JP7057193B2 - 調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、調理器に関する。
誘導加熱(IH)方式の炊飯器は、加熱ムラを抑制し、均一な炊き上がりを図り得る。
特許文献1,2は、複数の誘導加熱のためのコイルを備えるIH炊飯器、つまりマルチコイル型のIH炊飯器を開示している。この種の炊飯器では、個々のコイルが配置された領域で鍋が局部的に加熱される結果、鍋内に局部的な対流が発生する。これらの曲部的な対流は、鍋内の飯米の撹拌を促進するため、より均一な炊き上がりが図られる。
特開平5-317172号公報 特開平5-253058号公報
マルチコイル型の炊飯器では、非導電性部材の鍋収容部にコイルを取り付けることが多い。鍋収容部にコイルを取り付けることで、鍋とコイルとの間に鍋収容部が介在し、コイルと鍋が直接接触することを防止できる。しかし、各コイルに対して規定の電力が供給されると、シングルコイル型の炊飯器に使用されるような1つの大きなコイルに規定の電力を供給する場合に比べて局部的に温度が上昇しやすい。局部的に過剰に温度が上昇すると、鍋収容部が熱損傷(例えば溶融)するおそれがある。そのため、マルチコイル型の炊飯器では、鍋収容部が局部的に過剰に温度上昇することを防止することが求められている。そして、この鍋収容部は炊飯器に限らず、その他のIH方式の調理器にも使用され得るため、上記観点からの鍋収容部の熱損傷の防止は広く求められている。
本発明は、マルチコイル型のIH方式の調理器において、鍋収容部の熱損傷を効率的に防止することを課題とする。
本発明は、円板状の底部、円筒状の側部、およびそれらを接続する曲部を有する有底円筒状の鍋収容部と、前記鍋収容部の少なくとも前記底部および前記曲部外側であって、前記鍋収容部の周方向に離間して配置された複数のコイルと、フェライトコアを収容し、前記コイルに対して前記鍋収容部と反対側にて前記鍋収容部に近接して配置され、温度ヒューズがそれぞれ取り付けられた複数のフェライトホルダとを備える調理器を提供する。
この構成によれば、複数のコイルが鍋収容部の底部および曲部の外側に配置されているため、コイルが平面ではなく立体的に配置されている。このようにして立体的な加熱を行うことによって加熱ムラを抑制できる。このとき、鍋収容部が局部的に加熱され得るため、何らかの不具合で加熱した部分の温度が局部的に過剰に上昇すると、鍋収容部が熱損傷するおそれがある。しかし、上記構成では、鍋収容部に近接して温度ヒューズが配置されているため、鍋収容部の温度が所定以上に上昇すると、この温度ヒューズによってコイルへの通電が遮断される。従って、誘導加熱が停止され、鍋収容部の温度が所定以上高くなることを防止でき、鍋収容部の熱損傷を防止できる。特に、上記構成では、フェライトコアが設けられていることによって、コイルからの磁束を収束させることができる。このフェライトコアを収容するフェライトホルダに温度ヒューズが取り付けられているため、温度ヒューズを取り付けるための別部品を新たに設ける必要がない。さらに、フェライトホルダは鍋収容部に近接して配置される部材であるため、当該温度ヒューズの配置は鍋収容部の温度を検知し易い好適な配置となっている。従って、鍋収容部の熱損傷を効率的に防止できる。なお、鍋収容部の「有底円筒状」とは、厳密な円筒だけに限らず、側部に勾配を有するようなテーパ状のものも含む。また、底部、側部、および曲部は曲率によって区分される部分であり、各部は平坦とは限らない。さらに、曲部は、底部と側部を繋ぐR部(フィレット部)等の角部であってもよい。
1つの前記コイルに対応して1つの前記温度ヒューズが設けられていてもよい。
この構成によれば、コイルごとに温度ヒューズを設けているため、各コイルによって局部的に加熱される部分に対して温度ヒューズを配置できる。即ち、温度上昇する部分に対して的確に温度ヒューズを配置でき、過剰な温度上昇を的確に検知できる。特に、各コイルに順に通電するときには、電力を分散せず1つのコイルに集中して供給できるため、各コイルの温度が上昇しやすい。よって、コイルごとに温度ヒューズを設けてコイルごとに過剰な温度上昇を検知できることは有効である。
