JP7373796B2 - パストライザにおける処理環境安定化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば飲料などを充填・密封した容器を処理対象物とし、このものに加熱殺菌処理を行うパストライザに関するものであって、特に殺菌ゾーンにおける正確な温度設定や維持・管理が行えるようにした、パストライザにおける新規な処理環境安定化装置に係るものである。
一般にパストライザは、例えば飲料が充填・密封されたボトル等を処理対象物とし、これを搬送しながら、その上方から処理ゾーン毎に適宜の温度の処理水を処理対象物に吹き付けて、処理対象物を一定の時間・一定の高温雰囲気に保ち、加熱殺菌処理を行っている。具体的には、まず昇温ゾーンで処理水によって処理対象物を昇温させ、その後、殺菌ゾーンで処理水によって昇温した所定温度を一定時間維持するようにし、更にその後、冷却ゾーンで低温の処理水を吹き付け、処理対象物を適宜の温度まで冷却している。そして、この種のパストライザにおいても種々の改良・工夫が案出されている(例えば特許文献1・2参照)。
ところで、このようなパストライザにおいて、処理温度が異なる処理ゾーンの境界では、次のような現象により処理環境の厳密な維持ができない、という問題があった。
すなわち、このような処理ゾーンの境界部では、その境界部を挟んで一方には(例えば搬送方向上流側)、高温の処理水が吹き付けられ、他方では(例えば搬送方向下流側)、低温の処理水が吹き付けられているところが存在する。このような状況下では、高温側ゾーンから低温側ゾーンに高温蒸気が逃げるように流出し、一方、低温側ゾーンから高温側ゾーンには低温空気が流入してしまい、高温側ゾーンの所定温度環境を維持しがたくなっている。もとより、殺菌ゾーン等の高温側ゾーンは、本来、目的の殺菌を行うべく、所定の時間、高温状態を維持しなければならないが、このような問題から、所定の時間の殺菌が行えないこともあり得、そのために所定の時間、殺菌ゾーンを通過したにも係わらず、殺菌不足・殺菌不充分になることもあった(いわゆる殺菌不良)。
因みに、上述したような殺菌ゾーンからの高温蒸気の流出、殺菌ゾーンへの低温空気の流入は、高温側ゾーンと低温側ゾーンとが境界部で連通状態となっているためと考えられる。すなわち、高温側ゾーンの空気(蒸気)が、隣接する低温ゾーンの空気に触れると、その間で高温空気(高温蒸気)が凝縮・液化状態となり、一気に空気流ができてしまうためと考えられる。
そして、このような対策として本出願人は、上記のような境界部に仕切板を設け、一定の効果を得ているが、このような対策であっても厳密な処理ゾーン毎の温度管理はできていないのが実情であった。
特開2005-296414号公報 特開2012-10723号公報
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、処理対象物に吹き付けられた処理水を巧みに利用し、処理温度が異なる処理ゾーンの境界部において温度環境の厳密な遮断ができるようにした処理環境安定化装置を開発することを技術課題としたものである。
すなわち請求項1記載の、パストライザにおける処理環境安定化装置は、
処理対象物を搬送しながら搬送方向に配設した複数の処理ゾーン毎に所定の処理温度の処理水を、処理対象物の上方に配置したノズル装置から吹き付け、処理対象物に所定の温度変化を与えるパストライザにおいて、
前記処理温度が異なる処理ゾーンの境界部には、ノズル装置の下方に、ノズル装置から吹き付けられた処理水を受け、これを水膜状として下方に流下させる熱遮蔽案内板を設けるものであり、
且つ、当該熱遮蔽案内板は、前記処理ゾーンに張り出しながら下り傾斜を有する傾斜面と、この傾斜面の下方先端部において垂れ下げ状に形成された垂直面とを具え、
前記傾斜面によって、ノズル装置から熱遮蔽案内板に吹き付けられた処理水を受け、当該傾斜面の傾斜に沿って下るように流した後、傾斜面の先端に設けられた垂直面から一挙に下方に落下させ、処理ゾーンの境界部に水壁を形成する構成であることを特徴として成るものである。
また請求項2記載の、パストライザにおける処理環境安定化装置は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記熱遮蔽案内板の傾斜面は、少なくとも高温側の処理ゾーンに張り出すように設けられていることを特徴として成るものである。
また請求項3記載の、パストライザにおける処理環境安定化装置は、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記熱遮蔽案内板の傾斜面は、パストライザの基板に対し回動自在に設けられ、処理ゾーンへの張り出し量が変更自在に構成されることを特徴として成るものである。
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず請求項1記載の発明によれば、パストライザにおける処理環境安定化装置は、処理ゾーンの境界部で、処理対象物に吹き付けた処理水を熱遮蔽案内板の傾斜面で受け、この処理水を、前記傾斜面の下方先端部に形成された垂直面から、水膜状として下方に流下させ、境界部に滝のような水の壁を形成するため、処理ゾーン内の熱的遮断性を向上させることができる。
