JP7382372B2 - 作業支援装置、作業支援システム及び作業支援プログラム - Google Patents

作業支援装置、作業支援システム及び作業支援プログラム Download PDF

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Description

本発明は、作業支援装置、作業支援システム及び作業支援プログラムに関する。
工場等の現場において、作業者が設備に対して作業を行う機会は多い。例えば、計画停電の際、商用電源の復電の直後に、作業者は配電盤等の設備を点検する。近時、高齢化した熟練作業者のノウハウを若年の非熟練作業者に伝承していくことは、現場の重要課題である。特許文献1の情報処理装置は、現場の作業者が装着するヘッドマウントディスプレイに対して点検するべき箇所の画像を表示する。このとき、当該情報処理装置は、作業者が現在視認しつつある画像に点検するべき箇所の画像を重畳して表示する。
国際公開第2017/081920号
現場作業は、必ずしも定型反復的なものではなく、例えばビルの新築現場においては、工程の進捗に応じて、作業内容は変化する。このような現場で、非熟練作業者が臨機応変に点検等を行うことは困難であり、非熟練作業者が熟練作業者のノウハウをリアルタイムで活用できれば非常に有益である。しかしながら、特許文献1の情報処理装置は、非熟練作業者に対して表示される情報が画一的かつ固定的であり、時々刻々と変化する現場の環境に応じて、又は、非熟練作業者個別の具体的事情に応じて、熟練作業者がノウハウを伝承するためには別途方策が必要であった。
そこで、本発明は、熟練作業者のノウハウを現場の非熟練作業者に臨機応変に提供することを目的とする。
本発明の作業支援装置は、現場において非熟練作業者が行う作業を撮像した作業画像、及び、前記作業を行うに際し前記非熟練作業者が発した作業音声を受信し、前記現場から離れた熟練作業者が前記作業画像及び前記作業音声に応じて発した支援音声、及び、前記作業画像及び前記作業音声に応じて前記熟練作業者が選択した参照資料を前記非熟練作業者が携帯する作業者端末装置に送信し、前記非熟練作業者が現在視認している実像に重ねて、前記非熟練作業者の視線の方向から検出された前記非熟練作業者が現在注視している箇所を示す図形を拡張現実として前記熟練作業者が視認する出力装置に表示する作業支援部前記熟練作業者が検索キーを入力するのを受け付け、前記受け付けた検索キーに基づき資料を検索し、前記検索した資料のうち前記熟練作業者が画面上で選択した一部を前記参照資料とし、過去に蓄積された前記支援音声及び前記参照資料が使用可能である場合、前記作業画像又は前記作業音声に応じて、前記過去に蓄積された支援音声及び参照資料のうちから前記非熟練作業者に送信するものを取得し、前記作業画像及び前記作業音声を入力とし、前記支援音声及び前記参照資料を出力とする関数機能を有し、過去における前記作業画像、前記作業音声、前記支援音声及び前記参照資料の通信履歴を学習データとして、前記関数機能を学習する検索部と、を備えること、を特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、熟練作業者のノウハウを現場の非熟練作業者に臨機応変に提供することができる。
作業支援装置の構成等を示す図である。 ウエアラブルデバイスの構成を説明する図である。 作業者が視認する画像の一例である。 支援画面の一例である。 検索画面の一例である。 モードを説明する図である。 通信履歴情報の一例である。 通信履歴情報の一例である。 処理手順のフローチャートである。
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、現場における非熟練作業者が熟練作業者のノウハウをリアルタイムで受信しながら作業を行う例である。現場とは、工場、倉庫、土木、建設、運輸等の作業が行われている場所であり、屋内である場合もあり、屋外である場合もある。
(作業支援装置)
図1は、作業支援装置1の構成等を示す図である。作業支援装置1は、一般的なコンピュータであり、中央制御装置11、マイクロフォン、アイトラッカ、マウス、キーボード等の入力装置12、スピーカ、ディスプレイ等の出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を備える。これらは、バスで相互に接続されている。補助記憶装置15は、通信履歴情報31及び資料32(詳細後記)を格納している。
