JP5332418B2 - オートクレーブの圧力調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は、オートクレーブの圧力調整方法に関し、さらに詳しくは、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、オートクレーブ内の温度変動に追随して、該オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧を制御することができるオートクレーブの圧力調整方法に関する。
従来、原料スラリーを、オートクレーブ(高圧反応容器)で高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセル(降温降圧容器)を含む高圧酸浸出工程において、通常、オートクレーブ内の圧力は、反応温度による飽和蒸気圧と外部から付加された浸出ガスの圧力とによる過大気圧で操業されている。
例えば、高温高圧下にスラリー中の硫化物からニッケル及びコバルトを塩素ガスで浸出する方法において、オートクレーブ内の圧力を任意の温度における蒸気圧よりも僅かに大きな過大気圧にすること(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。この方法では、オートクレーブ内の温度は、加熱装置の手段によって望ましい水準に維持されるため、その温度に対応する蒸気圧が生じる。このような条件下に、オートクレーブへ浸出剤である塩素ガスを注入することにより、オートクレーブ内の圧力が決められる。
ところで、一般に、上記高圧酸浸出工程で、浸出反応の制御は、温度のほかに、浸出剤による浸出反応の制御因子(pH、酸化還元電位)により行なわれるものである。例えば、上記塩素ガスで浸出する方法では、浸出液中の酸化還元電位で行なわれているので、オートクレーブ内の圧力は、直接的に制御されるものではなく、浸出操作の間、必ずしも安定又は一定ではなく、酸化還元電位の制御による塩素ガスの注入量により、変動するものである。
また、浸出剤が液体であり、反応によるガス発生がない場合には、一般にオートクレーブ内の圧力は、温度に伴う飽和蒸気圧によるものである。例えば、近年、ニッケル、コバルト等の有価金属を回収するため、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法として、オートクレーブを利用した高圧酸浸出法が採用されている。
前記高圧酸浸出法では、例えば、まず、鉱石処理工程で、粉砕設備及び篩別設備を用いて、所定のスラリー濃度の、2mm以下の鉱石を含む鉱石スラリーが調製される。次いで、前記鉱石スラリーは、高圧酸浸出工程に供給される。ここで、前記鉱石スラリーは、プレヒーター(昇温昇圧設備)で段階的に昇温及び昇圧された後、オートクレーブに供給される。前記オートクレーブ内では、硫酸により、鉱石中に含まれるニッケル及びコバルトとともに、鉄、アルミニウム、亜鉛などの不純物元素の一部も浸出され、これらを含有する浸出スラリーが得られる。続いて、前記浸出スラリーは、オートクレーブから、浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルへ供給され、段階的に降温及び降圧される。その後、浸出液中の遊離硫酸を中和する予備中和工程、多段のシックナーで構成される固液分離工程等を経て、浸出残渣と浸出液に分離される。
ここで、上記高圧酸浸出工程でのフラッシュベッセルの採用は、高圧酸浸出工程のオートクレーブと次工程との操業条件のギャップを埋めるものである。すなわち、オートクレーブの浸出条件としては、ニッケル及びコバルトの高浸出率を得るため、通常、200〜300℃程度の温度が選ばれる。一方、それに続く予備中和工程、或いは固液分離工程では、通常、安全性と経済性から大気圧下の条件で操業される。したがって、フラッシュベッセルでは、浸出後の高温高圧のスラリーから段階的に加圧蒸気を回収しながら、降温降圧する。
