一実施形態の同軸コネクタは、本体と、固定端子と、可動端子とを備えている。本体は、内部空間を有する。本体の上部には、内部空間に連通する穴が形成されている。固定端子は、本体に収納されており、基部と、接点部と、を含む。固定端子の基部は、本体に固定されている。固定端子の接点部は、固定端子の基部から本体の内部空間に突出する。可動端子は、本体に収納されており、基部と、板ばね部と、接点部と、脚部と、を含む。可動端子の基部は、本体に固定されている。板ばね部は、可動端子の基部から本体の内部空間に突出して固定端子の接点部に向かって延びている。板ばね部は、本体の穴の中心軸と交差する補助接点領域を有する。可動端子の接点部は、板ばね部の先端に連なっており、固定端子の接点部に下方から接触している。脚部は、板ばね部の両側部に設けられる。脚部の各々は、板ばね部の延びる方向とは異なる方向に突出するように曲がりながら延びて本体の内部空間の底に接触している(第1の構成)。
第1の構成の同軸コネクタによれば、板ばね部の適切な範囲(たとえば、上下方向に沿って見て、板ばね部の両側部に設けられた脚部同士の間)に設定された補助接点領域において、板ばね部の幅方向中央からずれた位置に検査用の相手方同軸コネクタのプローブが接触した場合、プローブの進入に伴って、プローブの接触位置は板ばね部の幅方向中央へと移動する。これは、板ばね部の幅方向中央からずれた位置では、板ばね部の両側部に設けられた脚部のうちその位置に近い方の脚部の弾性力が強く作用することと関係している。詳細については、後述する。
プローブが板ばね部の幅方向中央に移動することにより、プローブと板ばね部との接触状態が安定する。つまり、プローブと可動端子との接触抵抗が安定する。このため、ミリ波領域等の高周波領域における測定において、測定精度が安定する。したがって、第1の構成の同軸コネクタによれば、同軸コネクタに接続された回路(たとえば、送受信回路)の電気特性を正確に測定することができる。
別の観点では、一実施形態の同軸コネクタは、本体と、固定端子と、可動端子とを備えている。本体は、内部空間を有する。本体の上部には、内部空間に連通する穴が形成されている。固定端子は、本体に収納されており、基部と、接点部と、を含む。固定端子の基部は、本体に固定されている。固定端子の接点部は、固定端子の基部から本体の内部空間に突出する。可動端子は、本体に収納されており、基部と、板ばね部と、接点部と、脚部と、を含む。可動端子の基部は、本体に固定されている。板ばね部は、可動端子の基部から本体の内部空間に突出して固定端子の接点部に向かって延びている。板ばね部は、本体の穴の中心軸と交差する補助接点領域を有する。可動端子の接点部は、板ばね部の先端に連なっており、固定端子の接点部に下方から接触している。脚部は、板ばね部の両側部からそれぞれ突出して本体の内部空間の底に接触している。板ばね部の補助接点領域がプローブにより上から押圧された状態のとき、板ばね部の上面のうち、プローブによる押圧部分は脚部が突出する部分よりも下にある(第2の構成)。
第2の構成の同軸コネクタによれば、板ばね部の補助接点領域がプローブにより上から押圧された状態のとき、板ばね部の上面のうち、プローブによる押圧部分は各脚部が突出する部分よりも下にある。これは、板ばね部の横断面において、板ばね部が下に凸となるように湾曲することを意味する。このような状態では、プローブの接触位置に、板ばね部の両側部から突出する脚部のうちプローブの接触位置に近い方の脚部の弾性力が強く作用する。これにより、プローブの接触位置は板ばね部の幅方向中央へと移動する。したがって、第2の構成の同軸コネクタによれば、第1の構成の同軸コネクタによる効果と同様の効果を奏することができる。
第1の構成又は第2の構成の同軸コネクタでは、板ばね部において、脚部が突出する部分同士の間に、補助接点領域が位置することが好ましい(第3の構成)。この構成の場合、補助接点領域において板ばね部の幅方向中央からずれた位置に接触したプローブを板ばね部の幅方向中央へ移動させる効果が得られやすい。
第1の構成又は第2の構成の同軸コネクタでは、上記脚部が板ばね部の両側部に複数ずつ設けられていてもよい。この場合、脚部は、第1脚部と、第2脚部とを含むことができる。第1脚部及び第2脚部は、板ばね部の両側部からそれぞれ突出して内部空間の底に接触する。第2脚部は、板ばね部の延びる方向において第1脚部と隣接するように設けられる。板ばね部において、第1脚部が突出する部分同士の間の領域と、第2脚部が突出する部分同士の間の領域と、を含む範囲に、補助接点領域が位置することが好ましい(第4の構成)。この構成の場合は、補助接点領域において板ばね部の幅方向の中央からずれた位置に接触したプローブを板ばね部の幅方向中央へ移動させる効果が得られやすい。
第1の構成~第4の構成のいずれかの同軸コネクタでは、同軸コネクタを本体の穴の中心軸に沿って見たとき、脚部それぞれの延びる方向は、板ばね部の延びる方向に垂直な方向であってもよい(第5の構成)。また、第4の構成の同軸コネクタにおいて、同軸コネクタを本体の穴の中心軸に沿って見たとき、第1脚部それぞれの延びる方向及び第2脚部それぞれの延びる方向は、板ばね部の延びる方向から傾いた方向であってもよい(第6の構成)。同軸コネクタの構造により、脚部を配置可能な空間を考慮して、第5の構成又は第6の構成を適宜採用することができる。
第6の構成の同軸コネクタでは、同軸コネクタを本体の穴の中心軸に沿って見たとき、第1脚部が、補助接点領域を通り板ばね部の延びる方向に垂直な線に対して第2脚部と対称に配置されていることが好ましい(第7の構成)。この構成の場合、板ばね部の縦断面において、補助接点領域におけるプローブの接触位置の近傍部分が、極度に傾斜しないようにすることができる。これにより、プローブと板ばね部との接触状態がより安定する。