また、処理ゾーン内の熱的遮断性を向上させ、処理ゾーン内の雰囲気温度を維持する媒体として、処理対象物に吹き付けられた後の処理水を利用するため、合理的であり、従来のパストライザを大幅に改造することなく、処理環境安定化装置を後付けすることもできる。
また請求項2記載の発明によれば、熱遮蔽案内板の傾斜面は、処理温度が異なる境界部において、少なくとも高温側の処理ゾーンに設けられるため、高温側の処理ゾーン内の熱的遮断性を、より向上させることができる。
また請求項3記載の発明によれば、熱遮蔽案内板の傾斜面は、処理ゾーンへの張り出し量が変更自在に構成されるため、例えば処理対象物の搬送が途中で停止した場合、停止後それほど時間をあけずに、殺菌ゾーンの後部に設けられた傾斜面の張り出し量を変更し、殺菌ゾーンを冷却ゾーンと連通させることができる。これにより例えば停止時に、殺菌ゾーン終盤まで搬送されていた処理対象物は、搬送停止後、そのまま加熱されてしまうことがなく、過剰殺菌の発生を未然に防ぐことができる。
本発明の処理環境安定化装置を適用したパストライザを骨格的に示す説明図 である。 処理環境安定化装置を拡大して示す説明図である。 処理環境安定化装置における熱遮蔽案内板の作用角度を変更自在とした改変 例を骨格的に示す説明図である。
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法をも含むものである。
以下、本発明の、パストライザにおける処理環境安定化装置10(以下、単に「処理環境安定化装置10」とする)について説明するが、これに先立ち、本発明の処理環境安定化装置10が適用されるパストライザ1について説明する。
パストライザ1は、上述したように例えば飲料を充填・密封したペットボトル等を処理対象物Tとし、このものに加熱処理ないしは冷却処理を施して、飲料の殺菌等の安定化処理を行う設備装置である。このパストライザ1は、幅1.0~2.3m、長さ数m~十数m程度の工場設備であり、一例として図1に示すように、大別してペットボトル等の処理対象物Tを搬送する搬送系の装置と、処理媒体となる処理水Wの供給系装置とを具え、処理水Wの供給系装置は、搬送系の装置を上下から挟むように設けられている。
すなわち、パストライザ1は、処理水Wの供給系装置を構成するノズル装置3を、搬送系の装置を構成する搬送装置2の上方に配置するとともに、処理対象物Tに向けて噴出させた処理水Wを貯留・回収する処理水タンク4を、搬送装置2の下方に具えて成るものである。ここでノズル装置3に供給される処理水Wは、処理水タンク4に貯留された処理水Wが循環利用される。
以下、搬送装置2、ノズル装置3、処理水タンク4について説明する。
搬送装置2は、容器等の処理対象物Tを安定的に微速(例えば1分間に250mm~1000mm)で搬送すべく、搬送面が平滑で、且つ処理水Wの流下を許容できるように、例えば樹脂製のコンベヤ要素を組み合わせて構成され、全体として無端軌道を描くベルト状に形成される。
この搬送装置2は、装置架台に対して支持されるとともに、搬送方向上流側にターンスプロケット21を具え、下流側に駆動スプロケット22を具えて成る。
処理対象物Tは、搬送装置2による搬送を受けながら、その搬送位置に応じて受ける実質的な処理、つまりパストライザ1によって処理対象物Tが受ける処理温度が異なるものであり、以下、これについて説明する。
パストライザ1は、一例として上記図1に示すように、処理対象物Tの搬送方向に見て、直列状に三つの処理ゾーンに区画されて成り、これを搬送方向上流側から昇温ゾーンZ1、殺菌ゾーンZ2、冷却ゾーンZ3とする。
以下、各処理ゾーンについて説明する。
昇温ゾーンZ1は、処理対象物Tの温度(製品温度)を、例えば常温状態から目的の殺菌温度まで徐々に上昇させて行く処理ゾーンであり、ここでは更に三つの区間に分けられており、これを搬送方向上流側から第一予備加熱区間Z11、第二予備加熱区間Z12、加熱区間Z13とする。なお、区間ごとに、ノズル装置3と処理水タンク4とが設けられており、これらを区別して示す場合には、第一予備加熱区間Z11のノズル装置3と処理水タンク4を各々「3A」、「4A」とする。また、第二予備加熱区間Z12のノズル装置3と処理水タンク4を各々「3B」、「4B」とする。また、加熱区間Z13のノズル装置3と処理水タンク4を各々「3C」、「4C」とする。
殺菌ゾーンZ2は、昇温ゾーンZ1において目的の殺菌温度まで上昇させた処理対象物Tを、適宜の時間、当該温度に維持して、実質的な殺菌を行う処理ゾーンであり、ここでは二つの区間に分けられており、これを搬送方向上流側から第一殺菌区間Z21、第二殺菌区間Z22とする。ここでも区間ごとに、ノズル装置3と処理水タンク4が設けられており、これらを区別して示す場合には、第一殺菌区間Z21のノズル装置3と処理水タンク4を各々「3D」、「4D」とする。また、第二殺菌区間Z22のノズル装置3と処理水タンク4を各々「3E」、「4E」とする。
