JP7310490B2 - 中和工程における処理立上げに際しての操業方法 - Google Patents

中和工程における処理立上げに際しての操業方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7310490B2
JP7310490B2 JP2019174525A JP2019174525A JP7310490B2 JP 7310490 B2 JP7310490 B2 JP 7310490B2 JP 2019174525 A JP2019174525 A JP 2019174525A JP 2019174525 A JP2019174525 A JP 2019174525A JP 7310490 B2 JP7310490 B2 JP 7310490B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
neutralization
liquid
treatment
final
line
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019174525A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021050390A (ja
Inventor
広大 栗本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2019174525A priority Critical patent/JP7310490B2/ja
Publication of JP2021050390A publication Critical patent/JP2021050390A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7310490B2 publication Critical patent/JP7310490B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Description

本発明は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける中和工程での処理停止後からの立上げに際しての操業方法に関する。
ニッケル酸化鉱石を原料とするニッケル湿式製錬の技術においては、近年、高温高圧下で酸浸出する高圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leach)法による、低ニッケル品位鉱石からの有価金属の回収が実用化されている。そして、HPAL法によってニッケル酸化鉱石より浸出されたニッケルやコバルト等の有価金属の回収については、有価金属を含む硫化浴に加圧下で硫化水素ガス等の硫化剤を添加することによってその有価物を硫化物として回収することが一般的に行われている。(例えば、特許文献1を参照)。
具体的に、図1は、HPAL法による湿式製錬プロセスの流れを示す工程図である。この湿式製錬プロセスにおいては、先ず、ニッケル酸化鉱石を解砕分級して鉱石スラリーを調製する(前処理工程(S1))。次に、調製した鉱石スラリーに硫酸を添加し、加圧下、220℃~280℃程度の温度で撹拌して酸浸出して、浸出スラリーを得る(浸出工程(S2))。次に、得られた浸出スラリーに炭酸カルシウム等の中和剤を添加して、余剰酸あるいは金属不純物を中和する(予備中和工程(S3))。次に、予備中和後の浸出スラリーから、向流多段洗浄を行いながら、ニッケルを含む浸出液と浸出残渣とに固液分離処理する(固液分離工程(S4))。
次に、得られた浸出液に中和剤を添加して中和処理を施して不純物元素を除去する(中和工程(S5))。次に、中和した浸出液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加し、浸出液中の亜鉛を硫化亜鉛として沈殿除去する(脱亜鉛工程(S6))。そして、得られた脱亜鉛終液に硫化剤を添加してニッケル硫化物とニッケル貧液とを得る(硫化工程(S7))。なお、この湿式製錬プロセスでは、固液分離工程で発生する浸出残渣と硫化工程で発生するニッケル貧液を無害化する中和処理を施す(最終中和工程(S8))。
近年、ニッケル酸化鉱石の処理量を増加させてニッケル硫化物の生産量を増大させる強い要請があるなか、その要請を満足させるために、工程(S1)~(S8)を実行する処理設備を複数系列にすることが行われている。
例えば特許文献2では、複数系列の処理設備を有するニッケル酸化鉱石の湿式製錬プラントにおいて、例えば前処理工程や浸出工程を実行する処理設備に重大トラブルが発生した場合でも、これによる処理量の減少を最小限とし、重大トラブル解消後に定常操業状態に早く復旧させることを可能にする湿式製錬プラントとして、系列間を繋ぐ工程液移送配管を設けることの技術が提案されている。なお、後でも詳述するが、図2は、湿式製錬プラントにおいて系列間を繋ぐ系列連結配管(工程液移送配管)の設置例を示す図である。
このような、図2に示す系列間を繋ぐ系列連結配管については、例えば次のような使用法が挙げられる。
すなわち、例えば系列Aにおける前処理工程(S1)の設備にトラブルが発生し、系列Aの浸出工程に供給するスラリーが不足した場合、系列間移送配管を用いて系列Bにおけるスラリーを系列Aに移送するようにして、その系列Aの浸出工程(S2)での処理運転を継続させる。浸出工程(S2)での処理に用いる高温加圧設備(オートクレーブ)では、一度でも運転を停止させる事態となると、設備保護の観点から通常の操業温度より50℃~60℃程度低温に下げる必要があり、そのため、再度通常負荷に戻すのに時間とエネルギーを要する。このとき、工程液移送配管を設置してスラリーを他方の系列に移送可能とすることで、オートクレーブの運転が停止することを防ぎ、操業効率の低下を抑えることができる。
また、例えば定期休転等により、一方の系列(例えば系列B)における処理設備を停止あるいは空槽にして整備を実施した後に、再度工程液を供給して立上げを行う場合、鉱石スラリーや浸出液、脱亜鉛終液、ニッケル硫化物のスラリー等を、通常運転していた系列(例えば系列A)から系列間移送配管を用いて受け入れるようにする。これにより、例えば上流の工程の整備が遅延した場合でも、速やかに他の工程の処理設備の立上げを行うことができ、設備稼働率の上昇を図ることができる。
