JP7363875B2 - 水系の金属防食処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水系の金属防食方法等に関する。
冷却水系等の水系では、装置や流路等に金属部材がよく使用されている。水系に設けられた金属部材において水と接触する部分は腐食を受けやすく、例えば、炭素鋼、銅、亜鉛メッキ鋼、亜鉛、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等又は銅合金製等の熱交換器や反応釜、配管等は、冷却水と接触することにより腐食を受ける。この腐食を防止するために、一般に、水系に設けられた金属部材、特に水と接触する部分には、例えば、運転中の水系への薬剤添加等による防食処理が施されている。
例えば、炭素鋼製の熱交換器、反応釜や配管の腐食を抑制するために、従来、オルトリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸塩、ホスホノブタントリカルボン酸塩等から選択される少なくとも1種の防食用のリン化合物が、冷却水系等の水系に添加されている。しかし、これらのリン化合物の使用は、水環境における富栄養化の原因物質であるため、各国や地域において水系外又は自然環境へのリンの排出を規制する制度がある。そのため、リン化合物の取り扱いや排水処理に多大な注意と費用が必要になる。
このような環境問題を引き起こすことなく金属の腐食を効果的に抑制する方法として、例えば、非リン、亜鉛処理を行う冷却水系に、(A)アクリル酸とスルホン酸のコポリマー、(B)マレイン酸とイソブチレンとのコポリマー、(C)亜鉛化合物、を存在させる方法(特許文献1)等が提案されている。
特開2012-207279号公報
水系の水質と防食効果の関係性についてはよく知られており、炭酸カルシウムが析出しやすい水質においては、比較的良好な防食効果が得られることが知られていた。一方で、硬度の低い水質は、炭酸カルシウムの析出が起こりにくいため、水自身の防食効果が減少する。そのような硬度の低い水質に対してリン化合物の良好な防食効果を利用できない非リンの防食剤を使用すると、水と接触する金属部材に対する防食効果が不十分となることが、本発明者らの研究により従来技術の問題点として見出された。
そこで、本発明者らは、高硬度水質だけでなく低硬度水質においても良好な防食効果を発揮できるという、低硬度水質にまでも防食効果がより強化され、さらに防食用のリン化合物の使用を大幅に低減できる又は非リン系でもよい防食処理の技術を検討することした。
本発明は、富栄養化の原因物質となるリン化合物を金属防食剤として利用しなくとも良好な防食効果を発揮することができるとともに、高硬度水質だけでなく低硬度水質においても良好な防食効果を発揮することのできる、水系の金属防食処理の技術を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、当初、マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量に着目した。しかしながら、水系に添加する薬剤に含まれる重合体中のカルボキシル基含有量が高いと、水中のカルシウムイオンと結合し不溶化物を形成しやすく、実際に、後記〔実施例〕にて示したように、重合体中のカルボキシル基含有量が高いマレイン酸系重合体の単独使用では、低硬度水質の水であっても不溶化物を形成しやすく、良好な防食効果が得られなかった。一方で、本発明者らは、共重合体の使用による防食効果について鋭意検討していたが、(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体の単独使用では、防食効果が非常に良くなかった。
しかしながら、本発明者らは、鋭意検討した結果、良好な防食効果が得られていない2成分の組み合わせ、つまり、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体と、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が所定以上に高いマレイン酸系重合体とを併用しつつかつこれら成分(A)及び成分(B)の質量使用割合を所定の範囲内にすることで、水系中の不溶化物の形成がより良好に抑制でき、さらに各単独使用よりも非常に良好な防食効果が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
本発明は、水系に、下記の成分(A)及び成分(B)を質量使用割合1:9~7:3で存在させる、水系の金属防食処理方法を提供することができる。
(A)(メタ)アクリル酸単量体と、スルホン酸単量体との共重合体、及び、
(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体
本発明は、下記の(i)金属防食処理剤又は(ii)金属防食処理剤キット、又は、下記の(i)金属防食処理剤又は(ii)金属防食処理剤キットを使用する、水系の金属防食処理方法を提供することができる。
(i)成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、及び、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体、を含有し、
前記成分(A):前記成分(B)の質量含有割合が、1:9~7:3である、金属防食処理剤。
(ii)成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体を含む金属防食用第一剤、及び、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体を含む金属防食用第二剤、を含む、金属防食処理剤キット。
前記成分(A)におけるスルホン酸単量体が、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体であってもよい。
前記成分(A)における共重合体の重量平均分子量は、1,000~100,0000であってもよい。
前記成分(A)における(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体とのモル比率は、97:3~30:70であってもよい。
前記成分(B)におけるマレイン酸系重合体の重量平均分子量が、500~5,000であってもよい。
前記成分(B)におけるマレイン酸系重合体が、マレイン酸単量体とイソブチレン単量体との共重合体、及び/又は、ポリマレイン酸であってもよい。
水系に、さらに防食剤を存在させてもよい。
前記水系のカルシウム硬度が、300mg/L as CaCO以下であってもよい。
本発明によれば、富栄養化の原因物質となるリン化合物を金属防食剤として利用しなくとも良好な防食効果を発揮することができるとともに、高硬度水質だけでなく低硬度水質においても良好な防食効果を発揮することのできる、水系の金属防食処理の技術を提供することができる。なお、本発明の効果はここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本実施形態の方法に使用される水系の一例、例えば、冷却塔を有する循環冷却水系の一例、を示す概略図であり、本発明はこれに限定されない。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が限定されて解釈されることはない。また、数値における上限値と下限値は、所望により、任意に組み合わせることができる。
1.本実施形態に係る水系の金属防食処理方法
本発明は、水系に、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、及び、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体を質量使用割合1:9~7:3で存在させる、水系の金属防食処理方法を提供することができる。
また、下記の(i)金属防食処理剤又は(ii)金属防食処理剤キットを提供すること、及び(i)金属防食処理剤又は(ii)金属防食処理剤キットを使用する、水系の金属防食処理方法を提供することができる。
(i)成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、及び、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が所定以上であるマレイン酸系重合体、を含有し、前記成分(A):前記成分(B)の質量含有割合が所定の範囲である、金属防食処理剤。
(ii)成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体を含む金属防食用第一剤、及び、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が所定以上であるマレイン酸系重合体を含む金属防食用第二剤を、構成薬剤として、含み、前記成分(A):前記成分(B)の質量含有割合が所定の範囲になるように使用する、金属防食処理剤キット。
本発明によれば、富栄養化の原因物質となるリン化合物を金属防食剤として利用しなくとも良好な防食効果を発揮することができるとともに、高硬度水質だけでなく低硬度水質においても良好な防食効果を発揮することのできる、水系の金属防食処理の技術を提供することができる。
以下に、本実施形態について詳細に説明する。
本実施形態において、防食の対象となるのは、特に限定されないが、金属材料であり、当該金属材料として、例えば、炭素鋼、銅、亜鉛メッキ鋼、亜鉛、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等及びこれら合金製等から選択される1種又は2種以上が挙げられる。さらに金属材料のうち、鉄系の材料が好適であり、当該鉄系の材料として、例えば、鉄材料全般(例えば、純鉄、炭素鋼、鋳鉄等)等が挙げられ、より好適には、例えば、ボイラや熱交換器用の炭素鋼管(例えばSTB鋼管)等によく使用されている炭素鋼材料である。なお、炭素鋼材料は、JIS G 0203において、炭素鋼の範囲は炭素含有量が0.02質量%~約2質量%、(より具体的には0.02~2.14質量%)の範囲といわれており、より具体的には炭素鋼のうち、炭素含有量が0.25質量%以下を低炭素鋼、0.25~0.6質量%を中炭素鋼、0.6質量%以上を高炭素鋼といわれ、低炭素鋼~中炭素鋼は広く使用されていることから0.6質量%以下の炭素鋼を普通鋼ともいわれている。また、鋳鉄は炭素含有量が2質量%より多いものといわれている。本実施形態では、このうち、普通鋼、低炭素鋼、及び中炭素鋼、さらに好適には低炭素鋼において、より良好に防食効果を発揮しうる。
