのうちの小さい方の値を第2値として算出する(上記式(1)参照)。したがって、電解液230の不均一状態の上限値を反映させた第2値を算出することができる。なお、変形例として、電池制御装置400は、基準値を算出しないようにしてもよい。
また、電池制御装置400は、指数Bと指数Cとを乗算することにより基準値を算出する。指数Bは、電池モジュール100の休止状態のSOCおよび電池モジュール100の休止状態の温度とに基づく値である(図6および図7参照)。また、指数Cは、前回算出された第1値に基づく値である(図8参照)。したがって、電池モジュール100の休止状態のSOC、電池モジュール100の休止状態の温度、および前回算出された第1値を反映させた基準値を算出できる。
また、図4に記載の乗算部4063は、充電電流の上限値の第1制限率を決定して、該第1制限率により充電電流の上限値を制限する(上限値を低下させる)。本実施の形態では、乗算部4063は、第9マップ(図13参照)に基づいて、上限値の第1制限率を決定する。したがって、電池制御装置400は、制限された上限値を超えない電流値で充電を実行できる。
また、図4に記載の乗算部4065は、第1制限率に基づく上限値(第1制限率が乗算された上限値)を超えない充電電流の第2制限率を決定する。具体的には、乗算部4065は、1以下となる第2制限率を決定する。そして、乗算部4065は、第2制限率により、実際の充電電流を制限する(充電電流を低下させる)。本実施の形態では、乗算部4063は、第10マップ(図14参照)に基づいて、第2制限率を決定する。したがって、電池制御装置400は、第2制限率に基づいて実際の充電電流を制限できる。
また、図4に記載の乗算部4063は、放電電流の上限値の第1制限率を決定して、該第1制限率により放電電流の上限値を制限する(上限値を低下させる)。本実施の形態では、乗算部4063は、第9マップ(図13参照)に基づいて、上限値の第1制限率を決定する。したがって、電池制御装置400は、制限された上限値を超えない電流値で放電を実行できる。
また、図4に記載の乗算部4065は、第1制限率に基づく上限値(第1制限率が乗算された上限値)を超えない放電電流の第2制限率を決定する。具体的には、乗算部4065は、1以下となる第2制限率を決定する。そして、乗算部4065は、第2制限率により、実際の放電電流を制限する(放電電流を低下させる)。本実施の形態では、乗算部4063は、第10マップ(図14参照)に基づいて、第2制限率を決定する。したがって、電池制御装置400は、第2制限率に基づいて実際の放電電流を制限できる。
[変形例]
(1) 図16の例では、電池制御装置400は、使用可能状態が終了したときにステップS14で第1値を算出し、次の使用可能状態が開始したときにステップS2で第1値を読み出す構成を説明した。しかしながら、ステップS14の処理は、次の使用可能状態が開始したときのステップS2で実行するようにしてもよい。また、ステップS12の処理も、次の使用可能状態が開始したときのステップS2よりも前の処理で実行するようにしてもよい。
(2) 上述の実施の形態では、電池制御装置400が充電電流および放電電流の双方を制限する構成を説明した。しかしながら、電池制御装置400が充電電流および放電電流のいずれか一方を制限するようにしてもよい。
(3) 電池制御装置400は、図16の例では、使用可能状態が開始したときから終了するまでに第1値および第3値を1回算出する構成が採用されている。しかしながら、電池制御装置400は、第1値および第3値を算出する期間を他の期間としてもよい。他の期間は、たとえば、電池モジュール100の充電期間および放電期間の少なくとも一方において、周期的に、電池制御装置400は第1値および第3値を算出するようにしてもよい。
(4) 電池システム10の最小構成としては、第2値の算出に第2乗算値(指数Aと休止時間tに関する値の乗算値)を使用し、第3値の算出に指数Dを使用して第1値を計算し、第1値に基づく第1および第2制限率を使用し充電電流を制限する構成としてもよい。第2値の算出方法として、好ましくは指数Bにより解消の上限値が算出される。より好ましくは指数Cにより現在の電解液不均一性に基づく第2値の係数が算出される。第3値の算出方法として、好ましくは指数Eにより電池の劣化状態に基づく第3値の係数が算出される。より好ましくは指数Gにより現在の電解液不均一性に基づく第3値の係数が算出される。さらにより好ましくは指数FによりSOCの変化速度に基づく第3値の係数が算出される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本実施の形態の電池システムは、電池は複数の並直電池で構成された組電池もしくは電池モジュールのほか、単一の電池もしくは単一電池を並列接続した構成も包含する。
