JP7369241B1 - 製鎖用金合金ワイヤ、その製造方法及び金合金チェーン - Google Patents

製鎖用金合金ワイヤ、その製造方法及び金合金チェーン Download PDF

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Abstract

【課題】コマの異形状や不良の発生を低減し、マシーンチェーンの歩留まりを向上させることのできる製鎖用金合金ワイヤ及びこれを用いた高品質かつ高品位の金合金チェーンを提供する。マシーンチェーンの歩留まりを向上させることのできる製鎖用金合金ワイヤの製造方法を提供する。【解決手段】99.8質量%以上の金を含有する金合金であって、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素を前記金合金の総量に対して合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下含み、金合金ワイヤの最大耐力が330MPa以上、かつ最大耐力の3σは30以下である製鎖用金合金ワイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、宝飾品に用いられる製鎖用金合金ワイヤ、その製造方法及び金合金チェーンに関する。
従来、一般にネックチェーンやブレスレット、ブローチ、指環などの宝飾品の製造に用いられる金合金として、純金に、AgやCu、さらにNi、Pd、Znなどの合金成分を25~40重量%程度含有させた金合金が、K14合金、K18合金、K22合金などとして知られている。例えば、指環は、樹脂製などの型に溶融した上記のK14合金~K22合金を流し込み、冷却して固めて仕上げる鋳造や、金属をハンマーで叩き、延ばすことを繰り返しながら成型する鍛造により、作製される。特に、鋳造では、微細な装飾を施すことができ、鍛造では、表面光沢の美しい装飾に仕上がる。
これら宝飾品には、できるだけ長い期間、光沢などを美しく保つことが求められる。例えば、宝飾品の表面に傷がつくと、光沢や高級感が損なわれる。従来、宝飾品の美的価値を長期間保つために、宝飾品材料となる金合金の合金元素を工夫することで、表面の硬度を大きくし、表面に傷をつきにくくする試みがなされている(特許文献1~5を参照。)。
特開平7-026340号 特開平9-003570号 特開平6-179931号 特開平7-258772号 特開平9-003612号
ここで、K14合金(金58.5質量%)、K18合金(金75質量%)、K22合金(金91.7質量%)などの金合金は、金の純度が低いため、金特有の色味が失われてしまうほか、金合金の酸化(例えば、金属Cu、Feの酸化)、硫化(例えば、金属Agの硫化)で変色しやすいなど、金の品位が低くなるという課題がある。また、低純度金合金は溶接時の熱で変色しやすく、日常生活や温泉などの環境でも変色することがある。このため、経年劣化で従来の純Auの色調がなくなり、さらなる品位の低下が懸念される。さらに、低純度の合金に多量に添加された金属による金属アレルギー発症リスクが高くなるという問題があった。
一方、K24(金100質量%)に近い高品位の金合金になるほど、原料として高価な金地金が必要になる。高価な金地金の調達コストは地金価格や為替や金利変動といった市場リスクの影響を受けやすく、在庫量が多いほど、在庫期間が長いほど、これらの変動によって多額の損失が発生する。したがって、高品位金を用いた宝飾品では、在庫量や在庫期間を限りなく少なくするために、消費者満足度が高い、傷や欠陥(切れやすい、壊れやすい等)のない極めて高品質の製品への加工が不可欠であり、そのために高度な製造技術が求められる。なお、高品位とは、宝飾品に適用した際に貴金属の純度・色見・輝きなどの観点から主に消費者にとって美的価値の高いことを意味し、高品質とは、主に、宝飾品の製造や使用の過程で、物理的特性に問題のない品質であることを意味する。
本発明者らは、低純度金合金で適用されるような、表面に傷をつきにくくする手法のほかで、高い消費者満足度を得られるように、高品位かつ高品質を実現することのできる宝飾用金合金の開発を目指して各種の検討を進めていた。その過程で、これまで取り上げられなかったネックチェーンやブレスレットの製鎖過程、とくに、ハンドメイドではなく、機械で製造されるマシーンチェーンに特有の課題があることを見出した。以下、これを詳細に説明する。
まず、製鎖方法について説明する。一般的に、ネックチェーンやブレスレットなどのチェーンを編むことを「素編み」と呼ぶ。製鎖方法は、ハンドメイド(手造り)と機械製造の2つに分けられる。手造りのチェーンは、原料となる金合金の組成や種類の制約はなく、高品位の金も使用できるが、生産性が非常に低い。機械製造は、機械で同じ形状のパーツ(コマ)を連続的につないで線状のチェーンを作製するため、生産性が高い。機械製造したチェーンはマシーンチェーンとも呼ばれる。マシーンチェーンは、製鎖機によって、チェーンの原料となるワイヤを搬送しながら、例えば、楕円環状に形成し、先に製造したコマ(チェーンの最小単位である円環)と次のコマがつながるように連続的にコマを形成して作製される。チェーンの形状にもよるが、製鎖機により1時間に2~数m程度のチェーンが編まれる。
本発明者らの調査により、製鎖工程を経て得られるマシーンチェーンには、長らく解決されていない歩留まり低下の問題があったことが分かった。特に、高純度の金合金であるほど、連続製鎖されたチェーンのコマの異形状や不良が発生しやすく、これが、歩留まり低下の原因の一つであることも判明した。コマの異形状や不良は、チェーンの強度不足や美観の低下につながり、商品価値を著しく低下させる。工業製品や民生品などの製造分野であれば、歩留まりの多少の低下は大きな問題にならないが、高品位金を用いた宝飾品の分野では、歩留まりの低下によって、地金価格や為替や金利変動といった市場リスクが増幅され、多額の損失が発生する。このような、チェーン生産時の歩留まり低下による、多大な損失リスクを抱えたマシーンチェーンの長年の課題を解決すべく、本発明者らは、その製鎖工程に着目し、歩留まり低下の主な原因を突き止めた。
はじめに、一般的な製鎖機を用いた製鎖工程について説明する。図1は、金合金チェーンを製造するための製鎖機10の一例を模式的に表す図である。製鎖機10は、元材である金合金からなるワイヤ1が巻かれたスプール20と、スプール20のワイヤ1の先端部分を内部に通してコイル状に成型する円筒状の巻型ガイド2と、巻型ガイド2内に貫通され、回転によりワイヤを搬送する楕円柱状の楕円芯3と、を有している。巻型ガイド2の内表面には、コイル状に溝が設けられており、ワイヤ1は当該溝にほぼ隙間なくはめ込まれることで、楕円芯3の回転に伴い巻型ガイド2内を搬送される。巻型ガイド2の一方の開口から挿入されたワイヤ1は、巻型ガイド2と楕円芯3に挟まれることで、コイル状に成型されながら巻型ガイド2内を搬送され、巻型ガイド2の他方の開口から搬出される。
製鎖機10は、さらに、巻型ガイド2から搬出されたワイヤ1の先端のコイル一巻分を把持するピンサー6と、ワイヤ1の先端のコイル一巻分をワイヤ1の本体から切り離すためのカッター5と、カッター5の刃を受け止め停止させるためのカット台4を備えている。カッター5により、本体から切り離されるコイル一巻分のワイヤ1は、その両端の中心軸が一致せず、平行にずれた状態にある。製鎖機10は、さらに、一対の把持部(7a、7b)を有するクランプ7と、溶接機8を備えている。カッター5により本体から切り離されたコイル一巻分のワイヤ1は、クランプ7の一対の把持部(把持片)7a、7bにより、コイル楕円環がなす環平面の両側から挟み込まれることで、両端の中心軸が一致するように変形させられ、楕円環状のコマに形成される。続いて、溶接機8がコマの開口部を加熱溶接してコマを閉じる。
図1に示す製鎖機10を用いた製鎖工程の一例は次のように行われる。
(1)ワイヤ1の先端を、巻型ガイド2の一方の開口から、巻型ガイド2内の溝にはめ込むことで製鎖機10にセットする。
(2)その後、製鎖機10を作動させると、楕円芯3が回転しながら巻型ガイド2内を、その長手方向に移動する。ワイヤ1は、巻型ガイド2の一方の開口から他方の開口に向かって、楕円芯3の回転移動に伴い搬送される。ワイヤ1の先端がコイル一巻分だけ巻型ガイド2の他方の開口から搬出されたところで、楕円芯3の回転及び移動が一旦停止する。この際、巻型ガイド2の他方の開口から搬出されるワイヤ1の先端が、先に形成されている他のコマの円環内を貫通するように、先に形成された他の(前の)コマがピンサー6に把持されて配置されている。先に形成された他の(前の)コマには、先に編まれたチェーン30が吊り下がっている。
