JP7380264B2 - オートクレーブの冷却器具及び冷却方法 - Google Patents

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本発明は、オートクレーブの冷却器具及びこれを用いたオートクレーブの冷却方法に関し、特に、ニッケル等の有価金属を浸出すべく原料のニッケル酸化鉱石を含んだスラリーを装入して高温高圧下で酸浸出処理を行うオートクレーブに対して、その運転停止後の高温状態の缶体及び隔壁を冷却する冷却器具及びこれを用いたオートクレーブの冷却方法に関する。
近年、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを回収する湿式製錬プロセスとして、硫酸を用いたHPAL(High Pressure Acid Leach)法とも称する高圧酸浸出法が注目されている。このHPAL法は、ニッケル含有率が1~2質量%程度で鉄を主成分とする低ニッケル品位のニッケル酸化鉱石を原料に用いる場合であっても、ニッケル等の有価金属を選択的に回収することができるうえ、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬方法である乾式製錬プロセスとは異なり乾燥及び焙焼工程等の乾式処理工程を含んでおらず、一貫した湿式工程で処理を行うので、エネルギー的及びコスト的にも有利なプロセスである。
上記のHPAL法によるニッケル製錬方法は、例えば特許文献1に記載のように、所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石に水を加えて所定のスラリー濃度の鉱石スラリーを調製する鉱石スラリー調製工程と、この調製した鉱石スラリーに硫酸を添加し、更に高圧蒸気を吹き込んで240~260℃、4000~5000kPaGの高温高圧条件下で酸浸出処理を施すことで該ニッケル酸化鉱石中のニッケル及びコバルトを浸出して浸出スラリーを得る浸出工程と、得られた浸出スラリーを浸出残渣とニッケル及びコバルトを含む浸出液とに分離する固液分離工程と、得られた浸出液をpH3~4に調整して該浸出液に含まれる鉄等の不純物元素を中和により分離除去する中和工程と、該不純物元素が分離除去された後の浸出液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加してニッケル及びコバルトをその混合硫化物の形態で回収する硫化工程とを有している。
上記のように、浸出工程においては鉱石スラリーに対して高温高圧の条件下で酸浸出処理を施すので、オートクレーブと称する耐熱耐圧構造の圧力容器が用いられる。このオートクレーブの本体(オートクレーブ缶体又は単に缶体とも称する)は、一般的に円筒形の容器を横向きにした構造を有しており、内部が隔壁により複数に区分されている。ところで、ニッケル製錬の操業においては、湿式製錬プラント全体を安定的かつ高い操業負荷で運転することが、生産性を高める上で重要である。そのため、湿式製錬プラントを構成する機器に対して定期的に補修を行ったり、必要に応じて適宜補修を行ったりすることによって、突発的な重大トラブルが発生するのを防止している。上記の湿式製錬プラントを構成する機器のうち、オートクレーブ等のようにプロセス液の処理を行う重要な機器を補修する場合は、プラント全体の操業を停止するか、あるいは減量運転を行う必要があるので、できるだけ効率的に補修作業を進めて、プラントの停止時間や減量運転時間を短縮することが望まれる。
しかしながら、上記のオートクレーブにおいては、250℃、5MPa程度の高温高圧条件下で運転が行われるため、補修の際に内部点検を行ったり、スケールの除去のためのいわゆる居着き剥離作業や缶体溶接補修作業を行ったりできるように、運転停止後は脱圧及び冷却を行う必要がある。例えば、オートクレーブの缶体温度を250℃程度から100℃程度まで降温させる場合は、鉱石スラリー供給用のスラリーポンプを用いてオートクレーブに連続的に水を導入することでオートクレーブ缶体内に残留するスラリーを入れ替えながら冷却を行うことが行われる。この冷却方法で缶体の温度を約100℃まで降温させた後は、オートクレーブ内に残留する温水を抜き出すことで内部を空にすることができる。しかしながら、この状態ではオートクレーブの缶体及び隔壁は依然として100℃程度の熱を持っており、作業員は缶内に入って作業を行うことはできない。
