JP7359728B2 - 貨幣情報生成装置、貨幣処理装置、貨幣情報生成システム、貨幣情報生成方法及び貨幣情報生成プログラム - Google Patents

貨幣情報生成装置、貨幣処理装置、貨幣情報生成システム、貨幣情報生成方法及び貨幣情報生成プログラム Download PDF

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Description

本発明は、貨幣情報生成装置、貨幣処理装置、貨幣情報生成システム、貨幣情報生成方法及び貨幣情報生成プログラムに関する。より詳しくは、仮想的な貨幣の画像情報を生成するのに好適な貨幣情報生成装置、貨幣処理装置、貨幣情報生成システム、貨幣情報生成方法及び貨幣情報生成プログラムに関する。
硬貨や紙幣(銀行券)といった貨幣を処理する貨幣処理装置では、貨幣識別装置に搭載された異なる複数の種類のセンサを用いて、貨幣の特徴を取得する。そして、取得した貨幣の特徴と、識別の基準となるテンプレート情報との比較に基づき、貨幣の種類、真偽、正損等を識別することが一般的に行われている。
例えば、特許文献1、2には、貨幣の画像と、各種貨幣に対応した複数のテンプレート画像とを照合し、当該貨幣の真偽を判定する画像照合装置が開示されている。この装置では、硬貨の真偽を判定する場合、テンプレート画像として、硬貨の個体差によるばらつきを抑えるため、同一種類の硬貨の画像を複数合成した平均画像が用いられている。
特許第4563740号 特許第4563741号
特許文献1、2に記載の発明では、予め市場で流通している硬貨から金種ごとに複数の画像を取得し、取得した複数の画像からテンプレート画像を生成する必要がある。
また、貨幣の真偽ではなく正損を判別する場合についても、通常、予め市場で流通している汚損貨幣から金種ごとに複数の画像を取得し、取得した複数の画像からテンプレート情報を生成している。
ところで、硬貨の改鋳が発生した場合は、貨幣処理装置にて当該改鋳後の硬貨を迅速に識別できるようにするために、迅速に改鋳後の硬貨のテンプレート情報を生成し、市場の貨幣処理装置に適用されることが求められる。
しかしながら、特許文献1、2に記載の発明のように、実物の貨幣からテンプレート情報を生成する場合、改鋳直後には、未使用の新しい貨幣(以下、新貨ともいう)しか存在しないことから、汚損貨幣に対応するテンプレート情報を生成することができない。改鋳後のこのような状況では、汚損の程度が大きい汚損貨幣は識別することができないことになる。
したがって、汚損貨幣の実物を入手できない状態であっても、当該汚損貨幣の貨幣情報(画像情報やテンプレート情報)、すなわち当該汚損貨幣に対応する仮想的な貨幣の貨幣情報を生成できることが求められる。
その反対に、汚損貨幣の実物しか入手できない状況において、新貨からテンプレート情報を生成することが必要となる場合も想定される。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、所望の損傷具合の貨幣の実物が入手できない状態であっても、当該貨幣に対応する仮想的な貨幣の硬貨情報を生成可能な貨幣情報生成装置、貨幣処理装置、貨幣情報生成システム、貨幣情報生成方法及び貨幣情報生成プログラムを提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、貨幣情報生成装置であって、前記貨幣情報生成装置は、第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成し、第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、前記損傷情報及び前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する制御部を備えることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記仮想的な貨幣の貨幣情報が本物らしくなるように、前記損傷情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、前記パターン情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、前記仮想的な貨幣の貨幣情報の生成に係る機械学習アルゴリズムとを機械学習させることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第1の貨幣は、損貨幣であり、前記第2の貨幣は、新貨幣であることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第1の貨幣は、新貨幣であり、前記第2の貨幣は、損貨幣であることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第1の貨幣の種別は、前記第2の貨幣の種別と異なることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第1の貨幣の材質は、前記第2の貨幣の材質と同じであることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第2の貨幣は、前記第1の貨幣の材質と同じ第1の材質により構成された第1の領域と、第2の材質により構成された第2の領域とを有し、前記制御部は、前記第1の領域の貨幣情報から当該第1の領域のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、前記損傷情報及び前記第1の領域の前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記第1の領域の前記パターン情報が融合した仮想的な第1の領域の貨幣情報を生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第2の材質は、前記第1の貨幣の材質と異なり、かつ他の第3の貨幣の材質と同じ材質であり、前記制御部は、前記第3の貨幣の貨幣情報から、当該第3の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成し、前記第2の領域の貨幣情報から当該第2の領域のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、前記第3の貨幣の前記損傷情報及び前記第2の領域の前記パターン情報から、前記第3の貨幣の前記損傷情報及び前記第2の領域の前記パターン情報が融合した仮想的な第2の領域の貨幣情報を生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第2の貨幣は、前記第1の貨幣の材質と同じ第1の材質により構成された第1の領域と、前記第1の貨幣の材質と異なり、かつ他の第3の貨幣の材質と同じ第2の材質により構成された第2の領域とを有し、前記貨幣情報生成装置は、前記第1の材質により構成された第3の領域と、前記第2の材質により構成された第4の領域とを含む第4の貨幣の貨幣情報から生成された、前記第3の領域の特徴量と前記第4の領域の特徴量との対応関係を記憶した記憶部を更に備え、前記制御部は、前記対応関係に基づいて、前記仮想的な貨幣の貨幣情報を生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、材質が同一で、かつ損傷具合が互いに異なる複数の第1の貨幣の貨幣情報から、前記第1の貨幣に係る複数の損傷情報を生成し、材質が同一で、かつ損傷具合が互いに異なる複数の第3の貨幣の貨幣情報から、前記第3の貨幣に係る複数の損傷情報を生成し、前記第1の貨幣に係る複数の損傷情報及び前記パターン情報から、前記第1の貨幣に係る複数の損傷情報の各々と前記パターン情報とが融合した複数の第1の仮想的な貨幣の貨幣情報を生成し、前記第3の貨幣に係る複数の損傷情報及び前記パターン情報から、前記第3の貨幣に係る複数の損傷情報の各々と前記パターン情報とが融合した複数の第2の仮想的な貨幣の貨幣情報を生成し、前記複数の第1の仮想的な貨幣の貨幣情報から前記第1の領域に対応する領域の第1の特徴量をそれぞれ算出し、複数の第2の仮想的な貨幣の貨幣情報から前記第2の領域に対応する領域の第2の特徴量をそれぞれ算出し、前記対応関係に基づいて、複数の前記第1の特徴量と複数の前記第2の特徴量とのうちから最適な第1の特徴量及び第2の特徴量の組み合わせを決定し、最適な前記第1の特徴量及び前記第2の特徴量にそれぞれ対応する第1の仮想的な貨幣の貨幣情報及び第2の仮想的な貨幣の貨幣情報から、前記第1の領域に対応する領域の前記第1の仮想的な貨幣の貨幣情報と前記第2の領域に対応する領域の前記第2の仮想的な貨幣の貨幣情報とを含む第3の仮想的な貨幣の貨幣情報を生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記損傷情報は、前記第1の貨幣の下地の損傷に関する情報であることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第1の貨幣の種別は、前記第2の貨幣の種別と同じであり、前記制御部は、前記第1の貨幣の第1の面の貨幣情報から当該第1の面の損傷に関する情報である損傷情報を生成