JP7361990B1 - Iii族元素窒化物基板およびiii族元素窒化物基板の製造方法 - Google Patents

Iii族元素窒化物基板およびiii族元素窒化物基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

反りの発生が抑制されたIII族元素窒化物基板を提供する。本発明の実施形態によるIII族元素窒化物基板は、互いに対向する第一主面および第二主面を有するIII族元素窒化物基板であって、前記第一主面において、中央部に位置する第一部位の結晶性は、前記第一部位よりも外側に位置する第二部位の結晶性よりも高い。前記第二部位におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W2は、前記第一部位におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W1よりも広くてもよい。

Description

本発明は、III族元素窒化物基板およびIII族元素窒化物基板の製造方法に関する。
発光ダイオード、半導体レーザ、パワーIC等の各種デバイスの基板として、III族元素窒化物基板が用いられている。
上記III族元素窒化物基板は、例えば、特許文献1に記載されているように、サファイア基板などの組成の異なる材料で構成された基板を下地基板とし、この下地基板にIII族元素窒化物結晶をヘテロエピタキシャル成長させることで得ることができる。
特開2005-136167号公報
しかし、上記ヘテロエピタキシャル成長により得られるIII族元素窒化物基板は、反りが発生しやすいという問題がある。
上記に鑑み、本発明は、反りの発生が抑制されたIII族元素窒化物基板を提供することを主たる目的とする。
1.本発明の実施形態によるIII族元素窒化物基板は、互いに対向する第一主面および第二主面を有するIII族元素窒化物基板であって、前記第一主面において、中央部に位置する第一部位の結晶性は、前記第一部位よりも外側に位置する第二部位の結晶性よりも高い。
2.上記1に記載のIII族元素窒化物基板はIII族元素窒化物結晶の自立基板であってもよい。
3.上記1または2に記載のIII族元素窒化物基板において、上記第二部位におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W2は、上記第一部位におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W1よりも広くてもよい。
4.上記3に記載のIII族元素窒化物基板において、上記半値幅W1に対する上記半値幅W2の比(W2/W1)は1.2以上であってもよい。
5.上記1から4のいずれかに記載のIII族元素窒化物基板における、上記第一主面において、上記第一部位から外側に行くにしたがって結晶性が連続的に低くなってもよい。
6.上記1から4のいずれかに記載のIII族元素窒化物基板において、上記第一主面は、上記第一部位から外側に向けて、結晶性が一定である領域を有してもよい。
7.上記1から6のいずれかに記載のIII族元素窒化物基板は円盤状とされてもよく、上記第二部位は、上記第一主面の端から、径方向内側に上記第一主面の半径の20%以下の領域に位置してもよい。
8.上記1から7のいずれかに記載のIII族元素窒化物基板において、上記第二部位には小傾角粒界が形成されてもよい。
9.上記1から8のいずれかに記載のIII族元素窒化物基板は円盤状とされてもよく、直径が75mm以上であってもよい。
本発明の別の局面によれば、III族元素窒化物基板の製造方法が提供される。
10.第一実施形態によるIII族元素窒化物基板の製造方法は、上記1から9のいずれかに記載のIII族元素窒化物基板の製造方法であって、互いに対向する上面および下面を有する下地基板と、前記下地基板の上面に形成される種結晶膜とを有する種結晶基板を準備すること、前記種結晶基板の前記種結晶膜上に、III族元素窒化物結晶を育成すること、および、前記下地基板から前記III族元素窒化物結晶を分離すること、を含み、前記準備された種結晶基板の種結晶膜の周縁部には、前記種結晶膜の中央部とは前記III族元素窒化物結晶の成長具合を変化させる変化部が形成されている。
11.第二実施形態によるIII族元素窒化物基板の製造方法は、上記1から9のいずれかに記載のIII族元素窒化物基板の製造方法であって、互いに対向する上面および下面を有する下地基板と、前記下地基板の上面に形成される種結晶膜とを有する種結晶基板を準備すること、前記種結晶基板の前記種結晶膜上に、III族元素窒化物結晶を育成すること、および、前記下地基板から前記III族元素窒化物結晶を分離すること、を含み、前記III族元素窒化物結晶の育成条件を、前記種結晶基板の中央部と周縁部とで変化させる。
12.上記10または11に記載の製造方法において、上記下地基板は、上記III族元素窒化物結晶とは組成の異なる材料を含んでもよい。
本発明のさらに別の局面によれば、上記第二部位が除去されたIII族元素窒化物基板(低結晶性部除去基板)の製造方法が提供される。
13.本発明の実施形態による低結晶性部除去基板の製造方法は、上記1から9のいずれかに記載のIII族元素窒化物基板を得ること、および、前記III族元素窒化物基板の第二部位を除去すること、を含む。
