JP7375401B2 - 無人搬送システム - Google Patents

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Description

本発明は、無人搬送システムに関する。
従来より工場や倉庫などにおいて、自動制御で走行する無人の搬送車により搬送物を搬送する無人搬送システムが知られている。この種のシステムでは、搬送車に搭載された蓄電池に電力を供給する受電コイルと、搬送車の搬送路上に配置され、搬送車の受電コイルに非接触で電力を供給する送電コイルとを備え、非接触で充電を行うものが供されている(例えば特許文献1参照)。
特開2015-3610号公報
ところで、無人搬送システムにおいて、複数の搬送車が用いられる場合、その搬送車の数に応じた送電装置を設置するためのスペース、つまり充電ステーションの設置面積を確保する必要がある。
しかしながら、工場などの限られたスペースでは、実際上、搬送車全台分の充電ステーションを設置できず、充電できない搬送車が充電ステーション前に待機することとなって、搬送効率の低下を来す事態が生じうる。他方、充電ステーションを広くとれば、上記の非接触充電における漏洩電磁界も増大し、工場内の電子機器などへの影響も懸念されるなど、解決すべき特有の課題が内在する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の搬送車を用いた構成にあって、その充電用のスペースを極力抑えながらも搬送効率を向上させることが可能な無人搬送システムを提供することにある。
請求項1記載の発明では、残量取得部(10,15,30,33)にて取得された搬送車(1,1a~1e)各々の蓄電部(11)の残量に基づき、当該一の搬送車の次回の充電タイミングと他の搬送車の充電タイミングとが重ならないように、当該一の搬送車の充電量を決定する。このため、決定された充電量で充電を行うことにより、充電ステーション(2)にて複数の搬送車の充電時間が重ならないようにすることが可能となる。これにより、搬送車の充電待ちとなるような事態を抑制することができ、搬送効率を向上させることができる。また、充電ステーションのスペースを広くとらず済み、そのスペースを広くとることによる弊害を抑制することができる。
第1実施形態の無人搬送システムにおける工場内の充電ステーションと複数の搬送車を模式的に示す斜視図 充電ステーションの制御部と搬送車の制御部とを夫々の通信部とともに示す概念図 充電ステーション側の送電電極部材と搬送車側の受電電極部材を模式的に示す側面図 充電ステーション側の送電システムと搬送車側の受電システムの電気的構成を示す図 充電に関する処理の流れを示すフローチャート 充電対象となる搬送車と他の搬送車の蓄電池の残量を示す説明図(その1) 充電対象となる搬送車と他の搬送車の蓄電池の残量を示す説明図(その2) 第2実施形態における搬送車の蓄電池の残量を示す説明図(その3) 第3実施形態における倉庫内の充電ステーションと複数の搬送車を模式的に示す側面図 従来例における充電対象の搬送車と他の搬送車の充電待ちの状態を示す説明図
以下、本発明を具体化した複数の実施形態について、図面に基づき説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付す等して説明を省略する。
<第1実施形態>
第1実施形態について図1~図7を参照しながら説明する。図1に示す無人搬送システムは、例えば工場内において複数台配備された無人の搬送車1と、各搬送車1の充電を行うための充電ステーション2と、各搬送車1との無線通信が可能な管理装置3(図2参照)と、を備える。
工場内においては、搬送車1の所定の走行路に沿って複数の作業設備(図示しない作業ステーション)を有しており、無人の搬送車1は、前記走行路を走行しながら各作業設備前に順次停止し、ワークや製品(搬送物)の受取り・受渡しといった搬送作業を実行するように構成されている。また、搬送車1は、後述する管理装置3から受信した充電情報に基づいて、指定された搬送車1が充電ステーション2まで走行し、充電されるようになっている。
搬送車1は、図1に示すように工場内に例えば5台配備されるものとし、それら搬送車1を相互に区別するために、符合「1a,1b,1c,1d,1e」を付して「第1搬送車1a~第5搬送車1e」或いは「搬送車1a~1e」とも称する。
