JP7360353B2 - 樹脂複合体 - Google Patents
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Description
この種の樹脂複合体は、軽量でありながら優れた強度を有している。
そのようなことから、下記特許文献1においては、樹脂複合体を車両や風車などのパーツとして利用することが記載されている。
樹脂複合体の形状が複雑になると芯材としても形状が複雑なものを作製する必要があり、芯材を1つの樹脂発泡体だけで構成させることが難しくなる。
そのような場合、複数の樹脂発泡体を使って1つの芯材を構成させることが考えられる。
即ち、上記のような場合は、芯材に接着面が形成されることになる。
樹脂複合体に限らず複数の部材を接着して一つの構造体を構成させた場合、当該構造体に応力が加わった際に接着面において応力集中が生じ易く、当該接着面において界面剥離が生じることがある。
本発明は、このような問題を解決すべくなされたもので、複数の樹脂発泡体で構成された芯材を備えながらも該芯材が界面剥離することを抑制し得る樹脂複合体を提供することを課題としている。
そして、その点について本発明者が鋭意検討したところ、接着面となる部位においてそれぞれの樹脂発泡体に対して前記樹脂接着剤を浸透させるようにし、しかも、その浸透が特定の条件を満たすようにすることで上記課題が解決され得ることを見出して本発明を完成させるに至った。
芯材と、該芯材を覆う繊維強化樹脂層とを備えた樹脂複合体であって、
前記芯材が、第1樹脂発泡体と第2樹脂発泡体とを含む複数の樹脂発泡体で構成され、
該第1樹脂発泡体と該第2樹脂発泡体とのそれぞれが複数の樹脂発泡粒子で構成されたビーズ発泡成形体で、
前記第1樹脂発泡体と前記第2樹脂発泡体とが樹脂接着剤によって接着され、
該接着がされている接着面から前記第1樹脂発泡体と前記第2樹脂発泡体とのそれぞれに前記樹脂接着剤が浸透している浸透領域が備えられており、
前記接着面に直交する平面による断面において前記接着面から500μm離れた位置で前記第1樹脂発泡体と前記第2樹脂発泡体とのそれぞれに前記接着面と平行する平行線を引いた際に該平行線の少なくとも一部が前記浸透領域を通り、且つ、該浸透領域を通る部分の長さが前記平行線の4%以上である樹脂複合体を提供する。
図1は、本実施形態の樹脂複合体を示したもので、図にも示されているように本実施形態での樹脂複合体1は、丸みを帯びた長板状である。
即ち、本実施形態の樹脂複合体1は、長さ方向Xにおける寸法に対して幅方向Yにおける寸法が小さく、厚さ方向Zにおける寸法がさらに小さい。
本実施形態の樹脂複合体1は、前記長さ方向Xに沿って延びる仮想中心線CXから当該樹脂複合体1の両側縁の内の一方の側縁1aへと向かうに従って厚さが減少するように構成されている。
また、本実施形態の樹脂複合体1の厚さは、一方の側縁1aとは逆側となる他方の側縁1bに向けても減少している。
本実施形態における前記樹脂複合体1は、前記芯材2が複数の樹脂発泡体で構成されている。
前記芯材2を構成する複数の前記樹脂発泡体として、本実施形態では、第1樹脂発泡体21と、第2樹脂発泡体22とが備えられている。
即ち、本実施形態における前記芯材2は、前記第1樹脂発泡体21と前記第2樹脂発泡体22とを含む複数の樹脂発泡体で構成されている。
本実施形態における前記樹脂複合体1は、内側に前記第1樹脂発泡体21が配されている第1表面1fと、第1表面1fとは反対面となり、且つ、内側に前記第2樹脂発泡体22が配されている第2表面1hとを備えている。
即ち、本実施形態の前記芯材2は、第1樹脂発泡体21と第2樹脂発泡体22とが接着剤によって接合されている樹脂接合体である。
より詳しくは、本実施における前記第1樹脂発泡体21は前記第2樹脂発泡体22に接着されている接着面21aを有しているとともに前記第2樹脂発泡体22は前記第1樹脂発泡体21に接着されている接着面22aを有しているおり、前記第1樹脂発泡体21と前記第2樹脂発泡体22とは、接着面を一致させて前記芯材2を構成している。
