JP2020132945A - 硫化反応設備及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 脱気槽内の圧力が上昇しても、後段の除害設備に高負荷の排ガスが流入して硫化反応設備が緊急停止する問題が生じることのない硫化反応設備の運転方法を提供する。【解決手段】 直列に接続した硫化反応槽1〜3に少なくともニッケルを含む硫酸塩溶液を導入すると共に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を生じさせることでニッケルを含む硫化物を生成した後、該硫化物を含むスラリーを最下流の硫化反応槽3から脱気槽6に移送して硫化水素ガスを該スラリーから脱気させる硫化反応設備の運転方法であって、脱気槽6の槽内圧力が例えば通常操業時の運転圧力である負圧の値の7%以上20%以下の規定値以上になったときに硫化反応槽3から脱気槽6への該スラリーの移送を遮断する。【選択図】 図4

Description

本発明は、硫化反応設備及びその運転方法に関し、特に、ニッケルを含む酸化鉱石に硫酸を加えて高温高圧下で酸浸出処理することで得られる硫酸塩水溶液に対して、硫化水素ガスを吹き込んでニッケルを含む硫化物の生成を行う硫化反応設備及びその運転方法に関する。
ニッケル酸化鉱石を原料とするニッケル湿式製錬の分野においては、高温高圧下で該ニッケル酸化鉱石を酸浸出処理するHPAL(High Pressure Acid Leach)法と称する高圧酸浸出法が既に実用化されており、低ニッケル品位鉱石からニッケル、コバルトなどの有価金属を効率よく回収することが行われている。このHPAL法では、ニッケル酸化鉱石の酸浸出により上記のニッケル、コバルト等の有価金属を含有する浸出液が得られるため、該浸出液に加圧下で硫化水素ガス等の硫化剤を添加することにより、該有価金属を硫化物として回収することが一般的に行われている。
例えば、HPAL法により原料のニッケル酸化鉱石からニッケルコバルト混合硫化物を製造する方法は、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で酸浸出することで、ニッケル及びコバルトのほか不純物元素として亜鉛を含有する粗硫酸ニッケル水溶液を得る酸浸出工程と、該酸浸出工程で得た粗硫酸ニッケル水溶液を脱亜鉛反応槽内に導入し、次いで硫化水素ガスを添加して該粗硫酸ニッケル水溶液中に含まれる亜鉛を硫化し、得られた亜鉛硫化物を固液分離により除去して脱亜鉛終液を得る脱亜鉛工程と、上記脱亜鉛工程で得た脱亜鉛終液を硫化反応槽内に導入し、次いで硫化水素ガスを添加して該脱亜鉛終液中に含まれるニッケル及びコバルトを硫化し、得られたニッケルコバルト混合硫化物を含むスラリーを固液分離して該ニッケルコバルト混合硫化物を回収する硫化反応工程と、上記脱亜鉛工程及び硫化反応工程で発生する排ガス中の硫化水素ガスを除害設備に導入して除害処理する除害工程とを一般的に有している。
上記の硫化反応工程においては、特許文献1に開示されているように、ニッケルコバルト混合硫化物を含むスラリーを脱気槽に導入して未反応の硫化水素ガスを脱気した後、該ニッケルコバルト混合硫化物を製錬廃液から固液分離することが行われている。この場合、脱気槽の圧力は0kPaG以下の負圧であれば特に限定されるものではないが、−70kPaG以上の負圧に維持することが好ましいと記載されている。
特開2010−031302号公報
しかしながら、上記の脱気槽を負圧に維持する真空ポンプに何らかの問題が発生して停止した場合、脱気槽内の圧力が上昇して脱気効果が低減し、未反応の硫化水素ガスを高濃度に含むスラリーが固液分離を行うシックナーへ持ち込まれることになる。その結果、該シックナーの気相部を経由して除害設備に処理能力を超える高濃度の硫化水素ガスが導入されることがあった。この場合、例えば該除害設備から排出される排ガスのダクトに設けたセンサーによって、該排ガス中の硫化水素濃度が工場自主基準値以上であることが検知されると、該硫化反応工程を行う硫化反応設備が緊急停止することになる。