詳しい図示は省略するが、前記走行路は、前記作業設備に対応する搬送用の走行路5と、充電ステーション2で充電するための充電用の走行路6とを含む。図1では、走行路5,6として、第1搬送車1a、第2搬送車1b、第3搬送車1cの走行路5a,5b,5cと、充電ステーション2前後の走行路6in,6outとを矢印で区別して表しているが、各搬送車1a~1eは、当該走行路5,6に沿って走行可能なものとする。
搬送車1a~1eは、図4に示す蓄電池11を各々搭載しており、その車体上部には、搬送物を乗せる荷台8(図3参照)が設けられている。また、図3に示すように、搬送車1a~1eの車体底部には、走行路5,6を走行するための車輪12を含む走行機構が設けられている。走行機構は、図4に示す車軸モータ13の回転軸13aに、図示しない減速機を介して車輪12を連結した構成にあって、車軸モータ13の駆動により車輪12が回転駆動され、搬送車1a~1eを走行させる。
なお、搬送車1a~1eは、例えばAGV(Automated Guided Vehicle)で構成することができる。この場合、工場の床面7或いは走行路5,6上に当該走行軌道や停止位置等を示すマーカ(例えば磁気マーカ)が設けられ、搬送車1a~1eの車体の底部に、そのマーカを検出するためのマーカセンサ(図2の各種センサ類14参照)が設けられる。
図2に示す、搬送車1a~1eの制御部10は、例えばマイクロコンピュータを主体に構成されていて、図示しないROM、RAM等の記憶部を備える。記憶部には、走行路5,6のレイアウトや作業位置等を示す地図データが記憶されるとともに、作業実行用プログラムや通信用プログラムが記憶されている。
搬送車1a~1eの制御部10には、前記マーカセンサを含む各種センサ類14、管理装置3と無線通信を行うための無線通信部15、車軸モータ13の駆動を制御するモータドライバ16(図4(b)参照)等が接続されている。制御部10は、管理装置3から受信した情報や各種センサ類14からの入力信号に基づき、モータドライバ16を介して車軸モータ13を制御し、以って予め規定された走行路5,6に沿って自律的に走行する。また、詳しくは後述するように、搬送車1a~1e各々において、制御部10は自身の搬送車1に搭載された蓄電池11の電圧を検出し(図4(b)参照)、その検出した電圧に基づき蓄電池11の蓄電量(残量)を求め、その残量を管理装置3へ送信する。
蓄電池11は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池(蓄電部)である。蓄電池11は、充電ステーション2にて供給される電力を蓄え、搬送車1a~1e各々において当該蓄えられた電力を動力源とする。ここで、図3は、充電ステーション2で蓄電池11を充電するときの搬送車1eの模式的な側面図を示している。
同図に示すように、充電ステーション2の床面7上には、一対の送電電極部材21,21が設けられている。これに対し、搬送車1a~1eにおける車体の底部には、一対の受電電極部材17,17が設けられている。
具体的には、一対の送電電極部材21,21は、夫々板状或いはレール状をなす比較的長尺な一対の非接触送電部である(図1、図3、図4(a)参照)。一対の送電電極部材21,21は、充電ステーション2における走行路6に沿って並列するように延設されている。図1に示すように充電ステーション2の広さ、つまり搬送車1a~1eの走行方向における送電電極部材21,21の寸法L2は、搬送車1a~1e1台分の長さをL1としたとき、例えば搬送車1a~1e3台分の充電が可能な無線充電区間となるように設定されている(L2≒L1×3)。
一対の受電電極部材17,17は、図3、図4(b)に示すように夫々板状をなす一対の非接触受電部である。一対の受電電極部材17,17は、一対の送電電極部材21,21と非接触で対向するように、搬送車1a~1eに搭載されている。受電電極部材17,17の寸法L1は、搬送車1a~1e1台分の長さに合わせており、各搬送車1a~1eの前端から後端にわたって延びている。
これにより、一対の送電電極部材21,21から一対の受電電極部材17,17へと、電界結合方式による無線での送電が可能となる。つまり、送電電極部材21,21と受電電極部材17,17との間の容量結合乃至電界結合によって、送電電極部材21,21から受電電極部材17,17へ非接触で電力を送電することができる。
