以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
先ず、図1に於いて、本発明の第1の実施例に係る測量装置について説明する。
測量装置1は、例えばトータルステーションであり、三脚(図示せず)に取付けられる整準部2と、該整準部2に取付けられた測量装置本体3とから構成される。尚、測定はノンプリズム測定が行われる。
該測量装置本体3は、固定部4と、托架部5と、水平回転軸6と、水平回転軸受7と、水平回転駆動部としての水平回転モータ8と、水平角検出部としての水平角エンコーダ9と、鉛直回転軸11と、鉛直回転軸受12と、鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ13と、鉛直角検出部としての鉛直角エンコーダ14と、鉛直回転部である望遠鏡部15と、操作部と表示部とを兼用する操作パネル16と、演算制御部17と、記憶部18等を具備している。尚、前記演算制御部17としては、本装置に特化したCPU、或は汎用CPUが用いられる。又、前記望遠鏡部15は、後述する距離測定部19を内蔵している。
前記水平回転軸受7は前記固定部4に固定される。前記水平回転軸6は鉛直な軸心6aを有し、前記水平回転軸6は前記水平回転軸受7に回転自在に支持される。又、前記托架部5は前記水平回転軸6に支持され、前記托架部5は水平方向に前記水平回転軸6と一体に回転する様になっている。
前記水平回転軸受7と前記托架部5との間には前記水平回転モータ8が設けられ、該水平回転モータ8は前記演算制御部17により制御される。該演算制御部17は、前記水平回転モータ8により、前記托架部5を前記軸心6aを中心に回転させる。
前記托架部5の前記固定部4に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ9によって検出される。該水平角エンコーダ9からの検出信号は前記演算制御部17に入力され、該演算制御部17により水平角データが演算される。該演算制御部17は、前記水平角データに基づき、前記水平回転モータ8に対するフィードバック制御を行う。
又、前記托架部5には、水平な軸心11aを有する前記鉛直回転軸11が設けられている。該鉛直回転軸11は、前記鉛直回転軸受12を介して回転自在となっている。尚、前記軸心6aと前記軸心11aの交点が、測距光の射出位置であり、前記測量装置本体3の座標系の原点となっている。
前記托架部5には、凹部21が形成されている。前記鉛直回転軸11は、一端部が前記凹部21内に延出し、前記一端部に前記望遠鏡部15が固着され、該望遠鏡部15は前記凹部21に収納されている。
又、前記鉛直回転軸11の他端部には、前記鉛直角エンコーダ14が設けられている。前記鉛直回転軸11に前記鉛直回転モータ13が設けられ、該鉛直回転モータ13は前記演算制御部17に制御される。該演算制御部17は、前記鉛直回転モータ13により前記鉛直回転軸11を回転させ、前記望遠鏡部15は前記軸心11aを中心に回転される。
前記望遠鏡部15の回転角は、前記鉛直角エンコーダ14によって検出され、検出信号は前記演算制御部17に入力される。該演算制御部17は、検出信号に基づき前記望遠鏡部15の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ13に対するフィードバック制御を行う。
又、前記演算制御部17で演算された水平角データ、鉛直角データや測定結果、測定点間隔(後述)、測定角度間隔(後述)は、前記記憶部18に保存される。該記憶部18としては、磁気記憶装置としてのHDD、光記憶装置としてのCD、DVD、半導体記憶装置としてのRAM、ROM、DRAM、メモリカード、USBメモリ等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部18は、前記托架部5に対して着脱可能であってもよく、或は図示しない通信手段を介して外部記憶装置や外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
前記記憶部18には、測距作動を制御するシーケンスプログラム、測距作動により距離を演算する演算プログラム、水平角データ及び鉛直角データに基づき角度を演算する演算プログラム、距離と角度に基づき所望の測定点の3次元座標を演算する演算プログラム、測定対象物を追尾する為の追尾プログラム、測定条件を設定する為の設定プログラム等の各種プログラムが格納される。又、前記演算制御部17により各種プログラムが実行されることで、各種処理が実行される。
前記操作パネル16は、例えばタッチパネルであり、測距の指示や測定条件、例えば測定点間隔や測定角度間隔の変更等を行う操作部と、測距結果等を表示する表示部とを兼用している。
次に、図2を参照して前記距離測定部19について説明する。尚、図2中では、各光の主光線(光軸)のみを図示している。
該距離測定部19は、主に測距光を照射する測距光射出部22、測定対象物(測定点)で反射された反射測距光を受光 する測距光受光部23、追尾光を照射する追尾光射出部24、測定対象物で反射された反射追尾光を受光する追尾光受光部25、可視光又は赤色の一部を除く可視光(背景光)を受光する視準部26、測距光の一部を内部参照光として受光する内部参照光受光部27を有している。尚、赤色の一部とは近赤外に近い赤色、例えば650nm~700nm付近の波長を示す。
前記測距光射出部22は、射出光軸28を有している。又、前記測距光射出部22は、前記射出光軸28上に設けられた発光素子29、前記投光レンズ31、前記ミラー32及び該ミラー32の反射光軸上に設けられた反射プリズム33とを有している。尚、前記投光レンズ31、前記ミラー32、前記反射プリズム33は投光光学系を構成する。又、該反射プリズム33は、前記望遠鏡部15に設けられた窓部30に貼付けられている。
又、前記射出光軸28上には、前記発光素子29側から順に、該発光素子29、前記投光レンズ31、ビームスプリッタ34、ダイクロイックミラー35、前記ミラー32が設けられている。
前記発光素子29は測距光源であり、例えばレーザダイオード(LD)である。又、前記発光素子29は、赤色の一部又は近赤外波長のレーザ光線を測距光として射出する。又、前記ミラー32は前記射出光軸28を直角に偏向する。更に、前記反射プリズム33は前記ミラー32で偏向された前記射出光軸28を更に直角に偏向し、受光光軸36(後述)と同軸とする。
前記測距光受光部23は、受光光軸36を有している。又、前記測距光受光部23は、前記受光光軸36上に設けられた対物レンズ37、ダイクロイックプリズム38及び該ダイクロイックプリズム38の反射光軸上に設けられた受光部39とを有している。尚、前記対物レンズ37、前記ダイクロイックプリズム38は受光光学系を構成する。
