以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る携帯端末、及び流体機械システムについて説明する。流体機械システムは、流体機械と無線通信を行う携帯端末と、無線通信により所定の情報を携帯端末へ送信する流体機械とを備える。
なお、以下では、流体機械が可搬型の空気圧縮機である空気圧縮機システムを流体機械システムの一例として説明するが、流体機械は可搬型の空気圧縮機に限定されず、固定型の空気圧縮機とすることができる。また、流体機械は可搬型及び固定型のいずれにおいても空気圧縮機に限られず、空気以外の気体を圧縮する圧縮機や、流体を移動させるポンプ、ブロワ、ファン等とすることができる。
但し、可搬型の流体機械が用いられる現場では、工場などに比べて流体機械を遠隔監視する環境が整っておらず、流体機械を遠隔監視する要求が非常に高い。このため、本発明は可搬型の流体機械に非常に好適である。
図1を参照して、空気圧縮機システム39の概略について説明する。図1は、空気圧縮機システム39について示す図である。図1に示すように、空気圧縮機システム39は、可搬型の空気圧縮機36と、空気圧縮機36と無線通信を行う携帯端末37とを備える。携帯端末37には、空気圧縮機36の運転状態を監視したり、空気圧縮機36を遠隔から操作したりするための監視アプリケーションがインストールされている。空気圧縮機36及び携帯端末37は、相互の情報を無線通信により、やり取りしている。
空気圧縮機36と携帯端末37との通信方法は、種々の方法を採用することができる。例えば、空気圧縮機36と携帯端末37とは、無線基地局51を介さずに、直接的に情報の授受を行うことが可能な近距離無線通信方式として、Bluetooth(登録商標)を採用することができる。なお、近距離無線通信方式は、Bluetoothに限定されず、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの通信方式を採用することもできる。また、空気圧縮機36と携帯端末37とは、広域ネットワークである通信回線50、及び通信回線50に接続される無線基地局51、無線アクセスポイント52等を介して、間接的に情報の授受を行うようにしてもよい。なお、通信回線は、インターネット、4G,5G等の携帯電話通信網(移動通信網)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。
携帯端末37は、インストールされている監視アプリケーションを起動し、携帯端末37のタッチパネル上で所定の操作を行うことにより、空気圧縮機36の動作を制御することができる。監視アプリケーションは、携帯端末37の使用者(すなわち空気圧縮機36を用いて作業を行う作業従事者)がホーム画面73においてアプリアイコン73a(図9参照)を選択することにより起動される。これにより、タッチパネル171にアプリ画面75(図10参照)が表示される。携帯端末37の使用者は、アプリ画面75の操作領域をタッチ操作することにより、空気圧縮機36の運転、停止、運転モードの切り替え、異常停止状態からの復帰等を行うことができる。空気圧縮機36の操作方法の詳細については後述する。
携帯端末37にインストールされている監視アプリケーションは、例えばAPPストア、Google Play(登録商標)等の各種アプリケーションの配信ストアから携帯端末37の使用者自身がダウンロードし、インストールすることができる。
本実施形態では、携帯端末37がスマートフォンである場合について説明するが、携帯端末37はスマートフォンに限定されない。携帯端末37としては、作業従事者によって携帯可能なタブレット、ウェアラブル機器等の様々な機器を採用することができる。ウェアラブル機器としては、例えば、リストバンド型、腕時計型などの腕に装着するタイプの機器であってもよいし、ヘッドバンド型あるいはメガネ型などの頭に装着するタイプの機器であってもよいし、服型などの体に装着するタイプの機器であってもよいし、イヤホン型などの耳に装着するタイプの機器であってもよい。また、携帯端末37は、空気圧縮機36の操作及び監視のみを行う専用の携帯端末であってもよい。
図2~図5を用いて、空気圧縮機36の構造を説明する。図2は空気圧縮機36の断面を示す図、図3は空気圧縮機36の外観の一例を示す図、図4は図3のA-A’断面図、図5は空気圧縮機36の構成について示す図である。
図2~図5に示すように、空気圧縮機36は、空気を圧縮する圧縮機本体1と、圧縮機本体1を駆動するモータ6と、冷却ファン10と、空気タンク24,25と、制御基板30と、操作部34と、スイッチ基板40とを備える。図2において、破線で描かれる大きな枠で囲んだ領域は空気を圧縮する圧縮機本体1であり、破線で描かれる小さな枠で囲んだ領域は圧縮機本体1を駆動するモータ6である。
圧縮機本体1は、クランクケース1Aとクランクケース1Aに取り付けられたシリンダ18A,18Bとを備えている。クランクケース1A内には、モータ6のシャフト(回転軸)6Aが貫通している。
クランクケース1Aは、圧縮機本体1及びモータ6を覆っている。クランクケース1Aの一端側にはステータ2が直接固定されている。クランクケース1Aには、シャフト6Aの一端側を軸支するベアリング3が装着されている。クランクケース1Aにおけるステータ2の取り付け側の反対側には、シャフト6Aの他端側を軸支するベアリング4が装着された軸受箱5が嵌合されている。
クランクケース1A内を貫通するシャフト6Aの中央部にはキー12が埋め込まれている。このキー12が埋め込まれたシャフト6Aの中央部には、ベアリング15Aと偏心したエキセントリック16Aを介して、空気をシール、圧縮するためのピストンリング13Aを有した連接棒組14Aが取り付けられている。また、シャフト6Aの中央部には、ベアリング15Bと偏心したエキセントリック16Bを介して、空気をシール、圧縮するためのピストンリング13Bを有した連接棒組14Bが、バランス17と共に取り付けられている。
連接棒組14A,14B及びバランス17は、クランクケース1A及び軸受箱5に装着された2個のベアリング3,4によって両側から支持されている。この構造により、連接棒組14A,14Bは、ベアリング15A,15Bを介してエキセントリック16A,16Bに対して回転自在に接続されている。
本実施形態では、低圧側のシリンダ18A及び高圧側のシリンダ18Bの合計で2つのシリンダ18A,18Bがクランクケース1Aを挟んで互いに対向するように取り付けられている。
シリンダ18Aは、フランジ19A、空気弁20A、シリンダヘッド21A、及び、通しボルト22Aを備える。フランジ19Aは、シリンダ18Aを取り付けるためにクランクケース1Aに設けられており、シリンダ18A、空気弁20A、シリンダヘッド21Aが、通しボルト22Aによってフランジ19Aに固定されることで、低圧側の圧縮室23Aを形成している。
同様に、シリンダ18Bは、フランジ19B、空気弁20B、シリンダヘッド21B、及び、通しボルト22Bを備える。フランジ19Bは、シリンダ18Bを取り付けるためにクランクケース1Aに設けられており、シリンダ18B、空気弁20B、シリンダヘッド21Bが、通しボルト22Bによってフランジ19Bに固定されることで、高圧側の圧縮室23Bを形成している。
なお、本実施形態では、低圧側のシリンダ18A内で往復動する連接棒組14A及び高圧側のシリンダ18B内で往復動する連接棒組14Bにピストンリング13A,13Bを設ける場合について説明しているが、いずれか一方、例えば高圧側のみにピストンリングを設けることができる。
モータ6は、ステータ2、ベアリング3、シャフト6A、キー7、ロータ8、及び、ワッシャ9を有する。シャフト6Aの端部には、冷却ファン10が取り付けられている。また、シャフト6Aの一端側にキー7を介してロータ8が装着されている。ロータ8は、ワッシャ9と冷却ファン10を取り付けるためのファンシャフト11によって、軸方向に固定されている。
冷却ファン10は冷却カバー26の内部に冷却風を供給し、圧縮機本体1、モータ6、空気タンク24,25などの空気圧縮機36の各構成要素を冷却する。冷却ファン10はファンシャフト11によってシャフト6Aの端部に取り付けられ、モータ6によって駆動されるシャフト6Aの回転に伴い回転する。
空気タンク24,25は、冷却カバー26によって覆われている圧縮機本体1の下部に配置されている。
圧縮機本体1の動作について説明する。圧縮機本体1は、モータ6によってシャフト6Aが回転すると、エキセントリック16Aによって連接棒組14Aが圧縮室23A内を往復運動するとともに、エキセントリック16Bによって連接棒組14Bが圧縮室23B内を往復運動する。
連接棒組14Aが上死点から下死点へ向かう吸い込み工程では、シリンダヘッド21A、空気弁20Aを通じて圧縮室23A内に空気(外気)が吸い込まれる。連接棒組14Aが下死点から上死点へ向かう吐き出し工程では、圧縮室23A内に吸い込まれた空気が圧縮され、空気弁20A、シリンダヘッド21Aから吐き出される。
シリンダ18Aで圧縮されシリンダヘッド21Aから吐き出された空気は、配管(不図示)を通じてシリンダ18Bに送られる。連接棒組14Bが上死点から下死点へ向かう吸い込み工程では、シリンダヘッド21B、空気弁20Bを通じて圧縮室23B内にシリンダ18Aで圧縮した空気が吸い込まれる。連接棒組14Bが下死点から上死点へ向かう吐き出し工程では、吸い込まれた空気が更に圧縮され、空気弁20B、シリンダヘッド21Bを通じて吐き出される。
シリンダヘッド21Bから吐き出された圧縮空気は、空気タンク24,25に貯留される。このように、本実施形態に係る空気圧縮機36は、一方のシリンダ18Aで圧縮した空気を他方のシリンダ18Bで更に圧縮する、2段圧縮を行う。2段圧縮は、1段圧縮の場合よりも低圧側と高圧側の圧力比(吐き出し圧力/吸い込み圧力)が各々小さくなるため、効率がよくなることから、圧縮部に発生する熱を少なくすることができる。
図3及び図4に示すように、冷却カバー26の正面側には、操作部34が取り付けられている。操作部34は、作業従事者によって操作される複数のスイッチ34aを有している。複数のスイッチ34aには、運転開始と運転停止を指示するための運転・停止スイッチ34a1、運転モードの変更を指示するためのモード切替スイッチ34a2、及び、低電圧異常、高温異常等の発生により空気圧縮機36の運転が停止した後、空気圧縮機36の運転の再開を指示するため復帰スイッチ34a3が含まれる。また、操作部34は、作業従事者に空気圧縮機36の運転状態を知らせるための複数の表示部34bを有している。表示部34bは、LEDなどから構成される。複数の表示部34bには、空気タンク24,25内の圧力の大きさを表す表示部、及び、現在の運転モードを表す表示部が含まれる。
図4に示すように、スイッチ基板40は操作部34の下方に設けられ、制御基板30は2つの空気タンク24,25の間に設けられている。制御基板30及びスイッチ基板40は、空気圧縮機36の運転を制御する制御ユニット60を構成する。図5を参照して、空気圧縮機36の制御ユニット60について説明する。
図5に示すように、制御ユニット60は、制御基板30とスイッチ基板40とを有する。制御基板30はメインコントローラ30aを有し、スイッチ基板40はサブコントローラ40aを有する。メインコントローラ30aとサブコントローラ40aとは電気的に接続されており、相互に情報(データ)の授受を行うことができる。