主記憶装置14における作業支援部21及び検索部22は、プログラムである。中央制御装置11は、これらのプログラムを補助記憶装置15から読み出して主記憶装置14にロードすることによって、それぞれのプログラムの機能(詳細後記)を実現する。補助記憶装置15は、作業支援装置1から独立した構成となっていてもよい。作業支援装置1は、ネットワーク8を介して、現場9の壁面等に取り付けられた複数の無線基地局6及び外部サーバ5と通信可能である。外部サーバ5もまた、資料32を格納している。
作業者2が、現場9で作業を行っている。作業者2は、非熟練作業者である。作業者2は、頭部にウエアラブルデバイス3を装着し、腰部に作業者端末装置4を携帯している。作業者端末装置4は、スマートフォン等であり、無線基地局6との間で通信を行う。ウエアラブルデバイス3と作業者端末装置4との間は、無線又は有線で通信が確保されている。結局、ウエアラブルデバイス3は、作業支援装置1に接続されていることになる。作業支援装置1及びウエアラブルデバイス3は、作業支援システムを構成する。
現場9には多くの設備が存在し、配電盤7は、そのうちの1つである。作業者2は、配電盤7に対し作業を行う。熟練作業者(図示せず)は、現場9から離れたオフィス等で、作業支援装置1を操作している。熟練作業者は、作業支援装置1の出力装置13を介してリアルタイムで、作業者2が視認している視野の画像を視認し、作業者2の音声を聴取することができる。
(ウエアラブルデバイス)
図2は、ウエアラブルデバイス3の構成を説明する図である。ウエアラブルデバイス3は、ヘッドマウント形である。図2の上図は、ウエアラブルデバイス3を装着した作業者2の頭部を正面から見た図である。下図は、頭部を横から見た図である。ウエアラブルデバイス3は、スマートグラス(ディスプレイ)41、カメラ42、マイクロフォン43、スピーカ44及び通信装置45を備える。
カメラ42は、作業者2の現在の視野の画像を撮像する。カメラ42は、プロジェクタの機能を兼ねており、熟練作業者が作業支援装置1の出力装置13を介して現在視認している画像又はそのうち熟練作業者が指定した箇所を拡張現実(Augmented Reality)としてスマートグラス41に投影する。マイクロフォン43は、作業者2の音声波形を取得する。スピーカ44は、熟練作業者の音声波形を音声として再生する。通信装置45は、ウエアラブルデバイス3と作業者端末装置4との間の無線通信を行う。通信装置45は、作業者端末装置4を介することなく、無線基地局6と直接通信してもよい。ウエアラブルデバイス3と作業者端末装置4との間を有線で通信する場合、通信装置45は、ケーブルに代替される。
(作業者が視認する画像)
図3は、作業者2が視認する画像の一例である。図3の上図に注目する。図3の上図は、作業者2が現在視認している実像である。いま、作業者2は、スマートグラス41を介して肉眼で配電盤7を視認している。当然のことながら、配電盤7及び背景からなるこの像は、拡張現実ではなく実像である。この実像は、配電盤7上に配置されたメータ51a、51b及び51c、並びに、継電器52a、52b及び52cを含む。メータ51c付近の×印55は、作業者2が現在注視している箇所(網膜黄斑上に結ぶ実像に対応する箇所)を示す。つまり、カメラ42は、作業者2の肉眼を観察し視線の方向を検出する機能も併せ持つ。なお、×印55自身は拡張現実である。
図3の下図は、作業者2が現在視認している実像及び拡張現実である。いま、作業者2は、熟練作業者と会話をしている。熟練作業者は、作業者2の質問に対して回答しながら必要に応じて、資料32(図1参照)の一部を作業者2の理解に役立つ“参照資料”として作業者2に提供する。会話をしている間に、案内音声53a及び53b、並びに、案内画像54a及び54bが拡張現実としてスマートグラス41に投影されている。
案内音声53a及び53bは、作業者2がスピーカ44を介して聴取している熟練作業者の音声を文字化したものである。このうち案内音声53aは、熟練作業者の指示に基づき、メータ51aに関連付けて表示されている。案内画像54a及び54bは、資料32の一部としての参照資料である。作業支援装置1は、熟練作業者が外部サーバ5又は作業支援装置1の補助記憶装置15に格納されている資料32を検索するのを受け付け、検索結果の一部としての参照資料を出力装置13に表示するとともにスマートグラス41に拡張現実として投影する。資料32は、作業支援装置1が参照可能な任意の写真、図形、文書等のファイルであり、作業支援装置1自身が記憶していてもよいし、外部サーバ5が記憶していてもよい。
(支援画面)