前記対物レンズ37は、所定の広がり角で入射した反射測距光(後述)、反射追尾光(後述)、可視光(後述)を集光させる様になっている。又、前記ダイクロイックプリズム38は、内部に複数の反射面を有し、前記受光光軸36を前記受光部39に向って偏向する様になっている。
又、前記受光部39は、例えば光ファイバであり、該光ファイバを介して図示しない受光素子へと反射測距光を導く様になっている。或は、前記光ファイバに代えて直接受光素子を設けてもよい。
前記追尾光射出部24は、追尾射出光軸41を有し、該追尾射出光軸41上に追尾光源である追尾発光素子42が設けられている。該追尾発光素子42は、例えば測距光とは異なる波長であり、赤色の一部又は近赤外波長のレーザ光線を追尾光として射出するレーザダイオード(LD)となっている。又、前記追尾射出光軸41上には、投光レンズ43、前記ダイクロイックミラー35が設けられている。尚、前記投光レンズ43、前記ダイクロイックミラー35、前記ミラー32、前記反射プリズム33は追尾投光光学系を構成する。
前記ダイクロイックミラー35は、測距光を透過し、追尾光を反射する光学特性を有している。又、前記ダイクロイックミラー35は、前記追尾射出光軸41を前記射出光軸28と同軸に偏向する。即ち、前記ダイクロイックミラー35は前記射出光軸28と前記追尾射出光軸28との交差位置であり、測距光と追尾光の共通光路上に配置される。
前記追尾光受光部25は、追尾受光光軸44を有している。又、前記追尾光受光部25は、前記追尾受光光軸44上に設けられた前記対物レンズ37、前記ダイクロイックプリズム38及び該ダイクロイックプリズム38の反射光軸上に設けられた撮像素子45を有している。尚、前記対物レンズ37、前記ダイクロイックプリズム38は追尾受光光学系を構成する。
前記追尾受光光軸44は前記受光光軸36と同軸であり、前記ダイクロイックプリズム38により前記追尾受光光軸44が前記受光光軸36から分離され、前記撮像素子45に向って偏向される様になっている。
該撮像素子45は、画素の集合体であるCCD、或はCMOSセンサであり、各画素は画像素子上での位置が特定できる様になっている。例えば、各画素は、前記撮像素子45の中心を原点とした画素座標を有し、該画素座標によって画像素子上での位置が特定される。
前記視準部26は、視準光軸46を有しており、該視準光軸46は前記受光光軸36及び前記反射プリズム33で偏向された前記射出光軸28と合致している。又、前記視準部26は視準光学系であり、前記視準光軸46上に設けられた前記対物レンズ37、前記ダイクロイックプリズム38、前記合焦レンズ47、正立プリズム48、レチクル49、接眼レンズ51を有している。
作業者は、前記視準部26を介して焦点を合わせ、倒立像を正立像へと変換し、前記視準光軸46を任意の測定対象物に向けることができる。
前記内部参照光受光部27は、前記内部参照光軸52を有し、該内部参照光軸52上に前記ビームスプリッタ34と、受光レンズ53と、参照光受光部54、例えば受光ファイバと、参照光結像レンズ55と、前記ダイクロイックプリズム38とが設けられている。尚、図2中では、前記参照光受光部54,54は別部材として図示されているが、同一部材となっている。尚、前記ビームスプリッタ34、前記受光レンズ53、前記参照光受光部54、前記参照光結像レンズ55、前記ダイクロイックプリズム38は内部参照光光学系を構成する。
前記ビームスプリッタ34は、例えば1%の光を反射し、99%の光を透過する光学特性を有し、測距光の一部を内部参照光として分離する。又、前記ビームスプリッタ34は、前記射出光軸28を前記内部参照光軸52と同軸に偏向する。即ち、前記ビームスプリッタ34は前記射出光軸28と前記内部参照光軸52との交差位置であり、測距光と内部参照光の共通光路上に配置される。
次に、図3に於いて、前記ダイクロイックプリズム38の詳細について説明する。以下の説明では、反射測距光、反射追尾光、可視光を総称して主光線とも称す。
該ダイクロイックプリズム38は、所定の屈折率を有する四角プリズムである第1プリズム56と、所定の屈折率を有する三角プリズムである第2プリズム57と、所定の屈折率を有する三角プリズムである第3プリズム58とが一体化されて構成される。
前記第1プリズム56は、前記対物レンズ37と対向する第1面59と、該第1面59に対向する第2面61と、図3中紙面に対して下側に位置する第3面62と、図3中紙面に対して上側に位置する第4面63とを有している。
前記第1プリズム56と前記第2プリズム57とは、前記第2面61を介して一体化されている。又、前記第1プリズム56と前記第3プリズム58とは、前記第4面63を介して一体化されている。又、前記第2プリズム57は前記第2面61と対向する第5面64を有し、前記第3プリズム58は前記第4面63を有する第6面65を有している。
前記第1面59の表面(入射面)は反射防止膜が設けられた全透過面である。又、前記第1面59は前記受光光軸36、前記追尾受光光軸44、前記視準光軸46と直交しており、各光軸の前記第1面59に対する入射角は0°となる。
前記第2面61(前記第1プリズム56と前記第2プリズム57の境界面)にはダイクロイックフィルタ、例えばショートパスフィルタが蒸着されている。ショートパスフィルタは、特定の波長帯に於いて入射角が小さい時には透過率が大きくなり、入射角が大きい時には反射率が大きくなる光学特性を有している。又、ショートパスフィルタは赤色の一部又は近赤外波長よりも波長の短い可視光を透過する光学特性を有している。本実施例では、前記第2面61は可視光又は赤色の一部を除く可視光を透過し、反射測距光と反射追尾光を反射する様に構成されている。
前記第3面62には反射膜が設けられ、前記第2面61で反射された反射測距光と反射追尾光を反射する様に構成されている。前記第4面63にはダイクロイックフィルタ膜が設けられ、反射測距光を前記対物レンズ37側に反射し、反射追尾光を透過する様構成されている。即ち、前記第4面63は、反射測距光と反射追尾光を分離する為の分離面となっている。
又、前記第5面64は可視光又は赤色の一部を除く可視光を全透過する様構成されている。更に、前記第6面65は反射防止膜が設けられ、前記第4面63を透過した反射追尾光を全透過する様構成されている。
次に、前記距離測定部19を有する前記測量装置1により測定及び追尾を行う場合について説明する。
前記発光素子29は、赤色の一部又は近赤外波長のレーザ光線を射出し、射出された該レーザ光線は前記ビームスプリッタ34に入射する。前記ビームスプリッタ34に入射したレーザ光線の一部は、内部参照光として前記内部参照光軸52上に反射される。
前記ビームスプリッタ34で反射された内部参照光は、前記受光レンズ53、前記参照光受光部54、前記参照光結像レンズ55、前記ダイクロイックプリズム38の前記第4面63を介して前記受光部39に受光される。
