JP7385810B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、ガスセンサに関する。特には、高温環境で一酸化炭素を検出することができるガスセンサ、並びに高温環境で一酸化炭素と酸素の両方を検出することができるガスセンサに関する。
従来、測定ガス混合物中でガス成分の検出又はガス濃度の決定のために、固体電解質をベースとして構成されかつ混成電位原理により運転されるセンサを使用することが知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
特許文献1は、電圧を印加した条件下で窒素酸化物を検出可能な混成電位型のガスセンサを開示している。特許文献2は、混成電位型のガスセンサであって、NH、窒素酸化物、炭化水素化合物を検出するセンサを開示している。このセンサにおいては、Pt-Auペーストをベースとした電極と、金メッキされた白金電極間の反応性の差により、固体電解質により結合された2つの電極間に混成電位が生じることを利用して、測定ガス中の対象化合物の濃度を測定する。
特開2002-162383号公報 特許第4914447号公報
混成電位型のガスセンサにおいては、1対の電極での検知ガスに対する反応性の差から、固体電解質と電極と気相との三相界面でのガス濃度に応じた混成電位が発生し、1対の電極間の混成電位差をセンサの起電力として測定することができる。1対の電極間での反応性の差を生じさせる手段としては、電極の化学組成を変更したり、電極材料とは反応性の異なる触媒で一方の電極を覆ったりすることなどが行われてきた。
ボイラー煙道でのガス成分の測定を目的とする場合、500℃を超える高温環境、例えば、700℃~800℃の高温環境でガスセンサを動作させる必要がある。しかし、このような温度では、電極材料の耐熱性や触媒の安定性などの問題があった。一方で、耐熱性の確認できている白金(Pt)を主成分とする電極材料で電極対を構成した場合には、高温環境のため、電極間の検知ガスに対する反応性の違いを得ることが困難となり、総じてセンサ出力は小さいという問題があった。
本発明者らは、固体電解質基板に特定の組成の電極を形成することで、500℃を超える高温環境において、一酸化炭素ガスを選択的に、高出力で検出することができることを見出すことにより本発明を完成するに至った。
[1] 本発明は一実施形態によれば、一酸化炭素ガスセンサであって、固体電解質基板と、前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された少なくとも一対の電極とを含み、前記一対の電極が、白金とロジウムの合金粒子もしくは白金と金の合金粒子から選択される金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体からなる第1の電極と、白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体からなる第2の電極とを含む。
[2] 前記[1]のガスセンサにおいて、前記固体電解質基板及び前記固体電解質粒子が、安定化ジルコニアを含むことが好ましい。
[3] 本発明は別の実施形態によれば、前記[1]または[2]に記載の一酸化炭素ガスセンサの製造方法であって、前記固体電解質基板に前記第1及び第2の電極を形成する工程と、前記第1及び第2の電極が形成された固体電解質基板を、800℃以上の温度条件にて、一酸化炭素、酸素、及び窒素ガスを含む混合ガスと、4時間以上接触させる工程とを含む方法に関する。
[4] 本発明はまた別の実施形態によれば、前記[1]または[2]に記載の一酸化炭素ガスセンサを用いた一酸化炭素ガスの検知方法であって、前記固体電解質基板の温度が500℃以上となる雰囲気下で、前記第1及び第2の電極間の電位差を測定する工程を含む、方法に関する。
[5] 本発明はまた別の実施形態によれば、一酸化炭素及び酸素ガスセンサであって、固体電解質基板と、前記固体電解質基板に設けられた第1の電極と、前記固体電解質基板に設けられ、前記第1の電極と前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第2の電極と、前記固体電解質基板に設けられ、前記第2の電極と前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第3の電極とを含み、前記第1の電極が、白金とロジウムの合金粒子もしくは白金と金の合金粒子から選択される金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であり、前記第2及び第3の電極が、白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であり、前記第1及び第2の電極に接する雰囲気と、前記第3の電極に接する雰囲気とが遮断されている、ガスセンサに関する。
[6] 前記[5]のガスセンサにおいて、前記第1及び第2の電極に接続された一酸化炭素検出部と、前記第2及び第3の電極に接続された酸素検出部とをさらに含むことが好ましい。
[7] 前記[5]のガスセンサにおいて、前記固体電解質基板に設けられ、前記第1の電極と前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第4の電極と、前記第1及び第4の電極に接続された一酸化炭素検出回路と、前記第2及び第3の電極に接続された酸素検出部とをさらに含み、前記第4の電極が、前記第1の電極と同一雰囲気にあり、前記第4の電極が、白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であることが好ましい。
[8] 前記[5]~[7]のいずれかのガスセンサにおいて、前記固体電解質基板が、一端が閉塞端である管状構造体であり、前記第1、第2の電極が前記管状構造体の外壁部に設けられ、前記第3の電極が前記管状構造体の内壁部に設けられることが好ましい。
[9] 前記[7]のガスセンサにおいて、前記第4の電極が前記管状構造体の外壁部に設けられることが好ましい。