本実施形態を好適に適用する防食処理の対象は、水と接触する金属材料又は水と接触する金属材料を使用する金属部材であることが好適である。本実施形態では特に水と接触している炭素鋼材料に対して優れた防食効果が得られる。
水系において金属材料又は金属部材を使用している箇所又は装置として、例えば、送水配管等の各種配管やパイプ、ポンプ、流路、熱交換器、冷凍機等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上でもよい。より具体的には、これら又はこれらが有する金属製部品又は部分が、本実施形態を好適に適用する防食処理の対象となる。
1-1.成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体
本実施形態において用いる成分(A)である(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体(以下、「成分(A)共重合体」ともいう)は、特に限定されず、これら単量体のみに限らず本発明の効果を損なわない範囲において「その他単量体」を含んでいてもよい。また、当該成分(A)共重合体は、水溶性塩であってもよい。
なお、本実施形態に用いられる塩としては、特に限定されないが、単量体や重合体を水溶性塩にできる塩が好適であり、当該塩として、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられ、これら群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
<成分(A)共重合体:(メタ)アクリル酸単量体>
前記(メタ)アクリル酸単量体は、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸及びその塩が挙げられ、これら群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。本実施形態において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」からなる群から選ばれる少なくとも1種を意味する。このうち、アクリル酸又はその塩が好適である。
<成分(A)共重合体:スルホン酸単量体>
前記スルホン酸単量体としては、特に限定されないが、スルホン基を含有する単量体が、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果発揮の観点から、好適であり、当該単量体は不飽和の単量体が、さらに好ましい。
前記スルホン酸単量体として、例えば、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体及びその塩等が挙げられるが、これに限定されず、このうちモノエチレン性不飽和スルホン酸単量体が好適である。
前記スルホン酸単量体として、例えば、アミド基とスルホン基を有する単量体(好適には炭素数6~9のもの)、ヒドロキシ基とスルホン基を含有する単量体(好適には炭素数6~9のもの)、脂肪族共役ジエンのスルホン化物(好適には炭素数4~15のもの)及びそれらの塩等が挙げられ、これら群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このうち、アミド基とスルホン基を有する単量体(好適には炭素数6~9のもの)、ヒドロキシ基とスルホン基を含有する単量体(好適には炭素数6~9のもの)が好適である。また、当該単量体の「スルホン基」は、置換基を有してもよいスルホン基であってもよく、例えば、アルキルスルホン基が挙げられ、当該アルキルスルホン基の「アルキル」の炭素数は1~8が好適であり、メチルプロパンスルホン基(tert-ブチルスルホン基ともいう)がより好適である。これにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮できる。
前記アミド基とスルホン基を有する単量体として、例えば、(メタ)アクリルアミドアルキルプロパンスルホン酸、クロトンアミドアルキルプロパンスルホン酸等が挙げられ、より具体的には、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アクリルアミド-3,3-ジメチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-3,3-ジメチルプロパンスルホン酸等が挙げられ、これら群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
前記ヒドロキシ基とスルホン基を含有する単量体として、例えば、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、3-アリロキシ-1-ヒドロキシプロパン-2-スルホン酸、3-メタクロキシ-1-ヒドロキシプロパン-2-スルホン酸等が挙げられ、これら群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
前記脂肪族共役ジエンのスルホン化物として、例えば、1,3-ブタジエンのスルホン化物、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンのスルホン化物等が挙げられ、これら群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
より好適なスルホン酸単量体として、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び2-スルホエチルメタクリレート等のスルホン基含有の不飽和単量体、及びそれらの塩等が挙げられ、これら群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このうち、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸から選択される少なくとも1種の単量体が好適である。これにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮させることができる。
<成分(A)共重合体:その他の単量体>
前記成分(A)共重合体における「その他の単量体」としては、特に限定されないが、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニル-メチルアセトアミド、N-ビニルオキサゾリドン等のN-ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド等の窒素含有ノニオン性不飽和単量体、3-(メタ)-アリルオキシ-1,2-ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アリルアルコールにエチレンオキサイドを1~200モル程度付加させた化合物等のポリオキシエチレン基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体;スチレン等の芳香族不飽和単量体等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
<成分(A)共重合体における(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体とのモル比率(モル%)>
成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体における(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体とのモル比率(モル%)は、特に限定されないが、好ましくは99:1~20:80、より好ましくは97:3~30:70、さらに好ましくは95:5~30:70、さらに好ましくは90:10~30:70(好適には40:60)、より好ましくは90:10~50:50、より好ましくは90:10~60:40、より好ましくは90:10~70:30、より好ましくは90:10~75:25である。前記成分(A)共重合体を当該モル比率にすることにより、水系に存在する前記成分(B)マレイン酸系重合体に対して、高硬度水質であっても低硬度水質であってもより良好に分散能力を発揮できる。
<成分(A)共重合体>
本実施形態に用いる成分(A)共重合体は、公知の製造方法により製造することができる。好適な成分(A)共重合体は、(i)(メタ)アクリル酸単量体と、(ii)アミド基とスルホン基を有する単量体、ヒドロキシ基とスルホン基を含有する単量体等から選択されるスルホン酸単量体とを、所定の質量使用割合で、共重合させてなる重合体である。
より好適な成分(A)共重合体は、(i)アクリル酸単量体と、(ii)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸から選択される少なくとも1種のスルホン酸単量体とを所定の質量使用割合で、共重合させてなる重合体である。
さらにより好適な成分(A)共重合体は、アクリル酸単量体と2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸単量体との共重合体、アクリル酸単量体と3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸単量体との共重合体等からなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、このとき、より好適な(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との所定モル比率は、97:3~70:30であり、当該モル比率は上述した成分(A)共重合体における前記モル比率(モル%)を適宜採用することができる。これにより、リン化合物を金属防食剤として利用しなくとも、低硬質濃度の水に対してもより良好な防食効果及びより良好な耐ゲル化能を発揮することができる。