なお、図中符号「(・・・)Z2n」で示した区間は、殺菌ゾーンZ2のn番目の区間である「第n殺菌区間」を示しており、これは殺菌ゾーンZ2を三つ以上の複数区間で構成し得ることを示している。
冷却ゾーンZ3は、実質的な殺菌を終えた処理対象物Tを、常温程度まで徐々に冷まして行く処理ゾーンであり、ここでは三つの区間に分けられており、これを搬送方向上流側から、第一徐冷区間Z31、第二徐冷区間Z32、冷却区間Z33とする。ここでも区間ごとに、ノズル装置3と処理水タンク4が設けられており、これらを区別して示す場合には、第一徐冷区間Z31のノズル装置3と処理水タンク4を各々「3F」、「4F」とする。また、第二徐冷区間Z32のノズル装置3と処理水タンク4を各々「3G」、「4G」とする。また、冷却区間Z33のノズル装置3と処理水タンク4を各々「3H」、「4H」とする。
各区間における処理水Wの作用温度は、一例として図中に示した通りであり、各ノズル装置3A~3Hの上方に示した数値が、各ノズル装置3A~3Hからスプレーされる処理水Wの温度の一例である。
なお、昇温ゾーンZ1及び殺菌ゾーンZ2においては、各ノズル装置3A~3Eから放出された処理水Wは、各処理水タンク4A~4Eに貯留・回収される時点では、処理対象物Tを加熱した分、数度低下し、各処理水タンク4A~4Eの上方に示した数値のようになるが、この数値はあくまでも一例である。
また、冷却ゾーンZ3においては、各ノズル装置3F~3Hから放出された処理水Wは、各処理水タンク4F~4Hに貯留・回収される時点では、処理対象物Tから熱を奪った分、数度上昇し、各処理水タンク4F~4Hの上方に示した数値のようになるが、この数値もあくまでも一例である。
また、処理対象物Tは、このような区間を通過することに伴い、温度が刻々と変化するものであり、以下、この製品温度の変化の一例について説明しておく。
処理対象物Tは、例えば図1に併せ示すように、第一予備加熱区間Z11の搬送装置2の入口付近で5℃、第一予備加熱区間Z11の搬送終端部及び第二予備加熱区間Z12の搬送開始部で20℃、第二予備加熱区間Z12の搬送終端部及び加熱区間Z13の搬送開始部で35℃となる。
また、加熱区間Z13の搬送終端部で65℃となり、殺菌ゾーンZ2の搬送中、すなわち第一殺菌区間Z21、第二殺菌区間Z22の搬送中は、この65℃の温度で維持される。なお、加熱区間Z13では、処理対象物Tの温度を65℃とするために、これよりも高温である72℃の処理水Wを吹き付けるようにしている。
そして、処理対象物Tは、冷却ゾーンZ3の搬送中に製品温度が下げられるものであり、例えば第一徐冷区間Z31の入口で65℃、第一徐冷区間Z31の搬送終端部及び第二徐冷区間Z32の搬送開始部で56℃、第二徐冷区間Z32の搬送終端部及び冷却区間Z33の搬送開始部で44℃となり、冷却区間Z33の搬送終端部つまり搬送装置2の出口付近で38℃となる。
なお、パストライザ1(搬送装置2)の各処理ゾーンを構成する区間の数は、適宜、増減させることが可能である。具体的には、処理対象物Tのサイズや性状、あるいは殺菌温度・殺菌時間等によって適宜増減し得るものであり、例えば昇温ゾーンZ1を一つの予備加熱区間と加熱区間との二区間で構成することが考えられるし、あるいは殺菌ゾーンZ2を三つの殺菌区間で構成すること等も考えられる。
次に、ノズル装置3について説明する。
ノズル装置3は、処理水タンク4からポンプPで汲み上げた処理水Wを、処理対象物Tにスプレー状に吹き付けるものであり、一例として上記図1に骨格的に示すように、全体として各区間において、搬送方向に見て数本から十数本程度のノズルパイプ31を、それぞれ搬送方向を横切るように垂下状態に配置して成る。
なお、このノズルパイプ31についても、区間ごとに区別する場合には、末尾符号A~Hを付して区別する。
次に、処理水タンク4について説明する。
処理水タンク4は、各ノズル装置3A~3Hから放出された処理水Wを、搬送装置2の下方で受けて、貯留・回収するタンクであり、上述したように各区間にそれぞれ配置される。なお、各処理水タンク4に貯留・回収された処理水Wは、ポンプPで汲み上げられ、その温度に適した処理水Wとして各ノズル装置3に供給される(いわゆる循環利用)。
また、このような循環利用にあたり、各処理水タンク4A~4Hに貯留・回収された処理水Wが、目的の温度よりも低いまたは高いことがあり得る。このため各処理水タンク4A~4Hには、貯留した処理水Wを目的の温度に加熱するための加温装置5と、目的の温度に低下させるための冷却装置6とが設けられる。なお、これら加温装置5と冷却装置6とを処理水タンク4A~4Hごとに区別する場合には、末尾符号A~Hを付して区別する。
このような加温装置5(5A~5H)としては、例えば図示を省略するボイラーから供給される蒸気Sを、各処理水タンク4A~4H内に吹き込むことによって加温を図る手法が挙げられる。この場合、一例として前記処理水タンク4A~4H内に、蒸気Sの吹出し用の諸装置を配置して、蒸気Sの熱により処理水Wの加温を図る。
