以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態である繰出し容器1を例示説明する。
なお、本明細書においては、上下方向はケース体10の軸線Oに沿う方向を意味し、上方は固形内容物2が繰り出される方向を意味し、下方はその反対方向を意味し、周方向は軸線Oを周回する方向を意味し、第1周方向は周方向一方側を意味し、第2周方向は周方向他方側を意味し、径方向は軸線Oと直交する直線に沿う方向を意味し、縦断面は軸線Oを含む断面を意味している。
図1に示す本発明の一実施の形態である繰出し容器1は、ケース体10を有している。ケース体10は軸線Oに沿って延びる円筒状となっており、その上端は繰出し口10aとなっている。本実施の形態では、繰出し口10aは、軸線Oに垂直な面に対して斜めに傾斜しているが、軸線Oに垂直であってもよい。
ケース体10は、その内部に固形内容物2を収納することができる。固形内容物2としては、例えば、口紅、リップクリーム、スティックアイシャドー等の化粧料、薬剤またはスティック糊などの、塗布対象物に塗布可能なものを採用することができる。本実施の形態では、固形内容物2は、略円柱状の口紅である。なお、固形内容物2とは、形状を留めておける程度の堅さを有する内容物を意味し、例えば半練り状のものなど、ある程度の柔らかさのものを含む。ケース体10に収納された固形内容物は、繰出し口10aにおいてケース体10の外部に露出している。
ケース体10に、繰出し口10aを覆うオーバーキャップ3を着脱自在に装着した構成とすることもできる。本実施の形態では、オーバーキャップ3は、周壁部3aと頂壁部3bとを備えた有頂円筒状となっており、ケース体10の繰出し口10aを含む上端から所定範囲を覆うように構成されている。ケース体10に装着された状態において、オーバーキャップ3の頂壁部3bと繰出し口10aとの間には上下方向に間隔が空けられており、固形内容物2が繰出し口10aから若干突出した状態においても、頂壁部3bを固形内容物2に触れさせることなくオーバーキャップ3をケース体10に装着して、固形内容物2の当該突出部分を保護することができるようになっている。
図1に示すように、ケース体10の内部には、繰出し部材11が回り止めされた状態で上下方向に移動可能に配置されている。繰出し部材11は、後述する操作部材12のねじ部40aにねじ結合するとともにケース体10の内部に回り止めされた状態で上下方向に移動可能に配置される軸部11aと、軸部11aの内部を通る上下方向の貫通穴11bとを有している。
本実施の形態では、繰出し部材11は、筒状の軸部11aの上端部に一体に連ねて設けられた円環状のフランジ部11cを有しており、フランジ部11cの外周面においてケース体10の内周面に対し上下方向に摺動可能となっている。また、ケース体10の内周面には上下方向に延びるリブ状の一対の案内レール部10bが設けられており、繰出し部材11は、フランジ部11cの外周面に設けられた上下方向に延びる溝状の一対の被案内部11dが、それぞれ対応する案内レール部10bに係合して上下方向に案内されることで、ケース体10の内周面に対し、回り止めされた状態で上下方向に移動可能となっている。
軸部11aとフランジ部11cとは軸線Oと同軸状に配置されており、軸部11aの内周面とフランジ部11cの内周面とで貫通穴11bが形成されている。貫通穴11bの上端部における内周面には、上面視で軸線Oを中心とする円環状をなす上面で構成される上向き段部11eが一体に設けられている。上向き段部11eの内周縁は、後述する閉塞部材13の上部プラグ13aの先端部13d(上端部)によって閉塞されている。このように、貫通穴11bは、その上端部が閉塞部材13によって閉塞されている。また、上部プラグ13aの先端部13dの外周面には、上向き段部11eよりも上方に配置されるとともに底面視で軸線Oを中心とする円環状をなす下面で構成される下向き段部13eが一体に設けられている。
固形内容物2は、繰出し口10aと繰出し部材11のフランジ部11cとの間においてケース体10に収納されており、その底部はフランジ部11cの上面に支持されている。繰出し部材11は、図1に示す位置から上昇することで、ケース体10の内部に収納されている固形内容物2を押し上げて、繰出し口10aから外部に繰り出すことができる。