図4は、支援画面61の一例である。作業支援装置1は、支援画面61を作業支援装置1の出力装置13に表示する。熟練作業者は、支援画面61を視認する。支援画面61は、作業者2がスマートグラス41を介して現在視認している実像及び×印55を表示するほか、作業者氏名62、作業場所63及び現在の時刻も表示している。作業者2がスマートグラス41を介して視認している実像及び×印55は、図3の上図と同じである。支援画面61は、図3の下図のように、案内音声53a及び53b、並びに、案内画像54a及び54bを併せて支援画面61に表示してもよい。
(検索画面)
図5は、検索画面71の一例である。作業支援装置1は、検索画面71を作業支援装置1の出力装置13に表示する。熟練作業者は、検索画面71を視認する。熟練作業者は、作業者2との会話の中で、作業者2の理解が不足している概念を“検索キー”として考え出す。そして、熟練作業者は、その検索キーを使用して資料32を検索し、作業者2に視認させるべき情報を取得する。会話をしながら的確な検索キーを考え出すことは、容易ではない。
図5の例では、熟練作業者は、検索キー“正常電圧閾値”を考え出している。作業支援装置1は、熟練作業者が“正常電圧閾値”を検索キー欄65に入力するのを受け付け、外部サーバ5及び自身の補助記憶装置15に格納されている資料32を検索する。作業支援装置1は、すべての検索結果のリスト(図示せず)を表示する。説明の便宜上、リストのうちから、熟練作業者は、“〇〇ビル設計仕様書”67を選択したとする。すると、作業支援装置1は、“〇〇ビル設計仕様書”67の内容を検索結果欄66に表示する。“〇〇ビル設計仕様書”67のアドレス(URL)が、アドレス欄69に表示されている。
熟練作業者は、表示されている“○○ビル設計仕様書”67のうちから、作業者2の質問に対する回答となるような箇所、又は、作業者2の理解を助けるような箇所を選択する。熟練作業者は、当該箇所を、マウス又はアイトラッカで選択する。図5では、“○棟西側電圧”の設定値及び上下限の閾値を含む箇所68(参照資料)が選択されている。この状態で熟練作業者が送信ボタン70を押下すると、作業支援装置1は、選択された箇所68をウエアラブルデバイス3に参照資料として送信する。作業者2は、参照資料68に対応する案内画像54b(図3)を拡張現実として視認することになる。
(モード)
図6は、モードを説明する図である。モードとは、作業支援装置1の使用形態であり、対人モード、自動モード及び模範モードの3つのモードが存在する。
〈対人モード〉
対人モードでは、現場9にいる作業者2が、オフィス等の遠隔地にいる熟練作業者と会話する。熟練作業者は、作業者2と会話をするだけでなく、作業支援装置1を操作する。前記の図1~図5の説明は、対人モードを前提とする説明である。
作業者2から熟練作業者に、作業画像及び作業音声(質問)が送信される。これらに応じて、熟練作業者から作業者2に、支援音声(回答)が発せられ参照資料が送信される。その背後で、熟練作業者は、適当な検索キーを考え出し、それを作業支援装置1に入力することによって資料32から適当なファイルを取得し、取得したファイルからさらに参照資料を取得する。作業支援装置1は、送信された情報、検索キー、取得された参照資料等を通信履歴情報31として記憶する。対人モードは、作業者2の経験年数が特に短い場合に好適である。
〈自動モード〉
自動モードでは、現場9にいる作業者2が、作業支援装置1と直接、情報の遣り取りをする。熟練作業者は、この遣り取りに直接的には関与しない。作業者2から作業支援装置1に、作業画像及び作業音声が送信される。作業支援装置1から作業者2に、支援音声及び参照資料が送信される。より具体的には、作業支援装置1は、受信した作業情報及び作業音声に応じた適当な支援音声及び参照資料を作業者に自動的に返信する。このとき、作業支援装置1は、通信履歴情報31に蓄積された過去の支援音声等を返信してもよいし、検索キーを自動的に作成して資料32及び参照資料を自動的に取得してもよい。自動モードは、作業者2の経験年数が対人モードよりも長い場合に好適である。
〈模範モード〉
模範モードでは、現場9にいる熟練作業者が、作業支援装置1と直接、情報の遣り取りをする。当然のことながら、熟練作業者は、現場9において他者の支援を必要としない。模範モードでは、熟練作業者は、現場9で非熟練作業者の立場で作業を行う。つまり、熟練作業者は、非熟練作業者を演じ自身と自問自答する(非熟練作業者の立場を兼ねる)ことによって作業支援装置1を稼働させ通信履歴情報31を蓄積・充実させる。
