JP6034722B2 - 線巻式圧力容器 - Google Patents

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本発明は、熱間等方圧加圧装置に用いられる線巻式圧力容器に関し、円筒状内筒の外周面に張力を付与した高耐力線材が巻き付けられ、円筒状内筒の過熱防止用の冷却水を備えて、被処理物を高温高圧処理するための線巻式圧力容器に関する。
被処理物の再結晶温度以上の数100〜数1000度の高温で、アルゴンなどの不活性ガスを圧力媒体とした数10〜数100MPaの等方的な圧力を被処理物に同時に加えて処理することにより、鋳造製品中およびセラミックス等の焼結製品中の残留気孔を消滅させる熱間等方圧加圧法(HIP)は、機械的特性の向上、特性のバラツキの低減、および歩留まり向上などの効果が確認され、広く工業的に使用される。この熱間等方圧加圧法では熱間等方圧加圧装置が使用される。熱間等方圧加圧装置は、高圧ガスを閉じ込めるための圧力容器が用いられ、圧力容器の内部には、被処理物と加熱装置とを配置しており、更に加熱装置の外側に断熱層を配置することにより、耐熱温度の低い圧力容器を保護している。ここで、熱間等方圧加圧装置に用いられる圧力容器として、例えば、特許文献1に示すような線巻式圧力容器が知られている。
線巻式圧力容器は、被処理物が収容される円筒状の内筒と、内筒の外周面に沿って冷却水通路が形成された状態で、内筒の外周面に張力を付与した高耐力線材(例えばピアノ線)を巻き付けてなる高耐力線材巻層と、を備えている。線巻式圧力容器の高耐力線材巻層は、内筒に対してこれを圧縮する方向に予め応力を付与することにより、疲労強度の上昇を図り、圧力容器の疲労寿命を延ばすとともに、圧力容器の外形寸法を小さくするものである。また、線巻式圧力容器の冷却水通路は、断熱層のみならず、昇温時及び高温保持時における内筒の過熱を防止するために、内筒に水冷を施すものである。このような線巻式圧力容器は、冷却水通路に供給される冷却水に高耐圧線材が浸される構造であるため、冷却水に含まれる酸素により、高耐圧線材が腐食の影響を受けてしまう。
そこで、特許文献1では、冷却水に含まれる水素による水素脆化や腐食の影響を防止してピアノ線の寿命低下を抑制するため、つなぎ合わせ部に水素吸蔵合金製の継手やピアノ線よりもイオン化傾向の大きい金属でできた継手を介して溶接接続したピアノ線を高耐力線材巻層に用いている。また、冷却水に含まれる酸素による腐食の影響を防止してピアノ線の寿命低下を抑制するために、冷却水へ防錆剤を添加したり、冷却水へ不活性ガスの吹き込み(ガスバブリング)を行ったりすることにより、腐食の原因となる冷却水中の溶存酸素濃度を低下させる処置をとることも行われている。
特開2009−257553号公報
しかしながら、引用文献1の技術では、ピアノ線の腐食を低減するためにイオン化傾向の大きい(酸化され易い)金属製の継手を使用しているため、継手部分が集中的に腐食され、断線し易くなるという問題が生じる。一方、この問題を回避するために継手個数を増やすことが考えられるが、母材強度に比べて強度の低い溶接部の数が増え、容器全体が強度低下してしまう。また、不活性ガスの吹き込みで冷却水中の溶存酸素を排出する処置を行う技術では、冷却水を冷却水水路に供給する冷却水回路のシールが不十分であったり破れが生じたりすると水は漏れないものの、空気が浸入し酸素が溶解することがある。また、バブリング処理をしている不活性ガスの流量が冷却水中に残存している酸素を排出するための必要量に満たないことがある。このような場合、冷却水の溶存酸素濃度(Do濃度)を十分に低減できなかったり、冷却水回路への冷却水の供給継続中に突然、冷却水の溶存酸素濃度が上昇してしまったりするという問題が生じる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、高耐圧線材の腐食の原因となる冷却水中の溶存酸素濃度を確実に且つ効率よく低下させることができる線巻式圧力容器を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る線巻式圧力容器は、円筒状の内筒と、前記内筒の外周面に張力を付与して高耐力線材を巻き付けてなる高耐力線材巻層と、前記内筒の過熱防止用の冷却水通路とを備え、被処理物を高温高圧処理するための線巻式圧力容器において、前記冷却水通路に冷却水を供給する冷却水回路と、前記冷却水回路において前記冷却水に対して不活性ガスを吹き込んでバブリング処理を行うガスバブリング装置と、前記冷却水回路における前記冷却水の溶存酸素濃度を測定する濃度計と、前記濃度計で測定した溶存酸素濃度に基づいて、前記ガスバブリング装置を制御する制御装置と、前記線巻式圧力容器内に残留する空気を真空引きする真空ポンプと、前記冷却水回路内に残留する空気を真空引きする真空ポンプのいずれか1つ以上、または、前記線巻式圧力容器内に残留する空気と前記冷却水回路内に残留する空気とを真空引きする1つの真空ポンプと、を備え、前記制御装置は、前記真空ポンプによる真空引きを行った後、前記濃度計で測定した溶存酸素濃度が所定の値以上になった場合に前記ガスバブリング装置により吹き込む不活性ガスの量を増加させ、前記濃度計で測定した溶存酸素濃度が所定の値未満になるように前記ガスバブリング装置を制御することを特徴とする。
これによると、冷却水に不活性ガスを吹き込むバブリング処理を行いながら、冷却水中の溶存酸素濃度を測定することで、腐食が急速に進むほど溶存酸素濃度が上昇した異常な状態を検知することができる。そして、測定した溶存酸素濃度に基づいてバブリング処理を制御することにより、高耐力線材の腐食が急速に進むことを回避することができる。
また、測定した溶存酸素濃度に基づいてバブリング処理を制御することにより、吹き込む不活性ガスの量を制御する、すなわち、溶存酸素濃度の上昇に対応して不活性ガスの量を増加させるように自動調整することにより、暫定的に溶存酸素濃度の上昇を自動的に抑えることができ、溶存酸素濃度上昇の原因調査を行う期間中に線巻式圧力容器が腐食されて使用不能となることを防止できる。また、必要以上に不活性ガスを消費することがなくなり、冷却水中の溶存酸素濃度を確実に且つ効率よく低下させることができる。更に、ガスバブリング装置によるバブリング処理のガス流量の調整を制御装置により自動的に行うことができ、人間が操作する手間を省き、操作ミスを防止できる。
また、残留する空気を真空引きすることにより、残留している空気中の酸素が冷却水中に溶解して溶存酸素濃度が上昇することがなくなるため、冷却水中の溶存酸素濃度の低減の時間を短縮するとともに、不活性ガスの消費を抑えることができる。更に、1つの真空ポンプで線巻式圧力容器内に残留する空気と冷却水回路内に残留する空気とを真空引きすることにより、余分に真空ポンプを設置する必要がなくなり、簡易な構成にすることができる。
また、残留する空気を真空引きした後にバブリング処理を行うため、不活性ガ
スの消費を抑え、冷却水中の溶存酸素濃度を確実に且つ効率よく低下させることができる。更に、真空ポンプによる真空引きの後のガスバブリング装置によるバブリング処理の開始を自動的に行うことができ、人間が操作する手間を省き、操作ミスを防止できる。
また、本発明に係る線巻式圧力容器は、前記制御装置は、前記濃度計で測定した溶存酸素濃度に基づいて所定の警告を発報する警報装置を更に備えて良い。
これによると、所定の警報により、冷却水を冷却水水路に供給する冷却水回路のシールが不十分であったり破れが生じたことや、バブリング処理をしている不活性ガスの流量が冷却水中に残存している酸素を排出するための必要量に満たないことを検知することができ、適切な対処を行うことができる。
また、本発明に係る線巻式圧力容器は、前記冷却水回路は、前記冷却水通路へ供給する冷却水を循環させて良い。
これによると、溶存酸素濃度が低減された冷却水を積極的に冷却水回路に循環させることにより、冷却水中の溶存酸素濃度の低減の時間を短縮するとともに、不活性ガスの消費を抑え、冷却水中の溶存酸素濃度を確実に且つ効率よく低下させることができる。
また、本発明に係る線巻式圧力容器は、前記冷却水回路は、前記冷却水を保管する水タンク及び、前記水タンクと前記冷却水通路とを接続する配管系統を備え、前記濃度計は、前記水タンクまたは前記配管系統に並列に備えられた副配管に設けられて良い。
これによると、濃度計の着脱を容易に行うことができる。
本発明の線巻式圧力容器は、高耐圧線材の腐食の原因となる冷却水中の溶存酸素濃度を確実に且つ効率よく低下させることができる。
本実施形態に係る線巻式圧力容器の全体を示す概略図である。 本実施形態に係る線巻式圧力容器の容器本体を示す縦断面図である。 本実施形態に係る線巻式圧力容器の容器本体を示す横断面図である。 本実施形態に係る線巻式圧力容器の冷却水回路を示す概略図である。 本実施形態に係る線巻式圧力容器の変形例を示す概略図である。 本実施形態に係る線巻式圧力容器の変形例を示す概略図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る線巻式圧力容器を実施するための形態について、具体的な一例に即して説明する。