[10] 本発明はまた別の実施形態によれば、一酸化炭素及び酸素ガスセンサであって、第1の固体電解質基板と、前記第1の固体電解質基板に設けられた第1の電極と、前記第1の固体電解質基板に設けられ、前記第1の電極と前記第1の固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第2の電極とを備える一酸化炭素ガスセンサ部と、第2の固体電解質基板と、前記第2の固体電解質基板に設けられた第3の電極と、前記第2の固体電解質基板に設けられ、前記第3の電極と前記第2の固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第4の電極とを備える酸素ガスセンサ部とをケーシング中に備え、前記第1の電極が、白金とロジウムの合金粒子もしくは白金と金の合金粒子から選択される金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であり、前記第2、第3及び第4の電極が、白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であり、前記第1、第2、及び第3の電極に接する雰囲気と、前記第4の電極に接する雰囲気とが遮断されている、ガスセンサに関する。
[11] 本発明はまた別の実施形態によれば、前記[5]に記載のガスセンサの製造方法であって、前記固体電解質基板に、少なくとも前記第1、第2及び第3の電極を含む電極を形成する工程と、前記第1、第2及び第3の電極を含む電極が形成された固体電解質基板を、800℃以上の温度条件にて、一酸化炭素、酸素、及び窒素ガスを含む混合ガスと、4時間以上接触させる工程とを含む方法に関する。
[12] 前記[1]、[2]、[5]~[10]のいずれかに記載のガスセンサにおいて、前記第1の電極に含まれる前記金属粒子が、白金とロジウムの合金粒子であり、白金とロジウムとの質量比が、3:7~5:5であり、前記第1の電極の膜厚が10~20μm、前記第2の電極の膜厚が10~32μmであることが好ましい。
[13] 前記[1]、[2]、[5]~[10]のいずれかに記載のガスセンサにおいて、前記第1の電極に含まれる前記金属粒子が、白金と金の合金粒子であり、白金と金との質量比が、98:2~90:10であり、前記第1の電極の膜厚が1~15μm、前記第2の電極の膜厚が10~32μmであることが好ましい。
本発明によれば、500℃以上の高温環境においても動作可能であり、一酸化炭素ガスを選択的に検出することができる混成電位型のガスセンサを提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態によるガスセンサの断面構造を示す概念図である。 図2は、本発明の第2実施形態の第1態様によるガスセンサの平面構造を示す概念図である。 図3は、本発明の第2実施形態に第1態様よるガスセンサの断面構造を示す概念図である。 図4は、本発明の第2実施形態の第2態様によるガスセンサの平面構造を示す概念図である。 図5は、本発明の第2実施形態に第2態様よるガスセンサの断面構造を示す概念図である。 図6は、本発明の第2実施形態の第3態様によるガスセンサの平面構造を示す概念図である。 図7は、実施例4のガスセンサにおける、第1の電極を構成するPtーRh合金粒子中のRhの質量比と、第1の電極と第2の電極間の起電力ΔEwc(mV)との関係を示すグラフである。 図8は、実施例4のガスセンサにおける、COガス濃度と第1の電極と第2の電極間の起電力ΔEwc(mV)との関係を示すグラフである。 図9は、は、実施例5のガスセンサにおける、第1の電極を構成するPt-Au合金粒子中のAuの質量比と、第1の電極と第2の電極間の起電力ΔEwc(mV)との関係を示すグラフである。 図10は、実施例5のガスセンサにおける、COガス濃度と第1の電極と第2の電極間の起電力ΔEwc(mV)との関係を示すグラフである。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
[第1実施形態:一酸化炭素ガスセンサ]
本発明の第1実施形態に係るガスセンサは、一酸化炭素ガスセンサであって、固体電解質基板と、前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された少なくとも一対の電極とを含み、前記一対の電極が第1の電極と、第2の電極とを含む。本実施形態に係るガスセンサは、検出対象ガスである一酸化炭素(CO)ガスを含み、非検出対象ガスを含むガスを測定対象とし、概ね500℃以上において一酸化炭素を検知することが可能なガスセンサである。本実施形態に係るガスセンサを、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る一酸化炭素ガスセンサの概略断面図である。
図1に示されるように、ガスセンサは、固体電解質基板11と、少なくとも1対の電極を備える。1対の電極は、固体電解質基板11上に設けられた第1の電極12と第2の電極13とを含む。
固体電解質基板11は、固体電解質と第1または第2の電極12、13と検出対象ガスを含む気相との三相界面を形成し、イオン電導を可能とする部材である。固体電解質基板11の形状は特には限定されず、第1及び第2の電極12、13間をイオン電導可能に結合することができればよい。したがって、例えば図1に示す平板状の基板の他、筒状の基板や、後述する図2に示す一端が閉鎖された筒状の基板であってもよい。
固体電解質基板11は、安定化ジルコニアが好ましく、例えば、イットリア、セリア等の希土類金属酸化物により安定化したジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア等が挙げられるが、これらには限定されない。イオン電導性の観点から、特にはイットリア安定化ジルコニアを用いることが好ましい。
1対の電極は、少なくとも作用電極として機能する第1の電極12と対極として機能する第2の電極13を含む。図1においては、第1の電極12と第2の電極13は、それぞれが固体電解質基板11に接触して形成され、かつ第1の電極12と第2の電極13とが離間して設けられる。しかし、第1の電極12と第2の電極13とが、固体電解質基板11を介してイオン電導性に結合していればよく、例えば、第1の電極12と固体電解質基板11との間に、イオン電導性の他の部材を介していてもよい。また、図1においては、平板状の固体電解質基板11の一方の表面上に、第1の電極12と第2の電極13とが離間して設けられているが、平板状の固体電解質基板11の一方の表面に第1の電極を、他方の表面に第2の電極を配置することもできる。しかしながら、第1の電極と第2の電極とが、同一の気相雰囲気と接触するように構成することが必要であり、固体電解質基板により第1の電極と第2の電極との雰囲気が遮断されない態様にて、第1の電極と第2の電極を配置する。さらに、作用極と対極となる第1及び第2の電極に加え、参照電極を設けてもよく、または固体電解質基板上の異なる位置に2対以上の電極を設けることもできる。