さて、例えば定期休転等からの立上げでしばしば問題となるのが、中和工程(S5)での処理に用いるシックナーの正常化(コンディショニング)である。中和工程(S5)での中和処理に供される浸出液(およそ55℃~60℃程度)には、予備中和工程(S3)での処理残留酸の中和により生成する石膏や金属水酸化物が含まれているが、休転により工程液の温度が低下すると、これら成分の液中への溶解度が減少し、懸濁物質として中和工程(S5)でのシックナーオーバーフロー液の清澄性を低下させる。そしてこのことが、シックナーの正常化に影響を及ぼす。
中和により生成する石膏(硫酸カルシウム)の溶解度の温度依存性について、例えば非特許文献1(当該文献の特にFig1)に示されるように、純水に対する石膏の溶解度と液温との関係では液温が約30℃~40℃の範囲において石膏の溶解度は上限に達する。それに対し、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プラントで処理される硫酸溶液では、液中にマグネシウムイオンが含まれるため、例えば非特許文献2(当該文献の特にFig6)に示されるように、マグネシウム濃度(硫酸マグネシウムmol濃度)がある程度高くなると、液温40℃以上でも液温の上昇に伴って石膏の溶解度は上昇傾向となる。
したがって、石膏を析出させたい処理工程では溶液の液温を低下させ、逆に石膏を析出させたくない処理工程では例えば飽和蒸気等を吹き込むことで液温を上昇させればよいことになる。このように、マグネシウムイオンを含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬プラントで処理される硫酸溶液の場合は、液温を調整することによって、石膏の溶解度を自在に変動させることができるため、石膏の析出を調整できる。
石膏や金属水酸化物等の懸濁物質は、後の脱亜鉛工程(S6)での処理に用いる濾過機濾布の目詰まりを発生させ、生産性を低下させる原因となる。そのため、中和工程でのシックナーオーバーフロー液に含まれる懸濁物質の量は少なければ少ないほど好適となる(なお、懸濁物質の量は溶液の濁度(NTU)で評価できる)。
ここで、中和工程(S5)での処理設備は、大気圧下で使用する中和反応槽と、シックナーと、中和終液貯液槽とから構成され、高圧下で硫酸を扱う浸出処理設備や高圧下で硫化水素ガスを供給する硫化反応設備と比較して、限られた定期休転期間中では整備の優先度は低くなり、中和反応槽やシックナーの内部の工程液を完全に抜き出すことはせずに、待機状態としていることが多かった。そのため、定期休転後の立上げ時には、中和反応槽やシックナーの内部の工程液の温度は低下した状態となっていた。
定期休転が終了し、浸出工程から高温の浸出液が供給されてくるにあたっては、各工程での処理負荷を定常状態に近い程度にまで上げておくことを要するため、中和工程でのシックナーはオーバーフロー可能な濁度まで低下させておくことが必要となる(目標濁度50NTU以下)。そのことから、浸出液が供給されてくる十数時間前から、通常操業している系列の中和工程での処理後の浸出液(中和終液)を、操業停止している系列の中和終液貯液槽に受け入れるようにし、そして、中和反応槽への循環、シックナーへの供給を行いながら、オーバーフローさせず底抜きにて固液分離工程へと繰り返し、また通常操業している系列へと戻すというサイクルを実行して、徐々に中和反応槽やシックナー内の工程液を昇温させて正常化するという作業(コンディショニング)を行っていた。
しかしながら、上述のようなコンディショニング操作を実行しても、浸出工程から高温の浸出液が供給されるまでに中和工程でのシックナーオーバーフロー液の濁度が十分に下がらないことも多く、中和終液貯液槽へオーバーフローさせることができないため、脱亜鉛工程以降の負荷が速やかに上げられない事態は度々発生し、不安定な操業といわざるとえない状況も生じていた。
なお、上述した特許文献2の技術では、複数系列の処理設備を有する湿式製錬プラントにおいて各系列の固液分離工程から中和工程への送液配管間、及び/又は、各系列の硫化工程から最終中和工程への送液配管間に、バルブを有する連結配管を設けて、これにより、処理設備に重大トラブルが発生した場合でも、処理量の減少を最小限とし、重大トラブル解消後に定常操業状態に速く復旧することが可能であるとしている。ところが、これら連結移送配管を用いて定期休転後の中和反応工程を速やかに立上げることに関する言及はされていない。
特開2005-350766号公報 国際公開第2011/048927号公報
「硫酸酸性水の石灰石による析出セッコウ」Gypsum&Lime、No.234(1991)、梅津芳生(岩手大学工学部資源化学科) 「25~200℃の温度範囲における硫酸塩溶液中のCaSO4の溶解度」東北大学選鉱製錬研究所研究報告、第1685号、日本鉱業会昭和63年度春季大会、梅津良昭ら
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの各工程を実行する一連の処理設備を2系列以上備える湿式製錬プラントにおいて、特に中和工程での定期点検等による処理設備の停止後からの立上げに際し、中和工程から次工程に供給される工程液の濁度を上昇させることなく、効率的に定常状態に復旧させることができる操業方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、一連の処理設備を2系列以上備える湿式製錬プラントにおける中和工程S5での処理停止からの立上げに際して、通常操業を行う系列から、少なくとも2種の系列連結配管を介して、立上げを行う系列の中和工程での処理設備に工程液を移送することで、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、前処理工程と、浸出工程と、予備中和工程と、固液分離工程と、中和工程と、脱亜鉛工程と、硫化工程と、最終中和工程とから構成される一連の処理設備を2系列以上備えるニッケル酸化鉱石の湿式製錬プラントにおいて、該中和工程での処理停止後からの立上げに際しての操業