JP6078194B1 - 木材プレカット加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工対象や加工内容の多様性に対応することができる汎用性の高い木材プレカット加工装置を、多関節ロボットを用いて実現する。【解決手段】プレカット加工制御装置120は、プレカット加工データPCDから加工位置を特定して工具を決定し、回転割出型ツールストッカ20を駆動して工具取出位置PUPにツールホルダを回転割出すると共に、ロボット制御装置130に対して、工具取出位置PUPからの工具取出動作を指令して多関節ロボット10に工具の取り出しを実行させる。このとき、プレカット加工制御装置120は、当該工具に関する刃物設定情報DATAと加工動作情報CMNDを送信し、ロボット制御装置130は、刃物設定情報DATA及び加工動作情報CMNDが送信されてくるたびに刃物設定情報記憶部130Bの書き換えと加工動作情報記憶部130Cの書き換えを行う。【選択図】 図9

Description

本発明は、多関節ロボットを用いた木材プレカット加工装置に関するものである。
出願人は、多関節ロボット及び加工刃物ストック部を加工位置に配置し、羽柄材の種類に応じてオートチェンジャ機構によって刃物を付け替え、間柱に対する筋違い欠き加工等を実行する様にした羽柄材加工装置(特許文献1)や、多関節ロボットとオートツールチェンジャ(ATC)を備え、複数種類のカッター,キリ,鋸,ルータビットなどを装備した刃物置き場から加工に必要な刃物を、ATCが、選択して取り出し、多関節ロボットに装着し、加工終了後は、ATCが、当該刃物を多関節ロボットから取り外して刃物置き場の元あった位置に戻す様に構成した横架材等の木材プレカット加工装置(特許文献2)を提案している。
出願人以外においても、コンベヤー台の両側に複数(実施例では6台)の多関節ロボットを設置し、ロボットのアームの移動可能範囲内に、複数の加工工具を配置した加工工具台を備え、アダプター装置により加工工具を適宜付け替えて加工を行う様にしたプレカット材製造装置が提案されている(特許文献3)。
特許文献1〜3の実施例に記載された技術によれば、多関節ロボットに対して交換可能な工具を、工具ごとに異なる既定の位置から取り出し、加工後は既定の位置へと戻すものとなっている。
特開2001-347503(0019,0026,図1) 特開2005-178172(0034,0035,図2) 特開2004-160667(0014,0024,0041〜0044,図1,図2)
ところで、「複合構造用大断面集成材(実開平5−78739)」、「大断面の集成材(特開平7−52110)」といった大断面・大スパンの集成材の提案や、「集成材構造における柱・梁接合部構造及び柱・梁架構(特開平6−185115)」、「集成材の異形柱と梁の剛接合構造(特開2012−149464)」といった大断面集成材の接合技術の提案に加えて、「木製梁の接合構造(特開平9−268656)」と題する「大断面構造用集成材などからなる木製梁を剛接合して構成されるラメラドーム形式その他のフレームの接合部に適用するに好適な木製梁の接合構造」に関する提案などに見られる様に、「大断面・大スパン集成材」を建築用途に用いる提案がある。最近では特に、オリンピックスタジアム建設計画など、体育館や展示場といった大型建築物にも木材を使用する要望が高まっている。こうした集成材の製造技術や接合技術、木造大型構造物の設計技術の発達により、プレカット加工において、より新しい種類の加工をより多く施したいという要望がある。
こうした要望に対し、特許文献1〜3に記載される多関節ロボットを用いたプレカット加工に期待が寄せられるが、より多様な加工内容に対応し、より多様なワークに対してプレカット加工を実行するためには、さらなる工夫が必要となる。
そこで、本発明は、加工対象や加工内容の多様性に対応することができる汎用性の高い木材プレカット加工装置を、多関節ロボットを用いて実現することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明の木材プレカット加工装置は、工具を保持可能なツールホルダを複数個有するツールストッカと、ロボット制御装置によって動作を制御される多関節ロボットと、前記ロボット制御装置に対して、前記ツールストッカから取り出して前記多関節ロボットに装着する工具と当該工具を用いて前記多関節ロボットが実施する加工動作とを指令するプレカット加工制御装置とを備え、前記ツールストッカから必要に応じて工具を取り出してプレカット加工を行う様に構成した木材加工装置であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記ロボット制御装置は、前記多関節ロボットに装着した工具の刃物を用いて前記加工動作を実行する際の基準となる刃物の基準位置及び駆動条件に関する刃物設定情報を記憶する刃物設定情報記憶部を備えていること。
(1B)前記プレカット加工制御装置は、前記ロボット制御装置に対して、前記ツールストッカから工具を取り出させるたびに当該工具に関する前記刃物設定情報を送信する送信手段を備え、前記ロボット制御装置は、前記プレカット加工制御装置から前記刃物設定情報が送信されてくるたびに前記刃物設定情報記憶部の書き換えを行う刃物設定情報書換手段を備え、前記加工動作を実行する際には、当該書き換えられた刃物設定情報を用いる様に構成されていること。
本発明の木材プレカット加工装置によれば、ロボット制御装置は、プレカット加工制御装置からの指令に基づいてツールストッカの複数個のツールホルダに保持された工具の中から加工動作に使用する工具を取り出して加工動作を実行する。その際、プレカット加工制御装置が、ロボット制御装置に対して、ツールストッカから工具を取り出させるたびに当該工具に関する刃物設定情報を送信し、ロボット制御装置は、プレカット加工制御装置から刃物設定情報が送信されてくるたびに刃物設定情報記憶部の書き換えを行い、加工動作を実行する際には、当該書き換えられた刃物設定情報を用いる。従って、ロボット制御装置には、プレカット加工制御装置からの指令に応じた種類の工具を用いて加工動作を行うために刃物設定情報を多数記憶させておく必要がない。この結果、加工内容や加工対象が多様であって多種類の工具を使用したいという場合や、加工内容や加工対象に応じて使用する工具の種類を変更したいという場合や、同種の工具を複数保持させておいて使用頻度等に応じて工具を取り換えたいという場合などの要望に対しても、ロボット制御装置側に予め記憶させておくべき情報を増加させることがない。
本発明の木材プレカット加工装置は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(2)前記刃物設定情報の書き換えを行う際には、前記ロボット制御装置に、前記刃物設定情報記憶部をリセットさせるリセット手段を備えていること。
リセット手段を備えることにより、刃物設定情報の書き換えミスを的確に防止することができる。この結果、工具の増減や変更、同種工具の複数本装備などといった様々な要望に応える場合における誤作動を的確に防止することができる。
ここで、リセット手段は、プレカット加工制御装置による何らかの契機が与えられたときにロボット制御装置側で刃物設定情報記憶部の記憶内容をクリアする手段として構成することができる。例えば、記憶部のクリア動作を直接指令するリセット信号をプレカット加工制御装置が送信する様にしたり、新たな工具の取り出しを指令すること自体をリセット手段を作動させる契機とすることもできる。リセット手段は、現在使用している工具を使用しなくてもよくなったことを契機として、ロボット制御装置側でリセットを実行する手段として構成することもできる。例えば、プレカット加工制御装置から指令された加工動作の完了をもって、ロボット制御装置側で刃物設定情報記憶部の記憶内容をクリアする様に構成することができる。
これら本発明の木材プレカット加工装置は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(3A)前記ツールストッカは、複数のツールホルダを放射状に備えた回転体と、前記複数のツールホルダの内のいずれかを工具取出位置に停止させる様に前記回転体を回転させる回転割出手段とを備えていること。
(3B)前記ロボット制御装置は、前記工具取出位置に停止されたツールホルダから工具を取り出す工具取り出し動作を前記多関節ロボットに実行させるためのティーチング情報を記憶しておく工具取出動作記憶部を備えていること。
