JP7360220B1 - ロープ連結具 - Google Patents
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Abstract
Description
また落石防護柵や雪崩防止柵でも、間隔を隔てて立設した複数の支柱の間に、落石や落雪を捕捉するための捕捉用ネットを展張する。
捕捉用ネットは、ワイヤロープ等のロープ材を連結具によって縦横に連結して構成する。
特許文献1には、縦横に交差するワイヤロープを、凹状の溝を有する平板と2本のU字ボルトの組合せによって交点で挟み込んで連結する連結具が開示されている。
特許文献2には、縦横に交差するワイヤロープを、面状支圧孔を構成する2枚の支圧プレートによって交点で挟み込んで連結する連結具が開示されている。
<1>ワイヤロープの交角を90°に組合せた上で取り付ける必要があり、現場での施工性が悪い。特に重量の大きい太径のワイヤロープは水平方向に展張されていても中央部は重みで垂れ下がっており、これを持ち上げて交角を90°に角度合わせしつつ連結具をボルト留めする作業には、手間と多大な労力を要する。
<2>捕捉用ネットが土石流や落石等を受撃すると、受撃部分のワイヤロープの間隔が押し広げられて網目が広がろうとする。しかし、従来技術の連結具は、ワイヤロープの交角が90°に固定されており、交点を移動させたり、交角を変化させることができない。このため、網目の変形によって受撃エネルギーを分散させることができない。
<3>ワイヤロープの交角が固定されているため、受撃時に網目が押し広げられる際に、ワイヤロープが連結具との取り合い部分で曲折する。この曲折部分に応力が集中することで、ワイヤロープが破断するおそれがある。
<4>透過型捕捉構造物の捕捉用ネットに適用する場合、ワイヤロープの交角が90°に固定されているため、ワイヤロープを渓床から渓岸に向けて斜めに連結することができない。このため、支柱の下方においてワイヤロープを水平に展張するために、渓岸を掘り下げて支柱の基部の高さを揃える必要があり、施工コストが嵩む(図9)。
<1>2本のロープ材の交点を支圧プレートで挟み、ボルトで仮留めしてロープ材に取り付けた状態で、ロープ材の交角を任意の角度に調整しつつ連結することができる。このため、組み立てが容易で現場での施工性が非常に高い。
<2>捕捉用ネットが受撃してロープ材にかかる張力が一定以上になると、ロープ材がロープ連結具内で摺動して交点が移動する。また、捕捉用ネットの網目の広がりに伴い、定位凹部内でコマピースが回動してロープ材の交角が変化する。これらの摺動時の摩擦により、受撃エネルギーを分散して吸収することができる。
<3>捕捉用ネットの網目の広がりに伴い、ロープ材の交角が変化して荷重伝達しやすい角度に自動調整される。これによって、ロープ材への部分的な応力集中を避けてロープ材の破断を防ぐことができる。
<4>透過型捕捉構造物において、ロープ材を渓岸側から渓床側に向けて斜めに連結して捕捉ネットを展張することができる。これによって、渓岸を渓床の高さまで掘り下げる必要がないため、施工コストを低減することができる(図7、8)。
<1>全体の構成(図1、2)
ロープ連結具1は、複数のロープ材Bを交点で連結する部材である。
ロープ連結具1は、2枚の支圧プレート10と、2つのコマピース20と、を少なくとも備える。
2枚の支圧プレート10は締結具30で締結する。締結具30は、本例では4組のボルト31と、ナット32と、複数のワッシャ33と、の組合せとする。
ロープ連結具1は、支圧プレート10内に回動可能に配置したコマピース20によって、交差する2本のロープ材Bを任意の交角で連結可能な構造に一つの特徴を備える。
本例では、ロープ連結具1を、透過型捕捉構造物Aの捕捉用ネットに適用する例について説明する。ただし、ロープ連結具1の用途は透過型捕捉構造物Aに限らず、落石防護柵や雪崩防止柵等のロープ材Bにも適用することができる。