尚、以下に説明するものは、例示したものにすぎず、本発明に係る線巻式圧力容器の適用限界を示すものではない。すなわち、本発明に係る線巻式圧力容器は、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
本実施形態に係る熱間等方圧加圧装置に用いられる線巻式圧力容器1は、図1に示すように、容器本体10と、冷却水回路20とを備えている。
図2及び図3に示すように、容器本体10は、円筒状の内筒11と、内筒11の冷却用の冷却水通路13を形成するために内筒1の外周面に円周方向に所定間隔を隔てて、かつ、内筒1の外周面に沿って内筒11の軸方向に延びるように配置された多数本のスペーサ部材12と、スペーサ部材12を締め付ける高耐圧線材巻層14とを備える。
内筒11は、高強度の低合金鋼、あるいは高強度のステンレス鋼から形成される。スペーサ部材12は、内筒11よりも軟らかい金属で形成される。また、スペーサ部材12は、矩形の断面形状で、内筒11よりわずかに短い長さになるように形成される。
高耐圧線材巻層14は、張力が付与された断面矩形状の高耐圧線材(例えば、ピアノ線)を内筒11との間にスペーサ部材12を挟むようにして内筒11の外周に、スペーサ部材12の長手方向のほぼ全長に渡り、所定の厚みとなるよう多層に巻きつけて、内筒11の外側に内筒11と同軸心となるように形成される。
高耐圧線材巻層14の外周には、冷却水通路13から高耐圧線材巻層14側へ滲み出す冷却水を収容するためのジャケット15が形成される。また、内筒11の上端側の外周面には、冷却水通路13を通過した冷却水が集められる冷却水室16aが設けられ、更に、冷却水室16aには、集められた冷却水を後述する冷却水回路20に排出する円環状の上部マニホールド16が形成される。同様に、内筒11の下端側の外周面には、冷却水通路13に冷却水を分配して供給する冷却水室17aと、後述する冷却水回路20から供給される冷却水を冷却水室17aに集める円環状の下部マニホールド17とが設けられる。
また、図1に示すように、容器本体10内の空気を真空引きするための真空ポンプ18と真空元弁18aが備えられる。真空元弁18aは、真空引きするときにだけ開き、真空ポンプ18により真空引きされた容器本体10内の空気が外部に排出される。
尚、内筒11の内部には、被処理物が収容されるようになっており、更に、被処理物を加熱する加熱装置(ヒーター)と加熱装置を取り囲むように逆コップ状の断熱層が形成される。
冷却水回路20には、下部マニホールド17と接続される冷却水供給配管21と上部マニホールド16と接続される冷却水排水配管22とからなる配管系統23と、冷却水供給配管21と冷却水排出配管22とに接続されて冷却水を貯蔵する水タンク24とを備えられる。そして、冷却水は、冷却水回路20において、図1に示す矢印の向きに循環される。
冷却水供給配管21には、水タンク24からフィルター25を介して冷却水を吸い込み、下部マニホールド17に冷却水を供給する冷却水ポンプ26が備えられる。尚、冷却水ポンプ26には、モータ26aが備えられる。
冷却水排出配管22は、二次側冷却水配管27と一次側冷却水配管28とを有する。冷却水通路13を通過することで温度上昇した冷却水は、上部マニホールド16から二次側冷却水配管27に排出され、熱交換器29を介して一次側冷却水配管28で供給された一次側冷却水を用いて冷却された後、水タンク24に戻される。
ガスバブリング装置30には、供給された高純度の不活性ガスを吹き込むための不活性ガス供給配管31を備えられる。不活性ガス供給配管31は、水タンク24内に挿入される。また、ガスバブリング装置30には、不活性ガス供給配管31に流す不活性ガスの流量を調整する流量調整弁30aを備えられる。そして、ガスバブリング装置30は、流量調整弁30aで調整された流量の不活性ガスを、不活性ガス供給配管31を介して水タンク24内の冷却水中に吹き込んでバブリング処理を行う。不活性ガスは、アルゴンガス、窒素ガス等を用いることができる。不活性ガスとしてアルゴンガスを使用した場合は、水タンク24内の液面から上の空間において下部に滞留するため、水タンク24内の液面から上の空間に存在する酸素を含む空気を上方に持ち上げて後述する排気配管32より排出できる。一方、窒素ガスの場合は、水タンク24内の液面から上の空間に存在する酸素を含む空気と混ざり合うので、酸素を含む空気を完全に排出するために、アルゴンガスと比較してより多くのガス流量が必要であったり、時間が掛かったりする。
