JP7371475B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関する。
近年、オンデマンド印刷市場において、特色印刷、メタリック印刷、高付加価値印刷の需要が高まっている。中でも、メタリック印刷およびパール印刷などの加飾印刷に関する要望は特に大きく、多種多様な検討が行われている。
たとえば、特許文献1には、トナー画像を形成し、着色剤層と粘着剤層を有する箔体を、トナー画像に重ね合わせて加熱および加圧し、トナーの加熱による溶着を利用することで、トナー画像を加飾する方法を開示している。これにより、箔体にしわを生じさせることなく箔付け転写ができると記載されている。
また、特許文献2には、光輝性顔料をトナーに含有させた光輝性トナーを必要な部分にのみ使用してメタリック画像を形成する方法が開示されている。光輝性トナーを使用することで、トナー載り量が低い場合であっても、光輝性の高い画像を形成できると記載されている。
本出願人は、特許文献3において、樹脂製画像の表面に粉体を供給して付着させ、上記粉体により上記樹脂製画像を加飾する方法を開示している。当該方法では、粉体供給手段の表面に担持させた上記粉体を樹脂製画像の表面に搬送して、上記粉体を供給している。特許文献3には、上記供給後の粉体供給手段に保持されている上記粉体を、清掃回収ローラーにより回収してもよいと記載されている。
なお、トナーを用いた電子写真方式による画像形成装置において、特許文献4には、潜像担持体に形成した制御用パターン画像の光沢度に応じて、現像後に当該潜像担持体に残存した余剰現像剤の除去力を変更する、画像形成装置が記載されている。
また、特許文献5には、磁気ブラシにより感光ドラムを帯電させ、かつ感光ドラムに残存した転写残トナーを磁気ブラシに一度保持させた後に、クリーニングモード時に感光ドラムに吐き出させてまとめて回収する画像形成装置が記載されている。特許文献5によれば、この画像形成装置は、クリーニングモードの実行時に磁気ブラシから感光ドラムに吐き出された転写残トナーの濃度を検知し、検知された濃度に基づいて次回のクリーニングモード実行時に磁気ブラシから吐き出す転写残トナー量を決定する、とされている。
特開平01-200985号公報 特開2014-157249号公報 特開2013-178452号公報 特開2006-301162号公報 特開2002-014571号公報
特許文献3に記載のような加飾方法において、粉体供給手段に残存した粉体を清掃回収する条件を好適に設定する方法の開発が求められている。このとき、残存した粉体を粉体供給手段から十分に回収しきれないと、次回の加飾画像形成時に予期せぬ位置に粉体が供給されてしまったり、粉体の供給量にムラが生じてしまったりすることがある(画像メモリ)。一方で、残存した粉体を粉体供給手段から回収するときの力が強すぎたりすると、粉体供給手段にダメージを与えかねない。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、樹脂製画像の表面に粉体を供給して付着させ、上記粉体により上記樹脂製画像を加飾した加飾画像を形成する画像形成装置において、残存した粉体を粉体供給手段から十分に回収し、一方で粉体供給手段へのダメージの付与を抑制できる画像形成装置を提供することを、目的とする。
上記課題は、粉体を保持して樹脂製画像に前記粉体を搬送し、かつ前記樹脂製画像の表面に前記粉体を付与する、粉体付与部と、前記付与後に、前記粉体付与部に残存した前記粉体を前記粉体付与部から除去する粉体除去部と、前記除去後に、前記粉体付与部に残存した前記粉体の残存量を測定する残存量測定部と、を有し、前記粉体除去部は、前記残存量測定部が測定した前記残存量に応じて、前記粉体を除去する除去条件を変更する、画像形成装置により解決される。
本発明により、樹脂製画像の表面に粉体を供給して付着させ、上記粉体により上記樹脂製画像を加飾した加飾画像を形成する画像形成装置において、残存した粉体を粉体供給手段から十分に回収し、一方で粉体供給手段へのダメージの付与を抑制できる画像形成装置が提供される。
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す模式図である。 図2は、金属粒子の集合体による被覆率と、正反射光の光量と、の関係を示すグラフである。 図3は、粉体除去部(除去部材)による摺擦力の大きさと、粉体除去部により粉体を除去した後の粉体保持面の、粉体による被覆率と、の関係を示すグラフである。 図4は、除去部材による摺擦力の測定方法を示す模式図である。 図5は、粉体付与部への除去部材の押し込み量を変化させたときの、粉体による被覆率の変化を示すグラフである。 図6は、第1の実施形態における、粉体付与部に残存した粉体の除去条件の設定方法を示すフローチャートである。 図7は、電子写真方式によりトナー画像としての樹脂製画像を形成するトナー画像形成部を有する画像形成装置の全体構成を概略的に示す模式図である。 図8Aは、効果確認試験において形成した樹脂製画像を示す模式図であり、図8Bは、樹脂製画像のうち、粉体を付与させた加飾領域を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
[第1の実施形態]
(画像形成装置の構成)
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を概略的に示す模式図である。
画像形成装置100は、記録媒体Mの表面に形成された樹脂製画像Rに粉体Pを供給して付着させ、樹脂製画像Rの表面に粉体Pが付着してなる加飾画像を形成する、画像形成装置である。
図1に示されるように、画像形成装置100は、樹脂製画像Rが形成された記録媒体Mを搬送する搬送部110と、樹脂製画像Rを軟化させる軟化部120と、粉体Pを供給する粉体供給部130と、粉体供給部130から供給された粉体Pを粉体保持面142に付着させて搬送し、樹脂製画像Rに粉体Pを付与する粉体付与部140と、粉体供給部130から粉体付与部140に供給された粉体Pを粉体付与部140の表面で配向させる摺擦部150と、粉体付与部140の記録媒体Mを挟んで粉体保持面142と対向する位置に設けられ、粉体付与部140との間にニップ部NPを形成して、ニップ部NPにおいて記録媒体Mおよび粉体Pを加圧する対向部材160と、記録媒体M上の樹脂製画像R以外の領域や搬送部110に付着した粉体Pを回収する余剰粉体回収部170と、ニップ部NPの通過後に粉体付与部140に残存した粉体Pを粉体付与部140から除去する粉体除去部180と、上記残存した粉体Pの粉体付与部140への残存量を測定する残存量測定部190と、を有する。
なお、本実施形態において、樹脂製画像Rは、トナーやインクなどにより記録媒体Mの表面に形成された、熱可塑性樹脂により形成された画像である。本実施形態では、軟化部120により軟化された樹脂製画像Rに、粉体供給部130から粉体Pを供給することにより、軟化した樹脂製画像Rの表面に粉体Pを付着させて、樹脂製画像Rが粉体Pにより加飾された加飾画像を作製する。