(3)搬出されるワイヤ1の先端が、先に形成されている他のコマの円環内を貫通すると、ピンサー6が、先に形成された他の(前の)コマを開放し、巻型ガイド2搬出されたワイヤ1の先端を把持する。カッター5がワイヤ先端の、コマ9の1つ分に相当するコイル一巻分のワイヤを切断する。
(4)クランプ7の一対の把持部がコイル一巻分のワイヤを挟み込んで変形させ、略楕円環状のコマ1を形成する。チェーンの形状に合わせて、必要に応じてピンサー6がコマ9をひねる。
(5)その後、クランプ7による挟持が解放され、次に、溶接機8がコマ9の開口部を加熱溶接して閉じる。
(6)楕円芯3が巻型ガイド2内を、回転せずに長手方向に(2)とは反対方向へ移動して後退する。
(7)再び(2)を開始する。
製鎖工程では、楕円芯3の回転移動によって連続的にワイヤ1がスプールより繰り出されながら上記(2)~(7)の動作が繰り返される。このとき、搬送されるワイヤ1の先端は、巻型ガイド2の溝内、既に形成された他のコマの円環内を順に通過し、新たなコマ9が形成される。これらによって、所定の長さのチェーンが編まれる。なお、ここでは、楕円環状のコマが連なるチェーンの製造方法について説明したが、その他の形状のコマの製造方法についても、楕円芯3や巻型ガイド2の形状が異なる以外は概ね同様である。
本発明者らは、連続製鎖工程における各操作と製造されたチェーンの表面性状や強度との関係を詳細に分析し、連続製鎖されたチェーンのコマの異形状や不良の原因を解析した。なお、ここでは、円環の一部が凹む、薄く潰れるなどの変形したコマや、コマのサイズや縦横の比率(円環の場合に水平軸/垂直軸比、楕円環の場合に長軸/短軸比)が設計値から外れて大きくなったり、小さくなったりしたコマを異形状と称し、コマの閉じ口の両端位置ずれ等が生じ、正常に閉じられていないコマを不良と称する。
本発明者らが見出した、コマ形状の異形状や不良の原因は主に次の点であった。つまり、(A)楕円芯3とワイヤの接触部における圧痕(傷)によるワイヤ強度の低下、(B)スプール20と楕円芯3の間のワイヤのテンションによるワイヤ長手方向の変形、(C)楕円芯3の停止及び移動方向の変化時における、ワイヤのスプリングバックである。
例えば、ワイヤ1搬送中のワイヤ1と楕円芯3の接触によって上記(A)の、楕円芯3とワイヤの接触部における圧痕(傷)が生じ、ワイヤ強度の低下につながる。楕円芯3と、ワイヤ1と、巻型ガイド2のワイヤを挟み込む溝の間には、ワイヤを安定的に搬送するためにほとんど隙間がない。さらに、楕円芯3の外周は滑らかな楕円ではなく、コイル1との摩擦を大きくしてワイヤを安定的に搬送するために、角が設けられている場合もある。ワイヤ1が楕円芯3と巻型ガイド2に挟み込まれることで、ワイヤ1は表面に押圧を受けて、表面に圧痕(傷)を生じることがある。表面に傷があるコマは、傷によって強度が下がる。各コマには、ピンサー6に把持されるときに、それより前に製鎖された複数のコマからなるワイヤ(チェーン30)の荷重がかかるので、強度の低下したコマは、変形して異形状になり易い。ワイヤ1の特性の均質性が低いと、ワイヤ1の傷の発生個所が集中しやすく、これにより局所的な強度の低下を生じるので、コマの異形状や不良の発生頻度上昇につながる。
次に、上記(B)を詳しく説明する。スプール20は、ワイヤ1の搬送方向と反対方向にワイヤを引っ張っているため、スプール20と楕円芯3の間にはテンションがかかっている。ワイヤは、その耐力によってはこのテンションにより長手方向に延ばされ、細って強度が下がる。このテンションは、滑車の原理によりスプール20の巻き数が大きいほど大きく、製鎖が進んで巻き数が少なくなるほど、小さくなる。ワイヤ1にかかるテンションの変化に伴って、テンションに起因するワイヤの変化量が変化する。ワイヤ1の特性の均質性が低いと、ワイヤ1長手方向の変形量が局所的に異なり、コマの異形状や不良の発生頻度上昇につながる。また、ワイヤの細った部分はその他の部分に比べて強度が下がるので、上記同様、ピンサー6に把持されるときに、それより前に製鎖された複数のコマからなるワイヤの荷重による変形が生じ易い。
上記(C)の問題は次のとおりである。上記(6)の工程で、テンションから一時的に解放されたワイヤ1に楕円芯3の長手方向に対して垂直方向のスプリングバック(コイルの緩み)が生じると、コイルの内径が広がるので、楕円芯3の空回転がおこり、その部分だけワイヤ搬送が遅れる。ワイヤ耐力が高いほどスプリングバックが生じやすく、この場合にはコイルと楕円芯3との接触が解放されるのでワイヤ1表面(内周側の表面)の傷は低減される。これに対し、ワイヤ耐力が低いとスプリングバックは生じにくいが楕円芯3とワイヤ1内周側の表面との接触によって、傷が発生しやすくなる。ワイヤ1の特性の均質性が低いと、スプリングバックによる変形やワイヤ表面の傷が局所的に生じる。これにより、異形状や不良のコマが発生し易くなる。
そのほか、ワイヤ1の耐熱性が低いと、(5)の工程におけるコマの溶接時の熱が、コマの強度低下や、異形状や不良の発生を助長することもわかった。
このようなコマの強度低下や、コマの異形状及び不良を低減できるワイヤによれば、マシーンチェーンの歩留まりを向上させることができ、そのために消費者満足度の高い宝飾用チェーンを安定的に供給することができる。その結果、チェーンメーカーの市場リスクを大きく低減し得ると考えた。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、コマの異形状や不良の発生を低減し、マシーンチェーンの歩留まりを向上させることのできる製鎖用金合金ワイヤ及びこれを用いた高品質かつ高品位の金合金チェーンを提供することを目的とする。
本発明は、次の通りのものである。
[1]金合金ワイヤは、99.8質量%以上の金を含有する金合金からなる製鎖用の金合金ワイヤであって、前記金合金は、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素を前記金合金の総量に対して合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下含み、前記金合金ワイヤの最大耐力が330MPa以上、かつ最大耐力の3σは30以下である。
[2]前記金合金ワイヤの0.2%耐力が320MPa以上、かつ下記(1)式で定義する耐力比が1.01以上1.30以下であることを特徴とする[1]に記載の製鎖用金合金ワイヤ。
耐力比=最大耐力/0.2%耐力 (1)
[3]前記金合金ワイヤの表面のビッカース硬さ(Hv)は80以上である[1]又は[2]に記載の製鎖用金合金ワイヤ。
[4]前記金合金ワイヤを、300℃、5分間加熱した後の、表面のビッカース硬さ(Hv)は60以上であり、かつ、最大耐力は230MPa以上である[1]から[3]のいずれか1つに記載の製鎖用金合金ワイヤ。
[5]線径は100μm以上600μm以下である[1]から[4]のいずれか1つに記載の製鎖用金合金ワイヤ。
[6]99.8質量%以上の金を含有する金合金からなる金合金ワイヤが環状に成形されてなるコマが複数接続されてなる金合金チェーンであって、前記金合金は、総量に対し、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素を合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下含み、前記金合金チェーンを形成するコマの断面の破断評価部のビッカース硬さ(Hv)は50以上であることを特徴とする金合金チェーン。
[7]99.8質量%以上の金を含有する金合金からなる金合金ワイヤが環状に成形されてなるコマが複数接続されてなる金合金チェーンであって、前記金合金は、総量に対し、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素を合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下含み、引張荷重は1.5Kg以上である金合金チェーン。
[8]引張荷重は1.5Kg以上である[6]に記載の金合金チェーン。
[9]前記金合金ワイヤの最大耐力が330MPa以上、かつ最大耐力の3σは30以下である[6]から[8]のいずれか1つに記載の金合金チェーン。