メインコントローラ30a及びサブコントローラ40aは、動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)181,184、記憶装置としての所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ182,185、記憶装置としてのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ183,186、入出力インタフェース、及び、その他の周辺回路を備えたマイクロコンピュータで構成される。なお、メインコントローラ30a及びサブコントローラ40aは、それぞれ1つのマイクロコンピュータで構成してもよいし、複数のマイクロコンピュータで構成してもよい。また、メインコントローラ30aの機能とサブコントローラ40aの機能を1つのマイクロコンピュータに集約してもよい。
メインコントローラ30aは、電源部(交流電源)41から供給される電力によってモータ6を駆動する。制御基板30は、コンバータ30b、コンデンサ30c、インバータ回路30d、及び、電圧センサ30eを有する。インバータ回路30dは、複数のスイッチング素子を有する。コンバータ30bは、電源部41から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。インバータ回路30dは、コンデンサ30cで平滑された直流電圧をスイッチング素子によって交流電圧に変換する。電圧センサ30eは、一対の電力線(直流母線)30g間の直流電圧を検出し、その検出結果を表す電圧信号をメインコントローラ30aに出力する。
メインコントローラ30aは、操作部34あるいは携帯端末37に対する操作によってサブコントローラ40aから出力される制御信号、ならびに、タンク内圧力センサ31、基板温度センサ32、モータ温度・回転数センサ33、及び、周囲温度センサ35での検出結果等に基づいて、モータ6の制御を行う。メインコントローラ30aは、インバータ回路30dに対して駆動制御信号を出力し、インバータ回路30dのスイッチング素子を駆動する。
スイッチ基板40は、通信アンテナを有する無線通信装置42を備える。サブコントローラ40aは、携帯端末37とBluetoothを用いたペアリングを行う。ペアリングとは、空気圧縮機36と携帯端末37との間で無線通信を行い、認証及び暗号化通信のためのキー交換等を行う処理のことを指す。
サブコントローラ40aは、操作部34におけるスイッチ34aに対する操作がなされると、操作されたスイッチ34aに対応する操作指令をメインコントローラ30aに出力する。サブコントローラ40aは、メインコントローラ30aから入力される情報(データ)に基づいて、表示部34bの表示制御を行う。
また、サブコントローラ40aは、携帯端末37のタッチパネル171(図10参照)に対する操作がなされることにより、携帯端末37から送信される操作指令(図11参照)をメインコントローラ30aに出力する。
タンク内圧力センサ31は、空気タンク24,25内の圧力を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。基板温度センサ32は、制御基板30に取り付けられ、制御基板30の温度を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。モータ温度・回転数センサ33は、モータ6に取り付けられ、モータ6のコイルの温度及びモータ6の回転数(回転速度)を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。周囲温度センサ35は、操作部34に取り付けられ、空気圧縮機36の外側の周囲温度を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。
本実施形態では、圧力制御運転方式によって空気圧縮機36の運転が制御される。圧力制御運転方式とは、空気タンク24,25内の圧力に応じて、モータ6の回転を制御する方式である。サブコントローラ40aは、操作部34の運転・停止スイッチ34a1(図3参照)または携帯端末37のタッチパネル171の運転・停止ボタン75f(図10参照)が操作されると、運転の開始と停止を指示するための操作指令である運転制御指令をメインコントローラ30aに出力する。
メインコントローラ30aは、スタンバイ状態であるときに運転制御指令が入力されると、圧力制御運転を開始する。スタンバイ状態とは、空気圧縮機36の電源プラグが電源部41に接続され、空気圧縮機36が通電された状態であって、圧力制御運転が行われていない状態のことを指す。なお、本実施形態では、正常に圧力制御運転が行われている状態のことを圧力制御運転状態と記す。メインコントローラ30aは、圧力制御運転状態のときに運転制御指令が入力されると、圧力制御運転を終了する。これにより、空気圧縮機36は、スタンバイ状態に戻る。
圧力制御運転が開始されると、メインコントローラ30aは、モータ6を回転させることにより、空気を圧縮して空気タンク24,25に蓄積させる空気圧縮運転を行う。タンク内圧力センサ31で検出された圧力が所定値(上限側閾値)以上になると、メインコントローラ30aは、モータ6の回転を停止させ空気圧縮運転を停止させる。タンク内圧力センサ31で検出された圧力が所定値(下限側閾値)以下になると、メインコントローラ30aは、モータ6を回転させることにより、空気を圧縮して空気タンク24,25に蓄積させる空気圧縮運転を再び行う。空気圧縮運転が行われている状態を圧縮運転動作状態と記し、空気圧縮運転が行われていない状態を圧縮運転停止状態と記す。したがって、圧力制御運転状態では、圧縮運転動作状態と圧縮運転停止状態とが交互に繰り返し行われる。
メインコントローラ30aは、周囲温度センサ35で検出された周囲温度が第1温度閾値以上であって第2温度閾値未満である場合、空気タンク24,25の最高圧力(圧力の上限側閾値)を低下させることにより圧縮運転に制限をかけて製品の保護を行う。上述の正常な圧力制御運転状態に比べてタンク内圧力の最高圧力が低下するように制限がかけられているこの状態を高温運転制限状態と記す。第1温度閾値は、第2温度閾値よりも低い値が設定される。第1温度閾値及び第2温度閾値は、予め定められており、メインコントローラ30aの不揮発性メモリ183に記憶されている。例えば、第1温度閾値は45℃程度に設定され、第2温度閾値は55℃程度に設定される。
メインコントローラ30aは、周囲温度センサ35で検出された周囲温度が第2温度閾値以上である場合、高温異常が発生していると判定し、圧力制御運転をタンク内圧力にかかわらず強制的に停止させる。高温異常の発生により圧力制御運転が停止しているこの状態を高温異常停止状態と記す。高温運転制限状態及び高温異常停止状態は、正常な圧力制御運転状態とは異なる状態(異常状態)であるといえる。
メインコントローラ30aは、電圧センサ30eで検出された直流電圧(入力電源電圧)が第1電圧閾値以下であって第2電圧閾値よりも高い場合、空気タンク24,25の最高圧力(圧力の上限側閾値)を低下させることにより圧縮運転に制限をかけて製品の保護を行う。電圧が低いことに起因して、上述の正常な圧力制御運転状態に比べてタンク内圧力の最高圧力が低下するように制限がかけられているこの状態を低電圧運転制限状態と記す。第1電圧閾値は、第2電圧閾値よりも高い値が設定される。第1電圧閾値及び第2電圧閾値は、予め定められており、メインコントローラ30aの不揮発性メモリ183に記憶されている。例えば、第1電圧閾値は80V程度に設定され、第2電圧閾値は65V程度に設定される。
メインコントローラ30aは、電圧センサ30eで検出された直流電圧が第2電圧閾値以下である場合、低電圧異常が発生していると判定し、圧力制御運転をタンク内圧力にかかわらず強制的に停止させる。低電圧異常の発生により圧力制御運転が停止しているこの状態を低電圧異常停止状態と記す。低電圧運転制限状態及び低電圧異常停止状態は、正常な圧力制御運転状態とは異なる状態(異常状態)であるといえる。
なお、以下では、説明の便宜上、高温運転制限状態及び低電圧運転制限状態を総称して運転制限状態と記し、高温異常停止状態及び低電圧異常停止状態を総称して異常停止状態と記すこともある。
次に、空気圧縮機36の運転モードの一例について説明する。
空気圧縮機では、作業内容、環境等に応じて、何パターンかの運転モードを備えることが一般的であり、設定される運転モードに応じて、空気タンク内の圧力の制御範囲、モータ回転数の制御範囲が決定される。
本実施形態に係る空気圧縮機36は、主に釘打ち機の空気供給源として使用されることを想定し、ノーマルモード、パワフルモード、低速モードの3つの運転モードを備えている。
ノーマルモードは、空気タンク24,25内の圧力の制御範囲が3.2~4.2MPaに設定され、モータ6の回転数の制御範囲が1800~2850min-1に設定されるモードである。ノーマルモードが設定されると、モータ6の回転数が1800~2850min-1の範囲で可変制御され、空気タンク24,25内の圧力が4.2MPa(上限側閾値)になると空気圧縮機36の動作が停止する(すなわち、モータ6の回転が停止する)。そして、空気タンク24,25内の圧力が低下し、3.2MPa(下限側閾値)になると空気圧縮機36が再起動し、再びモータ6の回転数が1800~2850min-1の範囲で可変制御される。
パワフルモードは、モータ6の回転数がノーマルモードと同じ範囲で可変制御され、圧力制御範囲が3.8MPa(下限側閾値)~4.2MPa(上限側閾値)とされた運転モードである。低速モードは、圧力制御範囲がノーマルモードと同じであるが、モータ6の回転数が1500min-1で維持される運転モードである。
サブコントローラ40aは、モード切替スイッチ34a2(図3参照)または携帯端末37のタッチパネル171のモード切替ボタン75d(図10参照)が操作されると、運転モードの切り替えを指示するための操作指令であるモード切替指令をメインコントローラ30aに出力する。メインコントローラ30aは、ノーマルモードが設定されているときにモード切替指令が入力されると、運転モードをパワフルモードに設定する。メインコントローラ30aは、パワフルモードが設定されているときにモード切替指令が入力されると、運転モードを低速モードに設定する。メインコントローラ30aは、低速モードが設定されているときにモード切替指令が入力されると、運転モードをノーマルモードに設定する。つまり、メインコントローラ30aは、モード切替指令が入力されるたびに、運転モードを切り替える。
なお、運転モードの切り替え順序は、これに限定されることはない。また、空気圧縮機36は、塗料等の吹き付け機の空気供給源として使用されることも想定し、運転モードとして、常圧モードをさらに備えていてもよい。常圧モードは、予め定められた定格出力範囲の最大出力(最大定格出力)が維持されるように、モータ6の回転数が制御される運転モードである。このため、同じ圧力域で比較すると、常圧モードは、ノーマルモード及びパワフルモードに対して、モータ6の回転数が高くなる。例えば、タンク内圧力が2.0MPaである場合、ノーマルモードが設定されているときにはモータ6の回転数は2300min-1程度となるのに対し、常圧モードが設定されているときにはモータ6の回転数は2450min-1程度となる。常圧モードは、使用圧力が1.0MPa以下である場合が多い作業を想定しているため、タンク内圧力の制御範囲は、2.5MPa~3.2MPaに設定されている。
