JP7259292B2 - 再溶解炉および再溶解方法 - Google Patents

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Description

本発明は、再溶解炉および再溶解方法に関し、さらに詳しくは、消耗電極を再溶解させて鋳塊を製造する再溶解炉、およびそのような再溶解炉を用いて消耗電極の再溶解を行う方法に関する。
鋳造等の方法で製造された金属材料において、高度清浄化や偏析の防止等を目的として、金属材料より形成した消耗電極に対して、再溶解(二次溶解)が行われる場合がある。再溶解法としては、大気中や不活性ガス雰囲気下でのエレクトロスラグ再溶解(ESR)、真空エレクトロスラグ再溶解(VSR)、真空アーク再溶解(VAR)等が用いられている。
再溶解の対象とする金属種によっては、水素の含有が、再溶解によって製造される鋳塊の品質を低下させる原因となる。例えば、図3に示すように、鋼材において、水素原子の鋼中への溶解(1)、炭化物や窒化物による水素原子の吸蔵(2)、MnS等よりなるボイドへの水素分子の析出(3)、粒界への水素分子の析出(4)等によって、組織中に毛割れが発生しやすくなる場合がある。
再溶解を行う際に、消耗電極や鋳塊に接触する水分に由来して、鋳塊における水素の含有量の増加が起こることが知られている。そこで、再溶解炉内の水分量を低減するために、真空排気しながらエレクトロスラグ溶解を行う方法として、VSRが利用されている。また、特許文献1では、ESRに用いるスラグにおいて、水分が分解して生成した水素の鋳塊への吸収などを防ぐ観点から、スラグを所定の条件で加熱したのち、その加熱スラグを真空容器に収容して放冷し、真空容器内の真空度を維持することで、水分が除去されたスラグの再吸湿を防止することを図っている。
特開平7-68369号公報
再溶解を行う際に、水分に由来する鋳塊への水素の含有を抑制するために、VSRの利用等によって、炉内の水分量を低減することや、特許文献1に記載されるように、スラグをはじめ、再溶解に用いる材料の水分含有量を低減することは、有効である。しかし、それらの方法で、水分の低減を行ったとしても、消耗電極の製造に使用する原材料の品質や、再溶解炉の運転状態、周辺環境等におけるばらつきや経時変化により、実際に製造された鋳塊に含有される水素の量は、変化しうる。しかし、少量の水素の含有でも、鋳塊の品質に大きな影響を与えることがあるため、実際に製造された鋳塊に対して、水素の含有量を評価することが重要となる。
もし、水素の含有量が多くなった鋳塊を、再溶解工程の途中で発見することができれば、以降の工程からその鋳塊を排除する等して、水素含有による影響を小さく抑えることが可能となる。しかし、再溶解工程の途中で、鋳塊や溶解した金属材料をサンプリングして水素含有量を分析することは、困難である。水素含有量が高くなった鋳塊を、早期に発見できるほど、そのような鋳塊によってもたらされる影響を小さく抑えることができるので、再溶解を行っている段階で、鋳塊中の水素濃度を評価できるようにすることが望まれる。
本発明が解決しようとする課題は、再溶解を行っている途中に、製造される鋳塊における水素濃度を評価することができる再溶解炉、およびそのような再溶解方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる再溶解炉は、消耗電極を収容する収容空間における水蒸気分圧を計測する水分圧計測部と、前記水分圧計測部によって計測された前記水蒸気分圧と、前記消耗電極中の水素濃度とに基づいて、前記消耗電極の再溶解によって製造される鋳塊における水素濃度を推定する水素濃度推定部と、を有するものである。
ここで、前記再溶解炉は、前記収容空間の内部を真空排気する排気装置をさらに備え、前記水分圧計測部は、前記排気装置によって前記収容空間内から排気された雰囲気に対して、水蒸気分圧の測定を行うものであるとよい。
また、前記再溶解炉は、エレクトロスラグ再溶解を行うものであり、前記水素濃度推定部は、下記の式(A)に基づいて、前記鋳塊中の水素濃度を推定するものであるとよい。
[H]=αPH2O 0.5+β[H] (A)
ただし、[H]は前記鋳塊中の水素濃度、[H]は前記消耗電極中の水素濃度、PH2Oは前記水蒸気分圧、αおよびβは定数である。