[10]金合金からなるワイヤ線材を伸線加工して製鎖用金合金ワイヤを得る製造方法であって、前記金合金は、99.8質量%以上の金と、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素を総量に対して合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下含み、前記伸線加工工程は、10パス以上の伸線工程を有し、前記伸線工程における1パス当たりの減面率が8%以上25%以下である、製造方法。
[11]前記製鎖用金合金ワイヤの線径が、100μm以上600μm以下である、[10]に記載の製造方法。
なお、本明細書において「~」の符号は、符号の左の値以上右の値以下の数値範囲を表す。
本発明によれば、コマの異形状や不良の発生を低減し、マシーンチェーンの歩留まりを向上させることのできる製鎖用金合金ワイヤ及びこれを用いた高品質かつ高品位の金合金チェーンを提供することができる。
また、本発明によれば、コマの異形状や不良の発生を低減し、マシーンチェーンの歩留まりを向上させることのできる製鎖用金合金ワイヤの製造方法を提供することができる。
製鎖機を模式的に表す図である。 本実施形態の金合金組成が有する均一結晶組織の電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)写真を示す。 不均一結晶組織のFE-SEM写真を示す。 楕円環状を成すコマ断面の溶接部の近傍を模式的に示す図である。 コマの引張破断試験前後の結果を表すSEM(走査電子顕微鏡)写真であり、(A)が引張破断試験前、(B)が引張破断試験後を表す。 コマ断面の特性評価のための試料の作成方法を説明するための図である。 傷のあるコマのSEM写真を示す。 傷のある他のコマのSEM写真を示す。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の製鎖用金合金ワイヤ(以下単に、「金合金ワイヤ」ともいう。)は、99.8質量%以上の金を含有する高純度の金合金であって、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素を前記金合金の総量に対して合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下含む金合金からなる。
まず、ワイヤを構成する高純度金合金について説明する。本発明者らは、製鎖用ワイヤの原料として使用され得る金合金を、種々の組成で製造し、融点以上の温度で溶解し、撹拌した後に冷却して凝固させて、その組織(溶解組織)を解析した。溶解組織の観察方法は後述する。その結果、金合金の組織は主に結晶組織からなる均一結晶組織と、結晶と非結晶が混在する不均一組織の2つに分類できることを発見した。図2に、本実施形態の金合金組成が有する均一結晶組織の写真を示し、図3に、不均一結晶組織の一例として、(A)AuNd合金(Au99.8質量%以上)及び(B)AuSi合金(Au99.8%質量以上)が有する不均一結晶組織の写真を示す。図2及び図3の写真はいずれも、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)によって撮影した。
(溶解組織の観察)
具体的に、溶解組織は次のように観察した。溶解後に、撹拌、凝固させた金合金を数センチ長さの棒状に切り出した溶解組織観察用試料を1本用意した。試料の断面(長手方向の垂直断面)を研磨器にて粗研磨した。その後、最終研磨によって断面の仕上げをし、続いて、イオンミリングにより、研磨面の残留歪みを除去し、滑らかな表面を得た。
なお、試料断面の表面を滑らかに処理する方法としては、機械研磨、化学研磨、集束イオンビーム(FIB)加工法などがある。これらの方法によれば、断面の表面の残留歪みを除去し、滑らかな表面を得ることができる。化学研磨やFIB加工法よりも手間や時間が少ないため、上記の中でも、機械研磨が好ましい。
電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM)の試料台に、試料の断面(即ち、試料の研磨面)が試料台と平行になるように貼り付け、2000倍の観察倍率、加速電圧5keVで試料の溶解組織を観察した。
図2に示す均一結晶組織は、全体として均一に結晶組織を有しており、非結晶組織を含んでいないか、含んでいる場合でも非結晶組織は無視できるほど極めて少ない。均一結晶組織を有する材料はダイスによる伸線加工を経て得られるワイヤの、例えば、硬さ、耐力、耐熱性などの性質がワイヤの位置、特に長手方向の位置に依らずに全体的に均質であり、安定していた。また、得られる金合金チェーンのコマにおいても、製鎖工程の溶接熱による、ワイヤの硬さなどの性質の若干の低下はあるものの、位置に依らず、全体的に均質であった。
図3に示す不均一組織では、結晶組織と非結晶組織が混在しており、不均一組織は、元素の偏析や局部の析出によって形成されていた。不均一組織を有する金合金材料は、偏析硬化、析出硬化による局部的な硬さの向上に一定の効果があるものの、材料の性質が不均一であった。そのため、ダイスによる伸線加工でその性質がより不均一になり、得られるワイヤの性質の不均質性が大きくなること、また、ワイヤ全体としての品質も劣る(例えば、ワイヤの最大耐力の偏差値σが大きくなる。)ことが分かった。さらに、非結晶組織を有する金合金ワイヤは脆くなりやすく、伸線加工で断線が生じやすいこと、さらに、伸線加工されたワイヤに内部割れなど外観から確認できない内部欠陥があり、製鎖工程で不具合が生じやすいことが分かった。さらに、製鎖工程の溶接熱によって、結晶組織と非結晶組織の結晶成長速度が異なるため、組織内に内部偏析や空隙が生じやすい。これにより、ワイヤの耐力などの性質が低下しやすく、ワイヤ全体的にさらに不均質になりやすい。このような不具合を生じやすいワイヤを使用し、製鎖したチェーンでは、商品価値が著しく低くなる。
本発明者らは、上記均一結晶組織を活用することで、製鎖用ワイヤの特性を高め、マシーンチェーンの歩留まりを向上させ得ることを着想し、均一結晶組織を実現する金合金の組成を鋭意検討した。その結果、金に、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素を合計で50質量ppm以上pm1500質量ppm以下含有させた、金含有量が99.8質量%以上の金合金の溶解組織が均一結晶組織からなることを発見した。なお、上述の通り、溶解組織は、所定の組成の金合金を融点以上の温度で溶解し、撹拌した後に冷却して凝固させた金属の組織である。溶解組織は、FE-SEMによって観察することができる。
本実施形態の金合金ワイヤにおいて、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素の合計量が50質量ppm未満の場合には、表面の硬さ、耐力、耐熱性などの特性の均質性向上効果が得られない。1500質量ppmを超える場合には、溶解組織が不均一組織になり、これらの添加元素の内部偏析や表面析出が起こる。その結果、伸線加工で得られる金合金ワイヤの表面性が悪く、内部欠陥が生じることで、ワイヤの不均質性が生じやすい。さらに、品位も低下し、純金に近い色調も得られなくなる。また、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素の合計量が50質量ppm以上1500質量ppm以下であると、伸線加工性も良好であり、これにより、チェーンの製造歩留まりを向上させることができる。
硬さ、耐力及び耐熱性をバランスよく向上させたワイヤを得るためには、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素の合計量は、100質量ppm以上であることが好ましく、500質量ppm以上であることがより好ましい。また、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素の合計量は、1000質量ppm以下であることが好ましく、900質量ppm以下であることがより好ましい。また、良好な耐力とその均質性を得る観点で、添加元素としては、Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaのうち、Ca、La、Gd及びCeから選ばれる1種又は2種を含むことが好ましく、少なくともCaを含むことがより好ましい。
