JP7415316B1 - オートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レべル調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高圧硫酸浸出工程において、立下げの際のオートクレーブ液レベル調整を温度基準で実施することにより、オートクレーブ液レベル調整遅れによる設備稼働率の低下を防止する方法を提供する。【解決手段】 内部に液を保有するオートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レベル調整方法であって、前記オートクレーブ内の液温度は操業温度C[℃]から降温目標温度D[℃]まで、降温速度αE[℃/時](αは降温速度係数、Eは降温速度上限値である。)以下で降温させ、該降温中、前記オートクレーブの液レベルは、降温目標温度D[℃]よりもNd[℃](Nは降温段数、dは基準降温幅である。)高い温度「D+Nd[℃]」までオートクレーブの操業液レベルA[%]を維持したあと、D+Nd[℃]から降温目標温度D[℃]までの間にオートクレーブの液レベルを決められた手順により下げ始めることを特徴とするオートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レベル調整方法。【選択図】 図5
Description
ニッケル酸化鉱石の高温加圧硫酸浸出法における、浸出工程のオートクレーブを降温する際のオートクレーブ液レベルの管理技術に関する。
ニッケル酸化鉱石から有価金属を回収する湿式製錬法として、高温加圧硫酸浸出法が注目されている。
この方法は、乾燥や焙焼等の乾式処理工程を含まないため、エネルギーコストを抑えることができる点で優れている。
この方法は、乾燥や焙焼等の乾式処理工程を含まないため、エネルギーコストを抑えることができる点で優れている。
一般的に、高温加圧硫酸浸出法によってニッケル酸化鉱石から浸出されたニッケル及びコバルトを含む硫酸溶液は、硫化水素ガスなどの硫化剤を添加することによりニッケル及びコバルト品位を高めた混合硫化物として回収される。
湿式製錬方法プロセスの一つである高温加圧硫酸浸出法にて、低品位ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する方法を図1に示す。低品位ニッケル酸化鉱石を所定のNi品位、不純物品位となるように混合し、それらを水と混合してスラリー化したものを篩にかけ、篩下の鉱石のみを使用する。その後、スラリー化した鉱石をオートクレーブに供給して、硫酸溶液・高温・加圧下で鉱石中のニッケルを浸出させる。浸出液スラリー中の残留遊離酸は石灰石を用いて予備中和工程にて中和し、固液分離工程に送られる。固液分離工程で分離された浸出残渣は最終中和工程にて重金属類を所定の濃度まで除去したのちテーリングダムと呼ばれる貯留ダムへと送液する。
一方、固液分離にて得られた貴液(上澄液)は、中和工程、浄液工程を経た後、硫化工程にて硫化水素ガスを用いてニッケル、コバルト混合硫化物として回収する。硫化工程でニッケル回収した後の貧液(硫化後液)は、一部は予備中和工程後の固液分離工程で浸出残渣スラリー洗浄のために再利用され、余剰分は最終中和工程に送液される。最終中和工程では、中和剤(石灰石及び消石灰)により貧液(硫化後液)のpHを上昇させ不純物を固定化させている。
高圧硫酸浸出工程では、高温、高圧力条件下で硫酸を添加することにより、低品位ニッケル酸化鉱石から効率的にニッケルを浸出しているが、付帯設備を補修する際には、水循環による降温および脱圧弁からの排気による脱圧により大気圧まで脱圧することで設備の一時休止を準備している。オートクレーブの降温、脱圧を実施する際には、急激な降温によるオートクレーブ缶体とTiライニングの熱膨張率差によるTiライニング損傷、オートクレーブ各室の温度差過剰によるオートクレーブ缶体の熱膨張差による缶体ねじれ、といった点から降温速度の上限が設けられており、設備を稼働させる時間を最大限に確保するため、上限近い速度を維持しながら降温している。
また、一時休止が近づいたオートクレーブにおける液レベル調整については、缶体全体の温度を可能な限り均一に降温する為、液レベルは降温中85%~95%程度と高く保つことが望ましい。95%を上限としているのは、100%以上の液レベルはレベル計の指示値が表示されず管理できない上、液レベルが100%に到達してしまうとオートクレーブ内のスラリーが撹拌機のシール部分の隙間に入り込み、シールを損傷させる可能性が高くなるためである。