<成分(A)共重合体の重量平均分子量>
(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体のGPC法による重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは1,000~100,0000、より好ましくは3,000~100,0000、さらに好ましくは3,000~80,000、さらに好ましくは5,000~50,000(好適には30,000)である。ポリマーの重量平均分子量は、<ポリマーの重量平均分子量のGPC分析>により測定することができる(ポリアクリル酸換算)。当該重量平均分子量に調整することにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮させることができる。
1-2.成分(B)マレイン酸系重合体
本発明に用いる成分(B)マレイン酸系重合体は、当該重合体中のカルボキシル基含有量が所定以上であることが、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果発揮の観点から、好適であり、当該所定の含有量は、所定以上、例えば11.5mmol/g以上が好適である。
本実施形態に用いる成分(B)マレイン酸系重合体は、マレイン酸を主要な構成単位として含む重合体であることが好適であり、当該成分(B)マレイン酸系重合体は、ホモポリマー又はコポリマーのいずれでもよい。ホモポリマーとして、マレイン酸系単量体にて重合した、例えばマレイン酸からなるポリマレイン酸等が挙げられる。また、コポリマーとして特に限定されないが、マレイン酸系単量体とこれと共重合可能なその他単量体との共重合体等が挙げられる。当該成分(B)マレイン酸系重合体は、水溶性塩であってもよく、当該塩は、上記「1-1.」で述べた塩を適宜採用することができる。
前記成分(B)マレイン酸系重合体は、特に限定されず、有機溶媒系重合方法又は水系重合法による重合体の何れでもよく、当該重合方法は、適宜、公知の技術を採用して行うことができ、市販品を用いてもよい。当該重合体中のカルボキシル基含有量が、例えば11.5mmol/g以上等と所定以上の高さになるように重合することができる方法を適宜採用することができる。また、重合するときに、マレイン酸系単量体以外に、マレイン酸系単量体(好適には、マレイン酸単量体)と共重合可能な単量体が含まれていてもよい。
<成分(B)マレイン酸系重合体:マレイン酸系単量体>
前記マレイン酸系単量体は、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸塩等のマレイン酸単量体、マレイン酸エステル等が挙げられ、これらから群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
前記マレイン酸系単量体のうち、マレイン酸単量体が好ましく、さらにこのうち、無水マレイン酸系単量体が好ましく、より好ましくは無水マレイン酸である。水系重合の場合には無水マレイン酸の加水分解物(マレイン酸)も単量体として用いる場合があり、当該無水マレイン酸系単量体には、無水マレイン酸及び無水マレイン酸の加水分解物が含まれる。これにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮することができる。
前記マレイン酸塩として、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のモノ又はジアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ジアンモニウム塩等のアンモニウム塩等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
前記マレイン酸エステルとして、例えば、メタノール、エタノール等の飽和炭化水素のアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和炭化水素のアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンモノメチルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアリルエーテル等のポリアルキレングリコール誘導体とのエステル化物等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
<成分(B)マレイン酸系重合体:共重合可能な単量体>
成分(B)マレイン酸系重合体における前記共重合可能な単量体(以下、「成分(B)の共重合可能な単量体」ともいう)として、特に限定されないが、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニル-メチルアセトアミド、N-ビニルオキサゾリドン等のN-ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド等の窒素含有ノニオン性不飽和単量体;3-(メタ)-アリルオキシ-1,2-ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アリルアルコールにエチレンオキサイドを1~200モル程度付加させた化合物等のポリオキシエチレン基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体;スチレン等の芳香族不飽和単量体;イソブチレン等の不飽和炭化水素等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる1種又は1種以上を用いることができる。
前記成分(B)の共重合可能な単量体のうち、不飽和炭化水素単量体(好適にはエチレン性不飽和炭化水素単量体)が好ましく、不飽和炭化水素単量体は、鎖状又は環状の何れでもよく、またモノエチレン性不飽和炭化水素単量体であることが好ましく、また、炭素数4~6のものが好適である。前記成分(B)の共重合可能な単量体のうち、鎖状のモノエチレン性不飽和炭化水素単量体が好ましく、さらに鎖状のモノエチレン性不飽和炭化水素単量体のうち、イソブチレン単量体がより好ましい。これにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮することができる。
前記成分(B)の共重合可能な単量体のうちの炭素数4~6のモノエチレン性不飽和炭化水素としては、例えば、イソブテン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、メチルブテン、メチルペンテン、及びヘキセン等の鎖状のモノエチレン性不飽和炭化水素;シクロペンテン、メチルシクロペンテン、及びシクロヘキセン等の環状のモノエチレン性不飽和炭化水素;等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮することができる。
<成分(B)マレイン酸系重合体>
好適な成分(B)マレイン酸系重合体は、マレイン酸単量体とモノエチレン性不飽和炭化水素単量体(好適にはイソブチレン単量体)との共重合体、及び/又は、ポリマレイン酸(好適にはマレイン酸単量体のホモポリマー)が好適である。これにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮することができる。
<成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量>
成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量は、ホモポリマー又はコポリマーに関わらず、また、単量体由来に関わらず、当該重合体中のカルボキシル基の合計の含有量である。当該重合体中のカルボキシル基含有量は、好適な下限値として、好ましくは11.5mmol/g以上、より好ましくは11.7mmol/g以上、さらに好ましくは12mmol/g以上、より好ましくは12.5mmol/g以上、より好ましくは13mmol/g以上であり、また、好適な上限値として、特に限定されず、理論上17.2mmol/gとなり、製造可能な範囲内で設定することができ、例えば、17、16、又は15mmol/g以下等にすることができる。前記成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量は、後記〔実施例〕における<試験1:マレイン酸系重合体(サンプル1~5)中のカルボキシル基含有量の滴定分析>に従って、求めることができる。
本実施形態であれば、前記成分(A)共重合体と併用することで、前記成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量を所定以上の高さにしても水系での前記成分(B)のゲル化をより良好に抑制できるとともにより良好に分散できるので、前記成分(B)における重合体中のカルボキシル基含有量の高含有化によって向上した防食効果を、より良好に発揮させることができる。
<成分(B)マレイン酸系重合体の重量平均分子量>
成分(B)マレイン酸系重合体のGPC法による重量平均分子量は、特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは250以上、より好ましくは500以上、また、その好適な上限値として、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、さらに好ましくは5,000以下、より好ましくは3,000以下、当該好適な数値範囲として、好ましくは500~5,000、より好ましくは500~3,000である。ポリマーの重量平均分子量は、<ポリマーの重量平均分子量のGPC分析>により測定することができる(ポリアクリル酸換算)。当該重量平均分子量に調整することにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮させることができる。
1-3.前記成分(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体の併用
本実施形態に用いる、前記成分(A)共重合体と前記成分(B)マレイン酸系重合体は、前記「1-1.」に記載の前記成分(A)共重合体、及び、前記「1-2.」に記載の前記成分(B)マレイン酸系重合体を適宜採用して組み合わせることができる。
<前記(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体の質量使用割合>
本発明に用いる成分(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体との質量使用割合は、特に限定されないが、水系において、それぞれ1:9~7:3で存在させることが好適であり、より好ましくは2:8~7:3、さらに好ましくは3:7~7:3、より好ましくは3:7~6:4、より好ましくは3:7~5.5:4.5である。当該質量使用割合(質量含有割合)により、前記成分(B)マレイン酸系重合体による水系で発生するゲル化をより良好に抑制でき、かつこれら成分(A)及び成分(B)の併用効果によりより良好な防食効果を発揮させることができる。なお、質量使用割合は、前記成分(A)共重合体(mg soild/L):前記成分(B)マレイン酸系重合体(mg soild/L)である。
<前記成分(A)共重合体の水系に対する使用>
水系に対する前記成分(A)共重合体の添加量(mg soild/L、以下「mg/L」とする)は特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは0.1mg/L以上、より好ましくは0.5mg/L以上、さらに好ましくは1mg/L以上、より好ましくは2mg/L以上、さらに好ましくは3mg/L以上、より好ましくは4mg/L以上であり、また、好適な上限値として、特に限定されないが、薬剤の使用量低減及び防食効果発揮とのバランスの観点から、好ましくは100mg/L以下、より好ましくは50mg/L以下、さらに好ましくは30mg/L以下、さらにより好ましくは20又は15mg/L以下、より好ましくは7又は6mg/L以下であり、当該好適な数値範囲として、好ましくは3~15mg/Lである。前記成分(A)共重合体を上記好適な量にて水系に存在させることで、前記成分(B)マレイン酸系重合体との併用効果をより良好に発揮させることができる。
<前記成分(B)マレイン酸系重合体の水系に対する使用>
水系に対する前記成分(B)マレイン酸系重合体の添加量(mg soild/L、以下「mg/L」とする)は特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは0.1mg/L以上、より好ましくは0.5mg/L以上、さらに好ましくは1mg/L以上、より好ましくは2mg/L以上、さらに好ましくは3mg/L以上、より好ましくは4mg/L以上であり、また、好適な上限値として、特に限定されないが、薬剤の使用量低減及び防食効果発揮とのバランスの観点から、好ましくは100mg/L以下、より好ましくは50mg/L以下、さらに好ましくは30mg/L以下、さらにより好ましくは20又は15mg/L以下、より好ましくは7又は6mg/L以下であり、当該好適な数値範囲として、好ましくは3~15mg/Lである。前記成分(B)マレイン酸系重合体を上記好適な量にて水系に存在させることで、前記成分(A)共重合体との併用効果をより良好に発揮させることができる。
<前記(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体の併用における好適な態様>
本実施形態の前記成分(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体の併用において、好適な態様は、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果発揮の観点から、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とモノエチレン性不飽和スルホン酸単量体との共重合体、及び、成分(B)マレイン酸系重合体である。
前記成分(A)共重合体と前記成分(B)マレイン酸系重合体とのより好適な組み合わせの態様として、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果発揮の観点から、(i)成分(A)では、アクリル酸単量体とアミド基及びアルキルスルホン基を有する単量体との共重合体、又は、アクリル酸単量体とヒドロキシ基及びアルキルスルホン基を有する単量体との共重合体、及び(ii)成分(B)では、マレイン酸単量体とモノエチレン性不飽和炭化水素単量体との重合体、又は、マレイン酸単量体のホモポリマーが挙げられる。
より好適な前記成分(A)の態様として、アクリル酸単量体と(メタ)アクリルアミドアルキルプロパンスルホン酸単量体との共重合体、アクリル酸単量体とアリロキシヒドロキシプロパンスルホン酸単量体との共重合体、アクリル酸単量体とメタクリロキシヒドロキシプロパンスルホン酸の単量体との重合体が挙げられる。このうち、アクリル酸単量体と2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸との共重合体、及び/又は、アクリル酸単量体と3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体がより好ましい。これにより、前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮することができる。
より好適な前記(B)の態様として、マレイン酸単量体(好適には無水マレイン酸)と炭素数4~6の鎖状のモノエチレン性不飽和炭化水素(好適にはイソブチレン)単量体、又はポリマレイン酸(好適には無水マレイン酸からなる重合体)が挙げられる。前記成分(A)及び前記成分(B)の併用効果によるより良好な防食効果を発揮することができる。
<任意成分>
本実施形態では、上記成分(A)及び成分(B)以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜、任意成分を、水系に使用したり、薬剤中に含ませてもよい。当該任意成分として、特に限定されないが、例えば、pH調整剤、消泡剤、防食剤、スケール防止剤、殺菌剤、殺藻剤等からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いてもよい。
本実施形態では、水系において、上述した成分(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体との併用に加えて、さらに、これら以外の成分であってスケール防止剤を存在させることが好適である。当該スケール防止剤として、ホスホン酸及びその塩、ホスホ酒石酸及びその塩、アクリル酸系重合体及びその塩、マレイン酸系重合体及びその塩、ポリアスパラギン酸及びその塩等が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
また、本実施形態では、水系において、上述した成分(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体との併用に加えて、さらに、これら以外の成分であってスライムコントロール剤を存在させることが好適である。当該スライムコントロール剤として、特に限定されないが、次亜塩素酸及びその塩、塩素ガス、次亜臭素酸及びその塩、安定化塩素、安定化臭素、有機系殺菌剤等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
<防食剤>
本実施形態では、水系において、上述した成分(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体との併用に加えて、さらに当該成分(A)及び成分(B)の組み合わせ以外の成分(C)防食剤(より好適には防食用金属化合物)を存在させることが好適である。なお、防食用金属化合物とは、防食のために用いる金属化合物であって、当該金属化合物は重金属イオンを水中に容易に放出させうる金属化合物をいい、この効果を発揮させうる金属化合物であれば、特に限定されない。
前記成分(C)防食剤として、特に限定されないが、例えば、亜鉛塩、スズ塩、マンガン酸塩、アルミ及びアルミン酸塩等の防食用金属化合物、有機酸化合物、アクリル酸系重合体及びその塩、ポリアスパラギン酸及びその塩、ポリイタコン酸及びその塩、アミン化合物、アミノ酸化合物等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる1種又は2種以上を、前記成分(A)共重合体と前記成分(B)マレイン酸系重合体とに対して併用して用いることができる。このうち、より好適には、防食用金属化合物であり、この防食用金属化合物のうち、亜鉛塩及び/又はスズ塩が好ましく、さらに亜鉛塩がより好ましい。
水系に対する前記成分(C)防食剤の添加量(mg soild/L、以下「mg/L」とする)は、特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは0.1mg/L以上、より好ましくは0.5mg/L以上、また、好適な上限値として、好ましくは5mg/L以下、より好ましくは4mg/L以下、さらに好ましくは3mg/L以下、より好ましくは2mg/L以下である。前記成分(C)防食剤を好適な量にて水系に存在させることで、前記成分(A)共重合体及び前記成分(B)マレイン酸系重合体との併用効果と同等以上の防食効果をより良好に発揮させることができる。これにより、前記成分(A)及び前記成分(B)と同等程度の防食効果を得る場合には、前記成分(C)を加えることで前記成分(A)及び前記成分(B)の各添加量をより低減させることも可能である。
<リン化合物>