また、本実施形態において、粉体Pは、粉体粒子の集合体である。粉体粒子の例には、金属粒子、金属酸化物粒子、樹脂粒子、熱応答性材料を含む粒子、磁性粒子、非磁性粒子などが含まれる。これらの粉体粒子は、得ようとする加飾画像に応じて選択することができ、たとえばメタリック感のある加飾画像を得たいときには、金属または金属酸化物を含む粉体粒子であることが好ましい。粉体粒子は、異なる2種以上の材料を含んでもよい。粉体粒子の形状は、球形であってもよいし、非球形であってもよい。粉体は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。粉体は、異なる2種以上の粉体粒子の混合品であってもよい。なお、粉体はトナーではない。
また、粉体粒子は、被覆されていてもよい。たとえば、金属粒子は、当該金属とは異なる金属、金属酸化物または樹脂で被覆されたものでもよいし、樹脂またはガラス等の表面を金属、金属酸化物で被覆したものでもよい。また、金属粒子は金属酸化物粒子であってもよく、当該金属酸化物とは異なる金属酸化物、金属または樹脂で被覆されたものでもよい。また、金属粒子は、金属または金属酸化物を板状に延展させて粉砕したものやそれを種々の材料で被覆したもの、フィルムやガラスに金属または金属酸化物を蒸着または湿式コーティングしたものでもよい。メタリック画像を作製するときは、粉体粒子は、0.2~100質量%の金属または金属酸化物を含有することが好ましい。
粉体の形状は、摺擦部150によって配向させて樹脂製画像の表面に転写させる観点からは、真球ではない形状を有する粉体(非球形粉体)、たとええば、扁平形状の粒子であることが好ましい。「扁平形状の粒子」とは、粉体の粒子における最大長さを長径、当該長径に直交する方向における最大長さを短径、上記長径に直交する方向の最少長さを厚み、とするときに、厚みに対する短径の比率が3以上である形状の粒子を意味する。
粉体粒子の厚みは、配向した粉体の付着による加飾効果を十分に発現させる観点から、0.2~10μmであることが好ましく、0.2~3.0μmであることがより好ましい。粉体の厚みが上記範囲であると、樹脂製画像の表面に付着した粉体粒子を十分に配向させることができ、かつ加飾画像をこすった際の粉体Pの剥離を抑制することができる。
また、粉体粒子の長径および短径の長さは、いずれも、1~100μmであることが好ましく、15~50μmであることがより好ましい。粉体粒子の長径および短径の長さが上記範囲であると、粉体の取扱い性が良好であり、かつ画像の解像度を十分に低下させて階調性の高い加飾画像を得ることができる。
上記粉体の例には、メタシャイン(日本板硝子株式会社製、「メタシャイン」は同社の登録商標)、サンシャインベビー クロムパウダー、オーロラパウダー、パールパウダー(いずれも株式会社GGコーポレーション製)、ICEGEL ミラーメタルパウダー(株式会社TAT製)、ピカエース MCシャインダスト、エフェクトC(株式会社クラチ製、「ピカエース」は同社の登録商標)、PREGEL マジックパウダー、ミラーシリーズ(有限会社プリアンファ製、「PREGEL」は同社の登録商標)、Bonnailシャインパウダー(株式会社ケイズプランイング製、「BON NAIL」は同社の登録商標)、エルジーneo(尾池工業株式会社製、「エルジーneo」は同社の登録商標)、アストロフレーク(日本防湿工業株式会社製)、アルミニウム顔料(東洋アルミニウム株式会社製)が含まれる。
熱応答性材料は、熱による刺激をきっかけに膨張、収縮、変形などの形状の変化、顕色、消色、変色などの色の変化を起こす材料である。熱応答性材料を含む粒子の例には、熱膨張性マイクロカプセル、感温カプセルなどが含まれる。熱膨張性マイクロカプセルの例には、マツモトマイクロスフェアー(松本油脂製薬株式会社製)、クレハマイクロスフェアー(株式会社クレハ製)などが、感温カプセルの例には、感温染料カプセル(株式会社日本カプセルプロダクツ製)などが含まれる。
本実施形態においては、粉体Pとして、金属粒子の集合体を用いる。
なお、本実施形態において、記録媒体Mは、その表面(主面)に樹脂製画像を形成することができれば特に制限されない。記録媒体の例には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙およびコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、プラスチックフィルム、樹脂製フィルム、布などが含まれる。また、上記記録媒体の形状および色は特に限定されず、形成すべき加飾画像に応じて適宜選択することができる。
搬送部110は、樹脂製画像Rが表面に形成された記録媒体Mを紛体付与部140に対して搬送するための装置である。搬送部110は、たとえば、ベルトコンベアなどとすることができる。
軟化部120は、樹脂製画像Rを軟化させる。本実施形態では、軟化部120は、樹脂製画像Rが形成された記録媒体Mをオーブンにより予備加熱して、樹脂製画像Rを構成する樹脂を軟化(溶融)させ、これにより樹脂製画像Rを軟化させる。なお、軟化部120は、ホットプレートや温風送風機などの非接触式の方法により樹脂製画像を予備加熱してもよいし、ヒートローラーなどの接触式の方法により樹脂製画像を予備加熱してもよい。また、樹脂製画像Rがより高い温度であるときは、軟化部120は、加飾に適した温度にまで樹脂製画像Rを冷却してもよいし、薬剤などの付与により樹脂製画像を軟化させてもよい。
粉体供給部130は、粉体付与部140の粉体保持面142に粉体Pを供給する。粉体供給部130は、粉体Pを貯蔵する貯蔵容器132と、貯蔵容器132内に収容された搬送部材134とを有する。
貯蔵容器132は、円筒状の粉体付与部140の粉体保持面142の軸方向に沿って配置された開口部を有する。
搬送部材134は、回転する円柱形状のブラシやスポンジであり、貯蔵容器132の内部で粉体付与部140とは逆方向に回転することにより、貯蔵容器132内に貯蔵された粉体Pを貯蔵容器132の開口部にまで搬送し、粉体付与部140の粉体保持面142に供給する。
なお、粉体付与部140は、上記構成に限定されることはなく、たとえば、貯蔵容器132内に貯蔵された粉体Pを、粉体付与部140の粉体保持面142に直接接触させる構成のものであってもよい。
粉体付与部140は、駆動モーターによって円筒状の軸を中心として、記録媒体Mの搬送方向(矢印)に沿った方向に回転する円筒状の部材であり、円筒状の側周表面を、粘着性を有する粉体保持面142としている。粉体付与部140は、上記粘着性を有する粉体保持面142に粉体Pを粘着によって保持し、ニップ部NPに粉体Pを搬送する。本実施形態では、粉体付与部140は、外径が100mmのローラーの表面に、厚さが2mm、ショアA硬度53のシリコーンゴム「RBAM2-100」(株式会社ミスミ製)を設置した、円筒状の部材である。