ここで、図4(a)は、充電ステーション2における送電システム31の概略構成を示している。送電システム31は、一対の送電電極部材21,21、インバータ22、及び電源23を含む。インバータ22は、入力側の電源23の交流電力(或いは直流電力)を、前記電界結合方式に適した高周波電力に変換して、その高周波電力を出力側の送電電極部材21,21へ供給する。
これに対し、図4(b)は、搬送車1a~1eにおける受電システム32の概略構成を示している。受電システム32は、一対の受電電極部材17,17、整流器18、及びDC-DCコンバータ19を含み、当該電極部材17,17で受電した高周波電力を負荷32a側で要求される電力に変換する。このうち、整流器18は、受電した高周波電力を直流電力に変換する整流回路であり、DC-DCコンバータ19は、その直流電力の電圧を蓄電池11に適した電圧に変換する電圧変換器である。前記負荷32a側においては、蓄電池11や車軸モータ13といった電力を蓄積したり消費したりする機器で構成され、モータドライバ16は、蓄電池11の直流電力を用いて車軸モータ13の駆動信号を生成する。
管理装置3は、例えば充電ステーション2に配置され、上記した蓄電池11の残量を搬送車1a~1e各々について取得し、管理する。即ち、図2に示す管理装置3の制御部30は、例えばマイクロコンピュータを主体に構成されていて、図示しないROM、RAM等の記憶部を備える。この記憶部には、蓄電池11の充電に関する充電用プログラムや通信用プログラムが記憶されるとともに、搬送車1a~1e各々を識別するための車両IDが記憶されている。また、記憶部には、蓄電池11の残量に対する閾値として予め設定された第1閾値Th1と第2閾値Th2とが記憶されている(図6、図7のTh1,Th2参照)。
第1閾値Th1は、蓄電池11の残量が最も高い搬送車1に対する閾値として、満充電より低く且つ第2閾値Th2より高くなるように設定されている。第2閾値Th2は、蓄電池11の残量が最も低い搬送車1に対する要充電判定用の閾値である。本実施形態では、第2閾値Th2とは無関係に、蓄電池11の残量が最も低い搬送車1に対して充電を行うことがあるが(図5のS2:NO且つS8:YES)、詳しくは後述する。
図2に示すように、管理装置3の制御部30には、搬送車1a~1e各々と無線通信を行うための無線通信部33が接続されている。制御部30は、予め定められた所定時間毎に無線通信部33を介して、全搬送車1a~1eから各々の蓄電池11の残量を送信するように要求する。これにより、制御部30及び無線通信部33は、蓄電池11の残量を搬送車1a~1e各々について取得する残量取得部として機能し、取得された蓄電池11の残量は、車両IDと対応付けて記憶(管理)される。
管理装置3の制御部30は、インバータ22に電力を供給し(インバータ22の作動開始により)、搬送車1の蓄電池11の充電を開始するとき、その充電時間(充電開始から充電終了までの時間)を計測可能な計時部(図示略)を有する。また、図示は省略するが、搬送車1a~1e各々の制御部10は、蓄電池11の充電時間を計測可能な計時部を有する。つまり、管理装置3の制御部30又は搬送車1a~1e各々の制御部10により、蓄電池11の充電時間を計測して、その充電完了を、充電時間に基づき判定することができる。
続いて、上記構成の作用について、図5~図7も参照しながら説明する。ここで、図5は、管理装置3の制御部30により実行される充電用プログラムの処理の流れを示しており、同図の「S1,S2,…」は、ステップS1,S2,…を表すものとする。また、図6、図7は、充電対象を第5搬送車1eとしたときの当該搬送車1eと他の搬送車1a~1dの蓄電池11の残量を示す説明図である。
即ち先ず、制御部30は、搬送車1a~1eで搬送を行っている搬送状態において、その搬送開始から所定時間毎に、全搬送車1a~1eから各々の蓄電池11の残量を送信するように要求する。これにより、制御部30は、搬送車1a~1e各々から送信される蓄電池11の残量を照合して、当該残量が最も低い搬送車1を特定する(S1)。
具体的には図6に例示するように、蓄電池11の残量について大きいものから第1搬送車1a,第2搬送車1b,第3搬送車1c,第4搬送車1d,第5搬送車1eの順に並ぶ、搬送状態にあるものと仮定する。このとき、制御部30において取得される同図6の残量を比較することで、その残量が最も低い第5搬送車1eを、全搬送車1a~1eの中から優先して充電対象とする搬送車1として選定する。