本発明はかかる従来の硫化反応設備が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、HPAL法の硫化反応工程を行う硫化反応設備において、真空ポンプのトラブル等により脱気槽内の圧力が上昇しても、後段の除害設備に高負荷の排ガスが流入して硫化反応設備が緊急停止する問題が生じることのない硫化反応設備及びその運転方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の硫化反応設備の運転方法は、硫化反応槽内に少なくともニッケルを含む硫酸塩溶液を導入すると共に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を生じさせることでニッケルを含む硫化物を生成した後、該硫化物を含むスラリーを該硫化反応槽から脱気槽に移送して硫化水素ガスを該スラリーから脱気させる硫化反応設備の運転方法であって、該脱気槽内の圧力が規定値以上になったときに該硫化反応槽から該脱気槽への該スラリーの移送を遮断することを特徴とする。
また、本発明の硫化反応設備は、少なくともニッケルを含む硫酸塩溶液が導入されると共に硫化水素ガスが吹き込まれることでニッケルを含む硫化物の生成が行われる硫化反応槽と、該硫化反応槽から移送配管系を介して移送される該硫化物を含むスラリーを受け入れて脱気処理を行う脱気槽とからなる硫化反応設備であって、該脱気槽内の圧力が規定値以上になったときに該硫化反応槽から該脱気槽への該スラリーの移送を遮断する弁が該移送配管系に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、脱気槽において異常な圧力上昇が生じても、後段の除害設備の負荷上昇による硫化反応設備の緊急停止や環境への高濃度硫化水素ガスの放出を防ぐことができる。
本発明の硫化反応設備が好適に実施されるニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法の一具体例を示す工程図である。 本発明の硫化反応設備の一具体例を示す概略のプロセスフロー図である。 図2の硫化反応設備の後段に設けられている除害設備の概略の立面図である。 図2の硫化反応設備が有する脱気槽及びその圧力制御系を前段の第3硫化反応槽と共に示すフロー図である。
1.HPALプロセス
先ず、本発明の実施形態の硫化反応設備が好適に適用されるHPALプロセスについて図1を参照しながら説明する。この図1に示すHPALプロセスは、粉砕及び篩別等の前処理により所定の粒度に調整されたニッケル酸化鉱石に水を加えてスラリー状に調製された鉱石スラリーに対して、硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施した後、必要に応じてpH調整剤を添加することで不純物元素を含む中和澱物を生成し、得られた中和スラリーを好適には多段洗浄を行いながら固液分離することで、ニッケル及びコバルトのほか不純物として主に亜鉛を含む粗硫酸ニッケル水溶液を浸出残渣から分離する酸浸出工程S1と、該粗硫酸ニッケル水溶液に硫化剤を添加することで亜鉛硫化物を生成し、これを分離除去してニッケル及びコバルトを含む脱亜鉛終液を得る脱亜鉛工程S2と、該脱亜鉛終液に硫化剤を添加することでニッケルコバルト混合硫化物を生成した後、固液分離により該混合硫化物を回収する硫化反応工程S3と、上記脱亜鉛工程S2及び硫化反応工程S3から排出される排ガスを除害化する除害化工程S4とを有している。以下、これら工程の各々について説明する。
(1)酸浸出工程S1
酸浸出工程S1では、先ず原料としてのニッケル酸化鉱石をジョークラッシャーなどの粉砕機に投入して粉砕処理した後、該粉砕処理された鉱石を好ましくは乾式分級により粗大な鉱石や夾雑物を除去してから、所定の目開きを有するスクリーンに適量の水と共に導入することで湿式分級を行う。これにより、所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を鉱石スラリーの形態で篩下側に回収することができる。