メインコントローラ30aは、空気圧縮機36の運転状態が変化したか否かを監視し、運転状態が変化した場合に、運転状態の変化の内容に応じた通知情報を生成し、サブコントローラ40aに出力する。メインコントローラ30aは、空気圧縮機36の運転状態が、スタンバイ状態から圧力制御運転状態に変化した場合、そのことを表す通知情報を生成し、サブコントローラ40aに出力する。メインコントローラ30aは、空気圧縮機36の運転状態が、圧力制御運転状態からスタンバイ状態に変化した場合、そのことを表す通知情報を生成し、サブコントローラ40aに出力する。メインコントローラ30aは、空気圧縮機36の運転状態が、圧力制御運転状態から運転制限状態に変化した場合、そのことを表す通知情報を生成し、サブコントローラ40aに出力する。メインコントローラ30aは、空気圧縮機36の運転状態が、運転制限状態から異常停止状態に変化した場合、そのことを表す通知情報を生成し、サブコントローラ40aに出力する。
メインコントローラ30aは、空気圧縮機36の運転状態(運転モード)が、ノーマルモードからパワフルモードに変化した場合、そのことを表す通知情報を生成し、サブコントローラ40aに出力する。メインコントローラ30aは、空気圧縮機36の運転状態(運転モード)が、パワフルモードから低速モードに変化した場合、そのことを表す通知情報を生成し、サブコントローラ40aに出力する。メインコントローラ30aは、空気圧縮機36の運転状態(運転モード)が、低速モードからノーマルモードに変化した場合、そのことを表す通知情報を生成し、サブコントローラ40aに出力する。
サブコントローラ40aは、メインコントローラ30aから入力される情報(データ)を、無線通信装置42を介して携帯端末37へ送信する。
メインコントローラ30aからサブコントローラ40aに入力され、サブコントローラ40aから携帯端末37に送信される情報(データ)には、タンク内圧力センサ31で検出されたタンク内圧力、基板温度センサ32で検出された基板温度、モータ温度・回転数センサ33で検出されたコイル温度及びモータ回転数、及び、周囲温度センサ35で検出された周囲温度等の物理量情報(図11参照)が含まれる。
また、メインコントローラ30aからサブコントローラ40aに入力され、サブコントローラ40aから携帯端末37に送信される情報(データ)には、空気圧縮機36の運転状態(例えば、スタンバイ状態、圧縮運転動作状態等)を表す運転状態情報(図11参照)が含まれる。なお、運転状態情報には、空気圧縮機36の現在の運転モードの情報も含まれる。
さらに、メインコントローラ30aからサブコントローラ40aに入力され、サブコントローラ40aから携帯端末37に送信される情報(データ)には、空気圧縮機36の運転状態が変化したことを表す通知情報が含まれる。
次に、図6及び図7を参照して、携帯端末37について説明する。図6は、携帯端末37の構成について示す図である。図7は、携帯端末37の正面図であり、携帯端末37に表示されるロック画面71の一例について示す。図6に示すように、携帯端末37は、入力部兼表示部としてのタッチパネル171と、入力部としての複数の入力スイッチ172と、通信アンテナを有する無線通信装置173と、振動装置174と、音出力装置175と、発光装置176と、端末コントローラ130とを備える。端末コントローラ130は、タッチパネル171、無線通信装置173、振動装置174、音出力装置175、及び、発光装置176等の携帯端末37の各部を制御する制御装置として機能する。
図7に示すように、タッチパネル171は、携帯端末37の前面(正面)に設けられている。タッチパネル171は、各種情報が表示されるディスプレイ(例えば液晶ディスプレイ)と、タッチセンサとを有する。タッチパネル171のタッチセンサは、例えば、手指、タッチペン等で押されたときの電圧変化に基づいてタッチ操作された位置を検知する周知の抵抗膜方式、あるいは、手指等が触れることにより発生する静電容量(電荷)の変化に基づいてタッチ操作された位置を検知する周知の静電容量方式のものを採用することができる。
携帯端末37の上部には、入力スイッチ172の一つである電源スイッチ172aが設けられ、携帯端末37の前面(正面)におけるタッチパネル171の下方には、入力スイッチ172の一つであるホームボタン172bが設けられている。
振動装置174は、偏心回転質量(ERM)方式、リニア共振アクチュエータ(LRA)方式、ピエゾアクチュエータ方式等の周知の振動方式により、携帯端末37を振動させる装置である。振動装置174は、端末コントローラ130からの振動制御信号に基づき、携帯端末37を振動させる。
音出力装置175は、スピーカを有し、端末コントローラ130からの音制御信号に基づき、所定の音を出力する。
発光装置176は、カメラ177による撮影時に用いられるフラッシュライトであり、携帯端末37の後面(背面)に設けられている。発光装置176は、LED等の光源を有し、端末コントローラ130からの発光制御信号に基づき、光源を点灯させる。
図6に示すように、端末コントローラ130は、動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)131、記憶装置としての所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ132、記憶装置としてのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ133、入出力インタフェース、及び、その他の周辺回路を備えたマイクロコンピュータで構成される。なお、端末コントローラ(制御装置)130は、1つのマイクロコンピュータで構成してもよいし、複数のマイクロコンピュータで構成してもよい。
端末コントローラ130の不揮発性メモリ133には、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、端末コントローラ130の不揮発性メモリ133は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。CPU131は、不揮発性メモリ133に記憶されたプログラムを揮発性メモリ132に展開して演算実行する処理装置であって、プログラムに従って入出力インタフェース及び不揮発性メモリ133、揮発性メモリ132から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。
不揮発性メモリ133に記憶されるプログラムには、フォアグラウンド及び/またはバックグラウンドで動作する複数のアプリケーション(アプリケーションプログラム)135,136,137と、アプリケーションの動作を支援する支援プログラム134とが含まれる。支援プログラム134には、例えば、OS(Operating System)が含まれる。複数のアプリケーション135,136,137には、認証処理を行うためのセキュリティアプリケーション135、空気圧縮機36の操作及び監視を行うための監視アプリケーション136、及び、Webサイトの情報をタッチパネル171上に表示させるWebアプリケーション137が含まれる。各アプリケーション135,136,137は、OSの管理下で動作する。
なお、アプリケーションがフォアグラウンドで動作している状態とは、当該アプリケーションにより生成されるアプリ画面がタッチパネル171に表示され、当該アプリケーションの操作が可能な状態のことを指す。また、アプリケーションがバックグラウンドで動作している状態とは、当該アプリケーションによるアプリ画面が表示されず、アプリ画面からの当該アプリケーションの操作が不能な状態のことを指す。
端末コントローラ130は、電源スイッチ172aが操作され携帯端末37の電源がオンされると、携帯端末37の動作モードをロックモードに設定する。ロックモードでは、タッチパネル171の表示画面にロック画面71を表示させる画面ロック状態と、認証コード入力画面72を表示させるコード入力状態と、タッチパネル171を非表示にするスリープ状態との間で、状態が遷移する。
携帯端末37の電源がオフの状態、あるいは、スリープ状態のときに電源スイッチ172aが操作されると、端末コントローラ130は、図7に示すように、タッチパネル171の表示画面にロック画面71を表示させ、携帯端末37を画面ロック状態とする。ロック画面71には、例えば、日時情報として、現在の日付、時刻、曜日を示す日時画像70aが表示される。
画面ロック状態でホームボタン172bが操作されると、端末コントローラ130は、画面ロック状態からコード入力状態に状態を遷移させ、図8に示すように、認証コード入力画面72を表示させる。認証コード入力画面72は、作業従事者の操作により認証コードの入力が可能な画面であり、0~9までの数字を入力するための数字入力部72aと、入力をキャンセルして認証コード入力画面72を初期状態に戻すためのキャンセル部72bと、認証コードの入力を作業従事者に促すメッセージ画像72cとを有する。
作業従事者によって数字入力部72aがタッチ操作されることにより認証コード(例えば、数字の組み合わせ)が入力されると、端末コントローラ130は、入力された認証コード(以下、入力コードとも記す)が不揮発性メモリ133に予め記憶されている認証コード(以下、登録コードとも記す)に一致するか否かを判定する。端末コントローラ130は、入力コードが登録コードに一致した場合、動作モードをロックモードから通常モード(ロック解除モード)に切り替える。端末コントローラ130は、入力コードが登録コードに一致しない場合、ロックモードを維持する。
動作モードがロックモードから通常モードに切り替えられると、端末コントローラ130は、図9に示すように、タッチパネル171の表示画面にホーム画面73を表示させる。ホーム画面73には、携帯端末37にインストールされている複数のアプリケーションを実行させるためのアプリアイコン73a,73b,73c,73dが表示される。アプリアイコン73aは、監視アプリケーション136を実行させるためのアイコンである。アプリアイコン73bは、Webアプリケーション137を実行させるためのアイコンである。
作業従事者によってアプリアイコン73aがタッチ操作されると、端末コントローラ130は、監視アプリケーション136を実行する。監視アプリケーション136が実行されることにより、図10に示すように、タッチパネル171の表示画面にアプリ画面75が表示される。
アプリ画面75には、運転状態表示領域75a、通信接続アイコン75b、ノーマル運転モードアイコン75c1、パワフル運転モードアイコン75c2、低速運転モードアイコン75c3、モード切替ボタン75d、モード遷移方向表示領域75e、運転・停止ボタン75f、復帰ボタン75g、メッセージ表示領域75h、及びメニューアイコン75mが表示される。
運転状態表示領域75aは、空気圧縮機36の動作状況を監視するための監視領域であり、空気タンク24,25内の圧力、及び、空気圧縮機36の運転状態を表す情報が表示される。運転状態表示領域75a内の下部には、メッセージ表示領域75hが形成される。メッセージ表示領域75hは、作業従事者に対して、注意喚起を促すためのメッセージ、及び、空気圧縮機36が異常停止した場合に、その原因と対策を知らせるためのメッセージ等が表示される領域である。
通信接続アイコン75bは、空気圧縮機36に電力が供給されている状態のときにタッチ操作されると、携帯端末37と空気圧縮機36とを相互に通信可能な状態にしたり、通信接続状態を解除したりするための操作領域である。この通信接続アイコン75bがタッチ操作されると、空気圧縮機36と携帯端末37とがBluetoothにより相互に通信可能となる。