そこで、オートクレーブの缶体や隔壁の温度を100℃以下の好ましくは常温程度まで冷却するため、前述した鉱石スラリー供給用のスラリーポンプで引き続き連続的に水を導入する場合がある。あるいは特許文献2に開示されているように、オートクレーブ缶体内に空気を導入して、その空気流により冷却したり、特許文献3に開示されているように、オートクレーブ缶内での散水により冷却したりする方法が提案されている。
特開2005-350766号公報 特表2008-500898号公報 実開昭50-34453号公報
上記の鉱石スラリー供給用のスラリーポンプを用いて引き続きオートクレーブに冷却水を導入することで缶体温度を100℃から常温程度になるまで降温させる冷却方法は、冷却速度を高めることができるので短時間で冷却を終えることができるものの、冷却水の使用量が多くなりすぎる点が問題になっていた。更に、冷却中はオートクレーブの前段及び後段のタンクやポンプ等の付帯設備を稼動させる必要があるので、その調整や運転に手間がかかる点も問題になることがあった。
特許文献2に開示されているように、オートクレーブ缶体を空気流で内部から冷却する方法は、例えば缶内に空気を200~400Nm/Hr程度の流量で吹き込むことで冷却水を用いずに冷却することができるものの、冷却水を用いる場合に比べて冷却速度が著しく遅くなるため、冷却に時間がかかりすぎるという問題を抱えている。
特許文献3に開示されているように、オートクレーブ缶体内の上方から散水することで冷却する方法は、上記のオートクレーブ缶体内の水を入れ替えながら冷却を行う方法に比べて少ない冷却水の使用量で効率よく冷却できるうえ、オートクレーブの前段及び後段の付帯の設備を稼動させる必要がないので簡易かつ経済的に冷却を行うことができる。また、空気流による冷却方法に比べて、早期に補修作業に取り掛かることも可能になる。
しかしながら、特許文献3の散水による冷却方法は、オートクレーブの缶内の上部に缶の内壁と略同じ曲率で湾曲された複数の板状部材をオートクレーブの長手方向の端から端まで設ける必要があるうえ、基本的にはこの板状部材と缶の内壁の間のすき間に、缶内で長手方向に延在する散水管から放水される冷却水を流すことで冷却するものであるため、隔壁を効率的に冷却することができず、かえって冷却水の使用量が増加したり、冷却時間が長くなったりすることがあった。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、通常運転停止後の高温状態のオートクレーブを比較的少量の冷却水を用いて簡易かつ短時間に常温程度まで冷却することが可能なオートクレーブの冷却器具及びこれを用いた冷却方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係るオートクレーブの冷却器具は、円筒形状の圧力容器を横向きにしてその内部を隔壁で複数の貯留部に区分した構造のオートクレーブに対して、その上部ノズルから差し込んで内部から冷却を行う冷却器具であって、複数の散水用貫通孔を有する散水管と、該散水管の先端部とは反対側の端部に設けられた、送水ホースとの接続用のカップリング部と、該冷却器具がオートクレーブの缶体内に落下するのを防止する鍔部とからなることを特徴とする。
また、本発明に係るオートクレーブの冷却方法は、円筒形状の圧力容器を横向きにしてその内部を隔壁で複数の貯留部に区分した構造のオートクレーブに対して、その缶体温度を100℃以下から常温まで冷却する方法であって、上記本発明に係るオートクレーブの冷却器具の散水管を該貯留部ごとに設けられた上部ノズルから差し込む工程と、該冷却器具のカップリング部に該送水ホースを接続し、該送水ホースを介して供給される冷却水を該冷却器具から放水する工程とからなることを特徴とする。
