以下、図を参照しつつ、本発明の実施形態によるモデル画像生成装置について説明する。このモデル画像生成装置は、モデル画像の生成対象となるメダルと同種のメダルを含む複数のサンプル用メダルの何れかが撮影された複数のサンプル画像のそれぞれについて、メダルが写っているメダル領域を、モデル画像の生成対象となるメダルを表す基準画像のメダル領域と位置合わせして、基準画像に対するサンプル画像の回転角を変えながら、メダル領域間の一致度合を表す一致度を算出する。そしてこのモデル画像生成装置は、一致度の最大値と最大値以外の一致度の差を表す指標を求める。この指標は、基準画像に表されたメダルの模様とサンプル画像に表されたサンプル用メダルの模様が同じである場合は大きな値となるが、基準画像に表されたメダルの模様とサンプル画像に表されたサンプル用メダルの模様が異なる場合は小さな値となる。そこでこのモデル画像生成装置は、その指標が所定の閾値以上となるサンプル画像をモデル画像の生成に利用することで、サンプル用メダルに不適切なメダルが含まれていても、適切なモデル画像を生成できる。
なお、本実施形態では、メダルの外形形状は、略円形であるとする。また、本明細書では、メダル識別装置が実装された装置において使用が認められているメダルを適正メダルと呼ぶ。一方、メダル識別装置が実装された装置において使用されることが認められていないメダルを不適正メダルと呼ぶ。さらに、本明細書では、特に断りが無い限り、メダルの両側の面を特に区別せず、何れも表面と呼ぶ。
図1は、本発明のモデル画像生成装置の一つの実施形態によるメダル識別装置1の概略平面図であり、図2は、メダル識別装置1の概略背面図である。図3は、図1のAA’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置1の概略断面図である。図4は、図2のBB’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置1の概略断面図である。また図5は、メダル識別装置1の回路ブロック図である。
メダル識別装置1は、筐体2と、光源3と、撮像部4と、制御基板5とを有する。光源3及び撮像部4は、筐体2内に収容されており、筐体2の外部に設けられた基板(図示せず)上に配置された制御基板5と信号線を介して接続されている。なお、制御基板5も、筐体2の内部に収容されていてもよい。さらに制御基板5は、メダル識別装置1が搭載される遊技機の主制御回路といった上位制御装置(図示せず)と信号線を介して接続され、その上位制御装置へ、メダルが適正メダルか否かの判定結果を表す通知信号を出力する。
筐体2は、例えば、図1に示されたu軸の方向が、回胴遊技機の前面と略平行となり、かつ図2に示されたw軸の方向が、回胴遊技機の縦方向と略平行となるように、回胴遊技機に取り付けられる。そこで、以下では、便宜上、u方向を幅方向と呼び、w方向を高さ方向と呼ぶ。また、図1に示されたv軸の方向を奥行き方向と呼ぶ。
図1に示されるように、筐体2の上面には、メダル投入口2aが形成されている。メダル投入口2aは、筐体2の幅方向に沿って、メダルの直径に所定のオフセット(例えば、1mm〜2mm)を加えた長さを持ち、筐体2の奥行き方向に、メダルの厚さに所定のオフセット(例えば、0.5mm〜1mm)を加えた長さを持つ。
図3に示されるように、筐体2は、通路形成部の一例であり、メダルが流下する通路6をその内部に形成するとともに、光源3及び撮像部4を収容する。そのために、筐体2は、例えば、樹脂を成型することにより所望の形状となるように形成された複数の部品を組み合わせることにより構成される。あるいは、筐体2は、鉄、アルミニウム、銅などの金属により形成されてもよく、あるいは、金属により形成された部品と樹脂により形成された部品とが組み合わされていてもよい。
筐体2内に形成された通路6は、筐体2の上端側では高さ方向に沿って形成され、途中で筐体2の幅方向に沿って湾曲した後、右下方へ向けて斜めに形成されている。そして通路6の上端はメダル投入口2aと直結し、一方通路6の下端は、筐体2の右端に形成されたメダル排出口2bと直結されている。そのため、メダル投入口2aから投入されたメダルは、矢印で示されるように、通路6に沿って筐体2内を流下した後、筐体2の右側のメダル排出口2bからメダル識別装置1の外に排出される。なお、この矢印で示される、メダルの流下方向を、以下では便宜上、順方向と呼び、逆にメダル排出口2bからメダル投入口2aへ向かう方向を、逆方向と呼ぶ。
通路6は、メダルがスムーズに流下可能なように、筐体2の幅方向及び高さ方向に沿って、メダルの直径に所定のオフセット(例えば、1mm〜2mm)を加えた長さを持ち、筐体2の奥行き方向に沿って、メダルの厚さに所定のオフセット(例えば、0.5mm〜1mm)を加えた長さを持つ。
なお、通路6の側面には、メダルとの接触面積を減らすために、メダルの流下方向の沿って複数の溝が形成されていてもよい。また通路6の側壁を形成する部材は、撮像部4により得られた画像上でメダルとの識別が容易となるように、メダルと異なる色または異なる反射率を持つ材料により形成されることが好ましい。一般に、メダルは金属製であり、光の反射率が高いので、画像上ではメダルが写っているメダル領域に含まれる画素の輝度値は、メダルが写っていない背景領域に含まれる画素の輝度値よりも高くなる。そこで、メダル領域に含まれる画素の輝度値と背景領域に含まれる画素の輝度値との差が大きくなるように、通路6の側壁を形成する部材には、光源3が発する波長の光に対して吸収性を持つ塗料が塗布されることが好ましい。
図3及び図4に示されるように、通路6の湾曲部の下方には、後述するように、撮像部4が通路6を通過するメダルMを撮影できるように、通路6よりも筐体2の背面側に空隙が生じている。そこで、この空隙においてメダルMが通路6から逸脱することを防止するために、通路6の湾曲部の下方において、通路6の上端と下端には、それぞれ、通路6よりも筐体2の背面側に、奥行き方向へのメダルの動きを規制するガイド部材7a、7bが配置されている。そしてガイド部材7aの下端とガイド部材7bの上端間の間隔は、撮像部4がメダルMの大部分を撮影できるように、例えば、メダルMの直径よりも僅かに小さく、例えば、メダルMの直径から1mm〜2mmを引いた値となっている。
なお、ガイド部材7a、7bは、撮像部4がメダルM全体を撮影できるように、光源3からの光に対して透明な部材、例えば、光学樹脂またはガラスで形成されてもよい。
図4に示されるように、光源3は、通路6のガイド部材7aと7bとの間に挟まれた区間に設定された、撮像部4の撮影範囲4aを通過するメダルMを照明し、かつ撮像部4がメダルMの模様を撮影できるよう、その区間の近傍において、通路6に対して撮像部4と同じ側に配置される。さらに光源3は、撮影範囲4aを一様に照明可能なように、例えば、撮像部4の周囲に配置された一つまたは複数の発光ダイオードといった発光素子を有する。さらに、発光素子の前面に、発光素子からの光を通路6側へ拡散させて出射させる、板状の拡散シートが設けられてもよい。
光源3は、メダル識別装置1が動作している間、通路6を照明する。あるいは、光源3は、撮像部4が撮影するタイミングだけ発光するように、制御基板5によって制御されていてもよい。
撮像部4は、通路6の一部に設定された撮影範囲4aを通過するメダルMを撮影し、そのメダルMの像が写った画像を生成する。そのために、撮像部4は、通路6の湾曲部の下方において、通路6に対して光源3と同じ側に位置するように、筐体2内の通路6の背面側に配置される。そして撮像部4は、例えば、2次元状に配列されたCCDイメージセンサまたはC-MOSイメージセンサといったイメージセンサと、そのイメージセンサ上に撮影範囲4aに含まれる通路6の一部区間及びその区間を通過するメダルMの像を結像する撮像光学系とを有する。また撮像部4は、画像上でメダルMの表面の模様を識別できるように、例えば、横320×縦240画素を有する。各画素の輝度値は、例えば、0〜255で表され、輝度値が大きいほど、輝度が高いことを表す。
撮像部4は、メダル識別装置1が動作している間、所定の時間間隔で撮影範囲4aを連続的に撮影する。所定の時間間隔は、例えば、メダル識別装置1に投入されたメダルが撮影範囲4aを通過している間に少なくとも1枚の画像が生成されるように、例えば、50msec〜100msec間隔に設定される。撮像部4は、撮影する度に、生成した画像を制御基板5へ出力する。
また撮影範囲4aよりもよりもメダル投入口側に、メダルの通過を検知するセンサが設けられていてもよい。このセンサは、例えば、通路を挟んで対向するように配置された光源と受光素子とを有する光学センサ、あるいは、マグネット式の近接センサとすることができる。そして制御基板5は、このセンサからの検知信号を受信してから所定期間経過した時点で撮像部4に撮影を実行させることで、一枚の画像上に、確実にメダルM全体が表されるようにしてもよい。
図5に示されるように、制御基板5は、制御回路51と、メモリ52と、通信インターフェース53とを有する。制御回路51は、例えば、プロセッサとその周辺回路とを有する。そして制御回路51は、撮像部4から受け取った画像を解析することにより、通路6を通過する識別対象のメダルが適正なメダルか否かを判定する。
メモリ52は、記憶部の一例であり、例えば、不揮発性の読み出し専用の半導体メモリと、揮発性の読み書き可能な半導体メモリとを有する。そしてメモリ52は、制御回路51で実行されるメダル識別処理のプログラム、及び、メダル識別処理で用いられるパラメータ及びメダル識別処理の途中で算出される様々な中間計算値などを記憶する。さらに、メモリ52は、適正メダルのモデルを表すモデル画像を記憶する。なお、モデル画像の詳細については後述する。またメモリ52は、撮像部4から受け取った画像のうち、最新の複数枚の画像を記憶してもよい。
通信インターフェース53は、上位の制御装置(図示せず)、光源3及び撮像部4と接続するためのインターフェースであり、光源3または撮像部4への制御信号を制御回路51から受け取って、光源3または撮像部4に出力する。また通信インターフェース53は、上位の制御装置からの各種の制御信号を、信号線を介して受け取って、制御回路51へ渡す。さらに、通信インターフェース53は、制御回路51からメダルの識別結果を表す通知信号を受け取って、その通知信号を上位の制御装置へ出力する。
図6は、制御回路51の機能ブロック図である。制御回路51は、メダル領域検出部61と、エッジ検出部62と、回転角算出部63と、モデル生成部64と、モデルエッジ数調整部65と、形状補正部66と、エッジ位置補正部67と、向き一致度算出部68と、類似度算出部69と、判定部70とを有する。制御回路51が有するこれらの各部は、例えば、制御回路51上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。