(3C)前記プレカット加工制御装置は、前記複数のツールホルダと保持させてある工具との対応関係を記憶する刃物ストック位置記憶部を備え、前記ロボット制御装置に工具を取り出させる際に、当該刃物ストック位置記憶部に記憶した対応関係に基づいて、前記回転割出手段に対して工具取出位置に停止させるべきツールホルダを指令すると共に、前記ロボット制御装置には、前記工具取出作記憶部の対応するティーチング情報に従った工具取り出し動作を指令する手段として構成されていること。
回転割出型のツールストッカを備えることにより、工具取り出しのためにロボット制御装置に記憶させるティーチング情報を増加させることなく、より多くの工具を用いたプレカット加工を可能にする。ツールホルダに保持させる工具の交換や変更といった作業を行う場合も、プレカット加工制御装置側で管理すべき情報を追加したり変更したりすればよく、多関節ロボットに対するティーチング作業の増大を招かない。この結果、より多様な加工内容や加工対象に対して柔軟に工具の増加や変更を実施することが可能になる。
特に、回転割出型のツールストッカを備えることで同じ工具取り出し動作で異なるツールホルダから工具を取り出すことができることから、プレカット加工制御装置が新たな加工動作を指令する際に、刃物設定情報を送信してロボット制御装置側での書き換えを実行させ、書き換え後の刃物設定情報に基づいた加工動作を多関節ロボットに実行させることにより、回転割出型ツールストッカを用いて工具の種類を増加させたが故の問題の発生を的確に防止することができる。
回転割出型のツールストッカを備えた木材プレカット加工装置は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(4)前記プレカット加工制御装置は、前記ロボット制御装置が前記工具取出位置のツールホルダから工具を取り出した後に、前記回転割出手段を作動させて前記回転体を回転させ、当該工具を取り出されたツールホルダを再び前記工具取出位置に停止させて工具を戻すことができる状態にする工具戻し準備手段を備えていること。
回転割出型のツールストッカから取り出した工具は、再び同じツールホルダに戻す必要がある。このとき、当該ツールホルダを再び工具取出位置へと回転割出することにより、工具取り出しの際にツールホルダが移動してしまったとしても、工具を戻す際にはツールホルダは正しい位置に停止し直している。これにより、工具を戻す際に刃物をツールホルダに衝突させてしまうといった問題を防止することができる。
この場合、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(5)前記工具戻し準備手段によって工具を戻すことができる状態に回転されたツールホルダの工具の有無を検出して前記プレカット加工制御装置に通知する工具検出手段を備えていること。
かかる構成をも備えることにより、プレカット加工制御装置は、工具を戻させるツールホルダに誤って他の工具を保持させた作業者がいた様な場合には、これを検知して何らかの対応を作業者に報知するといったことが可能になる。
本発明によれば、加工対象や加工内容の多様性に対応することができる汎用性の高い木材プレカット加工装置を、多関節ロボットを用いて実現することができる。
実施例1の木材プレカット加工装置を正面側から見た斜視図である。 実施例1の木材プレカット加工装置を背面側から見た斜視図である。 実施例1の木材プレカット加工装置の平面図である。 実施例1の木材プレカット加工装置の右側面図である。 実施例1の木材プレカット加工装置が備える回転割出型ツールストッカを上カバーを取り外して示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。 実施例1の木材プレカット加工装置が備える回転割出型ツールストッカのツールホルダとスタッドボルトの配置を示す平面視の説明図である。 実施例1の木材プレカット加工装置が備える位置固定型ツールストッカを上カバーを取り外して示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。 実施例1の木材プレカット加工装置が備えるサドルのチルト機能を示す左側面視の説明図である。 実施例1の木材プレカット加工装置における制御系統を示すブロック図である。 実施例1におけるプレカット加工制御装置によるプレカット加工制御の手順を示すフローチャートである。 実施例1におけるプレカット加工制御装置によるサドル制御の手順を示すフローチャートである。 実施例1におけるプレカット加工制御装置によるツールストッカ制御(工具取出)の手順を示すフローチャートである。 実施例1におけるプレカット加工制御装置によるツールストッカ制御(工具戻し)の手順を示すフローチャートである。 実施例1におけるロボット制御装置によるロボット制御の手順を示すフローチャートである。 実施例1の木材プレカット加工装置においてサドルのチルト機能を利用して欠き溝加工を実行するする様子を示す説明図である。 実施例1の木材プレカット加工装置においてサドルのチルト機能を利用して裏面穴明け加工を実行する様子を示す説明図である。 実施例1の木材プレカット加工装置においてサドルのZ方向移動機能を利用して長溝加工を実行する様子を示す説明図である。 実施例1の木材プレカット加工装置において、多関節ロボットのアーム動作と同期させてサドルのZ方向移動機能を利用して斜め切断を実行する様子を示す説明図である。
以下に、本発明を適用した多関節ロボットを備える木材プレカット加工装置の実施例を説明する。
実施例1の木材プレカット加工装置1は、図1〜図4に示す様に、Z方向に所定間隔をあけて設置された複数の枕木部材2,2,…の上に2条のガイドレール3,3をZ方向に平行に伸びる様に設置している。そして、このガイドレール3,3の中央部にカバー4で覆った加工領域5を備えている。加工領域5には、1台の多関節ロボット10と、1基の回転割出型ツールストッカ20と、1基の位置固定型ツールストッカ40とが備えられている。ワークWは、ガイドレール3,3に沿ってZ方向に移動可能な複数台のサドル50A,50B,…の内の二つ以上によってクランプされ、加工領域5へと移動される。ワークWに対しては、加工領域5において、いずれかのツールストッカ20,40から取り出した工具を装着した多関節ロボット10による切削・切断・溝切り・穴明け等の各種加工が実行される。
回転割出型ツールストッカ20は、16個のツールホルダを備え、最大16個の工具を保持しておくことができるものとなっている。この回転割出型ツールストッカ20は、16個のツールホルダの内の一つを工具取出位置PUPへと回転させる。従って、最大16個の工具は、一つの工具取出位置PUPから取り出したり戻したりすることができる。
位置固定型ツールストッカ40は、既定位置を有する7個ツールホルダを備え、最大7個の工具を保持しておくことができるものとなっている。工具の取り出しや戻しは、7個のツールホルダの既定位置毎に行われる。なお、これら7個のツールホルダから工具を取り出したり戻したりする際には、ツールホルダの上部を覆う上カバー49を開く。
回転割出型ツールストッカ20は、図5,図6に示す様に、ツールスタンド21の上部の旋回軸22に対してベアリング23を介して回転可能に支持されたリング状ギヤ24を備えている。このリング状ギヤ24には円板25が一体回転可能に取り付けられている。そして、この円板25の上方には、円板と一体回転可能なリング状のツールプレート26が取り付けられている。このツールプレート26は、外周を16等分する様にして16個のツールホルダHLD01〜HLD16を備えている。リング状ギヤ24に対して外側から噛み合っているギヤ27をサーボモータMT27で回転駆動することにより、ツールホルダHLD01〜HLD16は、旋回軸22を中心として正逆回転される。なお、上カバー29には、工具取出位置PUPにだけ切り欠きが形成されている。
円板25の上面には、4つの同心円CR1〜CR4と、円板25の中心から各ツールホルダHLD01〜HLD16に向かって伸びる半径方向の直線との交点に対して選択的に取り付けられたスタッドボルト28が設置されている。一方、旋回軸22には、内周側の2つの同心円CR1,CR2の上に位置するスタッドボルト28を検出し得る近接センサSE31,SE32を取り付けた第1のセンサステー31と、外周側の2つの同心円CR3,CR4の上に位置するスタッドボルト28を検出し得る近接センサSE33,SE34を取り付けた第2のセンサステー33とが設置されている。第1のセンサステー31は工具取出位置PUP側に向かって伸び、第2のセンサステー33は工具取出位置PUPの反対側に向かって伸び、互いに180度ずれた位置となる様に設置されている。
