JP7379296B2 - 振動発電デバイスおよびセンサモジュール - Google Patents
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Description
本開示は、振動発電デバイスおよびセンサモジュールに関する。
IoTの普及により、対象物の多様な状態を検出して、さらには通信により検出データを送信するセンサモジュールの用途が増大するものと考えられる。このようなセンサモジュールを駆動するための電力エネルギーを、周辺環境から発生させることが検討されている。例えば、発電用圧電素子を周辺環境から受ける外力によって振動させ発電を行う発電素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の発電素子は、直線状の梁部を両端で固定した両持ち梁に発電用の
圧電素子を配置した構造を有している。両持ち梁を有することにより、梁部の振動に非線形効果が発現し、振動の共振周波数を広帯域化することができる。しかしながら、両持ち梁構造を採用すると、周辺環境から受ける振動に比べて梁部の共振周波数が高くなり、共振しにくくなる場合がある。また、周辺環境から効率よく電気エネルギーを発生させるためには、共振周波数のさらなる広帯域化が望ましい。
圧電素子を配置した構造を有している。両持ち梁を有することにより、梁部の振動に非線形効果が発現し、振動の共振周波数を広帯域化することができる。しかしながら、両持ち梁構造を採用すると、周辺環境から受ける振動に比べて梁部の共振周波数が高くなり、共振しにくくなる場合がある。また、周辺環境から効率よく電気エネルギーを発生させるためには、共振周波数のさらなる広帯域化が望ましい。
したがって、これらの点に着目してなされた本開示の目的は、発電量を増大させる振動発電デバイス及びセンサモジュールを提供することにある。
本開示の第1の観点による振動発電デバイスは、平面を有する梁部と、前記梁部の前記平面上に配置された圧電部と、固定部とを備える。前記固定部は、前記梁部を前記梁部の2つ以上の端部で、前記梁部の第1面側及び前記第1面側の反対側の第2面側から挟んで固定する。1つ以上の前記端部において、前記固定部と前記梁部との接触部分と非接触部分との境界位置が、前記第1面側と前記第2面側との間で異なる。
本開示の第2の観点によるセンサモジュールは、振動発電デバイスと、センサと、通信部と、コントローラとを備える。前記振動発電デバイスは、平面を有する梁部と、前記梁部の前記平面上に配置された圧電部と、固定部とを備える。前記固定部は、前記梁部を前記梁部の2つ以上の端部で、前記梁部の第1面側及び前記第1面側の反対側の第2面側から挟んで固定する。1つ以上の前記端部において、前記固定部と前記梁部との接触部分と非接触部分との境界位置が、前記第1面側と前記第2面側との間で異なる。前記センサは、前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動する。前記通信部は、前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動し、外部機器と通信する。前記コントローラは、前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動し、前記センサおよび前記通信部を制御する。
本開示に係る振動発電デバイス及びセンサモジュールによれば、発電量を増大することができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る振動発電デバイス10を含むセンサモジュール21は、センサ22、通信部23、コントローラ24および振動発電デバイス10を含んで構成される。センサモジュール21は、外部からの電力の供給を受けずに、多様な状態を検出し、検出結果として外部機器に送信する。センサモジュール21は、例えば、橋、電車、および工場装置などにおいて用いられる。
センサ22は、例えば、振動センサ、温度センサおよび圧力センサなどの任意の対象物の任意の状態を検出する。センサ22は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
通信部23は、ネットワークを介して外部機器と通信する通信モジュールを含む。通信部23は、例えば、センサ22が検出した任意の状態を示す検出値を信号として外部機器に送信する。通信部23は、外部機器から指令を受信してコントローラ24に送信してよい。通信部23は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
