JP7376736B1 - 3dプリンタのフィラメント用組成物、3dプリンタ用フィラメント、焼結体、多孔質焼結体、焼結体の製造方法、および多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents

3dプリンタのフィラメント用組成物、3dプリンタ用フィラメント、焼結体、多孔質焼結体、焼結体の製造方法、および多孔質焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィラメント式3Dプリンタから溶融した樹脂組成物を正常に吐出することが可能あり、かつ、優れた外観の焼結体を形成可能な3Dプリンタのフィラメント、ならびに3Dプリンタのフィラメント用組成物を提供することである。【解決手段】3Dプリンタのフィラメント用組成物は、焼結性無機粉末(A1)および有機バインダー(B)を含有し、有機バインダー(B)は、EVAを除くオレフィン系ポリマー(B3)、ワックス(B4)、オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)とを除く非結晶性ポリマーと、EVAとから選択される熱可塑性樹脂(B1)、および、オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)と熱可塑性樹脂(B1)とを除く、重量平均分子量が8000以下の化合物(B5)を、所定の質量比で含む。【選択図】なし

Description

本発明は、3Dプリンタ用フィラメントに関する。
3次元のデジタルデータに基づいて、立体造形物を積層造形する3Dプリンタは、様々な分野において実用化が進められている。3Dプリンタで立体造形物を製造する方式としては、主に、粉末床溶融結合法、結合材噴射法、材料押出法(MEX:Material Extrusion)、および液槽光重合法が知られている。
その中で、材料押出法は、熱溶融積層法(FDM:Fused Deposition Modeling)とも呼ばれ、熱可塑性樹脂からなる材料を溶融し、溶融した樹脂を一層ずつ積層して冷却固化することにより、熱可塑性樹脂からなる立体造形物を得る方式である。この方式は、用いる装置が簡便であることから広く普及が進んでいる。
金属あるいはセラミックスの立体造形物を3Dプリンタにより製造したい場合は、高出力のレーザーで直接焼結する粉末床溶融結合法や、光硬化樹脂にフィラーを分散する液槽光重合法が一般的に採用されている。しかしながら、これらの方式では、装置が高価になるという問題や積層速度が遅いという問題がある。
これに対して、特許文献1は、材料押出法を用いて金属製品あるいはセラミックス製品を安価かつ高速に製造することができる技術を開示している。具体的には、たとえば、特許文献1では、金属粉末を含む熱可塑性樹脂からペレットを作り、材料押出法により当該ペレットから造形物を形成し、当該造形物を所定の条件で加熱して脱脂し、最終的に当該造形物中の金属粉末を焼結させることにより金属製品を製造している。
WO2020/003901号
ペレットではなく、フィラメントを用いて造形物を製造するフィラメント式3Dプリンタでは、一般に、ロール状に巻いた直径1.75mm等のフィラメントが用いられる。フィラメント式3Dプリンタは、ギアで挟み込んだフィラメントを、当該ギアの回転によりヒーター部へ送り出すギア部を備える。フィラメント式3Dプリンタは、ギア部によりフィラメントをヒーター部へ送り出して溶融させ、これをノズル先端から吐出しながら、所定の形状に積層していく。
このような、フィラメント式3Dプリンタを金属やセラミックスの造形に用いることができれば、粉末床溶融結合法等を採用した場合に生じる装置価格および積層速度等の問題を解決でき、また、普及が進んでいる安価な3Dプリンタによっても金属製品やセラミックス製品を作製することが可能となる。
しかしながら、特許文献1に開示された3次元プリンタ用組成物を、たとえば直径1.75mmのフィラメント状にすると、脆くて折れやすいため、ロール状に巻き取ることが困難である。また、フィラメントに可塑剤等を添加して柔軟性を付与しても、ギア部周辺でフィラメントが座屈したり、折れたり、削れたりするため、フィラメントを正常に送ることができなくなるといった不具合が生じる。
また、金属やセラミックスの造形に用いるフィラメントには、通常の樹脂造形体用のフィラメントと同様に所望する形状を造形可能であることに加え、脱脂と焼結を経て得られる焼結体の外観が優れていることも求められる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的は、フィラメント式3Dプリンタから溶融した樹脂組成物を正常に吐出することが可能あり、かつ、優れた外観の焼結体を形成可能な、3Dプリンタのフィラメント用組成物およびこれを用いた3Dプリンタ用フィラメントを提供することである。また、本発明は、当該3Dプリンタ用フィラメントを用いて得られる焼結体および多孔質焼結体、ならびに、これらの製造方法を提供することも目的とする。
本発明の発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のフィラメント用組成物を使用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の主題を含む。
[1] 焼結性無機粉末(A1)および有機バインダー(B)を含有し、有機バインダー(B)は、EVAを除くオレフィン系ポリマー(B3)、ワックス(B4)、オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)とを除く非結晶性ポリマーと、EVAとから選択される熱可塑性樹脂(B1)、および、オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)と熱可塑性樹脂(B1)とを除く、重量平均分子量が8000以下の化合物(B5)を含み、有機バインダー(B)は焼結性無機粉末(A1)100質量部に対して5~25質量部であり、有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B1)および化合物(B5)の合計の質量比(((B1)+(B5))/(B))が、0.5~0.9であり、有機バインダー(B)に対するオレフィン系ポリマー(B3)の質量比((B3)/(B))が0.03~0.2であり、
有機バインダー(B)に対するワックス(B4)の質量比((B4)/(B))が0.04 ~0.4であり、有機バインダー(B)に対する化合物(B5)の質量比((B5)/(B))が0.05~0.25である、3Dプリンタのフィラメント用組成物。
[2] 有機バインダー(B)は、さらに、EVAとオレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)と化合物(B5)とを除く結晶性ポリマーから選択される熱可塑性樹脂(B2)を含み、有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B2)の質量比((B2)/(B))が0.3以下である、[1]に記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
[3] JIS(1999年度版)K7210 付属書Cに準拠し、フローテスタを用いて得られる前記フィラメント用組成物の流れ値であって、前記フィラメント用組成物からなる試料への荷重が0.98MPa、ダイ穴の直径が1.0mm、ダイ穴の長さが1.0mmである条件の下、測定温度を150℃としたときに得られる前記流れ値が0.002~0.05cm3/secであり、かつ、フローテスタを用いて前記フィラメント用組成物からなる試料の温度を5℃/minで25℃から昇温したときに、溶解した前記試料がダイから流れ出す時の前記試料の温度である流動開始温度であって、前記試料への荷重、ダイ穴の直径、およびダイ穴の長さが前記条件と同じである場合に得られる前記流動開始温度が85~135℃である、[1]または[2]に記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
[4] 熱可塑性樹脂(B1)は、(メタ)アクリル酸エステルの重合体およびEVAからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
[5] オレフィン系ポリマー(B3)は、オレフィンとスチレンとの共重合体、オレフィンとスチレンとの共重合体の水素添加物、およびアモルファスポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
[6] 化合物(B5)は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸塩、炭素環を有するジエステル、リン酸エステル、およびフェノール化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
[7] [1]~[6]に記載のフィラメント用組成物を用いて作成された3Dプリンタ用フィラメント。
[8] [7]に記載の3Dプリンタ用フィラメントを用いて作成された前記焼結性無機粉末(A1)の焼結体。
[9] さらに、架橋ポリマー粒子を含む、[1]~[6]に記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
