JP5151760B2 - 向流式直接加熱型熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、向流式直接加熱型熱交換器に関し、さらに詳しくは、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう向流式直接加熱型熱交換器において、被加熱物流体を供給する際の偏流を抑制して、局所的な部材の損耗を防止するとともに効率的に熱交換することができる向流式直接加熱型熱交換器に関する。なお、被加熱物流体とは、一般に流動性を有する被加熱物であり、例えば固体成分を含有するスラリー状の流動性液体が挙げられる。
従来、被加熱物流体を加熱する方法として、加熱媒体と熱交換する熱交換器が採用されている。
例えば、ニッケル、コバルト等の非鉄金属を含有する酸化鉱石の湿式製錬方法のひとつとして、オートクレーブを利用した高温加圧酸浸出法が採用されている。前記高温加圧酸浸出法では、まず、前記酸化鉱石は、粉砕工程や篩別工程で、2mm以下の平均粒径に調製され、次にスラリー製造工程で、固形成分が所定濃度の鉱石スラリーに調製される。その後、前記鉱石スラリーは、浸出工程に装入され、必要に応じて選択された温度や圧力などの浸出条件下で浸出処理が行なわれる。続いて、浸出残渣と分離され得られた浸出液から、不純物元素を除去した後、ニッケル、コバルト等の目的金属を回収している。
上記浸出工程では、浸出率を高く維持するため、オートクレーブの浸出条件として、200〜300℃程度の温度が選択されることが一般的である。ところが、前工程で製造された鉱石スラリーは、通常、外気温程度の温度条件で調製されるため、そのままの温度でオートクレーブに装入すると、オートクレーブ内の温度を低下させるばかりでなく、安定的な浸出反応が困難になる。そのため、鉱石スラリーを予熱して、その温度を段階的にオートクレーブ内の温度に近づける必要がある。このとき、鉱石スラリー温度を段階的に上昇させるため単純に加熱すると、鉱石スラリー中の水分が蒸発するに伴い鉱石スラリーの流動性が悪化し、オートクレーブ内での浸出反応が不十分となる。このため、上記高温加圧酸浸出法の実操業においても、鉱石スラリーの予熱設備としては、鉱石スラリーの流動性の悪化を抑制するため、鉱石スラリーの水分率を良好に保持するように加熱することが求められる。
ところで、従来、スラリーなどの原料を高能率で安定的に加熱する装置として、例えば、円筒形の容器を横型で回転させ、加熱に用いる蒸気などの気体を容器内に噴出させるため、容器の側壁を二重構造とするとともに数多くの噴出孔を備える横型回転装置(例えば、特許文献1参照。)、伝熱管群が上下方向となるように熱交換器を設置し、伝熱管内に石炭−水スラリーを下向流にて流通させると共に、該伝熱管の外周囲に熱源流体を流通させることにより石炭−水スラリーを加熱する多管円管形熱交換器(例えば、特許文献2参照。)等の種々の方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は、一般に機械的駆動装置の故障が多発しやすい、或いは間接加熱で装置の構造が複雑になるという課題があり、上記湿式製錬方法のように大量の鉱石原料を処理する製錬プラントでは、上記のように鉱石スラリーの水分率を良好に保持しながら加熱する条件を満足する加熱方法としては、必ずしも適切ではない。そのため、より簡便な設備構造である、加熱媒体として水蒸気を使用し、加熱媒体と被加熱物流体とを向流させて直接的に接触させる向流式直接加熱型熱交換器が採用されている。
上記向流式直接加熱型熱交換器としては、通常、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう形式である。ここで、被加熱物流体と加熱媒体の接触を向上させ、効率的な熱交換を達成するため、前記熱交換器本体の内部には、その中心部に落下する被加熱物流体の分散性を向上させる傘型分散板と、本体側壁に上昇する加熱媒体の流れを整流するリング状整流板とを備えている。
上記高温加圧酸浸出法の実操業において、向流式直接加熱型熱交換器の運転では、鉱石スラリーは、該熱交換器本体の上部に水平に設置された供給パイプに装入され、該供給パイプに接続する鉛直方向の下端部に開口した供給ノズルから前記傘型分散板の頂点部分に供給される。供給された鉱石スラリーは、前記傘型分散板により、実質的には傘型分散板の斜面を放射状に均等に下降する流れを形成して、該熱交換器の下部から流出される。一方、水蒸気は、鉱石スラリーと反対に、熱交換器の下部から供給され、前記にリング状整流板と傘型分散板によりおよそジグザグの上昇する流れとなって、熱交換器の上部の水蒸気排出口から排出される。
このような構造を有する向流式直接加熱型熱交換器では、向流する鉱石スラリーと水蒸気を直接的に接触させることにより、鉱石スラリーの水分を良好に保持したままで鉱石スラリーが加熱され、しかも機械的な駆動部分、例えばモーターやポンプなどを必要としないため機械的な駆動部分の故障などのトラブルがないので、実操業の予熱設備として好適である。しかしながら、定常的に発生する設備トラブルの代表的なものとしては、鉱石スラリーによる各内部部品の部材の磨耗が挙げられる。このような磨耗に関しては、鉱石スラリーの流れが、実質的に傘型分散板の斜面を放射状に均等に下降する流れが形成されている限りにおいては、傘型分散板及びリング型整流板等の内部部品の磨耗は、全体的に均等に進み、性能の低下等においても突発的な問題とはならない。すなわち、このような磨耗や性能の低下を定期的点検により確認し、計画的に設備の更新を計画すればよい。
