JP7360999B2 - 酸洗装置の監視装置及び酸洗設備並びに酸洗装置の監視方法 - Google Patents

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Description

本開示は、酸洗装置の監視装置及び酸洗設備並びに酸洗装置の監視方法に関する。
鋼板の製造過程において、例えば熱間圧延工程や冷却工程で鋼板の表面にスケール(酸化被膜)が生成する。このように鋼板表面に生成するスケールを除去するため、酸洗処理が行われている。
鋼板の酸洗処理を行う装置として、例えば、特許文献1には、酸洗液が貯留された複数の酸洗槽が直列に配置された酸洗装置が開示されている。この酸洗装置では、鋼帯を搬送しながら複数の酸洗槽の酸洗液中を次々に通過させることで、鋼帯表面に生成したスケールを酸洗液に溶解させることで除去するようになっている。また、特許文献1には、酸洗の生産性を向上すべく、鋼板の材質等に応じて予め設定される酸濃度の設定値に基づいて、酸洗槽内の酸濃度を制御することが記載されている。
特開2004-269957号公報
ところで、鋼板の酸洗において母材が酸洗液に過剰に溶解する過酸洗が生じると、製品の表面が粗くなる等、製品の品質が低下するおそれがある。特許文献1に記載の方法では、鋼種等に応じた酸洗液の温度及び酸濃度の設定値を予め適切に決定することで、過酸洗の発生をある程度予防することができると考えられる。しかしながら、特許文献1の方法では、酸洗中における鋼板の酸洗状態(酸洗度合い等)を評価しているわけではないため、酸洗中の温度変化や酸洗時間の増加による鋼板の過酸洗の発生を防ぐことは困難である。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、鋼板の酸洗状態を適切に評価可能な酸洗装置の監視装置及び酸洗設備並びに酸洗装置の監視方法を提供することを目的とする。
本発明の少なくとも一実施形態に係る酸洗装置の監視装置は、
鋼板の酸洗装置を監視するための監視装置であって、
前記酸洗装置の酸洗槽からの酸洗液を受け入れるための密閉可能なサンプリング容器と、
密閉された状態の前記サンプリング容器内の気相部における水素濃度を計測可能な水素センサと、
を備える。
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る酸洗設備は、
酸洗液を貯留するための酸洗槽を含む酸洗装置と、
前記酸洗装置を監視するための上述の監視装置と、
を備える。
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る酸洗装置の監視方法は、
鋼板の酸洗装置を監視する方法であって、
前記酸洗装置の酸洗槽内の酸洗液を密閉可能なサンプリング容器に受け入れるステップと、
前記サンプリング容器が密閉された状態で前記サンプリング容器内の気相部における水素濃度を計測するステップと、
を備える。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、鋼板の酸洗状態を適切に評価可能な酸洗装置の監視装置及び酸洗設備並びに酸洗装置の監視方法が提供される。
一実施形態に係る酸洗設備の概略図である。 一実施形態に係る酸洗設備の概略図である。 一実施形態に係る監視装置の概略図である。 一実施形態に係る監視装置の概略図である。 一実施形態に係る監視装置の概略図である。 一実施形態に係る処理装置の概略構成図である。 一実施形態に係る酸洗装置の制御のフローチャートである。 一実施形態に係る酸洗装置の制御のフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
(酸洗設備の構成)
図1及び図2は、それぞれ、一実施形態に係る酸洗設備の概略図である。同図に示すように、酸洗設備1は、酸洗液3を用いて鋼板2の酸洗をするための酸洗装置10と、酸洗装置10を監視するための監視装置20と、を備える。
(酸洗装置の構成)
酸洗装置10は、酸洗液3を貯留するための酸洗槽12(12A~12C)と、酸洗液3に浸漬された帯状の鋼板2を搬送するための搬送ロール16(搬送部)と、を含む。
酸洗液3は、鋼板2の表面に生成したスケール(酸化被膜)を溶解して除去するための酸洗液であり、例えば、塩酸、硫酸、硝酸又はフッ酸等の酸を含む液体である。搬送ロール16は、鋼板2に張力を与えて、酸洗槽12の酸洗液中に鋼板2を浸漬させながら搬送するように構成される。搬送ロール16は、モータによって駆動されるようになっていてもよい。
酸洗装置10は、1つの酸洗槽12を含んでいてもよく、あるいは、2以上の酸洗槽12を含んでいてもよい。図1及び図2に示す酸洗装置10は、鋼板2の搬送方向において直列に配置された複数の酸洗槽12(具体的には3つの酸洗槽12A~12C)を含む。複数の酸洗槽12(12A~12C)は、隔壁によって隔てられている。また、複数の酸洗槽12(12A~12C)の各々に搬送ロール16が設けられており、鋼板2は、これらの搬送ロール16によって、複数の酸洗槽12内の酸洗液3に順次浸漬されながら搬送されるようになっている。
(監視装置の構成)
図3~図5は、それぞれ、一実施形態に係る監視装置20の概略図である。図1~図5に示すように、監視装置20は、酸洗槽12(12A~12Cの何れか)からの酸洗液3を受け入れるための密閉可能なサンプリング容器24(図2では12A,12C)と、サンプリング容器24内の気相部102における水素濃度を計測可能な水素センサ28(図2では28A,28C)と、を含む。以下、酸洗槽12A~12Cを酸洗槽12と総称し、サンプリング容器24,24A,24Cをサンプリング容器24と総称し、水素センサ28,28A,28Cを水素センサ28と総称する。また、他の構成要素についても同様に、‘A’‘B’‘C’を省略した符号を用いて総称する。
