JP7365346B2 - リパーゼ加水分解反応を用いる高度不飽和脂肪酸含有グリセリドの製造方法 - Google Patents

リパーゼ加水分解反応を用いる高度不飽和脂肪酸含有グリセリドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はリパーゼ加水分解反応を利用した高度不飽和脂肪酸含有グリセリドの製造方法に関する。
高度不飽和脂肪酸はヒトを含む脊椎動物の成長に必須の栄養素であるばかりでなく、近年、心血管系疾患、炎症性疾患への関与について多く報告されている。特にドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)のようなn-3系の高度不飽和脂肪酸の摂取はヒトの健康に有用であるとの知見が多く報告されている。n-3系の高度不飽和脂肪酸の摂取量とn-6系高度不飽和脂肪酸の摂取量の比率が重要であるという報告もある。現代社会では、エネルギー摂取量、飽和脂肪酸摂取量及びn-6系高度不飽和脂肪酸摂取量の増加傾向とn-3系高度不飽和脂肪酸摂取量の減少傾向という特徴があり、それが各種生活習慣病などと関係していると考えられてきた。
魚油はn-3系高度不飽和脂肪酸を豊富に含む油脂であり、それらの摂取が広く推奨されるとともに、より効率よくn-3系高度不飽和脂肪酸を摂取するために、魚油中のn-3系高度不飽和脂肪酸を濃縮する工夫がされている。リパーゼ反応を用いる高度不飽和脂肪酸の濃縮はそのひとつである。
リパーゼは油脂を遊離脂肪酸とグリセリンに加水分解する反応を触媒する酵素であり、種々の動植物や微生物がリパーゼを有していることが知られている。ある種のリパーゼは全ての脂肪酸に同じように作用するわけではなく、グリセリド中の結合位置や脂肪酸の炭素鎖長、二重結合数などによって反応性が異なる。したがって、このようなリパーゼを用いて脂肪酸を選択的に加水分解することが可能であり、その結果、グリセリド画分中に特定の脂肪酸を濃縮することが可能である。例えばカンディダ シリンドラセ(Candida cylindracea)由来のリパーゼにより高度不飽和脂肪酸をグリセリド画分中に濃縮する技術は、古くから知られている(特許文献1)。
このようにリパーゼによる加水分解反応は高度不飽和脂肪酸の濃縮に有効な方法である。目的の高度不飽和脂肪酸以外の脂肪酸に対する加水分解が進行するほどグリセリド画分中の高度不飽和脂肪酸が濃縮される。
またグリセリド画分中に、リパーゼによる加水分解反応により高度不飽和脂肪酸を濃縮する方法において、加水分解反応を25℃以下の低温で行うことにより、グリセリド画分中の飽和脂肪酸の割合を低下させる方法が報告されている(特許文献2)。
2種類のリパーゼを組み合わせて使用して高度不飽和脂肪酸をグリセリド画分中に濃縮する方法も報告されている。例えば、特許文献3には、カンディダ シリンドラセ由来のリパーゼ、リゾプス(Rhizopus)属由来のリパーゼ、およびクロモバクテリウムリパーゼのうち2種類を組み合わせて使用することにより、各リパーゼを単独で使用した場合よりもDHA含量の高いグリセリドが得られると記載されている。また特許文献4には、ムコール ミーハイ(Mucor miehei)由来リパーゼ、カンディダ シリンドラセ由来リパーゼ、またはリゾプス オリゼー(Rhizopus oryzae)由来リパーゼをペニシリウム カマンベルティ由来リパーゼと組み合わせて使用することにより、グリセリド画分へのDHAの選択的濃縮が向上し、それによりEPAに対するDHAの比率が上昇した高度不飽和脂肪酸含有油脂が製造されることが開示されている。
一方、リパーゼを使用して、DHAをグリセリド画分中に濃縮するのではなく、DHAを高濃度に含有する遊離脂肪酸を製造する方法も報告されている。例えば、特許文献5には、トリグリセリドに作用するリパーゼでグリセリド中に高度不飽和脂肪酸を濃縮した後に、トリグリセリドに作用するリパーゼと部分グリセリドリパーゼを併用して加水分解することにより、遊離脂肪酸としてDHAを高濃度に含有する組成物を得る方法が開示されている。また特許文献6には、トリグリセリドのsn-1,3位を優先的に加水分解するアルカリゲネス属由来のリパーゼと部分グリセリドリパーゼを組み合わせて加水分解することにより、DHAを高濃度に含有する遊離脂肪酸を得る方法が開示されている。
特開昭58-165796号公報 国際公開第2011/149040号 特開平7-268382号公報 国際公開第98/18952号 特開2004-208546号公報 特開2017-73980号公報
本発明は、グリセリド画分中にDHAを濃縮するための、複数のリパーゼを併用する新規手段を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、グリセリド中にドコサヘキサエン酸を濃縮する特定のリパーゼと部分グリセリドリパーゼとを組み合わせて使用することにより、単独で使用した場合よりもグリセリド画分中のDHA濃度を大幅に高めることができることを見出した。上述のとおり、カンディダ シリンドラセ由来のリパーゼなどが、グリセリド画分中にDHAを濃縮するために使用されている。しかしながら、複数回反応を繰り返せばDHA濃度を高めることはできるが、1回の加水分解反応で十分な濃度にまで、安定してグリセリド画分中のDHA濃度を上昇させることができるリパーゼは限られている。
本発明者らは、上記知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕ドコサヘキサエン酸をグリセリドの構成脂肪酸として含有する組成物の製造方法であって、
ドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸として含むグリセリドを含有する原料油に第一のリパーゼおよび第二のリパーゼを作用させて加水分解反応を行い、それによりグリセリド画分中のドコサヘキサエン酸の割合を高める工程、を含み、
第一のリパーゼは、サーモマイセス属微生物由来のリパーゼ、シュードモナス属微生物由来のリパーゼ、バークホルデリア属微生物由来のリパーゼ、およびアルカリゲネス属微生物由来のリパーゼからなる群から選択される少なくとも1種類のリパーゼであり、
第二のリパーゼは、部分グリセリドリパーゼである、前記方法。
〔2〕サーモマイセス属微生物がサーモマイセス ラヌギノサスであり、シュードモナス属微生物がシュードモナス フルオレッセンスであり、バークホルデリア属微生物がバークホルデリア セパシアであり、アルカリゲネス属微生物がアルカリゲネス エスピーである、〔1〕に記載の方法。
〔3〕部分グリセリドリパーゼが、ペニシリウム属微生物由来のリパーゼである、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕ペニシリウム属微生物がペニシリウム カマンベルティである、〔3〕に記載の方法。
〔5〕第二のリパーゼの使用量が、活性比で、第一のリパーゼ1に対して、0.01~20である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕反応液の酸価が90~160となった時点で加水分解反応を終了させる、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕加水分解反応を10~50℃の温度で行う、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕第一のリパーゼ以外のドコサヘキサエン酸を濃縮する第三のリパーゼを、第一のリパーゼおよび第二のリパーゼと同時に、または時間差をおいて、原料油に作用させる、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕第三のリパーゼが、カンディダ シリンドラセ由来のリパーゼである、〔8〕に記載の方法。
〔10〕反応後、グリセリドを回収する工程をさらに含む、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、複数のリパーゼを併用して、グリセリド画分の構成脂肪酸中のDHAの割合が高められた組成物を製造することができる。特にサーモマイセス属微生物由来のリパーゼとペニシリウム属微生物由来のリパーゼとを組み合わせることにより、従来から工業的に使用されているカンディダ シリンドラセ由来リパーゼと同程度にまでDHAを濃縮できる。
各種リパーゼ単独、またはリパーゼGとの併用によりマグロ脱酸油から調製したリパーゼ反応液の、グリセリド画分中のDHAおよびSFAの割合を示す図である。 リポザイムTL 100LとリパーゼGとの併用によりマグロ脱酸油から調製したリパーゼ反応液の、グリセリド画分中のDHA、EPA、MUFA、およびSFAの割合を示す図である。 18℃または39℃の反応温度でリポザイムTL 100LとリパーゼGとを併用してマグロ脱酸油から調製したリパーゼ反応液の、グリセリド画分中のDHA、EPA、MUFA、およびSFAの割合を示す図である。 リポザイムTL 100L、リパーゼG、およびリパーゼAYの併用によりマグロ脱酸油から調製したリパーゼ反応液の、グリセリド画分中のDHA、EPA、MUFA、およびSFAの割合を示す図である。 リポザイムTL 100LとリパーゼGとの併用による反応後に、リパーゼGとリパーゼAYとの併用による反応を行って得られたリパーゼ反応液の、グリセリド画分中のDHA、EPA、MUFA、およびSFAの割合を示す図である。
以下、本発明をより具体的に説明する。
なお本明細書中、以下の略号を使用する場合がある。
DHA:ドコサヘキサエン酸
EPA:エイコサペンタエン酸
MUFA:モノ不飽和脂肪酸
SFA:飽和脂肪酸
TAG:トリアシルグリセロールまたはトリグリセリド
DAG:ジアシルグリセロールまたはジグリセリド
MAG:モノアシルグリセロールまたはモノグリセリド
本発明は、ドコサヘキサエン酸をグリセリドの構成脂肪酸として含有する組成物の製造方法であって、ドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸として含むグリセリドを含有する原料油に第一のリパーゼおよび第二のリパーゼを作用させて加水分解反応を行い、それによりグリセリド画分中のドコサヘキサエン酸の割合を高める工程、を含み、第一のリパーゼは、グリセリド中にドコサヘキサエン酸を濃縮するリパーゼであり、具体的には、サーモマイセス属微生物由来のリパーゼ、シュードモナス属微生物由来のリパーゼ、バークホルデリア属微生物由来のリパーゼ、およびアルカリゲネス属微生物由来のリパーゼからなる群から選択される少なくとも1種類のリパーゼであり、第二のリパーゼは、部分グリセリドリパーゼである、前記方法(以下、本発明の製造方法という場合がある)に関する。
