以下、図面を参照して、実施形態における摩擦攪拌接合方法、自動車部品の製造方法、工作機械1、および、プログラムについて説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1乃至図34を参照して、第1の実施形態における摩擦攪拌接合方法、自動車部品の製造方法、および、工作機械1Aについて説明する。図1は、第1ワーク8の一例を模式的に示す概略断面図である。図2は、第1ワーク8の他の一例を模式的に示す概略断面図である。図3は、第2ワーク9の一例を模式的に示す概略断面図である。図4は、第1ワーク8と第2ワーク9とが重ね合わせられた状態を模式的に示す概略断面図である。図5は、プローブ21が第1領域RG1の少なくとも一部を横切って第1方向DR1に移動する様子を模式的に示す概略断面図である。図6は、プローブ21が第2領域RG2を横切って第1方向DR1に移動する様子を模式的に示す概略断面図である。図7は、プローブ21が第4領域RG4を横切って第1方向DR1に移動する様子を模式的に示す概略断面図である。図8は、プローブ21が第3領域RG3を横切って第1方向DR1に移動する様子を模式的に示す概略断面図である。図9は、プローブ21が第5領域RG5の少なくとも一部を横切って第1方向DR1に移動する様子を模式的に示す概略断面図である。図10は、摩擦攪拌接合によって形成された接合物品Dの一例を模式的に示す概略断面図である。図11は、実施形態における摩擦攪拌接合方法を示すフローチャートである。図12は、ケース本体8bにプレート9bが重ね合わせられる様子を模式的に示す概略斜視図である。図13は、摩擦攪拌接合によって形成された自動車部品の一例を模式的に示す概略斜視図である。図14は、ケース本体8cにプレート9cが重ね合わせられる様子を模式的に示す概略斜視図である。図15は、摩擦攪拌接合によって形成された自動車部品の他の一例を模式的に示す概略斜視図である。図16は、摩擦攪拌接合によって形成された自動車部品の更に他の一例を模式的に示す概略斜視図である。図17は、第1の実施形態における工作機械1Aを模式的に示す図である。図18は、第1の実施形態の第1変形例における工作機械1Aを模式的に示す図である。図19は、第1の実施形態の第2変形例における工作機械1Aを模式的に示す図である。図20は、第1の実施形態の第3変形例における工作機械1Aを模式的に示す図である。図21は、溶接部87を含む第1ワーク8の一例を模式的に示す概略断面図である。図22は、溶接部87と溶接部87に隣接する部分とが切削されることにより、凹み85が形成される様子を模式的に示す概略断面図である。図23は、第1段差部84aが切削されることにより、第1方向DR1に高さが漸減する第1面82aが形成される様子を模式的に示す図である。図24は、第2段差部84bが切削されることにより、第1方向DR1に高さが漸増する第2面82bが形成される様子を模式的に示す図である。図25は、第1比較例における摩擦攪拌接合方法を模式的に示す概略断面図である。図26は、第2比較例における摩擦攪拌接合方法を模式的に示す概略断面図である。図27は、溶接部87と溶接部87に隣接する部分とが切削されることにより、直接的に、第1面82aが形成される様子を模式的に示す概略断面図である。図28は、溶接部87と溶接部87に隣接する部分とが切削されることにより、直接的に、第1面82aおよび第2面82bを含む凹部81が形成される様子を模式的に示す概略断面図である。図29は、凹部81が第4方向DR4に沿って延在している様子を模式的に示す概略斜視図である。図30は、第1ワーク8と第2ワーク9とが重ね合わせられた状態で、凹部81の第4方向DR4側の端部81eが開放されている様子を模式的に示す概略斜視図である。図31は、プローブ21が、曲線状の経路PA2に沿って移動する例を模式的に示す概略斜視図である。なお、図30および図31において、第2ワーク9の下方に位置する凹部81の状態を把握し易くするために、第2ワーク9の一部が切り欠かれている。図32は、第1の実施形態の第4変形例における工作機械1Aを模式的に示す図である。図33は、制御対象機器が制御装置7によって制御可能な様子を模式的に示す図である。図34は、凹部81を横切る第1移動経路PAを模式的に示す概略断面図である。
図1に例示されるように、第1ステップST1において、第1ワーク8が準備される。第1ステップST1は、第1準備工程である。第1準備工程において準備される第1ワーク8は、凹部81を有する。凹部81は、第1方向DR1に高さが漸減する第1面82aと、第1方向DR1に高さが漸増する第2面82bとを含む複数の面82によって規定される。
なお、本明細書において、「高さ」は、凹部81の最深部を基準とした高さを意味する。換言すれば、凹部81の深さ方向を第2方向DR2と定義し、第2方向DR2とは反対の方向を第3方向DR3と定義するとき、本明細書における「高さ」は、凹部81の最深部からの第3方向DR3に沿う方向における距離を意味する。当該「高さ」は、第1ワーク8の姿勢によって変化しない。
図1に記載の例では、第1面82aは、平面状の傾斜面PS1である。代替的に、図2に例示されるように、第1面82aは、曲面状の傾斜面CS1(例えば、円弧状の傾斜面)であってもよい。図1に記載の例では、第2面82bは、平面状の傾斜面PS2である。代替的に、図2に例示されるように、第2面82bは、曲面状の傾斜面CS2(例えば、円弧状の傾斜面)であってもよい。
図1に記載の例では、第1面82aと第2面82bとの間に第3面82cが配置されている。代替的に、第3面82cは省略されてもよい。第3面82cが省略される場合において、第1面82aおよび第2面82bの各々は、平面状の傾斜面であってもよいし、曲面状の傾斜面(例えば、円弧状の傾斜面)であってもよい。
図3に例示されるように、第2ステップST2において、第2ワーク9が準備される。第2ステップST2は、第2準備工程である。
図4に例示されるように、第3ステップST3において、第1ワーク8と第2ワーク9とが重ね合わせられる。第3ステップST3は、重ね合わせ工程である。重ね合わせ工程では、第1ワーク8と第2ワーク9とが接する第1領域RG1と、第1面82aと第2ワーク9との間の隙間G2が第1方向DR1にゼロから漸増する第2領域RG2と、第2面82bと第2ワーク9との間の隙間G3が第1方向DR1にゼロまで漸減する第3領域RG3とが形成されるように、第1ワーク8と第2ワーク9とが重ね合わせられる。
本明細書において、「漸増」とは、連続的に徐々に増加することを意味する。なお、本明細書において、「漸増」には、実質的な漸増が含まれる。換言すれば、第1ワーク8の表面粗さ、あるいは、凹部81の加工精度等に起因して、完全な漸増から多少逸脱している場合も、「漸増」であるとみなされる。
本明細書において、「漸減」とは、連続的に徐々に減少することを意味する。なお、本明細書において、「漸減」には、実質的な漸減が含まれる。換言すれば、第1ワーク8の表面粗さ、あるいは、凹部81の加工精度等に起因して、完全な漸減から多少逸脱している場合も、「漸減」であるとみなされる。
図4に記載の例では、第1ワーク8と第2ワーク9とが重ね合わされた状態において、第1方向DR1に沿って、上述の第1領域RG1と、上述の第2領域RG2と、第4領域RG4と、上述の第3領域RG3と、第5領域RG5とが、この順番で形成されている。第4領域RG4では、第1ワーク8と第2ワーク9とが離間しており、第5領域RG5では、第1ワーク8と第2ワーク9とが接している。なお、第1ワーク8の第3面82cが省略される場合には、第4領域RG4も省略される。
図4に記載の例では、第2方向DR2(換言すれば、凹部81の深さ方向)は、第2ワーク9から第1ワーク8に向かう方向と一致している。また、第3方向DR3は、第1ワーク8から第2ワーク9に向かう方向と一致している。
図5乃至図9に例示されるように、第4ステップST4において、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。第4ステップST4は、接合工程である。接合工程は、摩擦攪拌接合工具2を用いて実行される。接合工程の実行により第1ワーク8と第2ワーク9とが接合された接合物品Dが製造される(図10を参照。)。
図5に例示されるように、接合工程(第4ステップST4)は、上述の第1領域RG1の少なくとも一部を摩擦攪拌接合工具2のプローブ21が横切るように、摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させることを含む。当該移動により、上述の第1領域RG1のうちのプローブ21が通る部分において、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。
図6に例示されるように、接合工程(第4ステップST4)は、上述の第2領域RG2をプローブ21が横切るように摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させながら、第1面82aの高さの変化に追従するように摩擦攪拌接合工具2を徐々に第2方向DR2に移動させることを含む。当該移動により、第2領域RG2のうちのプローブ21が通る部分において、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。
図7に記載の例では、接合工程(第4ステップST4)は、上述の第4領域RG4をプローブ21が横切るように摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させることを含む。当該移動により、第4領域RG4のうちのプローブ21が通る部分において、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。なお、第1ワーク8の第3面82cが省略される場合には、プローブ21が第4領域RG4を横切る工程も省略される。
図8に例示されるように、接合工程(第4ステップST4)は、上述の第3領域RG3をプローブ21が横切るように摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させながら、第2面82bの高さの変化に追従するように摩擦攪拌接合工具2を徐々に第3方向DR3に移動させることを含む。当該移動により、第3領域RG3のうちのプローブ21が通る部分において、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。