軸部11aの外周面には略全長に亘って雄ねじ11fが設けられている。雄ねじ11fは、操作部材12に設けられたねじ部40aにねじ結合している。軸部11aの下端部には外向きの一対の係合爪部11gが周方向に間隔を空けて設けられており、これにより、軸部11aがねじ部40aから上方に抜け出し難くなっている。各々の係合爪部11gは、下端部における外周面が下方に向けて径方向内側に傾斜し、また、径方向内側に弾性変形可能である。したがって、軸部11aの下端部は、ねじ部40aの径方向内側に挿入し易くなっている。
図1に示すように、ケース体10には、操作部材12が周方向に相対回転可能に連結している。操作部材12は、ケース体10の下方にケース体10と同軸に配置された円環状の把持部12aを有している。なお、把持部12aは、ケース体10と同一の外径寸法の筒状をなしている。
本実施の形態では、操作部材12は、把持部12aの上端から径方向内側に段差状に縮径する縮径部を介してケース体10の内部に向けて上方に突出する円筒状の係合筒部12bを有しており、係合筒部12bの外周面から径方向外側に向けて突出して設けられた円環状の係止突起12cがケース体10の内周面に設けられた円環状の係止溝10cに係止されることで、ケース体10に周方向に相対回転可能に保持されている。
図1に示す固形内容物2を繰り出す前の状態では、軸部11aの下端部が係合筒部12bの内部に位置している。
繰出し部材11のフランジ部11cよりも下方における繰出し部材11の軸部11aの径方向外側には、ラチェット機構部20が設けられている。ラチェット機構部20は、ケース体10に対する操作部材12の相対回転を第1周方向に許容するとともに第2周方向に阻止するように作動する。
図1及び図3に示すように、本実施の形態では、ラチェット機構部20は、操作部材12の側に設けられた一対の爪部21と、ケース体10の側に設けられた歯車部22とを有している。ここで、図3は、図1のA-A線における断面を示し、図4は、図1のB-B線における断面を示し、図5は、図1のC-C線における断面を示し、図6は、図1のD-D線における断面を示している。なお、図3~図5においては、軸部11aを二点鎖線で示している。
図1~図3に示すように、一対の爪部21は、それぞれ、操作部材12の係合筒部12bの上端から突出する脚部21aと、脚部21aに支持されるとともに脚部21aから周方向に延びる湾曲片21bと、湾曲片21bの先端から径方向外側に向けて延びる爪片21cとを一体に備えている。それぞれの爪片21cの湾曲片21bとは反対側を向く面は、周方向に垂直である。一対の爪部21は、それぞれ、湾曲片21bが脚部21aを支点として湾曲度合いを強める方向に弾性変形することで、繰出し部材11の軸部11aとケース体10との間で、爪片21cが径方向両側に変位するように弾性変形することができる。
一方、歯車部22は、図3に示すように、ケース体10の内周面に一体に設けられた複数(8つ)の係止面22aと、ケース体10の内周面に一体に設けられた複数(8つ)の乗越え面22bと、を有している。それぞれの係止面22aは、操作部材12がケース体10に対して第2周方向に相対回転したときに、爪片21cに係合して爪部21を係止することで、操作部材12のケース体10に対する第2周方向への相対回転を阻止するように構成されている。それぞれの乗越え面22bは、隣り合う2つの係止面22aの間で、一方の係止面22aの径方向外側部分から他方の係止面22aの径方向内側部分に向けて湾曲して延びており、操作部材12がケース体10に対して第1周方向に相対回転したときに、係止面22aを乗り越えるように爪部21の爪片21cを案内することで、操作部材12のケース体10に対する第1周方向への相対回転を許容するように構成されている。
なお、ラチェット機構部20に設けられる爪部21及び係止面22aないし乗越え面22bの数は、種々変更可能である。
図1に示すように、本実施の形態の繰出し容器1は、操作部材12がケース体10に対して周方向に相対回転したときに、操作部材12とケース体10との間に摺動抵抗を付与する摺動抵抗付与部30を備えた構成とすることができる。摺動抵抗付与部30は、図4に示すように、操作部材12に一体に設けられている。摺動抵抗付与部30は、ねじ部40aとラチェット機構部20との間の部分において、ケース体10の内周面に弾性的に接することで、操作部材12がケース体10に対して周方向に相対回転したときに、操作部材12とケース体10との間に摺動抵抗を付与するように構成されている。
図1、図2及び図4に示すように、本実施の形態の摺動抵抗付与部30は、一対の柱部31、支持体32、4つの弾性片33及び4つの摺動突起部34を備えた構成とされている。
