以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る加熱調理器10を示す。この加熱調理器10には、米飯を炊き上げる炊飯器、及び食材を調理する調理器が含まれる。図1及び図2に示すように、加熱調理器10は、有底筒状の鍋15と、鍋15を着脱可能に配置する調理器本体20と、調理器本体20に回転可能に取り付けられた蓋体40とを備える。
鍋15は、磁性材料からなり、調理器本体20内に配置されたコイル29によって誘導加熱される。鍋15は、円形状の底部15aと、底部15aの外周に連なる湾曲部15bと、湾曲部15bに連なる外周部15cとを備える。
調理器本体20は、上端を開口した外装体21と、外装体21の開口を塞ぐ肩体22とを備える。肩体22の背部には、蓋体40を取り付けるヒンジ接続部23が設けられている。調理器本体20は、鍋15を収容する収容部25を備える。収容部25は、円筒状に形成された金属製の内胴26と、受皿状に形成された樹脂(非導電性材料)製の保護枠27とを備える有底筒状であり、肩体22の開口の下部に配置されている。鍋15を収容部25に収容させると、鍋15の軸線Aと収容部25の軸線Bとは一致する。以下の説明では、収容部25の軸線Bを保護枠27の軸線Bと言うことがある。
図2及び図3に示すように、保護枠27において、鍋15が収容される内部とは反対の外側には、鍋15を誘導加熱するコイル29が配置されている。本実施形態のコイル29は、保護枠27の軸線Bを中心として周方向に並べて6個配置されている(図6参照)。
コイル29の外側には複数のフェライトコア30が配置されている(図7参照)。複数のフェライトコア30は1個のフェライトホルダ(ホルダ)31に保持されている(図8参照)。フェライトホルダ31を保護枠27に取り付けることで、これらの間にコイル29が保持されている。
図1及び図2に示すように、蓋体40は、肩体22の上面を覆う平面視形状の外装体41を備え、ヒンジ接続部23に回転可能に取り付けられている。調理器本体20に対して蓋体40を閉じた状態で、外装体41において鍋15と対向する下面には、内蓋42が設けられている。内蓋42は、鍋15の上端開口の内周面をシールするシール部材43を備える。外装体41に対して内蓋42は、着脱可能に配置されてもよいし、取外不可能に設けてもよい。
図2及び図3を参照すると、調理器本体20内には電源基板45とIH基板46が配置されている。これらは、外装体21と収容部25の間の収容空間28に基板ホルダ47A,47Bを介して配置されている。電源基板45には、電源プラグを有するコードを巻取可能なコードリール48が電気的に接続されている。IH基板46には、コイル29を含む電気部品を制御する制御部(図示せず)が実装されている。
IH基板46を保持する基板ホルダ47Bには、冷却風を強制的に供給するためのファン50が配置されている。ファン50は、ヒンジ接続部23の下方で、外装体21の底近傍に配置されている。外装体21には、ファン50の背部に位置するように吸気口21aが形成されている。また、外装体21には、収容部25を中心としてファン50とは反対側に排気口21bが形成されている。吸気口21aと排気口21bはいずれも、多数のスリットによって構成されている。
制御部は、単一又は複数のマイクロコンピュータ、及びその他の電子デバイスにより構成される。制御部は、温度センサ49の検出結果に基づいてコイル29を制御し、コイル29によって鍋15を誘導加熱する。これにより、炊飯器の場合には鍋15内の飯米を加熱して米飯を炊き上げ、調理器の場合には鍋15内の食材を加熱して料理を仕上げる。炊飯又は調理の完了後には、引き続いて鍋15内を所定温度に維持するように保温する。
コイル29の制御を具体的に説明すると、制御部は、例えば複数のコイル29のうち、対向位置にある2個を1組のコイル群とし、それぞれのコイル群を個別に制御する。同一組のコイル29は、同時に通電されるとともに、同時に通電が遮断される。制御部は、複数組のコイル群のうち、或るコイル群を通電して残りのコイル群を非通電とし、通電するコイル群を順次切り換える。収容部25の周方向のうちの単一の方向において、通電するコイル群が順次切り換えられる。勿論、制御部は、複数のコイル29を個別に制御してもよい。