し、前記第2の貨幣の前記第1の面と異なる第2の面の貨幣情報から当該第2の面のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、前記第1の面の前記損傷情報及び前記第2の面の前記パターン情報から、前記第1の面の前記損傷情報及び前記第2の面の前記パターン情報が融合した仮想的な第2の面の貨幣情報を生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記貨幣情報は、画像情報であることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣処理システムであって、前記貨幣処理システムは、前記貨幣情報生成装置と、前記仮想的な貨幣の前記貨幣情報に基づくテンプレート情報を記憶した記憶部を有する貨幣処理装置と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣処理装置であって、前記貨幣処理装置は、前記貨幣情報生成装置と、前記仮想的な貨幣の前記貨幣情報に基づくテンプレート情報を記憶した記憶部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣情報生成システムであって、前記貨幣情報生成システムは、第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成する損傷情報生成部と、第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成するパターン情報生成部と、前記損傷情報及び前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する仮想貨幣情報生成部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣情報生成方法であって、前記貨幣情報生成方法は、第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成するステップと、第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成するステップと、前記損傷情報及び前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成するステップと、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣情報生成プログラムであって、前記貨幣情報生成プログラムは、コンピュータを、第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成する手段、第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成する手段、及び前記損傷情報及び前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する手段、として機能させることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣情報生成装置であって、前記貨幣情報生成装置は、第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報を生成し、第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、前記偽造情報及び前記パターン情報から、前記偽造情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する制御部を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣処理システムであって、前記貨幣処理システムは、前記貨幣情報生成装置と、前記仮想的な貨幣の前記貨幣情報に基づくテンプレート情報を記憶した記憶部を有する貨幣処理装置と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣処理装置であって、前記貨幣処理装置は、前記貨幣情報生成装置と、前記仮想的な貨幣の前記貨幣情報に基づくテンプレート情報を記憶した記憶部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣情報生成システムであって、前記貨幣情報生成システムは、第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報を生成する偽造情報生成部と、第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成するパターン情報生成部と、前記偽造情報及び前記パターン情報から、前記偽造情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する仮想貨幣情報生成部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣情報生成方法であって、前記貨幣情報生成方法は、第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報を生成するステップと、第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成するステップと、前記偽造情報及び前記パターン情報から、前記偽造情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成するステップと、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、貨幣情報生成プログラムであって、前記貨幣情報生成プログラムは、コンピュータを、第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報を生成する手段、第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成する手段、及び前記偽造情報及び前記パターン情報から、前記偽造情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する手段、として機能させることを特徴とする。
本発明の貨幣情報生成装置、貨幣処理装置、貨幣情報生成システム、貨幣情報生成方法及び貨幣情報生成プログラムによれば、所望の損傷具合の貨幣の実物が入手できない状態であっても、当該貨幣に対応する仮想的な貨幣の硬貨情報を生成することができる。
実施形態1における貨幣情報の生成手法の概要を説明するための模式図である。 実施形態1に係る貨幣情報生成装置の構成を説明するブロック図であり、機械学習時の構成を示す。 実施形態1に係る貨幣情報生成装置の構成を説明するブロック図であり、機械学習後の構成を示す。 機械学習時の実施形態1に係る貨幣情報生成装置で行われる処理の手順の一例を示すフローチャートである。 機械学習後の実施形態1に係る貨幣情報生成装置で行われる処理の手順の一例を示すフローチャートである。 実施形態1に係る貨幣情報生成装置を含む貨幣処理システムの全体構成の一例を説明するブロック図である。 実施形態1に係る貨幣情報生成装置を含む貨幣処理システムの全体構成の他の例を説明するブロック図である。 実施形態1に係る貨幣情報生成装置を含む貨幣処理装置の全体構成を説明するブロック図である。 実施形態2に係る貨幣情報生成装置の構成を説明するブロック図であり、機械学習後の構成を示す。 実施形態2に係る貨幣情報生成装置による具体的な処理の一例を説明するための模式図である。 機械学習後の実施形態1に係る貨幣情報生成装置で行われる処理の手順の一例を示すフローチャートである。 変形形態に係る貨幣情報生成装置の構成を説明するブロック図であり、機械学習時の構成を示す。 変形形態に係る貨幣情報生成装置の構成を説明するブロック図であり、機械学習後の構成を示す。
以下、本発明に係る貨幣情報生成装置、貨幣情報生成システム、貨幣情報生成方法及び貨幣情報生成プログラムの好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、「貨幣」とは、硬貨と、紙幣等の紙葉類とを包含するものを意味する。また、本発明の対象となる紙葉類としては、紙幣(銀行券)、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等の様々な紙葉類が適用可能である。
また、「貨幣情報」とは、貨幣に関する所定の情報を意味し、好適な具体例としては、当該貨幣の画像(画像データ)、及び当該硬貨から得られるテンプレート情報が挙げられる。下記実施形態では、貨幣として硬貨を対象とし、貨幣情報として貨幣の画像情報(以下、単に画像とも言う)を使用した例について説明する。
損傷がある貨幣の種類、又は損傷がある貨幣とされる要因としては、以下が挙げられる。
・硬貨の場合:「汚れ」、「腐食(劣化)」、「機械的損傷(傷、穴、摩耗等)」、「変形」、「欠陥(製造過程における欠陥、刻印ミスや成型不良等)」等
・紙幣の場合:「汚れ」、「落書き」、「欠損(角の欠落、穴、その他部分的な欠落等)」、「破れ・裂け」、「折れ」、「疲労」、「テープが貼られたもの」等