対人モードと同様、熟練作業者から作業支援装置1に、作業画像及び作業音声が送信される。熟練作業者は、適当な検索キーを考え出し、作業者端末装置4を介して検索キーを作業支援装置1に入力(遠隔操作)することによって資料32及び参照資料を取得する。熟練作業者は、作業者端末装置4を介して支援音声を作業支援装置に入力(遠隔操作)する。熟練作業者による確認のために、作業支援装置1から熟練作業者に、支援音声(自身の音声)及び参照資料(自身が取得したもの)が送信される。作業支援装置1は、送信された情報、検索キー、取得された参照資料等を通信履歴情報31として記憶する。
〈3つのモード間の関係〉
検索部22(図1)は、以下の入力データが入力されると以下の出力データを出力する関数機能を有する。
入力データ:作業画像、作業音声、作業種類、作業位置、作業者ID
出力データ:検索キー、参照資料、支援音声
この関数は、例えば、入力層、複数の中間層及び出力層を有するニューラルネットワークであってもよい。入力層及び中間層の各ノードは、次の層の各ノードに情報を渡す際の重みベクトルを有している。夜間のバッチ処理等において、検索部22は、対人モード及び模範モードにおいて蓄積された通信履歴情報31を学習データとして、自身の関数機能を学習することによって重みベクトルを、例えば作業種類ごとに最適化する。重みベクトルが充分最適化された後の自動モードにおいては、作業支援装置1は、関数機能を使用して作業者2に対し的確な支援音声及び参照資料を送信することができる。
自動モードにおいて、検索部22は、関数機能を使用することなく、作業画像、作業音声等に応じて通信履歴情報を検索し(破線矢印)、その作業画像、作業音声等に紐付けられた支援音声及び参照資料を取得してもよい。いずれにしても、取得される支援音声及び参照資料は、過去における熟練作業者のノウハウとしての通信履歴情報31が反映されたものである(図7にて詳細後記)。しかしながら、特に外部サーバ5が記憶する資料32(図1)は、現場とは関係なく時々刻々と更新される最新のノウハウを含む。そこで自動モードにおいて、検索部22は、関数機能を使用して検索キーを自動的に生成し、その検索キーに基づいて資料32を検索してもよい。
(通信履歴情報)
図7は、通信履歴情報31の一例である。当該通信履歴情報31aは、対人モードにおいて作成される例である。通信履歴情報31においては、作業者ID欄101に記憶された作業者IDに関連付けて、作業種類欄102には作業種類が、作業位置欄103には作業位置が、作業画像欄104には作業画像が、作業音声欄105には作業音声が、時刻欄106には時刻が、支援者ID欄107には支援者IDが、支援音声欄108には支援音声が、参照資料(検索キー)欄109には参照資料及び検索キーが記憶されている。
作業者ID欄101の作業者IDは、作業者2を一意に特定する識別子である。ここでの作業者2は、原則、非熟練作業者である。しかしながら、模範モードでは、例外的に熟練作業者がここでの作業者2となる(詳細後記)。
作業種類欄102の作業種類は、作業者2の作業内容を簡潔に示した文字列である。
作業位置欄103の作業位置は、作業者2の現在位置の経度及び緯度である。作業者端末装置4は、例えばGPS機能を使用して自身の経度及び緯度を取得することができる。作業支援装置1は、現場地図(図示せず)を補助記憶装置15に格納しており、作業者端末装置4から受信した経度及び緯度に基づき、作業場所63(図4)を特定する。
作業画像欄104の作業画像は、その時刻においてカメラ42が撮像した画像及び×印55(図3)であり、その時刻において作業者2がスマートグラス41を介して視認している実像を含む。当該欄には、画像自身に紐付けられた“名称+拡張子”が記憶されている。画像自身は、補助記憶装置15又は他の任意の装置に格納されている。
作業音声欄105の作業音声は、その時刻においてマイクロフォン43が取得した作業者2の音声である。このうち“yy1.wav”等は、音声波形自身に紐付けられた“名称+拡張子”であり、“メータがたくさんあります”等は、音声波形が示す自然言語の文字列である。音声波形自身は、補助記憶装置15又は他の任意の装置に格納されている(後記する支援音声及び参照資料についても同様)。
時刻欄106の時刻は、カメラ42が作業画像を撮像した時刻である。カメラ42は、所定の周期(図7の例では5秒)で作業画像を撮像する。
支援者ID欄107の支援者IDは、作業者2を支援する立場にある熟練作業者を一意に特定する識別子である。
支援音声欄108の支援音声は、その時刻において作業支援装置1の入力装置(マイクロフォン)12が取得した熟練作業者の音声である。