それぞれの前記貫通孔1xは、樹脂複合体1を厚さ方向Zに貫通するように形成されており、前記第1表面1fから前記接着面2aを通って前記第2表面1hに至る長さとなって厚さ方向Zに延在している。
前記貫通孔1xは、一端が繊維強化樹脂層3を貫通して前記第1表面1fにおいて開口しているとともに前記貫通孔1xが延在する方向において前記一端とは逆側となる他端が前記第2表面1hにおいて開口している。
本実施形態の前記樹脂複合体1を雨水に接してしまう屋外で利用することを勘案すると、前記貫通孔1xを通じて水分が接着面2aに到達し易く、接着面での剥離強度が低下するおそれがある。
しかしながら、本実施形態の前記樹脂複合体1は、後段において詳述するように前記第1樹脂発泡体21と前記第2樹脂発泡体22との接着に用いられている樹脂接着剤が前記接着面2aから前記第1樹脂発泡体21と前記第2樹脂発泡体22とのそれぞれに浸透していることで剥離強度の低下が抑制されている。
即ち、本実施形態の前記樹脂複合体1は、前記接着面2aを貫通して前記第1樹脂発泡体21と前記第2樹脂発泡体22とのそれぞれに延び、且つ、少なくとも一端が前記繊維強化樹脂層3を貫通して表面に開口した1又は複数の貫通孔1xを有していることで剥離強度の低下に対する改善効果がより顕著なものとなっている。
前記第1樹脂発泡体21と前記第2樹脂発泡体22とは、外周縁部に至るまで十分接着されており、前記接着面21a,22aの外周縁がこれらの樹脂発泡体が隣り合う境界線2xとなっている。
即ち、本実施形態では前記樹脂複合体1の一方の側縁1aと他方の側縁1bとに該当する位置において長さ方向にX延びるように前記境界線2xが形成されている。
即ち、本実施形態においては、第1樹脂発泡体21の側に接着面2aから500μm離れた位置に引いた平行線(以下、「第1平行線2p1」ともいう)と、第2樹脂発泡体22の側に接着面2aから500μm離れた位置に引いた平行線(以下、「第2平行線2p2」ともいう)との合計長さに占めるそれぞれの平行線が前記浸透領域2yを通る部分の合計長さの割合が4%以上となっている。
4 ≦ [(L11+L21)÷(L10+L20)×100] ・・・(1)
したがって、前記割合を求める際には、第1平行線2p1と第2平行線2pとの長さ(L10,L20)をそれぞれ十数mm程度に設定し、その間において連続して前記浸透領域2yを通る区間がそれぞれ複数含まれるようにすることが望ましい。
例えば、一本の第1平行線2p1の中で浸透領域2yを通る箇所が3箇所存在する場合、1箇所目での長さ(L111)、2箇所目での長さ(L112)、及び、3箇所目での長さ(L113)をそれぞれ求め、第1樹脂発泡体21側での前記合計長さ(L11)は、これらを合計(L11=L111+L112+L113)することで求められる。
この点に関しては第2平行線2p2についても同様である。
さらに、前記割合を求める際には、十数mm程度の区間での測定を無作為に選択した複数箇所(例えば、10箇所)において実施し、結果を算術平均することが望ましい。
このことにより前記割合を精度良く求めることができる。
即ち、樹脂発泡体における第1平行線2p1や第2平行線2p2の全長に対して浸透領域2yを通る部分の長さがどのような割合になっているかを上記のような方法で確認することができる。
即ち、前記第1樹脂発泡体21で第1平行線2p1が浸透領域2yを通る部分の合計長さを[L11(mm)]、第1平行線2p1の長さを[L10(mm)]とし、これらの割合(L11÷L10×100(%))を[R1(%)]とした場合、該割合(R1、以下「第1の長さ割合」ともいう)は、必ずしも4%以上でなくてもよい。