粉体保持面142は、粘着力(凝着力ともいう)が28kPa以上であることが好ましい。また、粉体保持面142の粘着力は、付着した粉体Pが軟化した樹脂製画像Rに接触したときに、粉体保持面142から樹脂製画像Rへと粉体Pが転写される程度であることが好ましい。この観点から、粉体保持面142の粘着力は、470kPa以下であることが好ましく、350kPa以下であることがより好ましい。このような粉体保持面142を構成する材料の例には、フッ素ゴム、シリコーンゴム、およびウレタンゴムなどが含まれる。なお、粉体保持面142を構成する材料はゴム材料に限定されることはなく、粉体を保持することが可能な粘着力を有していれば、他の樹脂材料や金属材料であってもよい。
上記粘着力は、タッキング試験機「FSR-1000」(株式会社レスカ製)を用いて測定することができる。粘着力は、試料表面にプローブの先端を押しつけて引き剥がす際に必要な力を粘着力として測定することができる。たとえば、上記粘着力の測定は、以下の条件で測定することができる。なお、粘着力は、プローブの先端の面積を元に、圧力に換算することができる。
(測定条件)
(1)プローブ径:直径10mm
(2)押しつけ速度:5mm/秒
(3)押しつけ圧力:50kPa
(4)押し付け保持時間:1秒
(5)プローブ引き上げ速度:5mm/秒
(6)測定温度:20℃
粉体付与部140は、記録媒体Mの搬送経路上における軟化部120の下流側、かつ記録媒体Mに対して樹脂製画像Rが形成された主面側に配置されている。なお、軟化部120が加熱によって樹脂製画像Rを軟化させるときは、樹脂製画像Rからの熱が粉体付与部140にも伝わるため、粉体保持面142を構成する材料は、耐熱性を有することが好ましく、このような観点からは、上述したゴム材料のうち、シリコーンゴム(粘着力:82kPa)が好ましい。
摺擦部150は、粉体付与部140の回転方向に対して粉体供給部130の下流側に配置されており、粉体付与部140の粉体保持面142に接触しつつ、円筒形状の軸を中心にして回転することにより、粉体保持面142を摺擦する。摺擦部150の形状は、円筒状、楕円筒状、多角柱状などであればよいが、円筒状であることが好ましい。
摺擦部150は、粉体付与部140の粉体保持面142に当接しつつ、粉体付与部140と同じ方向に回転することにより、粉体保持面142を摺擦する。なお、摺擦部150の、粉体保持面142を摺擦する側周表面は、粉体Pを収容するための空隙を有する材料で構成されていることが好ましい。上記材料の例には、ブラシ、スポンジおよび不織布などの多孔質材料が含まれる。上記空隙を有する摺擦部150は、回転する粉体付与部140の粉体保持面142を摺擦したときに、粉体保持面142に付着していない余分な粉体Pを上記空隙に捕捉して除去することができる。上記観点から、摺擦部150は、除去した粉体を回収する粉体回収部(不図示)を有していてもよい。粉体回収部は、エアー吸引方式のものでもよいし、ローラーやブレード形態の部材を摺擦部150の側周表面に当接させ、摺擦部150の側周表面を構成する材料の復元力によって上記空隙から粉体Pをはじき出す構成のものであってもよい。
このとき、摺擦部150は、円筒形状の軸を中心にして回転する構成であるため、空隙に捕捉されて収容された粉体Pを回転方向に運搬し続けることができるため、粉体保持面142と摺擦部150とのニップ部に粉体Pを堆積させることなく、粉体保持面142から余分な粉体Pを除去することができる。またこれにより、摺擦部150による粉体保持面142の摺擦性を安定化させることができる。
摺擦部150の摺擦により、粉体保持面142には、1層分の粉体Pが直接粘着された状態で残される。このとき、粉体Pが非球形状であれば、摺擦部150の摺擦により、粉体保持面142に対する粉体Pの方向性を揃える(配向させる)こともできる。これにより、粉体保持面142から樹脂製画像Rに配向した状態で粉体Pを転写させることができる。特に、粉体Pが金属粒子や金属酸化物粒子であるときは樹脂製画像Rに転写した粉体Pを配向させることにより、加飾画像の光沢感を高めることができる。また、粉体Pが配向していると、樹脂製画像Rと粉体Pとの接触面積をより大きくして、樹脂製画像Rからの粉体Pの剥離が生じにくい。
このとき、摺擦部150の回転方向が粉体付与部140の回転方向と同じ方向であるため、粉体付与部140に対する摺擦部150の相対速度(摺擦速度)をより高速化して、摺擦効果をより高めることができる。ただし、回転する粉体付与部140との相対速度差により粉体保持面142を摺擦できる限りにおいて、摺擦部150は回転していなくてもよいし、粉体付与部140と逆方向に異なる速度で回転していてもよい。
粉体付与部140の粉体保持面142に対する摺擦部150の押圧力は、1~10kPaであることが好ましく、1~5kPaであることがより好ましい。上記範囲であれば、粉体付与部140の粉体保持面142を安定して摺擦することができ、かつ摺擦部150を回転させるためのトルクが過剰になることによる、摺擦部150の駆動ムラの発生や、摺擦部150および粉体付与部140の材料劣化を生じにくくすることができる。
対向部材160は、ニップ部NPにおいて記録媒体Mと粉体付与部140とを互いの方向に押圧することにより、粉体付与部140の粉体保持面142に保持された粉体Pを、記録媒体Mの主面上に形成された樹脂製画像Rに転写させる。このとき、樹脂製画像Rは、軟化部120によって軟化されて接着性を発現しているため、上記ニップ部NPを通過するときの押圧によって、粉体Pを転写されて接着保持することができる。
余剰粉体回収部170は、ニップ部NPにおいて粉体付与部140から記録媒体Mまたは搬送部110に付与された粉体Pであって、樹脂製画像Rに接着保持されなかった余剰の粉体Pを回収する。余剰粉体回収部170は、搬送部110による記録媒体Mの搬送方向におけるニップ部NPの下流側、かつ記録媒体Mに樹脂製画像Rが形成された表面(主面)側に配置される。
余剰粉体回収部170は、たとえば、エアー吸引によって粉体Pを吸引する構成であればよいが、これに限定されることはない。
粉体除去部180は、ニップ部NPにおいて粉体付与部140から樹脂製画像R、記録媒体Mまたは搬送部110に付与されず、粉体付与部140の粉体保持面142に残存した粉体Pを除去する。粉体除去部180は、粉体付与部140の回転方向に対してニップ部NPの下流側、かつ粉体供給部130の上流側(かつ残存量測定部190の上流側)に、粉体付与部140に沿って配置されている。
本実施形態において、粉体除去部180は、粉体保持面142を摺擦する位置に配置された除去部材182と、除去部材182の摺擦によって粉体保持面142から除去された粉体Pを受け止めて貯蔵する受止容器184と、受止容器184に貯蔵された粉体Pを回収する除去粉体回収部186と、を有する。
除去部材182は、直毛ブラシ、ループブラシなどのブラシや、回転するスポンジなどとすることができる。除去部材182は、位置調整部(不図示)により、粉体保持面142に近づいたり遠ざかったりする方向に位置調整可能に構成され、上記位置調整により、粉体保持面142への除去部材182の押し込み量を変化させ、除去部材182による粉体保持面142の摺擦力の大きさ(除去条件)を変化させることができる。たとえば、除去部材182の軸に偏芯カム(不図示)を当接させれば、当該偏芯カムの位置を変更することで、粉体保持面142への除去部材182の押し込み量を変化させることができる。