本明細書では、「損傷」という用語については、上記種類又は要因で挙げたように、貨幣が正常な状態から変化することを総称して、損傷がある等と言う。また、損傷のない貨幣及び損傷のある貨幣を、それぞれ、正常貨幣及び損傷貨幣、又は正貨幣及び損貨幣とも言い、硬貨の場合は正貨及び損貨、又はFit硬貨、UnFit硬貨とも言い、紙幣の場合は正券及び損券、又はFit紙幣、UnFit紙幣とも言う。
また、貨幣に損傷があるか否か、貨幣が基準に合うか否か、及び/又は貨幣が流通に適しているか否かを識別(判別でもよい)することを正損識別(正損判別でもよい)と言う。
(実施形態1)
<本実施形態の概要>
まず、実施形態1における貨幣情報の生成手法の概要について説明する。図1に示すように、本実施形態では、まず、第1の硬貨の画像としてのスタイル用入力画像を、第2の硬貨の画像としての変換元画像をそれぞれ準備する。
スタイル用入力画像(第1の硬貨の画像)は、これぐらいの損傷具合にしたいという所望の損傷具合をもつ第1の硬貨の画像であり、任意のパターン(模様、刻印)を有している。スタイル用入力画像は、通常、ある程度の損傷がある流通している硬貨(好適には損貨)の画像であるが、損傷がない硬貨(例えば新貨)の画像であってもよい。
変換元画像(第2の硬貨の画像)は、スタイル用入力画像がもつ損傷具合にしたいという第2の硬貨の画像であり、任意の損傷具合を有している。変換元画像(第2の硬貨の画像)は、通常、損傷がない硬貨(例えば新貨)の画像であるが、ある程度の損傷がある流通している硬貨(好適には損貨)の画像であってもよい。
次に、スタイル用入力画像から、第1の硬貨の損傷に関する情報である損傷情報を生成(抽出)するとともに、変換元画像から、第2の硬貨のパターンに関する情報であるパターン情報を生成(抽出)する。
そして、損傷情報及びパターン情報から、損傷情報及びパターン情報が融合した仮想的な硬貨の画像を生成する。この結果、第1の硬貨と同程度の損傷具合であり、かつ第2の硬貨のパターンをもつ硬貨(ただし、実在はしない仮想的なもの)の画像を生成することができる。すなわち、第1の硬貨と同程度の損傷具合をもつ第2の硬貨が実際には存在しない場合でも、上述のように生成した仮想的な硬貨の画像に基づいて、第2の硬貨に係るテンプレート情報を生成することができる。
なお、「損傷情報(損傷に関する情報)」とは、損傷があることに関する情報であってもよいし、損傷がないことに関する情報であってもよい。前者の場合は、硬貨の刻印や下地を劣化させるための情報であってもよい。
また、「損傷具合」とは、損傷の程度を示す用語であり、損傷がある場合のみならず、損傷がない場合も包含するものである。
すなわち、本実施形態では、第1の硬貨が損傷がある硬貨であり、第2の硬貨が損傷がない、或いは損傷が少ない硬貨であり、仮想的な硬貨として、第2の硬貨を第1の硬貨と同程度まで損傷させてもよいし(損傷具合を大きくしてもよいし)、第1の硬貨が損傷がない、或いは損傷が少ない硬貨であり、第2の硬貨が損傷がある硬貨であり、仮想的な硬貨として、第2の硬貨を第1の硬貨と同程度まで損傷させなくてもよい(損傷具合を小さくしてもよい)。
また、「パターン情報(パターンに関する情報)」とは、硬貨に関しては、硬貨の刻印に関する情報(例えば3D情報)であってもよい。ここで、「刻印」とは、硬貨が損傷したことにより変化するものでもよいし、硬貨が損傷したとしても変化しないものであってもよい。パターン情報としては、より具体的には、例えば、損傷の程度により光の当たり方が変わる部分に関する情報や、損傷の程度によりエッジ情報が変わる部分に関する情報、損傷したことにより材質が変わる部分に関する情報等が挙げられる。
また、本実施形態では、仮想的な硬貨の画像が本物らしくなるように、上述の、損傷情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、パターン情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、仮想的な貨幣の貨幣情報の生成に係る機械学習アルゴリズムとを機械学習(好適には深層学習)する。これにより、よりリアルな仮想的な硬貨の画像を得ることが可能となる。すなわち、生成した仮想的な硬貨の画像を、所望の損傷具合をもつ第2の貨幣の実物の画像により近いものにすることができる。
更に、本実施形態では、貨幣情報として画像(画像情報)を使用することによって、所望の損傷具合の第2の貨幣(実物)に対応する仮想的な貨幣の画像を生成でき、当該画像の出来栄えを目視で確認することができる。
<貨幣情報生成装置の構成>
次に、図2及び3を用いて、本実施形態に係る貨幣情報生成装置10Aの構成について説明する。貨幣情報生成装置10Aは、一般的なパーソナルコンピュータ相当の機能を有し、図2及び3に示すように、制御部(演算処理部)20及び記憶部(図2及び3では図示省略)を備えている。
制御部20は、図2に示すように、機械学習時は、損傷情報生成部21と、パターン情報生成部22と、仮想貨幣情報生成部23と、学習部24との機能を備えており、機械学習後(例えば実運用時)は、損傷情報生成部21と、パターン情報生成部22と、仮想貨幣情報生成部23と、テンプレート生成部25との機能を備えている。
制御部20は、例えば、各種の処理を実現するためのソフトウェアプログラムと、該ソフトウェアプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。制御部20の動作に必要なソフトウェアプログラムやデータは記憶部に記憶される。
なお、制御部20の図2及び3に示した各部は、制御部20のCPUで本実施形態に係る貨幣情報生成プログラムを実行させることによって実現される。本実施形態に係る貨幣情報生成プログラムは、貨幣情報生成装置10Aに予め導入されてもよいし、汎用OS上で動作可能なアプリケーションプログラムとして、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、又は、ネットワークを介して、利用者に提供されてもよい。
記憶部は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶装置から構成され、上述の損傷情報の生成に係る処理を実行する学習済みモデルと、パターン情報の生成に係る処理を実行する学習済みモデルと、仮想的な貨幣の貨幣情報の生成に係る処理を実行する学習済みモデルとを記憶している。
損傷情報生成部21は、貨幣情報生成装置10Aに入力された第1の硬貨の画像(スタイル用入力画像)から、当該第1の硬貨の損傷に関する情報である損傷情報を生成(抽出)する。
パターン情報生成部22は、貨幣情報生成装置10Aに入力された第2の硬貨の画像(変換元画像)から、当該第2の硬貨のパターンに関する情報であるパターン情報(パターンの特徴)を生成(抽出)する。
損傷情報生成部21によって生成される損傷情報は、第1の硬貨の下地の損傷に関する情報であってもよい。すなわち、損傷情報生成部21は、第1の硬貨の画像(スタイル用入力画像)から、当該第1の硬貨の下地の損傷に関する情報を生成(抽出)してもよい。
ここで、「下地」とは、硬貨に関しては、通常、硬貨の刻印を除いた部分を指す。すなわち、硬貨は、通常、下地と刻印から構成されている。
仮想貨幣情報生成部23は、損傷情報生成部21で生成された損傷情報と、パターン情報生成部22で生成されたパターン情報とから、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した(合成された)仮想的な硬貨の画像(画像情報)を生成する。この結果、第1の硬貨と同程度の損傷具合であり、かつ第2の硬貨のパターンをもつ硬貨(ただし、実在はしない仮想的なもの)の画像を生成することができる。
損傷情報生成部21、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23は、各々、学習済みモデルから構築されており、好ましくは畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)を利用した学習済みモデルにより構築されている。仮想貨幣情報生成部23のCNNは、損傷情報生成部21及びパターン情報生成部22の各CNNと結合されている。
学習部24は、仮想貨幣情報生成部23によって生成された仮想的な硬貨の画像が本物らしくなるように、損傷情報生成部21による損傷情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、パターン情報生成部22によるパターン情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、仮想貨幣情報生成部23による仮想的な貨幣の貨幣情報の生成に係る機械学習アルゴリズムとを機械学習させる。この学習の結果、損傷情報生成部21、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23の学習済みモデルがそれぞれ作成される。各機械学習アルゴリズムは、上述の学習済みモデルと同様に、CNNを利用したものであることが好ましい。