[10] [9]に記載のフィラメント用組成物を用いて作成された3Dプリンタ用フィラメント。
[11] [10]に記載の3Dプリンタ用フィラメントを用いて作成された前記焼結性無機粉末(A1)の多孔質焼結体。
[12] 焼結性無機粉末(A1)の焼結体の製造方法であって、[7]に記載の3Dプリンタ用フィラメントを用いて、熱溶融積層方式の3Dプリンタによって積層構造体を造形する工程、造形した前記積層構造体を脱脂する工程、および、脱脂した前記積層構造体中の焼結性無機粉末(A1)を焼結する工程を含む、焼結体の製造方法。
[13] 焼結性無機粉末(A1)の焼結体の製造方法であって、[10]に記載の3Dプリンタ用フィラメントを用いて、熱溶融積層方式の3Dプリンタによって積層構造体を造形する工程、造形した前記積層構造体を脱脂する工程、および、脱脂した前記積層構造体中の焼結性無機粉末(A1)を焼結する工程を含む、多孔質焼結体の製造方法。
本発明によれば、フィラメント式3Dプリンタから溶融した樹脂組成物を正常に吐出することができ、かつ、優れた外観の焼結体を形成可能な、3Dプリンタのフィラメント用組成物およびこれを用いた3Dプリンタ用フィラメントを提供することができる。また、本発明によれば、当該3Dプリンタ用フィラメントを用いて得られる焼結体および多孔質焼結体、ならびに、これらの製造方法を提供することもできる。
本実施形態に係る3Dプリンタのフィラメント用組成物は、焼結性無機粉末(A1)および有機バインダー(B)を含有する。3Dプリンタとしては、例えば、3Dプリンタ用フィラメントを加熱して流動化させ、ノズルから吐出して積層しながら3次元構造体を造形することができるものを用いることができ、材料押出積層方式(MEX)(熱溶融積層方式:FDM)の各種3Dプリンタが挙げられる。本明細書では、3Dプリンタを用いて、樹脂組成物を積層して形成した造形物を「積層構造体」とも称し、積層構造体中の焼結性無機粉末(A1)を焼結させることにより得られる造形物を「焼結体」とも称する。
<焼結性無機粉末(A1)>
焼結性無機粉末(A1)は、例えば高温に加熱することにより焼結する性質を有する無機粉末である。焼結性無機粉末(A1)としては、たとえば、金属粉末、セラミックス粉末、およびサーメット粉末が挙げられる。金属粉末の具体例としては、純鉄、鉄-ニッケル、鉄-コバルト、鉄-シリコン、ステンレス(ステンレススチール)などの鉄系合金、タングステン、アルミニウム合金、銅、銅合金、超硬合金(WC-Co系合金など)、チタン、チタン合金などの粉末が挙げられる。セラミックス粉末としては、Al、BeO、ZrOなどの酸化物、TiC、ZrC、BC、炭化タングステン(WC)、SiCなどの炭化物、CrB、ZrBなどのホウ化物、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの窒化物などの粉末が挙げられる。サーメット粉末としては、Al-Fe系、TiC-Ni系、TiC-Co系、BC-Fe系などの粉末が挙げられる。これらはいずれか1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
焼結性無機粉末(A1)の平均粒子径は、特に限定されず、例えば0.05~30μmでもよく、0.1~10μmでもよい。また、当該平均粒子径は、0.05~3μmでもよいし、0.1~2μmでもよいし、0.1~1μmでもよい。また、当該平均粒子径は、0.5~10μmであってもよいし、1.0~9μmであってもよいし、1.0~8μmであってもよい。
本明細書において、焼結性無機粉末(A1)の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック粒子径測定装置:MT3100II)を用いて求めた粒度分布における積算値50%での粒径(D50)を意味する。
<有機バインダー(B)>
本実施形態に係る有機バインダー(B)は、
・EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)を除くオレフィン系ポリマー(B3)、
・ワックス(B4)
・オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)とを除く非結晶性ポリマーと、EVAとから選択される熱可塑性樹脂(B1)、および、
・オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)と熱可塑性樹脂(B1)とを除く、重量平均分子量が8000以下の化合物(B5)を含む。
<オレフィン系ポリマー(B3)>
本明細書において、オレフィン系ポリマー(B3)とは、炭素‐炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素を構成モノマーとして含むポリマーである。当該不飽和脂肪族炭化水素としては、炭素数が2~6のもが好ましく、炭素数が2~4のものがより好ましい。また、当該不飽和脂肪族炭化水素が有する炭素‐炭素二重結合の数は1または2であることが好ましい。また、当該不飽和脂肪族炭化水素は、三重結合を有しないものが好ましい。具体的には、たとえば、当該不飽和脂肪族炭化水素としては、エチレン、プロピレン、ブタジエンおよびイソプレンが好ましい。
本実施形態に係る有機バインダー(B)は、上述のように、EVAを除くオレフィン系ポリマー(B3)を含む。言い換えれば、有機バインダー(B)は、オレフィン系ポリマー(B3)を含むが、このオレフィン系ポリマー(B3)はEVAを含まない。
オレフィン系ポリマー(B3)は、上記の不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体、当該不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体の水素添加物、およびアモルファスポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種を含む。これらのうち、当該不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体の水素添加物、およびアモルファスポリオレフィンが好ましい。具体的には、当該不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体としては、たとえば、スチレンとブタジエンとの共重合体、スチレンとエチレンとプロピレンとの共重合体、およびスチレンとエチレンとブチレンとの共重合体が挙げられる。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記の不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、ブロック共重合体の方が好ましい。スチレンとブタジエンとのブロック共重合体としては、たとえば、スチレン-ブタジエン-スチレンの順番で各単量体がブロック付加された共重合体であることが好ましい。また、スチレンとエチレンとプロピレンとのブロック共重合体としては、たとえば、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンの順番で各単量体がブロック付加された共重合体であることが好ましい。また、スチレンとエチレンとブチレンとのブロック共重合体としては、たとえば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンの順番で各単量体がブロック付加された共重合体であることが好ましい。
上記の不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体の水素添加物としては、上記各種の不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体に水素を付加して得られる化合物が挙げられる。
アモルファスポリオレフィンとしては、重量平均分子量が1000~20000のものが好ましく、2000~15000のものがより好ましい。また、アモルファスポリオレフィンとしては、軟化点が80~170℃のものが好ましく、90~160℃のものがより好ましい。また、当該軟化点は、110~150℃でもよく、120~150℃でもよい。本明細書において、軟化点(ビカット軟化温度)は、JIS K7206 B50法によって測定することができる。
<熱可塑性樹脂(B1)>
本実施形態に係る有機バインダー(B)は、上述のように、オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)とを除く非結晶性ポリマーと、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)とから選択される熱可塑性樹脂(B1)を含む。言い換えれば、有機バインダー(B)は熱可塑性樹脂(B1)を含み、この熱可塑性樹脂(B1)は非結晶性ポリマーおよびEVAの少なくとも一方を含むが、当該非結晶性ポリマーはオレフィン系ポリマー(B3)およびワックス(B4)を含まない。
