JP7360648B2 - タール粘度低減剤、タール粘度低減剤を含むタール及びタール粘度低減方法 - Google Patents

タール粘度低減剤、タール粘度低減剤を含むタール及びタール粘度低減方法 Download PDF

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本発明は、タール粘度低減剤、タール粘度低減剤を含むタール及びタール粘度低減方法に関する。
製鉄工程において鉄鉱石とともに高炉に装入される石炭は、事前にコークス炉の炭化室で、約1000℃で24時間蒸し焼きにされる。この工程により、石炭から、製鉄原料のコークスだけでなく、コークス炉ガスが産出される。コークス炉ガスは安水(アンモニア水)によって冷却され、その後濃縮される。濃縮物は分離槽で安水とタールに分けられ、タールはタールタンクに貯蔵され、使用に際し、該タンクから引き抜かれて配管で移送され、或いは、車両等で輸送される。
貯蔵されたコールタールは、まず約300℃に加熱後、タール蒸留塔に装入され、軽質分であるタール軽油及びナフタリン油等と、重質分である軟ピッチとに分離される。タール軽油及びナフタリン油等は、それぞれ、化学品の原料となる。軟ピッチは、特殊炭素材の原料となるピッチコークス、電極の粘結材、及び含浸材となるピッチ類として利用される(非特許文献1及び2)。
しかしながら、コールタールは粘度が高い流体であるため配管内の移送や輸送のために加熱及び保温により粘度を低減させる必要があり、手間、コスト及び安全性の点が有効利用する上で大きな問題となっている。
例えば、特許文献1には、所定のアミン、カルボン酸、又はアルコール化合物がコールタールの流動性を向上しうる、という知見に基づき、第一級アミンである炭素数1~20の直鎖脂肪族モノアミン(成分A)、炭素数4~20の直鎖脂肪族モノカルボン酸(成分B)、及び第一級アルコールである炭素数1~20の直鎖脂肪族アルコール(成分C)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む、タール改質剤が開示されている。
ものづくりの原点 科学の世界、Nippon Steel Monthly、VOL.52 2010 ものづくりの原点 科学の世界、Nippon Steel Monthly、VOL.53 2010
特開2017-025269号公報 特開2016-130284号公報
しかしながら、タール(特にコールタール(coal tar))については上述の通り配管内の移送や輸送のために加熱及び保温により粘度を低減させる必要があり、コスト及び安全性の観点からタールの粘度低減についてさらに検討の余地があった。本開示は、加熱により温度を上昇させることなくタールの粘度を低減可能な粘度低減剤を提供する。
なお、上記特許文献2では、グリフィン法HLB値が6.5以上のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルから選択される1種以上のノニオン性界面活性剤及び/又はデイビス法HLB値が45以上のアニオン性界面活性剤を、コールタール1部に対し水分を1部以下の質量比で含む含水コールタールへ添加して油水分離を行う、含水コールタールの油水分離方法が開示されているが、タールの粘度低減については触れられていない。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、発明者らは、下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含むタール粘度低減剤を用いることにより、タールの粘度が低減されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のタール粘度低減剤、粘度低減剤を含むタール、及び、タールの粘度低減方法を提供する。
一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含み、前記化合物の重量平均分子量が1000以下である、コールタール又はコールタールピッチの粘度低減剤。
R1-O-(EO)w(PO)x(BO)y(PEO)z-R (I)
(Rは、水素原子、フェニル基、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~18のアルキル基、Rは水素原子又は直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~4のアルキル基、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシド、BOはブチレンオキシド、PEOはペンテンオキシド、w~zの合計は1~20、前記EOと前記POと前記BOと前記PEOとはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい、ただし前記Rと前記Rとが水素原子である場合を除く)
記一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明は、上記コールタール又はコールタールピッチの粘度低減剤を含むことを特徴とするコールタール又はコールタールピッチでもある。
また、本発明は、コールタール又はコールタールピッチに対して上記コールタール又はコールタールピッチの粘度低減剤を添加し、コールタール又はコールタールピッチ中の前記粘度低減剤の濃度を、0.01~20wt%とすることを特徴とするコールタール又はコールタールピッチの粘度低減方法でもある。
本発明によれば、加熱により温度を上昇させることなくタールの粘度を低減可能な粘度低減剤、これを含むタール、及び、これを用いた粘度低減方法を提供することができる。