コイル29への通電によって生じる磁束の集中と、外装体21の外部への磁束漏れの抑制には、個々のコイル29に対して複数のフェライトコア30を配置することが有効である。しかし、磁束漏れの抑制によって鍋15の加熱効率が向上すると、輻射熱による外装体21内の温度上昇が増大し、それに伴ってフェライトコア30の温度が上昇すると、フェライトコア30の性能が低下する。そこで、本実施形態では、個々のコイル29に対して複数のフェライトコア30を配置したうえで、外装体21内の昇温を抑制するために、コイル29回りの通気性を確保している。以下、本実施形態のコイル29の取付構造について具体的に説明する。
図4及び図5を参照すると、コイル29は、保護枠27において鍋15とは反対側に位置する外面27a側に配置されている。フェライトコア30は、フェライトホルダ31に保持され、コイル29の外側に配置されている。図11及び図12を参照すると、フェライトホルダ31の外側には、端子カバー36と反射板(防磁板)37とが配置されている。フェライトホルダ31と反射板37に開口部31c,37gを設けることで、これらで囲まれた空隙部38内での通気性を確保している。
図2を参照すると、鍋15の湾曲部15bは、鍋15の軸線Aに沿って底部15a(下側)から外周部15c(上側)に向かうに従って、次第に拡径するように所定の曲率で湾曲している。外周部15cは、保護枠27内に位置する第1部分15dと、内胴26内に位置する第2部分15eとを備える。第1部分15dは、湾曲部15bから離れるに従って拡径した円錐筒状である。第2部分15eは、軸線Aに沿って延びる円筒状である。
保護枠27は、鍋15の第1部分15dを取り囲む大きさの受皿状である。保護枠27は、底部15aと間隔をあけて位置する底部27bと、湾曲部15bと間隔をあけて位置する湾曲部27cと、外周部15cの第1部分15dと間隔をあけて位置する外周部27dとを備える。つまり、外周部27dは、湾曲部27cを介して底部27bに連なっている。底部27bの中央には、温度センサ49を貫通させて配置する円筒状の貫通部27eが外向きに突設されている。
図4及び図5を参照すると、保護枠27の外面27a側には、保護枠27の周方向に隣り合うコイル29間に位置し、これらを仕切る板状の仕切壁27fが突設されている。複数の仕切壁27fは、底部27bから湾曲部27cにかけて放射状に延在している。保護枠27の外面27aから先端までの仕切壁27fの突出寸法は、コイル29の軸方向の厚みよりも大きい。
周方向に隣り合う仕切壁27fの間には、コイル29の内周部を位置決めする位置決め部27g,27hが設けられている。保護枠27の軸線Bが延びる方向から見て、保護枠27の周方向に隣り合う一対の位置決め部27gは、フェライトホルダ31をネジ止めするためのボスからなる。保護枠27の径方向に隣り合う一対の位置決め部27hは、T字形状のリブからなる。
個々のコイル29は、複数の巻線を巻回した環状であり、高周波電流が通電されることで渦電流を発生させ、鍋15を誘導加熱する。図6を参照すると、コイル29は、概ね卵型の本体29aと、本体29aから延設された一対のリード線29e,29fとを有する。
本体29aは、小径部29b、大径部29c、及び一対の側部29dを備える。長軸方向の一端側に位置する小径部29bの曲率半径は、長軸方向の他端側に位置する大径部29cの曲率半径よりも小さい。小径部29bと大径部29cにそれぞれ連なる一対の側部29dの曲率半径は、大径部29cの曲率半径よりも大きい。リード線29eは大径部29cの内周部から突出し、リード線29fは小径部29bの外周部から突出している。
複数のコイル29は、保護枠27の軸線Bを中心として、保護枠27の周方向に仕切壁27f分の間隔をあけて配置されている。個々のコイル29は、保護枠27の底部27bから外周部27dに沿って延在するように、保護枠27の外面27aに配置されている。より具体的には、小径部29bは、貫通部27e側(図2において下側)に配置され、底部27bに沿って延在している。大径部29cは、内胴26側(図2において上側)に配置され、外周部27dに沿って延在している。一対の側部29dは、底部27b及び外周部27dに沿って延在している。
図4及び図7に示すように、フェライトコア30は、磁性材料からなる直方体状の部材である。複数のフェライトコア30には、コイル29に対して個別に配置された第1フェライトコア30Aと、保護枠27の周方向に隣り合う2個のコイル29に跨がって配置された第2フェライトコア30Bとからなる。隣り合う2個のコイル29が1個のフェライトコア30Bを共用することで、外装体21の大型化を防ぎ、個々のコイル29に対するフェライトコア30の配置数を確保している。