又、前記ビームスプリッタ34に入射したレーザ光線の残部は、測距光として前記ビームスプリッタ34、前記ダイクロイックミラー35を順次透過し、前記ミラー32及び前記反射プリズム33に順次反射され、窓部30を介して前記望遠鏡部15より射出される。該望遠鏡部15より射出された測距光は、所定の測定対象物に対して照射される。
測定対象物で反射された測距光(反射測距光)は、前記窓部30を介して前記反射プリズム33の周囲より前記距離測定部19内に入射する。反射測距光は、前記対物レンズ37で集光され、前記ダイクロイックプリズム38に入射する。
前記第1面59を透過した反射測距光は、前記第2面61、前記第1面59、前記第3面62、前記第4面63で順次内部反射された後、入射角0°で前記第1面59に入射する。又、該第1面59に入射した反射測距光は、該第1面59を透過し、前記受光部39に受光される。
尚、前記第2面61で反射された反射測距光は、臨界角以上で前記第1面59に入射する様になっており、反射測距光は前記第1面59で全反射される。
前記演算制御部17は、前記受光部39から発せられる受光信号に基づき、測定対象物迄の距離を演算する。又、前記距離測定部19は、内部参照光受光部27を有している。従って、前記受光部39が反射測距光を受光した際に発せられる受光信号と、前記受光部39が内部参照光を受光した際に発せられる受光信号とを比較することで、より高精度な測距が可能となる。
前記水平回転モータ8による前記托架部5の水平回転と、前記鉛直回転モータ13による前記望遠鏡部15の鉛直回転との協働により、測距光が任意の測定対象物に向って照射され、測距データ(斜距離)得られる。又、測距データ取得時の水平角、鉛直角を前記水平角エンコーダ9、前記鉛直角エンコーダ14で検出することで、水平角データと鉛直角データが取得できる。測距データ、水平角データ、鉛直角データに基づき測定対象物の3次元座標が取得できる。
尚、前記距離測定部19には、反射測距光と同軸で可視光(背景光)が入射している。可視光又は赤色の一部を除く可視光は、前記ダイクロイックプリズム38の前記第2面61を透過し、前記視準部26に入射する。作業者は、前記視準部26に入射した可視光又は赤色の一部を除く可視光に基づき、測定対象物を視準可能となっている。
又、上記した測距作動と並行して、前記追尾発光素子42から追尾光がとしてレーザ光線が射出される。追尾光は、測距光とは波長が異なる赤色の一部又は近赤外波長のレーザ光線であり、前記ダイクロイックミラー35、前記ミラー32、前記反射プリズム33で順次反射され、測定対象物に照射される。
測定対象物で反射された反射追尾光は、前記反射測距光及び可視光と同軸で前記距離測定部19に入射する。前記反射プリズム33の周囲より入射した反射追尾光は、前記対物レンズ37で集光され、前記ダイクロイックプリズム38に入射する。
前記第1面59を透過した反射測距光は、前記第2面61、前記第1面59、前記第3面62で順次内部反射された後、前記第4面63及び前記第6面65を透過し、前記撮像素子45に受光される。尚、前記第6面65に対する反射追尾光の入射角は0°となっている。
前記演算制御部17は、前記撮像素子45の中心と反射追尾光の入射位置との偏差を演算し、該偏差に基づき、反射追尾光の入射位置が前記撮像素子45の中心となる様に前記水平回転モータ8と前記鉛直回転モータ13を制御する。これにより、前記測量装置本体3が測定対象物を追尾する。
上述の様に、第1の実施例では、内部に反射面を有する前記ダイクロイックプリズム38を用い、前記第2面61と前記第1面59と前記第3面62とで反射測距光と反射追尾光をそれぞれ内部反射させている。これにより、反射測距光と反射追尾光の光路を屈曲させ、前記対物レンズ37の焦点距離分の光路長を確保している。
従って、前記測距光受光部23、前記追尾光受光部25の光軸方向の長さを短くすることができるので、前記距離測定部19の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
又、前記ダイクロイックプリズム38を用い、内部反射させることで、反射測距光と反射追尾光とを分離する前記第4面63に対する入射角を小さくできるので、分光性能を向上させることができる。
又、前記ダイクロイックプリズム38を用いることで、可視光又は赤色の一部を除く可視光を分離する前記第2面61に対する入射角が小さくなるので、前記視準部26に入射する可視光の色味が改善され、視準の際の視認性を向上させることができる。
又、第1の実施例では、前記反射測距光の光路を屈曲させる為の光学部材として、平面板のミラーではなくプリズムを使用している。従って、前記測量装置本体3に対する温度変化に基づく光軸のズレ(偏角誤差)が抑制され、測定精度の向上を図ることができる。
尚、前記第1面59にショートパスフィルタを蒸着してもよい。ショートパスフィルタを蒸着することで、前記第1面59に対する全反射条件を緩和することができるので、該第1面59に対する反射測距光及び反射追尾光の入射角を臨界角よりも小さくすることができる。従って、前記受光光軸36に対する前記第2面61の傾斜を小さくすることができるので、前記ダイクロイックプリズム38の光軸方向の長さを小さくでき、光学系の小型化、軽量化を図ることができる。
又、第1の実施例では、前記第4面63の反射側に前記測距光受光部23を設け、前記第4面63の透過側に前記追尾光受光部25を設けている。一方で、前記第4面63の透過側に前記測距光受光部23を設け、前記第4面63の反射側に前記追尾光受光部25を設けてもよいのは言う迄もない。
図4(A)、図4(B)及び図5(A)~図5(D)は、前記ダイクロイックプリズム38の変形例を示している。
図4(A)に示されるダイクロイックプリズム66は、第3面66cで反射された反射測距光の前記受光光軸36及び反射追尾光の前記追尾受光光軸44に対する第4面66dの傾斜方向が異なっている。分離面としての前記第4面66dは反射追尾光を透過させ、反射測距光を前記視準部26に向って反射させる様に構成されている。その他の構成については、前記ダイクロイックプリズムと同等の構成となっている。
図4(B)に示されるダイクロイックプリズム67は、2つの三角プリズムを組合わせた四角プリズムを第3プリズム69として構成している。又、該第3プリズム69の2つの三角プリズムの境界面は、ダイクロイックフィルタ膜が設けられた分離面としての第4面67dとなっている。該第4面67dを介して、反射測距光と反射追尾光とが分離される様構成されている。
上記した様に、前記ダイクロイックプリズム67は、内部に前記第4面67dを有する四角プリズムとなっている。従って、第1プリズム68に対する前記第3プリズム69の取付け位置を変更することで、反射測距光の反射方向を反射追尾光の前記追尾受光光軸44を中心とした任意の方向に変更することができる。