第1の電極12は、ある態様においては、白金(Pt)とロジウム(Rh)の合金からなる金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であってよい。以下、本明細書において、PtとRhの合金を、Pt-Rh合金と指称することもある。このような焼結体は、Pt-Rh合金からなる金属粒子と、固体電解質粒子とを含む混合物を、エチルセルロースを224トリメチル3ヒドロキシペンチイソブチレートに溶解させた有機溶剤等の適切な溶剤中に分散して得られたペーストを、固体電解質基板11上に、例えば薄層形状に塗布・成形して、大気中で、1200~1400℃で焼成することにより得ることができる。
このとき、Pt-Rh合金におけるPtとRhの質量比は任意であってよく、特には限定されない。PtとRhの質量比は、例えば99:1~1:99であってよく、3:7~5:5であることが好ましく、35:65~45:55であることがさらに好ましい。また、Pt-Rh合金からなる金属粒子は、平均粒子径が、約0.5~2.5μmであることが好ましく、約1~2μmであることがより好ましい。本明細書において、平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定した平均粒子径をいうものとする。
固体電解質粒子は、安定化ジルコニア粒子であってよく、固体電解質基板11の材料として挙げた任意の安定化ジルコニアから選択される1種以上であってよい。また、固体電解質基板11の主成分となる安定化ジルコニアと同一組成の安定化ジルコニアであってもよく、異なる組成の安定化ジルコニアであってもよい。固体電解質粒子は、特には、イットリア安定化ジルコニア粒子が好ましい。固体電解質粒子は、平均粒子径が、約0.1~1μmであることが好ましく、約0.2~0.5μmであることがより好ましい。また、PtとRhの合金からなる金属粒子と、イットリア安定化ジルコニア粒子との平均粒子径の関係は、同一であっても異なっていてもよく、ある実施形態においては、Pt-Rh合金の粒径が、イットリア安定化ジルコニア粒子の粒径よりも大きい方が好ましい。
第1の電極12において、Pt-Rh合金からなる金属粒子と、固体電解質粒子の質量比は任意であってよく、特には限定されないが、99:1~1:99であることが好ましく、85:15~15:85程度であることが好ましい。Pt-Rh合金からなる金属粒子を含む第1の電極12の膜厚は、例えば10~20μmであってよく、12~18μmであることが好ましい。ここでいう膜厚とは、焼成後の焼結体の膜厚をいうものとする。
第1の電極12は、別の態様においては、白金(Pt)と金(Au)の合金からなる金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であってよい。以下、PtとAuの合金を、Pt-Au合金と指称することもある。Pt-Au合金におけるPtとAuの質量比は任意であってよく、特には限定されない。PtとAuの質量比は、例えば99:1~1:99であってよく、98:2~90:10であることが好ましく、96:4~92:8であることがさらに好ましい。Pt-Au合金粒子の平均粒子径、固体電解質粒子の種類および平均粒子径、Pt-Au合金粒子と固体電解質粒子との質量比および粒径の大小関係、並びに焼結体の製造方法は、Pt-Rh合金からなる金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体の製造方法と同様であってよい。Pt-Au合金からなる金属粒子を含む第1の電極12の膜厚は、例えば1~15μmであってよく、5~10μmであることが好ましい。ここでいう膜厚とは、焼成後の焼結体の膜厚をいうものとする。
第2の電極13は、上記いずれの態様による作用電極を用いる場合であっても、Pt粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であってよい。このときのPt粒子の平均粒子径は、上記Pt-Rh合金からなる金属粒子の平均粒子径と同様であってよい。また、固体電解質粒子の種類および平均粒子径も、第1の電極12を構成する固体電解質粒子の種類および平均粒子径と同様であってよい。第2の電極13において、Pt粒子と、固体電解質粒子の質量比は任意であってよく、特には限定されないが、99:1~1:99であることが好ましく、85:15~15:85程度であることが好ましい。第2の電極13を構成する固体電解質粒子は、第1の電極12を構成する固体電解質粒子、及び/または固体電解質基板11を構成する安定化ジルコニアと、同一組成の安定化ジルコニアであってもよく、異なる組成の安定化ジルコニアであってもよい。第2の電極13を構成する固体電解質粒子は、好ましくはイットリア安定化ジルコニア粒子であってよい。これらの粒子を含む焼結体の製造方法は、第1の電極12を構成する焼結体の製造方法と同様であってよい。第2の電極13の膜厚は、特には限定されないが、第1の電極12と比較して厚い場合があり、例えば10~32μmであってよく、15~30μmであることが好ましい。ここでいう膜厚とは、焼成後の焼結体の膜厚をいうものとする。また、第2の電極13の膜厚は、第1の電極12が、Pt-Rh合金からなる金属粒子を含む組成の場合も、Pt-Au合金からなる金属粒子を含む組成の場合も同様であってよい。
本実施形態によるガスセンサは、第1の電極12及び第2の電極13にそれぞれ接続される図示しない一酸化炭素検出部を含む。一酸化炭素検出部は、検出回路及び配線を含む。配線は、その一端が第1の電極12と接続され、他端が検出回路と接続される配線と、その一端が第2の電極13と接続され、他端が検出回路と接続される配線とを含む。検出回路は、第1の電極12と第2の電極13との間の起電力(電位差)を測定できる一般的な電位計であってよい。また、配線は導電性部材からなる配線であってよく、Pt線もしくは、配線が接続される電極材料と同一組成の焼結体で構成された配線であってよい。
