JP7373998B2 - 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬 - Google Patents

有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬 Download PDF

Info

Publication number
JP7373998B2
JP7373998B2 JP2019560384A JP2019560384A JP7373998B2 JP 7373998 B2 JP7373998 B2 JP 7373998B2 JP 2019560384 A JP2019560384 A JP 2019560384A JP 2019560384 A JP2019560384 A JP 2019560384A JP 7373998 B2 JP7373998 B2 JP 7373998B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
psma
agent
targeting
cancer
drug
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019560384A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020518639A (ja
JP2020518639A5 (ja
Inventor
ニール エイチ. バンダー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cornell University
Original Assignee
Cornell University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cornell University filed Critical Cornell University
Publication of JP2020518639A publication Critical patent/JP2020518639A/ja
Publication of JP2020518639A5 publication Critical patent/JP2020518639A5/ja
Priority to JP2023182197A priority Critical patent/JP2024010073A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7373998B2 publication Critical patent/JP7373998B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K51/00Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo
    • A61K51/02Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by the carrier, i.e. characterised by the agent or material covalently linked or complexing the radioactive nucleus
    • A61K51/04Organic compounds
    • A61K51/08Peptides, e.g. proteins, carriers being peptides, polyamino acids, proteins
    • A61K51/10Antibodies or immunoglobulins; Fragments thereof, the carrier being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. a camelised human single domain antibody or the Fc fragment of an antibody
    • A61K51/1045Antibodies or immunoglobulins; Fragments thereof, the carrier being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. a camelised human single domain antibody or the Fc fragment of an antibody against animal or human tumor cells or tumor cell determinants
    • A61K51/1072Antibodies or immunoglobulins; Fragments thereof, the carrier being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. a camelised human single domain antibody or the Fc fragment of an antibody against animal or human tumor cells or tumor cell determinants the tumor cell being from the reproductive system, e.g. ovaria, uterus, testes or prostate
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K51/00Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo
    • A61K51/02Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by the carrier, i.e. characterised by the agent or material covalently linked or complexing the radioactive nucleus
    • A61K51/04Organic compounds
    • A61K51/0402Organic compounds carboxylic acid carriers, fatty acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Reproductive Health (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