本発明の実施形態によれば、反りの発生が抑制されたIII族元素窒化物基板を提供することができる。
本発明の1つの実施形態に係るIII族元素窒化物基板の概略の構成を示す模式的な断面図である。 図1に示すIII族元素窒化物基板の平面図である。 1つの実施形態に係るIII族元素窒化物基板の製造工程を示す図である。 図3Aに続く図である。 図3Bに続く図である。 積層基板に生じ得る反りの一例を示す断面図である。 自立基板に生じ得る反りの一例を示す断面図である。 本発明の1つの実施形態に係る素子基板の概略の構成を示す模式的な断面図である。 実施例1のウエハのX軸(mm)における半値幅W(arcsec)の分布を示すグラフである。 実施例2のウエハのX軸(mm)における半値幅W(arcsec)の分布を示すグラフである。 比較例1のウエハのX軸(mm)における半値幅W(arcsec)の分布を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
A.III族元素窒化物基板
図1は本発明の1つの実施形態に係るIII族元素窒化物基板の概略の構成を示す模式的な断面図であり、図2は図1に示すIII族元素窒化物基板の平面図である。III族元素窒化物基板10は、板状であり、互いに対向する第一主面11および第二主面12を有し、これらは側面13を介してつながっている。
図示例では、III族元素窒化物基板は、円盤状(ウエハ)とされているが、これに限らず、任意の適切な形状とされ得る。III族元素窒化物基板のサイズは、目的に応じて適切に設定され得る。円盤状のIII族元素窒化物基板の直径は、例えば50mm以上300mm以下であり、好ましくは75mm以上であり、より好ましくは100mm以上である。サイズの大きい(例えば、直径75mm以上の)III族元素窒化物基板によれば、例えば、サイズの大きい素子の生産性を向上させ得る。
III族元素窒化物基板の厚さは、例えば250μm以上800μm以下であり、好ましくは300μm以上750μm以下であり、より好ましくは350μm以上725μm以下である。
III族元素窒化物基板はIII族元素窒化物結晶で構成される。III族元素窒化物を構成するIII族元素としては、例えば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)が用いられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。III族元素窒化物の具体例としては、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化ガリウムインジウム(GaInN)、窒化アルミニウムインジウム(AlInN)、窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)が挙げられる。なお、括弧内の各化学式において、代表的には、x+y+z=1である。
上記III族元素窒化物はドーパントを含み得る。ドーパントとしては、例えば、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)等のp型ドーパント、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、酸素(O)等のn型ドーパントが挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。
上記III族元素窒化物結晶においては、代表的には、<0001>方向がc軸方向であり、<1-100>方向がm軸方向であり、<11-20>方向がa軸方向である。また、c軸に直交する結晶面はc面であり、m軸に直交する結晶面はm面であり、a軸に直交する結晶面はa面である。本実施形態においては、III族元素窒化物基板10の厚さ方向はc軸に平行または略平行であり、第一主面11は(0001)面側のIII族元素極性面であり、第二主面12は(000-1)側の窒素極性面である。
代表的には、第一主面11は、(0001)面に平行であってもよく、(0001)面に対して傾斜していてもよい。第一主面11の(0001)面に対する傾斜角は、例えば10°以下であり、5°以下であってもよく、2°以下であってもよく、1°以下であってもよい。第二主面12は、(000-1)面に平行であってもよく、(000-1)面に対して傾斜していてもよい。第二主面12の(000-1)面に対する傾斜角は、例えば10°以下であり、5°以下であってもよく、2°以下であってもよく、1°以下であってもよい。第一主面11は、(0001)面に平行な面や(0001)面に対して傾斜した面に限定されず、例えば、a面(11-20)、m面(1―100)等の非極性面に平行であってもよく、(11-22)面、(1-101)面等の半極性面に平行であってもよい。
第一主面11は、結晶性の分布を有し得る。具体的には、第一主面11は、第一主面11の中央部11aに位置する第一部位51の結晶性よりも低い結晶性を示す第二部位52を、第一部位51よりも外側に有し得る。中央部11aは、第一主面11の周縁部11bを除いた部分であり得る。