また、制御回路51が有するこれらの各部のうち、メダル領域検出部61及びエッジ検出部62は、識別対象のメダルが適正メダルか否かを判定するメダル識別処理と、メダル識別処理において利用される適正メダルのモデルが表されたモデル画像を生成するためのモデル登録処理の両方で利用される。一方、回転角算出部63、モデル生成部64及びモデルエッジ数調整部65は、モデル登録処理に利用される。そして、形状補正部66、エッジ位置補正部67、向き一致度算出部68、類似度算出部69及び判定部70は、メダル識別処理で利用される。
以下、モデル登録処理とメダル識別処理とに分けて、制御回路51が有する各部の処理を説明する。
(モデル登録処理)
モデル登録処理は、モデル画像生成処理の一例であり、モデル画像を生成するために、複数のサンプル用メダルが利用される。なお、メダル識別装置1が実装された遊技機が設置された店舗において、その店舗が使用するメダルを適正メダルとする場合、店舗において実際に用いられているメダルがサンプル用メダルとしてモデル登録処理で利用される。その際、サンプル用メダルの枚数が多いと、自店舗では使用されない不適正メダル、例えば、他店舗で使用されるメダルがサンプル用メダルに紛れ込む可能性がある。そこで、本実施形態では、メダル識別装置1は、以下の手順に従ってモデル画像を生成することで、モデル画像を生成するために利用される複数のサンプル用メダルのうちに、少数の不適正メダルが紛れ込んでいても、適切なモデル画像を生成できるようにする。
モデル登録処理を開始する場合には、例えば、制御回路51は、上位の制御装置(図示せず)から、モデル登録用の画像撮影を行う旨の制御信号を受信することで、モデル登録用の画像撮影の待機状態となる。そしてこの状態においてメダル識別装置1にメダルが投入されると、制御回路51は、撮像部4により得られた画像をモデル登録処理用のサンプル画像としてメモリ52に記憶する。その後、制御回路51は、上位の制御装置から、モデル登録処理を開始する旨の制御信号を受信すると、モデル登録処理を開始する。
同一のメダルであっても、光源3及び撮像部4に対するメダルの表面の模様の向きが異なれば、その模様に対する照明方向が異なるので、メダル表面の模様により生じる陰影も異なる。そのため、画像上に表されたメダルの見え方も異なる。そこで本実施形態では、複数のサンプル用メダルのそれぞれについて、複数回メダル識別装置1に投入される。これにより、個々のサンプル用メダルについて、光源3及び撮像部4に対する表面の模様の向きが異なる状態で撮影された複数の画像が得られ得る。
本実施形態では、例えば、数百枚〜数万枚のサンプル用メダルのそれぞれについて、数回〜30回程度メダル識別装置1に投入される。したがって、サンプル用メダルの枚数に、個々のメダルの投入回数を乗じた数のサンプル画像が得られる。制御回路51は、これらのサンプル画像を利用して、モデル登録処理を実行する。
図7は、サンプル用メダルの模式図である。メダル700では、その表面に模様701が刻印されている。したがって、画像上でこの模様701に応じた陰影を利用して、メダルを識別するための特徴が得られる。本実施形態では、制御回路51は、メダル表面の模様に応じた陰影のエッジに相当するエッジ画素を検出してエッジの分布をメダルを識別するための特徴とする。
メダル領域検出部61は、各サンプル画像から、メダルが写っているメダル領域を抽出し、メダル領域の中心の座標及び半径を求める。
例えば、メダル領域検出部61は、着目するサンプル画像について、画像上の水平方向及び垂直方向に沿って、それぞれ、複数の走査線を設定する。そしてメダル領域検出部61は、各走査線上で、画像端から画像中心へ向けて順番に、着目する画素の輝度値から、その着目する画素に対して画像端側に隣接する画素の輝度値を減じて、輝度差分値を求める。そしてメダル領域検出部61は、輝度差分値が最初に所定の閾値を超えたときの着目する画素を、メダルの外周に相当する画素の候補(以下、外周候補画素と呼ぶ)とする。なお、走査線上で何れの画素についても輝度差分値が所定の閾値を超えない走査線については、メダル領域検出部61は、その走査線上では外周候補画素を求めなくてもよい。
メダル領域検出部61は、各走査線について、外周候補画素を求めると、それら複数の外周候補画素から任意の3個の外周候補画素を選択して外周候補画素の組とする。メダル領域検出部61は、選択する外周候補画素を異ならせて、所定数の外周候補画素の組を求める。なお、所定数は、2以上の整数、例えば、12に設定される。メダル領域検出部61は、外周候補画素の組ごとに、その組に含まれる3個の外周候補画素を通る円の方程式を求め、その円の方程式で表される円の中心を求める。メダル領域検出部61は、各組の円の中心のうち、最も一致する数が多い中心を、メダル中心候補として求める。なお、着目する二つの中心間の距離が1画素未満であれば、メダル領域検出部61は、その二つの中心は一致すると判定する。メダル領域検出部61は、メダル中心候補における一致した円の中心の数と、そのメダル中心候補を中心とし、かつ、メダル中心候補と一致した円の半径の平均値から求められるメダル候補の外周上に位置する外周候補画素の数を計数する。そしてメダル領域検出部61は、メダル中心候補の座標、メダル中心候補における一致した円の中心の数、そのメダル中心候補について計数されたメダル候補の外周上の外周候補画素の数をメモリ52に記憶する。
メダル領域検出部61は、外周候補画素を検出するための所定の閾値の値を変更して上記と同様の処理を実行することを、複数回繰り返す。例えば、所定の閾値を、最初に、50に設定し、以後、閾値の値を5ずつ加算する。そしてメダル領域検出部61は、一致した円の中心の数が一定値(例えば、外周候補画素の組の半数)以上となるメダル中心候補のうちで、外周候補画素の総数に対するメダル候補の外周上に位置する外周候補画素の数の比率が最大となるメダル中心候補を、メダル領域の中心とし、そのメダル中心候補について求められた半径を、メダル領域の半径とする。
なお、メダル領域検出部61は、上記の例に限られず、画像上に写っている所定の物体をその画像から抽出する様々な処理の何れかを利用して、サンプル画像からメダル領域を抽出してもよい。例えば、サンプル画像上で、メダルが写っている領域の輝度とメダルが写っていない背景領域の輝度の差が大きい場合には、メダル領域検出部61は、サンプル画像の各画素の輝度値を所定の閾値と比較して、その所定の閾値よりも大きい画素の集合をメダル領域として検出してもよい。そしてメダル領域検出部61は、検出したメダル領域の重心をメダル領域の中心とし、メダル領域の中心からメダル領域の外周までの距離の平均値をメダル領域の半径としてもよい。
メダル領域検出部61は、サンプル画像ごとに求めたメダル領域の中心の座標及びメダル領域の半径を、そのサンプル画像と対応付けてメモリ52に保存する。
エッジ検出部62は、各サンプル画像について、メダル表面の模様により生じる陰影のエッジを表す、メダル領域内のエッジ画素を検出する。
本実施形態では、エッジ検出部62は、メダル領域内の各画素に対してエッジ検出フィルタを適用することでエッジ強度を算出し、エッジ強度が所定のエッジ閾値以上となる画素をエッジ画素として検出する。エッジ検出部62は、エッジ検出フィルタとして、ラプラシアンフィルタといった2次微分フィルタを用いることが好ましい。この場合、エッジ閾値は、例えば、200に設定される。これにより、メダル表面の模様がなだらかに変化することで輝度変化が複数の画素にわたる場合でも、エッジ検出部62は、その複数の画素のうちの近傍画素間での輝度変化の差分が大きい画素をエッジ画素として検出できる。
エッジ検出部62は、各サンプル画像について、エッジ画素の値を'1'、エッジ画素以外の画素の値を'0'として、メダル領域の中心を原点とし、時計回り方向を正とする極座標で各エッジ画素を表したエッジ分布情報を生成する。そしてエッジ検出部62は、生成したエッジ分布情報を、元のサンプル画像と対応付けてメモリ52に記憶する。
図8は、エッジ分布情報の一例を示す図である。エッジ分布情報800では、各画素の座標は、基準となる方向に対する角度θとメダル領域の中心からの距離Lにより表される。そしてエッジ画素に対応する座標では、値が'1'となり、それ以外の画素に対応する座標では、値が'0'となっている。なお、基準となる方向は、任意に定められればよく、例えば、サンプル画像の水平方向あるいは垂直方向とすることができる。
さらに、エッジ検出部62は、サンプル画像ごとに求めた、メダル領域内の各画素のエッジ強度を表すエッジ画像を、対応するサンプル画像と対応付けてメモリ52に記憶する。
回転角算出部63は、各サンプル画像のエッジ分布情報に基づいて、サンプル画像ごとに、メダルの仮モデルにおける、表面の模様の向きに対するそのサンプル画像に写っているメダルの表面の模様の向きの回転角である補正回転角を算出する。なお、補正回転角は、各サンプル画像をメダル領域の中心を回転中心とした回転方向について位置合わせするために利用される。また仮モデルは、登録対象となるメダルと同種のメダルを表し、仮モデルが表された画像は、基準画像の一例である。
本実施形態では、回転角算出部63は、複数のサンプル画像のうちの一つを基準画像とし、基準画像に写っているメダルを仮モデルとする。そして回転角算出部63は、他のサンプル画像を一つずつ、順番に、着目するサンプル画像とする。回転角算出部63は、仮モデルに対応するサンプル画像である基準画像から得られたエッジ分布情報に対して、着目するサンプル画像のメダル領域の中心を回転中心としてエッジ分布情報の相対的な回転角を所定角度(例えば、1度)ずつ変えながら、基準画像と着目するサンプル画像のメダル領域間の一致度合を表す一致度を算出する。本実施形態では、回転角算出部63は、次式に従って、メダル領域間のエッジ分布間の一致度合を求めることで、回転角θのときの一致度C(θ)を算出する。
ここで、NumCは、回転角θだけ着目するサンプル画像のエッジ分布情報を回転させたときの、サンプル画像のエッジ画素のうち、基準画像のエッジ画素と一致するエッジ画素の数であり、NumEは、着目するサンプル画像のエッジ画素の総数である。すなわち、NumEは、着目するサンプル画像のエッジ画素のうちで基準画像の何れのエッジ画素とも一致しないエッジ画素の総数NumDとNumCの和である。エッジ分布情報に含まれる各エッジ画素の座標が極座標系で表されているので、サンプル画像に表されたメダルの各エッジ画素を回転角θだけ回転させるには、回転角算出部63は、そのサンプル画像についてのエッジ分布情報に含まれる各エッジ画素の座標の角度値を回転角θだけずらせばよい。