ところが、向流式直接加熱型熱交換器の本体の側壁において、孔があき鉱石スラリーと水蒸気が突発的に漏れ出すという事態、或いは該側壁の局部的な肉厚減少が通常半年に1回の頻度で実施される操業の停止を伴う大規模な定期点検の際に発見される事態が起こるという問題があった。この現象は、供給ノズルから供給された鉱石スラリーが、傘型分散板の特定方向に偏流し、傘型分散板の上面延長上に当たる特定箇所の側壁に集中的に到達することがあるためと見られる。
上記事態、特に突発的に漏れ出すという事態が発生すると、当該破損箇所の補修のために多大なコストと時間が必要となり、予熱工程の休止に留まらず、製錬操業全体において大幅な稼働率の低下を招く。しかも、スラリーが偏流する際には、傘型分散板の斜面を放射状に均等に下降する流れが形成されている場合に比べて鉱石スラリーと水蒸気の接触面積が低下する結果、熱交換効率が低下し、操業コストが悪化するという問題もあった。
以上のように、向流式直接加熱型熱交換器において、装置寿命の面、そして加熱媒体との熱交換効率の面、さらには製錬操業全体の効率の面から、被加熱物流体の偏流を抑制する技術が求められている。
特開平6−238160号公報(第1頁、第2頁、) 特開平5−26429号公報(第1頁、第2頁、)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう向流式直接加熱型熱交換器において、被加熱物流体を供給する際の偏流を抑制して、局所的な部材の損耗を防止するとともに効率的に熱交換することができる向流式直接加熱型熱交換器を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、上記向流式直接加熱型熱交換器において、鋭意研究を重ねた結果、特定の形状と寸法を有する供給ノズルを用い、さらに上面に特定の形状の緩衝片と堰を備えた傘型分散板を用いたところ、被加熱物流体を供給する際の偏流を抑制し、傘型分散板の斜面を放射状に均等に下降する均一な流れを制御して、局所的な部材の損耗を防止するとともに効率的に熱交換することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の(A)〜(D)を含む部品を内部に備えた、直立する略円筒状容器内へ、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう向流式直接加熱型熱交換器であって、
(A)前記略円筒状容器の上部で、その水平断面の直径部分に配置した、前記被加熱物流体の供給パイプ、
(B)前記水平断面の中心部で前記供給パイプと接続され、鉛直方向の下端部に開口した、前記被加熱物流体の供給ノズル、
(C)前記略円筒状容器の側壁内面の円周上に設置された複数のリング状整流板、及び
(D)前記略円筒状容器の鉛直方向で前記リング状整流板と交互になるように、かつ形状が略円錐形であって円錐形の頂点が前記水平断面の中心部と一致するように設置された複数の傘型分散板
前記供給ノズルの形状は、円形断面を有するパイプ形状であり、その寸法は、下記の式(1)と式(2)とを満足すること、及び
前記傘型分散板は、その上面に、下記の要件(1)を満足する緩衝片が複数個放射状に設置され、かつその上面の周縁部に、下記の要件(2)を満足する堰が設置されることを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器が提供される。
式(1):Ln/Dn ≧ 1
(式中Lnは、供給ノズルの長さを、式中Dnは、供給ノズルの内径を表す。)
式(2):1.5 ≦Sp/Sn≦ 2.0
(式中Spは、供給パイプの内部断面積を、式中Snは、供給ノズルの内部断面積を表す。)
要件(1):緩衝片の形状は、底面が正方形の直方体であり、その寸法は、次の式(5)と式(6)とを満足する。
式(5):1/50×φ ≦W≦ 1/25×φ
(式中Wは、直方体の底辺の長さを、式中φは、傘型分散板の円錐形状の底辺外径を表す。)
式(6):t≧ 1/5×W
(式中tは、直方体の高さ(厚さ)を、式中Wは、直方体の底辺の長さを表す。)
要件(2):堰の高さは、mm単位で表す次の式(7)を満足する。
式(7):25 ≦h≦ H
(式中hは、堰の高さを、式中Hは、傘型分散板の円錐形状の頂点から底辺への垂直距離(高さ)を表す。)
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記供給ノズルは、その開口断面において、中心部が閉塞され、周辺部が開口された2重管の構造であることを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、さらに、前記供給パイプと供給ノズルの間に、前記被加熱物流体の貯留部を設けることを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記被加熱物流体の貯留部の容積は、下記の式(4)を満足することを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器が提供される。
式(4):8×(Dp) ≦V≦ 27×(Dp)
(式中Vは、貯留部の容積を、式中Dpは、供給パイプの内径を表す。)