コントローラ24は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。コントローラ24は、1つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、およびSiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。コントローラ24は、センサ22および通信部23の動作を制御する。コントローラ24は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
図2に示すように、振動発電デバイス10は、梁部11、圧電部12、及び、筐体13を含んで構成される。筐体13は、固定部である。さらに、振動発電デバイス10は、錘14を含んで構成されてよい。梁部11及び錘14は、周辺環境からの振動を受けて振動する振動部に含まれる。
梁部11は、平面を有する。梁部11は、例えばSUS板等の弾性を有する板状の部材である。梁部11は、複数の端部を有することができる。錘14が設けられる場合、錘14は、梁部11の中央部に設けられてよい。梁部11は、錘14から異なる複数の方向に向かって延在してよい。本実施形態において、図3に示すように、梁部11は、平面視において一方向に長い長方形の形状を有している。本実施形態において、梁部11は、該梁部11の延在する方向の両端に端部を有する。
梁部11は、梁部11の延在する方向の両端の端部を筐体13により固定される。すなわち、梁部11は、筐体13により両持ち支持される。梁部11は、振動発電デバイス10が周辺環境から振動を受けることにより、梁部11の両面に垂直な方向に振動する。梁部11の振動方向は、図2及び図3に図示される。
錘14は、慣性力を与えることにより、筐体13により支持される梁部11の振動を増大させる。錘14は、梁部11に対して、振動させる方向として定められた振動方向側の面に設けられてよい。錘14は、梁部11における、当該振動方向に沿った両面に設けられてよい。錘14は、梁部11と別の部材ではなく、梁部11と一体として形成されていてよい。
圧電部12は、梁部11の振動により応力が生じる位置に配置される。圧電部12は、梁部11の有する平面上に配置される。圧電部12は、梁部11における振動方向側の面に設けられてよい。複数の圧電部12が、梁部11の延在する方向に沿って並ぶように設けられてよい。複数の圧電部12が、梁部11の振動方向の両側の面に設けられてよい。図2及び図3においては、複数の圧電部12のうち一つに、参照符号を付している。
圧電部12は、図4に示すように、梁部11側から順に積層された絶縁膜31、下部電極32、圧電膜33、及び上部電極34を含んで構成される。梁部11が振動により変形すると、絶縁膜31、下部電極32、圧電膜33、及び上部電極34は梁部11と共に変形する。これにより、梁部11が振動すると、圧電膜33に応力が加えられ、圧電膜33の圧電効果によりこの応力が電力に変換される。圧電膜33で生成された電力は、下部電極32及び上部電極34を介して、振動発電デバイス10の外部に出力される。
筐体13は、梁部11の両端部を、梁部11の第1面側11a側及び第1面11aの反対側の第2面11b側から挟んで固定する。第1面11aは、例えば、図2における梁部11の上面である。第2面11bは、例えば、図2における梁部11の下面である。筐体13は、例えば、梁部11の第1面11a側に位置する上側筐体15と、第2面11b側に位置する下側筐体16とを含んでよい。上側筐体15は、第1固定部である。下側筐体16は第2固定部である。上側筐体15及び下側筐体16の双方またはいずれか一方の梁部11を挟む位置には、梁部11が部分的に収容される凹部が形成されてよい。
図2に示すように、本実施形態の梁部11の第1面11aと上側筐体15との接触部と非接触部との境界位置と、梁部11の第2面11bと下側筐体16との接触部と非接触部との境界位置とは、梁部11の両端部において同一方向にずれている。例えば、上側筐体15と下側筐体16とは、梁部11を挟んで内側面が連続的につながる形状を有する2つの筐体の一方を、他方に対して梁部11の延在する方向にずらした態様で結合される。
図5に示すように、梁部11の第1面11aと上側筐体15との接触部と非接触部との境界b1の位置と、梁部11の第2面11bと下側筐体16との接触部と非接触部との境界b2の位置とは、梁部11の延在する方向において異なっている。境界b1及び境界b2は、梁部11の第1面11a及び第2面1bの面内で梁部11の延在方向に直交する方向に延びる。振動により梁部11が第1面11a側に湾曲するとき、境界b1の位置が梁部11の振動の支点となる。一方、振動により梁部11が第2面11b側に湾曲するとき、境界b2の位置が梁部11の振動の支点となる。