図9は、回転角度と一致度の関係の一例を示す図である。図9において、横軸は回転角を表し、縦軸は一致度を表す。そして上側に示されたグラフ901は、着目するサンプル画像に表されたメダルの模様と仮モデルが表すメダルの模様が同一の場合における、回転角と一致度の関係を表す。一方、グラフ902は、着目するサンプル画像に表されたメダルの模様と仮モデルが表すメダルの模様が異なる場合における、回転角と一致度の関係を表す。
着目するサンプル画像に写っているメダルの模様と、仮モデルが表すメダルの模様が同一であれば、メダルに表された模様の向きが一致する回転角において、サンプル画像上の各エッジ画素の位置と基準画像における各エッジ画素の位置はほぼ一致する。そのため、一致度C(θ)は高い値となる。一方、それ以外の回転角では、メダルに表された模様が回転対称な模様でない限り、サンプル画像上の各エッジ画素のうち、基準画像における何れかのエッジ画素と同じ位置となるエッジ画素は少ないので、一致度C(θ)は、回転角θによらず一様に低い値となる。一方、着目するサンプル画像に写っているメダルの模様と、仮モデルが表すメダルの模様が異なっていれば、どの回転角でも、サンプル画像上の各エッジ画素のうち、基準画像における何れかのエッジ画素と同じ位置となるエッジ画素は少ないので、一致度C(θ)は回転角θによらず一様に低い値となる。
したがって、グラフ901に示されるように、着目するサンプル画像に写っているメダルの模様と、仮モデルが表すメダルの模様が同一であれば、一致度の最大値C1と2番目に大きい一致度の極大値C2の差は大きくなる。このような場合、一致度C1に対応する回転角θ1が、仮モデルが表すメダルの表面の模様の向きに対する、着目するサンプル画像に表されたメダルの表面の模様の向きの方向差に相当すると推定される。
一方、グラフ902に示されるように、着目するサンプル画像に写っているメダルの模様と、仮モデルが表すメダルの模様が異なっていれば、一致度の最大値C1と2番目に大きい一致度の極大値C2の差が小さく、C1/C2は1に近い。そのため、着目するサンプル画像に表されたメダルの表面の模様の向きと仮モデルが表すメダルの表面の模様の向きとの方向差がどの回転角に対応しているかがはっきりしない。
そこで、回転角算出部63は、回転角θに対する一致度C(θ)の関数における一致度C(θ)の極大値のうち、一致度の最大値C1に対応する回転角θ1と、2番目に大きい一致度の極大値C2に対応する回転角θ2とを求める。そして回転角算出部63は、2番目に大きい一致度の極大値に対する一致度の最大値の比C1/C2を回転角度ごとの一致度の最大値と最大値以外の一致度の差を表す指標として算出する。回転角算出部63は、その比C1/C2を所定の一致度比閾値と比較する。そしてその比C1/C2が一致度比閾値以上であれば、回転角算出部63は、そのサンプル画像についての一致度の最大値C1に対応する回転角θ1を、仮モデルの表面の模様の向きに対するサンプル画像上のメダルの表面の模様の向きの回転角である補正回転角として、そのサンプル画像と対応付けてメモリ52に記憶する。さらに、回転角算出部63は、補正回転角が算出されたことを表すフラグを、そのサンプル画像と対応付けてメモリ52に記憶する。
また回転角算出部63は、そのサンプル画像についてのエッジ分布情報を回転角θ1だけ回転させ、回転されたエッジ分布情報に含まれる各エッジ画素の値'1'を、仮モデルを表す基準画像の対応する画素の値に加算することで、基準画像を更新する。
図10は、仮モデルのエッジ分布情報と着目するサンプル画像上のメダルのエッジ分布情報の一例を示す図である。上述したように、エッジ分布情報では、各エッジ画素は極座標系で表示されているが、ここでは、理解を容易にするために、各エッジ画素を直交座標系で表している。
この例では、着目するサンプル画像を回転させないときと、90度、180度、270度回転させたときの画素単位のエッジ分布1001〜1004が示されている。なお、各エッジ分布において、0でない画素がエッジ画素である。この例では、着目するサンプル画像を90度回転させたとき、そのエッジ分布と仮モデルを表す基準画像上のエッジ分布1000とが最も一致する。そこで回転角算出部63は、基準画像上のエッジ分布1000において、着目するサンプル画像を90度回転させたときの各エッジ画素に対応する画素に'1'を加算する。
一方、着目するサンプル画像についての比C1/C2が一致度比閾値未満であれば、回転角算出部63は、一致度の最大値C1と、基準画像に加算されていないことを表すフラグを、そのサンプル画像と対応付けてメモリ52に記憶する。
回転角算出部63は、全てのサンプル画像について、上記の処理を繰り返す。これにより、仮モデルに表されたメダルと同種のメダルが写っているサンプル画像のエッジ画素が基準画像に順次加算されるので、基準画像では、エッジが存在する可能性が高い画素ほど大きな値となる。
しかし、一般的に、照明条件あるいは撮影時のメダルの向き、もしくはメダル自体の傷などにより、各サンプル画像について、エッジ分布情報を回転角θ1だけ回転させて仮モデルと位置合わせしたとしても、サンプル画像上の全てのエッジ画素が基準画像に含まれるエッジ画素と一致するわけではない。その結果、基準画像に加算されるサンプル画像の数が増えるほど、基準画像において'0'でない値を持つ画素、すなわちエッジ画素の割合が増える。例えば、再度図10を参照すると、基準画像上のエッジ分布1000において、着目するサンプル画像を90度回転させたときの各エッジ画素に対応する画素に'1'を加算すると、画素1010のように、画素値が'0'から'1'となり、新たにエッジ画素となる画素がある。そして基準画像に含まれるエッジ画素の数が多過ぎると、一致度が正確に算出されなくなる。
そこで、基準画像のメダル領域に含まれる画素のうちのエッジ画素の割合が高くなり過ぎないように、回転角算出部63は、基準画像に所定枚数(例えば、10〜100枚)のサンプル画像のエッジ画素が加算される度に、基準画像の各画素から一定の値を減じる。その際、回転角算出部63は、その減算によって負の値となった画素については、その画素の値を'0'とする。なお、一定の値は、例えば、所定枚数の半分とすることができる。
あるいは、回転角算出部63は、基準画像についてのメダル領域に占めるエッジ画素の比率が所定値(例えば、0.4)以下となるように閾値を調整し、その閾値で基準画像のメダル領域内の各画素の値を2値化してもよい。2値化の際、回転角算出部63は、画素の値が閾値以上である画素について、エッジ画素であることを表す値、例えば'1'とし、一方、回転角算出部63は、画素の値が閾値未満である画素について、エッジ画素でないことを表す'0'とする。
上記の処理を全てのサンプル画像について実行した後に、回転角算出部63は、フラグを参照して、エッジ画素が基準画像に加算されなかったサンプル画像、すなわち、補正回転角が決定されなかったサンプル画像について、一致度の最大値C1が高い方から順に並び替える。そして回転角算出部63は、それらのサンプル画像について上記の処理を繰り返す。これにより、2回目以降の処理では、仮モデルが適正メダルのエッジ分布をより正確に表せるようになっている可能性が高いので、前回の処理では、補正回転角が決定されなかったサンプル画像についても、補正回転角が決定される可能性が高くなる。その際、一致度比閾値を所定量(例えば、0.02)だけ小さくなるように更新してもよい。そして回転角算出部63は、全てのサンプル画像についてエッジ画素が基準画像に加算されるか、あるいは、一致度比閾値が下限値まで低下すると、処理を終了する。
なお、基準画像として最初に採用されたサンプル画像が、不適正メダルが写った画像である場合、(C1/C2)が一致度比閾値以上となるサンプル画像の数が非常に少なくなる。そこで、全てのサンプル画像について1回目の回転角の算出を行った際に、回転角が決定されたサンプル画像の数が一定数(例えば、サンプル画像の総数の1/100)以下である場合、回転角算出部63は、最初に基準画像とするサンプル画像を入れ替えて、上記の一連の処理を再度実行してもよい。
なお、C1/C2は、その定義から、最小値が1なので、一致度比閾値の下限値を1よりもある程度大きな値、例えば、1.5〜2.0に設定することで、回転角算出部63は、サンプル用メダルに、不適正メダル、または、疵または摩耗の度合いが激しい適正メダルが含まれる場合に、その不適正メダルあるいは疵または摩耗の度合いが激しい適正メダルが写ったサンプル画像をモデルの作成から除外できる。
一方、回転角算出部63は、一致度比閾値の下限値を1または1に近い値、例えば、1.0〜1.1に設定することで、すべてのサンプル画像をモデルの作成に利用できる。あるいは、回転角算出部63は、一致度比閾値をその下限値まで低下させても、(C1/C2)が一致度比閾値未満となるサンプル画像についても、回転角算出部63は、一致度の最大値C1に対応する回転角θ1を、仮モデルの表面の模様の向きに対するサンプル画像上のメダルの表面の模様の向きの回転角として、そのサンプル画像と対応付けてメモリ52に記憶してもよい。
図11は、回転角算出処理の動作フローチャートである。
回転角算出部63は、仮モデルの表面の模様の向きに対する着目するサンプル画像上のメダルの表面の模様の向きの回転角を変えつつ、エッジ分布の一致度の最大値C1と2番目の極大値C2を算出する(ステップS101)。
回転角算出部63は、2番目の極大値C2に対する一致度の最大値C1の比(C1/C2)が一致度比閾値Th以上か否か判定する(ステップS102)。比(C1/C2)が一致度比閾値Th以上である場合(ステップS102−Yes)、回転角算出部63は、補正回転角を、C1に対応する回転角θ1とし、その回転角θ1だけサンプル画像上の各エッジ画素を回転させて、サンプル画像上の各エッジ画素に対応する仮モデルを表す基準画像上の画素に'1'を加算する(ステップS103)。さらに回転角算出部63は、基準画像に含まれるエッジ画素の数を調整してもよい。
ステップS103の後、あるいは、ステップS102にて比(C1/C2)が一致度比閾値Th未満である場合(ステップS102−No)、回転角算出部63は、未着目のサンプル画像が残っているか否か判定する(ステップS104)。未着目のサンプル画像が残っていれば(ステップS104−Yes)、回転角算出部63は、次の順序の未着目のサンプル画像を着目するサンプル画像に設定する(ステップS105)。そして回転角算出部63は、ステップS101以降の処理を繰り返す。
一方、未着目のサンプル画像が残っていなければ(ステップS104−No)、回転角算出部63は、一致度比閾値Thが下限値Thminに達しているか否か判定する(ステップS106)。一致度比閾値Thが下限値Thminに達していれば(ステップS106−Yes)、回転角算出部63は、基準画像に未加算のサンプル画像が残っていても、回転角算出処理を終了する。