ノーマル運転モードアイコン75c1、パワフル運転モードアイコン75c2、及び低速運転モードアイコン75c3は、空気圧縮機36の運転モードについて表示する領域である。各運転モードアイコン75c1,75c2,75c3のうち、現在設定されている運転モードのアイコンは、ハイライト表示される。このため、作業従事者は、現在の運転モードの確認を容易に行うことができる。
モード切替ボタン75dは、運転モードを切り替える際にタッチ操作される操作領域である。モード切替ボタン75dは、ノーマル運転モードアイコン75c1、パワフル運転モードアイコン75c2、及び低速運転モードアイコン75c3の内周側に配置されている。モード切替ボタン75dがタッチ操作されると、携帯端末37からモード切替指令(操作指令)が空気圧縮機36に送信される。したがって、モード切替ボタン75dをタッチ操作することにより、空気圧縮機36の運転モードをパワフルモードからノーマルモードへ、ノーマルモードから低速モードへ、低速モードからパワフルモードへ切り替えることができる。
モード遷移方向表示領域75eは、モード切替ボタン75dの周囲に表示されており、運転モードの切り替え順序の方向を表示する矢印形状をしている。この矢印によってモード切替ボタン75dを操作する際に、作業従事者は、次はどの運転モードに遷移するかを視覚的に判断することができる。
運転・停止ボタン75fは、空気圧縮機36を運転させたり、停止させたりする際にタッチ操作される操作領域である。運転・停止ボタン75fがタッチ操作されると、携帯端末37から運転制御指令(操作指令)が空気圧縮機36に送信される。したがって、空気圧縮機36がスタンバイ状態であるときに、運転・停止ボタン75fをタッチ操作することにより、空気圧縮機36の運転を開始することができる。また、空気圧縮機36が圧力制御運転状態であるときに、運転・停止ボタン75fをタッチ操作することにより、空気圧縮機36の運転を停止することができる。
復帰ボタン75gは、高温異常、低電圧異常等により空気圧縮機36の運転が停止した後、空気圧縮機36の運転を再開するためにタッチ操作される操作領域である。この復帰ボタン75gがタッチ操作されると、空気圧縮機36が異常停止状態(高温異常停止状態または低電圧異常停止状態)から圧力制御運転状態に復帰する。
メニューアイコン75mは、各種設定画面、問い合わせ画面等を表示させる際に用いられる操作領域である。
このように、アプリ画面75には、空気圧縮機36の運転状態に関する情報が表示されるため、作業従事者は、アプリ画面75を目視することにより、空気圧縮機36の運転状態を遠隔から監視することができる。また、アプリ画面75には、運転・停止ボタン75f等の操作領域が設けられているため、空気圧縮機36を遠隔から操作することができる。
ところで、可搬型の空気圧縮機は、建設現場での釘打ち、塗装等の空気供給源として使用される。建設現場では、空気圧縮機を仮設置された電源付近に置き、空気圧縮機に電源を入れた後、作業従事者は空気圧縮機の設置場所から作業場所まで移動し、エアホースを介して空気圧縮機から供給される空気を用いて作業を行う。このため、空気圧縮機は、作業従事者の目の届かないところに置かれたまま、運転されることになる。つまり、作業従事者は、基本的には、空気圧縮機の傍に常駐することはない。
遠隔操作ができない空気圧縮機では、空気圧縮機を操作するためには、一旦作業を中断して、空気圧縮機の設置場所まで行き、空気圧縮機に一体に設けられる操作部によって操作を行う必要がある。また、エラーにより空気圧縮機が停止した場合に、停止の原因を確認するためにも、一旦作業を中断して、空気圧縮機の設置場所まで行き、空気圧縮機に一体に設けられる表示部によって、停止の原因(エラーの内容)を確認する必要がある。
これに対して、本実施形態では、携帯端末37によって、遠隔から空気圧縮機36の操作が可能であるとともに、空気圧縮機36の運転状態を監視することが可能である。このため、空気圧縮機36を操作するために、あるいはエラーの内容の確認等のために、作業場所から離れて空気圧縮機36の設置場所まで行く必要がなくなる。このため、作業が中断される時間を短縮することができ、作業効率を向上することができる。
作業従事者は、釘打ち、塗装等の作業を行っている間、携帯端末37を衣服のポケット等に収納していることがある。このため、作業従事者は、作業中、空気圧縮機36の運転状態を携帯端末37の表示画面によって確認することができない。そこで、本実施形態では、携帯端末37の端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態を監視し、運転状態が変化したときに、作業従事者に空気圧縮機36の運転状態の変化を知らせるための報知処理を実行する。以下、携帯端末37による報知処理の内容について、詳しく説明する。なお、作業従事者に対して報知を行う装置である振動装置174、音出力装置175及び発光装置176を総称して報知装置とも記す。
図11は、空気圧縮機システム39の機能ブロック図である。図11では、主に、空気圧縮機36の運転状態が変化したときに、携帯端末37によって、そのことを作業従事者(携帯端末37の使用者)に知らせる報知処理に関する機能について示している。図11に示すように、携帯端末37の端末コントローラ130は、不揮発性メモリ133に記憶されている監視アプリケーション136、支援プログラム134等を実行することにより、通信制御部143、表示制御部141、判定部142、振動制御部144、音制御部145、及び、発光制御部146として機能する。
表示制御部141は、作業従事者により操作される入力部としてのタッチパネル171から入力される信号、及び、空気圧縮機36から送信され無線通信装置173を介して入力される信号等に基づいて、所定の表示制御信号を表示部としてのタッチパネル171に出力し、タッチパネル171に所定の表示画像(例えば、図10に示すアプリ画面75)を表示させる。
通信制御部143は、タッチパネル171から通信接続アイコン75bがタッチ操作されたことを表す信号が入力されると、空気圧縮機36と相互通信が可能な状態とする。
本実施形態では、空気圧縮機36のサブコントローラ40aは、不揮発性メモリ186に記憶されているプログラムを実行することにより、通信制御部152として機能する。通信制御部152は、携帯端末37から送信され無線通信装置42によって受信された携帯端末37からの操作指令を取得し、メインコントローラ30aに出力する。通信制御部152は、空気圧縮機36の運転状態情報、物理量情報及び通知情報を無線通信装置42を介して、携帯端末37に送信する。
通信制御部152は、空気圧縮機36の運転状態情報をメインコントローラ30aから取得する。運転状態情報には、空気圧縮機36がスタンバイ状態、圧力制御運転状態、圧縮運転動作状態、圧縮運転停止状態、高温運転制限状態、高温異常停止状態、低電圧運転制限状態、低電圧異常停止状態等、現在の空気圧縮機36の運転状態を表す情報(動作状況情報)が含まれる。また、運転状態情報には、ノーマルモードが設定されている状態、パワフルモードが設定されている状態、低速モードが設定されている状態のいずれかの状態であることを表す情報(モード設定情報)が含まれる。
通信制御部143は、空気圧縮機36から送信され無線通信装置173によって受信された空気圧縮機36の運転状態情報、物理量情報及び通知情報を取得する。
表示制御部141は、通信制御部143で取得した運転状態情報及び物理情報に基づいて、アプリ画面75を構成する画像を生成し、タッチパネル171に運転状態情報に対応する画像をアプリ画面75(図10参照)に表示させる。表示制御部141は、通信制御部143で取得した通知情報に基づいて、通知情報に含まれるメッセージをタッチパネル171の表示画面に表示させるプッシュ通知処理を行う。
判定部142は、通信制御部143によって取得した空気圧縮機36の情報に基づいて、以下の報知条件1A~5が成立したか否かを判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転状態がスタンバイ状態から圧力制御運転状態に変化したことを検出した場合、報知条件1Aが成立したと判定する。判定部142は、スタンバイ状態が維持されている間は、報知条件1Aは成立していないと判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転状態が圧力制御運転状態からスタンバイ状態に変化したことを検出した場合、報知条件1Bが成立したと判定する。判定部142は、圧力制御運転状態が維持されている間は、報知条件1Bは成立していないと判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転動作状態から圧縮運転停止状態に変化したことを検出した場合、報知条件2Aが成立したと判定する。判定部142は、圧縮運転動作状態が維持されている間は、報知条件2Aは成立していないと判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転停止状態から圧縮運転動作状態に変化したことを検出した場合、報知条件2Bが成立したと判定する。判定部142は、圧縮運転停止状態が維持されている間は、報知条件2Bは成立していないと判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転状態が圧力制御運転状態から高温運転制限状態に変化したことを検出した場合、報知条件3Aが成立したと判定する。判定部142は、圧力制御運転状態が維持されている間は、報知条件3Aは成立していないと判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転状態が高温運転制限状態から高温異常停止状態に変化したことを検出した場合、報知条件3Bが成立したと判定する。判定部142は、高温運転制限状態が維持されている間は、報知条件3Bは成立していないと判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転状態が圧力制御運転状態から低電圧運転制限状態に変化したことを検出した場合、報知条件3Cが成立したと判定する。判定部142は、圧力制御運転状態が維持されている間は、報知条件3Cは成立していないと判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転状態が低電圧運転制限状態から低電圧異常停止状態に変化したことを検出した場合、報知条件3Dが成立したと判定する。判定部142は、低電圧運転制限状態が維持されている間は、報知条件3Dは成立していないと判定する。
判定部142は、空気圧縮機36の運転モードが切り替えられたことを検出した場合、報知条件4が成立したと判定する。判定部142は、空気圧縮機36の運転モードが切り替えられたことを検出していない場合、報知条件4は成立していないと判定する。
なお、空気圧縮機36の運転状態の変化の検出方法は、種々の方法を採用することができる。運転状態の変化の検出方法の一例としては、判定部142は、所定の周期で繰り返し取得される空気圧縮機36の運転状態情報を監視し、取得した運転状態が異なる運転状態に切り替わった場合に、運転状態の変化を検出したものとすることができる。この具体例について説明する。判定部142は、所定の周期で繰り返し取得される運転状態情報に基づいて判定処理を行う。判定部142は、前回(例えば1つ前)の処理サイクルで取得した運転状態情報と、今回の処理サイクルで取得した運転状態情報とを比較する。判定部142は、前回の処理サイクルで取得した運転状態情報がスタンバイ状態であることを表す情報であり、今回の処理サイクルで取得した運転状態情報が圧力制御運転状態情報である場合、空気圧縮機36の運転状態が、スタンバイ状態から圧力制御運転状態に変化したことを検出したものとする。