方法であって、前記湿式製錬プラントにおいては、系列間における所定の同一の処理設備同士を連結する系列連結配管が設けられており、前記中和工程での処理停止からの立上げに際して、通常操業を行う系列における、前記固液分離工程での固液分離処理後の浸出液を前記中和工程での中和処理を行う中和反応槽に送液する配管に連結されている第1の系列連結配管と、前記中和工程での中和処理後の中和終液を貯留する中和終液貯液槽に連結されている第2の系列連結配管と、を介して、前記通常操業を行う系列から、立上げ行う系列の該中和工程における処理設備に工程液を移送する、操業方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記第2の系列連結配管を介し、前記通常操業を行う系列から、立上げを開始させた系列の該中和工程における前記中和終液貯液槽に中和終液を移送したのち、立ち上げを開始させた前記系列において、前記中和終液貯液槽に貯留した前記中和終液を前記中和反応槽へと循環移送する、操業方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記中和工程での中和処理を行う処理設備は、中和処理を行う前記中和反応槽と、生成した中和後スラリーを固液分離処理するシックナーと、中和処理後の中和終液を貯留する前記中和終液貯液槽と、を有する、操業方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第3の発明において、前記立上げに先立ち、予め前記中和工程での処理停止中に、前記中和反応槽及び前記シックナーの内部の工程液を所定量以下にまで減少させる、操業方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記立上げに先立ち、予め前記中和工程での処理停止中に、前記中和反応槽では、通常操業時に該中和反応槽に収容される工程液のレベルの0%以上50%以下の範囲にまで、該中和反応槽内の工程液を減少させ、前記シックナーでは、通常操業時の該シックナーに収容される工程液のレベルの0%以上30%以下の範囲にまで、該シックナー内に工程液を減少させる、操業方法である。
本発明によれば、定期点検等による処理設備の停止後からの立上げに際し、工程液の濁度を上昇させることなく、効率的に定常状態に復旧させることができる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れを示す工程図である。 湿式製錬プラントにおいて系列間を繋ぐ系列連結配管(工程液移送配管)の設置例を示す図である。 中和工程での処理に用いられる処理設備の構成を示す図である。 一連の処理設備を2系列(系列A、系列B)備えている湿式製錬プラントにおいて中和工程での処理設備の停止後からの立上げに際しての工程液の流れ(操業方法)を説明するための図である。 実施例1におけるオーバーフロー液の濁度、濾過時間、液温の測定結果を示すグラフ図である。 実施例2におけるオーバーフロー液の濁度、濾過時間、液温の測定結果を示すグラフ図である。 比較例1におけるオーバーフロー液の濁度、濾過時間、液温の測定結果を示すグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」であることを意味する。
≪1.操業方法の概要≫
本発明に係る操業方法は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて用いられる処理設備の立上げ、特に、湿式製錬プロセスにおける中和工程で使用する処理設備の処理停止後からの立上げに際しての操業方法に関する。ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスは、図1の工程図に示すように、前処理工程と、浸出工程と、予備中和工程と、固液分離工程と、中和工程と、脱亜鉛工程と、硫化工程と、最終中和工程と、を有する。
そして、当該湿式製錬プロセスを実行する湿式製錬プラントは、各工程での処理を実行する一連の処理設備を2系列以上備えており、系列間における所定の処理設備同士を連結する系列連結配管が設けられている。
ここで、図2は、湿式製錬プラントにおいて各工程からなる一連の処理設備を2系列(系列A、系列B)備える場合を説明するための図であり、各工程からの処理の流れと、系列間を連結する系列連結配管の設置状態を示す。なお、系列連結配管は、系列間において工程液を移送供給するための配管であり、工程液移送配管ともいう。
図2に示すように、湿式製錬プラントにおいては、系列Aと系列Bとの間を、前処理工程S1を経て得られる鉱石スラリーを浸出工程S2へと供給する供給配管11a,11bとの間で連結する形態の系列連結配管1が設けられている。また、系列Aと系列Bの間を、固液分離工程S4にて分離された浸出液(ニッケル貴液)を中和工程S5へと供給する供給配管12a,12bの間で連結する形態の系列連結配管2が設けられている。また、系列Aと系列Bの間を、中和工程S5での中和処理後の溶液(中和終液)を脱亜鉛工程S6へと供給する供給配管13a,13bの間で連結する形態の系列連結配管3が設けられている。さらに、系列Aと系列Bの間を、脱亜鉛工程S6での脱亜鉛処理後の溶液(脱亜鉛終液)を硫化工程S7へと供給する供給配管14a,14bの間で連結する形態の系列連結配管4が設けられている。
このように、各工程での処理を実行する一連の処理設備を2系列以上備えて、系列間における所定の処理設備同士を連結する系列連結配管(1~4)を設けることで、例えばいずれかの系列においてトラブル(異常)が発生した場合でも、通常操業している系列から所定の系列連結配管(1~4)を介して工程液の一部を異常発生した系列に供給することで、処理量の減少を最小限とすることができ、効率的な操業を行うことが可能となる。
さて、湿式製錬プラントにおいては、定期的に処理プラントの運転を休止して(定期休転)、設備点検や整備のメンテナンス等を行っている。複数系列の処理設備を有する湿式製錬プラントでは、いずれかの系列(例えば系列B)は通常操業させながら、他方の系列(例えば系列A)は休止させてメンテナンスを行うことが一般的である。湿式製錬プロセスにおける中和工程S5での処理設備については、例えば浸出工程S2や硫化工程S7での処理設備に比べて、相対的に整備の優先度は低くなるため、その処理設備内にたまった工程液を完全に抜き出すことはせずに、待機状態することが多い。ところが、そのような場合、定期休転終了後の立上げ操作時には、中和工程S5の処理設備で待機状態としていた工程液の温度(液温)は既に外気温(約25℃)と同程度まで低下している。