全ての前記温度ヒューズは、電気的に直列に接続されていてもよい。
この構成によれば、1つの温度ヒューズが過剰な温度を検知した際に、全てのコイルへの通電が遮断される。従って、安全性を高めることができる。
前記フェライトホルダは、基部と、前記基部から放射状に延出し、前記フェライトコアを収容する複数の延出部とを有し、
前記複数の延出部のうちの一部は前記鍋収容部の前記底部に沿って延びており、前記複数の延出部のうちの一部は前記鍋収容部の前記側部に沿って延びていてもよい。
この構成によれば、基部を中心として延出部が底部および側部に沿って延びているため、鍋収容部の立体的な形状に沿ってフェライトホルダを配置できる。従って、立体的に配置されたコイルからの磁束を効率的に収束させることができる。
前記フェライトホルダは、前記底部に沿って延びる前記延出部に隣接して同方向に延びるヒューズ収容部を備え、前記フェライトホルダは、前記底部に沿って延びる前記延出部に隣接して同方向に延び、前記温度ヒューズを収容するヒューズ収容部をさらに備えてもよい。
この構成によれば、温度ヒューズが底部に沿って配置されるため、鍋収容部の特に底部の温度を検知できる。鍋収容部の底部は調理器において加熱され易い部分であるため、温度上昇し易い部分の温度上昇を効率的に検知できる。
本発明によれば、マルチコイル型のIH方式の調理器において、鍋収容部の熱損傷を効率的に防止できる。
本発明の一実施形態に係る炊飯器の上方からの斜視図 蓋体を開いた状態の炊飯器の上方からの斜視図 図2の状態から鍋を取り出した状態の炊飯器の上方からの斜視図 炊飯器の分解斜視図 鍋収容部材の斜視図 炊飯器本体の一部の内部部品の分解斜視図 フェライトホルダの斜視図 図7の部分分解図 本体ケーシングを外した炊飯器の底面図 電気配線を示すブロック図
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る炊飯器(調理器)1の上方からの斜視図である。図2は、蓋体200を開いた状態の炊飯器1の上方からの斜視図である。図3は、図2の状態から鍋10を取り出した状態の炊飯器1の上方からの斜視図である。
図1~3を参照して、炊飯器1は、飯米を加熱する有底筒状の鍋10を着脱可能に収容する炊飯器本体100と、炊飯器本体100に対して回動可能に配設された蓋体200とを備える。
蓋体200は、炊飯器本体100のヒンジ接続部121に回動可能に取り付けられ、炊飯器本体100に対して閉じられたとき、炊飯器本体100の開口部を閉塞する。蓋体200は、その前方側において、炊飯器1を操作するための操作部210と、操作状況や動作状況を表示する表示部220とを有し、その後方側において、排気通路の出口である蒸気排出口230を有する。操作部210は、複数の操作ボタン211と、開放ボタン212とを有する。操作ボタン211は、炊飯器1の動作状態を切り替えるためのボタンであり、例えば炊飯を開始するボタン、動作を取り消すボタン、および電源ボタン等である。開放ボタン212は、ロック機構によって閉鎖状態が維持されている蓋体200を開放するためのボタンである。
炊飯器本体100の側面には、U字型のハンドル20が取り付けられている。ハンドル20は、取付部を支点として回動するようになっている。
図2,3に示すように、蓋体200の内側には、閉塞状態で鍋10の上端開口11を閉塞する内蓋240が取り付けられている。内蓋240は、鍋10の上端開口11の内周部に密着して上端開口11を閉塞するシール部材241を有する。内蓋240は、蓋体200に対して着脱可能に取り付けられている。
図4は、炊飯器1の分解斜視図である。
炊飯器本体100は、外装として、側方に配置される2枚の対向する側面パネル111,112と、前方に配置される前面パネル113と、上端に開口部114aを有する箱状の本体ケーシング114とを備える。側面パネル111,112と、前面パネル113とは、本体ケーシング114の両側面および前面にそれぞれ取り付けられる。