前記水分圧計測部は、前記収容空間内の雰囲気の露点を計測し、得られた露点に基づいて、前記水蒸気分圧を求めるとよい。
前記水分圧計測部は、前記消耗電極を再溶解させて前記鋳塊を製造する間、前記水蒸気分圧を連続的に監視し、前記水素濃度推定部は、前記鋳塊の部位ごとに、水素濃度を推定するとよい。
本発明にかかる再溶解方法は、上記のような再溶解炉を用いて、消耗電極を再溶解させて、鋳塊を製造するものである。
ここで、前記水素濃度推定部によって推定される前記鋳塊中の水素濃度が、閾値よりも高くなると、前記消耗電極の再溶解を中断するとよい。
上記発明にかかる再溶解炉は、消耗電極を収容する収容空間における水蒸気分圧を計測する水分圧計測部を備えている。再溶解の原料として用いる消耗電極における水素濃度、および収容空間内の水蒸気分圧と、再溶解によって製造される鋳塊における水素濃度の間には、密接な関係があるため、鋳塊や、凝固して鋳塊となる溶融金属に対して、直接的に分析を行わなくても、水分圧計測部によって計測された水蒸気分圧と、消耗電極中の水素濃度とに基づいて、鋳塊における水素濃度を推定することができる。収容空間内における水蒸気分圧は、再溶解を行っている間でも、雰囲気を分取する等して、測定することが可能である。よって、再溶解を行っている間でも、製造される鋳塊に含有される水素の濃度を評価することができる。
ここで、再溶解炉が、収容空間の内部を真空排気する排気装置をさらに備え、水分圧計測部が、排気装置によって収容空間内から排気された雰囲気に対して、水蒸気分圧の測定を行う場合には、水分圧計測部が、常時、収容空間内の雰囲気に接触し、その時点における水蒸気分圧を計測することができる。そのため、再溶解工程の途中で、収容空間内の水蒸気分圧が変化することがあっても、その変化を検知し、鋳塊中の水素濃度の推定に反映させることができる。
また、再溶解炉が、エレクトロスラグ再溶解を行うものであり、水素濃度推定部が、上記式(A)に基づいて、鋳塊中の水素濃度を推定するものである場合には、式(A)を利用することで、収容空間内の雰囲気中の水蒸気分圧(PH2O)と、消耗電極中の水素濃度([H])から、簡便に、また高精度に、鋳塊中の水素濃度([H])を見積もることができる。
水分圧計測部が、収容空間内の雰囲気の露点を計測し、得られた露点に基づいて、水蒸気分圧を求める場合には、収容空間内の水蒸気分圧を、簡素な装置構成で、正確に計測することができる。
水分圧計測部が、消耗電極を再溶解させて鋳塊を製造する間、水蒸気分圧を連続的に監視し、水素濃度推定部が、鋳塊の部位ごとに、水素濃度を推定する場合には、再溶解によって鋳塊を製造する間に、収容空間内の雰囲気における水蒸気分圧が変動することで、鋳塊において、その時に製造されている部位の水素濃度に変化が生じることがあっても、そのような水素濃度の変化を、検知することが可能となる。それにより、再溶解の途中で、水素濃度が高くなる部位が鋳塊に生じた場合に、再溶解をそこで中断することや、そのように水素濃度の高くなった部位を後工程において除去すること等、対策を講じることが可能となる。
上記発明にかかる再溶解方法は、水分圧計測部と水素濃度推定部を備え、収容空間内の水蒸気分圧と、消耗電極中の水素濃度とに基づいて、鋳塊における水素濃度を推定する上記のような再溶解炉を用いて、消耗電極の再溶解を行うものであるため、再溶解を行っている間でも、鋳塊における水素濃度を評価することができる。
ここで、水素濃度推定部によって推定される鋳塊中の水素濃度が、閾値よりも高くなると、消耗電極の再溶解を中断する場合には、鋳塊中の水素濃度が所定の閾値よりも高くなるような条件での再溶解を、それ以上継続しないようにすることで、水素濃度の上昇による鋳塊の品質や後工程への影響を、小さく留めることができる。
本発明の一実施形態にかかる再溶解炉の構成を説明する図である。 上記再溶解炉について、消耗電極の先端近傍の状態を示す拡大図である。 鋼中における水素含有の影響を説明する図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる再溶解炉および再溶解方法について、図面を用いて詳細に説明する。本発明の一実施形態にかかる再溶解炉は、素材となる消耗電極を再溶解(二次溶解)させて、鋳塊を製造する装置である。そして、本発明の一実施形態にかかる再溶解方法は、そのような再溶解炉を用いて、消耗電極を再溶解させる方法である。
[再溶解炉の概略]