一方、各処理水タンク4A~4Hに貯留された処理水Wを冷却する冷却装置6(6A~6H)としては、各処理水タンク4A~4Hに、図示を省略する冷却水源からの配管を接続する手法が挙げられる。この場合、処理水Wの温度を下げるには、例えば当該配管中に設けたポンプ(図示略)を稼働させて、冷却水源から冷却水を処理水タンク4に導入し、適宜の温度に調整する。なお、冷却水としては、例えば水道水(上水)が挙げられる。
次に、上述した処理水タンク4からノズル装置3に処理水Wを供給する経路について説明する。各処理水タンク4A~4Hに貯留された処理水Wは、上述したように、その温度に応じてスプレーすべきノズル装置3の区間を選択してスプレーするように構成されており、これは言わば処理水Wを循環使用する形態である。
具体的には、本実施例では昇温ゾーンZ1における第一予備加熱区間Z11の処理水タンク4Aに貯留された処理水Wが、約33℃となり、冷却ゾーンZ3における第二徐冷区間Z32のノズルパイプ31Gに移送され、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けられる。一方、冷却ゾーンZ3における第二徐冷区間Z32の処理水タンク4Gに貯留された処理水Wが、約35℃となり、昇温ゾーンZ1における第一予備加熱区間Z11のノズルパイプ31Aに移送され、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けられる。なお、このような異なる区間同士、つまり昇温ゾーンZ1の第一予備加熱区間Z11と、冷却ゾーンZ3の第二徐冷区間Z32との間で、処理水Wを循環利用する形態を相互循環と称する。
また、本実施例では別の相互循環も構成されている。具体的には、昇温ゾーンZ1の第二予備加熱区間Z12と、冷却ゾーンZ3の第一徐冷区間Z31との相互循環である。より詳細には、昇温ゾーンZ1における第二予備加熱区間Z12の処理水タンク4Bに貯留された処理水Wが、約48℃となり、冷却ゾーンZ3における第一徐冷区間Z31のノズルパイプ31Fに移送され、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けられる。一方、冷却ゾーンZ3における第一徐冷区間Z31の処理水タンク4Fに貯留された処理水Wが、約50℃となり、昇温ゾーンZ1における第二予備加熱区間Z12のノズルパイプ31Bに移送され、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けられる。
なお、相互循環における各区間の組み合わせは変更することもあり得、例えば昇温ゾーンZ1が、一つの予備加熱区間(第一予備加熱区間Z11)と、加熱区間Z13との二区間で構成された場合などが想定される。
また、本実施例では、回収した処理水Wを同一区間内のノズル装置3に戻すように移送する循環利用も行っており、これを自己循環と称し、上記相互循環と区別している。
自己循環は、昇温ゾーンZ1の加熱区間Z13、殺菌ゾーンZ2の第一殺菌区間Z21及び第二殺菌区間Z22、冷却ゾーンZ3の冷却区間Z33について実施されている。すなわち、これらの区間では、同じ区間内の処理水タンク4(4C・4D・4E・4H)に貯留された処理水Wを、同区間内のノズルパイプ31(31C・31D・31E・31H)に戻し、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けるようにしている。
なお、相互循環及び自己循環ともに、処理水タンク4から処理水Wを汲み上げる作用は、循環回路中に組み込まれたポンプPが担うものである。
パストライザ1は、以上のような基本構造を有するものであって、以下、このようなパストライザ1を適用して処理対象物Tを加熱殺菌する際の基本的な処理態様について説明する。
処理対象物Tは、一例として図1に示すように、搬送装置2の搬送面上に正立姿勢で載置されながら、搬送方向上流の入口側から搬送方向下流の出口側に向けて搬送される。その搬送速度は、例えば250mm/min~1000mm/min程度のほぼ一定の速度であり、この搬送過程で処理対象物Tは、各区間で定められた温度の処理水Wが上方からスプレーされて(吹き付けられて)、目的の処理が成される。以下、処理ゾーンごとに説明する。
(1)昇温ゾーン
処理対象物Tは、まず昇温ゾーンZ1で、殺菌に必要な温度まで徐々に加熱される。具体的には、第一予備加熱区間Z11で所定の時間、35℃の処理水Wによる予備加熱を受ける。次いで第二予備加熱区間Z12で所定の時間、50℃の処理水Wによる予備加熱を受ける。次いで加熱区間Z13で所定の時間、72℃の処理水Wによる加熱を受ける。なお、各区間の処理水タンク4A~4Cに回収される処理水Wの温度は、いずれも上記温度よりも数度低下して回収され、例えば処理水タンク4Aでは33~34℃、処理水タンク4Bでは48~49℃、処理水タンク4Cでは70~71℃程度である。因みに、各処理水タンク4A~4Cに貯留された処理水Wの温度は、次のスプレーに供する温度よりも低い場合には、加温装置5A~5Cによって適宜加温するものであり、処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも高い場合には、冷却装置6A~6Cによって適宜冷却するものであり、各ノズルパイプ31G・31F・31Cには、常に同じ温度の処理水Wが供給される。