工程液の温度低下に対しては、通常操業している系列(系列B)から工程液を供給して循環させることで、液温を昇温させることが考えられる。しかしながら、浸出工程S2から高温の浸出液が供給されるまでに中和工程S5でのシックナーオーバーフロー液の濁度が十分に下がらないことがある。また、コンディショニングに十分な時間を確保できない結果として脱亜鉛工程以降の負荷を速やかに上げられないこともあり、操業効率の低下をもたらすこともある。
そこで、本発明は、このような従来の問題点に対する解決手段を提供するものであり、具体的には、中和工程S5での処理停止からの立上げに際して、通常操業を行う系列から少なくとも2種の系列連結配管を介して、立上げを行う系列の中和工程での処理設備に工程液を移送することを特徴としている。
より具体的に、その2種の系列連結配管としては、固液分離工程S4での固液分離処理後の浸出液を中和工程S5での中和処理を行う中和反応槽に送液する配管に連結されている系列連結配管(第1の系列連結配管)と、中和工程S5での中和処理後の中和終液を貯留する中和終液貯液槽に連結されている系列連結配管(第2の系列連結配管)と、が挙げられる。そして、第1の系列連結配管を介して、通常操業している系列における固液分離処理後の浸出液の一部を、立上げを行う系列の中和反応槽に送液する。また、第2の系列連結配管を介して、中和終液の一部を、立上げを行う系列の中和終液貯液槽に送液する。
なお、第2の系列連結配管を介して、立上げを行う系列の中和終液貯液槽に送液された中和終液は、その立上げ系列における中和反応槽に戻されて循環される。
このような方法によれば、中和工程での定期点検等による処理設備の停止後からの立上げに際し、中和工程から次工程の脱亜鉛工程に供給される工程液の濁度を上昇させることなく、液温も有効に上昇させて、効率的に定常状態に復旧させることができる。
≪2.中和工程における処理設備について≫
図3は、中和工程S5での処理に用いられる処理設備(中和工程処理設備)の構成を示す図である。中和工程処理設備50は、固液分離工程S4から分離された浸出液(ニッケル貴液)に対して中和反応に基づく中和処理を行う中和反応槽51と、得られた中和後スラリーを中和終液と中和澱物とに分離するシックナー52と、中和終液を一時的に貯留する中和終液貯液槽53と、中和終液を次工程(脱亜鉛工程S6)等へ送る流送配管54と、を備えている。
(中和反応槽)
中和反応槽51は、例えば円筒形の容器であり、固液分離工程S4を経て得られる浸出液が槽内に装入され、また中和処理のための中和剤が添加されて、中和反応を生じさせる。中和反応槽51には、撹拌装置が設置されており、槽内に装入された浸出液を撹拌しながら中和反応を生じさせる。
中和反応槽51には、送液ラインが接続されており、槽内で生成した中和後スラリーが送液ラインを介してシックナー内に装入される。送液ラインとしては、樋や配管等により構成される。例えば、高さ方向の位置において上側にある中和反応槽と、下側にあるシックナーとを連結し、その高さ位置の違いにより傾斜した状態で設置される。
(シックナー)
シックナー52には、中和反応槽51での処理により生成した中和反応後のスラリー(中和後スラリー)が装入され、そのスラリーを、ニッケル回収用の母液となる中和終液と不純物成分からなる中和澱物スラリーとに分離する。シックナー52は、対象である中和後スラリーが供給されるフィードウェル部と、分離された中和終液をオーバーフローさせて送液するオーバーフロー樋と、を備えている。
より具体的に、シックナー52では、固液分離処理により、上部に液体相(中和終液の相)が、下部に固体相(中和澱物スラリーの相)が形成される。分離された液体相を構成する中和終液は、オーバーフローして、付設された中和終液貯液槽53に送液される。一方で、固体相を構成する中和澱物スラリーは、シックナーの底部から抜き出される。なお、底部から抜き出された中和澱物スラリーは、移送ポンプにより移送されて、適宜、固液分離工程S4に繰り返される。
なお、後述する図4では、この中和工程処理設備50に備えられているシックナーについて、「中和工程シックナー」と表記している。
(中和終液貯液槽)
中和終液貯液槽53は、シックナー52において分離された中和終液が装入されるように構成され、中和終液を次の脱亜鉛工程S6へと送液する前に一時的に貯留する。中和終液貯液槽53は、シックナー52にて得られた中和終液の粘度を低下させることが可能な粘度調整バッファーとしても作用する。
中和終液貯液槽53としては、特に限定されないが、中和終液の流量に対して3時間以上の貯留量に相当する容積を有するものであることが好ましい。これにより、中和終液貯液槽53内における中和終液の滞留時間を長くして、効果的に滞留させることができる。
(流送配管)
流送配管54は、貯留した中和終液をポンプ等により脱亜鉛工程S6の処理槽(脱亜鉛反応槽)に送るための配管である。
ここで、流送配管54は、所定の箇所54dで分岐しており、中和終液貯液槽53に貯留している中和終液を脱亜鉛反応槽に送液するための送液配管55と、その中和終液の一部を中和反応槽51に送って処理設備内を循環させる循環配管56とが、それぞれ連結されている。さらに、その送液配管55と循環配管56とが連結された分岐箇所54dには、切替バルブ57が設けられており、送液の切替調整が可能となっている。
なお、流送配管54に連結された循環配管56には、図示しない熱交換器が設けられており、中和反応槽51に循環させる一部の中和終液を加温できるようになっている。
≪3.中和工程処理設備の停止後からの立上げの操業方法について≫