図3~図5に示すように、酸洗槽12とサンプリング容器24との間には、酸洗槽12内の酸洗液3をサンプリング容器24に導入するための導入管26が設けられている。導入管26には、導入管26を介したサンプリング容器24への酸洗液3の導入とその停止を切替え可能なバルブ27が設けられている。このバルブ27の開閉を適切に行うことにより、サンプリング容器24内に所望の量の酸洗液3を酸洗槽12から導入することができる。
図3~図5に示すように、導入管26は、サンプリング容器24を貫通するように設けられていてもよい。また、導入管26によるサンプリング容器24の貫通部に、サンプリング容器24の内側空間と外側空間との間での貫通部を介した流体の漏れを低減するためのシール(不図示)が設けられてもよい。
上述の構成を有する監視装置20において、サンプリング容器24内に酸洗槽12から酸洗液3を導入後、バルブ27を閉じてサンプリング容器24を密閉した状態にすると、サンプリング容器24内の酸洗液3(液相部101)中の溶存水素の一部が気相部102に追い出され、やがて、サンプリング容器24内で気液平衡状態が形成される。そして、この状態で水素センサ28を用いることで、気液平衡に達したサンプリング容器24内の気相部102における水素濃度を計測することができる。
ヘンリーの法則により、気液平衡状態の気相部の水素濃度と液相部の水素濃度とは比例関係にある。よって、上述のようにして気液平衡状態で計測されたサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度は、サンプリング容器24内の液相部101の水素濃度の指標である。また、サンプリング容器24内の液相部101の水素濃度は、酸洗槽12内の酸洗液3中の水素濃度と相関性を有するから、上述のようにして気液平衡状態で計測されたサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度は、酸洗槽12内の酸洗液3中の水素濃度の指標でもある。すなわち、酸洗槽12内の酸洗液3中の水素濃度が高くなるほど、サンプリング容器24内の気液平衡状態の液相部101及び気相部102の水素濃度も高くなる。よって、気液平衡状態の気相部102の水素濃度に基づいて、酸洗液3中の水素濃度を評価することが可能である。
ここで、酸洗装置10において鋼板2の酸洗が進行すると、母材が酸洗液に溶解することにより水素が生じる。また、鋼板2の母材が酸洗液3に過度に溶解する事象である過酸洗が生じると、水素の発生速度が大きくなる。この点、上述の実施形態に係る監視装置20によれば、酸洗槽12からの酸洗液3を受け入れたサンプリング容器内において気液平衡状態を形成することができるとともに、水素センサ28を用いて、気液平衡状態におけるサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度を計測することができる。よって、このように計測された水素濃度に基づいて、酸洗槽12における鋼板2の酸洗状態(酸洗の度合い等)を適切に評価することができる。したがって、例えば、酸洗槽12において鋼板2の過酸洗が発生しているか否か等を適切に評価することができる。
水素センサ28は、気体中の1000ppm以下の水素の濃度を計測可能なものであってもよい。水素センサ28は、半導体式のセンサ又は熱電式のセンサであってもよい。
酸洗槽12からの酸洗液3を導入したサンプリング容器24において気液平衡状態に達していても、サンプリング容器24内の気相部102の水素濃度はかなり低い。この点、上述の水素センサ28は気相部102の低濃度の水素を計測可能であるので、この水素センサ28を用いて計測された水素濃度に基づいて、酸洗槽12における鋼板2の酸洗状態(酸洗の度合い等)を適切に評価することができる。
幾つかの実施形態では、監視装置20は、酸洗装置10を構成する複数の酸洗槽12のうち2以上の酸洗槽12からの酸洗液3をそれぞれ受け入れるように構成された2以上のサンプリング容器24と、各サンプリング容器24内の気相部102における水素濃度をそれぞれ計測するための2以上の水素センサ28と、を含んでいてもよい。
この場合、複数のサンプリング容器24及び複数の水素センサ28を用いて、酸洗装置10を構成する複数の酸洗槽12中の酸洗液3の水素濃度をそれぞれ評価可能である。よって、複数の酸洗槽12の各々における鋼板2の酸洗状態(酸洗の度合い等)を適切に評価することができる。
幾つかの実施形態では、サンプリング容器24は、鋼板2の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽12のうち、搬送方向における最下流側に設けられる酸洗槽12からの酸洗液3を受け入れるように構成される。例えば、図1に示すサンプリング容器24及び図2に示すサンプリング容器24Cは、それぞれ、複数の酸洗槽12A~12Cのうち、鋼板2の搬送方向において最下流側に位置する酸洗槽12Cからの酸洗液3を受け入れるように構成されている。
鋼板2の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽12を含む酸洗装置10では、搬送方向における最下流に設けられる酸洗槽12において、母材が酸洗液に過剰に溶解する過酸洗が発生する可能性が高い。この点、上述の実施形態によれば、鋼板2の搬送方向における最下流側に設けられる酸洗槽12Cの酸洗液3をサンプリングして水素濃度を計測するようにしたので、酸洗装置10における過酸洗の発生を検知しやすくなる。
幾つかの実施形態では、例えば図3に示すように、監視装置20は、サンプリング容器24内の気体を水素を実質的に含まない置換ガスに置換するように構成されたガス置換部30を備える。置換ガスは、水素又は酸洗液中の成分(塩酸等)との反応性が低いガスであることが好ましい。置換ガスは、窒素又は希ガス類(アルゴン等)等の不活性ガスであってもよい。
図3に示す例示的な実施形態では、ガス置換部30は、サンプリング容器24内に置換ガスを供給するための供給部31と、サンプリング容器24内の気体を排出するための排出部35と、を含む。供給部31は、常圧よりも高圧の置換ガスが貯留される置換ガス供給源32(ガスボンベ等)と、置換ガス供給源とサンプリング容器24との間に設けられる供給管33と、供給管33に設けられる供給バルブ34と、を含む。排出部35は、サンプリング容器24に接続される排出管36と、排出管36に設けられる排出バルブ37と、を含む。