本出願は、2017年5月2日に出願された米国仮特許出願第62/500,187号に基づく優先権の利益を主張し、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、治療有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬に関する。
発明の背景
併用療法は事実上全ての種類のがんでよく行われており一般に認められている処置手段であり、数十年にわたって標準的な治療手段である。併用療法を採用する根拠は、単一の薬剤のみが使用された場合にがんの高い突然変異率が腫瘍細胞の耐性株の急速な発生を可能にすると判断された初期の化学療法の経験であった。併用療法の目標は、有効性を高め、腫瘍の耐性またはエスケープの発現を最小限にすることである。これは一般的に、それぞれが異なる作用機序を有する2種以上の抗がん剤を使用することにより達成され、これによって耐性腫瘍細胞の発生がより困難になり、また可能性がより低くなる。2種以上の薬剤を組み合わせることによる相加効果または相乗効果は、患者の処置の成功と失敗の違いになり得る。
腫瘍学の分野では、多くの併用処置レジメンが周知である。例えば、MOPP(メクロレタミン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾンの頭字語)は、ホジキン病の治癒的処置レジメンである。複数の様々な併用レジメン(全てシスプラチン、ビンブラスチン、及びブレオマイシンを含む)は、精巣がんの処置において認められており、これは診断された症例の最大98%で治癒可能である。全体で300個を超える異なる併用レジメンが使用されてきた。
併用療法の主な欠点は、多くの場合毒性の増加ももたらされることである。例えば、外部照射や化学療法などの非外科的がん治療のほとんどの形態は、正常組織及び細胞に対する毒性副作用と、がん細胞に対するこれらの処置法の限定的な特異性のために、その有効性が制限される。この制限は、同位体、薬物、及び毒素などの毒性の薬剤をがん部位に標的指向させるために抗がん抗体が使用される場合にも重要である。なぜなら、これらは、全身性の薬剤として、骨髄などの感受性が高い細胞区画にも循環するためである。急性放射線障害では、敗血症の発症及びその後の死亡の主要な要因として、リンパ系及び造血系の区画の破壊がある。そのため、有効性を維持さらには増加させながらも、がん治療の毒性作用を低減する方法の需要が高まっている。
本発明は、当該技術分野におけるこれら及び他の欠陥を克服することに関する。
本発明は、がんを処置する方法に関する。この方法は、第1のがん治療成分に結合している第1の標的指向成分を含む第1の薬剤を提供することと、第2のがん治療成分に結合している第2の標的指向成分を含む第2の薬剤を提供することとを含む。第1及び第2の標的指向成分は、異なる生体内分布及び/または薬物動態を有する。第1及び第2の薬剤は、その後、がんを処置するために、がんを有する対象に投与される。
本発明は、がんを処置するための併用療法剤にも関する。併用療法剤は、第1のがん治療成分に結合している第1の標的指向成分を含む第1の薬剤と、第2のがん治療成分に結合している第2の標的指向成分を含む第2の薬剤とを含む。第1及び第2の標的指向成分は、異なる生体内分布及び/または薬物動態を有する。
本発明は、その毒性を増加させずに減少させる機会を有しつつも改善された有効性を達成するために、標的薬剤のMTDを克服する方法を考案した。本発明は、それぞれが同じ分子または細胞型を標的とするものではない、2つの別個の標的指向薬剤の使用を提案する。この手法では、2つの標的薬剤のそれぞれが、他方とは異なる生体内分布及び/または薬物動態を有する。重要なことに、これらそれぞれの薬剤の異なる生体分布及び薬物動態は、2つの各標的薬剤それぞれの異なる重複しない毒性をもたらす。2つの標的薬剤が処置戦略において組み合わされると、結果として両方の薬物が、望まれる標的部位に同時にまたは逐次的に集まり、それによって複合処置効果がもたらされる。しかし、2つの標的薬剤の生体内分布が異なり、その結果正常組織への薬物送達が増加せず毒性が増加しないことから、正常組織毒性は増加しない。
[本発明1001]
第1のがん治療成分に結合している第1の標的指向成分を含む第1の薬剤を提供することと、
第2のがん治療成分に結合している第2の標的指向成分を含む第2の薬剤を提供することであって、前記第1及び第2の標的指向成分が、対象内で異なる生体内分布及び/または薬物動態を有する、前記提供することと、
がんを処置するために、がんを有する対象に前記第1及び第2の薬剤を投与することと
を含む、がんを処置する方法。
[本発明1002]
前記第1及び第2の標的指向成分が、抗体またはその結合フラグメント、タンパク質、ペプチド、及び小分子からなる群から独立して選択される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記第1及び第2の標的指向成分が、同じ分子標的を標的とする、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記第1及び第2の標的指向成分が、同じ細胞上の異なる分子標的を標的とする、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記第1及び第2のがん治療成分がそれぞれ最大耐量を有し、かつ前記第1及び第2のがん治療成分の前記最大耐量が前記投与中に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記第1及び第2のがん治療成分がそれぞれ最大耐量を有し、かつ前記第1及び第2のがん治療成分の前記最大耐量より少ない量が前記投与中に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記第1及び第2のがん治療成分が、放射性核種及び化学療法剤からなる群から独立して選択される、本発明1001の方法。
[本発明1008]
前記第1及び/または第2のがん治療成分が、 86 Re、 90 Y、 67 Cu、 169 Er、 121 Sn、 127 Te、 142 Pr、 143 Pr、 198 Au、 199 Au、 161 Tb、 109 Pd、 188 Rd、 166 Dy、 166 Ho、 149 Pm、 151 Pm、 153 Sm、 159 Gd、 172 Tm、 169 Yb、 175 Yb、 177 Lu、 105 Rh、 111 Ag、 131 I、 177m Sn、 225 Ac、 227 Th、 211 At、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される放射性核種である、本発明1007の方法。
[本発明1009]
前記第1及び/または第2のがん治療成分が、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ダカルバジン(DTIC)、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビン(ara-C)、フルダラビン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、ミトキサントロン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド(VP-16)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、プレドニゾン、デキサメタゾン、タモキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、レトロゾール、酢酸メゲストロール、ビカルタミド、フルタミド、リュープロリド、ゴセレリン、L-アスパラギナーゼ、トレチノイン、メイタンシン、アウリスタチン、ピロロベンゾジアゼピン、デュオカルマイシン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される化学療法剤である、本発明1007の方法。
[本発明1010]
前記がんが、前立腺がんである、本発明1001の方法。
[本発明1011]
前記第1及び第2の標的指向成分が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)受容体を標的とする、本発明1010の方法。
[本発明1012]
前記第1の標的指向成分が、PSMA受容体に対するPSMA受容体抗体または誘導体であり、かつ前記第2の標的指向成分が、PSMA受容体結合ペプチドまたはPSMA受容体阻害剤である、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記第1の標的指向成分が、J591、J415、J533、及びE99からなる群から選択される抗体であり、一方で、前記第2の標的指向成分が、PSMA 617、PSMA I&T、DCFBC、DCFPyL、グルタメート-尿素-リシン類似体、ホスホルアミダート類似体、2-(ホスフィニルメチル)ペンタン二酸類似体、及び他のPSMAリガンド/阻害剤からなる群から選択されるペプチドである、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記第1の薬剤がJ591- 177 Luであり、かつ前記第2の薬剤がPSMA 617- 177 LuまたはPSMA I&T- 177 Luである、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記対象がヒトである、本発明1001の方法。
[本発明1016]
前記がんが、神経内分泌がんである、本発明1001の方法。
[本発明1017]
前記第1及び第2の標的指向成分が、ソマトスタチン受容体を標的とする、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記第1及び第2の標的指向成分が、ソマトスタチン受容体-2アイソフォームを標的とする、本発明1017の方法。
[本発明1019]
前記神経内分泌がんが、カルチノイド腫瘍、ガストリノーマ、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチノーマ、甲状腺がん、皮膚のメルケル細胞がん、下垂体前葉の腫瘍、髄様がん、副甲状腺腫瘍、胸腺及び縦隔カルチノイド腫瘍、肺神経内分泌腫瘍、副腎髄質腫瘍、褐色細胞腫、シュワン腫、傍神経節腫、神経芽細胞腫、及び尿路カルチノイド神経内分泌がんからなる群から選択される、本発明1016の方法。
[本発明1020]
前記がんが、乳がんである、本発明1001の方法。
[本発明1021]
前記第1及び第2の標的指向成分が、HER受容体ファミリーを標的とする、本発明1020の方法。
[本発明1022]
前記がんが、非ホジキンリンパ腫である、本発明1001の方法。
[本発明1023]
前記第1及び第2の標的指向成分が、CD20を標的とする、本発明1022の方法。
[本発明1024]
前記第1の薬剤と前記第2の薬剤が異なる、本発明1001の方法。
[本発明1025]
前記第1及び第2の標的指向成分が、がん細胞受容体を標的とする、本発明1001の方法。
[本発明1026]
第1のがん治療成分に結合している第1の標的指向成分を含む第1の薬剤と、
第2のがん治療成分に結合している第2の標的指向成分を含む第2の薬剤と
を含む、がんを処置するための併用療法剤であって、
前記第1及び第2の標的化成分が、異なる生体内分布及び/または薬物動態を有する、
併用療法剤。
[本発明1027]
前記第1及び第2の標的指向成分が、抗体またはその結合フラグメント、タンパク質、ペプチド、及び小分子からなる群から独立して選択される、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1028]
前記第1及び第2の標的指向成分が、同じ分子標的を標的とする、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1029]
前記第1及び第2の標的指向成分が、同じ細胞上の異なる分子標的を標的とする、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1030]
前記第1及び第2のがん治療成分が、放射性核種及び化学療法剤からなる群から独立して選択される、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1031]
前記第1及び/または第2のがん治療成分が、 86 Re、 90 Y、 67 Cu、 169 Er、 121 Sn、 127 Te、 142 Pr、 143 Pr、 198 Au、 199 Au、 161 Tb、 109 Pd、 188 Rd、 166 Dy、 166 Ho、 149 Pm、 151 Pm、 153 Sm、 159 Gd、 172 Tm、 169 Yb、 175 Yb、 177 Lu、 105 Rh、 111 Ag、 131 I、 177m Sn、 225 Ac、 227 Th、 211 At、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される放射性核種である、本発明1030の併用療法剤。
[本発明1032]
前記第1及び/または第2のがん治療成分が、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ダカルバジン(DTIC)、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビン(ara-C)、フルダラビン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、ミトキサントロン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド(VP-16)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、プレドニゾン、デキサメタゾン、タモキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、レトロゾール、酢酸メゲストロール、ビカルタミド、フルタミド、リュープロリド、ゴセレリン、L-アスパラギナーゼ、トレチノイン、メイタンシン、アウリスタチン、ピロロベンゾジアゼピン、デュオカルマイシン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される化学療法剤である、本発明1030の併用療法剤。
[本発明1033]
前記がんが、前立腺がんである、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1034]
前記第1及び第2の標的指向成分が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)受容体を標的とする、本発明1033の併用療法剤。
[本発明1035]
前記第1の標的指向成分が、PSMA受容体に対するPSMA受容体抗体または誘導体であり、かつ前記第2の標的指向成分が、PSMA受容体結合ペプチドまたはPSMA受容体阻害剤である、本発明1034の併用療法剤。
[本発明1036]
前記第1の標的指向成分が、J591、J415、J533、及びE99からなる群から選択される抗体であり、一方で、前記第2の標的指向成分が、PSMA 617、PSMA I&T、DCFBC、DCFPyL、グルタメート-尿素-リシン類似体、ホスホルアミダート類似体、2-(ホスフィニルメチル)ペンタン二酸類似体、及び他のPSMAリガンド/阻害剤からなる群から選択されるペプチドである、本発明1035の併用療法剤。
[本発明1037]
前記第1の薬剤がJ591- 177 Luであり、かつ前記第2の薬剤がPSMA 617- 177 LuまたはPSMA I&T- 177 Luである、本発明1035の併用療法剤。
[本発明1038]
前記がんが、神経内分泌がんである、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1039]
前記第1及び第2の薬剤が、ソマトスタチン受容体を標的とする、本発明1038の併用療法剤。
[本発明1040]
前記第1及び第2の標的指向成分が、ソマトスタチン受容体-2アイソフォームを標的とする、本発明1039の併用療法剤。
[本発明1041]
前記神経内分泌がんが、カルチノイド腫瘍、ガストリノーマ、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチノーマ、甲状腺がん、皮膚のメルケル細胞がん、下垂体前葉の腫瘍、髄様がん、副甲状腺腫瘍、胸腺及び縦隔カルチノイド腫瘍、肺神経内分泌腫瘍、副腎髄質腫瘍、褐色細胞腫、シュワン腫、傍神経節腫、神経芽細胞腫、及び尿路カルチノイド神経内分泌がんからなる群から選択される、本発明1038の併用療法剤。
[本発明1042]
前記がんが、乳がんである、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1043]
前記第1及び第2の標的指向成分が、HER受容体ファミリーを標的とする、本発明1042の併用療法剤。
[本発明1044]
前記がんが、非ホジキンリンパ腫である、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1045]
前記第1及び第2の標的指向成分が、CD20を標的とする、本発明1044の併用療法剤。
[本発明1046]
前記第1の薬剤と前記第2の薬剤が異なる、本発明1026の併用療法剤。
[本発明1047]
前記第1及び第2の標的指向成分が、がん細胞受容体を標的とする、本発明1026の併用療法剤。