より具体的には、一対の柱部31はそれぞれ、繰出し部材11の軸部11aとケース体10との間において係合筒部12bの上端から突出しており、一対の脚部21aとしての機能も兼ねている。なお、柱部31と脚部21aとを別々に設けてもよい。一対の柱部31の上端は、爪部21よりも上方に位置する支持体32に一体に連なっている。
支持体32は、係合筒部12bと同軸の円筒状となっており、繰出し部材11の軸部11aとケース体10との間に配置されている。
4つの弾性片33は、それぞれ細長い板状となっており、支持体32の上端に、周方向に等しい間隔を空けて一体に連ねて設けられている。図2に示すように、それぞれの弾性片33は、支持体32から上方に延びており、支持体32を支点として径方向内側に弾性変形可能である。なお、4つの弾性片33の周方向の間隔は、等しくなくても構わない。また、弾性片33の数は、種々変更可能である。
なお、柱部31、支持体32及び弾性片33は、それぞれケース体10の内周面に対して間隔を空けて配置されている。
4つの摺動突起部34は、それぞれ対応する弾性片33の先端(上端)の外側を向く面に一体に設けられ、それぞれ当該面から径方向外側に突出している。図1に示すように、それぞれの摺動突起部34は、支持体32を支点として弾性片33を径方向内側に向けて弾性変形させた状態で、ケース体10の内周面に接している。このように、摺動突起部34はケース体10の内周面に弾性的に接しており、これにより、操作部材12がケース体10に対して周方向に相対回転したときに、操作部材12とケース体10との間に摺動抵抗が付与される。摺動抵抗付与部30が操作部材12とケース体10との間に付与する摺動抵抗は、固形内容物2をケース体10から繰り出す際の操作性等を鑑みて、予め実験等を行って適度な値に設定することができる。
図1及び図2に示すように、操作部材12は、繰出し部材11の雄ねじ11fにねじ結合する雌ねじとして形成されたねじ部40aを有している。
図1、図2及び図5に示すように、本実施の形態では、ねじ部40aは、操作部材12の上端部に一体に設けられた螺合部40の内周面に一体に設けられている。螺合部40は、4つの上側柱部41、上側支持体42、4つの突片43及び4つの凸部44を備えた構成とされている。螺合部40は、ラチェット機構部20と繰出し部材11のフランジ部11cとの間に位置している。
より具体的には、4つの上側柱部41は、繰出し部材11の軸部11aとケース体10との間において、支持体32から上方に延びている。上側柱部41の上端は、弾性片33よりも上方に位置する上側支持体42に一体に連なっている。4つの上側柱部41は、それぞれ、周方向に隣接する2つの弾性片33の間に配置されている。つまり、4つの上側柱部41は、周方向に均等に配置されている。なお、上側柱部41の数及び配置は、弾性片33の数及び配置に合わせて種々変更可能である。
上側支持体42は、支持体32と同軸の円筒状となっている。上側支持体42は、繰出し部材11の軸部11aとケース体10との間に配置されている。
4つの突片43は、それぞれ板状となっており、上側支持体42の上端に、周方向に等しい間隔を空けて一体に連ねて設けられている。図2に示すように、それぞれの突片43は、上側支持体42から上方に延びており、上側支持体42を支点として径方向両側に弾性変形可能である。このような構成により、繰出し部材11の軸部11aをねじ部40aの径方向内側に挿入する際に、ねじ部40aを拡径させるように突片43が径方向外側に弾性変形するため、繰出し部材11の軸部11aの雄ねじ11fをねじ部40aを乗り越えさせて一気に奥まで挿入することができる。すなわち、軸部11aをねじ部40aに対して回転させることなく、ねじ部40aに対して相対的に下方にスライドさせるだけの簡単な操作で、軸部11aとねじ部40aとを組み付けることができる。また、操作部材12を形成する際には、突片43が径方向外側に弾性変形することで、ねじ部40aに対応する金型を回転させることなく、軸線Oに沿ってねじ部40aから離脱させる(つまり無理抜きする)ことができるので、操作部材12を容易に形成可能である。
それぞれの突片43の内周面にはねじ部40aが設けられている。本実施の形態では、突片43の上側の一部にのみねじ部40aが設けられている。