図5(A)に示されるダイクロイックプリズム71は、第2プリズム73と第3プリズム74とが、それぞれ第1プリズム72の第2面71bに貼付けられ、一体化されている。前記ダイクロイックプリズム71では、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての前記第2面71bのうち、前記第3プリズム74との境界面が分離面としての第4面71dとなっている。
第1面71aに入射した反射測距光、反射追尾光、可視光の主光線40は、前記第1面71aを透過し、前記第2面71bに入射する。該第2面71bは、可視光又は赤色の一部を除く可視光を透過させ、反射測距光と反射追尾光とを反射させる。即ち、前記主光線40から可視光又は赤色の一部を除く可視光を分離する。分離された可視光又は赤色の一部を除く可視光は、第5面71eを透過して前記視準部26に入射する。又、前記第2面71bで反射された反射測距光と反射追尾光は、前記第1面71a、第3面71c、前記第2面71b、前記第1面71aで順次反射され、前記第4面71dに入射する。
該第4面71dは、反射測距光を反射させると共に、反射追尾光を透過させる。即ち、前記第4面71dは反射測距光と反射追尾光とを分離する。前記第4面71dで反射された反射測距光は前記第1面71aを透過し、前記受光部39に入射する。又、前記第4面71dを透過した反射追尾光は第6面71fを透過し、前記撮像素子45に入射する。
前記ダイクロイックプリズム71では、反射測距光と反射追尾光を前記ダイクロイックプリズム71内で5回内部反射させた後、前記第4面71dで分離する様構成される。従って、前記測距光受光部23及び前記追尾光受光部25の光軸方向の長さを更に短くすることができる。
図5(B)に示されるダイクロイックプリズム75は、第3プリズム78が第1プリズム76の下面に貼付けられ、第2プリズム77が前記第1プリズム76の第2面75bと前記第3プリズム78に掛渡って貼付けられ、一体化されている。前記ダイクロイックプリズム75では、前記第3プリズム78の紙面に対して下側の面が第3面75cとなり、前記第3面75cと前記第3プリズム78との境界面が第4面75dとなっている。又、前記第1プリズム76の紙面に対して上側の面が第6面75fとなっている。
第1面75aに入射した反射測距光、反射追尾光、可視光の主光線40は、前記第1面75aを透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての前記第2面75bに入射する。該第2面75bは、可視光又は赤色の一部を除く可視光を透過させ、反射測距光と反射追尾光とを反射させる。又、前記第2面75bで反射された反射測距光と反射追尾光は、前記第1面75aで反射され、分離面としての前記第4面75dに入射する。
該第4面75dは、反射測距光を反射し、反射追尾光を透過する。前記第4面75dで反射された反射測距光は、前記第6面75fを透過して前記受光部39に入射する。又、前記第4面75dを透過した反射追尾光は、前記第3面75c、前記第2面75b、前記第1面75a、前記第2面75bで順次反射され、前記第1面75aを透過して前記撮像素子45に受光される。
前記ダイクロイックプリズム75では、反射追尾光が前記ダイクロイックプリズム75内で6回内部反射する様構成されている。従って、前記追尾光受光部25の光軸方向の長さを更に短くすることができる。
図5(C)に示されるダイクロイックプリズム79は、第1面79aで反射された反射測距光及び反射追尾光の光軸に対する第4面79dの傾斜方向が異なることを除き、前記ダイクロイックプリズム75と略同等の構成となっている。
可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての第2面79bで反射された反射測距光と反射追尾光は、前記第1面79aで反射され、分離面としての前記第4面79dに入射する。該第4面79dは、反射測距光を反射し、反射追尾光を透過する。
前記第4面75dで反射された反射測距光は、前記第2面79b、前記第1面79a、前記第2面79bで順次反射された後、前記第1面79aを透過して前記受光部39に受光される。又、前記第4面79dを透過した反射追尾光は、前記第3面79cで反射された後、第6面79fを透過して前記撮像素子45に受光される。
前記ダイクロイックプリズム79では、反射測距光が前記ダイクロイックプリズム79内で6回内部反射する様構成されている。従って、前記測距光受光部23の光軸方向の長さを更に短くすることができる。
図5(D)に示されるダイクロイックプリズム81は、前記ダイクロイックプリズム71と同様に、第1プリズム82の第2面81bに第2プリズム83と第3プリズム84とがそれぞれ貼付けられ、一体化されている。又、前記第3プリズム84の紙面に対して上側の面及び前記第1プリズム82の紙面に対して上側の面は、それぞれ反射防止膜が設けられた第6面81fとなっている。
第1面81aに入射した反射測距光、反射追尾光、可視光の主光線40は、前記第1面81aを透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての前記第2面81bに入射する。該第2面81bは、可視光又は赤色の一部を除く可視光を透過させ、反射測距光と反射追尾光とを反射させる。又、該第2面81bで反射された反射測距光と反射追尾光は、前記第1面81a、第3面81c、前記第1面81aで順次反射され、分離面としての第4面81dに入射する。
該第4面81dは、反射測距光を反射し、反射追尾光を透過する。前記第4面81dで反射された反射測距光は、前記第6面81fを透過して前記受光部39に受光される。又、前記第4面81dを透過した反射追尾光は、前記第6面81fを透過して前記撮像素子45に受光される。
尚、図4(A)、図4(B)、図5(A)~図5(D)に於いても、第4面の反射側に前記追尾光受光部25を配置し、第4面の透過側に前記測距光受光部23を配置してもよいのは言う迄もない。
次に、図6に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図10中、図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
第2の実施例に於けるダイクロイックプリズム80は、第1の実施例に於けるダイクロイックプリズム38に色ガラス90を追加した構成となっている。又、前記ダイクロイックプリズム80以外の構成については、第1の実施例と同様となっている。
前記ダイクロイックプリズム80は、第1プリズム100と第2プリズム85と第3プリズム86とを有し、前記第1プリズム100の紙面に対して下側の面に前記色ガラス90が貼付けられ、一体化されている。