第二部位52は、例えば、第一主面11の周縁部11bに位置し得る。周縁部11bは、例えば、第一主面11の端11cから径方向内側に第一主面11の半径の20%以下の領域を意味し、好ましくは、第一主面11の端11cから径方向内側に第一主面11の半径の15%以下の領域を意味する。
上記結晶性は、例えば、X線回折ロッキングカーブ測定(XRC)により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W(単位:arcsec)により評価され得る。この場合、第一部位51におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W1は、第二部位52におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W2よりも狭い。具体的には、半値幅W1は、例えば40arcsec~60arcsecであり、半値幅W2は、例えば50arcsec~70arcsecである。半値幅W1に対する半値幅W2の比(W2/W1)は1を超え、好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.3以上である。一方、W2/W1は、例えば、品質保持の観点から、4.0以下であることが好ましく、より好ましくは3.0以下であり、さらに好ましくは2.0以下である。
第一主面11におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wのバラツキは、例えば20%を超え、25%以上であってもよい。
第一主面における結晶性の分布の一例として、第一部位(例えば、第一主面の中心)から外側に行くにしたがって結晶性が連続的に低くなる形態が挙げられる。具体的には、X線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wが連続的に広くなる形態が挙げられる。この場合、半値幅Wの変化の仕方は、特に限定されず、第一部位からの距離に対して線形であってもよいし、第一部位からの距離が遠くなるほど大きくなってもよい。
第一主面における結晶性の分布の別の例として、第一部位(例えば、第一主面の中心)から外側に行くにしたがって結晶性が段階的に(不連続に)低くなる形態が挙げられる。具体的には、X線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wが段階的に広くなる形態が挙げられる。具体例としては、第一主面は、第一部位から外側に向けて、半値幅Wが一定である第一領域を有し、第一領域よりも外側に、半値幅Wが広い第二領域を有する形態が挙げられる。ここで、半値幅Wが一定とは、例えば、半値幅Wのバラツキが20%以下であることを意味する。なお、第一領域は上記中央部に対応し、第二領域は上記周縁部に対応してもよい。
1つの実施形態においては、第二部位52(周縁部11b)には小傾角粒界が形成される。小傾角粒界とは、例えば、粒界を挟んで隣り合う領域の結晶方位の角度の差が小さい(例えば、15°以下の)粒界をいう。なお、小傾角粒界は、透過型電子顕微鏡(TEM)による結晶格子観察、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた後方散乱電子線回折法(EBSD)等により確認することができる。また、測定対象が透光性を持つ材料で構成される場合は、高倍率(例えば、200倍)の光学顕微鏡観察により確認することもできる。
本発明の実施形態によるIII族元素窒化物基板は、反りの発生が良好に抑制され得る。III族元素窒化物基板のサイズ(例えば、直径)が大きくなるほど、反り、クラック等の不具合が発生しやすく、その程度も大きくなる傾向にあるが、本発明の実施形態によれば、III族元素窒化物基板のサイズが大きい場合においても、反りの発生が良好に抑制され得る。
上記反りは、例えば、レーザ変位計により評価することができる。レーザ変位計の測定方式としては、例えば、共焦点方式、三角測距方式、光干渉方式が挙げられ、測定対象面の表面粗度に応じて適宜選択され得る。1つの実施形態においては、レーザ変位計により計測されるIII族元素窒化物基板の反りは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下である。
上記レーザ変位計により計測される反りから算出されるIII族元素窒化物基板の曲率半径は、好ましくは30m以上であり、より好ましくは50m以上であり、さらに好ましくは70m以上であり、特に好ましくは90m以上である。
B.製造方法
本発明の1つの実施形態に係るIII族元素窒化物基板の製造方法は、下地基板と種結晶膜とを有する種結晶基板を準備すること、種結晶基板の種結晶膜上にIII族元素窒化物結晶を育成すること、および、下地基板からIII族元素窒化物結晶を分離すること、を含む。
図3Aから図3Cは、1つの実施形態に係るIII族元素窒化物基板の製造工程を示す図である。図3Aは、互いに対向する上面21aおよび下面21bを有する下地基板21の上面21aに種結晶膜22が成膜され、種結晶基板20が完成した状態を示している。