本発明によれば、運転停止後の高温状態のオートクレーブを比較的少量の冷却水を用いて簡易かつ短時間に冷却することが可能になる。
本発明に係る冷却装置が好適に適用されるオートクレーブの模式的な断面図である。 図1のオートクレーブの第1区画室を、本発明の実施形態に係る冷却装置を用いて冷却している状態を示す部分断面正面図である。 本発明の実施例で行ったオートクレーブの冷却及び降圧の操作手順を示すブロックフロー図である。 本発明の実施例で用いた冷却装置の外観写真であり、(1)及び(3)は斜め下方から見た写真であり、(2)は側面から見た写真であり、(4)は下部に設けた貫通孔を正面から見た写真であり、(5)は斜め上方から見た写真である。 本発明の実施形態に係る冷却装置が、そのカップリング部において送水ホースと結合している状態を示す斜視図(a)、及び送水ホースから離脱している状態を示す斜視図(b)である。
以下、本発明の実施形態に係るオートクレーブの冷却器具及び該冷却装置を用いたオートクレーブの冷却方法について説明する。本発明の実施形態の冷却装置が対象とするオートクレーブは、例えば原料としてのニッケル酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーに対して硫酸を添加して温度240~260℃程度、圧力4000~5000kPaG程度の高温高圧条件下で酸浸出処理を施すHPAL法の浸出工程で使用される。このオートクレーブの直ぐ上流側には、一般的に、鉱石スラリーに蒸気を吹き込んで直接加熱する耐熱耐圧容器と、該耐熱耐圧容器に鉱石スラリーを導入するスラリーポンプとからなる昇温昇圧設備が設けられている。
また、上記オートクレーブの直ぐ下流側には、一般的に、該オートクレーブ内の高温高圧下での酸浸出処理により生成された浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーをほぼ大気圧まで降圧すると共に、該降圧により発生する蒸気の潜熱により該浸出スラリーの降温を行うフラッシュベッセルが設けられている。従って、HPAL法による湿式製錬プラント(以降、HPALプラントとも称する)の運転停止時にオートクレーブ缶体を開放点検する場合は、事前にこれら上流側と下流側の付帯設備及び該オートクレーブを高温高圧状態から大気圧まで減圧する操作と、それらをほぼ常温まで冷却する操作とが必要となる。
上記のように、鉱石スラリーを前段で昇温及び昇圧してからオートクレーブに装入する昇温昇圧設備を有する設備構成の場合は、この昇温昇圧設備を構成するスラリーポンプの吸込側に冷却水を供給することで、該昇温昇圧設備から導入される高圧の冷却水によってオートクレーブを冷却することが一般的である。なお、上記の昇温昇圧設備は、複数の耐熱耐圧容器を直列に接続すると共に、それら耐熱耐圧容器の各々の直ぐ上流側にスラリーポンプを設けることによって段階的に昇温及び昇圧させる構成にしてもよく、この場合は最も上流側のスラリーポンプの吸込側に冷却水を供給するのが好ましい。
上記の昇温昇圧設備が設けられていないためオートクレーブに鉱石スラリーを直接装入する設備構成の場合や、運転停止後に該昇温昇圧設備をオートクレーブから遮断することでオートクレーブのみを冷却及び減圧する場合は、冷却水導入用として別途設けた高圧ポンプを用いてオートクレーブに高圧の冷却水を導入することになる。このように、オートクレーブに直接又は昇温昇圧設備を介して冷却水を導入することで、運転停止時にオートクレーブ内に残留している浸出処理段階の鉱石スラリーや酸浸出処理により生成した浸出スラリーが徐々に水に置換され、これによりオートクレーブ内を徐々に減圧させると共に、オートクレーブの缶体及び隔壁を徐々に冷却させることが可能になる。それと同時に、冷却水によりオートクレーブの缶内を洗浄することも可能になる。
