JP7403126B2 - パストライザ用処理水タンクにおける水温安定化装置 - Google Patents
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Description
ところで各処理水タンクに回収された処理水は、加温装置による適宜の加熱、または冷却装置による適宜の冷却が施され、一定温度の処理水となるように管理されており、この状態で再度、処理対象物に吹き付ける処理水として循環使用(再利用)されるのが一般的である(例えば特許文献1・2参照)。
ここで図中符号61V′は、給水管61′に設けられた給水バルブであり、この給水バルブ61V′の開閉操作によって給水のON/OFF(給水/停止)が行われる。また、図中符号52V′は、ボイラーに接続された蒸気配管51′から吹き込み管52′に蒸気Sを供給するためのスチームバルブであり、このスチームバルブ52V′の開閉操作によって吹き込み管52′への蒸気Sの供給/停止が行われる。
また、従来、給水管61′からの給水によって、不足した液レベルを上昇させる際には、通常、一回(一セット)のON/OFF操作、つまり一回の給水/停止操作で行われるのが一般的であった。すなわち、操作手法としては、液レベル低下(水量不足)→給水ON→液レベルOK(水量OK)→給水OFFという手順で行われていた。
更に、吹き込み管52′についても、全体的にストレート状の外観を呈し、その蒸気噴出口にサイレンサ55′を一基のみ設けることが多かった。また、処理水タンク4′に一基のサイレンサ55′が設けられることから、サイレンサ55′自体、比較的大きなサイズのものが適用されていた。
まず給水管61′における上水(冷却水W0)の吐出口が、先端部のみに形成されるため、処理水タンク4′内では、給水管61′の吐出口付近の一部にだけ、冷却水W0が集中的に供給され(吐き出され)、処理水タンク4′内に温度ムラが形成され易いことが問題であった。ここで処理水タンク4′内の温度ムラは、低温の処理水Wたる冷水層が、主に処理水タンク4′の下部に滞留し、高温の処理水Wたる温水層が、処理水タンク4′の上部に滞留する現象であり、例えば低温の処理水Wが、処理対象物Tに作用させる処理水Wとして再利用された場合には、殺菌温度の低下を招きかねない。もちろん規定の殺菌温度に達しない低温の処理水Wが、処理対象物Tに吹き付けられてしまった場合には、結果的に殺菌不足・殺菌不良を生じかねないものであった。
具体的には、例えば加温装置5′により適正量の蒸気Sを吹き込んだにも係わらず、温度センサ42′が、低温の処理水Wの温度を検知してしまうと、処理水W全体が低温になったと勘違いする。この場合、温度センサ42′の勘違い(処理水Wが低温という誤認識)のために、本当は処理水W全体が低温でないにも係わらず、スチームバルブ52Vを更に開放させ、蒸気Sの吹き込みを行ってしまい、処理水Wの温度を更に上昇させてしまうことがあった。このため結果的に処理水Wの温度が長時間、安定しない事態が生じていた。
一方、加温装置5′により適正量の蒸気Sを吹き込んだにも係わらず、温度センサ42′が、高温の処理水Wの温度を検知してしまうと、処理水W全体が高温になったと勘違いし、本当は処理水W全体が高温でないにも係わらず、給水バルブ61Vを開放させ、給水を行ってしまうことがあった。この場合も、結果的に処理水Wの温度が全体的に低下してしまい、いつまでも処理水Wの温度が安定しないことがあった。
また、給水管61′からの給水が、一回のON/OFF操作で行われていたため、加温装置5′を併せて作動させるとはいえ、供給速度や供給量(上昇させる液レベルの水位)等によっては、処理水タンク4′内の処理水Wの温度が、過度に低下し過ぎることがあり、やはり上記と同様の問題が生じ得るものであった。
搬送中の処理対象物に処理水を作用させた後、この処理水を下方で貯留・回収するパストライザ用の処理水タンクにおいて、
この処理水タンクに貯留・回収された処理水は、加温装置または冷却装置によって適正な温度に管理された状態で、再びノズル装置に移送され、再度、搬送中の処理対象物に吹き付けられるものであり、