本実施形態の金合金ワイヤは、さらに、Ag、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素をワイヤの全体に対して合計で0質量ppm以上1000質量ppm以下含有してもよい。Ag、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素の量は、合計で10質量ppm未満では、コマの異形状や不良の発生にはほとんど影響しないが、10質量ppm以上であると、量的効果(増量による効果向上)は著しくて小さいが、最大耐力の向上に寄与する傾向である。Ag、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素が含まれても、Auとの溶解組織において固溶体となり、均一組織が得られることで、金合金ワイヤの性質への影響が限定的であるためである。ただし、添加元素(Ce、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素)を含まず、Ag、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素だけでは、ワイヤ品質の均質性は得られない。また、1000質量ppm以下であることで、コマ溶接時の溶解組織の安定性を維持しつつコマの溶接熱による変色を低減し、金合金ワイヤから得られるチェーンの外観を向上させることができる。Ag、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素の含有量は、15質量ppm以上であってもよく、100質量ppm以下であってもよい。Ag、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素は、ワイヤ原材料とする高純度金に含まれていてもよく、ワイヤ製造過程で添加してもよい。
本実施形態の金合金ワイヤは、上述した、Ce、Eu、Gd、La、Y、Ca及びAg、Pt、Pd、Cu以外に、不可避不純物を含有してもよい。不可避不純物としては、Ni、Fe、In、Sn、Sb、Zn、Si、Mn、Cr、Ti、Be、Sr、Ba、Sc、Mg、Pb、Ir、Ru、Bi等が挙げられる。不可避不純物の含有量は多くなると、Auとの溶解組織が不均一組織になりやすく、純金に近い光沢も得にくくなる。そのため、不可避不純物の含有量は、例えば、金合金ワイヤの全量に対して100質量ppm以下、あるいは50質量ppm以下であることが好ましい。
本実施形態の製鎖用金合金ワイヤは、99.8質量%以上の金を含有する金合金からなることで、純金に近い色調を得ることができ、高品位のワイヤ及びチェーンを得ることができる。本実施形態の金合金ワイヤの金の濃度は、99.85質量%以上であることが好ましく、99.90質量%以上であることがより好ましい。
なお、金合金ワイヤおよびこれを用いて製鎖した製品(チェーン)を用いて、金合金ワイヤに含まれる上記元素の濃度を求める方法としては、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、グロー放電質量分析法(GDMS)の化学分析が一般的である。また、ICP-MSとGDMSを併用し、GDMSで全元素を半定量して、検出下限以上の元素をICP-MSで指定元素として定量する方法がより好ましい。GDMSによる半定量では、GDMSによるイオン強度の測定値から装置付随の相対感度係数(RSF)を使用して、各元素の濃度換算を行い、分析値を得る。すなわち、分析値(半定量値)は、主成分元素のイオン強度及び分析目的元素のイオン強度と、RSFとから算出した値である。また、GDMS分析に供する試料のサイズは、GDMS機器の測定領域より小さい場合、インジウム(In)に埋め込んで分析する方法や、圧延して試料面積を大きくする方法を採用してもよい。また、前記金合金ワイヤおよびこれを用いて製鎖した製品の金の純度は、試料全体の元素濃度を100質量%として、前記定量した検出下限以上の元素の濃度の総和を引いた濃度とする。また、製鎖した製品に、留め金具やペンダントヘッドなど製鎖した後に付けた付属品がある場合、これらの付属品を取り外した状態で、含有元素を測定する。なお、金合金中の銀(Ag)を分析する場合、分析装置や前処理によって、分析値がばらつく場合があり得るため、そのような場合、GDMSによる分析結果を採用することが望ましい。
本実施形態の金合金ワイヤは、最大耐力が330MPa以上、かつ最大耐力の3σは30以下である。本実施形態の金合金ワイヤは、最大耐力が330MPa以上であるので、楕円芯とワイヤの接触部における圧痕(傷)を抑制することができる。これにより、ワイヤの部分的な強度低下が抑制されるので、コマの異形状や不良の発生が低減される。その他、ワイヤの操作性が良好であり、ワイヤ1を製鎖機にセットしやすく、この際の変形も抑制することができる他、ワイヤ搬送過程での、巻型ガイドの溝表面との接触によるワイヤの傷を抑制する効果もある。この観点から、金合金ワイヤの最大耐力は、350MPa以上であることがより好ましく、400MPa以上であることがさらに好ましい。なお、本実施形態の金合金ワイヤは、最大耐力が570MPa以下であることが好ましく、530MPa以下であることがより好ましい。
本実施形態の金合金ワイヤは、最大耐力の3σが30以下であるため、ワイヤの部分的な最大耐力の不均一性が小さく、ワイヤの操作性を安定させ、ワイヤ長手方向全体にわたって傷の発生を抑制する効果が得られる。また、ワイヤの部分的な伸び変形やスプリングバックの発生によるワイヤ搬送不良を低減させることができ、コマの異形状や不良の発生を低減する。3σは、コマ形状の均一性を向上させ、異形状や不良を抑制する点で、23以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。
なお、金合金ワイヤの最大耐力及び3σは例えば、次のようにして測定し、算出することができる。伸線加工後の1本のワイヤの長手方向に離間して、少なくとも5本、好ましくは5本又は10本の試験片を長さ10数cmで切り出す。切り出したワイヤ試験片について、引張試験機によって測定長さ10cmで最大耐力を測定する。後述する0.2%耐力も同様にして測定することができる。得られた測定値を用い3σを次式(2)で算出する。
Figure 0007369241000001
・・・(2)

上記式(2)中、Xは、各ワイヤ試験片の測定値であり、μは測定値の平均、nは測定数(試験片の数)である。
本実施形態の金合金ワイヤは、その0.2%耐力が320MPa以上、かつ下記(1)式で定義する耐力比が1.01以上1.30以下であることが好ましい。
耐力比=最大耐力/0.2%耐力 ・・・(1)
本発明者の検討により、ワイヤ剛性、すなわちワイヤ軸方向の外力による変形しやすさは、0.2%耐力と相関すること、製鎖工程において、特に、ワイヤ搬送時の、スプールと楕円芯の間のテンションによるワイヤ長手方向の変形を抑制する効果はワイヤの0.2%耐力を調節することにより、さらに向上することを見出した。ワイヤの0.2%耐力が320MPa以上であるとテンションによるワイヤ長手方向の変形が改善される傾向である。さらに前記の耐力比が1.01以上であることで、スプリングバックを低減できるので、コマ一つ分として切り取られるワイヤ1の長さの均一性が増す。また、前記の耐力比が1.30以下であると、ワイヤの最大耐力が高くなりすぎないので、材料の組成、加工条件が制御しやすく、生産の歩留まりが向上する。前記のワイヤの0.2%耐力が320MPa以上、耐力比が1.01以上1.30以下であると、スプリングバックやテンションによるワイヤ変形によるワイヤ搬送不良を低減でき、コマの異形状や不良の頻度がより改善される。この観点から、金合金ワイヤの0.2%耐力は、350MPa以上であることがより好ましく、400MPa以上であることがさらに好ましい。耐力比は1.05以上1.25以下であることがより好ましい。本実施形態の金合金ワイヤの0.2%耐力は、510MPa以下であることが好ましい。本明細書において、最大耐力及びの0.2%耐力は、JISZ2241に準じて測定される値である。
本実施形態の金合金ワイヤの表面のビッカース硬さ(Hv)は80以上であることが好ましい。ワイヤ切断などワイヤの垂直方向(ワイヤの横断面方向)の外力による変形や、ワイヤカット面の形状の改善にワイヤ表面硬さの向上は有効であり、ワイヤの表面のビッカース硬さ(Hv)が80以上であると、ワイヤの切断時に、切断したワイヤの切断端の形状の均一性が高く、カット面の凹凸やバリが著しく低減できる。これにより、コマの不良を低減することができる。また、クランプで把持される際の、ワイヤ表面の傷の発生を抑制する効果もある。この観点から、金合金ワイヤの表面のビッカース硬さ(Hv)は85以上であることが好ましい。
なお、金合金ワイヤ表面のビッカース硬さは、JISZ2244に準じて測定される値であり、例えば、次のようにして測定することができる。伸線加工後の1本のワイヤの長手方向に離間した、例えば離間距離は5cm以上で5か所、好ましくは5か所又は10か所において、硬さ試験機を用い、測定荷重を0.02kgf、圧痕観察倍率を100倍で測定する。得られた測定値の平均をワイヤ表面のビッカース硬さとする。