また、前記第2樹脂発泡体22で第2平行線2p2が浸透領域2yを通る部分の合計長さを[L21(mm)]、第2平行線2p2の長さを[L20(mm)]とし、これらの割合(L21÷L20×100(%))を[R2(%)]とした場合、該割合(R2、以下「第2の長さ割合」ともいう)も必ずしも4%以上でなくてもよい。
但し、前記割合((L11+L21)÷(L10+L20)×100、以下「総合割合」ともいう)については、前記のように4%以上となっていることが重要である。
前記第1の長さ割合(R1)と前記第2の長さ割合(R2)とは、それぞれ2.5%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、3.5%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態においては、前記第1の長さ割合(R1)と前記第2の長さ割合(R2)とが両方とも4%以上であることが特に好ましい。
該割合は、2.5%以上であることがより好ましい。
尚、当該割合は、接着面2aから500μm離れた位置に引かれる前記第1平行線2p1や前記第2平行線2p2の場合と同様にして求めることができる。
前記反応硬化型接着剤としては、熱硬化型であっても常温硬化型であってもよい。
但し、芯材2の中心部には、外部より効率良く熱を加えることが難しいため、前記第1樹脂発泡体21と前記第2樹脂発泡体22との接着は、常温硬化型接着剤によって実施することが好ましい。
該常温硬化型接着剤としては、例えば、シリコン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
前記常温硬化型接着剤としては、エポキシ系接着剤が好適である。
前記エポキシ系接着剤としては、主剤と硬化剤とを使用直前に混合する2液混合タイプであることが好ましい。
硬化物の質量基準での前記塗布量は、200g/m2以上であることがより好ましく、300g/m2以上であることがさらに好ましい。
硬化物の質量基準での前記塗布量は、800g/m2以下であることが好ましく、600g/m2以下であることがより好ましく、500g/m2以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂複合体1は、このようにして接着面2aにおいて第1樹脂発泡体21と第2樹脂発泡体22とのそれぞれに樹脂接着剤が浸透していることで、前記接着面2aにおける優れた剥離強度が長期にわたって発揮され、仮に前記貫通孔1xを通じて水などが内部に進入しても剥離強度が低下し難い。
一方で、これらの表層部の樹脂発泡粒子20a1,20a2の内部の気泡は中心部に位置する前記樹脂発泡粒子20aの内部の気泡に比べて扁平である。
即ち、前記第1樹脂発泡体21は、前記接着面21aを構成している1層目の前記樹脂発泡粒子20a1と、その次の2層目の前記樹脂発泡粒子20a2とに比べて当該第1樹脂発泡体21の厚さ方向Z中央部の樹脂発泡粒子20aの方が球に近い形状の気泡を内部に有している。
尚、1層目の前記樹脂発泡粒子20a1と、2層目の前記樹脂発泡粒子20a2とのそれぞれは、前記接着面21aに沿った方向の寸法が前記接着面21aに直交する方向の寸法よりも僅かに長い。
即ち、前記第2樹脂発泡体22は、前記接着面22aを構成している前記樹脂発泡粒子20a1と、該樹脂発泡粒子20a1に内側から接する前記樹脂発泡粒子20a2とが中心部に位置する前記樹脂発泡粒子20aに比べて扁平な気泡を内部に有している。
そして、前記第2樹脂発泡体22は、前記接着面22aを構成している1層目の前記樹脂発泡粒子20a1と、その次の2層目の前記樹脂発泡粒子20a2とに比べて当該第2樹脂発泡体22の厚さ方向Z中央部の樹脂発泡粒子20aの方が球に近い形状の気泡を内部に有している。
さらに、前記第2樹脂発泡体22では、1層目の前記樹脂発泡粒子20a1と、2層目の前記樹脂発泡粒子20a2とのそれぞれの前記接着面22aに沿った方向の寸法は、前記接着面22aに直交する方向での寸法よりも僅かに長い。