本発明に係る操業方法は、上述したように、前処理工程S1と、浸出工程S2と、予備中和工程S3と、固液分離工程S4と、中和工程S5と、脱亜鉛工程S6と、硫化工程S7と、最終中和工程S8とから構成される一連の処理設備を2系列以上(例えば系列A、系列Bの2系列)備えるニッケル酸化鉱石の湿式製錬プラントにおいて、その中和工程S5での処理設備の停止後からの立上げに際しての操業方法である。湿式製錬プラントにおいては、図2に示したように、系列(系列A、系列B)間における所定の同一の処理設備同士を連結する系列連結配管(1~4)が設けられている。
図4は、一連の処理設備を2系列(系列A、系列B)備えている湿式製錬プラントにおいて、中和工程S5での処理設備の停止後からの立上げに際しての工程液の流れ(操業方法)を説明するための図である。この図4で示す例では、系列Aが運転停止の状態から立上げ操作を行う対象の系列であり、系列Bが通常操業している系列である。
[系列Bでの通常操業について]
先ず、通常運転している系列Bの操業(通常操業)について説明する。なお、図4において、系列Bにおける処理設備の各構成の符号には、系列Bの設備であることを示す「b」を付している。
最初に、系列Bでは、予備中和工程S3での処理後の予備中和終液が固液分離工程S4へと送液され、多段(n段)に設けられたシックナー41(41b~41b)に装入される。なお、固液分離工程S4では、予備中和終液を最上流のシックナー41bに、回収したニッケル貴液である浸出液を最下流のシックナー41bにそれぞれ装入し、向流で接触させて洗浄しながら固液分離処理を行う。この処理により、最上流のシックナー41bから上澄み液として浸出液が回収されて浸出液受槽42(42b)に装入され、最下流のシックナー41bから浸出残渣が回収される。
続いて、系列Bでは、回収して浸出液受槽42bに収容した浸出液を、中和工程S5での処理設備に供給する。なお、浸出液の一部は、浸出液貯液槽43(43b)に装入され貯液される。
続いて、系列Bでは、中和工程S5において各処理設備に工程液(浸出液)を送液して中和処理を実行する。図3にて説明したように、中和工程処理設備50は、中和反応槽51(51b)と、シックナー52(52b)と、中和終液貯液槽53(53b)と、流送配管54(54b)と、を備えている。
系列Bにおける中和工程S5では、浸出液が中和反応槽51bに装入されると、槽内で中和反応が生じて中和澱物を含む中和後スラリーが生成する。中和後スラリーは、シックナー52bに装入されて上澄み液(中和終液)と中和澱物とに固液分離処理される。その後、上澄み液は、中和終液貯液槽53bに装入されて貯液され、一方で中和澱物はシックナー52bの底部から回収される。
このようにして、系列Bにおいて中和工程S5での処理が終了すると、中和終液貯液槽に貯液された中和終液が、次工程の脱亜鉛工程S6へと送液される。
[系列Aでの立上げ操業について]
次に、定期休転等により停止している系列Aの処理設備を立上げる操業(立上げ操業)について説明する。なお、図4において、系列Aにおける処理設備の各構成の符号には、系列Aの設備であることを示す「a」を付している。
系列Aの処理設備は、運転を停止しているため、予備中和終液は固液分離工程S4の処理設備であるシックナーには送液されていない状態である(なお、図4中における破線矢印は、工程液が送液されていないことを示す)。
このような状態において、当該系列Aの処理設備を立上げるに際しては、通常操業を行う系列Bにおける、浸出液を中和反応槽51bに送液する配管44bに連結されている第1の系列連結配管45を介して、その系列Bから立上げを行う系列Aへと工程液である浸出液の一部を移送する。また併せて、通常操業を行う系列Bにおける、中和処理後の中和終液を貯留する中和終液貯液槽53bに連結されている第2の系列連結配管58を介して、その系列Bから立上げ行う系列Aへと工程液である中和終液の一部を移送する。なお、系列Bから移送される浸出液及び中和終液は、通常操業を行っている系列Bの工程液であることから、適切な温度範囲に維持された溶液である。
(第1の系列連結配管を介した工程液の移送)
第1の系列連結配管45は、一端が、通常操業を行う系列Bにおける浸出液を中和反応槽51bに送液する配管44bに連結されている。また、他端が、立上げを行う系列Aにおける浸出液受槽42(42a)に連結されている。なお、第1の系列連結配管45の他端は、浸出液受槽42aから浸出液を中和反応槽51(51a)に送液する配管44(44a)に連結されていてもよい。
このように、系列Bから第1の系列連結配管45を介して浸出液の一部が系列Aに移送されると、系列Aにおいて、その浸出液は中和反応槽51aへと送液され、次に、シックナー52(52a)へと順次送られる。図4の白抜き矢印は、系列Bから移送された工程液の、立上げ操業時における系列A内での流れを示す。
(第2の系列連結配管を介した工程液の移送)
第2の系列連結配管58は、一端が、通常操業を行う系列Bにおける中和終液貯液槽53bに連結されている。また、他端が、立上げを行う系列Aにおける中和終液貯液槽53(53a)に連結されている。なお、第2の系列連結配管58は、系列A及び系列Bのそれぞれにおいて、中和終液貯液槽53aから中和終液を送液する流送配管54(54a)に連結されていてもよい(図3参照)。
このように、系列Bから第2の系列連結配管58を介して中和終液の一部が系列Aの中和終液貯液槽53aに移送されると、系列Aにおいて、その中和終液は流送配管54aから分岐した循環配管56(56a)を経て中和反応槽51aへと循環移送される。その後、中和反応槽51aに繰り返された中和終液は、シックナー52aへと順次送られる。図4の白抜き矢印は、系列Bから移送された工程液の、立上げ操業時における系列A内での流れを示す。
なお、第2の系列連結配管58を中和終液貯液槽53aに連結させ、通常操業を行う系列Bから移送された中和終液を中和反応槽51aへと繰り返す際には、例えば、その中和終液貯液槽53aへの受け入れ量が設定した目標量にまで達した時点で行うようにすることができる。
以上のようにして、系列Aの処理設備を立上げるに際しては、系列Bから、第1の系列連結配管45を介して浸出液の一部を中和反応槽51aに移送するとともに、第2の系列連結配管58を介して中和終液の一部を移送して中和反応槽51aに循環させることで、温度の低下を最小限度にとどめることができ、それにより、シックナー52aから排出される工程液の濁度の悪化を防いで、速やかにそのシックナー52aからオーバーフローを開始させることができる。すなわち、運転停止状態から効率的な復旧操業を行うことができる。