学習部24もまた、機械学習アルゴリズム(好ましくはCNNを利用したもの)を含んでおり、仮想貨幣情報生成部23によって生成された仮想的な硬貨の画像(出力画像)と、本物の硬貨の画像(訓練データ)とに基づいて、機械学習する。すなわち、仮想的な硬貨の画像と、本物の硬貨の画像とを用いて、仮想貨幣情報生成部23によって生成された仮想的な硬貨の画像が、仮想的なものか本物か(実在のものか)をより正確に判別できるように学習する。そして、学習部24は、学習部24による出力と望ましい出力(正解)との誤差を教師信号として学習部24、損傷情報生成部21、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23に係る各機械学習アルゴリズムに与えることにより、各CNNの結合係数を次第に変化させ、最終的に正しい出力が得られるようにする。
損傷情報生成部21、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23の各学習済みモデルは、データセットを用いた学習の結果、得られたパラメータ(係数)である学習済みパラメータが組み込まれた推論プログラムとして機能する。
なお、各学習済みモデルは、追加学習されてもよい。すなわち、各学習済みモデルに学習時と異なるデータセットを適用し、更なる学習を行うことによって、新たに学習済みパラメータを生成し、この新たな学習済みパラメータが組み込まれた各学習済みモデルを利用してもよい。
テンプレート生成部25は、機械学習済みの損傷情報生成部21、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23を用いて生成された、損傷具合が互いに異なる一方で第2の硬貨と同じパターンを有する複数の仮想的な硬貨の画像からテンプレート情報を生成する。
スタイル用入力画像に利用される第1の硬貨と、変換元画像に利用される第2の硬貨とは、第1の硬貨(貨幣)が損貨(損貨幣)であり、第2の硬貨(貨幣)が新貨(新貨幣)であってもよい。この場合、第2の硬貨が改鋳され、第2の硬貨の新貨しか存在しない状況であっても、第2の硬貨の損貨に対応する仮想的な硬貨の画像を生成することができる。
他方、第1の硬貨(貨幣)が新貨(新貨幣)であり、第2の硬貨(貨幣)が損貨(損貨幣)であってもよい。この場合、第2の硬貨の損貨しか存在しない状況であっても、第2の硬貨の新貨に対応する仮想的な硬貨の画像を生成することができる。
また、第1の硬貨(貨幣)の種別、すなわち金種は、第2の硬貨(貨幣)の種別、すなわち金種と異なっていてもよい。このような場合であっても、所望の損傷具合の第2の硬貨に対応する仮想的な硬貨の画像を生成することができる。
第1の硬貨(貨幣)の材質は、第2の硬貨(貨幣)の材質と同じ(実質同一の場合を含む)であることが好ましい。これにより、生成される仮想的な硬貨の画像をより本物らしくすることができる。同じ材質の貨幣同士では例え種別が異なっていても損傷の仕方は類似するためである。ここで、第1及び第2の硬貨の材質は、各硬貨の表面の硬貨の材質であることがより好ましい。
なお、紙幣の場合であっても、材質によって損傷の仕方は、通常、異なる。例えば、紙製の紙幣と、ポリマーシート製の紙幣(ポリマー紙幣)とでは汚れ方が互いに異なる。
第1の硬貨(貨幣)の色は、第2の硬貨(貨幣)の色と近似していてもよい。これによっても、生成される仮想的な硬貨の画像をより本物らしくすることができる。色が近い貨幣同士では例え種別が異なっていても損傷の仕方は類似するためである。
また、図1に示したように、第1の硬貨(貨幣)の種別、すなわち金種は、第2の硬貨(貨幣)の種別、すなわち金種と同じであってもよい。この場合、損傷情報生成部21は、第1の硬貨(例えば10円硬貨)の第1の面(例えば表面)の画像から当該第1の面の損傷情報を生成し、パターン情報生成部22は、第2の硬貨(例えば第1の硬貨と異なる10円硬貨)の画像の第1の面と異なる第2の面(例えば裏面)の画像から当該第2の面のパターン情報を生成し、仮想貨幣情報生成部23は、損傷情報生成部21で生成された第1の面の損傷情報と、パターン情報生成部22で生成された第2の面のパターン情報とから、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した仮想的な第2の面の画像を生成する。これにより、仮想的な第2の面のより本物らしい画像を生成することができる。例え異なる面であったとしても、同じ種別の硬貨同士では損傷の仕方は類似するためである。
ここで、第2の硬貨、特にその表面が、複数の材質によりそれぞれ構成された複数の領域を有する場合に好適な処理について説明する。そのような硬貨としては、バイカラー硬貨が好適である。具体的には、例えば、2021年度上期を目途に発行予定の新500円硬貨が好適である。
第2の硬貨(例えば新500円硬貨)、特にその表面が、第1の硬貨(例えば現行の500円硬貨)の材質(例えばニッケル黄銅)と同じ第1の材質により構成された第1の領域(例えばリング部)を有する場合、パターン情報生成部22は、第2の硬貨の第1の領域の画像から当該第1の領域のパターン情報を生成し、仮想貨幣情報生成部23は、損傷情報生成部21で生成された損傷情報と、パターン情報生成部22で生成された第1の領域のパターン情報から、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した仮想的な第1の領域の画像を生成する。これにより、第2の硬貨がバイカラー硬貨であったとしても、第1の硬貨の材質と同じ第1の材質により構成された所望の損傷具合の第1の領域(例えばリング部)に対応する仮想的な第1の領域の画像を生成することができる。
また、第2の硬貨(例えば新500円硬貨)、特にその表面が、第1の硬貨(例えば現行の500円硬貨)の材質と異なり、かつ他の第3の硬貨(例えば旧500円硬貨)の材質(例えば白銅)と同じ第2の材質により構成された第2の領域(例えば中央部)を含む場合、損傷情報生成部21は、第3の硬貨の画像から当該第3の硬貨の損傷情報を生成し、パターン情報生成部22は、第2の硬貨の第2の領域の画像から当該第2の領域のパターン情報を生成し、仮想貨幣情報生成部23は、損傷情報生成部21で生成された第3の硬貨の損傷情報と、パターン情報生成部22で生成された第2の領域のパターン情報から、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した仮想的な第2の領域の画像を生成する。これにより、第1の領域(例えばリング部)のみならず、第3の硬貨の材質と同じ第2の材質により構成された所望の損傷具合の第2の領域(例えば中央部)に対応する仮想的な第2の領域の画像を生成することができる。
この場合、仮想的な第1の領域の画像(例えばリング部)と、仮想的な第2の領域の画像(例えば中央部)とを合成して硬貨全体の画像を生成する貨幣情報合成部を制御部20に設けてもよく、貨幣情報合成部により生成された画像からテンプレート生成部25がテンプレート情報を生成してもよい。
<貨幣情報生成の手順>
次に、図4及び5を用いて、貨幣情報生成装置10Aで行われる処理の手順について説明する。
機械学習時は、図4に示すように、まず、損傷情報生成部21が、貨幣情報生成装置10Aに入力された第1の硬貨の画像(スタイル用入力画像)から、当該第1の硬貨の損傷情報を生成する(ステップS11)。
また、パターン情報生成部22が、貨幣情報生成装置10Aに入力された第2の硬貨の画像(変換元画像)から、当該第2の硬貨のパターン情報を生成する(ステップS12)。
ステップS11及びS12は、図4に示すようにステップS11及びS12の順に実行してもよいし、ステップS12及びS11の順に実行してもよいし、並行して実行してもよい。
次に、仮想貨幣情報生成部23が、ステップS11で生成された損傷情報と、ステップS12で生成されたパターン情報とから、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した仮想的な硬貨の画像を生成する(ステップS13)。
次に、学習部24が、損傷情報生成部21、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23に係る各機械学習アルゴリズムを学習させる。このとき、学習部24自身に係る各機械学習アルゴリズムもまた、ステップS13で生成された仮想的な硬貨の画像と、本物の硬貨の画像(訓練データ)とに基づいて、学習する(ステップS14)。
以上のステップS11~S14を所定のデータセットについて行うことによって機械学習に係る処理を終了する。
機械学習後は、図5に示すように、まず、損傷情報生成部21が、貨幣情報生成装置10Aに入力された第1の硬貨の画像(スタイル用入力画像)から、当該第1の硬貨の損傷情報を生成する(ステップS21)。
また、パターン情報生成部22が、貨幣情報生成装置10Aに入力された第2の硬貨の画像(変換元画像)から、当該第2の硬貨のパターン情報を生成する(ステップS22)。
ステップS21及びS22は、図5に示すようにステップS21及びS22の順に実行してもよいし、ステップS22及びS21の順に実行してもよいし、並行して実行してもよい。
次に、仮想貨幣情報生成部23が、ステップS21で生成された損傷情報と、ステップS22で生成されたパターン情報とから、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した仮想的な硬貨の画像を生成する(ステップS23)。