上記下地基板としては、例えば、所望の形状・サイズを有するIII族元素窒化物基板を製造可能な形状・サイズを有する基板が用いられる。代表的には、下地基板は、直径50mm~350mの円盤状とされる。下地基板の厚さは、例えば300μm~2000μmである。
下地基板としては、任意の適切な基板が用いられ得る。下地基板は、代表的には、単結晶体で構成される。下地基板を構成する材料としては、例えば、サファイア、結晶配向性アルミナ、シリコン、酸化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム、ガリウム砒素、シリコンカーバイド(SiC)が挙げられる。
上記種結晶膜の厚さは、例えば0.2μm~5μmであり、好ましくは1μm~4μmである。種結晶膜を構成する材料としては、任意の適切な材料が採用され得る。種結晶膜を構成する材料としては、代表的には、III族元素窒化物が用いられる。1つの実施形態においては、窒化ガリウムが用いられる。好ましくは、蛍光顕微鏡観察により黄色発光効果が認められる窒化ガリウムが用いられる。このような窒化ガリウムにおいては、バンドからバンドへの励起子遷移(UV)に加えて、2.2eV~2.5eVの範囲にピーク(黄色発光(YL)または黄色帯(YB))が確認される。
種結晶膜は、任意の適切な方法により成膜され得る。種結晶膜の成膜方法としては、代表的には、気相成長法が用いられる。気相成長法の具体例としては、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、パルス励起堆積(PXD)法、分子線エピタキシー(MBE)法、昇華法が挙げられる。これらの中でも、MOCVD法が好ましく用いられる。
上記MOCVD法による種結晶膜の成膜は、例えば、第一形成工程および第二形成工程をこの順に含む。具体的には、第一形成工程では温度T1(例えば、450℃~550℃)にて下地基板上に図示しない第一の層(低温成長緩衝層)を成膜し、第二形成工程では温度T1よりも高い温度T2(例えば、1000℃~1200℃)にて図示しない第二の層を成膜する。第一の層の厚さは、例えば20nm~50nmである。第二の層の厚さは、例えば1μm~4μmである。
1つの実施形態においては、種結晶膜22の周縁部22bには、中央部22aとは後述するIII族元素窒化物結晶の成長具合を変化させる変化部が形成される。中央部22aは、種結晶膜22の周縁部22bを除いた部分であり得る。周縁部22bは、例えば、種結晶膜22の端22cから径方向内側に種結晶膜22の半径の20%以下の領域を意味し、好ましくは、種結晶膜22の端22cから径方向内側に種結晶膜22の半径の15%以下の領域を意味する。種結晶膜に変化部を形成することにより、後述するIII族元素窒化物結晶層の結晶性の分布が達成され得る。
上記変化部は、例えば、中央部22aに位置する結晶の結晶性よりも低い結晶性を有する結晶を周縁部22bに形成することで形成され得る。具体的には、変化部は、周縁部22bにおけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wを、中央部22aにおけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wよりも広くすることで形成され得る。この場合、半値幅Wは、例えば250arcsec~350arcsecであり、半値幅Wは、例えば300arcsec~500arcsecである。半値幅Wに対する半値幅Wの比(W/W)は1を超え、好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.3以上である。一方、W/Wは、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.0以下であり、さらに好ましくは2.0以下である。
種結晶膜22におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wのバラツキは、例えば20%を超え、25%以上であってもよい。種結晶膜22の結晶性の分布は、得られるIII族元素窒化物結晶層の結晶性の分布に対応し得る。
また、例えば、変化部は、周縁部22bにおける種結晶膜22の厚さTを、中央部22aにおける種結晶膜22の厚さTよりも薄くすることで形成され得る。TとTとの差は、例えば100nm以上であり、好ましくは250nm~1000nmである。
変化部は、種結晶膜の成膜時に形成してもよいし、成膜後の後処理により形成してもよい。
次に、種結晶基板20の種結晶膜22上にIII族元素窒化物結晶を育成してIII族元素窒化物結晶層16を形成し、図3Bに示すように積層基板30を得る。所望のIII族元素窒化物基板の厚さに応じて、III族元素窒化物結晶の育成の程度(III族元素窒化物結晶層16の厚さ)は調整され得る。III族元素窒化物結晶の育成方向としては、用途、目的等に応じて、任意の適切な方向が選択され得る。具体例として、上記c面、a面、m面それぞれの法線方向、上記c面、a面、m面に対して傾斜した面の法線方向が挙げられる。