また、水タンク24には、排気配管32が備えられる。バブリング処理に用いられた不活性ガスは、排気配管32を通って、水タンク24の内部から外部に排出される。排気配管32は、更に、水タンク24内部の冷却水が必要以上に増加した場合(水タンク24の液面が予め設定した所定の高さ以上になった場合)に水タンク24内の冷却水を排出するようにしても良い。
また、水タンク24には、液面計33が備えられる。液面計33は、ガスバブリング装置30によるバブリング処理により水タンク24内の冷却水が蒸発して減少し、液面が低下したことを検出する。水タンク24内の冷却水が必要以上に減少した場合(水タンクの液面が予め設定した所定の高さ以下になった場合)に、供給口34より水タンク24内に冷却水を供給するようにしても良い。
また、水タンク24には、冷却水中の溶存酸素濃度を測定するための溶存酸素濃度測定センサー(濃度計)35が内部に挿入される。溶存酸素濃度測定センサー35で測定した溶存酸素濃度は、制御盤(制御装置)36の指示器(警報装置)36aに表示される。ここで、制御盤36は、指示器36aに対して、溶存酸素濃度が所定の値以上になると、所定の警報を発報するようにしてもよい。ここで、所定の警報とは、例えば、指示器36aに「溶存酸素濃度が上昇しています。ガス流量を増やして下さい。」と表示するとともに、所定の警報音を鳴らすようにしてもよい。また、例えば、所定の警告は、溶存酸素濃度が所定の値以上になってから、所定の時間が経過した場合に、指示器36aに「冷却水系統の気密確認を行って下さい。」と表示するとともに、所定の警報音を鳴らすようにしてもよい。この場合、制御盤36内のマイコンに、下記に示す溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果に基づく指示器36aの所定の警告の発報の手順を記憶させる。指示器36aの所定の警告の発報の手順は、具体的には、制御盤36は、溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果が所定の値以上になったと判定した場合、これを検知して、「溶存酸素濃度が上昇しています。ガス流量を増やして下さい。」と指示器36aに表示すると共に、所定の警報を発報する。さらに、制御盤36は、溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果が所定の値以上になって所定の時間が経過したと判定した場合に、この状態が継続したことを検知して、「冷却水系統の気密確認を行って下さい。」と指示器36aに表示するとともに、所定の警報音を鳴らす。
実際には、ガスバブリング装置30は、バブリング処理を開始することで、冷却水中の溶存酸素濃度は徐々に低下する。例えば、バブリング処理の初期において、流量調整弁30aを調整してガス流量を大目にして、冷却水回路20(特に、水タンク24)内に残留している酸素を排出する。ここで、溶存酸素濃度が十分に低下してすぐに、流量調整弁30aを調整してガス流量を減らした場合、冷却水回路20内に酸素が残留していると、溶存酸素濃度が上昇する。そして、制御盤36は、溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果が所定の値以上になったと判定した場合、これを検知して、「溶存酸素濃度が上昇しています。ガス流量を増やして下さい。」と指示器36aに表示すると共に、所定の警報を発報する。次に、溶存酸素濃度が十分に低下した状態を維持した後に、配管系統23に、冷却水が漏れないが、酸素は透過する程度のシール不良が発生すると、突然に溶存酸素濃度が上昇し始める。そして、制御盤36は、溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果が所定の値以上になったと判定した場合に、これを検知して、「溶存酸素濃度が上昇しています。ガス流量を増やして下さい。」と指示器36aに表示すると共に、警報を発報する。さらに、制御盤36は、溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果が所定の値以上になって所定の時間が経過したと判定した場合に、この状態が継続したことを検知して、「冷却水系統の気密確認を行って下さい。」と指示器36aに表示するとともに、所定の警報音を鳴らす。