第6の構成又は第7の構成の同軸コネクタでは、同軸コネクタを本体の穴の中心軸に沿って見たとき、第1脚部の中心線同士の交点が第2脚部の中心線同士の交点と一致していてもよい(第8の構成)。この場合、第1脚部による弾性力及び第2脚部による弾性力が作用する領域を、上記の交点周辺に集中させることができる。このため、プローブと板ばね部との接触状態がより一層安定する。
第1の構成~第8の構成のいずれかの同軸コネクタにおいて、板ばね部の両側部から突出する脚部の形状は、たとえば、以下のとおりである。脚部は、互いに内向きに曲がっている(第9の構成)。脚部は、それぞれ下向きに曲がり、さらに互いに外向きに曲がっている(第10の構成)。脚部は、それぞれ下向きに鋭角に曲がり、さらに互いに外向きに鋭角に曲がっている(第11の構成)。脚部それぞれは、下向きに鈍角に曲がり、さらに上向きに鈍角に曲がっている(第12の構成)。同軸コネクタの構造により、脚部を配置可能な空間を考慮して、また、板ばね部に与えるべき脚部の弾性力を考慮して、第9の構成~第12の構成のいずれかを適宜採用することができる。
第1の構成~第12の構成のいずれかの同軸コネクタにおいて、板ばね部に対する脚部の接続箇所は、適宜変更することができる。たとえば、脚部それぞれは、板ばね部の側縁に接続されてもよい(第13の構成)。あるいは、脚部それぞれは、板ばね部の上面に接続されてもよい(第14の構成)。脚部それぞれは、板ばね部の下面に接続することもできる(第15の構成)。
第1の構成~第15の構成のいずれかの同軸コネクタでは、板ばね部の一方の側部において脚部が突出する部分が、板ばね部の他方の側部において脚部が突出する部分と、板ばね部の延びる方向において対応する位置に配置されてもよい(第16の構成)。また、第1の構成~第15の構成のいずれかの同軸コネクタでは、板ばね部の一方の側部において脚部が突出する部分が、板ばね部の他方の側部において脚部が突出する部分と、板ばね部の延びる方向において位置をずらして配置されてもよい(第17の構成)。
以下に、本発明の実施形態に係る同軸コネクタについて、図面を参照して詳細に説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付して、重複する説明はしない。本明細書において、縦断面とは、可動端子の長手方向に沿った断面を意味する。可動端子の長手方向とは、可動端子の延びる方向を意味する。横断面とは、可動端子の長手方向に垂直な断面を意味する。
〈同軸コネクタ〉
図2A及び図2Bは、本発明の一実施形態に係る同軸コネクタ10の斜視図である。図3A及び図3Bは、同軸コネクタ10の分解斜視図である。図2A及び図3Aには、同軸コネクタ10を斜め上から見たときの図が示される。図2B及び図3Bには、同軸コネクタ10を斜め下から見たときの図が示される。図4は、同軸コネクタ10の縦断面図である。
同軸コネクタ10は、本体12と、可動端子20と、固定端子22とを備えている。本体12は、下ケース18と、上ケース16と、外部端子14とを備えている。外部端子14、可動端子20、及び固定端子22は、いずれも金属製であり、導電性を有する。外部端子14、可動端子20、及び固定端子22は、たとえば、SUS301(JIS規格)のステンレスからなる。下ケース18、及び上ケース16は、たとえば樹脂製であり、電気的絶縁性を有する。
下ケース18上には、上ケース16と、外部端子14とがこの順に重ねられる。外部端子14、上ケース16、及び下ケース18が重ねられている方向を上下方向とする。下ケース18に対して外部端子14が配置されている側を上とし、外部端子14に対して下ケース18が配置されている側を下とする。
上下方向に沿って見て、可動端子20と固定端子22とは、所定の方向に沿って配列されている。上下方向に沿って見て、可動端子20と固定端子22との配列方向を前後方向とする。固定端子22に対して可動端子20が配置されている側を前とし、可動端子20に対して固定端子22が配置されている側を後とする。上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向とする。上側から見て、前方向から右回りに90°回転した方向を右とし、前方向から左回りに90°回転した方向を左とする。
以上のように定義される上、下、前、後、右、及び左、並びに、上下方向、前後方向、及び左右方向は、説明の便宜のためにのみ用い、本発明の同軸コネクタの実際の向きとは無関係である。
特に限定されるものではないが、同軸コネクタ10の上下方向の長さは、たとえば、0.9mmである。特に限定されるものではないが、同軸コネクタ10の前後方向の長さ、及び左右方向の長さは、たとえば、いずれも2mmである。
図3A及び図3Bを参照して、下ケース18は、平面視で略矩形状の板状部材である。下ケース18は、たとえば、前後方向に沿う一対の辺と、左右方向に沿う一対の辺とを含む。下ケース18の上面には、上ケース16との位置決めのための凸条52a,52bが設けられている。凸条52a,52bは、前後方向に延びており、それぞれ、下ケース18の上面の右端及び左端に設けられている。下ケース18の前端であって、左右方向の中央部には、切り欠き54が形成されている。この切り欠き54を通じて、可動端子20の前端部20Fが本体12の外部に露出する。同様に、下ケース18の後端であって、左右方向の中央部には、切り欠き55が形成されている。この切り欠き55を通じて、固定端子22の後端部22Bが本体12の外部に露出する。
下ケース18の上面において、切り欠き54の近傍には、突起56が設けられている。この突起56は可動端子20を位置決めする役割を担う。上下方向に沿って見て、突起56の右側及び左側には、それぞれ、下ケース18をその厚さ方向(上下方向)に貫通する孔53a,53bが形成されている。下ケース18の上面は、可動端子20を固定するための固定面57を有する。固定面57は、前後方向に関して、前側の切り欠き54と突起56との間に位置している。また、下ケース18の上面は、固定端子22を固定するための固定面58を有する。この固定面58は、後述の内部空間Sの底B(図4参照)から突出した台状部の上面である。この台状部は、後側の切り欠き55の近傍でその切り欠き55の前側に位置している。