本明細書中、高度不飽和脂肪酸とは、炭素数18以上、二重結合数3以上の脂肪酸、例えば炭素数20以上、二重結合数3または4以上の脂肪酸、あるいは炭素数20以上、二重結合数5以上の脂肪酸をいう。具体的にはα‐リノレン酸(18:3,n‐3)、γ‐リノレン酸(18:3,n‐6)、ジホモ-γ-リノレン酸(20:3,n-6)、アラキドン酸(20:4,n‐6)、エイコサペンタエン酸(20:5,n‐3)、ドコサペンタエン酸(22:5,n‐6)、ドコサヘキサエン酸(22:6,n‐3)などが例示される。これらはある種の微生物油、植物油や海産動物油などに多く含まれることが知られている。具体的には、イワシ、マグロ、カツオなどの魚類、オキアミなどの甲殻類、アザラシなどの海獣類の海産動物油、エゴマ、アマ、大豆、菜種などから採取される植物油、モルティエレラ(Mortierella)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ロードトルラ(Rhodotorula)属、フザリウム(Fusarium)属に属する微生物が産生する油などが例示される。
本明細書中、ドコサヘキサエン酸をグリセリドの構成脂肪酸として含有する組成物は、ドコサヘキサエン酸が結合したグリセリドを含有するグリセリド組成物を意味する。ここで、グリセリド組成物とは、グリセリドを主要な構成成分とする組成物であり、グリセリドを例えば80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、または99.9質量%以上含有し得る。
本発明において、グリセリドには、トリグリセリド、ジグリセリド、およびモノグリセリドが含まれる。
本発明の製造方法における原料油は、ドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸として含むグリセリドを含有する油であればよい。ドコサヘキサエン酸は、グリセリンのsn-1位、sn-2位、およびsn-3位のいずれに結合していてもよい。原料油としては、例えば、上記の高度不飽和脂肪酸を多く含むことが知られている天然物由来の油が挙げられ、具体的には、海産動物油(例えば、イワシ油、マグロ油、カツオ油、オキアミ油、アザラシ油など)、植物油(例えば、エゴマ油、アマニ油、大豆油、菜種油など)、および微生物油(例えば、モルティエレラ属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、ロードトルラ属、フザリウム属に属する微生物が産生する油など)が例示される。グリセリドの構成脂肪酸中にドコサヘキサエン酸を一定量以上含む原料油を選択するのが好ましく、少なくとも10面積%以上、15面積%以上、さらに好ましくは20面積%以上含むものが好ましい。上限はないが、元々ドコサヘキサエン酸の含有量が高い場合、濃縮する必要性は高くないことも多いので、70面積%以下、65面積%以下、さらに60面積%以下が好ましい。すなわち、ドコサヘキサエン酸を10~70面積%、10~65面積%、15~65面積%、さらに好ましくは10~60面積%、15~60面積%、20~60面積%含む原料油を用いるのが好ましい。一実施形態において、本発明の製造方法における原料油は、魚油であり、好ましくはマグロ油又はカツオ油である。
本発明においては、これらの油をそのまま、精製して、または濃縮して使用することができる。例えば魚油の場合、魚全体または水産加工から発生する魚の頭、皮、中骨、内臓等の加工残滓を粉砕して蒸煮した後、圧搾して煮汁(スティックウォーター、SW)と圧搾ミールに分離し、煮汁とともに得られる油脂を煮汁から遠心分離により分離することにより、原油を調製することができる。原油は、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭工程などの精製工程を経て精製魚油とされる。原油の精製には、薄膜蒸留(例えば分子蒸留または短行程蒸留)やアルカリ脱酸を用いてもよい。一実施形態において、本発明の製造方法における原料油は、短行程蒸留により処理された魚油であり、好ましくは短行程蒸留により処理されたマグロ油である。
本発明における第一のリパーゼは、グリセリド画分中にドコサヘキサエン酸を濃縮するリパーゼであり、グリセリドの構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸に作用しにくく、加水分解反応後にグリセリド画分の構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の割合を高める性質を有する。なお、本明細書中、グリセリド画分の構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の割合を高めることを、グリセリド画分中にドコサヘキサエン酸を濃縮するともいう。
グリセリド中にドコサヘキサエン酸を濃縮するリパーゼであって上記の性質を有するものは、アルカリゲネス(Alcaligenes)属微生物由来のリパーゼ(例えばリパーゼQLM、リパーゼQLC、リパーゼPL、いずれも名糖産業株式会社製)、バークホルデリア(Burkholderia)属微生物由来のリパーゼ(例えばリパーゼPSアマノSD、天野エンザイム株式会社製)、シュードモナス(Pseudomonas)属微生物由来のリパーゼ(例えばリパーゼAKアマノ、天野エンザイム株式会社製)、サーモマイセス(Thermomyces)属微生物由来のリパーゼ(例えばリポザイムTL 100L、またはリポザイムTL IM、ノボザイムズ製)である。これらはいずれも市販されており容易に入手できる。これらは必要に応じて固定化して使用することもできる。また2種類以上のリパーゼを組み合わせて使用してもよい。