III族元素窒化物結晶は、任意の適切な方法により育成され得る。III族元素窒化物結晶の育成方法としては、上記種結晶膜の結晶方位に概ね倣った結晶方位を達成し得る方法であれば、特に限定されない。III族元素窒化物結晶の育成方法の具体例としては、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、パルス励起堆積(PXD)法、分子線エピタキシー(MBE)法、昇華法等の気相成長法;フラックス法、アモノサーマル法、水熱法、ゾルゲル法等の液相成長法;粉末の粒成長を利用した固相成長法が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。
好ましくは、III族元素窒化物結晶の育成方法として、フラックス法(例えば、Naフラックス法)が採用される。このような育成方法の詳細は、例えば特許第5244628号公報に記載されており、適宜、記載された育成方法の各種条件を調整して育成してもよい。
1つの実施形態においては、III族元素窒化物結晶の育成条件を種結晶膜22の中央部22aと周縁部22bとで変化させる。育成条件を変化させることにより、後述するIII族元素窒化物結晶層の結晶性の分布が達成され得る。
上記育成条件の変化は、例えば、液相成長法においては、原料溶液の攪拌方法の制御、原料溶液の組成の調整等により達成され得る。また、例えば、育成条件の変化は、気相成長法においては、原料ガスの流し方(流量、流速)の制御、原料ガスの流量比の調整等により達成され得る。また、例えば、育成条件の変化は、温度、圧力等の調整によって達成され得る。
積層基板30のIII族元素窒化物結晶層16は、結晶性の分布を有し得る。具体的には、III族元素窒化物結晶層16の周縁部16bに位置する結晶は、中央部16aに位置する結晶よりも低い結晶性を示し得る。例えば、周縁部16bにおけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wは、中央部16aにおけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wよりも広い。この場合、半値幅Wは、例えば40arcsec~60arcsecであり、半値幅Wは、例えば50arcsec~70arcsecである。半値幅Wに対する半値幅Wの比(W/W)は1を超え、好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.3以上である。一方、W/Wは、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.0以下であり、さらに好ましくは2.0以下である。中央部16aは、III族元素窒化物結晶層16の周縁部16bを除いた部分であり得る。周縁部16bは、例えば、III族元素窒化物結晶層16の端16cから径方向内側にIII族元素窒化物結晶層16の半径の20%以下の領域を意味し、好ましくは、III族元素窒化物結晶層16の端16cから径方向内側にIII族元素窒化物結晶層16の半径の15%以下の領域を意味する。このような結晶性の分布を有するIII族元素窒化物結晶層16を形成することにより、得られる積層基板30において、反りの発生は良好に抑制され得、これにより得られるIII族元素窒化物基板は、反りの発生が良好に抑制され得る。
III族元素窒化物結晶の育成後、図3Cに示すように、下地基板21からIII族元素窒化物結晶(III族元素窒化物結晶層16)を分離して、自立基板32を得る。代表的には、図示するように、自立基板32は、III族元素窒化物結晶16および種結晶膜22を含み得る。III族元素窒化物結晶は、任意の適切な方法により下地基板から分離され得る。III族元素窒化物結晶の分離方法としては、例えば、III族元素窒化物結晶の育成後の降温工程において下地基板との熱収縮差を利用して下地基板から自発分離させる方法、ケミカルエッチングにより分離する方法、レーザ光照射によるレーザリフトオフ法が挙げられる。レーザリフトオフ法によりIII族元素窒化物結晶を分離する場合、代表的には、レーザ光を積層基板30の下地基板21の下面21b側から照射する。また、研削、ワイヤソー等の切断機を用いた切断により、自立基板を得てもよい。
反りの発生が抑制された積層基板30から得られる自立基板32は、反りの発生が良好に抑制され得る。
図4Aは積層基板に生じ得る反りの一例を示す断面図であり、図4Bは自立基板に生じ得る反りの一例を示す断面図である。なお、図4では、図を見やすくするために積層基板および自立基板の断面は、ハッチングを省略している。また、便宜上、種結晶膜の図示を省略している。
図4Aに示す例では、積層基板30には、III族元素窒化物結晶層16側に凸の反りが生じている。下地基板21はIII族元素窒化物結晶層16とは組成(化学組成)の異なる材料で構成され得、このような下地基板21にIII族元素窒化物結晶をヘテロエピタキシャル成長させると、得られる積層基板30には反りが生じやすい傾向にある。反りの原因としては、例えば、下地基板21と成長させるIII族元素窒化物結晶との格子定数のミスマッチや熱膨張係数の違いにより生じ得る応力が考えられる。例えば、高温(例えば、800℃~1100℃)においてIII族元素窒化物結晶を成長させた後、積層基板30を降温させると反りが生じ得る。下地基板21の熱膨張係数が成長させるIII族元素窒化物結晶の熱膨張係数よりも大きい場合(例えば、下地基板としてサファイア基板を用いる場合)、図4Aに示すように、III族元素窒化物結晶層16側に凸の反りが生じ得る。一方、下地基板21の熱膨張係数が成長させるIII族元素窒化物結晶の熱膨張係数よりも小さい場合(例えば、下地基板としてシリコン基板やSiC基板を用いる場合)、図示例とは逆に、下地基板21側に凸の反りが生じ得る。