保護枠27の軸線Bが延びる方向から見ると、第1フェライトコア30Aは、径方向に間隔をあけて直列に配置された第1部材30A1と第2部材30A2を備える。これらの全長は同じであり、使用上、第1部材30A1と第2部材30A2に区別はない。直列に配置するとは、幾何学的に厳密な意味での直列(直線上)に限られず、同じコイル29上に位置する範囲で保護枠27の周方向にずらした構成が含まれる。
第1部材30A1は、底部27bに対して平行に位置するように小径部29bの外側に配置され、収容部25の径方向に延在している。コイル29の長軸方向において、内側に位置する第1部材30A1の一端は、小径部29bの頂部よりも外側に位置している。コイル29の長軸方向において、外側に位置する第1部材30A1の他端は、小径部29bの内周部を越えてコイル29の開口内に位置している。
第2部材30A2は、外周部27dに対して平行に位置するように大径部29cの外側に配置され、保護枠27の軸線Bが延びる方向に延在している。コイル29の長軸方向において、内側(下側)に位置する第2部材30A2の一端は、大径部29cの内周部を越えてコイル29の開口内に位置している。コイル29の長軸方向において、外側(上側)に位置する第2部材30A2の他端は、大径部29cの外周部を越えてコイル29の外側に位置している。
第2フェライトコア30Bは、保護枠27の周方向に隣り合う2個の第1部材30A1の間において、一方の側部29dと他方の側部29dに架設されている。第2フェライトコア30Bは、底部27bに対して平行に位置するように側部29dの外側に配置され、収容部25の周方向に延在している。ここで、周方向に延在するとは、保護枠27の軸線Bを中心とする仮想円(図示せず)に対して接する方向に延びることを意味する。
第2フェライトコア30Bの全長は、第1フェライトコア30Aを構成する第1部材30A1及び第2部材30A2のいずれの全長よりも短い。コイル29の短軸方向において、第2フェライトコア30Bの両端はそれぞれ、側部29dの外周部を越えて内周部の近傍に位置している。つまり、第2フェライトコア30Bの両端はそれぞれ、第1部材30A1に対して定められた間隔をあけて位置している。
第1フェライトコア30A及び第2フェライトコア30Bを含むフェライトコア30の総数Nfは、コイル29の数をNcとすると、Nf=2Nc+Ncを満たす。より具体的には、第1フェライトコア30Aの数Nf1は2Ncであり(Nf1=2Nc)、第2フェライトコア30Bの数Nf2はNcである(Nf2=Nc)。
本実施形態では、コイル29の数Ncが6個であるため、第1フェライトコア30Aの数Nf1は12個であり、第2フェライトコア30Bの数Nf2は6個である。但し、コイル29の数Ncは、6個に限られず、2個を1組として制御する場合には4以上の偶数個であれば良いし、個別に制御する場合には3以上の奇数個又は偶数個であっても良い。これらの場合、フェライトコア30の総数Nf、より具体的には第1フェライトコア30Aの数Nf1と第2フェライトコア30Bの数Nf2は、コイル29の数Ncに応じて変わる。
第1フェライトコア30A(第1部材30A1)と第2フェライトコア30Bとがなす角αは、45度以上90度以下の範囲に設定することが好ましく、本実施形態では60度に設定されている。なす角αを過度に小さくすると、個々のコイル29に対するフェライトコア30の配置に偏りが生じ、磁束の集中及び磁束漏れの抑制が不十分になる。なす角αを過度に大きくすると、コイル29に対して第2フェライトコア30Bを平行に配置できない部分が生じるため、やはり磁束の集中及び磁束漏れの抑制が不十分になる。これらの不都合を防ぐために、なす角αは上記定められた範囲に設定することが好ましい。
図8から図10に示すように、フェライトホルダ31は、前述した配置になるように全てのフェライトコア30を保持し、保護枠27の外面27a側に取り付けられる。これにより、保護枠27とフェライトホルダ31の間に全てのコイル29が介在して保持される(図2参照)。フェライトホルダ31は、保護枠27に固定するためのネジ孔部31aと、図12に示すカバー36及び反射板37をネジ止めするためのネジ止め部31bとを備える。
より具体的には、フェライトホルダ31は、中央部32と、中央部32から放射状に突出する第1保持部33と、保護枠27の周方向に隣り合う第1保持部33に連なる枠部34と、枠部34に設けられた第2保持部35とを備える。