第2の実施例に於いては、前記第1プリズム100の対物レンズ37(図2参照)と対向する面が第1面87となり、前記第1プリズム100と前記第2プリズム85の境界面が第2面88となり、前記色ガラス90の下面、即ち前記第1プリズム100と前記色ガラス90の境界面と対向する面が第3面89となり、前記第1プリズム100と前記第3プリズム86との境界面が第4面91となる。又、前記第2プリズム85の紙面に対して右側の面が第5面92となり、前記第3プリズム86の紙面に対して上側の面が第6面93となる。尚、前記第3面89は、反射膜が設けられた反射面となっている。
前記第1面87に入射した反射測距光、反射追尾光、可視光の主光線40は、前記第1面87を透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての前記第2面88に入射する。該第2面88は、可視光又は赤色の一部を除く可視光を透過させ、反射測距光と反射追尾光とを反射させる。前記第2面88を透過した可視光又は赤色の一部を除く可視光は、前記第5面92を透過して視準部26(図2参照)に入射する。又、前記第2面88で反射された反射測距光と反射追尾光は、前記第1面87、前記第3面89で順次反射され、分離面としての前記第4面91に入射する。
該第4面91は、反射測距光を反射し、反射追尾光を透過する。前記第4面91で反射された反射測距光は、前記第1面87を透過して受光部39(図2参照)に受光される。又、前記第4面91を透過した反射追尾光は、前記第6面93を透過して撮像素子45(図2参照)に受光される。
反射測距光と反射追尾光は、前記第3面89で反射される際に前記色ガラス90内を通過する。該色ガラス90内を通過する過程で、前記色ガラス90の吸収により、反射測距光と反射追尾光の外乱光が減衰又は除去される。
第2の実施例では、前記ダイクロイックプリズム80に前記色ガラス90を設けることで、反射測距光と反射追尾光の外乱光を減衰又は除去している。従って、測距結果、追尾結果から外乱光の影響を低減又は除去できるので、測距精度、追尾精度を向上させることができる。色ガラスを設けずに薄膜により外乱光の影響を低減又は除去も可能だが、外乱光が吸収されずに反射され、影響が僅かに残る場合もある。
尚、前記色ガラス90は、前記撮像素子45からできるだけ離れた位置に設けるのが望ましい。前記色ガラス90に内部欠陥がある場合には、前記撮像素子45に前記色ガラス90の内部欠陥が映込み、追尾精度に影響を及ぼすからである。仮に、前記色ガラス90を前記撮像素子45の近くに設ける場合には、前記色ガラス90の内部欠陥についての選別操作が別途必要となる。
又、前記色ガラス90の内部欠陥が測距結果に影響を及ぼすことはない為、前記受光部39に対する前記色ガラス90の位置の制約はなく、任意の位置に設けることができる。
図7(A)、図7(B)、図8(A)~図8(D)、図9(A)、図9(B)は、前記ダイクロイックプリズム80の変形例を示している。
図7(A)に示されるダイクロイックプリズム94は、第3面94cで反射された反射測距光と反射追尾光の光軸に対する第4面94dの傾斜方向が異なっている。反射追尾光は分離面としての前記第4面94dを透過し、反射測距光は前記第4面94dにより前記視準部26に向って反射される様に構成されている。その他の構成については、前記ダイクロイックプリズム80と同等の構成となっている。
図7(B)に示されるダイクロイックプリズム95は、図4(B)に示されるダイクロイックプリズム66の紙面に対して下側の面に、色ガラス96を設けた構成となっている。又、第1プリズム97と前記色ガラス96との境界面と対向する面を第3面95cとしている。その他の構成については、前記ダイクロイックプリズム66と同様の構成となっている。
図8(A)に示されるダイクロイックプリズム98は、図5(A)に示されるダイクロイックプリズム71と略同等の構成である。第2プリズム101と第3プリズム102とが、それぞれ分離面としての第2面98bに貼付けられている。又、第1プリズム99の紙面に対して下側の面に色ガラス103が貼付けられ、一体化されている。該色ガラス103の前記第1プリズム99との境界面と対向する面が第3面98cとなっている。その他の構成については、前記ダイクロイックプリズム71と同様の構成となっている。
図8(B)に示されるダイクロイックプリズム104は、図5(B)に示されるダイクロイックプリズム75と略同等の構成となっている。第1プリズム105の紙面に対して下側の面に第3プリズム107が貼付けられ、前記第1プリズム105の第2面104bに第2プリズム106が貼付けられ、前記第3プリズム107の前記第1プリズム105との境界面と対向する面に色ガラス108が貼付けられ、一体化されている。前記ダイクロイックプリズム104では、前記第1プリズム105と前記第3プリズム107との境界面が分離面としての第4面104dであり、前記色ガラス108の前記第4面104dと対向する面が第3面104cとなっている。
反射測距光は、第4面104dで反射され第6面104fを透過する。一方で、反射追尾光は、前記第4面104dを透過し、前記第3面104cで反射される過程で前記色ガラス108を通過し、外乱光が減衰又は除去される。従って、外乱光が受光結果に影響を及ぼすことはなく、追尾精度を向上させることができる。
図8(C)に示されるダイクロイックプリズム109は、図8(B)に示されるダイクロイックプリズム104の変形例となっている。前記ダイクロイックプリズム109では、第1プリズム111の紙面に対して下面に色ガラス112が貼付けられ、該色ガラス112に第3プリズム113が貼付けられ、一体化されている。即ち、前記第1プリズム111と前記第3プリズム113との間に前記色ガラス112が設けられている。
前記ダイクロイックプリズム109では、前記色ガラス112と前記第3プリズム113との境界面が分離面としての第4面109dとなり、前記第3プリズム113の前記第4面109dと対向する面が第3面109cとなっている。
前記ダイクロイックプリズム109では、反射追尾光だけではなく、反射測距光の外乱光も減衰又は除去できるので、測距精度、追尾精度を向上させることができる。
図8(D)に示されるダイクロイックプリズム114は、第1面114aで反射された反射測距光及び反射追尾光の光軸に対する第4面114dの傾斜方向が異なることを除き、図8(B)に示される前記ダイクロイックプリズム104と略同等の構成となっている。
反射測距光は、分離面としての前記第4面114dで反射される。一方で、反射追尾光は、前記第4面114dを透過し、前記第3面114cで反射される過程で前記色ガラス115を通過し、外乱光が減衰又は除去される。従って、外乱光が受光結果に影響を及ぼすことはなく、追尾精度を向上させることができる。