図3Aを参照して、上ケース16は、円筒部34及びカバー部35を備えている。カバー部35は、板状部材である。上下方向に沿って見て、カバー部35の右側の端部は、下ケース18の凸条52aの左側の端部と相補的な形状を有している。同様に、カバー部35の左側の端部は、下ケース18の凸条52bの右側の端部と相補的な形状を有している。カバー部35は、下ケース18に嵌め込まれて、下ケース18において凸条52aと凸条52bとの間の部分を覆っている。図4を参照して、下ケース18と上ケース16との間には、内部空間Sが形成されている。
上ケース16の円筒部34は、カバー部35の上面中央から上に突出している。上ケース16には、上ケース16を上下方向に貫通する穴34aが形成されている。穴34aは、円筒部34の内部の空間を含む。穴34aの中心軸Cは、上下方向に沿っている。この実施形態では、上ケース16の上下方向に垂直な断面において、穴34aは円形である。この場合、中心軸Cは、当該円の中心を通る。上ケース16の上下方向に垂直な断面において穴34aが矩形であってもよい。この場合、中心軸Cは、当該矩形の2つの対角線の交点を通る。円筒部34は、上側ほど開口断面積が大きくなる鉢状の形状を有する。
図3Bを参照して、上ケース16(カバー部35)の下面には、下に突出する2つの円柱形の突起36a,36bが設けられている。上下方向に沿って見て、突起36a,36bは、それぞれ、下ケース18の孔53a,53bに対応する位置に設けられている。突起36a,36bは、それぞれ、下ケース18の孔53a,53bに挿入される。これにより、上ケース16と下ケース18とが相互に位置決めされる。
上ケース16(カバー部35)の下面は、固定面37を有する。上下方向に沿って見て、この固定面37は、下ケース18の固定面57(図3A参照)と重なる位置に配置される。可動端子20は、その前端部20F近傍の部分(後述する基部20a)を上ケース16の固定面37と下ケース18の固定面57とによって挟まれて、固定される。同様に、上ケース16(カバー部35)の下面は、固定面39を有する。上下方向に沿って見て、この固定面39は、下ケース18の固定面58(図3A参照)と重なる位置に配置される。固定端子22は、その後端部22B近傍の部分(後述する基部22a)を上ケース16の固定面39と下ケース18の固定面58とによって挟まれて、固定される。
外部端子14は、検査用の相手方同軸コネクタの外導体と接触し、通常、接地(グランド)端子として機能する。図2A及び図2Bに示すように、外部端子14は、フラット部31、円筒部32、及び突出部33a,33bを備える。外部端子14は、たとえば、ステンレス(たとえば、SUS301)の板からなる。外部端子14は、たとえば、板に打ち抜き、曲げ、絞り等の各種の加工を施すことによって形成することができる。外部端子14の外表面には、必要に応じてめっきが施される。
フラット部31は、板状であり、上ケース16のカバー部35を上から覆っている。上下方向に沿って見て、フラット部31は概ね矩形である。フラット部31は、たとえば、前後方向に沿う一対の辺と、左右方向に沿う一対の辺とを含む。フラット部31の右及び左の辺には、それぞれ、突出部33a,33bが設けられている。突出部33a,33bは、フラット部31から左右方向に延びる板状体の一部を折り曲げて形成される。具体的には、図2Bに示すように、突出部33a,33bは、下ケース18の下面に回り込むように折り曲げられる。これにより、外部端子14、上ケース16、及び下ケース18は、互いに固定されている。
フラット部31の中央部には、上に突出する円筒部32が設けられている。検査用の相手方同軸コネクタの外導体(図示省略)は、円筒部32の周りに嵌められる。円筒部32は、上ケース16の円筒部34と同軸となるように、円筒部34の周りに嵌められる。これにより、本体12の上部には、穴34aが形成されている。穴34aは、内部空間Sに連通している(図4参照)。
次に、可動端子20及び固定端子22について、図3A、図4、図5A、及び図5Bを参照して説明する。図5Aは、可動端子20の上面図である。図5Bは、可動端子20の後面図である。可動端子20及び固定端子22は、それぞれ金属からなる板状部材である。可動端子20及び固定端子22は、たとえば、平板状の金属板に打ち抜き、曲げ等の各種の加工を施すことによって形成することができる。可動端子20及び固定端子22は、本体12に収納される。
固定端子22は、基部22aと、接点部22bとを含む。基部22aは、接点部22bの後ろ側に連なる部分であり、接点部22bと実質的に同一平面上にある。基部22aは、下ケース18の固定面58と上ケース16の固定面39との間に挟まれる。これにより、固定端子22は、本体12に固定される。固定端子22において、基部22aより後側の部分(後端部22B)は、切り欠き55を介して本体12の外部に露出している。接点部22bは、固定端子22の前端近傍の部分である。接点部22bは、基部22aから本体12の内部空間Sに突出する。固定面58が内部空間Sの底Bから突出した台状部の上面であることにより、接点部22bは、内部空間Sの底B(下ケース18の上面)から離間している。
可動端子20は、ばね性(弾性)を有する板状部材である。可動端子20は、基部20aと、板ばね部20bと、接点部20cと、脚部20d1,20d1と、を含む。基部20aは、可動端子20の前端部20Fの近傍の部分である。基部20aは、下ケース18の固定面57と上ケース16の固定面37との間に挟まれる。これにより、可動端子20は、本体12に固定される。可動端子20において、基部20aより前端側の部分(前端部20F)は、切り欠き54を介して本体12の外部に露出している。
