JP6473057B2 - 殺菌剤の気化方法及び気化装置 - Google Patents
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Description
特許文献1は、この殺菌方法として、PET(Polyethylene Terephthalate)ボトルの内部に挿入したノズルから、気化された過酸化水素が混ぜられた熱風を吹き込むことを提案している。特許文献1の殺菌方法によれば、過酸化水素のミストを一定温度下で一定期間だけPETボトルの内部に導入するという殺菌条件を容易に実現することができるので、均一かつ優れた殺菌効果を得ることができる。
特許文献1の殺菌方法は、過酸化水素を気化するのに、過酸化水素の水溶液と圧縮空気とを二流体ノズルを通過させて過酸化水素の水溶液をミスト状にし、これをヒータで加熱している。
そこで、本発明は殺菌剤を気化して殺菌対象に供給するシステムにおいて、殺菌剤及び圧縮空気に関する供給系統の構成を簡易にすることができる殺菌剤の気化方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の殺菌剤の気化方法は、ベンチュリ効果を生じさせて殺菌剤を吸引し、流路を流れる圧縮空気により殺菌剤をミスト状にする。したがって、本発明の殺菌剤の気化方法によれば、殺菌剤の供給については貯留ポットに貯えておくだけで足りるので、例えば二流体ノズルを用いる場合には殺菌剤を圧送する機構が必要になるのに比べて、システム構成を簡易かつ低コストにできる。加えて、通常、ベンチュリ効果を得るためのベンチュリ管は二流体ノズルに比べて安価であるため、本発明を適用する殺菌システムは低コストになる。
これにより、第二ステップにおいて、圧縮空気に含まれる気化された殺菌剤の濃度を一定にできるので、所望する殺菌性能を得ることができる。
このように、流路の周囲にヒータを設ければ、ヒータを設ける場所を格別に設ける必要がないので、殺菌システムの省スペース化に寄与する
これにより、第二ステップにおける殺菌剤の気化をより確実に行うことかできる。
すなわち本発明の殺菌剤の気化装置は、圧縮空気が上流側から下流側に向けて流れる流路を有する供給管と、供給管の流路の任意の位置に設けられ、スロート部に圧力取出し口が設けられるベンチュリ管と、一端に吸込口が、他端に吐出口が設けられ、吐出口が圧力取出し口に接続される吸引管と、液状の殺菌剤が貯められ、吸引管の吸込口の側が差し入れられる貯留ポットと、ベンチュリ管よりも下流側の流路を加熱するヒータと、を備えることを特徴とする。
本実施形態に係る殺菌システム1は、図1に示すように、例えばPETボトルからなる容器100の内周面を殺菌する。この殺菌システム1は、温水により内周面を洗浄する洗浄ステップS1と、容器100の内部に温風を吹き込んで乾燥する乾燥ステップS3と、容器100の内部に気化された殺菌剤を吹き込んで内周面を殺菌する殺菌ステップS5と、最後に、容器100の内周面に付着した殺菌剤を洗い流すすすぎステップS7と、を含む。本実施形態は、殺菌ステップにおいて、殺菌剤を気化する方法に特徴を有している。
なお、図1は殺菌に係るステップのみを示しているが、これらのステップからなる殺菌方法の前工程で容器100を連続的に形成したり、後工程では、容器100の内部に連続的に飲料を充填したりする。
洗浄ステップS1は、容器100の内周面に付着する異物を洗い流すことを目的として行われる。洗浄ステップS1は、倒立状態の容器100の口部101から内部へノズル2が挿入され、ノズル2から温水が吹き込まれることで、容器100の内周面を洗浄する。
殺菌システム1は、洗浄ステップS1を行うために、温水源5と、温水源5で生成された温水をノズル2まで導く温水管6と、温水管6に設けられるポンプ7と、を備えている。温水源5は、例えば、ヒータが備えられた水槽により構成される。
なお、吹き込まれる温水は、60〜80℃程度であればよい。
殺菌システム1は、乾燥ステップS3を行うために、エア供給源9と、エア供給源9で生成された圧縮空気をノズル3まで導くエア供給管10と、エア供給管10の周囲に設けられるヒータ11と、を備えている。
なお、吹き込まれる温風は、60〜100℃程度であればよい。