前記冷却装置は、冷却水を処理水タンクに供給する給水管として、管の側周面に多数の吐出孔を有した多孔管が適用されることを特徴として成るものである。
前記給水管による処理水タンクへの冷却水の供給は、給水のON時間/OFF時間を交互に設定し、給水と停止とを繰り返し行いながら、処理水タンクの液レベルを断続的に上昇させて行くタイマが使用されることを特徴として成るものである。
前記加温装置は、処理水タンクに貯留された処理水中で蒸気を噴出させる吹き込み管が適用されるものであり、この吹き込み管は、蒸気噴出口にサイレンサを有した分岐管が、直列状に複数設けられた主枝配管を具えて成り、当該主枝配管が、処理水タンク内で複数本、並列状に設けられた構成であることを特徴として成るものである。
まず請求項1記載の発明によれば、冷却水を処理水タンクに供給する給水管として多孔管が適用されるため、処理水タンク内の全体にわたって冷却水が徐々に拡がって行くように供給される。このため従来、給水によって生じることが多かった処理水タンク内の温度ムラが極力抑えられ、処理水タンク内で処理水が、冷水層と温水層に分かれることも防止され、常に均一な温度の処理水を再利用に供することができる。このため、所望通りの正確な殺菌処理が行えるようになり、また処理水タンク内の温度が長時間安定しない、いわゆるハンチング現象も抑えることもできる。
すなわち、パストライザ10は、処理水Wの供給系装置を構成するノズル装置3を、搬送系の装置を構成する搬送装置2の上方に配置するとともに、処理対象物Tに向けて吹き付けた処理水Wを貯留・回収する処理水タンク4を、搬送装置2の下方に具えて成るものである。ここでノズル装置3に供給される処理水Wは、処理水タンク4に貯留された処理水Wが循環利用(再利用)される。
以下、搬送装置2、ノズル装置3、処理水タンク4について説明する。
この搬送装置2は、装置架台に対して支持されるとともに、搬送方向上流側にターンスプロケット21を具え、下流側に駆動スプロケット22を具えて成る。
パストライザ10は、一例として上記図1に示すように、処理対象物Tの搬送方向に見て、直列状に三つの処理ゾーンに区画されて成り、これを搬送方向上流側から昇温ゾーンZ1、殺菌ゾーンZ2、冷却ゾーンZ3とする。
以下、各処理ゾーンについて説明する。
なお、図中符号「(・・・)Z2n」で示した区間は、殺菌ゾーンZ2のn番目の区間である「第n殺菌区間」を示しており、これは殺菌ゾーンZ2を三つ以上の複数区間で構成し得ることを示している。
なお、昇温ゾーンZ1及び殺菌ゾーンZ2においては、各ノズル装置3A~3Eから放出された処理水Wは、各処理水タンク4A~4Eに貯留・回収される時点では、処理対象物Tを加熱した分、数度低下し、各処理水タンク4A~4Eの上方に示した数値のようになるが、この数値はあくまでも一例である。
また、冷却ゾーンZ3においては、各ノズル装置3F~3Hから放出された処理水Wは、各処理水タンク4F~4Hに貯留・回収される時点では、処理対象物Tから熱を奪った分、数度上昇し、各処理水タンク4F~4Hの上方に示した数値のようになるが、この数値もあくまでも一例である。
処理対象物Tは、例えば図1に併せ示すように、第一予備加熱区間Z11の搬送装置2の入口付近で5℃、第一予備加熱区間Z11の搬送終端部及び第二予備加熱区間Z12の搬送開始部で20℃、第二予備加熱区間Z12の搬送終端部及び加熱区間Z13の搬送開始部で35℃となる。
また、加熱区間Z13の搬送終端部で65℃となり、殺菌ゾーンZ2の搬送中、すなわち第一殺菌区間Z21、第二殺菌区間Z22の搬送中は、この65℃の温度で維持される。なお、加熱区間Z13では、処理対象物Tの温度を65℃とするために、これよりも高温である72℃の処理水Wを吹き付けるようにしている。
そして、処理対象物Tは、冷却ゾーンZ3の搬送中に製品温度が下げられるものであり、例えば第一徐冷区間Z31の入口で65℃、第一徐冷区間Z31の搬送終端部及び第二徐冷区間Z32の搬送開始部で56℃、第二徐冷区間Z32の搬送終端部及び冷却区間Z33の搬送開始部で44℃となり、冷却区間Z33の搬送終端部つまり搬送装置2の出口付近で38℃となる。