16個のツールホルダHLD01〜HLD16は、それぞれから円板25の中心に向かって伸びる直線と同心円CR1〜CR4とによってそれぞれ四つずつ形成された交点におけるスタッドボルト28の有無により4ビット信号を検知し、工具取出位置PUPに停止させたツールホルダを特定することができる様に構成されている。本実施例においては、ツールホルダの特定は、サーボモータMT27を駆動してツールプレート26を回転させる間に、近接センサSE33,SE34によって検出した上位2ビットと、180度回転して工具取出位置PUPに移動された際に近接センサSE31,SE32によって検出された下位2ビットとから定まる4ビット信号による特定方法を採用している。近接センサSE31〜SE34を下位2ビットと上位2ビットに分け、ツールプレート26を回転させている間にツールホルダを特定するのは、近接センサを用いたことによる誤検出を防止することも目的としている。
本実施例では、図6に示す様に、4ビット信号が[0000]となる第1のツールホルダHLD01から時計回りに、4ビット信号=[0001]の第2のツールホルダHLD02、4ビット信号=[0010]の第3のツールホルダHLD03、…、4ビット信号=[1111]の第16のツールホルダHLD16と、ツールホルダが順番に並ぶ様に、スタットボルト28が設置されている。
また、図5(A)に示す様に、各ツールホルダHLD01〜HLD16の根元には、それぞれ、近接ドグDG01〜DG16が設置されている。近接ドグDG01〜DG16は、ツールホルダHLD01〜HLD16に工具が保持されているとき、図5(B)に示す様に、裏面後方に突出する。工具取出位置PUPには、ツールスタンド21から垂直方向に伸びる様に取り付けられた第3のセンサステー35によって支持された近接センサSE35が設置されていて、工具取出位置PUPに位置出しされたツールホルダに工具が保持されているか否かの検出を行う様に構成されている。
位置固定型ツールストッカ40は、図7に示す様に、ツールスタンド41の上端に固定されたツールプレート46に対して、ツールホルダの位置がそのまま工具取出位置となる様に設定された7個のツールホルダHLD17〜HLD23を備えている。上カバー49は、図4に示す様に、エアシリンダCYL49によって開閉される。なお、第17のツールホルダHLD17〜第23のツールホルダHDL23のそれぞれにも近接ドグDG17〜DG23が備えられ、図示は省略したが、ツールスタンド41の対応する7箇所に近接センサが設置されている。
なお、図5(B),図7(B)に示す様に、これら回転割出型ツールストッカ20と位置固定型ツールストッカ40に保持する工具TL03,TL11,TL17は、いずれも多関節ロボット10のアーム先端に把持される被把持部TL03a,TL11a,TL17aの寸法・形状が同一である。一方、刃物TL03b,TL11b,TL17bは種類が異なり、ツール先端基準位置TL03c,TL11c,TL17cもそれぞれ固有のものとなっている。このツール先端基準位置TL03c等は、被把持部TL03a等を多関節ロボット10のアーム先端に把持したとき、アーム先端中心に対するXYZWPR制御動作の際のオフセット量に相当し、ツール先端の位置及び向きを特定するための情報として工具毎に固有の情報が刃物の仕様として設定されている。なお、ツールホルダHLD01〜HLD23のどこにどの工具を保持させるかは任意であり、同種の工具を複数のツールホルダに保持させ、使用履歴によって使い分けるといったこともできる。回転割出型ツールストッカ20及び位置固定型ツールストッカ40のいずれかのツールホルダに保持された工具は、多関節ロボット10の先端のチャック11に被把持部TL03a等を挿入した状態で把持されて取り出され、刃物駆動モータMT11によって回転駆動される。
図1〜図3に示す様に、サドル50A,50B,…は、いずれも同じ構造で、図4に示す様に、概略三角形状を呈するベース体51と、このベース体51の頂点付近を中心として傾動可能に支持されたチルトテーブル52とを備える。チルトテーブル52は、上面をワーク載置面53とし、底面側に円弧状の突出部54を備える。この円弧状の突出部54には、円弧状ラック55が取り付けられ、ベース体51にZ軸を回転中心とする様に設けられたピニオンギヤ56が噛み合わされている。ピニオンギヤ56は、ベース体51に設置されたサーボモータMT56によって正逆回転され、三角形状のベース体51の頂点付近を傾動の中心として、図8に示す様に、チルトテーブル52を、前下がり55°〜後下がり35°の範囲内で傾き角を任意の角度となる様に制御しつつ傾動させる。
チルトテーブル52の上面には、ギヤードモータMT57によって互いに接近・離間する方向へ動作するバイス57,57が備えられている。このバイス57,57により、チルトテーブル52のワーク載置面53に載置されたワークを求心クランプすることができる様になっている。
ガイドレール3,3の内側側面には、図4に示す様に、リニアガイド6,6とラック7,7が設置されている。サドル50は、リニアガイド6,6に嵌合するリニアスライダ58,58を介してガイドされ、ラック7,7に噛み合うピニオンギヤ59,59をサーボモータMT59で正逆回転駆動することにより、Z軸方向に位置制御されつつ移動することができる様に構成されている。
次に、本実施例の木材プレカット加工装置1の制御系統について説明する。本実施例のプレカット加工制御装置1は、図9に示す様に、プレカットデータ生成装置110と、プレカット加工制御装置120と、ロボット制御装置130とを備えている。
プレカットデータ生成装置110は、プレカット加工用のCADデータを入力し、木材プレカット加工装置1を用いてプレカット加工を実行するためのCAMデータに変換したプレカット加工データPCDを生成する。プレカットデータ生成装置110は、こうして生成したプレカット加工データPCDを、プレカット加工制御装置120へと出力する様に接続されている。
プレカット加工制御装置120は、刃物仕様データ記憶部120Aと、刃物ストック位置記憶部120Bと、加工情報記憶部120Cとを備えている。刃物仕様データ記憶部120Aには、回転割出型ツールストッカ20及び位置固定型ツールストッカ40に保持させた各工具の刃物の種類、ツール先端基準位置、刃物の回転駆動条件等、各工具に固有の情報(刃物設定情報)が、工具番号と共に記憶される。刃物ストック位置記憶部120Bには、回転割出型ツールストッカ20及び位置固定型ツールストッカ40の合計23個のツールホルダのどこにどの工具を保持させているかを工具番号とホルダ番号とを予め対応付けた結果として記憶される。加工情報記憶部120Cには、プレカットデータ生成装置110から入力されたプレカット加工データPCDが記憶される。
プレカット加工制御装置120は、回転割出型ツールストッカ20のサーボモータMT27へと制御信号を出力し、センサSE31〜SE34,SE35からの検知信号を入力し、位置固定型ツールストッカ40のエアシリンダCYL49へと制御信号を出力し、各サドル50A,50B,…のチルト用のサーボモータMT56及びクランプ用のギヤードモータMT57へと制御信号を出力し、ロボット制御装置130へと刃物設定情報DATAや加工動作情報CMNDを出力する様に接続されている。また、図1,図2に示す様に、加工領域5に設置された印字装置70に備えられた先端検出用の光センサSE5によるワークWの先端Waに対する検出信号も入力される様に接続されている。
刃物設定情報DATAは、前述の様に、工具番号に対応付けられており、各工具が備えている刃物の種類、ツール先端基準位置、刃物の回転駆動条件等の固有の情報である。工具番号は、刃物ストック位置記憶部120Bにホルダ番号と共に記憶されている。従って、同種の工具複数個を別々のツールホルダに保持させている場合は、ホルダ番号との関係では、同種の工具であったとしても、ホルダ番号のそれぞれについて工具番号によって特定される工具に関する刃物設定情報DATAが存在することになる。
加工動作情報CMNDは、CADデータとして設計された切り欠き形状等を多関節ロボット10を駆動して加工するためのツール先端の軌跡を表すXYZWPR位置制御情報としたCAMデータである。なお、加工動作情報CMNDは、多関節ロボット10のアームの動作に同期する様にサドル50のZ軸方向移動を行わせる様に形成されている場合もある。また、サドル50のチルトテーブル52を水平状態から傾動させた場合にあっては、傾動されたワークに対してCADデータに対応する切り欠き形状等の加工を施す様に座標変換されたものとなっている場合もある。