熱可塑性樹脂(B1)のうち、オレフィン系ポリマー(B3)およびワックス(B4)を除く非結晶性ポリマーである熱可塑性樹脂としては、たとえば、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、すなわち(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの重合体としては、たとえば、炭素数1~8のアルコールとアクリル酸とのエステルの重合体が挙げられる。このような重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、炭素数が1~8のアルキル基を有するn-アルキル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、および、2-エトキシエチル(メタ)アクリレートなど)が挙げられる。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、「(メタ)アクリレート」はアクリレートまたはメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸またはメタクリル酸を表す。また、(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体を「アクリル系樹脂」とも称する。
また、本実施形態に係る(メタ)アクリル酸エステルの重合体は、(メタ)アクリル酸エステルと、他の単量体との共重合体であってもよい。このような共重合体としては、たとえば、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合体、エチレンとメタクリル酸グリシジルとの共重合体、およびエチレンとメタクリル酸グリシジルとスチレンの共重合体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの重合体は、ランダム重合体であってもブロック重合体であってもよいが、ブロック重合体の方が好ましい。上記のメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合体としては、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル-メタクリル酸メチルの順番でブロック付加した重合体(たとえば、後述の「クラリティLA2140」等)であることが好ましい。また、アクリル酸ブチルが有するブチル基は、n-ブチル基であることが好ましい。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
EVAとしては、結晶化度の低いもの(例えば、結晶化度が25%以下のもの)を使用することがより好ましい。EVAの結晶化度は、酢酸ビニル(VA)含量と相関するため、好ましいEVAとしては、例えば、酢酸ビニル含量(質量百分率:JISK7192:1999)が20%~50%、より好ましくは25%~40%のEVAが挙げられる。また、重量平均分子量が3~12万程度のものを用いることが好ましく、5~10万程度のものを用いることがより好ましい。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂(B1)としては、特に、アクリル系樹脂およびEVAが好ましく、アクリル系樹脂としては、メタクリル酸n-ブチルの重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルの共重合体、エチレンとメタクリル酸グリシジルとの共重合体、メタクリル酸n-ブチルとアクリル酸との共重合体、エチレンとメタクリル酸グリシジルとの共重合体、エチレンとメタクリル酸グリシジルとスチレンの共重合体が好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<ワックス(B4)>
本実施形態に係る有機バインダー(B)は、上述のように、ワックス(B4)を含む。ワックス(B4)は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ミツロウ、カルナバワックス、モンタンワックス、合成ワックス、およびポリアルキレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む。ワックス(B4)としては、軟化点が60~150℃のものが好ましい。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ワックス(B4)としては、これらのうち、パラフィンワックスおよび合成ワックスが好ましい。
<化合物(B5)>
本実施形態に係る有機バインダー(B)は、上述のように、オレフィン系ポリマー(B3)と熱可塑性樹脂(B1)とワックス(B4)とを除く、重量平均分子量が8000以下の化合物(B5)を含む。言い換えれば、有機バインダー(B)は重量平均分子量が8000以下の化合物(B5)を含むが、この化合物(B5)は、オレフィン系ポリマー(B3)と熱可塑性樹脂(B1)とワックス(B4)とを含まない。
化合物(B5)としては、特に限定されないが、たとえば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸塩、リン酸エステル、フェノール化合物、および炭素環を有するジエステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む。重量平均分子量は、たとえば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めることができる。
化合物(B5)の重量平均分子量は、8000以下であれば特に限定されないが、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることがより好ましく、800以下であることがより好ましく、700以下であることがより好ましく、600以下であることがさらに好ましい。また、当該重量平均分子量は、32以上であることが好ましく、75以上であることがより好ましく、100以上であることがより好ましく、200以上であることがさらに好ましい。
なお、化合物(B5)が、分子量分布のない化合物である場合、「重量平均分子量」は単に分子量を意味する。
上記の脂肪酸としては、たとえば、炭素数が10を超える高級脂肪酸を挙げることができる。そのうち、炭素数15~25の脂肪酸が好ましく、炭素数16~20の脂肪酸がより好ましい。また、脂肪酸としては、不飽和脂肪酸より飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸としては、炭素数18の飽和脂肪酸であるステアリン酸が最も好ましい。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記の脂肪酸エステルとしては、たとえば、多官能アルコールと高級脂肪酸とのエステルを挙げることができる。多官能アルコールとしては、たとえば、ショ糖、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、およびソルビタンを挙げることができ、これらのうちソルビタンがもっとも好ましい。また、脂肪酸エステルは、モノエステルであることが好ましい。また、脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数15~25の脂肪酸が好ましく、炭素数16~20の脂肪酸がより好ましい。また、脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、不飽和脂肪酸より飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸ソルビタンエステルが最も好ましい。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記の脂肪酸アミドとしては、たとえば、アンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンと高級脂肪酸とが脱水縮合したものを挙げることができる。脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数15~25の脂肪酸が好ましく、炭素数16~20の脂肪酸がより好ましい。第一級アミンまたは第二級アミンとしては、たとえば、芳香族アミン、脂肪族アミン、および脂環式アミンが挙げられる。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記の脂肪酸塩としては、上記のような脂肪酸の金属塩が挙げられる。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩などが挙げられる。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のリン酸エステルとしては、たとえば、ハロゲン化リン酸エステルが好ましく、塩素化リン酸エステルがより好ましい。リン酸エステルとしては、たとえば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、テトラキス(2クロロエチル)ジクロロイソペンチルジホスフェート、およびポリオキシアルキレンビス(ジクロロアルキル)ホスフェートを挙げることができる。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のフェノール化合物としては、たとえば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4,4'-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルプロピオン酸](2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-3,9-ジイル)ビス(2,2-ジメチル-2,1-エタンジイル)、および、ペンタエリトリトール=テトラキス[3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]が挙げられる。