一方で、一時休止の準備完了時点で液レベルが高いと、オートクレーブ立ち上げの昇温時に高圧蒸気を直接液に吹き込むため液レベルが100%に到達してしまい、上述したように撹拌機のメカニカルシールを損傷させる可能性がある。このため、一時休止の準備完了時点では液レベルはなるべく下げておくことが望ましい。オートクレーブ内部を補修する際には、オートクレーブ内の液は全て払出すが、オートクレーブの付帯設備を補修する際には、オートクレーブの冷却効率を最大限に維持する為、撹拌機を稼働し続けることができるレベルを下限とし液レベルの調整を実施する。
従来は降温速度から逆算される降温完了時間を元に、その完了2時間前から段階的に液レベルを低下させ、降温完了時点で撹拌機停止レベルまで低下させるといった手順を踏んでいた。しかし、この方法では、降温速度がばらついた際に、降温完了時点でオートクレーブの液レベル下げが完了しておらず、液レベル下げが終わるまではオートクレーブの付帯設備の補修に着手できない事態が度々発生していた。
このようなオートクレーブの降温、或いは停止、冷却方法に関しては、例えば特許文献1~8で、採り上げられているが、オートクレーブ液レベル調整については触れられていない。
このようなオートクレーブの降温、或いは停止、冷却方法に関しては、例えば特許文献1~8で、採り上げられているが、オートクレーブ液レベル調整については触れられていない。
従来、オートクレーブの一時休止の際、オートクレーブ液レベル調整を予想温度に基づいて実施していたが、温度が低下し、オートクレーブの圧力が低下した後に、その液レベルを下げようとしても、圧力不足でオートクレーブ液レベルを下げるのに時間を要する事態が発生していた。
そのような状況に鑑み、本発明は高圧硫酸浸出工程において、一時休止に向けたオートクレーブ液レベル調整を実測温度に基づいて実施することにより、オートクレーブ液レベル調整の遅れによる設備稼働率の低下を防止する方法を提供するものである。
そのような状況に鑑み、本発明は高圧硫酸浸出工程において、一時休止に向けたオートクレーブ液レベル調整を実測温度に基づいて実施することにより、オートクレーブ液レベル調整の遅れによる設備稼働率の低下を防止する方法を提供するものである。
本発明の第一の態様は、内部に液を保有するオートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レベル調整方法であって、前記オートクレーブ内の液温度は操業温度C[℃]から降温目標温度D[℃]まで、降温速度αE[℃/時](αは降温速度係数、Eは、降温速度上限値である。)以下で降温させ、該降温中、前記オートクレーブの液レベルは、降温目標温度D[℃]よりNd[℃](Nは降温段数、dは基準降温幅である。)高い温度「D+Nd[℃]」までオートクレーブの操業液レベルA[%]を維持したあと、D+Nd[℃]から降温目標温度D[℃]までの間にオートクレーブの液レベルを下記手順により下げ始めることを特徴とするオートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レベル調整方法。
(記)
「D+Nd[℃]」からd[℃]降温する毎に、「(A-B)/N」[%]だけオートクレーブ液レベルを低下させ、降温目標温度D[℃]到達時にオートクレーブ液レベルが降温完了目標液レベルB[%]に到達し、オートクレーブ排出弁を閉とする。
「D+Nd[℃]」からd[℃]降温する毎に、「(A-B)/N」[%]だけオートクレーブ液レベルを低下させ、降温目標温度D[℃]到達時にオートクレーブ液レベルが降温完了目標液レベルB[%]に到達し、オートクレーブ排出弁を閉とする。
本発明の第二の態様は、第一の態様における操業液レベルAが、70~90[%]、降温完了目標液レベルBが、30~50[%]、操業温度Cが220~280[℃]、降温目標温度Dが100[℃]、降温速度上限値Eが8~80[℃/時]、降温速度係数αが0.8~1.0、降温段数Nが2~6、降温幅dが5~20[℃]であることを特徴とするオートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レベル調整方法である。
本発明によれば、従来の調整とは異なり、温度で液レベル調整開始時間を調整するため、液レベル調整開始時のオートクレーブ圧力が毎回同じであり、オートクレーブ圧力が下がりすぎて液レベル調整に時間がかかるということ防止することができ、工業上顕著な効果を奏するものである。
本発明の液レベル調整方法を説明する前に、従来の方法についての概略を先ず述べる。
[従来のレベル調整方法]
