JP7360648B2 - タール粘度低減剤、タール粘度低減剤を含むタール及びタール粘度低減方法 - Google Patents
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R1-O-(EO)w(PO)x(BO)y(PEO)z-R2 (I)
(R1は、水素原子、フェニル基、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~18のアルキル基、R2は水素原子、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~4のアルキル基、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシド、BOはブチレンオキシド、PEOはペンテンオキシド、w~zの合計は1~20、前記EOと前記POと前記BOと前記PEOとはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい、ただし前記R1と前記R2とが水素原子である場合を除く)
上記一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
タールの流動性が向上するメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、疎水性成分を主として構成されるタールは、ベンゼン環骨格の重合や結合に基づき強い分子間力が働いており、これにより粘度が向上していると考えられる。ここに、疎水基と親水性の両方を持つ上記一般式(I)で表される化合物の疎水基が配位することで、タール成分の分子表面に親水基が修飾されたような状態となる。このわずかな親水化によって、本質的には疎水性であるタール成分の分子同士で反発力が生じ、分子間力が弱まり、粘度が低減すると推測される。上記一般式(I)で表される化合物の疎水基と親水基の形状や大きさのバランスによって、タール成分への配位しやすさが異なるため、上記一般式(I)で表される化合物のR1及びR2における炭素数によって粘度低減効果に差があると推測される。但し、本開示はこのメカニズムに限定されなくてもよい。
R1-O-(EO)w(PO)x(BO)y(PEO)z-R2 (I)
(R1は、水素原子、フェニル基、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~18のアルキル基、R2は水素原子又は直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~4のアルキル基、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシド、BOはブチレンオキシド、PEOはペンテンオキシド、w~zの合計は1~20、上記EOと上記POと上記BOと上記PEOとはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい、ただし上記R1と上記R2とが水素原子である場合を除く)
上記一般式(I)で表される化合物の重量平均分子量は、650以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましく、200以下であることが最も好ましい。
本開示におけるコールタールは、石炭を乾留して得られる粘性液体であるため、通常80~150℃で管理されている。コールタールの温度は60~130℃が好ましいが、特に限定されない。また製造工程及びコークス産地等も、特に限定されない。
(1)室温で流動性が失われたコールタールを、100℃に設定した恒温器で1時間加温し、流動性を持たせた。
(2)(1)で得られたコールタールをSUS製セルに45g秤量する。
(3)72℃に設定したブロックヒーターに(2)で得られたSUS製のセルをセットする。
(4)コールタールのみのブランク状態での粘度を測定する前に(3)のSUS製セルのコールタールを、粘度が均一になるまでスパーテルで充分撹拌する。なお、本操作によりコールタールの温度は40~50℃まで下がる。
(5)粘度計の振動子と温度計を(4)で得られたSUS製セルのコールタールに沈め、粘度測定を開始する。
(6)SUS製のコールタールの温度は、約1.5℃/minで加熱され、コールタールの温度が60℃に到達した際の粘度を記録する。これによりブランクでのコールタールの粘度(60℃)が測定される。測定結果を表1に示す。
(7)(6)で所定温度での粘度測定が終了したブランクのコールタールを含むSUS製セルから、振動子と温度計とを引き上げ、振動子及び温度計に付着したコールタールをスパーテルで充分に落とす。次に、下記表1に示す各薬剤を所定量添加し、薬剤が均一に分散するようスパーテルで充分に攪拌する。なお、本操作によりコールタールの温度は40~50℃まで下がる。
(8)(7)で得られたSUS製セルに含まれる薬剤含有コールタールに対し、上記(5)及び(6)の操作を行い、60℃における粘度を測定する。測定結果を表1に示す。
(9)同一の薬剤を再度添加し、薬剤濃度を変更する場合は、上記(7)、(5)及び(6)の操作を繰り返し、各薬剤を所定濃度で含有するコールタールの60℃における粘度を測定する。測定結果を表1に示す。
薬剤を5%、10%、15%の濃度で添加した薬剤含有コールタールの60℃における粘度と、薬剤を含有しないブランクのコールタールの60℃における粘度とを比較し、各薬剤の粘度低減率を濃度毎に算出した。算出された粘度低減率を、下記評価基準で分類し、表1に示す。
◎:薬剤添加率5%時の粘度低減率が70%以上
○:薬剤添加率5%時の粘度低減率が50%以上、70%未満
△:薬剤添加率5%時の粘度低減率が30%以上、50%未満、かつ、薬剤添加率15%時の粘度低減率が60%以上
×:薬剤添加率5%時の粘度低減率が30%未満、又は、薬剤添加率15%時の粘度低減率が60%未満
次に上記タール粘度低減試験1と同様の操作(1)~(9)を行い、操作(7)において添加される薬剤を下記2種の薬剤に変更し、タール粘度低減試験1よりも細かく薬剤濃度及び粘度測定温度条件を振り分け、粘度測定を行った。具体的に、上記タール粘度低減試験1における操作(6)におけるコールタールの粘度測定を、タール温度が60℃、70℃、及び、80℃到達のタイミングで実施した。得られた測定値に基づき、薬剤を含有しないブランクのコールタールの各温度における粘度と比較し、各薬剤の所定の濃度における粘度低減率を算出した。測定値、及び、算出結果を下記表2及び3に示す。
MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
(実施例16)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル
次に上記タール粘度低減試験1と同様の操作(1)~(9)を行い、操作(7)において添加される薬剤を下記表4に記載の混合薬剤に変更した以外は、上記タール粘度低減試験1と同様にして、各混合薬剤を含むコールタールの粘度測定(60℃)を行った。各混合薬剤を所定濃度で含有するコールタールの60℃における粘度を表4に示す。また、各混合薬剤を5%、10%、15%添加した薬剤含有コールタールの60℃における粘度と、混合薬剤を含有しないブランクのコールタールの60℃における粘度とを比較し、各混合薬剤5%、10%、15%における粘度低減率を算出した。算出された粘度低減率を、上記評価基準で分類し、表4に示す。
2 SUS製のセル
3 ブロックヒーター
11 振動子
12 温度センサ
13 プロテクタ
21 外筒
22 内筒
Claims (3)
- コールタール又はコールタールピッチに対して、一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含み、前記化合物の重量平均分子量が1000以下である、コールタール又はコールタールピッチの粘度低減剤を添加し、コールタール又はコールタールピッチ中の前記粘度低減剤の濃度を、0.01~20wt%とすることを特徴とするコールタール又はコールタールピッチの粘度低減方法。
R1-O-(EO)w(PO)x(BO)y(PEO)z-R2 (I)
(R1は、水素原子、フェニル基、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~18のアルキル基、R2は水素原子、又は、直鎖、分岐鎖若しくは不飽和の炭素原子数1~4のアルキル基、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシド、BOはブチレンオキシド、PEOはペンテンオキシド、w~zの合計は1~20、前記EOと前記POと前記BOと前記PEOとはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい、ただし前記R1と前記R2とが水素原子である場合を除く) - 一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の粘度低減方法。
- 一般式(I)で表される化合物は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の粘度低減方法。
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