上記のHPALプラントで用いられるオートクレーブは、一般的には図1に示すように、両端部に断面略半円又は略楕円形状の鏡板が設けられた円筒形状の圧力容器を横向きにした横長形状の缶体1からなり、その内部は、オーバーフロー用の上端部を有する1又は複数枚の隔壁(堰)2によって長手方向に連続的に並ぶ複数の貯留部S、S、・・・Sに区分されている。なお、貯留部の数は図1に示す7つに限定されるものではなく、6つ以下でもよいし、8つ以上でもよい。
上記の複数の貯留部S~Sの各々には撹拌機3が設置されており、通常運転時においては、最上流側の貯留部Sに蒸気及び硫酸と共に導入された鉱石スラリーは、撹拌機3によってほぼ均一に撹拌されながら高温高圧の条件下で酸浸出処理が施された後、隔壁2の上端部をオーバーフローすることによって下流側に隣接する貯留部Sに移送される。以降、最下流側の貯留部Sに至るまで同様に各貯留部での酸浸出処理及び下流側へのオーバーフローが繰り返されることで、鉱石スラリーに含まれるニッケルやコバルト等の有価金属が浸出される。なお、鉱石スラリーが下流側の貯留部から上流側の貯留部に逆流することがないように、これら隔壁2の上端部の高さは上流側から下流側に向かって徐々に低くなっている。
上記構造のオートクレーブを通常運転停止後に冷却する場合は、前述したようにオートクレーブの前段に位置する図示しない昇温昇圧設備から鉱石スラリーの供給配管系4を介して冷却水をオートクレーブに導入する。この冷却水は、撹拌機3によって缶内に残留する鉱石スラリーや浸出スラリーと混合された後、隔壁2をオーバーフローして順次下流側に移送され、抜出配管系5を介して抜き出される。このようにして缶体1の内部の液体が鉱石スラリーや浸出スラリーから冷却水に徐々に入れ替わることで、缶体1及び隔壁2の温度を通常運転時の温度である250℃程度から水の大気圧下の沸点である100℃程度まで降温させることができる。
なお、前述したように、オートクレーブの前段に昇温昇圧設備が設けられていない場合は、図1の点線で示すように、冷却水専用の冷却水供給配管系6を介して冷却水を導入することで、缶体1内の鉱石スラリーや浸出スラリーを入れ替えながら徐々に冷却してもよい。この図1の構造では、オートクレーブの第1貯留部S及び第5貯留部Sに冷却水供給配管系6から冷却水を導入しているが、これに限定されるものではなく、第5貯留部Sに代えてあるいは第5貯留部Sに加えて第6貯留部Sや第7貯留部Sから冷却水を導入してもよい。また、これら複数箇所から冷却水を導入する際のそれらの配分についても特に限定はないが、通常は最も上流側の第1貯留部Sに冷却水の合計注入量の20~50%を導入し、残りを該移送方向の中間より下流側の貯留部に導入するのが好ましい。
上記の冷却水の導入後は、抜出配管系5から抜き出される液体の温度を測定するか、あるいは缶体1に取り付けた温度計で測定することで缶体1の温度を確認する。そして、缶体1の温度が100℃程度まで降温していることが確認されると、缶体1内への冷却水の導入を停止する。その後、缶体1の底部に設けられている図示しないドレンバルブを開けて缶体1内に残留している冷却水を抜き出す。これにより、缶体1内に液体がほとんど存在していない空の状態にすることができる。
上記のようにして缶内が空になった状態のオートクレーブに対して本発明の実施形態の冷却器具を用いることで、缶体1及び隔壁2の温度を作業員が缶内に入っても問題のない常温程度まで冷却する。具体的には、図2に示すように、缶内が空のオートクレーブの複数の貯留部S~Sの各々に対して、その上部に設けられているハンドホール等の上部ノズル1aから本発明の実施形態の冷却器具10を先端部側から差し込む。
この本発明の実施形態の冷却器具10は、先端部が閉止された外径25~75mm程度、長さ600~1200mm程度の好ましくは金属製の円管材からなる散水管11と、該散水管11の先端部とは反対側の開口部に設けられた、送水ホースHとの接続用のカップリング部12と、該冷却器具10が缶体1内に落下するのを防止するための鍔部13とから構成される。