中央部32は、軸線Bを中心とする円環状の部分である。中央部32の内部空間には、保護枠27の貫通部27eが貫通して配置される。
第1保持部33は、中央部32を中心として周方向に等間隔をあけて第1フェライトコア30Aと同数(6個)設けられている。第1保持部33は、第1部材30A1を保持する第1部分33aと、第2部材30A2を保持する第2部分33bとを備える。保護枠27への組付状態で第1部分33aは、底部27bに沿って保護枠27の径方向に延在している。保護枠27への組付状態で第2部分33bは、外周部27dに沿って保護枠27の軸線Bに沿って延在している。
より具体的には、第1保持部33は、第1部分33aから第2部分33bにかけて延在する一対の側板部33cと、これらを連結する連結部33dとを備える。第1部分33aには、側板部33cにおけるコイル29と反対側の縁に、第1部材30A1を抜け止めするH字形状の抜止部33eが設けられている。第2部分33bには、側板部33cにおけるコイル29と反対側の縁に、第2部材30A2を抜け止めする突片状の抜止部33fが設けられている。第1部分33aと第2部分33bにおいて、側板部33cにおけるコイル29側には、それぞれ抜止部33e,33fに向けて第1フェライトコア30Aを付勢する弾性片33gが設けられている。
フェライトホルダ31の径方向において、第1保持部33(第1部分33a)の内端は中央部32によって塞がれ、第1保持部33(第2部分33b)の外端は開放されている。第1部分33aに対して第1部材30A1は、径方向の外側から内側に向けて差し込んで配置される。第2部分33bに対して第2部材30A2は、外端の開放部分から差し込んで配置され、連結部33dに当接して位置決めされる。
枠部34は、軸線Bを中心として第1部分33aの外端側に設けられ、図2に示す組付状態で保護枠27の湾曲部27cの下方に位置する。枠部34は、周方向に隣り合う第1保持部33の間の全てに設けられており、全体として軸線Bを中心とする円形状をなす。
第2保持部35は、フェライトホルダ31の径方向において枠部34の内側にそれぞれ設けられ、底部27bに沿って保護枠27の周方向に延在し、第2フェライトコア30Bを保持する。つまり、第2保持部35は、枠部34を介して第1保持部33に連なっている。
図10に最も明瞭に示すように、第2保持部35は、第2フェライトコア30Bの外周部を取り囲む外周壁35aを備える。図10を参照すると、外周壁35aのうちのコイル29側の縁には、第2フェライトコア30Bに係止する係止爪35bが設けられている。外周壁35aのうちの係止爪35bとは反対側の縁には、外周壁35aの一部を塞ぐように連結部35cが設けられている。連結部35cには、係止爪35bに向けて第2フェライトコア30Bを付勢する弾性片35dが設けられている。
第2保持部35に対して第2フェライトコア30Bは、係止爪35b側からフェライトホルダ31の軸方向に差し込んで配置される。
このように構成されたフェライトホルダ31において、周方向に隣り合う第1保持部33の間には、開口部31c,31dが形成されている。また、フェライトホルダ31には、定められたコイル29のリード線29e,29fを電気的に接続する接続部31e,31fが設けられている。さらに、保護枠27には、全てのコイル29のリード線29eを接続する接続部27iが設けられている。
図8から図10に示すように、第1開口部31cは、周方向に隣り合う第2部分33bの間に形成されている。第1開口部31cは、一対の第2部分33b、及びこれらに連なる枠部34によって画定され、フェライトホルダ31の外周部分を開放している。複数の第1開口部31cは、フェライトホルダ31(第1部分33a)とコイル29の隙間、及び保護枠27とコイル29の隙間を介して連通している。
第2開口部31dは、周方向に隣り合う第1部分33aの間に形成されている。第2開口部31dは、中央部32、一対の第1部分33a、及びこれらに連なる枠部34によって画定され、フェライトホルダ31においてコイル29と対向する部分を開放している。
接続部27i,31e,31fは、金属製の接続端子を備える。本実施形態では、1組のコイル群を構成する一対のコイル29のうち、一方のリード線29eが接続部27iに接続され、他方のリード線29eが第2接続部31fに接続され、両者のリード線29fが第1接続部31eに接続される。