従来のレベル調整方法では、図2に示すように、オートクレーブの操業液レベルをA[%]に維持した状態で、操業温度C[℃]から降温目標温度D[℃]まで、降温速度上限E[℃/時]以下の降温速度で降温を実施する。
その降温作業中の降温速度はE[℃/時]に可能な限り近づけるよう調整を実施していたが、オートクレーブ降温時の降温速度実績から降温完了時間の計算では0.8E[℃/時]を見込み、降温完了時間は(C-D)/0.8Eとしている。
オートクレーブ液レベル調整については、降温完了時間2時間前「(C-D)/0.8E-2」からオートクレーブの液レベルを30分毎に(A-B)/4[%]低下させている。
[従来のレベル調整方法]
従来のレベル調整方法では、図2に示すように、オートクレーブの操業液レベルをA[%]に維持した状態で、操業温度C[℃]から降温目標温度D[℃]まで、降温速度上限E[℃/時]以下の降温速度で降温を実施する。
その降温作業中の降温速度はE[℃/時]に可能な限り近づけるよう調整を実施していたが、オートクレーブ降温時の降温速度実績から降温完了時間の計算では0.8E[℃/時]を見込み、降温完了時間は(C-D)/0.8Eとしている。
オートクレーブ液レベル調整については、降温完了時間2時間前「(C-D)/0.8E-2」からオートクレーブの液レベルを30分毎に(A-B)/4[%]低下させている。
なお、オートクレーブの操業液レベルとは、オートクレーブで被加熱対象物である鉱石スラリーを加熱加圧処理する際にオートクレーブに保有されるスラリーの液量であり、通常はオートクレーブの内容積の50%以上であり、たとえば80%程度に保つように70~90%の範囲でスラリーの出入りの量を管理する。
オートクレーブの操業温度とは、オートクレーブで被加熱対象物である鉱石スラリーを加熱加圧処理する際にオートクレーブに保有されるスラリーの温度であり、通常は200℃以上であり、たとえば250℃に保つように220~280℃の範囲でスラリーを加熱する。
オートクレーブの一時休止を準備し始める時点では、オートクレーブの液レベルはオートクレーブの操業液レベルで、オートクレーブの温度(たとえばオートクレーブ内に温度計を挿入しておく等により測定)はオートクレーブの操業温度となっている。
オートクレーブの一時休止を準備し始める時点では、オートクレーブの液レベルはオートクレーブの操業液レベルで、オートクレーブの温度(たとえばオートクレーブ内に温度計を挿入しておく等により測定)はオートクレーブの操業温度となっている。
このようなレベル調整方法により、降温目標温度D[℃]到達時に、オートクレーブ液レベルが降温時のオートクレーブ目標液レベルB[%]に到達し、オートクレーブ排出弁を閉とすることを意図している。
この場合、設定した降温速度よりも早くなった場合には、予定時間からレベルを下げようとするとオートクレーブ圧力が下がりすぎてしまい、オートクレーブ液レベルを低下させるのに時間を要してしまい、結果オートクレーブの排出弁閉の予定時間を過ぎてしまうことが多々あった。
この場合、設定した降温速度よりも早くなった場合には、予定時間からレベルを下げようとするとオートクレーブ圧力が下がりすぎてしまい、オートクレーブ液レベルを低下させるのに時間を要してしまい、結果オートクレーブの排出弁閉の予定時間を過ぎてしまうことが多々あった。
上記のような従来の調整方法の問題を解消すべく、以下の本発明に至った。
[本発明の液レベル調整方法]
本発明の液レベル調整方法は、オートクレーブの操業液レベルをA[%]に維持した状態で、操業温度C[℃]から降温目標温度D[℃]まで、降温速度αE[℃/時]以下で降温を実施する点は従来の方法と同様である。
ここで、αは0.8~1.0程度の安全率であるが、設備を稼働させる時間を最大限に確保するため、温度制御の精度が許す範囲で高い値をαとして選択し、その値を維持しながら降温する。
又、降温速度上限値Eはオートクレーブ構成材料に固有の値であるが、溶接の出来や、異種材料のライニング・貼り合わせの有無などによって千差万別である。たとえば8~80[℃/時]の範囲でEを選定する。
[本発明の液レベル調整方法]
本発明の液レベル調整方法は、オートクレーブの操業液レベルをA[%]に維持した状態で、操業温度C[℃]から降温目標温度D[℃]まで、降温速度αE[℃/時]以下で降温を実施する点は従来の方法と同様である。
ここで、αは0.8~1.0程度の安全率であるが、設備を稼働させる時間を最大限に確保するため、温度制御の精度が許す範囲で高い値をαとして選択し、その値を維持しながら降温する。