本実施形態では、水系に対して、上述した成分(A)共重合体及び成分(B)マレイン酸系重合体とを少なくとも併用することで、低硬度水質であっても、防食剤としてリン化合物を使用しなくとも、良好な防食効果を発揮することができる。水系に対して添加するリン化合物の添加量は、特に限定されないが、富栄養化の低減の観点から、好ましくは0.5mg/L as P以下、より好ましくは、0.3mg/L as P以下、さらに好ましくは、0.1mg/L as P以下であり、実質的に使用しない又は含ませないようにすることがより好適である。当該「実質的に使用しない又は含ませない」とは、0.05mg/L as P以下が好適であり、0.01mg/L as P以下がさらに好適であり、水系に対するリン化合物の無添加がより好適である。
なお、リン濃度の求め方は、モリブデン青(アスコルビン酸還元)法を用いて測定することができる(JIS K 0102 46.1.1)。
1-4.水系の金属防食処理方法
本実施形態の水系の金属防食処理方法は、上述した前記成分(A)共重合体及び前記成分(B)マレイン酸系重合体を、所定の質量使用割合又は質量含有割合にて、水系に存在させることが好適であり、より好適には1:9~7:3で存在させることである。
本実施形態では、前記成分(A)共重合体及び前記成分(B)マレイン酸系重合体が一液型薬剤として、又は多液型薬剤として、水系に添加することができる。
また、水系に対して、前記成分(A)共重合体及び前記成分(B)マレイン酸系重合体は、両者が少なくとも混合できるように水系に添加すればよく、それぞれの添加は同時期又は別々の時期の何れであってもよく、連続的又は断続的の何れであってもよい。
本実施形態では、より好適な態様として、下記の(i)金属防食処理剤又は(ii)金属防食処理剤キットを使用する、水系の金属防食処理方法を提供することができる。
(i)(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、及び、
(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体、を含有し、
前記(A):前記(B)の質量含有割合が、1:9~7:3である、金属防食処理剤。
(ii)(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体を含む金属防食用第一剤、及び、(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体を含む金属防食用第二剤、を含む、金属防食処理剤キット。
本実施形態を適用する水系は、特に限定されず、例えば、冷却水系、RO水系、紙パルプ工程水系、スクラバー水系等が挙げられる。
本実施形態は、高硬度~低硬度と幅広い硬度の水質に対して適用できるという優れた特徴を有する。本実施形態では、一般的な冷却水系の水質であれば、防食効果が十分に発揮される。
また、本実施形態では、リン化合物を金属防食剤として使用しなくとも防食効果が十分に発揮されるため、各国のリン濃度の排水基準にも適用することができ、例えば、上記リン化合物の添加量で説明したリン濃度を適宜採用することができ、例えば、水系の水質の条件としてリン濃度が、好ましくは0.5mg/L as P以下、より好ましくは0.1mg/L as P以下でもよい。
水系の水質の条件としてカルシウム硬度は特に限定されず、本実施形態であれば高硬度のみならず低硬度であっても防食効果を得ることができ、好適な上限値としては特に限定されないが、例えば1000mg/L as CaCO以下、好ましくは500mg/L as CaCO以下、より好ましくは300mg/L as CaCO以下である。また、本実施形態では、低硬度であっても適用することができ、低硬度の場合、好適な下限値として、好ましくは1mg/L as CaCO以上、より好ましくは5mg/L as CaCO以上、さらに好ましくは10mg/L as CaCO以上、より好ましくは25mg/L as CaCO以上、より好ましくは50、75又は100mg/L as CaCO以上であり、好適な数値範囲として、好ましくは25~300mg/L as CaCOである。カルシウム硬度の求め方は、JIS K0101 工業用水試験法に準じて行うことができる。
水系の水質の条件としてMアルカリ度(酸消費量(pH4.8))は特に限定されず、好ましくは10~1000mg/L as CaCO、より好ましくは25~500mg/L as CaCO、さらに好ましくは100~300mg/L as CaCOである。酸消費量(PH4.8)の求め方は、JIS K0101 工業用水試験法に準じて行うことができる。
水系の水質の条件としてマグネシウム硬度は特に限定されず、好ましくは500mg/L以下、より好ましくは300mg/L以下、さらに好ましくは200mg/L以下、より好ましくは100mg/L以下である。マグネシウム硬度の求め方は、JIS K0101 工業用水試験法に準じて行うことができる。
また、水系の水質の条件としてシリカ濃度は特に限定されず、好ましくは5~250mg/L、より好ましくは10~150mg/L、さらに好ましくは15~100m/Lである。シリカ濃度の求め方は、JIS K0101 工業用水試験法に準じて行うことができる。
また、水系の水質の条件として塩化物イオン濃度は特に限定されず、好ましくは5~500mg/L、より好ましくは50~300mg/L、さらに好ましくは50~200mg/Lである。塩化物イオン濃度の求め方は、JIS K0101 工業用水試験法に準じて行うことができる。
また、水系の水質の条件として硫酸イオン濃度は特に限定されず、好ましくは500mg/L以下、より好ましくは300mg/L以下、さらに好ましくは200mg/L以下である。硫酸イオン濃度の求め方は、JIS K0101 工業用水試験法に準じて行うことができる。
水系の水質の条件として好ましいpHは、好ましくは6~11、より好ましくは6.5~10、さらに好ましくは7~9である。また、水系の水温は、特に限定されないが、好ましくは0~100℃、より好ましくは5~80℃、さらに好ましくは10~60℃である。
本実施形態の好適な態様として、水により腐食されやすい金属材料を様々な箇所(例えば、熱交換器、配管等)で使用している水系に適用することが好適であり、より好適には冷却水系であり、さらに循環冷却水系に好適に適用できる。本実施形態によれば、本発明の防食処理方法による防食効果が十分に発揮される。
本実施形態の方法を、上述した金属防食処理や後述する冷却水系等を管理するための装置(例えば、コンピュータ、PLC、サーバ、クラウドサービス等)におけるCPU等を含む制御部によって実現させることも可能である。また、本実施形態の方法を、記録媒体(不揮発性メモリ(USBメモリ等)、HDD、CD、DVD、ブルーレイ等)等を備えるハードウェア資源にプログラムとして格納し、前記制御部によって実現させることも可能である。当該記録媒体は、コンピュータが可読可能な記録媒体であることが好適である。当該制御部によって、水系に薬剤を添加するように制御する金属防食処理システム等、当該制御部若しくは当該システムを備える装置を提供することも可能である。また、当該管理装置には、コンピュータの構成要素として、CPUを少なくとも備え、キーボード等の入力部、ネットワーク等の通信部、ディスプレイ等の表示部、HDD等の記憶部、ROMやRAM等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を選択することができる。このうちRAM、記憶部、表示部及び入力部を備えることが好適であり、選択されたそれぞれの構成要素は、例えばデータの伝送路としてのバスで接続されている。
<冷却水系>
本実施形態における冷却水系とは、ビルや地域施設等の空調設備、及びプラント等において、熱交換器等の運転のために用いられる冷却水が通水される系をいう。
前記冷却水系は、一過式、開放循環式又は密閉循環式の何れでもよい。
本実施形態では、循環冷却水系において、優れた防食効果を発揮し得る。
循環冷却水系は、特に限定されず、例えば、空調、石油化学コンビナート、一般工場等に設置されている冷却塔を系内に備える水系であることが好適である。当該循環冷却水系は、これら空調、一般工場等で発生する熱源を間接的に冷却するように構成されていることが好適であり、熱交換器、循環水路、冷却塔を含むように構成されている一般的な水系であってもよい。
循環冷却水系のタイプは特に限定されないが、開放循環冷却水系又は密閉循環冷却水系の何れでもよく、開放循環冷却水系は、開放式で冷却水が循環できるような構成を有することが好適であり、密閉循環冷却水系は、密閉式で冷却水が循環できるような構成を有することが好適である。
また、本実施形態の冷却水系の金属防食処理方法(より具体的には、冷却水系内の金属部材に対する金属防食処理方法)は、冷却水系内に、前記成分(A)共重合体及び前記成分(B)マレイン酸系重合体を添加して前記金属部材と接触させる工程を少なくとも有することが好適である。なお、このとき、前記成分(A)及び前記成分(B)は、一液型薬剤である金属防食処理剤での添加であってもよく、多液型薬剤である金属防食処理剤キットでの添加であってもよい。さらに、冷却水系に、上述した防食用金属化合物を、前記成分(A)及び/又は前記成分(B)の添加と同時期に又は別々の時期に、さらに添加することがより好適である。
また、薬剤の添加の場所は、特に限定されず、冷却水系の何れの場所でもよく、例えば、送風手段、散水手段、ピット、補給水供給手段、薬剤注入手段、循環水路、移送ポンプ、熱交換器等が挙げられ、好適には、補給水供給手段、薬剤注入手段、循環水路、移送ポンプ等であり、これらから選択される1種又は2種以上の場所で添加することができる。
このように、本実施形態の金属防食処理方法によれば、前記成分(A)及び前記成分(B)の両者の相乗効果によって、金属部材に対して優れた防食効果を付与することができる。
本実施形態の一例である開放循環冷却水系1に対する金属防食処理方法について、図1を参照して説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
