JP7369665B2 - 流体殺菌装置 - Google Patents

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処理容器内で水などの流体に紫外光を照射して殺菌処理をする流体殺菌装置が知られている。処理容器内には、紫外光の強度を測定可能なフォトダイオードが設けられ、流体に照射される紫外光の強度がモニタされる(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-37450号公報
流体殺菌装置の使用に伴って処理容器の内面に汚れが付着すると、殺菌処理の性能に影響を与えるおそれがある。このため、汚れが付着しているかどうかをモニタできることが好ましい。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、汚れの付着をモニタできる流体殺菌装置を提供することにある。
本発明のある態様の流体殺菌装置は、処理流路を区画する直管と、直管の端部と対向する光源窓と、光源窓越しに処理流路に向けて紫外光を照射する光源と、直管の側壁に設けられ、紫外光が透過する光学ブロックと、を備える。光学ブロックは、処理流路の外側に露出し、直管の軸方向に沿う測定面と、処理流路の内側に露出し、測定面に対して傾斜する屈折面と、を有する。
この態様によると、処理流路内の紫外光の一部は、光学ブロックの屈折面に入射し、光学ブロック内を透過して測定面から出射するため、測定面において紫外光をモニタできる。このとき、光源から屈折面に向けて直線的に入射する直接光の屈折面に対する入射角は、直管の内壁面で反射または散乱されて屈折面に入射する間接光の屈折面に対する入射角と異なる。そのため、測定面において直接光が測定される領域は、測定面において間接光が測定される領域と異なる。その結果、測定面において直接光と間接光を区別してモニタすることができ、内壁面の汚れに伴う散乱光成分の増加を検知できる。
測定面に対する屈折面の傾斜角は、40度以上50度以下であってもよい。
屈折面は、測定面と直交し、直管の軸方向に沿う仮想平面に対して傾斜してもよい。
仮想平面に対する屈折面の傾斜角は、40度以上50度以下であってもよい。
光学ブロックは、直管に対して固定されるフランジ部と、フランジ部から直管の内部に向けて延びる突出部と、を含んでもよい。突出部は、直管の側壁に設けられる開口に挿通されてもよい。屈折面は、突出部の外面であってもよい。
突出部は、角錐形状、角錐台形状、または、角錐の頭頂部および側辺の少なくとも一方が面取りされた形状を有してもよい。
光学ブロックは、紫外光を可視光に変換する蛍光物質を含んでもよい。
測定面の光強度を測定する光測定器をさらに備えてもよい。
直管の側壁に設けられ、光学ブロックとは直管の周方向に異なる位置に設けられる別の光学ブロックをさらに備えてもよい。
本発明によれば、流体殺菌装置の使用に伴う汚れの付着をモニタできる。
実施の形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。 図2(a)~(c)は、光学ブロックの構成を概略的に示す図である。 第1屈折面に入射する直接光の光路を模式的に示す図である。 測定面における複数の測定領域の位置を模式的に示す図である。 測定面における光強度分布の一例を示す図である。 測定面における光強度分布の一例を示す図である。 図7(a),(b)は、光学ブロックの構成を概略的に示す図である。 実施の形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。 第1光源の構成を概略的に示す正面図である。 実施の形態に係る流体殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。 測定面における光強度分布の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
図1は、実施の形態に係る流体殺菌装置10の構成を概略的に示す図である。流体殺菌装置10は、矢印Zで示されるように処理流路12内を通過する流体に対して紫外光UVを照射して殺菌処理を施す。流体殺菌装置10は、直管20と、第1筐体31と、第2筐体32と、第1光源41と、第2光源42と、光測定器46と、光学ブロック50とを備える。