図9に例示されるように、接合工程(第4ステップST4)は、上述の第5領域RG5の少なくとも一部を摩擦攪拌接合工具2のプローブ21が横切るように、摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させることを含む。当該移動により、上述の第5領域RG5のうちのプローブ21が通る部分において、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。
図5乃至図9に記載の例では、回転軸AXまわりに回転している状態のプローブ21が、第1領域RG1、第2領域RG2、第4領域RG4、第3領域RG3、および、第5領域RG5を、この順番に横切ることにより、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。こうして、第1ワーク8と第2ワーク9とが接合された接合物品Dが製造される(図10を参照。)。
図6および図8に記載の例において、プローブ21が第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重F(換言すれば、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における荷重)の変動が抑制されるように、摩擦攪拌接合工具2の位置が制御される。
第1の実施形態における摩擦攪拌接合方法では、第1面82aは第1方向DR1に高さが漸減する面であり、第2面82bは第1方向DR1に高さが漸増する面である。よって、第1面82aおよび第2面82bの各々が、明確な段差面である場合と比較して、第1ワーク8と第2ワーク9との間の接合部分に欠陥(より具体的には、ボイド)が生じにくい。
第1の実施形態における摩擦攪拌接合方法では、摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させながら、第1面82aおよび第2面82bの各々の高さの変化に追従するように摩擦攪拌接合工具2を移動させることを含む。よって、摩擦攪拌接合工具2を第1面82aおよび第2面82bの各々の高さの変化に追従させない場合と比較して(例えば、摩擦攪拌接合工具2を、完全に水平方向に移動させる場合と比較して)、第1ワーク8と第2ワーク9との間の接合部分に欠陥(より具体的には、ボイド)が生じにくい。
第1の実施形態における摩擦攪拌接合方法では、プローブ21が第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重の変動が抑制されるように、摩擦攪拌接合工具2の位置が制御される。よって、第1方向DR1に移動しつつ第2方向DR2または第3方向DR3に移動するプローブ21が、過小な力あるいは過大な力で、第1ワーク8および第2ワーク9に押し付けられることが防止される。こうして、過小な押し付け力に起因するボイドの発生、あるいは、過大な押し付け力に起因する大きなバリの発生が抑制される。
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図34を参照して、第1の実施形態における摩擦攪拌接合方法、自動車部品の製造方法、および、工作機械1Aにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
(第2方向DR2、および、第3方向DR3)
図5乃至図9に記載の例では、接合工程(第4ステップST4)において、第2方向DR2(換言すれば、凹部81の深さ方向)は、下方向(より具体的には、鉛直下方向)に一致する。また、第3方向DR3は、上方向(より具体的には、鉛直上方向)に一致する。
代替的に、図39に例示されるように、第2方向DR2および第3方向DR3の各々は、水平面に平行な方向であってもよい。更に代替的に、第2方向DR2および第3方向DR3の各々は、鉛直面および水平面の各々に対して傾斜した方向であってもよい。
(第1ワーク8、および、第2ワーク9)
図1および図2に記載の例では、第1ワーク8は、ブロック8aである。また、図3に記載の例では、第2ワーク9は、プレート9aである。当該プレート9aの厚さは、例えば、10mm以下、あるいは、5mm以下であってもよい。なお、第1ワーク8および第2ワーク9の各々の形状は、摩擦攪拌接合工具2によって重ね合わせ接合を行うことが可能な限りにおいて、どのような形状であってもよい。換言すれば、第1ワーク8は、ブロック8aに限定されず、第2ワーク9は、プレート9aに限定されない。例えば、第1ワーク8は、ケース本体、あるいは、フレームであってもよい。
図4に例示されるように、重ね合わせ工程(第3ステップST3)の実行後、接合工程(第4ステップST4)の実行前に、第1ワーク8と第2ワーク9とが重ね合わせられた状態において、第2ワーク9のうちの第1ワーク8の凹部81に対向する部分91の上面は平坦面91uであってもよい。また、図5乃至図10に例示されるように、第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合する工程は、当該平坦面91uを凹面91v(図10を参照。)にすることを含んでいてもよい。
図5乃至図10に記載の例では、第1ワーク8の上面8uと、第2ワーク9の下面9sとが摩擦攪拌接合される。第1ワーク8の上面8uと、第2ワーク9の外縁部の下面とが摩擦攪拌接合されてもよい。
第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合することによって接合物品Dが製造される。よって、本明細書における「摩擦攪拌接合方法」の用語は、「接合物品の製造方法」に読み替え可能である。
(自動車部品の製造方法)
第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合することによって形成される物品は、自動車部品(例えば、電気自動車部品)であってもよい。この場合、本明細書における「摩擦攪拌接合方法」、「第1ワーク」、「第2ワーク」の用語は、それぞれ、「自動車部品の製造方法」、「第1部品」、「第2部品」に読み替えられる。
図12に例示されるように、第1ワーク8は、バッテリを収容するケース本体8b(より具体的には、バッテリを収容する枠体)であってもよい。また、第2ワーク9は、ケース本体8bの開口OPを覆うプレート9b(例えば、底部プレート、あるいは、頂部プレート)であってもよい。上述の第1ステップST1乃至第4ステップST4が実行されることにより製造される接合物品Dは、ケース本体8bとプレート9bとが接合されたバッテリケースD2(図13を参照。)であってもよい。バッテリケースD2に収容されるバッテリは、リチウムイオンバッテリであってもよいし、その他のバッテリであってもよい。また、バッテリケースD2は、バッテリを収容済みのケースであってもよいし、バッテリを収容前のケースであってもよい。
代替的に、図14に例示されるように、第1ワーク8は、インバータ(換言すれば、DC/AC変換器)を収容するケース本体8cであってもよい。また、第2ワーク9は、ケース本体8cの開口OPを覆うプレート9cであってもよい。上述の第1ステップST1乃至第4ステップST4が実行されることにより製造される接合物品Dは、ケース本体8cとプレート9cとが接合されたインバータケースD3(図15を参照。)であってもよい。また、インバータケースD3は、インバータを収容済みのケースであってもよいし、インバータを収容前のケースであってもよい。
更に代替的に、図16に例示されるように、第1ワーク8は、モータを収容するケース本体8dであってもよい。また、第2ワーク9は、ケース本体8dの開口を覆うプレート9d(例えば、端部プレート)であってもよい。また、上述の第1ステップST1乃至第4ステップST4が実行されることにより製造される接合物品Dは、ケース本体8dとプレート9dとが接合されたモータケースD4であってもよい。なお、インバータケースD3(あるいは、モータケースD4)が、インバータおよびモータの両方を収容するケースであってもよい。
(摩擦攪拌接合工具2の位置の制御)
図6および図8に記載の例では、プローブ21が第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように、摩擦攪拌接合工具2の位置(より具体的には、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置)が制御される。
図6および図8に記載の例において、プローブ21が第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fが一定に維持されるように、摩擦攪拌接合工具2の位置(より具体的には、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置)が制御されてもよい。
なお、本明細書において、アキシャル荷重Fを一定に維持することの一態様には、アキシャル荷重Fを所定の値に維持することが含まれる。この場合、アキシャル荷重Fが所定の値を下回ると、アキシャル荷重Fを所定の値に維持するために摩擦攪拌接合工具2の位置が第2方向DR2に位置補正される。また、アキシャル荷重Fが所定の値を上回ると、アキシャル荷重Fを所定の値に維持するために摩擦攪拌接合工具2の位置が第3方向DR3に位置補正される。
また、本明細書において、アキシャル荷重Fを一定に維持することの一態様には、アキシャル荷重Fを所定範囲内に維持することが含まれる。この場合、アキシャル荷重Fが所定範囲の下限値を下回ると、アキシャル荷重Fを所定範囲内に維持するために摩擦攪拌接合工具2の位置が第2方向DR2に位置補正される。また、アキシャル荷重Fが所定範囲の上限値を上回ると、アキシャル荷重Fを所定範囲内に維持するために摩擦攪拌接合工具2の位置が第3方向DR3に位置補正される。
上述の制御(または、上述の位置補正)は、アキシャル荷重Fを直接的または間接的に測定するセンサからの信号データに基づいて、制御装置が摩擦攪拌接合工具2の位置を補正することにより行われてもよい。
代替的に、アキシャル荷重Fが、特定の制御指令値、あるいは、特定の物理量の関数である場合には、上述の制御(または、上述の位置補正)は、特定の制御指令値、あるいは、特定の物理量に基づいて、制御装置が摩擦攪拌接合工具2の位置を補正することにより行われてもよい。例えば、アキシャル荷重Fは、プローブ21を回転軸AXまわりに回転駆動させるモータにかかる負荷の関数である。よって、上述の制御(または、位置補正)は、プローブ21を回転軸AXまわりに回転駆動させるモータにかかる負荷に基づいて、制御装置が摩擦攪拌接合工具2の位置を補正することにより行われてもよい。なお、プローブ21を回転軸AXまわりに回転駆動させるモータにかかる負荷は、例えば、当該モータの駆動電流指令値、あるいは、当該モータの駆動電流値に基づいて算出または決定されてもよい。