本実施形態の金合金ワイヤを、300℃、5分間加熱した後の、ワイヤ表面のビッカース硬さ(Hv)は60以上であり、かつ、最大耐力は230MPa以上であることが好ましい。本実施形態の金合金ワイヤは、上記条件で耐熱性がよく、製鎖のときにコマの閉じ口の溶接を経てもコマ全体として強度の低下を抑えることができる。このため、得られるチェーンの切れを低減することができる。この観点から、300℃、5分間加熱した後の、ワイヤ表面のビッカース硬さ(Hv)は65以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましい。300℃で5分間加熱した後の、最大耐力は、255MPa以上であることが好ましく、260MPa以上であることがより好ましい。
製鎖用金合金ワイヤの線径は、通常、100μm以上600μm以下である。一般にワイヤ線径が細いほど、ワイヤの強度が弱くなるために、線径100μm以上600μm以下の細線では、より高強度のK20、K18の金合金ワイヤが主流になっている。本実施形態の金合金ワイヤは、線径100μm以上600μm以下の細線かつ高純度金合金でありながら、十分な最大耐力とその均質性を有するため、マシーンチェーンの製造に適用した際の歩留まりを向上させることができる。製鎖用金合金ワイヤの線径は、より好ましくは200μm以上600μm以下であることで、より顕著な効果を発揮する。製鎖用金合金ワイヤの軸に垂直方向の断面形状は通常円形であり、楕円形、四角形、四角形状を面取りした形状などであってもよく、特に限定されない。また、本実施形態の金合金ワイヤは、特に、コマの溶接にろう材を使用しない製鎖に好適であるが、これに限定されず、ろう材を使用する製鎖でも優れた効果を発揮する。製鎖用金合金ワイヤの線径は、250μm以上400μm以下であると、製鎖性の向上による歩留まり向上効果が顕著に得やすいため、より好ましい。
次に、製鎖されたチェーンについて説明する。本実施形態の金合金チェーン(単に「チェーン」ともいう。)は、上述した実施形態の金合金ワイヤが製鎖されて成る。本実施形態のチェーンは、複数の環(コマ)が、隣り合う環の一方のワイヤが他方の環内に貫通することにより連ねられて構成される。この、環(コマ)は金合金ワイヤが環状に形成されてなる。環の形状は、通常、楕円状であり、その他、円形状、長円形状(半径の等しい二つの円を共通外接線でつないだ形)、長方形や正方形などの四角形状であってもよい。また、楕円(又は円形状)の楕円平面(又は円平面)が隣同士のコマで略90度の角度差をもって交互に配置される小豆チェーンや、コマを捻ってその楕円平面の向きをそろえた喜平チェーン、コマを複数重ねてつなぎ合わせたロープチェーン、大きさの異なる複数種のコマをつなぎ合わせたフィガロチェーン等であってもよい。そのほか、カット小豆チェーン、平小豆チェーン、ダブルケーブルチェーン、トリプルケーブルチェーン、ベネチアンチェーン、スクリューチェーン、ダブル喜平チェーン、トリプル喜平チェーン、ハーフラウンド(コブラ)チェーン、レオンチェーン、ターラント、クリスクロスチェーン、ディスクチェーン、三角鎖、ライオンチェーン、8の字鎖、ダブル8の字鎖、ツインケーブル、ツインカーブ、エスカーブチェーン、フォックステールチェーン、メッシュチェーン、ストッキングメッシュチェーン、バーチェーンなどにも適用することができる。また、チェーンは、実施形態の効果を損なわない限り、上述した実施形態の金合金ワイヤからなるコマ以外に、その他の組成の99.8質量%以上の金を含む金合金からなるコマを含んでいてもよい。
本発明者らは、さらに、従来の金合金ワイヤを上述のように製鎖して得られるチェーンの強度に影響する要因をつぶさに調べたところ、チェーンの強度はコマの溶接部の中心(コマの閉じ口)ではない、という新たな事実を見出した。
図4及び図5を用いて、引張破断箇所について説明する。図4は、金合金ワイヤで作製されるコマ断面の一例を模式的に示す図である。図5は、コマの引張破断試験前後の結果を表すSEM写真(倍率50倍)であり、(A)が引張破断試験前、(B)が引張破断試験後を表す。
通常、ろう材と元材で同じ組成の金属を用いる同種金属の溶接において、溶接部は元材を一度溶融して凝固させるため、ワイヤの伸線加工で得た硬さ、耐力、耐熱性などの性能が消失され、溶解凝固させた金属の性質に近くなる。そのため、溶接部では、合金元素の偏析、気孔および凝固割れなどの不具合が生じやすい。一つのコマに着目すると、前述の溶解による不具合を含め、溶接部中心の強度が一番弱いというのが、従来一般的な認識であった。チェーンのようなコマとコマで繋がっている構造では、チェーンの強度はコマの強度と相関する。
本発明者らは、製鎖したコマの断面を観察して、その性質とチェーンの強度の関係を調べたところ、コマの強度はコマの溶接部中心ではなく、コマ断面の所定の範囲(後述の「破断評価部」)の硬度と強く相関していること、破断評価部の範囲は元ワイヤの線径に依存し、おおむねコマの閉じ中心線から、コマを形成する元ワイヤの線径の半分以上元ワイヤ線径以下の距離の範囲内であることを見出した。
図4に、楕円環状を成すコマ断面の溶接部の近傍を模式的に示す。図4において、コマの強度と関連する破断評価部を斜線(線L1とL3の間の領域とL2とL4の間の領域)で示す。当該破断評価部を代表する硬さ測定位置を、コマの最も厚い位置として、ひし形で示し、点X、点Yとする。楕円は、溶接部付近の結晶(柱状晶)を模式的に示す。コマとコマが接している箇所の近傍は引張力を集中的に受けていて、前記斜線で示している破断評価部を起点としてチェーンの切れが発生すると考えられる。特に、当該破断評価部の元ワイヤ軸に平行な断面のビッカース硬さを高く維持することで、金合金チェーンの強度を向上させることが分かった。また、そのためには、元材である金合金ワイヤの耐熱性を所定の範囲に調整することが有効であることも分かった。なお、図4のその他の構成については後に詳述する。
以上のことから、製鎖したチェーンのコマの断面の破断評価部のビッカース硬さ(Hv)は50以上であることが好ましい。チェーンの元材として、上記した実施形態の組成で、最大耐力が330MPa以上、かつ3σが30以下の金合金ワイヤを用いることで、製鎖したチェーンのコマの断面の破断評価部のビッカース硬さ(Hv)は50以上を得ることができる。さらに、金合金ワイヤの0.2%耐力、耐力比、加熱後の特性を上述した範囲に調整することで、破断評価部のビッカース硬さ(Hv)を向上させることができる。
また、上述した実施形態の金合金ワイヤを元材として使用した本実施形態の金合金チェーンは、コマの異形状や不良が低減されるので、引張荷重が1.5Kg以上を得ることができる。そのため、金純度が高く美観に優れるだけでなく、引張力に対して切れにくく、顧客満足度の極めて高い、高品位かつ高品質の装飾用チェーンを得ることができる。この引張荷重が1.5Kg以上の金合金チェーンでは、通常、コマの断面の破断評価部のビッカース硬さ(Hv)は50以上を得られており、これらは、上述した実施形態の高純度金合金ワイヤを元材として使用することで実現される特性である。
(試料の準備)
次に、コマ断面の硬さ測定のための試料の作成方法を説明する。図6は、コマ断面の硬さ測定のための試料の作成方法を説明するための図である。製鎖したチェーンからコマ数個を切り取って、コマ1の断面が研磨できるように、円筒状の型に、コマ1の環平面に相当する面が型の底面Bと平行になるように置く。硬化剤を添加した埋め込み樹脂Rを流し込んで硬化させる。その後、コマ1の厚さ中心断面近く(図6の点線Lを通る高さ位置)まで粗研磨する。続いて、最終研磨によって断面の仕上げをし、続いて、イオンミリングにより、研磨面の残留歪みを除去し、滑らかな表面を得る。なお、研磨したコマ1の断面において、コマ1の外側面と内側面の距離(研磨面で測ったコマの太さ)は元コマの太さ(元ワイヤ径に相当する)の-5%以上であることが好ましい。
コマにねじれがある場合は、コマの溶接部の、コマを成すワイヤのワイヤ軸(ワイヤ長手方向の中心軸)に平行な平面(コマ1の環平面に相当する面)が、型の底面Bと平行になるように型内に配置する。この際、ねじりコマの溶接側を、アルミ製など金属ブロックの上面に貼り付けて配置してもよい。また、コマの溶接部の表面は元材より凹凸があるので、光学顕微鏡でコマの溶接側を確認することができる。