直管20は、処理流路12を区画する。直管20は、第1端部21および第2端部22を有する。第1端部21には第1筐体31が設けられ、第2端部22には第2筐体32が設けられる。直管20の材質は特に問わないが、少なくとも直管20の内壁面24が紫外光に対する耐久性および反射率が高い材料であることが好ましい。直管20は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂で構成されることが好ましい。例えば、直管20の側壁23は、厚さが3mm以上のPTFEから構成される。
図面の理解を助けるため、直管20の第1端部21から第2端部22に向かう方向を「軸方向」ともいう。また、直管20の中心軸から離れる方向を「径方向」ともいい、直管20の中心軸周りの方向を「周方向」ともいう。図1において、直管20の軸方向をz方向とし、直管20の第1端部21から第2端部22に向かう方向を+z方向としている。また、直管20の中心軸から光学ブロック50に向かう方向を+y方向とし、z方向およびy方向の双方に直交する方向をx方向としている。
第1筐体31は、直管20の外側に設けられる第1連通室13および第1光源室17を区画する。第1連通室13と第1光源室17の間は、第1光源窓37により仕切られる。第1筐体31には第1流通口33が設けられ、第1流通口33から第1流通管35が径方向に延びる。第1連通室13は、処理流路12と第1流通口33の間をつなぐ。第1連通室13は、直管20の第1端部21と、第1端部21に対向する第1光源窓37との間の第1隙間15を通じて処理流路12と連通する。第1連通室13は、例えば、直管20の外側の全周にわたって設けられる。
第2筐体32は、直管20の外側に設けられる第2連通室14および第2光源室18を区画する。第2連通室14と第2光源室18の間は、第2光源窓38により仕切られる。第2筐体32には第2流通口34が設けられ、第2流通口34から第2流通管36が径方向に延びる。第2連通室14は、処理流路12と第2流通口34の間をつなぐ。第2連通室14は、直管20の第2端部22と、第2端部22に対向する第2光源窓38との間の第2隙間16を通じて処理流路12と連通する。第2連通室14は、例えば、直管20の外側の全周にわたって設けられる。
第1筐体31および第2筐体32は、紫外光に対する耐久性および反射率が高い材料で構成されることが好ましく、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂から構成される。第1筐体31および第2筐体32の材料として、PTFEよりも紫外光反射率の低いPVDFを用いることで、第1連通室13および第2連通室14の内面にて紫外光が反射され、第1流通口33および第2流通口34を通じて第1筐体31および第2筐体32の外部に向かう紫外光の強度を低減できる。
図1の構成では、第1光源室17が設けられる第1筐体31を流体の流入側とし、第2光源室18が設けられる第2筐体32を流体の流出側としている。つまり、第1流通口33を流入口とし、第1流通管35を流入管とし、第2流通口34を流出口とし、第2流通管36を流出管としている。別の実施の形態では、流入側と流出側を逆にしてもよい。つまり、第1流通口33を流出口とし、第1流通管35を流出管とし、第2流通口34を流入口とし、第2流通管36を流入管としてもよい。図1では、第1流通管35および第2流通管36が+y方向に延びる構成を示しているが、第1流通管35および第2流通管36の延在方向は+y方向に限られず、-y方向、+x方向または-x方向に延在してもよい。第1流通管35および第2流通管36の延在方向は、直管20の径方向であれば、任意の方向であってもよい。
第1光源41は、第1光源室17に設けられる。第1光源41は、複数の発光素子44を含む。第1光源41は、複数の発光素子44が実装される基板や、複数の発光素子44を冷却するためのヒートシンク(不図示)をさらに含んでもよい。第1光源41は、第1光源窓37越しに処理流路12に向けて軸方向に紫外光UVを照射するよう構成される。つまり、第1光源41は、第1端部21から第2端部22に向けて直管20の内部に紫外光UVを照射する。
第2光源42は、第2光源室18に設けられる。第2光源42は、複数の発光素子44を含む。第2光源42は、第1光源41と同様に構成される。第2光源42は、第2光源窓38越しに処理流路12に向けて軸方向に紫外光を照射するよう構成される。つまり、第2光源42は、第2端部22から第1端部21に向けて直管20の内部に紫外光UVを照射する。
発光素子44は、いわゆるUV-LED(Ultra Violet-Light Emitting Diode)である。発光素子44は、発光のピーク波長が300nm以下であり、殺菌効率の高い波長である260nm~290nm付近の紫外光を発する。複数の発光素子44は、第1光源41または第2光源42が備える基板の実装面上にアレイ状に並べられ、軸方向に紫外光UVを照射するように配置される。複数の発光素子44は、例えば円形や矩形状の基板の実装面上に等間隔となるように二次元アレイ状に配置される。