図1は、実施例等で行ったタール粘度低減試験を示す概略図である。 図2は、実施例等で行ったタール粘度低減試験で用いられたSUS製のセルを示す概略図である。
本開示は、上記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含むタール粘度低減剤を用いることにより、タールの粘度が低減される、という知見に基づく。
タールの流動性が向上するメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、疎水性成分を主として構成されるタールは、ベンゼン環骨格の重合や結合に基づき強い分子間力が働いており、これにより粘度が向上していると考えられる。ここに、疎水基と親水性の両方を持つ上記一般式(I)で表される化合物の疎水基が配位することで、タール成分の分子表面に親水基が修飾されたような状態となる。このわずかな親水化によって、本質的には疎水性であるタール成分の分子同士で反発力が生じ、分子間力が弱まり、粘度が低減すると推測される。上記一般式(I)で表される化合物の疎水基と親水基の形状や大きさのバランスによって、タール成分への配位しやすさが異なるため、上記一般式(I)で表される化合物のR及びRにおける炭素数によって粘度低減効果に差があると推測される。但し、本開示はこのメカニズムに限定されなくてもよい。
本開示にかかるタール粘度低減剤は、一又は複数の実施形態において、一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含む。
-O-(EO)(PO)(BO)(PEO)-R (I)
(Rは、水素原子、フェニル基、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~18のアルキル基、Rは水素原子又は直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~4のアルキル基、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシド、BOはブチレンオキシド、PEOはペンテンオキシド、w~zの合計は1~20、上記EOと上記POと上記BOと上記PEOとはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい、ただし上記Rと上記Rとが水素原子である場合を除く)
上記一般式(I)で表される化合物は、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)、ペンテンオキシド(PEO)、又はこれらの混合物を含む。w、x、y及びzは、平均付加モル数であり、タール粘度の低減効果を向上させる点から、w~zの合計(w+x+y+z)は1~20であればよい。なお、ペンテンオキシドは、イソペンテンオキシドであることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物におけるRが直鎖、分岐鎖若しくは不飽和のアルキル基である場合、炭素原子数が1~18であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物におけるRは、水素原子又は直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素数が1のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
本開示において、上記一般式(I)で表される化合物の重量平均分子量が、1000以下であることが好ましい。重量平均分子量が1000を超えると、一般式(I)で表される化合物の流動性が低減し、タールに添加しても充分に分散しない可能性が生じるためである。
上記一般式(I)で表される化合物の重量平均分子量は、650以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましく、200以下であることが最も好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本開示に係るタール粘度低減剤は、一又は複数の実施形態において、本開示の効果を奏する範囲内であれば、上記一般式(I)で表される化合物以外の成分を含んでもよく、含まなくてもよい。上記一般式(I)で表される化合物以外の成分としては、上記一般式(I)で表される化合物の取り扱い性を向上させるために使用される溶媒が挙げられる。具体的には、水や、発明の効果を阻害しない範囲で、本発明の粘度低減剤に使用される成分以外の親水性有機溶媒やアルコール等の溶媒が挙げられる。
本開示に係るタール粘度低減剤は、上記一般式(I)で表される化合物以外の成分として水を含んでもよい。タール粘度低減剤中の水の配合量は50%以下であることが好ましい。水の配合量の上限が50%であることにより、本開示の効果を奏しつつ、タール粘度低減剤の取り扱い性が向上するためである。
本開示に係るタール粘度低減剤は、上記一般式(I)で表される化合物以外の成分として界面活性剤を含んでもよい。タール粘度低減剤中の界面活性剤の配合量は0.01~20%であることが好ましい。
本開示に係るタール粘度添加剤は、上記一般式(I)で表される化合物以外の成分としてアミン化合物を含んでもよい。タール粘度低減剤中のアミン化合物の配合量は0.01~50%であることが好ましい。