上記の散水管11は、その先端部から好ましくは100~200mmまでの部分に、好ましくは内径3~8mm程度の散水用の複数の貫通孔11aが、散水管11の長手方向に沿って1~3列程度穿孔されている。なお、複数列の貫通孔11a群を設ける場合は(図2には散水管11の長手方向に沿って2列の貫通孔11a群を配設した例が示されている)、散水管11の周方向に等間隔に該貫通孔11a群の列を配設してもよいが、所望の位置に集中的に冷却水を放水できるように、散水管11の中心軸を含む面の片方側に貫通孔11a群の列が全て配設されるのが好ましい。また、上記の複数の貫通孔11aの総開口面積は、散水管11の長手方向に垂直な断面における流路面積以下であるのが好ましく、これにより各貫通孔11aから勢いよく冷却水を放水させることができるので、オートクレーブ缶体1や隔壁2を効率よく冷却することができる。
上記のカップリング部12には、市販のカップラーを使用することができる。例えば、市販の1対のカップラーの一方をカップリング部12に採用し、もう一方を送水ホースHの端部に取り付けることで該送水ホースHを冷却器具10に容易に着脱することができる。該1対のカップラーの構造には特に限定はないが、例えば図5に示すようなカムロック構造のカップラー20を用いるのが好ましい。このカップラー20は、2個のカムレバー21aを有する略円筒形状のメス側端部21と、その内側に嵌合されるオス側端部22とからなり、該オス側端部22を嵌合させた状態でカムレバー21aを倒すことで、そのカム部がオス側端部22の凹部22aに係合するので互いに締結することが可能になる。
上記の鍔部13の形状は、上記散水管11を缶体1の上部ノズル1aから差し込んだときに該上部ノズル1aの上端部に当接して冷却器具10自体がオートクレーブの缶内に落下しない構造であれば特に限定はないが、2枚の同形状の金属板又は金属棒を散水管11の長手方向に対して直交する方向で且つ互いに反対方向に突出するように設けるのが好ましい。
次に、上記した本発明の実施形態の冷却器具10を用いたオートクレーブの冷却方法について説明する。先ず、前述したように、オートクレーブの缶体1に設けた温度計、又はオートクレーブの抜出配管系5から抜き出される液体の温度を測定する温度計で缶体1の温度がほぼ100℃以下の状態にあることを確認する。この確認後、缶体1の上部に設けられている上部ノズル1aを開放し、そこから冷却器具10の散水管11を差し込み、該上部ノズル1aの上端部に鍔部13を載せることで冷却器具10を支持する。このとき、散水管11の貫通孔11aから放水される冷却水の放水方向を自在に変更できるように、冷却器具10の鍔部13はオートクレーブ缶体1の上部ノズル1aに対してボルトナット等の結合手段で固定しないのが好ましい。
次に、冷却器具10のカップリング部12に送水ホースHの一端部を接続する。そして該送水ホースHにおいて、上記カップリング部12との接続側とは反対側の他端部に設けられている図示しない冷却水の給水バルブを開くことで、冷却器具10に冷却水を供給する。その際、鉱石スラリーや浸出スラリーから冷却水に切り替えた後に残留する冷却水の抜き出しのために前工程で開放した缶体1の図示しない下部ノズルは開放したままにしておくのが好ましい。また、冷却器具10に供給する際の冷却水の供給圧力は1.0~7.0kg/cmG程度であるのが好ましい。これにより、缶体1の内壁面及び隔壁2に多量の冷却水を勢いよく吹きつけることができるので、効率よく冷却することができる。上記の各貯留部ごとの冷却は、例えばオートクレーブの上流側から下流側に向かって1つずつ行ってもよいし、複数の冷却器具10を用いて複数の貯留部を同時に冷却してもよい。
上記の本発明の実施形態の冷却器具10を用いた冷却方法により、缶体1及び隔壁2が常温程度まで降温しているか否かは、例えば缶体1や隔壁2に温度計を取り付けて直接温度測定することで確認してもよいし、缶体1の底部に位置する前述した開放状態の下部ノズルから排出される液体の温度を測定することで間接的に確認してもよい。缶体1及び隔壁2が常温程度まで降温していることを認した後は、該冷却器具10への冷却水の供給を停止し、散水管11を上部ノズル1aから抜き取ることで冷却作業を終了することができる。
(実施例)