気化装置20は、圧縮空気が流れる流路にベンチュリ効果により液状の殺菌剤を引き込むとともにミスト状にし、さらに圧縮空気をキャリアとしてミスト状の殺菌剤が流路を流れる過程で加熱することで、殺菌剤を気化させる。気化装置20は、この殺菌剤の気化をなすために、以下の構成を備える。
入口円筒部41から入った圧縮空気CAは、入口円錐部42、スロート部43を順に流れる過程で流路46が狭まるために流速が上がる。このため、ベルヌーイの定理により圧力エネルギは速度エネルギに変換されるので、スロート部43における圧力が最も降下する。スロート部43には圧力取出し口47が穿孔され、そこには吸引管50が接続されているので、吸引管50の吸込口51を介して流体を吸い込むことができる。本実施形態では、貯留ポット55に貯えられた殺菌剤Sを吸い込み、吸い込まれた殺菌剤Sは吸引管50を通ってスロート部43に対応する流路46に吐出される。流路46には圧縮空気CAが連続的に流れているので、吐出された殺菌剤Sは圧縮空気CAの力を受けて微粒化されミスト状になる。
スロート部43よりも下流側においては、下流側に向けて開口径が増加する出口円錐部44が設けられているため、圧縮空気CAの圧力が回復して、より下流側に向けて供給管30を流れる。
貯留ポット55は、アクチュエータ57に支持されており、アクチュエータ57が駆動されることにより昇降が可能であり、図4に示すように、貯留ポット55は吸引管50の吸込口51が貯留槽56から抜け出る下方の位置(図4(d)参照)から吸込口51の側が貯留槽56の底の近くまで差し入れられる上方の位置(図4(c)参照)の間で昇降可能である。
予定されていた本数の殺菌が終了し、貯留槽56に貯えられる殺菌剤Sが不足すると、貯留ポット55を下方の位置まで降下させて、殺菌剤Sを補充する。殺菌を連続的に行う際には、貯留槽56に貯えられる殺菌剤Sの液面SSから所定の深さdだけ吸引管50が差し入れられる高さに貯留ポット55を配置させる。その後は殺菌剤Sが消費されて液面SSが下がっても、吸引管50が殺菌剤Sの浮面から差し入れられる深さdが維持されるように、アクチュエータ57を駆動して貯留ポット55を上昇させる。この貯留ポット55を上昇させる制御は任意であり、殺菌を開始してからの時間の経過に基づく制御、貯留槽56に貯えられる殺菌剤Sの液面SSの高さの変化に基づく制御、貯留槽56に貯えられる殺菌剤Sの重さの変化に基づく制御を採用することができる。
この深さdによって吸引される殺菌剤Sの量が定まるので、本実施形態では吸引される殺菌剤Sの量が一定になるように、深さdを一定に制御する。以上のように、本実施形態では、差込み深さdが調整可能とされている。
ヒータ58による流路31の加熱は、流路31を圧縮空気CAによって流れるミスト状の過酸化水素を気化するためのものであるから、200〜300℃の範囲、好ましくは240〜260℃の範囲に加熱する。この加熱条件が得られるのであれば、ヒータ58の形態は問われない。本実施形態では、供給管30の外周に配置されたヒータ58を示しているが、ヒータ58を供給管30の内周面に配置することができる。
洗浄ステップS1及び乾燥ステップS3を経た容器100が、殺菌ステップS5の所定位置まで移送されると、エア供給源53を駆動して、供給管30の流路31に圧縮空気CAを吹き込む。このときには、吸引管50の吸込口51は貯留槽56に貯えられている殺菌剤Sの液面SSより所定の深さdまで差し入れられているのに加えて、ヒータ58が流路46を温めている。そうすると、殺菌剤Sは、吸引管50に吸い込まれ、さらにスロート部43の圧力取出し口47を通って流路46に吐出される。流路46に吐出された液状の殺菌剤Sは、流路46を流れる圧縮空気CAの力を受けてミスト状になる。本発明の第一ステップに該当する。
圧縮空気CAをキャリアとして搬送されるミスト状の殺菌剤Sは、流路46の加熱領域を通過する過程で気化される。本発明の第二ステップに該当する。気化された殺菌剤Sは、圧縮空気CAとともに容器100の内部に供給されることで、容器100の内周面の殺菌に供される。
はじめに、殺菌システム1における気化装置20は、ベンチュリ管40の流路46にベンチュリ効果を生じさせて殺菌剤Sを吸引管50により吸引し、流路46を流れる圧縮空気CAにより殺菌剤Sをミスト状にする。したがって、殺菌システム1によれば、殺菌剤Sの供給については貯留ポット55に貯えておくだけで足りるので、例えば二流体ノズルを用いる場合には殺菌剤Sを圧送する機構が必要になるのに比べて、システム構成を簡易かつ低コストにできる。加えて、通常、ベンチュリ管40は二流体ノズルに比べて安価であるため、気化装置20は殺菌システム1の低コスト化に寄与する。