ここで、処理設備の運転を停止していた系列(系列A)の立上げに際しては、上述したような通常操業を行う系列(系列B)からの工程液の移送に先立ち、予め、中和工程S5での処理停止中に、中和反応槽51a及びシックナー52aの内部に残存する工程液を所定量以下にまで減少させておくことが好ましい。
具体的には、中和反応槽51aでは、好ましくは、通常操業時にその中和反応槽51aに収容される工程液のレベルの0%以上50%以下の範囲にまで工程液を減少させる。また、シックナー52aでは、好ましくは、通常操業時のそのシックナー52aに収容される工程液のレベルの0%以上30%以下の範囲にまで工程液を減少させる。
このようにして、中和反応槽51a及びシックナー52aの内部に残存する工程液を所定量以下にまで減少させておくことで、温度の低下した工程液の濁度上昇を抑えることができ、立上げ操業の時間を短縮させることができる。
立上げ操業を開始したのち、シックナー52aからオーバーフロー液を供給する判断基準、つまり、中和終液をオーバーフローさせて中和終液貯液槽に貯液し、その後脱亜鉛工程S6へと移送する判断基準として、例えば、そのオーバーフロー液の濁度が50NTU以下程度であるか否かにより基準とすることができる。あるいは、オーバーフロー液の濾過時間が20秒以下であるか否かを基準とすることができる。
なお、オーバーフロー液の濁度と濾過時間を上述した基準値以下にするために、そのオーバーフロー液の液温を40℃以上となるように管理することが好ましい。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、図4に示す湿式製錬プラント(系列Aと系列Bの2系列を有する)を用い、定期休転していた系列Aの立上げを行った。なお、立上げにあたり、予め、系列Aにおける中和工程S5での処理を行う中和反応槽51a内の工程液を通常操業時の30%の割合の量となるまで減らし、また、シックナー52a内部の工程液は空とした。
系列Aに立上げに際しては、通常操業を行っている系列Bから、中和終液を貯留する中和終液貯液槽53bに連結されている第2の系列連結配管58を介して、系列Aの中和終液貯液槽53aに中和終液の一部を移送させた。そして、その中和終液貯液槽53aにおいて通常管理レベルの50%まで中和終液を受け入れたのちに、受け入れは継続しながら中和反応槽51aへの循環移送を開始した。またそれに加えて、通常操業を行っている系列Bから、固液分離処理後の浸出液の一部を中和反応槽51bに送液する配管44bに連結されている第1の系列連結配管45を介して、系列Aの浸出液受槽42aに浸出液の一部を移送させた。浸出液受槽42aに移送された浸出液は、その後中和反応槽51aに送液され、シックナー52aへと順次送液されるようにした。
その後、系列Aにおいて、シックナー52bの液量レベルが徐々に上昇し、オーバーフロー直前に至ったため、オーバーフロー液の濁度、濾過時間、液温の測定を行った。図5にそれぞれの測定結果を示す。図5のグラフにおいて横軸は時間(1目盛は1時間)であり、立上げ開始の時間を「0」としている。
測定を開始した時点から、得られたオーバーフロー液の濁度が基準未満(<50NTU)であったため、シックナー52bからのオーバーフローを開始させた。このとき、浸出工程での処理を立上げるとともに系列Bから中和終液の移送(系列Aでの中和終液の受け入れ)を開始してからの経過時間、つまり立上げ操作の時間としては13時間であった。
[実施例2]
実施例1と同様に、図4に示す湿式製錬プラント(系列Aと系列Bの2系列を有する)を用い、定期休転していた系列Aの立上げを行った。ただし、実施例2では、立上げにあたり、系列Aにおける中和工程S5での処理を行う中和反応槽51a内の工程液は減らさなかった。なお、シックナー52a内部の工程液は空とした。
そして、実施例1と同様に、通常操業を行っている系列Bから、第2の系列連結配管58を介して、系列Aの中和終液貯液槽53aに中和終液の一部を移送させた。そして、その中和終液貯液槽53aにおいて通常管理レベルの50%まで中和終液を受け入れたのちに、受け入れは継続しながら中和反応槽51aへの循環移送を開始した。またそれに加えて、通常操業を行っていう系列Bから、第1の系列連結配管45を介して、系列Aの浸出液受槽42aに浸出液の一部を移送させた。浸出液受槽42aに移送された浸出液は、その後中和反応槽51aに送液され、シックナー52aへと順次送液されるようにした。
その後、系列Aにおいて、シックナー52bの液量レベルが徐々に上昇し、オーバーフロー直前に至ったため、オーバーフロー液の濁度、濾過時間、液温の測定を行った。図6にそれぞれの測定結果を示す。図6のグラフにおいて横軸は時間(1目盛は1時間)であり、立上げ開始の時間を「0」としている。
測定を開始してから5時間の間は、得られたオーバーフロー液の濁度が基準(50NTU)まで低下していなかったため、オーバーフローはさせずにシックナー52bへの供給量と同量の中和澱物スラリーを底部から回収し、操作を継続した。そして、6時間経過後にオーバーフロー液の濁度が基準未満(<50NTU)となったため、シックナー52bからのオーバーフローを開始させた。このとき、浸出工程での処理を立上げるとともに系列Bから中和終液の移送(系列Aでの中和終液の受け入れ)を開始してからの経過時間、つまり立上げ操作の時間としては18時間であった。
[比較例1]
実施例1、2と同様に、湿式製錬プラント(系列Aと系列Bの2系列を有する)を用い、定期休転していた系列Aの立上げを行った。ただし、比較例1では、立上げにあたり、系列Aにおける中和工程での処理を行う中和反応槽及びシックナーのそれぞれの内部の工程液は減らさなかった。
また、通常操業を行っている系列Bから、系列Aの中和終液貯液槽に中和終液の一部を移送させる操作は行ったものの、系列Aの浸出液受槽に浸出液の一部を移送させる操作は行わなかった。なお、系列Aの中和終液貯液槽おいて通常管理レベルの50%まで中和終液を受け入れたのちに、受け入れは継続しながら中和反応槽への循環移送を開始した。