本発明の一実施形態にかかる再溶解炉1の概略を、図1に示す。再溶解炉1は、消耗電極Eを再溶解させられるものであれば、どのような種類のものであってもよく、大気中や不活性ガス雰囲気下でのエレクトロスラグ再溶解(ESR)、真空エレクトロスラグ再溶解(VSR)、真空アーク再溶解(VAR)を行う形態の再溶解炉をそれぞれ例示することができるが、ここで説明する形態においては、再溶解炉1は、VSR用の装置として構成されている。
再溶解炉1は、略筒状のモールド10と、モールド10の底部を閉塞する板状のスツール11とを有している。モールド10およびスツール11は、ともに銅よりなっている。モールド10の外周部には、冷却水Wを流通可能な水冷空間10aが設けられており、水冷空間10aに冷却水Wを流通させることで、モールド10およびスツール11を冷却することができる。モールド10の上方には、上端が閉塞された略筒状のフード13が被せられている。モールド10とスツール11の間、およびフード13とモールド10の間には、シール部材12,14が配置されており、シール部材12,14により、モールド10、スツール11、フード13によって囲まれた空間が、外部の大気から遮断された収容空間Rとなっている。
フード13には、不活性ガスを導入可能な導入口13aと、真空排気可能な排気口13bが設けられている。導入口13aから不活性ガスを導入することで、収容空間Rに不活性ガスを満たすことができる。また、排気口13bに真空ポンプ等の排気装置30を接続し、導入口13aを閉塞したうえで、排気装置30を運転することで、収容空間Rの内部を真空排気することができる。
そして、再溶解炉1は、収容空間Rの中の雰囲気における水蒸気分圧を計測する水分圧計測部20を備えている。本実施形態においては、水分圧計測部20は、露点計21と、分圧換算部22とを含んでいる。露点計21は、排気口13bと排気装置30の間に配置されており、排気装置30によって収容空間Rから排気された雰囲気Gに対して、露点の計測を行うことができる。分圧換算部22は、露点計21に接続されており、露点計21によって計測された収容空間Rの雰囲気Gの露点の値に基づいて、収容空間Rにおける水蒸気分圧を求める。分圧換算部22は、コンピュータ等の演算装置より構成することができる。
さらに、再溶解炉1は、水素濃度推定部25を有している。水素濃度推定部25は、水分圧計測部20の分圧換算部22が出力した水蒸気分圧と、消耗電極E中の水素濃度とに基づいて、再溶解炉1で製造される鋳塊Iにおける水素濃度を推定するものであり、コンピュータ等の演算装置より構成することができる。分圧換算部22と水素濃度推定部25を、共通の演算装置により構成することが好ましい。
再溶解炉1において、収容空間Rの内部には、鋳塊Iを製造するための素材としての消耗電極Eが収容される。消耗電極Eは、スタブ15を介して電極昇降機構16に接続される。電極昇降機構16とフード13の間にも、シール部材17が配置され、収容空間Rを大気から遮断している。
再溶解炉1において、消耗電極Eの再溶解を実施する際には、モールド10を設置したスツール11に、スラグSを載置するとともに、鋼塊等より製造されたポール状の消耗電極Eを、電極昇降機構16に接続した状態で、配置する。消耗電極Eの下端部は、スラグSに接触させておく。そして、排気装置30によって収容空間R内を排気するとともに、モールド10およびスツール11を冷却水Wによって水冷しながら、交流電源ACにより、消耗電極Eとスツール11の間に通電を行う。図2に示すように、通電により、スラグSが溶融し、溶融したスラグSのジュール熱によって、消耗電極Eの下端部が溶解される。消耗電極Eの溶解に伴って生成した溶滴は、溶融したスラグSの中を通過するが、通過中に、非金属介在物がスラグSに捕捉されて除去され、溶滴が精錬される。スラグSを通過した溶滴は、スラグSの下側に溶融プールPを形成する。溶融プールPは、モールド10によって徐々に冷却されて凝固し、鋳塊Iとなる。消耗電極Eは、溶解中、溶融したスラグS内に、下端部が浸漬された状態を維持するように、電極昇降機構16によって、高さ位置を制御される。
消耗電極Eを再溶解し、鋳塊Iとすることで、非金属介在物を低減して高清浄度化を達成できるとともに、凝固組織を改善することができる。また、偏析を防止することができる。