10 電池システム、15 コネクタ、20 車両制御システム、100 電池モジュール、101 電池セル、150 電圧センサ、160 電流センサ、170 温度センサ、200,250 充電装置、205 ケース、207 セパレータ、210,260,310 リレー、216 正極活物質、220 負極活物質、225 電極体、230 電解液、245 外部電源、255 中央部、280 車両制御装置、300 負荷、400 電池制御装置、402 取得部、404 処理部、406 制限部、408 記憶部、410 タイマ。

Claims (15)

  1. 電解液を含む二次電池と、
    制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記二次電池の充電により前記電解液が移動することにより生じる該電解液の不均一状態の度合いを示す第1値である不均一状態度合値を記憶するメモリを有し、
    前記制御装置は、
    前記二次電池の使用可能状態から前記二次電池の休止状態になったときに、該使用可能状態中における前記不均一状態の進行度合いを示す第3値である進行度合値を、該使用可能状態中の前記二次電池のSOC(State Of Charge)に基づいた値を用いて算出し、
    前記不均一状態度合値と前記進行度合値との加算値が前記不均一状態度合値となるように該不均一状態度合値を更新し、
    前記不均一状態が解消された度合いを示す第2値である解消度合値を、前記休止状態から前記使用可能状態になったときに、該休止状態の時間を用いて算出し、
    前記更新された前記不均一状態度合値と前記解消度合値との差分値が前記不均一状態度合値となるように該不均一状態度合値を再度更新し、
    前記再度更新された前記不均一状態度合値に基づいて、前記二次電池への充電電流を制限する、電池システム。
  2. 電解液を含む二次電池と、
    制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記二次電池の充電により前記電解液が移動することにより生じる該電解液の不均一状態の度合いを示す第1値である不均一状態度合値を記憶するメモリを有し、
    前記制御装置は、
    前記二次電池の使用可能状態から前記二次電池の休止状態になったときに、該使用可能状態中における前記不均一状態の進行度合いを示す第3値である進行度合値を、該使用可能状態中の前記二次電池のSOCに基づいた値を用いて算出し、
    前記不均一状態度合値と前記進行度合値との加算値が前記不均一状態度合値となるように該不均一状態度合値を更新し、
    前記不均一状態が解消された度合いを示す第2値である解消度合値を、前記休止状態から前記使用可能状態になったときに、該休止状態の時間を用いて算出し、
    前記更新された前記不均一状態度合値と前記解消度合値との差分値が前記不均一状態度合値となるように該不均一状態度合値を再度更新し、
    前記再度更新された前記不均一状態度合値に基づいて、前記二次電池からの放電電流を制限する、電池システム。
  3. 前記二次電池のSOCに基づいた値は、前記二次電池の使用可能状態が開始されたときから該使用可能状態が終了したときまでの期間のうちの所定期間が開始したときの前記二次電池のSOCに基づいた値と、該所定期間が終了したときの前記二次電池のSOCに基づいた値との差分値を含む、請求項1または請求項2に記載の電池システム。
  4. 前記二次電池のSOCに基づいた値は、前記二次電池のSOCの変化速度を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電池システム。
  5. 前記制御装置は、前記二次電池のSOCに基づいた値および前記二次電池のSOH(State of Health)を用いて、前記進行度合値を算出する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電池システム。