内部における気泡の形状が扁平であるということは、その樹脂発泡粒子20aに外力による歪みが生じ難いことを意味する。
即ち、内部の気泡が扁平な樹脂発泡粒子は、応力を吸収し難く、力を伝播させるのに有効に作用すると考えられる。
本実施形態の芯材2は、この応力集中がしやすい部分が力の伝搬性に優れた樹脂発泡粒子で構成されている。
すなわち、接着面を構成している1層目の前記樹脂発泡粒子20a1やその次の層の前記樹脂発泡粒子20a2の内部で気泡が扁平になっていると、接着面に加わる応力がこれらの樹脂発泡粒子20a1,20a2を伝って芯材2の内部に拡散され易くなり、応力集中が抑制されることになる。
該長手方向の寸法は、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましい。
前記気泡の短手方向での寸法(FLS)に対する長手方向の寸法(FLL)の比率(FLL/FLS、以下「気泡アスペクト比」ともいう)は、2.0以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましく、3.0以上であることがとりわけ好ましい。
これらの内部の気泡ABの扁平度合い(気泡アスペクト比)についても同様である。
さらに、第1樹脂発泡体中央部や第2樹脂発泡体22の厚み方向Zにおける中央部の樹脂発泡粒子のビーズアスペクト比と1層目の前記樹脂発泡粒子20a1のビーズアスペクト比との比較や、これらの気泡アスペクト比の比較も同様に平均値での比較とすることができる。
気泡ABの寸法や気泡アスペクト比、ビーズアスペクト比に関する前記の好ましい値は、このような平均値においてもそのような値となっていることが好ましい。
具体的には、前記第1樹脂発泡体21や前記第2樹脂発泡体22を調製するには、熱プレス機などを使ってビーズ発泡成形体に圧力を加えるなどすればよい。
なお、加圧前、又は、加圧中には、必要に応じて加圧する面を加熱するようにしてもよい。
具体的には、ビーズ発泡成形体の接着面となる面に対して輻射加熱を行うなどして、樹脂発泡粒子を扁平にさせたい部位のみを選択的に加熱してから加圧を実施すればよい。
樹脂接着剤を適度に浸透させ得る点、及び、樹脂発泡粒子を扁平としつつ内部の気泡を丸い状態に保たせるのに有利である点において、前記第1樹脂発泡体21及び前記第2樹脂発泡体22は、ポリエチレンテレフタレート樹脂発泡体であることが特に好ましい。
前記第1樹脂発泡体21と前記第2樹脂発泡体22とは見掛け密度が共通していても異なっていてもよい。
即ち、見掛け密度は、原則的には次のようにして求めることができる。
100cm3以上の試験片を材料の元のセル構造をできるだけ変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出することができる。
見掛け密度(kg/m3)=試験片質量(kg)/試験片体積(m3)
尚、測定用試験片は、原則的に成形が施された後、72時間以上経過した試料から切り取り、温度23±2℃、湿度50±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものとする。
前記繊維強化樹脂材の一方は前記第1樹脂発泡体21に積層されており、他方は前記第2樹脂発泡体22に積層されている。
即ち、本実施形態の繊維強化樹脂層3は、前記第1樹脂発泡体21に積層された前記繊維強化樹脂材で構成されている第1の部位(以下「第1繊維強化樹脂層31」ともいう)と、前記第2樹脂発泡体22に積層された前記繊維強化樹脂材で構成されている第2の部位(以下「第2繊維強化樹脂層32」ともいう)とを備えている。
前記第2繊維強化樹脂層32も、繊維材で構成された繊維基材32aと、該繊維基材32aに含浸されて繊維基材32aに担持されている樹脂31bとで構成されている。