図9(A)に示されるダイクロイックプリズム116は、図8(D)に示される前記ダイクロイックプリズム114の変形例となっている。前記ダイクロイックプリズム116では、第1プリズム117の紙面に対して下面に色ガラス118が貼付けられ、該色ガラス118に第3プリズム119が貼付けられ、一体化されている。即ち、前記第1プリズム117と前記第3プリズム119との間に前記色ガラス118が設けられている。
前記ダイクロイックプリズム116では、前記色ガラス118と前記第3プリズム119との境界面が分離面としての第4面116dとなり、前記第3プリズム119の前記第4面116dと対向する面が第3面116cとなっている。
前記ダイクロイックプリズム116では、反射追尾光だけではなく、反射測距光の外乱光も減衰又は除去できるので、測距精度、追尾精度を向上させることができる。
図9(B)に示されるダイクロイックプリズム121は、図5(D)に示される前記ダイクロイックプリズム81の紙面に対して下側の面に、色ガラス122を設けた構成となっている。又、該色ガラス122の第1プリズム123との境界面と対向する面を第3面121cとしている。その他の構成については、前記ダイクロイックプリズム81と同様の構成となっている。
尚、図7(A)、図7(B)、図8(A)~図8(D)、図9(A)、図9(B)に於いても、第4面の反射側に前記追尾光受光部25を配置し、第4面の透過側に前記測距光受光部23を配置してもよいのは言う迄もない。
次に、図10に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、図10中、図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
第3の実施例は、測量装置本体3(図1参照)から追尾光射出部24(図2参照)と追尾光受光部25(図2参照)を取除いた構成となっている。その他の構成については第1の実施例と同様である。
第3の実施例に於けるダイクロイックプリズム124は、第3プリズムを有しておらず、第1プリズム125と第2プリズム126とが組み合わされ、一体化された構成となっている。
前記第1プリズム125の対物レンズ37(図2参照)と対向する面が第1面127となり、前記第1プリズム125と前記第2プリズム126の境界面が第2面128となり、前記第1プリズム125の紙面に対して下側の面が第3面129となる。又、前記第2プリズム126の紙面に対して右側の面が第5面131となり、前記第1プリズム125の紙面に対して上側の面が第6面となる。
前記第1面127に入射した反射測距光、可視光の主光線40は、前記第1面127を透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての前記第2面128に入射する。該第2面128は、可視光又は赤色の一部を除く可視光を透過させ、反射測距光を反射させる。前記第2面128を透過した可視光又は赤色の一部を除く可視光は、前記第5面131を透過して視準部26(図2参照)に入射する。又、前記第2面128で反射された反射測距光は、前記第1面127、前記第3面129で順次反射され、前記第6面132を透過する。該第6面132を透過した反射測距光は、受光部39(図2参照)に受光される。
第3の実施例に於いても、反射測距光が前記ダイクロイックプリズム124内で3回内部反射される構成となっているので、前記対物レンズ37の焦点距離分の光路長を確保することができる。
従って、前記測距光受光部23の光軸方向の長さを小さくすることができるので、前記距離測定部19の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
図11(A)~図11(D)、図12(A)~図12(D)は、前記ダイクロイックプリズム124の変形例を示している。
図11(A)に示されるダイクロイックプリズム133は、第6面133fに反射膜が設けられている。又、該第6面133fは反射測距光の光軸に対して傾斜され、反射測距光を対物レンズ37(図2参照)側に反射させる様構成されている。その他の構成については、前記ダイクロイックプリズム124と同様となっている。
尚、前記第6面133fに対する反射測距光の入射角が臨界角以上である場合には、反射膜は省略してもよい。
図11(B)に示されるダイクロイックプリズム134は、反射測距光の光軸に対する第6面134fの傾斜方向が異なることを除き、前記ダイクロイックプリズム133と同様の構成となっている。
前記ダイクロイックプリズム134は、反射測距光を視準部26(図2参照)に向って反射させる様に構成されている。
図11(C)に示されるダイクロイックプリズム135は、前記ダイクロイックプリズム124の前記第1プリズム125の紙面に対して上側の面に三角プリズム136を貼付け一体化させた構成となっている。又、該三角プリズム136の紙面に対して左側の面が反射測距光の光軸に対して傾斜した第6面135fとなっており、該第6面135fにより反射測距光が反射される様に構成されている。
上記した様に、前記ダイクロイックプリズム135は、反射測距光を反射させる為の前記三角プリズム136を別途設けている。従って、第1プリズム137に対する前記三角プリズム136の取付け位置を変更することで、反射測距光の反射方向を反射測距光の光軸を中心とした任意の方向に変更することができる。
図11(D)に示されるダイクロイックプリズム138では、第1面138aを透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての第2面138bで反射された反射測距光は、前記第1面138a、第3面138c、前記第2面138bで順次反射された後、第6面138fを透過して前記受光部39に受光される様構成されている。
前記ダイクロイックプリズム138では、該ダイクロイックプリズム138内で反射測距光が4回内部反射する様構成されている。従って、前記測距光受光部23の光軸方向の長さを更に短くすることができ、該測距光受光部23の小型化を図ることができる。
図12(A)に示されるダイクロイックプリズム139は、第1面139aを透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての第2面139bで反射された反射測距光は、前記第1面139a、第3面139c、前記第2面139b、前記第1面139aで順次反射された後、第6面139fを透過して前記受光部39に受光される様構成されている。
前記ダイクロイックプリズム139では、該ダイクロイックプリズム139内で反射測距光が5回内部反射する様構成されている。従って、前記測距光受光部23の光軸方向の長さを更に短くすることができ、該測距光受光部23の小型化を図ることができる。