受止容器184は、円筒状の粉体付与部140の粉体保持面142の軸方向に沿って配置された開口部を有する容器であり、除去部材182の鉛直方向下方側を被覆して、除去部材182の摺擦により粉体保持面142から除去された粉体Pを一時的に貯蔵する。
除去粉体回収部186は、たとえば、余剰粉体回収部170と同様にエアー吸引によって粉体Pを吸引する構成であればよいが、これに限定されることはない。
また、粉体除去部180は、除去部材182に付着した粉体Pを回収する回収部(不図示)を有してもよい。除去部材182に付着した粉体Pを回収することにより、繰り返し使用による除去部材182の除去効率の低下を抑制したり、除去部材182に付着した粉体Pの粉体付与部140への再付着を抑制したりすることができる。上記回収部は、エアー吸引によって除去部材182に付着した粉体Pを回収してもよいし、ローラーやブレード状の部材を除去部材182に当接させて、除去部材182から粉体Pを擦り取ってもよい。
残存量測定部190は、粉体除去部180による除去後に、粉体付与部140の粉体保持面142に残存した粉体Pの残存量を測定する。粉体除去部180は、粉体付与部140の回転方向に対して粉体除去部180の下流側、かつ粉体供給部130の上流側に、粉体付与部140に沿って配置されている。
本実施形態において、残存量測定部190は、粉体Pの残存量を光学的に測定する光学センサーであり、所定の波長・光量の光を粉体保持面142に照射する照射部192と、照射部192から照射されて粉体保持面142で正反射した正反射光を受光して上記正反射光の光量を測定する、受光部194とを有する。このとき、受光部194が測定する光量は、粉体保持面142に残存した粉体P(金属粒子)の量によって増減する。たとえば、より多量の粉体Pが粉体保持面142に残存しているときは、受光部194が測定する光量はより多くなり、より少量の粉体Pが粉体保持面142に残存しているときは、受光部194が測定する光量はより少なくなる。残存量測定部190は、受光部194が測定した上記正反射光の光量に基づいて、粉体保持面142に残存した粉体の量の多少を判定することができる。本実施形態では、照射部192として白色LEDを用い、受光部194としてフォトダイオードを用いている。
図2は、粉体保持面142として用いる材料であるシリコーンゴム「RBAM2-100」の表面に、紛体であるエルジーneo#325(堀金箔粉株式会社)(金属粒子の集合体)を配向させて付着させた試料の、金属粒子の集合体による被覆率と、正反射光の光量と、の関係を示すグラフである。図2の横軸は、デジタルマイクロスコープ「VFX-6000」(株式会社キーエンス製)を用いて倍率200倍で試料表面を観察し、撮像された画像を同デジタルマイクロスコープに付属されている画像処理ソフトにより2値化して得られた、試料表面の紛体による被覆率である。図2の縦軸は、変度光度計(ゴニオフォトメーター)「GP-5」(株式会社村上色彩技術研究所製)により、測定角を45°として試料表面で反射した正反射光を測定して得られた、試料表面における正反射光の光量である。なお、図2の縦軸は、SUS製基準板を同様に測定したときの正反射光の光量を20としたときの相対値を示している。
図2に示すように、粉体保持面142上の粉体P(ここでは金属粒子の集合体)の被覆量が増えると、正反射光の光量も多くなることがわかる。この結果から、粉体付与部140の回転方向におけるニップ部NPの下流側での、粉体保持面142で反射した正反射光の光量を測定することにより、粉体保持面142上の粉体Pの残存量(被覆量)を測定することができることがわかる。
なお、残存量測定部190は、他の光学センサーであってもよい。たとえば、粉体Pが金属以外の光を反射しにくい材料であるときは、残存量測定部190にイメージセンサーを用いて粉体Pによる粉体保持面142の被覆量(被覆率)を求めて、当該被覆率を、粉体保持面142上の粉体Pの残存量としてもよい。また、残存量測定部190は、粉体付与部140に残存した粉体の残存量を定量的に測定できる限りにおいて、他の種類の測定機器であってもよい。
(粉体の除去条件と除去効率)
ここで、図3は、粉体除去部180(除去部材182)による摺擦力の大きさと、粉体除去部180により粉体Pを除去した後の粉体保持面142の、粉体による被覆率と、の関係を示すグラフである。図3は、図1に示す粉体付与部140、粉体供給部130、摺擦部150および粉体除去部180のみを有する画像形成装置(樹脂製画像に粉体Pを転写しない構成の画像形成装置)を用いたときの測定結果である。このとき、粉体付与部140は、外径が100mmのローラーの表面に、厚さが2mm、ショアA硬度53、粘着力82kPaのシリコーンゴム「RBAM2-100」(株式会社ミスミ製)を設置した、円筒状の部材を用いて、100mm/秒の速度で回転させた。粉体供給部130は、合成ゴムによるスポンジ製の、厚みが7mm、外径が24mmのローラーを搬送部材134として用い、200mm/secの速度で粉体付与部140とは逆方向に回転させた。このときの搬送部材134の押し込み量は、0.5mmとした。摺擦部150は、合成ゴムによるスポンジ製の、厚みが7mm、外径が24mmのローラーを用い、100mm/secの速度で粉体付与部140と同じ方向に回転させた。このときの摺擦部150の押し込み量は、0.5mmとした。
除去部材182による摺擦力は、図4に示す構成の装置により測定した。ロードセル410である「LVS-500GA」(株式会社共和電業)に直径0.8mmの針金420を取り付け、針金420を粉体付与部140の粉体保持面142に垂直に押し込んで、粉体付与部140を10mm/秒の速度で回転させたときにロードセル410に印加された応力を測定した。粉体付与部140を2回転させたときの、測定された応力の平均値を、当該除去部材による摺擦力とした。
図3は、除去部材182による摺擦力を変化させたときの、上記構成(粉体付与部140、粉体供給部130および摺擦部150のみを有する構成)を有する画像形成装置の粉体付与部140を5回転させた後の、粉体付与部140の粉体保持面142に残存した粉体Pの量を測定した結果である。なお、粉体保持面142に残存した粉体Pの量は、デジタルマイクロスコープ「VFX-6000」(株式会社キーエンス製)を用いて倍率200倍で試料表面を観察し、撮像された画像を同デジタルマイクロスコープに付属されている画像処理ソフトにより2値化して得られた、粉体保持面142表面の粉体Pによる被覆率とした。
図3に示すように、除去部材182による摺擦力を高めたとき、所定の摺擦力(図3では約190mN)までは粉体による被覆率(粉体保持面142に残存した粉体Pの量)は減少しない。つまり、上記所定の摺擦力までは、粉体保持面142に残存した粉体Pを除去できていない。一方で、摺擦力が約200mN~210mNを超えると粉体による被覆率が低下しはじめ、粉体保持面142に残存した粉体Pが除去されはじめることがわかる。つまり、この条件では、粉体保持面142に残存した粉体Pを除去するためには、除去部材182による摺擦力を約200mN~210mN以上とする必要があることがわかる。