サーモマイセス属微生物由来のリパーゼは、好ましくはサーモマイセス ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)由来のリパーゼ(例えばリポザイムTL 100LまたはリポザイムTL IM)である。シュードモナス属微生物由来のリパーゼは、好ましくはシュードモナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)由来のリパーゼ(例えばリパーゼAKアマノ)である。バークホルデリア属微生物由来のリパーゼは、好ましくはバークホルデリア セパシア(Burkholderia cepacia)由来のリパーゼ(例えばリパーゼPSアマノSD)である。アルカリゲネス属微生物由来のリパーゼは、好ましくはアルカリゲネス エスピー(Alcaligenes sp.)由来のリパーゼ(例えばリパーゼQLM)である。
第一のリパーゼの使用量は特に限定されないが、原料油1 gに対して10 unit(すなわち10 unit/g oil)以上、反応速度を考えた実用性を考えると30 unit/g oil以上を反応系に添加するのが好ましく、例えば100 unit/g oil以上、200 unit/g oil以上、400 unit/g oil以上、800 unit/g oil以上、または1,600 unit/g oil以上を反応系に添加することができる。例えば、リパーゼの使用量は、10~2,000 unit/g oil、100~1,600 unit/g oil、200~1,200unit/g oil、または300~1,000 unit/g oilであり得る。固定化リパーゼについては、繰り返し使用できるものなので、固定化しないリパーゼのように必要量を添加するのではなく、過剰量の固定化リパーゼを反応系に添加し、反応後に回収して繰り返し使用することができる。したがって、少なくとも上記の原料油1 gに対する使用量を反応系に添加してもよく、さらにバッチ処理で使うか、カラム処理で使うか、何回繰り返して使うかなどに応じて、合理的な量に変更してもよい。例えば、原料油に対して3~30%(w/w)、4~25%(w/w)、さらに好ましくは、5~20%(w/w)の固定化リパーゼを用いることができる。なおこれらリパーゼの1ユニットは、1分間に1マイクロモルの遊離脂肪酸を生成させる酵素量であり、第17改正日本薬局方の一般試験法「4.03消化力試験法」の3.脂肪消化力試験法により測定される。具体的には、オリーブ油を基質とする。オリーブ油を乳化液と混合し、乳化して基質溶液とする。オリーブ油にリパーゼを作用させた後、水酸化ナトリウムを加えて生成脂肪酸を中和し、後に残った過剰の水酸化ナトリウムを塩酸で滴定する。リパーゼを添加しないブランクの溶液についても水酸化ナトリウムを塩酸で滴定する。それらの差から、脂肪消化力(ユニット/g)を求める。
本発明における第二のリパーゼは、部分グリセリドリパーゼである。本明細書中、部分グリセリドリパーゼとは、モノグリセリドおよびジグリセリドを加水分解するが、トリグリセリドを加水分解しにくいリパーゼをいう。部分グリセリドリパーゼとしては、ペニシリウム属微生物由来のリパーゼ(例えばリパーゼGアマノ50、天野エンザイム株式会社製)が例示される。一実施形態において、本発明における第二のリパーゼは、ペニシリウム属微生物由来のリパーゼであり、好ましくはペニシリウム カマンベルティ(Penicillium camemberti)由来のリパーゼ(例えばリパーゼGアマノ50)である。
第二のリパーゼの使用量は、特に限定されないが、活性比(ユニット数の比)で、第一のリパーゼ1に対して、0.01以上、0.02以上、0.05以上、0.1以上、0.2以上、または0.25以上、20以下、10以下、4以下、2以下、または1以下であり得る。例えば、第一のリパーゼ:第二のリパーゼが、1:0.01~20、1:0.02~10、1:0.05~5、1:0.1~3、1:0.2~2、1:0.1~2、または1:0.25~1となるように第二のリパーゼを用いることができる。
ここで部分グリセリドリパーゼの1ユニットは、LV乳化法によって測定され、1分間に1マイクロモルの脂肪酸の増加をもたらす酵素量を1単位(ユニット)とする。LV乳化法とは、ラウリン酸ビニルの乳化液にリパーゼを作用させ、エタノール/アセトン混合溶媒で反応を停止し、水酸化ナトリウムで生成脂肪酸を中和後、残存する水酸化ナトリウムを塩酸で滴定することで、生成脂肪酸を定量してユニット数を求める方法である。
本発明の製造方法では、原料油に第一のリパーゼおよび第二のリパーゼを作用させて加水分解反応を行う。第一のリパーゼおよび第二のリパーゼは、反応の開始時から反応系内に存在していてもよく、時間差をおいて反応系内に順次添加されてもよい。後者の場合、通常、第一のリパーゼを添加した後に第二のリパーゼを添加する。第一のリパーゼはグリセリドの構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸に作用しにくいため、これを原料油に作用させることにより、グリセリド画分中のドコサヘキサエン酸の割合を高めることができる。なお第二のリパーゼは、部分グリセリドリパーゼであるため、原料油が部分グリセリドを含まない場合には原料油に直接作用する訳ではないが、本発明においては、原料油から生じた部分グリセリドにリパーゼを作用させることも、原料油にリパーゼを作用させることに含まれる。