図1に示すような6枚の隔壁2によって7つの貯留部S~Sに区分されたオートクレーブに対して、6ヶ月ごとの運転停止時に内部点検を行うため、降圧操作を行うと共に冷却水を導入して缶体1及び隔壁2を冷却した。具体的には、HPALプラントの2系列の高圧酸浸出設備のうちの1系列のオートクレーブに対して、図3に示すブロックフロー図に沿って作業を行った。
すなわち、先ず原料のニッケル酸化鉱石を含む鉱石スラリー、硫酸、及び高圧蒸気のオートクレーブへの供給を全て停止した。次に、最も上流側の第1貯留部S及び鉱石スラリーの移送方向の中間に位置する第4貯留部Sの直ぐ下流側に位置する第5貯留部Sに、冷却水供給配管系6を介して冷却水専用の高圧ポンプから冷却水を導入すると共に、最下流側に位置する第7貯留部Sから抜出配管系5を介して処理途中の鉱石スラリーと上記導入した冷却水との混合液を抜き出した。
このようにしてオートクレーブの缶内を鉱石スラリーや浸出スラリーから冷却水に徐々に入れ替えることで、上記抜出配管系5から抜き出される液体の液温が253℃から100℃になるまで冷却すると共に、該オートクレーブの缶内がほぼ大気圧になるまで降圧させた。なお、上記の100℃までの冷却の際、上記の鉱石スラリーや浸出スラリーと冷却水との混合液は隔壁2の上端部をオーバーフローさせることによって下流側に向けて順次移送させた。また、通常運転時と同様に各貯留部に備えられている撹拌機3を作動させて撹拌を行った。
上記の抜出配管系5から抜き出される液体の温度が100℃以下になったのを温度計で確認した後、冷却水のオートクレーブ缶体内への導入を停止すると共に撹拌機3の運転を停止した。また、オートクレーブ缶体内の圧力がほぼ大気圧まで降下されているのを缶体1に設けた圧力計で確認した後、各貯留部の上部ノズルに液抜き出し用のインサート管を設置し、再度オートクレーブ缶体内を昇圧することでオートクレーブ缶体内に残留している液体を抜き出して缶体内をほぼ空の状態にした。その後、オートクレーブ缶体内をほぼ大気圧になるまで再度減圧した。
次に、オートクレーブの上部に位置する呼び径150Aの6個の上部ノズル1aのフランジを開放し、それらに予め用意しておいた6個の冷却器具10を散水管11の先端部側からそれぞれ差し込んだ。そして、該冷却器具10のカップリング部12に送水ホースHの一端部を接続し、この送水ホースHを介してこれら6個の冷却器具10に同時に冷却水を供給して缶体1及び隔壁2を冷却した。
上記の冷却器具10には、図2に示すような複数の貫通孔11aを有する散水管11と、送水ホースHとの接続用のカップリング部12と、略矩形板状の2枚の鍔部13とからなる金属製の器具を用いた。具体的には、散水管11には、先端開口部が円形の金属板で閉止された呼び径50A、長さ1050mmの配管用炭素鋼鋼管(SGP)を用い、その先端部分に内径5mmの貫通孔11aを、該散水管11の長手方向に沿って25mmのピッチで5個ずつ2列に並ぶように穿孔した。なお、これら2列の貫通孔11aは、該散水管11の周方向に互いに25mm離間させると共に、千鳥状に並ぶように配設した。
2枚の鍔部13には幅50mmの略矩形板状の鋼板を用い、これらを散水管11の先端から950mmの位置に溶接した。なお、各鋼板の溶接側端部は散水管11の外周面と同じ曲率になるように切り欠いておいた。上記の散水管11の先端部とは反対側の開口端部に、カップリング12として市販のカムロック式カップラー(呼び径50A)を取り付け、これに嵌合するオス側のカップラーを送水ホースHの一端部に取り付けた。
このようにして、缶体の内壁温度が35~45℃程度、好ましくは40℃になるまで冷却水の導入を継続した。なお、上記の缶体の内壁温度に代えて、貯留部S~Sの各々の上記下部ノズルから抜き出される液体の温度がいずれも約40℃以下になることを目安にして冷却水の導入を停止してもよい。上記の各冷却器具10に冷却水を供給している間、定期的に各冷却器具10をその中心軸を中心として回転させて貫通孔11aからの冷却水の放水方向を変更することで、オートクレーブ缶体1や隔壁2ができるだけまんべんなく冷却されるようにした。具体的には、先ず温度計が設置されている隔壁2に向けて冷却水を放水し、この温度計の指示値に応じて冷却器具10を時計回りに90度ずつ適宜回転させて散水管11の複数の貫通孔11aからの放水方向を変更させた。この方法で約6時間かけて冷却を行った。その後、赤外線温度計にて随時缶体1の温度を缶内側から測定し、温度が局部的に高い箇所目掛けて冷却水が放水されるように冷却器具10の貫通孔11aが指し向く角度を調整した。