本実施形態にかかる再溶解炉1においては、通電によって消耗電極Eの再溶解を行う間、排気装置30によって排気される収容空間R内の雰囲気Gに対して、露点計21によって、露点の計測を、連続的に行う。そして、計測された露点に基づいて、分圧換算部22において、収容空間R内の水蒸気分圧を求める。さらに、水素濃度推定部25が、分圧換算部22から出力された水蒸気分圧と、消耗電極Eの製造工程等、上流の工程の情報から既知である消耗電極E中の水素濃度とに基づいて、製造される鋳塊Iにおける水素濃度を推定する。水素濃度の推定の詳細については、次に説明する。水素濃度推定部25は、さらに、推定した水素濃度を、コンピュータディスプレイ等、付属する表示装置に表示して、再溶解炉1の管理者に通知するように構成してもよい。
[雰囲気中の水蒸気分圧に基づく鋳塊中の水素濃度の推定]
上記のように、本実施形態にかかる再溶解炉1においては、水分圧計測部20によって計測された収容空間Rの中の水蒸気分圧と、消耗電極E中の水素濃度とに基づいて、消耗電極Eの再溶解と凝固によって製造される鋳塊Iに含まれる、水素の濃度を推定する。
消耗電極Eの再溶解を行う際に、消耗電極Eに含有される水素が、製造される鋳塊Iにおける水素の含有の原因となることが知られている。さらに、再溶解中の雰囲気に含まれる水蒸気が分解されて生じる水素が、スラグSを介して鋳塊Iに含有されることも知られている。よって、鋳塊I中の水素濃度を、消耗電極E中の水素の濃度と、収容空間R内の雰囲気中の水蒸気分圧に基づいて、推定することができる。
例えば、既報(中村泰ら著「ESRによるスラグおよび鋳塊の水素量」、鉄と鋼、第63年(1977年)第8号、1235-1243頁)に基づき、消耗電極Eの溶解における水素の挙動を、以下のようにまとめることができる。
まず、スラグSと溶融金属Pの間における水素濃度の関係は、下の式(1)のように表現することができる。
Figure 0007259292000001
ここで、LHはみかけの水素分配比、KHは平衡におけるスラグSと溶融金属Pの水素濃度比である。
次に、スラグSと雰囲気の間における水素の移動について、水素移動速度を、式(2)のように記載することができる。
Figure 0007259292000002
ここで、φは水素移動速度、kは速度定数、Sはガス/スラグ界面積、KはスラグSへの水蒸気溶解反応の平衡定数、PH2Oは雰囲気中の水蒸気分圧である。(H)は、スラグSの水素濃度であり、[H]を鋳塊I中の水素濃度として、LH=(H)/[H]である。
さらに、定常状態においては、スラグSの水素濃度は変化しないので、式(3)が成り立つ。
Figure 0007259292000003
ここで、mは溶解速度、[H]0は消耗電極E中の水素濃度である。
式(1)~(3)をまとめると、定常状態における鋳塊I中の水素濃度[H]、つまり[H]Sを、以下の式(4)によって表すことができる。
Figure 0007259292000004
ここで、速度定数k,界面積S,平衡定数K,溶解速度m,平衡における水素濃度比KHはいずれも、既知、あるいは事前の試験により測定可能なパラメータであり、式(4)は、式(A)のように簡素に表現することができる。
Figure 0007259292000005
ここで、αおよびβは定数である。
式(A)において、鋳塊I中の水素濃度[H]Sが、収容空間R内の水蒸気分圧PH2O、および消耗電極E中の水素濃度[H]0の関数として表現されている。よって、事前の試験等により、定数αおよび定数βを見積もっておけば、露点計21を含む水分圧計測部20によって計測される水蒸気分圧PH2Oの値と、上流の工程の情報から既知である消耗電極Eの水素濃度[H]0の値を式(A)に代入することで、鋳塊I中の水素濃度[H]Sを推定することができる。
鋳塊Iに含有される水素の濃度が高くなると、鋳塊Iに毛割れ等の欠陥が発生しやすくなる。例えば、鋼塊において、毛割れは、図3に示すように、水素原子の鋼中への溶解(1)、炭化物や窒化物による水素原子の吸蔵(2)、ボイドへの水素分子の析出(3)、粒界への水素分子の析出(4)等によって起こりうる。毛割れ等の欠陥の発生は、鋳塊Iより製造される製品の品質に影響を与えるとともに、再溶解よりも下流の工程での鋳塊Iに対する加工にも、影響を及ぼす可能性がある。よって、鋳塊Iにおける水素濃度は、できる限り低減することが好ましく、原料として用いる消耗電極E中の水素濃度やスラグSの水分含有量を低減すること、またVSRを利用して再溶解中の雰囲気を真空にすること等により、製造される鋳塊Iにおける水素濃度を低減することができる。