好ましい態様において、第一のリパーゼは、サーモマイセス ラヌギノサス由来のリパーゼ(例えばリポザイムTL 100LまたはリポザイムTL IM)であり、第二のリパーゼは、ペニシリウム カマンベルティ由来のリパーゼ(例えばリパーゼGアマノ50)であり、反応系に添加される第一のリパーゼの酵素量および第二のリパーゼの酵素量の活性比は、第一のリパーゼ:第二のリパーゼ=1:0.01~20、1:0.02~10、1:0.05~5、1:0.1~3、1:0.2~2、1:0.1~2、または1:0.25~1であり得る。これらのリパーゼを組み合わせて使用することにより、1回のリパーゼ反応で、グリセリド画分の構成脂肪酸中のDHAの割合が実用可能なレベルにまで高められた組成物を安定して製造することができる。なお本明細書中、1回のリパーゼ反応という場合、必要な全てのリパーゼを反応開始時に添加して途中で別のリパーゼを追加しないことだけでなく、1つのリパーゼによる加水分解反応の開始後に同じ反応系内に別のリパーゼを追加することも含まれる。
本発明における加水分解反応では、第一のリパーゼおよび第二のリパーゼに加えて、さらに第一のリパーゼ以外のDHAを濃縮することができる第三のリパーゼを併用することができる。第三のリパーゼを併用しても、第一のリパーゼと第二のリパーゼの併用効果が損なわれることはない。この場合、第三のリパーゼを、第一のリパーゼまたは第二のリパーゼと同時に、または時間差をおいて、原料油に作用させることができる。2種類以上の第三のリパーゼを使用してもよい。
第三のリパーゼとしては、カンディダ属由来のリパーゼなどが挙げられ、好ましくはカンディダ シリンドラセ由来のリパーゼである。カンディダ シリンドラセ(Candida cylindracea)(別名カンディダ ルゴサ(Candida rugosa))由来のリパーゼとしては、リパーゼOFおよびリパーゼAYアマノ30SD(天野エンザイム株式会社)が例示される。
第三のリパーゼの使用量は、特に限定されないが、活性比で、第一のリパーゼ1に対して、0.02以上、0.05以上、0.1以上、0.2以上、または0.25以上、50以下、20以下、10以下、4以下、2以下、または1以下であり得る。例えば、第一のリパーゼ:第三のリパーゼが、1:0.02~50、1:0.05~20、1:0.1~10、1:0.1~2、1:0.25~4、1:0.2~2、または1:0.25~1となるように第三のリパーゼを用いることができる。
リパーゼによる加水分解反応は、リパーゼの加水分解活性が発現するのに十分な量の水の存在下に行う必要がある。水の添加量としては、原料油1重量部に対して0.1~2.5重量部、または0.2~1.5重量部、好ましくは、0.3~1重量部である。
加水分解は、脂肪酸の劣化、リパーゼの失活などを抑制するため、乾燥窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、原料油にトコフェロール、アスコルビン酸、t-ブチルハイドロキノンなどの抗酸化剤が含まれていてもよい。
加水分解における反応温度は、リパーゼが活性を示す温度であれば特に限定されないが、例えば10~50℃であり、10~40℃程度が好ましい。グリセリド画分の構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の割合を低下させるためには、25℃以下、好ましくは10~25℃、さらに好ましくは15~25℃で行う。飽和脂肪酸は、現代の食生活では摂食過多になりがちである。本発明の製造方法によって得られるドコサヘキサエン酸が濃縮された組成物は、健康食品、医薬品などの原料として用いられ得ることから、飽和脂肪酸の含有量は低い方が好ましい。反応温度が低いほど、飽和脂肪酸の含有率は低下するが、10℃以下ではリパーゼ反応の速度自体が遅くなりすぎる点や油脂の粘度が高くなる点を考慮すると、反応温度は15~25℃前後が最も好ましい。大量反応の場合、反応槽内の温度を平均15~25℃になるよう設定し、反応温度の変化を±5℃程度の範囲に保持しながら反応を行えばよい。加水分解反応は、機械的撹拌や不活性ガス等の吹込による流動状態下で行うことができる。
加水分解は、グリセリド画分の構成脂肪酸中に占めるドコサヘキサエン酸の割合が目的とする割合になるまで反応を行う。反応条件は原料油、酵素量などにより異なり得る。例えば、第一のリパーゼの使用量が多い場合には、反応時間を短くしてもよく、また第一のリパーゼの使用量が少ない場合には、反応時間を長くしてもよい。一実施形態において、反応時間は、例えば、5時間以上、6時間以上、7時間以上、8時間以上、9時間以上、または10時間以上、24時間以下、20時間以下、18時間以下、16時間以下、15時間以下、14時間以下、13時間以下、12時間以下、または11時間以下であり得る。例えばマグロ油(DHA23%程度含有)などを原料とする場合、反応時間は7時間以上が好ましい。通常、原料油を5~24時間加水分解することにより、1回のリパーゼ反応で、ドコサヘキサエン酸の割合を35面積%以上にまで高めることができる。一実施形態において、本発明の製造方法では、1回のリパーゼ反応で、グリセリド画分中のドコサヘキサエン酸の割合を35面積%以上、40面積%以上、45面積%以上、46面積%以上、47面積%以上、48面積%以上、49面積%以上、50面積%以上、または51面積%以上にまで高めることができる。