電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM)の試料台に、前記のコマの断面(即ち、試料の研磨面)が試料台と平行になるように貼り付け、FE-SEMによって200倍前後の観察倍率、好ましくは1枚の写真でコマの溶接部近傍を映せる倍率で、加速電圧10keVによってコマの断面の溶解部近傍を観察し、コマ断面のSEM写真を得る。
次に、図4を参照して破断評価部における硬さ測定位置の特定方法を説明する。コマの溶接部の結晶Pは図4のように断面長楕円形状の柱状晶がコマの楕円平面の長軸に対して斜めに並んでおり、コマの閉じ口を中心として、おおむね左右対称の状態であることが確認できる。左右対称の柱状晶うち最もコマの外側にある柱状晶の、コマの外側面に交差した頂点を点Aとし、点Aを通り、コマ外周からなる曲線の点Aにおける接線に垂直な直線K(溶接中心線)を引く。コマ外周が直線である場合は、コマ外周直線に垂直な直線Kを引く。直線Kの左右に幅H/2(Hはコマの太さであり、元ワイヤの線径に相当する)で直線Kに平行な2本の平行線L1、L2を引き、線L1、L2と、コマの内側面とそれぞれ交差する点B、点Cを得る。直線Kの左右に幅Hで直線Kに平行な2本の平行線L3、L4を引き、線L3、L4と、コマの外側面とそれぞれ交差する点E、点Dを得る。点Bと点E、点Cと点Dをそれぞれ結び、線BE、線CDを得る。本実施形態の破断評価部のコマの断面のビッカース硬さ(Hv)の測定位置(破断評価部代表位置)は線BEの中心点X、または線CDの中心点Yで代表することができる。破断評価部代表位置は、点X、又は点Yを円心とし、半径Rμm(R≒線BE、或いは線CDの長さ×1%)の円範囲内であってもよい。点X、点Yを選定するのは、コマの最も厚みのある個所の硬さで評価することで、より客観的な評価を可能にするためである。
(製造方法)
次に、本実施形態に係る金合金ワイヤの製造方法について説明する。本実施形態に係る高純度金合金ワイヤは、所定の組成の金合金インゴットを準備し、これを鋳造した後、ワイヤ状に伸線加工し、最後に必要に応じて熱処理することで得られる。
まず、原料となる高純度金と含有される元素を共に溶解し、その後、凝固させることによって、金合金インゴットを得る。溶解には、アーク加熱炉、高周波加熱炉、抵抗加熱炉等を使用することができる。大気中からのO、H等のガスの混入を防ぐために、真空雰囲気あるいはAr等の不活性雰囲気中で溶解を行うことが好ましい。なお、不可避不純物の含有量を少なくして溶解組織の均質性を向上させ、ワイヤの特性の安定化させる観点から、原料となる高純度金は99.9質量%(いわゆる3N)以上の金が好ましく、99.99質量%(いわゆる4N)以上の金がより好ましく、99.999質量%(いわゆる5N)以上の金がさらに好ましい。また、溶解させた金合金材料は、加熱炉から所定の線径となるように鋳造凝固させるか、溶融した金合金材料を鋳型に鋳造してインゴットを作り、そのインゴットを溝ロール圧延などによって繰返しロール圧延した後、所定の線径まで伸線して実施形態の金合金ワイヤが得られる。ロール圧延を経た後に、所定の線径まで伸線加工することで加工硬化が生じて硬さが向上され、良好な耐力や表面硬さが得られる。
従来の金合金ワイヤの製造に用いられる伸線条件では加工硬化をある程度得られるが、一方で、金合金ワイヤ線材表面に残留応力が発生し、金合金ワイヤ線材の表面組織と内部組織の不均一性が生じやすい。これによって、伸線加工後の最終線径の金合金ワイヤの特性がその位置によって不均質になりやすい。これを回避するため、一般的には、伸線途中か最終線径の金合金ワイヤに歪取り熱処理を適用する。熱処理による硬さの低下を抑えるために、熱処理は、短時間、低温で行われているが、それにもかからず、硬さの低下は避けられない。
また、通常金合金ワイヤでは、伸線加工におけるダイス1つあたりの減面率は高いほど、伸線後のワイヤが硬くなる傾向である。従来のK22程度の金合金伸線加工では、生産性を考慮して、φ20mmのインゴットから20パス(即ち20個のダイス)でφ0.5mm線径の装飾用材料を製造している(特許文献1、特許文献2参照。)。これは、単純計算でダイス1つあたりの平均減面率が約30%強に該当し、このような超強加工ではより高い加工硬化を得られるが、ワイヤに与える抵抗が高く、ワイヤ表面の傷や断線などが生じやすい。また、伸線加工できたとしても、引細りや引太りが生じ、線径の部分的なバラつきが生じたり、ワイヤの直線性が悪くなったりする。そのため、溶接を伴う製鎖工程の課題を解決することが困難であることから、量産には適さない。
本実施形態の金合金ワイヤは、後述する伸線加工条件を採用することで良好な最大耐力やその3σを得やすく、これらワイヤ特性の均質性を実現しやすくなるので、ワイヤの製造工程においてワイヤの硬さ低下を招く熱処理を省略することができる。なお、最終線径で歪取り熱処理を行ってもよく、この場合、伸び率が1%~10%の範囲となるように、温度及び時間を決定することが好ましい。また、最終製品の硬さをより高く維持するため、伸び率は1%~5%の範囲に調整されることがより好ましい。伸び率は、例えば、引張試験機(万能試験機:SHIMADZU製AGS-X)にて、測定長さ10cm、速度20mm/min、ロードセル定格10kgfでワイヤを引っ張り、ワイヤが破断に至ったときの伸張長さの割合として算出される。伸び率は、測定結果のばらつきを考慮し、5本の平均値を求めることが望ましい。
また、本実施形態の金合金ワイヤの製造方法において、伸線加工は、複数のダイスを用いて、段階的に行われることが好ましい。本実施形態の製造方法では、ダイス1つあたりの減面率を8~25%に調整し、数十パス(例えば10パス~60パス)で伸線加工を行う。中間の太線加工では減面率12~25%のダイスを使い、最終線径に近い(例えば、350μm以下乃至600μm以下程度の)加工では減面率8~18%のダイスを使うことで、良好な最大耐力やその3σなどの特性とその均質性を得やすくなる。さらに、所定の線径範囲ごとの複数段階に分けて伸線加工を行うことが好ましく、より高いワイヤ直線性を得るため、各段階内にて使用する複数のダイスの、最大減面率と最小減面率の差を5%以下に設定するのがさらに好ましい。なお、1つのダイスで伸線する工程を1パスとする。
上記の製造工程を経ることで、良好な最大耐力やその3σなどの特性と製鎖用金合金ワイヤ全体としての特性の均質性を高めた製鎖用金合金ワイヤが製造される。そして、これを用いることで、異形状や不良のコマを低減し、マシーンチェーンの歩留まりを向上させることができ、高品質の金合金チェーンを提供することができる。
次に、実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
製鎖用金(Au)合金ワイヤの原材料として、純度5N(Au99.999質量%)以上、純度4N(Au99.99質量)以上、純度3N(Au99.9質量%)以上のAu素材を準備した。原料に含有される元素をICP-MSで分析した。不可避不純物として主にIn、Mg、Si、Ir、Ru、Biが含有されることを確認し、それらの濃度の総計を表1の不可避不純物含有量の欄に表記した。また、Ag、Pt、Pd、Cuが含有されたため、これらの濃度の総計を表1に示した。表中の「<」の符号は、符号の左側の値未満であることを表す。なお、検出濃度10ppm未満の場合、「0」とみなし、「-」で表す。
その後、真空溶解炉内で、このAu素材を溶解して、必要に応じて、表1に示される元素を、各量(割合)となるように添加して、φ(直径)8mm及びφ20mmの円柱状のインゴットを連続鋳造した。これらのインゴットの端部より長さ1cm~2cmの試料片を切り出して、断面研磨して断面の溶解組織を観察した結果、表1の実施例1~23の溶解組織は全て均一結晶組織(「A」と示す。)であった。一方、表2の比較例1~8、10、11の溶解組織は全て不均一結晶組織(「B」と示す。)であった。比較例9は、完全な不均一結晶組織ではないが、内部の偏析、表面の析出が見られ、均一結晶組織とはいえないため(B)と表記した。
上記の試料片を切り出して、残ったインゴットを表1に示される最終線径までに伸線加工した。φ20mmのインゴットを使用した実施例については、溝ロール圧延、単頭伸線、中間連続伸線、上り連続伸線の4段階に分けて最終線径までに伸線加工した。φ8mmのインゴットを使用した実施例については、単頭伸線、中間連続伸線、上り連続伸線の3段階に分けて最終線径までに伸線加工した。なお、各段階は複数のダイスを用い、ダイス1つあたりの減面率8%~25%を使用した。具体的に、中間伸線のダイス1つあたりの減面率15%~25%を使用し、上り連続伸線のダイス1つあたりの減面率8~15%を使用した。