また、プレカット加工制御装置120は、多関節ロボット10が回転割出型のツールストッカ20から工具を取り出したり戻したりする際に、サーボモータMT27へと制御信号を出力し、近接センサSE31〜SE34及び近接センサSE35からの検知信号を入力して回転割り出し及び工具の有無確認を実行する。また、プレカット加工制御装置120は、多関節ロボット10が位置固定型ツールストッカ40から工具を取り出したり戻したりする際に、エアシリンダCYL49へと制御信号を出力して上カバー49の開閉を実行する。プレカット加工制御装置120は、こうした工具取り出し準備の動作を実行する際には、ロボット制御装置130に対して、刃物取り出し動作を指令すると共に、取り出した刃物のツール先端基準位置や回転駆動条件等の刃物固有の刃物設定情報の送信も行う。
さらに、プレカット加工制御装置120は、複数個のサドル50A,50B,…の内で、今回の加工に使用するサドルにそれぞれ備えられているZ軸方向移動用のサーボモータMT59、チルト用のサーボモータMT56及びクランプ用のギヤードモータMT57を駆動するための制御信号を出力してワークのクランプと位置決めとを実行させる。なお、ワークの位置決めやクランプの際にプレカット加工制御装置120が直接制御するのはチルト用のサーボモータMT56及びクランプ用のギヤードモータMT57であり、Z軸方向移動用のサーボモータMT59はロボット制御装置130によって制御される。即ち、本実施例においては、ロボット制御装置130は、多関節ロボット10のアームを回動させるための第1〜第6のサーボモータMT10a〜MT10fに加えて、各サドル50A,50B,…がそれぞれ備えているZ軸方向移動用のサーボモータMT59の駆動制御も実行している。これにより、サドル50のZ軸方向の移動と同期させて図17に例示する様な長溝加工を実行したり、図18に例示する様な複雑な斜め切断を実行することを可能にしている。
そして、プレカット加工制御装置120は、プレカット加工を開始する際には、プレカット加工データPCDに基づいて、ロボット制御装置130に対してツール先端の軌跡を制御するXYZWPR制御のための加工動作情報CMNDを出力する。この際、図17に例示する長溝加工の場合には、ワークをクランプさせたサドルのサーボモータMT59に対してZ軸方向の動作のための制御信号もロボット制御装置130に対する加工動作情報CMNDに含ませる様にして出力する。このサドルのZ軸方向の動作を連携させた加工を行う場合の加工動作情報CMNDにおいては、多関節ロボット10の動作のためのXYZWPR制御のためのZ軸方向の軌跡を制御するためのデータは、サドルのZ軸方向の動作のためのZ軸方向の成分と合わせて、CADデータから定まる加工形状を形成する内容となる様に、プレカット加工制御装置120側で生成されたものとなっている。
ロボット制御装置130は、プレカット加工制御装置120から入力された刃物設定情報DATAに基づいて刃物駆動モータMT11を駆動すると共に、プレカット加工制御装置120から入力された加工動作情報に基づいて多関節ロボット10の第1〜第6のサーボモータMT10a〜MT10fと、ワークをクランプしているサドルのZ軸方向移動用のサーボモータMT59とを用いたツール先端軌跡の制御を行う様に、これら刃物駆動モータMT11、第1〜第6のサーボモータMT10a〜MT10f、及び全てのサドルのZ軸方向移動用のサーボモータMT59A,MT59B,…に対して駆動信号を出力し得る様に接続されている。
また、ロボット制御装置130は、刃物取出動作記憶部130Aと、刃物設定情報記憶部130Bと、加工動作情報記憶部130Cとを備えている。刃物取出動作記憶部130Aには、回転割出型ツールストッカ20の工具取出位置PUPから工具を取り出したり戻したりする際のアームの動作に関する第1のティーチングデータと、位置固定型ツールストッカ40の7個のツールホルダに対する工具取り出し・戻しの際のアーム動作に関する第2〜第8のティーチングデータとが記憶される。本実施例においては、回転割出型ツールストッカ20は最大16個の工具を保持可能に構成されているが、工具の取り出し・戻しの動作は一つのティーチングデータで実行可能となっている。
刃物設定情報記憶部130Bは、加工に用いる工具に関する刃物設定情報(ツール先端基準位置、回転駆動条件などの固有の情報)を記憶する。この刃物設定情報記憶部130Bは、プレカット加工制御装置120から工具の取り出しが指令されるたびに、ロボット制御装置130が書き換える。プレカット加工制御装置120は、工具の取り出しを指令するたびに、今回の加工に用いる工具の刃物設定情報DATAをロボット制御装置130に対して指令し、この指令に基づいて、ロボット制御装置130による刃物設定情報記憶部130Bの書換が実行される。
加工動作情報記憶部130Cには、今回の加工に用いる工具が備えている刃物のツール先端の軌跡を多関節ロボット10の第1〜第6のサーボモータMT10a〜MT10fとサドル50のZ軸方向移動用のサーボモータMT59とによって実施するためのXYZWPR制御のための加工動作情報CMNDが記憶される。プレカット加工制御装置120は、工具の取り出しを指令するたびに、ロボット制御装置130によって実現すべきツール先端軌跡の制御を行うための加工動作情報CMNDをロボット制御装置130に対して指令する。ロボット制御装置130は、この指令に基づいて、加工動作情報記憶部130Cの書き換えを実行する。
本実施例においては、図1に示す様に、加工領域5に対して右側からワークWを投入し、加工領域5において多関節ロボット10を用いた加工を行い、加工後のワークWは、加工領域5の左側に移動させて取り出す。ワークWを加工する際には、図1に示す様に、ワークWの全長や加工位置、加工内容に応じて複数個のサドル50A,50B,…の内から2台以上のサドルを用いてワークWのクランプと位置決めとを行う。そして、加工内容や加工位置によっては、チルトテーブルを傾動させたり、多関節ロボット10のアーム動作と同期させてサドルをZ軸方向に移動させたりもする。
次に、制御処理について説明する。プレカット加工制御装置120は、図10に示す様に、サドル50A,50B,…をガイドレール3,3の一方の端に集合させた初期状態に移動させ(S110)、加工すべき部材番号とワーク全長とが入力されるのを待つ(S120)。図3の平面図には、サドル50A,50B,…をガイドレール3,3の左端に集合させた状態を示しているが、S110の処理による初期状態は、本実施例の場合、ワーク投入側である装置の右端へサドルを集合させた状態となる。
初期状態においては、各サドルのチルトテーブル52はワーク載置面53を水平とされ、ワークを水平に載置可能な状態となっている。作業者は、チルトテーブル52群の中心にワークの中心が載る様にワークを載置し、ワークの全長と部材番号とを入力する。
プレカット加工制御装置120は、部材番号とワーク全長が入力されたら(S120:YES)、加工情報記憶部120Cから、部材番号に対応するプレカット加工データPCDを読み出す(S130)。そして、プレカット加工データPCDに含まれている「切断」、「溝切り」、「穴明け」、「欠き溝切削」などの各種加工の内から、最初に実行すべき加工内容及び加工位置を特定する(S140)。続いて、S140で特定した加工位置とS130で入力されたワーク全長とに基づいてクランプ条件を決定する(S150)。クランプ条件の決定に当たっては、以下の優先順位でワークの全長に対するクランプ位置の決定を行う。
[1]加工位置近傍をクランプする。
[2]ワークの両端近傍をクランプする。
[3]ワークの全長との関係から必要に応じてワークの中間部をクランプする。
[4]クランプ位置は、加工の邪魔にならない位置とする。
[5]クランプ位置は、クランプ禁止範囲になっていない位置とする。
ここで、「加工の邪魔にならない位置」は、加工の方向及び加工の深さとの関係によってプレカット加工制御装置120が加工位置毎に決定する。また、「クランプ禁止範囲」は、加工済みの領域との関係により、加工の進行に応じてプレカット加工制御装置120が随時設定する。
次に、S150で決定したクランプ条件に基づいてサドル制御を実行する(S160)。
このサドル制御(S160)では、図11に示す様に、S150で決定したクランプ条件に基づき、木材プレカット加工装置1が備えている全てのサドルの内で使用する複数台のサドルを決定する(S410)。次に、最初にワークの先端切りを行うために、複数台のサドルの内で加工部側に位置するサドルをワークの加工領域5に近い方の端部に向かって移動させた上でワークをクランプする(S412)。このとき、今回使用しないサドルがある場合は、加工の邪魔にならない様に、例えば、ワーク投入側又はワーク取りだし側の端に寄せておく。