接続部27iには、いずれも異なるコイル群を構成する3個のコイル29のリード線29eが電気的に接続される。接続部27iは、保護枠27において、電源基板45を配置する側の1箇所に設けられている。接続部27iには、コイル29のリード線29eの他に、電源基板45に接続されたリード線(図示せず)が電気的に接続される。
第1接続部31eには、1組のコイル群を構成する2個のコイル29のリード線29fがそれぞれ電気的に接続される。第1接続部31eは、フェライトホルダ31において、一つ置きの枠部34の3箇所に設けられている。
第2接続部31fには、いずれも異なるコイル群を構成し、接続部27iに接続していない残りの3個のコイル29のリード線29eがそれぞれ電気的に接続される。第2接続部31fは、フェライトホルダ31において、IH基板46を配置する側の3箇所に設けられている。第2接続部31fには、コイル29のリード線29eの他に、IH基板46に接続されたリード線(図示せず)が電気的に接続される。
図11及び図12に示すように、端子カバー36は、フェライトホルダ31の外側に配置され、1組のコイル群を構成する2個のコイル29を電気的に接続する全ての第1接続部31eを覆う。具体的には、端子カバー36は、3個の第1カバー部36a、1個の第2カバー部36b、及び1個の配索部36cを備え、これらが枠体36dによって一体化されている。
第1カバー部36aはそれぞれ、第1接続部31e及び第2保持部35の外側を覆う四角形状の部分である。第2カバー部36bは、3箇所の第2接続部31fのうち、軸線Bに最も近い1箇所を覆う四角形状の部分である。これらのカバー部36a,36bは、後述する外枠36fに介在するように設けられている。配索部36cは、IH基板46側に設けられ、IH基板46と温度センサ49を電気的に接続するリード線(図示せず)を挿通して位置決めする。
枠体36dは、内枠36e、外枠36f及び補強枠36gを備える。内枠36eは、フェライトホルダ31の中央部32を取り囲む直径の円環状の部分である。外枠36fは、内枠36eを取り囲む概ね円環状の部分である。外枠36fの直径は、内枠36eの直径よりも大きく、保護枠27の底部27bの外径よりも小さい。補強枠36gは、内枠36eに連なる一端と、外枠36fに連なる他端とを有し、軸線Bを中心として径方向に延びる複数の棒状の部分である。
枠体36dには、内枠36e、外枠36f及び補強枠36gによって画定された複数の開口部36hが形成されている。また、枠体36dには、フェライトホルダ31のネジ止め部31bに対応し、ネジを挿通する挿通部36iが設けられている。
引き続いて図11及び図12を参照すると、反射板37は、アルミニウムなどの非磁性金属材料からなり、フェライトホルダ31の外側に配置され、アルミニウムなどの非磁性金属材料からアルミニウムなどの非磁性金属材料からアルミニウムなどの非磁性金属材料アルミニウムなどの非磁性金属材料アルミニウムなどの非磁性金属材料外装体21の外部への磁束漏れを防止する。反射板37は、1個の底部37aと複数の側部37eとを備え、フェライトホルダ31が保持した全てフェライトコア30を覆う。
底部37aは、保護枠27の底部27bと概ね同じ直径の円板状であり、第1保持部33の第1部分33a全ての外側(下側)及び第2保持部35全ての外側(下側)を覆う。底部37aの中央には、端子カバー36の内枠36eと概ね同じ内径の貫通孔37bが設けられている。貫通孔37bの周囲には、フェライトホルダ31のネジ止め部31bに対応し、ネジを挿通する挿通部37cが設けられている。底部37aの外周には、第1接続部31eを吐出させる切欠部37dが設けられている。切欠部37dは、底部37aの径方向の外縁から内側へ切り欠いた矩形状の溝からなる。
側部37eは、個々の第2部分33bに沿って延び、第2部分33bの外側(軸線Bから離れる側)を個別に覆う。側部37eは、底部37aから径方向外向きに突出する連続部37fを介して底部37aに連続している。個々の側部37eは、フェライトホルダ31の第2部分33bの形状、及び収容空間28内に配置される他部品の形状に応じて屈曲されている。側部37eの先端(図11において下端)は、フェライトホルダ31に形成された溝状の係止部31gに係止されている。また、個々の側部37eには、周辺に配置された部品等の諸条件に応じて切欠部が形成されている。