第1光源窓37は、第1光源41と第1端部21の間に設けられ、第1隙間15を挟んで第1端部21と対向するように配置される。第2光源窓38は、第2光源42と第2端部22の間に設けられ、第2隙間16を挟んで第2端部22と対向するように配置される。第1光源窓37および第2光源窓38は、紫外光の透過率が高い材料で構成され、例えば石英ガラス(SiO)やサファイア(Al)などで構成される。
直管20の側壁23には、光学ブロック50を取り付けるための測定開口25が設けられる。測定開口25は、直管20の中央付近に設けられ、例えば、第1端部21と第2端部22の中間に設けられる。測定開口25は、第1端部21と第2端部22の中間からずれた位置に設けられてもよく、中間よりも第1端部21に近い位置に設けられてもよいし、中間よりも第2端部22に近い位置に設けられてもよい。測定開口25は、直管20の周方向の一部箇所に設けられており、図1の例では、直管20の中心軸から+y方向の位置に測定開口25が設けられる。測定開口25には、光学ブロック50の突出部52が挿通される。
直管20の側壁23には、光測定器46と光学ブロック50を収容するための収容凹部26が設けられる。収容凹部26は、測定開口25と対応する位置に設けられ、測定開口25と連通する。収容凹部26は、直管20の側壁23から径方向外側に延在する枠体27により区画される。枠体27は、光学ブロック50のフランジ部51の外周を包囲するように設けられる。収容凹部26と光学ブロック50の間には、O-リング28が設けられ、処理流路12を流れる流体が外部に漏れないように封止される。収容凹部26の上にはカバー29が取り付けられる。カバー29は、収容凹部26の外部に紫外光が漏れるのを防ぐ。
光学ブロック50は、測定開口25に設けられる。光学ブロック50は、フランジ部51と、突出部52とを含む。フランジ部51は、収容凹部26に設けられる。フランジ部51は、収容凹部26と係合して直管20に固定される。フランジ部51は、O-リング28とともに止水構造を形成する。突出部52は、フランジ部51から直管20の内部(つまり、処理流路12)に向けて延在し、測定開口25に挿通される。突出部52は、直管20の中心軸に向けて突出する。処理流路12において突出部52が突出する高さhは、処理流路12における流体の流れを阻害しない程度に小さいことが好ましい。突出部52が突出する高さhは、例えば、処理流路12の直径Dの40%以下であり、好ましくは30%以下または20%以下である。
光学ブロック50は、測定面53と、屈折面54とを有する。測定面53は、フランジ部51に設けられ、処理流路12の外側に露出する。測定面53は、直管20の軸方向(z方向)に沿う平面となるように構成される。図1に示される例において、測定面53は、xz平面と平行であり、+y方向に向いている。屈折面54は、突出部52に設けられ、処理流路12の内側に露出する。屈折面54は、測定面53に対して傾斜するように構成される。
屈折面54には、処理流路12の内部の紫外光が入射する。屈折面54に入射する紫外光の少なくとも一部は、光学ブロック50の内部を透過して測定面53に到達する。このとき、屈折面54には、第1光源41または第2光源42から屈折面54に向けて直線的に入射する直接光A1と、直管20の内壁面24で反射または散乱されてから屈折面54に入射する間接光A2とが存在する。直接光A1が屈折面54に入射する入射角は、間接光A2が屈折面54に入射する入射角と異なるため、測定面53において直接光A1が測定される領域は、測定面53において間接光A2が測定される領域と異なる。その結果、測定面53において直接光A1と間接光A2を区別してモニタすることができる。なお、直接光A1および間接光A2の測定領域の詳細については、別途後述する。
光測定器46は、測定面53の光強度を測定する。光測定器46は、測定面53に到達する紫外光の二次元強度分布を測定する。光測定器46は、紫外光の二次元強度分布を測定可能なカメラであり、例えば、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子を備える。光測定器46は、測定面53と対向するように配置され、例えば、測定面53に隣接して配置される。光測定器46は、測定面53から離れて配置されてもよく、光測定器46と測定面53の間に空間が設けられてもよい。