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記の炭素環を有するジエステルとしては、たとえば、脂肪族アルコールと炭素環を有するジカルボン酸とのジエステルが挙げられる。脂肪族アルコールとしては、炭素数3~10の脂肪族アルコールが好ましく、炭素数4~8の脂肪族アルコールがより好ましい。脂肪族アルコールとしては、たとえば、ジブチルフタレートおよびジオクチルフタレート等のフタル酸エステル、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)、および1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルが挙げられる。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、有機バインダー(B)は、本発明の効果を損なわせない範囲で、可塑剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、滑剤、および造核剤等の添加剤を含んでもよい。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、有機バインダー(B)は焼結性無機粉末(A1)100質量部に対して5~25質量部である。有機バインダー(B)が無機粉末(A1)100質量部に対して5質量部未満であると、フィラメント用組成物の流れ値が低く造形が困難になる。他方、有機バインダー(B)が無機粉末(A1)100質量部に対して25質量部を超えると、フィラメント式3Dプリンタのギア部にてフィラメントが座屈する等の不具合が生じやすくなり、また、脱脂時に積層構造体が変形してその外観に問題を生じやすくなる。
なお、「座屈」は、フィラメントが柔らかすぎる場合に生じやすいため、フィラメントにはある程度の硬さが必要である。
焼結性無機粉末(A1)が金属粉末(たとえば、ステンレス、超硬合金等)である場合、有機バインダー(B)は、フィラメント使用時の不具合を抑え、かつ積層構造体の外観を向上させる観点から、焼結性無機粉末(A1)100質量部に対して5~15質量部であることがより好ましく、5~13質量部であることがさらに好ましい。
焼結性無機粉末(A1)がセラミックス粉末(たとえば、アルミナおよびジルコニア等の金属酸化物粉末)である場合、フィラメント使用時の不具合を抑え、かつ積層構造体の外観を向上させる観点から、有機バインダー(B)は、焼結性無機粉末(A1)100質量部に対して10~25質量部であることがより好ましく、15~23質量部であることがさらに好ましい。
焼結性無機粉末(A1)がサーメット粉末(たとえば、TiC-Co系粉末等)である場合、フィラメント使用時の不具合を抑え、かつ積層構造体の外観を向上させる観点から、有機バインダー(B)は、焼結性無機粉末(A1)100質量部に対して5~15質量部であることがより好ましく、5~10質量部であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B1)および化合物(B5)の合計の質量比(((B1)+(B5))/(B))は、0.5~0.9である。当該質量比が0.5未満であると、フィラメントが折れる等の不具合が生じやすくなる。他方、当該質量比が0.9を超えると、ギア部にてフィラメントが座屈する等の不具合が生じやすくなる。フィラメント使用時の不具合を抑える観点から、当該質量比は、0.52~0.89であることが好ましく、0.55~0.87であることがより好ましく、0.60~0.85であることがより好ましく、0.65~0.83であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、有機バインダー(B)に対するオレフィン系ポリマー(B3)の質量比((B3)/(B))は0.03~0.2である。当該質量比が0.03未満であると、フィラメントが折れる等の不具合が生じやすくなる。他方、当該質量比が0.2を超えるとギア部にてフィラメントが座屈する等の不具合が生じやすくなる。当該質量比は、フィラメント使用時の不具合を抑える観点から、0.04~0.15であることがより好ましく、0.05~0.13であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、有機バインダー(B)に対するワックス(B4)の質量比((B4)/(B))は0.04~0.4である。当該質量比が0.1未満であると脱脂時に積層構造体が変形してその外観に問題を生やすくなる。他方、当該質量比が0.4を超えるとフィラメントが折れやすくなり、また、フィラメント式3Dプリンタのギア部にてフィラメントが座屈する等の不具合が生じやすくなる。フィラメント使用時の不具合を抑え、かつ積層構造体の外観を向上させる観点から、当該質量比は、0.05~0.35であることが好ましく、0.07~0.3であることがより好ましく、0.08~0.25であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、有機バインダー(B)に対する化合物(B5)の質量比((B5)/(B))は0.05~0.25である。当該質量比が0.05未満であるとノズルからの樹脂の吐出安定性が悪くなるため造形の不良が生じやすくなり、0.25を超えるとフィラメント式3Dプリンタのギア部にてフィラメントが座屈する等の不具合が生じやすくなる。フィラメント使用時の不具合を抑え、かつ積層構造体の外観を向上させる観点から、当該質量比は、0.05~0.2であることが好ましく、0.06~0.15であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B1)の質量比((B1)/(B))は、特に限定されないが、好ましくは0.3~0.85であり、より好ましくは0.4~0.8であり、さらに好ましくは0.45~0.75である。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、熱可塑性樹脂(B1)に対するオレフィン系ポリマー(B3)の質量比((B3)/(B1))は、特に限定されないが、好ましくは0.02~0.4であり、より好ましくは0.05~0.3であり、さらに好ましくは、0.08~0.35である。
本実施形態に係るフィラメント用組成物において、熱可塑性樹脂(B1)に対するワックス(B4)の質量比((B4)/(B1))は、特に限定されないが、好ましくは0.08~0.7であり、より好ましくは0.15~0.65であり、さらに好ましくは0.18~0.6である。
たとえば、フィラメント式3Dプリンタにおいて、ギア部にて保持されているフィラメントはヒーター部から伝わった熱により軟化することがある。そして、この場合、フィラメントは、ギア部から正常に送り出されずに座屈する等の不具合を生じやすくなる。本実施の形態に係る3Dプリンタ用フィラメントは、ヒーター部からの熱による温度上昇によっても軟化しにくい特性を有している。
<熱可塑性樹脂(B2)>
本実施形態に係る有機バインダー(B)は、EVAとオレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)と化合物(B5)とを除く結晶性ポリマーから選択される熱可塑性樹脂(B2)をさらに含んでもよい。言い換えれば、有機バインダー(B)は、結晶性ポリマーである熱可塑性樹脂(B2)を含んでもよいが、この熱可塑性樹脂(B2)はEVAとオレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)と化合物(B5)とを含まない。これにより、3Dプリンタ用フィラメントが熱により軟化することをより抑制することができる。
たとえば、3Dプリンタ用フィラメントに含まれる焼結性無機粉末(A1)の平均粒子径が小さい場合は、焼結性無機粉末(A1)全体の表面積が大きいことに起因して、3Dプリンタ用フィラメントは熱によって軟化しにくい性質を持つ。他方、焼結性無機粉末(A1)の平均粒子径が大きい場合は焼結性無機粉末(A1)全体の表面積が相対的に小さいため、熱によって軟化しやすい性質を持つ。ここで、有機バインダー(B)に熱可塑性樹脂(B2)を加えるとフィラメントの熱による軟化をより抑制できるため、ギア部における上記のような不具合をさらに防ぐことができる。
熱可塑性樹脂(B2)としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、およびこれらの重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含む。これらのうち、特にポリプロピレン(PP)およびポリアセタール(POM)が好ましい。これらはいずれか1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