また、このような昇温ゾーンZ1の搬送中に、処理対象物Tの製品温度は上昇するものであり、例えば第一予備加熱区間Z11の入口付近で5℃、第一予備加熱区間Z11の搬送終端部及び第二予備加熱区間Z12の搬送開始部で20℃、第二予備加熱区間Z12の搬送終端部及び加熱区間Z13の搬送開始部で35℃、加熱区間Z13の搬送終端部で65℃となる。
(2)殺菌ゾーン
その後、処理対象物Tは、殺菌ゾーンZ2に搬送され、ここで適宜の時間・適宜の高温状態で保持され、所望の殺菌が実質的に施される。具体的には、第一殺菌区間Z21で所定の時間、65℃の処理水Wによる殺菌を受ける。次いで第二殺菌区間Z22で所定の時間、65℃の処理水Wによる殺菌を受ける。なお、殺菌ゾーンZ2における両区間の処理水タンク4D・4Eに回収される処理水Wの温度は、いずれも上記温度より数度低下するものであり、例えばいずれの処理水タンク4D・4Eにおいても63~64℃程度となる。もちろん、ここでも各処理水タンク4D・4Eに貯留された処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも低い場合には、加温装置5D・5Eによって適宜加温するものであり、各ノズルパイプ31D・31Eには、常に同じ温度の処理水Wが供給される。
また、このような殺菌ゾーンZ2の搬送中、具体的には第一殺菌区間Z21の搬送開始部から第二殺菌区間Z22の搬送終端部に至るまで、処理対象物Tは、製品温度が65℃に維持され、実質的な殺菌が施される。
(3)冷却ゾーン
その後、処理対象物Tは、冷却ゾーンZ3に搬送され、ここで殺菌直後の高温状態が、徐々に冷却されて行く。具体的には第一徐冷区間Z31で所定の時間、48℃の処理水Wによる徐冷を受ける。次いで第二徐冷区間Z32で所定の時間、33℃の処理水Wによる徐冷を受ける。次いで冷却区間Z33で所定の時間、28℃の処理水Wによる冷却を受ける。なお、各区間の処理水タンク4F~4Hに回収される処理水Wの温度は、いずれも上記温度よりも数度上昇し、例えば処理水タンク4Fでは49~50℃、処理水タンク4Gでは34~35℃、処理水タンク4Hでは29~30℃程度となる。もちろん、ここでも各処理水タンク4F~4Hに貯留された処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも低い場合には、加温装置5F~5Hによって適宜加温するものであり、次のスプレーに供する温度よりも高い場合には、冷却装置6F~6Hによって適宜冷却するものであり、各ノズルパイプ31B・31A・31Hには、常に同じ温度の処理水Wが供給される。
また、このような冷却ゾーンZ3の搬送中に、処理対象物Tは、製品温度が徐々に下降して行くものであり、例えば第一徐冷区間Z31の搬送開始部で65℃、第一徐冷区間Z31の搬送終端部及び第二徐冷区間Z32の搬送開始部で56℃、第二徐冷区間Z32の搬送終端部及び冷却区間Z33の搬送開始部で44℃となり、冷却区間Z33の搬送終端部つまり出口付近で38℃まで冷却される。
本実施例では、上述したように昇温ゾーンZ1と冷却ゾーンZ3との間で処理水Wを相互循環させている。具体的には、まず一つ目の相互循環として、昇温ゾーンZ1における第一予備加熱区間Z11の処理水タンク4Aに貯留された処理水Wを、冷却ゾーンZ3における第二徐冷区間Z32のノズルパイプ31Gに移送し、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けている。一方、冷却ゾーンZ3における第二徐冷区間Z32の処理水タンク4Gに貯留された処理水Wを、昇温ゾーンZ1における第一予備加熱区間Z11のノズルパイプ31Aに移送し、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けている。
また、二つ目の相互循環として、昇温ゾーンZ1における第二予備加熱区間Z12の処理水タンク4Bに貯留された処理水Wを、冷却ゾーンZ3における第一徐冷区間Z31のノズルパイプ31Fに移送し、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けている。一方、冷却ゾーンZ3における第一徐冷区間Z31の処理水タンク4Fに貯留した処理水Wを、昇温ゾーンZ1における第二予備加熱区間Z12のノズルパイプ31Bに移送し、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けている。
このような相互循環を行うのは、第一予備加熱区間Z11の処理水タンク4Aに貯留された処理水Wの温度が、第二徐冷区間Z32で処理対象物Tに吹き付ける処理水Wの温度とほぼ同じであり、また第二徐冷区間Z32の処理水タンク4Gに貯留された処理水Wの温度が、第一予備加熱区間Z11で処理対象物Tに吹き付ける処理水Wの温度とほぼ同じであり、処理水Wの温度として、互いに適しているためである。