以上のステップS21~S23を所定のサンプルについて行うことによって、損傷具合が互いに異なる一方で第2の硬貨と同じパターンを有する複数の仮想的な硬貨の画像を生成する。
そして、テンプレート生成部25が、生成された複数の仮想的な硬貨の画像からテンプレート情報を生成し(ステップS24)、処理を終了する。
<貨幣情報生成装置を含む貨幣処理システム又は貨幣処理装置の全体構成>
次に、図6~8を用いて、実施形態1に係る貨幣情報生成装置を含む貨幣処理システム及び貨幣処理装置の全体構成についてそれぞれ説明する。図6に示すように、本実施形態に係る貨幣処理システム200は、例えば銀行等の金融機関の営業店舗を対象にして構築されるものであり、貨幣情報生成装置10Aと、貨幣情報生成装置10Aと通信可能に接続された貨幣処理装置100とを備えている。
貨幣処理装置100は、例えば、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する出納機である。貨幣処理装置100は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶装置から構成された記憶部110を備えている。記憶部110には、貨幣情報生成装置10Aで生成されたテンプレート情報111が記憶されており、貨幣処理装置100、特に内蔵する貨幣識別装置(図示省略)は、記憶部110に記憶されたテンプレート情報111を用いて処理対象の貨幣の識別処理、特に好ましくは正損識別の処理を行うことができる。
図7に示すように、貨幣処理システム200は、貨幣情報生成装置10Aをクラウド化し、市場の複数の貨幣処理装置100をクラウド上の貨幣情報生成装置10Aと通信可能に接続したものであってもよい。この場合、例えば、1以上の貨幣処理装置100から当該貨幣処理装置100が取得した貨幣情報(貨幣の画像)をクラウド上の貨幣情報生成装置10Aに送信し、クラウド上の貨幣情報生成装置10Aにて当該貨幣情報を用いて上述のように機械学習とテンプレート生成とを行い、作成したテンプレート情報を1以上の貨幣処理装置100に送信し、当該貨幣処理装置100にて送信されたテンプレート情報を用いて貨幣の識別処理を行ってもよい。このとき、クラウドで作成されたテンプレート情報は、そのテンプレート情報の作成に利用された貨幣情報(貨幣の画像)を提供した貨幣処理装置100で使用されてもよいし、その貨幣処理装置100以外の貨幣処理装置100にも共有されてもよい。
図8に示すように、上述の貨幣処理装置100が貨幣情報生成装置10Aを内蔵していてもよい。この場合も、貨幣処理装置100(貨幣識別装置)の記憶部110に記憶されたテンプレート情報111を用いて処理対象の貨幣の識別処理、特に好ましくは正損識別の処理を行うことが可能である。
(実施形態2)
本実施形態は、第2の硬貨(特にその表面)が、複数の材質によりそれぞれ構成された複数の領域を有する場合に、仮想的な第1及び第2の領域の生成方法が異なることを除いて、実施形態1と実質的に同じであるので、重複する内容については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、第2の硬貨(例えば新500円硬貨)、特にその表面が、第1の硬貨(例えば現行の500円硬貨)の材質(例えばニッケル黄銅)と同じ第1の材質により構成された第1の領域(例えばリング部)と、第1の硬貨の材質と異なり、かつ第3の硬貨(例えば旧500円硬貨)の材質(例えば白銅)と同じ第2の材質により構成された第2の領域(例えば中央部)とを有する場合を主に想定している。
この場合、実施形態1で説明したように、第1及び第2の領域それぞれについて、第1及び第3の硬貨の画像を用いて仮想的な画像を作成することは可能ではあるが、それらの第1及び第2の領域は異なる材質から形成されることから、これらの領域の経時変化の仕方が同一であるか否かが不明である。例えば、第1の領域の汚れ方に対する第2の領域の汚れ方、又は、その逆がどのような関係になるかが不明である。そのため、経時変化による損傷の変化の違いを考慮した仮想的な画像を生成することが困難である。
そこで、本実施形態では、第1の材質により構成された第3の領域(例えばリング部)と、第2の材質により構成された第4の領域(例えば中央部)とを含む第4の硬貨(例えば記念硬貨)を複数準備する。すなわち、第4の硬貨の第3の領域は、第1の貨幣、及び第2の貨幣の第1の領域と同じ材質から構成され、第4の硬貨の第4の領域は、第3の貨幣、及び第2の貨幣の第2の領域と同じ材質から構成されている。そして、それらの第4の硬貨の画像から、第3の領域の特徴量と第4の領域の特徴量とをそれぞれ算出し、算出した特徴量の対応関係(例えば算出した特徴量の関係を示す関係式)を作成し、この対応関係に基づいて、仮想的な第2の硬貨の画像を生成する。この対応関係は、第3の領域、すなわち第1の硬貨の材質と、第4の領域、すなわち第3の硬貨の材質とが同一硬貨に存在する場合の経時変化による損傷の変化を反映したものとなる。したがって、経時変化による損傷の変化の違いを反映した仮想的な画像を生成することが可能となる。複数の第4の硬貨の損傷具合は互いに異なることが好ましく、本実施形態は、第4の硬貨を大量に入手できない場合に特に好適である。なお、実施形態1は、第4の硬貨を入手できない場合に好適である。以下、本実施形態についてより詳細に説明する。
<貨幣情報生成装置の構成>
まず、図9を用いて、本実施形態に係る貨幣情報生成装置10Bの構成について説明する。機械学習時の構成は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。図9に示すように、機械学習後、貨幣情報生成装置10Bの制御部20は、損傷情報生成部21、パターン情報生成部22、仮想貨幣情報生成部23及びテンプレート生成部25の機能に加えて、特徴量算出部26、組合せ決定部27及び貨幣情報合成部28の機能を備えている。また、貨幣情報生成装置10Bの記憶部(図9では30の符号を付して図示)には、複数の第4の硬貨の第3の領域の特徴量及び第4の領域の特徴量から作成された対応関係31、例えば関係式が記憶されている。関係式としては、例えば部分空間を用いることができる。
本実施形態では、損傷情報生成部21は、材質が同一で、かつ損傷具合が互いに異なる複数の第1の硬貨(例えば現行の500円硬貨)の画像から、第1の硬貨に係る複数の損傷情報を生成する。また、損傷情報生成部21は、材質が同一で、かつ損傷具合が互いに異なる複数の第3の硬貨(例えば旧500円硬貨)の画像から、第3の硬貨に係る複数の損傷情報を生成する。第3の硬貨は、材質が第1の硬貨と異なる硬貨である。複数の第1の硬貨の種別(金種)は、互いに同一でも異なっていてもよい。同様に、複数の第3の硬貨の種別(金種)は、互いに同一でも異なっていてもよい。
パターン情報生成部22は、実施形態1と同様に、第2の硬貨(例えば新500円硬貨)の画像から、当該第2の硬貨のパターン情報を生成する。
仮想貨幣情報生成部23は、第1の硬貨に係る複数の損傷情報及びパターン情報から、第1の硬貨に係る複数の損傷情報の各々とパターン情報とが融合した複数の第1の仮想的な硬貨の画像(硬貨全域でも第1の領域に対応する領域のみでもよい)を生成する。この結果、複数の第1の硬貨のそれぞれと同程度の損傷具合であり、かつ第2の硬貨のパターンをもつ複数の硬貨(ただし、実在はしない仮想的なもの)の画像が生成される。また、仮想貨幣情報生成部23は、第3の硬貨に係る複数の損傷情報及びパターン情報から、第3の硬貨に係る複数の損傷情報の各々とパターン情報とが融合した複数の第2の仮想的な硬貨の画像(硬貨全域でも第2の領域に対応する領域のみでもよい)を生成する。この結果、複数の第3の硬貨のそれぞれと同程度の損傷具合であり、かつ第2の硬貨のパターンをもつ複数の硬貨(ただし、実在はしない仮想的なもの)の画像が生成される。
特徴量算出部26は、仮想貨幣情報生成部23によって生成された複数の第1の仮想的な硬貨の画像から第1の領域(例えばリング部)に対応する領域の第1の特徴量をそれぞれ算出する。また、特徴量算出部26は、仮想貨幣情報生成部23によって生成された複数の第2の仮想的な硬貨の画像から第2の領域(例えば中央部)に対応する領域の第2の特徴量をそれぞれ算出する。
ここで、上述の特徴量(第1及び第2の特徴量と、第3の領域の特徴量と、第4の領域の特徴量)は、特に限定されないが、例えば輝度(画素値)の平均値を用いることができる。他には、輝度(画素値)の分散値や、エッジ強度の平均値及び分散値等を用いてもよい。
組合せ決定部27は、対応関係31(例えば関係式)に基づいて、第1の仮想的な硬貨に係る複数の第1の特徴量と、第2の仮想的な硬貨に係る複数の第2の特徴量とのうちから、最適な第1の特徴量及び第2の特徴量の組み合わせを決定する。例えば、関係式(部分空間)から最も距離が小さくなる組み合わせを決定する。