このように、本実形態に係る振動発電デバイス10では、梁部11の振動周期中に振動の支点の位置が入れ替わる。振動周期中に支点のずれが生じると、梁部11を梁部11の延在する方向において同じ位置で固定して振動させる場合と比較して、共振周波数が低くなり、且つ、共振ピークの周波数半値幅が広くなる。このような効果が生じる原因には、振動の支点のずれによる振動の減衰が関係していると考えられる。
図6は、従来技術による振動発電デバイスの梁部の振幅の周波数特性を測定したグラフ(グラフA)と、本開示の振動発電デバイス10の梁部11の振幅の周波数特性を測定したグラフ(グラフB)とを対比して示す。グラフAは、第1面11a側の境界b1及び第2面11b側の境界b2が梁部11の延在する方向で同じ位置となるように、梁部11を上側筐体15及び下側筐体16により挟んで固定した場合のグラフである。梁部11にはSUS板を用い、梁部11の振動可能な長さ、すなわち、両端部の梁部11と筐体13との接触部分と非接触部との境界位置の間隔は、40mmとした。一方、グラフBは、グラフAの測定に用いた振動発電デバイス10の上側筐体15と下側筐体16とを、互いに梁部11の延在する方向に1mmずらして固定したものである。従って、梁部11と上側筐体15との境界b1は、梁部11と下側筐体16との境界位置と、梁部11の両端部において同一方向に1mmずれている。
図6に示すように、本実施形態に従う振動発電デバイス10の周波数特性を示すグラフBでは、グラフAと比較して共振周波数が低周波数化し、周波数半値幅が広くなることが確認された。上記グラフA及びBの例よれば、上側筐体15と下側筐体16とを1mmずらすことにより、共振周波数は、198Hzから191Hzに低下した。また、周波数半値幅は、9.4Hzから12.4Hzに拡大した。共振周波数を低くすることにより、振動発電デバイス10は、周辺環境のより周波数の低い振動を電力に変換することができる。また、共振周波数を広帯域化することにより、振動発電デバイス10は周辺環境から得られるより広い振動周波数範囲に対応して発電をすることができる。このため、本開示の振動発電デバイス10によれば、発電量を増大させることが可能になる。
図5に示す例では、梁部11との境界b1及びb2において、上側筐体15及び下側筐体16は、梁部11に接する略直角の角部を有している。このため、振動中に梁部11が、第1面11a側に湾曲している状態から、第2面11b側に湾曲している状態に変化したとき、振動の支点のずれは瞬時に発生する。すなわち、梁部11の振動中に、振動の支点のずれは断続的に発生する。これにより、共振周波数の低周波数化及び広帯域化の高い効果が得られる。
上側筐体15及び下側筐体16の梁部11との境界部は、図5とは異なり図7に示すように、梁部11に接する丸みを帯びた角部を有してよい。この場合、梁部11の振動時の湾曲の大きさに追随して、梁部11と上側筐体15及び下側筐体16との接触部分及び非接触部分の境界の位置が変化する。このため、梁部11の振動中に、振動の支点が連続的に変化する。このようにすることによって、振動の支点の位置の変化が連続的であるため、振動発電デバイス10の故障のリスクを低減することができる。
上記図2から図7を用いて説明した実施形態では、梁部11の第1面11aと上側筐体15との境界b1の位置と、梁部11の第2面11bと下側筐体16との境界b2の位置とは、梁部11の両端部において同一方向にずれていた。しかし、図8に示すように、梁部11の第1面11aと上側筐体15との境界b1の位置と、梁部11の第2面11bと下側筐体16との境界b2の位置とのずれる方向は、前記梁部11の両端部において反対方向であってよい。このような構成を有する場合も、振動発電デバイス10は、第1面11a側に湾曲している状態と第2面11b側に湾曲している状態とで、振動の支点のずれが生じるので、上記図2から図7を用いて説明した振動発電デバイス10と同様の効果を有する。さらに、図8の振動発電デバイス10では、梁部11が第1面11a側に湾曲している状態と、第2面11b側に湾曲している状態とで、振動可能な梁部11の長さが変化する。これにより、共振周波数のさらなる広帯域化が期待できる。
振動発電デバイス10は、平面視において一方向に延びる長方形状の梁部11を有するものに限られない。梁部11は、種々の形状を有してよい。例えば、図9に示すように、振動発電デバイス10の梁部11は、錘14の配置された中央部から4方向に向かって延在してよい。この場合、梁部11の4つの端部のうち1つ以上の端部で、筐体13と梁部11との接触部分と非接触部分との境界位置が、第1面11a側と第2面11b側との間で異なることにより、本開示の効果が得られる。