上記積層基板の反りは、得られる自立基板32(III族元素窒化物基板)に反り、クラック等の不具合が生じる原因となり得る。図4Aに示す積層基板30から下地基板21を分離して得られる自立基板32は、図4Bに示すように、反りの向きが反転して、下地基板21が配置されていた下面33側に凸の反りが生じ得る。
上述のとおり、本発明の実施形態による積層基板および自立基板は、そのIII族元素窒化物結晶層が所定の結晶性の分布を有し、反りの発生は良好に抑制され得る。具体的には、結晶性の低い部位は粒界や転位が導入され得ることから、結晶性の低い部位を設けることで、上記格子のミスマッチが緩和され得る。また、上記熱膨張差による応力が緩和(拡散)され得る。熱膨張差による応力は、積層基板および自立基板の周縁部に集中する傾向にあることから、III族元素窒化物結晶層16の周縁部に結晶性の低い部位を設けることで、効果的に反りの発生を抑制し得る。
自立基板32は、そのまま上記III族元素窒化物基板としてもよいし、自立基板32に対して任意の適切な加工を行い、上記III族元素窒化物基板を得てもよい。
上記自立基板に対して行う加工の一例としては、周縁部の研削加工(例えば、ダイヤモンド砥石を用いた研削加工)が挙げられる。代表的には、研削により、上記所望の形状・サイズ(例えば、所望の直径を有する円盤状)となるように加工する。
自立基板32の周縁部(III族元素窒化物結晶層16の周縁部16b)の一部または全部は除去されてもよい。1つの実施形態においては、結晶性の低い部位を除去することで、結晶性の均一性に優れたIII族元素窒化物基板を得ることができる。このように結晶性の低い部位を除去した基板を、ここでは、低結晶性部除去基板と称する。低結晶性部除去基板の第一主面におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅Wのバラツキは、例えば20%以下であり、好ましくは15%以下である。
上記自立基板に対して行う加工の別の例としては、主面(上面、下面)の研削、研磨(例えば、ラップ研磨、化学機械研磨(CMP))等の加工が挙げられる。代表的には、研削および研磨により、所望の厚さとなるように薄板化および平坦化する。1つの実施形態においては、主面の加工により種結晶膜22は除去され、III族元素窒化物結晶層16のみ(単一の結晶成長層のみ)の状態としてもよい。
また、例えば、上記自立基板に対して行う加工としては、外周エッジの面取り、加工変質層の除去、加工変質層に起因し得る残留応力の除去が挙げられる。
C.用途
上記III族元素窒化物基板には、機能層が形成され得る。図5は、本発明の1つの実施形態に係る素子基板の概略の構成を示す模式的な断面図である。素子基板40は、III族元素窒化物基板10とIII族元素窒化物基板10第一主面(III族元素極性面)11上に形成された機能層42とを有する。機能層42は、代表的には、結晶をエピタキシャル成長させて形成される。上述のとおり、III族元素窒化物基板10は反りの発生が良好に抑制され得ることから、機能層42を極めて良好に形成することができる。具体的には、機能層42の形成に際し、III族元素窒化物基板10側から加熱する場合の加熱ムラが防止され、得られる機能層42は均一性に優れ得る。また、反りの発生が抑制されたIII族元素窒化物基板10を用いることにより、素子基板40の製造における作業性が優れ得る。
上記機能層は、例えば、発光層、整流素子層、スイッチング素子層、パワー半導体層として機能し得る。1つの実施形態においては、上記機能層を構成する材料として、III族元素窒化物結晶が採用される。III族元素窒化物を構成するIII族元素としては、例えば、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)が用いられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いられ得る。
なお、III族元素窒化物基板10に機能層42が形成された状態で(素子基板40とした状態で)、III族元素窒化物基板10の第二主面(窒素極性面)12に対し、研削、研磨等の加工を行ってもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、下記種結晶基板の窒化ガリウム膜の面内の結晶性に関し、バラツキおよびW/Wは下記の測定方法により測定した値である。
<結晶性>
X線回折装置(ブルカー社製、「D8-DISCOVER」)を使用したX線回折ロッキングカーブ測定(XRC)により種結晶基板の窒化ガリウム膜(ウエハ)の結晶性の分布を評価した。具体的には、ウエハを横断するX軸およびウエハを縦断するY軸に沿って、ウエハを移動させながら、所定の間隔で(例えば、2mm~10mmの間隔で)Φ1.0mmのコリメーターを用いて集光したX線を照射して(10-12)面に関する回折ピークを測定し、半値幅W(arcsec)を算出した。ここで、X軸はIII族元素窒化物結晶のa軸に平行になるように定め、Y軸はIII族元素窒化物結晶のm軸に平行になるように定めた。