また、第二予備加熱区間Z12の処理水タンク4Bに貯留された処理水Wの温度は、第一徐冷区間Z31で処理対象物Tに吹き付ける処理水Wの温度とほぼ同じであり、また第一徐冷区間Z31の処理水タンク4Fに貯留された処理水Wの温度は、第二予備加熱区間Z12で処理対象物Tに吹き付ける処理水Wの温度とほぼ同じであり、処理水Wの温度として、互いに適しているため、上記のような二組の相互循環が構成されている。
そして、このような相互循環を図ることにより、加温装置5によって行われる蒸気Sによる加熱や、冷却装置6によって行われる上水等による冷却を行って、処理水Wの温度を調整する場合でも、使用するエネルギーを節約することができる。なお、このような処理水Wの相互循環利用を交流と称することもある。
そして、本発明では処理ゾーンの境界部、特に殺菌ゾーンZ2の前後の境界部に、殺菌ゾーンZ2内の雰囲気温度を維持する処理環境安定化装置10を設けるものであり、以下これについて説明する。
処理環境安定化装置10は、一例として図1・図2に示すように、殺菌ゾーンZ2と冷却ゾーンZ3との境界部、及び昇温ゾーンZ1と殺菌ゾーンZ2との境界部に設けられ、具体的構成としては、処理対象物Tに吹き付けた処理水Wを、処理ゾーンに張り出すように斜めに設けた熱遮蔽案内板11で受け、受けた処理水Wを熱遮蔽案内板11の下端部でほぼ真下に一挙に流下させるようにして、滝のような水膜(水壁)を形成するものである。このような構成によって殺菌ゾーンZ2は、隣接する冷却ゾーンZ3及び昇温ゾーンZ1に対し水膜で遮断されたようになり、殺菌ゾーンZ2には冷却ゾーンZ3や昇温ゾーンZ1の熱影響が及ばないものである(一種の水密構造)。すなわち、殺菌ゾーンZ2の前後の境界部に形成された水膜によって、殺菌ゾーンZ2内の高温蒸気は、隣接する冷却ゾーンZ3や昇温ゾーンZ1に流出することが防止され、このため殺菌ゾーンZ2内の雰囲気温度が維持されるのである。
因みに、このような処理環境安定化装置10を設けない場合には、上述したように、例えば殺菌ゾーンZ2は、搬送方向下流側の冷却ゾーンZ3と連通状態となってしまい、殺菌ゾーンZ2内の高温蒸気が冷却ゾーンZ3に流出する一方、冷却ゾーンZ3の低温空気が殺菌ゾーンZ2内に流入してしまい、殺菌ゾーンZ2の温度低下を招くものであった。そして、このような温度低下は、以下のような不具合をもたらすことがあった。すなわち、殺菌ゾーンZ2は、一般に処理対象物Tを適宜の時間・適宜の高温状態に維持することによって、目的の殺菌を行う処理空間である。しかしながら、殺菌ゾーンZ2内の温度が、例えば搬送終端部で低下してしまうと、一例として図1のグラフに破線で示すように、処理対象物Tが、まだ殺菌ゾーンZ2を搬送中であるにも係わらず、品温は目的の殺菌温度よりも低下してしまい、結果的に所定時間の殺菌が行われず、最悪の場合には、殺菌不足・殺菌不充分で、不良品になることもあった。そのため、本実施例では、特に殺菌ゾーンZ2と冷却ゾーンZ3の境界部に、処理環境安定化装置10を設け、殺菌ゾーンZ2内の搬送終端部における温度低下を防止するようにしたものである。
以下、処理環境安定化装置10について更に詳細に説明する。
処理環境安定化装置10は、例えばパストライザ1のフレーム部材等にほぼ垂直に取り付けられた基板12をベースとするものであり、本実施例では、この基板12を、断面視で縦長のC字状を呈するチャンネル材で形成している。なお、本明細書の「背景技術」で述べた「仕切板」は、この基板12のことを意味する。
そして、処理環境安定化装置10は、この基板12に対し、処理ゾーンの内側に張り出すように前記熱遮蔽案内板11を設けて成る。より詳細には、熱遮蔽案内板11は、例えば図2に示すように、殺菌ゾーンZ2に張り出しながら傾斜する傾斜面11kと、その下方先端部において垂れ下げ状に形成される垂直面11vとを具えて成り、傾斜面11kは張出先端に向かって下り傾斜を有するように形成される。なお、熱遮蔽案内板11を、傾斜面11kと垂直面11vとで構成するのは、傾斜面11kで受けた処理水Wを傾斜面11kに沿って流しながら、その下方先端の垂直面11vで一挙に、ほぼ真下に流下させるためであり、これによりパストライザ1の幅方向にわたって、厚い水膜(水壁)を形成するものである。もちろん、水膜は、膜厚の厚い方が、殺菌ゾーンZ2内の雰囲気温度をより高レベルで維持することができる。
また、本実施例では、熱遮蔽案内板11は、高温側の殺菌ゾーンZ2に張り出す熱遮蔽案内板11Hと、低温側の冷却ゾーンZ3や昇温ゾーンZ1に張り出す熱遮蔽案内板11Cとによって構成され、これら熱遮蔽案内板11H・11Cは、ともに基板12に対して固定状態に取り付けられる。
このように本実施例では一つの境界部に二つの熱遮蔽案内板11H・11Cを設けており、これにより一つの境界部に二重の水膜を形成している。これは、当該二重の水膜によって殺菌ゾーンZ2の雰囲気温度をより一層、高いレベルで維持するためである。
因みに、本実施例では、高温側の熱遮蔽案内板11Hの殺菌ゾーンZ2への張り出し量が、低温側の熱遮蔽案内板11Cの冷却ゾーンZ3(または昇温ゾーンZ1)への張り出し量よりも大きいが、これは殺菌ゾーンZ2側で、より多くの処理水Wを流下させて、より厚い水膜を形成するためであり、これにより殺菌ゾーンZ2の雰囲気温度を、更に高いレベルで維持することができる。