凸部44は、それぞれの突片43の外周面から径方向外側に突出している。凸部44は、ケース体10の内周面に摺動可能に構成されている。これにより、ねじ部40aと雄ねじ11fとのねじ結合の結合強度を高めることができ、ねじ結合が外れ難くなる。なお、凸部44は必須の構成ではない。すなわち、突片43の外周面とケース体10の内周面とが当接することにより突片43の径方向外側への変形を抑制し、ねじ部40aと雄ねじ11fとが高い強度でねじ結合するように構成されていればよく、例えばケース体10の内周面に凸部を設けてもよいし、突片43の外周面及びケース体10の内周面の何れにも凸部を設けなくてもよい。
なお、上側柱部41、上側支持体42、4つの突片43は、それぞれケース体10の内周面に対して間隔を空けて配置されている。
図1に示すように、繰出し容器1は、貫通穴11bを含み中空棒状の充填ノズル50(図11等参照)を挿入可能なノズル挿入路14を有している。
本実施の形態では、ノズル挿入路14は、円筒状の把持部12aの内部空間と貫通穴11bとを含んでおり、把持部12aの下端開口から貫通穴11bの上端部まで軸線Oに沿って延びている。
図1に示すように、ノズル挿入路14の内部には、貫通穴11bを閉塞する閉塞部材13が配置されている。
図1、図7~図10に示すように、本実施の形態では、閉塞部材13は、繰出し部材11に回り止めされた状態で貫通穴11bを閉塞する上部プラグ13aと、上部プラグ13aの下端部に破断予定部13cを介して連結するとともに把持部12aに回り止めされた状態で連結する下部プラグ13bと、を有している。
上部プラグ13aは、繰出し部材11の軸部11aの内部に上部スプライン部15を介して回り止めされた状態で軸線Oと同軸状に配置される棒状をなしており、その先端部13dが、上述したように貫通穴11bの上端部を閉塞している。図3に示すように、上部スプライン部15は、軸部11aの内周面に一体に設けられた雌スプライン15aと、上部プラグ13aの外周面に一体に設けられた雄スプライン15bとで構成されている。また、図7等に示すように、上部プラグ13aの先端部13dの外周面には、上述したように下向き段部13eが設けられている。
下部プラグ13bは、図7~図10に示すように、把持部12aの内部に下部スプライン部16を介して回り止めされた状態で軸線Oと同軸状に配置される略円柱状をなしている。図6に示すように、下部スプライン部16は、把持部12aの内周面に一体に設けられた雌スプライン16aと、下部プラグ13bの外周面に一体に設けられた雄スプライン16bとで構成されている。下部プラグ13bは、その外周面から径方向外側に向けて突出して設けられた係止突起13fが把持部12aの内周面における下部スプライン部16よりも下方の部分に設けられた円環状の係止溝12dに係止されることで、把持部12aに連結している。
図1に示すように、下部プラグ13bの底面13gは、実質的に平面状をなしており、円筒状の把持部12aの下端面12eと面一に配置されている。
図7~図10に示すように、閉塞部材13は、下部プラグ13bの内部から上部プラグ13aにおける下側部分まで上下方向に延びるとともに側面に開口する縦溝状の中空部13hを有している。
図9及び図10に示すように、破断予定部13cは、中空部13hに面して周方向に間隔を空けて設けられた複数(3つ)の連結片13iで構成されている。各々の連結片13iは、下部プラグ13bの上面と上部プラグ13aの下面とを一体に連ねているが、下部プラグ13bと上部プラグ13aとを互いに周方向に相対回転させることで、節度感ないし音を生じながら破断する程度の破壊強度を有している。
なお、破断予定部13cを構成する連結片13iの数及び配置は、種々変更可能である。
下部プラグ13bの底面13gには、円形のラベル17が貼着されている。ラベル17は軸線Oと同軸状に配置されており、ラベル17の外周縁は、把持部12aの下端面12eに貼着されている。なお、ラベル17を設けない構成としてもよい。
本実施の形態では、オーバーキャップ3、ケース体10、繰出し部材11、操作部材12及び閉塞部材13はそれぞれ、合成樹脂材料の射出成形により一体に形成されている。
上記構成を有する繰出し容器1は、図11~図14に示すように、固形内容物2を繰出し部材11の側から充填するバック充填が可能である。バック充填は例えば次の要領で行うことができる。
まず、図1に示す状態になるようにケース体10、繰出し部材11及び操作部材12を組付ける。そして、繰出し口10aに、一端が閉塞された円筒状のカプセル60を取り付ける。カプセル60は、繰出し口10aにおいてケース体10の外周面に密接する円筒状の筒壁61と、筒壁61の一端を閉塞する端部壁62とを有している。なお、筒壁61の内周面における周方向の1箇所には、カプセル60を繰出し口10aから取り外し易くするために、筒壁61の他端から一端に向けて延びる縦溝63が設けられている。端部壁62は、固形内容物2に与えるべき先端部形状に沿った内面を有している。