図1A~1Bは、放射標識抗PSMA抗体J591-177Luと放射標識PSMA-617-177Lu(小分子PSMA阻害剤)を同時インキュベーションすると、インビトロでPSMA陽性細胞において相加的な177Luの内部移行が生じることを示す。図1Aは、LNCaP細胞における177Luの内部移行を示す。図1Bは、CWR22Rv1細胞における177Luの内部移行を示す。 PSMA-617-177Luを、そのMTDを大幅に下回る用量(すなわち200μCi)で追加することによって、半分の用量のJ591-177Lu(すなわち75μCi)でLNCaP異種移植片において抗腫瘍効果を達成できたことを示す。 J591-177Luの、そのMTDでの抗腫瘍応答が、135μCi(MTDの75%)のJ591-177Luプラス525μCi(MTD未満の用量)のPSMA-617-177Luに等しいことを示す。 ヒト唾液腺房におけるPSMAの発現を示す。 20倍の倍率(図5A)および10倍の倍率(図5B)でのヒト唾液腺介在部導管におけるPSMAの発現を示す。 4倍の倍率(図6A)および10倍の倍率(図6B)でのヒト腎臓におけるPSMAの発現を示す。 小腸におけるPSMAの発現を示す。 68Ga-PSMA 11(図8A)(Afshar-Oromieh et al.,“PET Imaging With a [68Ga]Gallium-Labelled PSMA Ligand for the Diagnosis of Prostate Cancer:Biodistribution in Humans and First Evaluation of Tumour Lesions,”Eur.J.Nucl.Med.Mol.Imaging 40(4):486-95(2013)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)および68Ga-PSMA I&T(図8B)(Herrmann et.al.,“Biodistribution and Radiation Dosimetry for a Probe Targeting Prostate-Specific Membrane Antigen for Imaging and Therapy,”J.Nucl.Med.56(6):855-61(2015)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を用いた、ポジトロン断層法によるPSMAペプチド/阻害剤の生体内分布を示す。 前部(図9A)および後部(図9B)のポジトロン断層法による抗PSMA抗体の生体内分布を示す。
本発明は、がんを処置する方法に関する。この方法は、第1のがん治療成分に結合している第1の標的指向成分を含む第1の薬剤を提供することと、第2のがん治療成分に結合している第2の標的指向成分を含む第2の薬剤を提供することとを含む。第1及び第2の標的指向成分は、異なる生体内分布及び/または薬物動態を有する。第1及び第2の薬剤は、その後、がんを処置するために、がんを有する対象に投与される。
本明細書において使用される用語「処置する」は、例えば患者などの対象に本発明の第1及び第2の薬剤を適用または投与することを指す。処置は、がん、がんの症状、またはがんにかかりやすい傾向を、治癒させること、治すこと、軽減すること、緩和すること、変更すること、修正すること、寛解させること、和らげること、改善することであっても、またはがん、がんの症状、またはがんにかかりやすい傾向に作用することであってもよい。
本明細書において使用される用語「対象」は、ヒト及び非ヒト動物を含むことが意図されている。非ヒト動物には、例えば哺乳類及び非哺乳類(非ヒト霊長類、羊、犬、牛、鶏、両生類、爬虫類等)などの全ての脊椎動物が含まれる。
本明細書において使用される用語「がん」は、組織病理学的タイプまたは侵襲性の段階に関わらず、全てのタイプのがん性増殖もしくは発がんプロセス、転移組織、または悪性形質転換した細胞、組織、もしくは器官を含む。
本明細書において使用される用語「最大耐量(MTD)」は、それを超えると許容できない毒性が生じる量の標的薬物を含む、治療薬物の用量を指す。これは、薬物が特定の細胞型または特定の分子を標的とするか否かにかかわらず当てはまる。MTDのため及び薬物(標的薬物またはそれ以外の薬物)の耐容性の限界のため、最大の抗がん効果は通常達成できない。薬物のMTDは、その生体内分布及び薬物動態の影響を大きく受ける。
本明細書において使用される用語「生体内分布」は、薬物が体内で分布する器官及び組織を指す。
本明細書において使用される用語「薬物動態」は、薬物が体内に留まる長さを指す。
特定の実施形態では、がんは、前立腺がん、神経内分泌がん、乳がん、または非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは原発性腫瘍であり、別の実施形態では、がんは続発性または転移性腫瘍である。
本明細書において使用される「標的指向成分」は、例えば膜成分、細胞表面受容体、前立腺特異的膜抗原(PSMA、葉酸加水分解酵素1、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、及びNAALADaseとも呼ばれる)などの分子標的と結合するかこれらと別の形で結びつくことができる成分である。標的指向成分を含む第1及び第2の薬剤は、例えば腫瘍、患部、組織、器官、ある種の細胞などの特定の標的部位に局在化または集中することになり得る。そのため、第1及び第2の薬剤は「標的特異性」であってもよい。いくつかの事例では、治療薬剤は、標的指向成分からの放出を必要とせずにその抗がん効果を発揮することができる。別の事例では、治療成分は、第1及び/または第2の薬剤から放出され、特定の標的部位と局所的に相互作用できる場合がある。
例えば、想定される標的指向成分としては、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、または脂質を挙げることができる。標的指向成分は、細胞表面受容体の天然または合成のリガンド、例えば成長因子、ホルモン、LDL、トランスフェリンなどであってもよい。標的指向成分は抗体であってもよく、この用語は、抗体フラグメント、抗体の特徴的部分、例えばファージディスプレイなどの手順を使用して同定できる単鎖標的指向部分を含むことが意図されている。標的指向成分は、天然に存在するか人工的に形成された(例えば化学合成により)標的指向ペプチド、標的指向ペプチド模倣物、または小分子であってもよい。
一実施形態では、第1及び第2の標的指向成分は、抗体またはその結合フラグメント、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、及び小分子からなる群から独立して選択される。
腫瘍上の分子標的に対する抗体は公知である。例えば、腫瘍により産生されるか腫瘍と関連付けられるマーカーに特異的に結合する抗体及び抗体フラグメントは、特にHansenの米国特許第3,927,193号、ならびにGoldenbergの米国特許第4,331,647号、4,348,376号、4,361,544号、4,468,457号、4,444,744号、4,818,709号、及び4,624,846号に開示されており、これら全ての内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。特に、例えば胃腸、肺、乳房、前立腺、卵巣、精巣、脳、またはリンパ系の腫瘍、肉腫、または黒色腫などの抗原に対する抗体が有利に使用される。がん関連抗原に対する抗体は当業者に周知である。
本発明の抗体は、例えばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、細胞内抗体(「イントラボディ(intrabody)」)、抗体フラグメント(例えばFv、Fab、及びF(ab)2)、半抗体、ハイブリッド誘導体、ならびに単鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、及びヒト化抗体などの様々な形態で存在していてもよい(Ed Harlow and David Lane,USING ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);Houston et al.,“Protein Engineering of Antibody Binding Sites:Recovery of Specific Activity in an Anti-Digoxin Single-Chain Fv Analogue Produced in Escherichia coli,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883(1988);Bird et al,“Single-Chain Antigen-Binding Proteins,”Science 242:423-426(1988)、これらそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
本発明の抗体は合成抗体であってもよい。合成抗体は、例えばバクテリオファージによって発現される抗体などの、組み換えDNA技術を使用して生成される抗体である。あるいは、合成抗体は、本発明の抗体をコード及び発現するDNA分子の合成、または抗体を規定するアミノ酸配列の合成によって生成され、この場合のDNAまたはアミノ酸配列は、利用可能な当該技術分野で周知の合成DNAまたはアミノ酸配列技術を使用して得られたものである。
モノクローナル抗体産生のための方法は、本明細書に記載の技術を使用して行うことができ、あるいはこれは当該技術分野で周知である(MONOCLONAL ANTIBODIES-PRODUCTION,ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATIONS(Mary A.Ritter and Heather M.Ladyman eds.,1995)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。通常、この方法は、インビボまたはインビトロのいずれかで関心対象の抗原で予め免疫化された哺乳動物の脾臓から免疫細胞(リンパ球)を得ることを含む。
あるいは、モノクローナル抗体は、Cabillyらの米国特許第4,816,567号(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような組み換えDNA法を使用して製造することができる。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、例えば抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを使用するRT-PCRにより、成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から単離される。重鎖及び軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドは、その後適切な発現ベクターにクローニングされ、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または他の方法では免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされた場合、モノクローナル抗体が宿主細胞によって生成される。また、目的の種の組み換えモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、ファージディスプレイライブラリーから単離することができる(McCafferty et al.,“Phage Antibodies:Filamentous Phage Displaying Antibody Variable Domains,”Nature 348:552-554(1990);Clackson et al.,“Making Antibody Fragments using Phage Display Libraries,”Nature 352:624-628(1991);及びMarks et al.,“By-Passing Immunization.Human Antibodies from V-Gene Libraries Displayed on Phage,”J.Mol.Biol.222:581-597(1991)、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、代替抗体を生成するために組み換えDNA技術を使用してさらに改変することができる。例えば、マウスモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖の定常ドメインは、ヒト抗体のこれらの領域を置き換えてキメラ抗体を生成することができる。あるいは、マウスモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖の定常ドメインを非免疫グロブリンポリペプチドと置き換えて融合抗体を生成することができる。別の実施形態では、定常領域が切り取られるか除去されることで、モノクローナル抗体の目的の抗体フラグメントが生成される。さらに、モノクローナル抗体の特異性及び親和性を最適化するために、可変領域の部位特異的なまたは高密度の突然変異誘発を使用することができる。
本発明のモノクローナル抗体はヒト化抗体であってもよい。ヒト化抗体は、可変領域内に非ヒト(例えばマウス)抗体由来の最小配列を含む抗体である。そのような抗体は、ヒト対象に投与された場合の抗原性及びヒト抗マウス抗体応答を減少させるために治療的に使用される。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、非ヒト配列が最小限であるか存在しないヒト抗体である。ヒト抗体は、ヒトによって産生される抗体、またはヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。
抗体全体に加えて、本発明は、そのような抗体の結合部分も包含する。そのような結合部分には、一価のFabフラグメント、Fvフラグメント(例えば単鎖抗体、scFv)、及び単一の可変V及びVドメイン、ならびに二価のF(ab’)フラグメント、Bis-scFv、ダイアボディ、トリアボディ、ミニボディなどが含まれる。これらの抗体フラグメントは、James Goding,MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE 98-118(Academic Press,1983)及びEd Harlow and David Lane,ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL(Cold Spring Harbor Laboratory,1988)(これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のようなタンパク質分解フラグメント形成法などの従来の手法、または当該技術分野で公知の他の手法によって製造することができる。
さらに、特に抗体フラグメントの場合、その血清半減期を増加させるために抗体を改変することが望ましい場合がある。これは、例えば抗体フラグメント中の適切な領域の変異による抗体フラグメントへのサルベージ受容体結合エピトープの組み込み、またはエピトープのペプチドタグへの組み込みの後の末端もしくは中間のいずれかでの抗体フラグメントへの融合(例えばDNAまたはペプチド合成による)により達成することができる。
抗体模倣体も本発明による使用に好適である。限定するものではないが、10番目のヒトフィブロネクチンIII型ドメイン(10Fn3)に由来するモノボディとして公知のもの(Koide et al.,“The Fibronectin Type III Domain as a Scaffold for Novel Binding Proteins,”J.Mol.Biol.284:1141-1151 (1998);Koide et al.,“Probing Protein Conformational Changes in Living Cells by Using Designer Binding Proteins:Application to the Estrogen Receptor,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:1253-1258(2002)、これらそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる);及びブドウ球菌プロテインAの安定なαヘリックスの細菌受容体ドメインZに由来するアフィボディとして公知のもの(Nord et al.,“Binding Proteins Selected from Combinatorial Libraries of an alpha-helical Bacterial Receptor Domain,”Nature Biotechnol.15(8):772-777(1997)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)などの多数の抗体模倣体が当該技術分野で公知である。
本発明に関連して使用されるペプチドは、天然源からの公知の単離及び精製プロトコルによって得ることができ、ペプチドの既知のペプチド配列に従って標準的な固相または液相ペプチド合成方法によって合成することができ、あるいは市販の製剤から入手することができる。本明細書では、天然ペプチドの生物学的結合特性を示し、かつ天然ペプチドの特異的結合特性を保持するペプチドが含まれる。本明細書において使用されるペプチドの誘導体及び類似体には、ペプチドが天然ペプチドの特異的結合特性を保持することを条件として、ペプチドの個々のアミノ酸の組成、同一性、及び誘導体化の改変が含まれる。そのような改変の例としては、D-立体異性体を含ませる任意のアミノ酸の修飾、芳香族アミノ酸の芳香族側鎖の置換、側鎖にそのような基を含むアミノ酸の側鎖のアミノ基またはカルボキシル基の誘導体化、ペプチドのアミノまたはカルボキシ末端の置換、第2のペプチドまたは生物学的に活性な部分へのペプチドの結合、及びペプチドの環化が挙げられる(G.Van Binst and D.Tourwe,“Backbone Modifications in Somatostatin Analogues:Relation Between Conformation and Activity,”Peptide Research 5:8-13(1992)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
一実施形態では、第1及び第2の標的指向成分は同じ分子標的を標的とする。例えば、第1及び第2の標的指向成分は、同じ細胞型によって発現する同じ受容体(例えばPSMA)に結合することができる。
別の実施形態では、第1及び第2の標的指向成分は、同じ細胞型上の異なる分子標的を標的とする。例えば、第1及び第2の標的指向成分は、同じ細胞型で発現する異なる受容体(例えばHER1とHER2)に結合することができる。