本体ケーシング114には、開口部114aを覆うように肩体120が上方から取り付けられる。肩体120の後方側には、蓋体200を回動可能に装着するためのヒンジ接続部121が設けられている。肩体120の前方側には、蓋体200の前部に設けられたロック爪250(図3参照)と係合する係合穴122(図3参照)が設けられている。肩体120の下方には、鍋10を収容する内胴125および鍋収容部材130が配設されている。内胴125は、鍋10よりわずかに大きな径を有する円筒状であり、金属材料からなる。
図5は、鍋収容部材130の斜視図である。
鍋収容部材130は、鍋10を収容する鍋収容部131と、制御基板140,141を支持する基板支持部132,133とを備える。鍋収容部材130(より直接的には鍋収容部131)は、保護枠とも呼ばれており、非導電性材料(例えば合成樹脂材料)からなる。
鍋収容部131は、円板状の底部131a、円筒状の側部131b、およびそれらを接続する曲部131cを有する有底円筒状である。詳細には、底部131aは、左右方向に略平坦に延在する円形状をしている。側部131bは、上下方向に且つ外方に延在する略円筒形状をしている。曲部131cは、底部131aと側部131bとをつなぐ曲面形状をしている。曲部131cには、ねじ孔が設けられ、鉛直方向に延びる円柱状のボス131dが設けられている。
基板支持部132,133は、鍋収容部131の前方側および後方側にそれぞれ設けられている。基板支持部132,133に収容された制御基板140,141は、後述する誘導加熱等を制御している。特に、制御基板141は、隣接配置されるファン142(図4参照)によって冷却される。
鍋収容部材130の上側周縁部には、複数のブラケット部134が設けられている。ブラケット部134は、肩体120に対してねじ締結するために使用される。鍋収容部材130の底面中央には、中央支持部135(図6に明瞭に示す)が設けられている。中央支持部135は、略円筒状をなして下方に突出して、対向する本体ケーシング114の底板に当接して支持する。
図6は、炊飯器本体100の一部の内部部品の分解斜視図である。図6は、図1~5に対して上下を逆にして示されている。このように炊飯器本体100を下方から見ると、鍋収容部材130と、コイル150a~150cと、フェライトホルダ160a~160cと、反射板170a~170cとが、この順に重なるように配置されている。図6では、3組のコイル150a~150cとフェライトホルダ160a~160cと反射板170a~170cとが示されているが、そのうち1組のコイル150aとフェライトホルダ160aと反射板170aとが分解して示されている。以降、これらを区別する必要がないときはそれぞれ単にコイル150とフェライトホルダ160と反射板170ともいう。なお、図4,6では、図示を明瞭かつ簡易にするためにコイル150の形状が模式的に示されている。実際には、後に図9を参照して説明するように、コイル150は、ドーナツ状の領域内にて複数の巻線が巻回されてなる渦巻き形状である。
鍋収容部131の外周面には、平面視において楕円形状(詳細には外形楕円型のドーナツ形状)のコイル150が配設されている。本実施形態では、3つのコイル150a~150cが、鍋収容部131の外周面に沿って周方向に等間隔に配置されている。コイル150は、高周波電流が通電されることによって電磁波を発生させ、それによって鍋収容部材130を介して鍋10を誘導加熱する。
コイル150の直下(図6では上方)には、コイル150からの磁束を収束させるためのフェライトコア165を収容するフェライトホルダ160が配置されている。換言すると、コイル150に対して鍋収容部131と反対側にて鍋収容部131に近接して配置される。ここで、近接とは、後述する温度ヒューズ167によって鍋収容部131の温度を検知できる程度の距離をいう。
図7は、フェライトホルダ160の斜視図である。また、図8は、図7の部分分解図である。
図5~8を併せて参照して、フェライトホルダ160は、基部161と、基部161から放射状に延出する4つの延出部162A~162Dとを有する。即ち、フェライトホルダ160は、平面視において概ね十字型である。以下では、4つの延出部162A~162Dを区別なく単に延出部162ともいう。詳細には、4つの延出部162A~162Dのうち3つの延出部162A~162Cは鍋収容部131の底部131aに沿って配置され、残りの1つの延出部162Dは側部131bに沿って配置される。2つの延出部162A,162Bは鍋収容部131の周方向に沿って延びており、コイル150の楕円形状の長径部を押さえるように配置される(図9に明瞭に示す)。2つの延出部162C,162Dは鍋収容部131の径方向に沿って延びており、コイル150の短径部を押さえるように配置される(図9に明瞭に示す)。特に延出部162Dは、鍋収容部材130の上部の係着部136に係着される。