サンプリング容器24内の気体の置換を行うためには、まず、サンプリング容器24内に酸洗液3が導入されていない状態で、供給バルブ34を開いて、置換ガス供給源32からの置換ガスを供給管33を介してサンプリング容器24内に導入する。次に、供給バルブ34を閉じるとともに排出バルブ37を開いて、サンプリング容器24内のガスを排出管36を介して排出する。この手順を複数回繰り返すことで、サンプリング容器24内の気体を置換ガスで置換することができる。
上述の実施形態によれば、ガス置換部30によって、サンプリング容器24内の気体を水素を含まない置換ガスに置換することが可能である。このように、予めサンプリング容器24内の気体を置換ガスに置換してからサンプリング容器24内に酸洗液3を導入することで、サンプリング容器24内の気体による水素濃度計測への影響を低減することができる。よって、酸洗液3中の水素濃度の指標として用いるのに適した気相部102の水素濃度を適切に計測することができる。
幾つかの実施形態では、例えば図3に示すように、監視装置20は、サンプリング容器24内の温度を調節するための温度調節部40と、サンプリング容器24に導入される酸洗液3の量を調節するための液量調節部44と、を含む。
温度調節部40は、サンプリング容器24内の酸洗液3(液相部101)を加熱及び/または冷却可能なヒータ及び/又はクーラを含んでいてもよい。温度調節部40は、サンプリング容器24内の温度を計測するための温度センサ42(図3参照)の計測結果に基づいて、サンプリング容器24内の温度が所望の温度になるように、サンプリング容器24内の酸洗液3を加熱又は冷却するように構成されていてもよい。
液量調節部44は、導入管26に設けられたバルブ27を含んでいてもよい。バルブ27は、導入管26における酸洗液3の流量を計測するための流量センサ45(図3参照)の計測結果に基づいて、サンプリング容器24内に導入される酸洗液3の量が所望の量になるように、開閉又は開度が制御されるように構成されていてもよい。
上述の実施形態によれば、サンプリング容器24内の温度及びサンプリング容器に導入される酸洗液の量を適切に調節することができるため、サンプリング容器内において所定の気液平衡状態を形成することができる。よって、サンプリング容器内の気相中の水素濃度を計測することにより、酸洗液中の水素濃度を適切に取得することができる。
幾つかの実施形態では、例えば図4及び図5に示すように、監視装置20は、サンプリング容器24内の気体と酸洗液3との接触を促進するための気液接触促進部50を備える。気液接触促進部50によりサンプリング容器24内の気体と酸洗液3との接触を促進することで、液相部101中の溶存水素の気相部102への追い出しを促進することができる。よって、サンプリング容器24が密閉された状態で上述のように気液接触を促進することにより、サンプリング容器24内において迅速に気液平衡状態を形成することができる。これにより、酸洗槽12における鋼板2の酸洗状態の評価を迅速に行うことができる。
図4に示す例示的な実施形態では、気液接触促進部50は、サンプリング容器24内の酸洗液3中に混入される気泡を生成するための気泡発生装置52を含む。気泡発生装置52には、サンプリング容器24内の気体をサンプリング容器24の外に抜き出すとともに、気泡発生装置52を介してサンプリング容器24内に戻すためのガス循環路54が接続されている。また、ガス循環路54には、加圧部55(ポンプ等)が設けられている。そして、サンプリング容器24内の気相部102の気体が、ガス循環路54及び加圧部55を介して気泡発生装置52に供給されるようになっている。
気泡発生装置52は、ガス循環路54からの気体を、サンプリング容器24内の液相部101(酸洗液3)に吹き込むことにより、サンプリング容器24内で気泡を発生させるように構成されていてもよい。あるいは、気泡発生装置52には、不図示の経路を介して、サンプリング容器24から抜き出された酸洗液3が供給されるとともに、気泡発生装置52内にて酸洗液3にガス循環路54からの気体を混入させて、気泡を発生させるように構成されていてもよい。このように気泡発生装置52により気泡を生成することで、サンプリング容器24内の気体と酸洗液3との接触面積を増大させることができる。これにより、サンプリング容器24内の気体と酸洗液3との接触を促進させることができる。
図5に示す例示的な実施形態では、気液接触促進部50は、サンプリング容器24からの酸洗液3をサンプリング容器24内の気相部102に噴射して液滴を形成するための噴射部56を含む。噴射部56には、サンプリング容器24内の液体(酸洗液3)をサンプリング容器24の外に抜き出すとともに、噴射部56を介してサンプリング容器24内に戻すための液体循環路58が接続されている。液体循環路58には、循環ポンプ59が設けられている。
噴射部56によりサンプリング容器24からの酸洗液3をサンプリング容器24内の気相部102に噴射して液滴を形成することで、サンプリング容器24内の気体と酸洗液3との接触面積を増大させることができる。これにより、サンプリング容器24内の気体と酸洗液3との接触を促進させることができる。
また、特に図示しないが、一実施形態では、気液接触促進部50は、サンプリング容器24を振盪するための振盪装置を含んでもよい。この場合、振盪装置によってサンプリング容器24を振盪することで、サンプリング容器24内の気体と酸洗液3との接触面積を増大させることができる。これにより、サンプリング容器24内の気体と酸洗液3との接触を促進させることができる。
幾つかの実施形態では、図1及び図2に示すように、監視装置20は、水素センサ28による計測結果に基づいて酸洗装置10における鋼板2の酸洗の状態を判定及び/又は酸洗装置10の動作を制御するための処理装置60を含んでいてもよい。図6は、一実施形態に係る処理装置60の概略構成図である。図6に示すように、一実施形態では、処理装置60は、判定部62と、制御部64と、を含む。