板ばね部20bは、基部20aから本体12の内部空間Sに突出し、固定端子22の接点部22bに向かって延びている。板ばね部20bは補助接点領域Rを有する。補助接点領域Rは、本体12の穴34aの中心軸Cと交差する。接点部20cは、可動端子20の後端近傍の部分であり、板ばね部20bの先端に連なっている。接点部20cは、固定端子22の接点部22bの下に重なっている。可動端子20は、板ばね部20b及び接点部20cが内部空間Sの底B(下ケース18の上面)から離間するように、屈曲している。この実施形態の例では、板ばね部20b及び接点部20cは、下ケース18の上面とほぼ平行である。接点部20cは、板ばね部20bの上向きの弾性力によって、固定端子22の接点部22bの下面に接触している。別の観点では、接点部20cは、固定端子22の接点部22bに下方から接触している。
板ばね部20bには、基部20aの近傍に孔45が形成されている。孔45には、下ケース18の突起56が挿入される。これにより、可動端子20が、下ケース18に対して、前後方向及び左右方向について位置決めされる。
この実施形態において、板ばね部20bには、一対の脚部20d1,20d1が設けられている。一対の脚部20d1,20d1は、板ばね部20bの両側部からそれぞれ突出して、内部空間Sの底B(下ケース18の上面)に接触している。より具体的には、脚部20d1,20d1は、板ばね部20bの両側部に設けられる。脚部20d1,20d1それぞれは、たとえば、板ばね部20bの側縁に接続される。すなわち、2つの脚部20d1,20d1のうち、一方の脚部20d1が板ばね部20bの一方の側縁に接続され、他方の脚部20d1が板ばね部20bの他方の側縁に接続される。脚部20d1,20d1は、板ばね部20bと一体的に成形されてもよいし、板ばね部20bとは別体として作製された後、板ばね部20bと接合されてもよい。脚部20d1,20d1の各々は、板ばね部20bの延びる方向(前後方向)とは異なる方向に突出するように曲がりながら延びている。換言すると、脚部20d1,20d1のうち曲率を有する部分が沿う方向は、板ばね部20bの延びる方向と異なる。さらに、脚部20d1,20d1の各々は、本体12の内部空間Sの底Bに接触している。別の観点では、脚部20d1,20d1の各々は、板ばね部20bが延びる方向(前後方向)とは異なる方向に延びつつ内部空間Sの底Bに向かって曲がっている。
図5Aを参照して、同軸コネクタ10を本体12の穴34a(図4参照)の中心軸Cに沿って見たとき、すなわち、上下方向に沿って見たとき、脚部20d1,20d1の各々の延びる方向は、板ばね部20bの延びる方向(前後方向)に実質的に垂直な方向(左右方向)である。図5Aに示す例では、上下方向に沿って見て、脚部20d1,20d1は、左右方向に延びる同一直線上に配置されている。すなわち、可動端子20を上下方向に沿って見たとき、板ばね部20bにおいて脚部20d1,20d1が突出する部分同士は、板ばね部20bの幅方向の中心線LCに対して対称な位置に配置されている。別の観点では、板ばね部20bの一方の側部において一方の脚部20d1が突出する部分は、板ばね部20bの他方の側部において他方の脚部20d1が突出する部分と、板ばね部20bの延びる方向において対応する位置に配置される。
板ばね部20bにおいて、補助接点領域Rは、相手方同軸コネクタのプローブが接触しうる領域である。図5Aでは、板ばね部20bの側部のうち、脚部20d1,20d1がそれぞれ突出する部分(以下、「第1境界部分」という。)B1を二点鎖線で示す。第1境界部分B1は、板ばね部20bと脚部20d1,20d1の各々との境界部分(接続部分)である。本実施形態では、2つの第1境界部分B1が板ばね部20bの幅方向(左右方向)において対向している。補助接点領域Rは、第1境界部分B1同士の間に位置している。
図5Bを参照して、脚部20d1,20d1は、互いに内向きに曲がっている。より詳細には、脚部20d1,20d1の各々は、板ばね部20bの側部から、左右方向外向きに延び、さらに先端(板ばね部20bとは反対側の端部)側の部分では、上下方向に沿う面内で半円形に湾曲している。脚部20d1,20d1において先端を含む部分は、先端に近づくに従って、互いに接近する。
〈同軸コネクタの組立方法〉
同軸コネクタ10は、たとえば、以下のように組み立てられる。固定端子22を位置合わせして上ケース16に取り付け、その後、可動端子20を位置合わせして上ケース16に取り付ける。これにより、可動端子20の接点部20cの上面と、固定端子22の接点部22bの下面とが接触する。この段階において、外部端子14の突出部33a,33bは、折り曲げられておらず、フラット部31と同一面内に延びている。
次に、上ケース16に対して上側から外部端子14を取り付ける。この際、上ケース16の円筒部34が、外部端子14の円筒部32に挿入される。その後、下ケース18の上に上ケース16及び外部端子14を積み重ねる。この際、上ケース16の突起36a,36bが、それぞれ、下ケース18の孔53a,53bに挿入される。最後に、外部端子14の突出部33a,33bを、下ケース18の下面に回り込ませるように折り曲げる。これにより、図2A及び図2Bに示す構造を有する同軸コネクタ10が得られる。
同軸コネクタ10は携帯電話等の通信機器に搭載される。この場合、たとえば、通信機器のアンテナは、固定端子22において本体12の外部に露出した部分(後端部22B)に接続される。さらに、通信機器の送受信回路は、可動端子20において本体12の外部に露出した部分(前端部20F)に接続される。図4を参照して、可動端子20の接点部20cが固定端子22の接点部22bに接触しているので、可動端子20及び固定端子22を介して送受信回路がアンテナと接続された状態になっている。この状態で通信機器は使用される。