しかし、実際に製造される各鋳塊Iに含有される水素の濃度は、消耗電極Eを製造する際の原料の品質や製造条件、再溶解中の周辺環境、排気装置30をはじめとする再溶解炉1の運転状態、用いるスラグSの品質等の要因によって、変動しうる。従って、消耗電極E中の水素濃度やスラグSの水分量の低減、雰囲気の真空化等によって、鋳塊I中の水素濃度を極力低減するとしても、再溶解によって製造される鋳塊Iの個体ごとに、水素濃度を評価し、管理することが好ましい。しかし、再溶解を行っている最中に、鋳塊Iや溶融プールPからサンプルを採取して水素濃度の分析を行うことは難しく、水素濃度の分析を行うとしても、再溶解が完了した後に、下流の工程において行うことになる。すると、水素の含有量を正確に評価するのが難しくなる場合がある。また、鋳塊Iにおける水素の含有が、下流の工程での鋳塊Iの加工に影響を及ぼす可能性もある。水素濃度の高くなった鋳塊Iを早期に発見することが、水素含有による影響を小さく抑える観点から、好ましい。
そこで、本実施形態にかかる再溶解炉1においては、水分圧計測部20と水素濃度推定部25を設け、収容空間R内の水蒸気分圧の実測値と、消耗電極Eの水素濃度とに基づいて、その時に製造されている鋳塊Iにおける水素濃度を推定できるように構成している。そのように、再溶解を行いながら、製造される鋳塊I中の水素濃度を推定することで、鋳塊I中の水素濃度が高くなると、即時にそれを検知することができる。水素濃度が所定の閾値より高くなった鋳塊Iが発見されると、その鋳塊Iに対して、下流の工程に供給しないようにする、加熱によって水素の除去を行う、等の対処を行うことができる。それにより、鋳塊Iにおける水素含有の影響が、製品の品質や、下流の工程における加工への影響として、広い範囲に及ぶのを、抑制することができる。
再溶解中に、水分圧計測部20によって、収容空間R内の水蒸気分圧を連続的に監視することで、1本の鋳塊Iの中で、部位ごとに水素濃度を評価することも可能である。再溶解炉1の運転状態の変動等により、1本の鋳塊Iの製造中に、収容空間R内の水蒸気分圧が変化し、製造される鋳塊Iの水素濃度が途中で変化するようなことがあっても、1本の鋳塊Iの中で、部位ごとに水素濃度を推定することで、例えば、水素濃度が所定の閾値以上となる部位が発生し始めれば、消耗電極Eの再溶解をその時点で中断し、装置の点検等の対策を講じることができる。鋳塊I中の水素濃度が閾値よりも高くなるような条件での再溶解を、それ以上継続しないようにすることで、水素濃度の上昇による影響を、小さい範囲に留めることができる。あるいは、1本の鋳塊Iの中で、水素濃度が閾値以上になっている部位を特定し、その部位のみを除去する等の処置を、事後的に施すこともできる。
収容空間R内の水蒸気分圧と消耗電極Eの水素濃度を、鋳塊Iにおける水素濃度に変換するための具体的な方式は、再溶解の形態等に応じて、適宜設定すればよい。しかし、大気中や不活性ガス雰囲気下でのESRや、真空中でのESRに相当するVSR等、エレクトロスラグ再溶解を用いる場合には、上記の式(4)または式(A)のように、鋳塊Iにおける水素濃度を、水蒸気分圧と消耗電極Eの水素濃度に対して、簡素な一次関数の形で表現することができる。そのような数式を利用することで、簡便に、また高精度に、鋳塊Iにおける水素濃度を推定することができる。一方、鋳塊Iにおける水素濃度を、簡素な数式で表現することが難しい場合でも、例えば、事前の試験により、収容空間R内の水蒸気分圧および消耗電極Eの水素濃度と、鋳塊Iにおける水素濃度との相関性に関するデータを、表などの形態で収集しておき、実際の水蒸気分圧および消耗電極Eの水素濃度の値をそのデータに当てはめることで、その時に製造されている鋳塊Iにおける水素濃度を推定することができる。
鋳塊Iにおける水素濃度の推定の基礎として用いる、収容空間R内の水蒸気分圧を計測する水分圧計測部20は、どのような計測装置よりなってもよい。例えば、分圧計等を用いて、雰囲気中の水蒸気の分圧を直接的に計測する形態としてもよいが、上記のように、雰囲気の露点を計測し、露点を水蒸気分圧に換算する形態とすることで、水分圧計測部20を、簡素な装置構成で、また安価に、再溶解炉1に設置することができる。雰囲気の露点は、水蒸気分圧と正確に対応付けることができる。