即ち、本実施形態における繊維強化樹脂層3は、前記第1樹脂発泡体21に積層された第1の繊維基材31a(以下「第1繊維基材31a」ともいう)と前記第2樹脂発泡体22に積層された第2の繊維基材32a(以下「第2繊維基材32a」ともいう)とを含む複数の繊維基材が繊維強化樹脂層3の形成に用いられている。
即ち、本実施形態においては、前記繊維強化樹脂層3がシート状の繊維基材31a,32aと該繊維基材31a,32aに含浸された樹脂31b,32bとを含み、前記芯材2の表面では、前記第1樹脂発泡体21を覆っている前記第1繊維基材31aが前記境界線2xを越えて前記第2樹脂発泡体22に及び、前記第2樹脂発泡体22を覆っている前記第2繊維基材32aが前記境界線2xを越えて前記第1樹脂発泡体21に及んでおり、前記境界線2xでは、前記第1樹脂発泡体21を覆っている前記第1繊維基材31aと前記第2樹脂発泡体22を覆っている前記第2繊維基材32aとが重なりあって前記芯材2を覆っている。
前記平均ラップ幅は、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが特に好ましい。
前記幅WDは、通常、最大でも25mm以下とされ、前記平均ラップ幅も、通常、25mm以下とされる。
従って、本実施形態においては、前記接着剤層23と、繊維基材の重なり合いとによって形成される補強構造がH鋼のような状態となっており、樹脂複合体1に対して高い補強効果を発揮する。
即ち、前記第1樹脂発泡体21を覆っている前記第1繊維基材31aと前記第2樹脂発泡体22を覆っている前記第2繊維基材32aとの少なくとも一方が前記境界線2xを越えて他方の繊維基材と重なり合って前記芯材2を覆っており、前記芯材2の前記境界線2xに隣接する領域が重なり合った前記繊維基材(31a,32a)で覆われていると、前記接着剤層23とによって形成される補強構造がL字アングルのような状態となって形成されるため、図5に示す態様と同様の効果が発揮され得る。
この場合に形成させる重なり合いの幅WD’やその平均値(平均ラップ幅)については、図5に示す態様と同様とすることができる。
即ち、本実施形態の樹脂複合体1は、幅方向Yの端部において繊維基材どうしが重なり合っていることで、高い補強効果が発揮させるばかりでなく、外観美麗ともなり得る。
前記繊維基材(31a,32a)は、編布であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。
熱硬化性樹脂の場合には、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂などを挙げることができる。
該平均厚さは、樹脂複合体1において無作為に選択した複数箇所(例えば、10箇所)での測定による算術平均値を計算して求めることができる。
また、前記第1繊維基材31aに担持されて前記第1繊維強化樹脂層31の形成材料となっている前記樹脂31bと、前記第2繊維基材32aに担持されて前記第2繊維強化樹脂層32の形成材料となっている前記樹脂32bとは材質などが共通している必要はなく、異なっていてもよい。
従って、前記第1繊維強化樹脂層31と前記第2繊維強化樹脂層32とは平均厚さが異なっていてもよい。
その場合、第1繊維強化樹脂層31に備えられた繊維基材31aと第2繊維強化樹脂層32に備えられた繊維基材32aとは、前記境界線2xの形成地点において交互に積層されて前記芯材2を覆うことが好ましい。
また、前記第1繊維強化樹脂層31や前記第2繊維強化樹脂層32に複数枚の繊維基材が備えられる場合、全ての繊維基材が前記境界線2xの形成地点において重なり合うようにしなくてもよい。
さらには、本実施形態においては、優れた補強効果を発揮させる上において繊維基材の重なり合いを形成させているが、要すれば、繊維基材を重ね合わせるようにしなくてもよい。
また、前記第1樹脂発泡体21や前記第2樹脂発泡体22の一方又は両方を複数の領域に分けて一領域を覆う繊維基材を他領域を覆う繊維基材と別体のものとしてもよい。