支圧プレート10は、コマピース20を介してロープ材Bの交点を挟み込んで支圧する部材である。
支圧プレート10は、プレート本体11と、プレート本体11の底面中央に設けた定位凹部12と、プレート本体の両面を貫通する複数の挿通孔14と、を少なくとも備える。
本例では支圧プレート10が、プレート本体11の底面側に突起した4つの支持台13を備え、4つの挿通孔14が支持台13を貫通する。
プレート本体11は、支圧プレート10の本体部材である。
本例ではプレート本体11として、平面視略円形の鋼製プレートを採用する。ただしプレート本体11の素材や形状はこれに限らず、例えば平面視矩形、平面視八角形、その他の多角形状を採用してもよい。
本例では、プレート本体11の底面が定位凹部12側に向かってすり鉢状に傾斜する。すなわち、プレート本体11の底面が、プレート本体11の外縁部から中央部に向かって上面側に傾斜する。これによって、プレート本体11の底面をロープ材Bの表面に沿わせて線状に支圧することが可能となる。
定位凹部12は、コマピース20を保持する凹部である。
本例では定位凹部12として、略円錐台形状の凹部を採用する。
詳細には、定位凹部12は、底面視略円形状かつ断面視なべ底状を呈し、プレート本体11の底面から孔底に向かって僅かに縮径する。
ただし定位凹部12の形状はこれに限らず、底面視多角形状、断面視半円形状、断面視矩形状、断面視三角形状その他の多角形状の組合せであってもよい。要はコマピース20を、少なくともプレート本体11の周方向に回動可能に保持できる構造であればよい。
支持台13は、2枚の支圧プレート10の間隔を保持するスペーサである。
本例では4つの支持台13を、支圧プレート10の周方向において不均一な間隔に配置する。
詳細には、4つの支持台13を、プレート本体11の底面視において、定位凹部12を挟んで対向する2箇所と、定位凹部12を挟んで対向する他の2箇所と、に設け、1の支持台13と、周方向に隣り合う他の2つの支持台13との間隔を異なるように配置する。すなわち1の支持台13から、隣り合う一方の支持台13への中心角は90°より小さいR1となり、隣り合う他の支持台13への中心角は90より大きいR2となる。
支持台13をこのような配置にすることで、ロープ材Bへの取付け時、ロープ材Bの可動域が大きくなり、交角の許容範囲が広がる。
なお、支持台13の数や構造はこれに限らず、例えば一方の支圧プレート10のみが支持台13を備え、他方の支圧プレート10は支持台13を備えていない構造であってもよい。又は、一方の支圧プレート10が支持台13を備え、他方の支圧プレート10は支持台13を受け入れる凹部を備える構造であってもよい。
コマピース20は、2本のロープ材Bを角度調整可能に保持する部材である。
コマピース20は、ピース本体21と、ピース本体21の底部を横断する保持溝22と、を少なくとも備える。
コマピース20は、支圧プレート10の定位凹部12内において、少なくとも周方向に回動可能な外形を呈する。
ピース本体21は、コマピース20の本体部材である。
本例ではピース本体21として、頂部21aを湾曲した凸形状とした鋼材を採用する。
頂部21aを湾曲凸形状とすることで、定位凹部12内において、コマピース20がプレート本体11の周方向に加え、プレート本体11の厚み方向にも回動自在となる。
これによって、コマピース20の角度調整が滑らかになることで、ロープ材Bへのロープ連結具1の取付けが容易になると共に、ロープ材Bの受撃時にコマピース20の向きがプレート本体11の厚み方向にも微動することで、ロープ材Bの衝撃吸収機能が向上する。
なおピース本体21の形状は湾曲凸形状に限らず、例えば頂部21aを円柱状とし、対応する円柱状の定位凹部12内に収容する構造としてもよい(図5)。
保持溝22は、内面でロープ材Bを保持する溝である。