こうして加工領域5に近い側のサドルでワークをクランプしたら、ワーク全長を考慮した間隔をサドル同士の間に取りながら、今回の加工に使用するサドル群をZ方向に移動する(S414)。そして、先端検出用の光センサSE5でワーク先端を検知する位置までワークを移動させたところで(S416:YES)、サドル群のZ方向移動を停止(又は減速後停止)する(S418)。
続いて、加工位置がワーク先端側、ワーク後端側、又はそれら以外のいずれであるかを判定する(S422,S424)。加工位置がワーク先端側である場合は(S422:YES)、先端検知位置とワーク全長とに基づき、最も先端側でワークをクランプするためのサドル以外のサドルのクランプ位置を、条件[2],[3],[5]を満足する様に決定すると共に(S432)、先端検知位置とワーク全長と、加工位置及び加工内容とに基づき、最も先端側でワークをクランプするためのサドルのクランプ位置を、条件[1],[4]を満足する様に決定する(S434)。また、加工位置がワーク後端側である場合は(S422:NO,S424:YES)、先端検知位置とワーク全長とに基づき、最も後端側でワークをクランプするためのサドル以外のサドルのクランプ位置を、条件[2],[3],[5]を満足する様に決定すると共に(S442)、先端検知位置とワーク全長と、加工位置及び加工内容とに基づき、最も後端側でワークをクランプするためのサドルのクランプ位置を、条件[1],[4]に基づいてを満足する様に決定する(S444)。一方、加工位置がワーク先端側、ワーク後端側のいずれでもない場合は(S422:NO,S424:NO)、先端検知位置とワーク全長とに基づき、ワークの中間をクランプするためのサドル以外のサドルのクランプ位置を、条件[2],[3],[5]を満足する様に決定すると共に(S462)、先端検知位置とワーク全長と、加工位置及び加工内容とに基づき、ワークの中間をクランプするためのサドルのクランプ位置を、条件[1],[4]を満足する様に決定する(S464)。
こうして各サドルのクランプ位置が決定したら、まず、アンクランプ状態のサドルをクランプ位置へと移動させると共に、ギヤードモータMT57を駆動してバイス57でワークをクランプする(S482)。次に、ワーク引き出しの際にワークをクランプしていたサドルのバイスをアンクランプし、クランプ位置へと移動させると共に、ワークをクランプする(S484)。
次に、クランプ条件にチルト条件が含まれているか否かを判定する(S492)。チルト条件が含まれている場合は(S492:YES)、チルト条件に従って各サドルのサーボモータMT57を駆動し、サドル同士の同期した動きによってチルトテーブル52を傾斜させる(S494)。そして、今回のワークの加工位置を多関節ロボット10による加工開始位置へと位置させる様に各サドルを移動させる(S496)。
プレカット加工制御装置120は、こうしてサドル制御(S160)を実行したら、次に、今回の加工に用いる工具を決定し(S170)、工具取り出しのためのツールストッカ制御を実行する(S180)。
工具取り出しのためのツールストッカ制御(S180)では、図12に示す様に、S170で決定した工具が保持されているのが位置固定型ツールストッカ40であるか否かを判定する(S510)。位置固定型ツールストッカである場合は(S510:YES)、エアシリンダCYL49を上カバー49を開く様に動作させる(S512)。一方、回転割出型ツールストッカ20であるならば(S510:NO)、刃物ストック位置記憶部120Bに記憶した情報に基づいて、工具が保持されているツールホルダを特定する(S522)。そして、近接センサSE31〜SE34からの検知信号を入力しつつサーボモータMT27を駆動してツールプレート26を一周回転させ(S524)、工具取出位置PUPに停止させたツールホルダが何番であるかを検出する(S526)。S522で特定したツールホルダとS526で検出したツールホルダとの関係から、多関節ロボット10に取り出させるべき工具を保持したツールホルダを工具取出位置PUPに移動させるためのギヤ27の回転方向と回転量とを決定し(S528)、サーボモータMT27に対する駆動制御を実行する(S530)。
S528では、正逆いずれの方向に回転させた方が回転量が小さくなるかを考慮してギヤ27の回転方向を決定する。
サーボモータMT27を駆動した後も近接センサSE31〜SE34からの検知信号を入力しつつツールプレート26を回転させ(S532)、工具取出位置PUPへとツールホルダが到着したことを検出したら(S534)、当該ツールホルダに工具が装着されているか否かを近接センサSE35の検知信号に基づいて判定する(S536)。
なお、S524〜S534までの処理は、サーボモータMT27の駆動履歴からツールホルダの位置を特定し、工具取出位置PUPへと移動させる様にサーボモータMT27を駆動制御する処理としても構わない。近接センサSE31〜SE34の信号を入力するのはサーボモータMT27において脱調等の何らかの不具合が生じた場合において的確にツールホルダの位置を特定する補助的な役割や、正しく位置決めされていることの最終確認といった役割をもっている。
ここで、S536が「NO」となった場合は、S170で決定した工具が他のツールホルダにも保持されているか否かを判定し(S538)、複数保持されている場合は、もう一つのツールホルダを特定した上で(S540)、S528へと戻る。なお、S538が「NO」の場合はエラーを報知し(S542)、近接センサSE35からの検知信号に基づいて工具取出位置PUPのツールホルダに対して工具が装着されるのを待つ(S544)。なお、S536が「YES」の場合は、本ルーチンを終了する。
プレカット加工制御装置120は、こうしてツールストッカ制御(S180)を実行したら、ロボット制御装置130に対して工具取り出し指令を出力し(S190)、ロボット制御装置130から工具の取り出し完了の通知が入力されるのを待つ(S200)。
工具取り出し指令は、工具取り出し対象が回転割出型ツールストッカ20の工具取出位置PUPに位置決めされたツールホルダであるのか、位置固定型ツールストッカ40の7個のツールホルダのいずれかであるのかを特定した指令として出力される。本実施例では、回転割出型ツールストッカ20と位置固定型ツールストッカ40には全部で23個のツールホルダが備えられているが、回転割出型ツールストッカ20については工具取り出し対象ツールホルダは、工具取出位置PUPに割り出されたツールホルダを指定するものとなる。位置固定型ツールストッカ40に保持された工具については、ツールホルダHLD17〜HLD23のいずれかを特定するものとなる。
工具取り出し完了の通知があったら(S200:YES)、プレカット加工制御装置120は、今回の加工に際して位置固定型ツールストッカ40のツールホルダから工具取り出しが実行されたものであるか否かを判定する(S210)。位置固定型ツールストッカ40のツールホルダから工具取り出しが実行された場合は(S210:YES)、エアシリンダCYL49に対して上カバー49を閉じさせる動作を指令する(S220)。一方、回転割出型ツールストッカ20の工具取出位置PUPに割り出されたツールホルダからの工具取り出しであった場合は(S210:NO)、サーボモータMT27に対してツールプレート26を一周回転させる指令を出力し(S230)、一周回転して工具取出位置PUPへと再び割り出されたツールホルダの近接センサSE35の検知信号に基づいて工具の取り出しが確実に実行されていることを確認する(S240)。S240が「NO」の場合は、エラーを報知し(S250)、S180以下の処理へと戻る。
工具の取り出しが正しく行われていることを確認したら(S240:YES)、プレカット加工制御装置120は、ロボット制御装置130に対して刃物設定情報DATA及び加工動作情報CMNDをリセットさせるためのリセット信号を送信した後(S270)、今回の加工のための刃物設定情報DATA及び加工動作情報CMNDを改めて送信する(S280)。そして、ロボット制御装置130から刃物のツール先端基準位置を加工開始位置へと移動完了したことが通知されるのを待つ(S290)。ロボット制御装置130は、後述する様に、刃物設定情報から定まるツール先端基準位置を加工開始のためのスタンバイ位置へと移動させる動作を完了したときに移動完了を通知する。
ロボット制御装置130からの移動完了の通知があったら(S290:YES)、加工開始の指令をロボット制御装置130に対して送信する(S300)。この加工開始の指令を受信したロボット制御装置130は、後述の様に必要に応じてサドル50のZ軸方向移動を連携させた同期制御を行いつつ、多関節ロボット10を駆動制御して加工動作情報CMNDで特定されたツール先端軌跡に沿った加工動作を実行する。このとき、図17に例示した長溝加工では、多関節ロボット10によって刃物を所定深さまで切り込ませた後はサドル50のZ軸方向移動のみで所定長さの溝を形成する加工となる場合もある。