なお、除去部材182による摺擦力は、粉体付与部140への除去部材182の押し込み量によって変化させることができる。図5は、除去部材182としてポリエチレンテレフタレート(PET)製のループブラシである「3d-225kF」(東英産業株式会社製)を用い、粉体付与部140への除去部材182の押し込み量を変化させたときの、図3と同様に測定した粉体による被覆率(粉体保持面142に残存した粉体Pの量)の変化を示すグラフである。
図5に示すように、除去部材182の押し込み量を大きくしたとき、所定の押し込み量までは粉体による被覆率(粉体保持面142に残存した粉体Pの量)は減少しない。つまり、上記所定の押し込み量までは、粉体保持面142に残存した粉体Pを除去できていない。一方で、押し込み量が約1.0mmを超えると粉体による被覆率が低下しはじめ、粉体保持面142に残存した粉体Pが除去されはじめることがわかる。つまり、この条件では、粉体保持面142に残存した粉体Pを除去するためには、除去部材182による押し込み量を約1.0mm以上とする必要があることがわかる。
なお、粉体除去部180による残存した粉体Pの除去効率は、除去部材182の材質など、様々な要因によっても変化する。表1は、除去部材182の形状、材質、繊維の太さおよび密度、ブラシの長さ、スポンジの厚み、および除去部材182の押し込み量を変化させたときの、図3において測定したときと同様の方法で測定した摺擦力を示す表である。表1中、「PET」はポリエチレンテレフタレートを、「PI」はポリイミドを、それぞれ表す。
Figure 0007371475000001
表1に示すように、粉体付与部140に残存した粉体Pの除去効率(摺擦力)は、様々な要因で変化する。そのため、摺擦力や押し込み量を一律に定めることは難しく、適宜最適な除去条件を定めることが望ましい。
(粉体の除去条件の設定)
図3および図5に示すように、除去部材182による摺擦力を高めたり、除去部材182の押し込み量を大きくしたりするほど、除去部材182による粉体保持面142に残存する粉体Pの除去効率は高まる。しかし、上記摺擦力を高めたり押し込み量を大きくしたりすると、除去部材182による粉体付与部140の粉体保持面へのダメージも大きくなり、粉体付与部140の耐久性が低下してしまう。そのため、本実施形態では、粉体付与部140に残存した粉体Pを除去できる除去条件のうち、摺擦力・押し込み量がなるべく小さくなるような除去条件(たとえば、図3では摺擦力が約200mN~250mN、図5では押し込み量が約1mm)で、粉体付与部140に残存した粉体Pを除去することが望ましい。
図6は、本実施形態における、粉体付与部140に残存した粉体Pの除去条件の設定方法を示すフローチャートである。
除去条件の設定を開始すると、粉体除去部180は、粉体保持面142に残存した粉体Pの除去効率が最低となる除去条件(最低条件)で粉体保持面142に残存した粉体Pを除去(除去部材182で摺擦)するように、除去条件(除去部材182による摺擦力・粉体保持面142への除去部材182の押し込み量)を設定する。そして、この最低条件で粉体保持面142を摺擦して、残存した粉体Pを除去する(工程S110)。最低条件は、粉体保持面142に残存した粉体Pが除去されないような条件として、予め設定すればよい。そして、残存量測定部190は、このときの粉体除去部180による除去後に、粉体保持面142に残存した粉体Pの残存量を測定する(工程S120)。
次に、粉体除去部180は、最低条件よりも1段階だけ除去効率を高めた除去条件で粉体保持面142を摺擦して、残存した粉体Pを除去する(工程S130)。除去効率を1段階高めるときに、除去部材182による摺擦力や粉体保持面142への除去部材182の押し込み量をどの程度変化させるかは、本フローの実施効率(フロー終了までの時間)などに応じて、適宜定めればよい。そして、残存量測定部190は、このときの粉体除去部180による除去後に、粉体保持面142に残存した粉体Pの残存量を測定する(工程S140)。
その後、画像形成装置100(具体的には、不図示のCPUなどの制御部)は、工程S140測定された除去効率を1段階高めた条件による粉体Pの除去後の残存量が、工程S120で測定された最低条件による粉体Pの除去後の残存量よりも減少したかどうかを判定する(工程S150)。残存量が減少したか否かは、残存量測定部190の受光部194が測定した正反射光の光量が減少したか否かや、粉体保持面142に残存した粉体Pの被覆率が減少したか否かなどにより判定することができる。
そして、工程S150において、除去後の残存量が減少していないと判定されたとき(工程S150、「NO」)は、工程S130にフローを戻し、1段階だけ除去効率を高めた除去条件で粉体Pを除去し(工程S130)、そのときに粉体保持面142に残存した粉体Pの残存量を測定し(工程S140)、残存量が減少したかどうかを判定する(工程S150)。これらのフローは、工程S150において、除去後の残存量が減少したと判定されるまで繰り返される。
一方で、工程S150において、除去後の残存量が減少したと判定されたとき(工程S150、「YES」)は、そのときの除去条件が、粉体Pが除去されはじめる条件である可能性がある。ただし、この残存量の低下が、測定結果のばらつきにより一時的に低下しただけの可能性もある。そのため、粉体除去部180は、さらに1段階だけ除去効率を高めた除去条件で粉体Pを除去し(工程S160)、そのときに粉体保持面142に残存した粉体Pの残存量を測定し(工程S170)、残存量が減少したかどうかを判定する(工程S180)。
工程S180において、除去後の残存量が減少していないと判定されたとき(工程S180、「NO」)は、工程S150で判定された残存量の低下は測定結果のばらつきであると判断される。そして、工程S130にフローを戻し、1段階だけ除去効率を高めた除去条件で粉体Pを除去し(工程S130)、そのときに粉体保持面142に残存した粉体Pの残存量を測定し(工程S140)、残存量が減少したかどうかを判定する(工程S150)。これらのフローは、工程S150において、除去後の残存量が減少したと判定されるまで、さらに繰り返される。
一方で、工程S180において、除去後の残存量が減少したと判定されたとき(工程S180、「YES」)は、2回連続で残存量が減少しているので、前回の除去条件(最後に行った工程S130で設定した除去条件)が、粉体Pが除去されはじめる除去条件であったと判断される。図3および図5に示すように、粉体Pが除去されはじめる除去条件に対して、除去効率をより高めていくと、残存量は除去効率の高まりに応じて減少していく。そのため、除去効率を段階的に高めていったときに、2回連続で残存量が減少しているときは、その1回目の除去条件が、残存量が減少しはじめる変曲点であると判断することができる。