系列Aのシックナー内の工程液は減少させなかったため、立上げから直ちにオーバーフロー液の濁度、濾過時間、液温の測定を開始した。また、シックナーからのオーバーフローは行わず、そのシックナーへの供給量と同量の中和澱物スラリーを底部から回収し、操作を継続した。図7にそれぞれの測定結果を示す。図7のグラフにおいて横軸は時間(1目盛は1時間)であり、立上げ開始の時間を「0」としている。
測定を開始してから24時間の間は、得られたオーバーフロー液の濁度が基準(50NTU)まで低下していなかったため、オーバーフローはさせずにシックナーへの供給量と同量の中和澱物スラリーを底部から回収し、操作を継続した。そして、浸出工程での処理を立上げるとともに系列Bから中和終液の移送(系列Aでの中和終液の受け入れ)を開始してからの25時間経過後に、オーバーフロー液の濁度が基準未満(<50NTU)となったため、シックナーからのオーバーフローを開始させた。つまり、立上げ操作の時間としては25時間以上もかかってしまった。
S1 前処理工程
S2 浸出工程
S3 予備中和工程
S4 固液分離工程
S5 中和工程
S6 脱亜鉛工程
S7 硫化工程
S8 最終中和工程
41 (固液分離工程における)シックナー
42 浸出液受槽
43 浸出液貯液槽
44a,44b 配管
45 第1の系列連結配管
50 中和工程処理設備
51 中和反応槽
52 (中和工程における)シックナー
53 中和終液貯液槽
54 流送配管
55 移送配管
56 循環配管
57 切替バルブ
58 第2の系列連結配管

Claims (4)

  1. 前処理工程と、浸出工程と、予備中和工程と、固液分離工程と、中和工程と、脱亜鉛工程と、硫化工程と、最終中和工程とから構成される一連の処理設備を2系列以上備えるニッケル酸化鉱石の湿式製錬プラントにおいて、該中和工程での処理停止後からの立上げに際しての操業方法であって、
    前記湿式製錬プラントにおいては、系列間における所定の処理設備同士を連結する系列連結配管が設けられており、
    前記中和工程での処理停止からの立上げに際して、
    通常操業を行う系列における、前記固液分離工程での固液分離処理後の浸出液を前記中和工程での中和処理を行う中和反応槽に送液する配管に連結されている第1の系列連結配管を介して、前記通常操業を行う系列から、立上げ行う系列の該中和工程における前記中和反応槽浸出液を移送するとともに
    前記中和工程での中和処理後の中和終液を貯留する中和終液貯液槽に連結されている第2の系列連結配管を介して、前記通常操業を行う系列から、立上げを開始させた系列の該中和工程における前記中和終液貯液槽に中和終液を移送したのち、立ち上げを開始させた前記系列において、前記中和終液貯液槽に貯留した前記中和終液を前記中和反応槽へと循環移送する、操業方法。
  2. 前記中和工程での中和処理を行う処理設備は、
    中和処理を行う前記中和反応槽と、
    生成した中和後スラリーを固液分離処理するシックナーと、
    中和処理後の中和終液を貯留する前記中和終液貯液槽と、を有する、
    請求項1に記載の操業方法。
  3. 前記立上げに先立ち、予め前記中和工程での処理停止中に、前記中和反応槽及び前記シックナーの内部の工程液を所定量以下にまで減少させる、
    請求項に記載の操業方法。
  4. 前記立上げに先立ち、予め前記中和工程での処理停止中に、
    前記中和反応槽では、通常操業時に該中和反応槽に収容される工程液のレベルの0%以上50%以下の範囲にまで、該中和反応槽内の工程液を減少させ、
    前記シックナーでは、通常操業時の該シックナーに収容される工程液のレベルの0%以上30%以下の範囲にまで、該シックナー内に工程液を減少させる、
    請求項に記載の操業方法。
JP2019174525A 2019-09-25 2019-09-25 中和工程における処理立上げに際しての操業方法 Active JP7310490B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019174525A JP7310490B2 (ja) 2019-09-25 2019-09-25 中和工程における処理立上げに際しての操業方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019174525A JP7310490B2 (ja) 2019-09-25 2019-09-25 中和工程における処理立上げに際しての操業方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021050390A JP2021050390A (ja) 2021-04-01
JP7310490B2 true JP7310490B2 (ja) 2023-07-19

Family

ID=75157131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019174525A Active JP7310490B2 (ja) 2019-09-25 2019-09-25 中和工程における処理立上げに際しての操業方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7310490B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011048927A1 (ja) 2009-10-19 2011-04-28 住友金属鉱山株式会社 ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プラントおよびその操業方法
JP2011225908A (ja) 2010-04-15 2011-11-10 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プラント及びその操業方法
JP2013185178A (ja) 2012-03-06 2013-09-19 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 脱亜鉛処理プラント及び脱亜鉛プラントの操業方法、並びにニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