反射板37において、周方向に隣り合う側部37eの間には、フェライトホルダ31の第1開口部31cに対して径方向外側に位置する開口部37gが形成されている。複数の開口部37gは、第1開口部31c、フェライトホルダ31とコイル29の隙間、及び保護枠27とコイル29の隙間を介して連通している。
加熱調理器10を組み立てる場合、図5に示すように、例えば、保護枠27を上下逆向きに配置し、コイル29、フェライトホルダ31、端子カバー36、及び反射板37の順で、保護枠27に対して上方から配置する。
具体的には、保護枠27に対してコイル29を配置し、その上から更にフェライトコア30を保持させたフェライトホルダ31を配置する。そして、保護枠27とフェライトホルダ31をネジ止めして固定する。これにより、個々のコイル29は、保護枠27、一対の仕切壁27f、及びフェライトホルダ31によって囲まれた空間に保持される。また、個々のコイル29のリード線29e,29fを開口部31c又は31dから取り出して、定められた接続部27i,31e,31fに接続する。
続いて、図12に示すように、フェライトホルダ31の上方に端子カバー36を配置し、保護枠27に端子カバー36をネジ止めして固定する。これにより、3個の第1接続部31e、及び3個の第2接続部31fのうちの1個が、端子カバー36によって覆い隠される。また、保護枠27の貫通部27eに温度センサ49を配置し、配索部36cを通して温度センサ49のリード線をIH基板46に接続する。
続いて、端子カバー36の上方に反射板37を配置し、保護枠27に対して反射板37をネジ止めして固定する。これにより、フェライトコア30において、第1部材30A1と第2フェライトコア30Bが底部37aによって覆われ、第2部材30A2が側部37eによって覆われる。また、図11に示すように、フェライトホルダ31の第1開口部31cと反射板37の開口部37gが径方向の内外に対応する。
図13に示すように、組立状態では、保護枠27と反射板37の間に空隙部38が形成される。空隙部38の内部と外部は、フェライトホルダ31の第1開口部31c及び反射板37の開口部37gを通して連通している。空隙部38内において、コイル29とフェライトホルダ31(フェライトコア30)の間、コイル29が存在しない部分では保護枠27とフェライトホルダ31の間、フェライトホルダ31と端子カバー36の間、及び端子カバー36と反射板37の間には、それぞれ冷却風の通過を許容する隙間が形成されている。
ファン50が駆動されると、外装体21の外部の空気が、吸気口21aを通って外装体21内に吸い込まれ、排気口21bに向けて送出される。送出された冷却風の一部は、開口部37gを通って反射板37(空隙部38)内に流入し、そのうちの一部が更に第1開口部31cを通ってフェライトホルダ31内に流入する。
図13に破線で示すように、空隙部38内で冷却風は、保護枠27、コイル29、フェライトコア30を含むフェライトホルダ31、端子カバー36、及び反射板37のうち、各部材間の隙間を通過し、周囲に熱を吸着する。また、空隙部38内を通過する際、冷却風は、コイル29の開口内、フェライトホルダ31の第2開口部31d内、及び端子カバー36の開口部36h内にも流入し、周囲に熱を吸着する。また、仕切壁27fによって通過する冷却風を分流できるため、全てのコイル29及びフェライトコア30の周囲の熱を確実に吸着できる。
続いて、冷却風は、フェライトホルダ31の第1開口部31c、及び反射板37の開口部37gを通って、空隙部38の外側へ流出される。この際、仕切壁27fによって分流された冷却風は、複数の開口部31c,37gのうち、一箇所に限られず、排気口21b側に位置する複数箇所から流出する。その後、冷却風は、排気口21bを通って外装体21の外部へ排出される。
このように構成した加熱調理器10は、以下の特徴を有する。
コイル29に対して第1フェライトコア30Aが個別に配置されるため、コイル29への通電によって生じる磁束の集中と、機器の外部への磁束漏れの抑制の両方を実現できる。1個のフェライトホルダ31に全ての第1フェライトコア30Aが配置されるため、複数のコイル29に対する複数の第1フェライトコア30Aの組付性及び組付制度を向上できる。
フェライトホルダ31には、収容部25の周方向に隣り合う第1保持部33の間に開口部31cが形成されているため、開口部31cを通してフェライトホルダ31の内外への通気性を確保できる。よって、磁束漏れの抑制による鍋15の加熱効率が向上、及びそれに伴う輻射熱による複数の第1フェライトコア30Aの昇温抑制の両方を実現できる。その結果、昇温に伴うフェライトコア30の性能低下を防止できる。