そして、画像形成装置100は、粉体Pを除去することができ、かつ粉体付与部140へのダメージが少ない、前回の除去条件(最後に行った工程S130で設定した除去条件)に除去条件を設定して(工程S190)、その後の粉体Pの除去を行う。
(粉体の除去を行うタイミング)
粉体除去部180による粉体Pの除去は、樹脂製画像Rへの粉体Pの付与中に連続的に行ってもよいし、所定のタイミングで行ってもよい。
たとえば、粉体付与部140の交換時や、画像形成装置100の電源のON時に、粉体付与部140を清掃してきれいな状態で加飾画像を形成するために、上述した粉体除去部180による粉体Pの除去を行ってもよい。あるいは、画像形成装置100の電源のOFF時や、粉体付与部140が所定の時間動作した時などの、粉体付与部140に粉体Pが多く付着していることが見込まれるときに、上述した粉体除去部180による粉体Pの除去を行ってもよい。あるいは、加飾画像への画像メモリが認められるときなどに、使用者が残存した粉体Pの除去を画像形成装置100に指示ときに、上述した粉体除去部180による粉体Pの除去を行ってもよい。
(効果)
以上のように構成された本実施形態によれば、樹脂製画像Rへの粉体Pの付与後に粉体付与部140に残存した粉体Pを除去することができ、このときの粉体除去部180による粉体付与部140へのダメージも少なくすることができる。
[変形例1]
画像形成装置100は、上述した粉体付与部140からの粉体Pの除去を加飾画像の形成時のみに行ってもよいが、加飾画像の形成を行わずに粉体付与部140からの粉体Pの除去のみを行ってもよい。つまり、画像形成装置100は、粉体付与部140が樹脂製画像Rの表面に粉体Pを付与して加飾画像を形成しているときに、粉体付与部140に残存した粉体Pを粉体除去部180が除去する態様(同時清掃モード)と、粉体付与部140が樹脂製画像Rの表面に粉体Pを付与しておらず加飾画像を形成していないときに、粉体付与部140に残存した粉体Pを粉体除去部180が除去する態様(独立清掃モード)と、を切り替え可能であってもよい。
独立清掃モードでは、粉体供給部130から粉体付与部140への粉体Pの供給を停止しながら、粉体付与部140を回転させ、同時に粉体除去部180および残存量測定部190を動作させればよい。独立清掃モードでは、粉体付与部140へ粉体Pの供給がされない状態で、粉体付与部140に残存した粉体Pを除去できるので、粉体付与部140に残存した粉体Pをより確実に除去することができる。これにより、粉体付与部140に付着し続ける粉体Pを除去して、上記付着し続ける粉体Pによる粉体付与部140の変形を抑制したりすることもできる。
独立清掃モードは、粉体付与部140の交換時や、画像形成装置100の電源のON時に、粉体付与部140を清掃してきれいな状態で加飾画像を形成するために行ってもよい。あるいは、画像形成装置100の電源のOFF時や、粉体付与部140が所定の時間動作した時などの、粉体付与部140に粉体Pが多く付着していることが見込まれるときに行ってもよい。あるいは、加飾画像への画像メモリが認められるときなどに、使用者が残存した粉体Pの除去を画像形成装置100に指示ときに行ってもよい。
このとき、画像形成装置100は、同時清掃モードにおいて粉体付与部140から粉体Pを除去する除去条件と、独立清掃モードにおいて粉体付与部140から粉体Pを除去する除去条件と、を異なる除去条件としてもよい。たとえば、独立清掃モードにおける除去条件を、より除去効率(除去部材182による摺擦力・粉体保持面142への除去部材182の押し込み量)を強くした条件とし、ただし独立清掃モードを短時間のみ行うことで、粉体除去部による粉体付与部へのダメージを少なくしつつ、粉体付与部140に残存した粉体Pを効率的に除去してもよい。
また、画像形成装置100は、残存量測定部190が測定した、粉体付与部140への粉体Pの残存量が所定値以下となったときには、粉体付与部140に残存した粉体Pが十分に除去されたと判断して、独立清掃モードを終了してもよい。たとえば、画像形成装置100は、残存量測定部190の受光部194が受光した正反射光の光量が所定値以下になったときや、残存量測定部190が測定した粉体Pによる粉体保持面142の被覆量が所定値以下になったときに、独立清掃モードを終了してもよい。これにより、独立清掃モードを長時間行うことを抑制し、粉体付与部140へのダメージを寄り少なくすることができる。
あるいは、画像形成装置100は、独立清掃モードの開始後に所定の時間が経過した時点で、独立清掃モードを終了してもよい。
このような変形例によれば、独立清掃モードにより粉体付与部140へ残存した粉体Pをより確実に除去することができるため、画像メモリをより発生しにくくすることができる。
[変形例2]
画像形成装置100は、上述した粉体付与部140からの粉体Pの除去を加飾画像の形成時に常に行っていてもよいが、加飾画像の形成時に上述した粉体付与部140からの粉体Pの除去を行わないようにしてもよい。つまり、画像形成装置100は、粉体付与部140が樹脂製画像Rの表面に粉体Pを付与して加飾画像を形成しているときに、粉体付与部140に残存した粉体Pを粉体除去部180が除去するモード(同時清掃モード)と、粉体付与部140が樹脂製画像Rの表面に粉体Pを付与して加飾画像を形成しているときに、粉体付与部140に残存した粉体Pを粉体除去部180が除去しない態様(非清掃モード)と、を切り替え可能であってもよい。このとき、画像形成装置100は、同時清掃モードおよび非清掃モードとともに、独立清掃モードを切り替え可能であってもよい。
つまり、画像形成装置100は、粉体除去部180が、同時清掃モードおよび独立清掃モードの実行時には粉体付与部140の粉体保持面142に除去部材182を当接させ、非清掃モードの実行時には粉体付与部140の粉体保持面142から除去部材182を離間させるような、当接離間機構を有する。
非清掃モードでは、粉体除去部180が粉体付与部140の粉体保持面142を摺擦せずに、加飾画像を形成する。そして、粉体付与部140への粉体Pの残量量が多くなったときや、上記残留量が多くなったと見込まれるときには、同時清掃モードまたは独立清掃モードを実行して、粉体付与部140に残量した粉体Pを除去する。これにより、粉体除去部180による粉体付与部140の摺擦時間を短くして、粉体除去部180による粉体付与部140へのダメージをより少なくすることができる。
[変形例3]
画像形成装置100は、上述した構成に加えて、樹脂製画像Rを形成する樹脂製画像形成部を有してもよい。図7は、電子写真方式によりトナー画像としての樹脂製画像を形成するトナー画像形成部60を有する画像形成装置10の全体構成を概略的に示す模式図である。
トナー画像形成部60は、電子写真方式によりトナー画像を形成する公知のカラープリンタと同様の構成を有している。トナー画像形成部60は、画像読取部、画像形成部、記録媒体搬送部、給記録媒体部、データ受付部、制御部および定着部27を有する。
画像読取部は、光源11、光学系12、撮像素子13、および画像処理部14を有する。