次に、繰出し口10aを鉛直下向きにした倒立姿勢の繰出し容器1に円筒状の充填ノズル50を挿入する。この時、充填ノズル50は、加熱されて流動性を有する固形内容物2を吐出可能な先端部51が鉛直下向きに配置された状態で、軸線Oと同軸状に先端部51が把持部12aの底面からノズル挿入路14に挿入される。そして、図11に示すように、先端部51が繰出し部材11のフランジ部11cと繰出し口10aとの間の充填空間に位置する状態で、固形内容物2が吐出される。
固形内容物2の充填が完了すると、図12に示すように、充填ノズル50が充填空間から引き抜かれる。なお、このとき充填空間が完全に固形内容物2で満たされていなくてもよく、このような場合でも、固形内容物2の固化後に繰出し部材11によって固形内容物2を繰り出して使用することに差し支えはない。固形内容物2が冷却に伴い固化し、固形内容物2の先端部がカプセル60の端部壁62の内面に沿った形状に形成される。
充填ノズル50が繰出し容器1から抜き取られると、図13に示すように、ノズル挿入路14に閉塞部材13が先端部13dから挿入される。そして、閉塞部材13の先端部13dの下向き段部13eが繰出し部材11の上向き段部11eを弾性変形により乗り越えた後、閉塞部材13の下部プラグ13bの係止突起13fが把持部12aの係止溝12dに係合することで、ノズル挿入路14の上端部が閉塞部材13の上部プラグ13aの先端部13dで閉塞された状態で、ノズル挿入路14に閉塞部材13が保持される。ノズル挿入路14の上端部が閉塞部材13で閉塞されることで、固形内容物2が充填空間からノズル挿入路14に漏れ出ることが効率的に防止される。
ノズル挿入路14が閉塞部材13によって閉塞されると、図14に示すように、繰出し容器1は上下に反転されて正立姿勢とされ、カプセル60が繰出し口10aから取り外され、オーバーキャップ3が繰出し口10aを覆うように取り付けられる。また、ラベル17が下部プラグ13bの底面13gに貼着される。このようにして、図1に示す繰出し容器1を形成することができる。
本実施の形態の繰出し容器1は、図15に示すように、最初に使用する時に、オーバーキャップ3をケース体10から取り外した状態で、ケース体10を一方の手などで保持しつつ他方の手などで操作部材12の把持部12aを把持して第1周方向に回転操作するなどして、操作部材12をケース体10に対して第1周方向に相対回転させることで、閉塞部材13の破断予定部13cを破断させて、固形内容物2をケース体10の繰出し口10aから外部に繰り出すことができる。
すなわち、操作部材12をケース体10に対して第1周方向に相対回転させると、操作部材12に回り止めされている下部プラグ13bが、ケース体10に繰出し部材11を介して回り止めされている上部プラグ13aに対して第1周方向に相対回転するため、下部プラグ13bと上部プラグ13aとを連ねている破断予定部13cが周方向のせん断力を受けて破断する。この破断予定部13cの破断によって生じる節度感ないし音により、使用者は繰出し容器1が最初に使用されたことを確認することができる。このように、閉塞部材13は、ノズル挿入路14を閉塞する機能だけでなく、繰出し容器1にタンパエビデンス性を与える機能も有している。
破断予定部13cの破断の後、ケース体10に対して操作部材12を第1周方向にさらに相対回転させると、操作部材12の一部であるねじ部40aがケース体10に対して第1周方向にさらに相対回転する。ねじ部40aにねじ結合する雄ねじ11fを備えた繰出し部材11は、ケース体10に回り止めされているので、操作部材12をケース体10に対して第1周方向に相対回転させると、ねじ部40aと雄ねじ11fのねじ作用により繰出し部材11がケース体10に対して上昇する。これにより、固形内容物2は、上昇する繰出し部材11に押し上げられ、繰出し口10aからケース体10の外部に繰り出される。固形内容物2のケース体10からの繰出し量(突出量)は、操作部材12を相対回転させる量によって調整することができる。よって、操作部材12をケース体10に対して第1周方向に所望の量だけ相対回転させることで、ケース体10の繰出し口10aから、所望の量の固形内容物2を繰り出して、使用することができる。