ここで、図4に示すように、ガスバブリング装置30が備える流量調整弁30aと、制御盤36とを接続しても良い。この場合、制御盤36内のマイコンに、下記に示す溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果に基づく流量調整弁30によるガス流量の調整の手順を記憶させる。そして、制御盤36からの遠隔指令により流量調整弁30を操作する。流量調整弁30によるガス流量の調整の手順は、具体的には、制御盤36は、初めに、流量調整弁30aを調整してガス流量を大目にして、配管系統23及び水タンク24(特に、水タンク24)内に残留している酸素を排出する。ここで、制御盤36は、溶存酸素濃度が十分に低下して溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果が所定の値未満になったと判定した場合、流量調整弁30aを調整してガス流量を減らすように制御する。次に、制御盤36は、溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果が所定の値以上になったと判定した場合、流量調整弁30a調整してガス流量を増やすように制御する。また、制御盤36は、溶存酸素濃度測定センサー35の測定結果が所定の値以上になって所定の時間が経過したと判定した場合に、流量調整弁30a調整してガス流量を更に増やすように制御する。これにより、ガスバブリング装置30によるバブリング処理のガス流量の調整をするための流量調整弁30の操作を制御盤36により自動的に行うことができ、人間が操作する手間を省き、操作ミスを防止できる。また、溶存酸素濃度が上昇した場合に警報を発報するだけでなく、バブリング処理で用いるガス流量を増やす方に自動調整させることで、暫定的に溶存酸素濃度の上昇を自動的に抑えることができるので、溶存酸素濃度上昇の原因調査を行う期間中に圧力容器が腐食され使用不能となることを防止できる。
ここで、図5に示すように、冷却水回路20内で最も空気の滞留し易い水タンク24の上部に、水タンク24内の空気を真空引きするための真空ポンプ37と真空元弁37aを備えても良い。真空元弁37aは、真空引きするときにだけ開き、真空ポンプ37により真空引きされた水タンク24内の空気を外部に排出する。ガスバブリング装置30によるバブリング処理を行う前に、真空元弁37aを開き、真空ポンプ37を起動して、水タンク24内の酸素を含む空気を排出した後、真空元弁37aを閉じることで、冷却水回路20内に滞留している酸素を低減することができる。その後、ガスバブリング装置30により高純度の不活性ガスをバブリングすることで、滞留している空気から冷却水に溶解する酸素の量が非常に低減されるので、冷却水中の溶存酸素濃度が十分に低下するまでの時間が大幅に短縮できる。
また、制御盤36と図5に示す真空ポンプ37とを接続しても良い。この場合、制御盤36内のマイコンに、真空ポンプ37で真空引きを行った後に、ガスバブリング装置30によるバブリング処理を行うように記憶させる。これにより、水タンク24内に残留する空気(水タンク24内の液面から上の空間に存在する酸素を含む空気)を真空引きした後にバブリング処理を行うため、不活性ガスの消費を抑えることができる。また、真空ポンプ37による真空引きの後のガスバブリング装置30によるバブリング処理の開始を自動的に行うことができ、人間が操作する手間を省き、操作ミスを防止できる。
また、図5に示す、容器本体10内の空気を真空引きするための真空ポンプ18と真空元弁18aと、水タンク24内の空気を真空引きするための真空ポンプ37と真空元弁37aの代わりに、図6に示すように、容器本体10内の空気及び水タンク24内の空気を兼用して真空引きするための真空ポンプ38と、真空ポンプ38及び容器本体10の間に備えられる真空元弁38aと、真空ポンプ38及び水タンク24の間に備えられる真空元弁38bと、を備えても良い。真空ポンプ38で容器本体10内の空気を真空引きする際には、真空元弁38aは開き、真空元弁38bを閉じて、真空ポンプ38を起動する。また、水タンク24内の冷却水の入替えや、配管系統23のメンテナンスなどで、冷却水回路20内に空気が浸入した場合には、真空元弁38bを開いて、真空ポンプ38を起動し、水タンク24内に滞留している空気を排出した後、ガスバブリング装置30によるバブリング処理を行う。このとき、真空元弁38aは閉じておく。