又、降温速度上限値Eはオートクレーブ構成材料に固有の値であるが、溶接の出来や、異種材料のライニング・貼り合わせの有無などによって千差万別である。たとえば8~80[℃/時]の範囲でEを選定する。
一方、オートクレーブの液レベル調整については、操業液レベルAを70~90[%]、降温完了目標液レベルBを30~50[%]、操業温度Cを220~280[℃]、降温目標温度Dが100[℃]、降温段数Nを2~6、降温幅dを5~20[℃]とする範囲の下で、図3に示すように、降温目標温度D[℃]よりNd[℃]高い温度「D+Nd[℃]」に到達した時点で、オートクレーブの液レベルを下記手順で下げ始める。
「D+Nd[℃]」からd[℃]降温する毎に、「(A-B)/N」[%]だけオートクレーブのレベルを低下させ、降温目標温度D[℃]到達時にオートクレーブ液レベルが降温完了目標液レベルB[%]に到達し、オートクレーブ排出弁を閉とする。
降温段数Nが2以上であれば、レベルを低下させる操作を2段階以上に分けて行うことができ、温度に対応した液レベルに制御することができる。降温段数Nが6以下であれば、レベルを低下させる操作に要する手間が少ない(たとえば20分に1回で済む)。降温幅dが5℃以上であれば、一般的な温度計を用いて測定誤差にあまり影響されずに手順を進めることができる。降温幅dが20℃以下であれば、温度が想定値からずれてもあまり遅れることなく対処することができる。
降温段数Nが2以上であれば、レベルを低下させる操作を2段階以上に分けて行うことができ、温度に対応した液レベルに制御することができる。降温段数Nが6以下であれば、レベルを低下させる操作に要する手間が少ない(たとえば20分に1回で済む)。降温幅dが5℃以上であれば、一般的な温度計を用いて測定誤差にあまり影響されずに手順を進めることができる。降温幅dが20℃以下であれば、温度が想定値からずれてもあまり遅れることなく対処することができる。
なお、降温目標温度Dは90~110℃である。
110℃以下であれば、仮にオートクレーブ周辺のバルブを開放するような作業があっても圧力の微調整などにより液の吹き出しを最小限に抑えられ、安全に作業ができる。90℃以上であれば、オートクレーブの運転を再開する際に加熱する手間が小さくすむ。特に、オートクレーブが1気圧に保たれる100℃が好適である。
110℃以下であれば、仮にオートクレーブ周辺のバルブを開放するような作業があっても圧力の微調整などにより液の吹き出しを最小限に抑えられ、安全に作業ができる。90℃以上であれば、オートクレーブの運転を再開する際に加熱する手間が小さくすむ。特に、オートクレーブが1気圧に保たれる100℃が好適である。
オートクレーブの降温完了目標液レベルBは30~50%である。50%以下であれば、補修中にオートクレーブから液が溢れる心配がない。30%以上であれば、保温効果が期待できるとともに、オートクレーブの運転を再開する際にスラリーを充填する手間が小さくすむ。なお、オートクレーブの過度な温度低下を防ぐため、オートクレーブ目標液レベルに達した後で蒸気の吹き込みや高温の液の供給などにより液レベルを目標液レベルから幾分上昇させてもよい。
本発明は、目標値に向けて段階的に温度と液レベルを調整し、温度と液レベルの調整は、一方が他方よりも先行することのないよう足並みを揃えるので、温度と液レベルを精度よく目標値へ到達させることができ、遅れも少ない。
従来の予想温度(予想温度から逆算した時刻)に基づく調整方法に比べると、温度または液レベルが想定値からずれた場合に対処が容易である。実測温度に基づいてレベル調整開始時間が決まるため、レベル調整開始時のオートクレーブ圧力が温度に対応する既知の値となることから、オートクレーブ圧力が下がりすぎてレベル調整に時間がかかるという事態も防止することができる。
従来の予想温度(予想温度から逆算した時刻)に基づく調整方法に比べると、温度または液レベルが想定値からずれた場合に対処が容易である。実測温度に基づいてレベル調整開始時間が決まるため、レベル調整開始時のオートクレーブ圧力が温度に対応する既知の値となることから、オートクレーブ圧力が下がりすぎてレベル調整に時間がかかるという事態も防止することができる。
以下に、実施例を用いて本発明を詳述する。
(従来例)
従来の方法でオートクレーブの降温を実施した例を図4に示す。
従来の方法に従い、降温速度上限を25[℃/時]以下で、降温速度20[℃/時]となる設定条件で降温を進め、オートクレーブ液レベルの下げ開始時間を15:45に設定した。
温度の推移は実際には平均降温速度に換算して約23[℃/時]で進んだ結果、従来の方法で計算される降温完了時間よりも、実際の降温完了時間は早まる結果となった。