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4いずれかの発明において、前記供給ノズルの下端部と前記傘型分散板の頂点との間の距離は、下記の式(3)を満足することを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器が提供される。
式(3):1/2×Dn ≦X≦ Dn
(式中Xは、供給ノズルの下端部と傘型分散板の頂点との間の距離を、Dnは、供給ノズルの内径を表す。)
また、本発明の第の発明によれば、第1〜いずれかの発明において、高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法の鉱石スラリーの予熱設備として用いる向流式直接加熱型熱交換器であって、
前記被加熱物流体は、ニッケル酸化鉱石のスラリーであり、かつ前記加熱媒体は、水蒸気であることを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記供給ノズルの内部断面積(Sn)は、供給ノズルの内径(Dn)が25mm以上であることに相当する断面積であることを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器が提供される。
本発明の向流式直接加熱型熱交換器は、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう向流式直接加熱型熱交換器において、従来の向流式直接加熱型熱交換器の問題点を解決して、被加熱物流体を供給する際の偏流を抑制し、局所的な部材の損耗を防止するとともに、効率的に熱交換することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の向流式直接加熱型熱交換器を詳細に説明する。
本発明の向流式直接加熱型熱交換器は、図1に示すように、直立する略円筒状容器内へ、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう向流式直接加熱型熱交換器であって、後述する実施例において具体的に説明するように、従来の改造前の供給ノズルと傘型分散板に対して、特定の形状と寸法を有する供給ノズルを用い、さらに上面に特定の形状の緩衝片と堰を備えた傘型分散板を用いることによって、被加熱物流体を供給する際の偏流を抑制し、傘型分散板の斜面を放射状に均等に下降する均一な流れを制御することにより、局所的な部材の損耗を防止するとともに効率的に熱交換することができるものである。
図1は、本発明の向流式直接加熱型熱交換器の鉛直方向の断面の一例を表す概略図である。
図1において、直立する略円筒状容器5の内部には、下記の(A)〜(D)からなる部品を備えている。
(A)前記略円筒状容器5の上部で、その水平断面の直径部分に配置した供給パイプ1、
(B)前記水平断面の中心部で前記供給パイプ1と接続され、鉛直方向の下端部に開口した供給ノズル2、
(C)前記略円筒状容器5の側壁内面の円周上に設置された複数のリング状整流板3、及び
(D)前記略円筒状容器5の鉛直方向で前記リング状整流板3と交互になるように、かつ形状が略円錐形であって円錐形の頂点が前記水平断面の中心部と一致するように、すなわち、前記供給ノズルの開口の真下にくるように設置された複数の傘型分散板4
ここで、上記向流式直接加熱型熱交換器の運転において、被加熱物流体7は、該熱交換器の外部から供給パイプ1に装入され、供給ノズル2から該熱交換器の内部に供給される。前記熱交換器の内部に供給された被加熱物流体7は、傘型分散板4とリング状整流板3とにより、実質的には傘型分散板4の斜面を放射状に均等に下降する流れを形成して、該熱交換器の下部(図示していない。)から流出される。一方、加熱媒体8は、被加熱物流体7と反対に、熱交換器の下部から供給され、傘型分散板4とリング状整流板3によりおよそジグザグの上昇する流れとなって、熱交換器の上部の水蒸気排出口(図示していない。)から容器外へ排出される。
上記被加熱物流体としては、特に限定されるものではなく、被加熱物を含み、かつ流動性を有する各種の流体、例えば、固体成分を含有するスラリー状の流動性液体が用いられるが、この中で、下記の[高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法]において、スラリー製造工程から移送された鉱石スラリーが好ましく用いられる。すなわち、上記向流式直接加熱型熱交換器は、スラリー製造工程から移送された鉱石スラリーの予熱工程の予熱設備として用いるものである。
[高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法]
スラリー製造工程:ニッケル酸化鉱石を、粉砕工程や篩別工程で、2mm以下の平均粒径に調製し、次にスラリー製造工程で、シックナー等の固液分離装置を用いてスラリー中の余剰の水を除去し濃縮して所定の濃度で固形成分を含有する鉱石スラリーに調製する。
予熱工程:スラリー製造工程から移送された鉱石スラリーを予熱する。
浸出工程:予熱工程から移送された鉱石スラリーに、硫酸を添加し、かつ高圧空気及び高圧水蒸気を吹込みながら浸出し、ニッケル及びコバルトを含む浸出液を得る。
硫化工程:浸出工程で得られた浸出液から、硫化沈殿法により、ニッケル・コバルト混合硫化物を得る。