ノズル装置3は、処理水タンク4からポンプPで汲み上げた処理水Wを処理対象物Tにスプレー状に吹き付けるものであり、一例として上記図1に骨格的に示すように、全体として各区間において、搬送方向に見て数本から十数本程度のノズルパイプ31を、それぞれ搬送方向を横切るように垂下状態に配置して成る。
なお、このノズルパイプ31についても、区間ごとに区別する場合には、末尾符号A~Hを付して区別する。
また、本明細書では、処理水タンク4に貯留された処理水Wを吸い上げ、再利用に供する経路を処理水循環経路41とし、これについては後述する。
処理水タンク4は、各ノズル装置3A~3Hから放出された処理水Wを、搬送装置2の下方で受けて、貯留・回収するタンクであり、上述したように各区間にそれぞれ配置される。なお、各処理水タンク4に貯留・回収された処理水Wは、処理水循環経路41に設けられたポンプPで汲み上げられ、その温度に適した処理水Wとして各ノズル装置3に再供給される(いわゆる循環利用)。
ここで図中符号52Vは、前記蒸気配管51から吹き込み管52に蒸気Sを供給するためのスチームバルブであり、このスチームバルブ52Vの開閉操作によって吹き込み管52への蒸気Sの供給/停止が行われる。なお、スチームバルブ52Vの開閉操作は、別途設けられた制御装置44によって行われる(図2参照)。
以下、この吹き込み管52について更に説明する。
より詳細には、本実施例では、蒸気配管51から二本の主枝配管53が枝分かれするように二股状に設けられ、そのうちの一方の主枝配管53に二本の分岐管54を取り付けるとともに、もう一方の主枝配管53に三本の分岐管54を直列状に取り付けて成るものである。なお、三本の分岐管54を直列状に設けた主枝配管53では、中央の分岐管54の張り出し寸法(主枝配管53から張り出す寸法)が、他の二つの分岐管54よりも長く形成されており、これは処理水タンク4内において蒸気Sの吹き込み位置を意図的に分散するようにしたためである。
因みに、分岐管54の蒸気噴出口に設けられるサイレンサ55は、蒸気吹き込み時の破裂音や衝撃を低減させるものであり、よりスムーズに処理水Wの加温を図る作用を担っている。
これに対し、本実施例では、蒸気噴出口を構成するサイレンサ55(分岐管54)が、処理水タンク4において分散状態に配置され、これに因みサイレンサ55自体も、従来より小型のものが適用されている(言わば小型・多数分散化)。そのため、本実施例では、処理水タンク4内の処理水Wを全体的に均一に加熱することができ、加熱時つまり蒸気吹き込み時に、処理水タンク4内に形成され易かった温度ムラを防止することができる。
冷却装置6(6A~6H)は、各処理水タンク4(4A~4H)に貯留された処理水Wを冷却する装置であり、その具体的手法としては、例えば各処理水タンク4A~4Hに、図示を省略する冷却水源からの配管を接続する手法が挙げられる。この場合、処理水Wの温度を下げるには、例えば当該配管中に設けた給水バルブ61Vを開放させるととともに、ポンプ(図示略)を稼働させて、冷却水源から冷却水W0を処理水タンク4に導入し、適宜の温度に冷却する。なお、冷却水W0としては、例えば水道水(上水)が挙げられる。
このような構成により、給水管61による供給時、冷却水W0が処理水タンク4内のほぼ全域にわたってゆっくりと拡がって行く給水形態を採ることができ、従来、処理水タンク4内に生じ易かった温度ムラの発生を防止することができる。
因みに、従来の給水管61′は、上述したように、吐出口が専ら管先端部のみに開口されており、当該先端部において一挙に吐出を行う形態であったため(図3(b)参照)、処理水タンク4′内に温度ムラが形成され易いものであった。
因みに、処理水タンク4内の処理水Wの液レベルが低下したときに給水を行えば、処理水Wの温度は必然的に低下するため、この給水に併せて加温装置5による加熱が行われる。