保持溝22の内径は、使用するロープ材Bの外径に対応する。
保持溝22の深さは、コマピース20を定位凹部12に嵌め込んだ状態において、保持溝22の溝底がプレート本体11の底面と揃う深さであることが望ましい。これによって、保持溝22の内面とプレート本体11の底面との間に段差がなくなるため、ロープ材Bへの取付け時、ロープ材Bの外周を、保持溝22の内面と保持溝22の内面とで連続して支圧することが可能となる。
本例では、保持溝22の内周面に滑り止め手段23を形成する。ただし滑り止め手段23は必須の構成要素ではない。
滑り止め手段23は、ロープ材Bの滑りを防止するための手段である。
本例では滑り止め手段23として、保持溝22の内周面において、保持溝22の湾曲方向に沿って形成した複数の峰状体を採用する。
滑り止め手段23によって、ロープ材Bの滑動に対する摩擦抵抗力を高めることができる。
なお、滑り止め手段23の構造は峰状に限らず、突起状、溝状、段差状、又はこれらの組合せであってもよい。
本発明のロープ連結具1を用いて、2本のロープ材Bを例えば以下の手順で連結する。
交差する2本のロープ材Bの交点を、2つのコマピース20で両側から挟む。
詳細には、第1のロープ材Bと第2のロープ材Bの交点の両側から、第1のロープ材Bの外周に第1のコマピース20の保持溝22を嵌め込み、第2のロープ材Bの外周に第2のコマピース20の保持溝22を嵌め込む。
2つのコマピース20を、2枚の支圧プレート10で挟み込む。
詳細には、2枚の支圧プレート10の底面側を内側に向け、2つのコマピース20の頂部21aを支圧プレート10の底面で両側から挟み込み、支持台13同士を接面させる。
この際、湾曲したピース本体21の頂部21aが、定位凹部12に沿って定位凹部12の中心方向に誘導されることで、コマピース20が定位凹部12内に自動的に位置決めされる(定位機能)。
また、2つのコマピース20がロープ材Bの交角に応じて定位凹部12内で自在に回動することで、2枚の支圧プレート10の相対角度を容易に調整することができる(角度調整機能)。
続いて、2枚の支圧プレート10を、締結具30で締結する。
詳細には、例えば2枚の支圧プレート10の挿通孔14内にボルト31を連通し、ボルト31にワッシャ33を挿通してナット32を螺着する。
ナット32の螺着によって、保持溝22の内面がロープ材Bの外周を面状に支圧して、2本のロープ材Bを交点で確実に固定する。
透過型捕捉構造物Aは、渓床から両渓岸にわたって間隔を隔てて立設した複数の支柱A1の間に、それぞれ捕捉用ネットA2を展設してなる。
捕捉用ネットA2は、複数のロープ材Bを縦横に編成してなる。
本発明のロープ連結具1は、2本のロープ材Bを90°を含む任意の角度で連結することができる。
よって、渓床側の支柱A1の下部と渓岸側の支柱A1の下部との間において、横方向のロープ材Bを縦方向のロープ材Bと斜めに連結することで、渓岸を渓床の高さまで掘り下げることなく支柱A1を立設できる(図7)。これによって、施工コストを低減することができる。
さらに、渓床側の支柱A1と渓岸側の支柱A1の間のロープ材Bを全て傾斜して展張することで、平行四辺形網目の捕捉用ネットA2を展張することができる(図8)。これによって、渓床側の支柱A1の高さを抑えて施工コストを低減することができる。
本発明のロープ連結具1は、ロープ材Bが受撃する際の緩衝機能を備える点に一つの特徴を有する。
捕捉用ネットA2に流下物が衝突すると、捕捉用ネットA2の網目を押し広げるようにロープ材Bに張力が働く。ロープ材Bにかかる張力が一定以上になると、コマピース20に支圧されていたロープ材Bが保持溝22内から摺動して、ロープ材Bの交点がずれる。この際に2本のロープ材Bの交点、ロープ材Bの表面と保持溝22の内面、及びロープ材Bの表面とプレート本体11の底面、の間にそれぞれ摩擦抵抗が生じることで、受撃エネルギーが吸収される。