〈同軸コネクタの動作〉
次に、同軸コネクタ10の動作について、図6を参照して説明する。通信機器の製造時やメンテナンス時、たとえば、送受信回路の電気特性が検査される。この検査には専用の測定器が用いられる。図6は、同軸コネクタ10に接続された回路の電気特性を検査するときの様子を示す、同軸コネクタ10の縦断面図である。同軸コネクタ10に接続された送受信回路の電気特性を検査する際、測定器に接続された相手方同軸コネクタのプローブ130が、同軸コネクタ10の穴34aに上方から挿入される。なお、図6では、相手方同軸コネクタの外導体は、図示を省略している。
図6に示すように、相手方同軸コネクタのプローブ130が、可動端子20の板ばね部20bの上方から板ばね部20bに向けて、同軸コネクタ10内に進入する。そして、プローブ130は板ばね部20bに接触して、そのまま板ばね部20bを押し下げる。これにより、可動端子20の接点部20cは、固定端子22の接点部22bから離れる。その結果、可動端子20と固定端子22との電気的接続が断たれる一方、プローブ130が可動端子20に電気的に接続される。さらに、相手方同軸コネクタの外導体が外部端子14に嵌合して、外導体が外部端子14に電気的に接続される。これにより、プローブ130及び可動端子20を介して測定器が送受信回路と接続された状態になる。この状態で送受信回路の電気特性の検査が行われる。
検査後、相手方同軸コネクタを同軸コネクタ10から外すと、板ばね部20bの上向きの弾性力により、接点部20cの上下方向の位置は上側に復帰する(図4参照)。これにより、可動端子20の接点部20cが固定端子22の接点部22bに接触する。その結果、可動端子20が固定端子22に再び電気的に接続される一方、プローブ130と可動端子20との電気的接続が断たれる。これにより、可動端子20及び固定端子22を介して送受信回路がアンテナと接続された状態になる。つまり、通信機器が使用可能な状態となる。
〈効果〉
以下、本実施形態の同軸コネクタ10による効果について説明する。図7A及び図7Bは、検査時の様子を示す可動端子20の横断面図である。図7A及び図7Bには、補助接点領域Rを含む板ばね部20b、及び脚部20d1,20d1が示される。図7Aには、プローブ130が可動端子20に接触した当初、すなわち、下降させたプローブ130が可動端子20に接触した瞬間の状態が示される。図7Bには、プローブ130が可動端子20の補助接点領域Rに接触した後さらに下方へ押し込まれた状態が示される。
図7Aに示すように、プローブ130は、板ばね部20bの幅方向(左右方向)の中央から大きくずれた位置に接触することがある。本実施形態では、可動端子20の補助接点領域R近傍の部分において、板ばね部20bの幅方向の両側部は脚部20d1,20d1により弾性的に支持されているとともに、板ばね部20b自体が弾性的に変形しうる。このため、図7Bに示すように、プローブ130が、板ばね部20bの補助接点領域Rに接触した後、さらに下方へ押し込まれると、板ばね部20b及び脚部20d1,20d1は共に変形する。具体的には、脚部20d1,20d1は、上下方向に圧縮されるように変形する。一方、板ばね部20bは、プローブ130との接点CP及びその近傍の部分が下方に突出するように湾曲する。つまり、板ばね部20bの横断面において、板ばね部20bは下に凸となるように湾曲する。
図7Aを参照して、プローブ130が板ばね部20bの幅方向(左右方向)の中央より右にずれた位置に接触し、プローブ130をさらに下方に押し込む場合を考える。この場合、板ばね部20bのうちプローブ130との初期の接点CP及びその近傍には、左側の脚部20d1の弾性力よりも、接点CPに近い右側の脚部20d1の弾性力が強く作用する。これにより、板ばね部20bの横断面において、板ばね部20bは下に凸となるように湾曲するところ、接点CPより右側の部分に比して左側の部分の方が下方に下がる。つまり、板ばね部20bの横断面において、接点CP及びその近傍は左下がりに傾く。このため、プローブ130は板ばね部20bの傾きに沿って板ばね部20b上を滑る。プローブ130をさらに下方に押し込むと、接点CPは、左側へ、すなわち、板ばね部20bの幅方向(左右方向)中央に近づくように移動する。
接点CPが、板ばね部20bの幅方向中央に至ると、接点CPに対して、左側の脚部20d1から作用する弾性力と右側の脚部20d1から作用する弾性力とが同じになる。このため、板ばね部20bの横断面において、接点CP及びその近傍の傾きは実質的になくなる。その結果、接点CPは、それ以上左右方向には移動しなくなる。すなわち、プローブ130を十分に下方に押し込むと、最終的に、接点CPの位置は、板ばね部20bの幅方向中央に維持される。図7Bには、接点CPの移動に伴うプローブ130の移動方向が矢印で示される。
以上、板ばね部20bの横断面において、プローブ130が、初期に、板ばね部20bの幅方向中央より右にずれた位置に接触した場合について説明した。プローブ130が、初期に、板ばね部20bの幅方向中央より左にずれた位置に接触した場合も、同様の原理により、接点CPの位置は、板ばね部20bの幅方向中央に移動して維持される。
板ばね部20bがプローブ130により押圧された状態のとき、板ばね部20bの上面のうち、第1境界部分B1よりも接点CPの方が下側(プローブ130の挿入方向において前方)にある。この状態は、板ばね部20bの幅方向に関して補助接点領域Rの両端が脚部20d1,20d1により支持されていることにより得られる。