また、給水時に温度ムラを生じさせないためには、給水そのもの、つまり給水管61たる多孔管61からの冷水供給も断続的に行うことが好ましい。すなわち、一定の液レベルまで給水する場合、一回のON/OFF操作(給水/停止操作)で注入を連続的に行ってしまうのではなく、タイマを使用してON/OFF動作を複数回繰り返して、一定の液レベルまで複数回に分けて給水を行い、処理水Wの水位を断続的に増して行くことが好ましい。このような給水により、処理水タンク4内の温度ムラの発生を、より一層、防止することができる。
因みに、このようなON/OFF動作を繰り返し行うタイマとしては、ON時間(給水時間)とOFF時間(停止時間)とを異なる時間で設定できるツインタイマの使用が可能であるが、ON時間とOFF時間とを同じ時間で設定するフリッカ動作もタイマを適用して行うことができる。
なお、図1・図3において、対角線を破線で示した矩形は、ポンプストレーナを示しており、これは処理水Wを吸い上げる吸込管(後述する処理水循環経路41)の吸い込み端部に設けられるストレーナである。
各処理水タンク4A~4Hに貯留された処理水Wは、上述したように、その温度に応じてスプレーすべきノズル装置3の区間を選択してスプレーするように構成されており、これは言わば処理水Wを循環使用(再利用)する形態である。
具体的には、本実施例では昇温ゾーンZ1における第一予備加熱区間Z11の処理水タンク4Aに貯留された処理水Wが、約33℃の処理水Wとなり、処理水循環経路41によって冷却ゾーンZ3における第二徐冷区間Z32のノズルパイプ31Gに移送され、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けられる。一方、冷却ゾーンZ3における第二徐冷区間Z32の処理水タンク4Gに貯留された処理水Wが、約35℃の処理水Wとなり、処理水循環経路41によって昇温ゾーンZ1における第一予備加熱区間Z11のノズルパイプ31Aに移送され、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けられる。なお、このような異なる区間同士、つまり昇温ゾーンZ1の第一予備加熱区間Z11と、冷却ゾーンZ3の第二徐冷区間Z32との間で、処理水Wを循環利用する形態を相互循環と称する。
なお、相互循環における各区間の組み合わせは変更することもあり得、例えば昇温ゾーンZ1が、一つの予備加熱区間(第一予備加熱区間Z11)と、加熱区間Z13との二区間で構成された場合などが想定される。
本実施例では、昇温ゾーンZ1の加熱区間Z13、殺菌ゾーンZ2の第一殺菌区間Z21及び第二殺菌区間Z22、冷却ゾーンZ3の冷却区間Z33において自己循環が行われている。すなわち、これらの区間では、同じ区間内の処理水タンク4(4C・4D・4E・4H)に貯留された処理水Wを、処理水循環経路41によって同区間内のノズルパイプ31(31C・31D・31E・31H)に戻し、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けるようにしている。
なお、相互循環及び自己循環ともに、処理水タンク4から処理水Wを汲み上げる作用は、処理水循環経路41中に組み込まれたポンプPが担うものである。
処理対象物Tは、一例として図1に示すように、搬送装置2の搬送面上に正立姿勢で載置されながら、搬送方向上流の入口側から搬送方向下流の出口側に向けて搬送される。その搬送速度は、例えば250mm/min~1000mm/min程度のほぼ一定の速度であり、この搬送過程で処理対象物Tは、各区間で定められた温度の処理水Wが上方からスプレーされて(吹き付けられて)、目的の処理が成される。以下、処理ゾーンごとに説明する。