プレカット加工制御装置120は、加工完了がロボット制御装置130から通知されるまで(S310:NO)、次の処理への移行を待機する。加工完了がロボット制御装置130から通知されたら(S310:YES)、工具戻しのためのツールストッカ制御(S320)を実行する。
工具戻しためのツールストッカ制御(S320)では、図13に示す様に、工具戻し対象が位置固定型ツールストッカ40であるか否かを判定する(S610)。位置固定型ツールストッカである場合は(S610:YES)、エアシリンダCYL49を上カバー49を開く様に動作させる(S612)。一方、回転割出型ツールストッカ20であるならば(S610:NO)、工具を戻すべきツールホルダを特定する(S622)。そして、近接センサSE31〜SE34からの検知信号を入力しつつサーボモータMT27を駆動してツールプレート26を一周回転させ(S624)、工具取出位置PUPに停止させたツールホルダを検出する(S626)。S622で特定したツールホルダとS626で検出したツールホルダとの関係から、多関節ロボット10に工具を戻させるべきツールホルダを工具取出位置PUPに移動させるためのギヤ27の回転方向と回転量とを決定し(S628)、サーボモータMT27に対する駆動制御を実行する(S630)。
サーボモータMT27を駆動した後も近接センサSE31〜SE34からの検知信号を入力しつつツールプレート26を回転させ(S632)、工具取出位置PUPへとツールホルダが到着したことを検出したら(S634)、当該ツールホルダに工具が装着されていないことを近接センサSE35の検知信号に基づいて判定する(S636)。
S624〜S634までの処理は、サーボモータMT27の駆動履歴からツールホルダの位置を特定し、工具取出位置PUPへと移動させる様にサーボモータMT27を駆動制御する処理としても構わない。
なお、S636が「NO」となった場合は、所定方向へと一つずつツールホルダを送る様に工具取出位置PUPへとツールホルダの割り出しを実行し(S638)、新たに割り出されたツールホルダに工具が装着されていないことを近接センサSE35の検知信号に基づいて判定する(S640)。S638は、S640が「YES」となるまで繰り返し実行される。そして、S640の判定が「YES」となったときは、近接センサSE31〜SE34の検知信号に基づいて、S638で割り出したツールホルダを特定し(S642)、当該ツールホルダを刃物ストック位置とする様に、刃物ストック位置記憶部120Bの更新を実行する(S644)。
こうして工具戻しが可能な状態とした後、工具戻し動作をロボット制御装置130に対して指令すると共に(S330)、次の加工位置があるか否かの判定を実行する(S340)。そして、次の加工位置がある場合は(S340:YES)、S140の処理へと戻し、次の加工位置がない場合は(S340:NO)、ワーク搬出制御を実行する(S350)。ワーク搬出制御(S350)は、チルトテーブルが水平でない場合は水平に戻し、いずれか一つのサドルのクランプを維持したまま他のサドルをアンクランプとし、ワークを加工領域5から遠ざける方向へと移動する様に各サドルを所定間隔を保たせつつZ方向に移動させた後、ワークをアンクランプする動作としてサドルに対する制御を実行する。
ロボット制御装置130は、図14に示す様に、プレカット加工制御装置120から工具取り出し指令を受信したか否かの判定(S710)を繰り返し実行している。そして、工具取り出し指令を受信したら(S710:YES)、多関節ロボット10に工具取り出し動作を実行させる(S720)。
ここで、加工位置が変わっても同じ工具を使い続ける場合には、プレカット加工制御装置120からは工具取り出し指令は送信されない。この場合においては、加工動作情報CMNDが、複数の加工位置に対して加工位置の変更が完了するまでの一旦停止を含む連続したXYZWPR制御を実行する様に構成された加工動作情報CMNDがプレカット加工制御装置120からロボット制御装置130へと送信され、動作の一旦停止と動作の再開が指令される。この場合、動作の再開を指令する際に刃物設定情報記憶部130Bについてだけリセットをかけて再度同じ刃物設定情報に書き換えさせる様にすることもできる。
ロボット制御装置130は、工具取り出し動作としてどのティーチング動作を用いるかを、プレカット加工制御装置120から工具取り出し指令と共に送信されるツールホルダを特定する情報に基づいて判断し、当該ティーチング動作のための制御データを刃物取出動作記憶部130Aから読み出す。刃物取出動作記憶部130Aには、回転割出型ツールストッカ20の工具取出位置PUPと、固定型ツールストッカ40の7つのツールホルダHLD17〜HLD23の既定位置に対し、ティーチングにより工具取り出し動作を予め記憶させてある。
ロボット制御装置130は、工具を取り出したら取り出し完了をプレカット加工制御装置120に対して送信し(S730)、プレカット加工制御装置120からリセット信号が送信されてくるのを待つ(S740)。
プレカット加工制御装置120からのリセット信号を受信したら(S740:YES)、ロボット制御装置130は、刃物設定情報記憶部130Bの刃物設定情報DATAと、加工動作情報記憶部130Cの加工動作情報CMNDをリセットする(S750)。そして、プレカット加工制御装置120から、新たな刃物設定情報DATAと加工動作情報CMNDとが送信されてくるのを待つ(S760)。
ロボット制御装置130は、プレカット加工制御装置120からの新たな刃物設定情報DATAと加工動作情報CMNDとを受信したら(S760:YES)、これらに基づいて、刃物設定情報記憶部130Bの刃物設定情報DATAと、加工動作情報記憶部130Cの加工動作情報CMNDを書き換える(S770)。
そして、ロボット制御装置130は、加工動作情報CMNDとによって特定される加工位置に対する加工を開始するための加工開始位置へと、S770で書き換えた刃物設定情報DATAのツール先端基準位置に基づいて多関節ロボット10のアームを動作させて、刃物を加工開始位置へと移動させると共にプレカット加工制御装置120に対して移動完了を通知する(S780)。そして、プレカット加工制御装置120から加工開始指令が送信されてくるのを待つ(S790)。
プレカット加工制御装置120からの加工開始指令を受信したら(S790:YES)、ロボット制御装置130は、今回書き換えた刃物設定情報DATAの刃物駆動条件に基づいて刃物駆動モータMT11に対して制御周波数を指令して刃物を回転駆動する(S800)。そして、ロボット制御装置130は、加工動作情報CMNDに基づいて多関節ロボット10のアームをXYZWPR制御して刃物による加工を実行する(S810)。この際、今回の加工が、サドル50のZ方向移動と同期して実行する内容となっている場合は、ワークをクランプしているサドルのZ軸方向移動用のサーボモータMT59の駆動制御もアームの制御と同期させつつ実行する。このXYZWPR制御は、加工動作情報CMNDに規定された加工動作が完了するまで実行される(S820)。
そして、加工動作情報CMNDに規定された加工動作が完了したら(S820:YES)、刃物駆動モータMT11に停止指令を送信して刃物の回転を停止させる(S830)。そして、プレカット加工制御装置120から工具戻しが指令されるのを待つ(S840)。
プレカット加工制御装置120からの工具戻し指令を受信したら(S840:YES)、工具取り出しとは逆の動作となる工具戻し動作を実行する(S850)。
本実施例の木材プレカット加工装置1による300×1200mmの大断面・大スパン集成材WWに対してプレカット加工を施す加工例を図15〜図18に示す。
図15は、カッタCUTを用いて多関節ロボット10から見たときに遠い側の位置に対して欠き溝を形成する際に、サドル50を−35°(後ろ下がり35°)の傾斜角度にチルトさせることにより、ロボットアームに無理な動作を強いることなく欠き溝加工を実行している様子を示している。
図16は、キリDRLを用いて大断面・大スパン集成材WWの底面側から穴明け加工を行う際に、サドル50を55°(前下がり55°)の傾斜角度にチルトさせることにより、ロボットアームに無理な動作を強いることなく穴明け加工を実行している様子を示している。
図17は、ルーターRUTを用いて大断面・大スパン集成材WWの後方上面に長溝加工をする際に、ロボットアームは位置を固定としたままでサドル50をZ軸方向に移動させることにより、ロボットアームに無理な動作を強いることなく広い範囲に渡る長溝加工を実行している様子を示している。図中A1〜A4の楕円の中で多関節ロボット10のロボットアームに対してバイス57が位置を変化させる様子から、サドル50がZ方向へと大きく移動して長い欠き溝が形成される様子が分かる。