本実施形態によるガスセンサは、さらなる任意選択的な要素として、ヒータ(図示せず)を備えていてもよい。ヒータは、必要に応じて固体電解質基板11を所定の温度まで昇温可能な装置であってよく、タングステン(W)薄膜や白金(Pt)薄膜からなる薄層型のヒータであってもよく、セラミックヒータであってもよく、それ以外の任意のヒータであってもよい。図1に示すガスセンサがさらにヒータを備える場合、ヒータは、例えば、固体電解質基板11の一方の表面であって、第1の電極12及び第2の電極13が設けられているのとは反対側の表面に、絶縁膜を設け、第1の電極12及び第2の電極13とヒータが固体電解質基板11及び絶縁膜を介して対向する位置関係で形成することができる。あるいは、ヒータは、固体電解質基板とは接触せずに固体電解質基板の近傍に設けることもできるが、特定の態様には限定されない。
次に、このような構成を備えるガスセンサの製造方法について説明する。本実施形態によるガスセンサの製造方法は、以下の工程を含む。
(1)固体電解質基板に前記第1及び第2の電極を形成する工程、及び
(2)前記第1及び第2の電極が形成された固体電解質基板を、800℃以上の温度条件にて、一酸化炭素、酸素、及び窒素ガスを含む混合ガスと、4時間以上接触させる工程
第1工程:電極形成工程
電極形成工程では、固体電解質基板11に第1及び第2の電極12、13を形成する。それぞれの電極の形成方法については先に述べた通りである。第1の電極12材料からなるペースト、第2の電極13材料からなるペーストの両方を固体電解質基板11上に形成し、かつ、第1及び第2の電極12、13のそれぞれと検出回路との間を接続する配線を固体電解質基板11上に配設した後に、これらを焼成することが好ましい。固体電解質基板11は、市販品を用いることもできるし、第1工程に先立って、固体電解質材料を所望の形状に成形して製造することもできる。また、任意選択的な構成要素であるヒータを固体電解質基板上に備えるガスセンサにおいては、あらかじめアルミナ等の電気的絶縁層を積層形成した上にPtペーストなどから成るヒータ電極パターンを印刷法などにより形成、焼成しておくことにより、固体電解質基板11上にヒータを形成することができる。第1工程により、固体電解質基板11、第1及び第2の電極12、13及び配線を含むガスセンサ構造体を得ることができる。
第2工程:混合ガス接触工程
混合ガス接触工程では、800℃以上、好ましくは800~900℃程度の一酸化炭素、酸素、及び窒素ガスを含む混合ガスを、第1工程で得られたガスセンサ構造体に接触させる。混合ガスの組成は、一酸化炭素が1000~3000ppm、酸素が2~5体積%、残部が窒素からなることが好ましい。混合ガスには微量のその他の不可避成分が含まれていてもよい。接触時間は、4時間以上、好ましくは5時間以上、さらに好ましくは7時間以上であってよく、上限は特には限定されないが、概ね20時間程度までとすることができる。
(ガス検出方法)
本発明は別の実施形態によれば、上記の実施形態によるガスセンサを用いた一酸化炭素ガス検出方法に関する。かかるガス検出方法は、ガスセンサの作動方法ともいうことができる。本実施形態によるガス検出方法は、前記固体電解質基板の温度が500℃以上、例えば、600~800℃となる雰囲気下で、前記第1及び第2の電極間の電位差を測定する工程を含む。
本実施形態による方法において、測定対象ガスは、一般的に一酸化炭素ガスを含む可能性があるガスである。典型的には、ゴミ焼却炉や汚泥焼却炉等の500℃以上のガスであって、例えば、600~800℃、あるいは700~800℃であってよいが、これらには限定されない。ガスの検出にあたって、このような測定対象ガスが流通する煙道等に第1実施形態に係るセンサを設置することができる。この場合、第1及び第2の電極12、13の両者が、測定対象ガスと接触する態様で、ガスセンサを設置する。
測定対象ガス中に検出対象ガスである一酸化炭素が存在すると、第1及び第2の電極間に起電力が生じ、検出回路にて起電力を電位差として検出することができる。そして、この電位差に基づいて一酸化炭素ガス濃度を得ることができる。
本発明の第1実施形態によれば、500℃以上、例えば、600~800℃となる高温雰囲気下で動作し、一酸化炭素ガスを検知することが可能な一酸化炭素ガスセンサを得ることができる。
[第2実施形態:一酸化炭素及び酸素ガスセンサ]
本発明の第2実施形態に係るガスセンサは、一酸化炭素及び酸素ガスセンサである。本実施形態に係るガスセンサは、検出対象ガスである一酸化炭素(CO)ガス及び酸素(O)ガスを含み、非検出対象ガスを含む、概ね500℃以上、例えば、600~800℃の雰囲気において、2種の検出対象ガスを別個に検知することが可能なガスセンサである。
第2実施形態の第1態様に係るガスセンサは、固体電解質基板と、前記固体電解質基板に設けられた第1の電極と、前記固体電解質基板に設けられ、前記第1の電極と前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第2の電極と、前記固体電解質基板に設けられ、前記第2の電極と前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第3の電極とを含む。第2実施形態の第1態様(以下、単に第1態様と指称する)に係るガスセンサを、図2、3を参照して説明する。図2は、第1態様に係るガスセンサの概略平面図であり、図3は、第1態様に係るガスセンサの概略断面図である。
図2、3に示すガスセンサは、ケーシング27内に、固体電解質基板21、第1の電極22、第2の電極23、第3の電極24を備える。また、第1及び第2の電極22、23に接続された一酸化炭素検出部、並びに第2及び第3の電極23、24に接続された酸素検出部をさらに備える。
図2、3に示す態様においては、固体電解質基板21は、一端が閉塞した管状構造体である。より具体的には、固体電解質基板21は、一定径でもって所定長さで伸びる細長い筒状に形成されており、その長手方向の基端部が開口すると共に、長手方向の先端部が閉塞した、試験管形状をなしている。そして、先端部は、丸みを帯びた曲面状をなしている。固体電解質基板21の材料は第1実施形態において例示したのと同様の選択肢の中から選択することができる。
本態様においては、第1の電極22は、固体電解質基板21の外壁部に設けられる。第1の電極22の材料及び製法は、第1実施形態の第1の電極(作用極)について例示したのと同様の選択肢の中から選択することができる。第1の電極22は、一酸化炭素検出のための作用電極として機能させることができる。