貨幣情報合成部28は、組合せ決定部27によって決定された最適な第1の特徴量及び第2の特徴量にそれぞれ対応する第1の仮想的な硬貨の画像及び第2の仮想的な硬貨の画像から、第1の領域に対応する領域の第1の仮想的な硬貨の画像(例えばリング部の画像)と、第2の領域に対応する領域の第2の仮想的な硬貨の画像(例えば中央部の画像)とを合成し、両画像を含む第3の仮想的な硬貨の画像を生成する。貨幣情報合成部28は、組合せ決定部27によって決定された各組合せについて、第1の仮想的な硬貨の画像及び第2の仮想的な硬貨の画像から第3の仮想的な硬貨の画像を生成する。
そして、テンプレート生成部25が、貨幣情報合成部28により生成された複数の第3の仮想的な硬貨の画像からテンプレート情報を生成する。
ここで、図10を用いて、本実施形態におけるより具体的な処理の一例について説明する。この例では、図10に示すように、まず、第4の硬貨として、損傷具合が互いに異なる複数の記念硬貨の画像を準備する。これらの記念硬貨は、現行の500円硬貨と同じ材質のリング部と、旧500円硬貨と同じ材質の中央部とを備えるバイカラー硬貨であるが、各記念硬貨の金種及び模様は、特に限定されず、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。そして、記念硬貨の一方の面を、刻印部と下地部、中央部(内)とリング部(外)からなる4つの領域(図中の白色の領域)に分離し、対応関係31として、各領域の輝度(画素値)の平均値を特徴量とした4次元部分空間を作成する(記念硬貨で学習)。
次に、損傷具合が互いに異なる複数の現行の500円硬貨のスタイル用画像と、損傷具合が互いに異なる複数の旧500円硬貨のスタイル用画像とを準備し、損傷情報生成部21によって、現行の500円硬貨に係る複数の損傷情報と、旧500円硬貨に係る複数の損傷情報を生成する。
また、新500円硬貨の変換元画像を準備し、パターン情報生成部22によって、新500円硬貨のパターン情報を生成する。
そして、仮想貨幣情報生成部23によっては、複数の現行の500円硬貨のそれぞれと同程度の損傷具合であり、かつ新500円硬貨のパターンをもつ複数の第1の仮想的な硬貨の画像(第1の出力画像)を生成するとともに、複数の旧500円硬貨のそれぞれと同程度の損傷具合であり、かつ新500円硬貨のパターンをもつ複数の第2の仮想的な硬貨の画像(第2の出力画像)を生成する。
続いて、特徴量算出部26によって、複数の第1の仮想的な硬貨の画像のリング部の刻印部及び下地部の輝度(画素値)の平均値をそれぞれ算出するとともに、複数の第2の仮想的な硬貨の画像の中央部の刻印部及び下地部の輝度(画素値)の平均値をそれぞれ算出する。
続いて、組合せ決定部27によって、対応関係31に基づいて、最適な輝度の平均値を有する第1の仮想的な硬貨の画像と第2の仮想的な硬貨の画像との最適な組み合わせを決定する。具体的には、複数の第1の仮想的な硬貨の画像と、複数の第2の仮想的な硬貨の画像との間で、4次元部分空間からの輝度の平均値の距離が最も小さくなる最適な組み合わせを求める。この結果、第1の仮想的な硬貨の画像と、第2の仮想的な硬貨の画像とが1対1の関係にて対応付けられることになる。
そして、貨幣情報合成部28によって、各組合せの第1の仮想的な硬貨のリング部の画像及び第2の仮想的な硬貨の中央部の画像を合成し、第3の仮想的な硬貨の画像を生成する。
<貨幣情報生成の手順>
次に、図11を用いて、貨幣情報生成装置10Bで行われる処理の手順について説明する。機械学習時の処理は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
機械学習後は、本実施形態では、図11に示すように、まず、損傷情報生成部21が、貨幣情報生成装置10Bに入力された複数の第1の硬貨の画像(スタイル用入力画像)から、当該第1の硬貨の複数の損傷情報を生成するとともに、貨幣情報生成装置10Bに入力された複数の第3の硬貨の画像(スタイル用入力画像)から、当該第3の硬貨の複数の損傷情報を生成する(ステップS31)。
また、パターン情報生成部22が、貨幣情報生成装置10Bに入力された第2の硬貨の画像(変換元画像)から、当該第2の硬貨のパターン情報を生成する(ステップS32)。
ステップS31及びS32は、図11に示すようにステップS31及びS32の順に実行してもよいし、ステップS32及びS31の順に実行してもよいし、並行して実行してもよい。
次に、仮想貨幣情報生成部23が、ステップS31で生成された第1の硬貨に係る複数の損傷情報と、ステップS32で生成されたパターン情報とから、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した複数の第1の仮想的な硬貨の画像を生成するとともに、ステップS31で生成された第3の硬貨に係る複数の損傷情報と、ステップS32で生成されたパターン情報とから、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した複数の第2の仮想的な硬貨の画像を生成する(ステップS33)。
次に、特徴量算出部26が、ステップS33で生成された複数の第1の仮想的な硬貨の画像から第1の領域(例えばリング部)に対応する領域の第1の特徴量をそれぞれ算出するとともに、ステップS33で生成された複数の第2の仮想的な硬貨の画像から第2の領域(例えば中央部)に対応する領域の第2の特徴量をそれぞれ算出する(ステップS34)。
次に、組合せ決定部27が、対応関係31に基づいて、最適な第1の特徴量及び第2の特徴量の組み合わせを決定する(ステップS35)。
次に、貨幣情報合成部28が、ステップS35で決定された最適な第1の特徴量及び第2の特徴量にそれぞれ対応する第1の仮想的な硬貨の画像及び第2の仮想的な硬貨の画像から、第1の領域に対応する領域の第1の仮想的な硬貨の画像と、第2の領域に対応する領域の第2の仮想的な硬貨の画像とを合成して第3の仮想的な硬貨の画像を生成する(ステップS36)。このステップS36は、ステップS35で決定された各組合せについて実行される。
次に、テンプレート生成部25が、ステップS36で生成された複数の第3の仮想的な硬貨の画像からテンプレート情報を生成し(ステップS37)、処理を終了する。
なお、本実施形態では、以下の処理により第3の仮想的な硬貨の画像を生成してもよい。
この場合、まず、図9に示した場合と同様に、対応関係31としての4次元部分空間を作成し(記念硬貨で学習)、現行の500円硬貨に係る複数の損傷情報と、旧500円硬貨に係る複数の損傷情報とを生成する。また、パターン情報生成部22によって、新500円硬貨のパターン情報を生成する。
続いて、特徴量算出部26によって、複数の現行の500円硬貨の画像のリング部の刻印部及び下地部の輝度(画素値)の平均値をそれぞれ算出するとともに、複数の旧500円硬貨の画像の中央部の刻印部及び下地部の輝度(画素値)の平均値をそれぞれ算出する。
次に、組合せ決定部27によって、複数の現行の500円硬貨の画像と、複数の旧500円硬貨の画像との間で、対応関係31(4次元部分空間)からの輝度の平均値の距離が最も小さくなる組み合わせを求める。
そして、仮想貨幣情報生成部23によっては、最適な組み合わせに係る現行の500円硬貨の損傷情報及び旧500円硬貨の損傷情報と、新500円硬貨のパターン情報とから、リング部については現行の500円硬貨と同程度の損傷具合である一方で、中央部については旧500円硬貨と同程度の損傷具合である、新500円硬貨のパターンをもつ仮想的な硬貨の画像(出力画像)を生成する。
以上説明したように、上記実施形態では、第1の硬貨の画像から、当該第1の硬貨の損傷情報を生成し、第2の硬貨の画像から、当該第2の硬貨のパターン情報を生成、これらの損傷情報及びパターン情報から、これらの損傷情報及びパターン情報が融合した仮想的な硬貨の画像を生成することから、実物の硬貨である第1及び第2の硬貨の画像に基づいて、第1の硬貨と同程度の損傷具合であり、かつ第2の硬貨のパターンをもつ仮想的な硬貨の画像を生成することができる。したがって、所望の損傷具合の第2の硬貨の実物を入手できない状況であっても、それに対応する仮想的な硬貨の画像を生成することができる。
なお、第2の硬貨が複数の材質によりそれぞれ構成された複数の領域を有する場合、上記実施形態で説明した手法の代わりに、以下の手法を用いてもよい。すなわち、第2の硬貨と同じ材質の複数の第4の硬貨(例えば記念硬貨)を第1の硬貨の画像(スタイル用入力画像)として用い、各第4の硬貨と同程度の損傷具合であり、かつ第2の硬貨(例えば新500円硬貨)のパターンをもつ仮想的な硬貨の画像を直接生成してもよい。この手法は、第4の硬貨を大量に入手できる場合に特に好適である。
また、上記実施形態では、第1の硬貨の画像(スタイル用入力画像)から、第1の硬貨の損傷情報を生成する場合について説明したが、第1の硬貨の画像(スタイル用入力画像)から、第1の硬貨の偽造に関する情報である偽造情報を生成して用いてもよい。上記実施形態では、改鋳後の貨幣の汚損貨幣の実物を入手できない場合に、当該汚損貨幣に対応する仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する場合について説明したが、改鋳後の貨幣の偽造貨幣の実物が入手できない場合に、当該偽造貨幣に対応する仮想的な貨幣の貨幣情報を生成するものであってもよい。
具体的には、例えば、図12及び13に示すように、機械学習時及び機械学習後に、貨幣情報生成装置10Cの制御部20は、損傷情報生成部21の代わりに、偽造情報生成部29の機能を備えている。