処理装置60は、プロセッサ(CPU等)、記憶装置(メモリデバイス;RAM等)、補助記憶部及びインターフェース等を備えた計算機を含む。処理装置60は、インターフェースを介して、水素センサ28からの計測結果を示す信号を受け取るようになっている。プロセッサは、このようにして受け取った信号を処理するように構成される。また、プロセッサは、記憶装置に展開されるプログラムを処理するように構成される。これにより、上述の判定部62及び制御部64の機能が実現される。
処理装置60での処理内容は、プロセッサにより実行されるプログラムとして実装される。プログラムは、補助記憶部に記憶されていてもよい。プログラム実行時には、これらのプログラムは記憶装置に展開される。プロセッサは、記憶装置からプログラムを読み出し、プログラムに含まれる命令を実行するようになっている。
判定部62は、水素センサ28により計測された水素濃度に基づいて、鋼板2の過酸洗の発生を判定するように構成される。なお、本明細書において、鋼板2の過酸洗の発生を判定するとは、鋼板2の過酸洗が発生しているか否か、あるいは、鋼板2の過酸洗が発生しそうであるか否か(すなわち、過酸洗の予兆が現れているか否か)を判定することを意味する。
幾つかの実施形態では、判定部62は、水素センサ28により計測された水素濃度と、予め設定された閾値との比較に基づいて、鋼板2の過酸洗の発生を判定するように構成される。例えば、判定部62は、水素センサ28により計測された水素濃度が閾値以上であるときに、過酸洗が発生している又は発生しそうであると判定するように構成されていてもよい。
なお、上述の閾値は、酸洗装置10における健全な酸洗運転時(即ち、鋼板2の酸洗において過酸洗が発生していないとき)に計測される水素濃度に基づいて決定されたものであってもよい。閾値は、例えば、健全な酸洗運転時の規定期間(例えば1時間)に計測される水素濃度の時間平均のj倍(ただしj>1)であってもよい。また、上述の閾値は、酸洗装置10の運転実績に基づいて、適宜変更されてもよい。
幾つかの実施形態では、判定部62は、水素センサ28により計測された水素濃度の経時変化に基づいて、鋼板2の過酸洗の発生を判定するように構成される。
一実施形態では、判定部62は、水素センサ28により計測された水素濃度の上昇量又は上昇速度が規定値以上であるときに、過酸洗が発生している又は発生しそうであると判定するように構成されていてもよい。例えば、判定部62は、規定のサンプリング間隔T毎にサンプリング容器24に酸洗液3を導入して気相部102の水素濃度を計測する場合、今回のサンプリング時の水素濃度Cと前回のサンプリング時の水素濃度Cとの差(C-C;水素濃度の上昇量)、又は、水素濃度の上昇速度の時間平均((C-C)/T)が規定値以上であるときに、過酸洗が発生している又は発生しそうであると判定するように構成されていてもよい。
幾つかの実施形態では、判定部62は、鋼板2の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽12のうち、2以上の酸洗槽12の酸洗液3をそれぞれ受け入れるように構成された2以上のサンプリング容器24(図2参照)の気相部102の水素濃度の比較に基づいて、鋼板2の過酸洗の発生を判定するように構成される。この場合、2以上の水素濃度の計測値の比較に基づいて、予め閾値を設定しなくても、酸洗槽12における鋼板2の過酸洗の発生を適切に判定することができる。
一実施形態では、図2に示すように、監視装置20は、鋼板2の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽12A~12Cのうち、酸洗槽12Cと、該酸洗槽12Cよりも搬送方向において上流側に位置する酸洗槽12Aと、を含む2つの酸洗槽12A,12Cからの酸洗液3をそれぞれ受け入れるための2つのサンプリング容器24A,24Cを含む。また、監視装置20は、各サンプリング容器24A,24C内の気相部102における水素濃度をそれぞれ計測するための2つの水素センサ28A,28Cを含む。そして、判定部62は、水素センサ28A,28Cによりそれぞれ計測される水素濃度の比較に基づいて鋼板2の過酸洗の発生を判定するように構成される。
例えば、判定部62は、複数の酸洗槽12A,12Cのうち、下流側の酸洗槽12Cに対応するサンプリング容器24Cの気相部102の水素濃度Cが、上流側の酸洗槽12Aに対応するサンプリング容器24Aの気相部102の水素濃度Cのk倍(ただしk>1)以上であるときに、過酸洗が発生している又は発生しそうであると判定するように構成されていてもよい。
あるいは、一実施形態では、特に図示しないが、監視装置20は、鋼板2の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽12(例えば3つの酸洗槽12A~12C)の各々の酸洗槽12からの酸洗液3をそれぞれ受け入れるための複数のサンプリング容器24(例えば3つのサンプリング容器24A~24C)と、各サンプリング容器24内の気相部102における水素濃度をそれぞれ計測するための複数の水素センサ28(例えば3つの水素センサ28A~28C)と、を含む。そして、判定部62は、複数の水素センサ28(例えば水素センサ28A~28C)によりそれぞれ計測される水素濃度の比較に基づいて鋼板2の過酸洗の発生を判定するように構成される。なお、図2において、酸洗槽12Bに対応するサンプリング容器24Bや水素センサ28Bは図示されていない。
例えば、判定部62は、複数の酸洗槽12(例えば酸洗槽12A~12C)のうち、最下流側の酸洗槽12(例えば酸洗槽12C)に対応するサンプリング容器24(例えばサンプリング容器24C)の気相部102の水素濃度(例えばC)が、上流側の酸洗槽12(例えば酸洗槽12A,12B)に対応するサンプリング容器24(例えばサンプリング容器24A,24B)の気相部102の水素濃度(例えばC及びC)の平均のl倍(ただしl>1)以上であるときに、過酸洗が発生している又は発生しそうであると判定するように構成されていてもよい。