光学ブロック50は、紫外光を透過する材料で構成され、例えば、石英ガラスや非晶質のフッ素樹脂などで構成される。光学ブロック50は、紫外光に対して実質的に透明であってもよい。光学ブロック50は、紫外光を吸収して可視光に変換する蛍光物質を含んでもよい。この場合、光学ブロック50の屈折面54に入射する紫外光は、可視光に変換されて測定面53から出射する。光学ブロック50が蛍光物質を含む場合、光測定器46は、可視光を撮像するカメラなどの可視光用の光測定器であってもよい。
図2(a)~(c)は、光学ブロック50の構成を概略的に示す図である。図2(a)は、光学ブロック50の斜視図である。図2(b)は、光学ブロック50の側面図である。図2(c)は、光学ブロック50の下面図である。
フランジ部51は、外周が円形の平板状部材である。フランジ部51の外周は円形に限られず、矩形などの多角形であってもよいし、楕円形であってもよし、その他の任意の形状であってもよい。突出部52は、角錐形状の部材であり、図示する例では四角錐形状である。突出部52は、四角錐に限られず、六角錐などの四角錐以外の角錐形状を有してもよい。
突出部52は、複数の屈折面54a,54b,54c,54d(総称して屈折面54ともいう)を有する。複数の屈折面54a~54dは、角錐の側面であり、四角錐の四つの側面である。突出部52は、複数の底辺55a,55b,55c,55d(総称して底辺55ともいう)を有する。複数の底辺55a~55dは、角錐の底面の外周である。突出部52は、一つの頭頂部56と、複数の頂点57a,57b,57c,57d(総称して頂点57ともいう)とを有する。頭頂部56は、角錐の側辺の交点である。複数の頂点57a~57dは、角錐の底辺55の交点である。
第1屈折面54aは、第1底辺55aから頭頂部56に向けて延びる平面である。第2屈折面54bは、第1屈折面54aとx方向に隣接し、第2底辺55bから頭頂部56に向けて延びる平面である。第3屈折面54cは、第1屈折面54aとz方向に隣接し、第3底辺55cから頭頂部56に向けて延びる平面である。第4屈折面54dは、頭頂部56を挟んで第1屈折面54aの反対側にあり、第4底辺55dから頭頂部56に向けて延びる平面である。
第1頂点57aは、第1底辺55aと第2底辺55bの交点であり、頭頂部56から-z方向に離れた位置にある。第2頂点57bは、第3底辺55cと第4底辺55dの交点であり、頭頂部56から+z方向に離れた位置にある。第3頂点57cは、第1底辺55aと第3底辺55cの交点であり、頭頂部56から+x方向に離れた位置にある。第4頂点57dは、第2底辺55bと第4底辺55dの交点であり、頭頂部56から-x方向に離れた位置にある。
屈折面54は、測定面53に対して傾斜している。測定面53に対する測定面53の傾斜角θ(図2(b)参照)は、30度以上60度以下であり、好ましくは40度以上50度以下である。屈折面54の傾斜角θをこのような大きさに設定することにより、直接光A1と間接光A2を好適に分離してモニタすることが可能となり、かつ、流体の流れを阻害しない程度に突出部52の高さh(またはh)を小さくできる。
屈折面54は、測定面53と直交し、直管20の軸方向に沿う仮想平面(yz平面)に対して傾斜している。図示する例において、第1頂点57aから第2頂点57bに向かう方向が軸方向(z方向)となり、第4頂点57dから第3頂点57cに向かう方向が径方向(x方向)となる。仮想平面(yz平面)に対する屈折面54の傾斜角φ(図2(c)参照)は、30度以上60度以下であり、好ましくは40度以上50度以下である。屈折面54の傾斜角φをこのように設定することにより、複数の屈折面54a~54dのそれぞれに入射する直接光を好適に分離してモニタできる。
突出部52のx方向の幅wは、直管20の直径Dの50%以上であることが好ましい。突出部52のx方向の幅wを直径Dの50%以上とすることで、処理流路12の軸方向に直交する断面におけるより広範囲の紫外光をモニタできる。
図3は、第1屈折面54aに入射する直接光A1の光路を模式的に示す図である。図3は、直管20の中心軸から光学ブロック50に向けて+y方向に見たときの構成を描いている。第1屈折面54aには、主に第1光源41に含まれる第1発光素子44aからの直接光A1が入射する。複数の第1発光素子44aは、直管20の中心軸に対して-x方向側に配置されている。なお、第1光源41に含まれる複数の第2発光素子44bは、直管20の中心軸に対して+x方向側に配置される。