本明細書において使用される「がん治療成分」は、細胞、組織、または対象と接触した場合に治療を必要とする状態を有する細胞、組織、または対象を処置する薬剤または薬剤の組み合わせである。第1及び第2のがん治療成分は同じであっても異なっていてもよく、また例えば治療用放射性核種、化学療法剤、ホルモン、ホルモン拮抗薬、受容体拮抗薬、別の薬剤によって活性化される酵素もしくはプロ酵素、生物製剤、オートクリン、またはサイトカインであってもよい。本発明の方法では毒素も使用することができる。本発明において有用な他の治療薬剤としては、抗DNA、抗RNA、アンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドなどの放射標識オリゴヌクレオチド、抗タンパク質及び抗クロマチン細胞毒性薬または抗菌薬が挙げられる。他の治療薬剤は当業者に公知であり、本発明によるそのような他の治療薬剤の使用は明確に想定されている。
第1及び第2のがん治療成分は同じであってもよいが、一実施形態ではそれらは異なる。例えば、第1及び第2のがん治療成分は異なる放射性核種を含んでいてもよく、あるいは第2のがん治療成分が放射性核種を含んでいる一方で第1のがん治療成分が化学療法剤を含んでいてもよく、あるいは第2のがん治療成分が化学療法剤を含んでいる一方で第1のがん治療成分が放射性核種を含んでいてもよい。
一実施形態では、第1及び第2のがん治療成分は、放射性核種及び化学療法剤からなる群から独立して選択される。
一実施形態では、第1及び/または第2のがん治療成分は、86Re、90Y、67Cu、169Er、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、198Au、199Au、161Tb、109Pd、188Rd、166Dy、166Ho、149Pm、151Pm、153Sm、159Gd、172Tm、169Yb、175Yb、177Lu、105Rh、111Ag、131I、177mSn、225Ac、227Th、211At、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される放射性核種である。
放射性同位体で薬剤を標識する手順は、当該技術分野で一般に公知である。例えば、キレート配位子として機能することができ、かつ本発明の標的指向成分へと誘導体化され得る、広範な部分が存在する。例えば、キレート配位子は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン四酢酸(DOTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、及び1-p-イソチオシアナト-ベンジル-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸(ITC-MX)の誘導体であってもよい。これらのキレート剤は典型的には側鎖に基を有し、それによってキレート剤を本発明の標的指向成分への連結に使用することができる。そのような基としては、例えばベンジルイソチオシアネートが挙げられ、これにより、DOTA、DTPA、またはEDTAを、例えば、標的指向成分のアミン基に結合させることができる。抗体、その結合部分、プローブ、またはリガンドなどの生物学的薬剤をヨウ素化する手順は、Hunter and Greenwood,“Preparation of Iodine-131 Labelled Human Growth Hormone of High Specific Activity、”Nature 144:496-496(1962),David et al.,“Protein Iodination With Solid State Lactoperoxidase,”Biochemistry 13:1014-1021(1974)、ならびにLingの米国特許第3,867,517号及びDavidの米国特許第4,376,110号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。生物学的薬剤をヨウ素化するための別の手順は、Greenwood et al.,“The Preparation of I-131-Labelled Human Growth Hormone of High Specific Radioactivity,”Biochem.J.89:114-123 (1963);Marchalonis,“An Enzymic Method for the Trace Iodination of Immunoglobulins and Other Proteins,”Biochem.J.113:299-305(1969);及びMorrison et al.,“Use of Lactoperoxidase Catalyzed Iodination in Immunochemical Studies,”Immunochemistry 8:289-297(1971)に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。99mTc標識化の手順は、Rhodes,B. et al. in Burchiel,S. et al.(eds.),Tumor Imaging:The Radioimmunochemical Detection of Cancer,New York:Masson 111-123(1982)及びその中で引用されている参考文献に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。111In標識化生物学的薬剤に適した手順は、Hnatowich et al.,“The Preparation of DTPA-coupled Antibodies Radiolabeled With Metallic Radionuclides:an Improved Method,”J.Immul.Methods 65:147-157(1983)、Hnatowich et al.,“Coupling Antibody With DTPA--an Alternative to the Cyclic Anhydride,”Int.J.Applied Radiation 35:554-557(1984)、及びBuckley et al.,“An Efficient Method For Labelling Antibodies With 111In,”F.E.B.S. 166:202-204(1984)に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、第1及び/または第2のがん治療成分は、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、ダカルバジン(DTIC)、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビン(ara-C)、フルダラビン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、ミトキサントロン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド(VP-16)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、プレドニゾン、デキサメタゾン、タモキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、レトロゾール、酢酸メゲストロール、ビカルタミド、フルタミド、リュープロリド、ゴセレリン、L-アスパラギナーゼ、トレチノイン、メイタンシン、アウリスタチン、ピロロベンゾジアゼピン、デュオカルマイシン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される化学療法剤である。
生物学的薬剤を化学療法剤と結合させるための手順は当該技術分野で周知である。がんの処置において現在使用されている化学療法剤のほとんどは、本発明の標的指向成分のアミン基またはカルボキシル基と直接化学架橋しやすい官能基を有する。例えば、メトトレキサート、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シトシナラビノシド、シスプラチン、ビンデシン、マイトマイシン、及びブレオマイシンでは遊離アミノ基が利用可能である一方で、メトトレキサート、メルファラン、及びクロラムブシルでは遊離カルボン酸基が利用可能である。遊離アミノ及びカルボン酸であるこれらの官能基は、標的指向成分の遊離アミノ基にこれらの薬物を直接架橋できる様々なホモ二官能性及びヘテロ二官能性化学架橋剤の標的である。標的指向成分を化学療法剤と結合させるための具体的な手順は当該記述分野で記述されており、公知である。例えば、クロラムブシルと抗体との結合は、Flechner,“The Cure and Concomitant Immunization of Mice Bearing Ehrlich Ascites Tumors by Treatment With an Antibody--Alkylating Agent Complex,”European Journal of Cancer 9:741-745 (1973);Ghose et al.,“Immunochemotherapy of Cancer with Chlorambucil-Carrying Antibody,”British Medical Journal 3:495-499(1972);及びSzekerke et al.,“The Use of Macromolecules as Carriers of Cytotoxic Groups (part II)Nitrogen Mustard--Protein Complexes,”Neoplasma 19:211-215(1972)に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ダウノマイシン及びアドリアマイシンを抗体に結合する手順は、Hurwitz et al.,“The Covalent Binding of Daunomycin and Adriamycin to Antibodies,With Retention of Both Drug and Antibody Activities,”Cancer Research 35:1175-1181(1975)、及びArnon et al.Cancer Surveys 1:429-449(1982)に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。カップリング手順もEP86309516.2に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の第1及び第2の薬剤の正確な用量は、処置される患者を考慮して個々の医師によって選択されることが理解されるであろう。通常、用量及び投与は、処置を受ける患者に有効量の薬剤を提供するように調節される。本明細書で使用される薬剤の「有効量」は、望まれる生物学的応答を生じさせるために必要な量を指す。この分野の当業者によって理解されるように、本発明の薬剤の有効量は、望まれる生物学的エンドポイント、送達される薬物、標的組織、投与経路などの要因に応じて変動し得る。例えば、抗がん剤を含む薬剤の有効量は、望まれる期間にわたって腫瘍の大きさを望まれる量だけ減少させる結果をもたらす量であろう。考慮され得る追加的な要因としては、病状の重症度;処置を受けている患者の年齢、体重、及び性別;食餌療法、投与の時間及び頻度;薬物の組み合わせ;反応感受性;並びに治療に対する認容性/応答が挙げられる。
通常、単一薬剤として投与される場合、用量は標的薬剤のMTDの約25%~約100%の範囲とすることができる。組成に基づいて、用量は、一度に、連続ポンプなどにより連続的に、または定期的な間隔で送達することができる。用量は、局所的にまたは全身的に望まれる薬物レベルを達成するために適切に調整することができる。そのような用量で対象における応答が不十分な場合には、患者の耐容性が許容する範囲内でさらに高い用量(または異なるより局所的な送達経路による有効なより高い用量)を使用することができる。化合物の適切な全身レベルを達成するために、例えば24時間かけての連続IV投与または1日当たり複数回の投与も想定される。
一実施形態では、第1及び第2のがん治療成分はそれぞれ最大耐量を有し、第1及び第2のがん治療成分の最大耐量が対象に投与される。生体内分布と薬物動態は2つの標的指向成分で異なるため、個々の薬物としてのこれらの毒性は重複しないか最小限しか重複しない。結果として、標的部位への増加した相加的な用量は、それに見合った毒性の増加を伴わない。
別の実施形態では、第1及び第2のがん治療成分の最大耐量未満が対象に投与される。処置戦略において2つの治療成分が最大耐量未満の量で組み合わされると、両方の薬物が目的の標的部位に(同時にまたは逐次的に)集まり、それによって相加的な処置効果が得られる結果となるが、薬剤がそれらのMTD未満で投与されることから対象はより低い毒性を経験する。
一実施形態では、第1の薬剤は放射性核種に結合した抗体であり、2週間サイクルで合計100、110、120、130、140、150、または160mCiの線量などの、2週間サイクルで合計約100~160mCiの線量で投与される。
別の実施形態では、第1の薬剤は放射性核種に結合した抗体であり、2週間サイクルで合計120、125、130、または140mCiの線量などの、2週間サイクルで合計約120~140mCiの線量で投与される。
さらなる実施形態では、第2の薬剤は放射性核種に結合した小分子であり、2週間サイクルで合計300、325、350、375、400、425、450、475、または500mCiの線量などの、2週間サイクルで合計約300~500mCiの線量で投与される。
本発明の方法の実施においては、投与工程は、対象のがんを処置するために行われる。一実施形態では、がんを有する対象は投与工程の前に選択される。そのような投与は、全身的に、あるいは腫瘍部位への直接投与または局所投与により行うことができる。例えば全身投与の適切な方式としては、限定するものではないが、経口、局所、経皮、非経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、または鼻腔内注入による、腔内または膀胱内注入による、眼内、動脈内、病変内、又は粘膜への適用によるものが挙げられる。局所投与の適切な方式としては、限定するものではないが、カテーテル挿入、移植、直接注射、皮膚/経皮適用、または関連組織への門脈投与、または当該技術分野で一般に知られている任意の他の局所投与技術、方法、もしくは手順が挙げられる。薬剤の送達に影響を与える方式は、治療薬剤の種類(例えば抗体または阻害性核酸分子)及び処置する疾患に応じて様々であろう。
本発明の薬剤は、例えば不活性希釈剤と共に、または吸収可能な食用担体と共に経口投与することができ、あるいはこれはハードもしくはソフトシェルカプセルの中に封入されてもよく、あるいはこれは錠剤へと圧縮されてもよく、あるいはこれらは食餌療法の食物中に直接組み込まれてもよい。本発明の薬剤は、徐放性カプセルやナノチューブなどのデバイス内に組み込まれた徐放性方式で投与することもできる。そのようなデバイスは、時間と用量に関して柔軟性を与える。経口治療投与のためには、本発明の薬剤は賦形剤と共に組み込まれ、錠剤、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップなどの形態で使用することができる。そのような組成物及び製剤は、少なくとも0.1%の薬剤を含有するべきであるが、より低い濃度が効果的であり実際に最適な場合がある。これらの組成物中の薬剤の割合は当然様々であってもよく、簡便には単位重量の約2%~約60%とすることができる。そのような治療上有用な組成物中の本発明の薬剤の量は、適切な用量が得られるような量である。
本発明の薬剤が非経口投与される場合、薬剤の溶液または懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製することができる。分散液は、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物の中で調製することもできる。例示的な油は、石油、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、落花生油、大豆油、または鉱油である。通常、水、生理食塩水、デキストロース水溶液及び関連する糖溶液、ならびにプロピレングリコールやポリエチレングリコールなどのグリコールは、特に注射液に関して好ましい液体担体である。通常の保管及び使用の条件下では、これらの製剤には微生物の増殖を防ぐ防腐剤が含まれる。
注射用途に適した医薬製剤としては、滅菌水溶液または分散液、及び滅菌注射液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、形態は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流体でなければならない。これは、製造及び保管の条件下で安定でなければならず、また細菌や真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含む溶媒または分散媒であってもよい。
本発明の薬剤を全身に送達することが望まれる場合、それらは、例えばボーラス注射または連続注入などの注射による非経口投与用に製剤化されていてもよい。注射用製剤は、防腐剤が添加された例えばアンプルまたは複数回投与用の容器などの単位剤形で提供されてもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとっていてもよく、また懸濁剤、安定剤、及び/または分散剤などの配合剤を含んでいてもよい。
本発明の薬剤の腹腔内または髄腔内投与は、注入ポンプ装置を使用して達成することもできる。そのようなデバイスは、複数回の注射及び複数回の操作を回避する、目的化合物の連続注入を可能にする。
前述した製剤に加えて、薬剤はデポー製剤として製剤化されてもよい。そのような長時間作用する製剤は、適切な高分子性もしくは疎水性材料(例えば許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは例えば難溶性の塩としてなどの難溶性の誘導体として、製剤化されてもよい。
本発明の一実施形態によれば、がんは前立腺がんである。
本発明のこの態様の別の実施形態では、がんが前立腺がんである場合、第1及び第2の標的指向成分はPSMA受容体を標的とする。
本明細書において使用される「PSMA」または「前立腺特異的膜抗原」タンパク質は、哺乳動物のPSMA、好ましくはヒトPSMAタンパク質を指す。PSMAの長い転写産物は、トランスフェリン受容体と配列相同性を有しNAALADase活性を有するII型膜貫通受容体として特徴付けられる、分子量約100~120kDaのタンパク質生成物をコードする(Carter et al.,“Prostate-Specific Membrane Antigen is a Hydrolase With Substrate and Pharmacologic Characteristics of a Neuropeptidase,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:749-753(1996)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