上記湿式製錬方法で用いるニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。前記ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.5〜3.0質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10〜50質量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト、FeOOH)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。
上記スラリー製造工程で製造される鉱石スラリー濃度としては、処理されるニッケル酸化鉱の性質に大きく左右されるるため、特に限定されるものではないが、浸出スラリーのスラリー濃度は高い方が好ましく、通常、20〜50質量%に調製される。すなわち、浸出スラリーのスラリー濃度が20質量%未満では、浸出の際、同じ滞留時間を得るために大きな設備が必要となり、酸の添加量も残留酸濃度を調整のため増加する。また、得られる浸出液のニッケル濃度が低くなる。一方、スラリー濃度が50質量%を超えると、設備の規模は小さくできるものの、スラリー自体の粘性が高くなり、搬送が困難(管内閉塞の頻発、エネルギーを要するなど)という問題が生じることとなる。
上記予熱工程の予熱設備として向流式直接加熱型熱交換器を用いる際、加熱媒体としては、鉱石スラリーの水分率を適切に保持するため、水蒸気が用いられる。ここで、予熱工程で使用する水蒸気としては、ボイラーなど一般的な方法によって発生させた水蒸気を使用してもよいし、浸出工程でオートクレーブにおいて浸出した後に、オートクレーブから排出される被加熱物を減圧容器にて段階的に減圧する際に発生する水蒸気を回収し循環して使用してもよい。
以下に、本発明の実施例を、図面に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
本発明の第1の実施態様としては、図1に示される下記の(A)〜(D)を含む部品を内部に備えた、直立する略円筒状容器5内へ、被加熱物流体7をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体8をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう向流式直接加熱型熱交換器であって、
(A)前記略円筒状容器5の上部で、その水平断面の直径部分に配置した、被加熱物流体7の供給パイプ1、
(B)前記水平断面の中心部で前記供給パイプ1と接続され、鉛直方向の下端部に開口した、被加熱物流体7の供給ノズル2、
(C)前記略円筒状容器5の側壁内面の円周上に設置された複数のリング状整流板3、及び
(D)前記略円筒状容器5の鉛直方向で前記リング状整流板3と交互になるように、かつ形状が略円錐形であって円錐形の頂点が前記水平断面の中心部と一致するように設置された複数の傘型分散板4
前記供給ノズル2の形状としては、円形断面を有するパイプ形状であり、その寸法は、下記の式(1)と式(2)とを満足するものであることを特徴とするものである。
式(1):Ln/Dn ≧ 1
(式中Lnは、供給ノズルの長さを、式中Dnは、供給ノズルの内径を表す。)
式(2):1.5 ≦Sp/Sn≦ 2.0
(式中Spは、供給パイプの内部断面積を、式中Snは、供給ノズルの内部断面積を表す。)
ただし、内部断面積とは、パイプの内径より求めた開口部の断面積である。
第1の実施態様において、上記の式(1)と式(2)とを満足することにより、被加熱物流体を供給する際の偏流を抑制し、傘型分散板の斜面を放射状に均等に下降する均一な流れを維持することができるので、局所的な部材の損耗を防止するとともに効率的に熱交換することができる。
すなわち、前記供給ノズルは、供給パイプを通じて、熱交換器の外部から流入された被加熱物流体の流れの方向を、水平方向の流れから、鉛直方向の下方への流れに変更するものであるが、上記式(1)の条件を具備することにより、被加熱物流体の流れは充分な高さの供給ノズル側壁にぶつかり、被加熱物流体の流れの水平方向成分のほとんどが減殺される。また、上記式(2)の条件を具備することにより、供給パイプから供給ノズルに移行する被加熱物流体の量が制限され、鉛直方向の下部に開口した供給ノズルの方向に向かう押出し圧力が働く。そのため、被加熱物流体の流れは鉛直方向の下方向に流され、傘型分散板の頂点に供給される。その結果、被加熱物流体は傘型分散板の斜面を放射状に均等に流れ落ちることになる。
第1の実施態様において、さらに、供給ノズル2の下端部と傘型分散板4の頂点との間の距離(X)としては、特に限定されるものではないが、下記の式(3)を満足するものであることが好ましい。
式(3):1/2Dn ≦X≦ Dn
(式中Xは、供給ノズルの下端部と傘型分散板の頂点との間の距離を、Dnは、供給ノズルの内径を表す。)
すなわち、供給ノズル2の下端部と傘型分散板4の頂点との間の距離(X)が近すぎると、この部分における閉塞や傘型分散板4の磨耗が進行する恐れがある。ここで、供給ノズルの下端部と傘型分散板の頂点との間の距離は、Dnの1/2以上の距離となるように設置されることが好ましい。一方、Xが大きすぎると、上昇してくる加熱媒体の影響を受けるため、Dnと同程度以下の距離となるように設置されることが好ましい。