またこのとき、上昇する繰出し部材11に対して上部プラグ13aを相対的に下降させる力が固形内容物2から上部プラグ13aに作用した場合でも、上部プラグ13aの先端部13dに設けられた下向き段部13eが貫通穴11bの上端部に設けられた上向き段部11eに係合することで、上部プラグ13aが繰出し部材11から下方に抜け出てしまうことを抑制することができる。
また、操作部材12を、ケース体10に対して、固形内容物2の繰出し時とは反対側となる第2周方向に相対回転させると、ラチェット機構部20により当該相対回転が阻止される。したがって、操作部材12が不意にケース体10に対して第2周方向に相対回転する方向に操作されても、固形内容物2の下端部分を支持する繰出し部材11が下降することはなく、これにより、固形内容物2がケース体10の内部に繰り入れられることが防止される。したがって、例えば比較的柔らかい口紅など、ケース体10の内部に繰り入れることが困難な硬さの固形内容物2を収納した場合であっても、操作部材12が不意にケース体10に対して第2周方向に相対回転するように操作されて、固形内容物2が形状の崩れや破断などの損傷を生じることを防止することができる。
このように、本実施の形態の繰出し容器1では、貫通穴11bを備える繰出し部材11と、貫通穴11bを含むノズル挿入路14と、貫通穴11bを閉塞する閉塞部材13と、を設けるようにしたので、固形内容物2のバック充填を行うことができる。すなわち、このような構成によれば、ノズル挿入路14を通して固形内容物2をバック充填し、その後に貫通穴11bを閉塞部材13で閉塞することで、充填された固形内容物2がノズル挿入路14を通して外部に漏れだすことを防止することができる。また、例えば、上記のようにカプセル60を用いてバック充填を行うことで、カプセル60の端部壁62によって固形内容物2に所望の先端部形状を容易に与えることができる。
また、本実施の形態の繰出し容器1では、貫通穴11bの上端部を閉塞部材13で閉塞する構成としているので、充填後の固形内容物2のノズル挿入路14内への漏れ出しを効率的に防止することができる。
また、本実施の形態の繰出し容器1では、閉塞部材13を、繰出し部材11に回り止めされた状態で貫通穴11bを閉塞する上部プラグ13aと、上部プラグ13aの下端部に破断予定部13cを介して連結するとともに把持部12aに回り止めされた状態で連結する下部プラグ13bとで構成しているので、閉塞部材13によってタンパエビデンス機能を発揮することができる。
また、本実施の形態の繰出し容器1では、ケース体10に対する操作部材12の相対回転を第1周方向に許容し、第2周方向に阻止するラチェット機構部20を設けるようにしたので、例えば比較的柔らかい口紅など、ケース体10の内部に繰り入れることが困難な硬さの固形内容物2を収納した場合であっても、操作部材12により繰出し部材11が固形内容物2をケース体10の内部に繰り入れるように作動することを防止して、固形内容物2が形状の崩れや破断などの損傷を生じることを防止することができる。
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、ラチェット機構部20を、爪部21、係止面22a及び乗越え面22bを有する構成としたので、簡単な構成でラチェット機構部20を設けることができる。これにより、ラチェット機構部20が設けられた繰出し容器1を小型化することができるとともに、その製造コストを低減することができる。
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、操作部材12がねじ部40aを備える内周面を有する構成としたので、繰出し容器1の内部に効率的にノズル挿入路14を設けることができ、これにより、繰出し容器1の外径を小さくし小型化することができる。
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、ねじ部40aが操作部材12の上端部に設けられているので、ねじ作用による繰出し部材11の上下方向の移動距離を効率的に得ることができ、これにより、繰出し容器1の高さを小さくし小型化することができる。
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、操作部材12に周方向に間隔を空けて並べて設けられた複数の突片43の内周面にねじ部40aを設けるようにしたので、ねじ部40aを径方向両側に弾性的に変位させることができ、これにより、操作部材12を形成するときの型抜きの容易化と、操作部材12と繰出し部材11との組み付けの容易化とを実現することができる。