第1発光素子44aからの直接光A1は、第1屈折面54aに入射し、第1屈折面54aにおいて屈折して光学ブロック50の内部を透過し、測定面53(図3に不図示)に向かう。第1屈折面54aに入射する直接光A1は、主に測定面53の第1測定領域60aに向かう。第1測定領域60aは、第2頂点57bの近傍に位置し、第4底辺55dに対応する箇所に位置する。第1測定領域60aは、第4底辺55dに沿った領域のうち第2頂点57bに近い領域であり、第4頂点57dから離れた領域である。第1測定領域60aは、第1屈折面54aに対して対角の位置にある。第1測定領域60aの光強度をモニタすることで、第1光源41に含まれる第1発光素子44aの光出力をモニタできる。
図4は、測定面53における複数の測定領域60a~60eの位置を模式的に示す図である。図4は、処理流路12の外側から測定面53を-y方向に見たときの構成を描いてる。測定面53には、第1測定領域60a、第2測定領域60b、第3測定領域60c、第4測定領域60dおよび第5測定領域60eが設定される。
第1測定領域60aは、第4底辺55dに沿った領域であり、第4底辺55dの中間点58dから第2頂点57bにわたって設定される。図3を用いて上述したように、第1測定領域60aは、第1屈折面54a(図4に不図示)の対角に位置する。第1測定領域60aでは、第1光源41の第1発光素子44aから第1屈折面54aに入射する直接光をモニタできる。
第2測定領域60bは、第3底辺55cに沿った領域であり、第3底辺55cの中間点58cから第2頂点57bにわたって設定される。第2測定領域60bは、第2屈折面54b(図4に不図示)の対角に位置する。第2測定領域60bでは、第1光源41の第2発光素子44bから第2屈折面54bに入射する直接光をモニタできる。
第3測定領域60cは、第2底辺55bに沿った領域であり、第2底辺55bの中間点58bから第1頂点57aにわたって設定される。第3測定領域60cは、第3屈折面54c(図4に不図示)の対角に位置する。第3測定領域60cでは、第2光源42に含まれる第3発光素子44cから第3屈折面54cに入射する直接光をモニタできる。第3発光素子44cは、第2光源42に含まれる発光素子のうち、直管20の中心軸に対して-x方向側に配置される発光素子である。第3発光素子44cは、第1光源41の第1発光素子44aと軸方向に対向する位置に配置されている。
第4測定領域60dは、第1底辺55aに沿った領域であり、第1底辺55aの中間点58aから第1頂点57aにわたって設定される。第4測定領域60dは、第4屈折面54d(図4に不図示)の対角に位置する。第4測定領域60dでは、第2光源42に含まれる第4発光素子44dから第4屈折面54dに入射する直接光をモニタできる。第4発光素子44dは、第2光源42に含まれる発光素子のうち、直管20の中心軸に対して+x方向側に配置される発光素子である。第4発光素子44dは、第1光源41の第2発光素子44bと軸方向に対向する位置に配置されている。
第5測定領域60eは、測定面53の中央の領域であり、頭頂部56(図4に不図示)に対応する位置に設定される。第5測定領域60eでは、第1光源41または第2光源42からの直接光ではなく、直管20の内壁面24にて反射または散乱されて屈折面54a~54dに入射する間接光をモニタできる。第5測定領域60eは、直接光をモニタするための測定領域60a~60dとは異なる領域であり、「間接光測定領域」と言える。一方、第1測定領域60aから第4測定領域60dは、「直接光測定領域」と言える。
図5は、測定面53における光強度分布の一例を示す図である。図5の測定面53において、光強度が大きい箇所を白色で示し、光強度が小さい箇所を黒色で示す。図5の例では、発光素子44a~44dの光出力を意図的に異ならせている。具体的には、第1発光素子44aの光出力を70%とし、第2発光素子44bの光出力を0%とし、第3発光素子44cおよび第4発光素子44dの光出力を100%としている。したがって、第1発光素子44aの光出力は相対的に小さく、第2発光素子44bは非点灯である。
図5において、直接光測定領域60a~60dの光強度は、各発光素子44a~44dの光出力に対応している。具体的には、第3測定領域60cおよび第4測定領域60dの光強度は相対的に大きく、第1測定領域60aおよび第2測定領域60bの光強度は相対的に小さい。また、第2測定領域60bの光強度は、第1測定領域60aの光強度よりも小さい。したがって、直接光測定領域60a~60dのそれぞれの光強度をモニタすることで、対応する発光素子44a~44dの光出力を推定できる。図5の例では、測定面53におけるモニタ結果に基づいて、第1発光素子44aの劣化や第2発光素子44bの故障などを検知できる。