ここで、第1の実施態様において、ニッケル、コバルト等の非鉄金属を含有する酸化鉱石の鉱石スラリーを予熱する場合、鉱石スラリーによる閉塞を防止するために、供給ノズルの内部断面積(Sn)としては、鉱石スラリーの性状を考慮して所定値以上の大きさを備えることが望ましい。例えば供給ノズルの水平断面が単純な円形状であるときには、供給ノズルの内部断面積(Sn)は、供給ノズルの内径(Dn)が25mm程度以上であることに相当する断面積を保有することが望ましい。
また、式(1)においては、Ln/Dnの上限値を記載していないが、供給パイプの最下部と傘型分散板の頂点との距離(Y)が決まれば、式(2)及び(3)を満たすために、Ln/Dnの上限値は自動的に定まり、Ln/Dnの上限値が規定されることになる。例えば、Y=2.0×Dnであれば、Ln/Dnの上限値としては、1.5程度である。
このように、Ln/Dnの上限値としては、前記Yの値によって変動するため、特定することができないが、通常、Yの最大値はDnの3倍程度であるため、最大の場合でもLn/Dn≦ 2.5となる。
(実施例2)
本発明の第2の実施態様としては、前記第1の実施態様において、図2に示すように、供給ノズル2は、その開口断面において、中心部が閉塞され、周辺部が開口された2重管の構造であることを特徴とするものである。図2は、本発明の供給ノズルの一例を表す2重管構造の供給ノズルの概略図である。
すなわち、一般的にパイプ中を流れる被加熱物流体の流速が、円形断面を有するパイプ断面の中心部で大きくなる。したがって、供給ノズル2を2重管構造とすることにより、傘型分散板の頂点に供給される被加熱物流体は、ほぼ円筒状の流れとなって供給され、しかも該円筒状の流れのほぼ中心部に傘型分散板4の頂点が位置することになる。この結果、被加熱物流体は、前記第1の実施態様の場合より、より均一な流速で供給される。
ここで、2重管構造の供給ノズル2の寸法としては、上記の式(1)と式(2)とを満足するものであることが必須である。しかも、この供給ノズル2の外径としては、供給パイプ1の外径を超えないことが好ましい。一方、この供給ノズル2の中心部の閉塞部分の直径としては、上記の式(2)の内部断面積の関係を満たすものであれば、特に限定されない。
(実施例3)
本発明の第3の実施態様としては、前記第1の実施態様において、図3に示すように、さらに、前記供給パイプ1と供給ノズル2の間に、被加熱物流体の貯留部6を設けることを特徴とするものである。図3は、本発明の供給ノズルの一例を表す被加熱物流体の貯留部を有する供給ノズルの概略図である。
すなわち、一般的に配管の屈曲部では被加熱物流体の流れに乱れが生じ、流速が不均一になりやすい。したがって、供給パイプ1と供給ノズル2の接続部分に、被加熱物流体の貯留部6を設けることによって、供給パイプ1中の被加熱物流体の流れが直接供給ノズル2に流れ込んで、被加熱物流体の流れに乱れが発生することを防止することができるので、被加熱物流体は、前記第1の実施態様の場合より、より均一な速度で傘型分散板へ供給される。
ここで、貯留部の容積としては、特に限定されるものではないが、下記の式(4)を満足するものであることが好ましい。
式(4):8×(Dp) ≦V≦ 27×(Dp)
(式中Vは、貯留部の容積を、式中Dpは、供給パイプの内径を表す。)
すなわち、貯留部の容積としては、乱流防止だけのためには大きいほど好ましいが、容積の上限としては、設置に際して、供給パイプの支持強度に過剰な負担をかけないようにするため、供給パイプ内径の3倍の長さを1辺とする立方体に相当する容積程度に設定することが好ましい。一方、小さすぎると乱流防止の効果が不充分となるため、容積の下限としては、供給パイプ内径の2倍の長さを一辺とする立方体に相当する容積に設定することが好ましい。
ところで、第1の実施態様では、上記の式(1)及び(2)を満足することで、傘型分散板の頂点に被加熱物流体が供給されるが、供給ノズルは、供給パイプよりも断面積を小さくしているため、供給パイプに装入する際の被加熱物流体の流速と比べ、供給ノズルから供給される被加熱物流体の流速の方が大きくなっている。また、第2の実施態様では、傘型分散板の頂点に供給される被加熱物流体は、ほぼ円筒状の流れとなって供給され、及び第3の実施態様では、供給パイプ中の被加熱物流体の流れが直接供給ノズルに流れ込んで、被加熱物流体の流れに乱れが発生することが防止されるので、前記第1の実施態様の場合より、より均一な速度で傘型分散板へ供給される。これによって、側壁内面の局所的磨耗による破損を抑制することができる。
しかしながら、被加熱物流体が傘型分散板の頂点に供給され、傘型分散板の斜面を放射状に均等に流れ落ちたとしても、被加熱物流体の流速があまりにも大き過ぎる場合には、側壁内面の円周上の全面に、流速の大きい被加熱物流体がぶつかることとなる。また、流速が大きいことで熱交換の効率も不充分となる恐れがある。このため、被加熱物流体が傘型分散板の斜面を流れ落ちる際の被加熱物流体の流速を低減させる対策を講ずることがより望ましい。
(実施例4)
本発明の第4の実施態様としては、前記第1の実施態様において、図4(a)、(b)に示されるように、傘型分散板4は、その上面に、下記の要件(1)を満足する緩衝片9が複数個放射状に設置され、かつその上面の周縁部に、下記の要件(2)を満足する堰10が設置されることを特徴とするものである。
要件(1):緩衝片9の形状は、底面が正方形の直方体であり、その寸法は、次の式(5)と式(6)とを満足する。
式(5):1/50×φ ≦W≦ 1/25×φ