別の実施形態では、第1の標的指向成分はPSMA受容体抗体であり、第2の標的指向成分はPSMA受容体結合ペプチドまたはPSMA受容体阻害剤である。
PSMA受容体抗体は、PSMA、好ましくはヒトPSMAタンパク質と相互作用する(例えば結合する)抗体である。好ましくは、PSMA受容体抗体は、例えばヒトPSMAのアミノ酸約44~750に位置するヒトPSMAの細胞外ドメインなどのPSMAの細胞外ドメインと、例えば結合するなどの相互作用をする(アミノ酸残基は米国特許第5,538,866号(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているヒトPSMA配列に対応する)。PSMA受容体抗体は当該技術分野で公知である(Goldsmith et al.,“Targeted Radionuclide Therapy for Prostate Cancer,”in Therapeutic Nuclear Medicine 617-628(R. Baum ed.2014)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。例示的なPSMA受容体抗体としては、限定するものではないが、J591、J415、J533、及びE99が挙げられる。
PSMA受容体阻害剤は、脂質、炭水化物、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、またはPSMA受容体の機能を阻害する任意の他の生物学的、有機、または無機分子を含んでいてもよい。例示的なPSMA受容体阻害剤は当該技術分野で公知であり、限定するものではないが、PSMA 617、PSMA I&T、DCFBC、DCFPyL、グルタメート-尿素-リシン類似体、ホスホルアミダート類似体、及び2-(ホスフィニルメチル)ペンタン二酸類似体が挙げられる(Lutje et al.,“PSMA Ligands for Radionuclide Imaging and Therapy of Prostate Cancer:Clinical Status,”Theranostics 5(12):1388-1401(2015);Haberkorn et al.,“New Strategies in Prostate Cancer:Prostate-Specific Membrane Antigen(PSMA)Ligands for Diagnosis and Therapy,”Clin.Cancer Res.22(1):9-15(2016)、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
一実施形態では、PSMA受容体抗体がJ591、J415、J533、及びE99からなる群から選択され、一方で、第2の標的指向成分は、PSMA 617、PSMA I&T、DCFBC、DCFPyL、グルタメート-尿素-リシン類似体、ホスホルアミダート類似体、2-(ホスフィニルメチル)ペンタン二酸類似体、及び他のPSMAリガンド/阻害剤からなる群から選択されるペプチドである。
一実施形態では、第1の薬剤はJ591-177Luであり、第2の薬剤はPSMA 617-177LuまたはPSMA I&T-177Luである。例えば、PSMA受容体抗体は、Banderの米国特許第7,045,605号(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(DOTA)とカップリングすることにより、111インジウム、90イットリウム、または177ルテチウムで放射標識することができる。
本発明の別の実施形態では、がんは神経内分泌がんである。神経内分泌がんとしては、限定するものではないが、カルチノイド腫瘍、ガストリノーマ、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチノーマ、甲状腺がん、皮膚のメルケル細胞がん、下垂体前葉の腫瘍、髄様がん、副甲状腺腫瘍、胸腺及び縦隔カルチノイド腫瘍、肺神経内分泌腫瘍、副腎髄質腫瘍、褐色細胞腫、シュワン腫、傍神経節腫、神経芽細胞腫、及び尿路カルチノイド神経内分泌がんが挙げられる。
本発明のこの態様によれば、一実施形態では、第1及び第2の標的指向成分はソマトスタチン受容体を標的とする。
少なくとも5つのソマトスタチン受容体サブタイプが特徴付けられており、腫瘍は様々な受容体サブタイプを発現することができる(Shaer et al.,“Somatostatin Receptor Subtypes sst1,sst2,sst3 and sst5 Expression in Human Pituitary,Gastroentero-Pancreatic and Mammary tumors:Comparison of mRNA Analysis With Receptor Autoradiography,”Int.J.Cancer 70:530-537(1997)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。天然に存在するソマトスタチン及びその類似体は、これらの受容体サブタイプへの異なる結合を示し、特定の疾患組織へのペプチド類似体の正確な標的指向を可能にする。
本発明のこの態様によれば、第1及び第2の標的指向成分は、天然ソマトスタチンの少なくとも1つの生物学的活性を有し、好ましくは、この活性は、ソマトスタチン受容体を有する細胞のソマトスタチン受容体に特異的に結合する能力である。生物学的活性を有する多くのそのような類似体は公知であり、例えば、Hornikらの米国特許第5,770,687号;Coyらの米国特許第5,708,135号;Hoegerらの米国特許第5,750,499号;McBrideらの米国特許第5,620,675号;Coyらの米国特許第5,633,263号;Coyらの米国特許第5,597,894号;Taylorらの米国特許第5,073,541号;Coyらの米国特許第4,904,642号;Deanの米国特許第6,017,509号;HoffmanらのWO98/47524;及びBogdenの米国特許第5,411,943号に記載されており、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
一実施形態では、第1及び第2の標的指向成分はソマトスタチン受容体-2を標的とする。
本発明の別の実施形態では、がんは乳がんである。
本発明のこの実施形態によれば、がんが乳がんである場合、第1及び第2の標的指向成分はHER受容体ファミリーを標的とする。
第1及び第2の薬剤、ならびに標的指向成分及び治療成分は上述したとおりである。
本発明の別の実施形態では、がんは非ホジキンリンパ腫である。
この実施形態によれば、がんが非ホジキンリンパ腫である場合、第1及び第2の標的指向成分はCD20を標的とする。
第1及び第2の薬剤、ならびに標的指向成分及び治療成分は上述したとおりである。
本発明の別の態様は、がんを処置するための併用療法剤に関する。併用療法剤は、第1のがん治療成分に結合している第1の標的指向成分を含む第1の薬剤と、第2のがん治療成分に結合している第2の標的指向成分を含む第2の薬剤とを含む。第1及び第2の標的指向成分は、異なる生体内分布及び/または薬物動態を有する。
第1及び第2の薬剤、ならびに標的指向成分及び治療成分は上述したとおりである。
本発明の方法で使用するための薬剤を含有する医薬組成物は、以下に記載の薬学的に許容される担体、1種または複数種の活性剤、及び適切な送達ビヒクルを含んでいてもよい。適切な送達ビヒクルとしては、限定するものではないが、ウイルス、細菌、生分解性ミクロスフェア、微粒子、ナノ粒子、リポソーム、コラーゲンミニペレット、及びコクリエートが挙げられる。
本発明の一実施形態では、阻害性核酸分子(例えばsiRNA分子)を含有する医薬組成物または製剤は、脂質製剤の中にカプセル化されて、Semple et al.,“Rational Design of Cationic Lipids for siRNA Delivery,”Nature Biotech.28:172-176(2010)、BumcrotらのWO2011/034798、BumcrotらのWO2009/111658、及びBumcrotらのWO2010/105209(これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような核酸-脂質粒子を形成する。
本発明の別の実施形態では、送達ビヒクルはナノ粒子である。様々なナノ粒子送達ビヒクルが当該技術分野で公知であり、本発明の阻害剤の送達に適している(例えばvan Vlerken et al.,“Multi-functional Polymeric Nanoparticles for Tumour-Targeted Drug Delivery,”Expert Opin.Drug Deliv.3(2):205-216(2006)を参照のこと、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。好適なナノ粒子としては、限定するものではないが、ポリ(β-アミノエステル)(Sawicki et al.,“Nanoparticle Delivery of Suicide DNA for Epithelial Ovarian Cancer Cell Therapy,”Adv.Exp.Med.Biol.622:209-219(2008)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、ポリエチレンイミン-alt-ポリ(エチレングリコール)コポリマー(Park et al.,“Degradable Polyethylenimine-alt-Poly(ethylene glycol) Copolymers As Novel Gene Carriers,”J. Control Release 105(3):367-80(2005)、及びPark et al.,“Intratumoral Administration of Anti-KITENIN shRNA-Loaded PEI-alt-PEG Nanoparticles Suppressed Colon Carcinoma Established Subcutaneously in Mice,”J Nanosci.Nanotechnology 10(5):3280-3(2010)、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及びリポソーム封入siRNAナノ粒子(Kenny et al.,“Novel Multifunctional Nanoparticle Mediates siRNA Tumor Delivery,Visualization and Therapeutic Tumor Reduction In Vivo,”J.Control Release 149(2):111-116(2011)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。本発明における使用に適した他のナノ粒子送達ビヒクルとしては、Prakashらの米国特許出願公開第2010/0215724号(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているマイクロカプセルナノチューブデバイスが挙げられる。
本発明の別の実施形態では、医薬組成物はリポソーム送達ビヒクル中に含まれる。用語「リポソーム」は、球状二重層または二重層の中に配置された両親媒性脂質から構成される小胞を意味する。リポソームは、親油性材料と水性の内部とから形成された膜を有する単層または多層の小胞である。水性部分は送達される組成物を含む。カチオン性リポソームは細胞壁に融合できるという利点を有している。非カチオン性リポソームは、細胞壁と効率的に融合できないものの、インビボでマクロファージに取り込まれる。
リポソームの複数の利点としては、これらの生体適合性及び生分解性;広範な水及び脂溶性薬物の取り込み;ならびにこれらがカプセル化された薬物を代謝及び分解から保護すること;が挙げられる。リポソーム製剤の調製における重要な考慮事項は、脂質の表面電荷、小胞のサイズ、及びリポソームの水性容量である。
リポソームは、作用部位への活性成分の移送及び送達に有用である。リポソーム膜は生体膜と構造的に類似しているため、リポソームが組織に適用されると、リポソームは細胞膜と融合し始め、リポソームと細胞との融合が進行するのに伴い、活性剤が作用し得る細胞の中にリポソームの内容物が流れ込む。
本発明において使用するためのリポソームの調製方法としては、Bangham et al.,“Diffusion of Univalent Ions Across the Lamellae of Swollen Phospholipids,”J.Mol.Biol.13:238-52(1965)、Hsuの米国特許第5,653,996号、Leeらの米国特許第5,643,599号、Hollandらの米国特許第5,885,613号、Dzau及びKanedaの米国特許第5,631,237号、及びLoughreyらの米国特許第5,059,421号に開示されているものが挙げられ、これらの文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の別の実施形態では、送達ビヒクルはウイルスベクターである。ウイルスベクターは、siRNAやshRNA分子などの阻害性核酸分子の送達に特に適してるものの、抗インテグリン抗体をコードする分子を送達するためにも使用することができる。好適な遺伝子治療ベクターとしては、限定するものではないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びヘルペスウイルスベクターが挙げられる。
アデノウイルスウイルスベクター送達ビヒクルは、Berkner,“Development of Adenovirus Vectors for the Expression of Heterologous Genes,”Biotechniques 6:616-627(1988)、Rosenfeld et al.,“Adenovirus-Mediated Transfer of a Recombinant Alpha 1-Antitrypsin Gene to the Lung Epithelium In Vivo,”Science 252:431-434(1991)、CurielらのWO93/07283、PerricaudetらのWO93/06223、及びCurielらのWO93/07282に記載されているとおりに容易に調製及び利用することができ、これらの文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。アデノ随伴ウイルス送達ビヒクルは、Shi et al.,“Therapeutic Expression of an Anti-Death Receptor-5 Single-Chain Fixed Variable Region Prevents Tumor Growth in Mice,”Cancer Res.66:11946-53(2006);Fukuchi et al.,“Anti-Aβ Single-Chain Antibody Delivery via Adeno-Associated Virus for Treatment of Alzheimer’sDisease,”Neurobiol.Dis.23:502-511(2006);Chatterjee et al.,“Dual-Target Inhibition of HIV-1 In Vitro by Means of an Adeno-Associated Virus Antisense Vector,”Science 258:1485-1488(1992);Ponnazhagan et al.,“Suppression of Human Alpha-Globin Gene Expression Mediated by the Recombinant Adeno-Associated Virus 2-Based Antisense Vectors,”J.Exp.Med.179:733-738(1994);及びZhou et al.,“Adeno-associated Virus 2-Mediated Transduction and Erythroid Cell-Specific Expression of a Human Beta-Globin Gene,”Gene Ther.3:223-229(1996)に記載されているとおりに構築でき、また本発明の阻害性核酸分子を細胞に送達するために使用することができ、これらの文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらのビヒクルのインビボでの使用は、Flotte et al.,“Stable in Vivo Expression of the Cystic Fibrosis Transmembrane Conductance Regulator With an Adeno-Associated Virus Vector,”Proc. Nat’l.Acad.Sci.90:10613-10617(1993)、及びKaplitt et al., “Long-Term Gene Expression and Phenotypic Correction Using Adeno-Associated Virus Vectors in the Mammalian Brain,”Nature Genet.8:148-153(1994)に記載されており、これらの文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。追加的なタイプのアデノウイルスベクターは、Wickhamらの米国特許第6,057,155号;Boutらの米国特許第6,033,908号;Wilsonらの米国特許第6,001,557号;Chamberlainらの米国特許第5,994,132号;Kochanekらの米国特許第5,981,225号;Spoonerらの米国特許第5,885,808号;及びCurielの米国特許第5,871,727号に記載されており、これらの文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