なお、上記図1では、殺菌ゾーンZ2の下流側境界部に設けられる処理環境安定化装置10は、第n殺菌区間Z2nと第一徐冷区間Z31との間に描いたが、殺菌ゾーンZ2が二区間で形成された場合には、この処理環境安定化装置10は、当然ながら第二殺菌区間Z22と第一徐冷区間Z31との間の境界部に設けられる。
次に、殺菌ゾーンZ2の前後の境界部に水膜を形成する態様と、その効果について説明する。
境界部に水膜を形成するには、上述したようにノズル装置3のノズルパイプ31から処理対象物Tに吹き付けられた処理水Wを利用する。
具体的には、例えば図2に示すように、境界部において吹き付けられた処理水Wの一部が、傾斜状態に形成された前後の熱遮蔽案内板11H・11Cの傾斜面11kに当たる。その後、処理水Wは、この傾斜面11kに沿って流れ落ちた後、垂直面11vから一挙にほぼ真下に落下するものであり、この際、滝のような水膜となって流下する。
因みに、本実施例では上述したように、殺菌ゾーンZ2側に張り出す熱遮蔽案内板11Hの方が、冷却ゾーンZ3(または昇温ゾーンZ1)側に張り出す熱遮蔽案内板11Cよりも、傾斜面11kの張り出し量が多いため、垂直面11vから流下する水量も多くなり、水膜の厚さが厚くなる。
そして、このような水膜、とりわけここでは二重の水膜が、殺菌ゾーンZ2の前後の境界部において形成されるため、例えば殺菌ゾーンZ2と冷却ゾーンZ3との連通が遮断され、殺菌処理中、殺菌ゾーンZ2内の雰囲気温度が高レベルで維持される。そのため、殺菌ゾーンZ2から冷却ゾーンZ3に搬送される処理対象物Tは、殺菌ゾーンZ2を抜け出るまで、殺菌に必要な所定の殺菌温度が維持される(図1のグラフの実線参照)。すなわち、処理対象物Tは、例えば図1のグラフの破線に示すように、まだ殺菌ゾーンZ2内を搬送されている間に、温度が低下してしまうことがないものである。従って、処理対象物Tには所定時間の殺菌処理が確実に施され、上記処理ゾーン間の連通に起因する殺菌不良の発生を防止することができる。
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した基本の実施例では、昇温ゾーンZ1及び冷却ゾーンZ3を、ともに三つの区間で形成したが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。具体的には、例えば昇温ゾーンZ1及び冷却ゾーンZ3を四つ以上の区間で形成することも可能であるし、あるいは昇温ゾーンZ1を二つの区間で形成することも可能である。また、上述した基本の実施例では、相互循環を二組形成したが、特に上記区間数などに応じて、相互循環は一組だけ設けるようにしても構わない。
また先に述べた基本の実施例では、処理ゾーンの境界部には、二つの熱遮蔽案内板11を前後に張り出すように設ける形態を示した。すなわち境界部に設けられる一基の処理環境安定化装置10は、殺菌ゾーンZ2に張り出す高温側の熱遮蔽案内板11Hと、冷却ゾーンZ3や昇温ゾーンZ1に張り出す低温側の熱遮蔽案内板11Cとを具えて成るものであり、これにより境界部に二重の水膜を形成するものであった。
しかしながら、熱遮蔽案内板11は、必ずしも二つ設けられる必要はなく、何れか一方だけでも構わない。要は、殺菌ゾーンZ2内の水密構造が確保でき、殺菌ゾーンZ2内の雰囲気温度を維持することができれば、境界部に設ける熱遮蔽案内板11は、何れか一方でも構わず、水膜も一つ形成されればよい。
また先に述べた基本の実施例では、処理ゾーン同士の境界部、より詳細には殺菌ゾーンZ2と冷却ゾーンZ3との境界部、及び昇温ゾーンZ1と殺菌ゾーンZ2との境界部に処理環境安定化装置10を設ける形態を説明した。
しかしながら、処理工程を細かくみれば、例えば同じ昇温ゾーンZ1であっても第一予備加熱区間Z11と第二予備加熱区間Z12とでは処理温度が異なるし、第二予備加熱区間Z12と加熱区間Z13でも処理温度が異なる。また、同じ冷却ゾーンZ3であっても、第一徐冷区間Z31と第二徐冷区間Z32では処理温度が異なるし、第二徐冷区間Z32と冷却区間Z33でも処理温度が異なる。そのため、このような処理温度が異なる各区間の境界部にも、上記処理環境安定化装置10を設けることができ、このようにすることで、処理温度が異なる各区間の加熱処理・冷却処理が、より厳密な温度管理の下に行い得るものである。
更にまた、先に述べた基本の実施例では、処理環境安定化装置10の熱遮蔽案内板11は、基板12に対し固定状態に取り付けられ、傾斜角度(張り出し量)は変更できないものであった。
しかしながら、熱遮蔽案内板11は、必ずしも固定状態に設けられる必要はなく、例えば図3に示すように、熱遮蔽案内板11を基板12に対し回動自在に取り付けておき、これをパストライザ1のフレーム部材等に固定したシフタ13で回動させることも可能である。この場合、シフタ13の摺動子を伸張・収縮させることによって、熱遮蔽案内板11の傾斜角度や処理ゾーンへの張り出し量を変更自在とするものである。
なお、図中符号11rは、熱遮蔽案内板11の回動支点を示す。