処理対象物Tは、まず昇温ゾーンZ1で、殺菌に必要な温度まで徐々に加熱される。具体的には、第一予備加熱区間Z11で所定の時間、35℃の処理水Wによる予備加熱を受ける。次いで第二予備加熱区間Z12で所定の時間、50℃の処理水Wによる予備加熱を受ける。次いで加熱区間Z13で所定の時間、72℃の処理水Wによる加熱を受ける。なお、各区間の処理水タンク4A~4Cに回収される処理水Wの温度は、いずれも上記温度よりも数度低下して回収され、例えば処理水タンク4Aでは33~34℃、処理水タンク4Bでは48~49℃、処理水タンク4Cでは70~71℃程度である。因みに、各処理水タンク4A~4Cに貯留された処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも低い場合には、加温装置5A~5Cによって適宜加温するものであり、処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも高い場合には、冷却装置6A~6Cによって適宜冷却するものであり、各ノズルパイプ31G・31F・31Cには、常に同じ温度の処理水Wが供給される。因みに各区間の処理水タンク4A~4Cに貯留された処理水Wが蒸発等で減少した場合には、冷却装置6A~6Cを適用した給水、すなわち冷却水W0の供給が行われるとともに、加温装置5A~5Cによる加熱が行われ、処理水Wの液レベルをほぼ一定に維持する制御が行われる。
また、このような昇温ゾーンZ1の搬送中に、処理対象物Tの製品温度は上昇するものであり、例えば第一予備加熱区間Z11の入口付近で5℃、第一予備加熱区間Z11の搬送終端部及び第二予備加熱区間Z12の搬送開始部で20℃、第二予備加熱区間Z12の搬送終端部及び加熱区間Z13の搬送開始部で35℃、加熱区間Z13の搬送終端部で65℃となる。
その後、処理対象物Tは、殺菌ゾーンZ2に搬送され、ここで適宜の時間・適宜の高温状態で保持され、所望の殺菌が実質的に施される。具体的には、第一殺菌区間Z21で所定の時間、65℃の処理水Wによる殺菌を受ける。次いで第二殺菌区間Z22で所定の時間、65℃の処理水Wによる殺菌を受ける。なお、殺菌ゾーンZ2における両区間の処理水タンク4D・4Eに回収される処理水Wの温度は、いずれも上記温度より数度低下するものであり、例えばいずれの処理水タンク4D・4Eにおいても63~64℃程度となる。もちろん、ここでも各処理水タンク4D・4Eに貯留された処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも低い場合には、加温装置5D・5Eによって適宜加温するものであり、処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも高い場合には、冷却装置6D・6Eによって適宜冷却するものであり、各ノズルパイプ31D・31Eには、常に同じ温度の処理水Wが供給される。因みに各処理水タンク4D・4Eに貯留された処理水Wが蒸発等で減少した場合には、冷却装置6D・6Eを適用した給水、すなわち冷却水W0の供給が行われるとともに、加温装置5D・5Eによる加熱が行われ、処理水Wの液レベルをほぼ一定に維持する制御が行われる。
また、このような殺菌ゾーンZ2の搬送中、具体的には第一殺菌区間Z21の搬送開始部から第二殺菌区間Z22の搬送終端部に至るまで、処理対象物Tは、製品温度が65℃に維持され、実質的な殺菌が施される。
その後、処理対象物Tは、冷却ゾーンZ3に搬送され、ここで殺菌直後の高温状態が、徐々に冷却されて行く。具体的には第一徐冷区間Z31で所定の時間、48℃の処理水Wによる徐冷を受ける。次いで第二徐冷区間Z32で所定の時間、33℃の処理水Wによる徐冷を受ける。次いで冷却区間Z33で所定の時間、28℃の処理水Wによる冷却を受ける。なお、各区間の処理水タンク4F~4Hに回収される処理水Wの温度は、いずれも上記温度よりも数度上昇し、例えば処理水タンク4Fでは49~50℃、処理水タンク4Gでは34~35℃、処理水タンク4Hでは29~30℃程度となる。もちろん、ここでも各処理水タンク4F~4Hに貯留された処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも低い場合には、加温装置5F~5Hによって適宜加温するものであり、処理水Wの温度が、次のスプレーに供する温度よりも高い場合には、冷却装置6F~6Hによって適宜冷却するものであり、各ノズルパイプ31B・31A・31Hには、常に同じ温度の処理水Wが供給される。因みに各区間の処理水タンク4F~4Hに貯留された処理水Wが蒸発等で減少した場合には、冷却装置6F~6Hを適用した給水、すなわち冷却水W0の供給が行われるとともに、加温装置5F~5Hによる加熱が行われ、処理水Wの液レベルをほぼ一定に維持する制御が行われる。