なお、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fに応じて、摩擦攪拌接合工具2の位置が第2方向DR2に位置補正される際の補正量の最大値(換言すれば、補正限界値)は、例えば、5mm以下、3mm以下、あるいは、2mm以下であってもよい。換言すれば、アキシャル荷重Fに応じて摩擦攪拌接合工具2の位置が第2方向DR2に位置補正される場合であっても、摩擦攪拌接合工具2の位置が第2方向DR2に5mmを超えて補正されることがないように構成されてもよい。
摩擦攪拌接合工具2の位置が第2方向DR2に5mmを超えて補正されないことにより、凹部81の形状等に欠陥が存在する場合に、工作機械1の誤作動が防止される。この場合、凹部81の深さが5mmを超える場合であっても、摩擦攪拌接合工具2の位置が第2方向DR2に5mmを超えて補正されることはない。なお、実施形態において、補正量の最大値(換言すれば、補正限界値)は、5mm以下の値に限定されない。また、実施形態において、補正限界値が設定されていなくてもよい。
なお、第1ワーク8の凹部81の深さL1(図1を参照。)は、例えば、0.1mm以上3mm以下である。
(摩擦攪拌接合工具2の位置の制御の第1例)
摩擦攪拌接合工具2の位置の制御の第1例について説明する。図17に記載の例では、工作機械1Aは、センサ12と、制御装置7とを有する。センサ12は、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fを検出する。制御装置7は、センサ12からアキシャル荷重Fを示す信号データS1を受け取り、当該信号データS1に基づいて、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を補正する。なお、信号データS1は、生の信号データであってもよいし、生の信号データを処理することにより得られるデータであってもよい。
図6に記載の例において、プローブ21が第2領域RG2を横切って第1方向DR1に移動する際に、センサ12によって検出されるアキシャル荷重Fが減少する。制御装置7は、プローブ21が第2領域RG2を横切る際にアキシャル荷重Fが減少することに応じて、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を第2方向DR2に補正する。こうして、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制される。
図8に記載の例において、プローブ21が第3領域RG3を横切って第1方向DR1に移動する際に、センサ12によって検出されるアキシャル荷重Fが増加する。制御装置7は、プローブ21が第3領域RG3を横切る際にアキシャル荷重Fが増加することに応じて、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を第3方向DR3に補正する。こうして、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制される。
図6および図17に記載の例において、プローブ21が第2領域RG2を横切って第1方向DR1に移動する際に、制御装置7がセンサ12から受け取る信号データS1に基づいて、制御装置7は、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fが一定に維持されるように、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を第2方向DR2に補正してもよい。
図8および図17に記載の例において、プローブ21が第3領域RG3を横切って第1方向DR1に移動する際に、制御装置7がセンサ12から受け取る信号データS1に基づいて、制御装置7は、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fが一定に維持されるように、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を第3方向DR3に補正してもよい。
図5、図7、図9、および、図17に記載の例において、プローブ21が第1領域RG1、第4領域RG4、および、第5領域RG5の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、制御装置7がセンサ12から受け取る信号データS1に基づいて、制御装置7は、上述のアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように(より具体的には、上述のアキシャル荷重Fが一定に維持されるように)、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を補正してもよい。
図17に記載の例では、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fを検出するセンサ12aが、摩擦攪拌接合工具2のプローブ21を保持するプローブホルダHDに配置されている。
代替的に、図18に例示されるように、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fを検出するセンサ12bが、プローブホルダHDが取り付けられる回転体42(換言すれば、工具主軸)に配置されていてもよい。
更に代替的に、駆動系に作用する荷重を検出する検出器が、上述のセンサ12として用いられてもよい。図19に記載の例では、工作機械1Aは、上述の回転体42(換言すれば、工具主軸)を備える加工ヘッド4を移動させる移動装置5(例えば、鉛直方向に平行な方向に加工ヘッド4を移動させる第1駆動装置51b)を備える。また、工作機械1Aは、移動装置5(例えば、鉛直方向に平行な方向に加工ヘッド4を移動させる第1駆動装置51b)に作用する負荷を検出可能である。この場合、移動装置5(例えば、第1駆動装置51b)に作用する負荷を検出する検出器が、上述のアキシャル荷重Fを検出するセンサ12cとして用いられてもよい。
(摩擦攪拌接合工具2の位置の制御の第2例)
図20に記載の例では、工作機械1Aは、プローブ21を回転軸AXまわりに回転駆動させるモータ44mを有する。図20に記載の例において、摩擦攪拌接合方法(より具体的には、上述の第4ステップST4)は、制御装置7が、プローブ21を回転軸AXまわりに回転駆動させるモータ44mにかかる負荷を取得することを含む。
モータ44mにかかる負荷の取得は、モータ44mの駆動電流指令値を示すデータあるいはモータ44mの駆動電流値を示すデータS2を取得することにより行われてもよい。例えば、モータ44mがプローブ21を回転軸AXまわりに一定の回転数で回転させる場合、モータ44mの駆動電流指令値を示すデータ(なお、モータがAC誘導モータである場合には、当該駆動電流指令値は、例えば、q軸電流指令値である。)、または、モータ44mの駆動電流値を示すデータS2に基づいて、制御装置7は、モータ44mの負荷を算出または決定することができる。モータ44mの駆動電流指令値そのもの、または、モータ44mの駆動電流値そのものが、モータ44mの負荷とされてもよい。代替的に、モータ44mの駆動電流指令値の時間平均、モータ44mの駆動電流の時間平均、モータ44mの駆動電流指令値の標準化値(換言すれば、基準値に対する比率で表された値)、あるいは、モータ44mの駆動電流の標準化値(換言すれば、基準値に対する比率で表された値)が、モータ44mの負荷とされてもよい。
図6および図20に記載の例において、制御装置7は、プローブ21が第2領域RG2を横切る際にモータ44mの負荷が減少することに応じて、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を第2方向DR2に補正する。こうして、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制される。
図8および図20に記載の例において、制御装置7は、プローブ21が第3領域RG3を横切る際にモータ44mの負荷が増加することに応じて、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を第3方向DR3に補正する。こうして、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制される。
図6および図20に記載の例において、プローブ21が第2領域RG2を横切って第1方向DR1に移動する際に、制御装置7が取得するモータ44mの駆動電流指令値あるいはモータ44mの駆動電流値が一定に維持されるように、制御装置7は、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を第2方向DR2に補正してもよい。モータ44mの駆動電流指令値あるいはモータ44mの駆動電流値が一定に維持されることにより、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fが一定に維持される。
図8および図20に記載の例において、プローブ21が第3領域RG3を横切って第1方向DR1に移動する際に、制御装置7が取得するモータ44mの駆動電流指令値あるいはモータ44mの駆動電流値が一定に維持されるように、制御装置7は、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を第3方向DR3に補正してもよい。モータ44mの駆動電流指令値あるいはモータ44mの駆動電流値が一定に維持されることにより、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fが一定に維持される。
図5、図7、図9、および、図20に記載の例において、プローブ21が第1領域RG1、第4領域RG4、および、第5領域RG5の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、制御装置7が取得するモータ44mの駆動電流指令値あるいはモータ44mの駆動電流値が一定に維持されるように、制御装置7は、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置を補正してもよい。
(第3面82c)