また、運転状態の変化の検出方法の別の例としては、判定部142は、空気圧縮機36の運転状態が変化したことを表す通知情報を取得した場合に、運転状態の変化を検出したものとすることもできる。
判定部142は、携帯端末37と空気圧縮機36との間の通信状態を監視し、携帯端末37と空気圧縮機36との間の無線通信が途絶えた場合、報知条件5が成立したと判定する。判定部142は、空気圧縮機36との通信が途絶えていない場合、報知条件5は成立していないと判定する。例えば、判定部142は、空気圧縮機36から送信され無線通信装置173で受信した電波の強度が閾値以下である状態が予め定められた所定時間継続された場合には、空気圧縮機36との通信が途絶えたものとして報知条件5が成立したと判定する。判定部142は、それ以外の場合には空気圧縮機36との通信は途絶えていないものとして報知条件5は成立していないと判定する。
振動制御部144、音制御部145及び発光制御部146は、不揮発性メモリ133に記憶されている報知パターンデータ139を参照し、成立した報知条件に対応する報知パターンを選択する。報知パターンデータ139は、監視アプリケーション136のインストールの際に、端末コントローラ130の不揮発性メモリ133に記憶される。図12は、不揮発性メモリ133に記憶されている報知パターンデータ139の一例について示す図である。
図12に示すように、報知パターンデータ139としては、振動報知パターンデータ139aと、音報知パターンデータ139bと、光報知パターンデータ139cとがある。報知パターンデータ139は、複数の報知条件のそれぞれに対応して報知回数(振動回数、出力回数及び点灯回数)[回]と、報知時間(振動時間、出力時間及び点灯時間)[秒]と、無報知時間(無振動時間、無出力時間及び消灯時間)[秒]とが記憶されたデータテーブルである。報知回数とは、報知装置(振動装置174、音出力装置175及び発光装置176)を駆動させる回数のことを指し、報知時間とは、報知装置を連続して駆動させる時間のことを指す。無報知時間とは、報知装置により報知が繰り返し行われる場合(すなわち報知回数が2回以上の場合)に、報知装置を報知時間だけ駆動させて停止してから次に報知装置を駆動させるまでの間の時間のことを指す。なお、本実施形態では、報知回数には有限の値が設定される例について説明するが、これに限らず、作業従事者による確認操作がなされるまで報知が行われるようにしてもよい。
振動報知パターンデータ139aは、各振動報知パターンと各報知条件とが対応付けられて記憶されたデータである。振動報知パターンは、振動回数(報知回数)、振動時間(報知時間)及び無振動時間(無報知時間)によって構成される。振動回数とは、振動装置174によって携帯端末37を振動させる回数である。振動時間とは、振動装置174によって携帯端末37を連続して振動させる時間である。無振動時間とは、携帯端末37を繰り返し振動させる場合に、振動装置174を振動時間だけ駆動させて停止してから次に振動装置174を駆動させるまでの間の時間である。
音報知パターンデータ139bは、各音報知パターンと各報知条件とが対応付けられて記憶されたデータである。音報知パターンは、出力回数(報知回数)、出力時間(報知時間)及び無出力時間(無報知時間)によって構成される。出力回数とは、音出力装置175によってビープ音などの音を出力させる回数である。出力時間とは、音出力装置175によって音を連続して出力させる時間である。無出力時間とは、音を繰り返し出力させる場合に、音出力装置175を出力時間だけ駆動させて停止してから次に音出力装置175を駆動させるまでの間の時間である。
光報知パターンデータ139cは、各光報知パターンと各報知条件とが対応付けられて記憶されたデータである。光報知パターンは、点灯回数(報知回数)、点灯時間(報知時間)及び消灯時間(無報知時間)によって構成される。点灯回数とは、発光装置176によって光源を点灯させる回数である。点灯時間とは、発光装置176によって光源を連続して点灯させる時間である。消灯時間とは、光源を繰り返し点灯させる場合に、発光装置176を点灯時間だけ駆動させて停止してから次に発光装置176を駆動させるまでの間の時間である。
振動制御部144は、不揮発性メモリ133に記憶されている振動報知パターンデータ139aから成立した報知条件に対応する振動報知パターンを選択し、選択した振動報知パターンで携帯端末37が振動するように振動装置174を制御する。
音制御部145は、不揮発性メモリ133に記憶されている音報知パターンデータ139bから成立した報知条件に対応する音報知パターンを選択し、選択した音報知パターンで音が出力されるように音出力装置175を制御する。
発光制御部146は、不揮発性メモリ133に記憶されている光報知パターンデータ139cから成立した報知条件に対応する光報知パターンを選択し、選択した光報知パターンで光源が点灯するように発光装置176を制御する。
本実施形態では、監視アプリケーション136が実行されている場合において、タッチパネル171がタッチされない状態が所定時間継続すると、端末コントローラ130は、携帯端末37をスリープ状態にする。また、監視アプリケーション136が起動された後、電源スイッチ172aが操作されると、端末コントローラ130は、同様に、携帯端末37をスリープ状態にする。スリープ状態になると、表示制御部141は、タッチパネル171のバックライトを消灯し、アプリ画面75を非表示にする。
スリープ状態では、携帯端末37のタッチパネル171が非表示の状態となり、監視アプリケーション136は、その機能の一部が制限された制限状態(非アクティブ状態)となる。本実施形態では、スリープ状態において、監視アプリケーション136による空気圧縮機36の監視機能と操作機能が制限される。つまり、本実施形態では、監視アプリケーション136が通常状態(すなわち監視機能と操作機能が制限されていないアクティブな状態)であるときに、携帯端末37がスリープ状態になると、監視アプリケーション136が通常状態から制限状態へ遷移する。スリープ状態から上記監視機能と操作機能の制限が解除された通常状態に復帰するためには、電源スイッチ172aを操作してタッチパネル171にロック画面71を表示させ、ホームボタン172bを操作してタッチパネル171に認証コード入力画面72を表示させ、正しい認証コードを入力する必要がある。なお、タッチパネル171にロック画面71が表示されている画面ロック状態、及び、タッチパネル171に認証コード入力画面72が表示されているコード入力状態において、監視アプリケーション136は、バックグラウンドで動作する制限状態となっている。
また、監視アプリケーション136がフォアグラウンドで動作している通常状態であるときに、ホームボタン172bが操作されると、タッチパネル171にはホーム画面73が表示され、監視アプリケーション136が通常状態からバックグラウンドで動作する制限状態となる。
アプリアイコン73bがタッチ操作されると、監視アプリケーション136とは別のアプリケーションであるWebアプリケーション137が起動され、Webアプリケーション137がフォアグラウンドで動作する。この場合、監視アプリケーション136はバックグラウンドで動作する制限状態が維持される。
ここで、監視アプリケーション136が制限状態となった場合に、携帯端末37が空気圧縮機36との通信を中断してしまうと、空気圧縮機36からの運転状態の変化の検出をリアルタイムで行うことができなくなってしまう。この場合、作業従事者は、空気圧縮機36の運転状態の変化をリアルタイムで把握することができない。その結果、例えば、空気圧縮機36が異常停止している状態において、作業従事者による作業が継続され、作業中に必要な空気圧が得られなくなるおそれがある。必要な空気圧が確保できない状態で釘打ち作業が行われると、適切な釘打ち作業を行うことができず、釘打ち作業の中断、やり直し等が発生し、作業効率が低下してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、監視アプリケーション136が実行されている場合、端末コントローラ130は、監視アプリケーション136が制限状態となったとしても、制限が解除された通常状態のときと同じように空気圧縮機36と無線通信を行う。すなわち、端末コントローラ130は、監視アプリケーション136が制限状態となったとしても、空気圧縮機36から送信される運転状態情報を所定の時間間隔で繰り返し取得し、空気圧縮機36の運転状態に変化があった場合、及び、携帯端末37と空気圧縮機36との間の無線通信が途絶えた場合に、報知条件に応じた報知処理を行う。
これにより、本実施形態によれば、監視アプリケーション136が実行されることにより、その後、監視アプリケーション136が制限状態になったとしても、通常状態のときと同様、空気圧縮機36の運転状態の変化をリアルタイムで作業従事者に知らせることができる。
次に、本実施形態に係る空気圧縮機36の携帯端末37による操作及び監視の流れについて図13を参照して説明する。図13は、空気圧縮機36の操作及び監視の流れについて説明する図である。
図13に示すように、まず、作業従事者が空気圧縮機36の電源プラグを電源部41に接続し、製品を通電状態(スタンバイ状態)にする(ステップc1)。
スタンバイ状態であるときに、作業従事者が操作部34の運転・停止スイッチ34a1を押すと(ステップc2)、空気圧縮機36が圧力制御運転を開始する(ステップc3)。
作業従事者は、操作部34の操作に代えて、携帯端末37による遠隔操作を行うことにより、空気圧縮機36の圧力制御運転を開始させることもできる。具体的には、作業従事者が携帯端末37の監視アプリケーション136を立ち上げて(ステップs1)、携帯端末37に表示されるアプリ画面75の通信接続アイコン75bをタッチ操作すると、空気圧縮機36と携帯端末37との通信接続が行われる。空気圧縮機36と携帯端末37とが相互に通信可能な状態になった後、作業従事者が、携帯端末37に表示されるアプリ画面75の運転・停止ボタン75fをタッチ操作すると(ステップs2)、空気圧縮機36が圧力制御運転を開始する(ステップc3)。
なお、圧力制御運転が開始された後、作業従事者は、携帯端末37に表示されるアプリ画面75のモード切替ボタン75dをタッチ操作することにより運転モードを切り替えることができる。
空気圧縮機36が圧力制御運転を行っている間、空気圧縮機36から空気圧縮機36の運転状態情報、物理量情報及び通知情報が携帯端末37に送信される(ステップc4)。携帯端末37では、空気圧縮機36から送信される情報に基づいて、空気圧縮機36の運転状態及びタンク内圧力等の情報がアプリ画面75の運転状態表示領域75aに表示される。空気圧縮機36の運転に異常が生じた場合、異常が生じていることが運転状態表示領域75aに表示される。この場合、異常が生じた原因及びその異常に対する対策等のメッセージがアプリ画面75のメッセージ表示領域75hに表示される(ステップs3)。
空気圧縮機36の運転状態が変化した場合には、振動、音及び光による報知処理が行われる(ステップs4)。なお、空気圧縮機36の運転状態が変化した場合にはプッシュ通知によるメッセージの表示も行われる。
空気圧縮機36が圧力制御運転状態であるときに、作業従事者が操作部34の運転・停止スイッチ34a1を押すと(ステップc5)、空気圧縮機36が圧力制御運転を終了し、スタンバイ状態となる(ステップc6)。