ところで、高圧酸浸出工程では、浸出スラリーをオートクレーブからフラッシュベッセルに供給するための配管、前記回収蒸気を鉱石スラリーのプレヒーターに供給するための配管、鉱石スラリーを段階的に昇温及び昇圧するための配管等において、高温高圧に耐えるための材質及び構造からなる非常に高価な配管が備えられており、資材コストを含めた全体的なコスト面からの要請により、配管をなるべく短くして各設備を適切に配置することが行なわれている。このため、浸出スラリーは、オートクレーブから第1段目のフラッシュベッセルへ、さらに、順次次の段のフラッシュベッセルへ移送される。ここで、フラッシュベッセル間の浸出スラリーの移送方法としては、通常、ポンプのような機械的な移送手段を避けて、フラッシュベッセルを設置する場所の高低差によりスラリーをオーバーフローさせる手段が採用されている。これは、浸出スラリーには硫酸が含まれており、移送設備の耐久性とコストを考慮したものである。例えば、実用プラントでは、オートクレーブのサイズが直径で4〜6m程度、及び長さで25〜30m程度の円筒形容器が横型に設置される場合には、第1段目のフラッシュベッセルは、オートクレーブの上方25〜35m程度の高さに当たる場所に設置されている。
したがって、オートクレーブから排出された浸出スラリーは、まず、第1段のフラッシュベッセルが設置されている場所の高さまで、配管により移送されて供給されることになる。このような場合、高所にある該フラッシュベッセルの近傍の配管内のスラリーの圧力は、該フラッシュベッセルとオートクレーブとの設置場所の高低差に相当する気圧分だけ低下するため、該配管内において、浸出スラリーの液体の一部が蒸発気化し、急激な体積膨張が発生することになる。このため、オートクレーブと第1段のフラッシュベッセルを連結する配管、並びにこの配管上及びフラッシュベッセル上部に設置されているオートクレーブ内の浸出スラリーのレベルを調整するバルブを損傷するという不具合が発生する場合がある。そして、最悪の場合には、プラントの長期停止或いは補修などにより、稼働率を大きく低下させる要因となっている。
この対策として、従来、オートクレーブの制御圧力値として、定常的に少なくとも前記高低差に相当する圧力分だけ高めた圧力値を設定することが行なわれている。この際、オートクレーブ内の圧力の調整方法としては、オートクレーブ内の圧力を測定し、これが、オートクレーブ内の設定温度での飽和蒸気圧と前記高低差に相当する圧力の絶対値とを合算した値(制御圧力値)になるように、圧搾空気の装入及び圧力制御弁の開閉で調整している。
しかしながら、操業中、オートクレーブ内のスラリーの飽和蒸気圧は、供給される鉱石スラリー量、鉱石の組成、反応の進行度合等による温度変動により変動するため、オートクレーブ内の圧力を、前記制御圧力値で調整する方法では、温度変動に追随した対応が困難であり、例えば、温度が設定温度より高温度にずれた際、飽和蒸気圧が上昇して、前記高低差に相当する圧力差を確保することができないという問題があった。
この解決策としては、オートクレーブ内の温度変動に追随して、オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧が所定値になるように、オートクレーブ内の圧力を制御することが肝要であり、その実用的技術が求められていた。
特開平08−209374号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、オートクレーブ内の温度変動に追随して、該オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧を制御することができるオートクレーブの圧力調整方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、オートクレーブの圧力調整について、鋭意研究を重ねた結果、前記オートクレーブに特定の手段を設け、それを用いて、オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧を、特定の基準値で制御したところ、オートクレーブ内の温度変動に追随して、該オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧を制御することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、
前記オートクレーブに、下記の(a)〜(e)を設けるとともに、
(a)オートクレーブ内のスラリー温度を逐次的に測定する温度計、
(b)オートクレーブ内の圧力を逐次的に測定する圧力計、
(c)前記温度計により測定された温度を逐次的に飽和蒸気圧に変換し、前記オートクレーブ内の測定圧力と該飽和蒸気圧との差圧を求める計算装置、
(d)オートクレーブ内に圧搾空気を送り込む高圧コンプレッサー、及び
(e)前記差圧により、別途定めた基準値で開閉される圧力制御弁