図4に記載の例では、第1ワーク8の凹部81を規定する複数の面82は、第1面82aおよび第2面82bに加え、第1面82aと第2面82bとの間に配置された第3面82cを有する。図1に記載の例では、第3面82cは、高さが一定の面である。なお、本明細書において、高さが「一定」であることには、実質的に高さが一定であることが含まれる。換言すれば、第1ワーク8の表面粗さ、あるいは、凹部81の加工精度等に起因して、多少の高さの変動がある場合も、高さが「一定」であるとみなされる。
図4に記載の例では、重ね合わせ工程(第3ステップST3)は、第2領域RG2と第3領域RG3との間に配置される第4領域RG4を形成することを含む。図4に記載の例では、第4領域RG4において、第3面82cと第2ワーク9との間の隙間G4は第1方向DR1に沿って略一定である。
図6乃至図8に記載の例では、接合工程(第4ステップST4)は、プローブ21が、第2領域RG2、第4領域RG4、および、第3領域RG3を、この順に横切るように、プローブ21を移動させることを含む。
図6乃至図8に記載の例において、プローブ21が、第2領域RG2、第4領域RG4、および、第3領域RG3の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変化が抑制されるように、摩擦攪拌接合工具2の位置が制御される。なお、第3面82cの高さが第1方向DR1に沿って一定である場合には、プローブ21が第4領域RG4を横切って第1方向DR1に移動する際に、プローブ21の回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置は略一定に維持される。
(第1ワーク8を準備する工程)
図23に記載の例では、第1ワーク8を準備する工程(第1ステップST1)は、第1ワーク8の第1部分83と第1ワーク8の凹み85との間の第1段差部84a(図22を参照。)を切削することにより、上述の第1面82aを形成することを含む。また、図24に記載の例では、第1ワーク8を準備する工程(第1ステップST1)は、第1ワーク8の第2部分86と第1ワーク8の凹み85との間の第2段差部84b(図23を参照。)を切削することにより、上述の第2面82bを形成することを含む。
図25に例示されるように、第1段差部84aおよび第2段差部84bが存在する状態で、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される場合を想定する。この場合、段差部(84a、84b)の存在に起因して、第1ワーク8と第2ワーク9との間の接合部分にボイドが生じやすい。図25に記載の例において、プローブ21が凹み85を横切る際に、プローブ21の第1方向DR1への移動速度を低下させれば、当該ボイドの発生が抑制される。しかし、プローブ21の移動速度の低下は、加工時間が増加する要因となる。また、プローブ21の移動速度の低下は、大きなバリの発生の原因となり得る。
これに対し、図23および図24に例示されるように、第1段差部84aおよび第2段差部84bが切削され、その後、図5乃至図9に例示されるように、摩擦攪拌接合が行われる場合、プローブ21の第1方向DR1への移動速度を低下させることなく、第1ワーク8と第2ワーク9との間の接合部分におけるボイドの発生を防止または抑制できる。
なお、図22に記載の例では、第1段差部84aおよび第2段差部84bを有する凹み85が、切削加工によって形成されている。しかし、凹み85の形成は、切削加工以外の方法で行われてもよい。例えば、鋳物の一部をハンマ等で打ち付けることにより凹み85が形成されてもよい。また、第1ワーク8の第1片88aの切り欠き部分と、第1ワーク8の第2片88bの切り欠き部分とが溶接されることにより凹み85が形成されてもよい。
図21に例示されるように、第1ワーク8は、溶接部87を含んでいてもよい(より具体的には、第1ワーク8は、第1片88aと第2片88bとが溶接部87において溶接されたワークであってもよい。)。また、図22に例示されるように、第1ワーク8を準備する工程(第1ステップST1)は、溶接部87および溶接部87に隣接する部分を切削することにより凹み85を形成することを含んでいてもよい。
図26に例示するように、溶接部87が第1ワーク8の表面から突出した状態で、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される場合を想定する。この場合、突出する溶接部87の存在に起因して、第1ワーク8と第2ワーク9との間の接合部分にボイドが生じやすい。
これに対し、図22に例示されるように、溶接部87が切削され、図23および図24に例示されるように、第1段差部84aおよび第2段差部84bが切削され、その後、図5乃至図9に例示されるように、摩擦攪拌接合が行われる場合、プローブ21の第1方向DR1への移動速度を低下させることなく、第1ワーク8と第2ワーク9との間の接合部分におけるボイドの発生を防止または抑制できる。
図22乃至図24に記載の例では、溶接部87が切削され、その後、第1段差部84aおよび第2段差部84bが切削されることにより、上述の第1面82aおよび上述の第2面82bが形成される。
図22乃至図24、または、図27および図28に例示されるように、溶接部87および溶接部87に隣接する部分を切削することにより、上述の第1面82aおよび上述の第2面82bが形成されてもよい。図22乃至図24に記載の例では、溶接部87および溶接部87に隣接する部分を切削することにより、第1段差部84aおよび第2段差部84bが形成され、その後、第1段差部84aおよび第2段差部84bを切削することにより、上述の第1面82aおよび上述の第2面82bが形成される。代替的に、図27および図28に例示されるように、溶接部87および溶接部87に隣接する部分を切削することにより、直接的に(換言すれば、段差部の形成を経ずに)、上述の第1面82aおよび上述の第2面82bが形成されてもよい。
(凹部81)
図29に記載の例では、第1ワーク8の凹部81は、第2方向DR2に垂直な第4方向DR4に延在する。凹部81は、第4方向DR4に延在する直線状の凹部であってもよい。図29に記載の例では、溶接部87も、第4方向DR4に延在する。溶接部87は、第4方向DR4に延在する直線状の溶接部であってもよい。
第4方向DR4とは、反対の方向を第5方向DR5と定義する。図29に記載の例では、凹部81の第4方向DR4側の端部81eは、開放されている。また、凹部81の第5方向DR5側の端部81fは開放されている。
重ね合わせ工程(第3ステップST3)では、第1ワーク8の上面と第2ワーク9の下面とが接するように、第2ワーク9が第1ワーク8に重ねられる。
図30に記載の例では、第2ワーク9が第1ワーク8に重ねられた状態において、凹部81の第4方向DR4側の端部81eは、開放されている。代替的に、あるいは、付加的に、第2ワーク9が第1ワーク8に重ねられた状態において、凹部81の第5方向DR5側の端部81f(図29を参照。)が開放されていてもよい。
第2ワーク9が第1ワーク8に重ねられた状態において、凹部81の第4方向DR4側の端部81e、および、凹部81の第5方向DR5側の端部81fのうちの少なくとも一方が開放されている場合、当該開放端部(81e;81f)がエア抜き口として機能する。
より具体的には、プローブ21が、凹部81を横切って第1方向DR1に移動する際に、凹部81内の空間に、第2ワーク9の材料が進入する。この際、材料の進入に応じて、凹部81内の空間に存在していたエアの少なくとも一部が、開放端部(81e;81f)を介して凹部81外に排出される。こうして、第1ワーク8と第2ワーク9との接合部分にボイドが生じることが防止されつつ、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。
(プローブ21の移動経路)
図30における破線矢印によって示されるように、接合工程(第4ステップST4)において、プローブ21が凹部81を横切る際に、プローブ21は、直線状の経路PA1に沿って移動してもよい。換言すれば、上述の第1方向DR1は、直線状の経路PA1に沿う方向であってもよい。なお、第1方向DR1は、凹部81の延在方向(換言すれば、第4方向DR4)に垂直な方向であってもよいし、凹部81の延在方向に対して傾いた方向であってもよい。
代替的に、図31における破線矢印によって示されるように、接合工程(第4ステップST4)において、プローブ21が凹部81を横切る際に、プローブ21は、曲線状の経路PA2に沿って移動してもよい。換言すれば、上述の第1方向DR1は、曲線状の経路PA2に沿う方向であってもよい。
図16に例示されるように、第2ワーク9が円板状であり、第1ワーク8と第2ワーク9の外周縁部とが摩擦攪拌接合される場合を想定する。この場合、プローブ21は、円状の経路、あるいは、円弧状の経路PA3に沿って移動してもよい。換言すれば、上述の第1方向DR1は、円状の経路または円弧状の経路PA3に沿う方向であってもよい。
(プローブ21の移動速さ)
第1領域RG1の少なくとも一部、および、第5領域RG5の少なくとも一部の各々を横切る際の第1方向DR1に沿う方向におけるプローブ21(図34を参照。)の移動速さと、第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切る際の第1方向DR1に沿う方向におけるプローブ21の移動速さとは同一であってもよい。また、第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切る際の第1方向DR1に沿う方向におけるプローブ21の移動速さと、第4領域RG4を横切る際の第1方向DR1に沿う方向におけるプローブ21の移動速さとは同一であってもよい。プローブ21の移動速さが一定である場合、第2ワーク9の表面に大きなバリが発生することが防止または抑制される。
(工作機械1A)
図17乃至図20に例示されるように、第1の実施形態における工作機械1Aは、ワーク支持部材3と、加工ヘッド4と、回転駆動装置44と、移動装置5と、制御装置7とを備える。
ワーク支持部材3は、第1ワーク8および第2ワーク9を支持する。ワーク支持部材3は、例えば、第1ワーク8および第2ワーク9が固定されるテーブル31を含む。図17乃至図20に記載の例では、テーブル31は、第1ワーク8を直接的に支持する。また、テーブル31は、第2ワーク9を、第1ワーク8を介して支持する。
加工ヘッド4は、摩擦攪拌接合工具2のプローブ21を回転軸AXまわりに回転可能に支持する。加工ヘッド4は、回転体42と、回転体42を回転可能に支持するフレーム43とを有する。図17乃至図20に記載の例では、回転体42は、プローブホルダHDを介してプローブ21を支持する。