この原料として用いるニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は、一般に0.8〜2.5質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含まれている。このニッケル酸化鉱石は、鉄の含有量が10〜50質量%であり、これは主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態を有しており、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含まれている。上記原料には、上記のラテライト鉱のほか、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する例えば深海底に賦存するマンガン瘤等の酸化鉱石が用いられることがある。
上記の鉱石スラリーをオートクレーブと称する圧力容器に装入し、更に上記原料の鉱石中の鉄が浸出される程度に過剰に硫酸を添加して該鉱石スラリーを攪拌しながら3〜4.5MPaG、220〜280℃程度の高温高圧条件下で酸浸出処理を施す。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われ、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。
上記浸出スラリーは、次に好適には向流洗浄法(CCD法)により固液分離が行われる。この向流洗浄法は、直列に連結した複数基のシックナーにおいて該浸出スラリーと洗浄液とを互いに向流に流すことによって、多段洗浄しながら重力沈降による固液分離を行って浸出残渣を除去するものである。これにより、ニッケル及びコバルトのほか亜鉛等の不純物元素を含む粗硫酸ニッケル水溶液を効率よく浸出残渣から除去することが可能になる。
上記シックナーから濃縮スラリーの形態で抜き出される浸出残渣は、必要に応じて重金属等の除去処理が行われた後、テーリングダムに移送される。なお、上記洗浄液にはpH1.0〜3.0程度の水溶液を用いることが好ましく、後工程の硫化反応工程S3から排出されるニッケル貧液が好適に利用される。また、この酸浸出工程S1では、必要に応じて上記粗硫酸ニッケル水溶液に炭酸カルシウム等のpH調整剤を添加してpH調整することで遊離硫酸(浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸)を中和したり、上記粗硫酸ニッケル水溶液中に含まれる主に3価の鉄イオンやアルミニウムイオン等の不純物を中和澱物として除去したりすることが行われる。
(2)脱亜鉛工程S2
脱亜鉛工程S2では、微加圧された脱亜鉛反応槽内に上記酸浸出工程S1で得た粗硫酸ニッケル水溶液を導入し、該脱亜鉛反応槽の気相中への硫化水素ガスの吹き込みなどによる硫化剤の添加により硫化処理を施す。これにより、ニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化して亜鉛硫化物を生成させることができる。この亜鉛硫化物を分離除去することで、ニッケル及びコバルトを含む硫酸塩溶液からなる脱亜鉛終液が得られる。
(3)硫化反応工程S3
硫化反応工程S3では、加圧された好ましくは複数の連続する硫化反応槽に上記脱亜鉛終液を導入し、この脱亜鉛終液に対して硫化水素ガス等の硫化剤を吹き込む。これにより、硫化反応を生じさせてニッケル及びコバルトを含むニッケルコバルト混合硫化物を生成させる。生成したニッケルコバルト混合硫化物を含むスラリーは脱気槽に導入され、ここで未反応の硫化水素ガスが脱気される。該脱気槽で脱気されたスラリーはシックナーに導入され、ここで沈降分離によりシックナー底部からニッケルコバルト混合硫化物が回収される。一方、該シックナー内で該ニッケルコバルト混合硫化物から分離した上澄液は、ニッケル貧液としてオーバーフローにより排出される。これら硫化反応槽、脱気槽、及びシックナーで主に構成される硫化反応設備については、後で詳細に説明する。なお、この硫化反応工程S3で処理される脱亜鉛終液にはFe、Al、Mn等の不純物金属イオンが各々数g/L程度含まれている場合があるが、これら不純物成分はニッケル及びコバルトに比べて硫化物としての安定性が低く、よって上記ニッケルコバルト混合硫化物にはほとんど含有されない。