これにより、オートクレーブ液レベルの下げ開始時間15:45は、実際の降温完了時間16:45のわずか約1時間前に位置することとなってしまい、降温完了が近く、すなわち温度の低いオートクレーブは圧力が低いことから、オートクレーブ液レベルを速やかに下げることが出来ず、降温完了時点で降温完了目標レベル40[%]に対し77[%]と高い値となった。
その結果、降温は完了していたものの降温完了目標レベルまで下げる作業に時間を要し、降温完了目標温度到達後1時間6分後に排出弁閉となった。
従来の方法でオートクレーブの降温を実施した例を図4に示す。
従来の方法に従い、降温速度上限を25[℃/時]以下で、降温速度20[℃/時]となる設定条件で降温を進め、オートクレーブ液レベルの下げ開始時間を15:45に設定した。
温度の推移は実際には平均降温速度に換算して約23[℃/時]で進んだ結果、従来の方法で計算される降温完了時間よりも、実際の降温完了時間は早まる結果となった。
これにより、オートクレーブ液レベルの下げ開始時間15:45は、実際の降温完了時間16:45のわずか約1時間前に位置することとなってしまい、降温完了が近く、すなわち温度の低いオートクレーブは圧力が低いことから、オートクレーブ液レベルを速やかに下げることが出来ず、降温完了時点で降温完了目標レベル40[%]に対し77[%]と高い値となった。
その結果、降温は完了していたものの降温完了目標レベルまで下げる作業に時間を要し、降温完了目標温度到達後1時間6分後に排出弁閉となった。
本発明の方法で液レベル調整を実施した例を図5に示す。
降温速度上限Eは25[℃/時]以下、α=0.8に相当する降温速度20[℃/時]、降温幅d=10[℃]、降温段数N=4、Nd=40[℃]で降温した。
降温完了目標温度「100℃」+40℃に相当する140℃に到達した17:47からオートクレーブの液レベル調整を開始した結果、降温完了目標温度100[℃]到達時点でオートクレーブ液レベルが降温完了目標レベル40[%]に対し、52[%]まで低下させることが出来ていた。
この結果、降温完了目標温度到達から排出弁閉までの時間は34分と、実施例1と比較して32分降温時間を短縮することが出来た。
降温速度上限Eは25[℃/時]以下、α=0.8に相当する降温速度20[℃/時]、降温幅d=10[℃]、降温段数N=4、Nd=40[℃]で降温した。
降温完了目標温度「100℃」+40℃に相当する140℃に到達した17:47からオートクレーブの液レベル調整を開始した結果、降温完了目標温度100[℃]到達時点でオートクレーブ液レベルが降温完了目標レベル40[%]に対し、52[%]まで低下させることが出来ていた。
この結果、降温完了目標温度到達から排出弁閉までの時間は34分と、実施例1と比較して32分降温時間を短縮することが出来た。
Claims (2)
- 内部に液を保有するオートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レベル調整方法であって、
前記オートクレーブ内の液温度は操業温度C[℃]から降温目標温度D[℃]まで、降温速度αE[℃/時](αは降温速度係数、Eは降温速度上限値である。)以下で降温させ、該降温中、前記オートクレーブの液レベルは、降温目標温度D[℃]よりもNd[℃](Nは降温段数、dは基準降温幅である。)高い温度「D+Nd[℃]」までオートクレーブの操業液レベルA[%]を維持したあと、D+Nd[℃]から降温目標温度D[℃]までの間にオートクレーブの液レベルを下記手順により下げ始めることを特徴とするオートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レベル調整方法。
(記)
「D+Nd[℃]」からd[℃]降温する毎に、「(A-B)/N」[%]だけオートクレーブ液レベルを低下させ、降温目標温度D[℃]到達時にオートクレーブ液レベルが降温完了目標液レベルB[%]に到達し、オートクレーブ排出弁を閉とする。 - 前記操業液レベルAが、70~90[%]、降温完了目標液レベルBが、30~50[%]、操業温度Cが220~280[℃]、降温目標温度Dが100[℃]、降温速度上限値Eが8~80[℃/時]、降温速度係数αが0.8~1.0、降温段数Nが2~6、降温幅dが5~20[℃]であることを特徴とする請求項1に記載のオートクレーブの休止に向けた降温時のオートクレーブ液レベル調整方法。
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