一方、一致度比閾値Thが下限値Thminに達していなければ(ステップS106−No)、回転角算出部63は、一致度比閾値を所定量δだけ小さくする(ステップS107)。そして回転角算出部63は、基準画像に未加算のサンプル画像が残っているか否か判定する(ステップS108)。
未加算のサンプル画像が残っていれば(ステップS108−Yes)、回転角算出部63は、それら未加算のサンプル画像をC1が大きい方から順に並び替える(ステップS109)。そして回転角算出部63は、それら未加算のサンプル画像のうち、C1最大のサンプル画像を着目するサンプル画像とし、残りを未着目のサンプル画像として、ステップS101以降の処理を繰り返す。
一方、未加算のサンプル画像が残っていなければ(ステップS108−No)、回転角算出部63は、回転角算出処理を終了する。
モデル生成部64は、補正回転角θ1が算出された各サンプル画像のメダル領域内のエッジ画素を累積加算することで、メダル識別処理に用いられるメダルのモデルが表されたモデル画像を生成する。
モデル生成部64は、補正回転角θ1が算出された各サンプル画像のエッジ画像を参照して、エッジ強度に対する2値化閾値を変えつつ、メダル領域内の各画素に対して2値化閾値以上のエッジ強度を持つ画素をエッジ画素とする2値化処理を行って、メダル領域内に含まれるエッジ画素の比率が所定値(例えば、0,4)未満となるようにする。この2値化処理により、補正回転角θ1が算出された各サンプル画像について、メダル領域内のエッジ画素の値を'1'とし、メダル領域外、あるいは、メダル領域内でエッジ画素でない画素の値を'0'とする2値画像が得られる。
モデル生成部64は、最初に、各画素の値が一定値(例えば、0)であるモデル画像を用意する。そしてモデル生成部64は、各2値画像を、それぞれ、メダル領域の中心を回転中心として、対応するサンプル画像について求められた補正回転角θ1だけ回転した後、メダル領域の中心で位置合わせして、各画素の値をモデル画像上の対応する画素の値に加算することで、適正メダルのモデルを表すモデル画像を生成する。したがって、モデル画像上では、エッジ画素と判定されたサンプル画像が多い画素ほど、大きな値を持つ。
モデル生成部64は、最後に、モデル画像上で画素値の最大値Pmaxを検出し、各画素の値に対して(255/Pmax)を乗じることで、画素値の最大値が255となるように、モデル画像上の各画素の値を正規化する。
図12は、得られたモデル画像の一例を示す図である。モデル画像1200では、多数のサンプル画像においてエッジ画素と判定された画素ほど大きな値を持つ。したがって、個々のサンプル画像に写っているサンプル用のメダルの個体の特性、例えば、疵によるエッジは、モデル画像1200上に表された適正メダルのモデルには反映されず、適正メダルのモデルでは、各メダルで共通の模様によるエッジが強調される。また一部のサンプル用メダルに汚れが付着して模様の一部が見えなくなっていたとしても、他のサンプル用メダルにおいてその模様の一部に相当するエッジが検出されていれば、モデル画像1200上でも、そのエッジが表現される。
モデル生成部64は、最初に位置合わせされた2枚のサンプル画像のうちの基準とした方のサンプル画像におけるメダル領域の中心を、モデル画像におけるメダル領域の中心とする。そしてモデル生成部64は、モデル画像の生成に利用された各サンプル画像におけるメダル領域の半径の平均値を、モデル画像におけるメダル領域の半径とする。
モデル生成部64は、モデル画像と、モデル画像上のメダル領域の中心の座標及びメダル領域の半径をメモリ52に記憶する。
モデルエッジ数調整部65は、モデル画像に表された適正モデルのメダル領域に占める、1以上の画素値を持つエッジ画素の数の比率が所定値以下となるように、エッジ画素の数を調整する。
本実施形態では、モデルエッジ数調整部65は、メダル領域中の局所ごとのエッジ画素の数が均等化されるように、モデル画像上のメダル領域の中心を基準点として、メダル領域を、円周方向に沿って所定数の部分領域に分割する。図13(a)に示されるように、メダル領域1300に設定される各部分領域1301は、扇状の領域となる。所定数は、例えば、36とする(すなわち、各部分領域の中心角は10度となる)。そしてモデルエッジ数調整部65は、部分領域ごとに、その部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率を算出する。モデルエッジ数調整部65は、その比率が0.8以上である場合、各エッジ画素の値から1を減じる。なお、画素値が0となった画素については、モデルエッジ数調整部65は、その画素をエッジ画素から除外する。モデルエッジ数調整部65は、各部分領域について、部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率が0.8未満となるまで、上記の処理を繰り返す。
円周方向に分割された全ての部分領域について、上記の処理が終了すると、モデルエッジ数調整部65は、メダル領域を、モデル画像上のメダル領域の中心から放射方向に沿って複数の部分領域に分割する。すなわち、図13(b)に示されるように、メダル領域1300に設定される各部分領域1302は、最も中心の円状の部分領域を除いて、リング状の領域となる。また、各部分領域の放射方向に沿った幅は、例えば、2画素に設定される。
モデルエッジ数調整部65は、扇状の部分領域について行った処理と同様の処理を、各部分領域について実行する。その際、モデルエッジ数調整部65は、部分領域に占めるエッジ画素の数の比率が0.5未満となるまで、エッジ画素の値を小さくする。
これにより、モデル画像上のメダル領域ではエッジ画素が全体的に略均等に分布するようになる。また、メダル領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率は、0.4(=0.8x0.5)未満となる。
なお、モデルエッジ数調整部65は、上記のエッジ画素数の調整処理を、リング状の各部分領域について行った後に、扇状の各部分領域について実行してもよい。また、モデルエッジ数調整部65は、各部分領域に占めるエッジ画素の数の比率の上限値を0.5または0.8以外に設定してもよい。ただし、後述するメダル識別処理において、識別対象のメダルが写った画像とモデル画像の比較を適切に行えるようにするために、最終的に得られるモデル画像において、メダル領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率が0.3〜0.5程度になるように、エッジ画素の数が調整されることが好ましい。
モデルエッジ数調整部65は、エッジ画素の数が調整されたモデル画像を、メダル識別処理で使用するモデル画像としてメモリ52に記憶する。さらに、モデルエッジ数調整部65は、各エッジ画素の位置をメダル領域の中心を原点とする極座標系で表した、モデル画像のエッジ分布情報を生成し、そのエッジ分布情報もメモリ52に記憶する。
図14は、モデル登録処理の動作フローチャートである。
メダル領域検出部61は、各サンプル画像からメダル領域を検出する(ステップS201)。そしてエッジ検出部62は、各サンプル画像のメダル領域内のエッジ画素を検出する(ステップS202)。
回転角算出部63は、各サンプル画像について、適正メダルの仮モデルに対するサンプル画像上のメダルの補正回転角を求める(ステップS203)。そしてモデル生成部64は、各サンプル画像について、そのサンプル画像上の各エッジ画素を対応する補正回転角だけ回転させ、メダル領域の中心で位置合わせして、エッジ画素となる画素ごとに'1'を加算し、画素値の最大値が所定値となるよう各画素の値を正規化することで適正メダルのモデルを表すモデル画像を生成する(ステップS204)。
モデル画像が生成された後、モデルエッジ数調整部65は、モデル画像上のメダル領域を、その中心を基準点として円周方向に沿って複数の部分領域に分割し、各部分領域に含まれるエッジ画素の数を、部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率が所定比率未満となるように調整する(ステップS205)。さらに、モデルエッジ数調整部65は、モデル画像上のメダル領域を、その中心から放射方向に沿って複数の部分領域に分割し、各部分領域に含まれるエッジ画素の数を、部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率が所定比率未満となるように調整する(ステップS206)。そしてモデルエッジ数調整部65は、エッジ画素の数が調整されたモデル画像をメモリ52に保存して、モデル登録処理を終了する。
(メダル識別処理)
次に、識別対象のメダルが適正メダルか否かを判定するメダル識別処理について説明する。メダル識別装置1の制御回路51は、例えば、メダル識別装置1が実装された遊技機が動作している場合において、メダル識別装置1にメダルが投入される度に、その投入されたメダルを識別対象メダルとして、メダル識別処理を実行する。その際、制御回路51は、投入されたメダルが撮像部4の撮影範囲にいる間に撮像部4がそのメダルを撮影して得られる画像(以下、識別対象画像と呼ぶ)を用いてメダル識別処理を実行する。
メダル領域検出部61は、サンプル画像に対して行った処理と同様の処理を識別対象画像に対して実行して、識別対象画像上で識別対象メダルが写っているメダル領域を検出する。そしてメダル領域検出部61は、検出されたメダル領域の中心の座標、及び、その中心の座標を求める際に利用された、各外周候補画素の座標を形状補正部66へ渡す。
メダルが通路6を通過する際のメダルの姿勢によっては、メダルの表面が撮像部4の光軸に対して直交せず、傾くことがある。また、通路6の幅によっては、撮像部4からメダルまでの距離が一定とならないことがある。このような場合、識別対象画像上で、メダルが楕円形状となったり、あるいは、メダル領域のサイズがモデル画像上のメダル領域のサイズと異なることがある。そこで形状補正部66は、識別対象画像上でのメダル領域の形状の歪みを補正する。さらに、形状補正部66は、モデル画像上のメダル領域のサイズと識別対象画像上でのメダル領域のサイズとを一致させる。