(4)除害化工程S4
除害化工程S4では、上記脱亜鉛工程S2及び硫化反応工程S3から排出される未反応の硫化水素ガスを含む排ガスを除害設備として例えば充填物が充填された除害塔(スクラバーとも称する)の塔底に導入し、塔頂から流下する例えば苛性ソーダ水溶液などのアルカリ水溶液と向流気液接触させる。これにより、排出基準を満たすまで上記の排ガスを中和処理することができる。なお、除害された排ガス中の硫化水素濃度をモニターするため、該除害塔出口にはガス濃度検出器が設けられている。
2.硫化反応設備及びその運転方法
上記の硫化反応工程S3を行う硫化反応設備においては、有価金属であるニッケル及びコバルトの回収率を高めるため、図2に示すように直列に接続された例えば3基の加圧した硫化反応槽が用いられ、それらのうち最上流に位置する第1硫化反応槽1に、前工程の脱亜鉛工程S2で生成されたニッケル及びコバルトを含有する硫酸水溶液からなる硫化反応始液とも称する脱亜鉛終液が、好適には純度95〜99体積%の硫化水素ガスと共に供給される。なお、上記の脱亜鉛終液は、供給槽4及びその底部から抜き出される供給ポンプ5を介して第1硫化反応槽1に一定流量で供給するのが好ましい。また、後述するシックナーの底部から抜き出されるニッケルコバルト混合硫化物の一部を種晶として第1硫化反応槽1に繰り返してもよい。
第1硫化反応槽1で硫化処理された硫化反応始液は、後段の第2硫化反応槽2及び第3硫化反応槽3に順次移送され、上記した第1硫化反応槽1と同様に硫化処理される。これにより、ニッケルコバルト混合硫化物が生成される。なお、これら第2硫化反応槽2及び第3硫化反応槽3にも硫化水素ガスを直接供給してもよい。このようにして添加される硫化水素は、上記ニッケルコバルト混合硫化物の回収率を高めるため、ニッケル及びコバルトから硫化物を生成するのに必要な化学量論量よりも過剰な量が添加される。そのため、最下流に位置する第3硫化反応槽3の底部から排出されるニッケルコバルト混合硫化物を含むスラリーには、有価金属であるこれらニッケルやコバルトの硫化反応に寄与しなかった未反応の硫化水素が含まれている。
そこで、この第3硫化反応槽3の底部から排出されるニッケルコバルト混合硫化物を含む硫化物スラリーは、後述するシックナーに導入して重力沈降により該ニッケルコバルト混合硫化物を回収する前に脱気槽6に導入され、ここで該硫化物スラリーに含まれる硫化水素ガスの脱気処理が行われる。この脱気槽6から放出される硫化水素を含むガスには、脱気槽6において減圧によりフラッシュすることで生じる水蒸気が含まれているため、真空ポンプ7の後段に設けた冷却塔などの冷却設備8で該水蒸気を凝縮して硫化水素を含むガスから除去することが行われる。この水蒸気が除去された硫化水素を含むガスは、コンプレッサー9で昇圧された後、回収硫化水素ガスとして第1硫化反応槽1に繰り返される。
上記のように、本発明の実施形態の硫化反応設備は、硫化反応槽内での硫化反応を効率よく進行させるべく、硫化反応の反応液中に過剰の硫化水素を溶存させて硫化水素濃度を高濃度に維持しつつ、最下流の硫化反応槽から抜き出される硫化物スラリーに含まれる未反応の硫化水素ガスを脱気により回収して該硫化反応槽に繰り返すことで有効利用している。これにより、硫化水素ガスの消費量を増やすことなく反応効率を高めることができるうえ、後段のシックナーから排出される排ガスに含まれる硫化水素ガスの量を減らすことができるので、除害設備の負荷を大幅に低減することができる。