このように、本実施形態の線巻式圧力容器1は、ガスバブリング装置30により、水タンク24内に貯蔵された冷却水に不活性ガスを吹き込むバブリング処理を行いながら、溶存酸素濃度測定センサー35により、冷却水中の溶存酸素濃度を測定することで、腐食が急速に進むほど溶存酸素濃度が上昇した異常な状態を検知することができる。そして、溶存酸素濃度測定センサー35で測定した溶存酸素濃度に基づいてガスバブリング装置30によるバブリング処理を制御することにより、線巻式圧力容器1の高耐圧線材巻層14を構成する高耐力線材の腐食が急速に進むことを回避することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
上述した実施形態に係る線巻式圧力容器1の冷却水回路20では、配管系統23の冷却水排出配管22が水タンク24に接続されており、冷却水通路13を通った冷却水が水タンク24に全て戻って、冷却水が冷却水回路20内を循環するようになっているが、それに限らない。例えば、冷却水通路13を通った冷却水を水タンク24に戻さず、冷却水排出配管22から外部へ排出するようにして、水タンク24を冷却水の消失分のみを補うようにしても良い。その場合、溶存酸素濃度を低減された冷却水が積極的に冷却水回路20に循環されないので、水タンク24内でガスバブリング装置30によるバブリング処理を行う際に、冷却水を冷却水回路20で循環させた場合と比較して、冷却水中の溶存酸素濃度低減に時間を要する。
また、上述した実施形態に係る線巻式圧力容器1では、溶存酸素濃度測定センサー35を水タンク24に装着しているが、それに限らない。例えば、冷却水回路20の途中に設けることも可能である。この場合は、溶存酸素濃度測定センサー35を装着した副配管を主回路である冷却水回路20と並列に設け、溶存酸素濃度測定センサー35の前後にバルブを設けることが好ましい。溶存酸素濃度測定センサー35の着脱が容易にでき、使い勝手がよいためである。
1 線巻式圧力容器
11 内筒
13 冷却水通路
14 高耐力線材巻層
18 真空ポンプ
20 冷却水回路
23 配管系統
24 水タンク
30 ガスバブリング装置
35 溶存酸素濃度測定センサー(濃度計)
36 制御盤(制御装置)
36a 指示器(警報装置)
37 真空ポンプ
38 真空ポンプ

Claims (4)

  1. 円筒状の内筒と、前記内筒の外周面に張力を付与して高耐力線材を巻き付けてなる高耐力線材巻層と、前記内筒の過熱防止用の冷却水通路とを備え、被処理物を高温高圧処理するための線巻式圧力容器において、
    前記冷却水通路に冷却水を供給する冷却水回路と、
    前記冷却水回路において前記冷却水に対して不活性ガスを吹き込んでバブリング処理を行うガスバブリング装置と、
    前記冷却水回路における前記冷却水の溶存酸素濃度を測定する濃度計と、
    前記濃度計で測定した溶存酸素濃度に基づいて、前記ガスバブリング装置を制御する制御装置と、
    前記線巻式圧力容器内に残留する空気を真空引きする真空ポンプと、前記冷却水回路内に残留する空気を真空引きする真空ポンプのいずれか1つ以上、または、前記線巻式圧力容器内に残留する空気と前記冷却水回路内に残留する空気とを真空引きする1つの真空ポンプと、
    を備え
    前記制御装置は、前記真空ポンプによる真空引きを行った後、前記濃度計で測定した溶存酸素濃度が所定の値以上になった場合に前記ガスバブリング装置により吹き込む不活性ガスの量を増加させ、前記濃度計で測定した溶存酸素濃度が所定の値未満になるように前記ガスバブリング装置を制御することを特徴とする線巻式圧力容器。
  2. 前記制御装置は、前記濃度計で測定した溶存酸素濃度に基づいて所定の警告を発報する警報装置を更に備えることを特徴とする請求項に記載の線巻式圧力容器。
  3. 前記冷却水回路は、前記冷却水通路へ供給する冷却水を循環させることを特徴とする請求項1または2に記載の線巻式圧力容器。
  4. 前記冷却水回路は、前記冷却水を保管する水タンク及び、前記水タンクと前記冷却水通路とを接続する配管系統を備え、
    前記濃度計は、前記水タンクまたは前記配管系統に並列に備えられた副配管に設けられることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の線巻式圧力容器。
JP2013038246A 2013-02-28 2013-02-28 線巻式圧力容器 Active JP6034722B2 (ja)

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