そのために、形状補正部66は、識別対象画像上に、様々な方向を向いた、メダル領域の中心を通る任意の直線を設定し、その直線上でメダル領域の中心を挟んで対向する二つの外周候補画素を特定する。そして形状補正部66は、その二つの外周候補画素間の距離を、その方向におけるメダル領域の直径とする。形状補正部66は、このようにして、各方向の直線に沿ったメダル領域の直径を求める。そして形状補正部66は、各方向の直径のうち、最も長い直径を長径として求める。形状補正部66は、長径に対応する方向に直交し、かつ、メダル領域の中心を通る直線上で、メダル領域の中心を挟んで対向する二つの外周候補画素を特定し、その二つの外周候補画素間の距離をメダル領域の短径とする。形状補正部66は、長径に対する短径の比が所定の閾値(例えば、0.95)以下である場合、あるいは、長径と短径の差が所定の閾値(例えば、3画素)以上である場合、短径が長径と等しくなるように、メダル領域の中心を原点として、識別対象画像のメダル領域内の各画素に対して短径方向に沿って補間処理を行う。これにより、メダル領域の形状が略円形となる。
さらに、形状補正部66は、モデル画像上でのメダル領域の半径に対する、識別対象画像上でのメダル領域の長径の比を算出する。その比が、1.0よりも所定量大きい第1の閾値(例えば、1.05〜1.1)よりも大きければ、形状補正部66は、識別対象画像上でのメダル領域の長径がモデル画像上でのメダル領域の半径と等しくなるように、メダル領域の中心を原点として、識別対象画像のメダル領域内の各画素に対して水平方向及び垂直方向に沿って補間処理を行う。また、モデル画像上でのメダル領域の半径に対する、識別対象画像上でのメダル領域の長径の比が1.0よりも所定量小さい第2の閾値(例えば、0.95〜0.9)よりも小さい場合も、形状補正部66は、識別対象画像上でのメダル領域の長径がモデル画像上でのメダル領域の半径と等しくなるように、メダル領域の中心を原点として、識別対象画像のメダル領域内の各画素に対して水平方向及び垂直方向に沿って補間処理を行う。
形状補正部66は、形状補正された識別対象画像を改めて識別対象画像としてメモリ52に保存する。
エッジ検出部62は、識別対象画像について、サンプル画像からエッジ画素を検出する処理と同様のエッジ検出フィルタ処理を実行して、メダル表面の模様により生じる陰影のエッジを表す、メダル領域内のエッジ画素を検出する。ただし、エッジ検出部62は、各エッジ画素の値を2値化せず、メダル領域の各画素についてエッジ検出フィルタ処理を行うことにより得られたエッジ強度そのものを、そのエッジ画素の値とする。また、エッジ検出部62は、画素値が'0'でない画素をエッジ画素とする。エッジ検出部62は、メダル領域内の各画素のエッジ強度を表すエッジ画像をメモリ52に保存する。
なお、エッジ検出部62は、検出されるエッジ画素の数が過剰にならないように、エッジ検出フィルタ処理を実行する前に、識別対象画像について、ガウシアンフィルタといった平滑化フィルタ処理を実行してもよい。
メダルによっては、製造時の工程の影響などによって、メダル表面に表された模様の位置がずれることがある。図15は、模様の位置が正しいメダルと模様の位置がずれたメダルの一例を示す図である。メダル1500では、その表面の模様1510がメダル1500の中心に刻印されている。一方、メダル1501では、その表面の模様1511の位置がメダル1501の中心から左上方へずれている。このような模様の位置ずれがあるメダルが識別対象メダルである場合、エッジ検出部62により検出されたエッジ画素の座標をそのままモデル画像との比較に利用すると、その位置ずれの影響により、本来、メダル表面の模様についての同じ部分を示す識別対象画像上のエッジ画素の位置とモデル画像上のエッジ画素の位置がずれてしまい、一致度の算出精度が低下する。そこでエッジ位置補正部67は、識別対象画像上のメダル領域とモデル画像上のメダル領域とで最も一致する位置を求めることで、識別対象画像に写った識別対象メダルの表面の模様の位置ずれを補正する。
本実施形態では、エッジ位置補正部67は、最初に、エッジ画像のメダル領域の中心と、モデル画像のメダル領域の中心とを位置合わせする。エッジ位置補正部67は、その位置合わせされた状態から、モデル画像のメダル領域の中心に対して、エッジ画像のメダル領域の中心の位置を水平方向または垂直方向に対して所定の探索範囲(例えば、±2画素)で相対的に平行にずらしつつ、エッジ画像のメダル領域内の各エッジ画素とモデル画像のメダル領域内の各エッジ画素間の一致度を算出する。なお、一致度は、例えば、上記の(1)式に従って算出される。そしてエッジ位置補正部67は、一致度が最大となるときの、モデル画像のメダル領域の中心に対する、エッジ画像のメダル領域の中心の位置ずれ量を求める。
エッジ位置補正部67は、エッジ画像を、メダル領域の中心を回転中心として、所定角度(例えば、1度)ずつ回転させつつ、上記の処理を繰り返す。そしてエッジ位置補正部67は、一致度が最大となるときの回転角度及び中心の位置ずれ量を特定する。エッジ位置補正部67は、エッジ画像上の各エッジ画素を、メダル領域の中心を回転中心としてその特定された回転角度だけ回転し、さらに、特定された位置ずれ量を打ち消すように、各エッジ画素を平行移動する。そしてエッジ位置補正部67は、エッジ画素の位置が補正されたエッジ画像をメモリ52に保存する。さらに、エッジ位置補正部67は、各エッジ画素の座標を、メダル領域の中心を原点とし、時計回りを正とする極座標に変換して、その極座標表示された各エッジ画素の座標を、識別対象画像の識別対象メダルのエッジ分布情報としてメモリ52に保存する。
図16は、位置補正されたエッジ画像の一例を示す図である。エッジ画像1600では、表面の模様に相当するエッジ1601が、メダル領域1602の略中心に位置していることが分かる。
なお、変形例によれば、エッジ位置補正部67は、識別対象画像を、メダル領域の中心を回転中心として、所定角度(例えば、1度)ずつ回転させつつ、識別対象画像のメダル領域の中心とモデル画像のメダル領域の中心を位置合わせして、一致度を算出し、その一致度が最大となる回転角度を求めてもよい。そしてエッジ位置補正部67は、識別対象画像の各画素を、メダル領域の中心を回転中心としてその回転角度だけ回転させてから、上記の探索範囲内で識別対象画像のメダル領域の中心の位置をモデル画像のメダル領域の中心の位置に対して平行にずらしつつ、一致度を算出し、その一致度の最大値をもとめてもよい。そしてエッジ位置補正部67は、その一致度の最大値に対応する、モデル画像のメダル領域の中心に対する識別対象画像のメダル領域の中心の位置ずれ量を打ち消すように、各エッジ画素の位置を平行移動させてもよい。
向き一致度算出部68は、モデル画像上の適正メダルのモデルにおける模様の向きに対する、識別対象画像に写っている識別対象メダルの模様の向きの回転角を算出するとともに、回転方向に関して、識別対象メダルと適正メダルのモデルを位置合わせしたときの一致度と位置合わせしない場合の一致度の差を表す指標である向き一致度を算出する。
向き一致度算出部68は、回転角算出部63により実行される、仮モデルに対するサンプル画像上のメダルの回転角及び一致度を算出する処理と同様の処理を、モデル画像上の適正メダルのモデルと識別対象画像の識別メダルについて行うことで、モデル画像上の適正メダルのモデルの表面の模様の向きに対する、識別対象メダルの表面の模様の向きの回転角を算出する。すなわち、向き一致度算出部68は、モデル画像及び識別対象画像のエッジ分布情報を利用して、識別対象画像上の各エッジ画素を、メダル領域の中心を回転中心として回転角を所定角度(例えば、1度)ずつ変えながら、モデルのエッジ分布と識別対象メダルのエッジ分布の一致度を算出する。なお、この例でも、一致度は、(1)式により算出される。なお、向き一致度算出部68は、識別対象画像上の各エッジ画素を回転させる代わりに、モデル画像上の各エッジ画素を回転させて一致度を算出してもよい。
向き一致度算出部68は、一致度が最大となる回転角を、モデル画像上の適正メダルのモデルの表面の模様の向きと、識別対象画像に写っている識別対象メダルの表面の模様の向きとを一致させるための補正回転角とする。さらに、向き一致度算出部68は、回転角ごとの一致度から、全ての回転角についての一致度の平均値と、その平均値及び一致度の最大値についての偏差値を算出する。そして向き一致度算出部68は、一致度の平均値の偏差値に対する、一致度の最大値の偏差値の比を、向き一致度とする。したがって、向き一致度は、モデル画像上の適正メダルのモデルの表面の模様の向きと、識別対象画像に写っている識別対象メダルの表面の模様の向きとが一致している場合に限り、一致するエッジ画素の数が多く、逆に、モデル画像上の適正メダルのモデルの表面の模様の向きと、識別対象画像に写っている識別対象メダルの表面の模様の向きがずれると一致するエッジ画素の数が少ないほど、大きな値となる。すなわち、適正メダルに表された模様の回転対称性が低いほど、向き一致度は大きくなる。
この向き一致度は、個々のメダルの個体差から受ける影響が小さいので、識別対象メダルに傷、摩耗または汚れなどがあっても、識別対象メダルと適正メダルのモデルとの一致度合を正確に表すことができる。
なお、変形例によれば、向き一致度算出部68は、回転角ごとに求めた一致度のうち、一致度の最大値(すなわち、一致度の極大値のうちで1番大きい極大値)C1と一致度の極大値のうちの2番目に大きい極大値C2の差(C1-C2)、あるいは、その差をC1で正規化した値(C1-C2)/C1を、向き一致度として算出してもよい。あるいはまた、向き一致度算出部68は、2番目に大きい一致度の極大値C2に対する一致度の最大値C1の比(C1/C2)を、向き一致度として算出してもよい。
向き一致度算出部68は、補正回転角及び向き一致度をメモリ52に記憶する。
類似度算出部69は、モデル画像上の適正メダルのモデルの中心及び模様の向きと識別対象画像上の識別対象メダルの中心及び模様の向きを一致させた上で、適正メダルのモデルの表面の模様と識別対象メダルの表面の模様の類似度合いを表す類似度を算出する。
本実施形態では、類似度算出部69は、類似度を正確に評価できるようにするために、モデルエッジ数調整部65と同様の処理を識別対象画像から得たエッジ画像のメダル領域に適用して、エッジ画素の数を調節する。すなわち、類似度算出部69は、エッジ画像のメダル領域の中心を基準点として、メダル領域を、円周方向に沿って所定数の扇形の部分領域に分割する。なお、類似度算出部69は、個々の分割領域を、モデルエッジ数調整部65における扇形の部分領域よりも大きくすることが好ましい。そこで、例えば、所定数は18に設定される(すなわち、各部分領域の中心角は20度となる)。これにより、何れかの部分領域全体に、メダル表面の模様が細かく変化する部分が含まれて、その部分領域の面積に占めるエッジ画素数の比率が非常に高くなってしまい、その部分領域に含まれるエッジ画素数を減らさざるを得なくなって模様の特徴が正確に表されなくなることが抑制される。