本明細書中、グリセリド画分中のドコサヘキサエン酸の割合(面積%)は、特に明記しない限り、ナトリウムメチラート法により、リパーゼ反応物の油層中のグリセリドをメチルエステル化した後、リパーゼ反応により生成する遊離脂肪酸を除去し、ガスクロマトグラフィーにより測定した値(ピーク面積)に基づいて算出される。ガスクロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。
機種:Agilent 6890N GC system (Agilent社)
カラム:DB-WAX J&W 122-7032
カラム温度:180℃で0分間保持した後、180℃から230℃まで、3℃/分で昇温し、15分間保持
注入温度:250℃
注入方法:スプリット
スプリット比:30:1
検出器温度:250℃
検出器:FID
キャリアーガス:ヘリウム (1mL/min、コンスタントフロー)
また酸価(AV)を加水分解の程度を示す指標とすることもできる。本発明において、酸価は、基準油脂分析試験法(2013年度版)(社団法人日本油化学会編)に準じた方法により測定される数値である。具体的には、酸価は以下のように測定される。試料約100mgを20mLの中性溶剤(エタノール:ジエチルエーテル(1:1 v/v))に溶解させ、フェノールフタレイン溶液を添加した後、0.1M水酸化カリウム標準液で中和滴定を行い、下式により酸価を算出する。
AV=滴定量(mL)×56.11×水酸化カリウム標準液のファクター/試料重量(g)×(1/10)
ここで、「水酸化カリウム標準液のファクター」は、「(標定で求めた)標準液の真の濃度/調製した標準液の表示濃度」を意味する。
本発明においては、通常、酸価が90~160となるように加水分解反応を行うことで、グリセリド画分の構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の割合を十分に高めることができる。酸価が160を超えるまで反応させるとドコサヘキサエン酸の回収率が低下する可能性がある。したがって、本発明の製造方法においては、反応液の酸価が90~160、あるいは100~150、あるいは110~140となった時点で加水分解反応を終了させることができる。
このようにして加水分解を行うことにより、未反応のトリグリセリドおよび加水分解物の混合物が反応液として得られる。第一のリパーゼはグリセリンとドコサヘキサエン酸とのエステル結合を加水分解しにくいので、加水分解が進行するに従って、反応液中のグリセリドの構成脂肪酸中に占めるドコサヘキサエン酸の割合は高くなる。加水分解終了時には、グリセリド画分の構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の割合が、35面積%以上、例えば、40面積%以上、45面積%以上、46面積%以上、47面積%以上、48面積%以上、49面積%以上、50面積%以上、または51面積%以上となる。一方、遊離脂肪酸は大部分がドコサヘキサエン酸以外の脂肪酸で占められる。
本発明の製造方法は、リパーゼによる加水分解反応後、グリセリドを回収する工程をさらに含んでもよい。その結果得られる組成物では、グリセリド画分の構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸の割合が原料油よりも高められている。グリセリドの回収は、加水分解反応時間終了後、加熱または酸添加によりリパーゼを失活させ、反応液から、水層、遊離脂肪酸およびグリセリンを除去することにより行うことができる。水層、遊離脂肪酸およびグリセリンは、公知の方法により除去することができる。例えば、加水分解反応時間終了後、酸添加によりリパーゼを失活させ、遠心分離などにより反応液からリパーゼおよびグリセリンなどを含む水層を除去し、さらに水層が中性になるまで水洗を繰り返した後、得られた油層から遊離脂肪酸を除去する。遊離脂肪酸の分離除去方法としては、アルカリ塩として除去する方法、液体クロマトグラフィー装置を用いる方法、蒸留により除去する方法など、公知の方法が採用できるが、アルカリ塩として除去する方法、分子蒸留又は短工程蒸留などを用いた蒸留により除去する方法が好ましい。遊離脂肪酸を除去することにより、高濃度でドコサヘキサエン酸を含有するトリグリセリドおよび部分グリセリドのグリセリド混合物が得られる。
本発明の製造方法は、リパーゼを単独で使用する場合と比較して、グリセリド画分中のトリグリセリドの割合が高い組成物を得ることができる。例えば、本発明の製造方法において回収されたグリセリド中、トリグリセリドの割合は、70面積%以上、75面積%以上、80面積%以上、または85面積%以上である。そのため、本発明によれば、回収されたグリセリドについて部分グリセリドの除去をさらに行わなくてもよく、精製工程を簡略化することができる。
回収されたグリセリドについて、さらに脱酸、脱色、または脱臭処理を行うこともできる。脱酸、脱色、脱臭はどのような方法で行ってもよいが、脱酸処理としては蒸留処理が、脱色処理としては活性白土、活性炭、シリカゲルなどによる処理が、脱臭処理としては水蒸気蒸留などが例示される。脱酸処理を蒸留で行うと、同時にモノグリセリドも除去されるので、得られる油のトリグリセリド比率をさらに高めることができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお実施例中、%表示されているものは、特記なければ、重量%である。
各実施例において、脂肪酸組成、酸価、および脂質組成の測定は以下の方法で行った。