次いで、制御部30は、選定した第5搬送車1eの蓄電池11の残量が要充電判定用の第2閾値Th2未満か否かを判定し(S2)、第2閾値Th2未満でないと判定した場合(S2:NO)、S7へ移行する。
これに対し、S2において蓄電池11の残量が第2閾値Th2未満と判定された場合(S2:YES)、制御部30は、全搬送車1a~1eの蓄電池11の残量について大小順を判別する(S3)。そして、制御部30は、全搬送車1a~1eを当該大小順に並べたときに、相互に隣り合う一組の搬送車1のうち、一方の搬送車1と他方の搬送車との蓄電池11の残量の差が最も大きくなる一組の搬送車1を検出する(S4)。
換言すれば、搬送車1の総数をnとしたとき、図6に示すように、4台以上(n≧4)の搬送車1a~1eが存する場合であって、そのうちの第5搬送車1eの充電を行う場合、当該第5搬送車1e以外の搬送車1a~1d各々の蓄電池11の残量について大きい順に並べるものとする(S3)。このとき、制御部30は、大きい方からm番目(1≦m≦n-1)の蓄電池11の残量とm+1番目の蓄電池11の残量との差を求め、その差が最も大きくなる(差Δt1参照)、一組の搬送車1b,1cを検出する(S4)。
これにより、制御部30は、検出した一組の搬送車1b,1cにおける、蓄電池11の残量の中間値を算出する(S5)。図6の場合、第2搬送車1bと第3搬送車1cとの蓄電池11の残量の合計値を2で除した値が中間値として算出され、算出された中間値は、当該第5搬送車1eの充電量として決定される。こうして、決定された第5搬送車1eの充電量を、図6では破線の棒グラフとして表している。
この後、制御部30は、第5搬送車1eに対して充電情報を送信して、充電ステーション2での充電を指示する。これに応じて、第5搬送車1eが充電ステーション2へ走行し、送電電極部材21,21近傍に配置された前記マーカを各種センサ類14で検出して停止したとき、制御部30は、インバータ22の作動開始により、当該搬送車1eに対する充電を開始し、S5で決定された充電量まで充電する(S6)。
前記S2でNOと判定され、S6での充電が行われていない場合、並びにS6で充電が行われた場合、の何れにおいても制御部30は、蓄電池11の残量が最も高い搬送車1(図6、図7では第1搬送車1a)を特定する(S7)。
そして、制御部30は、特定した第1搬送車1aの蓄電池11の残量が第1閾値Th1未満か否かを判定する(S8)。ここで、第1搬送車1aの蓄電池11の残量が、図6の如く第1閾値Th1以上の場合(S8:NO)、第5搬送車1eに対して更なる充電を行うことなく(S9を実行せずに)、この処理を終了する(Stop)。
他方、第1搬送車1aの蓄電池11の残量が、図7の如く第1閾値Th1未満の場合(S8:YES)、第5搬送車1eに対する充電量は、満充電となるように設定され(同図7の破線参照)、満充電となるまで充電される(S9)。
つまり、図7に示すように、蓄電池11の残量が最も高い第1搬送車1aの当該残量が第1閾値Th1未満であれば(S8:YES)、第5搬送車1eの蓄電池11の残量が第2閾値Th2未満か否かにかかわらず(S2でのYES・NOとは無関係に)、第5搬送車1eはフル充電される(S9)。
もっとも、蓄電池11の残量が最も低い第5搬送車1eの残量が第2閾値Th2以上で(S2:NO)、且つ蓄電池11の残量が最も高い第1搬送車1aの残量が第1閾値Th1以上であれば(S8:NO)、搬送車1a~1eの充電を行うことなく、この処理を終了する(Stop)。
上記した制御部30(管理装置3)と第5搬送車1eとの間で、やりとりされる充電に関する情報(充電情報)には、前記S5やS9で決定される充電量、或いはその充電量に対応する充電時間を含ませることができる。それ故、制御部30又は第5搬送車1eにおいて、充電開始からの充電時間を計測することにより或いは蓄電池11の電圧を検出することに基づき、決定された充電量までの充電が完了したと判定すると、送受電システム31,32での送受電を終了する。送受電の終了は、制御部30側でのインバータ22の作動停止によっても、第5搬送車1eが充電ステーション2の送電電極部材21,21から離間すること(搬送用の走行路5に戻ること)によっても行うことができる。