従来の同軸コネクタに備えられた可動端子120において、少なくともプローブ130が接触する部分の周辺では、可動端子120の両側部は何ら支持されていない(図1A及び図1B参照)。このため、プローブ130が板ばね部120bの幅方向中央から大きくずれた位置に接触した場合、プローブ130は最初に接触した位置からさらに板ばね部120bの幅方向外側に滑りやすい。これは、板ばね部120bの長手方向の軸まわりに板ばね部120bがねじれ、板ばね部120bの横断面において、板ばね部120bは幅方向外側が下がるように傾くためである。
本実施形態の同軸コネクタ10では、板ばね部20bの両側部が脚部20d1,20d1により支持されていることにより、板ばね部20bの長手方向の軸まわりに、板ばね部20bのねじれが生じることが抑制される。
プローブ130が板ばね部20bに初期に接触する位置が、補助接点領域R(この実施形態では、上下方向に沿って見て第1境界部分B1同士の間の領域)内であれば、上記のメカニズムが実質的に働く。したがって、プローブ130は、実質的に、補助接点領域R内のどの位置に初期的に接触しても、最終的に、接点CPは、板ばね部20bの幅方向中央に維持される。このため、プローブ130と板ばね部20bとの接触状態が安定する。つまり、プローブ130と可動端子20との接触抵抗が安定する。そうすると、ミリ波領域等の高周波領域における測定において、測定精度が安定する。したがって、同軸コネクタ10に接続された回路(送受信回路)の電気特性を正確に測定することができる。
板ばね部20bがプローブ130により押圧された状態のとき、板ばね部20bは、幅方向(左右方向)に加えて長手方向(前後方向)に関しても、プローブ130との接点CP及びその近傍の部分が下方に突出するように変形してもよい。
〈第1変形例〉
図8Aは、第1変形例の同軸コネクタに備えられた可動端子20Aの斜視図である。図8Bは、可動端子20Aの上面図である。可動端子20Aは、上記実施形態に係る同軸コネクタ10において、上述した可動端子20の代わりに用いることができる。
第1変形例の可動端子20Aは、板ばね部20bの両側部に脚部が複数ずつ設けられている点で、上記実施形態の可動端子20と相違する。この可動端子20Aにおいて、板ばね部20bに設けられた複数の脚部には、第1脚部20d1,20d1と、第2脚部20d2,20d2とが含まれる。すなわち、可動端子20Aは、一対の第1脚部20d1,20d1と、一対の第2脚部20d2,20d2と、を含む。第1脚部20d1,20d1は、上記実施形態において説明した脚部20d1,20d1と同様に、板ばね部20bの両側部からそれぞれ突出して同軸コネクタの本体12の内部空間Sの底B(図4参照)に接触する。第2脚部20d2,20d2も、第1脚部20d1,20d1と同様に、板ばね部20bの両側部からそれぞれ突出して同軸コネクタの本体12の内部空間Sの底B(図4参照)に接触する。第2脚部20d2,20d2は、板ばね部20bが延びる方向(前後方向)において第1脚部20d1,20d1と隣接するように設けられる。つまり、板ばね部20bの各側部において、第1脚部20d1と第2脚部20d2とが前後方向に並んでいる。第2脚部20d2,20d2は、第1脚部20d1,20d1より後側に設けられている。脚部20d1,20d1,20d2,20d2の各々は、上記実施形態の脚部20d1,20d1と同様、板ばね部20bの側縁に接続されている。
第1変形例では、補助接点領域Rは、第1境界部分B1同士の間の領域と、第2境界部分B2同士の間の領域と、を含む範囲に位置する。第1境界部分B1は、板ばね部20bと第1脚部20d1,20d1の各々との境界部分(接続部分)である。言い換えると、第1境界部分B1とは、板ばね部20bの側部のうち、第1脚部20d1,20d1がそれぞれ突出する部分を意味する。この変形例では、可動端子20Aを上下方向に沿って見たとき、板ばね部20bにおいて第1脚部20d1,20d1が突出する部分同士、つまり第1境界部分B1同士は、板ばね部20bの幅方向の中心線LCに対して対称な位置に配置されている。すなわち、板ばね部20bの一方の側部において一方の第1脚部20d1が突出する部分は、板ばね部20bの他方の側部において他方の第1脚部20d1が突出する部分と、板ばね部20bの延びる方向において対応する位置に配置される。
第2境界部分B2は、板ばね部20bと第2脚部20d2,20d2の各々との境界部分(接続部分)である。言い換えると、第2境界部分B2とは、板ばね部20bの側部のうち、第2脚部20d2,20d2がそれぞれ突出する部分を意味する。この変形例では、可動端子20Aを上下方向に沿って見たとき、板ばね部20bにおいて第2脚部20d2,20d2が突出する部分同士、つまり第2境界部分B2同士は、板ばね部20bの幅方向の中心線LCに対して対称な位置に配置されている。すなわち、板ばね部20bの一方の側部において一方の第2脚部20d2が突出する部分は、板ばね部20bの他方の側部において他方の第2脚部20d2が突出する部分と、板ばね部20bの延びる方向において対応する位置に配置される。図8Bに示す例において、補助接点領域Rは、前後方向に関して、第1境界部分B1の前端より後、かつ第2境界部分B2の後端より前に位置している。
同軸コネクタを本体12の穴34a(図4参照)の中心軸Cに沿って見たとき、すなわち、上下方向に沿って見たとき、第1脚部20d1,20d1の各々の延びる方向は、板ばね部20bの延びる方向(前後方向)から傾いている。第2脚部20d2,20d2の各々の延びる方向は、板ばね部20bの延びる方向(前後方向)から傾いている。すなわち、上下方向に沿って見て、各脚部20d1,20d1,20d2,20d2の延びる方向は、板ばね部20bの延びる方向、及び板ばね部20bの延びる方向に直交する方向(左右方向)のいずれにも一致しない。また、上下方向に沿って見て、2つの第1脚部20d1,20d1は、補助接点領域Rを通り板ばね部20bが延びる方向(前後方向)に垂直な線LSに対して、2つの第2脚部20d2,20d2と実質的に対称に配置されている。換言すれば、線LSが、前後方向に関して適切な位置にあるとき、第1脚部20d1,20d1は第2脚部20d2,20d2と線LSに対して対称に位置する。