第2の電極23は、試験管形状の先端部にあたる固体電解質基板21の外壁に、第1の電極22と離間して設けられる。第1の電極22と第2の電極23は、固体電解質基板21を介してイオン電導性に接続されている。第2の電極23の材料及び製法は、第1実施形態の第2の電極(対極)について例示したのと同様の選択肢の中から選択することができる。第2の電極23は、一酸化炭素検出のための対極として機能するとともに、酸素検出のための測定対象ガスと接触する電極としても機能する。
第1の電極22と第2の電極23には、一酸化炭素検出部が接続される。一酸化炭素検出部は、検出回路25、並びに、第1の電極22と検出回路25との間を接続する配線と、第2の電極23と検出回路25との間を接続する配線とを含む。検出回路25並びに配線は、第1の実施形態において説明したのと同様の選択肢の中から選択することができる。一酸化炭素検出部により、第1の電極22及び第2の電極23の間の起電力を得ることができ、一酸化炭素を検出することができる。
第3の電極24は、試験管形状の先端部にあたる固体電解質基板21の内壁部に設けられる。図示する態様においては、第3の電極24は、固体電解質基板21を介して第2の電極23とイオン電導性に接続され、第2の電極23と概ね対向する位置関係にあって、酸素検出のために校正用ガスと接触する電極として機能する。第3の電極24の材料及び製法は、第1実施形態の第2の電極13(対極)について例示したのと同様の選択肢の中から選択することができ、好ましくは、本態様における第2の電極23の材料及び製法と同一である。また、本実施態様においては、第3の電極24は、固体電解質基板21により、第2の電極23が接する雰囲気、すなわち測定対象ガス雰囲気から遮断されるように構成されている。
第2の電極23と第3の電極24との間には、酸素検出部が接続される。酸素検出部は、検出回路26、並びに、第2の電極23と検出回路26との間を接続する配線と、第3の電極24と検出回路26との間を接続する配線とを含む。検出回路26並びに配線は、第1実施形態において説明したのと同様であってよい。酸素検出部は、配線を介して、第2の電極23が接する雰囲気の酸素濃度と、第3の電極24が接する酸素濃度の差に起因する起電力を測定し、酸素を検出することができる。
本態様によるガスセンサは、ケーシング27内に、第1~第3の電極22、23、24を形成した固体電解質基板21が収容されている。ケーシング27内壁部には任意選択的にヒータ(図示せず)を備えていてもよい。ヒータは固体電解質基板21の周囲に、固体電解質基板21を加熱可能な態様で設けることができ、外部電源に接続することができる。ヒータの構成は、第1実施形態において説明した態様から選択することもできる。
本態様によるガスセンサによるガス検知方法について説明する。本態様によるガスセンサは、高温の測定対象ガスが流通する煙道などに直接挿入して一酸化炭素及び酸素濃度を測定することができる。この場合、一般的に、固体電解質基板21の先端部、すなわち第2の電極23が設けられる位置が最も高温となり、基端部へ近づくほど温度が低くなり、その温度分布は概ね、先端部からの距離に依存する。測定対象ガスは、ケーシング27内の固体電解質基板21の外周に導入され、校正用のガス、例えば空気は固体電解質基板21の内周に導入される。両者の雰囲気が混合することがないように、これらの導入経路は気密的に遮断される。そして、測定対象ガス自体がもつ熱により、あるいはヒータにより固体電解質基板21が500℃以上に加熱されることで、第2の電極の電極23に接する測定対象ガスと、第3の電極24に接する校正用のガスとの酸素分圧の差により、固体電解質基板21(安定化ジルコニア部材)に起電力が発生し、この起電力を測定することにより、測定対象ガス中の酸素濃度を得ることができる。同様に、測定対象ガス中に一酸化炭素が存在すると、第1の電極22と、第2の電極23の間には、混成電位に基づく起電力が発生し、測定対象ガス中の一酸化炭素濃度を得ることができる。第1態様によるガスセンサによれば、一酸化炭素検知の対極として酸素検知極を共通に用いるため、一酸化炭素検知の対極を別途設ける必要がなく、電極形成するためのコストが少なくて済むという利点がある。
第2実施形態によるセンサは、図示する第1態様には限定されず、様々な変形が可能である。別の態様として、第2実施形態の第2態様による一酸化炭素及び酸素ガスセンサについて図4及び5を参照して説明する。図4は、第2態様に係るガスセンサの概略平面図であり、図5は、第2態様に係るガスセンサの概略断面図である。第2態様によるセンサ3は、固体電解質基板31並びに第1の電極32、第2の電極33及び第3の電極34に加えて、第4の電極38を備える。そして、第1態様における、第1及び第2の電極に接続された一酸化炭素検出部に替えて、第1の電極32及び第4の電極38に接続された検出回路35を含む一酸化炭素検出部を備える。検出回路36を含む酸素検出部は、第2の電極33及び第3の電極34に接続される。
第4の電極38は、第1態様にて説明した、試験管形状の固体電解質基板31の外壁面に設けることができる。第4の電極38の設置場所は、例えば、試験管形状の固体電解質基板31の先端部からの距離が、第1の電極32と概ね同じである位置、すなわち第1の電極32と第4の電極38の温度が概ね同じとなる位置とすることが好ましい。そして、第4の電極38が、固体電解質基板31を介して第1の電極32とイオン電導性に接続されていればよい。第4の電極38を構成する焼結体及びその製造方法は、第1態様における第2の電極23と同様であってよい。第4の電極38は、一酸化炭素検出の対極として機能する。このように構成することで、第1態様と比較して、一酸化炭素検出の対極とする第4の電極38を低温側に配置し、一酸化炭素の燃焼を防止して、精度の高い検出を行うことができる。
第2態様においては、単一の固体電解質基板31上に、一酸化炭素検出の作用電極として機能する第1の電極32と、一酸化炭素検出の対極として機能する第4の電極38と、酸素検出のために測定対象ガスに接触する電極として機能する第2の電極33と、酸素検出のために校正用ガスに接触する電極として機能する第3の電極34とを含む。そして、第3の電極34が、測定対象ガスから遮断された雰囲気にあるように構成される。このような構成とすることにより、第2実施形態の第1態様と同様に、測定対象ガス中の酸素濃度及び一酸化炭素濃度を検出することができる。第2実施形態の第2態様による一酸化炭素及び酸素ガスセンサは、特には、第1の電極32と第4の電極38を同温度の位置に配置することが可能となり、COをより高感度に検出できる点で有利である。