本発明において、面積%とは、各種脂肪酸を構成成分とするグリセリドの混合物をガスクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィー/水素炎イオン化検出器(TLC/FID)を用いて分析したチャートのそれぞれの成分のピーク面積の全ピーク面積に対する割合であり、そのピークの成分の含有比率を示すものである。脂肪酸組成については、実施例に示す方法によるガスクロマトグラフィーにより分析した結果から算出し、脂質組成については、TLC/FIDを用いて分析した結果から算出した。
<脂肪酸組成の測定>
原料に用いた魚油の脂肪酸組成は、魚油をメチルエステル化してガスクロマトグラフィーにて測定した。すなわち、魚油40μLに1Nナトリウムメチラート/メタノール溶液1mLを加え、80℃1分間撹拌した。その後、1N塩酸を1mL加えて中和し、ヘキサン2mL、飽和食塩水溶液3mLを加え、撹拌、静置後、上層をガスクロマトグラフィーにて測定した。
リパーゼ反応を行った油のグリセリド画分脂肪酸組成は、グリセリド画分をメチルエステル化してから、リパーゼ反応により生成した遊離脂肪酸を除去し、ガスクロマトグラフィーにて測定した。すなわち、反応液70μLに1Nナトリウムメチラート/メタノール溶液1mLを加え、80℃1分間撹拌した。その後、1N塩酸を1mL加えて中和後、ヘキサン700μLおよび飽和食塩水溶液3mLを加え、撹拌、静置後、メチルエステルと遊離脂肪酸を含有する上層を回収した。得られた上層から遊離脂肪酸を除去する操作を以下の通りに行った。回収した上層であるメチルエステルと遊離脂肪酸が溶解したヘキサン溶液700μLにトリエチルアミンを10~20μL加えて振り混ぜてから、固相抽出カートリッジ(Agilent Technologies社、BOND ELUT SI、100mg、1mL)に全量を負荷し、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(ヘキサン:酢酸エチル=50:1容積比)1mLにてメチルエステルを溶出させて遊離脂肪酸を除去した。これをガスクロマトグラフィーにて測定した。
ガスクロマトグラフィー分析条件
機種:Agilent 6890N GC system (Agilent社)
カラム:DB-WAX J&W 122-7032
カラム温度:180℃で0分間保持した後、180℃から230℃まで、3℃/分で昇温し、15分間保持
注入温度:250℃
注入方法:スプリット
スプリット比:30:1
検出器温度:250℃
検出器:FID
キャリアーガス:ヘリウム (1mL/min、コンスタントフロー)
<酸価(AV)の測定>
基準油脂分析試験法(2013年度版)(社団法人日本油化学会編)に準じて行った。試料約100mgを20mLの中性溶剤(エタノール:ジエチルエーテル(1:1容積比))に溶解させ、フェノールフタレイン溶液を添加した後、0.1M水酸化カリウム標準液で中和滴定を行い、下式により算出した。
AV=滴定量(mL)×56.11×水酸化カリウム標準液のファクター/試料重量(g)×(1/10)
<脂質組成の測定>
脂質組成は薄層クロマトグラフィー/水素炎イオン化検出器(TLC/FID,イアトロスキャン、三菱化学ヤトロン株式会社)にて行った。油20μLをヘキサン1mLに溶解し、クロマロッドに0.5μLを負荷した。ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸の混合溶液(ヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸=70:30:1容積比)を展開溶媒として用い、30分間展開した。これをイアトロスキャンにて分析した。
(実施例1)
<原料油>
原料油として、水洗したマグロ原油から短行程蒸留によりステロール類および脂肪酸を除去して調製した、マグロ脱酸油(DHA 24.6%)を使用した。
<リパーゼ>
以下のリパーゼを使用した。
リパーゼPSアマノSD(本明細書中、リパーゼPSともいう。天野エンザイム株式会社)
リパーゼAKアマノ(本明細書中、リパーゼAKともいう。天野エンザイム株式会社)
リパーゼOF(名糖産業株式会社)
リポザイム TL 100L(ノボザイムジャパン株式会社)
リポザイム TL IM(ノボザイムジャパン株式会社)
リポザイム RM IM(ノボザイムジャパン株式会社)
リパーゼQLM(名糖産業株式会社)
リパーゼGアマノ50(本明細書中、リパーゼGともいう。天野エンザイム株式会社)
<リパーゼ反応液の調製>
リパーゼを単独で用いた反応は、マグロ脱酸油3 gに表1に記載の水及び各リパーゼを混合し、18℃(実測18.8℃)で表1に記載の時間反応させた。反応後、85%燐酸を対油1.5%添加し、18℃で1時間撹拌することでリパーゼを失活させた。その後、3回湯洗し、リパーゼ反応液を得た。
リパーゼGを併用する反応は、表1に記載の第一のリパーゼに対して活性比で4分の1のリパーゼG(すなわち、リパーゼOFとの併用では200 unit/g oil、その他のリパーゼとの併用では250 unit/g oil)を反応系にさらに添加して、上記の単独使用の場合と同様にしてリパーゼ反応液を調製した。
Figure 0007365346000001
<結果>
得られたリパーゼ反応液のグリセリド画分中のDHAおよびSFAの割合(面積%)を図1に示す。リパーゼOF又はリポザイムRM IMをリパーゼGと併用した場合には、DHAの割合の増加はわずかであった。それに対してリパーゼPS、リパーゼAK、リポザイムTL 100L、リポザイムTL IM、またはリパーゼQLMをリパーゼGと併用した場合には、DHAの割合の大幅な増加が見られた。このような併用の効果は、特にリポザイムTL 100LおよびリポザイムTL IMにおいて顕著であった。