評価対象が直径6インチのウエハの場合、9mm間隔で測定し、ウエハの中心を原点として、±X軸および±Y軸の4方向それぞれにおいて9点(原点を含む)のデータを得た。
1.バラツキ
下記式により、バラツキD(%)を求めた。
D=(M-m)/A×100
ここで、MはX軸に沿って測定したデータ(17点のデータ)の最大値であり、mはX軸に沿って測定したデータ(17点のデータ)の最小値であり、AはX軸に沿って測定したデータ(17点のデータ)の平均値である。
2.W/W
ウエハの中心から径方向外側に半径の80%未満進んだ領域において測定した半値幅の平均値をWとし、ウエハの中心から径方向外側に半径の80%以上進んだ領域において測定した半値幅の平均値をWとし、W/Wを算出した。
[比較例1]
(種結晶基板の作製)
直径6インチのc面サファイア基板上に、MOCVD法により厚さ2μmの窒化ガリウム膜を成膜して種結晶基板を作製した。成膜の際、サファイア基板の面内における温度分布が±10℃になるように、MOCVD装置のリアクタ内のサファイア基板を載せるサセプターに内蔵されたヒータの温度を制御した。成膜した窒化ガリウム膜の結晶性のバラツキは20%以下であり、W/Wは0.93であった。
(窒化ガリウム結晶の育成)
窒化ガリウム結晶の育成は、加圧窒素ガスを供給可能な耐圧容器と、この耐圧容器内で回転可能な回転台と、この回転台に載置される外容器とを備える結晶製造装置により行った。
得られた種結晶基板を、窒素雰囲気のグローブボックス内で、直径200mmのアルミナ坩堝の中に配置した。次に、原子比Ga/(Ga+Na)(mol%)が15mol%となるように、金属ガリウムと金属ナトリウムを坩堝内に充填し、アルミナ板で蓋をした。この状態で、坩堝をステンレス製の内容器に入れ、さらにこの内容器を収容可能なステンレス製の外容器に入れて、窒素導入パイプの付いた蓋で外容器を閉じた。この状態で、外容器を結晶製造装置内の加熱部に設置されている回転台の上に載置し、結晶製造装置の耐圧容器に蓋をして密閉した。
次いで、耐圧容器内を真空ポンプにて真空引きした。続いて、加熱部を操作して、加熱空間の温度を870℃になるように加熱しながら、4.0MPaになるまで耐圧容器内に窒素ガスを導入し、外容器を中心軸周りに20rpmの速度で一定周期の時計回りおよび反時計回りで回転させた。この状態を40時間保持した。
その後、室温まで自然冷却して大気圧にまで減圧した後、耐圧容器の蓋を開けて中から坩堝を取り出した。坩堝の中の固化した金属ナトリウムを除去し、窒化ガリウム結晶を成長させた種結晶基板を回収した。
その後、室温にて、窒化ガリウム結晶を成長させた種結晶基板のサファイア基板側から紫外線レーザを照射して種結晶基板の窒化ガリウム膜を分解し、成長させた窒化ガリウム結晶をサファイア基板から分離した。
分離した窒化ガリウム結晶の周縁部を、ダイヤモンド砥石を用いて研削し、直径を150mmに調整した。次いで、窒化ガリウム結晶をセラミック製の加工用定盤に固定し、グラインダー、ラップ装置を用いて窒化ガリウムのガリウム極性面を研削・研磨した後、粒径0.1μmのダイヤ砥粒を用いて鏡面仕上げとした。次いで、窒化ガリウム結晶を裏返してセラミック製の加工用定盤に固定し、その窒素極性面に対してもガリウム極性面と同様、研削・研磨した後、粒径0.1μmのダイヤ砥粒を用いて鏡面仕上げとした。
こうして、厚さ500μmの窒化ガリウム基板を作製した。
[実施例1]
種結晶基板の作製(窒化ガリウム膜の成膜)の際のサセプターに内蔵されたヒータの温度条件を変更し、サファイア基板の周縁部の温度を低い状態としたこと以外は比較例1と同様にして、窒化ガリウム基板を作製した。ここで、種結晶基板の窒化ガリウム膜の結晶性のバラツキは約25%で、W/Wは1.2であり、ウエハの中心付近の半値幅が最も狭く、外周に向かうにつれて半値幅が連続的に広くなる傾向が確認された。
[実施例2]
窒化ガリウム結晶の育成の際、種結晶基板の周縁部における成長速度が大きくなるように、温度、圧力および回転条件を変更したこと以外は比較例1と同様にして、窒化ガリウム基板を作製した。
<評価>
実施例および比較例で得られた窒化ガリウム基板(ウエハ)について下記の評価を行った。評価結果を表1にまとめる。
1.結晶性の分布
上記種結晶基板の窒化ガリウム膜の結晶性と同様の方法により評価した。
2.反りおよび曲率半径
レーザ変位計(キーエンス社製、「CL―P015」)によって窒化ガリウム基板の反りを測定し、反りから曲率半径を算出した。具体的には、サファイア基板が配置されていた側と反対側の主面に波長655nmのレーザ光を照射して主面の変位を共焦点方式により測定し、窒化ガリウム基板の端から3mmの領域を除いた領域についての波形を得た。得られた波形から二次関数を用いた最小二乗法により近似曲線を算出し、この近似曲線の最高値と最低値との差を基板表面上で直交する二軸においてそれぞれ計測し、これらの平均値を反りSとした。また、得られた反りSから、下記式(I)を用いて曲率半径Rを算出した。
R=D/(8×S)・・・・・(I)
ここで、Rは曲率半径を、Dは基板直径を、Sは反りを示し、いずれも単位は[m]である。