類似度算出部69は、部分領域ごとに、その部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率を算出する。類似度算出部69は、その比率が所定比率(例えば、0.4)以上である場合、各エッジ画素の値から1を減じる。そして画素値がエッジ画素か否かの判定に用いるエッジ閾値未満となった画素については、類似度算出部69は、その画素をエッジ画素から除外する。エッジ閾値の値は、モデル登録処理においてエッジ検出部62が利用するエッジ閾値と同じ値とすることができる。類似度算出部69は、各部分領域について、部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率が所定比率未満となるまで、上記の処理を繰り返す。逆に、類似度算出部69は、部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率が所定比率未満となるまで、エッジ閾値を増加させてもよい。
なお、類似度算出部69は、部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率が最初から所定比率未満である場合、その比率が所定比率に達するまで、部分領域内の各画素の値に1を加算してもよい。この場合、類似度算出部69は、画素値がエッジ閾値以上となると、その画素をエッジ画素に加える。
類似度算出部69は、各部分領域のエッジ画素の数の調整が終了すると、モデル画像上のメダル領域の中心とエッジ画像上のメダル領域の中心とを位置合わせする。そして類似度算出部69は、エッジ画像上の各エッジ画素を、メダル領域の中心を回転中心として、補正回転角だけ回転させる。そして類似度算出部69は、次式に従って、適正メダルのモデルの表面の模様と識別対象メダルの表面の模様間の第1の類似度S1を算出する。
ここで、NumCは、エッジ画像のエッジ画素のうち、モデル画像のエッジ画素と一致するエッジ画素の数である。NumD1は、エッジ画像のエッジ画素のうちでモデル画像の何れのエッジ画素とも一致しないエッジ画素の数である。そしてNumD2は、モデル画像のエッジ画素のうちでエッジ画像の何れのエッジ画素とも一致しないエッジ画素の数である。
さらに、類似度算出部69は、エッジ画像のメダル領域を、そのメダル領域の中心から放射方向に沿って所定数のリング状の部分領域に分割する。この場合も、類似度算出部69は、個々の分割領域を、モデルエッジ数調整部65におけるリング状の部分領域よりも大きくすることが好ましい。そこで、例えば、類似度算出部69は、個々の部分領域の放射方向の幅を10画素に設定する。そして類似度算出部69は、個々の部分領域について上記と同様の処理を行って各部分領域の面積に占めるエッジ画素の数の比率が所定比率(例えば、0.4)未満となるように、エッジ画素の数を調整する。ただし、エッジ画素の数の調整対象となるのは、円周方向の部分領域ごとのエッジ画素の数が調整される前のエッジ画像である。
類似度算出部69は、各部分領域のエッジ画素の数の調整が終了すると、モデル画像上のメダル領域の中心とエッジ画像上のメダル領域の中心とを位置合わせする。そして類似度算出部69は、エッジ画像上の各エッジ画素を、メダル領域の中心を回転中心として、補正回転角だけ回転させる。そして類似度算出部69は、次式に従って、適正メダルのモデルの表面の模様と識別対象メダルの表面の模様間の第2の類似度S2を算出する。なお、第2の類似度S2も、(2)式に従って算出される。
類似度算出部69は、第1の類似度S1と第2の類似度S2の平均値S(=(S1+S2)/2)を、最終的に得られる適正メダルのモデルの表面の模様と識別対象メダルの表面の模様の類似度とする。このようにして得られる類似度は、識別対象メダルの個体差に影響を受けるものの、適正メダル及び識別対象メダルの表面の模様が回転対称な模様であっても、両者の類似度合いを表すことができる。
類似度算出部69は、算出した類似度をメモリ52に記憶する。
判定部70は、向き一致度と類似度に基づいて、識別対象メダルが適正メダルか否かを判定する。本実施形態では、判定部70は、向き一致度に類似度を乗じて得られる値を総合評価点とし、その総合評価点が予め設定された判定閾値以上である場合、識別対象メダルを適正メダルと判定し、一方、その総合評価点が判定閾値未満である場合、識別対象メダルを適正メダルでないと判定する。なお、判定閾値は、例えば、1.0に設定され、予めメモリ52に記憶される。
制御回路51は、メダルが適正メダルか否かの判定結果を、上位の制御装置(図示せず)へ出力する。
図17及び図18は、制御回路51により実行されるメダル識別処理の動作フローチャートである。制御回路51は、撮像部4から画像を受け取る度に、このメダル識別処理を実行する。
メダル領域検出部61は、識別対象画像からメダル領域を検出する(ステップS301)。形状補正部66は、メダル領域の形状が略円形となり、かつ、メダル領域のサイズがモデル画像上のメダル領域のサイズと略一致するように識別対象画像を補正する(ステップS302)。そしてエッジ検出部62は、識別対象画像のメダル領域内のエッジ画素を検出する(ステップS303)。
エッジ位置補正部67は、識別対象画像のメダル領域の中心と、モデル画像のメダル領域の中心とを位置合わせした状態で、識別対象画像を、メダル領域の中心を回転中心として、所定角度(例えば、1度)ずつ回転させつつ、識別対象画像のメダル領域内のエッジ分布とモデル画像のメダル領域内のエッジ分布が最も一致する識別対象画像の平行移動量を算出する(ステップS304)。そしてエッジ位置補正部67は、識別対象画像のメダル領域内のエッジ分布とモデル画像のメダル領域内のエッジ分布が最も一致するときの回転角度だけ識別対象画像を回転させた上で、その回転角における平行移動量だけ識別対象画像上のメダル領域内の各エッジ画素を平行移動する(ステップS305)。そしてエッジ位置補正部67は、補正後のエッジ画素の位置を極座標で表すエッジ分布情報をメモリ52に記憶する。
向き一致度算出部68は、モデル画像上のメダル領域内のエッジ分布と識別対象画像のメダル領域内のエッジ分布とが最も一致するときの識別対象画像の回転角から補正回転角を算出する(ステップS306)。さらに、向き一致度算出部68は、適正メダルのモデルにおける模様の向きと識別対象メダルの模様の向きを一致させたときの一致度と、向きを一致させない時の一致度に基づいて識別対象メダルの向き一致度DMを算出する(ステップS307)。
図18に示されるように、類似度算出部69は、モデル画像上のメダル領域の中心と識別対象画像上のメダル領域の中心とを位置合わせした上で、得られた回転角だけ識別対象画像を回転させることで、適正メダルのモデルの中心及び向きと識別対象メダルの中心及び向きを一致させる(ステップS308)。そして類似度算出部69は、円周方向に沿って識別対象画像上のメダル領域を複数の部分領域に分割し、各部分領域に含まれるエッジ画素の比率が所定比率未満となるように、部分領域ごとに、エッジ強度の高い画素から順にエッジ画素を選択することで、エッジ画素の数を調整する(ステップS309)。その後、類似度算出部69は、モデル画像上のエッジ画素と識別対象画像上のエッジ画素間で一致するエッジ画素の数と一致しないエッジ画素の数を求めることで第1の類似度S1を算出する(ステップS310)。
また、類似度算出部69は、メダル領域の中心からの放射方向に沿って識別対象画像上のメダル領域を複数の部分領域に分割し、各部分領域に含まれるエッジ画素の比率が所定比率未満となるように、部分領域ごとに、エッジ強度の高い画素から順にエッジ画素を選択することで、エッジ画素の数を調整する(ステップS311)。その後、類似度算出部69は、モデル画像上のエッジ画素と識別対象画像上のエッジ画素間で一致するエッジ画素の数と一致しないエッジ画素の数を求めることで第2の類似度S2を算出する(ステップS312)。類似度算出部69は、第1の類似度S1と第2の類似度S2の平均値を類似度Sとして算出する(ステップS313)。
判定部70は、向き一致度DMに類似度Sを乗じた値を総合評価点Tとして算出する(ステップS314)。そして判定部70は、総合評価点Tが判定閾値ThD以上か否か判定する(ステップS315)。総合評価点Tが判定閾値ThD以上である場合(ステップS315−Yes)、判定部70は、識別対象メダルを適正メダルと判定し、その旨を表す通知信号を上位制御装置へ出力する(ステップS316)。一方、総合評価点Tが判定閾値ThD未満である場合(ステップS315−No)、判定部70は、識別対象メダルを適正メダルでないと判定し、その旨を表す通知信号を上位制御装置へ出力する(ステップS317)。
ステップS316またはS317の後、制御回路51は、メダル識別処理を終了する。
以上に説明してきたように、モデル画像生成装置の一実施形態であるメダル識別装置は、モデル画像の生成対象となるメダルと同種のメダルを含む複数のサンプル用メダルの何れかが撮影された複数のサンプル画像のそれぞれについて、基準画像に対して相対的な回転角を変えながらメダル領域間の一致度を算出し、一致度の最大値と最大値以外の一致度の差を表す指標を求める。この指標は、基準画像に表されたメダルの模様とサンプル画像に表されたサンプル用メダルの模様が同じである場合は大きな値となるが、基準画像に表されたメダルの模様とサンプル画像に表されたサンプル用メダルの模様が異なる場合は小さな値となる。そこでこのモデル画像生成装置は、その指標が所定の閾値以上となるサンプル画像をモデル画像の生成に利用することで、サンプル用メダルに不適切なメダルが含まれていても、適切なモデル画像を生成できる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、適正メダルの一方の面の模様と他方の面の模様が異なることがある。このような場合、メダル識別装置は、メダルの面ごとに、上記のモデル登録処理を実行することで、メダルの面ごとにモデル画像を生成し、メモリに記憶させてもよい。そしてメダル識別装置は、モデル画像ごとに、上記のメダル識別処理を実行し、何れか一方のモデル画像について識別対象メダルが適正メダルとの判定結果が得られれば、識別対象メダルが適正メダルであると判定してもよい。
同様に、異なる種別の複数のメダルが利用されることがある。このような場合、メダル識別装置は、メダルの種別ごとに、上記のモデル登録処理を実行することで、メダルの種別ごとにモデル画像を生成し、メモリに記憶させてもよい。そしてメダル識別装置は、モデル画像ごとに、上記のメダル識別処理を実行し、何れか一つのモデル画像について識別対象メダルが適正メダルとの判定結果が得られれば、識別対象メダルは、そのモデル画像に表された種別のメダルであると判定し、上位制御装置へ、そのメダルの種別を表す通知信号を出力してもよい。一方、このメダル識別装置は、何れのモデル画像についても、識別対象メダルが適正メダルでないと判定されれば、識別対象メダルは適正メダルでないとの判定結果を表す通知信号を上位制御装置へ出力すればよい。