(比較例1)
オートクレーブの缶体1から抜出配管系5を介して抜き出される液体の温度が100℃になるまでは上記の実施例と同様にして冷却したが、その後は、冷却器具10による100℃から40℃までの冷却に代えて、抜出配管系5から抜き出される液体の温度が40℃になるまで第1貯留部S及び第5貯留部Sに高圧冷却水の供給ポンプから冷却水を導入した。
(比較例2)
オートクレーブの缶体1から抜出配管系5を介して抜き出される液体の温度が100℃になるまでは上記の実施例と同様にして冷却したが、その後は、冷却器具10による100℃から40℃までの冷却に代えて、オートクレーブの第1貯留部S側から空気を吹き込み、缶体1及び隔壁2の温度が40℃になるまで冷却した。上記の実施例及び比較例1、2の結果を下記表1に示す。
Figure 0007380264000001
上記表1から分かるように、実施例の冷却方法は比較例1と比較して冷却時間がやや長くかかったが、冷却水の消費量を大幅に減らすことができた。更に、実施例による100℃から40℃までの冷却ではオートクレーブの前段及び後段の付帯設備を稼働する必要がないので、作業員の手間とコストを削減することが可能になった。なお、比較例2は実施例と比較して冷却時間が2倍以上かかった。
1 缶体
1a 上部ノズル
2 隔壁(堰)
3 撹拌機
4 鉱石スラリー供給配管系
5 抜出配管系
6 冷却水供給配管系
10 冷却器具
11 散水管
11a 貫通孔
12 カップリング部
13 鍔部
20 カップラー
21 メス側端部
21a カムレバー
22 オス側端部
22a 凹部
H 送水ホース
、S、・・・S 貯留部

Claims (5)

  1. 円筒形状の圧力容器を横向きにしてその内部を隔壁で複数の貯留部に区分した構造のオートクレーブに対して、その上部ノズルから差し込んで内部から冷却を行う冷却器具であって、複数の散水用貫通孔を有する散水管と、該散水管の先端部とは反対側の端部に設けられた、送水ホースとの接続用のカップリング部と、該冷却器具がオートクレーブの缶体内に落下するのを防止する鍔部とからなることを特徴とするオートクレーブの冷却器具。
  2. 前記散水管の前記複数の貫通孔の総開口面積が、該散水管の長手方向に垂直な断面における流路面積以下であることを特徴とする、請求項1記載のオートクレーブの冷却器具。
  3. 前記オートクレーブは、硫酸と共に受け入れた昇温昇圧された鉱石スラリーを、前記複数の貯留部の最上流側から最下流側に至るまで前記隔壁の上端部のオーバーフローにより順次移送しながら該複数の貯留部の各々で撹拌することで段階的に酸浸出処理を行うものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のオートクレーブの冷却器具。
  4. 円筒形状の圧力容器を横向きにしてその内部を隔壁で複数の貯留部に区分した構造のオートクレーブに対して、その缶体温度を100℃以下から常温まで冷却する方法であって、請求項1~3のいずれか1項に記載の前記冷却器具の散水管を該貯留部ごとに設けられた前記上部ノズルから差し込む工程と、前記冷却器具のカップリング部に前記送水ホースを接続し、該送水ホースを介して供給される冷却水を該冷却器具から放水する工程とからなることを特徴とするオートクレーブの冷却方法。
  5. 前記上部ノズルから差し込んだ前記冷却器具を、その中心軸を中心として定期的に回転させて前記散水管の複数の貫通孔からの放水方向を変更することを特徴とする、請求項4に記載のオートクレーブの冷却方法。
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