脱気槽6で硫化水素が除去された後の硫化物スラリーは、凝集剤と共にシックナー10に導入されて重力沈降による固液分離が行われ、濃縮スラリーの形態のニッケルコバルト混合硫化物が、シックナー底部からスラリーポンプ11により抜き出される。一方、このニッケルコバルト混合硫化物が分離された上澄液は、ニッケル貧液としてオーバーフローによりシックナー10から排出される。
上記のシックナー10では、脱気槽6で除去されなかった硫化水素ガスが放出されて気相部に蓄積するため、設備保護等の観点から常時気相部をファン等の排気装置によって吸引して除害設備に送っている。すなわち、図3に示すように、シックナーの気相部のガスはファン20により常時吸引されて除害設備21に導入される。この除害設備21には、例えば内部に充填物が充填されたスクラバーが好適に用いられ、循環ポンプ22により塔内を流下する苛性ソーダ水溶液等のアルカリ水溶液に上記ガスを向流気液接触させることで、中和反応により該ガス中の硫化水素がアルカリ水溶液に吸収される。これにより、環境基準値よりも安全側に設定される工場自主基準値以下の濃度まで硫化水素を除害することができるので、そのまま塔頂部から大気に排出することができる。
なお、上記のシックナー10からオーバーフローするニッケル貧液はニッケル貧液貯留槽12に移送され、ここで一時的に保持された後、ニッケル貧液ポンプ13により無害化工程に送られて中和処理が施される。このニッケル貧液貯留槽12では必要に応じてブロワー(図示せず)によって空気を吹き込んで曝気処理を行ってもよく、これにより上記の脱気槽6及びシックナー10で除去されなかった溶存硫化水素をニッケル貧液から放出することができる。
上記したように、硫化反応槽における反応効率を高めるために過剰に吹き込まれている硫化水素ガスを脱気により回収する脱気槽6の槽内圧力は、真空ポンプ7及びコンプレッサー9により大気圧以下の負圧に常時保たれている。そのため、真空ポンプ7やコンプレッサー9等のトラブルにより脱気槽6の槽内圧力を正常な負圧状態に維持できないことがあった。例えば真空ポンプ7では過電流による停止やポンプ封水流量不足による緊急停止等の設備トラブルを完全に無くすことはできないため、かかる真空ポンプ7の停止に伴って脱気槽6の槽内圧力が大気圧近傍まで上昇することがあった。
この場合、真空ポンプ7の上記停止トラブルが早期に解消され、速やかに脱気槽6での通常の脱気処理を再開することができれば特に問題はなく、硫化反応設備をそのまま継続して運転することができるが、真空ポンプ7の停止が長期化した場合、脱気槽6の槽内圧力の上昇により脱気効果が低減し、高濃度の未反応硫化水素ガスが後段のシックナー10に持ち込まれることになる。その結果、該シックナー10の気相部を経由して除害設備に処理負荷を超える高濃度の硫化水素ガスが流入し、該除害設備出口に設けたセンサーで排ガス中の硫化水素濃度が工場自主基準値以上であることが検知されると、硫化反応設備が自動的に緊急停止する事態に至る。
そこで、本発明の実施形態の硫化反応設備は、図4に示すように、最下流に位置する第3硫化反応槽3の底部から排出した未反応の硫化水素を含んだ硫化物スラリーを脱気槽6に移送する移送配管系30に流量調節弁31及び緊急遮断弁32を設けると共に、該脱気槽6に圧力計を含む圧力伝送装置33を設ける。そして、該圧力伝送装置33の出力値を集中制御室に設けた例えば中央処理装置(CPU)34により連続的にモニターし、その圧力値が規定の圧力値以上に上昇したと判断したとき、該CPU34は上記の流量調節弁31及び緊急遮断弁32に全閉の信号を出力する。これにより、前段の第3硫化反応槽3から排出される未反応の硫化水素ガスを含んだ硫化物スラリーが、脱気能力の低下した脱気槽6に流入するのを遮断することができる。よって、除害設備から排出される排ガス中の硫化水素濃度が工場自主基準値を超過する問題を防ぐことができる。