第1フェライトコア30Aが第1部材30A1と第2部材30A2によって構成されているため、収容部25に沿って配置されるコイル29に沿うように、第1部材30A1と第2部材30A2を確実に配置できる。よって、磁束の集中と、機器の外部への磁束漏れの抑制とを確実に両立できる。
開口部31cが周方向に隣り合う第2部分33bの間に形成されているため、収容部25の底部27bに沿って流れる冷却風が、開口部31cを通してフェライトホルダ31の内外へ確実に通過する。よって、フェライトコア30の昇温を効果的に抑制できる。
周方向に隣り合う第1部材30A1の間に配置された第2フェライトコア30Bを有するため、個々のコイル29に複数のフェライトコア30を確実に配置できる。よって、コイル29への通電によって生じる磁束の集中と、機器の外部への磁束漏れの抑制を実現できる。
フェライトホルダ31の外側に配置された反射板37によって、外装体21の外部への磁束漏れの確実に防止できる。また、反射板37は、フェライトホルダ31の開口部31cに連通する開口部31cを備えるため、フェライトホルダ31の内外への通気性を確保でき、フェライトコア30の昇温を抑制できる。
フェライトホルダ31は、1組のコイル群を構成する2個のコイル29のリード線29fを電気的に接続する複数の接続部31eを有する。よって、複数のコイル29を電気的に接続する作業性を向上できる。また、開口部31cを通してフェライトホルダ31の内外へ通過する冷却風によって、接続部31eも確実に冷却できる。
フェライトホルダ31の外側に配置され、全ての接続部31eを覆う1個の端子カバー36を備える。よって、リード線29eを含む接続部31eへの他部材の干渉を防止できるため、干渉に伴うコイル29の短絡を防止できる。
収容部25は、周方向に隣り合うコイル29を仕切る仕切壁27fを有するため、隣り合うコイル29の接触を防止できる。よって、収容部25に対するコイル29の組付性を向上できるうえ、隣り合うコイル29の短絡を防止できる。また、仕切壁27fによって通過する冷却風を分流できるため、全てのコイル29及びフェライトコア30の昇温を効果的に抑制できる。
収容部25と外装体21の間にファン50が配置され、外装体21にはファン50とは反対側に排気口21bが形成されている。これにより、ファン50によって強制的に冷却風が送出されるため、外装体21内の昇温を確実に防止できる。
なお、本発明の加熱調理器10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、コイル29の数、フェライトコア30の数と配置、及び反射板37の形状は、図14及び図15に示す変形例のようにしてもよい。また、この変形例のように、図12に示す端子カバー36を用いなくてもよい。
具体的には、図14及び図15に示す変形例では、コイル29は、保護枠27の周方向に並べて4個配置されている。対向する2個のコイル29を1組のコイル群として制御する場合、温度センサ49は、周方向に隣接したコイル29の間に位置するように、外周部27dを貫通させて保護枠27に配置してもよい。勿論、コイル29の数Ncは、8以上の偶数個としてもよいし、複数のコイル29を個別に制御する場合には3以上の奇数個又は偶数個であってもよい。
図14及び図15に示す変形例では、フェライトコア30は、1個のコイル29に対して4個それぞれ配置されている。個々のフェライトコア30は、いずれも1個のコイル29のみに配置されており、2以上のコイル29に共用されていない。つまり、保護枠27の周方向に延びるように配置する第2フェライトコア30Bは、複数のコイル29に対して個別に配置されてもよいし、2個のコイル29で共用されてもよい。また、第1フェライトコア30A及び第2フェライトコア30Bの数と配置は、磁束の集中と、機器の外部への磁束漏れの抑制を実現できる範囲で、必要に応じて変更してもよい。
図14及び図15に示す変形例では、フェライトホルダ31は、周方向に隣接した第1保持部33の間が、前記実施形態と同様に開放された開口部31cとなっている。反射板37は底部37aと複数の側部37eとを備え、周方向に隣接した側部37eの間には、開口部31cの径方向外側に位置する開口部37gが形成されている。側部37eは、開口部37gを通した通気性を確保できる範囲で、可能な限り広い範囲を覆うことができるように、フェライトホルダ31を配置していない部分にも設けられている。