作業従事者は、操作部34の操作に代えて、携帯端末37による遠隔操作を行うことにより、空気圧縮機36の圧力制御運転を停止させて、スタンバイ状態にすることもできる。作業従事者は、携帯端末37に表示されるアプリ画面75の運転・停止ボタン75fをタッチ操作することにより(ステップs5)、空気圧縮機36の圧力制御運転を停止させ、空気圧縮機36の運転状態をスタンバイ状態とすることができる(ステップc6)。
図14を参照して、上記報知動作(ステップs4)の具体例について説明する。図14は、空気圧縮機36の運転状態の変化に応じた報知装置(振動装置174、音出力装置175及び発光装置176)の動作について示すタイムチャートである。
作業従事者によって携帯端末37に表示されるアプリ画面75の運転・停止ボタン75f(図10参照)がタッチ操作されると、図14に示すように、空気圧縮機36が圧力制御運転を開始する(時点t0)。これにより、報知条件1Aが成立するため、報知回数が1回、報知時間が1.5秒の報知パターンで報知装置が駆動する。
その後、空気圧縮機36は、圧縮運転を行うことによりタンク内圧力Pが上昇する。タンク内圧力Pが上限側閾値P2aまで上昇すると、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転動作状態から圧縮運転停止状態に変化する(時点t1)。これにより、報知条件2Aが成立するため、報知回数が2回、報知時間が0.5秒、無報知時間が0.5秒の報知パターンで報知装置が駆動する。
その後、作業従事者の釘打ち作業等により空気が消費されると、タンク内圧力Pが減少する。タンク内圧力Pが下限側閾値P1aまで低下すると、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転停止状態から圧縮運転動作状態に変化する(時点t2)。これにより、報知条件2Bが成立するため、報知回数が1回、報知時間が0.5秒の報知パターンで報知装置が駆動する。
時点t0から携帯端末37のタッチパネル171がタッチされない状態が所定時間継続され、時点t3において携帯端末37がスリープ状態になる。つまり、時点t3において、監視アプリケーション136は、通常状態から制限状態に遷移する。
その後、時点t4において、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転動作状態から圧縮運転停止状態に変化すると、時点t1のときと同様、報知条件2Aが成立するため、報知回数が2回、報知時間が0.5秒、無報知時間が0.5秒の報知パターンで報知装置が駆動する。
その後、時点t5において、空気圧縮機36の運転状態が圧力制御運転状態から運転制限状態(例えば、高温運転制限状態)に変化すると、報知条件3Aが成立するため、報知回数が3回、報知時間が1秒、無報知時間が0.5秒の報知パターンで報知装置が駆動する。
運転制限状態(例えば、高温運転制限状態)では、タンク内圧力Pの下限側閾値にP1aよりも低いP1bが設定されるとともに、タンク内圧力Pの上限側閾値にP2aよりも低いP2bが設定される。
このため、タンク内圧力Pが下限側閾値P1bまで低下すると、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転停止状態から圧縮運転動作状態に変化する(時点t6)。これにより、報知条件2Bが成立するため、報知回数が1回、報知時間が0.5秒の報知パターンで報知装置が駆動する。
その後、タンク内圧力Pが上限側閾値P2bまで上昇すると、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転動作状態から圧縮運転停止状態に変化する(時点t7)。これにより、報知条件2Aが成立するため、報知回数が2回、報知時間が0.5秒、無報知時間が0.5秒の報知パターンで報知装置が駆動する。
時点t8では、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転停止状態から圧縮運転動作状態に変化するため、時点t6と同様に報知装置が駆動する。
その後、時点t9において、空気圧縮機36の運転状態が運転制限状態から異常停止状態(例えば、高温異常停止状態)に変化すると、報知条件3Bが成立するため、報知回数が50回、報知時間が2秒、無報知時間が0.5秒の報知パターンで報知装置が駆動する。
このように、本実施形態では、監視アプリケーション136が通常状態であるか制限状態であるかにかかわらず、空気圧縮機36の運転状態が変化するたびに、報知装置による報知が行われる。このため、作業従事者は、空気圧縮機36の運転状態の変化をリアルタイムで認識することができる。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)携帯端末37の端末コントローラ(制御装置)130は、監視アプリケーション136が実行されている場合において、監視アプリケーション136の機能の一部が制限された制限状態であるか、上記制限が解除された通常状態であるかにかかわらず、空気圧縮機(流体機械)36の運転状態の変化を検出した場合に、振動装置174を制御することにより携帯端末37を振動させる。これにより、監視アプリケーション136が通常状態であるときだけでなく、制限状態であるときにも、空気圧縮機(流体機械)36の運転状態が変化したことを携帯端末37の使用者(作業従事者)に適切に知らせることができる。
特に、釘打ち作業、塗装作業等、空気圧縮機36を用いた作業では、作業従事者は、空気圧縮機36の傍に常駐することはなく、空気圧縮機36の設置場所から離れた作業場所で作業を行う。このため、空気圧縮機36からの報知のみでは、作業従事者に運転状態の変化を適切に知らせることが難しい。本実施形態では、空気圧縮機36の設置場所から離れた作業場所で作業従事者が作業している場合であって、携帯端末37がスリープ状態になるなどして監視アプリケーション136が制限状態になっているときであっても、空気圧縮機36の運転状態が変化すると、携帯端末37が振動することになる。したがって、作業従事者は、空気圧縮機36の運転状態の変化を適切に監視することができる。作業従事者は、空気圧縮機36の運転状態に応じて作業を行うことができるため、作業効率の向上を図ることができる。
(2)監視アプリケーション136が通常状態であるときに、携帯端末37がスリープ状態になると、監視アプリケーション136が通常状態から制限状態へ遷移する。例えば、作業従事者が、監視アプリケーション136を起動させた後、携帯端末37を衣服のポケットに収納した状態で、釘打ち等の作業を行っている間に、携帯端末37がスリープ状態になった場合であっても、空気圧縮機36の運転状態に変化があった場合には、携帯端末37が振動することになる。つまり、本実施形態によれば、携帯端末37がスリープ状態になっている場合においても、空気圧縮機36の運転状態の変化を作業従事者に適切に知らせることができる。
なお、仮に、携帯端末37がスリープ状態になることにより、空気圧縮機36との無線通信が中断される場合には、時間の経過によって、携帯端末37がスリープ状態にならない設定を行うことで、作業中に運転状態の変化を振動により認識することはできる。しかしながら、この場合、タッチパネル171には、アプリ画面75が常に表示されることになるため、携帯端末37の電力消費が大きい。これに対して、本実施形態では、携帯端末37がスリープ状態になっている場合にも、運転状態の変化が振動により報知される。このため、作業中は、携帯端末37をスリープ状態にしておくことにより、携帯端末37の電力消費を抑えることができる。
(3)監視アプリケーション136がフォアグラウンドで動作している通常状態であるときに、所定の操作(例えば、ホームボタン172bに対する操作)がなされると、監視アプリケーション136が通常状態からバックグラウンドで動作する制限状態へ遷移する。また、監視アプリケーション136とは別のアプリケーション(例えば、Webアプリケーション137)が起動された場合、監視アプリケーション136はバックグラウンドで動作する制限状態を維持する。
このため、例えば、作業従事者が、監視アプリケーション136を起動させた後、Webアプリケーション137を起動し、Web画面を閲覧している間であっても、空気圧縮機36の運転状態に変化があった場合には、携帯端末37が振動することになる。つまり、本実施形態によれば、監視アプリケーション136はフォアグラウンドで動作しているときだけでなく、監視アプリケーション136がバックグラウンドで動作しているときにおいても、空気圧縮機36の運転状態の変化を作業従事者に適切に知らせることができる。
(4)報知が行われる空気圧縮機(流体機械)36の運転状態の変化として、圧縮運転停止状態(停止状態)から圧縮運転動作状態(動作状態)への変化が含まれている。このため、作業従事者は、圧縮運転が開始されたことを作業中に知ることができる。また、報知が行われる空気圧縮機(流体機械)36の運転状態の変化として、圧縮運転動作状態(動作状態)から圧縮運転停止状態(停止状態)への変化が含まれている。このため、作業従事者は、圧縮運転が停止されたことを作業中に知ることができる。空気圧縮機36の圧縮運転の開始と停止は、定期的に(例えば数分ごとに)行われる。作業従事者は、空気圧縮機36の圧縮運転の開始から停止までの時間、及び圧縮運転の停止から開始までの時間を把握することができるので、複数の運転モードの中から最適な運転モードを選択する際の参考にすることができる。このため、作業効率の向上を図ることができる。さらに、作業従事者は、空気圧縮機36が実際に稼働していることを把握することができるので、空気圧縮機36が盗難されていないことを認識できる。
(5)報知が行われる空気圧縮機(流体機械)36の運転状態の変化として、正常状態から異常状態への変化が含まれる。このため、作業従事者は、空気圧縮機36が異常状態であることを直ちに知ることができる。
本実施形態では、正常状態である圧力制御運転状態から異常状態である高温運転制限状態に変化した場合に携帯端末37が振動するため、作業従事者は、空気圧縮機36の周囲温度が高くなっていることを知ることができる。したがって、作業従事者は、温度上昇を抑えるために、作業時間の調整を行うなどの対策を適切に行うことができる。また、空気圧縮機36が高温異常停止状態となる前に、空気圧縮機36の温度が上昇しにくい場所への設置の変更等の検討を行うことができる。また、空気圧縮機36の運転状態が、高温運転制限状態から高温異常停止状態へ変化した場合に携帯端末37が振動するため、作業従事者は、空気圧縮機36の復帰作業が必要であることを直ちに知ることができる。
本実施形態では、正常状態である圧力制御運転状態から異常状態である低電圧運転制限状態に変化した場合に携帯端末37が振動するため、作業従事者は、空気圧縮機36の電源電圧が低くなっていることを知ることができる。また、空気圧縮機36が低電圧異常停止状態となる前に、安定して高電圧が得られる電源を確保するなどの対策を行うことができる。また、空気圧縮機36の運転状態が、低電圧運転制限状態から低電圧異常停止状態へ変化した場合に携帯端末37が振動するため、作業従事者は、空気圧縮機36の復帰作業が必要であることを直ちに知ることができる。
(6)端末コントローラ(制御装置)130は、空気圧縮機(流体機械)36の運転状態の変化を検出した場合に、携帯端末37を振動させるとともに、携帯端末37が備える音出力装置175及び発光装置176を制御することにより、携帯端末37の使用者に対して空気圧縮機(流体機械)36の運転状態の変化を知らせるための報知を行う。これにより、例えば、携帯端末37を作業台等に置いておくなど、作業従事者が携帯端末37を携帯していないときにおいて、音あるいは光によって作業従事者に空気圧縮機36の運転状態の変化を適切に知らせることができる。