参照資料(検索キー)欄109には、参照資料及び検索キーが記憶されている。このうち参照資料は、その時刻において作業支援装置1の出力装置(ディスプレイ)13に表示されている検索結果66(図5)のうち熟練作業者が選択した箇所68の画像に紐付けられた“名称+拡張子”である。作業支援装置1は、例えばアドレス“pp2@bbb”に所在する資料32のうち選択された箇所68のみを“pp2.pdf”として記憶している。検索キーとは、資料32を検索するために熟練作業者が考え出した検索語である。
図7を見ると、以下のことがわかる。
・2021年8月10日、非熟練の作業者Y01は、配電盤点検を行った。熟練作業者X01は、現場から離れたオフィスから作業者Y01を監視していた。
・配電盤点検は、現場の配電盤に配置された電圧計が示す値を確認する作業である。
・同日の10時00分00秒、作業者Y01は、“メータがたくさんあります”と熟練作業者X01に発声した。おそらく作業者Y01は、メータの数の多さに気後れし一瞬戸惑っていた。熟練作業者X01は、“メータがたくさんあります”を聞くとともに作業画像“yy1.jpg”を視認してそれを感じ取っていた。
・10時00分05秒、熟練作業者X01は、“電圧計を探しなさい”と作業者Y01に発声した。作業者Y01は、“電圧計を探しなさい”を聞くとともに案内音声の文字列も視認していた。
・10時00分10秒、作業者Y01は、“どのメータですか”と熟練作業者X01に発声した。おそらく作業者Y01は、複数の電圧計を区別することができずにいた。熟練作業者X01は、“どのメータですか”を聞くとともに作業画像“yy3.jpg”を視認してそれを感じ取っていた。
・10時00分15秒、熟練作業者X01は、“この形のメータだ”と作業者Y01に発声した。作業者Y01は、“この形のメータだ”を聞くとともに案内音声53a(図3)の文字列も視認していた。熟練作業者X01は、現時点までの会話及び作業画像に基づき、検索キー“メータ形状カタログ”を考え出した。熟練作業者X01は、図5で前記したように作業支援装置1を操作し、資料32(図1)から参照資料“pp1.pdf”を取得し、作業者Y01に送信した。作業者Y01は、“pp1.pdf”を案内画像54a(図3)として視認した。
・10時00分20秒、作業者Y01は、“異常ないと思いますが”と熟練作業者X01に発声した。おそらく作業者は、電圧の読取に自身が持てないでいた。熟練作業者X01は、“異常ないと思いますが”を聞くとともに作業画像“yy5.jpg”を視認してそれを感じ取っていた。
・10時00分25秒、熟練作業者X01は、“この仕様書を見なさい”と作業者Y01に発声した。作業者Y01は、“この仕様書を見なさい”を聞くとともに音声案内53b(図3)の文字列も視認していた。熟練作業者X01は、現時点までの会話及び作業画像に基づき、検索キー“正常電圧閾値”を考え出した。熟練作業者X01は、図5で前記したように作業支援装置1を操作し、資料32(図1)から参照資料 “pp2.pdf”を取得し、作業者Y01に送信した。作業者Y01は、“pp2.pdf”を案内画像54b(図3)として視認した。
・10時00分30秒、作業者Y01は、“異常なしでした”と熟練作業者X01に発声した。おそらく作業者は、作業が無事に終了し安堵していた。熟練作業者X01は、“異常なしでした”を聞くとともに作業画像“yy7.jpg”を視認してそれを感じ取っていた。
図8もまた、通信履歴情報31の一例である。当該通信履歴情報31bは、模範モードにおいて作成される例である。図8の通信履歴情報31bの構成は、図7の通信履歴情報31aの構成と同じである。前記したように、模範モードにおいて現場にいる作業者は、熟練作業者である。したがって、支援音声(図8の欄108)が熟練作業者の音声であり、参照資料及び検索キー(欄109)が熟練作業者の操作によるものであるだけではなく、作業画像(欄104)及び作業音声(欄105)も同じ熟練作業者のものである。マイクロフォン43は、熟練作業者の音声を作業支援装置1に入力することができる。作業者端末装置4の入力装置(キーボード)は、検索キー等の文字を作業支援装置1に入力することができる。作業者端末装置4の出力装置(ディスプレイ)は、検索画面71(図5)を表示することができる。
図8の支援音声、参照資料及び検索キーは、図7と同じである。図8の作業音声もまた、図7とほぼ同じ内容である。その理由は、図7の作業種類及び作業位置が、図8の作業種類及び作業位置と同じであるからである。繰り返しになるが、図8の熟練作業者は、ここでは非熟練作業者の模範となるように現場で自演しているのであり、本来単独で作業を完遂する能力を有している。