回転駆動装置44は、回転体42を第1軸AX1まわりに回転させることにより、プローブ21を回転軸AXまわりに回転させる。図17乃至図20に記載の例では、回転体42の回転軸である第1軸AX1と、プローブ21の回転軸AXとが同軸である。
移動装置5は、加工ヘッド4をワーク支持部材3に対して相対移動させる。制御装置7は、回転駆動装置44、および、移動装置5を制御する。
制御装置7は、摩擦攪拌接合モードM1を実行可能である。摩擦攪拌接合モードM1は、第1方向DR1に高さが漸減する第1面82aと第1方向DR1に高さが漸増する第2面82bとを含む複数の面82によって規定される凹部81を有する第1ワーク8の上に第2ワーク9が重ね合わせられた状態で、第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合するモードである。
図5に例示されるように、摩擦攪拌接合モードM1は、第1ワーク8と第2ワーク9とが接する第1領域RG1の少なくとも一部をプローブ21が横切るように、摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させることを含む。
図6に例示されるように、摩擦攪拌接合モードM1は、第1面82aと第2ワーク9との間の隙間が第1方向DR1にゼロから漸増する第2領域RG2をプローブ21が横切るように摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させながら、第1面82aの高さの変化に追従するように摩擦攪拌接合工具2を第2方向DR2に移動させることを含む。
図8に例示されるように、摩擦攪拌接合モードM1は、第2面82bと第2ワーク9との間の隙間が第1方向DR1にゼロまで漸減する第3領域RG3をプローブ21が横切るように摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させながら、第2面82bの高さの変化に追従するように摩擦攪拌接合工具2を第3方向DR3に移動させることを含む。
付加的に、図7に例示されるように、摩擦攪拌接合モードM1は、第2領域RG2と第3領域RG3との間の第4領域RG4をプローブ21が横切るように、摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させることを含んでいてもよい。
付加的に、図9に例示されるように、摩擦攪拌接合モードM1は、第3領域RG3の第1方向DR1側に位置する第5領域RG5の少なくとも一部をプローブ21が横切るように、摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させることを含んでいてもよい。
プローブ21が第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、制御装置7は、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように、摩擦攪拌接合工具2の位置(より具体的には、回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置)を制御する。制御装置7は、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fが一定に維持されるように、摩擦攪拌接合工具2の位置(より具体的には、回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置)を制御してもよい。
付加的に、プローブ21が第1領域RG1、第4領域RG4、および、第5領域RG5の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、制御装置7は、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように(より具体的には、アキシャル荷重Fが一定に維持されるように)、摩擦攪拌接合工具2の位置(より具体的には、回転軸AXに沿う方向における摩擦攪拌接合工具2の位置)を制御してもよい。
第1の実施形態における工作機械1Aでは、制御装置7が、摩擦攪拌接合モードM1を実行可能である。摩擦攪拌接合モードM1の実行時に、摩擦攪拌接合工具2は、第1方向DR1に移動しながら、第1面82aおよび第2面82bの各々の高さの変化に追従するように第2方向DR2または第3方向DR3に移動する。よって、摩擦攪拌接合工具2を第1面82aおよび第2面82bの各々の高さの変化に追従させない場合と比較して(例えば、摩擦攪拌接合工具2を、完全に水平方向に移動させる場合と比較して)、第1ワーク8と第2ワーク9との間の接合部分に欠陥(より具体的には、ボイド)が生じにくい。
第1の実施形態における工作機械1Aでは、プローブ21が第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように、制御装置7が摩擦攪拌接合工具2の位置を制御する。よって、第1方向DR1に移動しつつ第2方向DR2または第3方向DR3に移動するプローブ21が、過小な力あるいは過大な力で、第1ワーク8および第2ワーク9に押し付けられることが防止される。こうして、過小な押し付け力に起因するボイドの発生、あるいは、過大な押し付け力に起因する大きなバリの発生が抑制される。
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図34を参照して、第1の実施形態における工作機械1A(あるいは、第1の実施形態における摩擦攪拌接合方法)において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
(摩擦攪拌接合工具2)
図5に記載の例では、摩擦攪拌接合工具2は、プローブ21と、ショルダ23とを含む。プローブ21は、接合工程(上述の第4ステップST4)の実行時に、第2ワーク9に挿入される。接合工程(上述の第4ステップST4)の実行時に、プローブ21の先端は、第1ワーク8に達していてもよい。
ショルダ23は、第2ワーク9の第3方向DR3側の面(すなわち、上面)を押圧する。図5に記載の例では、ショルダ23は、プローブ21とともに、プローブ21の回転軸AXまわりに回転する回転ショルダである。ショルダ23(より具体的には、回転ショルダ)とプローブ21とは、一体的に成形された部材によって構成されていてもよい。代替的に、図32に例示されるように、ショルダ23は、プローブ21とともに回転しない固定ショルダであってもよい。この場合、プローブ21は、固定ショルダに対して、回転軸AXまわりに相対回転する。
図6、図8、図32に記載の例において、プローブ21が第2方向DR2(または、第3方向DR3)に移動する際に、ショルダ23は、プローブ21とともに第2方向DR2(または、第3方向DR3)に移動するように構成されている。より具体的には、接合工程(第4ステップST4)の実行時に、プローブ21は、ショルダ23に対して、第2方向DR2に平行な方向に実質的に相対移動不能である。
この場合、図6に例示されるように、プローブ21が第2領域RG2を横切って第1方向DR1に移動する際に、プローブ21およびショルダ23の両方が、第1面82aの高さの変化に追従するように、第2方向DR2に移動する。また、図8に例示されるように、プローブ21が第3領域RG3を横切って第1方向DR1に移動する際に、プローブ21およびショルダ23の両方が、第2面82bの高さの変化に追従するように、第3方向DR3に移動する。
(プローブホルダHD)
プローブホルダHDは、摩擦攪拌接合工具2のプローブ21を保持する。図17乃至図20に記載の例では、加工ヘッド4の回転体42は、プローブホルダHDを介して、プローブ21を支持する。加工ヘッド4の回転体42は、プローブホルダHDを介して、プローブ21およびショルダ23の両方を支持してもよい。代替的に、図32に例示されるように、加工ヘッド4の回転体42が、プローブホルダHDを介してプローブ21を支持し、加工ヘッド4のフレーム43が、ショルダ23を支持してもよい。
図17に例示されるように、プローブホルダHDは、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fを検出するセンサ12aを有していてもよい。
図17に記載の例では、ショルダ23はプローブ21とともに回転する回転ショルダであり、センサ12aによって検出されるアキシャル荷重Fは、プローブ21が第1ワーク8および第2ワーク9から受ける第3方向DR3の荷重と、ショルダ23が第2ワーク9から受ける第3方向DR3の荷重との合計荷重である。ショルダ23がプローブ21とともに回転しない固定ショルダである場合には、センサ12aによって検出されるアキシャル荷重Fは、プローブ21が第1ワーク8および第2ワーク9から受ける第3方向DR3の荷重であってもよい。
センサ12aは、当該アキシャル荷重Fを示す信号データS1を、直接的に、あるいは、任意の中継器を介して間接的に、制御装置7に送信する。当該送信は、無線によって行われてもよいし、有線によって行われてもよい。図17に記載の例では、制御装置7は、データ受信器13、および、通信インターフェース14を介して、センサ12aから、アキシャル荷重Fを示す信号データS1を取得する。
(加工ヘッド4)
図18に例示されるように、加工ヘッド4は、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fを検出するセンサ12bを有していてもよい。
図18に記載の例では、ショルダ23はプローブ21とともに回転する回転ショルダであり、センサ12bによって検出されるアキシャル荷重Fは、プローブ21が第1ワーク8および第2ワーク9から受ける第3方向DR3の荷重と、ショルダ23が第2ワーク9から受ける第3方向DR3の荷重との合計荷重である。ショルダ23がプローブ21とともに回転しない固定ショルダである場合には、センサ12bによって検出されるアキシャル荷重Fは、上述の合計荷重であってもよいし、プローブ21が第1ワーク8および第2ワーク9から受ける第3方向DR3の荷重であってもよい。
センサ12bは、当該アキシャル荷重Fを示す信号データS1を、直接的に、あるいは、任意の中継器を介して間接的に、制御装置7に送信する。当該送信は、無線によって行われてもよいし、有線によって行われてもよい。図18に記載の例では、制御装置7は、データ受信器13、および、通信インターフェース14を介して、センサ12bから、アキシャル荷重Fを示す信号データS1を取得する。