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び/又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び/又は修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
例えば、上記実施形態において、梁部11を固定する固定部を上側筐体15及び下側筐体16を含む筐体13として説明した。しかし、梁部11を固定する固定部は、上側筐体15及び下側筐体16を含む筐体13に限られない。振動発電デバイス10は、梁部11を固定する筐体とは別の固定部を有してよい。固定部は、梁部11を固定した状態で筐体13に組み込まれてよい。また、筐体13とは別の固定部がある場合、振動発電デバイス10は、筐体13を有さなくてよい。振動発電デバイス10は、センサモジュール21等の他のデバイスの内部に組み込まれることができる。
また、上記実施形態において用いた「上」及び「下」等を含む用語は例示の構成の説明のために用いたものである。これらの用語は、本開示の振動発電デバイス及びセンサモジュールの配置される向きを限定するものではない。本開示の振動発電デバイス及びセンサモジュールは、種々の向きに配置することが可能である。
10 振動発電デバイス
11 梁部
12 圧電部
13 筐体(固定部)
14 錘
15 上側筐体(第1固定部)
16 下側筐体(第2固定部)
17 境界部
21 センサモジュール
22 センサ
23 通信部
24 コントローラ
31 絶縁膜
32 下部電極
33 圧電膜
34 上部電極
11 梁部
12 圧電部
13 筐体(固定部)
14 錘
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17 境界部
21 センサモジュール
22 センサ
23 通信部
24 コントローラ
31 絶縁膜
32 下部電極
33 圧電膜
34 上部電極
Claims (9)
- 平面を有する梁部と、
前記梁部の前記平面上に配置された圧電部と、
前記梁部を前記梁部の2つ以上の端部で、前記梁部の第1面側及び前記第1面側の反対側の第2面側から挟んで固定する固定部と
を備え、1つ以上の前記端部において、前記固定部と前記梁部との接触部分と非接触部分との境界位置が、前記第1面側と前記第2面側との間で異なる、
振動発電デバイス。 - 前記境界位置は、前記第1面側と前記第2面側との間で前記梁部の延在する方向に異なる、請求項1に記載の振動発電デバイス。
- 前記梁部は、弾性を有する板状の部材である、請求項1又は2に記載の振動発電デバイス。
- 前記固定部は、前記境界位置で、前記梁部に接する略直角の角部を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の振動発電デバイス。
- 前記固定部は、前記境界の位置で、前記梁部に接する丸みを帯びた角部を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の振動発電デバイス。
- 前記固定部は、前記梁部の前記第1面側に位置する第1固定部と、前記梁部の前記第2面側に位置する第2固定部を含み、
前記梁部は前記梁部が延在する方向の両端部で前記第1固定部と前記第2固定部との間に挟まれ、前記梁部と前記第1固定部との前記境界位置と、前記梁部と前記第2固定部との前記境界位置とは、前記梁部の両端部において同一方向にずれている、請求項1から5の何れか一項に記載の振動発電デバイス。 - 前記固定部は、前記梁部の前記第1面側に位置する第1固定部と、前記梁部の前記第2面側に位置する第2固定部とを含み、
前記梁部は前記梁部が延在する方向の両端部で前記第1固定部と前記第2固定部との間に挟まれ、前記梁部と前記第1固定部との前記境界位置と、前記梁部と前記第2固定部との前記境界位置とは、前記梁部の両端部において反対方向にずれている、請求項1から5の何れか一項に記載の振動発電デバイス。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の振動発電デバイスと、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動するセンサと、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動し、外部機器と通信する通信部と、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動し、前記センサおよび前記通信部を制御するコントローラと、を備える
センサモジュール。 - 橋、電車、および工場装置で用いられる請求項8に記載のセンサモジュール。
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