図18は、丸鋸SAWを用いて大断面・大スパン集成材WWの後端側(図において奥)を斜め切断する際に、斜めに保持した丸鋸SAWの動作と同期させてサドル50をZ軸方向に移動させることにより、XY平面、XZ平面、YZ平面のいずれに対しても傾いた切断面となる斜めカットを実行している様子を示している。図中B1〜B4の丸印の中の前カバー4とギヤードモーターMT57の位置関係の変化の様子から、丸鋸SAWの動きと同期してサドル50がZ方向移動をすることにより、ひねる様に傾斜させた斜め切断が実行されている様子が分かる。
以上説明した様に、本実施例によれば、回転割出型ツールストッカ20を用いて多数の工具を同じ工具取出位置PUPから取り出せる結果、ロボット制御装置130に対するティーチング作業を増加させることなく刃物の増減や変更を実行することができる。そして、刃物設定情報をロボット制御装置130に対して、工具を取り出すたびに書き換えさせて加工動作を実行させるから、ロボット制御装置130側に多数の刃物設定情報を記憶させておく必要もない。
この結果、多種類の工具を使用したい、工具の種類を変更したい、同種の工具を複数保持させておいて使用頻度等に応じて工具を取り換えたい、といった要望に対しても、ロボット制御装置130に予め記憶させておくべき情報を増加させることがない。通常は、ロボットの仕様によって記憶可能な刃物の個数が制限されるのに対し、刃物設定情報を刃物が変わるたびに書き換える構成を採用することにより、理論上は無制限とすることすら可能となる。最近では、居住用ではない大型建築物への大断面・大スパン集成材の使用が要望されたり、金物工法の普及によって多種多様な金物が次々と開発されている。このため、こうした多種多様な金物を取り付けるためのプレカット加工を行う際に用いる工具(刃物)についても次々と新しい仕様のものが開発されている。こうした状況において、ロボット側の設計変更や機能追加を待たなくても、本発明を適用することにより、迅速かつ的確に対応することができる点は、極めて顕著といえる。
加工動作情報についても工具の取り出しを指令するたびに、書き換えを行い、加工動作を実行する際には、書き換えられた加工動作情報を用いることにより、ロボット制御装置130に対して加工動作情報を大量に記憶させておく必用がなく、工具の増減や変更等に伴って予めロボット制御装置側に記憶させるべき情報を増大させたり、書き換える手間を作業者に強いるといったことがない。上述の様な最近の金物工法の普及に合わせてCADデータ側の様々な工夫がなされたとしても、これにはプレカット加工制御装置120側で対応するだけでよく、ロボット側の改良を待たなくてもよい点は、刃物の種類の増加に対する本発明の顕著な効果と同じく、本発明には、大いなる可能性があるということができる。
また、工具を取り出すたびに刃物設定情報記憶部130B及び加工動作情報記憶部130Cをリセットしているから、確実な情報の書き換えが可能である。この結果、工具の増減や変更、同種工具の複数本装備などといった様々な要望に応える場合における誤作動を的確に防止することができる。なお、刃物設定情報をリセットによってクリアすることにより、加工動作情報があってもロボット制御装置130としては多関節ロボット10を動作させることができずに待機したままとなる。これにより、間違った刃物設定情報に基づいて間違った加工を行うといったことも防止することができる。実施例では刃物設定情報だけでなく加工動作情報までリセットしているが、刃物設定情報についてだけリセットする様にしておいても間違った刃物設定情報を用いるという問題は生じさせない。
加えて、回転割出型ツールストッカ20におけるツールホルダの位置検出に当たって、近接センサSE31〜SE34による4ビット信号によるツールホルダ確認をも実施しているので、サーボモータMT27の故障によって回転割出が失敗したことを検知することもできる。従って、回転割出失敗による間違った工具を用いた加工をしてしまうという問題を生じさせない。そして、そのための近接センサSE31〜SE34の配置を180度反対側での上位2ビットと下位2ビットの検出という構成を採用したので、近接センサによる位置検出誤差を防止することができるという効果もある。
また、複数台のサドルの内の2台以上を選択し、これら2台以上のサドルを別個にZ軸方向に移動させる際、少なくとも1台のサドルでワークをクランプしているから、ワークをZ軸方向所定位置に保持したままで他のサドルを所定のクランプ位置へとZ軸方向に移動させることができる。このときワークをクランプしていたサドルは、他のサドルが所定のクランプ位置へと移動してワークをクランプしたらそれ自身のクランプ位置へとZ軸方向に移動してワークをクランプする。この間に、ワークをクランプしているサドルもZ軸方向に移動させて他のサドルでワークをクランプするときに位置決めができる様に各サドルのサーボモータMT59及びギヤードモータMT57を駆動制御してもよいし、全てのサドルでワークをクランプした後に、各サドルのサーボモータMT59を同期して作動させることによって位置決めをしても構わない。こうして位置決めされたワークは、少なくとも加工位置の近傍をクランプされているから、多関節ロボット10による加工の際の振動等による加工不良が発生するのを抑制することができる。また、加工位置及び加工内容を特定しては、クランプ位置を決定してサドルのZ軸方向の移動とワークのクランプとを繰り返し実行するから、常に加工位置の近傍をクランプした状態での加工が可能であると共に、他のサドルは加工位置から離れた位置をクランプすることになるから、多関節ロボット10とサドル50との干渉を回避することもできる。これにより、大スパンのワークに対する加工であっても最適なクランプ条件の下で多関節ロボット10を用いた加工を実行することができる。
さらに、プレカット加工制御装置120が、サドル制御によって位置決めしたワークを傾動させると判定した場合は、多関節ロボット10による加工動作を開始する前にワークをクランプさせた2台以上のサドルのサーボモータMT56を同期して動作させることによってワーク載置面53を所定角度とする様に傾動させる。そして、傾動後のワーク載置面53に対応する様にCADデータを座標変換した加工動作情報に基づいて多関節ロボット10を動作させる様に加工動作情報を指令するから、多関節ロボット10から見て近い側を持ち上げる様にチルトテーブル52を傾動させてロボットアームを無理なくワークの底面側に回り込ませて底面側から加工させたり、多関節ロボット10から見て遠い側を持ち上げる様にチルトテーブル52を傾動させて無理なくワークの遠い位置の加工を実行するといったことが可能になる。このときも、加工位置の近傍はしっかりとクランプされているから、振動等による加工不良を生じることがなく、加工位置近傍以外の位置をクランプするサドルは離れているからロボットアームとの干渉も回避される。これにより、大断面のワークに対する加工であっても最適なクランプ条件の下で多関節ロボット10を用いた加工を実行することができる。
加えて、ロボット制御装置130に、多関節ロボット10の各軸のサーボモータMT10a〜MT10fだけでなく、サドル50のZ軸方向移動用のサーボモータMT50A,MT50B,…をも制御させることにより、例えば、ロボットアームの位置を固定したままでワークのZ軸方向移動によって長い欠き溝を形成したりすることができ、大スパンのワークに対する広い範囲の加工を可能にする。また、このZ軸方向のワークの移動とロボットアームの移動動作とを同期させることも可能であり、例えば、XY平面、XZ平面、YZ平面のいずれに対しても傾いた切断面を形成する様な加工も可能となり、大断面のワークに対する複雑な加工を多関節ロボット10の動作を複雑にすることなく実行することもできる。そして、こうした多関節ロボット10とサドル50との同期制御自体をロボット制御装置130が実行するから、Z軸方向のサドルの移動とロボットアームのツール先端位置のXYZWPR制御とを的確に同期させることができる。加えて、多関節ロボット10を用いて加工を行うためのワークの位置決め自体をロボット制御装置130が実行することになる。複数個のサーボモータを同期させて駆動制御する処理はロボット制御装置130の得意とするところであるから、複数台のサドルに個別の移動動作をさせながらプレカット加工制御装置が決定したクランプ位置へと各サドルをスムーズに移動することができる。この際、各サドル同士の移動動作を同期させたり、同期させなかったりといった態様で複数台のサドルを同時に制御することができるから、クランプ位置の変更動作もスムーズかつ迅速に実行することができる。