有機バインダー(B)が熱可塑性樹脂(B2)を含む場合において、有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B2)の質量比((B2)/(B))は0.3以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.15以下であることがさらに好ましい。これにより、3Dプリンタ用フィラメントの他の特性を大きく損なうことなく、3Dプリンタ用フィラメントの熱による軟化を抑制できる。また、この場合において、当該質量比は0.03以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。
なお、上述したように、フィラメントが柔らかすぎる場合、3Dプリンタの使用時にフィラメントが座屈する等の不具合を生じやすくなるため、フィラメントにはある程度の硬さが必要である。
有機バインダー(B)が熱可塑性樹脂(B2)を含む場合において、熱可塑性樹脂(B1)に対する熱可塑性樹脂(B2)の質量比((B2)/(B1))は、特に限定されないが、好ましくは0.03~0.5であり、より好ましくは0.05~0.4であり、さらに好ましくは0.08~0.35である。
本実施形態に係るフィラメント用組成物の、JIS(1999年度版)K7210 付属書Cに準拠して測定された150℃における流れ値は、0.002~0.05cm/secであることが好ましい。150℃における流れ値がこの範囲より小さいと積層構造体の造形が困難になる。他方、150℃における流れ値がこの範囲より大きいと、積層構造体の造形時に糸曳きが生じ、また、積層構造体が変形するなどの不良を生じやすくなる。流れ値は、たとえば、株式会社島津製作所製の定試験力押出形細管式レオメータ フローテスタ「CFD-500D」を用いて測定することができる。より詳細には、上記の流れ値は、ダイ穴の直径が1.0mmであり、ダイ穴の長さが1.0mmであり、試料への荷重が0.98MPaである条件の下、測定温度を150℃としたときに求められる。
なお、糸曳きとは、3Dプリンタを用いた積層構造体の造形時において、たとえば、初めの層の造形が終わった後、次の層の造形を開始するためにノズルを移動させた際に、作成中の積層構造体とノズルとの間で樹脂が糸を曳く現象であり、これが生じると積層構造体の外観が悪くなる。
本実施形態に係るフィラメント用組成物の流動開始温度は、80~190℃であることが好ましく、85~150℃であることがより好ましい。流動開始温度がこの範囲より低いと、フィラメント式3Dプリンタに保持されたフィラメントは、ヒーター部からの熱により容易に軟化してしまうため、座屈する不具合を生じやすくなる。また、流動開始温度がこの範囲より高いと、ヒーター部においてフィラメントが正常に溶解しないため、積層構造体の造形が難しくなる。
「流動開始温度」は次のように定義する。すなわち、ダイ穴の直径が1.0mmであり、ダイ穴の長さが1.0mmであり、試料への荷重が0.98MPaである条件(上記の流れ値の測定と同じ条件)の下、試料の温度を25℃から5℃/minで昇温したときの、溶解した試料がダイから流れ出す温度を流動開始温度とする。流動開始温度も、たとえば上記のフローテスタ「CFD-500D」を用いて求めることができる。
本実施の形態に係る3Dプリンタ用フィラメントは、上述したフィラメント用組成物を用いて、従来の方法により作成することができる。具体的には、たとえば、本実施の形態に係るフィラメント用組成物を、90~250℃の温度で溶融し、定量供給装置でノズル孔から押出し、これを20~80℃の液浴中または空冷で冷却固化した後、紡糸速度1~50m/分で引き取り、ボビン等に巻き取る方法が挙げられる。
本実施の形態に係る3Dプリンタ用フィラメントは、直径が0.5~3.5mmであることが好ましく、1.0~3.2mmであることがより好ましい。具体的には、3Dプリンタ用フィラメントとしては、直径が1.75mmのものと、2.85mmのものがよく用いられることから、直径は、1.5~2.0mmか、2.5~3mmであることが好ましい。3Dプリンタ用フィラメントは、直径が上記の範囲を外れると汎用の熱溶融積層法による3Dプリンタには適さない可能性がある。なお、3Dプリンタ用フィラメントの直径とは、フィラメントの長手方向に対して垂直に切断した断面における長径を測定したものである。
また、本実施の形態に係る3Dプリンタ用フィラメントの上記断面における長径と短径の比(長径/短径)で表される真円率は、1.05以下であることが好ましく、1.03以下であることがより好ましい。真円率が1.05以下であることにより、フィラメント式3Dプリンタにおいてより精密に造形品を造形することができる。なお、長径と短径の比が1に近いほど、真円度が高いことを示す。
3Dプリンタは、3Dプリンタ用フィラメントをヒーター部で加熱して溶融するが、このときの加熱温度は100~300℃が好ましく、120~280℃がより好ましく、150~250℃がさらに好ましい。
上述してきたように、本実施の形態に係る3Dプリンタ用フィラメントを材料として用いて、焼結性無機粉末(A1)の焼結体を製造することができる。具体的には、焼結性無機粉末(A1)の焼結体の製造方法は、本実施の形態に係る3Dプリンタ用フィラメントを用いて、熱溶融積層方式の3Dプリンタによって積層構造体を造形する工程(積層造形体の造形工程)と、造形した前記積層構造体を脱脂する工程(脱脂工程)と、脱脂した前記積層構造体中の焼結性無機粉末(A1)を焼結する工程(焼結工程)とを含む。
積層造形体の造形工程は、たとえば、本実施形態に係る3Dプリンタ用フィラメントを市販のフィラメント式3Dプリンタに用いて行うことができる。具体的には、たとえば、フィラメント式3Dプリンタ(熱溶融積層方式の3Dプリンタ)として、FLASHFORGE製のCreatorPro2を使用することができる。
脱脂工程は、積層構造体を加熱することにより積層構造体中の有機バインダー(B)を熱分解させて除去する工程である。脱脂工程は、後述する焼結工程よりも低い温度すなわち焼結性無機粉末(A1)が焼結しない温度で積層構造体を加熱する。脱脂工程では、有機バインダー(B)が分解されてガスとなり放出される。このガスは、積層構造体中の焼結性無機粉末(A1)および分解前の有機バインダー(B)の隙間を通って外部へ放出されることになるが、積層構造体中に放出経路がない場合には、このガスにより積層構造体が変形してしまう。具体的には、たとえば、逃げ場のないガスにより積層構造体が膨れてしまったり、ひび割れてしまったりすることがある。本実施形態に係るフィラメント用組成物で作成したフィラメントを用いると、このような変形(以下「クラック・フクレ」ともいう)も抑えることができる。
なお、使用した3Dプリンタ用フィラメントが後述する架橋ポリマー粒子(A2)を含む場合、すなわち積層構造体が架橋ポリマー粒子(A2)を含む場合、架橋ポリマー粒子(A2)も脱脂工程により熱分解されて除去される。
焼結工程は、脱脂工程の後、残った焼結性無機粉末(A1)を高い温度で加熱することにより焼結性無機粉末(A1)を焼結させ、焼結体を得る工程である。
脱脂・焼結の条件は、組成物に含まれている無機粉末の種類等に応じて、適宜設定することができる。例えば、無機粉末がジルコニア(イットリア安定化ジルコニア等)やアルミナの場合は、昇温速度5~20℃/hで450~550℃前後まで昇温して脱脂を行い、その後昇温速度40~60℃/hで1300~1600℃まで昇温して焼結を行うことができる。無機粉末が金属の場合、不活性ガス雰囲気中において昇温速度5~20℃/hで450~550℃前後まで昇温して脱脂を行い、その後昇温速度40~60℃/hで温度1300~1400℃まで昇温して焼結を行うことができる。
<架橋ポリマー粒子>
本実施の形態に係るフィラメント用組成物は、焼結性無機粉末(A1)および有機バインダー(B)に加え、架橋ポリマー粒子(A2)を含んでもよい。架橋ポリマー粒子(A2)を含む3Dプリンタ用フィラメントを用いると、積層構造体中に架橋ポリマー粒子が分散して存在することになるため、当然ながら架橋ポリマーが存在する位置には焼結性無機粉末(A1)は存在しない。そして、積層構造体がたとえば脱脂工程を経ると積層構造体中の有機バインダー(B)および架橋ポリマー粒子(A2)の両方がほとんどすべて消失するため、最終的に得られる焼結体は多孔体となる。このような方法により、セラミックの多孔質体や金属の多孔質体を製造することができる。
架橋ポリマー粒子(A2)は、たとえば、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ウレタン樹脂粒子、および架橋スチレン樹脂粒子からなる群から選択される少なくとも1種である。架橋ポリマー粒子(A2)の平均粒子径は、特に限定されないが、1~200μmであることが好ましく、より好ましくは1~50μmであり、さらに好ましくは1~30μmである。本明細書において、架橋ポリマー粒子(A2)の平均粒子径は、コールターカウンター(例えば、ベックマン・コールター株式会社から販売されている精密粒度分布測定装置)を用いて求めた粒度分布における積算値50%での粒径(D50)を意味する。
架橋ポリマー粒子(A2)は、多孔質体中に所望する程度の空孔を得られる範囲において、フィラメント用組成物中に下記の割合で含有されることが好ましい。すなわち、焼結性無機粉末(A1)および有機バインダー(B)の合計を100質量部とした場合に、架橋ポリマー粒子(A2)は、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、70質量部以下であることがさらに好ましい。このような範囲にすることにより、多孔質体の造形を可能としながら、3Dプリンタ用フィラメントの折れにくさを維持することができる。