図12(B)に示されるダイクロイックプリズム141は、第1面141aを透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての第2面141bで反射された反射測距光は、前記第1面141a、第3面141c、前記第2面141b、前記第1面141a、前記第2面141bで順次反射された後、前記第1面141aを透過して前記受光部39に受光される様構成されている。
前記ダイクロイックプリズム141では、該ダイクロイックプリズム141内で反射測距光が6回内部反射する様構成されている。従って、前記測距光受光部23の光軸方向の長さを更に短くすることができ、該測距光受光部23の小型化を図ることができる。
図12(C)に示されるダイクロイックプリズム142は、第1面142aを透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての第2面142bで反射された反射測距光は、前記第1面142a、第3面142c、前記第1面141aで順次反射された後、第6面142fを透過して前記受光部39に受光される様構成されている。
前記ダイクロイックプリズム142では、該ダイクロイックプリズム142内で反射測距光が4回内部反射する様構成されている。従って、前記ダイクロイックプリズム124に比べて前記測距光受光部23の光軸方向の長さを更に短くすることができ、該測距光受光部23の小型化を図ることができる。
図12(D)に示されるダイクロイックプリズム143は、第1面143aを透過し、可視光又は赤色の一部を除く可視光の分離面としての第2面143bで反射された反射測距光は、前記第1面143a、第3面143c、前記第1面143a、前記第2面143bで順次反射された後、第6面143fを透過して前記受光部39に受光される様構成されている。
前記ダイクロイックプリズム143では、該ダイクロイックプリズム143内で反射測距光が5回内部反射する様構成されている。従って、前記測距光受光部23の光軸方向の長さを更に短くすることができ、該測距光受光部23の小型化を図ることができる。
尚、反射測距光の前記第2面143bに対する2度目の入射角が臨界角以上である場合には、2度目に反射測距光が入射する部分のみ反射膜を取除いてもよい。
尚、第3の実施例及び変形例を第2の実施例と組合わせ、色ガラスを追加してもよい。色ガラスの追加により、反射測距光の外乱光を減衰又は除去でき、測距精度を向上させることができる。
次に、図13に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、図13中、図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
第4の実施例は、測量装置本体3(図1参照)から視準部26(図2参照)を取除いた構成となっている。その他の構成については第1の実施例と同様である。但し、第4の実施例では、測距光と追尾光は、いずれも可視光又は近赤外光のどの波長であってもよい。
第4の実施例に於けるダイクロイックプリズム144は、第2プリズムを有しておらず、第1プリズム145と第3プリズム146とが組み合わされ、一体化された構成となっている。
前記ダイクロイックプリズム144は、前記第1プリズム145の対物レンズ37(図2参照)と対向する面が第1面147となり、該第1面147と対向する面が第2面148となり、前記第1プリズム145の紙面に対して下側の面が第3面149となる。又、前記ダイクロイックプリズム144は、前記第1プリズム145と前記第3プリズム146との境界面が第4面151となり、前記第3プリズム146の紙面に対して上側の面が第6面152となっている。
前記第1面147を透過した反射測距光、反射追尾光の主光線40は、前記第2面148、前記第1面147、前記第3面149で順次反射された後、分離面としての前記第4面151に入射する。
該第4面151に入射した反射測距光と反射追尾光のうち、反射測距光は前記第4面151で反射され、前記第1面147を透過して受光部39(図2参照)に受光される。又、反射追尾光は、前記第4面151、前記第6面152を透過し、撮像素子45(図2参照)に受光される。
第3の実施例に於いても、反射測距光及び反射追尾光が前記ダイクロイックプリズム144内で3回内部反射される構成となっているので、前記対物レンズ37の焦点距離分の光路長を確保することができる。
従って、前記測距光受光部23(図2参照)及び前記追尾光受光部25(図2参照)の光軸方向の長さを小さくすることができるので、前記距離測定部19の光学系の小型化が図れると共に、測量装置全体の小型化を図ることができる。
図14(A)、図14(B)、図15(A)~図15(D)、図17(A)、図17(B)は、前記ダイクロイックプリズム144の変形例を示している。
図14(A)に示されるダイクロイックプリズム153は、第3面153cで反射された反射測距光と反射追尾光に対する第4面153dの傾斜方向が異なっている。反射追尾光は分離面としての前記第4面153dを透過し、反射測距光は前記第4面153dにより前記対物レンズ37の反対側に向って反射される様構成されている。その他の構成については、前記ダイクロイックプリズム144と同様の構成となっている。
図14(B)に示されるダイクロイックプリズム154は、2つの三角プリズムを組合わせた四角プリズムを第3プリズム155として構成し、2つの三角プリズムの境界面を分離面としての第4面154dとしている。
従って、第1プリズム156に対する前記第3プリズム155の取付け位置を変更することで、反射測距光の反射方向を反射追尾光の光軸を中心とした任意の方向に変更することができる。
図15(A)に示されるダイクロイックプリズム157は、第1プリズム158の第2面157bの一部に第3プリズム159を貼付け、一体化させた構成となっている。前記ダイクロイックプリズム157は、前記第1プリズム158と前記第3プリズム159の境界面が分離面としての第4面157dとなり、前記第3プリズム159の紙面に対して右側の面が第6面157fとなっている。
前記ダイクロイックプリズム157では、第1面157aを透過した反射測距光と反射追尾光は、前記第2面157b、前記第1面157a、第3面157c、前記第2面157b、前記第1面157aで順次反射された後、前記第4面157dに入射する。
該第4面157dに入射した反射測距光と反射追尾光のうち、反射追尾光は前記第4面157d、前記第6面157fを透過し、前記撮像素子45に受光される。又、反射測距光は前記第4面157dで反射され、前記第1面157aを透過して前記受光部39に受光される。
前記ダイクロイックプリズム157では、反射測距光と反射追尾光を前記ダイクロイックプリズム157内で5回内部反射させた後、前記第4面157dで分離する様構成される。従って、前記測距光受光部23及び前記追尾光受光部25の光軸方向の長さを更に短くすることができる。