画像読取部は、光源11から照射された光は、読取面に載置された原稿に照射され、その反射光は光学系12のレンズおよび反射鏡を介して、読取り位置に移動した撮像素子13に結像する。撮像素子13は、原稿からの反射光の強度に応じて電気信号を生成する。生成された電気信号は、画像処理部14において、アナログ信号からデジタル信号に変換された後、補正処理、フィルター処理、画像圧縮処理等が施され、画像データとして画像処理部14のメモリに記憶される。こうして、画像読取部は、原稿の画像を読み取り、画像データを記憶する。
画像形成部は、イエロー(Y)トナーからなる画像を形成する画像形成部、マゼンタ(M)トナーからなる画像を形成する画像形成部、シアン(C)トナーからなる画像を形成する画像形成部、ブラック(K)トナーからなる画像を形成する画像形成部、および、中間転写ベルト26を有する。なお、Y、M、CおよびKは、トナーの色を表している。
画像形成部は、回転体としての感光体ドラム21、ならびにその周囲に配置された帯電部22、光書込部23、現像装置24およびドラムクリーナー25を有している。中間転写ベルト26は、複数のローラーにより巻回され、走行可能に支持されている。
感光体ドラム21は、ドラムモーターにより所定の速度で回転する。帯電部22は、感光体ドラム21の表面を所望の電位に帯電させ、光書込部23は、画像データに基づいて、画像情報信号を感光体ドラム21に書き込み、感光体ドラム21に画像情報信号に基づく潜像を形成する。そして潜像は現像装置24により現像され、感光体ドラム21上に可視画像であるトナー画像が形成される。このようにして、YMCKの各画像形成部の感光体ドラム21に、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの未定着のトナー画像が形成される。こうして、画像形成部は、電子写真方式の画像形成プロセスを用いてトナー画像を形成する。
YMCKの各画像形成部により形成された各色のトナー画像は、走行する中間転写ベルト26上に一次転写部により逐次転写される。こうして、中間転写ベルト26上に、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各色のトナー層が重畳したカラートナー画像が形成される。
記録媒体搬送部では、記録媒体Mは、送り出しローラー31およびさばきローラー32によって給記録媒体部の給記録媒体トレイ41、42、43から一枚ずつ搬送経路に送り出される。搬送経路に送り出された記録媒体Mは、搬送ローラー33によって搬送経路に沿ってループローラー34およびレジストローラー35を経て2次転写ローラーに搬送される。そして、記録媒体M上に中間転写ベルト26上のカラートナー画像が転写される。
カラートナー画像が転写された記録媒体Mに、定着部27にて熱と圧力とが加えられることにより、記録媒体M上のカラートナー画像がカラートナー層として記録媒体Mに定着される。こうして、記録媒体M上に形成された樹脂層を含む樹脂製画像が作製される。記録媒体M上に形成された樹脂層を含む樹脂製画像は、排記録媒体ローラー36を経て、第1の実施形態に関する画像形成装置100(表面処理部)に送られる。
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を有する。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがって、画像読取部、画像形成部、記録媒体搬送部、給記録媒体部、および表面処理部を制御し、演算結果などをRAMに記憶する。また、制御部は、外部から受信された印刷データを解析して、ビットマップ形式の画像データを生成し、画像データに基づく画像を記録媒体M上に形成する制御を行う。上記プログラムには、表面処理部における軟化剤供給量を調整するためのプログラム、および、摺擦条件を設定するためのプログラムが含まれている。
また、制御部は、不図示の通信部を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(WideArea Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で、各種データの送受信を行う。制御部は、例えば、外部の装置から送信された画像データ、または、データ受付部が受け付けた、形成すべき加飾画像に関する入力されたデータを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて記録媒体Mに画像を形成させる。通信部は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
トナー画像形成部60によって形成された樹脂製画像は、加飾画像形成部としての画像形成装置100に搬送され加飾される。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、上記実施形態によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
たとえば、粉体付与部140の周長を記録媒体Mの搬送方向における幅よりも長くすることで、粉体保持部121の単位面積あたりに残存する粉体Pの量を少なくして、画像メモリの発生を抑制してもよい。あるいは、粉体付与部140の周長を、記録媒体Mの搬送方向における幅と搬送される記録媒体M間の間隔との和の、整数倍とすることで、樹脂製画像のうち加飾すべき領域に対応する粉体保持面142のみに粉体を供給しながら加飾画像を形成するようにして、画像メモリの発生を抑制してもよい。特に非清掃モードの実行により画像メモリが発生しやすくなると見込まれるときなどは、これらの方法の併用が有効である。
また、変形例3における樹脂製画像の形成は、電子写真方式によるトナー画像の形成ではなく、インクジェット法、オフセット印刷法やグラビア印刷法などによるインク画像の形成であってもよい。
[効果確認試験]
除去部材182としてPET製のループブラシ(表1のNo.3)を用い、粉体付与部140への押し込み量を変化させたときの、画像メモリの発生と、粉体付与部140へのダメージを調べた。
粉体付与部140は、外径が100mmのローラーの表面に、厚さが2mm、ショアA硬度53、粘着力82kPaのシリコーンゴム「RBAM2-100」(株式会社ミスミ製)を設置した、円筒状の部材を用いて、100mm/秒の速度で回転させた。粉体供給部130は、合成ゴムによるスポンジ製の、厚みが7mm、外径が24mmのローラーを搬送部材134として用い、200mm/secの速度で粉体付与部140とは逆方向に回転させた。このときの搬送部材134の押し込み量は、0.5mmとした。摺擦部150は、合成ゴムによるスポンジ製の、厚みが7mm、外径が24mmのローラーを用い、100mm/secの速度で粉体付与部140と同じ方向に回転させた。このときの摺擦部150の押し込み量は、0.5mmとした。対向部材160は、直径が100mmの金属製ローラーとし、粉体付与部140に従動して粉体付与部140とは反対方向に回転させた。ニップ部NPへの圧力は100kPaとした。