さらに、上下方向に沿って見て、第1脚部20d1,20d1の中心線LC1同士の交点は、第2脚部20d2,20d2の中心線LC2同士の交点と実質的に一致する。したがって、上下方向に沿って見て、各脚部20d1,20d1,20d2,20d2は、補助接点領域R内の一点を中心として放射状に延びている。これにより、第1脚部20d1,20d1による弾性力及び第2脚部20d2,20d2による弾性力が作用する領域を、上記の交点周辺に集中させることができる。この変形例では、上下方向に沿って見て、第1脚部20d1,20d1の中心線LC1同士の交点、及び、第2脚部20d2,20d2の中心線LC2同士の交点は、本体12の穴34a(図4参照)の中心軸C上に配置される。
図8Aを参照して、第1脚部20d1,20d1及び第2脚部20d2,20d2は、図5Bに示される可動端子20の脚部20d1,20d1と同様に、互いに内向きに曲がっている。
プローブが、初期に、板ばね部20bの補助接点領域R内に接触すると、可動端子20Aを備えた同軸コネクタは、上述した同軸コネクタ10による効果と同様の効果を奏することができる。この第1変形例において、可動端子20Aが第1脚部20d1,20d1及び第2脚部20d2,20d2を含むことにより、可動端子20(図5A及び図5B参照)に比して、補助接点領域Rを広くすることができる。また、可動端子20Aが第1脚部20d1,20d1及び第2脚部20d2,20d2を含むことにより、各脚部20d1,20d1,20d2,20d2による弾性力を大きくして、プローブを板ばね部20bの幅方向中央部に移動させる上述の効果を得やすくすることができる。
第1変形例では、同軸コネクタを中心軸Cに沿って見たときに、第1脚部20d1,20d1と第2脚部20d2,20d2とが線LSに対して実質的に対称に配置されている。これにより、板ばね部20bの縦断面において、補助接点領域Rにおけるプローブの接触位置の近傍部分が極度に傾斜しないようにすることができる。これにより、プローブと板ばね部20bとの接触状態がより安定する。
〈第2変形例〉
図9Aは、第2変形例の同軸コネクタに備えられた可動端子20Bの斜視図である。図9Bは、可動端子20Bの上面図である。可動端子20Bは、上記実施形態に係る同軸コネクタ10において、上述した可動端子20の代わりに用いることができる。
第2変形例の可動端子20Bは、第1変形例の可動端子20A(図8A及び図8B参照)と同様に、第1脚部20d1,20d1及び第2脚部20d2,20d2を含む。同軸コネクタを本体12の穴34a(図4参照)の中心軸Cに沿って見たとき、すなわち、上下方向に沿って見たとき、第1脚部20d1,20d1の各々の延びる方向は、板ばね部20bが延びる方向(前後方向)と実質的に垂直な方向(左右方向)である。また、同軸コネクタを上下方向に沿って見たとき、第2脚部20d2,20d2の各々の延びる方向も、板ばね部20bの延びる方向(前後方向)と実質的に垂直な方向(左右方向)である。この点において、第2変形例の可動端子20Bは、第1変形例の可動端子20A(図8A及び図8B参照)とは異なる。これにより、第2変形例の可動端子20Bでは、第1変形例の可動端子20Aに比して、各脚部20d1,20d1,20d2,20d2の先端を、本体12の内部空間Sの底B(図4参照)上で狭い領域に配置することができる。
〈第3変形例〉
図10は、第3変形例の同軸コネクタに備えられた可動端子20Cの斜視図である。可動端子20Cは、上記実施形態に係る同軸コネクタ10において、上述した可動端子20の代わりに用いることができる。
第3変形例の可動端子20Cは、脚部20d3,20d3,20d4,20d4を含んでいる。この可動端子20Cにおいて、脚部20d3,20d3は第1脚部であり、脚部20d4,20d4は第2脚部である。同軸コネクタを本体12の穴34a(図4参照)の中心軸Cに沿って見たとき、第1脚部20d3,20d3の各々の延びる方向、及び第2脚部20d4,20d4の各々の延びる方向は、いずれも、左右方向、すなわち、板ばね部20bが延びる方向(前後方向)に実質的に垂直な方向である。第1脚部20d3,20d3及び第2脚部20d4,20d4は、上記実施形態及び各変形例において説明した脚部20d1,20d1,20d2,20d2と異なる形状を有する。
第1脚部20d3,20d3の各々は、板ばね部20bから左右方向外向きに延びている。より詳細には、第1脚部20d3,20d3の各々は、板ばね部20bから下向きに鈍角に曲がり、さらに上向きに鈍角に曲がっている。言い換えると、第1脚部20d3,20d3の各々は、板ばね部20bから左右方向外側かつ下方に向かって延びた後、左右方向外側かつ上方に延びている。したがって、第1脚部20d3,20d3の各々は、下に凸の部分を有する。この部分の最下部において、第1脚部20d3,20d3の各々は、本体12の内部空間Sの底B(図4参照)に接触している。
第2脚部20d4,20d4の各々は、板ばね部20bから左右方向外向きに延びている。より詳細には、第2脚部20d4,20d4の各々は、板ばね部20bから下向きに鈍角に曲がり、さらに上向きに鈍角に曲がっている。言い換えると、第2脚部20d4,20d4の各々は、板ばね部20bから左右方向外側かつ下方に向かって延びた後、左右方向外側かつ上方に延びている。したがって、第2脚部20d4,20d4の各々は、下に凸の部分を有する。この部分の最下部において、第2脚部20d4,20d4の各々は、本体12の内部空間Sの底B(図4参照)に接触している。