前記差圧が、前記基準値以上である場合には、前記圧力制御弁を開放させ、一方、前記基準値未満の場合には、前記高圧コンプレッサーを作動させることにより、オートクレーブ内の圧力を制御することを特徴とするオートクレーブの圧力調整方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記基準値は、オートクレーブとフラッシュベッセルを設置する位置の高低差に伴い生ずる圧力差の絶対値に相当する数値であることを特徴とするオートクレーブの圧力調整方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記原料スラリーは、ニッケル酸化鉱石スラリーであり、該ニッケル酸化鉱石スラリーを硫酸で浸出することを特徴とするオートクレーブの圧力調整方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記オートクレーブ内のスラリー温度は、200〜270℃であり、その圧力は1.8〜5.8MPaGであることを特徴とするオートクレーブの圧力調整方法が提供される。
本発明のオートクレーブの圧力調整方法は、操業時のオートクレーブ内の温度変動に追随して、該オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧を所定値に制御することができる方法であり、この方法を、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含み、かつ該オートクレーブと該フラッシュベッセルを設置する位置に高低差を有する高圧酸浸出工程に応用すれば、前記基準値を、オートクレーブとフラッシュベッセルを設置する位置の高低差に伴い生ずる圧力差の絶対値に相当する数値として用いることにより、配管内で浸出スラリーの液体の一部が蒸発気化し、急激な体積膨張が発生することを抑え、オートクレーブから浸出後の高温高圧のスラリーをフラッシュベッセルに移送する配管、配管上に設けられたオートクレーブ内の浸出スラリーのレベルを調整するバルブ等の損傷を防止することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明のオートクレーブの圧力調整方法を詳細に説明する。
本発明のオートクレーブの圧力調整方法は、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、
前記オートクレーブに、下記の(a)〜(e)を設けるとともに、
(a)オートクレーブ内のスラリー温度を逐次的に測定する温度計、
(b)オートクレーブ内の圧力を逐次的に測定する圧力計、
(c)前記温度計により測定された温度を逐次的に飽和蒸気圧に変換し、前記オートクレーブ内の測定圧力と該飽和蒸気圧との差圧を求める計算装置、
(d)オートクレーブ内に圧搾空気を送り込む高圧コンプレッサー、及び
(e)前記差圧により、別途定めた基準値で開閉される圧力制御弁
前記差圧が、前記基準値以上である場合には、前記圧力制御弁を開放させ、一方、前記基準値未満の場合には、前記高圧コンプレッサーを作動させることにより、オートクレーブ内の圧力を制御することを特徴とする。
本発明において、オートクレーブに、上記の(a)〜(e)を設けて、それを用いて、オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧を、別途定めた基準値で制御することが重要である。これによって、オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧を、操業時のオートクレーブ内の温度変動に追随し、所望の値に制御することができる。
すなわち、オートクレーブ内に備えた温度計によって操業中のオートクレーブ内の温度を逐次的に測定し、測定された温度に該当する飽和蒸気圧を逐次的に求め、同時に逐次的に測定されたオートクレーブ内の圧力との差圧を求め、その差圧が、別途定めた基準値になるように、圧力制御弁の開放、或いは高圧コンプレッサーの作動を指令するものである。
上記圧力調整方法に用いる原料スラリーとしては、特に限定されるものではなく、所望の金属を高圧酸浸出法により浸出する際に用いられる各種の金属化合物を含有する原料、例えば、金属、硫化物、酸化物、鉱石等が挙げられるが、例えば、ニッケル酸化鉱石からなる鉱石スラリーに好ましく用いられる。