また、上記したS5やS9で決定される充電量は、何れも一の搬送車1eの次回の充電タイミングと他の搬送車1a~1dの充電タイミングとが重ならないように設定されるものである。S5で求めた中間値は、搬送車1a~1dのうち充電タイミングの間隔が最も長くなると推定される搬送車1b,1cを特定した上で(図6参照)、その搬送車1b,1cの充電と一の搬送車1eの充電とが同程度の時間間隔(図6のΔt1÷2に相応する時間間隔)で、搬送車1c,1e,1bの順に行われるように決定されるからである。また、S8の満充電は、その充電対象の搬送車1eと現時点で蓄電池11の残量が最も高い搬送車1aとの間に、少なくとも当該満充電と第1閾値Th1との差に応じた、充電タイミングの時間間隔(図7のΔt2に相応する時間間隔)をとることができるからである。
この点、従来では図10に示すように、複数の搬送車1c,1dが充電待ちとなる事態に備えて複数台の充電スペースを確保する必要があり、又、複数台の充電スペースを設けたとしても、充電により搬送できない複数の搬送車1c,1d,1eが生じうることから、搬送効率に劣る問題がある。
これに対し、本実施形態では、少なくとも図6の搬送車1c,1e,1b各々の充電が同程度の時間間隔をもって順次行われ、或いは搬送車1a~1e各々の充電が所定の時間間隔をもって順次行われるような充電が行われるため(図7参照)、搬送車1の充電待ちとなるような事態を抑制することができ、充電ステーション2のスペースを広くとらず済む。また、仮に、搬送車1a~1e間に搬送量の差が生じる等して複数台の搬送車1d,1eの充電時間が重なることがあっても(図1参照)、それら搬送車1d,1e間で充電量を異ならせることが可能である(図5参照)。また、当該一搬送車1d,1eの次回の充電タイミングと他の搬送車1a~1cの充電タイミングとが重ならないようにすることもでき、総じて搬送効率を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態の制御部30は、充電ステーション2において総数n台(n≧2)の搬送車1のうちの一の搬送車1の充電を行う場合、残量取得部として取得した各々の蓄電池11の残量に基づき、当該一の搬送車1の次回の充電タイミングと他の搬送車1の充電タイミングとが重ならないように、当該一の搬送車1の充電量を決定する。
これによれば、決定された充電量で充電を行うことにより、充電ステーション2にて複数の搬送車1の充電時間が重ならないようにすることが可能となる。これにより、搬送車1の充電待ちとなるような事態を抑制することができ、搬送効率を向上させることができる。また、充電ステーション2のスペースを広くとらず済み、そのスペースを広くとることによる弊害を抑制することができる。
前記充電ステーション2は、搬送車1の非接触受電部(受電電極部材17,17)に対して非接触で電力を送電する非接触送電部(送電電極部材21,21)を備える。これによれば、受電電極と送電電極とを接触させるための機構を不要とした比較的簡単な構成とすることができ、充電をスムーズに行うことができる。また、充電ステーション2における非接触送電部のスペース乃至規模を小さくすることができ、漏洩電磁界を低減することができる。
前記非接触送電部は、搬送車1の所定の走行路6に配設された送電電極部材21,21であり、搬送車1における受電電極部材17,17に対向して、電界結合方式により非接触で電力を送電する。これによれば、上記のように簡単な構成でスムーズな充電を行うことができ、送電電極部材21,21の大きさを抑えて、漏洩電磁界を低減することができる。また、非接触受電部や非接触送電部の薄型化を図ることができ、送電電極部材21,21を搬送車1の走行の妨げとならないよう配設することができる。
前記制御部30は、4台以上(n≧4)の搬送車1が存する場合であって、そのうちの一の搬送車1の充電を行う場合、当該一の搬送車1以外の搬送車1各々の蓄電池11の残量について大きい順に並べたときに(図6参照)、m番目(1≦m≦n-1)の蓄電池11の残量とm+1番目の蓄電池11の残量との差が最も大きくなる一組の残量の中間値を求め、この中間値まで充電するように当該一の搬送車1の充電量を決定する(図5のS3~S5)。
これによれば、図6に例示したように、蓄電池11の残量の差Δt1が最も大きい一組の搬送車1b,1c、つまり充電タイミングが最も遅れる搬送車1cを推定し、その搬送車1c充電前の好適なタイミングで、当該一の搬送車1eの次回の充電を行うことが可能となる。このため、充電タイミングが遅れる事態を解消することができ、効率的な充電タイミングを設定することができる。