(式中Wは、直方体の底辺の長さを、式中φは、傘型分散板の円錐形状の底辺外径を表す。)
式(6):t≧ 1/5×W
(式中tは、直方体の高さ(厚さ)を、式中Wは、直方体の底辺の長さを表す。)
要件(2):堰の高さは、mm単位で表す次の式(7)を満足する。
式(7):25 ≦h≦ H
(式中hは、堰の高さを、式中Hは、傘型分散板の円錐形状の頂点から底辺への垂直距離(高さ)を表す。)
ここで、図4(a)、(b)は、その上面に緩衝片が複数個放射状に設置され、かつその上面の周縁部に堰が設置された傘型分散板の上面(a)と縦断面(b)の一例を表す概略図である。
傘型分散板の上面に、上記の式(5)と式(6)とを満足する底面が正方形の直方体形状の緩衝片を設けること、及び、傘型分散板の上面の周縁部に、上記の式(7)を満足する堰が設置されるにより、被加熱物流体が傘型分散板の斜面を流れ落ちる際の被加熱物流体の流速を低減させ、側壁内面の磨耗を極力抑えて破損を防止する。
すなわち、図4(a)に示すように、上記要件(1)を具備する緩衝片9の複数個を、傘型分散板4の上面に、その頂点からの放射線上に、放射状に設置することにより、傘型分散板4の頂部に供給された被加熱物流体は、その流れの速度が下がるとともに分散性が高くなるので、熱交換の効率を高めることができる。なお、緩衝片9の設置数及び位置は、特に限定されるものではなく、被加熱物流体の流速を十分に減速されるように選ばれる。
ここで、緩衝片9の形状としては、底面が正方形の直方体であり、その寸法としては、式(5)と式(6)の条件を具備することが重要である。すなわち、緩衝片9の底面を正方形とすることにより、緩衝片の加工の手間及び傘型分散板への設置の手間が省ける。一方、厚みについては、直方体の底辺の長さ(W)の1/5以上とすることにより、充分な流速の低減効果が得られる。しかしながら、あまり厚すぎても効果が変らず、閉塞等の別の問題が発生する恐れがあるので、その上限としては、供給ノズルの下端部と傘型分散板の頂点との間の距離(X)である。
また、図4(b)に示すように、上記要件(2)を具備する堰10を傘型分散板4の上面の周縁部に設置することにより、緩衝片9と同様の効果を発現するほか、万一偏流が発生した際にも、被加熱物流体の速度を低下させ、側壁への衝突をやわらげ側壁の穴あき破損を防止することができる。
ここで、堰の高さとしては、式(7)の条件を具備することが重要である。すなわち、堰の高さとしては、25mm以上であれば、被加熱物流体の流速を落とし、側壁への衝突をやわらげることができる。一方、堰の高さが高すぎると、供給パイプやリング状整流板に接触して、閉塞等の別の問題が発生する恐れがあるので、その上限としては、傘型分散板の高さ(H)以下とすることが好ましい。
上記緩衝片と堰の材質としては、被加熱物流体の流れによって破損しにくいものが用いられる、傘型分散板と同じ材質であることが、溶接性の面で好ましい。
上記第4の実施態様では、被加熱物流体が傘型分散板の頂点に供給され、傘型分散板の斜面を放射状に流れ落ちる際、被加熱物流体の偏流は抑制され、しかも被加熱物流体の流れは、適切な流速を維持することができるので、装置寿命の面、熱交換の面、さらに操業全体の効率面において、従来の改造前の供給ノズルと傘型分散板を用いた向流式直接加熱型熱交換器と比べて大幅な改善を達成することができる。
上記第4の実施態様の向流式直接加熱型熱交換器を、上記[高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法]の鉱石スラリーの予熱工程に採用した場合の具体例について、その効果を説明する。以下に、設備の仕様と運転条件を示す。
(イ)向流式直接加熱型熱交換器の本体:、胴径が2000mm、及び高さ7000mmの円筒型容器であって、その側壁の材質は、内部に面する側が9mm厚のチタン、及び外部に面する側が23.5mm厚のカーボンスチールのクラッド鋼である。
(ロ)供給パイプ:内径は187mmである。
(ハ)供給ノズル:内径(Dn)は151mmで、断面が円形状のパイプを用い、その長さ(Ln)は300mmであり、供給ノズルの水平断面の中心部が、傘型分散板の頂点を通る鉛直上方となるように配置した。なお、Ln/Dnは、2.0であり、Sp/Snは、1.5であった。
(ニ)傘型分散板:外径が1400mm、及び高さが390mmであり、その上面に緩衝片と堰を設けた。ここで、緩衝片は、図4(a)のとおりに放射状に配置し、緩衝片の底面の一辺の長さは50mm、及び高さは20mmである。また、堰は、図4(b)のとおりで、高さは100mmである。
(ホ)供給パイプへのニッケル酸化鉱石のスラリーの供給流量:240〜280m/hである。
(ヘ)ニッケル酸化鉱石のスラリーの性状:表1に示す。
Figure 0005151760
上記条件で、半年間の操業を実施したところ、熱交換器の側壁内面での局所的な磨耗は見受けられなかった。また、加熱媒体としての水蒸気使用量は、操業期間中の平均値で、0.0989(トン/m)だった。なお、水蒸気の使用量は鉱石スラリーを所定の温度まで昇温するための必要量であり、鉱石スラリーの供給量(m/h)に当たりの水蒸気の使用量(トン/h)で算出したものである。
(実施例5)
本発明の第5の実施態様としては、前記第2の実施態様において、図4(a)、(b)に示されるように、傘型分散板4は、その上面に、上記の要件(1)を満足する緩衝片9が複数個放射状に設置され、かつその上面の周縁部に、上記の要件(2)を満足する堰10が設置されることを特徴とするものである。