感染性形質転換システムを形成するために改変されたレトロウイルスベクターは、核酸分子を標的細胞に送達するためにも使用することができる。そのようなタイプのレトロウイルスベクターの1つは、Krieglerらの米国特許第5,849,586号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。本発明における使用に適した他の核酸送達ビヒクルとしては、Luらの米国特許出願公開第20070219118号に開示されているものが挙げられ、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
使用される感染性形質転換システムのタイプに関わらず、これは望まれる細胞型への核酸の送達を目的とすべきである。例えば、細胞のクラスター(例えばがん細胞)への送達のために、高力価の感染性形質転換システムをそれらの細胞の部位内に直接注入して細胞感染の可能性を高めることができる。感染した細胞は、その後インテグリン発現の阻害を目的とする阻害性核酸分子を発現する。発現システムは、標的組織または細胞における核酸分子の発現の強度及び特異性を制御または調節するためのプロモーターをさらに含んでいてもよい。
転移性疾患の処置のための本発明の組成物の有効用量は、がんの種類及び病期、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、他の施された薬物または治療法、ならびに他の医学的合併症に対する患者の身体的状態などの多くの異なる要因に応じて様々である。処置用量は安全性及び有効性を最適化するために漸増させる必要がある。
以下の実施例は、本開示の実施形態の実施を例示することが意図されているが、決してその範囲を限定することを意図するものではない。
材料及び方法
内部移行解析。LNCaP及びCWR22Rv1細胞をトリプシン処理し、1本のチューブあたり1×10細胞でチューブに分注した。細胞をRPMI(FBSなし)で1回洗浄した。1本のチューブあたり200μLのRPMI(FBSなし)中に入っている177Lu-J591(150,000CPM)及び/または177Lu-PSMA-617(110,000CPM)を、1本のチューブあたり200μLのRPMI(FBSなし)の中に添加した。サンプルを37℃で1時間インキュベートし、15分ごとに細胞を再懸濁した。インキュベートした後、細胞を0.1%BSA/PBSを用いて2回洗浄することで、結合していない/内部移行していない結合薬剤を除去した。サンプルをカウントした。
LNCaP異種移植片。各BALB/cnu/nu雄マウスに500万個のLNCaP細胞(Matrigelあり)を皮下移植した。10日後、マウスを同様の腫瘍体積を有する5匹のグループにランダムに分けた。0日目に、177Lu-J591、177Lu-PSMA617、またはPBSを様々な用量で尾静脈から注射した。腫瘍体積及びマウスの体重を1週間あたり2~3回測定した。式0.52Wを使用して腫瘍体積を計算し、時間(処置後の日数)に対してプロットした。
CWR22Rv1異種移植片。各BALB/cnu/nu雄マウスに、500万個のCWR22Rv1細胞(Matrigelあり)を皮下移植した。4日後、同様の腫瘍体積を得るためにマウスを5匹のグループに分けた。177Lu-J591、177Lu-PSMA617、またはPBSを指示された用量で尾静脈から注射した。腫瘍体積及びマウスの体重を1週間あたり2~3回測定した。式0.52Wを使用して腫瘍体積を計算し、時間(処置後の日数)に対してプロットした。
実施例1 放射標識抗PSMA抗体J591-177Luと放射標識PSMA-617-177Luを同時インキュベーションすると、インビトロでPSMA陽性細胞において相加的な177Luの内部移行が生じる
個々の薬剤、J591-177Lu、及びPSMA-617-177Luは、それぞれ与えられたいずれの細胞株(LNCaP及びCWR22Rv1)内でも同程度に内部移行した(図1A~1B)。内部移行はCWR22Rv1よりもLNCaPで大きく、LNCaP細胞株でPSMA発現がより高いことと一致した。両方の薬剤を同時インキュベーションすると、両方が効果的に同時に内部移行し、細胞内に相加的な量の放射標識が得られた。
実施例2 放射標識抗PSMA抗体J591-177Luと放射標識PSMA-617-177Luを使用する組み合わせ処置は、インビボで相加的な抗腫瘍効果をもたらす
LNCaP異種移植片において、PBSで処理した動物(プラセボ対照)は、25日目までに直径約1cmの腫瘍を発症し、数日後に殺処分を必要とした。最も優れた抗腫瘍効果は、150μCiのJ591-177Luによって達成された(図2)。同等の抗腫瘍効果は、半分の用量のJ591-177Lu(すなわち、75μCi)で、MTDを大幅に下回る用量のPSMA-617-177Lu(すなわち200μCi)を追加することによっても達成できた(図2)。
CWR22Rv1異種移植片では、プラセボ(PBS)で処理したマウスは17日目までに殺処分を必要とした。180μCiのMTD用量でのJ591-177Luは、最も優れた抗腫瘍応答を示した(図3)。この応答は、135μCi(MTDの75%)のJ591-177Luプラス525μCi(MTD未満の用量)のPSMA-617-177Luによって同等にすることができた(図3)。
実施例1~2の考察
総合すると、これらのデータは、細胞集団に存在する標的分子(例えば細胞表面受容体分子)の異なる部位に結合する2つの薬剤を同時投与すると、それらの薬剤の相加的な結合が得られることを示している。そのため、標的分子/受容体が内部移行する場合、相加的な量の2つの薬剤が内部移行する。さらに、2つの標的指向薬剤が異なる特性(例えば分子量、電荷、親水性/疎水性、薬物動態、生体内分布等)を有しておりその結果としてそれぞれの副作用が異なり重複しない場合、2つの薬剤は、同時投与されることで、付加的な毒性を生じさせることなく標的細胞に相加的に結合させる/取り込ませることができる。当然の結果として、各薬剤の用量は、それぞれの最大耐量未満に適度に(5~50%)減らすことができ、これにより、2つの標的指向薬剤の同時投与は、標的細胞に相加的な用量を与えながらも対象が経験する毒性を実質的にまたは完全に減らすことができる。
予測実施例1 ヒト患者への投与
前立腺特異的膜抗原(PSMA)により例示される腫瘍関連分子標的は、抗体または小分子リガンドのいずれかによりインビトロ及びインビボで標的とされ得る。これらの2つのクラスの薬剤は、分子サイズと血漿中半減期の両方で大きく異なる。
Figure 0007373998000001
*リンカー及びキレートを含む
サイズの相違ならびに血管透過性及び正常組織に侵入する能力に対するその影響の結果として、これらの2つの異なるクラスまたはタイプの腫瘍標的指向薬剤の生体内分布は異なる。低分子量のリガンドは、血管から迅速に血管外に出て血管外液空間及び組織の中に侵入し、侵入の関門はほとんど存在しないか全く存在しない。逆に、抗体(Ab)などの大きい分子量の分子は、数日から数週間にわたって血管腔内を循環する。これらのはるかに大きい薬剤は、骨髄やリンパ節などの細網内皮器官を容易に通過できるものの、他の正常組織関門は、特に基底膜、介在細胞層、及び上皮密着結合が存在する正常組織では、ゆっくりとしか通過しない。浸潤性腫瘍の場合、これらの正常な関門は腫瘍細胞自体によって破壊され、これによりAbは腫瘍細胞に容易にアクセスできるようになる。
サイズは、分子が排泄される前に体内に留まる時間の長さにも関与する。例えば、小分子は非常に容易に腎糸球体を通過し、尿中に迅速に排泄される。これは、PSMAやソマトスタチン2型受容体(SSTR-2)を標的とするような小分子リガンドに当てはまる。しかしながら、Abは大きすぎて糸球体を通過できないため、これは尿路から排泄されず、体内にはるかに長く留まり、肝臓で代謝されることがより多くなる。
2つの異なるクラスの薬剤は共にそれらの標的(例えばPSMA、SSTR-2、CD20等)を発現する腫瘍細胞に結合するが、標的となる正常組織は薬剤のクラス間で異なる。例えば、PSMAは、前立腺がん細胞だけでなく、正常な耳下腺及び他の唾液腺、涙腺、腎臓、及び小腸によっても発現される(図4~7を参照)。小分子/阻害剤を主体とするPSMA薬剤は、これらの正常な組織部位(耳下腺及び他の唾液腺、涙腺、腎臓、及び小腸)を標的とする。Abは大きすぎてこれらの正常組織に侵入できないため、抗PSMA Abは唾液腺やその他の腺も腎臓も標的としない。これらの2種類の薬剤である大きいAbと小さいリガンドの異なる生体内分布は、各種類の薬剤を投与された患者の画像スキャンによって実証されている(図8及び図9)。両方の種類の薬剤を用いると、腫瘍部位が標的にされるものの、標的となる正常組織が異なり、実質的に相互に排他的である。
2つの異なる種類の薬剤の両方を用いて腫瘍に標的指向させることにより、腫瘍は相加的な投薬を受けるが、標的ではない正常組織は相加的な投薬を受けない。2つの異なる種類の薬剤を用いる標的指向のもう1つの利点は、2種以上の細胞毒を使用する選択肢があることである。例えば、ラジオアイソトープ治療では、α粒子とβ粒子または2つのα粒子または2つのβ粒子を標的指向化することができる。
予測実施例2 β+β
例えばJ591-Lu177などのAb上のβ(例えば177Lu)を標的指向化してPSMAを標的とする場合、鍵となる(及び用量制限の)副作用は、血小板減少症(血小板数の減少)であり、用量の増加に伴って血小板減少症の相対的な程度が次第に大きくなる。J591-Lu177で処置された患者はいずれも出血症状を経験しなかったものの、何人かは血小板数が自然に回復するまで血小板輸血を必要とした。30mCi/m×2の線量(約2.0mの男性で合計約120mCi)または35mCi/m×2の線量(合計約140mCi)の用量で、血小板輸血が必要な患者はいなかった一方で、それぞれ40mCi/m×2の線量(合計約160mCi)及び45mCi/m×2の線量(合計約180mCi)の用量で、16人中5人(31%)及び15人中9人(60%)の患者が、骨髄の回復の間に彼らをサポートするために血小板輸血を必要とした。
Figure 0007373998000002
J591-Lu177は、2週間間隔で2回与えられた≦30mCi/mの投与された177Lu線量で、抗腫瘍活性の指標として、PSAの減少を誘発し始める。線量が140、160、及び180mCi[合計]へと増加するのに伴って、PSA/抗腫瘍応答の大きさは次第に大きくなる。
Kabasakal et.al.,“Pre-Therapeutic Dosimetry of Normal Organs and Tissues of 177Lu-PSMA-617 Prostate-Specific Membrane Antigen (PSMA)Inhibitor in Patients With Castration-Resistant Prostate Cancer,”Eur.J.Nucl.Med.Mol.Imaging42:1976-1983(2015)(これは参照により本明細書に組み込まれる)、及びKratochwil et. al.,“PSMA-Targeted Radionuclide Therapy of Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer With 177Lu-Labeled PSMA-617,”J.Nucl.Med.57:1170-1176(2016)(これは参照により本明細書に組み込まれる)は、PSMA-617-Lu177(PSMA結合小分子リガンド/阻害剤/ペプチドの代表的なリガンド)の最大安全累積線量が腎臓及び唾液腺の限界として27~30Gbqであることを決定している。このレベルまたはそれを超える線量では、患者は腎機能障害及び口内乾燥症(ドライマウス)にかかる可能性がある。重度の口腔乾燥症は、味覚及び食欲の喪失及び重度の歯/口腔疾患をもたらす。患者は、咀嚼、嚥下、睡眠、会話が難しいこと、味覚異常、及び口腔灼熱感について訴える。
PSMA-617/リガンド-Lu177は、2週間間隔で2回の投与レジメン(150mCi×2)で与えられた300mCi(11.1Gbq)の投与累積177Lu線量でPSAの減少を誘発し始める。線量を2回の投与の合計で400~500mCi(14.8~18.5GBq)に増加させるのに伴って、PSA/抗腫瘍応答の大きさは次第に大きくなる。
J591-177Luは腎臓または唾液腺に大きい放射線量を送達せず、PSMA-617/リガンドは骨髄に大きな線量を送達しないため、血小板減少症を引き起こさない。すなわち、これら2つの異なる標的指向薬剤は共に抗腫瘍活性をもたらすが、それぞれの副作用は相互に排他的である。
提案された治療法は、2つのそれぞれの薬剤の組み合わせ(抗PSMA Ab(例えばJ591)及びPSMAリガンド/阻害剤/ペプチド(例えばPSMA-617、PSMA-11、PSMA I&T、RM-2等))を使用して177Lu(または当業者に公知の他の細胞毒性剤)を標的指向化することにより、腫瘍への最大用量及びその結果としての抗腫瘍効果を達成しようとする。各薬剤の用量を適度に下げることにより、血小板[抗PSMA Abによる]及び腎臓と唾液腺[PSMAリガンド/阻害剤/ペプチドによる]に対する副作用を軽減するか回避することができる。より具体的には、2週間サイクルでJ591-177Luの合計120~140mCiの線量が提案されている。J591-177Luの別の可能な線量範囲は、2週間サイクルで合計100~160mCiである。J591-177Luの投与は、2週間サイクルで合計400mCi(または2週間サイクルで合計300~500mCiの範囲)のPSMAリガンド/阻害剤/ペプチド(例えばPSMA-617)の同時投与によって達成されるべきである。これらの線量では、有意な唾液腺または腎機能の低下は起こらず、この線量は、Kabasakal et.al.,“Pre-Therapeutic Dosimetry of Normal Organs and Tissues of 177Lu-PSMA-617 Prostate-Specific Membrane Antigen(PSMA)Inhibitor in Patients With Castration-Resistant Prostate Cancer,”Eur.J.Nucl.Med.Mol.Imaging 42:1976-1983(2015)(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及びKratochwil et. al.,“PSMA-Targeted Radionuclide Therapy of Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer With 177Lu-Labeled PSMA-617,”J.Nucl.Med.57:1170-1176(2016)(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって決定された27~30Gbqの累積線量未満である。必要に応じて、200~250mCi(7.4~9.25Gbq)の1~2回の追加の線量を2週間以上の間隔で与えることができ、依然として27~30Gbqの限界を下回ったままである。
予測実施例3 α+α
α粒子は、それらの大幅に大きい原子量、線形エネルギー移動、及び放射線生物学的効果のため、βよりも有意に多くの細胞を死滅させる可能性を提供する。PSMA-617-Ac225を用いて前立腺がん患者を処置する場合、かなりの抗腫瘍効果の可能性が報告されている。残念なことに、この処置は唾液腺に与えられる容認し得ない損傷により制限される。50kBq/kgの処置活性では毒性は認められなかったものの、腫瘍量が多い患者では不十分な抗腫瘍応答を生じた。しかし、処置活性が1サイクルあたり100kBq/kgを超えると、投与された活性の増加は、用量制限毒性になる重度の口腔乾燥症をもたらした(Kratochwil et.al.,“Targeted Alpha-Therapy of Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer With(225)Ac-PSMA-617:Dosimetry Estimate and Empiric Dose Finding,”J.Nucl.Med.58(10):1624-1631(2017)、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。用量が高いほど大きな抗腫瘍活性が生じたものの、副作用が大きすぎであった。しかしながら、これは、唾液腺を標的としないAbを介して追加的なAc225を腫瘍に送達することによって改善することができる。J591-Ac225の適切な用量は、MTDが決定されるまで全ての患者が100Kbq/kgの許容耐量でのPSMA617-Ac225に加えて漸増用量のJ591-Ac225を受ける標準的な第1相試験で決定することができる。これにより、PSMAリガンド-Ac225+抗PSMA Ab-Ac225の組み合わせの用量が決定される。
予測実施例4 α+β
α粒子ならびにその高エネルギー及び高細胞毒性及びその集中した短い距離を、より長い距離を有するβと共に用いる組み合わせ処置は、後者が腫瘍縁部で抗腫瘍活性を与えるため、患者の利益も提供する。容認し得ない唾液腺の副作用を回避するためにAbを使用してαを標的指向化し、深刻な血液毒性を避けるためにPSMAリガンドを使用してβを標的指向化することが好ましい。全ての患者は、2週間サイクルで合計400mCiでPSMA617-Lu177を受ける(または2週間サイクルで合計300~500mCiの範囲)。J591-Ac225の適切な用量は、MTDが決定されるまで漸増用量のJ591-Ac225を上述した用量のPSMA-617-177Luと組み合わせる標準的な第1相試験形式で決定することができる。
あるいは、177LuがAbにより、Ac225がPSMA-617により標的指向化されてもよい。この場合、後者は100kbq/kgで投与され、Ab J591は2週間サイクルで合計J591-177Lu 120~140mCiで投与される。J591-177Luの別の可能な用量範囲は、2週間サイクルで合計100~160mCiである。
本明細書では好ましい実施形態を詳細に図示及び説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなしに様々な修正、追加、置換などを行えることは当業者に自明であろう。したがって、これらは添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲内にあるとみなされる。