4つの延出部162は、直方体状のフェライトコア165を収容するために凹形状を有する規制部1621と、規制部1621に向かってフェライトコア165を付勢する板バネ状の付勢部1622とからなるスロット形状をそれぞれ有し、当該スロットにフェライトコア165が収容されている。図8では、鍋収容部131の側部131bに沿って配置される延出部162からフェライトコア165が取り外され、フェライトコア165および上記スロットの形状が明瞭に示されている。なお、本実施形態では、延出部162の数は4本であるが、これに限定されるものではない。
基部161には、ねじ締結用の貫通孔163が形成されたボス受け164が設けられている(図7参照)。ボス受け164は、ボス131dの端部を受けるようにボス131dの端部の形状に対応する凹形状を有している。
フェライトホルダ160には、鍋収容部131の底部131aに沿って延びる延出部162に隣接して同方向に延びるヒューズ収容部166が設けられている。ヒューズ収容部166は凹形状を有し、ヒューズ収容部166には円柱状の温度ヒューズ167が収容されている。図8では、ヒューズ収容部166から温度ヒューズ167が取り外され、温度ヒューズ167およびヒューズ収容部166の形状が明瞭に示されている。ヒューズ収容部166は、温度ヒューズ167の電気配線(図示せず)を通すために端部を切り欠いた切欠部166aと、温度ヒューズ167の取り外しを容易にするための側部を指先大に切り欠いた切欠部166bとを備える。ヒューズ収容部166の凹形状の内面には、温度ヒューズ167と圧接するリブ166cが設けられている。
再び図6を参照して、フェライトホルダ160の直下(図6では上方)には、コイル150から発生する高周波磁界が周辺機器に悪影響を及ぼすことを抑制するための反射板170が配置されている。反射板170は、1枚の板金を屈曲加工してなる一体構造をしている。反射板170の材質は、鍋10よりも電気抵抗値が低い銅またはアルミニウム等である。
反射板170は、鍋収容部131の底部131aに対向して配置される底板171と、側部131bに対向して配置される側板172と、これらを接続する連続部173とを有している。底板171および側板172は、それぞれ概ね半楕円状の平板である。当該楕円形状の曲率は、対応するコイル150の楕円形状の曲率と概ね同じである。連続部173の中央には、コイル150の内形に対応した形状の開口部173aが設けられている。開口部173aは、底板171と側板172を打ち抜いて形成されており、その中央にはねじ締結部173cが架け渡されている。従って、開口部173aは、ねじ締結部173cによって区切られた2つの開口を有している。ねじ締結部173cは、底板171が連続部173まで延出した部分である。ねじ締結部173cには、ねじ締結用のねじ孔173dが設けられている。また、連続部173には開口部173aを挟むように2つの段差部173bが設けられている。段差部173bは、組み立てられた際にコイル150に近づくように形成されており、即ちコイル150に向かって凸の段差形状を有する。
図9は、本体ケーシング114を外した炊飯器1の底面図である。より詳細には、図9では、反射板170も取り外された状態が示されている。
炊飯器本体100が組み立てられた状態では、フェライトホルダ160と鍋収容部131との間にコイル150が挟持されることによって、コイル150の位置が固定される。本実施形態では、フェライトホルダ160のボス受け164に鍋収容部131のボス131dが受け入れられた状態で、ボス131dと、反射板170のねじ孔173dと、フェライトホルダ160の貫通孔163とが共締めされ、それぞれが固定される。