JP2013185179A (ja) 2012-03-06 2013-09-19 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 中和処理方法及び中和処理プラント
JP2014074233A (ja) 2013-12-05 2014-04-24 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 中和処理プラント
JP2015214739A (ja) 2014-05-13 2015-12-03 住友金属鉱山株式会社 硫酸酸性溶液の中和方法、およびニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
JP2020147808A (ja) 2019-03-14 2020-09-17 住友金属鉱山株式会社 鉱石スラリー移送処理プラント、及びその運転方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011048927A1 (ja) 2009-10-19 2011-04-28 住友金属鉱山株式会社 ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プラントおよびその操業方法
JP2011225908A (ja) 2010-04-15 2011-11-10 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ニッケル酸化鉱石の湿式精錬プラント及びその操業方法
JP2013185178A (ja) 2012-03-06 2013-09-19 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 脱亜鉛処理プラント及び脱亜鉛プラントの操業方法、並びにニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
JP2013185179A (ja) 2012-03-06 2013-09-19 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 中和処理方法及び中和処理プラント
JP2014074233A (ja) 2013-12-05 2014-04-24 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 中和処理プラント
JP2015214739A (ja) 2014-05-13 2015-12-03 住友金属鉱山株式会社 硫酸酸性溶液の中和方法、およびニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
JP2020147808A (ja) 2019-03-14 2020-09-17 住友金属鉱山株式会社 鉱石スラリー移送処理プラント、及びその運転方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021050390A (ja) 2021-04-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9719153B2 (en) Method for shortening operation shutdown time of high pressure acid leach equipment in a hydrometallurgical process
WO2011132693A1 (ja) 貯液装置及びその圧力制御方法
EP2975142B1 (en) Hydrometallurgical plant for nickel oxide ore and method for operating said hydrometallurgical plant
EP2824203B1 (en) Dezincification plant, method for operating dezincification plant, and hydrometallurgical method for nickel oxide ore
JP5359989B2 (ja) 生成硫化物の付着防止方法
JP5435058B2 (ja) 中和処理方法及び中和処理プラント
WO2014112248A1 (ja) 固液分離処理方法、並びにニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
EP2944702B1 (en) Operation method for dezincification plant
JP7310490B2 (ja) 中和工程における処理立上げに際しての操業方法
JP6953988B2 (ja) 硫化剤の除去方法
JP6661936B2 (ja) ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法、浸出処理設備
JP5660248B1 (ja) 脱亜鉛プラントの操業方法
JP7277074B2 (ja) 残存硫化水素の除去方法及び硫化反応容器
JP6996328B2 (ja) 脱亜鉛処理方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
JP7147452B2 (ja) 亜鉛硫化物除去用の濾過設備及びこれを用いたニッケルコバルト混合硫化物の製造方法
JP5725143B2 (ja) 中和処理プラント
JP2023031095A (ja) 濾過設備の運転方法、脱亜鉛処理方法、及び、ニッケル酸化鉱石の製錬方法
JP2019026868A (ja) 残留硫化水素の除去方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230606

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230619

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7310490

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150