Figure 0007361990000001
結晶性の分布に関し、実施例1では、図6に示すように、ウエハの中心付近の半値幅が最も狭く、外周に向かうにつれて半値幅が連続的に広くなる傾向が確認され、特に、ウエハの中心から径方向外側に半径の80%以上進んだ領域における広がりが顕著であった。
実施例2では、図7に示すように、半値幅は、ウエハの中心から径方向外側に半径の80%未満進んだ領域では大きくかわらなかったが、ウエハの中心から径方向外側に半径の80%以上進んだ領域において急激に増大した。
比較例1では、図8に示すように、半値幅は、ウエハの中心から径方向外側に向かって大きくかわらなかった。
各実施例および比較例において、サファイア基板が配置されていた側に凸の反りが確認されたが、その度合いは、実施例においては格段に小さかった。
得られた窒化ガリウム基板(ウエハ)について光学顕微鏡観察(200倍)を行ったところ、実施例2において、ウエハの中心から径方向外側に半径の80%以上進んだ領域に小傾角粒界が確認された。なお、実施例1および比較例1においては、このような小傾角粒界は確認されなかった。
本発明の実施形態によるIII族元素窒化物基板は、例えば、各種半導体デバイスの基板として利用され得る。
10 III族元素窒化物基板
11 第一主面
12 第二主面
13 側面
16 III族元素窒化物結晶層
20 種結晶基板
21 下地基板
21a 上面
21b 下面
22 種結晶膜
30 積層基板
32 自立基板
40 素子基板
42 機能層

Claims (12)

  1. 互いに対向する第一主面および第二主面を有するIII族元素窒化物基板であって、
    前記第一主面において、中央部に位置する第一部位の結晶性は、前記第一部位よりも外側に位置する第二部位の結晶性よりも高く、
    前記第二部位におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W2の上限は70arcsecであり、
    厚さが250μm以上のIII族元素窒化物結晶の自立基板である、
    III族元素窒化物基板。
  2. 前記第二部位におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W2は、前記第一部位におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W1よりも広く、
    前記第一部位におけるX線回折ロッキングカーブ測定により得られる(10-12)面の回折ピークの半値幅W1の上限は60arcsecである、請求項1に記載のIII族元素窒化物基板。
  3. 前記半値幅W1に対する前記半値幅W2の比(W2/W1)は1.2以上である、請求項2に記載のIII族元素窒化物基板。
  4. 前記第一主面において、前記第一部位から外側に行くにしたがって結晶性が連続的に低くなる、請求項1に記載のIII族元素窒化物基板。
  5. 前記第一主面は、前記第一部位から外側に向けて、結晶性が一定である領域を有する、請求項1に記載のIII族元素窒化物基板。
  6. 円盤状とされ、前記第二部位は、前記第一主面の端から、径方向内側に前記第一主面の半径の20%以下の領域に位置する、請求項1に記載のIII族元素窒化物基板。
  7. 前記第二部位には小傾角粒界が形成される、請求項1に記載のIII族元素窒化物基板。
  8. 円盤状とされ、直径が75mm以上である、請求項1に記載のIII族元素窒化物基板。
  9. 請求項1に記載のIII族元素窒化物基板の製造方法であって、
    互いに対向する上面および下面を有する下地基板と、前記下地基板の上面に形成される種結晶膜とを有する種結晶基板を準備すること、
    前記種結晶基板の前記種結晶膜上に、III族元素窒化物結晶を育成すること、および、
    前記下地基板から前記III族元素窒化物結晶を分離すること、を含み、
    前記準備された種結晶基板の種結晶膜の周縁部には、前記種結晶膜の中央部とは前記III族元素窒化物結晶の成長具合を変化させる変化部が形成されている、
    製造方法。
  10. 請求項1に記載のIII族元素窒化物基板の製造方法であって、
    互いに対向する上面および下面を有する下地基板と、前記下地基板の上面に形成される種結晶膜とを有する種結晶基板を準備すること、
    前記種結晶基板の前記種結晶膜上に、III族元素窒化物結晶を育成すること、および、
    前記下地基板から前記III族元素窒化物結晶を分離すること、を含み、
    前記III族元素窒化物結晶の育成条件を、前記種結晶基板の中央部と周縁部とで変化させる、
    製造方法。
  11. 前記下地基板は、前記III族元素窒化物結晶とは組成の異なる材料を含む、請求項9または10に記載の製造方法。
  12. 請求項1から8のいずれか一項に記載のIII族元素窒化物基板を得ること、および、
    前記III族元素窒化物基板の第二部位を除去すること、を含む、
    前記第二部位が除去されたIII族元素窒化物基板の製造方法。
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