本実施形態では、1つのコイル150に対し、1つのフェライトホルダ160と、1つの反射板170とがそれぞれ設けられている。本実施形態では、このようなコイル150と、フェライトホルダ160と、反射板170とからなる組立体が3組設けられている。当該組立体では1つのコイル150に対応して1つの温度ヒューズ167が設けられており、温度ヒューズ167はコイル150と反射板170との間に配置されている。
コイル150は、鍋収容部131の底部131a、側部131b、および曲部131cの外側に配置されている。詳細には、コイル150は、鍋収容部131の底部131a、側部131b、および曲部131cの外面に当接している。炊飯の際の対流を促す観点からは、コイル150は少なくとも鍋収容部131の底部131aおよび曲部131cの外側に配置されていることが好ましく、即ち少なくとも鍋収容部131の底部131aおよび曲部131cの外面に当接していることが好ましい。
コイル150は通電および制御のために制御基板140,141にそれぞれ電気的に接続されている。詳細には、炊飯器1の前方側では、コイル150bが制御基板140に電気的に接続され、後方側では、コイル150a,150cは制御基板141に電気的に接続されている。この電気的な接続は並列接続であり、コイル150a~150cにはそれぞれ独立に通電できるようになっている。
コイル150a~150cとともに、3個の温度ヒューズ167もまた制御基板141に電気的に接続されている。ただし、全ての温度ヒューズ167は、コイル150a~150cとは異なり、電気的に直列に接続されている(図9中の破線参照)。なお、破線で示す電気配線は模式的に示されており、実際の接続態様とは異なり得る。実際には、鍋収容部材130の周縁部に引っ掛けるまたは巻き付けるなどしてその他の部品の邪魔にならないように配線することが好ましい。
図10は、炊飯器1の電気配線を示すブロック図である。
炊飯器1の制御基板140,141は、制御装置として機能する。この制御装置は、IH回路143と、切換部144とを備える。IH回路143は、コイル150に所定の電力(高周波電流)を供給する部分である。切換部144は、以下に詳細を説明するように各コイル150a~150cへの通電を切り換える部分であり、例えばマイコンであってもよい。また、切換部144は、表示部を有する基板に設けられてもよい。本実施形態では、切換部144は、例えば3つのコイル150のうちの1つが通電されて残りが遮断されるように切り換えることができる。IH回路143から切換部144へと延びる電気配線には、3個の温度ヒューズ167と電源部145とが直列接続の態様で介設されている。従って、3個の温度ヒューズ167のうち1個でも遮断されると、全てのコイル150a~150cへの通電が遮断される。
温度ヒューズ167の直列接続では、基板等の電子部品が温度ヒューズ167間に介在していてもよい。また、コイル150a~150cへの通電の遮断は、切換部144への通電を遮断することによって行われてもよいし、IH回路143への通電を遮断することによって行われてもよい。
本実施形態では、制御基板140,141からコイル150に対して以下のように適切なタイミングで高周波電流を通電するように制御している。
図6を参照して、例えば、コイル150aだけに高周波電流を通電すると、コイル150aに対応する、鍋10(図4参照)の底面部から側面部にかけての上下方向(縦方向)の広い領域が部分的に誘導加熱される。当該加熱領域が集中的に加熱されることにより、鍋10内の当該加熱領域において上下方向の大きな対流が起こる。上下方向の大きな対流によって大きな撹拌効果が得られ、炊飯中において、飯米に含まれる旨み成分(溶出糖分など)を引き出すことができる。なお、当該加熱領域を集中的に加熱するためには、コイル150の加熱出力に依存するが、少なくとも0.5秒程度通電することが好ましい。例えば、0.5秒から30秒にわたって、コイル150aだけに通電される。
同様に、コイル150bだけに高周波電流を上記時間にわたって通電すると、コイル150bに対応する、鍋10の底面部から側面部にかけての上下方向(縦方向)の広い領域が部分的に誘導加熱されて、鍋10内の当該加熱領域において上下方向の大きな対流が起こる。また、コイル150cだけに高周波電流を上記時間にわたって通電すると、コイル150cに対応する、鍋10の底面部から側面部にかけての上下方向(縦方向)の広い領域が部分的に誘導加熱されて、鍋10内の当該加熱領域において上下方向の大きな対流が起こる。