(7)端末コントローラ(制御装置)130は、携帯端末37と空気圧縮機(流体機械)36との間の無線通信が途絶えた場合に、携帯端末37を振動装置174によって振動させる。無線通信が途絶えた場合に、携帯端末37を振動装置174によって振動させない場合、作業従事者は、空気圧縮機36の運転状態の変化が無い状態が継続されていると勘違いをしてしまうおそれがある。この場合、空気圧縮機36に異常(高温異常、低電圧異常)が発生した場合に、作業従事者はその異常を認識することができない。これに対して、本実施形態では、無線通信が途絶えた場合には、振動装置174によって携帯端末37が振動するため、直ちに、無線通信の再接続を試みることができる。その結果、空気圧縮機36の異常の発生等を適切に認識することができる。また、空気圧縮機36の電源プラグが抜かれた場合、携帯端末37と空気圧縮機36との間の無線通信が途絶えるため、携帯端末37が振動することになる。したがって、作業従事者は、空気圧縮機36の電源プラグが抜かれるなどの異常が発生したことを直ちに知ることができる。
なお、上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
<変形例1>
上記実施形態では、空気圧縮機36の運転状態が変化した場合に、携帯端末37が振動するとともに、音と光による報知が行われる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
<変形例1-1>
図15は、本実施形態の変形例1-1に係る携帯端末37に表示される設定画面76の一例について示す図である。図10に示すアプリ画面75において、作業従事者が、メニューアイコン75mをタッチ操作し、設定画面の表示を選択すると、図15に示す設定画面76が表示される。
図15に示すように、設定画面76には、振動報知機能切替スイッチ76aと、音報知機能切替スイッチ76bと、光報知機能切替スイッチ76cとが表示される。
振動報知機能切替スイッチ76aは、タッチ操作により、振動報知機能を有効にする振動有効モードと、振動報知機能を無効にする振動無効モードとを選択的に切り替えるための操作領域である。音報知機能切替スイッチ76bは、タッチ操作により、音報知機能を有効にする音有効モードと、音報知機能を無効にする音無効モードとを選択的に切り替えるための操作領域である。光報知機能切替スイッチ76cは、タッチ操作により、光報知機能を有効にする光有効モードと、光報知機能を無効にする光無効モードとを選択的に切り替えるための操作領域である。
端末コントローラ130は、振動報知機能切替スイッチ76aがオン位置に操作されると、振動有効モードを設定し、振動報知機能切替スイッチ76aがオフ位置に操作されると、振動無効モードを設定する。振動有効モードが設定されている状態では、端末コントローラ130は、上記実施形態で説明したように、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合、そのことを表す報知パターンで携帯端末37が振動するように振動装置174を制御し、振動装置174による報知を行う。振動無効モードが設定されている状態では、端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合、振動装置174による報知は行わない。
端末コントローラ130は、音報知機能切替スイッチ76bがオン位置に操作されると、音有効モードを設定し、音報知機能切替スイッチ76bがオフ位置に操作されると、音無効モードを設定する。音有効モードが設定されている状態では、端末コントローラ130は、上記実施形態で説明したように、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合、そのことを表す報知パターンで音が出力されるように音出力装置175を制御し、音出力装置175による報知を行う。音無効モードが設定されている状態では、端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合、音出力装置175による報知は行わない。
端末コントローラ130は、光報知機能切替スイッチ76cがオン位置に操作されると、光有効モードを設定し、光報知機能切替スイッチ76cがオフ位置に操作されると、光無効モードを設定する。光有効モードが設定されている状態では、端末コントローラ130は、上記実施形態で説明したように、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合、そのことを表す報知パターンで光源が点灯するように発光装置176を制御し、発光装置176による報知を行う。光無効モードが設定されている状態では、端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合、発光装置176による報知は行わない。
このように、本変形例では、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に携帯端末37を振動させる振動有効モードと、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に携帯端末37を振動させない振動無効モードとを選択的に切り替え可能である。このため、例えば、携帯端末37を監視モニタとして、作業場所の近くに置いておくときなどに振動無効モードを選択しておくことで、携帯端末37が振動によって倒れてしまうことを防止できる。なお、この場合、音報知機能または光報知機能を有効にしておくことで、作業従事者は、空気圧縮機36の運転状態の変化を認識することができる。
また、本変形例では、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に携帯端末37の音出力装置175による報知を行う音有効モードと、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に携帯端末37の音出力装置175による報知を行わない音無効モードとを選択的に切り替え可能である。このため、例えば、携帯端末37を衣服のポケット等に収納しているときなどに音無効モードを選択しておくことで、音による報知がなされないようにすることができる。
さらに、本変形例では、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に携帯端末37の発光装置176による報知を行う光有効モードと、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に携帯端末37の発光装置176による報知を行わない光無効モードとを選択的に切り替え可能である。このため、例えば、携帯端末37を衣服のポケット等に収納しているときなどに光無効モードを選択しておくことで、光による報知がなされないようにすることができる。
以上のように、本変形例によれば、作業従事者によって、携帯端末37の使用形態に応じて報知方法を任意に選択することができるので使い勝手がよい。なお、振動報知機能、音報知機能及び光報知機能が無効にされた場合であっても、運転状態が変化した場合には、プッシュ通知がなされるようにすることが好ましい。
<変形例1-2>
報知機能の有効と無効の選択は、報知条件ごとに設定できるようにしてもよい。図16は、本実施形態の変形例1-2に係る携帯端末37に表示される設定画面76の一例について示す図である。図10に示すアプリ画面75において、作業従事者が、メニューアイコン75mをタッチ操作し、振動報知機能の設定画面の表示を選択すると、図16に示す設定画面76が表示される。
図16に示すように、設定画面76には、各報知条件1A~5が成立した場合における振動報知機能を有効とするか無効とするかの選択が可能な振動報知機能切替スイッチ76a1~76a10が表示される。これにより、例えば、作業現場の電源電圧が不安定であり、低電圧制限運転となることが避けられないような状況において、作業従事者は、振動報知機能切替スイッチ76a7をオフ位置に切り換えて、圧力制御運転状態(通常運転状態)から低電圧制限運転状態(制限運転状態)に変化した場合の振動報知機能を無効とすることができる。これにより、電圧センサ30eで検出される直流電圧が、第1電圧閾値よりも低くなったり高くなったりすることが繰り返されるような場合に、頻繁に振動による報知が行われることを防止できるので、作業従事者は煩わしさを感じることなく作業を行うことができる。
<変形例2>
上記実施形態では、振動報知パターンデータ139a、音報知パターンデータ139b及び光報知パターンデータ139cの報知パターン(報知回数、報知時間及び無報知時間)が、それぞれ同じように設定される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。振動報知パターンデータ139a、音報知パターンデータ139b及び光報知パターンデータ139cの報知パターンは、それぞれ異なるように設定してもよい。例えば、上記実施形態では、報知条件1Aが成立したときには、報知回数が1回、報知時間が1.5秒の報知パターンで、振動、音及び光による報知が行われていた。これに対して、本変形例では、例えば、報知条件1Aが成立したときには、報知回数が1回、報知時間が1.5秒の報知パターンで振動による報知を行うとともに、報知回数が2回、報知時間が2秒、無報知時間が1秒の報知パターンで音及び光による報知を行うようにすることができる。
<変形例3>
作業従事者が、報知パターンの設定を行えるようにしてもよい。この場合、端末コントローラ130は、予め不揮発性メモリ133に記憶されている報知パターンデータ139の報知パターンをタッチパネル171に対する操作に応じて、書き換える書換処理を行う。
このように、本変形例では、携帯端末37に対する操作に基づいて、報知のパターンの設定が可能である。このため、例えば、図12に示す予め定められている報知パターンのうち、振動報知パターンデータ139aにおける報知条件1Aが成立したときの報知パターンのみを変更するといったこともできる。つまり、本変形例によれば、作業従事者の好みに応じた報知パターンを設定することができる。したがって、作業従事者は、空気圧縮機36の運転状態の変化の内容を容易に理解することができる。
なお、報知パターンの変更方法としては、報知回数、報知時間及び無報知時間のそれぞれの変更を可能にしてもよいし、予め定められた複数種類の報知パターンの中から作業従事者が任意に選択できるようにしてもよい。
<変形例4>
上記実施形態では、端末コントローラ130は、音出力装置175によって、ビープ音などの音を所定の報知パターンで出力する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
<変形例4-1>
端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態が変化した場合、ビープ音などの音に代えて、空気圧縮機36の動作音を音出力装置175によって出力させるようにしてもよい。