このように、判定部62を含む監視装置20によれば、水素センサ28を用いて計測されるサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度に基づいて、酸洗槽12(酸洗装置10)における鋼板2の過酸洗の発生を適切に判定することができる。
制御部64は、水素センサ28により計測される水素濃度に基づいて、搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度を変更するように構成される。制御部64は、水素濃度に基づいて搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度を決定し、決定した搬送速度が実現されるように、搬送ロール16を駆動するモータに対して適切な指令値を送るように構成されていてもよい。
制御部64は、判定部62による判定の結果、酸洗装置10において鋼板2の過酸洗が発生している又は発生しそうであると判定されたときに、搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度を上昇させるように構成されていてもよい。これにより、鋼板2の過酸洗の発生又は進行を抑制することができる。
(酸洗装置の制御のフロー)
以下、処理装置60による酸洗装置10の制御のフローについて説明する。図7及び図8は、それぞれ、一実施形態に係る酸洗装置10の制御のフローチャートである。
図7に示す実施形態では、まず、予め、後続するステップS102で計測されるサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度(又はその上昇速度等)との比較対象となる基準値(閾値等)を決定する(S101)。この基準値は、酸洗装置10における健全な酸洗運転時に計測される水素濃度に基づいて決定される。
次に、サンプリング容器24に酸洗槽12からの酸洗液3を導入し、サンプリング容器24を密閉して気液平衡状態を形成し、水素センサ28を用いて気相部102の水素濃度を計測する(S102)。ステップS102では、規定のサンプリング間隔毎に、サンプリング容器24への酸洗液3の採取、及び、水素センサ28による気相部102の水素濃度の計測を複数回繰り返し行ってもよい。
次に、ステップS102で計測した水素濃度と基準値と比較する(S104)。例えば、該水素濃度と基準値(閾値)とを比較する。あるいは、該水素濃度の上昇速度と、基準値とを比較する。
ステップS104にて、ステップS102で計測した水素濃度又はその上昇量が基準値以上である場合(ステップS104でYes)、酸洗槽12にて過酸洗が生じている又は過酸洗が生じそうであると判定し、搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度(ライン速度)を上昇させて(S106)、ステップS102に戻る。一方、ステップS104にて、水素濃度又はその上昇量が基準値未満である場合(ステップS104でNo)、酸洗槽12にて過酸洗は生じていない又は過酸洗が生じそうではないと判定し、搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度(ライン速度)を現状のまま維持し、ステップS102に戻る。
図8に示す例示的な実施形態では、酸洗装置10を構成する複数の酸洗槽12(鋼板2の搬送方向において直列に設けられた複数の酸洗槽12)のうち、2以上の酸洗槽12の酸洗液3を、2以上のサンプリング容器24に導入し、各サンプリング容器24を密閉して気液平衡状態を形成し、各サンプリング容器24に設けられた水素センサ28を用いて、各サンプリング容器24の気相部102の水素濃度を計測する(S202)。ステップS202では、規定のサンプリング間隔毎に、各サンプリング容器24への酸洗液3の採取、及び、各水素センサ28による気相部102の水素濃度の計測を複数回繰り返し行ってもよい。
次に、ステップS202で計測した複数の水素濃度のうち、最も下流側に位置する酸洗槽12に対応するサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度と、基準値とを比較する(S204)。ステップS204における基準値は、ステップS202で計測した複数の水素濃度のうち、最も下流側に位置する酸洗槽12以外の酸洗槽に対応するサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度に基づく値であり、例えば、これらの水素濃度の平均値であってもよい。
ステップS204にて、最も下流側に位置する酸洗槽12に対応する水素濃度が上述の基準値以上である場合(ステップS204でYes)、酸洗槽12にて過酸洗が生じている又は過酸洗が生じそうであると判定し、搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度(ライン速度)を上昇させて(S206)、ステップS202に戻る。一方、ステップS204にて、最も下流側に位置する酸洗槽12に対応する水素濃度が上述の基準値未満である場合(ステップS204でNo)、酸洗槽12にて過酸洗は生じていない又は過酸洗が生じそうではないと判定し、搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度(ライン速度)を現状のまま維持し、ステップS202に戻る。
一実施形態では、上述のステップS204に代えて、ステップS202で計測した複数の水素濃度のうち、最も下流側に位置する酸洗槽12に対応するサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度の、最も下流側に位置する酸洗槽12以外の酸洗槽に対応するサンプリング容器24内の気相部102の水素濃度(又はその平均値)に対する比率と、基準値とを比較するようにしてもよい。例えば、上述の比率が基準値以上である場合、酸洗槽12にて過酸洗が生じている又は過酸洗が生じそうであると判定し、搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度(ライン速度)を上昇させて(S206)、ステップS202に戻るようにしてもよい。一方、上述の比率が基準値未満である場合、酸洗槽12にて過酸洗は生じていない又は過酸洗が生じそうではないと判定し、搬送ロール16(搬送部)による鋼板2の搬送速度(ライン速度)を現状のまま維持し、ステップS202に戻るようにしてもよい。