(移動装置5)
移動装置5は、加工ヘッド4をワーク支持部材3に対して相対移動させる。移動装置5は、加工ヘッド4を移動させる第1移動装置51を含む。代替的に、あるいは、付加的に、移動装置5は、ワーク支持部材3を移動させる第2移動装置58を有していてもよい。
第1移動装置51は、加工ヘッド4を支持する第1移動体51aと、加工ヘッド4を第1移動体51aに対して相対的に移動させる第1駆動装置51bとを有する。図17乃至図20、図32に記載の例では、第1駆動装置51bは、加工ヘッド4を、第2方向DR2に平行な方向(例えば、鉛直方向)に移動させる。第1駆動装置51bは、Z軸モータを含んでいてもよい。
付加的に、第1移動装置51は、第1移動体51aを支持する支持体52aと、第1移動体51aを支持体52aに対して第2方向DR2に垂直な方向に相対移動させる第2駆動装置52bとを有していてもよい。第2駆動装置52bは、第1移動体51aを、水平面に平行な方向に、2次元的に移動させることが可能な装置であってもよい(例えば、第2駆動装置52bは、X軸モータとY軸モータとを含んでいてもよい。)。
図19または図32に例示されるように、第1駆動装置51bは、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fを検出するセンサ12cを有していてもよい。
図19または図32に記載の例では、センサ12cによって検出されるアキシャル荷重Fは、プローブ21が第1ワーク8および第2ワーク9から受ける第3方向DR3の荷重と、ショルダ23が第2ワーク9から受ける第3方向DR3の荷重との合計荷重である。
センサ12cは、当該アキシャル荷重Fを示す信号データS1を、直接的に、あるいは、任意の中継器を介して間接的に、制御装置7に送信する。当該送信は、無線によって行われてもよいし、有線によって行われてもよい。図19または図32に記載の例では、制御装置7は、データ受信器13、および、通信インターフェース14を介して、センサ12cから、アキシャル荷重Fを示す信号データS1を取得する。
第1移動装置51は、加工ヘッド4を、3次元的に移動させる装置であってもよい。例えば、第1移動装置51は、加工ヘッド4をX軸に沿う方向に移動させることができ、加工ヘッド4をY軸に沿う方向に移動させることができ、加工ヘッド4をZ軸に沿う方向に移動させることができてもよい。図17乃至図20、図32に記載の例では、Z軸は、鉛直方向に平行な軸である。また、Z軸は、第2方向DR2に平行な軸である。
図17乃至図20、図32に記載の例では、第2移動装置58は、テーブル31等のワーク支持部材3をベース30に対して相対移動させる第3駆動装置58b(例えば、テーブル駆動装置)を含む。図17乃至図20、図32に記載の例では、第3駆動装置58bは、ワーク支持部材3を、ベース30に対して、水平面に平行な方向(換言すれば、XY平面に平行な方向)に移動させる。
(回転駆動装置44)
回転駆動装置44は、プローブ21を回転軸AXまわりに回転させる。回転駆動装置44は、プローブ21およびショルダ23の両方を回転軸AXまわりに回転させてもよい。代替的に、回転駆動装置44は、プローブ21を、ショルダ23とは独立して、回転軸AXまわりに回転させてもよい。回転駆動装置44は、例えば、モータ44mを含む。モータ44mは、AC誘導モータであってもよいし、AC同期モータであってもよいし、DCモータであってもよい。
図20に例示されるように、回転駆動装置44は、モータ44mの駆動電流値を示すデータS2を、直接的に、あるいは、任意の中継器を介して間接的に、制御装置7に送信してもよい。当該送信は、無線によって行われてもよいし、有線によって行われてもよい。図20に記載の例では、制御装置7は、データ受信器13、および、通信インターフェース14を介して、回転駆動装置44から、モータ44mの駆動電流値を示すデータS2を取得する。代替的に、あるいは、付加的に、移動装置5を制御する第1制御部71aが、モータ44mを制御する第2制御部71bから、モータ44mの駆動電流指令値を示すデータを取得するようにしてもよい。
(制御装置7)
制御装置7は、回転駆動装置44、および、移動装置5を制御する。図17乃至図20、図32に記載の例では、制御装置7は、移動装置5を制御する第1制御部71aと、回転駆動装置44(より具体的には、モータ44m)を制御する第2制御部71bとを有する。
回転駆動装置44が制御装置7(より具体的には、第2制御部71b)から第1回転指令R1を受信すると、回転駆動装置44は、プローブ21を回転軸AXまわりに回転させる。
移動装置5が制御装置7(より具体的には、第1制御部71a)から移動指令Cを受信すると、移動装置5は、加工ヘッド4および/またはワーク支持部材3を移動させる。例えば、第2駆動装置52bは、制御装置7(より具体的には、第1制御部71a)から第1移動指令C1を受信すると、加工ヘッド4を第2方向DR2に垂直な方向(より具体的には、水平面に平行な方向)に移動させる。また、第1駆動装置51bは、制御装置7(より具体的には、第1制御部71a)から第2移動指令C2を受信すると、加工ヘッド4を第2方向DR2に平行な方向(より具体的には、鉛直方向に平行な方向)に移動させる。また、第3駆動装置58bは、制御装置7(より具体的には、第1制御部71a)から移動指令C4を受信すると、ワーク支持部材3を水平面に平行な方向に移動させる。
図33を参照して、制御装置7の一例について、より詳細に説明する。図33に記載の例では、制御装置7は、ハードウェアプロセッサ70(以下、単に、「プロセッサ70」という。)と、メモリ72と、通信回路74と、入力装置76(例えば、タッチパネル付きディスプレイ762)と、を備える。プロセッサ70と、メモリ72と、通信回路74と、入力装置76とは、バス78を介して互いに接続されている。
メモリ72は、制御装置7のプロセッサ70によって読み取り可能な記憶媒体である。メモリ72は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性または揮発性の半導体メモリであってもよいし、磁気ディスクであってもよいし、その他の形式のメモリであってもよい。
メモリ72は、データ、および、プログラム722を記憶する。図33に記載の例では、メモリ72に記憶されるプログラム722は、摩擦攪拌接合用の第1プログラム722aを含む。
摩擦攪拌接合工具2を用いて行われる摩擦攪拌接合に必要なデータ(例えば、プローブ21が移動すべき第1移動経路を規定する第1経路データ726a等)は、入力装置76を介して制御装置7に入力されてもよいし、他のコンピュータから通信回路74を介して制御装置7に入力されてもよい。摩擦攪拌接合に必要なデータは、メモリ72に記憶される。
入力装置76は、タッチパネル付きディスプレイ762に限定されない。例えば、制御装置7は、ボタン、スイッチ、レバー、ポインティングデバイス、キーボード等の入力装置76と、当該入力装置76に入力されたデータ、あるいは、その他の情報を表示するディスプレイと、を備えていてもよい。また、複数のコンピュータが協働して、制御装置7として機能してもよい。また、メモリ72は、複数箇所に分散配置されていてもよい。例えば、メモリ72の一部は、クラウドストレージに含まれていてもよい。
制御装置7のプロセッサ70がメモリ72に記憶されたプログラム722を実行することにより、制御装置7は制御指令を生成する。また、通信回路74は、当該制御指令を、制御対象機器(より具体的には、回転駆動装置44、移動装置5等)に送信する。こうして、プロセッサ70がプログラム722を実行することにより、制御装置7は、回転駆動装置44、および、移動装置5を制御することができる。
(摩擦攪拌接合モードM1)
図34に例示されるように、制御装置7は、第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合モードM1を実行可能である。
摩擦攪拌接合モードM1は、凹部81を横切る第1移動経路PAに沿って回転状態のプローブ21が移動するよう、制御装置7が、移動装置5(より具体的には、第2駆動装置52b)に第1移動指令C1を送信することを含む(図33を参照。)。また、摩擦攪拌接合モードM1は、プローブ21が凹部81を横切る際に、上述のアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように(より具体的には、上述のアキシャル荷重Fが一定に維持されるように)、制御装置7が、移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51b)に第2移動指令C2を送信することを含む。
例えば、第1プログラム722aを実行する制御装置7は、第1回転指令R1を生成し、且つ、メモリ72に記憶された上述の第1経路データ726aに基づいて、上述の第1移動指令C1を生成する。また、制御装置7は、生成された第1回転指令R1を回転駆動装置44に送信し、生成された第1移動指令C1を、移動装置5(より具体的には、第2駆動装置52b)に送信する。第1回転指令R1を受信する回転駆動装置44は、プローブ21を回転軸AXまわりに回転させる。また、第1移動指令C1を受信する移動装置5(より具体的には、第2駆動装置52b)は、回転状態のプローブ21を、凹部81を横切る第1移動経路PA(より具体的には、凹部81を完全に横切る第1移動経路PA)に沿って移動させる。なお、凹部81を横切る第1移動経路PAは、直線状の経路であってもよいし、曲線状の経路PA2(図31を参照。)であってもよい。
また、第1プログラム722aを実行する制御装置7は、上述のアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように(より具体的には、上述のアキシャル荷重Fが一定に維持されるように)、第2移動指令C2を生成する。
例えば、プローブ21が第1移動経路PAに沿って移動する際に、制御装置7は、センサ12からアキシャル荷重Fを示す信号データを受け取るか、あるいは、モータ44mの負荷を示すデータを取得する。また、第1プログラム722aを実行する制御装置7は、センサ12から受け取る信号データ、あるいは、モータ44mの負荷を示すデータに基づいて、上述のアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように(より具体的には、上述のアキシャル荷重Fが一定に維持されるように)、第2移動指令C2を生成する。