偽造情報生成部29は、第1の貨幣の画像(スタイル用入力画像)から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報、具体的には例えば、偽造に関する特徴量を生成(抽出)する。
この場合、スタイル用入力画像(第1の貨幣の画像)は、何らかの偽造の特徴をもつ第1の貨幣の画像であり、任意のパターン(模様、刻印)を有していてもよい。変換元画像(第2の貨幣の画像)は、スタイル用入力画像がもつ偽造の特徴を付与したいという第2の貨幣の画像であり、偽造の特徴をもっていないものである。
そして、仮想貨幣情報生成部23によって、偽造情報生成部29で生成された偽造情報と、パターン情報生成部22で生成されたパターン情報とから、これらの偽造情報及びパターン情報が融合した(合成された)仮想的な貨幣の画像(画像情報)を生成する。この結果、第1の貨幣と同様の偽造の特徴と、第2の貨幣のパターンとをもつ貨幣(ただし、実在はしない仮想的なもの)の画像を生成することができる。
偽造情報生成部29もまた、学習済みモデルから構築されており、好ましくはCNNを利用した学習済みモデルにより構築されている。仮想貨幣情報生成部23のCNNは、偽造情報生成部29のCNN及びパターン情報生成部22の各CNNと結合されている。
学習部24は、仮想貨幣情報生成部23によって生成された仮想的な貨幣の画像が実在する偽造貨幣らしくなるように、偽造情報生成部29による偽造情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、パターン情報生成部22によるパターン情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、仮想貨幣情報生成部23による仮想的な貨幣の貨幣情報の生成に係る機械学習アルゴリズムとを機械学習させる。この学習の結果、偽造情報生成部29、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23の学習済みモデルがそれぞれ作成される。各機械学習アルゴリズムは、上述の学習済みモデルと同様に、CNNを利用したものであることが好ましい。
学習部24は、機械学習アルゴリズム(好ましくはCNNを利用したもの)を含んでおり、仮想貨幣情報生成部23によって生成された仮想的な貨幣の画像(出力画像)と、実在する偽造貨幣の画像(訓練データ)とに基づいて、機械学習する。すなわち、仮想的な硬貨の画像と、本物の硬貨の画像とを用いて、仮想貨幣情報生成部23によって生成された仮想的な貨幣の画像が、仮想的なものか実在のものかをより正確に判別できるように学習する。そして、学習部24は、学習部24による出力と望ましい出力(正解)との誤差を教師信号として学習部24、偽造情報生成部29、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23に係る各機械学習アルゴリズムに与えることにより、各CNNの結合係数を次第に変化させ、最終的に正しい出力が得られるようにする。
テンプレート生成部25は、機械学習済みの偽造情報生成部29、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23を用いて生成された、偽造に関する特徴量が互いに異なる一方で第2の硬貨と同じパターンを有する複数の仮想的な貨幣の画像からテンプレート情報を生成する。
この貨幣情報生成装置10Cを備える貨幣処理システム又は貨幣処理装置(いずれも図示省略)では、実施形態1の貨幣処理システム200又は貨幣処理装置100と同様に、貨幣処理装置、特に内蔵する貨幣識別装置が、記憶部に記憶されたテンプレート情報を用いて処理対象の貨幣の識別処理、特に好ましくは真偽識別の処理を行うことができる。
また、上記実施形態及び変形形態では、各学習済みモデル及び各機械学習アルゴリズムがCNNを利用したものである場合について説明したが、各学習済みモデル及び各機械学習アルゴリズムは、機械学習(好ましくは深層学習)に利用されるものであれば特に限定されず、CNN以外のディープニューラルネットワーク(DNN)や、ResNet(Deep Residual Network)を利用するものであってもよい。
また、上記実施形態及び変形形態では、各貨幣情報生成装置を一つの装置として構成する場合について説明したが、貨幣情報生成装置の各機能を適宜複数の装置に分散した分散処理システムにより実現してもよい。例えば、機械学習時、損傷情報生成部21、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23の機能と、学習部24の機能とを異なる装置に分散してもよい。また、機械学習後、パターン情報生成部22及び仮想貨幣情報生成部23の機能と、テンプレート生成部25の機能とを異なる装置に分散してもよい。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
以上のように、本発明は、所望の損傷具合の貨幣の実物が入手できない状態であっても、当該貨幣に対応する仮想的な貨幣の硬貨情報を生成するのに有用な技術である。
10A、10B、10C:貨幣情報生成装置
20:制御部
21:損傷情報生成部
22:パターン情報生成部
23:貨幣情報生成部
24:学習部
25:テンプレート生成部
26:特徴量算出部
27:組合せ決定部
28:貨幣情報合成部
29:偽造情報生成部
30、110:記憶部
31:対応関係
100:貨幣処理装置
111:テンプレート情報
200:貨幣処理システム

Claims (24)

  1. 第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成し、
    第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、
    前記損傷情報及び前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する
    制御部を備え
    前記第1の貨幣、前記第2の貨幣及び前記仮想的な貨幣は、それぞれ、硬貨であり、
    前記パターン情報は、前記第2の貨幣の刻印に関する情報であることを特徴とする貨幣情報生成装置。
  2. 前記制御部は、前記仮想的な貨幣の貨幣情報が本物らしくなるように、前記損傷情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、前記パターン情報の生成に係る機械学習アルゴリズムと、前記仮想的な貨幣の貨幣情報の生成に係る機械学習アルゴリズムとを機械学習させる
    ことを特徴とする請求項1記載の貨幣情報生成装置。
  3. 前記第1の貨幣は、損貨幣であり、
    前記第2の貨幣は、新貨幣である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣情報生成装置。
  4. 前記第1の貨幣は、新貨幣であり、
    前記第2の貨幣は、損貨幣である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣情報生成装置。
  5. 前記第1の貨幣の種別は、前記第2の貨幣の種別と異なる
    ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の貨幣情報生成装置。
  6. 前記第1の貨幣の材質は、前記第2の貨幣の材質と同じである
    ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の貨幣情報生成装置。
  7. 前記第2の貨幣は、前記第1の貨幣の材質と同じ第1の材質により構成された第1の領域と、第2の材質により構成された第2の領域とを有し、
    前記制御部は、前記第1の領域の貨幣情報から当該第1の領域のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、
    前記損傷情報及び前記第1の領域の前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記第1の領域の前記パターン情報が融合した仮想的な第1の領域の貨幣情報を生成する
    ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の貨幣情報生成装置。
  8. 前記第2の材質は、前記第1の貨幣の材質と異なり、かつ他の第3の貨幣の材質と同じ材質であり、
    前記制御部は、前記第3の貨幣の貨幣情報から、当該第3の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成し、
    前記第2の領域の貨幣情報から当該第2の領域のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、
    前記第3の貨幣の前記損傷情報及び前記第2の領域の前記パターン情報から、前記第3の貨幣の前記損傷情報及び前記第2の領域の前記パターン情報が融合した仮想的な第2の領域の貨幣情報を生成する
    ことを特徴とする請求項7記載の貨幣情報生成装置。