また他の変形例によれば、各サンプル画像に対して形状補正部66の処理が行われてもよい。あるいは、通路内でのメダルの傾き及び撮像部4からメダルまでの距離のバラツキが無視できる程度であれば、形状補正部66の処理は省略されてもよい。
さらに他の変形例によれば、回転角算出部は、向き一致度算出部68が算出する向き一致度を、回転角度ごとの一致度の最大値と最大値以外の一致度の差を表す指標として算出してもよい。あるいは、回転角算出部は、回転角度ごとの一致度の最大値と各回転角度の一致度の平均値の差、あるいは、その平均値に対する一致度の最大値の比を、回転角度ごとの一致度の最大値と最大値以外の一致度の差を表す指標として算出してもよい。
また他の変形例によれば、回転角算出部は、サンプル画像と基準画像間の回転角ごとの一致度を、そのサンプル画像のメダル領域に含まれる各画素の値と基準画像のメダル領域に含まれる各画素の値との相互相関値により算出してもよい。また、モデル生成部64は、位置合わせされ、かつ、補正回転角だけ回転されたサンプル画像のメダル領域内の各画素の値を、モデル画像の対応する画素の値に加算することでモデル画像を生成してもよい。この場合も、モデル生成部64は、モデル画像のメダル領域内の各画素の値の最大値Pmaxを求め、メダル領域内の各画素の値に(255/Pmax)を乗じることで各画素の値を正規化してもよい。この場合、モデル画像上では、サンプル用メダル間で共通する模様が強調されたものとなり、各サンプル用メダルにおいて輝度が高い画素に対応するモデル画像上の画素の値も高くなり、逆に各サンプル用メダルにおいて輝度が低い画素に対応するモデル画像上の画素の値も低くなる。
そこで、メダル識別処理において、エッジ検出部62がモデル画像に対してもエッジ検出処理を行ってモデル画像のエッジ画像を得る。そして得られたエッジ画像を、向き一致度算出部68及び類似度算出部69が利用して、向き一致度及び類似度を算出する。なお、この変形例では、モデル登録処理においては、エッジ検出部62の処理は省略されてもよい。
さらに他の変形例によれば、適正メダルの表面の模様の回転対称性が低い場合には、判定部は、向き一致度そのものを、総合評価値としてもよい。この場合には、類似度算出部69の処理は省略されてもよい。
さらに他の変形例によれば、モデル登録処理は、メダル識別装置と異なる装置において実行され、最終的に得られたモデル画像がメダル識別装置のメモリに保存されてもよい。この場合、例えば、制御回路51は、撮像部4によりサンプル画像が生成される度に、そのサンプル画像を通信インターフェース53を介してモデル登録処理を実行する装置へ出力する。
モデル登録処理を実行する装置は、例えば、コンピュータのように、プロセッサと、メモリ回路と、メダル識別装置と接続するための通信インターフェースとを有する。そしてその装置のプロセッサは、制御回路51が有する各部のうち、モデル登録処理で利用される各部の処理を実行する。そしてその装置がモデル登録処理を実行してモデル画像を生成すると、メダル識別装置の制御回路51は、通信インターフェース53を介してその装置からモデル画像を受け取って、メモリ52にそのモデル画像を保存する。
この変形例では、メモリ52に多数のサンプル画像を記憶しなくてよいので、メモリ52のメモリ容量を削減できる。
図19は、本発明の実施形態または変形例によるメダル識別装置を備えた回胴遊技機100の概略斜視図である。また図20は、前面パネルを開いた状態における、回胴遊技機100の概略斜視図である。そして図21は、回胴遊技機100の回路ブロック図である。図19及び図20に示すように、回胴遊技機100は、遊技機本体である本体筐体101と、ドラム102a〜102cと、スタートレバー103と、ストップボタン104a〜104cと、前面パネル105とを有する。
また回胴遊技機100は、本体筐体101内に、前面パネル105の背面側に取り付けられたメダル識別装置106と、各種の制御回路などが収容された制御ボックス107と、主制御回路110からの制御信号に応じてメダルを一時貯留し、かつメダルを排出するためのメダル貯留・排出機構108を有する。
そして図21に示されるように、制御ボックス107内には、例えば、回胴遊技機100全体を制御する主制御回路110と、遊技の演出に関連する各部を制御する演出用制御回路111と、回胴遊技機100の各部に電力を供給する電源回路112などが収容されている。
前面パネル105の前面の中央上部には開口105aが形成されており、その開口105aを通じて、ドラム102a〜102cが視認可能になっている。また開口105aの下側の枠105bの上面には、メダルを投入するための開口105cが形成されており、この開口105cとメダル識別装置106の上面に設けられたメダル投入口とが一致するように、メダル識別装置106が配置されている。なお、メダル識別装置106のメダル排出口は、メダル貯留・排出機構108と接続されており、メダル識別装置106から排出されたメダルは、メダル貯留・排出機構108に回収される。
前面パネル105の下部には、下パネルとして、複数の発光ダイオードを含む装飾装置が設けられていてもよい。さらに、装飾装置の下方において、前面パネル105には、メダルを排出するためのメダル排出口105dが形成されている。そしてメダル排出口105dの下方には、排出されたメダルが落下することを防止するためのメダル受け皿105eが取り付けられている。また前面パネル105の左上端近傍及び右上端近傍にはスピーカ(図示せず)が取り付けられてもよい。
ドラム102a〜102cは、演出用制御回路111からの制御信号に応じて、本体筐体101の前面に対して略平行かつ略水平な回転軸(図示せず)を回転中心として、それぞれ、別個に回転可能となっている。各ドラム102a〜102cの表面は、それぞれ、回転方向に沿って複数の略同一幅を持つ領域に区切られ、領域ごとに様々な図柄が描かれている。なお、ドラム102a〜102cの代わりに、液晶ディスプレイなどの表示装置が、その表示画面が開口105aを介して視認可能なように設けられてもよい。この場合、表示装置は、演出用制御回路111からの制御信号に応じて、複数のドラムを模擬的に示した画像を表示画面に表示させる。
スタートレバー103は、前面パネル105の枠105bの前面に向かって左側に設けられている。また、枠105bの前面略中央には、ストップボタン104a〜104cが設けられている。ストップボタン104a〜104cは、それぞれ、ドラム102a〜102cに対応する。
メダル識別装置106は、上記の実施形態または変形例によるメダル識別装置である。そしてメダルが開口105cを通じてメダル識別装置106のメダル投入口に投入されると、メダル識別装置106は、投入されたメダルが適正メダルか否か判定し、その判定結果を表す通知信号を主制御回路110へ出力する。そして主制御回路110は、投入されたメダルが適正メダルであれば、そのメダルに応じて遊技の回数などを決定し、回胴遊技機100が遊技を開始することを許可する。その後に、スタートレバー103が操作されると、スタートレバー103が操作されたことを示す信号が主制御回路110へ伝達される。そして主制御回路110は、演出用制御回路111に、ドラム102a〜102cの回転を開始させる。また演出用制御回路111は、ドラム102a〜102cの回転中、遊技者の興趣を高めるために、ドラム102a〜102cが停止しているときとは異なる効果音をスピーカを通じて出力させたり、装飾装置の発光ダイオードを明滅させたりしてもよい。
その後、ストップボタン104a〜104cの何れかが押下されると、主制御回路110は、その押下されたスイッチから押下されたことを示す信号を受信し、その押下されたスイッチに対応するドラムの回転を演出用制御回路111を介して停止させる。あるいは、主制御回路110は、ドラム102a〜102cのうち、回転を開始してから所定期間が経過するまでに、対応するストップボタンが押下されなかったドラムを、その所定期間経過後に、演出用制御回路111を介して停止させる。
そして全てのドラムが停止した時点で、同一の図柄が全てのドラムにわたって一列に並んでいると、主制御回路110は、その図柄に応じた所定枚数のメダルをメダル排出口を通じて排出する。またこの場合、演出用制御回路111は、ドラムの回転時及び同一の図柄が全てのドラムにわたって一列に並ばなかったときとは異なる効果音をスピーカを介して出力し、装飾装置の発光ダイオードをその最大輝度で点灯させてもよい。
一方、メダル識別装置106から通知された判定結果が、投入されたメダルが不適正メダルであることを示していれば、主制御回路110は、例えば、回胴遊技機100が設置されたホールの管理システムへ、回胴遊技機100の識別番号とともに、その旨を通知する。また主制御回路110は、不適正メダルと判定されたメダルを、メダル貯留・排出機構108を介して排出してもよい。
また、本発明によるモデル画像生成装置は、投入されたメダルを識別することが求められる様々な装置に適用できる。例えば、本発明によるモデル画像生成装置は、メダルの獲得数を計数するために用いられるメダル計数装置として実装されてもよい。
図22は、メダル計数装置200の外観斜視図であり、図23は、メダル計数装置200の上面カバーを外した状態の斜視図である。図24は、搬送部201の立体図であり、図25は、搬送部201の平面図であり、図26は、ガイド近傍におけるメダルを搬送する際の動作を説明する図であり、図27は、搬送部201の分解図である。
メダル計数装置200は、正面左側に、開口部202が設けられており、開口部202からメダルが投入可能となっている。開口部202の底面部には、搬送部201が設けられている。搬送部201は、通路形成部の一例であり、投入されたメダルを物理的に計数するために、ガイド部224及び排出部222等から構成されるメダルの通路に沿って、投入されたメダルを撮像部226の撮影範囲を通るように流下させる。
表示部203は、例えば、液晶ディスプレイを有し、メダルの計数結果などを表示する。印字部204は、メダルの計数結果をレシートなどの紙に印刷し、その係数結果が印刷された紙を出力する。操作部205は、ボタンなどを有し、メダルの計数を開始するとき、または計数を終了するときなどに操作され、操作内容に対応した操作信号を生成して、制御部へ供給する。