第1樹脂発泡体と第2樹脂発泡体とを含む複数の樹脂発泡体と、硬化前の熱硬化性樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材とを用意し、
前記第1樹脂発泡体と前記第2樹脂発泡体とを樹脂接着剤で接着して芯材を形成させる接着工程と、
前記芯材に積層されている繊維強化樹脂材を前記芯材に向けて加圧しつつ加熱して、前記熱硬化性樹脂を硬化させて前記繊維強化樹脂材で前記繊維強化樹脂層を形成させるプレス工程とを実施し、
前記接着工程では反応硬化型の前記樹脂接着剤を使用し、該樹脂接着剤の硬化反応を前記熱硬化性樹脂の硬化よりも後に完了させて作製されることが好ましい。
尚、本実施形態においては、前記芯材2を2つの樹脂発泡体で構成させる態様を例示しているが、前記芯材2の構成には3以上の樹脂発泡体を用いてもよい。
本実施形態の樹脂複合体は、その他の事項についても上記例示の通りでなくてもよい。
即ち、本発明は上記例示に何等限定されるものではない。
(測定試料の作製)
ポリエチレンテレフタレート樹脂製のビーズ発泡成形体から150mm×170mmの大きさの板状試料を2枚切り出した。
板状試料は、表面にビーズ発泡成形体の表面皮膜が残るように切り出した。
2枚の板状試料(第1樹脂発泡体及び第2樹脂発泡体)を重ね合わせて2液混合タイプのエポキシ系接着剤で接着した。
板状試料の接着は、表面皮膜を有する面を接着面として利用し、13gの前記エポキシ系接着剤を前記接着面全体に行き渡るように塗布して実施した。
また、板状試料の接着は、上下に対になった2枚の熱板を有するホットプレスを用い、加熱、加圧条件下で実施した。
ホットプレスによる板状試料の接着では、まず、板状試料を130℃の温度に加熱された熱板の間に挟んで100秒間予熱(予熱工程)した。
該予熱工程では、板状試料に0.5MPaの圧力が加わるようにした。
該予熱工程後は、熱板間の距離を縮めて板状試料にさらに圧力が加わるようにし、予熱工程と同じ温度(130℃)で前記エポキシ系接着剤を熱硬化させ(硬化工程)、2枚の板状試料がエポキシ系接着剤で接着されている樹脂接合体を形成させた。
即ち、2枚の板状試料とエポキシ系接着剤とで「第1樹脂発泡体/接着剤層/第2樹脂発泡体」となる積層構造を備えた樹脂接合体を形成させた。
尚、該硬化工程では、板状試料2枚分の厚さよりも厚さの薄いスペーサーを板状試料の周囲に配置して、一定以上に板状試料が圧縮されないようにして20分間の加熱を実施した。
該硬化工程後は、60℃の温度まで冷却して樹脂接合体を取り出した。
作製された樹脂接合体から、長さ150mm×幅25mmの大きさの角棒状の測定試料を切り出し、接着面近傍の状況をデジタルマイクロスコープで観察して画像を撮影した。
写真は、角棒状の測定試料の長手方向の側面において撮影し、一方の側面と他方の側面とで各5箇所ずつ、計10箇所で撮影した。
写真は、接着面が水平となるように撮影し、接着面と平行する平行線を、該接着面で接着しているそれぞれの板状試料に描画した。
該平行線は、接着面から離れる方向(上下方向)に500μm間隔で3000μm深さまで板状試料にそれぞれ6本ずつ描画した。
そして、平行線が樹脂接着剤の浸透している領域(浸透領域)を通る部分の長さが平行線全体の何%になっているかを各深さで計測し、且つ、10点の測定値の平均値を算出した。
計測は、写真のピクセル数(画素数)を対象に実施した。
具体的には、平行線が浸透領域を通過している部分において横方向に並んでいるピクセルの数(浸透領域通過ピクセル数)が一方の板状試料(第1樹脂発泡体)と他方の板状試料(第2樹脂発泡体)とでそれぞれ何個あるのかをカウントし、それぞれのピクセル数を接着面からの深さごとに合計して両板状試料の合計値(両発泡体合計)を求め、該合計値が写真横方向全長でのピクセル数に占める割合(浸透領域透過率)を計算するような形で前記計測を実施した。