開放循環冷却水系1において、前記成分(A)共重合体及び前記成分(B)マレイン酸系重合体を含む水は、ピット15から移送ポンプ21にて循環水路20で熱交換器30に移送され、熱交換器30を経て循環水路20で開放式冷却塔10に戻る。当該冷却塔10内で、前記成分(A)及び前記成分(B)を含む水は、散水手段12、充填材領域13を経て、ピット15に貯留され、再びポンプ21にて循環水路20に移送される。この循環中においても、前記成分(A)及び前記成分(B)が併存することで、前記成分(B)はゲル化せずに良好に分散状態を維持することができ、これにより冷却水系に対して防食効果を維持し続けることができる。この循環によって、水系中の水に存在する前記成分(A)及び前記成分(B)が、金属部材と接触することができ、当該金属部材に対して防食効果を発揮することができる。
前記成分(A)及び前記成分(B)は、単数又は複数の薬剤注入手段17にて、同時期又は別々の時期に、ピット15に移送され、この移送時の配管内で両者が混合されてもよいし、ピット15内にて両者が混合されてもよい。また、薬剤注入手段17は、単数又は複数備えてもよく、例えば、前記成分(A)用及び前記成分(B)用のためにそれぞれ別々の薬剤注入手段を複数備えていてもよいし、両者を含む一液型薬剤を水系に添加するために薬剤注入手段を単数備えてもよい。また、成分(C)防食剤(好適には防食用金属化合物)を添加する場合には、これら薬剤注入手段を利用してもよいし、別に薬剤注入手段を備えてもよい。蒸散等により不足した水は、必要に応じて補給水供給手段16によってピット15に供給され、この補給水をピット15に供給する流路は、薬剤注入手段17からの単数又は複数の薬剤を添加できるように構成されていてもよい。なお、冷却のための空気は、送風手段11による外気排出により、ルーパ18から13、12を経て、11から排出される。
2.本実施形態に係る金属防食処理剤及び金属防食処理剤キット
本実施形態に係る金属防食処理剤及び金属防食処理剤キットにおける説明において、上記「1.本実施形態に係る水系の金属防食処理方法」の説明と重複する、成分(A)、成分(B)、各添加量、各質量使用割合、各構成、各方法、各用語等の説明については適宜省略するが、上記「1.」の説明が、本実施形態に係る金属防食処理剤及び金属防食処理剤キットにも当てはまり、適宜採用することができる。上記「1.」の質量使用割合等を、質量含有割合等にすることもできる。
本実施形態の薬剤は、一液型薬剤又は多液型薬剤の何れでも提供することができる。
本実施形態の薬剤は、金属防食処理剤として、(i)成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、及び、
成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体、を含有する金属防食処理剤を提供することができ、より好適には、金属防食処理剤中前記成分(A):前記成分(B)の質量含有割合が、1:9から7:3である。
本実施形態の薬剤は、金属防食処理剤キットとして、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体を含む金属防食用第一剤、及び、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体を含む金属防食用第二剤、を、構成薬剤として含む、金属防食処理剤キットを提供することができ、より好適には前記成分(A):前記成分(B)の質量使用割合が、1:9~7:3である。当該キットでは、前記成分(A)及び前記成分(B)が、それぞれ別の容器に入った状態であってもよい。また、前記成分(C)防食剤、リン化合物等の任意成分を、第三剤の構成薬剤として、別の容器に入った状態で、金属防食処理キットに含ませてもよいし、第一薬剤及び/又は第二薬剤の混合成分として第一薬剤及び/又は第二薬剤に配合してもよい。
前記成分(A)におけるスルホン酸単量体が、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体であることが好適である。前記成分(A)における共重合体の重量平均分子量は、1,000~100,0000であることが好適である。前記成分(A)における(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体とのモル比率は、97:3~30:70であることが好適である。
前記成分(B)におけるマレイン酸系重合体の重量平均分子量が、500~5,000であることが好適である。前記成分(B)におけるマレイン酸系重合体が、マレイン酸単量体とイソブチレン単量体との共重合体、及び/又は、ポリマレイン酸であることが好適である。
前記金属防食処理剤にさらに防食剤(好適には防食用金属化合物)をさらに含有させることが好適であり、又は、前記金属防食処理剤キットに、防食剤(好適には防食用金属化合物)を含有する金属防食用第三剤を含ませることが好適である。
前記金属防食処理剤又は前記金属防食処理剤キットは、水系の水質条件に対応して適宜使用することができ、例えば、水系のカルシウム硬度が300mg/L as CaCO以下で使用するための薬剤又は当該カルシウム硬度にて使用することが好適である。
本実施形態において、前記成分(A)共重合体と前記成分(B)マレイン酸系重合体とは、金属防食作用を発揮することができる。従って、前記成分(A)共重合体と前記成分(B)マレイン酸系重合体とを金属防食処理剤等の有効成分として含有させること又は当該金属防食処理剤等に使用することができる。なお、当該剤は、組成物であってもよい。
また、前記成分(A)共重合体と前記成分(B)マレイン酸系重合体とは、金属防食処理剤等を製造するために使用することができる。
また、本実施形態は、金属防食処理をするための又は金属防食処理に使用するための、前記成分(A)共重合体及び前記成分(B)マレイン酸系重合体、又はその使用を提供することもできる。
本実施形態は、前記成分(A)共重合体と前記成分(B)マレイン酸系重合体とを用いる金属防食処理方法、又はこれらを含む一液型薬剤若しくは多液型薬剤を用いる金属防食処理方法を提供することも可能である。
本技術は、以下のような構成を採用することもできる。
・〔1〕 水系に、下記の成分(A)及び成分(B)を質量使用割合1:9~7:3で存在させる、水系の金属防食処理方法。
(A)(メタ)アクリル酸単量体と、スルホン酸単量体との共重合体、及び、
(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体
・〔2〕 前記(A)におけるスルホン酸単量体が、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体である、前記〔1〕に記載の水系の金属防食処理方法。
・〔3〕 前記(A)における共重合体の重量平均分子量は、1,000~100,0000である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の水系の金属防食処理方法。
・〔4〕 前記(A)における(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体とのモル比率は、97:3~30:70である、前記〔1〕~〔3〕の何れか1つに記載の水系の金属防食処理方法。
・〔5〕 前記(B)におけるマレイン酸系重合体の重量平均分子量が、500~5,000である、前記〔1〕~〔4〕の何れか1つに記載の水系の金属防食処理方法。
・〔6〕 前記(B)におけるマレイン酸系重合体が、マレイン酸単量体とイソブチレン単量体との共重合体、及び/又は、ポリマレイン酸である、前記〔1〕~〔5〕の何れか1つに記載の水系の金属防食処理方法。
・〔7〕 水系に、さらに防食剤(好適には防食用金属化合物)を存在させる、前記〔1〕~〔6〕の何れか1つに記載の水系の金属防食処理方法。
・〔8〕 前記水系のカルシウム硬度が、300mg/L as CaCO以下である、前記〔1〕~〔7〕の何れか1つに記載の水系の金属防食処理方法。
・〔9〕 下記の(i)金属防食処理剤又は(ii)金属防食処理剤キット。又は、下記の(i)金属防食処理剤又は(ii)金属防食処理剤キットを使用する、水系の金属防食処理方法、或いは前記〔1〕~〔8〕の何れか1つに記載の水系の金属防食処理方法。
(i)(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、及び、
(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体、を含有し、
前記(A):前記(B)の質量含有割合が、1:9から7:3である、金属防食処理剤。
(ii)(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体を含む金属防食用第一剤、及び、(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体を含む金属防食用第二剤、を含む、金属防食処理剤キット。
・〔10〕 金属防食処理剤を製造するための、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、及び、(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体、又はこの使用。
・〔11〕 金属防食処理剤に使用するための又は金属防食処理剤のための、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、及び、(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体、又はその使用。
・〔12〕 金属防食処理剤キットを製造するための、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体を含む金属防食用第一剤、及び、前記(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体を含む金属防食用第二剤、又はこの使用。