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、突片43の外周面と、ケース体10の内周面とが当接することにより、突片43の径方向外側への弾性変形が抑制される構成としたので、ねじ部40aと雄ねじ11fとのねじ結合の結合強度を高めることができる。
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、摺動抵抗付与部30を設け、操作部材12とケース体10との間に適度な摺動抵抗が付与されるようにしたので、把持部12aを回転操作して固形内容物2を繰り出すときの押し圧を安定化させて、操作性を高めることができる。
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、摺動抵抗付与部30を、柱部31、支持体32、弾性片33及び摺動突起部34を備えた構成としたので、簡単な構成で摺動抵抗付与部30を設けることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
したがって、前記実施の形態である繰出し容器1は、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
繰出し容器1は、ケース体10、操作部材12、繰出し部材11、ノズル挿入路14及び閉塞部材13を有している限り、種々変更可能である。ケース体10は、上端が繰出し口10aとなる筒状をなしている限り、種々変更可能である。操作部材12は、ケース体10に相対回転可能に連結し、把持部12aとねじ部40aとを備えている限り、種々変更可能である。繰出し部材11は、ねじ部40aにねじ結合するとともにケース体10の内部に回り止めされた状態で上下方向に移動可能に配置される軸部11a、及び軸部11aの内部を通る上下方向の貫通穴11bを備えている限り、種々変更可能である。ノズル挿入路14は、貫通穴11bを含み中空棒状の充填ノズル50を挿入可能なである限り、種々変更可能である。閉塞部材13は、貫通穴11bを閉塞するものである限り、種々変更可能である。
しかし、閉塞部材13は、繰出し部材11に回り止めされた状態で貫通穴11bを閉塞する上部プラグ13aと、上部プラグ13aの下端部に破断予定部13cを介して連結するとともに把持部12aに回り止めされた状態で連結する下部プラグ13bと、を有するのが好ましい。また、閉塞部材13は、貫通穴11bの上端部を閉塞するものであるのが好ましい。
また、繰出し容器1は、ラチェット機構部20を有するのが好ましい。
ラチェット機構部20は、ケース体10に対する操作部材12の相対回転を第1周方向に許容するとともに第2周方向に阻止するように構成されている限り、種々変更可能である。
しかし、ラチェット機構部20は、爪部21、係止面22a及び乗越え面22bで構成するのが好ましい。また、爪部21は、操作部材12に設けられ、径方向に弾性変形可能な構成であるのが好ましい。また、係止面22aは、ケース体10の内周面に設けられ、第2周方向への相対回転により爪部21を係止する構成であるのが好ましい。また、乗越え面22bは、ケース体10の内周面に設けられ、第1周方向への相対回転により係止面22aを乗り越えるように爪部21を案内する構成であるのが好ましい。
また、繰出し容器1は、摺動抵抗付与部30を有するのが好ましい。
摺動抵抗付与部30は、ケース体10の内周面に弾性的に接して、操作部材12がケース体10に対して周方向に相対回転したときに、操作部材12とケース体10との間に摺動抵抗を付与することができる構成である限り、種々変更可能である。
しかし、摺動抵抗付与部30は、支持体32に、それぞれ摺動突起部34を備えた複数の弾性片33を周方向に並べて設けた構成とするのが好ましい。
操作部材12は、ねじ部40aを備える内周面を有するのが好ましい。また、ねじ部40aは操作部材12の上端部に設けるのが好ましい。また、操作部材12に周方向に間隔を空けて並べて設けられた複数の突片43の内周面にねじ部40aを設けるのが好ましい。また、突片43の外周面と、ケース体10の内周面とが当接することにより、突片43の径方向外側への弾性変形が抑制される構成とするのが好ましい。
また、前記実施の形態では、摺動抵抗付与部30がラチェット機構部20よりも上方に配置されているが、摺動抵抗付与部30とラチェット機構部20との位置を入れ替えてもよい。