また、これによれば、少なくとも搬送車1b,1e,1c各々の充電が所定の時間間隔(図6のΔt1÷2に相応する同程度の時間間隔)でもって順次行われるように充電量を決定することができ、より効率的なものとすることができる。
前記制御部30は、残量取得部により取得される各々の蓄電池11の残量に基づいて、その蓄電池11の残量が最も低い搬送車1を選定する充電対象選定部として構成した。これによれば、蓄電池11の残量が最も低い搬送車1から充電されるため、搬送中に蓄電池11の残量が足りなくなるといった事態を回避することができる。
前記充電対象となる搬送車1の充電は、蓄電池11の残量が最も高い搬送車1の当該残量が第1閾値Th1未満となったことを条件として行われる(図5のS8)。これによれば、係る条件を満たさないとき、充電を行わない(例えば満充電としない)ことで、その充電が行われることによる搬送車1の次回の充電タイミングと残量が最も高い搬送車1の充電タイミングとが重なる事態を回避することができる。
また、これによれば、図7に示したように例えば、蓄電池11の残量が最も高い搬送車1aの当該残量が第1閾値Th1未満であることを条件に、充電対象となる搬送車1eを満充電となるまで充電すれば、搬送車1a~1e各々の充電が所定の時間間隔(Δt2に相応する時間間隔)をもって順次行われるように充電量を決定することができる。このため、より効率的な充電タイミングを設定することができる。
前記充電対象となる搬送車1の充電は、蓄電池11の残量が最も高い搬送車1の当該残量が第1閾値Th1未満であるとき、第2閾値Th2とは無関係に残量が最も低い搬送車1に対して行う。これによれば、充電対象の搬送車1に対する要充電判定用の第2閾値Th2よりも、残量が最も高い搬送車1に対する第1閾値Th1を優先して、充電が行われるため、蓄電池11の残量が第2閾値Th2未満になることを未然に防止しつつ、第1閾値Th1以上の搬送車1a~1eが存在しないといった事態を回避することができる。
前記制御部30或いは制御部10は、充電における蓄電池11の充電時間を計測し或いは蓄電池11の電圧を検出することに基づいて、前記決定した充電量まで充電する。係る充電完了までの充電時間は、蓄電池11の電圧(残量)と蓄電池11の充電特性に基づき求められる相関関係がある。これにより、求められた充電時間の分、蓄電池11の充電開始から終了まで計測することにより、或いは少なくとも蓄電池11の電圧を検出することにより、前記決定した充電量まで充電を行うことができる。
<その他の実施形態>
図8、図9は、本発明の第2、第3実施形態を示している。以下では、既述した実施形態と実質的に異なる点について述べることとする。
第2実施形態では、第1搬送車1aから第5搬送車1eの全部について搬送を休止する時間帯を設けるものとし、図8は、その搬送を全て休止した時間帯(搬送休止状態)において、その搬送開始前までに充電を行うときの、搬送車1a~1eの充電量を例示している。
同図に例示するように、制御部30は、搬送休止状態での蓄電池11の残量について、第1搬送車1aと第2搬送車1bとの間の差、第2搬送車1bと第3搬送車1cとの間の差、第3搬送車1cと第4搬送車1dとの間の差、第4搬送車1dと第5搬送車1eとの間の差、が同程度となるように充電量を決定する。
これにより、制御部30は、搬送車1a~1eの搬送開始前たる操業開始前までに、決定した充電量で搬送車1a~1eの充電を行うことにより、操業開始後における充電タイミングが、第5搬送車1e、第4搬送車1d、第3搬送車1c、第2搬送車1b、第1搬送車1aの順に、同程度の時間間隔或いは所定の時間間隔をもって行われることとなる。
なお、図8に示すように、搬送休止状態における充電は、操業開始前までに、搬送車1a~1e相互間における蓄電池11の残量の差が同程度となるように行われていればよく、必ずしも全台数分について行う必要はない。また、搬送休止状態は例えば、平日夜間のように比較的短い時間帯となるケースや、休日(二日以上)のように比較的長期となるケースも想定されるが、上記のように予め充電完了時間乃至充電完了時刻を求めておくことで、何れのケースでも、操業開始前に各搬送車1a~1eについて決定した充電量での充電を完了することができる。