このように、例えばコイル150aだけに通電して他のコイル150b,150cを非通電にすると、通電されたコイル150aに対応する、鍋10の底面部から側面部にかけての上下方向(縦方向)の広い領域が部分的に誘導加熱されて、鍋10内の当該加熱領域において上下方向の大きな対流が起こる。すなわち、通電による部分的な加熱領域と、非通電による非加熱領域との間での温度差が大きくなり、大きな対流が起こるので、大きな撹拌効果が得られる。
次に、コイル150aの隣に位置するコイル150bだけに通電して他のコイル150a,150cを非通電にすると、通電されたコイル150bに対応する、鍋10の底面部から側面部にかけての上下方向(縦方向)の広い領域が部分的に誘導加熱されて、鍋10内の当該加熱領域において上下方向の大きな対流が起こる。さらに、コイル150bの隣に位置するコイル150cだけに通電して他のコイル150a,150bを非通電にすると、通電されたコイル150cに対応する、鍋10の底面部から側面部にかけての上下方向(縦方向)の広い領域が部分的に誘導加熱されて、鍋10内の当該加熱領域において上下方向の大きな対流が起こる。
従って、複数のコイル150のうち、或るコイルに通電したあと、或るコイルの隣りに位置する他のコイルに通電するとともに他のコイル以外を非通電にすることを順次行うように制御できる。当該制御によれば、部分的な加熱による上下方向の大きな対流が、鍋10の周方向において順次移動して、上下方向の対流及び周方向の対流が複合化した対流を鍋10内で生じさせることができる。複合化した対流により、炊飯中において、飯米に含まれる旨み成分(溶出糖分など)をさらに引き出すことができる。
本実施形態の炊飯器1によれば、以下のメリットがある。
複数のコイル150が鍋収容部131の底部131aおよび曲部131cの外側に配置されているため、コイル150が平面ではなく立体的に配置されている。このようにして立体的な加熱を行うことによって加熱ムラを抑制できる。このとき、鍋収容部131が局部的に加熱され得るため、何らかの不具合で加熱した部分の温度が局部的に過剰に上昇すると、鍋収容部131が熱損傷するおそれがある。しかし、上記構成では、鍋収容部131に近接して温度ヒューズ167が配置されているため、鍋収容部131の温度が所定以上に上昇すると、この温度ヒューズ167によってコイル150への通電が遮断される。従って、誘導加熱が停止され、鍋収容部131の温度が所定以上高くなることを防止でき、鍋収容部131の熱損傷を防止できる。特に、上記構成では、フェライトコア165が設けられていることによって、コイル150からの磁束を収束させることができる。このフェライトコア165を収容するフェライトホルダ160に温度ヒューズ167が取り付けられているため、温度ヒューズ167を取り付けるための別部品を新たに設ける必要がない。さらに、フェライトホルダ160は鍋収容部131に近接して配置される部材であるため、当該温度ヒューズ167の配置は鍋収容部131の温度を検知し易い好適な配置となっている。従って、鍋収容部131の熱損傷を効率的に防止できる。
炊飯器1は、複数のコイル150のうちの1つが通電されて残りが遮断されるように、定められた順番で通電状態を切り換える切換部144を備えるため、切換部144によって、電力を分散せず1つのコイル150に集中して供給できる。1つのコイル150に供給する電力を増加させることができるため、シングルコイル型の炊飯器に比べて、局部をより強く加熱できる一方、コイル150の単位面積当たりの加熱量が増加する。そのため、コイル150の温度が局部的に上昇し易く、鍋収容部131が熱損傷する危険性が高まる。これに対し、本実施形態では、温度ヒューズ167を鍋収容部131に近接して配置しているため、鍋収容部131の熱損傷を防止できる。