架橋ポリマー粒子(A2)の熱分解温度は、200~600℃であることが好ましく、より好ましくは230~550℃であり、さらに好ましくは250~500℃である。本明細書において、熱分解温度の測定方法は、示差熱分析装置(例えば、株式会社リガクから販売されている熱重量分析/示差熱分析測定装置)を用いて、直径5mm×高さ2.5mmのアルミパンで、200mL/minの空気フロー下で、10℃/minの温度上昇で測定し、全減量の50質量%の値を熱分解温度とすることによって求めることができる。
架橋ポリマー粒子(A2)としては、600℃で加熱した後の残渣、具体的には、たとえば、10℃/minで600℃まで昇温して10分加熱した後の残渣が、加熱前の架橋ポリマー粒子(A2)の5質量%以下であるものが好ましい。このような残渣の量が多いと得られる焼結体の特性に影響が出るため、たとえば、焼結体の用途が限定されてしまう。なお、当該残渣の成分の殆どは、架橋ポリマー粒子(A2)に元から含まれる無機元素である。ここで、無機元素とは、酸素、炭素、水素および窒素以外の元素であり、たとえば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、および硫黄などをいう。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
<使用原料>
実施例および比較例で使用した原料は以下のとおりである。
[焼結性無機粉末(A1)]
・ステンレス粉末(SUS316L)(平均粒子径(D50):7.1μm、タップ密度:4.6g/cm3)
・ジルコニア粉末(Y23を3モル%含むイットリア部分安定化ジルコニア粉末、BET比表面積:15m/g、平均粒子径(D50):0.15μm)
・アルミナ粉末(BET比表面積:6m2/g、平均粒子径(D50):0.52μm)
・WC-Co粉末(平均粒子径(D50):1.4μm)
[架橋ポリマー粒子(A2)]
・架橋アクリル樹脂粒子(平均粒子径(D50):20μm、熱分解温度:270℃、積水化成品工業社 MBX-20)
[熱可塑性樹脂(B1)]
・アクリル系樹脂1(メタクリル酸n-ブチル重合体、重量平均分子量:20万)
・アクリル系樹脂2(メタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルとの共重合体、クラレ社 クラリティLA2140)
・アクリル系樹脂3(エチレンとメタクリル酸グリシジルとの共重合体、住友化学社 ボンドファーストBF-30C)
・アクリル系樹脂4(エチレンとメタクリル酸グリシジルとスチレンの共重合体、日油社 モディパーA4300)
・EVA(重量平均分子量:7万、140℃流れ値:0.30cm/sec、荷重たわみ温度:68℃)
[熱可塑性樹脂(B2)]
・POM(重量平均分子量:5万、180℃流れ値:0.003cm/sec、融点:165℃)
・PP(重量平均分子量:24万、180℃流れ値:0.051cm/sec、融点:163℃)
[オレフィン系重合体(B3)]
・水添スチレン/オレフィン系共重合体(スチレン-ブタジエン共重合体の水素添加物、旭化成社 タフテックH1521)
・アモルファスポリオレフィン(重量平均分子量:8000、軟化点:145℃)
[ワックス(B4)]
・パラフィンワックス(分子量:472、融点:70℃)
・合成ワックス(分子量 :8000、軟化点:125℃)
[化合物(B5)]
・4-シクロヘキセン-1, 2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)(重量平均分子量(分子量):394)
・モノステアリン酸ソルビタンエステル(重量平均分子量(分子量):430、融点:55℃)
・ステアリン酸(重量平均分子量(分子量):284)
・フェノール化合物(1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン)(重量平均分子量(分子量):545、融点:183~185℃)
表1~3は、実施例1~22および比較例1~10の各フィラメント用組成物に用いる原料の「配合」(配合する材料と配合量)、配合する材料の「質量比」、各フィラメント用組成物に関する「特性」、各フィラメント用組成物を用いて製造した3Dプリンタ用フィラメントに関する「評価」について示す。表1~3の詳細について以下に説明する。
<配合>
(フィラメント用組成物の調製)
焼結性無機粉末(A1)、熱可塑性樹脂(B1)、熱可塑性樹脂(B2)、オレフィン系重合体(B3)、ワックス(B4)および化合物(B5)を、表1~3に示す割合で配合し、日本スピンドル製造株式会社(旧株式会社森山製作所)製加圧型ニーダーを用いて170℃で溶融混練を行うことで、実施例1~22および比較例1~10に係る各フィラメント用組成物を調製した。なお、表中に示す配合量は質量基準(質量部)である。
(フィラメントの製造)
調製した各フィラメント用組成物をエンプラ産業株式会社製の一軸押出機を使用して、実施例1~22および比較例1~10に係る各3Dプリンタ用フィラメントを製造した。より詳細には、130℃に熱したダイから溶解したフィラメント用組成物を一定の速度で押し出し、室温で空冷することにより、3Dプリンタ用フィラメントを製造した。得られた各3Dプリンタ用フィラメントの直径は1.75mmであった。また、当該3Dプリンタ用フィラメントの断面の真円率(長径と短径の比(長径/短径))は、1.02であった。
<質量比>
表1~3には、各フィラメント用組成物が含有する材料に関する「質量比」を示す。表中、(A1)、(B1)、(B2)、(B3)、(B4)(B5)および(B)は、それぞれフィラメント用組成物中の熱可塑性樹脂(B1)、熱可塑性樹脂(B2)、オレフィン系重合体(B3)、ワックス(B4)、化合物(B5)および有機バインダー(B)の質量を示す。
<特性>(流れ値・流動開始温度)
また、表1~3には、各フィラメント用組成物の特性の1つとして、JIS(1999年度版)K7210 付属書Cに準拠して測定したフィラメント用組成物の150℃における流れ値(150℃流れ値)を示す。詳細には、ダイ穴の直径が1.0mmであり、ダイ穴の長さが1.0mmであり、試料(フィラメント用組成物)への荷重が0.98MPaである条件の下、測定温度を150℃としたときの流れ値を示す。流れ値は、株式会社島津製作所製のフローテスタ「CFD-500D」を用いて求めた。表中の流れ値の単位は「cm/sec」である。なお、流動性が低すぎて測定できなかったものについては表中に「流れず」と記載した。
また、表1~3には、測定した各フィラメント用組成物の流動開始温度を示す。詳細には、流動開始温度は、株式会社島津製作所製のフローテスタ「CFD-500D」を用いて、次のように求めた。すなわち、ダイ穴の直径が1.0mmであり、ダイ穴の長さが1.0mmであり、試料(フィラメント用組成物)への荷重が0.98MPaである条件(上記の流れ値を測定したときと同じ条件)の下、試料の温度を25℃から5℃/minで昇温し、溶解した試料がダイから流れ出す時の試料温度を流動開始温度として求めた。表中の流動開始温度の単位は「℃」である。なお、流動性が低すぎて測定できなかったものについては表中に「流れず」と記載した。
<折れにくさ>
また、表1~3には、各3Dプリンタ用フィラメントの折れにくさも示す。「折れにくさ」は、3Dプリンタ用フィラメントをボビン等に容易に巻き取ることができるか否かの指標となる。3Dプリンタ用フィラメントの折れにくさは次のように判定した。すなわち、20cmの長さとなるように切って準備した各3Dプリンタ用フィラメントを、直径6cmの棒に1周巻き付けた後、解いて直線状に戻す操作を繰り返し、3Dプリンタ用フィラメントが折れるまでの繰り返し回数をカウントした。判定基準は以下のとおりである。A、BおよびCは合格、Dは不合格とした。
A:繰り返し回数21でも折れの発生はなし
B:繰り返し回数11~20で折れが発生
C:繰り返し回数5~10で折れが発生
D:繰り返し回数5未満で折れが発生
<製造安定性>(ギア部周辺での不具合の発生しにくさ)
また、表1~3には、各3Dプリンタ用フィラメントを用いて積層構造体を作成した場合の、ギア部周辺での不具合の発生しにくさも示す。ここでは、ギア部周辺での不具合の発生しにくさを製造安定性と称する。詳細には、製造した各3Dプリンタ用フィラメントを材料にして、フィラメント方式の3Dプリンタ(FLASHFORGE製CreatorPro2 造形範囲 X200mm×Y148mm×Z150mm)を使用して、幅30mm×奥行7mm×高さ30mmの縦長の直方体(積層構造体)を作成した。その際の造形速度は30mm/secとし、造形ノズル温度は200℃とし、ステージ温度80℃とし、ノズル径は0.6mmとした。
なお、実施例1~22および比較例1~10の他の評価にて使用する積層構造体もこれと同様に作成した。
3Dプリンタが正常に動作している場合はフィラメントを送るギア部が正常にフィラメントを送り出すが、ギア部にてフィラメントが座屈したり、折れたり、あるいはギアによりフィラメントが削れたりした場合、フィラメントを正常に送り出すことができなくなり、その結果、正常な造形ができなくなる。ここでは、造形の開始からこのような不具合が発生するまでの時間を測定して、各3Dプリンタ用フィラメントを用いた場合のギア部周辺での不具合の発生しにくさ、すなわち製造安定性を判定した。判定基準は以下のとおりである。A、BおよびCは合格、Dは不合格とした。