各脚部20d3,20d3,20d4,20d4において、最下部より先端側の部分は、たとえば、樹脂により内部空間Sの底Bに固定するために用いることができる。
〈その他の変形例〉
脚部は、上記以外の態様で屈曲又は湾曲していてもよい。図11は、可動端子20Dの横断面図であって、板ばね部20b及び脚部20d5,20d5を含む部分の断面図である。図11に示すように、板ばね部20bの両側部から突出する脚部20d5,20d5は、板ばね部20bからそれぞれ下向きに曲がり、さらに、互いに外向きに曲がっていてもよい。すなわち、脚部20d5,20d5の各々は、板ばね部20bの側部から下方に延びた後、左右方向外側に向かって湾曲し、上方に延びていてもよい。図11に示す可動端子20Dの横断面において、脚部20d5,20d5は、それぞれ、実質的にJ字形状を有する。より詳細には、図11に示す可動端子20Dの横断面において、脚部20d5,20d5それぞれの上半分は上下方向に延びており、脚部20d5,20d5それぞれの下半分は上に開いた半円形を有する。この半円形の部分の最下部で、脚部20d5,20d5の各々は、内部空間Sの底B(図4参照)に接触している。
図12は、可動端子20Eの横断面図であって、板ばね部20b及び脚部20d6,20d6を含む部分の断面図である。図12には、板ばね部20b及び脚部20d6,20d6の厚さ方向に平行な断面を示す。図12に示すように、脚部20d6,20d6は、それぞれ、板ばね部20bから左右方向外側に延び、次に、下向きに鋭角に曲がり、さらに、外向きに鋭角に曲がっていてもよい。すなわち、脚部20d6,20d6の各々は、板ばね部20bの側部から突出し、左右方向内側かつ下方に延びた後、左右方向外側に延びていてもよい。この変形例では、脚部20d6,20d6の全体を含む断面において、脚部20d6,20d6は、それぞれ、実質的にZ字形状を有する。
より詳細には、脚部20d6,20d6の各々は、第1部分61、第2部分62、及び第3部分63を有する。第1部分61は、板ばね部20bと同一平面内で、板ばね部20bから左右方向外側に延びている。第2部分62は、第1部分61の先端部(板ばね部20bとは反対側の端部)から下方かつ左右方向の内方に向かって延びている。第1部分61と第2部分62とのなす角度θ1は鋭角(0°<θ1<90°)である。第3部分63は、第2部分62の先端部(第1部分とは反対側の端部)から、左右方向外側に延びている。第2部分62と第3部分63とがなす角度θ2は鋭角(0°<θ2<90°)である。図12に示す例では、第1部分61と第3部分63とは、ほぼ平行である。
同軸コネクタの構造により、脚部を配置可能な空間を考慮して、また、板ばね部に与えるべき脚部の弾性力を考慮して、脚部の形状は適宜採用することができる。
上記実施形態及び各変形例では、可動端子において、板ばね部の側縁に各脚部が接続されている。しかしながら、各脚部は、板ばね部の側部、つまり板ばね部の側縁又はその近傍から突出するように可動端子に設けられていればよく、必ずしも板ばね部の側縁に接続される必要はない。例えば、図13に示すように、可動端子20Gにおいて、脚部20d7,20d7は、板ばね部20bの両側縁の近傍で、板ばね部20bの上面に接続されていてもよい。図13に示す例において、脚部20d7,20d7は、互いに内向きに曲がっている。すなわち、脚部20d7,20d7において先端を含む部分は、上記実施形態、並びに第1及び第2変形例で説明した脚部と同様に、先端に近づくに従って、互いに接近する。
また、例えば、図14に示すように、可動端子20Hにおいて、脚部20d8,20d8は、板ばね部20bの両側縁の近傍で、板ばね部20bの下面に接続されていてもよい。図14に示す例において、脚部20d8,20d8は、互いに内向きに曲がっている。すなわち、脚部20d8,20d8において先端を含む部分は、上記実施形態、並びに第1及び第2変形例で説明した脚部と同様に、先端に近づくに従って、互いに接近する。
上記実施形態及び各変形例では、可動端子を上下方向に沿って見たとき、板ばね部において脚部が突出する部分同士は、板ばね部の幅方向の中心線に対して対称な位置に配置されている。しかしながら、板ばね部において脚部が突出する部分同士は、上下方向に沿って見て、板ばね部の幅方向の中心線に対して非対称な位置に配置されていてもよい。例えば、図15に示す可動端子20Iのように、板ばね部20bの一方の側部において脚部20d9が突出する部分は、板ばね部20bの他方の側部において脚部20d9が突出する部分と、板ばね部20bの延びる方向(前後方向)において位置をずらして配置されていてもよい。図15に示す例では、板ばね部20bの右側部から突出する脚部20d9は、板ばね部20bの左側部から突出する脚部20d9よりも後方に配置されている。
上記実施形態及び各変形例では、可動端子の板ばね部において、一方の側部に設けられた脚部の数と、他方の側部に設けられた脚部の数とが等しい。しかしながら、図16に示す可動端子20Jのように、板ばね部20bの一方の側部に設けられた脚部20d0の数と、他方の側部に設けられた脚部20d0,20d0の数とが異なっていてもよい。図16に示す例では、板ばね部20bの右側部から2つの脚部20d0,20d0が突出し、板ばね部20bの左側部から1つの脚部20d0が突出している。また、板ばね部20bの延びる方向(前後方向)において、板ばね部20bの右側部に設けられた脚部20d0,20d0の各々の位置と、板ばね部20bの左側部に設けられた脚部20d0の位置とがずれている。より具体的には、前後方向において、左側の脚部20d0は、右側の脚部20d0,20d0の中間に配置されている。
以上、本実施形態の同軸コネクタについて説明した。しかし、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変更して実施することができる。