本開示に係るタール粘度低減剤が用いられる対象は、タールであって、一又は複数の実施形態において、コールタール(coal tar)であることが好ましい。一般的に、コールタールとは、コークス製造工程で発生するコールタール(coal tar)を意味し、製造工程及びコークス産地等は特に限定されない。また、本開示にかかるタール粘度低減剤が用いられる対象であるタールは、タール、コールタール、タールピッチ、コールタールピッチ、またはこれらの組み合わせであってよく、コールタール、コールタールピッチを含むことが好ましく、コールタール、コールタールピッチであることが好ましい。タールピッチとは、タールとピッチとの混合物であり、コールタールピッチとは、コールタールとピッチとの混合物である。
本開示におけるコールタールは、石炭を乾留して得られる粘性液体であるため、通常80~150℃で管理されている。コールタールの温度は60~130℃が好ましいが、特に限定されない。また製造工程及びコークス産地等も、特に限定されない。
また、本開示は、その他の一の又は複数の実施形態において、上記タール粘度低減剤を含むタールに関する。本開示に係る粘度低減タールは、一又は複数の実施形態において、本開示に係るタール粘度低減剤を含むタール、タールピッチ、コールタール、コールタールピッチ又はこれらの組み合わせが挙げられ、本開示に係るタール粘度低減剤を含むコールタール、コールタールピッチであることが好ましい。また、本開示に係る粘度低減タールは、本開示に係るタール粘度低減剤を含み、かつ、粘性が低減したタール、タールピッチ、コールタール、コールタールピッチ又はこれらの組み合わせが挙げられ、本開示に係るタール粘度低減剤を含み、かつ、粘性が低減したコールタール又はコールタールピッチであることが好ましい。
本開示に係るタールの粘度低減方法は、タールに対して本開示のタール粘度低減剤を添加し、タール中の上記粘度低減剤の濃度を、0.01~20wt%とすることを含む。一又は複数の実施形態において、本開示に係るタールの粘度低減方法は、タール、タールピッチ、コールタール及びコールタールピッチのデカンタ、タールタンク、並びに移送配管の少なくとも1カ所において、上記タール粘度低減剤を添加し混合することを含む。
タール粘度を低減するために添加する本開示に係るタール粘度低減剤の量は、一又は複数の実施形態において、粘度低減効果向上の観点から、タールに対して1%(wt/wt)以上であることが好ましく、より好ましくは3%(wt/wt)以上であり、さらに好ましくは5%(wt/wt)以上である。本開示に係るタール粘度低減剤の添加量の上限は特に制限されないが、一又は複数の実施形態において、経済性の点から、15%(wt/wt)以下が好ましく、10%(wt/wt)以下がより好ましい。
本開示に係るタール粘度低減方法が用いられる対象は、タール、コールタール、タールピッチ、コールタールピッチ、またはこれらの組み合わせであってよく、コールタール、コールタールピッチを含むことが好ましく、コールタール、コールタールピッチであることが好ましい。
以下の実施例及び比較例に基づいて本開示を説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
種々の試薬について下記タール粘度低減試験を行い、下記基準で評価した。その結果を下記表1に示す。なお、表1の添加量(%)は、(wt/wt)%である。また、粘度は、JIS Z8803に従い、粘度計(株式会社エー・アンド・デイ製、音叉振動式粘度計SV‐100)を用いて測定した値を用いた。測定温度は下記の通り60℃である。また、図1は、実施例等で行ったタール粘度低減試験を示す概略図である。また、図2は、実施例等で行ったタール粘度低減試験で用いられたSUS製のセルを示す概略図である。
[タール粘度低減試験1]
(1)室温で流動性が失われたコールタールを、100℃に設定した恒温器で1時間加温し、流動性を持たせた。
(2)(1)で得られたコールタールをSUS製セルに45g秤量する。
(3)72℃に設定したブロックヒーターに(2)で得られたSUS製のセルをセットする。
(4)コールタールのみのブランク状態での粘度を測定する前に(3)のSUS製セルのコールタールを、粘度が均一になるまでスパーテルで充分撹拌する。なお、本操作によりコールタールの温度は40~50℃まで下がる。
(5)粘度計の振動子と温度計を(4)で得られたSUS製セルのコールタールに沈め、粘度測定を開始する。
(6)SUS製のコールタールの温度は、約1.5℃/minで加熱され、コールタールの温度が60℃に到達した際の粘度を記録する。これによりブランクでのコールタールの粘度(60℃)が測定される。測定結果を表1に示す。
(7)(6)で所定温度での粘度測定が終了したブランクのコールタールを含むSUS製セルから、振動子と温度計とを引き上げ、振動子及び温度計に付着したコールタールをスパーテルで充分に落とす。次に、下記表1に示す各薬剤を所定量添加し、薬剤が均一に分散するようスパーテルで充分に攪拌する。なお、本操作によりコールタールの温度は40~50℃まで下がる。
(8)(7)で得られたSUS製セルに含まれる薬剤含有コールタールに対し、上記(5)及び(6)の操作を行い、60℃における粘度を測定する。測定結果を表1に示す。
(9)同一の薬剤を再度添加し、薬剤濃度を変更する場合は、上記(7)、(5)及び(6)の操作を繰り返し、各薬剤を所定濃度で含有するコールタールの60℃における粘度を測定する。測定結果を表1に示す。
(タール粘度低減効果の評価)
薬剤を5%、10%、15%の濃度で添加した薬剤含有コールタールの60℃における粘度と、薬剤を含有しないブランクのコールタールの60℃における粘度とを比較し、各薬剤の粘度低減率を濃度毎に算出した。算出された粘度低減率を、下記評価基準で分類し、表1に示す。