A: 造形開始から120分以上経過しても不具合なし
B:造形開始から60分以上120分未満で不具合発生
C:造形開始から30分以上60分未満で不具合発生
D:造形開始から30分未満で不具合発生
<ノズル吐出安定性および積層性>
また、表1~3には、ノズル吐出安定性および積層性の判定結果も示す。フィラメント方式の3Dプリンタにおいて、フィラメントは、ヒーター部にて溶融してノズルから吐出される。3Dプリンタ用フィラメントは、たとえば、その流れ値が低すぎたり高すぎたりすると、ノズルから吐出される樹脂組成物の量にムラが生じやすい傾向があり、積層構造体の表面に凹凸ができて外観に不良を生じる場合がある。ここでは、このようなムラの生じにくさ(吐出量の変動のなさ)をノズル吐出安定性と称する。
また、3Dプリンタ用フィラメントに用いたフィラメント用組成物において、たとえば、有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B1)および化合物(B5)の合計の質量比(((B1)+(B5))/(B))が低すぎると、積層構造体における層同士の密着性が低下する傾向がある。密着不良があると、層間に隙間ができたりする欠陥を生じる。ここでは、このような欠陥の生じにくさを積層性と称する。
ノズル吐出安定性および積層性は、積層構造体の外観等に基づいて判定した。判定基準は以下のとおりである。A、B、Cは合格、Dは不合格とした。
A: 密着不良による欠陥はなく、吐出量にムラは認められない
B:密着不良による欠陥はないが、吐出量に軽度のムラがある
C:密着不良による欠陥はないが、吐出量に中度のムラがある
D:密着不良による欠陥があるか、または吐出量に重度のムラがある
ここで、「密着不良による欠陥」の有無は、得られた積層構造体において層間に隙間が認められるか否かにより判断した。また、樹脂組成物は、ノズルから吐出される際にノズル先端で下の層に押し付けれ、広がった状態で積層されていく。そのため、ノズルからの吐出量が安定しない場合は、吐出された後の樹脂組成物の幅は大きく変動する。そして、その結果、得られる積層構造体の側面には凹凸が生じる。上記の「軽度のムラ」、「中度のムラ」および「重度のムラ」の判断は、積層構造体にこのような吐出量のムラに起因する凹凸が認められた場合に次のように行った。すなわち、積層構造体の側面に認められた凹凸のうち、最も大きな凹凸の高さ方向の差が0.4mm未満の場合に「軽度のムラ」とし、当該差が0.4~0.8mmの場合に「中度のムラ」とし、当該差が0.8mmを超える場合に「重度のムラ」とした。
<変形のなさ>
また、表1~3には、脱脂工程を経た積層構造体に生じたクラック・フクレ等の変形に関する評価結果を示す。詳細には、焼結性無機粉末(A1)としてステンレス粉末を含む積層構造体(実施例1~11および比較例1~10)については、窒素ガス雰囲気中にて、昇温速度10℃/hで500℃まで昇温して脱脂を行い、30℃まで冷ましてから、脱脂後の積層構造体の状態を観察した。
また、焼結性無機粉末(A1)としてジルコニア粉末またはアルミナ粉末を含む積層構造体(実施例12~18)については、大気中にて昇温速度10℃/hで500℃まで昇温して脱脂し、30℃まで冷ましてから、脱脂後の積層構造体の状態を観察した。
また、焼結性無機粉末(A1)としてWC-Co粉末を含む積層構造体(実施例19~22)については、窒素ガス雰囲気中にて昇温速度10℃/hで500℃まで昇温して脱脂し、30℃まで冷ましてから、脱脂後の積層構造体の状態を観察した。
観察の結果に基づいて、変形のなさを下記の基準で判定した。なお、上述した条件で積層構造体を造形できなかったものについては、表中に「造形できず」と記載した。
〇:変形はない
△:クラック・フクレはないが、それ以外の軽度な変形がある
×:クラック・フクレがあるか、またはそれ以外に重度の変形がある
ここで、上記の「軽度な変形」および「重度の変基」の判定は次のように行った。すなわち、脱脂後の積層構造体について、底面の1つの頂点を基準とした他の各頂点の位置が設計上の位置(あるべき位置)からどの程度ずれているかを測定した。そして、各頂点のずれのうちのもっとも大きなものが2mm未満の場合は「軽度な変形」、2mm以上の場合は「重度の変形」とした。
<相対密度>
表1~3には、焼結工程を経て得られた焼結体の相対密度を示す。各焼結体は次のように得た。
焼結性無機粉末(A1)としてステンレス粉末を含む積層構造体(実施例1~11および比較例1~10)については、上述したように変形のなさについて状態を観察した後、窒素ガス雰囲気中にて、昇温速度50℃/hで温度1350℃まで昇温して焼結を行い、焼結体を得た。
焼結性無機粉末(A1)としてジルコニア粉末を含む積層構造体(実施例12~16)については、上述したように変形のなさについて観察した後、大気中にて昇温速度50℃/hで1450℃まで昇温して焼結を行い、焼結体を得た。
焼結性無機粉末(A1)としてアルミナ粉末を含む積層構造体(実施例17,18)については、上述したように変形のなさについて状態を観察した後、大気中にて昇温速度50℃/hで1600℃まで昇温して焼結を行い、焼結体を得た。
焼結性無機粉末(A1)としてWC-Co粉末を含む積層構造体(実施例19~22)については、上述したように変形のなさについて状態を観察した後、アルゴンガス雰囲気中にて昇温速度50℃/hで温度1390℃まで昇温して焼結し、焼結体を得た。
各焼結体について、見かけ密度をアルキメデス法により測定し、真密度に対する見かけ密度の割合を相対密度とした。相対密度は、95%以上であることが好ましい。相対密度が95%未満の場合、焼結体は内部に気泡等を有している可能性がある。相対密度に関する可否を下記の基準で判定した。ここで、「真密度」は、各焼結体を構成する成分、すなわち用いられた焼結性無機粉末(A1)の成分の真密度であり、たとえば実施例1については、用いられたステンレスの真密度である。
〇:相対密度が95%以上
×:相対密度が95%未満
Figure 0007376736000001
Figure 0007376736000002
Figure 0007376736000003
各実施例および各比較例から次のことが分かる。つまり、焼結性無機粉末(A1)100質量部に対して有機バインダー(B)が5質量部未満である場合(比較例1)、フィラメント用組成物の流動性が悪くなるため、積層構造体を造形できなかった。有機バインダー(B)が25質量部を超える場合(比較例2)、製造安定性およびノズル吐出安定が悪く、積層構造体を造形できなかった。
また、有機バインダー(B)の全量に対する、熱可塑性樹脂(B1)と化合物(B5)の合計の質量比(((B1)+(B5))/(B))が0.5未満となる場合(比較例3)、フィラメントが折れやすくなり、また積層性も低下して造形不良が発生した。また、当該質量比が0.9を超える場合(比較例4)、製造安定性が悪くなった。
また、有機バインダー(B)の全量に対するオレフィン系重合体(B3)の質量比((B3)/(B))が、0.03を下回る場合(比較例5)、フィラメントが折れやすくなった。また、当該質量比が0.2を超える場合(比較例6)、製造安定性が悪くなった。
また、有機バインダー(B)の全量に対するワックス(B4)の質量比((B4)/(B))が0.1を下回る場合(比較例7)、クラック・フクレに起因する変形が生じた。他方、当該質量比が0.4を超える場合(比較例8)は、フィラメントが折れやすくなり、製造安定性が悪くなった。
また、有機バインダー(B)の全量に対するに対する化合物(B5)の質量比((B5)/(B))が0.05を下回る場合(比較例9)、ノズル吐出安定性が悪化し、脱脂時の変形が生じた。また、当該質量比が0.25を上回る場合(比較例10)は、製造安定性が悪くなった。
これに対して、有機バインダー(B)が焼結性無機粉体粉末(A1)100質量部に対して5~25質量部であり、有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B1)および化合物(B5)の合計の質量比(((B1)+(B5))/(B))が、0.5~0.9であり、有機バインダー(B)に対するオレフィン系重合体(B3)の質量比((B3)/(B))が0.03~0.2であり、有機バインダー(B)に対するワックス(B4)の質量比((B4)/(B))が0.1~0.4であり、有機バインダー(B)に対する化合物(B5)の質量比((B5)/(B))が0.05~0.25の範囲にある場合は、フィラメント式3Dプリンタのノズルから溶融した樹脂組成物を正常に吐出することが可能あり、かつ、優れた外観の焼結体を形成可能な、3Dプリンタのフィラメントを得ることができた。より具体的には、各実施例のフィラメント用組成物を用いた場合、折れにくく、製造安定性が高く、ノズル吐出安定性および積層性が高い3Dプリンタ用フィラメントを得ることができ、また、脱脂時の変形が小さく、相対密度が高い焼結体を得ることができた。
<架橋ポリマー粒子>
以下、架橋ポリマー粒子(A2)を含むフィラメント用組成物ならびに3Dプリンタ用フィラメントについて説明する。表4に、当該フィラメント用組成物の原料の「配合」(配合する材料と配合量)、各フィラメント用組成物の「特性」、各フィラメント用組成物を用いて製造した3Dプリンタ用フィラメントに関する「評価」について示す。なお、表中に示す配合量は質量基準(質量部)である。