別の例として、第2実施形態の第3態様による一酸化炭素及び酸素ガスセンサについて図6を参照して説明する。図6は、第3態様に係るガスセンサの概略平面図である。第3態様によるセンサ4は、単一のケーシング43中に、一酸化炭素ガスセンサ部41と、酸素ガスセンサ部42とを別個に含んでいる。すなわち、第1の固体電解質基板411と、前記第1の固体電解質基板に設けられた第1の電極412と、前記第1の固体電解質基板に設けられ、前記第1の電極と前記第1の固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第2の電極413とを備える一酸化炭素ガスセンサ部41と、第2の固体電解質基板421と、前記第2の固体電解質基板に設けられた第3の電極423と、前記第2の固体電解質基板に設けられ、前記第3の電極と前記第2の固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第4の電極(図示せず)とを備える酸素ガスセンサ部をケーシング43中に備える
第3態様における一酸化炭素ガスセンサ部41は、第1実施形態における一酸化炭素ガスセンサと同様に構成することができる。すなわち、第1の固体電解質基板411に、作用電極として機能する第1の電極412と、対極として機能する第2の電極413とが、イオン電導可能な態様で設けられ、これらの電極に検出回路を含む検出部(図示せず)を接続した構成とすることができる。そして、第1の電極412並びに第2の電極413の組成及び製造方法も、第1実施形態における作用電極と、対極のそれぞれの組成及び製造方法と同様であってよい。図示する第1の固体電解質基板の形状は、第1実施形態と同様に平板状であるが、図2~5に示す試験管形状であってもよく、第1の電極と第2の電極とが、測定対象ガスに接触することが可能な態様であればよい。
一方、酸素ガスセンサ部は、第2の固体電解質基板421に、酸素検出のために測定対象ガスに接触する電極として機能する第3の電極423と、酸素検出のために校正用ガスに接触する電極として機能する第4の電極とが、イオン電導可能な態様で設けられ、これらの電極に検出回路を含む検出部(図示せず)を接続した構成とすることができる。第2の固体電解質基板の形状は、図2~5に示す試験管形状であってもよく、平板形状等であってもよいが、第3の電極423が測定対象ガスに接触し、第4の電極が測定対象ガス雰囲気から遮断されて、校正用ガスに接触する態様とする。平板形状の固体電解質基板上に第3の電極と、第4の電極を形成する場合(図示せず)は、例えば、平板形状の固体電解質基板の一方の面に第3の電極を形成し、他方の面に第4の電極を形成し、固体電解質基板に気密的に接合される他の部材により、ケーシング内において、測定対象ガスの流路と、校正用ガスの流路とを遮断した構造とすることができる。第3の電極423及び第4の電極の組成及び製造方法は、第1実施形態において詳述した一酸化炭素ガスセンサの対極と同様とすることができ、Pt粒子と固体電解質粒子とを含む焼結体であることが好ましい。
第3態様において、一酸化炭素ガスセンサ部41と酸素ガスセンサ部42とは、同一のケーシング43中において、任意の態様で組み合わせることができる。例えば、第3態様による一酸化炭素ガスセンサ部41、酸素ガスセンサ部42を、それぞれの構造はそのままで、位置関係を変えて設置することができる。具体的には、第1の電極412と第2の電極413との配置場所を、より一酸化炭素の検知に好適な態様に制御することができ、ケーシング内の温度分布による最適場所に配置したり、任意選択的に一酸化炭素ガスセンサ部を加熱するヒータを設けたりすることもできる。この場合のヒータの態様は、第1実施形態において記載した態様であってよい。さらに、第3態様においても、第1態様と同様に、任意選択的にヒータを設けることも可能である。この場合、酸素ガスセンサ部42の周囲に、第2の固体電解質基板421の電極が設けられた箇所を加熱可能な態様でヒータを設けることができる。
本態様における一酸化炭素ガスの検出並びに酸素ガスの検出の原理は、第1態様において説明したのと同様である。本態様による一酸化炭素及び酸素ガスセンサは、特には、一酸化炭素検知の電極対が酸素検知の電極対と独立であるため、一酸化炭素検知に最適な温度を示す場所に設けることが可能となる。
(実施例1)
本発明の第1実施形態によるCOガスセンサを製造した。固体電解質基板として、イットリア安定化ジルコニア基板(日本化学陶業製、品番ZR-8Y)上に、第1の電極及び第2の電極から構成される1対の電極を形成した。第1の電極(作用電極)は、RhとPtの組成比が65:35の合金粒子(平均粒子径1.5μm)と、イットリア安定化ジルコニア粒子(平均粒子径0.5μm)の混合物(混合質量比80:19)を有機溶剤(エチルセルロースを224トリメチル3ヒドロキシペンチイソブチレートに溶解)中に分散したペーストを用いて成形した。第2の電極(対極)はPt粒子(平均粒子径1.5μm)とイットリア安定化ジルコニア粒子(平均粒子径0.5μm)の混合物(混合質量比80:19)を上記と同様の有機溶剤中に分散したペーストを用いて成形した。また、配線としてPt線を用い、それぞれの電極材料で電極上に固定した。次いで、これらを大気中1350℃で焼成することにより、第1及び第2の電極、並びに配線を備えるセンサ構造体を作製した。その後、ガス接触工程を実施した。具体的には、組成比(体積比)CO:O:N=0.2:3.0:96.8の混合ガスを800℃に加熱して、センサ構造体を所定の時間にわたって混合ガスに接触させた。保持時間を、2.5時間、5時間、7.5時間として接触工程を実施し、検出回路を接続して、3種類のガスセンサを作製した。
(実施例2)
第1の電極(作用電極)の組成を、以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてガスセンサ構造体を製造した。第1の電極(作用電極)の組成は、AuとPtの組成比が1:99の合金粒子(平均粒子径1.5μm)と、イットリア安定化ジルコニア粒子(平均粒子径0.5μm)の混合物(混合質量比80:19)とした。ガス接触工程は、実施例1と同様に行い、3種類のガスセンサを作製した。
(実施例1及び2の評価)