また、このような冷却ゾーンZ3の搬送中に、処理対象物Tは、製品温度が徐々に下降して行くものであり、例えば第一徐冷区間Z31の搬送開始部で65℃、第一徐冷区間Z31の搬送終端部及び第二徐冷区間Z32の搬送開始部で56℃、第二徐冷区間Z32の搬送終端部及び冷却区間Z33の搬送開始部で44℃となり、冷却区間Z33の搬送終端部つまり出口付近で38℃まで冷却される。
また、二つ目の相互循環として、昇温ゾーンZ1における第二予備加熱区間Z12の処理水タンク4Bに貯留された処理水Wを、処理水循環経路41によって冷却ゾーンZ3における第一徐冷区間Z31のノズルパイプ31Fに移送し、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けている。一方、冷却ゾーンZ3における第一徐冷区間Z31の処理水タンク4Fに貯留した処理水Wを、処理水循環経路41によって昇温ゾーンZ1における第二予備加熱区間Z12のノズルパイプ31Bに移送し、ここから処理対象物Tに向けて吹き付けている。
また、第二予備加熱区間Z12の処理水タンク4Bに貯留された処理水Wの温度は、第一徐冷区間Z31で処理対象物Tに吹き付ける処理水Wの温度とほぼ同じであり、また第一徐冷区間Z31の処理水タンク4Fに貯留された処理水Wの温度は、第二予備加熱区間Z12で処理対象物Tに吹き付ける処理水Wの温度とほぼ同じであり、処理水Wの温度として、互いに適しているため、上記のような二組の相互循環が構成されている。
そして、このような相互循環を図ることにより、加温装置5によって行われる蒸気Sによる加熱や、冷却装置6によって行われる上水等による冷却を行って、処理水Wの温度を調整する場合でも、使用するエネルギーを節約することができる。なお、このような処理水Wの相互循環利用を交流と称することもある。
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した基本の実施例では、昇温ゾーンZ1及び冷却ゾーンZ3を、ともに三つの区間で形成したが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。具体的には、例えば昇温ゾーンZ1及び冷却ゾーンZ3を四つ以上の区間で形成することも可能であるし、あるいは昇温ゾーンZ1を二つの区間で形成することも可能である。また、上述した基本の実施例では、相互循環を二組形成したが、特に上記区間数などに応じて、相互循環は一組だけ設けるようにしても構わない。
しかしながら、加温装置5としては、必ずしもこのような直吹きタイプに限定されるものではなく、例えば図2に示すように、処理水循環経路41の途中にスチームミキサ57を設けておき、処理水タンク4から汲み上げた処理水Wを、スチームミキサ57で蒸気Sと接触させ、適宜の温度に加熱してからノズル装置3に移送する形態も可能である。
なお、図中符号52Vがスチームミキサ57に蒸気Sを供給するスチームバルブであり、これも制御装置44で制御される。
因みに、スチームミキサ57を適用した場合には、処理水タンク4内に吹き込み管52(主枝配管53・分岐管54・サイレンサ55)は設けられず、多孔管61のみが設けられる。もちろん処理水Wの液レベルを上昇させる場合には、上記タイマの適用により、タンク内の処理水レベルを断続的に上昇させて行くことが好ましい。
2 搬送装置
3 ノズル装置
4 処理水タンク
5 加温装置
6 冷却装置
10 パストライザ
21 ターンスプロケット
22 駆動スプロケット
3A ノズル装置(第一予備加熱区間)
3B ノズル装置(第二予備加熱区間)
3C ノズル装置(加熱区間)
3D ノズル装置(第一殺菌区間)
3E ノズル装置(第二殺菌区間)
3F ノズル装置(第一徐冷区間)
3G ノズル装置(第二徐冷区間)
3H ノズル装置(冷却区間)
4A 処理水タンク(第一予備加熱区間)
4B 処理水タンク(第二予備加熱区間)