以上のように本第2実施形態における制御部30は、n台の搬送車1の搬送を全て休止した搬送休止状態において、その搬送開始前までに充電を行う場合、搬送車1ごとに蓄電池11の残量を異ならせて、搬送開始後における搬送車1各々の充電タイミングが重複しないように充電量を決定する。
これによれば、総数n台の全搬送車1について、搬送開始後における各々の充電が所定の時間間隔或いは同程度の時間間隔をもって順次行われるように設定することができる。また、これによれば、搬送効率を向上させることができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
図9は、第3実施形態の無人搬送システムの概略構成を示している。同図に示す無人搬送システムは、倉庫35内に配設された複数の段F1~F6を有するラック36と、ラック36に沿って走行可能な搬送車1a~1eと、各搬送車1a~1eの充電を行うための充電ステーション2と、各搬送車1との無線通信が可能な管理装置3(同図では図示略)と、を備える。
倉庫35において、搬送物を入庫する入庫口35a側には、搬送車1a~1eを昇降可能な昇降機構37aが配置され、搬送物を出庫する出庫口35b側にも、搬送車1a~1eを昇降可能な昇降機構37bが配置されている。
また、図9に示すように、ラック36には、各段F1~F6に沿って搬送車1a~1eが走行する走行路38が設けられるとともに、各段F2~F6には、入庫した搬送物を保管する保管棚が設けられている。こうして、昇降機構37a,37bは、搬送物の情報により、移送する段F1~F6へ搬送車(同図の搬送車1a,1d参照)を昇降させ、搬送車1a~1eは、その搬送物を入庫口35a及び出庫口35bと保管棚との間で移送する。なお、管理装置3の制御部30は、搬送物の情報を管理し、搬送車1a~1eや昇降機構37a,37bに対して搬送物の情報に基づく搬送指示が可能である。
そして、ラック36の最下段F1には、その走行路38に沿って充電ステーション2の送電電極部材21,21が延設されている。図9では、説明の便宜上、充電ステーション2の無線充電区間L2内に、搬送車1a~1c3台を停車させた状態で示しているが、第1実施形態と同様に搬送車1の充電量が決定されるため、その停車台数を可及的に少なくすることができる。
以上説明したように、本第3実施形態の充電ステーション2においても、複数の搬送車1a~1eのうちの一の搬送車1の充電を行う場合、管理装置3の制御部30は、搬送車1a~1eから取得した各々の蓄電池11の残量に基づき、当該一の搬送車1の次回の充電タイミングと他の搬送車1の充電タイミングとが重ならないように、当該一の搬送車1の充電量を決定する。このため、搬送効率を向上させることができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態に限定されるものではなく、上記した各実施形態或いは変形例を組み合わせる等、適宜変更して実施し得るものである。
管理装置3の制御部30における、蓄電池11の残量を搬送車1各々について取得する機能や充電量を算出・決定する機能を、搬送車1に持たせるようにしてもよい。例えば、搬送車1aの制御部10は、所定時間毎に、他の搬送車1b~1eから各々の蓄電池11の残量を取得し、その取得した残量と自車体1aの蓄電池11の残量とから、充電対象となる搬送車1を選定する。この後、制御部10において、図5のS2~S5又はS2,S8を実行することにより、決定された充電量で充電を行うことができる(S6,S9)
無人搬送システムにおいて、搬送車1は2台以上あればよく、充電ステーション2は1台以上充電可能な広さが確保されていればよい。蓄電部は蓄電池11に限らず、充電可能な充電装置で構成されていればよい。
充電ステーション2と搬送車1との間における送受電は、電界結合方式の送電電極部材21及び受電電極部材17に限らず、図示しない送電コイル及び受電コイルを用いて非接触で行うようにしてもよいし、送電電極を受電電極に接触させて行うようにしてもよい。
本開示は、実施例(実施形態)に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図面中、1,1a~1eは無人の搬送車、2は充電ステーション、10,30は制御部(残量取得部、充電対象選定部)、11は蓄電池(蓄電部)、15,33は無線通信部(残量取得部)、17は受電電極部材(非接触受電部)、21は送電電極部材(非接触送電部)を示す。