上記第5の実施態様では、上記第4の実施態様の場合に対し、供給ノズルを変更して2重管構造とした供給ノズルを用いたことのみが異なるものであるが、上記第4の実施態様の場合と同様に、被加熱物流体が傘型分散板の頂点の周辺部に均一に供給され、傘型分散板の斜面を放射状に流れ落ちる際、被加熱物流体の偏流は抑制され、しかも被加熱物流体の流れは、適切な流速を維持することができるので、装置寿命の面、熱交換の面、さらに操業全体の効率面において、従来の改造前の供給ノズルと傘型分散板を用いた向流式直接加熱型熱交換器と比べて大幅な改善を達成することができる。
上記第5の実施態様の向流式直接加熱型熱交換器を、上記[高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法]の鉱石スラリーの予熱工程に採用した場合の具体例について、その効果を説明する。
なお、供給ノズルとして、図2に示した2重管構造としたものを用いたこと以外は、上記第4の実施態様の向流式直接加熱型熱交換器を用いた具体例と同様に行なった。なお、2重管構造の供給ノズルとしては、開口部の内径が179mm、及び中心部の閉塞部分の直径が93mmであり、供給ノズルのスラリーが通過可能な断面積(Sn)と供給パイプの断面積(Sp)の比:Sp/Snは1.5であった。
その結果、熱交換器の側壁内面での局所的な磨耗は見受けられなかった。また、加熱媒体としての水蒸気使用量は、第4の実施態様の向流式直接加熱型熱交換器を用いた場合とほぼ同様であった。
(実施例6)
本発明の第6の実施態様としては、前記第3の実施態様において、図4(a)、(b)に示されるように、傘型分散板4は、その上面に、上記の要件(1)を満足する緩衝片9が複数個放射状に設置され、かつその上面の周縁部に、上記の要件(2)を満足する堰10が設置されることを特徴とするものである。
上記第6の実施態様では、上記第4の実施態様の場合に対し、供給ノズルを変更して、供給パイプと供給ノズルの間に被加熱物流体の貯留部を設けたものを用いたことのみが異なるものであるが、上記第4の実施態様の場合と同様に、被加熱物流体が傘型分散板の頂点の周辺部に均一に供給され、傘型分散板の斜面を放射状に流れ落ちる際、被加熱物流体の偏流は抑制され、しかも被加熱物流体の流れは、適切な流速を維持することができるので、装置寿命の面、熱交換の面、さらに操業全体の効率面において、従来の改造前の供給ノズルと傘型分散板を用いた向流式直接加熱型熱交換器と比べて大幅な改善を達成することができる。
上記第6の実施態様の向流式直接加熱型熱交換器を、上記[高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法]の鉱石スラリーの予熱工程に採用した場合の具体例について、その効果を説明する。
なお、図3に示した供給パイプと供給ノズルの間に、被加熱物流体の貯留部を設けたものを用いたこと以外は、上記第4の実施態様の向流式直接加熱型熱交換器を用いた具体例と同様に行なった。なお、供給ノズルの内径は151mmであり、供給ノズルの断面積(Sn)と供給パイプの断面積(Sp)の比:Sp/Snは、1.5である。また、貯留部の幅、長さ及び高さは、供給パイプ内径(Dp)に対しそれぞれ2倍、2倍及び3倍であり、貯留部の容積(V)は12×(Dn)である。
その結果、熱交換器の側壁内面での局所的な磨耗は見受けられなかった。また、加熱媒体としての水蒸気使用量は、第4の実施態様の向流式直接加熱型熱交換器を用いた場合とほぼ同様であった。
(比較例1)
なお、比較例として、図5に示す従来形状の供給ノズル2と、緩衝片も堰も設置しない傘型分散板とを備えた向流式直接加熱型熱交換器を、上記[高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法]の鉱石スラリーの予熱工程に採用した場合について説明する。
ここで、供給ノズルの寸法が異なることと、緩衝片も堰も設置しない傘型分散板を用いたこと以外は、上記第4の実施態様の向流式直接加熱型熱交換器を用いた場合と同様である。なお、比較例の供給ノズルは内径が179mmであり、供給ノズルの断面積(Sn)と供給パイプの断面積(Sp)の比は:Sp/Snは1.1であった。また、供給ノズルの長さは68mmであり、供給ノズルの内径Dnと長さLnの比:Ln/Dnは、0.4であった。
なお、1年間の操業を実施し、操業後半年の時点で定期検査を実施した。その結果、半年後の定期点検の際に、側壁内面には局所的な磨耗が発見され、1年後には当該箇所に孔があいて蒸気漏れ出しの事態が発生した。また、加熱媒体としての水蒸気使用量は、操業期間中の平均値で、0.1014(トン/m)であった。
以上の説明から明らかなように、第1〜6の実施態様により、本発明の向流式直接加熱型熱交換器を使用した場合に、従来の改造前の供給ノズルと傘型分散板を用いた向流式直接加熱型熱交換器を使用した場合(比較例1)と比べて、装置寿命の面では局所的な磨耗が抑えられ、かつ熱交換の面では、例えば約3%の水蒸気使用量が低減しており、操業全体に対する効率の向上が達成されることがわかる。