このように、水素センサ28により計測される水素濃度に基づいて、該水素濃度に基づいて把握される鋼板の酸洗状態(酸洗の度合い等)を考慮して、鋼板2の搬送速度を適切に変更することができる。例えば、水素センサ28により計測される水素濃度に基づいて酸洗槽12において過酸洗が発生していると判定された場合に、鋼板2の搬送速度を上昇させることで、過酸洗の発生又は進行を抑制することができる。
なお、例えば上述のステップS104やS204において、水素センサ28による水素濃度の計測値が想定範囲(正常な範囲)を超えたときには、水素センサ28又は他の計器等の異常が発生したと見做して、酸洗装置10の運転を停止するようにしてもよい。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る酸洗装置(10)の監視装置(20)は、
鋼板(2)の酸洗装置を監視するための監視装置であって、
前記酸洗装置の酸洗槽(12)からの酸洗液(3)を受け入れるための密閉可能なサンプリング容器(24)と、
密閉された状態の前記サンプリング容器内の気相部(102)における水素濃度を計測可能な水素センサ(28)と、
を備える。
鋼板の酸洗が進行すると、母材が酸洗液に溶解することにより水素が生じる。また、気液平衡状態において、液相中に溶解したガス成分の濃度と、気相中のガス成分の濃度とは相関性を有することから、気液平衡状態の気相中のガス成分の濃度は、液相中に溶存するガス成分の濃度の指標となり得る。この点、上記(1)の構成によれば、酸洗槽からの酸洗液を受け入れたサンプリング容器内において気液平衡状態を形成することができるとともに、水素センサを用いて、気液平衡状態におけるサンプリング容器内の気相部の水素濃度を計測することができる。よって、このように計測された水素濃度に基づいて、酸洗槽における鋼板の酸洗状態(酸洗の度合い等)を適切に評価することができる。したがって、例えば、酸洗槽において鋼板の過酸洗が発生しているか否か等を適切に評価することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記酸洗装置の監視装置は、
前記サンプリング容器内の気体を水素を含まない置換ガスに置換するように構成されたガス置換部(30)を備える。
上記(2)の構成によれば、ガス置換部によって、サンプリング容器内の気体を水素を含まない置換ガスに置換することが可能である。このようにサンプリング容器内の気体を置換してからサンプリング容器内に酸洗液を導入することで、サンプリング容器内の気体による水素濃度計測への影響を低減することができる。よって、酸洗液中の水素濃度の指標として用いるのに適した気相部の水素濃度を適切に計測することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記酸洗装置の監視装置は、
前記サンプリング容器内の温度を調節するための温度調節部(40)と、
前記サンプリング容器に導入される前記酸洗液の量を調節するための液量調節部(44)と、
を備える。
上記(3)の構成によれば、サンプリング容器内の温度及びサンプリング容器に導入される酸洗液の量を適切に調節することができるため、サンプリング容器内において所定の気液平衡状態を形成することができる。よって、サンプリング容器内の気相部の水素濃度を計測することにより、酸洗液中の水素濃度を適切に取得することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記酸洗装置の監視装置は、
前記サンプリング容器内の気体と前記酸洗液との接触を促進するための気液接触促進部(50)を備える。
上記(4)の構成によれば、気液接触促進部によりサンプリング容器内の気体と酸洗液との接触を促進することで、液相中の溶存水素の気相部への追い出しを促進することができる。これにより、サンプリング容器内において迅速に気液平衡状態を形成することができ、よって、酸洗槽における鋼板の酸洗状態の評価を迅速に行うことができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記酸洗装置は、前記鋼板の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽(例えば上述の酸洗槽12A~12C)を含み、
前記サンプリング容器は、前記複数の酸洗槽のうち、前記鋼板の搬送方向における最下流側に設けられる酸洗槽(例えば上述の酸洗槽12C)からの酸洗液を受け入れるように構成される。
鋼板の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽を含む酸洗装置では、搬送方向における最下流に設けられる酸洗槽において、母材が酸洗液に過剰に溶解する過酸洗が発生する可能性が高い。この点、上記(5)の構成によれば、搬送方向における最下流側に設けられる酸洗槽の酸洗液をサンプリングして水素濃度を計測するようにしたので、酸洗装置における過酸洗の発生を検知しやすくなる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記酸洗装置の監視装置は、
前記水素センサにより計測される前記水素濃度に基づいて、前記鋼板の過酸洗の発生を判定するための判定部(62)を備える。
鋼板の酸洗中に過酸洗が生じると、母材の酸洗液への溶解に伴う水素発生量が増加する。この点、上記(6)の構成によれば、上記(1)で述べたように水素センサを用いて計測される水素濃度に基づいて、酸洗槽における鋼板の過酸洗の発生を適切に判定することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記判定部は、前記水素濃度と閾値との比較に基づいて前記鋼板の過酸洗の発生を判定するように構成される。