制御装置7は、生成された第2移動指令C2を、移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51b)に送信する。第2移動指令C2を受信する移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51b)は、回転状態のプローブ21を第2方向DR2または第3方向DR3に移動させる。こうして、プローブ21が凹部81を横切る際に、上述のアキシャル荷重Fの変動が抑制される(より具体的には、上述のアキシャル荷重Fが一定に維持される。)。
制御装置7は、第1移動経路PAに沿って移動するプローブ21の移動速さが一定に維持されるように、移動装置5(より具体的には、第2駆動装置52b)に、第1移動指令C1を送信してもよい。プローブ21の移動速さが一定に維持されることにより、プローブ21が凹部81を横切る際に、第2ワーク9の表面に大きなバリが発生することが、防止または抑制される。
(第2の実施形態)
図1乃至図37を参照して、第2の実施形態における摩擦攪拌接合方法、自動車部品の製造方法、および、工作機械1Bについて説明する。図35は、第2の実施形態における工作機械1Bを模式的に示す図である。図36は、第2の実施形態における工作機械1Bの一部分を模式的に示す概略斜視図である。図37は、第2の実施形態における工作機械1Bを模式的に示す図である。
第2の実施形態では、工作機械1Bが、上述の第1面82aおよび上述の第2面82bが形成されるように、第1ワーク8を切削可能な点において、第1の実施形態とは異なる。その他の点では、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。逆に、第2の実施形態で説明される全ての事項は、第1の実施形態に適用可能である。
図37に例示されるように、第2の実施形態における工作機械1Bは、ワーク支持部材3と、加工ヘッド4と、回転駆動装置44と、移動装置5と、制御装置7と、を備える。加工ヘッド4には、摩擦攪拌接合工具2を取り付け可能である。
摩擦攪拌接合工具2、ワーク支持部材3、加工ヘッド4、回転駆動装置44、移動装置5、および、制御装置7については、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
第2の実施形態における工作機械1Bは、切削工具61を用いて第1ワーク8を切削することにより、第1の実施形態において説明された第1面82aおよび第2面82bを形成する(図23および図24、または、図27および図28を参照。)。
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。また、第2の実施形態では、工作機械1Bが、摩擦攪拌接合と切削加工との両方を実行可能である。よって、第1面82aおよび第2面82bの形成から、第1ワーク8と第2ワーク9との接合までのプロセスを、効率的且つ短時間に実行することができる。
第2の実施形態における摩擦攪拌接合方法は、第1準備工程(第1ステップST1)と、第2準備工程(第2ステップST2)と、重ね合わせ工程(第3ステップST3)と、接合工程(第4ステップST4)とを備える。
第1準備工程、第2準備工程、重ね合わせ工程、および、接合工程については、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの工程についての繰り返しとなる説明は省略する。
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図37を参照して、第2の実施形態(あるいは、上述の第1の実施形態)において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
(加工ヘッド4)
図35および図37に記載の例では、加工ヘッド4は、切削工具61を保持する工具ホルダ62(図35を参照。)と、プローブ21を保持するプローブホルダHD(図37を参照。)と、を選択的に保持可能である。換言すれば、加工ヘッド4は、摩擦攪拌接合装置の一部として機能するとともに、切削加工装置の一部として機能する。
代替的に、工作機械1Bは、プローブホルダHDを保持する加工ヘッド4に加えて、第2加工ヘッドを備え、第2加工ヘッドに、切削工具61を保持する工具ホルダ62が取り付けられてもよい。
(プローブホルダHD)
図37に例示されるように、プローブホルダHDは、加工ヘッド4によって支持された給電部48から電力を受け取る受電部18を有していてもよい。また、センサ12aが、受電部18と電気的に接続されていてもよい。この場合、センサ12aは、受電部18から受け取る電力によって作動する。
(工具交換装置100)
図36に記載の例では、工作機械1Bは、工具交換装置100を備える。工具交換装置100は、加工ヘッド4(より具体的には、加工ヘッド4の回転体42)に保持される工具ホルダ62を、プローブ21を保持するプローブホルダHDに交換可能である。また、工具交換装置100は、加工ヘッド4(より具体的には、加工ヘッド4の回転体42)に保持されるプローブホルダHDを、切削工具61を保持する工具ホルダ62に交換可能である。
図36には、工具交換装置100が、加工ヘッド4に保持された工具ホルダ62を、プローブ21を保持するプローブホルダHDに交換した直後の状態が示されている。
図36に記載の例では、工具交換装置100は、工具交換アーム101と、工具交換アーム101を回転させるアーム回転装置104と、工具交換アーム101を直線的に移動させるアーム移動装置106とを有する。アーム回転装置104は、工具交換アーム101を、第2軸AX2まわりに回転させる。また、アーム移動装置106は、工具交換アーム101を第2軸AX2に平行な方向に移動させる。
図36に記載の例では、工具交換アーム101は、プローブホルダHDと工具ホルダ62とを同時に把持可能である。換言すれば、工具交換アーム101は、プローブホルダHDを把持する第1把持部と、工具ホルダ62を把持する第2把持部とを有する。
(ストッカ110)
図36に記載の例では、工作機械1Bは、プローブホルダHDおよび工具ホルダ62を保管可能なストッカ110を有する。ストッカ110は、プローブホルダHDおよび工具ホルダ62を含む複数のホルダを保管可能である。
ストッカ110は、ストッカ110に保管されているプローブホルダHDまたは工具ホルダ62を、工具交換装置100がアクセス可能な待機位置P1に移動させるホルダ取出装置114を有していてもよい。
(制御装置7)
制御装置7は、回転駆動装置44と、移動装置5とを制御する。付加的に、制御装置7は、工具交換装置100、および/または、ストッカ110を制御してもよい。
図35または図37に記載の例において、制御装置7は、回転駆動装置44に回転指令Rを送信することにより、プローブホルダHDまたは工具ホルダ62を保持した回転体42を第1軸AX1まわりに回転させる。より具体的には、制御装置7は、回転駆動装置44に回転指令Rを送信し、回転指令Rを受信する回転駆動装置44は、第1軸AX1まわりに回転体42を回転させる。
制御装置7は、移動装置5に移動指令Cを送信することにより、加工ヘッド4をワーク支持部材3に対して相対移動させる。例えば、制御装置7は、第1駆動装置51bに移動指令Cを送信することにより、加工ヘッド4を、第2方向DR2に平行な方向に移動させる。また、制御装置7は、第2駆動装置52bに移動指令Cを送信することにより、加工ヘッド4を、第2方向DR2に垂直な方向に移動させる。また、制御装置7は、第3駆動装置58bに移動指令Cを送信することにより、ワーク支持部材3を、水平面に平行な方向に移動させる。
制御装置7は、工具交換装置100に工具交換指令を送信することにより、加工ヘッド4に保持された工具ホルダ62(または、プローブホルダHD)を、プローブホルダHD(または、工具ホルダ62)に交換する。より具体的には、制御装置7は、工具交換装置100に第1の工具交換指令を送信し、第1の工具交換指令を受信する工具交換装置100は、加工ヘッド4に保持された工具ホルダ62を、プローブ21を保持するプローブホルダHDに交換する。また、制御装置7は、工具交換装置100に第2の工具交換指令を送信し、第2の工具交換指令を受信する工具交換装置100は、加工ヘッド4に保持されたプローブホルダHDを、切削工具61を保持する工具ホルダ62に交換する。
制御装置7は、ストッカ110に取り出し指令を送信することにより、ストッカ110に保管されているプローブホルダHDまたは工具ホルダ62を、工具交換装置100がアクセス可能な待機位置P1に移動させてもよい。例えば、制御装置7は、ストッカ110に取り出し指令を送信し、工具交換装置100に第1の工具交換指令を送信する。取り出し指令を受信するストッカ110は、プローブホルダHDを待機位置P1に移動させる。また、第1の工具交換指令を受信する工具交換装置100は、加工ヘッド4に保持された工具ホルダ62と、待機位置P1に移動されたプローブホルダHDとを交換する。
図35に例示されるように、制御装置7は、プロセッサ70と、メモリ72と、通信回路74と、入力装置76とを備える。プロセッサ70、メモリ72、通信回路74、および、入力装置76については、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
メモリ72は、データ、および、プログラム722を記憶する。メモリ72に記憶されるプログラム722は、摩擦攪拌接合用の第1プログラム722a、切削加工用の第2プログラム722b、および、工具交換用の第3プログラム722cを含んでいてもよい。
切削工具61を用いて行われる切削加工に必要なデータ(例えば、第1ワーク8の形状データ、第1ワーク8に凹部81を形成するために切削工具61が移動すべき第2移動経路を規定する第2経路データ726b等)は、入力装置76を介して制御装置7に入力されてもよいし、他のコンピュータから通信回路74を介して制御装置7に入力されてもよい。切削加工に必要なデータは、メモリ72に記憶される。
摩擦攪拌接合工具2を用いて行われる摩擦攪拌接合に必要なデータ(例えば、プローブ21が移動すべき第1移動経路を規定する第1経路データ726a等)は、入力装置76を介して制御装置7に入力されてもよいし、他のコンピュータから通信回路74を介して制御装置7に入力されてもよい。摩擦攪拌接合に必要なデータは、メモリ72に記憶される。