  6. 前記進行度合値は、
    前記二次電池の使用可能状態が開始されたときから該使用可能状態が終了したときまでの期間のうちの所定期間が開始したときの前記二次電池のSOCに基づいた値と、該所定期間が終了したときの前記二次電池のSOCに基づいた値との差分値と、
    前記二次電池のSOHに基づいた値と、
    前記二次電池のSOCの変化速度と、
    前回更新された前記不均一状態度合値に基づく値との第1乗算値である、請求項1または請求項2に記載の電池システム。
  7. 前記制御装置は、前記休止状態のSOCおよび前記休止状態の前記二次電池の温度とに基づく値と、前記休状態の時間の平方根による値との第2乗算値に基づいて前記解消度合値を算出する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の電池システム。
  8. 前記制御装置は、
    基準値を算出し、
    前記第2乗算値と前記基準値とのうちの小さい方の値を前記解消度合値として算出する、請求項7に記載の電池システム。
  9. 前記制御装置は、前記休止状態の前記二次電池のSOCおよび前記休止状態の前記二次電池の温度とに基づく値と、前回算出された前記不均一状態度合値に基づく値とを乗算することにより、前記基準値を算出する、請求項8に記載の電池システム。
  10. 前記充電電流を制限する処理は、前記充電電流の上限値の第1制限率を決定する処理を含む、請求項1に記載の電池システム。
  11. 前記充電電流を制限する処理は、前記第1制限率に基づく上限値を超えない前記充電電流の第2制限率を決定する処理を含む、請求項10に記載の電池システム。
  12. 前記放電電流を制限する処理は、前記放電電流の上限値の第1制限率を決定する処理を含む、請求項2に記載の電池システム。
  13. 前記放電電流を制限する処理は、前記第1制限率に基づく上限値を超えない前記放電電流の第2制限率を決定する処理を含む、請求項12に記載の電池システム。
  14. 電解液を含む二次電池の充電により前記電解液が移動することにより生じる該電解液の不均一状態の度合いを示す第1値である不均一状態度合値を記憶するメモリを用いた方法であって、
    前記二次電池の使用可能状態から前記二次電池の休止状態になったときに、該使用可能状態中における前記不均一状態の進行度合いを示す第3値である進行度合値を、該使用可能状態中の前記二次電池のSOCに基づいた値を用いて算出することと、
    前記不均一状態度合値と前記進行度合値との加算値が前記不均一状態度合値となるように該不均一状態度合値を更新することと、
    前記不均一状態が解消された度合いを示す第2値である解消度合値を、前記休止状態から前記使用可能状態になったときに、該休止状態の時間を用いて算出することと、
    前記更新された前記不均一状態度合値と前記解消度合値との差分値が前記不均一状態度合値となるように該不均一状態度合値を再度更新することと、
    前記再度更新された前記不均一状態度合値に基づいて、前記二次電池への充電電流を制限することとを備える、方法。
  15. 電解液を含む二次電池の充電により前記電解液が移動することにより生じる該電解液の不均一状態の度合いを示す第1値である不均一状態度合値を記憶するメモリを用いた方法であって、
    前記二次電池の使用可能状態から前記二次電池の休止状態になったときに、該使用可能状態中における前記不均一状態の進行度合いを示す第3値である進行度合値を、該使用可能状態中の前記二次電池のSOCに基づいた値を用いて算出することと、
    前記不均一状態度合値と前記進行度合値との加算値が前記不均一状態度合値となるように該不均一状態度合値を更新することと、
    前記不均一状態が解消された度合いを示す第2値である解消度合値を、前記休止状態から前記使用可能状態になったときに、該休止状態の時間を用いて算出することと、
    前記更新された前記不均一状態度合値と前記解消度合値との差分値が前記不均一状態度合値となるように該不均一状態度合値を再度更新することと、
    前記再度更新された前記不均一状態度合値に基づいて、前記二次電池からの放電電流を制限することとを備える、方法。
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