実施例1および実施例2のガスセンサを雰囲気温度700℃において、酸素3.0vol%、CO 50ppm、窒素バランスの雰囲気から、酸素3.0vol%、CO 2000ppm、窒素バランスの雰囲気に変化させた場合の出力変化の相対比較結果を表1に示す。表中、センサ出力とは、混合ガス中での保持時間を2.5時間として作製したガスセンサにおける第1の電極と第2の電極との電位差を1とした場合の、各ガスセンサにおける第1の電極と第2の電極との電位差の比率により定義することができる。
Figure 0007385810000001
表1より、混合ガスとの接触時間(混合ガス中における保持時間)に応じて、電極組成に関わらずセンサ出力が増加することが示された。
(実施例3)
本発明の第2実施形態による一酸化炭素及び酸素ガスセンサを製造した。ガスセンサは、第2実施形態の第1態様に沿って、図2及び3の構成を持つものを作製した。固体電解質基板の組成は、実施例1と同じとした。第1の電極の組成は、実施例1の作用電極と同じとし、第2、第3の電極の組成は、実施例1の対極と同じとした。その結果、データは明示しないが、一酸化炭素センサの出力、酸素センサの出力ともにセンサとして機能する範囲の結果が得られた。
(実施例4)
COを検知する作用電極である第1の電極において、Pt-Rh合金の組成比を変えた以外は実施例1と同様にしてセンサを作製した。すなわち、RhとPtの質量比がそれぞれ40:60、50;50、60:40の3種類のPt-Rh合金粒子をそれぞれ、実施例1と同様にして安定化ジルコニア粒子と混合した。次いで、混合物を有機溶剤中に分散したペーストをそれぞれスクリーン印刷で印刷膜厚が所定の厚さになるように形成し、大気中1300℃で焼成した。電極の起電力を測定するためにPt線を電極組成のペーストを用いて大気中1000℃で焼成し固定した。
(実施例5)
COを検知する作用電極である第1の電極において、Pt-Au合金の組成比を変えた以外は実施例2と同様にしてセンサを作製した。すなわち、AuとPtの質量比がそれぞれ1:99、5:95の2種類のPt-Au合金粒子をそれぞれ、実施例2と同様にして安定化ジルコニア粒子と混合した。次いで、混合物を有機溶剤中に分散したペーストをそれぞれスクリーン印刷で印刷膜厚が所定の厚さになるように形成し、大気中1300℃で焼成した。電極の起電力を測定するためにPt線を電極組成のペーストを用いて大気中1000℃で焼成し固定した。
(実施例4及び5の評価)
実施例4および実施例5のガスセンサを用い、酸素濃度を3%とし、CO濃度を0ppm~2000ppmまで階段状に上昇させて第1の電極と第2の電極間の起電力ΔEwcを測定した。温度は電気炉の設定温度600℃、650℃、700℃、750℃、800℃の順番で測定を行った。センサ温度はセンサ近傍に置いた熱電対の測定値(電気炉設定値に対し約+15℃)を用いた。
図7は、実施例4のガスセンサのセンサ温度615℃における、第1の電極を構成するPtとRhの組成比と、CO感度の関係を示すグラフである。横軸は電極を構成するPt-Rh合金からなる金属粒子中のRhの質量比(PtとRhの総質量に対するRhの質量比)を、縦軸は作用電極である第1の電極(W)と対極である第2の電極(C)の間の起電力ΔEwc(mV)を示す。グラフは、CO濃度が200ppmの場合の特性を示している。グラフ中の特性線(5μm、14μm、23μm)は、第1の電極の膜厚(焼成後)を表す。第2の電極の膜厚(焼成後)は、いずれの場合も、10μmとした。図示はしないが、図7に示す特性は2000pmまでのCO濃度でも同様の傾向があった。
図8は、Pt-Rh合金からなる金属粒子中のRhの質量比が0.6、第1の電極の膜厚が14μmの実施例4のガスセンサにおける、COガス濃度と第1の電極と第2の電極間の起電力ΔEwc(mV)との関係を示す。600~800℃の範囲で、かつ検知すべきCO濃度範囲内で、十分なCO感度が得られた。
図9は、実施例5のガスセンサのセンサ温度615℃における、第1の電極を構成するAuとPtの組成比と、CO感度の関係を示すグラフである。横軸は電極を構成するAuPt合金からなる金属粒子中のAuの質量比(AuとRhの総質量に対するAuの質量比)を、縦軸は検知電極である第1の電極(W)と対極である第2の電極(C)の間の起電力ΔEwc(mV)を示す。グラフは、CO濃度が200ppmの場合の特性を示している。グラフ中の特性線(5μm、14μm、23μm)は、第1の電極の膜厚(焼成後)を表す。第2の電極の膜厚(焼成後)は、いずれの場合も、10μmとした。
図10は、Pt-Au合金からなる金属粒子中のAuの質量比が0.05、第1の電極の膜厚が5μmの実施例5のガスセンサにおける、COガス濃度と第1の電極と第2の電極間の起電力ΔEwc(mV)との関係を示す。600~800℃の範囲で、かつ検知すべきCO濃度範囲内で、十分なCO感度が得られた。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明に係るガスセンサは、本発明のガスセンサは高温環境でのCO検知が可能で、ボイラーなどの煙道に挿入し燃焼排気中のCO濃度モニターが可能となる。既存の酸素濃度センサと組み合わせることによりボイラーなどの燃焼制御システムを構築することが可能となるため、省エネルギーに貢献することができる。
1 一酸化炭素ガスセンサ
2、3、4 一酸化炭素及び酸素ガスセンサ
41 一酸化炭素ガスセンサ部、42 酸素ガスセンサ部
11、21、31、411、421 固体電解質基板
12 第1の電極、13 第2の電極
22 第1の電極、23 第2の電極、24 第3の電極
32 第1の電極、33 第2の電極、34 第3の電極、38 第4の電極
412 第1の電極、413 第2の電極、423 第3の電極
25、26、35、36 検出回路
27、37、43 ケーシング

Claims (13)

  1. 固体電解質基板と、
    前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された少なくとも一対の電極と
    を含み、
    前記一対の電極が、
    白金とロジウムとの質量比が3:7~5:5の白金とロジウム合金粒子もしくは白金と金の合金粒子から選択される金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体からなる第1の電極と、
    白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体からなる第2の電極と