上記(7)の構成によれば、上記(1)で述べたように水素センサを用いて計測される水素濃度と閾値との比較に基づいて、酸洗槽における鋼板の過酸洗の発生を適切に判定することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記判定部は、前記水素濃度の経時変化に基づいて前記鋼板の過酸洗の発生を判定するように構成される。
上記(8)の構成によれば、上記(1)で述べたように水素センサを用いて計測される水素濃度の経時変化に基づいて、酸洗槽における鋼板の過酸洗の発生を適切に判定することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、
前記判定部は、前記水素濃度の上昇速度が規定値以上であるときに、前記鋼板の過酸洗が発生したと判定するように構成される。
上記(9)の構成によれば、上記(1)で述べたように水素センサを用いて計測される水素濃度の上昇速度が規定値以上であることに基づいて、酸洗槽における鋼板の過酸洗の発生を適切に判定することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記酸洗装置は、前記鋼板の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽を含み、
前記酸洗装置の監視装置は、
前記複数の酸洗槽のうち2以上の酸洗槽(例えば上述の酸洗槽12A,12C)からの酸洗液をそれぞれ受け入れるように構成された2以上の前記サンプリング容器(例えば上述のサンプリング容器24A,24C)と、
前記2以上のサンプリング容器内の気相部における水素濃度をそれぞれ計測するための2以上の前記水素センサ(例えば上述の水素センサ28A,28C)と、を備え、
前記判定部は、前記2以上の水素センサによりそれぞれ計測される2以上の水素濃度の比較に基づいて前記鋼板の過酸洗の発生を判定するように構成される。
鋼板の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽を含む酸洗装置では、搬送方向における下流側に設けられる酸洗槽において、母材が酸洗液に過剰に溶解する過酸洗が発生しやすく、酸洗液中の水素濃度が高くなりやすい。この点、上記(10)の構成によれば、鋼板の搬送方向において直列に設けられる2以上の酸洗槽の酸洗液をサンプリングしてそれぞれの水素濃度を計測するようにしたので、このようにして得られる2以上の水素濃度の比較に基づいて、酸洗槽における鋼板の過酸洗の発生を適切に判定することができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、
前記判定部は、前記2以上の水素センサによりそれぞれ計測される2以上の水素濃度の差又は比率が規定値以上であるときに、前記鋼板の過酸洗が発生したと判定するように構成される。
上記(11)の構成によれば、上記(10)で述べたように得られる2以上の水素濃度の差又は比率が規定値以上であることに基づいて、酸洗槽における鋼板の過酸洗の発生を適切に判定することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れかの構成において、
前記水素センサは、気体中の1000ppm以下の水素の濃度を計測可能である。
酸洗槽の酸洗液を導入したサンプリング容器において気液平衡が形成された状態において、サンプリング容器内の気相中の水素濃度はかなり低い。この点、上記(12)の構成によれば、水素センサは気相中の低濃度の水素を計測可能であるので、この水素センサを用いて計測された水素濃度に基づいて、酸洗槽における鋼板の酸洗状態(酸洗の度合い等)を適切に評価することができる。
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係る酸洗設備は、
酸洗液を貯留するための酸洗槽を含む酸洗装置と、
前記酸洗装置を監視するための上記(1)乃至(12)の何れか一項に記載の監視装置と、
を備える。
上記(13)の構成によれば、酸洗槽からの酸洗液を受け入れた密閉可能なサンプリング容器内において気液平衡状態を形成することができるとともに、水素センサを用いて、気液平衡状態におけるサンプリング容器内の気相部の水素濃度を計測することができる。よって、このように計測された水素濃度に基づいて、酸洗槽における鋼板の酸洗状態(酸洗の度合い等)を適切に評価することができる。したがって、例えば、酸洗槽において鋼板の過酸洗が発生しているか否か等を適切に評価することができる。
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の構成において、
前記酸洗装置は、前記酸洗槽内の前記酸洗液に浸漬された鋼板を搬送するための搬送部(例えば上述の搬送ロール16)を含み、
前記酸洗設備は、
前記水素センサにより計測される前記水素濃度に基づいて、前記搬送部による前記鋼板の搬送速度を変更するように構成された制御部(64)を備える。
上記(14)の構成によれば、水素センサにより計測される水素濃度に基づいて鋼板の搬送速度を変更することができる。このため、上述の水素濃度に基づいて把握される鋼板の酸洗状態(酸洗の度合い等)に基づいて、鋼板の搬送速度を適切に変更することができる。例えば、水素センサにより計測される水素濃度に基づいて酸洗槽において過酸洗が発生していると判定された場合に、鋼板の搬送速度を上昇させることで、過酸洗の発生又は進行を抑制することができる。
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係る酸洗装置の監視方法は、
鋼板の酸洗装置を監視する方法であって、
前記酸洗装置の酸洗槽内の酸洗液を密閉可能なサンプリング容器に受け入れるステップ(例えば上述のステップS102,S202)と、