自動モードにおいては、通信履歴情報31は、作成されてもよいし、作成されなくてもよい。作成される場合、通信履歴情報31は、図7とほぼ同じになる。但し、支援音声(欄108)は、蓄積(録音)されている過去の音声であり、参照資料及び検索キー(欄109)は、蓄積されている過去の画像及び文字列である。
(処理手順)
図9は、処理手順のフローチャートである。図9の処理手順は、対人モードの処理手順である。図9において破線で囲まれた“作業支援装置1”等は、その下の各ステップの処理主体である。
ステップS201において、作業者端末装置4は、画像を受け付ける。具体的には、作業者端末装置4は、カメラ42が取得した作業者2の視野の画像(作業画像)をウエアラブルデバイス3から受け付ける。
ステップS202において、作業者端末装置4は、画像を送信する。具体的には、作業者端末装置4は、ステップS201において受け付けた作業画像及びカメラ42が撮像した時刻を作業支援装置1に送信する。
ステップS203において、作業支援装置1の作業支援部21は、画像を受信し、表示する。具体的には、第1に、作業支援部21は、ステップS201において受け付けた作業画像及びカメラ42が撮像した時刻を作業者端末装置4から受信する。
第2に、作業支援部21は、支援画面61(図4)を出力装置13に表示する。
ステップS204において、作業者端末装置4は、質問を受け付ける。具体的には、作業者端末装置4は、マイク43が取得した作業音声を受け付ける。
ステップS205において、作業者端末装置4は、質問を送信する。具体的には、作業者端末装置4は、ステップS204において受け付けた作業音声及びマイク43が作業音声を取得した時刻を作業支援装置1に送信する。ここでの“マイク43が作業音声を取得した時刻”は、その直前に作業画像が取得された時刻であってもよい。
ステップS206において、作業支援装置1の作業支援部21は、質問を受信する。具体的には、作業支援部21は、ステップS204において受け付けた作業音声及びマイク43が作業音声を取得した時刻を作業者端末装置4から受信する。
ステップS207において、作業支援装置1の検索部22は、検索キーを受け付ける。具体的には、検索部22は、熟練作業者が検索画面71の検索キー欄65(図5)に、例えば“メータ形状カタログ”を入力するのを受け付ける。“メータ形状カタログ”は、ステップS206までの段階における作業画像及び作業音声に基づき、資料32(図1)を検索するために熟練作業者が考え出した検索キーである。
ステップS208において、検索部22は、資料32を検索する。具体的には、第1に、検索部22は、“メータ形状カタログ”を検索キーとして資料32を検索した結果を検索画面71の検索結果欄66に表示する。
第2に、検索部22は、熟練作業者が資料の一部68を参照資料として選択するのを受け付ける。
ステップS209において、作業支援装置1の作業支援部21は、参照資料を送信する。具体的には、作業支援部21は、ステップS208の“第2”において選択された参照資料を作業者端末装置4に送信する。
ステップS210において、作業者端末装置4は、参照資料を受信し、表示する。具体的には、第1に、作業者端末装置4は、ステップS208の“第2”において選択された参照資料を作業支援装置1から受信する。
第2に、作業者端末装置4は、カメラ(プロジェクタ)42を介してスマートグラス(ディスプレイ)41に、ステップS210の“第1”において受信した参照資料を投影する。このとき投影される参照資料は、拡張現実としての案内画像54a(図3)である。
ステップS211において、作業支援装置1の作業支援部21は、回答を受け付ける。具体的には、作業支援部21は、熟練作業者が作業支援装置1の入力装置(マイクロフォン)12に、例えば支援音声“この形のメータだ”を入力するのを受け付ける。“この形のメータだ”は、ステップS206までの段階における作業画像及び作業音声に基づき、作業者の質問に回答するために熟練作業者が考え出した支援音声である。
ステップS212において、作業支援部21は、回答を送信する。具体的には、作業支援部21は、ステップS211において受け付けた支援音声を作業者端末装置4に送信する。
ステップS213において、作業者端末装置4は、回答を受信し、表示する。具体的には、第1に、作業端末装置4は、ステップS211において取得した支援音声を作業支援装置1から受信する。
第2に、作業者端末装置4は、カメラ(プロジェクタ)42を介してスマートグラス(ディスプレイ)41に、ステップS213の“第1”において受信した支援音声を投影するとともに、スピーカ44を介して再生する。このとき投影される支援音声は、拡張現実としての案内音声53a(図3)である。