  9. 前記第2の貨幣は、前記第1の貨幣の材質と同じ第1の材質により構成された第1の領域と、前記第1の貨幣の材質と異なり、かつ他の第3の貨幣の材質と同じ第2の材質により構成された第2の領域とを有し、
    前記第1の材質により構成された第3の領域と、前記第2の材質により構成された第4の領域とを含む第4の貨幣の貨幣情報から生成された、前記第3の領域の特徴量と前記第4の領域の特徴量との対応関係を記憶した記憶部を更に備え、
    前記制御部は、前記対応関係に基づいて、前記仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する
    ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の貨幣情報生成装置。
  10. 前記制御部は、材質が同一で、かつ損傷具合が互いに異なる複数の第1の貨幣の貨幣情報から、前記第1の貨幣に係る複数の損傷情報を生成し、
    材質が同一で、かつ損傷具合が互いに異なる複数の第3の貨幣の貨幣情報から、前記第3の貨幣に係る複数の損傷情報を生成し、
    前記第1の貨幣に係る複数の損傷情報及び前記パターン情報から、前記第1の貨幣に係る複数の損傷情報の各々と前記パターン情報とが融合した複数の第1の仮想的な貨幣の貨幣情報を生成し、
    前記第3の貨幣に係る複数の損傷情報及び前記パターン情報から、前記第3の貨幣に係る複数の損傷情報の各々と前記パターン情報とが融合した複数の第2の仮想的な貨幣の貨幣情報を生成し、
    前記複数の第1の仮想的な貨幣の貨幣情報から前記第1の領域に対応する領域の第1の特徴量をそれぞれ算出し、
    複数の第2の仮想的な貨幣の貨幣情報から前記第2の領域に対応する領域の第2の特徴量をそれぞれ算出し、
    前記対応関係に基づいて、複数の前記第1の特徴量と複数の前記第2の特徴量とのうちから最適な第1の特徴量及び第2の特徴量の組み合わせを決定し、
    最適な前記第1の特徴量及び前記第2の特徴量にそれぞれ対応する第1の仮想的な貨幣の貨幣情報及び第2の仮想的な貨幣の貨幣情報から、前記第1の領域に対応する領域の前記第1の仮想的な貨幣の貨幣情報と前記第2の領域に対応する領域の前記第2の仮想的な貨幣の貨幣情報とを含む第3の仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する
    ことを特徴とする請求項9記載の貨幣情報生成装置。
  11. 前記損傷情報は、前記第1の貨幣の下地の損傷に関する情報である
    ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の貨幣情報生成装置。
  12. 前記第1の貨幣の種別は、前記第2の貨幣の種別と同じであり、
    前記制御部は、前記第1の貨幣の第1の面の貨幣情報から当該第1の面の損傷に関する情報である損傷情報を生成し、
    前記第2の貨幣の前記第1の面と異なる第2の面の貨幣情報から当該第2の面のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、
    前記第1の面の前記損傷情報及び前記第2の面の前記パターン情報から、前記第1の面の前記損傷情報及び前記第2の面の前記パターン情報が融合した仮想的な第2の面の貨幣情報を生成する
    ことを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の貨幣情報生成装置。
  13. 前記貨幣情報は、画像情報である
    ことを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の貨幣情報生成装置。
  14. 請求項1~13のいずれかに記載の貨幣情報生成装置と、
    前記仮想的な貨幣の前記貨幣情報に基づくテンプレート情報を記憶した記憶部を有する貨幣処理装置と、
    を備えることを特徴とする貨幣処理システム。
  15. 請求項1~13のいずれかに記載の貨幣情報生成装置と、
    前記仮想的な貨幣の前記貨幣情報に基づくテンプレート情報を記憶した記憶部と、
    を備えることを特徴とする貨幣処理装置。
  16. 第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成する損傷情報生成部と、
    第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成するパターン情報生成部と、
    前記損傷情報及び前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する仮想貨幣情報生成部と、
    を備え
    前記第1の貨幣、前記第2の貨幣及び前記仮想的な貨幣は、それぞれ、硬貨であり、
    前記パターン情報は、前記第2の貨幣の刻印に関する情報であることを特徴とする貨幣情報生成システム。
  17. 第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成するステップと、
    第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成するステップと、
    前記損傷情報及び前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成するステップと、
    を備え
    前記第1の貨幣、前記第2の貨幣及び前記仮想的な貨幣は、それぞれ、硬貨であり、
    前記パターン情報は、前記第2の貨幣の刻印に関する情報であることを特徴とする貨幣情報生成方法。
  18. コンピュータを、
    第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の損傷に関する情報である損傷情報を生成する手段、
    第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成する手段、及び
    前記損傷情報及び前記パターン情報から、前記損傷情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する手段、
    として機能させ
    前記第1の貨幣、前記第2の貨幣及び前記仮想的な貨幣は、それぞれ、硬貨であり、
    前記パターン情報は、前記第2の貨幣の刻印に関する情報であることを特徴とする貨幣情報生成プログラム。
  19. 第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報を生成し、
    第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成し、
    前記偽造情報及び前記パターン情報から、前記偽造情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する
    制御部を備えることを特徴とする貨幣情報生成装置。
  20. 請求項19記載の貨幣情報生成装置と、
    前記仮想的な貨幣の前記貨幣情報に基づくテンプレート情報を記憶した記憶部を有する貨幣処理装置と、
    を備えることを特徴とする貨幣処理システム。
  21. 請求項19記載の貨幣情報生成装置と、
    前記仮想的な貨幣の前記貨幣情報に基づくテンプレート情報を記憶した記憶部と、
    を備えることを特徴とする貨幣処理装置。
  22. 第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報を生成する偽造情報生成部と、
    第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成するパターン情報生成部と、
    前記偽造情報及び前記パターン情報から、前記偽造情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する仮想貨幣情報生成部と、
    を備えることを特徴とする貨幣情報生成システム。
  23. 第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報を生成するステップと、
    第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成するステップと、
    前記偽造情報及び前記パターン情報から、前記偽造情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成するステップと、
    を備えることを特徴とする貨幣情報生成方法。
  24. コンピュータを、
    第1の貨幣の貨幣情報から、当該第1の貨幣の偽造に関する情報である偽造情報を生成する手段、
    第2の貨幣の貨幣情報から、当該第2の貨幣のパターンに関する情報であるパターン情報を生成する手段、及び
    前記偽造情報及び前記パターン情報から、前記偽造情報及び前記パターン情報が融合した仮想的な貨幣の貨幣情報を生成する手段、
    として機能させることを特徴とする貨幣情報生成プログラム。
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