<架橋ポリマー粒子を含むフィラメント用組成物の調製>
フィラメント用組成物に架橋ポリマー粒子(A2)として架橋アクリル樹脂粒子を添加し、日本スピンドル製造株式会社(旧株式会社森山製作所)製加圧型ニーダーを用いて170℃で溶融混練を行うことにより、架橋ポリマー粒子を含むフィラメント用組成物を調製した。詳細には、実施例1または実施例18のフィラメント用組成物と、架橋ポリマー粒子(A2)とを表4に示す割合で配合して溶融混錬を行うことにより、実施例23~26のフィラメント用組成物を調製した。
<フィラメントの製造>
調製した各フィラメント用組成物を用い、実施例1と同様にして、実施例23~26の3Dプリンタ用フィラメントを製造した。
<積層構造体の製造>
製造した各3Dプリンタ用フィラメントを材料にし、実施例1と同様にして、実施例23~26の積層構造体を作成した。
<脱脂・焼結>
焼結性無機粉末(A1)がステンレス粉末の場合(実施例23,24)、窒素ガス雰囲気中にて積層構造体を昇温速度10℃/hで500℃まで昇温して脱脂を行い、その後、窒素ガス雰囲気中にて昇温速度50℃/hで温度1350℃まで昇温して焼結し、焼結体を得た。
焼結性無機粉末(A1)がジルコニア粉末の場合(実施例25,26)、積層構造体を大気中にて昇温速度10℃/hで500℃まで昇温して脱脂した後、大気中にて昇温速度50℃/hで1450℃まで昇温して焼結を行い、焼結体を得た。
表4には、架橋ポリマー粒子(A2)を含有するフィラメント用組成物について、上述した内容と同様にして求めた「流れ値」および「流動開始温度」を示す。また、3Dプリンタ用フィラメントあるいはそれを用いた積層構造体について、上述した内容と同様にして求めた「折れにくさ」「製造安定性」「ノズル吐出安定性および積層性」「変形のなさ」を示す。
<多孔質体>
また、表4には、得られた焼結体が多孔質体となっているかの評価結果を示す。詳細には、得られた焼結体を切断し、その断面を観察することにより当該焼結体が多孔質体となっているか否かを判断した。判断基準は以下のとおりである。
〇:多孔質体になっている
×:多孔質体になっていない
Figure 0007376736000004
ここで説明したように、フィラメント組成物に架橋ポリマー粒子(A2)を加えることにより、最終的に得られる焼結体を多孔質にすることができる。すなわち、実施例23~26の焼結体は多孔質焼結体である。
たとえば、フィラメント組成物の100重量部に対し、架橋ポリマー粒子が35質量部以下の範囲であれば、フィラメント組成物が架橋ポリマー粒子(A2)を含まない場合と同様に、3Dプリンタから溶融した樹脂組成物を正常に吐出することが可能あり、かつ、優れた外観の焼結体を形成可能であった。また、このように、3Dプリンタを用いて金属およびセラミック等の多孔質体を形成できることは、今後の3Dプリンタの活用の幅を大きく広げるものであると考えられる。
多孔質焼結体の製造方法は、上述したように、架橋ポリマー粒子(A2)を含む3Dプリンタ用フィラメントを用いて、熱溶融積層方式の3Dプリンタによって積層構造体を造形する工程(積層造形体の造形工程)と、造形した前記積層構造体を脱脂する工程(脱脂工程)と、脱脂した前記積層構造体中の焼結性無機粉末(A1)を焼結する工程(焼結工程)とを含む。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また本明細書において、「A~B」といった範囲に関する記載は、「A以上B以下」を意味する。また本明細書において、ある化合物Zは化合物Xと化合物Yとを反応させたものである等と説明している場合があるが、このような場合、化合物Zは必ずしも化合物Xと化合物Yとを反応させて得られた化合物である必要はない。つまり、化合物Zは、化合物Xと化合物Yとを反応させて得られた化合物と同じ構造であればよく、その製造プロセスは関係ない。
本発明によれば、フィラメント式3Dプリンタを用いて、外観に優れたセラミックス製品、金属製品、およびサーメット等を効率よく製造することが可能になる。

Claims (12)

  1. 焼結性無機粉末(A1)および有機バインダー(B)を含有し、
    有機バインダー(B)は、
    EVAを除くオレフィン系ポリマー(B3)、
    ワックス(B4)、
    オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)とを除く非結晶性ポリマーと、EVAとから選択される熱可塑性樹脂(B1)、および、
    オレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)と熱可塑性樹脂(B1)とを除く、重量平均分子量が8000以下の化合物(B5)を含み、
    有機バインダー(B)は焼結性無機粉末(A1)100質量部に対して5~25質量部であり、
    有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B1)および化合物(B5)の合計の質量比(((B1)+(B5))/(B))が、0.5~0.9であり、
    有機バインダー(B)に対するオレフィン系ポリマー(B3)の質量比((B3)/(B))が0.03~0.2であり、
    有機バインダー(B)に対するワックス(B4)の質量比((B4)/(B))が0.04~0.4であり、
    有機バインダー(B)に対する化合物(B5)の質量比((B5)/(B))が0.05~0.25であ
    オレフィン系ポリマー(B3)は、炭素‐炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体、炭素‐炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素とスチレンとの共重合体の水素添加物、およびアモルファスポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種である、3Dプリンタのフィラメント用組成物。
  2. 有機バインダー(B)は、
    さらに、EVAとオレフィン系ポリマー(B3)とワックス(B4)と化合物(B5)とを除く結晶性ポリマーから選択される熱可塑性樹脂(B2)を含み、
    有機バインダー(B)に対する熱可塑性樹脂(B2)の質量比((B2)/(B))が0.3以下である、請求項1に記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
  3. JIS(1999年度版)K7210 付属書Cに準拠し、フローテスタを用いて得られる前記フィラメント用組成物の流れ値であって、前記フィラメント用組成物からなる試料への荷重が0.98MPa、ダイ穴の直径が1.0mm、ダイ穴の長さが1.0mmである条件の下、測定温度を150℃としたときに得られる前記流れ値が0.002~0.05cm3/secであり、かつ、
    フローテスタを用いて前記フィラメント用組成物からなる試料の温度を5℃/minで25℃から昇温したときに、溶解した前記試料がダイから流れ出す時の前記試料の温度である流動開始温度であって、前記試料への荷重、ダイ穴の直径、およびダイ穴の長さが前記条件と同じである場合に得られる前記流動開始温度が85~135℃である、請求項1または2に記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
  4. 熱可塑性樹脂(B1)は、(メタ)アクリル酸エステルの重合体およびEVAからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
  5. 化合物(B5)は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸塩、炭素環を有するジエステル、リン酸エステル、およびフェノール化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
  6. 請求項1または2に記載のフィラメント用組成物を用いて作成された3Dプリンタ用フィラメント。
  7. 請求項に記載の3Dプリンタ用フィラメントを用いて作成された前記焼結性無機粉末(A1)の焼結体。
  8. さらに、架橋ポリマー粒子を含む、請求項1または2に記載の3Dプリンタのフィラメント用組成物。
  9. 請求項に記載のフィラメント用組成物を用いて作成された3Dプリンタ用フィラメント。
  10. 請求項に記載の3Dプリンタ用フィラメントを用いて作成された前記焼結性無機粉末(A1)の多孔質焼結体。
  11. 焼結性無機粉末(A1)の焼結体の製造方法であって、
    請求項に記載の3Dプリンタ用フィラメントを用いて、熱溶融積層方式の3Dプリンタによって積層構造体を造形する工程、造形した前記積層構造体を脱脂する工程、および、脱脂した前記積層構造体中の焼結性無機粉末(A1)を焼結する工程を含む、焼結体の製造方法。
  12. 焼結性無機粉末(A1)の多孔質焼結体の製造方法であって、
    請求項に記載の3Dプリンタ用フィラメントを用いて、熱溶融積層方式の3Dプリンタによって積層構造体を造形する工程、造形した前記積層構造体を脱脂する工程、および、脱脂した前記積層構造体中の焼結性無機粉末(A1)を焼結する工程を含む、多孔質焼結体の製造方法。
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