なお、上記の流量調節弁31及び緊急遮断弁32を全閉する信号を出力する際、第1〜第3硫化反応槽1〜3への硫化水素ガスの供給を停止すると共に供給ポンプ5の吐出側の脱亜鉛終液の供給先を第1硫化反応槽1から供給槽4に切り替えるか、あるいは供給ポンプ5の運転を停止するのが好ましい。この場合、供給槽4の容量に余裕を持たせておくことで、硫化反応工程S3の前工程の酸浸出工程S1や脱亜鉛工程S2が停止するまでの時間に猶予を持たせることができる。また、上記の流量調節弁31は、第3硫化反応槽3に設けたレベル計に基づいて開度を調整するものでもよいし、移送配管系30に設けた流量計に基づいて開度を調整するものでもよい。
上記の脱気槽6への硫化物スラリーの遮断の要否の基準となる脱気槽6の槽内圧力の規定値は、低ければ低いほど(すなわち、負圧が強ければ強いほど)脱気槽6の槽内圧力が定常状態からわずかに上昇しただけで硫化物スラリーの脱気槽6への流入を遮断できるので、高濃度の硫化水素ガスが除害設備に持ち込まれる可能性が低くなり、よって高濃度の硫化水素ガスが大気に放出されるリスクが低減する。
しかしながら、脱気槽6の槽内圧力は通常はある程度変動するため、わずかな圧力上昇で硫化反応設備を停止させるのは生産性向上の観点から好ましくない。また、一時的に真空ポンプ7等が停止するトラブルが生じても、その原因が軽微な場合は、脱気槽6の槽内圧力が上昇して除害設備に悪影響が生じる前にトラブルが解消し、真空ポンプ7の停止状態から通常運転状態に復帰させることができる場合が多い。従って上記規定値はこれらの事情を考慮して適宜定めるのが好ましい。
具体的には、上記の除害設備への悪影響や生産性の向上等を考慮すると、上記の脱気槽6への硫化物スラリーの流入の遮断の基準となる槽内圧力の規定値は、−15kPaG以上−5kPaG以下であるのが好ましい。すなわち、硫化反応工程S3において未反応の硫化水素ガスを高効率に回収して再利用するため、脱気槽6の通常操業時の運転圧力は一般的には−70kPaG以上−50kPaG以下の負圧で運転されるので、かかる負圧側の運転圧力の下限値の−70kPaGに対して7%以上20%以下の範囲内で脱気槽6への硫化物スラリーの流入を遮断するのが望ましい。この規定値が20%を超える場合、硫化反応設備が頻繁に停止してニッケルコバルト混合硫化物の生産性が低下するおそれがある。逆にこの規定値が7%未満の場合、除害設備から排出される排ガス中の硫化水素濃度が工場自主基準値を上回るおそれがある。
なお、上記の脱気槽6の通常操業時の運転圧力が−50PaGよりも大気圧側になれば、未反応の硫化水素ガスの回収率が低下するので好ましくない。逆にこの運転圧力が−70PaGよりも負圧側になれば、脱気槽6や第1〜第3硫化反応槽1〜3に用いる反応容器をより高い負圧に耐える構造にする必要が生じるので、設備コストが高くなる。次に、本発明の実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
<実施例1>
HPAL法により原料のニッケル酸化鉱石を高温高圧下で酸浸出処理することでニッケルコバルト混合硫化物を生成する湿式製錬プラントにおいて、図2に示すような硫化反応設備の脱気槽6に対して、図4に示すような圧力計を有する圧力伝送装置33を設けると共に、該圧力計で測定した圧力が規定値以上であるか否かを常時CPU34でモニターし、規定値以上であると判断したときに第3硫化反応槽3からの硫化物スラリーの移送配管系30に設けた流量調節弁31及び緊急遮断弁32を全閉するように制御した。
上記の脱気槽6は、通常の操業時において−70kPaG以上−50kPaG以下の負圧側で運転されるので、その下限値である−70kPaGに対して7%に該当する−5kPaGを上記規定値として運転を行った。その結果、20日間の連続運転のうち、真空ポンプ7の過電流による停止が2回発生し、それに伴い脱気槽6の槽内圧力が−5kPaGまで上昇した時、集中制御室に設けたCPU34から流量調節弁31及び緊急遮断弁32のアクチュエーターに閉信号が送られ、第3硫化反応槽3から脱気槽6への硫化物スラリーの流入が停止した。
その際、図3に示すような苛性ソーダ水溶液との向流気液接触を行うスクラバーからなる除害設備から排出される排ガスに含まれる硫化水素濃度は工場自主基準値の70%に留まり、通常操業時と同等の環境負荷を維持することができた。但し、脱気槽6への硫化物スラリーの流入が遮断されたため、稼働率が2%低下した。