図5は、直管20の内壁面24の汚れが少ない場合に相当する。第1光源41および第2光源42からの紫外光は、軸方向に沿って内壁面24に入射するため、汚れの少ない内壁面24で反射された紫外光はほぼ軸方向に沿って出射する。したがって、汚れの少ない内壁面24にて反射または散乱されてから光学ブロック50に入射する間接光の割合はわずかである。その結果、図5の例では、第5測定領域60eの光強度はわずかであり、直接光測定領域60a~60dの光強度に比べて第5測定領域60eの光強度は非常に小さい。例えば、光出力が100%である第3発光素子44cまたは第4発光素子44dに対応する第3測定領域60cまたは第4測定領域60dの光強度と、第5測定領域60eの光強度とを比較すれば、光学ブロック50に入射する間接光の寄与を算出できる。これにより、内壁面24の汚れの程度を推定できる。
図6は、測定面53における光強度分布の一例を示す図であり、直管20の内壁面24の汚れが多い場合を示す。第1光源41および第2光源42に含まれる発光素子44a~44dの光出力は、図5と図6で共通である。そのため、図6の直接光測定領域60a~60dの光強度は、図5の直接光測定領域60a~60dの光強度とほぼ同じである。一方、図6の間接光測定領域(第5測定領域60e)の光強度は、図5の間接光測定領域(第5測定領域60e)の光強度に比べて大きい。これは、内壁面24に付着する汚れによって紫外光が散乱され、散乱された間接光が光学ブロック50に入射するためである。その結果、図6の場合においても、例えば、光出力が100%である第3発光素子44cまたは第4発光素子44dに対応する第3測定領域60cまたは第4測定領域60dの光強度と、第5測定領域60eの光強度とを比較することで、光学ブロック50に入射する間接光の寄与を算出できる。これにより、内壁面24の汚れの程度を推定できる。
つづいて、流体殺菌装置10の動作について説明する。殺菌処理の対象となる水などの流体は、第1流通管35、第1流通口33、第1連通室13、第1隙間15、処理流路12、第2隙間16、第2連通室14、第2流通口34および第2流通管36の順に通過する。処理流路12内の流体の流れは、第1連通室13および第2連通室14に通水断面積の小さい第1隙間15および第2隙間16を設けることで整流化される。このような整流化された流体に対して、矢印Zで示される流れ方向に沿って紫外光UVを軸方向に照射される。流体に照射される紫外光は、測定面53の光強度分布に基づいてモニタされる。
本実施の形態によれば、直管20の軸方向に紫外光を照射することで、処理流路12を流れる流体に対して効率的に紫外光を作用させることができる。また、直管20の側壁に設けられる光学ブロック50を用いて紫外光の光強度を測定することにより、第1光源41および第2光源42の光出力をモニタできる。特に、測定面53の光強度分布を解析することで、第1光源41または第2光源42のいずれかに劣化や故障などの問題が生じているかを特定できる。また、第1光源41または第2光源42に含まれる複数の発光素子44のうち、+x方向側または-x方向側のいずれに問題が生じているかを特定できる。さらに、測定面53の光強度分布を解析することで、直管20の内壁面24の汚れの程度を推定できる。
本実施の形態によれば、一つの光学ブロック50を設けるだけで、流体殺菌装置10の動作状態に関する多くの情報を得ることができる。その結果、複数の光源または複数の発光素子のそれぞれの光出力を測定するために複数の光センサを設ける必要がなくなり、複数の光センサを設けるために直管20に多数の測定用の開口等を設ける必要もなくなる。その結果、直管20の構造を単純化でき、コストの増大を防ぐことができる。
図7(a),(b)は、光学ブロック50a,50bの構成を概略的に示す図である。図7(a)の光学ブロック50aは、頭頂部56aが面取りされている点で、上述の実施の形態に係る光学ブロック50と相違する。頭頂部56aは、曲面で構成されてもよいし、平面で構成されてもよい。図7(a)の光学ブロック50aを用いることで、突出部52aの高さを小さくすることができ、処理流路12における流体の流れを阻害しにくくできる。
図7(b)の光学ブロック50bは、突出部52bの側辺59が面取りされている点で、上述の光学ブロック50および50aと相違する。側辺59は、曲面で構成されてもよいし、平面で構成されてもよい。図7(b)の光学ブロック50bを用いることで、光学ブロック50bの突出部52bの近傍を流れる流体の流れを阻害しにくくできる。
図8は、別の実施の形態に係る流体殺菌装置110の構成を概略的に示す断面図である。流体殺菌装置110は、複数の光測定器146a,146bと、複数の光学ブロック150a,150bとを備える点で上述の実施の形態に係る流体殺菌装置10と相違する。以下、本実施の形態について、上述の実施の形態との相違点を中心に説明する。