図15(B)に示されるダイクロイックプリズム161は、第3プリズム162が第1プリズム163の下面に貼付けられ、一体化されている。前記ダイクロイックプリズム161では、前記第3プリズム162の紙面に対して下側の面が第3面161cとなり、前記第1プリズム163と前記第3プリズム162との境界面が分離面としての第4面161dとなっている。又、前記第1プリズム163の紙面に対して上側の面が第6面161fとなっている。
第1面161aを透過した反射測距光及び反射追尾光は、第2面161b、前記第1面161aで順次反射された後、前記第4面161dに入射する。該第4面161dは、反射測距光を反射させ、反射追尾光を透過させる。
前記第4面161dで反射された反射測距光は、前記第6面161fを透過して前記撮像素子45に受光される。又、前記第4面161dを透過した反射追尾光は、前記第3面161c、前記第2面161b、前記第1面161a、前記第2面161bで反射された後、前記第1面161aを透過して前記受光部39に受光される。
前記ダイクロイックプリズム161では、反射追尾光が前記ダイクロイックプリズム161内で6回内部反射する様構成されている。従って、前記追尾光受光部25の光軸方向の長さを更に短くすることができる。
図15(C)に示されるダイクロイックプリズム164は、前記ダイクロイックプリズム157と同様に、第1プリズム165の第2面164bに第3プリズム166が貼付けられ、一体化されている。又、前記第3プリズム166の紙面に対して上側の面及び前記第1プリズム165の紙面に対して上側の面は、それぞれ反射防止膜が設けられた第6面164fとなっている。
第1面164aを透過し、前記第2面164bで反射された反射測距光及び反射追尾光は、前記第1面164a、第3面164c、前記第1面164aで順次反射され、分離面としての第4面164dに入射する。
該第4面164dは、反射測距光を反射し、反射追尾光を透過する。前記第4面164dで反射された反射測距光は、前記第6面164fを透過して前記受光部39に受光される。又、前記第4面164dを透過した反射追尾光は、前記第6面164fを透過して前記撮像素子45に受光される様構成される。
図15(D)に示されるダイクロイックプリズム167は、第1プリズム168の第2面167bに第3プリズム169が貼付けられ、一体化されている。又、前記第2面167bにはロングパスフィルタが蒸着されている。ロングパスフィルタは、特定の波長帯に於いて入射角が小さい程反射率が高くなり、入射角が大きい程透過率が高くなる光学特性を有している。
図16は、ロングパスフィルタに対する入射角毎の波長と透過率との関係を示すグラフである。図16中、右側のグラフは入射角が小さい場合の分光特性171を示し、左側のグラフは入射角が大きい場合の分光特性172を示している。
例えば、波長λ′>波長λの関係に於いて、測距光の波長をλとし、追尾光の波長をλ′とした場合、入射角が小さい場合(前記分光特性171)には、測距光と追尾光が共にロングパスフィルタにより反射される。一方で、入射角が大きい場合(前記分光特性172)には、測距光はロングパスフィルタに反射され、追尾光はロングパスフィルタを透過することとなる。
前記ダイクロイックプリズム167では、第1面167aを透過した反射測距光及び反射追尾光は、前記第2面167bに入射する。該第2面167bに対する1度目の反射測距光と反射追尾光の入射角は小さい(前記分光特性171)為、反射測距光と反射追尾光は共に前記第2面167bにより反射される。
該第2面167bで反射された反射測距光と反射追尾光は、前記第1面167a、第3面167cで順次反射された後、前記第2面167bに入射する。該第2面167bに対する2度目の反射測距光と反射追尾光の入射角は大きい(前記分光特性172)為、反射測距光は前記第2面167bで反射され、反射追尾光は前記第2面167bを透過する。
前記ダイクロイックプリズム167では、第2面にロングパスフィルタを蒸着させているので、前記第2面167bに反射測距光と反射追尾光を分離させる為の分離面としての機能を持たせることができる。
図17(A)に示されるダイクロイックプリズム173は、前記ダイクロイックプリズム167と同様、第2面173bを介して第1プリズム174と第3プリズム175が一体化されており、前記第2面173bにはロングパスフィルタが蒸着されている。
第1面173aを透過し、第2面173bに1度目に入射する際の入射角は小さい為、反射測距光と反射追尾光は共に全反射される。又、前記第1面173a、第3面173cで順次反射された後、前記第2面173bに2度目に入射する際の入射角は大きい為、反射追尾光は前記第2面173bを透過し、反射測距光は前記第2面173bで反射される。即ち、該第2面173bは分離面としても機能する。
前記第2面173bで反射された反射測距光は、前記第1面173aで反射された後、第6面173fを透過して前記受光部39に受光される。
前記ダイクロイックプリズム173は、該ダイクロイックプリズム173の内部で反射測距光が5回内部反射する構成であるので、前記測距光受光部23の光軸方向の長さを小さくすることができ、前記測距光受光部23の小型化を図ることができる。
図17(B)に示されるダイクロイックプリズム176は、前記ダイクロイックプリズム167と同様、第2面176bを介して第1プリズム177と第3プリズム178が一体化されており、前記第2面176bにはロングパスフィルタが蒸着されている。
第1面176aを透過し、第2面176bに1度目に入射する際の入射角は小さい為、反射測距光と反射追尾光は共に全反射される。又、前記第1面176a、第3面176cで順次反射された後、前記第2面176bに2度目に入射する際の入射角は大きい為、反射追尾光は前記第2面176bを透過し、反射測距光は前記第2面176bで反射される。即ち、該第2面176bは分離面としても機能する。
前記第2面176bで反射された反射測距光は、前記第1面176aで反射された後、前記第2面176bに小さい入射角で入射して反射され、前記第1面176aを透過して前記受光部39に受光される。
前記ダイクロイックプリズム176は、該ダイクロイックプリズム176の内部で反射測距光が6回内部反射する構成であるので、前記測距光受光部23の光軸方向の長さを小さくすることができ、前記測距光受光部23の小型化を図ることができる。
尚、図14(A)、図14(B)、図15(A)~図15(D)、図17(A)、図17(B)に於いても、前記測距光受光部23と前記追尾光受光部25を入れ替えてもよい。
又、第4の実施例及び変形例を第2の実施例と組合わせ、色ガラスを追加してもよい。色ガラスの追加により、反射測距光と反射追尾光の外乱光を減衰又は除去でき、測距精度及び追尾精度を向上させることができる。