    を含み、前記第1の電極と前記第2の電極が同一雰囲気にある、一酸化炭素ガスセンサ。
  2. 前記固体電解質基板及び前記固体電解質粒子が、安定化ジルコニアを含む、請求項1に記載の一酸化炭素ガスセンサ。
  3. 固体電解質基板と、
    前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された少なくとも一対の電極と
    を含み、
    前記一対の電極が、
    白金とロジウムの合金粒子もしくは白金と金の合金粒子から選択される金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体からなる第1の電極と、
    白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体からなる第2の電極と
    を含む、一酸化炭素ガスセンサの製造方法であって、
    前記固体電解質基板に前記第1及び第2の電極を形成する工程と、
    前記第1及び第2の電極が形成された固体電解質基板を、800℃以上の温度条件にて、一酸化炭素、酸素、及び窒素ガスを含む混合ガスと、4時間以上接触させる工程と
    を含む方法。
  4. 請求項1または2に記載の一酸化炭素ガスセンサを用いた一酸化炭素ガスの検知方法であって、
    前記固体電解質基板の温度が500℃以上となる雰囲気下で、前記第1及び第2の電極間の電位差を測定する工程を含む、方法。
  5. 固体電解質基板と、
    前記固体電解質基板に設けられた第1の電極と、
    前記固体電解質基板に設けられ、前記第1の電極と前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第2の電極と、
    前記固体電解質基板に設けられ、前記第2の電極と前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第3の電極と、
    を含む、一酸化炭素及び酸素ガスセンサであって、
    前記第1の電極が、白金とロジウムの合金粒子もしくは白金と金の合金粒子から選択される金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であり、
    前記第2及び第3の電極が、白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であり、
    前記第1及び第2の電極に接する雰囲気と、前記第3の電極に接する雰囲気とが遮断されている、一酸化炭素及び酸素ガスセンサ。
  6. 前記第1及び第2の電極に接続された一酸化炭素検出部と、前記第2及び第3の電極に接続された酸素検出部とをさらに含む、請求項5に記載の一酸化炭素及び酸素ガスセンサ。
  7. 前記固体電解質基板に設けられ、前記第1の電極と前記固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第4の電極と、
    前記第1及び第4の電極に接続された一酸化炭素検出回路と、
    前記第2及び第3の電極に接続された酸素検出部と
    をさらに含み、
    前記第4の電極が、前記第1の電極と同一雰囲気にあり、
    前記第4の電極が、白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体である、請求項5に記載の一酸化炭素及び酸素ガスセンサ。
  8. 前記固体電解質基板が、一端が閉塞端である管状構造体であり、前記第1、第2の電極が前記管状構造体の外壁部に設けられ、前記第3の電極が前記管状構造体の内壁部に設けられる、請求項5~7のいずれか1項に記載の一酸化炭素及び酸素ガスセンサ。
  9. 前記固体電解質基板が、一端が閉塞端である管状構造体であり、前記第4の電極が前記管状構造体の外壁部に設けられる、請求項7に記載の一酸化炭素及び酸素ガスセンサ。
  10. 第1の固体電解質基板と、
    前記第1の固体電解質基板に設けられた第1の電極と、
    前記第1の固体電解質基板に設けられ、前記第1の電極と前記第1の固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第2の電極と
    を備える一酸化炭素ガスセンサ部と、
    第2の固体電解質基板と、
    前記第2の固体電解質基板に設けられた第3の電極と、
    前記第2の固体電解質基板に設けられ、前記第3の電極と前記第2の固体電解質基板を介してイオン電導性に接続された第4の電極と
    を備える酸素ガスセンサ部と
    をケーシング中に備える一酸化炭素及び酸素ガスセンサであって、
    前記第1の電極が、白金とロジウムの合金粒子もしくは白金と金の合金粒子から選択される金属粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であり、
    前記第2、第3及び第4の電極が、白金粒子と、固体電解質粒子とを含む焼結体であり、
    前記第1、第2、及び第3の電極に接する雰囲気と、前記第4の電極に接する雰囲気とが遮断されている、一酸化炭素及び酸素ガスセンサ。
  11. 請求項5に記載の一酸化炭素及び酸素ガスセンサの製造方法であって、
    前記固体電解質基板に、少なくとも前記第1、第2及び第3の電極を含む電極を形成する工程と、
    前記第1、第2及び第3の電極を含む電極が形成された固体電解質基板を、800℃以上の温度条件にて、一酸化炭素、酸素、及び窒素ガスを含む混合ガスと、4時間以上接触させる工程と
    を含む方法。
  12. 前記第1の電極に含まれる前記金属粒子が、白金とロジウムの合金粒子であり 前記第1の電極の膜厚が10~20μm、前記第2の電極の膜厚が10~32μmである、請求項1もしくはに記載の一酸化炭素ガスセンサまたは請求項5~10のいずれか1項に記載の一酸化炭素及び酸素ガスセンサ。
  13. 前記第1の電極に含まれる前記金属粒子が、白金と金の合金粒子であり、白金と金との質量比が、98:2~90:10であり、
    前記第1の電極の膜厚が1~15μm、前記第2の電極の膜厚が10~32μmである、請求項1もしくはに記載の一酸化炭素ガスセンサまたは請求項5~10のいずれか1項に記載の一酸化炭素及び酸素ガスセンサ。
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