上記高圧酸浸出工程としては、特に限定されるものではないが、オートクレーブ及びフラッシュベッセルのほかに、一般の高圧酸浸出法で採用される鉱石スラリーを段階的に昇温昇圧するプレヒーターを含むものである。
上記オートクレーブとしては、特に限定されるものではなく、外熱式又は加圧水蒸気の吹込みにより加熱される、縦型又は横型の加圧容器が用いられる。また、上記ラッシュベッセルとしては、特に限定されるものではなく、多段式のものが用いられる。また、上記プレヒーターとしては、特に限定されるものではないが、多段式の向流式直接加熱型熱交換器を用いられる。この際、加熱媒体としては、水蒸気が用いられる。ここで、この水蒸気としては、ボイラーなど一般的な方法によって発生させた水蒸気を使用してもよいが、オートクレーブから排出される浸出スラリーを段階的に降温及び降圧するフラッシュベッセルで発生する水蒸気を回収し循環して使用することが好ましい。
上記基準値としては、本発明の圧力調整方法が採用されるオートクレーブの用途により異なるものである。例えば、オートクレーブ及びフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程の大型の実用設備において、オートクレーブとフラッシュベッセルを設置する位置に高低差を有する際には、オートクレーブを、温度変動にかかわらず、そのときの飽和蒸気圧に、高低差に相当する圧力差分を高めた圧力以上で制御することにより、配管内において浸出スラリーの液体の一部が蒸発気化し、急激な体積膨張が発生することを防止することができる。したがって、この場合には、両者の設置場所の高低差に相当する圧力差に相当する数値の絶対値、或いはこれにバラツキを吸収するための幅を考慮した分を加えた数値を実用的な基準値として用いることができる。
以下に、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法について、本発明のオートクレーブの圧力調整方法を適用する際の一例を説明する。
上記ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法としては、下記の鉱石処理工程、高圧酸浸出工程、固液分離工程、中和工程、脱亜鉛工程及びニッケル・コバルト硫化工程を含む。
(1)鉱石処理工程:ニッケル酸化鉱石から大塊、脈石、木々の根などを除去し、所定のスラリー濃度の鉱石スラリーを調製する。
(2)高圧酸浸出工程:プレヒーターで鉱石処理工程から移送された鉱石スラリーを予熱し、オートクレーブで予熱後の鉱石スラリーを高圧空気及び高圧水蒸気を吹込みながら高温高圧下に硫酸で浸出し、フラッシュベッセルで高温高圧の浸出スラリーの温度及び圧力を降下させる。
(3)固液分離工程:前記浸出スラリーを固液分離し、浸出液と浸出残渣を得る。
(4)中和工程:前記浸出液に石灰石スラリーを添加して、不純物である鉄やアルミニウムなどを除去する。
(5)脱亜鉛工程:続いて、浸出液から、硫化沈殿法により、不純物である亜鉛や銅を硫化物として除去する。
(6)ニッケル・コバルト硫化工程:最後に、浸出液から、硫化沈殿法により、ニッケル・コバルト混合硫化物を得る。
上記ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。前記ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.5〜2.0質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、20〜50質量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト、FeOOH)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。
上記鉱石処理工程で製造される鉱石スラリーのスラリー濃度としては、処理されるニッケル酸化鉱の性質に大きく左右されるため、特に限定されるものではないが、浸出スラリーのスラリー濃度は高い方が好ましく、通常、20〜50質量%に調製される。すなわち、浸出スラリーのスラリー濃度が20質量%未満では、浸出工程をはじめとして、各工程において同じ滞留時間を得るために大きな設備が必要となり、酸の添加量も残留酸濃度を調整のため増加する。また、得られる浸出液のニッケル濃度が低くなり、最終的には実収率が低下する要因となる。一方、スラリー濃度が50質量%を超えると、設備の規模は小さくできるものの、スラリー自体の粘性が高くなり、ポンプでの搬送が困難になる(管内閉塞の頻発、エネルギーを要するなど)という問題が生じることとなる。