前記サンプリング容器が密閉された状態で前記サンプリング容器内の気相部における水素濃度を計測するステップ(例えば上述のステップS102,S202)と、
を備える。
鋼板の酸洗が進行すると、母材が酸洗液に溶解することにより水素が生じる。また、気液平衡状態において、液相中に溶解したガス成分の濃度と、気相中のガス成分の濃度とは相関性を有することから、気液平衡状態の気相中のガス成分の濃度は、液相中に溶存するガス成分の濃度の指標となり得る。この点、上記(15)の方法によれば、酸洗槽からの酸洗液を受け入れた密閉可能なサンプリング容器内において気液平衡状態を形成することができるとともに、水素センサを用いて、気液平衡状態におけるサンプリング容器内の気相部の水素濃度を計測することができる。よって、このように計測された水素濃度に基づいて、酸洗槽における鋼板の酸洗状態(酸洗の度合い等)を適切に評価することができる。したがって、例えば、酸洗槽において鋼板の過酸洗が発生しているか否か等を適切に評価することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
1 酸洗設備
2 鋼板
3 酸洗液
10 酸洗装置
12,12A~12C 酸洗槽
16 搬送ロール
20 監視装置
24,24A~24C サンプリング容器
26 導入管
27 バルブ
28,28A~28C 水素センサ
30 ガス置換部
31 供給部
32 置換ガス供給源
33 供給管
34 供給バルブ
35 排出部
36 排出管
37 排出バルブ
40 温度調節部
42 温度センサ
44 液量調節部
45 流量センサ
50 気液接触促進部
52 気泡発生装置
54 ガス循環路
55 加圧部
56 噴射部
58 液体循環路
59 循環ポンプ
60 処理装置
62 判定部
64 制御部
101 液相部
102 気相部

Claims (15)

  1. 鋼板の酸洗装置を監視するための監視装置であって、
    前記酸洗装置の酸洗槽からの酸洗液を受け入れるための密閉可能なサンプリング容器と、
    密閉された状態の前記サンプリング容器内の気相部における水素濃度を計測可能な水素センサと、
    を備える酸洗装置の監視装置。
  2. 前記サンプリング容器内の気体を水素を含まない置換ガスに置換するように構成されたガス置換部を備える
    請求項1に記載の酸洗装置の監視装置。
  3. 前記サンプリング容器内の温度を調節するための温度調節部と、
    前記サンプリング容器に導入される前記酸洗液の量を調節するための液量調節部と、
    を備える
    請求項1又は2に記載の酸洗装置の監視装置。
  4. 前記サンプリング容器内の気体と前記酸洗液との接触を促進するための気液接触促進部を備える
    請求項1乃至3の何れか一項に記載の酸洗装置の監視装置。
  5. 前記酸洗装置は、前記鋼板の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽を含み、
    前記サンプリング容器は、前記複数の酸洗槽のうち、前記搬送方向における最下流側に設けられる酸洗槽からの酸洗液を受け入れるように構成された
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の酸洗装置の監視装置。
  6. 前記水素センサにより計測される前記水素濃度に基づいて、前記鋼板の過酸洗の発生を判定するための判定部を備える
    請求項1乃至5の何れか一項に記載の酸洗装置の監視装置。
  7. 前記判定部は、前記水素濃度と閾値との比較に基づいて前記鋼板の過酸洗の発生を判定するように構成された
    請求項6に記載の酸洗装置の監視装置。
  8. 前記判定部は、前記水素濃度の経時変化に基づいて前記鋼板の過酸洗の発生を判定するように構成された
    請求項6に記載の酸洗装置の監視装置。
  9. 前記判定部は、前記水素濃度の上昇速度が規定値以上であるときに、前記鋼板の過酸洗が発生したと判定するように構成された
    請求項8に記載の酸洗装置の監視装置。
  10. 前記酸洗装置は、前記鋼板の搬送方向において直列に設けられる複数の酸洗槽を含み、
    前記複数の酸洗槽のうち2以上の酸洗槽からの酸洗液をそれぞれ受け入れるように構成された2以上の前記サンプリング容器と、
    前記2以上のサンプリング容器内の気相部における水素濃度をそれぞれ計測するための2以上の前記水素センサと、を備え、
    前記判定部は、前記2以上の水素センサによりそれぞれ計測される2以上の水素濃度の比較に基づいて前記鋼板の過酸洗の発生を判定するように構成された
    請求項6に記載の酸洗装置の監視装置。
  11. 前記判定部は、前記2以上の水素センサによりそれぞれ計測される2以上の水素濃度の差あるいは比率が規定値以上であるときに、前記鋼板の過酸洗が発生したと判定するように構成された
    請求項10に記載の酸洗装置の監視装置。
  12. 前記水素センサは、気体中の1000ppm以下の水素の濃度を計測可能である
    請求項1乃至11の何れか一項に記載の酸洗装置の監視装置。
  13. 酸洗液を貯留するための酸洗槽を含む酸洗装置と、
    前記酸洗装置を監視するための請求項1乃至12の何れか一項に記載の監視装置と、
    を備える酸洗設備。
  14. 前記酸洗装置は、前記酸洗槽内の前記酸洗液に浸漬された鋼板を搬送するための搬送部を含み、
    前記水素センサにより計測される前記水素濃度に基づいて、前記搬送部による前記鋼板の搬送速度を変更するように構成された制御部を備える
    請求項13に記載の酸洗設備。
  15. 鋼板の酸洗装置を監視する方法であって、
    前記酸洗装置の酸洗槽内の酸洗液を密閉可能なサンプリング容器に受け入れるステップと、
    前記サンプリング容器が密閉された状態で前記サンプリング容器内の気相部における水素濃度を計測するステップと、
    を備える酸洗装置の監視方法。
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