流体殺菌装置110は、直管120と、第1筐体31と、第2筐体32と、第1光源41と、第2光源42と、第1光測定器146aと、第2光測定器146bと、第1光学ブロック150aと、第2光学ブロック150bとを備える。
直管120の側壁123には、第1測定開口125aと、第2測定開口125bとが設けられる。第1測定開口125aは、図1の測定開口25と同じ位置に設けられ、直管120の中心軸から+y方向に離れた位置に設けられる。第2測定開口125bは、第1測定開口125aと周方向に異なる位置に設けられる。第2測定開口125bは、第1測定開口125aから周方向に180度ずれた位置に設けられ、直管120の中心軸を挟んで第1測定開口125aの反対側に設けられる。第2測定開口125bは、直管120の中心軸から-y方向に離れた位置に設けられる。
第1光学ブロック150aは、第1測定開口125aに設けられる。第1光学ブロック150aは、処理流路12の外側に露出する測定面153aと、処理流路12の内側に露出する屈折面154aとを有する。第1光測定器146aは、第1光学ブロック150aの測定面153aの光強度分布を計測するように配置される。
第2光学ブロック150bは、第2測定開口125bに設けられる。第2光学ブロック150bは、処理流路12の外側に露出する測定面153bと、処理流路12の内側に露出する屈折面154bとを有する。第2光測定器146bは、第2光学ブロック150bの測定面153bの光強度分布を計測するように配置される。
図9は、第1光源41の構成を概略的に示す正面図である。第1光源41は、直管120の中心軸よりも左側(-x方向側)に配置される複数の第1発光素子44aと、直管120の中心軸よりも右側(+x方向側)に配置される複数の第2発光素子44bとを含む。複数の第1発光素子44aは、直管120の中心軸よりも上側(+y方向側)に配置される複数の第1上側発光素子44aaと、直管120の中心軸よりも下側(-y方向側)に配置される複数の第1下側発光素子44abとを有する。複数の第2発光素子44bは、直管120の中心軸よりも上側(+y方向側)に配置される複数の第2上側発光素子44baと、直管120の中心軸よりも下側(-y方向側)に配置される複数の第2下側発光素子44bbとを有する。
第1上側発光素子44aaおよび第2上側発光素子44baからの直接光は、主に第1光学ブロック150aに入射する。第1下側発光素子44abおよび第2下側発光素子44bbからの直接光は、主に第2光学ブロック150bに入射する。第1光学ブロック150aは、上述の実施の形態と同様、第1上側発光素子44aaからの直接光と、第2上側発光素子44baからの直接光とを分離できる。また、第2光学ブロック150bは、第1光学ブロック150aと同様、第1下側発光素子44abからの直接光と、第2下側発光素子44bbからの直接光とを分離できる。したがって、本実施の形態によれば、第1光源41からの直接光を上下左右の4領域に分割してモニタすることができる。同様に、第2光源42からの直接光についても、上下左右の4領域に分割してモニタすることができる。
図8の例において、第1光学ブロック150aおよび第2光学ブロック150bは、軸方向の位置が互いに同じである。さらに別の実施の形態では、第1光学ブロック150aおよび第2光学ブロック150bの軸方向の位置が異なっていてもよい。例えば、第1光学ブロック150aは、直管120の中央よりも第1端部21に近い位置に設けられてもよい。この場合、第2光学ブロック150bは、直管120の中央よりも第2端部22に近い位置に設けられてもよい。
図10は、さらに別の実施の形態に係る流体殺菌装置210の構成を概略的に示す断面図である。本実施の形態では、光学ブロック250の向きが上述の実施の形態と相違する。光学ブロック250は、測定面53と直交して直管20の軸方向に沿う仮想平面(yz平面)に対し、複数の屈折面54a~54dが傾斜しないように配置される。図示されるように、第1底辺55aおよび第3底辺55cはx方向に延在し、第2底辺55bおよび第4底辺55dはy方向に延在する。第1光源41からの直接光は、第1屈折面54aに入射する。第2光源42からの直接光は、第3屈折面54cに入射する。第1光源41からの直接光は、測定面53において、第3底辺55cに沿った第1測定領域260aにて測定できる。第2光源42からの直接光は、測定面53において、第1底辺55aに沿った第2測定領域260cにて測定できる。光学ブロック250に入射する間接光は、測定面53の中央付近にて測定できる。