また、受撃により捕捉用ネットA2の網目が広がり、ロープ材Bの間隔が押し広げられると、定位凹部12内のコマピース20が回動して、ロープ材Bの交角を荷重伝達しやすい角度に変化させる。これによって、捕捉用ネットA2が全体で受撃エネルギーを分散吸収できると共に、ロープ材Bへの部分的な応力集中を回避してロープ材Bの破断を防止することができる。
10 支圧プレート
11 プレート本体
12 定位凹部
13 支持台
14 挿通孔
20 コマピース
21 ピース本体
21a 頂部
22 保持溝
23 滑り止め手段
30 締結具
31 ボルト
32 ナット
33 ワッシャ
A 透過型捕捉構造物
A1 支柱
A2 捕捉用ネット
B ロープ材
Claims (6)
- 2本のロープ材を交点で連結する、ロープ連結具であって、
2枚の支圧プレートと、2つのコマピースと、を備え、
前記2枚の支圧プレートはそれぞれ、上面と底面を有するプレート本体と、前記プレート本体の前記底面中央に設けた定位凹部と、前記プレート本体の前記上面と前記底面を貫通する複数の挿通孔と、を有し、
前記2つのコマピースはそれぞれ、高さ方向に連続する頂部及び胴部と、前記胴部の底面と、を有するピース本体であって、前記頂部が前記定位凹部に収容可能な形状を呈するピース本体と、前記ピース本体の前記底面を前記高さ方向と直交する方向に横断する保持溝と、を有し、
2本のロープ材の交点を前記2つのコマピースの保持溝で前記2本のロープ材の延在方向と直交する方向における両側から挟み、前記2つのコマピースにおけるピース本体の頂部を前記2枚の支圧プレートの定位凹部で前記両側から挟み、前記2枚の支圧プレートの前記複数の挿通孔内に締結具を連通して締結することで、前記2本のロープ材を任意の交角で連結可能に構成したことを特徴とする、
ロープ連結具。 - 前記ピース本体の前記頂部が湾曲した凸形状からなることを特徴とする、請求項1に記載のロープ連結具。
- 前記保持溝が、内面に突起状、溝状、峰状、及び/又は段差状の滑り止め手段を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロープ連結具。
- 前記プレート本体が、平面視略円形を呈し、前記プレート本体の前記底面が、外縁部から中央部に向かって前記上面側に傾斜することを特徴とする、請求項1又は2に記載のロープ連結具。
- 前記プレート本体が、前記底面側に突起した複数の支持台を備え、前記挿通孔が、前記支持台を貫通することを特徴とする、請求項1又は2に記載のロープ連結具。
- 4つの前記支持台を、前記プレート本体の底面視において、前記定位凹部を挟んで対向する2箇所と、前記定位凹部を挟んで対向する他の2箇所と、に設け、1の前記支持台において、周方向に隣り合う2つの前記支持台との間隔が異なることを特徴とする、請求項5に記載のロープ連結具。
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JPH10331921A (ja) * | 1997-06-04 | 1998-12-15 | Hiroshi Yoshida | 衝撃吸収用ロープ材の把持装置 |
JPH10331166A (ja) * | 1997-05-28 | 1998-12-15 | Kanetomo Fujiwara | ロープ係留用アンカー |
JP2012107462A (ja) * | 2010-11-19 | 2012-06-07 | Yuzo Sakamoto | 地すべり防護工 |
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- 2023-01-10 JP JP2023001639A patent/JP7360220B1/ja active Active
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