搬送部201の分離部211は、円筒状の淵211a内に設けられた円盤上の底部が、図25で示される矢印方向に回転することにより、投入された複数のメダル221を遠心力で外周部に移動させ、淵211aに引き付けられるように挙動させる。この動作により、メダル231は、ある程度固まった状態、すなわち、集合状態であっても、個々に別れて淵211aに引き付けられるように挙動することから、個別に分離されていく。また、投入されたメダル231は、淵211aに引き付けられ当接されると、分離部211の回転により図25で示される矢印方向に淵211a上を移動する。さらに、淵211a上を移動するメダル231は、図25の下部で示されるように分離部211の円盤の接線方向に設けられた開口部より、誘導部212を経てガイド部224に搬送される。
図26に示されるように、搬送プレート221上に設けられたガイド部224は、U字型のプレート状に形成されており、U字の開口部から穴部223までのメダルの通路を形成する。ガイド部224の開口部の幅は、メダル231の直径とほぼ等しく、ガイド部224は、メダル231を穴部223に誘導する。誘導部212を経て誘導されてきたメダル231は、図26に示されるように、ガイド部224を経て、メダル231の直径と略同径の穴部223より蓄積ディスク251(図27)に供給される。
図27に示されるように、蓄積ディスク251には、メダル231と略同形の複数の穴部251e〜251hが形成されている。蓄積ディスク251は、4枚のメダル231をそれぞれの穴部に蓄積した後、各メダル231を排出ディスク253のくぼみ253eから253hに装填する。排出ディスク253は、装填された4枚のメダル231を所定の間隔で排出部222から排出する。排出部222には、近接センサであるセンサ225と、撮像部226と、光源227とが設けられている。センサ225がメダル231の通過を検出すると、対応する検出信号を発生して後述する制御部261(図29)へ出力する。制御部261は、センサ225よりもメダルの通路の下流側をその撮影範囲とする撮像部226に、光源227により照明されたメダル231を撮影させる。そして撮像部226は、メダル231が写った画像を制御部261へ出力する。
搬送プレート221の穴部221a、蓄積ディスク251の中心に形成された穴部251i、および排出ディスク253の中心に形成された穴部253iは、同軸であり、シャフト259が貫通している。シャフト259は、ベルト260を介してモータ257のトルクを排出ディスク253に伝達する。そのため、シャフト259より伝達されるトルクにより排出ディスク253は、図27の矢印方向に所定の回転速度で回転する。
このとき、蓄積ディスク251にメダル231が4枚全てが蓄積されていない場合、蓄積ディスク251と排出ディスク253とは、相互に重なり合った状態で排出ストッパピン258により係合されているため、排出ディスク253の回転に伴って蓄積ディスク251も回転する。
上述したように、蓄積ディスク251には、メダル231と略同形の穴部251e〜251hが等間隔に形成されている。さらに、排出ディスク253には、メダル231を装填可能な、くぼみ253e〜253hが等間隔に形成されている。そしてストッパピン252−1〜252−4により蓄積ディスク251および排出ディスク253が係合されている状態において、この穴部251e〜251hと、くぼみ253e〜253hとは、位相の異なる状態で係合された状態となっている。したがって、穴部223よりメダル231が投入されると、メダル231は、排出ディスク253により落下が停止され、蓄積ディスク251の穴部251e〜251hにより固定され、穴部251e〜251hに蓄積されることになる。
また、ストッパピン252−1〜252−4は、蓄積ディスク251側および排出ディスク253側のそれぞれに分割可能な構成とされている。より詳細には、図28で示されるように、ストッパピン252は、上部ストッパピン252aおよび下部ストッパピン252bから構成される。また、上部ストッパピン252aおよび下部ストッパピン252bが収納される穴部253a〜253dの底部253a’〜253d’には、バネまたはスプリングなどの弾性体(図示せず)が設けられ、上方向に反発力を与えるようになっている。底部253a’は(図28では、底部253a’について示されているが、底部253b’〜253d’についても同様)、上部よりメダル231が落下してくると、メダル231の重みにより、弾性体の反発力が打ち負かされて上部ストッパピン252aおよび下部ストッパピン252bが、底部253a’を押圧することにより、図中の右部の底部253a’’で示されるように下方向にスライドし、それぞれ穴部251a〜251dおよび穴部253a〜253dに内挿される。
このとき、上部ストッパピン252aおよび下部ストッパピン252bは、それぞれ長さが蓄積ディスク251および排出ディスク253の厚さと略同一であるため、搬送プレート221、蓄積ディスク251および排出ディスク253が順次積み重ねられた状態では、それぞれ蓄積ディスク251および排出ディスク253の穴部251a〜251dおよび穴部253a〜253dに収納された状態となる。結果として、蓄積ディスク251および排出ディスク253の係合状態が解除される。
すなわち、ストッパピン252は、蓄積ディスク251および排出ディスク253が回転し、穴部223の範囲内に移動してくると、図28の左部で示されるように、搬送プレート221および排出ディスク253により上下から付勢された状態より開放されることにより、凸部252a’が、穴部223内で飛び出した状態となるため、搬送プレート221と蓄積ディスク251とを係止させる。さらに、このとき、下部ストッパピン252bが蓄積ディスク251および排出ディスク253を係止し、蓄積ディスク251および排出ディスク253の回転が停止される。
また、この状態で、メダル231が、穴部223に挿入されると、図28の右部で示されるように、メダル231によりストッパピン252が上部より押圧されることにより、上部ストッパピン252aおよび下部ストッパピン252bが底部253a’を押圧し、底部253a’’で示されるように下方向にスライドされることにより、それぞれ穴部251a〜251dおよび穴部253a〜253dに収納される。
したがって、ガイド部224によりメダル231が誘導されて、順次穴部223に挿入されると、例えば、蓄積ディスク251の穴部251eに蓄積される。このときストッパピン252が搬送プレート221に係止された状態から開放されることになるので、蓄積ディスク251は排出プレート253と供に回転を始める。そして、略45°の角度で回転したところで、メダル231が蓄積されていない、穴部251eの隣に配置されている穴部251fが穴部223と重なる位置で、再びストッパピン252により回転が停止する。
さらに、次のメダル231が穴部223より挿入されると、穴部251fに蓄積されることになり、蓄積ディスク251および排出ディスク253は、回転を開始する。以上のような動作が、メダル231が穴部223に挿入される度に連続して4回繰り返される。
排出ディスク253には、排出ストッパピン258が設けられている。排出ストッパピン258は、4枚目のメダル231が蓄積される蓄積ディスク251の穴部251hを係止する凸部258bと、排出ディスク253のくぼみ253hとを係止する凸部258aからなるコの字型のピンであり、それぞれを係止することで蓄積ディスク251と排出ディスク253とを係合している。この排出ストッパピン258は、4枚目のメダル231が蓄積ディスク251の穴部251hに蓄積されると、メダル231の重さにより下方向にスライドし、蓄積ディスク251と排出ディスク253との係合を解除し、それぞれ独立して回転できるようにする。
この結果、排出ディスク253が、蓄積ディスク241と位相が一致するタイミング、すなわち、蓄積ディスク251の穴部251e〜251hと、排出ディスク253のくぼみ253e〜253hとが同位置に移動するタイミングで、それまで蓄積ディスク251の穴部251e〜251hに蓄積されていた4枚のメダル231は、ほぼ同一のタイミングで対応するくぼみ253e〜253hに装填される。
さらに、この状態で排出ディスク253は、所定の回転速度で回転を続けることにより、くぼみ253e〜253hに装填されたメダル231は、ディスクガイド256に沿って移動し、排出ガイド254、255より排出部222に送出され、排出される。
また、蓄積ディスク251には、4枚のメダル231が蓄積可能であるが、端数などにより4枚のメダル231が蓄積できない場合、強制排出部241は、ストッパピン2521を直接押圧してメダル231が穴部223より蓄積されていない状態でも蓄積ディスク251および排出ディスク253の回転を進め、最終的に、排出ストッパピン258を押圧して、端数となったメダル231を排出ディスク253より排出させる。
図29は、メダル計数装置200の回路ブロック図である。メダル計数装置200は、制御部261と、記憶部262と、通信インターフェース263とを有する。これらの各部は、メダル計数装置200の内部に設けられた回路基板上に、それぞれ、別個の回路として設けられる。
制御部261は、例えば、1個若しくは複数のプロセッサを有し、メダル計数装置200の各部を制御する。また制御部261は、撮像部226から得られた画像に対して上記の実施形態または変形例によるメダル識別装置の制御回路が有する各部の機能を実行することで、搬送されたメダル231が適正なメダルか否かを判定する。そして制御部261は、搬送されたメダル231が適正なメダルである場合、メダルのカウント数を1だけ増やす。そして制御部261は、投入されたメダルの計数が終了すると、その計数結果を表示部203に表示させる。さらに、制御部261は、計数結果を印字部204に伝えて、その計数結果を紙などに印刷させる。
記憶部262は、上記の実施形態または変形例によるメダル識別装置のメモリに対応し、揮発性又は不揮発性の読み書き可能な半導体メモリを有し、制御部261の動作に必要な様々なデータを記憶する。例えば、記憶部262は、モデル登録処理またはメダル識別処理で生じる、エッジ画像といった様々な中間データ、モデル画像、撮像部226から受け取った画像などを記憶する。
通信インターフェース263は、上記の実施形態または変形例によるメダル識別装置の通信インターフェースに対応し、センサ225、撮像部226、光源227、及び、ホールコンピュータといった上位の制御装置(図示せず)と接続するためのインターフェースであり、センサ225、撮像部226または光源227への制御信号を制御部261から受け取って、センサ225、撮像部226または光源227に出力する。また通信インターフェース263は、上位の制御装置からの各種の制御信号、センサ225からの信号、または撮像部226からの画像を、信号線を介して受け取って、制御部261へ渡す。
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。