結果、この比較例1では、500μm深さに描画された平行線が樹脂接着剤の浸透領域を通過する部分の割合は、平均して1.29%であることがわかった。
前述の角棒状の測定試料(150mm×25mm)を用い、JIS K7086に規定のDCB(Double Cantilever Beam)法により接着面での剥離強度を測定した。
剥離強度は、初期強度と、測定試料を水に100時間浸漬した後とで実施した。
該比較例1で作製された測定試料の剥離強度は、初期値が157.4Nで、100時間浸水後が64.3Nとなっていた。
用いる2液混合タイプのエポキシ系接着剤を低粘度で浸透性に優れたものに変更した以外は比較例1と同様に測定試料を作製し、樹脂接着剤の浸透状況の確認と剥離強度の評価とを実施した。
その結果、この実施例1では、平行線が浸透領域を通過している部分の割合は、500μm深さで4.83%でとなっていることがわかった。
また、この実施例1で作製された測定試料の剥離強度は、初期値が150.3Nで比較例1と同等であったが、100時間浸水後の値が142.7Nとなっていて比較例1に比べて高い数値であることが確認された。
板状試料の表面を40番手の紙やすりで削って表面被膜を除去し、この表面被膜が除去された面を接着面としたこと以外は比較例1と同様に測定試料を作製し、樹脂接着剤の浸透状況の確認と剥離強度の評価とを実施した(比較例1と同じ2液混合タイプのエポキシ系接着剤を使用)。
その結果、この実施例2では、平行線が浸透領域を通過している部分の割合は、500μm深さで32.8%でとなっていることがわかった。
また、この実施例2で作製された測定試料の剥離強度は、初期値が160.9Nで比較例1や実施例1よりも高く、100時間浸水後の値も152.1Nとなっていて実施例1よりもさらに高い数値であることが確認された。
これらの結果を、下記表に示す。
Claims (4)
- 芯材と、該芯材を覆う繊維強化樹脂層とを備えた樹脂複合体であって、
前記芯材が、第1樹脂発泡体と第2樹脂発泡体とを含む複数の樹脂発泡体で構成され、
該第1樹脂発泡体と該第2樹脂発泡体とのそれぞれが複数の樹脂発泡粒子で構成されたビーズ発泡成形体で、
前記第1樹脂発泡体と前記第2樹脂発泡体とが樹脂接着剤によって接着され、
前記繊維強化樹脂層は、前記第1樹脂発泡体に積層された前記繊維強化樹脂材で構成されている第1繊維強化樹脂層と、前記第2樹脂発泡体に積層された前記繊維強化樹脂材で構成されている第2繊維強化樹脂層とを備え、
前記第1繊維強化樹脂層は、前記第1樹脂発泡体に積層された第1繊維基材を含み、
前記第2繊維強化樹脂層は、前記第2樹脂発泡体に積層された第2繊維基材を含み、
前記第1繊維基材と前記第2繊維基材とは、該接着がされている接着面の外周縁に形成されている境界線を互いに重なり合って覆っており、
前記接着面から前記第1樹脂発泡体と前記第2樹脂発泡体とのそれぞれに前記樹脂接着剤が浸透している浸透領域が備えられており、
前記接着面に直交する平面による断面において前記接着面から500μm離れた位置で前記第1樹脂発泡体と前記第2樹脂発泡体とのそれぞれに前記接着面と平行する第1平行線及び第2平行線を引いた際に前記第1平行線及び前記第2平行線それぞれの一部が前記浸透領域を通り、且つ、前記第1平行線が該浸透領域を通る部分の長さが前記第1平行線の4%以上であり、前記第2平行線が該浸透領域を通る部分の長さが前記第2平行線の4%以上である樹脂複合体。 - 前記接着面を貫通して前記第1樹脂発泡体と前記第2樹脂発泡体とのそれぞれに延び、且つ、少なくとも一端が前記繊維強化樹脂層を貫通して表面に開口した1又は複数の貫通孔を有している請求項1記載の樹脂複合体。
- 風車用ブレードである請求項1又は2記載の樹脂複合体。
- 自動車用ピラーである請求項1又は2記載の樹脂複合体。
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