<比較例1>
第3硫化反応槽3から脱気槽6への硫化物スラリーの流入を遮断する脱気槽6の槽内圧力の規定値を脱気槽6の通常の操業時の運転圧力の下限値−70kPaGに対して50%に該当する−35kPaGにした以外は上記実施例1と同様にして運転を行った。その結果、20日間の連続運転のうち、真空ポンプ7の過電流による停止が5回発生したが速やかに再起動することができた。しかし、脱気槽の圧力が−35kPaGまで一時的に上昇したことで集中制御室から信号が送られ、硫化反応設備が停止した。その際の除害設備の排ガス濃度は工場自主基準値の60%に留まり、環境負荷に影響はなかったが、脱気槽6への硫化物スラリーの流入が遮断されたため、稼働率が5%低下した。
<比較例2>
第3硫化反応槽3から脱気槽6への硫化物スラリーの流入を遮断する脱気槽6の槽内圧力の規定値を脱気槽6の通常の操業時の運転圧力の下限値−70kPaGに対して4%に該当する−3kPaGにした以外は上記実施例1と同様にして運転を行った。その結果、20日間の連続運転のうち、真空ポンプ7の過電流による停止が2回発生したが速やかに再稼働することができた。しかし脱気槽の圧力が−3kPaGまで一時的に上昇したことで集中制御室から信号が送られ、硫化反応設備が停止した。その際の除害設備の排ガス濃度は工場自主基準値の90%となり、環境負荷に影響はなかったものの、硫化反応設備が緊急停止する直前にまで至った。また、脱気槽6への硫化物スラリーの流入が遮断されたため、稼働率が2%低下した。
S1 酸浸出工程
S2 脱亜鉛工程
S3 硫化反応工程
S4 除害化工程
1 第1硫化反応槽
2 第2硫化反応槽
3 第3硫化反応槽
4 供給槽
5 供給ポンプ
6 脱気槽
7 真空ポンプ
8 冷却設備
9 コンプレッサー
10 シックナー
11 スラリーポンプ
12 ニッケル貧液貯留槽
13 ニッケル貧液ポンプ
20 ファン
21 除害設備
22 循環ポンプ
30 移送配管系
31 流量調節弁
32 緊急遮断弁
33 圧力伝送装置
34 CPU

Claims (5)

  1. 硫化反応槽内に少なくともニッケルを含む硫酸塩溶液を導入すると共に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を生じさせることでニッケルを含む硫化物を生成した後、該硫化物を含むスラリーを該硫化反応槽から脱気槽に移送して硫化水素ガスを該スラリーから脱気させる硫化反応設備の運転方法であって、該脱気槽内の圧力が規定値以上になったときに該硫化反応槽から該脱気槽への該スラリーの移送を遮断することを特徴とする硫化反応設備の運転方法。
  2. 前記規定値が前記脱気槽の通常操業時の運転圧力である負圧の値の7%以上20%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の硫化反応設備の運転方法。
  3. 前記通常操業時の運転圧力が、−70kPaG以上−50kPaG以下であることを特徴とする、請求項2に記載の硫化反応設備の運転方法。
  4. 前記スラリーの移送の遮断が前記硫化反応槽から前記脱気槽に至る移送配管系に設けた流量調節弁及び緊急遮断弁を両方とも閉じる操作であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の硫化反応設備の運転方法。
  5. 少なくともニッケルを含む硫酸塩溶液が導入されると共に硫化水素ガスが吹き込まれることでニッケルを含む硫化物の生成が行われる硫化反応槽と、該硫化反応槽から移送配管系を介して移送される該硫化物を含むスラリーを受け入れて脱気処理を行う脱気槽とからなる硫化反応設備であって、該脱気槽内の圧力が規定値以上になったときに該硫化反応槽から該脱気槽への該スラリーの移送を遮断する弁が該移送配管系に設けられていることを特徴とする硫化反応設備。
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