なお、チルトテーブル52を傾動させた状態でZ軸方向移動をさせながら多関節ロボット10による加工を行うことで、ロボットから見て遠い側のワーク上面に対する長溝彫りや、ロボットから見て近い側の底面に対する長溝彫りなども容易に実行することができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の態様にて実施することができる。
例えば、回転割出型ツールストッカ20を2台以上備える様にしても構わない。
木造住宅用の木材プレカット加工に利用することができる。
1・・・木材プレカット加工装置、2・・・枕木部材、3・・・ガイドレール、4・・・カバー、5・・・加工領域、6・・・リニアガイド、7・・・ラック、10・・・多関節ロボット、11・・・チャック、20・・・回転割出型ツールストッカ、21・・・ツールスタンド、22・・・旋回軸、23・・・ベアリング、24・・・リング状ギヤ、25・・・円板、26・・・ツールプレート、27・・・ギヤ、28・・・スタッドボルト、29・・・上カバー、31・・・第1のセンサステー、33・・・第2のセンサステー、35・・・第3のセンサステー、40・・・位置固定型ツールストッカ、41・・・ツールスタンド、46・・・ツールプレート、49・・・上カバー、50(50A,50B,…)・・・サドル、51・・・ベース体、52・・・チルトテーブル、53・・・ワーク載置面、54・・・突出部、55・・・円弧状ラック、56・・・ピニオンギヤ、57・・・バイス、58・・・リニアスライダ、59・・・ピニオンギヤ、110・・・プレカットデータ生成装置、120・・・プレカット加工制御装置、120A・・・刃物仕様データ記憶部、120B・・・刃物ストック位置記憶部、120C・・・加工情報記憶部、130・・・ロボット制御装置、130A・・・刃物取出動作記憶部、130B・・・刃物設定情報記憶部、130C・・・加工動作情報記憶部、CR1〜CR4・・・同心円、CMND・・・加工動作情報、CYL49・・・エアシリンダ、CUT・・・カッタ、DATA・・・刃物設定情報、DG01〜DG23・・・近接ドグ、DRL・・・キリ、HLD01〜HLD16・・・ツールホルダ、HLD17〜HLD23・・・ツールホルダ、MT10a〜MT10f・・・サーボモータ、MT11・・・刃物駆動モータ、MT27・・・サーボモータ、MT56・・・サーボモータ、MT57・・・ギヤードモータ、MT59(MT59A,MT59B,…)・・・サーボモータ、PCD・・・プレカット加工データ、PUP・・・工具取出位置、RUT・・・ルーター、SAW・・・丸鋸、SE5・・・先端検出用の光センサ、SE31,SE32,SE33,SE34・・・近接センサ、SE35・・・近接センサ、TL03,TL11,TL17・・・工具、TL03a,TL11a,TL17a・・・被把持部、TL03b,TL11b,TL17b・・・刃物、TL03c,TL11c,TL17c・・・ツール先端基準位置、W・・・ワーク、Wa・・・ワーク先端、WW・・・大断面・大スパン集成材。

Claims (5)

  1. 工具を保持可能なツールホルダを複数個有するツールストッカと、
    ロボット制御装置によって動作を制御される多関節ロボットと、
    前記ロボット制御装置に対して、前記ツールストッカから取り出して前記多関節ロボットに装着する工具と当該工具を用いて前記多関節ロボットが実施する加工動作とを指令するプレカット加工制御装置とを備え、
    前記ツールストッカから必要に応じて工具を取り出してプレカット加工を行う様に構成した木材加工装置であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする木材プレカット加工装置。
    (1A)前記ロボット制御装置は、刃物設定情報記憶部と、加工動作情報記憶部とを備え、前記刃物設定情報記憶部には、前記多関節ロボットに装着した工具の刃物を用いて前記加工動作を実行する際の基準となる刃物の基準位置及び駆動条件に関する刃物設定情報を、前記多関節ロボットの仕様に応じて制限された個数の範囲内で記憶可能に構成され、前記加工動作情報記憶部は、前記多関節ロボットに前記加工動作を実行させる際の刃物のツール先端の軌跡を制御するための加工動作情報を記憶する記憶部として構成されていること。
    (1B)前記プレカット加工制御装置は、前記ロボット制御装置に対して、前記ツールストッカから工具を取り出させるたびに当該工具に関する前記刃物設定情報と前記加工動作情報とを送信する送信手段を備え、前記ロボット制御装置は、前記プレカット加工制御装置から前記刃物設定情報及び前記加工動作情報が送信されてくるたびに前記刃物設定情報記憶部及び前記加工動作情報記憶部の書き換えを行う書換手段を備え、前記加工動作を実行する際には、当該書き換えられた刃物設定情報と加工動作情報とを用いる様に構成されていること
    2)前記刃物設定情報の書き換えを行う際には、前記ロボット制御装置に、前記刃物設定情報記憶部をリセットさせるリセット手段を備え、前記ロボット制御装置は、前記リセット手段によるリセットがなされた後、前記書換手段による書き換えが完了するまでは、前記加工動作を開始しない様に構成されていること。
  2. さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項に記載の木材プレカット加工装置。
    (3A)前記ツールストッカは、複数のツールホルダを放射状に備えた回転体と、前記複数のツールホルダの内のいずれかを工具取出位置に停止させる様に前記回転体を回転させる回転割出手段とを備えていること。
    (3B)前記ロボット制御装置は、前記工具取出位置に停止されたツールホルダから工具を取り出す工具取り出し動作を前記多関節ロボットに実行させるためのティーチング情報を記憶しておく工具取出動作記憶部を備えていること。
    (3C)前記プレカット加工制御装置は、前記複数のツールホルダと保持させてある工具との対応関係を記憶する刃物ストック位置記憶部を備え、前記ロボット制御装置に工具を取り出させる際に、当該刃物ストック位置記憶部に記憶した対応関係に基づいて、前記回転割出手段に対して工具取出位置に停止させるべきツールホルダを指令すると共に、前記ロボット制御装置には、前記工具取出動作記憶部の対応するティーチング情報に従った工具取り出し動作を指令する手段として構成されると共に、前記送信手段は、前記工具取出位置に停止させたツールホルダに対応して前記刃物設定情報を送信する手段として構成されていること。
  3. さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項に記載の木材プレカット加工装置。
    (4)前記プレカット加工制御装置は、前記ロボット制御装置が前記工具取出位置のツールホルダから工具を取り出した後に、前記回転割出手段を作動させて前記回転体を回転させ、当該工具を取り出されたツールホルダを再び前記工具取出位置に停止させて工具を戻すことができる状態にする工具戻し準備手段を備えていること。
  4. さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項に記載の木材プレカット加工装置。
    (5)前記工具戻し準備手段によって工具を戻すことができる状態に回転されたツールホルダの工具の有無を検出して前記プレカット加工制御装置に通知する工具検出手段を備えていること。
  5. さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の木材プレカット加工装置。
    (3D)前記ツールストッカが、複数のツールホルダのそれぞれに対応して工具取出位置を複数備える取出位置固定型ツールストッカであること。
    (3E)前記プレカット加工制御装置は、前記複数のツールホルダと保持させてある工具との対応関係を記憶する刃物ストック位置記憶部を備え、前記ロボット制御装置は、前記複数の工具取出位置から工具を取り出す工具取り出し動作を前記多関節ロボットに実行させるための複数のティーチング情報を記憶しておく工具取出動作記憶部を備え、前記プレカット加工制御装置は、前記ロボット制御装置に工具を取り出させる際に、前記ロボット制御装置に対して、前記複数のティーチング情報の内のいずれかを指令する手段として構成されると共に、前記送信手段は、前記複数の工具取出位置の内のいずれから工具取り出し動作を実行させたかに対応して前記刃物設定情報を送信する手段として構成されていること。
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