本変形例に係る端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に、携帯端末37を振動装置174によって振動させるとともに、予め録音された空気圧縮機36の動作音を予め定められた所定時間だけ音出力装置175によって出力させる。空気圧縮機36の動作音としては、空気圧縮機36が圧縮運転動作状態であるときに、空気圧縮機36の近傍で予め録音した動作音を使用することができる。予め録音された動作音のデータは、監視アプリケーション136のインストールの際に、端末コントローラ130の不揮発性メモリ133に記憶される。なお、動作音を出力させる報知条件、及び、動作音の出力時間は、作業従事者によって任意に設定できるようにすることが好ましい。
また、動作音としては、圧縮運転を開始するときに発生する始動音と、圧縮運転を終了するときに発生する停止音とを使用することもできる。この場合、端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転停止状態から圧縮運転動作状態に変化したときには音出力装置175によって始動音を出力させ、空気圧縮機36の運転状態が圧縮運転動作状態から圧縮運転停止状態に変化したときには音出力装置175によって停止音を出力させることが好ましい。
本変形例では、空気圧縮機36の運転状態が変化した場合に、空気圧縮機36の動作音を出力することによる報知が行われる。このため、空気圧縮機36の運転状態の変化を、より容易に作業従事者に認識させることができる。
<変形例4-2>
端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態が変化した場合、ビープ音などの音に代えて、音声によるメッセージを音出力装置175によって出力させるようにしてもよい。
本変形例に係る端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に、携帯端末37を振動装置174によって振動させるとともに、音声を音出力装置175によって出力させる。運転状態の変化の内容を表すメッセージが、音声によって報知されるため、作業従事者は、運転状態の変化の内容に対応する報知パターンを覚えておく必要がなく、より容易に運転状態の変化を認識することができる。
<変形例4-3>
端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態が変化した場合、ビープ音などの音に代えて、携帯端末37の不揮発性メモリ133に記憶されている電話着信音、メール受信音などを音出力装置175によって出力させるようにしてもよい。
<変形例5>
上記実施形態では、空気圧縮機36の運転状態が正常状態(圧力制御運転状態)から異常状態(高温運転制限状態または低電圧運転制限状態)へ変化した場合に、報知装置による報知が行われる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。空気圧縮機36の運転状態が圧力制御運転状態から高温運転制限状態または低電圧運転制限状態へ変化した場合には、報知装置による報知を行わなくてもよい。この場合、空気圧縮機36の運転状態が正常状態(圧力制御運転状態)から異常状態(高温異常停止状態または低電圧異常停止状態)へ変化した場合には、報知装置による報知が行われる。
<変形例6>
上記実施形態では、空気圧縮機36の運転状態が、停止状態から動作状態へ変化したとき、動作状態から停止状態へ変化したとき、及び、正常状態から異常状態へ変化したときのそれぞれにおいて、報知装置による報知を行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。報知装置による報知を行う空気圧縮機36の運転状態の変化には、少なくとも、停止状態から動作状態への変化、動作状態から停止状態への変化、及び、正常状態から異常状態への変化のいずれかを含むようにすることができる。また、空気圧縮機36の運転状態が異常状態から正常状態に変化した場合(例えば、低電圧運転制限状態から圧力制御運転状態に変化した場合)に、報知装置による報知を行うようにしてもよい。
<変形例7>
上記実施形態では、空気圧縮機36の運転状態が変化した場合、携帯端末37は、振動するとともに音と光によって運転状態の変化を作業従事者に知らせる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。携帯端末37の端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に、携帯端末37を振動させるとともに、携帯端末37が備える音出力装置175及び発光装置176の少なくともいずれかを制御することにより、携帯端末37の使用者に対して空気圧縮機36の運転状態の変化を知らせるための報知を行うように構成することができる。また、音と光による報知は省略して、振動による報知のみを行うようにしてもよい。
<変形例8>
上記実施形態では、異常状態の例として、周囲温度が予め定めた所定の温度(閾値)以上となった状態(高温度運転制限状態及び高温度異常停止状態)及び直流電圧が予め定めた所定の電圧(閾値)以下となった状態(低電圧運転制限状態及び低電圧異常停止状態)について説明したが、本発明はこれに限定されない。
<変形例8-1>
例えば、周囲温度センサ35で検出された周囲温度が予め定めた所定の温度(閾値)以下となった状態を異常状態(低温度異常状態)として、正常状態からこの異常状態に遷移した場合に報知装置による報知を行うようにしてもよい。
<変形例8-2>
電圧センサ30eで検出された直流電圧が予め定めた所定の電圧(閾値)以上となった状態を異常状態(過電圧異常状態)として、正常状態からこの異常状態に遷移した場合に報知装置による報知を行うようにしてもよい。
<変形例8-3>
基板温度センサ32で検出された基板温度が予め定められた所定の温度(閾値)以上あるいは所定の温度(閾値)以下となった状態を異常状態として、正常状態からこの異常状態に遷移した場合に報知装置による報知を行うようにしてもよい。
<変形例8-4>
モータ温度・回転数センサ33で検出されたモータ6のコイル温度が予め定められた所定の温度(閾値)以上あるいは所定の温度(閾値)以下となった状態を異常状態として、正常状態からこの異常状態に遷移した場合に報知装置による報知を行うようにしてもよい。
<変形例8-5>
モータ6を回転駆動させているときに、モータ温度・回転数センサ33で検出されたモータ6の回転数が予め定められた所定の回転数(閾値)以下である状態が予め定められた所定時間以上継続された状態を異常状態として、正常状態からこの異常状態に遷移した場合に報知装置による報知を行うようにしてもよい。
<変形例9>
上記実施形態では、携帯端末37は、空気圧縮機36から携帯端末37に送信される運転状態情報あるいは通知情報に基づいて、運転状態の変化を検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。携帯端末37は、空気圧縮機36から携帯端末37に送信される物理量情報(タンク内圧力P、周囲温度等)に基づいて、運転状態の変化を検出するようにしてもよい。例えば、端末コントローラ130は、タンク内圧力Pが上限側閾値以上になった場合、圧縮運転動作状態から圧縮運転停止状態への変化を検出したものとして、報知装置による報知を行ってもよい。また、端末コントローラ130は、周囲温度が第1温度閾値以上になった場合、圧力制御運転状態から高温運転制限状態への変化を検出したものとして、報知装置による報知を行ってもよい。さらに、端末コントローラ130は、周囲温度が第2温度閾値以上になった場合、高温運転制限状態から高温異常停止状態への変化を検出したものとして、報知装置による報知を行ってもよい。
<変形例10>
空気圧縮機36の運転状態に応じて、図10に示す携帯端末37のタッチパネル(表示部)171の色を変化させるようにしてもよい。本変形例に係る端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態に応じて、携帯端末37のタッチパネル171に表示される矩形状の運転状態表示領域75aの色を変化させる。
端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態が、圧力制御運転状態であるときには、運転状態表示領域75a内の背景色を青色にする。また、端末コントローラ130は、運転状態表示領域75aの右上に「運転中」と表示させ、メッセージ表示領域75hに「特にありません。」といったメッセージを表示させる。
端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態が、運転制限状態(高温運転制限状態または低電圧運転制限状態)であるときには、運転状態表示領域75a内の背景色を橙色にするとともに、運転状態表示領域75aの右上に「運転中」と表示させる。また、高温運転制限状態であるときには、端末コントローラ130は、メッセージ表示領域75hに「圧縮機の周囲温度が高いため、圧力を下げて運転中。設置状況をご確認ください。」といった注意喚起メッセージを表示させる。低電圧運転制限状態であるときには、端末コントローラ130は、メッセージ表示領域75hに「供給電圧が低いため、圧力を下げて運転中。電源電圧をご確認ください。」といった注意喚起メッセージを表示させる。
端末コントローラ130は、空気圧縮機36の運転状態が、異常停止状態(高温異常停止状態または低電圧異常停止状態)であるときには、運転状態表示領域75a内の背景色を赤色にするとともに、運転状態表示領域75aの右上に「異常停止中」と表示させる。また、高温異常停止状態であるときには、端末コントローラ130は、メッセージ表示領域75hに「圧縮機の周囲温度が高いため、圧縮機が停止しました。設置状況をご確認ください。」といったエラーメッセージを表示させる。低電圧異常停止状態であるときには、端末コントローラ130は、メッセージ表示領域75hに「供給電圧が低いため、圧縮機が停止しました。電源電圧をご確認ください。」といったエラーメッセージを表示させる。
本変形例では、運転状態表示領域75aが運転状態に応じて色が変わるため、作業従事者は、空気圧縮機36の運転状態を容易に認識することができる。また、運転状態に対応するメッセージが表示されるため、作業従事者は、制限運転状態あるいは異常停止状態となった原因と、その対策を容易に認識することができる。
<変形例11>
携帯端末37は、音が出力される第1モードと、音が出力されない第2モード(所謂マナーモード)とを切り替える切替スイッチを備えるものであってもよい。端末コントローラ130は、第2モードが設定されている状態では、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合に、音による報知を行わない。なお、端末コントローラ130は、切替スイッチにより、第1モードが設定されているか第2モードが設定されているかにかかわらず、空気圧縮機36の運転状態の変化を検出した場合には、振動による報知を行う。したがって、マナーモードが設定されていない状態であっても、作業従事者に空気圧縮機36の運転状態の変化を振動により適切に知らせることができる。
<変形例12>
上記実施形態では、各種センサ31,32,33,35が直接的にメインコントローラ30aに接続される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。各種センサ31,32,33,35をサブコントローラ40a等、メインコントローラ30aとは別のコントローラに接続してもよい。この場合、メインコントローラ30aは、各種センサ31,32,33,35に接続されるコントローラから各種センサ31,32,33,35での検出結果を表す情報(データ)を取得する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。