ステップS214において、作業支援装置1の作業支援部21は、通信履歴を更新する。具体的には、作業支援部21は、ステップS213以前において送受信した作業画像、作業音声、支援音声及び参照資料、並びに、ステップS207において受け付けた検索キーを使用して、通信履歴情報31a(図7)のレコードを作成する。その後、処理手順を終了する。
図9の処理手順は、説明の便宜上、単純化されている。実際には、ステップS201~S214の処理のセットが、作業画像が取得される所定の周期で繰り返される。そして、個々のセットにおいては、作業者が質問を発声しない結果、熟練作業者が資料を検索せず、回答も発声しないこともあり得る。作業者が質問を発声しなくても、熟練作業者が資料を検索し、及び/又は、回答を発声することもあり得る。
(模範モードの処理手順)
模範モードの処理手順は、対人モードの処理手順(図9)に準ずる。但し、作業者端末装置4を操作するのは、熟練作業者である。熟練作業者は、作業者端末装置4を介して、作業支援装置1を遠隔操作する。
(自動モードの処理手順)
自動モードの処理手順もまた、対人モードの処理手順(図9)に準ずる。但し、作業支援装置1は、検索部22の関数機能等を活用し自動で各処理を実行するので、熟練作業者による操作は不要である。
具体的には、自動モードでは、ステップS207において、検索部22は、熟練作業者が検索キーを入力するのを受け付けるまでもなく、前記した関数機能を使用して、自動的に検索キーを生成する。ステップS208において、検索部22は、熟練作業者が参照資料を選択するのを受け付けるまでもなく、前記した関数機能を使用して、自動的に参照資料を生成する。ステップS211において、作業支援部21に代替して検索部22は、熟練作業者が支援音声を入力するのを受け付けるまでもなく、前記した関数機能を使用して、自動的に支援音声を生成する。
さらに、自動モードでは、ステップS207、S208又はS211において、検索部22は、熟練作業者による入力を前提とせずに、かつ、関数機能を使用することなく、通信履歴情報31を“リレーショナルデータベース”として活用してもよい。すなわち、検索部22は、通信履歴情報31の作業者ID欄101~作業音声欄105のうちの少なくとも1つの欄の値をキーとして、支援音声欄108及び参照資料(検索キー)欄109のうちの少なくとも1つの欄の値を取得してもよい。例えば、作業者2が作業音声“メータがたくさんあります”又はそれに類似する作業音声を発声している場合、検索部22は、“メータがたくさんあります”の直後の時刻における支援音声“電圧計を探しなさい”を取得することができる。
(本実施形態の効果)
本実施形態の作業支援装置等の効果は以下の通りである。
(1)作業支援装置は、非熟練作業者が遠隔地の熟練作業者のノウハウを臨機応変に活用することを可能にする。
(2)作業支援装置は、非熟練作業者向けの参照資料を熟練作業者が自ら取得することを可能にする。
(3)作業支援装置は、過去に蓄積された熟練作業者のノウハウを活用することができる。
(4)作業支援装置は、学習によって支援音声及び参照資料の質を向上させることができる。
(5)作業支援装置は、熟練作業者が容易に学習データを作成することを可能にする。
(6)作業支援装置は、熟練作業者が存在しなくても稼働することができる。
(7)作業支援システムは、非熟練作業者が熟練作業者のノウハウをハンズフリーで視認することを可能にする。
(8)作業支援プログラムは、既にコンピュータを使用しているユーザが、そのコンピュータによって、非熟練作業者が遠隔地の熟練作業者のノウハウを臨機応変に活用することを可能とする。
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 作業支援装置
2 作業者
3 ウエアラブルデバイス
4 作業者端末装置
5 外部サーバ
6 無線基地局
7 配電盤
8 ネットワーク
9 現場
11 中央制御装置
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置
15 補助記憶装置
16 通信装置
21 作業支援部
22 検索部
31、31a、31b 通信履歴情報
32 資料
41 スマートグラス(ディスプレイ)
42 カメラ
43 マイクロフォン
44 スピーカ
45 通信装置
61 支援画面
71 検索画面

Claims (3)

  1. 現場において非熟練作業者が行う作業を撮像した作業画像、及び、前記作業を行うに際し前記非熟練作業者が発した作業音声を受信し、