以下、熱遮蔽案内板11を回動自在とした場合の効果について説明する。
例えば処理対象物Tの搬送中に、搬送装置2が停止してしまった場合(いわゆるチョコ停)、そのままでは、殺菌ゾーンZ2にとどまった処理対象物T、特に殺菌ゾーンZ2の終端部まで搬送された処理対象物Tが、所定の殺菌時間を超過して、更に高温に晒されてしまうことがあり得る。このとき、たとえ高温状態の処理水Wの吹き付けを停止したとしても、殺菌ゾーンZ2内部は、高温蒸気で満たされているため、高温状態が維持される。そのため、このような場合には、搬送停止後、時間をあけずに熱遮蔽案内板11をほぼ垂直に変更することで、殺菌ゾーンZ2と冷却ゾーンZ3とを連通を図り、上記処理対象物Tに、殺菌処理が所定の時間以上行われないようにすることができる。
もちろん、熱遮蔽案内板11を回動させることで、このものの傾斜角度が変更でき、これにより傾斜面11kで受ける処理水Wの量が調整でき、ほぼ真下に流下させる滝の水膜の厚さを変更する利点も挙げられる。
因みに、上記図3では、高温側の熱遮蔽案内板11Hのみを回動自在として図示したが、低温側の熱遮蔽案内板11Cも回動自在とすることができる。
1 パストライザ
2 搬送装置
3 ノズル装置
4 処理水タンク
5 加温装置
6 冷却装置

10 処理環境安定化装置
11 熱遮蔽案内板
11k 傾斜面
11v 垂直面
11H 熱遮蔽案内板(高温側)
11C 熱遮蔽案内板(低温側)
12 基板
13 シフタ(エアシリンダ・油圧シリンダ)
11r 回動支点

21 ターンスプロケット
22 駆動スプロケット

3A ノズル装置(第一予備加熱区間)
3B ノズル装置(第二予備加熱区間)
3C ノズル装置(加熱区間)
3D ノズル装置(第一殺菌区間)
3E ノズル装置(第二殺菌区間)
3F ノズル装置(第一徐冷区間)
3G ノズル装置(第二徐冷区間)
3H ノズル装置(冷却区間)

4A 処理水タンク(第一予備加熱区間)
4B 処理水タンク(第二予備加熱区間)
4C 処理水タンク(加熱区間)
4D 処理水タンク(第一殺菌区間)
4E 処理水タンク(第二殺菌区間)
4F 処理水タンク(第一徐冷区間)
4G 処理水タンク(第二徐冷区間)
4H 処理水タンク(冷却区間)

5A 加温装置(第一予備加熱区間)
5B 加温装置(第二予備加熱区間)
5C 加温装置(加熱区間)
5D 加温装置(第一殺菌区間)
5E 加温装置(第二殺菌区間)
5F 加温装置(第一徐冷区間)
5G 加温装置(第二徐冷区間)
5H 加温装置(冷却区間)

31 ノズルパイプ
31A ノズルパイプ(第一予備加熱区間)
31B ノズルパイプ(第二予備加熱区間)
31C ノズルパイプ(加熱区間)
31D ノズルパイプ(第一殺菌区間)
31E ノズルパイプ(第二殺菌区間)
31F ノズルパイプ(第一徐冷区間)
31G ノズルパイプ(第二徐冷区間)
31H ノズルパイプ(冷却区間)

6A 冷却装置(第一予備加熱区間)
6B 冷却装置(第二予備加熱区間)
6C 冷却装置(加熱区間)
6D 冷却装置(第一殺菌区間)
6E 冷却装置(第二殺菌区間)
6F 冷却装置(第一徐冷区間)
6G 冷却装置(第二徐冷区間)
6H 冷却装置(冷却区間)

T 処理対象物
W 処理水
P ポンプ
S 蒸気

Z1 昇温ゾーン
Z11 第一予備加熱区間
Z12 第二予備加熱区間
Z13 加熱区間

Z2 殺菌ゾーン
Z21 第一殺菌区間
Z22 第二殺菌区間
Z2n 第n殺菌区間

Z3 冷却ゾーン
Z31 第一徐冷区間
Z32 第二徐冷区間
Z33 冷却区間

Claims (3)

  1. 処理対象物を搬送しながら搬送方向に配設した複数の処理ゾーン毎に所定の処理温度の処理水を、処理対象物の上方に配置したノズル装置から吹き付け、処理対象物に所定の温度変化を与えるパストライザにおいて、
    前記処理温度が異なる処理ゾーンの境界部には、ノズル装置の下方に、ノズル装置から吹き付けられた処理水を受け、これを水膜状として下方に流下させる熱遮蔽案内板を設けるものであり、
    且つ、当該熱遮蔽案内板は、前記処理ゾーンに張り出しながら下り傾斜を有する傾斜面と、この傾斜面の下方先端部において垂れ下げ状に形成された垂直面とを具え、
    前記傾斜面によって、ノズル装置から熱遮蔽案内板に吹き付けられた処理水を受け、当該傾斜面の傾斜に沿って下るように流した後、傾斜面の先端に設けられた垂直面から一挙に下方に落下させ、処理ゾーンの境界部に水壁を形成する構成であることを特徴とする、パストライザにおける処理環境安定化装置。

  2. 前記熱遮蔽案内板の傾斜面は、少なくとも高温側の処理ゾーンに張り出すように設けられていることを特徴とする請求項1記載の、パストライザにおける処理環境安定化装置。
  3. 前記熱遮蔽案内板の傾斜面は、パストライザの基板に対し回動自在に設けられ、処理ゾーンへの張り出し量が変更自在に構成されることを特徴とする請求項1または2記載の、パストライザにおける処理環境安定化装置。
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