Claims (31)

  1. 第1のがん治療成分に結合している第1の標的指向成分を含む第1の薬剤であって、前記第1の標的指向成分が前立腺特異的膜抗原(PSMA)受容体を標的とする抗体であり、かつ前記第1のがん治療成分が最大耐量を有する第1の放射性核種である、第1の薬剤と、
    第2のがん治療成分に結合している第2の標的指向成分を含む第2の薬剤であって、前記第2の標的指向成分がPSMA受容体を標的とする小分子であり、かつ前記第2のがん治療成分が最大耐量を有する第2の放射性核種である、第2の薬剤と
    を含む、前立腺がんを処置するための併用療法剤であって、
    前記第1及び第2の標的指向成分が、対象内で異なる生体内分布及び薬物動態を有し、
    前記第1および第2の薬剤が前立腺がんを処置するのに有効な条件下で前立腺がんを有する対象に投与され、かつ
    前記投与が、前記第1の薬剤または第2の薬剤のいずれか単独の最大耐量の投与に起因するものを超えて正常組織における毒性を増加させることなく、前記第1の薬剤または第2の薬剤のいずれか単独の最大耐量の投与によって達成されるものよりも多い放射線生物学的に有効な用量で、前立腺がん組織に、前記第1の薬剤および第2の薬剤を送達するために行われる、
    併用療法剤。
  2. 前記第1及び第2の標的指向成分が、同じ分子標的を標的とする、請求項1に記載の併用療法剤。
  3. 前記第1及び第2の標的指向成分が、同じ細胞上の異なる分子標的を標的とする、請求項1に記載の併用療法剤。
  4. 前記第1及び第2のがん治療成分が、86Re、90Y、67Cu、169Er、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、198Au、199Au、161Tb、109Pd、188Rd、166Dy、166Ho、149Pm、151Pm、153Sm、159Gd、172Tm、169Yb、175Yb、177Lu、105Rh、111Ag、131I、177Sn、225Ac、227Th、211At、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される放射性核種である、請求項1に記載の併用療法剤。
  5. 前記第1の標的指向成分が、PSMA受容体に対するPSMA受容体抗体であり、かつ前記第2の標的指向成分が、PSMA受容体阻害剤である、請求項1に記載の併用療法剤。
  6. 前記第1の標的指向成分が、J591、J415、J533、及びE99からなる群から選択される抗体であり、一方で、前記第2の標的指向成分が、PSMA 617、PSMA I&T、DCFBC、DCFPyL、グルタメート-尿素-リシン、ホスホルアミダート、2-(ホスフィニルメチル)ペンタン二酸、及び他のPSMA受容体リガンド/阻害剤からなる群から選択される、請求項5に記載の併用療法剤。
  7. 前記第1の薬剤がJ591-177Luであり、かつ前記第2の薬剤がPSMA 617-177LuまたはPSMA I&T-177Luである、請求項5に記載の併用療法剤。
  8. 前立腺がんを処置するための併用療法剤の製造における、第1のがん治療成分に結合している第1の標的指向成分を含む第1の薬剤、および第2のがん治療成分に結合している第2の標的指向成分を含む第2の薬剤の使用であって、
    前記第1の標的指向成分が前立腺特異的膜抗原(PSMA)受容体を標的とする抗体であり、かつ前記第1のがん治療成分が最大耐量を有する第1の放射性核種であり、
    前記第2の標的指向成分がPSMA受容体を標的とする小分子であり、かつ前記第2のがん治療成分が最大耐量を有する第2の放射性核種であり、
    前記第1及び第2の標的指向成分が対象内で異なる生体内分布及び薬物動態を有し、
    前記第1及び第2の薬剤が前立腺がんを治療するのに有効な条件下で前立腺がんを有する対象に投与され、かつ
    前記併用療法剤が、前記第1の薬剤または第2の薬剤のいずれか単独の最大耐量の投与に起因するものを越えて正常組織における毒性を増加させることなく、前記第1の薬剤または第2の薬剤のいずれか単独の最大耐量の投与によって達成されるよりも多い放射線生物学的に有効な用量を前立腺がん組織に送達することによって、前立腺がんを処置するように製剤化されている、
    使用。
  9. 前記第1及び第2のがん治療成分がそれぞれ最大耐量を有し、かつ前記第1及び第2のがん治療成分の前記最大耐量が前記投与中に投与される、請求項8に記載の使用。
  10. 前記第1及び第2のがん治療成分がそれぞれ最大耐量を有し、かつ前記第1及び第2のがん治療成分の前記最大耐量より少ない量が前記投与中に投与される、請求項8に記載の使用。
  11. 前記第1の標的指向成分が、PSMA受容体に対するPSMA受容体抗体であり、かつ前記第2の標的指向成分が、PSMA受容体阻害剤である、請求項8に記載の使用。
  12. 前記第1の標的指向成分が、J591、J415、J533、及びE99からなる群から選択される抗体であり、一方で、前記第2の標的指向成分が、PSMA 617、PSMA I&T、DCFBC、DCFPyL、グルタメート-尿素-リシン、ホスホルアミダート、2-(ホスフィニルメチル)ペンタン二酸、及び他のPSMA受容体リガンド/阻害剤からなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
  13. 前記第1の薬剤がJ591-177Luであり、かつ前記第2の薬剤がPSMA 617-177LuまたはPSMA I&T-177Luである、請求項11に記載の使用。
  14. 前記第1の放射性核種及び前記第2の放射性核種が同じである、請求項8に記載の使用。
  15. 前記第1の放射性核種及び前記第2の放射性核種が異なるものである、請求項8に記載の使用。
  16. 前記第1の薬剤が、その最大耐量の100%の用量で投与される、請求項8に記載の使用。
  17. 前記第2の薬剤が、その最大耐量の100%の用量で投与される、請求項8に記載の使用。
  18. 前記第1の薬剤がJ591-225Acであり、かつ前記第2の薬剤がPSMA 617-177Luである、請求項8に記載の使用。
  19. 前記第1の薬剤がJ591- 225 Acであり、かつ前記第2の薬剤がPSMA I&T-177Luである、請求項に記載の使用。
  20. 前記第1の薬剤がJ591-225Acであり、かつ前記第2の薬剤がPSMA 617-177Luである、請求項1に記載の併用療法剤。
  21. 前記第1の薬剤がJ591- 225 Acであり、かつ前記第2の薬剤がPSMA I&T-177Luである、請求項に記載の併用療法剤。
  22. 前記第1の放射性核種及び前記第2の放射性核種が同じである、請求項1に記載の併用療法剤。
  23. 前記第1の放射性核種及び前記第2の放射性核種が異なるものである、請求項1に記載の併用療法剤。
  24. 前記第1の薬剤を、その最大耐量の100%で送達するように製剤化されている、請求項1に記載の併用療法剤。
  25. 前記第2の薬剤を、その最大耐量の100%で送達するように製剤化されている、請求項1に記載の併用療法剤。
  26. 前立腺がんを処置するための併用療法剤の製造における、治療的有効量のJ591-225Acおよび治療的有効量のPSMA 617- 177 LuまたはPSMA I&T- 177 Luの使用。
  27. 前記J591-225Acおよび前記PSMA I&T-177Luの適切な全身レベルを達成するために、前記J591-225Acおよび前記PSMA I&T- 177 Luが対象に同時投与される、請求項26に記載の使用。
  28. 前記PSMA 617- 177 LuまたはPSMA I&T- 177 Luが、2週間サイクルで合計300~500mCiの線量で投与される、請求項26に記載の使用。
  29. 治療的有効量のJ591-225Acおよび治療的有効量のPSMA 617- 177 LuまたはPSMA I&T- 177 Luを含む、前立腺がんを処置するための併用療法剤。
  30. 前記J591-225Acおよび前記PSMA I&T-177Luの適切な全身レベルを達成するために、前記J591-225Acおよび前記PSMA I&T- 177 Luが対象に同時投与される、請求項29に記載の併用療法剤。
  31. 前記PSMA 617- 177 LuまたはPSMA I&T- 177 Luが、2週間サイクルで合計300~500mCiの線量で投与される、請求項29に記載の併用療法剤。
JP2019560384A 2017-05-02 2018-05-02 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬 Active JP7373998B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023182197A JP2024010073A (ja) 2017-05-02 2023-10-24 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201762500187P 2017-05-02 2017-05-02
US62/500,187 2017-05-02
PCT/US2018/030620 WO2018204477A1 (en) 2017-05-02 2018-05-02 Methods and reagents for tumor targeting with greater efficacy and less toxicity