    前記現場から離れた熟練作業者が前記作業画像及び前記作業音声に応じて発した支援音声、及び、前記作業画像及び前記作業音声に応じて前記熟練作業者が選択した参照資料を前記非熟練作業者が携帯する作業者端末装置に送信し、
    前記非熟練作業者が現在視認している実像に重ねて、前記非熟練作業者の視線の方向から検出された前記非熟練作業者が現在注視している箇所を示す図形を拡張現実として前記熟練作業者が視認する出力装置に表示する作業支援部
    前記熟練作業者が検索キーを入力するのを受け付け、
    前記受け付けた検索キーに基づき資料を検索し、
    前記検索した資料のうち前記熟練作業者が画面上で選択した一部を前記参照資料とし、
    過去に蓄積された前記支援音声及び前記参照資料が使用可能である場合、前記作業画像又は前記作業音声に応じて、前記過去に蓄積された支援音声及び参照資料のうちから前記非熟練作業者に送信するものを取得し、
    前記作業画像及び前記作業音声を入力とし、前記支援音声及び前記参照資料を出力とする関数機能を有し、
    過去における前記作業画像、前記作業音声、前記支援音声及び前記参照資料の通信履歴を学習データとして、前記関数機能を学習する検索部と、
    を備えること、
    を特徴とする作業支援装置。
  2. 作業支援装置と、非熟練作業者が装着するウエアラブルデバイスを備える作業支援システムであって、
    前記作業支援装置は、
    現場において前記非熟練作業者が行う作業を撮像した作業画像、及び、前記作業を行うに際し前記非熟練作業者が発した作業音声を受信し、
    前記現場から離れた熟練作業者が前記作業画像及び前記作業音声に応じて発した支援音声、及び、前記作業画像及び前記作業音声に応じて前記熟練作業者が選択した参照資料を前記非熟練作業者が携帯する作業者端末装置に送信し、
    前記非熟練作業者が現在視認している実像に重ねて、前記非熟練作業者の視線の方向から検出された前記非熟練作業者が現在注視している箇所を示す図形を拡張現実として前記熟練作業者が視認する出力装置に表示する作業支援部
    前記熟練作業者が検索キーを入力するのを受け付け、
    前記受け付けた検索キーに基づき資料を検索し、
    前記検索した資料のうち前記熟練作業者が画面上で選択した一部を前記参照資料とし、
    過去に蓄積された前記支援音声及び前記参照資料が使用可能である場合、前記作業画像又は前記作業音声に応じて、前記過去に蓄積された支援音声及び参照資料のうちから前記非熟練作業者に送信するものを取得し、
    前記作業画像及び前記作業音声を入力とし、前記支援音声及び前記参照資料を出力とする関数機能を有し、
    過去における前記作業画像、前記作業音声、前記支援音声及び前記参照資料の通信履歴を学習データとして、前記関数機能を学習する検索部と、
    を備え、
    前記ウエアラブルデバイスは、
    前記送信された支援音声及び参照資料を、前記非熟練作業者に拡張現実として示すヘッドマウント形のウエアラブルデバイスであること、
    を特徴とする作業支援システム。
  3. コンピュータを、
    現場において非熟練作業者が行う作業を撮像した作業画像、及び、前記作業を行うに際し前記非熟練作業者が発した作業音声を受信し、
    前記現場から離れた熟練作業者が前記作業画像及び前記作業音声に応じて発した支援音声、及び、前記作業画像及び前記作業音声に応じて前記熟練作業者が選択した参照資料を前記非熟練作業者が携帯する作業者端末装置に送信し、
    前記非熟練作業者が現在視認している実像に重ねて、前記非熟練作業者の視線の方向から検出された前記非熟練作業者が現在注視している箇所を示す図形を拡張現実として前記熟練作業者が視認する出力装置に表示する作業支援部と、
    前記熟練作業者が検索キーを入力するのを受け付け、
    前記受け付けた検索キーに基づき資料を検索し、
    前記検索した資料のうち前記熟練作業者が画面上で選択した一部を前記参照資料とし、
    過去に蓄積された前記支援音声及び前記参照資料が使用可能である場合、前記作業画像又は前記作業音声に応じて、前記過去に蓄積された支援音声及び参照資料のうちから前記非熟練作業者に送信するものを取得し、
    前記作業画像及び前記作業音声を入力とし、前記支援音声及び前記参照資料を出力とする関数機能を有し、
    過去における前記作業画像、前記作業音声、前記支援音声及び前記参照資料の通信履歴を学習データとして、前記関数機能を学習する検索部と、
    して機能させるための作業支援プログラム。
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