◎:薬剤添加率5%時の粘度低減率が70%以上
○:薬剤添加率5%時の粘度低減率が50%以上、70%未満
△:薬剤添加率5%時の粘度低減率が30%以上、50%未満、かつ、薬剤添加率15%時の粘度低減率が60%以上
×:薬剤添加率5%時の粘度低減率が30%未満、又は、薬剤添加率15%時の粘度低減率が60%未満
Figure 0007360648000001
上記表1から確認できるように、化学式(I)で表される化合物を含有する実施例1~14で用いられた薬剤は、60℃において優れた粘度低減率を示した。一方、化学式(I)で表される化合物とは異なる薬剤が用いられた比較例1~3に係る薬剤は、60℃において粘度低減率は示すものの、粘度低減効果は低いものであった。また、参考例1から確認できるように、油類に極めて高い可溶性を示すトルエンを薬剤として用いた場合も優れた粘度低減効果を示した。トルエンは劇物に該当するが、上記化学式(I)で表される化合物は、劇物には該当しない。実施例1~6で用いられた薬剤については、参考例1(トルエン)と同程度の粘度低減効果が確認され、極めて優れた粘度低減効果を示した。
[タール粘度低減試験2]
次に上記タール粘度低減試験1と同様の操作(1)~(9)を行い、操作(7)において添加される薬剤を下記2種の薬剤に変更し、タール粘度低減試験1よりも細かく薬剤濃度及び粘度測定温度条件を振り分け、粘度測定を行った。具体的に、上記タール粘度低減試験1における操作(6)におけるコールタールの粘度測定を、タール温度が60℃、70℃、及び、80℃到達のタイミングで実施した。得られた測定値に基づき、薬剤を含有しないブランクのコールタールの各温度における粘度と比較し、各薬剤の所定の濃度における粘度低減率を算出した。測定値、及び、算出結果を下記表2及び3に示す。
(実施例15)
MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
(実施例16)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル
Figure 0007360648000002
Figure 0007360648000003
上記表2及び3より、実施例15、16で用いられた薬剤の添加量が1%であっても、粘度低減効果を奏するが、3%以上添加されることにより優れた粘度低減効果を奏することが確認された。特に、実施例15で用いられた薬剤(MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル)と実施例16で用いられた薬剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル)については、薬剤の添加量が5%以上であることにより、特に優れた粘度低減効果が確認された。
[タール粘度低減試験3]
次に上記タール粘度低減試験1と同様の操作(1)~(9)を行い、操作(7)において添加される薬剤を下記表4に記載の混合薬剤に変更した以外は、上記タール粘度低減試験1と同様にして、各混合薬剤を含むコールタールの粘度測定(60℃)を行った。各混合薬剤を所定濃度で含有するコールタールの60℃における粘度を表4に示す。また、各混合薬剤を5%、10%、15%添加した薬剤含有コールタールの60℃における粘度と、混合薬剤を含有しないブランクのコールタールの60℃における粘度とを比較し、各混合薬剤5%、10%、15%における粘度低減率を算出した。算出された粘度低減率を、上記評価基準で分類し、表4に示す。
Figure 0007360648000004
上記表4を確認することにより、一般式(I)で表される化合物を含む混合薬剤である場合も、優れたタール粘度低減効果を有する。
1 粘度計
2 SUS製のセル
3 ブロックヒーター
11 振動子
12 温度センサ
13 プロテクタ
21 外筒
22 内筒

Claims (3)

  1. コールタール又はコールタールピッチに対して、一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含み、前記化合物の重量平均分子量が1000以下である、コールタール又はコールタールピッチの粘度低減剤を添加し、コールタール又はコールタールピッチ中の前記粘度低減剤の濃度を、0.01~20wt%とすることを特徴とするコールタール又はコールタールピッチの粘度低減方法
    -O-(EO)w(PO)x(BO)y(PEO)z-R (I)
    (Rは、水素原子、フェニル基、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~18のアルキル基、Rは水素原子、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~4のアルキル基、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシド、BOはブチレンオキシド、PEOはペンテンオキシド、w~zの合計は1~20、前記EOと前記POと前記BOと前記PEOとはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい、ただし前記Rと前記Rとが水素原子である場合を除く)
  2. 一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の粘度低減方法
  3. 一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の粘度低減方法
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