例えば、加熱されたヒータ部材に滴下することにより液状の殺菌剤Sを気化させることもできるが、ミスト状に比べて気化に必要なエネルギが大きくなる。
また、液状の殺菌剤Sをヒータ部材に滴下すると、殺菌剤Sの種類によっては、気化後にヒータ部材に残渣が生じる。例えば、殺菌剤としての過酢酸水溶液は、化学的な平衡を保つために安定化剤を含んであり、この安定化剤が残渣となる。そうすると、必要な加熱を継続して行うことができるように、残渣を除去しなければならず、殺菌システムを連続運転する妨げとなる。
これに対して気化装置20は、ミスト状にされた殺菌剤Sが圧縮空気CAとともに流路46を通過する過程で気化されるものであるから、気化エネルギが小さくて済み、かつ残渣が生じる可能性は極めて小さいので、残渣によって連続運転の妨げが生じる可能性は極めて小さい。
さらに、気化装置20は、ヒータ58を供給管30の周囲に設ければよいので、ヒータ58を設ける場所を格別に設ける必要がないので、殺菌システム1の省スペース化に寄与する
また、圧縮空気CAを予備加熱するのであれば、殺菌ステップS5の前工程である乾燥ステップS3で用いる温風を、圧縮空気CAとして用いることができる。つまり、エア供給源9をエア供給源53として共用することができるので、殺菌システム1のコストを下げることができる。
2,3 ノズル
5 温水源
6 温水管
7 ポンプ
9 エア供給源
10 エア供給管
11 ヒータ
12,13 ノズル
20 気化装置
30 供給管
31 流路
40 ベンチュリ管
41 入口円筒部
42 入口円錐部
43 スロート部
44 出口円錐部
45 出口円筒部
46 流路
47 圧力取出し口
50 吸引管
51 吸込口
52 吐出口
53 エア供給源
55 貯留ポット
56 貯留槽
57 アクチュエータ
58 ヒータ
100 容器
101 口部
Claims (6)
- 圧縮空気が上流側から下流側に向けて流れる流路の任意の位置でベンチュリ効果を生じさせることで、貯留ポットに貯えられた液状の殺菌剤を前記流路に吸引し、前記圧縮空気の圧力により前記殺菌剤をミスト状にする第一ステップと、
前記圧縮空気により搬送される、ミスト状にされた前記殺菌剤を、前記任意の位置よりも下流側の前記流路を通過する過程で気化させる第二ステップと、
を備え、
前記第一ステップにおいて、
吸込口と吐出口を備える吸引管を介して前記液状の殺菌剤を吸引し、
前記吸引管は、
前記吸込口が、前記貯留ポットに貯えられた前記液状の殺菌剤に差し入れられ、
前記吐出口が、前記ベンチュリ効果が生じた前記流路に連通し、
前記吸込口が、前記殺菌剤に差し入れられる深さdを調整することにより、吸引される前記液状の殺菌剤の量を一定に制御することを特徴とする殺菌剤の気化方法。 - 前記第二ステップにおいて、
前記流路の周囲に設けられたヒータが前記流路を加熱することにより、ミスト状にされた前記殺菌剤を気化する、
請求項1に記載の殺菌剤の気化方法。 - 前記第一ステップにおいて、
前記圧縮空気が予め加熱されている、
請求項1または2に記載の殺菌剤の気化方法。 - 圧縮空気が上流側から下流側に向けて流れる流路を有する供給管と、
前記供給管の前記流路の任意の位置に設けられ、スロート部に圧力取出し口が設けられるベンチュリ管と、
一端に吸込口が、他端に吐出口が設けられ、前記吐出口が前記圧力取出し口に接続される吸引管と、
液状の殺菌剤が貯められ、前記吸引管の前記吸込口の側が差し入れられる貯留ポットと、
前記ベンチュリ管よりも下流側の前記流路を加熱するヒータと、
を備え、
前記吸引管の前記吸込口の側が、前記貯留ポットに貯えられる前記殺菌剤への差し入れられる深さdが、調整可能とされることを特徴とする殺菌剤の気化装置。 - 前記深さdが、一定に制御される、
請求項4に記載の殺菌剤の気化装置。 - 前記貯留ポットが昇降可能に設けられる、
請求項4または5に記載の殺菌剤の気化装置。
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