上記高圧酸浸出工程の実用設備例としては、例えば、3段のプレヒーター、オートクレーブ及び3段のフラッシュベッセルからなる。ここで、オートクレーブのサイズが直径で4〜6m程度、及び長さで25〜30m程度の円筒形容器が横型に設置される。また、第1段目のフラッシュベッセルは、オートクレーブの上方25〜35m程度の高さに当たる場所に設置されている。ここで、オートクレーブ内のスラリー温度としては、例えば、200〜270℃であり、その圧力としては、例えば、1.8〜5.8MPaGである。
上記高圧酸浸出工程でのオートクレーブの圧力調整方法としては、例えば、下記(a´)〜(e´)の設備を用いて、オートクレーブ内に備えた温度計によって操業中のオートクレーブ内の温度を逐次的に測定し、測定された温度に該当する飽和蒸気圧を逐次的に計算し、同時に逐次的に測定された該オートクレーブ内の圧力との差圧を求め、その差圧により、該オートクレーブ内の圧力が、そのときの飽和蒸気圧に、オートクレーブと第1段のフラッシュベッセルとの設置位置の高低差により生ずる圧力差を加えた圧力値になるように制御することにより行なわれる。その際の制御方法としては、前記圧力制御弁と前記高圧コンプレッサーを用いて、前記オートクレーブ内の圧力と前記飽和蒸気圧との差圧が、前記基準値以上である場合には、前記圧力制御弁を開放させ、一方、前記基準値未満の場合には、前記高圧コンプレッサーを作動させることにより行なう。
(a´)オートクレーブ内のスラリー温度(200〜270℃)を測定する温度計、
(b´)前記温度計により測定された温度を飽和蒸気圧(1500〜5500kPaG)に変換する計算装置、
(c´)オートクレーブ内の圧力(1.8〜5.8MPaG)を測定する圧力計、
(d´)オートクレーブ内に圧搾空気を送り込む高圧コンプレッサー、及び
(e´)前記オートクレーブ内の圧力と前記飽和蒸気圧との差圧に対し、該オートクレーブと該フラッシュベッセルを設置する位置の高低差(約30m)に伴い生ずる圧力差(約300kPaG)に相当する数値以上の所定値を基準値として開閉される圧力制御弁
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析、ICP発光分析法で行った。
また、実施例及び比較例で用いたニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーの分析値を表1に示す。
Figure 0005332418
(実施例1〜3)
前述した高圧酸浸出工程の実用設備例を含む、ニッケル酸化鉱石の実用プラントを用いた。
表1に示す鉱石スラリーを、第3段のプレヒーターの出口において、200℃、1.6MPagG程度に昇温昇圧した後、245℃程度、4MPaG程度に調整されているオートクレーブに装入した。オートクレーブでは、硫酸及び水蒸気を添加し、浸出スラリーを得た。続いて、オートクレーブから約30m上方の位置に装入口が設けられた第1段のフラッシュベッセルに浸出スラリーを移送し、そして第2段、第3段のフラッシュベッセルに順次移送し、浸出スラリーを常圧まで低下させる操業を実施した。
この際、オートクレーブには、オートクレーブ内の温度を逐次的に測定する側温抵抗体式の温度計と、前記温度計により測定された温度を、図1に示す飽和蒸気圧曲線に従って逐次的に飽和蒸気圧に変換する計算装置と、オートクレーブ内の圧力を逐次的に測定する隔膜式圧力伝送器付の圧力計と、第1段のフラッシュベッセルが設置されている約30mの高さの気圧差に相当する0.3MPaGの圧力を、少なくとも加圧することができる高圧コンプレッサーと、前記飽和蒸気圧とオートクレーブ内の逐次的に測定された圧力との差圧により、前記0.3MPaGの圧力に設定された基準値で開閉される圧力制御弁(アングルバルブ)とを設けた。なお、オートクレーブ内の温度は、230〜260℃の範囲で変動した。
ここで、前記基準値としては、0.3MPaGに設定された。前記差圧が前記基準値以上になった場合に、圧力制御弁が開放され、一方基準値未満の場合には、高圧コンプレッサーにより圧縮された空気をオートクレーブ内へ供給した。
上記操業の期間を2ヶ月間毎(実施例1〜3)に分けて、操業データ(オートクレーブ内の温度、その温度での飽和蒸気圧計算値、圧力制御弁開放時のオートクレーブ内の圧力、差圧(計算値))の平均値を求めた。また、目視により、配管及びバルブの損傷状況を確認した。結果を表2に示す。