4C 処理水タンク(加熱区間)
4D 処理水タンク(第一殺菌区間)
4E 処理水タンク(第二殺菌区間)
4F 処理水タンク(第一徐冷区間)
4G 処理水タンク(第二徐冷区間)
4H 処理水タンク(冷却区間)
41 処理水循環経路
42 温度センサ
43 レベル計
44 制御装置
5A 加温装置(第一予備加熱区間)
5B 加温装置(第二予備加熱区間)
5C 加温装置(加熱区間)
5D 加温装置(第一殺菌区間)
5E 加温装置(第二殺菌区間)
5F 加温装置(第一徐冷区間)
5G 加温装置(第二徐冷区間)
5H 加温装置(冷却区間)
51 蒸気配管
52 吹き込み管
52V スチームバルブ
53 主枝配管
54 分岐管
55 サイレンサ
57 スチームミキサ
6A 冷却装置(第一予備加熱区間)
6B 冷却装置(第二予備加熱区間)
6C 冷却装置(加熱区間)
6D 冷却装置(第一殺菌区間)
6E 冷却装置(第二殺菌区間)
6F 冷却装置(第一徐冷区間)
6G 冷却装置(第二徐冷区間)
6H 冷却装置(冷却区間)
61 多孔管(給水管)
61V 給水バルブ
31 ノズルパイプ
31A ノズルパイプ(第一予備加熱区間)
31B ノズルパイプ(第二予備加熱区間)
31C ノズルパイプ(加熱区間)
31D ノズルパイプ(第一殺菌区間)
31E ノズルパイプ(第二殺菌区間)
31F ノズルパイプ(第一徐冷区間)
31G ノズルパイプ(第二徐冷区間)
31H ノズルパイプ(冷却区間)
T 処理対象物
W 処理水
W0 冷却水
P ポンプ
S 蒸気
Z1 昇温ゾーン
Z11 第一予備加熱区間
Z12 第二予備加熱区間
Z13 加熱区間
Z2 殺菌ゾーン
Z21 第一殺菌区間
Z22 第二殺菌区間
Z2n 第n殺菌区間
Z3 冷却ゾーン
Z31 第一徐冷区間
Z32 第二徐冷区間
Z33 冷却区間
Claims (3)
- 搬送中の処理対象物に処理水を作用させた後、この処理水を下方で貯留・回収するパストライザ用の処理水タンクにおいて、
この処理水タンクに貯留・回収された処理水は、加温装置または冷却装置によって適正な温度に管理された状態で、再びノズル装置に移送され、再度、搬送中の処理対象物に吹き付けられるものであり、
前記冷却装置は、冷却水を処理水タンクに供給する給水管として、管の側周面に多数の吐出孔を有した多孔管が適用されることを特徴とする、パストライザ用処理水タンクにおける水温安定化装置。
- 前記給水管による処理水タンクへの冷却水の供給は、給水のON時間/OFF時間を交互に設定し、給水と停止とを繰り返し行いながら、処理水タンクの液レベルを断続的に上昇させて行くタイマが使用されることを特徴とする請求項1記載の、パストライザ用処理水タンクにおける水温安定化装置。
- 前記加温装置は、処理水タンクに貯留された処理水中で蒸気を噴出させる吹き込み管が適用されるものであり、この吹き込み管は、蒸気噴出口にサイレンサを有した分岐管が、直列状に複数設けられた主枝配管を具えて成り、当該主枝配管が、処理水タンク内で複数本、並列状に設けられた構成であることを特徴とする請求項1または2記載の、パストライザ用処理水タンクにおける水温安定化装置。
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Citations (5)
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JP2011172525A (ja) | 2010-02-25 | 2011-09-08 | Mitsubishi Heavy Industries Food & Packaging Machinery Co Ltd | ウォーマ或いはパストライザにおける熱処理温度の制御方法および装置 |
-
2020
- 2020-02-05 JP JP2020017936A patent/JP7403126B2/ja active Active
Patent Citations (5)
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