Claims (8)

  1. 複数の作業ステーション間における搬送用の走行路を走行可能な無人の搬送車(1,1a~1e)であって電力供給用の蓄電部(11)を各々搭載し、その蓄電部に蓄えられた電力を動力源として前記搬送用の走行路を走行し搬送物を搬送する総数n台(n≧2)の搬送車を備え、その搬送用の走行路に接続された充電用の走行路上で前記蓄電部の充電を行う充電ステーション(2)と、前記複数の作業ステーションと、が併設された無人搬送システムにおいて
    前記搬送車は、非接触受電部(17)と前記蓄電部とを搭載し、前記非接触受電部が受電した電力を前記蓄電部に蓄電する構成にあって、前記充電ステーションにおける前記充電用の走行路(6)に配設された非接触送電部(21)としての送電電極部材により前記非接触受電部としての受電電極部材に対向して電界結合方式により非接触で電力が送電されるものであり
    前記搬送による電力の消費に伴い低下する前記蓄電部の残量を、前記搬送車各々について取得する残量取得部(10,15,30,33)と、
    全搬送車の中から優先して前記充電ステーションの前記非接触送電部での充電対象となる搬送車を選定する充電対象選定部(10,30)と、
    前記充電ステーションにおいて前記非接触送電部により前記n台の搬送車のうちの一の搬送車の充電を行う場合、前記残量取得部により取得される各々の蓄電部の残量に基づき、当該一の搬送車の次回の充電タイミングと他の搬送車の充電タイミングとが重ならないように、当該一の搬送車の充電量を決定する制御部(10,30)と、
    を備え、前記充電対象選定部は、前記n台の搬送車による前記搬送が無人で行われる操業時において、前記残量取得部により取得される各々の蓄電部の残量に基づき、その蓄電部の残量が低いものから順に選定した搬送車を前記充電ステーションへ向かわせ、前記制御部により決定された充電量で充電が行われることにより、前記非接触送電部での充電スペースが前記n台分に足りなくても、前記充電ステーションで搬送車が充電待ちとなるのを抑制するように構成された無人搬送システム。
  2. 前記制御部は、前記残量取得部により取得される各々の蓄電部の残量に基づいて、搬送車各々の充電が所定の時間間隔をもって順次行われるよう、或いは、搬送車各々の充電が同程度の時間間隔をもって順次行われるように充電量を決定する請求項記載の無人搬送システム。
  3. 前記制御部は、4台以上(n≧4)の搬送車が存する場合であって、そのうちの一の搬送車の充電を行う場合、当該一の搬送車以外の搬送車各々の蓄電部の残量について大きい順に並べたときに、m番目(1≦m≦n-1)の蓄電部の残量とm+1番目の蓄電部の残量との差が最も大きくなる一組の残量の中間値を求め、この中間値まで充電するように当該一の搬送車の充電量を決定する請求項記載の無人搬送システム。
  4. 前記充電対象選定部は、前記残量取得部により取得される各々の蓄電部の残量に基づいて、その蓄電部の残量が最も低い搬送車から順に選定する前記請求項1から3の何れか一項記載の無人搬送システム。
  5. 前記充電対象となる搬送車の充電は、前記蓄電部の残量が最も高い搬送車の当該残量が第1閾値未満となったことを条件として行われる請求項記載の無人搬送システム。
  6. 前記充電対象となる搬送車に対する要充電判定用の閾値として第2閾値が予め設定されるとともに、前記蓄電部の残量が最も高い搬送車に対する閾値として、満充電より低く且つ前記第2閾値より高い第1閾値が予め設定されており、
    前記充電対象となる搬送車の充電は、前記蓄電部の残量が最も高い搬送車の当該残量が第1閾値未満となったとき、前記第2閾値とは無関係に前記残量が最も低い搬送車に対して行う請求項記載の無人搬送システム。
  7. 前記制御部は、前記充電における前記蓄電部の充電時間を計測し或いは前記蓄電部の電圧を検出することに基づいて、前記決定した充電量まで充電する請求項1からの何れか一項記載の無人搬送システム。
  8. 前記制御部は、前記n台の搬送車の搬送を全て休止した搬送休止状態において、その搬送開始前までに充電を行う場合、搬送車ごとに蓄電部の残量を異ならせて、搬送開始後における搬送車各々の充電タイミングが重複しないように充電量を決定する請求項1記載の無人搬送システム。
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