Figure 0005332418
(比較例1、2)
オートクレーブ中のスラリーの温度による飽和蒸気圧及び差圧の計算装置を設けなかったこと、及び設定温度による飽和蒸気圧に0.3MPaGを加えた圧力値を制御基準値として圧力制御弁が開放されるように調節したこと以外は、実施例1と同様におこなった。なお、前記飽和蒸気圧と測定圧力との差圧の制御は行なわれなかった。
上記操業の期間中に配管及びバルブの損傷状況を確認した期間(比較例1、2)の操業データ(オートクレーブ内の温度、圧力制御弁開放時のオートクレーブ内の圧力、差圧(計算値))の平均値を求めた。なお、目視により、配管及びバルブの損傷状況を確認した。結果を表3に示す。
Figure 0005332418
表2より、実施例1〜3では、オートクレーブとフラッシュベッセルを設置する位置の高低差に伴い生ずる圧力差である0.3MPaGに基準値を定め、かつ前記オートクレーブ内の圧力と前記飽和蒸気圧との差圧が、該基準値以上である場合には、前記圧力制御弁を開放させ、一方、該基準値未満の場合には、前記高圧コンプレッサーを作動させることにより、該オートクレーブ内の圧力を制御するという本発明にしたがって行なわれたので、オートクレーブ内の温度変動(235〜255℃)にかかわらず、制御するのに用いられた差圧(計算値)が、0.3MPaG以上であり、配管及びバルブの損傷は見られなかったことが分かる。
これに対して、表3より、配管及びバルブの損傷が発生した比較例1又は2では、差圧(計算値)を求めたところ、0.3MPaG未満であった。すなわち、オートクレーブ内のスラリーの温度変化を考慮しないで、固定された圧力を基にオートクレーブ内の圧力制御が行なわれたので、配管部での圧力低下等が発生することにより、液体の蒸発気化による体積膨張が発生し満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明のオートクレーブの圧力調整方法は、原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、オートクレーブ内の温度変動に追随して、該オートクレーブ内の測定圧力と飽和蒸気圧との差圧を制御することができるので、オートクレーブとフラッシュベッセルを設置する位置の高低差を有する場合、配管内で浸出スラリーの液体の一部が蒸発気化し、急激な体積膨張が発生することを抑え、オートクレーブから浸出後の高温高圧のスラリーをフラッシュベッセルに移送する配管、配管上に設けられたオートクレーブ内の浸出スラリーのレベルを調整するバルブ等の損傷を防止する方法として好適である。
実施例で用いた飽和蒸気圧曲線を表す図である。

Claims (4)

  1. 原料スラリーをオートクレーブで高温高圧下に浸出し、次いで浸出後のスラリーを常温常圧まで降温降圧するフラッシュベッセルを含む高圧酸浸出工程において、
    前記オートクレーブに、下記の(a)〜(e)を設けるとともに、
    (a)オートクレーブ内のスラリー温度を逐次的に測定する温度計、
    (b)オートクレーブ内の圧力を逐次的に測定する圧力計、
    (c)前記温度計により測定された温度を逐次的に飽和蒸気圧に変換し、前記オートクレーブ内の測定圧力と該飽和蒸気圧との差圧を求める計算装置、
    (d)オートクレーブ内に圧搾空気を送り込む高圧コンプレッサー、及び
    (e)前記差圧により、別途定めた基準値で開閉される圧力制御弁
    前記差圧が、前記基準値以上である場合には、前記圧力制御弁を開放させ、一方、前記基準値未満の場合には、前記高圧コンプレッサーを作動させることにより、オートクレーブ内の圧力を制御することを特徴とするオートクレーブの圧力調整方法。
  2. 前記基準値は、オートクレーブとフラッシュベッセルを設置する位置の高低差に伴い生ずる圧力差の絶対値に相当する数値であることを特徴とする請求項1に記載のオートクレーブの圧力調整方法。
  3. 前記原料スラリーは、ニッケル酸化鉱石スラリーであり、該ニッケル酸化鉱石スラリーを硫酸で浸出することを特徴とする請求項1又は2に記載のオートクレーブの圧力調整方法。
  4. 前記オートクレーブ内のスラリー温度は、200〜270℃であり、その圧力は1.8〜5.8MPaGであることを特徴とする請求項3に記載のオートクレーブの圧力調整方法。
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