電子写真方式による樹脂製画像形成部である「AccurioPressC2060」(コニカミノルタ株式会社製)を用い、搬送方向における幅が420mmの記録媒体Mに、図8Aに示す形状のベタ画像をトナーにより形成し、樹脂製画像Rとした。なお、樹脂製画像Rは、粉体の付与量が異なると見込まれる領域801、領域802および804が形成されるような形状とした。つまり、領域804は、粉体付与部140が領域801に粉体を付与した後、粉体供給部130を再度通過して、粉体供給部130から1回供給された分のみの粉体が付着した後に、粉体付与部140が樹脂製画像Rを通過する領域である。また、領域801および802は、回転する粉体付与部140が粉体供給部130を複数回通過しており、粉体除去部180が良好に作用しない場合、粉体付与部140に多量の粉体が付着した後に、粉体付与部140が樹脂製画像Rを通過することになる領域である。
粉体Pとしてエルジーneo#325を用い、粉体付与部140および対向部材160を170℃に加熱して、粉体除去部180を動作させながら(同時清掃モード)加飾画像を形成した。
除去部材182の押し込み量を1mm(適正値)としたとき、0.5mm(除去効率不足)としたとき、および1.5mm(除去効率過剰)としたときの、領域802と領域804との間に、目視で光沢差を認識できる程度の量の粉体Pが付着しているか否かを観察し、画像メモリの評価結果とした。つまり、領域802と領域804との間の光沢差を目視で認識できるときは、画像メモリの評価を「×」とし、領域802と領域804との間の光沢差を目視で認識できないときは、画像メモリの評価を「○」とした。
除去部材182の押し込み量を同様に変化させて、同時清掃モードによる画像形成を10分間行った後の、粉体保持面142への傷の有無を観察して、ダメージの評価結果とした。つまり、粉体保持面142への傷の発生が認められたときは、ダメージの評価を「×」とし、粉体保持面142への傷の発生が認められないときは、ダメージの評価を「○」とした。
表2に、それぞれの押し込み量における画像メモリおよびダメージの評価結果を示す。
Figure 0007371475000002
表2に示すように、除去条件が適正であると、画像メモリの発生も粉体保持面142への傷の発生も抑制されていた。これに対し、除去条件を弱めると、粉体保持面142への傷の発生は抑制されていたものの、画像メモリは発生しやすくなっていた。また、除去条件を強めると、画像メモリの発生は抑制されていたものの、粉体保持面142へ傷が発生しやすくなっていた。
本発明は、加飾画像を形成する際の画像メモリを抑制しつつ、粉体付与部の寿命を延ばすことができる。そのため、本発明は、加飾画像を形成する画像形成装置として好適である。
10 画像形成装置
11 光源
12 光学系
13 撮像素子
14 画像処理部
21 感光体ドラム
22 帯電部
23 光書込部
24 現像装置
25 ドラムクリーナー
26 中間転写ベルト
27 定着部
31 送り出しローラー
32 さばきローラー
33 搬送ローラー
34 ループローラー
35 レジストローラー
36 排記録媒体ローラー
41~43 給記録媒体トレイ
60 トナー画像形成部
100 画像形成装置
110 搬送部
120 軟化部
130 粉体供給部
132 貯蔵容器
134 搬送部材
140 粉体付与部
142 粉体保持面
150 摺擦部
160 対向部材
170 余剰粉体回収部
180 粉体除去部
182 除去部材
184 受止容器
186 除去粉体回収部
190 残存量測定部
192 照射部
194 受光部
410 ロードセル
420 針金
801 領域
802 領域
804 領域
M 記録媒体
P 粉体
R 樹脂製画像

Claims (12)

  1. 粉体を保持して樹脂製画像に前記粉体を搬送し、かつ前記樹脂製画像の表面に前記粉体を付与する、粉体付与部と、
    前記付与後に、前記粉体付与部に残存した前記粉体を前記粉体付与部から除去する粉体除去部と、
    前記除去後に、前記粉体付与部に残存した前記粉体の残存量を測定する、光学センサーである残存量測定部と、
    を有し、
    前記残存量測定部は、前記粉体付与部に光を照射する照射部と、前記粉体付与部で反射された前記光を受光する受光部と、を有し、
    前記粉体除去部は、前記受光部が受光した前記光の光量に応じて、前記反射された光の光量が多いほど前記粉体を除去する除去効率を高めるように、記除去条件を変更する、
    画像形成装置。
  2. 前記粉体付与部は、粘着性を有する表面に前記粉体を付着させて前記粉体を搬送する、
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記粉体除去部は、前記除去条件を段階的に変更させたときに前記残存量測定部が測定した前記残存量が変化した除去条件で、前記粉体を除去する、
    請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記粉体除去部は、前記粉体付与部の交換時、電源のON時、電源のOFF時、前記粉体付与部が所定の時間動作した時、または前記残存した粉体の除去を指示された時に、前記残存した粉体を除去する、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記粉体除去部は、前記粉体付与部が前記樹脂製画像の表面に前記粉体を付与しているときに前記残存した粉体を除去する同時清掃モードと、前記粉体付与部が前記樹脂製画像の表面に前記粉体を付与していないときに前記残存した粉体を除去する独立清掃モードと、を切り替え可能である、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記粉体除去部は、前記同時清掃モードにおける前記除去条件と、前記独立清掃モードにおける前記除去条件と、を異なる除去条件とする、
    請求項に記載の画像形成装置。
  7. 前記粉体除去部は、前記独立清掃モードの実行時に前記残存量測定部が測定した前記残存量が所定値以下となったときに前記独立清掃モードの実行を終了する、
    請求項5または6に記載の画像形成装置。
  8. 前記粉体は、扁平形状である、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記粉体は、金属粒子の集合体である、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記粉体を付与される前記樹脂製画像を軟化させる軟化部を有する、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記樹脂製画像は、トナーにより形成された画像である、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 電子写真方式により前記樹脂製画像を形成するトナー画像形成部を有する。
    請求項11に記載の画像形成装置。
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