さらに、露点計21等、収容空間R内の雰囲気の水蒸気分圧を計測するための装置は、収容空間R内の雰囲気に接触するか、収容空間R内の雰囲気を分取することができれば、再溶解炉1において、どのような位置に設けてもかまわない。しかし、本実施形態における露点計21のように、収容空間Rの内部を真空排気する排気装置30へと至る経路に、計測装置を設けることが好ましい。真空排気式の再溶解炉1において、消耗電極Eの再溶解を行う間、排気装置30は、収容空間R内の雰囲気を常時吸引し続けるので、その吸引される雰囲気に対して水蒸気分圧を計測することで、収容空間R内の雰囲気の水蒸気分圧を、常時監視することができる。水蒸気分圧の変動や経時変化も敏感に検出し、鋳塊Iにおける水素濃度の変化として反映させることができる。
最後に、本実施形態にかかる再溶解炉1は、VSRにより再溶解を行うものであるが、大気中や不活性ガス雰囲気下でのESR、VAR等、任意の形態で再溶解を行う再溶解炉において、上記と同様に、水分圧計測部20および水素濃度推定部25を設け、素材となる消耗電極Eを収容する収容空間Rにおける水蒸気分圧と、消耗電極E中の水素濃度とに基づいて、再溶解によって製造される鋳塊Iにおける水素濃度を推定する構成を、適用することができる。ただし、上記で説明したVSRにおいては、収容空間Rを真空排気して再溶解を行うことで、鋳塊I中の水素濃度を低く抑えることができるうえ、スラグSを用いて介在物を捕捉して高純度の鋳塊Iを製造することができるため、鋳塊Iにおいて、水素濃度がわずかに変動しただけでも、品質に大きな影響が生じやすい。よって、VSRを利用する再溶解炉1においては、水分圧計測部20と水素濃度推定部25を設け、鋳塊Iの各個体に対して水素濃度を推定して監視することの意義が、他の形態を利用する再溶解炉の場合よりも大きくなる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である
1 再溶解炉
10 モールド
11 スツール
13 フード
13b 排気口
16 電極昇降機構
20 水分圧計測部
21 露点計
22 分圧換算部
25 水素濃度推定部
30 排気装置
E 消耗電極
I 鋳塊
P 溶融プール(溶融金属)
R 収容空間
S スラグ

Claims (6)

  1. 消耗電極を収容する収容空間の内部を真空排気する排気装置と、
    前記排気装置によって前記収容空間内から排気された雰囲気に対して水蒸気分圧を計測する水分圧計測部と、
    前記水分圧計測部によって計測された前記水蒸気分圧と、前記消耗電極中の水素濃度とに基づいて、前記消耗電極の再溶解によって製造される鋳塊における水素濃度を推定する水素濃度推定部と、を有することを特徴とする再溶解炉。
  2. 前記再溶解炉は、エレクトロスラグ再溶解を行うものであり、
    前記水素濃度推定部は、下記の式(A)に基づいて、前記鋳塊中の水素濃度を推定することを特徴とする請求項1に記載の再溶解炉。
    [H]=αPH2O 0.5+β[H] (A)
    ただし、[H]は前記鋳塊中の水素濃度、[H]は前記消耗電極中の水素濃度、PH2Oは前記水蒸気分圧、αおよびβは定数である。
  3. 前記水分圧計測部は、前記雰囲気の露点を計測し、得られた露点に基づいて、前記水蒸気分圧を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の再溶解炉。
  4. 前記水分圧計測部は、前記消耗電極を再溶解させて前記鋳塊を製造する間、前記水蒸気分圧を連続的に監視し、
    前記水素濃度推定部は、前記鋳塊の部位ごとに、水素濃度を推定することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の再溶解炉。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の再溶解炉を用いて、消耗電極を再溶解させて、鋳塊を製造することを特徴とする再溶解方法。
  6. 前記水素濃度推定部によって推定される前記鋳塊中の水素濃度が、閾値よりも高くなると、前記消耗電極の再溶解を中断することを特徴とする請求項に記載の再溶解方法。
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