図11は、測定面53における光強度分布の一例を示す図であり、図10の光学ブロック250を用いる場合の光強度分布を示す。図示されるように、第1測定領域260aおよび第2測定領域260cの光強度が相対的に大きく、中央付近の間接光測定領域260eの光強度が相対的に小さいことが分かる。本実施の形態では、第1測定領域260aの光強度に基づいて第1光源41の光出力を推定でき、第2測定領域260cの光強度に基づいて第2光源42の光出力を推定できる。また、間接光測定領域260eの光強度に基づいて内壁面24の汚れに伴う間接光の増加を検知できる。したがって、本実施の形態においても、第1光源41および第2光源42の劣化や故障を検出することができるとともに、内壁面24の汚れの程度を推定できる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
上述の実施の形態では、光学ブロック50,150a,150b,250の測定面53を光測定器46,146a,146bで測定する場合について示した。別の実施の形態では、光測定器が設けられなくてもよく、測定面53の光強度分布を目視で確認してもよい。
上述の実施の形態では、光測定器46,146a,146bが二次元の光強度分布を測定できる場合について示した。別の実施の形態では、光測定器46,146a,146bとして、測定面53に設定される複数の測定領域60a~60e,260a~260eのそれぞれの光強度を個別に測定する複数のフォトダイオードを用いてもよい。
上述の実施の形態では、直管20の第1端部21に第1光源41が設けられ、直管20の第2端部22に第2光源42が設けられる場合について示した。別の実施の形態では、第1光源41および第2光源42の一方のみが設けられ、他方が設けられなくてもよい。
10…流体殺菌装置、12…処理流路、20…直管、23…側壁、46…光測定器、50…光学ブロック、51…フランジ部、52…突出部、53…測定面、54…屈折面、56…頭頂部。

Claims (9)

  1. 処理流路を区画する直管と、
    前記直管の端部と対向する光源窓と、
    前記光源窓越しに前記処理流路に向けて紫外光を照射する光源と、
    前記直管の側壁に設けられ、前記紫外光が透過する光学ブロックと、を備え、
    前記光学ブロックは、前記処理流路の外側に露出し、前記直管の軸方向に沿う測定面と、前記処理流路の内側に露出し、前記測定面に対して傾斜する屈折面と、を有することを特徴とする流体殺菌装置。
  2. 前記測定面に対する前記屈折面の傾斜角は、40度以上50度以下であることを特徴とする請求項1に記載の流体殺菌装置。
  3. 前記屈折面は、前記測定面と直交し、前記直管の前記軸方向に沿う仮想平面に対して傾斜することを特徴とする請求項1または2に記載の流体殺菌装置。
  4. 前記仮想平面に対する前記屈折面の傾斜角は、40度以上50度以下であることを特徴とする請求項3に記載の流体殺菌装置。
  5. 前記光学ブロックは、前記直管に対して固定されるフランジ部と、前記フランジ部から前記直管の内部に向けて延びる突出部と、を含み、
    前記突出部は、前記直管の前記側壁に設けられる開口に挿通され、
    前記屈折面は、前記突出部の外面であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
  6. 前記突出部は、角錐形状、角錐台形状、または、角錐の頭頂部および側辺の少なくとも一方が面取りされた形状を有することを特徴とする請求項5に記載の流体殺菌装置。
  7. 前記光学ブロックは、前記紫外光を可視光に変換する蛍光物質を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
  8. 前記測定面の光強度を測定する光測定器をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
  9. 前記直管の側壁に設けられ、前記光学ブロックとは前記直管の周方向に異なる位置に設けられる別の光学ブロックをさらに備え
    前記別の光学ブロックは、前記処理流路の外側に露出し、前記直管の軸方向に沿う別の測定面と、前記処理流路の内側に露出し、前記別の測定面に対して傾斜する別の屈折面と、を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の流体殺菌装置。
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