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023182197A Division JP2024010073A (ja) 2017-05-02 2023-10-24 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2020518639A JP2020518639A (ja) 2020-06-25
JP2020518639A5 JP2020518639A5 (ja) 2021-05-13
JP7373998B2 true JP7373998B2 (ja) 2023-11-06

Family

ID=64016565

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019560384A Active JP7373998B2 (ja) 2017-05-02 2018-05-02 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬
JP2023182197A Pending JP2024010073A (ja) 2017-05-02 2023-10-24 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023182197A Pending JP2024010073A (ja) 2017-05-02 2023-10-24 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬

Country Status (4)

Country Link
US (3) US11491247B2 (ja)
EP (1) EP3618867A4 (ja)
JP (2) JP7373998B2 (ja)
WO (1) WO2018204477A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7373998B2 (ja) 2017-05-02 2023-11-06 コーネル・ユニバーシティー 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬
CA3194600A1 (en) * 2020-10-01 2022-04-07 Neil H. Bander Methods and compositions for synergistic uptake and retention of small molecule ligands
CA3194592A1 (en) * 2020-10-01 2022-04-07 Neil H. Bander Methods and compositions for increasing uptake, internalization, and/or retention of small molecule ligands
CN113354709B (zh) * 2021-06-03 2023-06-09 江苏华益科技有限公司 一种转移性前列腺癌靶向性药物前体的固相合成方法
WO2023240135A2 (en) 2022-06-07 2023-12-14 Actinium Pharmaceuticals, Inc. Bifunctional chelators and conjugates

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003530299A (ja) 1999-03-08 2003-10-14 ゲルハルト グラウプナー, 標的化薬物送達のための方法および組成物
JP2004532639A (ja) 2001-06-01 2004-10-28 コーネル リサーチ ファンデーション インコーポレーテッド 前立腺特異的膜抗原に対する修飾抗体およびその使用
JP2014523907A (ja) 2011-07-11 2014-09-18 ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ 光増感抗体−蛍光団コンジュゲート

Family Cites Families (42)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7011812B1 (en) 1996-05-03 2006-03-14 Immunomedics, Inc. Targeted combination immunotherapy of cancer and infectious diseases
CA2391534A1 (en) 1999-11-15 2001-05-25 Drug Innovation & Design, Inc. Selective cellular targeting: multifunctional delivery vehicles
AU1123202A (en) 2000-09-15 2002-03-26 Sloan Kettering Inst Cancer Targeted alpha particle therapy using actinium-225 conjugates
US7138496B2 (en) * 2002-02-08 2006-11-21 Genetastix Corporation Human monoclonal antibodies against human CXCR4
US7514078B2 (en) * 2001-06-01 2009-04-07 Cornell Research Foundation, Inc. Methods of treating prostate cancer with anti-prostate specific membrane antigen antibodies
US7666414B2 (en) 2001-06-01 2010-02-23 Cornell Research Foundation, Inc. Methods for treating prostate cancer using modified antibodies to prostate-specific membrane antigen
AU2002305767B2 (en) * 2001-09-20 2008-04-10 Cornell Research Foundation, Inc. Methods and compositions for treating and preventing skin disorders using binding agents specific for PSMA
AU2006302254B2 (en) 2005-10-06 2011-05-26 Xencor, Inc. Optimized anti-CD30 antibodies
DK2275103T3 (da) * 2005-11-21 2014-07-07 Novartis Ag mTor-inhibitorer ved behandling af endokrine tumorer
EP2132133A4 (en) 2007-03-02 2013-04-17 Univ Illinois ADMINISTRATION OF PARTICULATE MEDICINE
ES2700234T3 (es) 2007-06-26 2019-02-14 Univ Johns Hopkins Inhibidores marcados del antígeno de membrana específico de la próstata (PSMA), evaluación biológica y uso como agentes para la obtención de imágenes
SI2318366T1 (sl) 2008-08-01 2017-10-30 The Johns Hopkins University Psma-vezavna sredstva in njihova uporaba
WO2010022051A2 (en) 2008-08-18 2010-02-25 University Of Kansas Disruptors of early/recycling endosomes
ES2928480T3 (es) 2009-03-19 2022-11-18 Univ Johns Hopkins Compuestos dirigidos a PSMA y usos de los mismos
US10717750B2 (en) 2009-03-19 2020-07-21 The Johns Hopkins University 68Ga-labeled NOTA-chelated PSMA-targeted imaging and therapeutic agents
EP2475391B1 (en) 2009-09-09 2018-09-12 Centrose, LLC Extracellular targeted drug conjugates
WO2011108955A1 (en) 2010-03-03 2011-09-09 Universidade De Coimbra Multi -targeting system comprising a nanocarrier, nucleic acid(s) and non-nucleic acid based drug(s)
AU2012294639B2 (en) 2011-08-05 2017-10-26 Molecular Insight Pharmaceuticals, Inc. Radiolabeled prostate specific membrane antigen inhibitors
WO2013103707A1 (en) 2012-01-03 2013-07-11 Invictus Oncology Pvt. Ltd. Ligand-targeted molecules and methods thereof
EP3939572B1 (en) 2012-04-12 2024-03-27 Yale University Vehicles for controlled delivery of different pharmaceutical agents
JP6445429B2 (ja) 2012-06-27 2018-12-26 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft 少なくとも2つの異なる標的化実体を含むテーラーメイドで選択的かつ多重特異性治療用分子を選択および作製するための方法およびその使用
US8990921B2 (en) 2013-02-21 2015-03-24 Atheer, Inc. Apparatus for processing with a secure system manager
JP6239246B2 (ja) * 2013-03-13 2017-11-29 株式会社日立ハイテクノロジーズ 荷電粒子線装置、試料観察方法、試料台、観察システム、および発光部材
CN105283201B (zh) * 2013-03-14 2019-08-02 斯克利普斯研究所 靶向剂抗体偶联物及其用途
US9636419B2 (en) 2013-10-11 2017-05-02 The Universit of Kansas Targeting multiple receptors on a cell surface for specific cell targeting
JP6908964B2 (ja) * 2013-10-18 2021-07-28 ピーエスエムエー ディベロップメント カンパニー,エルエルシー Psmaリガンドコンジュゲートによる併用療法
US20150110814A1 (en) 2013-10-18 2015-04-23 Psma Development Company, Llc Combination therapies with psma ligand conjugates
WO2015055318A1 (en) 2013-10-18 2015-04-23 Deutsches Krebsforschungszentrum Labeled inhibitors of prostate specific membrane antigen (psma), their use as imaging agents and pharmaceutical agents for the treatment of prostate cancer
US10533059B2 (en) 2014-03-12 2020-01-14 Akamara Therapeutics, Inc. Targeted drug delivery through affinity based linkers
ES2743482T3 (es) 2014-05-06 2020-02-19 Univ Johns Hopkins Inhibidores de PSMA marcados con metal/radiometal para obtención de imágenes dirigidas a PSMA y radioterapia
JP2017536091A (ja) 2014-10-02 2017-12-07 シティ・オブ・ホープCity of Hope 多価メディトープ、メディトープ結合性抗体およびそれらの使用
WO2016062370A1 (en) 2014-10-20 2016-04-28 Deutsches Krebsforschungszentrum 18f-tagged inhibitors of prostate specific membrane antigen (psma), their use as imaging agents and pharmaceutical agents for the treatment of prostate cancer
JP6942633B2 (ja) * 2015-01-30 2021-09-29 アカデミア シニカAcademia Sinica 抗体の増強された有効性のための普遍的グリコフォームに関する組成物および方法
IL237525A (en) 2015-03-03 2017-05-29 Shalom Eli Method for labeling a prostate-specific membrane antigen with a radioactive isotope
US10688200B2 (en) 2015-12-31 2020-06-23 Five Eleven Pharma Inc. Urea-based prostate specific membrane antigen (PSMA) inhibitors for imaging and therapy
TR201813644T1 (tr) 2016-03-22 2018-11-21 Univ Johns Hopkins Prostat kanserinin endoradyoterapisi için prostat-spesifik membran antijen hedefli yüksek afiniteli ajanlar.
SG11201811482YA (en) 2016-06-23 2019-01-30 Univ Cornell Double targeted constructs to affect tumor kill
DE212016000299U1 (de) 2016-12-15 2019-09-05 The European Atomic Energy Community (Euratom), Represented By The European Commission Behandlung vpm PMSA-exprimierenden Krebsarten
JP7373998B2 (ja) 2017-05-02 2023-11-06 コーネル・ユニバーシティー 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬
US20220218837A1 (en) 2018-12-21 2022-07-14 Sapreme Technologies B.V. Drug conjugate
US11478493B2 (en) 2019-03-08 2022-10-25 University Of South Carolina Fabrication and application of a hetero-targeted nano-cocktail with traceless linkers
CA3194600A1 (en) 2020-10-01 2022-04-07 Neil H. Bander Methods and compositions for synergistic uptake and retention of small molecule ligands

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003530299A (ja) 1999-03-08 2003-10-14 ゲルハルト グラウプナー, 標的化薬物送達のための方法および組成物
JP2004532639A (ja) 2001-06-01 2004-10-28 コーネル リサーチ ファンデーション インコーポレーテッド 前立腺特異的膜抗原に対する修飾抗体およびその使用
JP2014523907A (ja) 2011-07-11 2014-09-18 ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ 光増感抗体−蛍光団コンジュゲート

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Molecular Cancer Therapeutics,2011年,Vol.10, No.6,pp.1072-1081
The Journal of Nuclear Medicine,Vol.57, No.8,2016年,pp.1170-1176
Theranostics,Vol.6, Issue 6,2016年,pp.849-861

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020518639A (ja) 2020-06-25
EP3618867A4 (en) 2021-01-20
US20210196844A1 (en) 2021-07-01
WO2018204477A1 (en) 2018-11-08
US11491247B2 (en) 2022-11-08
JP2024010073A (ja) 2024-01-23
US11738101B2 (en) 2023-08-29
US20210154338A1 (en) 2021-05-27
EP3618867A1 (en) 2020-03-11
US20240000980A1 (en) 2024-01-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7373998B2 (ja) 有効性がより大きくかつ毒性がより少ない腫瘍標的指向方法及び試薬
Cheung et al. Anti-G (D2) antibody treatment of minimal residual stage 4 neuroblastoma diagnosed at more than 1 year of age.
US20240000979A1 (en) Methods and compositions for synergistic uptake and retention of small molecule ligands
EP2421562B1 (en) Treatment of ovarian cancer using an anticancer agent conjugated to an angiopep-2 analog
ES2927305T3 (es) Régimen contra el cáncer usando anticuerpos anti-CD47 y anti-CD20
ES2529660T3 (es) Métodos de tratamiento en los que se utilizan las proteínas de unión a albúmina como dianas
US20180126012A1 (en) Using Targeted Radiotherapy (TRT) to Drive Anti-Tumor Immune Response to Immunotherapies
US20130330274A1 (en) Compositions and methods for detecting and treating cancer
US20240066156A1 (en) Targeted Radiotherapy Chelates for In Situ Immune Modulated Cancer Vaccination
JP2022545636A (ja) 癌の免疫療法のための高性能ペプチド及び可変ナノ粒子
CA3082056A1 (en) Using targeted radiotherapy (trt) to drive anti-tumor immune response to immunotherapies
De Bonis et al. Radioimmunotherapy for high-grade glioma
ES2674491T3 (es) Nuevos fragmentos de anticuerpos, composiciones y usos de los mismos
KR20150095809A (ko) 암 치료용 조성물 및 방법
Torchilin Antinuclear antibodies with nucleosome-restricted specificity for targeted delivery of chemotherapeutic agents
US20230364271A1 (en) Methods and compositions for increasing uptake, internalization, and/or retention of small molecule ligands
ES2880682T3 (es) Anticuerpos anti PSA (5A10) humanizados
TW202322855A (zh) 人類表皮生長因子第二型受體疫苗組成物以及套組
CN107405410B (zh) 增加抗癌剂向靶递送的方法
US20130323167A1 (en) Detecting and treating solid tumors through selective disruption of tumor vasculature
US20230241256A1 (en) Non-intuitive combination of drug delivery carriers of the same drug for synergistic growth delay of solid tumors
Safavy MONOCLONAL ANTIBODIES (MABS) AS DRUG DELIVERY SYSTEMS: PACLITAXEL-MAB CONJUGATES FOR TARGETED TREATMENT OF CANCER

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20210324

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210401

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211220

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220317

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20220620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220901

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20221129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230711

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20230824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231024

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7373998

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150