コイル150ごとに温度ヒューズ167を設けており、即ち各コイル150によって局部的に加熱される部分に対して温度ヒューズ167を配置している。従って、温度上昇する部分に対して的確に温度ヒューズ167を配置でき、過剰な温度上昇を的確に検知できる。特に、切換部144を設けているので前述のように各コイル150の温度が上昇しやすく、コイル150ごとに温度ヒューズ167を設けてコイル150ごとに過剰な温度上昇を検知できることは有効である。
全ての温度ヒューズ167が電気的に直列に接続されているため、1つの温度ヒューズ167が過剰な温度を検知した際に、全てのコイル150への通電が遮断される。従って、安全性を高めることができる。
基部161を中心として延出部162が底部131aおよび側部131bに沿って延びているため、鍋収容部131の立体的な形状に沿ってフェライトホルダ160を配置できる。従って、立体的に配置されたコイル150からの磁束を効率的に収束させることができる。
温度ヒューズ167が底部131aに沿って配置されているため、鍋収容部131の特に底部131aの温度を検知できる。鍋収容部131の底部131aは炊飯器1において加熱され易い部分であるため、温度上昇し易い部分の温度上昇を効率的に検知できる。
以上より、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、上記実施形態では、コイル150が3個の場合を示しているが、コイル150の数は特に限定されず、2個以上であり得る。
また、上記実施形態では、調理器の一例として飯米を炊飯する炊飯器1を挙げて説明しているが、本発明は、炊飯器1に限定されず、例えば他の被調理物(例えば、ビーフシチューやクリームシチューのような煮込み物)を加熱して調理する調理器にも適用可能であり、同様の作用及び効果を奏することができる。
1 炊飯器(調理器)
10 鍋
11 上端開口
20 ハンドル
100 炊飯器本体
111,112 側面パネル
113 前面パネル
114 本体ケーシング
114a 開口部
120 肩体
121 ヒンジ接続部
122 係合穴
125 内胴
130 鍋収容部材
131 鍋収容部(保護枠)
131a 底部
131b 側部
131c 曲部
131d ボス
132,133 基板支持部
134 ブラケット部
135 中央支持部
136 係着部
140,141 制御基板
142 ファン
143 IH回路
144 切換部
145 電源部
150,150a,150b,150c コイル
160,160a,160b,160c フェライトホルダ
161 基部
162,162A,162B,162C,162D 延出部
1621 規制部
1622 付勢部
163 貫通孔
164 ボス受け
165 フェライトコア
166 ヒューズ収容部
166a,166b 切欠部
166c リブ
167 温度ヒューズ
170,170a,170b,170c 反射板
171 底板
172 側板
173 連続部
173a 開口部
173b 段差部
173b1 第1部分
173b2 第2部分
173c ねじ締結部
173d ねじ孔
200 蓋体
210 操作部
211 操作ボタン
212 開放ボタン
220 表示部
230 蒸気排出口
240 内蓋
241 シール部材
250 ロック爪

Claims (2)

  1. 底部、側部、およびそれらを接続する曲部を有する有底円筒状の鍋収容部と、
    前記鍋収容部の少なくとも前記底部および前記曲部の外側にて、前記鍋収容部の周方向に離間して配置された複数のコイルと、
    フェライトコアを収容し、前記コイルに対して前記鍋収容部と反対側にて前記鍋収容部に近接して配置され、温度ヒューズがそれぞれ取り付けられた複数のフェライトホルダと
    を備え
    前記フェライトホルダは、基部と、前記基部から放射状に延出し、前記フェライトコアを収容する複数の延出部とを有し、
    前記複数の延出部のうちの一部は前記鍋収容部の前記底部に沿って延びており、前記複数の延出部のうちの一部は前記鍋収容部の前記側部に沿って延びている調理器。
  2. 前記フェライトホルダは、前記底部に沿って延びる前記延出部に隣接して同方向に延び、前記温度ヒューズを収容するヒューズ収容部をさらに備える、請求項に記載の調理器。
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