以上より明らかなように、本発明の向流式直接加熱型熱交換器は、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう向流式直接加熱型熱交換器において、従来の向流式直接加熱型熱交換器の問題点を解決して、被加熱物流体を供給する際の偏流を抑制して、局所的な部材の損耗を防止するとともに効率的に熱交換することができるので、上記[高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法]で利用される鉱石スラリーの予熱設備として好適である。なお、上記鉱石スラリーに限らず、より一般的な被加熱物流体を加熱する際に、好適に利用することができる。
本発明の向流式直接加熱型熱交換器の鉛直方向断面の一例を表す概略図である。 本発明の供給ノズルの一例を表す2重管構造の供給ノズルの概略図である。 本発明の供給ノズルの一例を表す被加熱物流体の貯留部を有する供給ノズルの概略図である。 本発明の、その上面に緩衝片が複数個放射状に設置され、かつその上面の周縁部に堰が設置された傘型分散板の上面(a)と縦断面(b)の一例を表す概略図である。 比較例1に用いた従来形状の供給ノズルの一例を表す概略図である。
符号の説明
1 供給パイプ
2 供給ノズル
3 リング型分散板
4 傘型分散板
5 略円筒状容器
6 貯留部
7 被加熱物流体
8 加熱媒体
9 緩衝片
10 堰

Claims (7)

  1. 下記の(A)〜(D)を含む部品を内部に備えた、直立する略円筒状容器内へ、被加熱物流体をその上部から流入させその下部から流出させ、同時に加熱媒体をその下部から流入させその上部から流出させながら、熱交換を行なう向流式直接加熱型熱交換器であって、
    (A)前記略円筒状容器の上部で、その水平断面の直径部分に配置した、前記被加熱物流体の供給パイプ、
    (B)前記水平断面の中心部で前記供給パイプと接続され、鉛直方向の下端部に開口した、前記被加熱物流体の供給ノズル、
    (C)前記略円筒状容器の側壁内面の円周上に設置された複数のリング状整流板、及び
    (D)前記略円筒状容器の鉛直方向で前記リング状整流板と交互になるように、かつ形状が略円錐形であって円錐形の頂点が前記水平断面の中心部と一致するように設置された複数の傘型分散板
    前記供給ノズルの形状は、円形断面を有するパイプ形状であり、その寸法は、下記の式(1)と式(2)とを満足すること、及び
    前記傘型分散板は、その上面に、下記の要件(1)を満足する緩衝片が複数個放射状に設置され、かつその上面の周縁部に、下記の要件(2)を満足する堰が設置されることを特徴とする向流式直接加熱型熱交換器。
    式(1):Ln/Dn ≧ 1
    (式中Lnは、供給ノズルの長さを、式中Dnは、供給ノズルの内径を表す。)
    式(2):1.5 ≦Sp/Sn≦ 2.0
    (式中Spは、供給パイプの内部断面積を、式中Snは、供給ノズルの内部断面積を表す。)
    要件(1):緩衝片の形状は、底面が正方形の直方体であり、その寸法は、次の式(5)と式(6)とを満足する。
    式(5):1/50×φ ≦W≦ 1/25×φ
    (式中Wは、直方体の底辺の長さを、式中φは、傘型分散板の円錐形状の底辺外径を表す。)
    式(6):t≧ 1/5×W
    (式中tは、直方体の高さ(厚さ)を、式中Wは、直方体の底辺の長さを表す。)
    要件(2):堰の高さは、mm単位で表す次の式(7)を満足する。
    式(7):25 ≦h≦ H
    (式中hは、堰の高さを、式中Hは、傘型分散板の円錐形状の頂点から底辺への垂直距離(高さ)を表す。)
  2. 前記供給ノズルは、その開口断面において、中心部が閉塞され、周辺部が開口された2重管の構造であることを特徴とする請求項1に記載の向流式直接加熱型熱交換器。
  3. さらに、前記供給パイプと供給ノズルの間に、前記被加熱物流体の貯留部を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の向流式直接加熱型熱交換器。
  4. 前記被加熱物流体の貯留部の容積は、下記の式(4)を満足することを特徴とする請求項3に記載の向流式直接加熱型熱交換器。
    式(4):8×(Dp) ≦V≦ 27×(Dp)
    (式中Vは、貯留部の容積を、式中Dpは、供給パイプの内径を表す。)
  5. 前記供給ノズルの下端部と前記傘型分散板の頂点との間の距離は、下記の式(3)を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の向流式直接加熱型熱交換器。
    式(3):1/2×Dn ≦X≦ Dn
    (式中Xは、供給ノズルの下端部と傘型分散板の頂点との間の距離を、Dnは、供給ノズルの内径を表す。)
  6. 高温加圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石を湿式製錬方法の鉱石スラリーの予熱設備として用いる向流式直接加熱型熱交換器であって、
    前記被加熱物流体は、ニッケル酸化鉱石のスラリーであり、かつ前記加熱媒体は、水蒸気であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の向流式直接加熱型熱交換器。
  7. 前記供給ノズルの内部断面積(Sn)は、供給ノズルの内径(Dn)が25mm以上であることに相当する断面積であることを特徴とする請求項に記載の向流式直接加熱型熱交換器。
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