(実施例2)
リポザイムTL 100LとリパーゼGとの混合比を活性比で4:0、4:1、4:2、または4:4として、実施例1と同様にリパーゼ反応液を調製した。反応時間は、20時間とした。ただし、混合比4:2および4:4の場合には、反応温度は15℃であった。リポザイムTL 100Lの使用量は、100、200、400、800、または1,600 unit/g oilとした。
得られたリパーゼ反応液のグリセリド画分中のDHA、EPA、MUFA、およびSFAの割合(面積%)を表2および図2に示す。リパーゼGを併用することで、リポザイムTL 100L を単独で使用した場合と比較してDHAの割合を大幅に増加させることができた。特に、リポザイムTL 100LとリパーゼGとの混合比を4:2または4:4とし、リポザイムTL 100Lの使用量を800 unit/g oil以上とした場合には、DHAの割合が1回のリパーゼ加水分解反応で51面積%以上に達した。それに対して、リポザイムTL 100Lのみでは、使用量を増加させてもDHAの割合を大幅に増加させることはなかった。
またリポザイムTL 100LとリパーゼGとを併用することにより、グリセリド画分中のトリグリセリドの割合(面積%)を高めることができた(表2)。
Figure 0007365346000002
(実施例3)
リポザイムTL 100LとリパーゼGとの混合比を活性比で4:1とし、反応温度を18℃または39℃として、実施例1と同様にリパーゼ反応液を調製した。リポザイムTL 100Lの使用量は、100、200、400、800、または1,600 unit/g oilとした。
得られたリパーゼ反応液のグリセリド画分中のDHA、EPA、MUFA、およびSFAの割合(面積%)を図3に示す。TL100LとリパーゼGの併用において、反応温度18℃と39℃のいずれにおいても、DHAの割合を大幅に増大させることができた。
(実施例4)
リポザイムTL 100L、リパーゼG、およびリパーゼAYの混合比を活性比で4:1:1または4:1:4とし、反応温度を15~16℃として、実施例1と同様にリパーゼ反応液を調製した。リポザイムTL 100Lの使用量は、100、200、400、800、または1,600 unit/g oilとした。
得られたリパーゼ反応液のグリセリド画分中のDHA、EPA、MUFA、およびSFAの割合(面積%)を図4に示す。リポザイムTL 100LおよびリパーゼGにリパーゼAYを追加することによって、グリセリド画分中のDHAの割合をさらに高めることができた。
(実施例5)
リポザイムTL 100L(400 unit/g)およびリパーゼG(100 unit/g)で、反応温度15~16℃で20時間反応を行い、その後、図5に示す量のリパーゼG(すなわち25~400 unit/g)とそれに対して同量(1:1)又は4倍量(1:4)のリパーゼAYを追加し、反応温度17℃8時間、反応した。
得られたリパーゼ反応液のグリセリド画分中のDHA、EPA、MUFA、およびSFAの割合(面積%)を図5に示す。リポザイムTL 100LおよびリパーゼGによる反応後に、リパーゼGおよびリパーゼAYによる反応を短時間行うことで、グリセリド画分中のDHAの割合をさらに高めることができた。
本発明により、グリセリド画分中にドコサヘキサエン酸を濃縮するために単独では効果の弱いリパーゼを複数併用することにより、ドコサヘキサエン酸をグリセリドの構成脂肪酸として含有する組成物を製造することができる。当該組成物は、健康食品、医薬品などの原料として用いることができる。

Claims (7)

  1. ドコサヘキサエン酸をグリセリドの構成脂肪酸として含有する組成物の製造方法であって、
    ドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸として含むグリセリドを含有する原料油に第一のリパーゼおよび第二のリパーゼを作用させて加水分解反応を行い、それによりグリセリド画分中のドコサヘキサエン酸の割合を高める工程であって、反応液の酸価が90~160となった時点で加水分解反応を終了させる工程を含み第一のリパーゼは、リポザイムTL 100L、リポザイムTL IMリパーゼAKリパーゼPS、およびリパーゼQLMからなる群から選択される少なくとも1種類のリパーゼであり、
    第二のリパーゼは、リパーゼGである、前記方法。
  2. 第二のリパーゼの使用量が、活性比で、第一のリパーゼ1に対して、0.01~20である、請求項1に記載の方法。
  3. 加水分解反応を10~50℃の温度で行う、請求項1または2に記載の方法。
  4. 第一のリパーゼ以外のドコサヘキサエン酸を濃縮する第三のリパーゼを、第一のリパーゼおよび第二のリパーゼと同時に、または時間差をおいて、原料油に作用させる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  5. 第三のリパーゼが、カンディダ シリンドラセ由来のリパーゼである、請求項に記載の方法。
  6. カンディダ シリンドラセ由来のリパーゼが、リパーゼAYである、請求項5に記載の方法。
  7. 反応後、グリセリドを回収する工程をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
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