なお、溝ロール圧延とは、周方向に複数の溝の形成された金属ロールに線材を巻き付け圧延して加工する方法である。金属ロールの複数の溝は、幅及び深さが段階的に縮小されて配列されていて、線材は、幅及び深さの大きい溝から小さい溝へ順次搬送されることで縮径される。
単頭伸線とは、1つのダイスと1つの巻き取り機(ドラム)によって伸線する方法であり、線材は、1つのダイスで目的の線径まで縮径される。加工条件は巻き取り機の巻き取り速度などによって調整される。
中間連続伸線、上り連続伸線とは、1台の伸線機に複数のドラムとダイスが並び、連続的な伸線を可能にする加工方法である。この方法では、線材の初径と仕上り径に関連して、ダイスの減面率を選択することにより、最終線材の性能を調整するのが有効である。
なお、伸線加工における線速は100m/分~1000m/分の範囲で調整される。
また、表2に示す組成のインゴットを実施例と同様に製造し、これを用いて比較例の金合金ワイヤを次のように製造した。φ8mmのインゴットを使用した比較例の金合金ワイヤでは、組成を変更したほかは、上記実施例と同じ加工条件で最終線径まで伸線加工して得た。φ20mmのインゴットを使用した比較例の金合金ワイヤは、組成を変更したほかに、加工条件を、インゴットから、20個ダイス(ダイス1つあたりの平均減面率は約30%強)を使用し、単頭伸線を採用して、最終線径まで伸線加工して得た。
上記で得られた実施例および比較例のインゴット又は金合金ワイヤについて、伸線加工性、ワイヤ表面のビッカース硬さ測定、引張試験及び耐熱性評価を次のように行い、結果を表1及び表2にそれぞれ表記した。併せて各ワイヤのICP-MS分析を行い、Auの純度と添加元素の濃度を測定し、表1及び表2に示した。
<伸線加工性>
伸線加工性について、各例の組成のインゴットを、表に示されるインゴット直径から所定の最終線径まで連続伸線で伸線し、各3kg分(線径600μmのワイヤは約500m、線径200μmのワイヤは約5000m、線径100μmのワイヤは約15000m)のワイヤを得る過程での断線回数を計測し、5000m当たりの断線回数(=実際の断線回数/伸線長さ×5000)に換算し、評価した。断線回数が0回であれば、歩留まりを高くし、非常に高い生産性が期待されるため◎印、1~2回であれば、伸線条件の若干の変更は必要であるが量産工程で改善できるため○印、3回~4回であれば、連続製鎖に供した際の異形状や不良の発生による歩留まりの低下が懸念されるため△印、5回以上でれば、連続製鎖に必要な量が確保できないことが懸念されるため×印とした。
<Au純度分析>
各例で製造した金合金ワイヤの、0.5~1g程度を切り取って、GDMSで含有元素を分析し、Auの純度を算出した。なお、検出下限未満の元素については、含有元素の濃度算出及びAuの純度の算出には用いないこととした。
<添加元素の分析>
各例で製造した金合金ワイヤの0.5~1g程度のワイヤを切り取って、ICP-MSで添加元素(Ce、Eu、Gd、La、Y、Ca)を定量分析した。
<ワイヤ表面のビッカース硬さ>
ビッカース硬さは、JISZ2244に準じて次のように行った。各例で製造した金合金ワイヤについて、硬さ試験機(ビッカース硬度計:Mitutoyo製HM-220D)を用いて、測定荷重を0.02kgf、圧痕観察倍率を100倍でワイヤ表面のビッカース硬さを測定し、5本の平均値を求めた。この表面硬さの測定に際しては、圧子がワイヤ表面に垂直に圧入するようにした。
<引張試験>
引張試験はJISZ2241に準じて次のように行った。各例で製造した金合金ワイヤを試験長が10数cmとなるように切り出し、これを、引張試験機(万能試験機:SHIMADZU製AGS-X)を用い、ロードセル10kgf、試験速度20mm/minで引張試験を行い、ワイヤの最大耐力、0.2%耐力を求めた。引張試験は5本測定し、各例で製造したワイヤの最大耐力、0.2%耐力は5点の平均値で求めた。また、最大耐力の3σは、5点の測定値でエクセルのSTDEV()関数によって偏差値(σ)を算出して、これを用いて計算した。なお、同様に、10本の引張試験を行い、ワイヤの最大耐力、0.2%耐力、3σを求めたところ、5本の引張試験の結果とほぼ同等であったため、ここでは5本の試験結果を採用した。また、本明細書における耐力(MPa)は、1kgf/mm=9.8MPaの換算式に基づく値を用いる。
<耐熱性評価>
各例で製造した金合金ワイヤの長さ10数cmを6本切り取って、卓上真空ガス置換炉(KDF75、デンケン・ハイデンタル株式会社製)でNガス雰囲気、300℃、5分間加熱し、ワイヤ表面硬さ測定用試料1本、ワイヤ引張試験用試料5本を得た。前記のワイヤの表面ビッカース硬さ、引張試験の方法で、加熱後の試料のワイヤの表面ビッカース硬さと最大耐力をそれぞれ5点ずつ測定し、5点の平均値を求めた。なお、加熱条件のバラつきを抑えるため、卓上真空ガス置換炉内を真空に引いた後、300℃までの昇温時間を30分、300℃維持する時間を5分、300℃から25℃まで降温時間を30分、25℃到達の時点で真空解除に設定した。
<ワイヤ切断実験>
上記の例で製造した金合金ワイヤのうち、実施例1、8、17と比較例1、8について次のようにワイヤ切断試験を行った。金合金ワイヤを10回(10か所)切断し、線径と同程度の長さのワイヤピンを作製した。ワイヤピンの各カット面をFE-SEMで観察した。実施例1、8、17のワイヤから得たワイヤピンのカット面は平坦であって異常は見られなかった。比較例1のワイヤから得たワイヤピンのカット面には、バリや凹凸が観察された。比較例8のワイヤピンでは、完全に切断できずに隣合うワイヤピンのカット面同士の引っ付きが確認された。これらの結果から、ワイヤ表面硬さが高いほど、カット面の異常がなく、ワイヤ表面硬さが低くなるほど、バリや凹凸、カット面の引っ付き、切断不能の傾向があることが判明した。
Figure 0007369241000002
Figure 0007369241000003
続いて、実施例1~22、および比較例1~11で得られた金合金ワイヤについて、次のようにチェーンの連続製鎖性、コマの異形状と不良の発生頻度、コマ断面硬さ、引張強度(破断強度)を測定した。
<連続製鎖性>
連続製鎖性について、製鎖機(sisma製)によって、各例の金合金ワイヤを、前記伸線加工したワイヤを数時間連続でコマ形状が楕円環状のチェーンを製鎖したときの、1時間当たりのコマ不良の数で評価した。コマの閉じ口は、プラズマ溶接によって溶接した。コマ不良の数が0個であれば、非常に高い生産性が期待されるため◎印、コマ不良の数が1個であれば量産工程で改善できるため○印、コマ不良の数が2個以上であれば、生産性の低下が懸念されるため×印とした。なお、前記ワイヤの伸線加工性評価で、伸線途中に断線回数が5回以上の例については、連続製鎖する必要量が確保できなかったことから、連続製鎖性が評価できないため-印とした。結果を表3に示す。
<コマの異形状と不良の発生頻度>
製鎖機(sisma製)を用い、実施例1、2、4、8と比較例5、6のワイヤから、同じ条件でマシーンチェーンを作製した。マシーンチェーンにおけるコマの異形状と不良の数は、合計で、比較例5、6のワイヤを用いたチェーンではコマ3000個中に2~3個であり、実施例1、2、4、8のワイヤを用いたチェーンではコマ3000個中0個であった。比較例のチェーンにおける異形状と不良のコマの発生頻度によると、製鎖機の製鎖速度が、100~200個コマ/分であるときに、概ね25分~50分に異形状又は不良のコマが1つ発生することとなる。このときの異形状や不良が軽微であれば、装置停止に至らないものの、品質の劣る製品が市場に流通してしまう。異形状や不良が顕著である場合には、製鎖機が停止し、連続製鎖が困難となる。
<コマ断面硬さ>
連続製鎖によって得られたチェーンの中から任意に5個のコマを抜き出し、それぞれ後述のように試験片を作製し、硬さ試験機(ビッカース硬度計:Mitutoyo製HM-220D)を用いて、測定荷重を0.02kgf、圧痕観察倍率を100倍でコマ断面の硬度を測定した。後述の「コマ断面硬度の特定」の手法で、破断評価部を特定し、この破断評価部における硬度を「コマ断面硬さ」とした。測定のバラつきを考慮し、5点の平均値を求めた。なお、連続製鎖できない例について、10数個のコマを製鎖し、5個のコマを抜き出し、評価した。結果を表3に示す。
電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM)の試料台に、図6を用いて説明したのと同様に作製した測定用試料の、コマの断面(即ち、試料の研磨面)が試料台と平行になるように貼り付け、コマの断面の溶解部近傍をFE-SEMによって200倍前後の観察倍率、加速電圧10keVで観察し、コマ断面のSEM写真を得た。