・〔13〕 金属防食処理剤キットの金属防食用第一剤を製造するための、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、又はその使用。金属防食処理剤キットの金属防食用第二剤を製造するための、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体、又はこの使用。
・〔14〕 金属防食処理剤キットに使用するための又は金属防食処理剤キットのための、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体を含む金属防食用第一剤、及び、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体を含む金属防食用第二剤、又はこの使用。
・〔15〕 金属防食処理剤キットの金属防食用第一剤に使用するための又は当該金属防食用第一剤のための、成分(A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体、又はその使用。金属防食処理剤キットの金属防食用第二剤に使用するための又は当該金属防食用第二剤のための、成分(B)マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体、又はこの使用。
以下の実施例及び比較例等を挙げて、本発明の実施形態等について説明をする。なお、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
<試験1:マレイン酸系重合体(サンプル1~5)中のカルボキシル基含有量の滴定分析>
<手法>
滴定分析にはTitrando (Metorom)を用いた。マレイン酸系重合体1gを20mLの純水に溶解し、塩酸を用いてpHを2以下まで下げたのち、Titrandoにセットし、0.5mol/LのNaOHを用いて滴定した。塩酸の中和点までに滴下したNaOH量とマレイン酸系ポリマーの中和点までに滴下したNaOH量との差から、マレイン酸系ポリマーの中和に要したNaOH量を算出し、そこからマレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量を算出した。算出式は以下のとおりである。
マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量(mmol/g)=(マレイン酸系ポリマーの中和に要したNaOH水溶液(0.5mol/L)量(mL)÷0.5(mol/L))÷使用したマレイン酸系重合体1(g)
サンプル1~5は、市販品を使用し、サンプル1:イソバンKPS-3(無水マレイン酸:クラレ製)、サンプル2:ベルクレン288(イタルマッチ製)、サンプル3:ベルクレン272(イタルマッチ製)、サンプル4:クレストガード559(クレストウォーター製)、サンプル5:HPMA-S 常州市東納化工有限公司(Changzhou Dongna Chemical Co., Ltd.)製であった。サンプル1~3、5は有機溶媒系による重合、サンプル4は水系による重合であった。また、マレイン酸系重合体の原料として無水マレイン酸が一般的に用いられており、例えばサンプル1の原料として無水マレイン酸が使用されている。
<結果>
滴定分析を実施したマレイン酸系重合体(サンプル1~5)とそのカルボキシル基含有量について表1に示す。サンプル4~5は他のマレイン酸系ポリマーよりカルボキシル基含有量が多いことが共通している。サンプル3とサンプル4から、マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量11.5mmol/g以上のマレイン酸系重合体を、マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が所定以上に高いマレイン酸系重合体と設定した。
<ポリマーの重量平均分子量のGPC分析>
各ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法により測定することができ、GPC法による標準ポリアクリル酸換算の値である。
<試験2>
<手法>
(メタ)アクリル酸とスルホン酸からなる共重合体とマレイン酸系重合体の併用効果を確認するために、腐食試験を実施した。(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体とから得られる共重合体(第一薬剤)として、アクリル酸とアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)との共重合体(重量平均分子量19000、モル比率80(AA): 20(AMPS-1)、以後「AA/AMPS-1」ともいう)を、マレイン酸系重合体(第二薬剤)として、表1中のサンプル4のポリマーを用いた。AA/AMPS-1及びサンプル4の2種類の重合体の質量配合割合を変化させた場合の防食効果を評価した。表2に示すように、各試験水(比較例2-1~2-4、実施例2-1~2-7)は、第一薬剤及び第二薬剤を表2の添加濃度になるように原水に添加して調製されたものである。防食効果評価のための運転条件は、水温30℃、試験期間3日間、回転数150rpmである。使用した原水の水質条件は、カルシウム硬度 100mg/L as CaCO、酸消費量(pH4.8) 100mg/L as CaCO、マグネシウム硬度 50mg/L、シリカ 20mg/L、塩化物イオン濃度 100mg/L、硫酸イオン濃度 100mg/L、pH8.2である。試験に使用した材料は、SPCC製のテストピース(30mm×50mm×1mm)である。なお、使用したSPCC製は、炭素含有量0.02~0.15質量%で、低炭素鋼に分類される。
2L容ビーカー中の1Lの試験水に対し、1枚のテストピースを浸漬し、上記運転条件にて、スターラーで撹拌した。試験結果の評価は、テストピースの試験前後における重量差から腐食減量を求め、以下の式に基づき腐食速度(mdd)を算出して行った。
腐食速度(mdd)=腐食減量(mg)/テストピースの表面積(dm)/試験期間(day)
<結果>
腐食速度の測定結果を表2に示す。AA/AMPS-1とマレイン酸系重合体でカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上のものであるサンプル4の配合割合(質量比)が7:3~1:9の範囲で優れた防食効果が得られ、7:3~3:7の範囲で特に優れた防食効果を示した。AA/AMPS-1の添加比率が高くサンプル4の添加比率が低い条件では、AA/AMPS-1の防食効果が乏しいため腐食したと考えられる。また、AA/AMPS-1の添加比率が低くサンプル4の添加比率が高い条件では、サンプル4がゲル化による失活したため防食効果が低下したと考えられる。
<試験3>
<手法>
マレイン酸系重合体のゲル化のしやすさを評価するために、表1のサンプル1~4について、また比較としてAA/AMPS-1、及びアクリル酸と3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸の共重合体(モル比率82(AA):18(HAPS-1)、重量平均分子量11000、以後AA/HAPS-1ともいう)について、耐ゲル化能評価試験を実施した。
500mL容のネジ口瓶に、超純水、各ポリマー溶液、カルシウム硬度溶液を都度攪拌しながら添加した。カルシウム硬度溶液は所定の濃度となるように、各ポリマー溶液は試験水中の濃度が100mg/Lになるように、超純水は総量が500mLとなるように添加した。NaOHやHSO等でpH8.5となるように試験液の調整を行い、ねじ口瓶のふたを閉め、90℃で1時間静置した。1時間経過後、分光光度計にて、λ=380nm、50mmセルで濁度を測定した。ポリマーの着色が吸光度に影響する場合があるため、カルシウム硬度無添加の条件の吸光度も同時に測定し、それぞれの値からこれを差し引いた。吸光度の補正値が小さいほど、ゲル化が生じておらず、良好であることを示す。
<結果>
試験条件及び吸光度の測定結果を表3に示した。サンプル1~4の各マレイン酸系重合体はそれぞれ特定のカルシウム硬度において試験液の濁りが確認され、ゲル化が発生していることがわかった。しかし、ゲル化が発生するカルシウム濃度(カルシウム硬度)は、重合体の種類により異なることが分かった。表1に記載の重合体中のカルボキシル基含有量と比較する、重合体中のカルボキシル基含有量が多いほど試験液中の低濃度のカルシウム濃度でゲル化することが分かった。一方、AA/AMPS-1、AA/HAPS-1はカルシウム硬度が1000mg/L as CaCOであってもゲル化しないことが確認された。
以上の結果は、重合体中のカルボキシル基の高い含有量は、試験液のゲル化を促進することを示している。重合体中のカルボキシル基含有量が高いマレイン酸系重合体を用いる場合、そのゲル化のしやすさにより防食効果を低減させてしまう可能性が考えられた。一方、(メタ)アクリル酸とスルホン酸の共重合体は、それ自身が持つスルホン基により試験液をゲル化せずに分散状態を保つと考えられた。
<試験4>
<手法>
(メタ)アクリル酸とスルホン酸からなる共重合体の分散能力により、マレイン酸系重合体のゲル化の抑制効果ができないか確認するため耐ゲル化能評価試験を行った。(メタ)アクリル酸とスルホン酸からなる共重合体としてAA/AMPS-1(モル比率80:20)を、マレイン酸系重合体としてサンプル4を用いた。
500mL容ネジ口瓶に、超純水、各ポリマー溶液、カルシウム硬度溶液を都度攪拌しながら添加し、総量500mLとした。各ポリマー溶液、カルシウム硬度溶液が所定の濃度となるように、超純水は総量500mLとなるように添加した。NaOHやHSO等でpH8.5となるように調整を行い、ネジ口瓶のふたを締め、90℃で1時間静置した。1時間経過後、分光光度計にて、λ=380nm、50mmセルで濁度を測定した。ポリマーの着色が吸光度に影響する場合があるため、カルシウム硬度無添加の条件の吸光度も同時に測定し、それぞれの値からこれを差し引いた。吸光度の補正値が小さいほど、ゲル化が生じておらず、良好であることを示す。
<結果>