制御装置7のプロセッサ70がメモリ72に記憶されたプログラム722を実行することにより、制御装置7は制御指令を生成する。また、通信回路74は、当該制御指令を、制御対象機器(より具体的には、回転駆動装置44、移動装置5、工具交換装置100、ストッカ110等)に送信する。こうして、プロセッサ70がプログラム722を実行することにより、制御装置7は、回転駆動装置44、移動装置5、工具交換装置100、および、ストッカ110を制御することができる。
(凹部形成モードM2)
図35に記載の例において、制御装置7は、凹部形成モードM2を実行可能である。凹部形成モードM2は、第1ワーク8に凹部81が形成されるように、回転状態の切削工具61を第2移動経路PB(必要であれば、図24または図28を参照。)に沿って移動させるモードである。凹部形成モードM2が実行されることにより、第1ワーク8に上述の第1面82aおよび第2面82bを含む凹部81が形成される。
図35に例示されるように、凹部形成モードM2の実行時に、制御装置7は、第1ワーク8に凹部81が形成されるよう、回転状態の切削工具61を上述の第2移動経路PBに沿って移動させる。より具体的には、制御装置7は、回転駆動装置44に第2回転指令R2を送信し、且つ、第2移動経路PBに沿って切削工具61が移動するよう、移動装置5に第3移動指令C3を送信する。
例えば、第2プログラム722bを実行する制御装置7は、第2回転指令R2を生成し、且つ、メモリ72に記憶された上述の第2経路データ726bに基づいて、上述の第3移動指令C3を生成する。また、制御装置7は、生成された第2回転指令R2を回転駆動装置44に送信し、生成された第3移動指令C3を移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51bおよび第2駆動装置52b)に送信する。第2回転指令R2を受信する回転駆動装置44は、切削工具61を回転軸AXまわりに回転させる。また、第3移動指令C3を受信する移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51bおよび第2駆動装置52b)は、回転状態の切削工具61を第2移動経路PBに沿って移動させる。こうして、第1ワーク8に、第1面82aおよび第2面82bを含む複数の面82によって規定される凹部81が形成される。
(工具交換モードM3)
図36に記載の例において、制御装置7は、工具交換モードM3を実行可能である。工具交換モードM3は、加工ヘッド4に保持された工具ホルダ62(すなわち、切削工具61を保持する工具ホルダ62)を、プローブ21を保持するプローブホルダHDに交換するモードである。
より具体的には、凹部形成モードM2の実行後、制御装置7は、加工ヘッド4に保持され切削工具61を保持する工具ホルダ62が、プローブ21を保持するプローブホルダHDに交換されるよう、工具交換装置100に第1の工具交換指令を送信する。
例えば、第3プログラム722cを実行する制御装置7は、第1の工具交換指令を生成する。また、制御装置7は、工具交換装置100に第1の工具交換指令を送信する。第1の工具交換指令を受信する工具交換装置100は、加工ヘッド4に保持された工具ホルダ62を、プローブ21を保持するプローブホルダHDに交換する。
(摩擦攪拌接合モードM1)
図37に例示されるように、工具交換モードM3の実行後、制御装置7は、摩擦攪拌接合モードM1を実行可能である。摩擦攪拌接合モードM1は、上述の凹部81を横切る第1移動経路PA(より具体的には、上述の凹部81を完全に横切る第1移動経路PA)に沿って、回転状態のプローブ21を移動させることを含む。摩擦攪拌接合モードM1については、第1の実施形態において説明済みであるため、摩擦攪拌接合モードM1についての繰り返しとなる説明は省略する。
(摩擦攪拌接合方法)
上述の第1準備工程(第1ステップST1)は、制御装置7が、メモリ72に記憶された上述の第2経路データ726bに基づいて、上述の第3移動指令C3を生成することを含んでいてもよい。また、上述の第1準備工程(第1ステップST1)は、第3移動指令C3を受信する移動装置5が、回転状態の切削工具61を上述の第2移動経路PBに沿って移動させることを含んでいてもよい。回転状態の切削工具61が第2移動経路PBに沿って移動することにより、第1ワーク8に、第1面82aおよび第2面82bを含む複数の面82によって規定される凹部81が形成される。
上述の第1準備工程(第1ステップST1)は、制御装置7から第1の工具交換指令を受信する工具交換装置100が、加工ヘッド4に保持された工具ホルダ62を、プローブ21を保持するプローブホルダHDに交換することを含んでいてもよい。
上述の接合工程(第4ステップST4)は、制御装置7が、メモリ72に記憶された上述の第1経路データ726aに基づいて、上述の第1移動指令C1を生成することを含んでいてもよい。また、上述の接合工程(第4ステップST4)は、第1移動指令C1を受信する移動装置5(より具体的には、第2駆動装置52b)が、回転状態のプローブ21を上述の第1移動経路PAに沿って移動させることを含んでいてもよい。回転状態のプローブ21が第1移動経路PAに沿って移動することにより、第1ワーク8と第2ワーク9とが摩擦攪拌接合される。
また、上述の接合工程(第4ステップST4)は、制御装置7が、回転状態のプローブ21が凹部81を横切る際に、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制されるよう(より具体的には、アキシャル荷重Fが一定に維持されるよう)、プローブ21を第2方向DR2に移動させ、その後、プローブ21を第3方向DR3に移動させることを含んでいてもよい。
より具体的には、上述の接合工程(第4ステップST4)は、(1)制御装置7が、センサ12から受け取る信号データ、あるいは、モータ44mの負荷を示すデータに基づいて、上述のアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように(より具体的には、上述のアキシャル荷重Fが一定に維持されるように)、第2移動指令C2を生成すること、(2)制御装置7が、第2移動指令C2を移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51b)に送信すること、および、(3)第2移動指令C2を受信する移動装置5(より具体的には、第1駆動装置51b)が、プローブ21を第2方向DR2に移動させ、その後、プローブ21を第3方向DR3に移動させること、を含んでいてもよい。
(プログラム722)
実施形態におけるプログラム722(より具体的には、第1プログラム722a、第2プログラム722b、および、第3プログラム722cを含むプログラム722)は、上述の摩擦攪拌接合方法のうちの第1準備工程(第1ステップST1)、および、接合工程(第4ステップST4)を、工作機械1(より具体的には、工作機械1の制御装置7)に実行させるためのプログラムである。
より具体的には、実施形態におけるプログラム722は、(1)第1方向DR1に高さが漸減する第1面82aと第1方向DR1に高さが漸増する第2面82bとを含む複数の面82によって規定される凹部81を有する第1ワーク8を準備する工程と、(2)第1ワーク8と第2ワーク9とが重ね合わせられた状態で、摩擦攪拌接合工具2を用いて、第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合する工程と、を具備する摩擦攪拌接合方法を工作機械1(より具体的には、工作機械1の制御装置7)に実行させるためのプログラムである。
図23および図24、または、図27および図28に例示されるように、第1ワーク8を準備する工程(第1ステップST1)は、切削工具61を用いて、凹部81を形成することを含む。第1ワーク8を準備する工程(第1ステップST1)の詳細については、上述の第1の実施形態あるいは上述の第2の実施形態において説明済みであるため、当該工程の詳細についての説明は省略する。
第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合する工程(第4ステップST4)は、(1)第1ワーク8と第2ワーク9とが接する第1領域RG1の少なくとも一部を摩擦攪拌接合工具2のプローブ21が横切るように、摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させることと(図5を参照。)、(2)第1面82aと第2ワーク9との間の隙間が第1方向DR1にゼロから漸増する第2領域RG2をプローブ21が横切るように摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させながら、第1面82aの高さの変化に追従するように摩擦攪拌接合工具2を第2方向DR2に移動させることと(図6を参照。)、(3)第2面82bと第2ワーク9との間の隙間が第1方向DR1にゼロまで漸減する第3領域RG3をプローブ21が横切るように摩擦攪拌接合工具2を第1方向DR1に移動させながら、第2面82bの高さの変化に追従するように摩擦攪拌接合工具2を第3方向DR3に移動させることと(図8を参照。)、を含む。
また、第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合する工程(第4ステップST4)は、プローブ21が第2領域RG2および第3領域RG3の各々を横切って第1方向DR1に移動する際に、摩擦攪拌接合工具2が第1ワーク8および第2ワーク9から受けるアキシャル荷重Fの変動が抑制されるように、摩擦攪拌接合工具2の位置を制御することを含む。
第1ワーク8と第2ワーク9とを摩擦攪拌接合する工程(第4ステップST4)の詳細については、上述の第1の実施形態あるいは上述の第2の実施形態において説明済みであるため、当該工程の詳細についての説明は省略する。
実施形態におけるメモリ72は、上述のプログラム722(より具体的には、第1プログラム722a、第2プログラム722b、および、第3プログラム722cを含むプログラム722)を記録した不揮発性記憶媒体であってもよい。上述のプログラム722を記録した不揮発性記憶媒体は、図38に例示されるように、可搬式の記憶媒体72Mであってもよい。
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
例えば、図17乃至図20、図32には、工作機械1が、立形マシニングセンタである例が示されている。代替的に、図39に例示されるように、実施形態における工作機械1は、横形マシニングセンタであってもよい。更に代替的に、図40に例示されるように、実施形態における工作機械1は、旋盤であってもよい。