上記で得たSEM写真上で、コマの溶接部には図4のように長楕円形状断面をもつ柱状晶がコマの閉じ口を中心として、略左右対称に観察された。左右対称の柱状晶のうち最もコマの外側にある柱状晶の頂点がコマの外側面に交差した点を点Aとし、点Aを通り、コマ外周からなる曲線の点Aにおける接線に垂直な直線Kを引く。線Kの左右に幅H/2(Hは元コマの太さであり、元ワイヤの線径にも相当する)の2本平行線L1、L2を引き、線L1、L2と、コマの内側面とそれぞれ交差した点B、点Cを得る。点B、点Cからそれぞれコマの外側面と最短距離の線BE、線CDを引く。コマの断面のビッカース硬さ(Hv)は、線BEの中心点X、或いは線CDの中心点Yを中心とし、半径Rμm(R≒線BE、或いは線CDの長さ×1%)の円内を測定位置として硬度測定器を用いて次のように測定した。
上記のSEM写真の点Aを二次元座標位置(0,0)とし、点X,点Yのそれぞれの二次元座標位置X(X1,Y1)、Y(X2,Y2)を計算して得る。硬度測定器で、測定点を前記点Aの位置に調整し、点Aの二次元座標位置を(0,0)に設定する。その後、測定点の相対移動距離を(X1,Y1)、或いは(X2,Y2)に設定し、自動的に測定点X、或いは点Yに移動させ、ビッカース硬さを測定する。
<引張試験>
引張試験機(万能試験機:SHIMADZU製AGS-X)にて、測定長さ5cm、速度20mm/min、ロードセル定格10kgfでチェーンが破断するまで引張る引張試験を行い、チェーンの引張荷重(破断強度)を求めた。引張荷重について5本のチェーンの平均値を求めた。結果を表3に示す。また、図7に比較例5のチェーンから取り出したコマのSEM写真を示し、図8に比較例7のチェーンから取り出したコマのSEM写真を示す。楕円の枠で囲った部分がコマの傷に該当し、傷の存在によって、チェーンの強度が低下すると考えられる。
なお、この引張試験は、より正確に行うために、次の3つの条件を満たすことが重要である。
(i)測定長(引っ張られている部分)の両端が固定されており、試験中に動かないこと
(ii)測定長の両端が互いに一軸方向に真っ直ぐに引っ張られること
(iii)引張試験による破断箇所が測定長の両端近辺ではないこと
これらの条件を満たすために、例えば、定滑車を用い、滑車にチェーンを巻き付けてその両端を固定することで、チェーンの滑りを抑制してもよいし、垂直方向(重力の方向)に引っ張ることで、各コマの傾きをそろえて一軸方向に引っ張るようにしてもよい。
Figure 0007369241000004
連続製鎖性に関して、評価が◎である実施例2、3、5~7、9~18、20、22のワイヤにより製鎖したチェーンは、コマ不良がなく、かつ製鎖中の装置停止がなかった。評価が〇の実施例1、4、8、19、21のワイヤにより製鎖したチェーンは連続製鎖の過程での装置停止がなかったが、不良のコマが1個発生したことが判明した。
比較例6、8のワイヤを使用した製鎖工程では、連続製鎖中に装置停止が生じ、停止位置のコマを観察したところ、ワイヤ伸び変形によって閉じ口が溶接できなかったことが判明した。比較例9についても、連続製鎖中に装置停止が生じ、停止位置のコマを観察したところ、閉じ口の位置ズレがあり、溶接できなかったことが判明した。これらワイヤ伸び変形やコマ閉じ口の位置ずれは、ワイヤ耐力のバラつき(3σ)や、ワイヤのスプリングバックによる搬送長さのバラつきが原因であると推察される。
以上で説明した実施例の金合金ワイヤによれば、比較例の金合金ワイヤに比べて、コマの異形状や不良を低減することができ、さらに、コマ形状の均一性も高くできるので、金純度が高く美観に優れるだけでなく、引張力に対して切れにくい、高品位かつ高品質の装飾用チェーンを得ることができる。
1…ワイヤ、2…巻型ガイド、3…楕円芯、4…カット台、5…カッター、6…ピンサー、7…クランプ、7a、7b…把持部、8…溶接機、9…コマ、10…製鎖機、20…スプール、30…チェーン


Claims (11)

  1. 99.8質量%以上の金と、金合金の総量に対して合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下のCe、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素と、合計で1000質量ppm以下のAg、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素と、不可避不純物とからなる金合金からなる製鎖用の金合金ワイヤであって
    記金合金ワイヤの最大耐力が330MPa以上、かつ、1本のワイヤの長手方向に離間して測定された最大耐力の3σは30以下である製鎖用金合金ワイヤ。
  2. 前記金合金ワイヤの0.2%耐力が320MPa以上、かつ下記(1)式で定義する耐力比が1.01以上1.30以下であることを特徴とする請求項1に記載の製鎖用金合金ワイヤ。
    耐力比=最大耐力/0.2%耐力 (1)
  3. 前記金合金ワイヤの表面のビッカース硬さ(Hv)は80以上である請求項1又は2に記載の製鎖用金合金ワイヤ。
  4. 前記金合金ワイヤを、300℃、5分間加熱した後の、表面のビッカース硬さ(Hv)は60以上であり、かつ、最大耐力は230MPa以上である請求項1又は2に記載の製鎖用金合金ワイヤ。
  5. 線径は100μm以上600μm以下である請求項1又は2に記載の製鎖用金合金ワイヤ。
  6. 合金からなる金合金ワイヤが環状に成形されてなるコマが複数接続されてなる金合金チェーンであって、
    前記金合金は、99.8質量%以上の金と、金合金の総量に対して合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下のCe、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素と、合計で1000質量ppm以下のAg、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素と、不可避不純物とからなり、
    前記金合金チェーンを形成するコマの断面の破断評価部のビッカース硬さ(Hv)は50以上であることを特徴とする金合金チェーン。
  7. 合金からなる金合金ワイヤが環状に成形されてなるコマが複数接続されてなる金合金チェーンであって、
    前記金合金は、99.8質量%以上の金と、金合金の総量に対して合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下のCe、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素と、合計で1000質量ppm以下のAg、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素と、不可避不純物とからなり、
    前記金合金ワイヤの線径が100μm以上600μm以下であり、
    引張荷重は1.5Kg以上である金合金チェーン。
  8. 前記金合金ワイヤの線径が100μm以上600μm以下であり、引張荷重は1.5Kg以上である請求項6に記載の金合金チェーン。
  9. 前記金合金ワイヤの最大耐力が330MPa以上、かつ、1本のワイヤの長手方向に離間して測定された最大耐力の3σは30以下である請求項6乃至8のいずれか1項に記載の金合金チェーン。
  10. 金合金からなるワイヤ線材を伸線加工して製鎖用金合金ワイヤを得る製造方法であって、
    前記金合金は、99.8質量%以上の金と、金合金の総量に対して合計で50質量ppm以上1500質量ppm以下のCe、Eu、Gd、La、Y及びCaから選ばれる1種以上の元素と、合計で1000質量ppm以下のAg、Pt、Cu及びPdから選ばれる1種以上の元素と、不可避不純物とからなり
    前記伸線加工工程は、10パス以上の伸線工程を有し、
    前記伸線工程における1パス当たりの減面率が8%以上25%以下であり、
    前記金合金ワイヤの最大耐力が330MPa以上、かつ、1本のワイヤの長手方向に離間して測定された最大耐力の3σは30以下であ
    製造方法。
  11. 前記製鎖用金合金ワイヤの線径が、100μm以上600μm以下である、
    請求項10に記載の製造方法。
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