試験条件及び吸光度の測定結果を表4に示した。重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上のマレイン酸系重合体としてサンプル4のみを添加した条件3及び4の場合にはゲル化が生じた。これに対し、AA/AMPS-1とサンプル4を併用すると、ゲル化は起こらなかった。このことから、重合体中のカルボキシル基含有量が高いマレイン酸系ポリマーとAA/AMPS-1ポリマーとの併用により、水中のカルシウムイオンと重合体中のカルボキシル基含有量が高いマレイン酸系ポリマーとのゲル化を抑制可能であることが示された。
また、カルシウム硬度0mg/L as CaCOのときの実施例4-1及び実施例4-2を、数日間放置しても濁りがなく透明であったので、(メタ)アクリル酸とスルホン酸からなる共重合体と、重合体中のカルボキシル基含有量が高いマレイン酸系重合体とは、一液型薬剤及び多液型薬剤(薬剤キット)の何れにも適用できることが示された。
<試験5>
<手法>
(メタ)アクリル酸とスルホン酸との共重合体及びマレイン酸系重合体の併用効果において、最適マレイン酸系重合体の特徴を確認するために、腐食試験を実施した。(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体(第一薬剤)として試験2のAA/AMPS-1を、マレイン酸系重合体(第二薬剤)として表1中のサンプル1~5の各ポリマーを用いた。防食効果評価のための運転条件は、水温30℃、試験期間3日間、回転数150rpmである。使用した原水の水質条件は、カルシウム硬度 100mg/L as CaCO、酸消費量(pH4.8) 100mg/L as CaCO、マグネシウム硬度 50mg/L、シリカ 20mg/L、塩化物イオン濃度 150mg/L、硫酸イオン濃度 150mg/L、pH 8.2、AA/AMPS-1 6mg/L、マレイン酸系重合体 6mg/Lである。試験に使用した材料は、SPCC製のテストピース(30mm×50mm×1mm)である。1Lの試験水に対し、1枚のテストピースを浸漬し、上記運転条件にて、スターラーで撹拌した。試験結果の評価は、テストピースの試験前後における重量差から腐食減量を求め、以下の式に基づき腐食速度(mdd)を算出して行った。
腐食速度(mdd)=腐食減量(mg)/テストピースの表面積(dm)/試験期間(day)
<結果>
腐食試験に用いた薬剤の添加濃度及び腐食速度の測定結果を表5に示す。カルボキシル基高含有のマレイン酸系重合体としてサンプル4及びサンプル5を用いた場合に、良好な防食効果が確認できた。表1のカルボキシル基含有量と比較すると、サンプル4とサンプル5の重合体中のカルボキシル基含有量が最も高いことから、マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上のマレイン酸系重合体は、良好な防食効果に寄与していると考えられた。
<試験6>
<手法>
(メタ)アクリル酸とスルホン酸との共重合体とマレイン酸系重合体の併用効果において、亜鉛を併用した条件下における最適マレイン酸系重合体の特徴を確認するために、腐食試験を実施した。(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体(第一薬剤)として試験2のAA/AMPS-1を、マレイン酸系重合体(第二薬剤)として表1中のサンプル1~5の各ポリマーを用いた。防食効果評価のための運転条件は、水温30℃、試験期間3日間、回転数150rpmである。使用した原水の水質条件は、カルシウム硬度 100mg/L as CaCO、酸消費量(pH4.8) 100mg/L as CaCO、マグネシウム硬度 50mg/L、シリカ 20mg/L、塩化物イオン濃度 400mg/L、硫酸イオン濃度 400mg/L、pH 8.2、AA/AMPS-1 6mg/L、マレイン酸系重合体 6mg/L、塩化亜鉛 1.5mg/L as Znである。試験に使用した材料は、SPCC製のテストピース(30mm×50mm×1mm)である。1Lの試験水に対し、1枚のテストピースを浸漬し、上記運転条件にて、スターラーで撹拌した。試験結果の評価は、テストピースの試験前後における重量差から腐食減量を求め、以下の式に基づき腐食速度(mdd)を算出して行った。
腐食速度(mdd)=腐食減量(mg)/テストピースの表面積(dm)/試験期間(day)
<結果>
腐食試験に用いた薬剤の添加濃度及び腐食速度の測定結果を表6に示す。亜鉛を併用した条件においても、マレイン酸系重合体としてサンプル4及びサンプル5を用いた場合に、良好な防食効果が確認できた。マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上のマレイン酸系重合体は、亜鉛と併用しても良好な効果が得られることがわかった。
<試験7>
<手法>
高硬度水質における(メタ)アクリル酸とスルホン酸との共重合体、及びマレイン酸系重合体の併用効果について確認するために腐食試験を実施した。上記2種類の共重合体に加え、防食用金属化合物として塩化亜鉛又は塩化スズ(II)を併用し、試験を実施した。(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体との共重合体(第一薬剤)としてAA/AMPS-1又はアクリル酸単量体とアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸単量体との共重合体(重量平均分子量6000、モル比率89:11、以後AA/AMPS-2ともいう)を、マレイン酸系重合体(第二薬剤)として表1中のサンプル1とサンプル4の各ポリマーを用いた。防食効果評価のための運転条件は、水温30℃、試験期間3日間、回転数150rpmである。使用した原水の水質条件は、カルシウム硬度 500mg/L as CaCO、酸消費量(pH4.8) 200mg/L as CaCO、マグネシウム硬度 250mg/L、シリカ 20mg/L、塩化物イオン濃度 500mg/L、硫酸イオン濃度 500mg/L、pH 8.6である。試験に使用した材料は、SPCC製のテストピース(30mm×50mm×1mm)である。1Lの試験水に対し、1枚のテストピースを浸漬し、上記運転条件にて、スターラーで撹拌した。試験結果の評価は、テストピースの試験前後における重量差から腐食減量を求め、以下の式に基づき腐食速度(mdd)を算出して行った。
腐食速度(mdd)=腐食減量(mg)/テストピースの表面積(dm)/試験期間(day)
<結果>
腐食試験に用いた薬剤の添加濃度及び腐食速度の測定結果を表7に示す。特開2012-207279号公報(特許文献1)に示すように、高硬度水質ではAA/AMPS-2、サンプル1、亜鉛の組み合わせでも良好な効果を示すが、サンプル1のポリマーではなくサンプル4のポリマーを用いた場合も同様に良好な効果を示す。このことから、マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上のマレイン酸系重合体は適用可能であることがわかる。また、防食用金属化合物としてスズを併用した条件においては、サンプル4のポリマーを用いた場合においてのみ良好な防食効果が得られた。このことから、マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上のマレイン酸系重合体は、亜鉛以外の金属の防食剤(スズ等)と併用しても良いことがわかる。
1 開放循環冷却水系、10 開放式冷却塔、11 送風手段、12 散水手段、13 充填材領域、14 空間、15 ピット、16 補給水供給手段、17 薬剤注入手段、18 ルーパ、20 循環水路、21 移送ポンプ、30 熱交換器

Claims (7)

  1. 水系に、下記の成分(A)及び成分(B)を質量使用割合1:9~7:3で存在させる、水系の金属防食処理方法。
    (A)(メタ)アクリル酸単量体とスルホン酸単量体とのモル比率が97:3~70:30である、(メタ)アクリル酸単量体と、スルホン酸単量体との共重合体、及び、
    (B)以下の滴定分析によるマレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量が11.5mmol/g以上であるマレイン酸系重合体
    <マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量の滴定分析>
    マレイン酸系重合体1gを20mLの純水に溶解し、塩酸を用いてpHを2以下まで下げたのち、0.5mol/LのNaOHを用いて滴定する。塩酸の中和点までに滴下したNaOH量とマレイン酸系ポリマーの中和点までに滴下したNaOH量との差から、マレイン酸系ポリマーの中和に要したNaOH量を算出し、そこから、滴定分析によるマレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量を算出する。算出式は以下のとおりである。
    マレイン酸系重合体中のカルボキシル基含有量(mmol/g)=(マレイン酸系ポリマーの中和に要したNaOH水溶液(0.5mol/L)量(mL)÷0.5(mol/L))÷使用したマレイン酸系重合体1(g)
  2. 前記成分(A)におけるスルホン酸単量体が、モノエチレン性不飽和スルホン酸単量体である、請求項1に記載の水系の金属防食処理方法。
  3. 前記成分(A)における共重合体の重量平均分子量は、1,000~1,000,000である、請求項1又は2に記載の水系の金属防食処理方法。
  4. 前記成分(B)におけるマレイン酸系重合体の重量平均分子量が、500~5,000である、請求項1~3の何れか1項に記載の水系の金属防食処理方法。
  5. 前記成分(B)におけるマレイン酸系重合体が、マレイン酸単量体とイソブチレン単量体との共重合体、及び/又は、ポリマレイン酸である、請求項1~4の何れか1項に記載の水系の金属防食処理方法。
  6. 水系に、さらに防食剤を存在させる、請求項1~5の何れか1項に記載の水系の金属防食処理方法。
  7. 前記水系のカルシウム硬度が、300mg/L as CaCO以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の水系の金属防食処理方法。
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